JP2016011371A - 水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】固着回復性が良好であるとともに、耐擦過性に優れた画像を記録することができる水性インクを提供する。【解決手段】第1のアニオン性基である第1の官能基と、第1のアニオン性基と異なる種類の第2のアニオン性基を含む第2の官能基とが顔料の粒子表面に結合した自己分散顔料を含有するインクジェット用の水性インクである。第1の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合しており、第2の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合した連結基と、連結基に結合した前記第2のアニオン性基とを含み、連結基は、−C(=O)−NH−、−O−C(=O)−NH−、又は−C(=O)−O−の構造を有し、第2の官能基の導入量が、0.22mmol/g以上0.60mmol/g以下であり、第1の官能基の導入量(mmol/g)が、第2の官能基の導入量(mmol/g)に対する比率で、1.0倍以上2.0倍以下である。【選択図】なし
Description
本発明は、水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法では、様々な記録媒体に記録することが可能である。そして、より良好な画像を記録すべく、例えば、光沢紙などに写真画質の画像を記録するのに適したインクや、普通紙などに文書を記録するのに適したインクなど、その目的に応じた種々のインクが提案されている。近年、記録媒体として普通紙などを用い、文字や図表などを含むビジネス文章などの印刷にもインクジェット記録方法が利用されており、このような用途への利用頻度が格段に増えてきている。このような用途では、記録される画像の光学濃度をより一層向上することが求められている。また、インク中の揮発成分が蒸発して記録ヘッドの吐出口で固着が生じた場合であっても、速やかに正常な状態に回復して記録を開始できる性能(固着回復性)が求められている。
画像の光学濃度を向上させる観点からは、自己分散顔料をインクの色材として用いることが有利である。自己分散顔料としては、例えば、顔料の粒子表面に複数種のアニオン性基を結合させたものが提案されている(特許文献1〜3参照)。また、顔料の粒子表面にイオン性基が直接結合した自己分散顔料と、顔料の粒子表面に他の原子団を介してイオン性基が結合した自己分散顔料とを併用したインクが提案されている(特許文献4参照)。
自己分散顔料を色材として含有するインクで記録すると、自己分散顔料が記録媒体の表面上に存在するために画像の光学濃度が向上する。しかし、記録した画像を擦った際には顔料が削れやすいため、画像の耐擦過性が低いという課題がある。自己分散顔料を用いたインクで記録した画像の耐擦過性を向上させる方法としては、インクに樹脂を添加する方法や、反応液をインクと併用する方法などがある。しかし、インクに樹脂を添加しても、擦りの強度が大きい場合には耐擦過性が不十分である。また、インクに樹脂を添加することで、インクの固着回復性が低下しやすくなるといった課題が生ずる。
特許文献2に記載の自己分散顔料は急激に凝集するので、記録媒体上に形成される顔料層が空隙を含みやすくなる。このため、画像の耐擦過性は不十分になりやすく、特に、カルシウムなどの塩を多く含む記録媒体に記録した場合には、画像の耐擦過性が顕著に低くなることがあった。さらに、インク中の揮発成分の蒸発が進行すると自己分散顔料も強固に凝集するため、固着回復性も不十分であった。
一方、特許文献1及び3に記載の自己分散顔料は凝集力が弱いため、この自己分散顔料を用いたインクの固着回復性は良好であった。しかし、このインクを用いて記録した画像の耐擦過性は不十分であった。さらに、特許文献4に記載のインクは、固着回復性が不十分であるとともに、記録される画像の耐擦過性についても不十分であった。
したがって、本発明の目的は、固着回復性が良好であるとともに、耐擦過性に優れた画像を記録することができる水性インクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、第1のアニオン性基である第1の官能基と、前記第1のアニオン性基と異なる種類の第2のアニオン性基を含む第2の官能基とが顔料の粒子表面に結合した自己分散顔料を含有するインクジェット用の水性インクであって、前記第1の官能基は、前記顔料の粒子表面に直接結合しており、前記第2の官能基は、前記顔料の粒子表面に直接結合した連結基と、前記連結基に結合した前記第2のアニオン性基とを含み、前記連結基は、−C(=O)−NH−、−O−C(=O)−NH−、又は−C(=O)−O−の構造を有し、前記第2の官能基の導入量が、0.22mmol/g以上0.60mmol/g以下であり、前記第1の官能基の導入量(mmol/g)が、前記第2の官能基の導入量(mmol/g)に対する比率で、1.0倍以上2.0倍以下であることを特徴とする水性インクが提供される。
本発明によれば、固着回復性が良好であるとともに、耐擦過性に優れた画像を記録することができる水性インクを提供することができる。また、本発明によれば、このインクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。なお、本発明においては、アニオン性基が塩を形成している場合は、インク中ではアニオン性基はイオンに解離して存在し得るが、便宜上、「アニオン性基」と表現する。また、インクジェット用の水性インクのことを「インク」と記載することがある。本明細書における各種の物性値は、特に断りのない限り常温(25℃)における値である。
自己分散顔料を含有するインクを用いて普通紙などの記録媒体に記録した画像の耐擦過性を高めるために、顔料を強固に凝集させた場合、粒子同士は強固に接着し合う一方で、記録媒体上に形成される顔料層が空隙を含みやすくなる。その結果、形成される顔料層は強い力による擦れに対して脆くなるので、画像の耐擦過性を向上させることはできない。また、インクの固着回復性を向上させるために自己分散顔料の凝集性を低下させることは有効であるが、記録される画像の耐擦過性は低下してしまう。本発明者らは、反応液の併用や、インクへの樹脂の添加などの工夫をせず、自己分散顔料自体を工夫することにより、画像の耐擦過性とインクの固着回復性を両立させることを検討した。
先ず、記録される画像の耐擦過性を向上させる方法を見出すために、以下のような仮説を立てた。すなわち、強く凝集しうる自己分散顔料を使用し、隙間の少ない密な構造の顔料層を形成することで、強い力での擦れに対しても優れた耐擦過性を有する画像を記録可能になるとの仮説を立てた。
本発明者らは、上記の仮説に基づき、画像の耐擦過性を向上させるために種々の検討を行った。その過程において、特許文献1及び2に記載されるような顔料の粒子表面に複数種のアニオン性基を結合させた自己分散顔料を用いることで、記録媒体の種類によっては、十分ではないものの僅かに耐擦過性が向上するといった現象が生ずることを見出した。このような現象が生ずるメカニズムを、本発明者らは以下のように推測している。自己分散顔料は、記録媒体などにおけるインク中の液体成分の蒸発、又は記録媒体に含まれている塩などの電解質がインクに溶解することによって生じる塩析効果などにより凝集する。そして、顔料の粒子表面に複数種のアニオン性基を結合させた自己分散顔料については、各アニオン性基の反応性の違いから、凝集が生ずるタイミングも異なる。
例えば、ホスホン酸基とカルボキシ基を有する自己分散顔料の場合、液体成分の減少に伴い、顔料を分散させる能力をホスホン酸基が先に失い、顔料の粒子同士の反発力が弱まって相互に近接して存在するようになる。しかし、この時点ではカルボキシ基による分散性は保たれているため、自己分散顔料は完全には凝集しておらずに移動可能な状態となっている。液体成分がさらに減少すると、カルボキシ基による分散性も失われて自己分散顔料は凝集する。このように、自己分散顔料の凝集が段階的に進むことで密に詰まった顔料層が形成され、耐擦過性がある程度向上したと考えられる。
しかし、顔料の粒子表面に複数種のアニオン性基を結合させた上記の自己分散顔料を用いても、記録される画像の耐擦過性のレベルは不十分であった。特に、カルシウムなどの塩を多く含む記録媒体に記録した画像の耐擦過性はかなり低くなった。カルシウムなどの塩を多く含む記録媒体においては、顔料は段階的に凝集するものの、短時間で凝集してしまうため、結果として1種類のみのアニオン性基を有する自己分散顔料と同様の挙動を示したものと考えられる。
さらに、顔料の粒子表面に複数種のアニオン性基を結合させた上記の自己分散顔料を用いたインクは、固着回復性が不十分であった。具体的には、インクジェット記録装置の記録ヘッドの吐出口を長期間解放状態とした後、再びインクを吐出する際に行う回復動作(新しいインクを吸引する動作)において、インクが正常に吐出されるまでに必要なインク量が多くなることが確認された。これは、自己分散顔料の周囲に存在する液体成分が蒸発して減少することにより、粒子同士が強固に凝集するためと考えられる。
そこで本発明者らは、画像の耐擦過性とインクの固着回復性をこれまで以上に高いレベルで両立するためには、以下に示す(i)及び(ii)の条件を満たすことが必要であると考えた。そして、かかる条件を満たしうる自己分散顔料の特性について検討した。
(i)記録媒体において自己分散顔料を多段階で凝集させること。
(ii)液体成分が蒸発して減少しても自己分散顔料の周囲にある程度の液体成分を保持すること。
(i)記録媒体において自己分散顔料を多段階で凝集させること。
(ii)液体成分が蒸発して減少しても自己分散顔料の周囲にある程度の液体成分を保持すること。
検討の結果、複数種のアニオン性基のうちの少なくとも一つを、顔料の粒子表面に直接結合させた水素結合能を有する構造を含む連結基を介して顔料の粒子表面に結合させることが必要であることを見出した。さらに、複数種のアニオン性基を所定の導入量となるように顔料の粒子表面に結合させることが必要であることを見出した。これらの条件を満たすことによって、画像の耐擦過性とインクの固着回復性が高いレベルで両立されるメカニズムについて、本発明者らは以下のように考えている。
画像の耐擦過性を向上させるには、前述の通り、記録媒体において自己分散顔料を多段階で凝集させ、空隙が少なく密に詰まった顔料層を形成することが有効である。このような顔料層を形成するには、自己分散顔料の凝集が終結する直前の段階で隣接する粒子同士が非常に近い位置に存在していることが重要である。水素結合能を有する構造を含む連結基が顔料の粒子表面に直接結合した自己分散顔料の粒子は、液体成分が減少してアニオン性基が分散能を失った際にも、連結基の水素結合能によって粒子表面の近傍に液体成分を保持することができる。このため、隣接する粒子同士は、非常に近距離に存在しながらも多少動くことができるので、形成される顔料層中に空隙が生じにくいと考えられる。液体成分は最終的に記録媒体に吸収されるため、自己分散顔料は強く凝集して密に詰まった顔料層が形成されることとなる。また、塩の含有量が多い記録媒体に記録した場合であっても、顔料の粒子表面の近傍に水が保持されるため、画像の耐擦過性が損なわれることはない。
具体的には、自己分散顔料として、第1のアニオン性基である第1の官能基と、第1のアニオン性基と異なる種類の第2のアニオン性基を含む第2の官能基とが顔料の粒子表面に結合したものを用いる。第1の官能基は顔料の粒子表面に直接結合しており、第2の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合した連結基と、連結基に結合した第2のアニオン性基とを含んでいる。そして、第2の官能基の導入量は、自己分散顔料に対して、0.22mmol/g以上0.60mmol/g以下であること要する。第2の官能基の導入量が0.22mmol/g未満であると、顔料の周囲に存在する水が減少した際に水を保持することができず、記録媒体上で密になる前に顔料が凝集してしまうために画像の耐擦過性が向上しない。また、吐出口においても顔料の周囲に水を保持できないため、固着回復性が向上しない。一方、第2の官能基の導入量が0.60mmol/gを超えると、記録媒体における顔料の凝集阻害作用が強くなりすぎてしまう。このため、画像の耐擦過性が向上しない。なお、この凝集阻害作用は、後述する−C(=O)−NH−の構造を有する水溶性有機溶剤(以下、「特定の水溶性有機溶剤」とも記す)を含有させた場合には特に顕著に生じうる。また、吐出口においては、インク中の液体成分が蒸発のみによって減少する。但し、水素結合能を有する構造を含む連結基が顔料の粒子表面に結合した自己分散顔料の近傍には水が保持されやすいため、隣接する自己分散顔料同士が強固に凝集することが抑制される。このため、吐出口近傍に留まったインクは、回復動作を行った際に新しいインクと馴染みやすくなり、固着回復性が向上すると考えられる。
<インク>
以下、本発明のインクを構成する各成分について詳細に説明する。
以下、本発明のインクを構成する各成分について詳細に説明する。
(自己分散顔料)
本発明のインクに含有させる自己分散顔料は、第1のアニオン性基である第1の官能基と、この第1のアニオン性基と異なる種類の第2のアニオン性基を含む第2の官能基とが顔料の粒子表面に結合したものである。第1の官能基は顔料の粒子表面に直接結合している。そして、第2の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合した連結基と、この連結基に結合した第2のアニオン性基とを含む基である。このような自己分散顔料を用いることにより、顔料をインク中に分散させるための分散剤の添加が不要となる、又は分散剤の添加量を少量とすることができる。
本発明のインクに含有させる自己分散顔料は、第1のアニオン性基である第1の官能基と、この第1のアニオン性基と異なる種類の第2のアニオン性基を含む第2の官能基とが顔料の粒子表面に結合したものである。第1の官能基は顔料の粒子表面に直接結合している。そして、第2の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合した連結基と、この連結基に結合した第2のアニオン性基とを含む基である。このような自己分散顔料を用いることにより、顔料をインク中に分散させるための分散剤の添加が不要となる、又は分散剤の添加量を少量とすることができる。
第2の官能基の導入量は、0.22mmol/g以上0.60mmol/g以下である。第2の官能基の導入量が0.22mmol/g未満であると、顔料の周囲に存在する水が減少した際に水を保持することができず、記録媒体上で密になる前に顔料が凝集してしまうために画像の耐擦過性が向上しない。また、吐出口においても顔料の周囲に水を保持できないため、固着回復性が向上しない。一方、第2の官能基の導入量が0.60mmol/gを超えると、記録媒体における顔料の凝集阻害作用が強くなりすぎてしまい、画像の耐擦過性が向上しない。
また、第1の官能基の導入量(mmol/g)は、第2の官能基の導入量(mmol/g)に対する比率で1.0倍以上2.0倍以下であり、好ましくは1.2倍以上1.8倍以下である。上記の比率が1.0倍未満である場合、又は2.0倍超である場合には、いずれかのアニオン性基の反応性が支配的となり、顔料の凝集が一方に偏ってしまう。このため、密な顔料層を形成することができず、画像の耐擦過性が向上しない。
第1の官能基の導入量(mmol/g)は、0.1mmol/g以上1.5mmol/g以下であることが好ましい。なお、本発明における第1の官能基の導入量の単位及び第2の官能基の導入量の単位は、いずれも、自己分散顔料の固形分1g当たりの官能基のミリモル数である。自己分散顔料の第1の官能基及び第2の官能基の導入量は、以下の方法によって求めることができる。先ず、同時示差熱天秤質量分析(TG−MS)や固体NMRなどにより、各官能基の構造を特定する。次に、コロイド滴定法により、自己分散顔料の官能基に含まれるアニオン性基の合計量を測定する。自己分散顔料の官能基に含まれるアニオン性基がホスホン酸基及びスルホン酸基である場合には、ICP発光分光分析装置によるリン原子や硫黄原子の定量値から算出する。また、カルボキシ基などのICP発光分光分析装置により分析できないアニオン性基である場合には、アニオン性基の合計量と、ホスホン酸基やスルホン酸基の量との差分から算出する。そして、1つの官能基に含まれるアニオン性基の数をもとに、各官能基の導入量を求めることができる。なお、塩などの電解質がインクに添加されている場合は、インクそのものと、インクを遠心分離して得た上澄み液について上記方法などにより定量を行い、その差分から各官能基の導入量を求めることができる。
自己分散顔料を構成する顔料の種類としては、例えば、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクドリンなどの有機顔料などを挙げることができる。また、本発明のインクには、調色などの目的のために、顔料とともに染料などを含有させてもよい。インク中の自己分散顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明においては、顔料としてカーボンブラックを用いることがさらに好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなどいずれのカーボンブラックも使用することができる。
カーボンブラックのDBP吸油量は、50mL/100g以上200mL/100g以下であることが好ましい。DBP吸油量は、JIS K6221やASTM D 2414に準拠した方法により測定することができる。これらの方法は、100gの顔料に撹拌下でフタル酸ジブチルを滴下し、トルクが最大となった時点でのフタル酸ジブチルの添加量を測定する方法である。
BET法によるカーボンブラックの比表面積は、100m2/g以上600m2/g以下であることが好ましい。BET法による比表面積は、JIS K6217やASTM D 6556などに準拠した方法により測定することができる。これらの方法は、脱気したカーボンブラックを液体窒素に浸漬し、平衡に至った際のカーボンブラックの粒子表面に吸着している窒素量を測定する方法である。
カーボンブラックの一次粒子径は、10nm以上40nm以下であることが好ましい。カーボンブラックは、通常、複数の一次粒子がブドウの房のように立体的に連なった状態で存在する。一次粒子径とは、1つの顔料粒子を形成する最小単位のカーボンブラック(一次粒子)の粒子径を意味する。カーボンブラックの一次粒子径は、透過型又は走査型の電子顕微鏡により、顔料粒子を形成する最小単位のカーボンブラックの粒子径を100点程度観察して測定し、その算術平均値として求めることができる。
カーボンブラックの平均粒子径は、50nm以上200nm以下であることが好ましい。平均粒子径とは、通常存在する形態としてのカーボンブラックの粒子径を意味する。本発明においては、体積基準の粒子径分布の50%累積値D50(nm)として、動的光散乱方式の粒度分布測定装置などを用いて測定することができる。
なお、有機顔料の物性値としては、一次粒子径や平均粒子径が考慮されうる。有機顔料の一次粒子径は50nm以上150nm以下であることが好ましい。また、有機顔料の平均粒子径は50nm以上250nm以下であることが好ましい。
(アニオン性基)
アニオン性基としては、例えば、−COOM、−SO3M、及び−PO(OM)2などを挙げることができる。インク中におけるアニオン性基は、その一部が解離した状態であっても、全てが解離した状態であってもよい。例えば、−COOMはインク中で−COO-という状態をとりうる。同様に、ホスホン酸基(−PO(OM)2)は、その一部が解離した状態であっても、全てが解離した状態であってもよい。すなわち、−PO3H2(酸型)、−PO3H-M+(一塩基塩)、及び−PO3 2-(M+)2(二塩基塩)のいずれかの形態になりうる。ここで、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、及び有機アンモニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である。Mで表されるアルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどを挙げることができる。また、Mで表される有機アンモニウムとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミンなどの炭素数1以上3以下のアルキルアミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの炭素数1以上4以下のアルカノールアミン類などを挙げることができる。
アニオン性基としては、例えば、−COOM、−SO3M、及び−PO(OM)2などを挙げることができる。インク中におけるアニオン性基は、その一部が解離した状態であっても、全てが解離した状態であってもよい。例えば、−COOMはインク中で−COO-という状態をとりうる。同様に、ホスホン酸基(−PO(OM)2)は、その一部が解離した状態であっても、全てが解離した状態であってもよい。すなわち、−PO3H2(酸型)、−PO3H-M+(一塩基塩)、及び−PO3 2-(M+)2(二塩基塩)のいずれかの形態になりうる。ここで、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、及び有機アンモニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である。Mで表されるアルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどを挙げることができる。また、Mで表される有機アンモニウムとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミンなどの炭素数1以上3以下のアルキルアミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの炭素数1以上4以下のアルカノールアミン類などを挙げることができる。
第2のアニオン性基は、第1のアニオン性基と異なる種類のものであればいずれのアニオン性基を選択しても構わない。但し、前述のメカニズムのように、水が減少した際の多段階での凝集という観点からは、第1のアニオン性基は、カルボキシ基又はスルホン酸基であることが好ましい。また、第2のアニオン性基は、ホスホン酸基又はスルホン酸基であることが好ましい。
(連結基)
第2の官能基に含まれる、顔料の粒子表面に直接結合している連結基は、−C(=O)−NH−、−O−C(=O)−NH−、又は−C(=O)−O−の構造を有する。これらの基は水素結合性を有し、水と相互作用しやすい。このため、これらの基を含む連結基が顔料の粒子表面に直接結合した自己分散顔料を用いた本発明のインクは、優れた固着回復性を有する。また、後述する特定の水溶性有機溶剤を併用すると、特定の水溶性有機溶剤と連結基との強い相互作用が生じ、固着回復性がさらに向上する。連結基は上記の各基以外にもさらに、炭素原子数1乃至12の直鎖又は分岐のアルキレン基;フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基;又は、これらの基を組み合わせた基などを有していてもよい。画像の耐擦過性と固着回復性を両立する観点からは、連結基は−C(=O)−NH−の構造を有することが好ましい。
第2の官能基に含まれる、顔料の粒子表面に直接結合している連結基は、−C(=O)−NH−、−O−C(=O)−NH−、又は−C(=O)−O−の構造を有する。これらの基は水素結合性を有し、水と相互作用しやすい。このため、これらの基を含む連結基が顔料の粒子表面に直接結合した自己分散顔料を用いた本発明のインクは、優れた固着回復性を有する。また、後述する特定の水溶性有機溶剤を併用すると、特定の水溶性有機溶剤と連結基との強い相互作用が生じ、固着回復性がさらに向上する。連結基は上記の各基以外にもさらに、炭素原子数1乃至12の直鎖又は分岐のアルキレン基;フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基;又は、これらの基を組み合わせた基などを有していてもよい。画像の耐擦過性と固着回復性を両立する観点からは、連結基は−C(=O)−NH−の構造を有することが好ましい。
(水性媒体)
本発明のインクには、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。水は、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましく、50.0質量%以上90.0質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明のインクには、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。水は、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましく、50.0質量%以上90.0質量%以下であることがさらに好ましい。
水溶性有機溶剤は、水溶性であれば特に制限はなく、アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、グリコールエーテル、含窒素極性溶媒、含硫黄極性溶媒などを用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、5.0質量%以上90.0質量%以下、さらには10.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。なお、この水溶性有機溶剤の含有量は、必要に応じて含有させうる、後述する水溶性有機溶剤を含む値である。
(−C(=O)−NH−の構造を有する水溶性有機溶剤)
本発明者らは、検討の結果、−C(=O)−NH−の構造を有する水溶性有機溶剤をインクに含有させることが、インクの固着回復性をより高いレベルとするのに有効であるとの知見を得た。このような特定の水溶性有機溶剤の具体例としては、尿素、エチレン尿素、及び2−ピロリドンなどを挙げることができる。なお、常温(25℃)で固体の化合物であっても、水に溶解させて水溶液とした場合には、色材などの成分を溶解又は分散させる溶媒となりうるため、本発明においては特定の水溶性有機溶剤の概念に含めるものとする。
本発明者らは、検討の結果、−C(=O)−NH−の構造を有する水溶性有機溶剤をインクに含有させることが、インクの固着回復性をより高いレベルとするのに有効であるとの知見を得た。このような特定の水溶性有機溶剤の具体例としては、尿素、エチレン尿素、及び2−ピロリドンなどを挙げることができる。なお、常温(25℃)で固体の化合物であっても、水に溶解させて水溶液とした場合には、色材などの成分を溶解又は分散させる溶媒となりうるため、本発明においては特定の水溶性有機溶剤の概念に含めるものとする。
インク中の特定の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以上15.0質量%以下であることがさらに好ましい。また、インク全質量を基準とした、特定の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、自己分散顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.5倍以上5.0倍以下であることが好ましい。特定の水溶性有機溶剤は、顔料の粒子表面に結合した連結基と強く水素結合する。このため、水などの揮発成分が蒸発した際にも、特定の水溶性有機溶剤は自己分散顔料の近傍に存在することができるので、インクの固着回復性をより向上させることができる。
特定の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、自己分散顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で0.5倍未満であると、自己分散顔料の近傍に存在する特定の水溶性有機溶剤の量が減少してしまう。このため、インクの固着回復性をより向上させることが困難になる場合がある。一方、上記の質量比率が5.0倍超であると、記録媒体において自己分散顔料の近傍に存在する特定の水溶性有機溶剤の量が増加してしまう。このため、自己分散顔料の凝集を阻害する作用が強くなり、画像の耐擦過性が低下する場合がある。
(その他の添加剤)
本発明のインクは、上記した成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類などの、常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。さらに、本発明のインクは、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び水溶性樹脂など、種々の添加剤を含有してもよい。
本発明のインクは、上記した成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類などの、常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。さらに、本発明のインクは、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び水溶性樹脂など、種々の添加剤を含有してもよい。
(インクの物性)
本発明のインクはインクジェット方式に用いるものであるため、インクジェット方式に適した物性値を有することが好ましい。具体的には、25℃におけるインクの表面張力は、10mN/m以上60mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以上60mN/m以下であることがさらに好ましく、30mN/m以上40mN/m以下であることが特に好ましい。また、25℃におけるインクの粘度は、1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることが好ましく、1.0mPa・s以上3.0mPa・s以下であることがさらに好ましい。また、25℃におけるインクのpHは、5.0以上9.0以下であることが好ましい。
本発明のインクはインクジェット方式に用いるものであるため、インクジェット方式に適した物性値を有することが好ましい。具体的には、25℃におけるインクの表面張力は、10mN/m以上60mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以上60mN/m以下であることがさらに好ましく、30mN/m以上40mN/m以下であることが特に好ましい。また、25℃におけるインクの粘度は、1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることが好ましく、1.0mPa・s以上3.0mPa・s以下であることがさらに好ましい。また、25℃におけるインクのpHは、5.0以上9.0以下であることが好ましい。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
図2は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<官能基導入量の測定方法>
自己分散顔料の官能基導入量を測定する方法について説明する。先ず、NMRにより常法にしたがって官能基の構造を特定した。次いで、コロイド滴定法により、顔料分散液中の自己分散顔料の第1の官能基及び第2の官能基に含まれるアニオン性基の合計量を測定した。具体的には、流動電位滴定ユニット(PCD−500)を搭載した電位差自動滴定装置(商品名「AT−510」、京都電子工業製)を使用し、滴定試薬としてメチルグリコールキトサンを用いた電位差滴定により測定した。なお、適切な方法によりインクから抽出した顔料を用いてアニオン性基の量を測定することも勿論可能である。
自己分散顔料の官能基導入量を測定する方法について説明する。先ず、NMRにより常法にしたがって官能基の構造を特定した。次いで、コロイド滴定法により、顔料分散液中の自己分散顔料の第1の官能基及び第2の官能基に含まれるアニオン性基の合計量を測定した。具体的には、流動電位滴定ユニット(PCD−500)を搭載した電位差自動滴定装置(商品名「AT−510」、京都電子工業製)を使用し、滴定試薬としてメチルグリコールキトサンを用いた電位差滴定により測定した。なお、適切な方法によりインクから抽出した顔料を用いてアニオン性基の量を測定することも勿論可能である。
さらに、アニオン性基のうちのホスホン酸基及びスルホン酸基の量については、ICP発光分光分析装置を用いて以下のようにして測定した。測定対象である顔料の含有量が0.03%程度になるように顔料分散液を純水で希釈してA液を調製した。また、5℃、80,000rpm、15時間の条件で顔料分散液を超遠心分離し、自己分散顔料が除去された上澄みの液体を採取した。採取した上澄みの液体を純水で80倍程度に希釈してB液を調製した。調製したA液及びB液について、ICP発光分光分析装置(商品名「SPS5100」、SIIナノテクノロジー製)を用いてリンや硫黄を定量した。そして、A液及びB液のリン量や硫黄量の差分から、ホスホン酸基及びスルホン酸基の量を算出した。また、アニオン性基のうちのカルボン酸基の量については、コロイド滴定法により測定したアニオン性基の合計量と、ICP発光分光分析装置を用いて測定したホスホン酸基とスルホン酸基の量との差分から算出した。すなわち、「カルボン酸基の量」=「アニオン性基の合計量」−(「ホスホン酸基の量」+「スルホン酸基の量」)とした。そして、1つの官能基に含まれるアニオン性基の数をもとに、各官能基の導入量を求めた。
<顔料の前処理>
(液体1〜6の調製)
カーボンブラック(商品名「NIPEX170IQ」、オリオンエンジニアドカーボンズ製)10.0g、表1に示す量(g)の次亜塩素酸ナトリウム、及びイオン交換水200.0gを混合し、105℃の条件下、表1に示す撹拌時間で撹拌して混合物を得た。得られた混合物を冷却し、遠心分離処理して固形分を得た。得られた固形分に純水1,000gを加えて1時間撹拌した後、限外ろ過処理して精製した。純水で希釈して、酸化された顔料の含有量が10.0%である液体1〜6を得た。
(液体1〜6の調製)
カーボンブラック(商品名「NIPEX170IQ」、オリオンエンジニアドカーボンズ製)10.0g、表1に示す量(g)の次亜塩素酸ナトリウム、及びイオン交換水200.0gを混合し、105℃の条件下、表1に示す撹拌時間で撹拌して混合物を得た。得られた混合物を冷却し、遠心分離処理して固形分を得た。得られた固形分に純水1,000gを加えて1時間撹拌した後、限外ろ過処理して精製した。純水で希釈して、酸化された顔料の含有量が10.0%である液体1〜6を得た。
(液体7の調製)
カーボンブラックとして、オリオンエンジニアドカーボンズ製の商品名「NIPEX170IQ」を用いたこと以外は、特許文献1の「実施例4」に記載の方法により、酸化及びスルホン酸化された顔料を10.0%含有する液体7を得た。
カーボンブラックとして、オリオンエンジニアドカーボンズ製の商品名「NIPEX170IQ」を用いたこと以外は、特許文献1の「実施例4」に記載の方法により、酸化及びスルホン酸化された顔料を10.0%含有する液体7を得た。
<自己分散顔料の調製>
(顔料分散液1〜11)
表2に示す種類(番号)の液体80.0g、脱水縮合剤(4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド)1.5g、及び表2に示す使用量(g)の処理剤(アミノメチレンビスホスホン酸)を用意した。これらを、0.2mmのジルコニアビーズ50mLとともに200mLのベッセルに充填した。室温条件下、周速6m/秒で6時間撹拌し、混合物を得た。得られた混合物を限外ろ過により精製した後、純水で希釈して、顔料の含有量が6.0%である顔料分散液1〜11を得た。得られた顔料分散液1〜11中の各自己分散顔料における第1の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合したカルボキシ基である。また、第2の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合した「−C(=O)−NH−CH−基」(連結基)と、この連結基に結合したホスホン酸基とで構成されている。各官能基の導入量、及び第2の官能基の導入量B(mmol/g)に対する第1の官能基の導入量A(mmol/g)の比の値(A/B)を表2に示す。
(顔料分散液1〜11)
表2に示す種類(番号)の液体80.0g、脱水縮合剤(4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド)1.5g、及び表2に示す使用量(g)の処理剤(アミノメチレンビスホスホン酸)を用意した。これらを、0.2mmのジルコニアビーズ50mLとともに200mLのベッセルに充填した。室温条件下、周速6m/秒で6時間撹拌し、混合物を得た。得られた混合物を限外ろ過により精製した後、純水で希釈して、顔料の含有量が6.0%である顔料分散液1〜11を得た。得られた顔料分散液1〜11中の各自己分散顔料における第1の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合したカルボキシ基である。また、第2の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合した「−C(=O)−NH−CH−基」(連結基)と、この連結基に結合したホスホン酸基とで構成されている。各官能基の導入量、及び第2の官能基の導入量B(mmol/g)に対する第1の官能基の導入量A(mmol/g)の比の値(A/B)を表2に示す。
(顔料分散液12)
80.0gの液体2を乾燥させた後、メチルエチルケトン40.0g、及びトルエンジイソシアネート2.0gと混合して50℃で24時間撹拌した。ヒドロキシエチレンビスホスホン酸8.0gを加え、さらに5時間撹拌して混合物を得た。得られた混合物を限外ろ過により精製した後、純水で希釈して、顔料の含有量が6.0%である顔料分散液1〜12を得た。得られた顔料分散液12中の自己分散顔料における第1の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合したカルボキシ基である。また、第2の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合した「−O−C(=O)−NH−CH2−CH−基」(連結基)と、この連結基に結合した2つのホスホン酸基とで構成されている。第1の官能基の導入量Aは0.35mmol/g、第2の官能基の導入量Bは0.30mmol/g、A/Bは1.2であった。
80.0gの液体2を乾燥させた後、メチルエチルケトン40.0g、及びトルエンジイソシアネート2.0gと混合して50℃で24時間撹拌した。ヒドロキシエチレンビスホスホン酸8.0gを加え、さらに5時間撹拌して混合物を得た。得られた混合物を限外ろ過により精製した後、純水で希釈して、顔料の含有量が6.0%である顔料分散液1〜12を得た。得られた顔料分散液12中の自己分散顔料における第1の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合したカルボキシ基である。また、第2の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合した「−O−C(=O)−NH−CH2−CH−基」(連結基)と、この連結基に結合した2つのホスホン酸基とで構成されている。第1の官能基の導入量Aは0.35mmol/g、第2の官能基の導入量Bは0.30mmol/g、A/Bは1.2であった。
(顔料分散液13)
80.0gの液体2を乾燥させた後、アセトニトリル80.0g、脱水縮合剤(4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド)1.5g、及びヒドロキシエチレンビスホスホン酸8.0gと混合した。0.2mmのジルコニアビーズ50mLとともに200mLのベッセルに充填し、室温条件下、周速6m/秒で6時間撹拌して混合物を得た。得られた混合物を限外ろ過により精製した後、純水で希釈して、顔料の含有量が6.0%である顔料分散液13を得た。得られた顔料分散液13中の自己分散顔料における第1の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合したカルボキシ基である。また、第2の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合した「−C(=O)−O−CH2−CH−基」(連結基)と、この連結基に結合した2つのホスホン酸基とで構成されている。第1の官能基の導入量Aは0.38mmol/g、第2の官能基の導入量Bは0.25mmol/g、A/Bは1.5であった。
80.0gの液体2を乾燥させた後、アセトニトリル80.0g、脱水縮合剤(4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド)1.5g、及びヒドロキシエチレンビスホスホン酸8.0gと混合した。0.2mmのジルコニアビーズ50mLとともに200mLのベッセルに充填し、室温条件下、周速6m/秒で6時間撹拌して混合物を得た。得られた混合物を限外ろ過により精製した後、純水で希釈して、顔料の含有量が6.0%である顔料分散液13を得た。得られた顔料分散液13中の自己分散顔料における第1の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合したカルボキシ基である。また、第2の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合した「−C(=O)−O−CH2−CH−基」(連結基)と、この連結基に結合した2つのホスホン酸基とで構成されている。第1の官能基の導入量Aは0.38mmol/g、第2の官能基の導入量Bは0.25mmol/g、A/Bは1.5であった。
(顔料分散液14)
液体7を80.0g、脱水縮合剤(4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド)1.5g、及びアミノメチレンビスホスホン酸7.0gを用意した。これを0.2mmのジルコニアビーズ50mLとともに200mLのベッセルに充填し、室温条件下、周速6m/秒で6時間撹拌して混合物を得た。得られた混合物を限外ろ過により精製し、純水で希釈して、顔料の含有量が6.0%である顔料分散液14を得た。得られた顔料分散液14中の自己分散顔料における第1の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合したスルホン酸基である。また、第2の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合した「−C(=O)−NH−CH−基」(連結基)と、この連結基に結合した2つのホスホン酸基とで構成されている。第1の官能基の導入量Aは0.35mmol/g、第2の官能基の導入量Bは0.30mmol/g、A/Bは1.2であった。
液体7を80.0g、脱水縮合剤(4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド)1.5g、及びアミノメチレンビスホスホン酸7.0gを用意した。これを0.2mmのジルコニアビーズ50mLとともに200mLのベッセルに充填し、室温条件下、周速6m/秒で6時間撹拌して混合物を得た。得られた混合物を限外ろ過により精製し、純水で希釈して、顔料の含有量が6.0%である顔料分散液14を得た。得られた顔料分散液14中の自己分散顔料における第1の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合したスルホン酸基である。また、第2の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合した「−C(=O)−NH−CH−基」(連結基)と、この連結基に結合した2つのホスホン酸基とで構成されている。第1の官能基の導入量Aは0.35mmol/g、第2の官能基の導入量Bは0.30mmol/g、A/Bは1.2であった。
(顔料分散液15)
液体1を80.0g、脱水縮合剤(4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド)1.5g、2−アミノエタンスルホン酸5.0gを用意した。これを0.2mmのジルコニアビーズ50mLとともに200mLのベッセルに充填し、室温条件下、周速6m/秒で6時間撹拌して混合物を得た。得られた混合物を限外ろ過により精製し、純水で希釈して、顔料の含有量が6.0%である顔料分散液15を得た。得られた顔料分散液15中の自己分散顔料における第1の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合したカルボキシ基である。また、第2の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合した「−C(=O)−NH−CH2−CH2−基」(連結基)と、この連結基に結合したスルホン酸基とで構成されている。第1の官能基の導入量Aは0.64mmol/g、第2の官能基の導入量Bは0.36mmol/g、A/Bは1.8であった。
液体1を80.0g、脱水縮合剤(4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド)1.5g、2−アミノエタンスルホン酸5.0gを用意した。これを0.2mmのジルコニアビーズ50mLとともに200mLのベッセルに充填し、室温条件下、周速6m/秒で6時間撹拌して混合物を得た。得られた混合物を限外ろ過により精製し、純水で希釈して、顔料の含有量が6.0%である顔料分散液15を得た。得られた顔料分散液15中の自己分散顔料における第1の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合したカルボキシ基である。また、第2の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合した「−C(=O)−NH−CH2−CH2−基」(連結基)と、この連結基に結合したスルホン酸基とで構成されている。第1の官能基の導入量Aは0.64mmol/g、第2の官能基の導入量Bは0.36mmol/g、A/Bは1.8であった。
(顔料分散液16)
液体7を80.0g、脱水縮合剤(4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド)1.5g、グリシン8.0gを用意した。これを0.2mmのジルコニアビーズ50mLとともに200mLのベッセルに充填し、室温条件下、周速6m/秒で6時間撹拌して混合物を得た。得られた混合物を限外ろ過により精製し、純水で希釈して、顔料の含有量が6.0%である顔料分散液16を得た。得られた顔料分散液16中の自己分散顔料における第1の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合したスルホン酸基である。また、第2の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合した「−C(=O)−NH−CH2−基」(連結基)と、この連結基に結合したカルボキシ基とで構成されている。第1の官能基の導入量Aは0.64mmol/g、第2の官能基の導入量Bは0.36mmol/g、A/Bは1.8であった。
液体7を80.0g、脱水縮合剤(4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド)1.5g、グリシン8.0gを用意した。これを0.2mmのジルコニアビーズ50mLとともに200mLのベッセルに充填し、室温条件下、周速6m/秒で6時間撹拌して混合物を得た。得られた混合物を限外ろ過により精製し、純水で希釈して、顔料の含有量が6.0%である顔料分散液16を得た。得られた顔料分散液16中の自己分散顔料における第1の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合したスルホン酸基である。また、第2の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合した「−C(=O)−NH−CH2−基」(連結基)と、この連結基に結合したカルボキシ基とで構成されている。第1の官能基の導入量Aは0.64mmol/g、第2の官能基の導入量Bは0.36mmol/g、A/Bは1.8であった。
(顔料分散液17)
カーボンブラック(商品名「NIPEX170IQ」、オリオンエンジニアドカーボンズ製)を用意した。このカーボンブラック20.0g、((4−アミノベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸2.2mmol、p−アミノ安息香酸8.9mmol、硝酸11.1mmol、純水200.0gを混合した。室温条件下で30分撹拌した後、少量の水で溶解した亜硝酸カリウム11.1mmol/gをゆっくりと添加した後、1時間反応させて、反応物を含む液体を得た。得られた液体を限外ろ過により精製した後、純水で希釈して、顔料の含有量が6.0%である顔料分散液17を得た。得られた顔料分散液17中の自己分散顔料における第1の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合したフェニレン基(連結基)と、この連結基に結合したカルボキシ基とで構成されている。また、第2の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合した「−C6H4−C(=O)−NH−CH−基」(連結基)と、この連結基に結合した2つのホスホン酸基とで構成されている。第1の官能基の導入量Aは0.29mmol/g、第2の官能基の導入量Bは0.24mmol/g、A/Bは1.2であった。
カーボンブラック(商品名「NIPEX170IQ」、オリオンエンジニアドカーボンズ製)を用意した。このカーボンブラック20.0g、((4−アミノベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸2.2mmol、p−アミノ安息香酸8.9mmol、硝酸11.1mmol、純水200.0gを混合した。室温条件下で30分撹拌した後、少量の水で溶解した亜硝酸カリウム11.1mmol/gをゆっくりと添加した後、1時間反応させて、反応物を含む液体を得た。得られた液体を限外ろ過により精製した後、純水で希釈して、顔料の含有量が6.0%である顔料分散液17を得た。得られた顔料分散液17中の自己分散顔料における第1の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合したフェニレン基(連結基)と、この連結基に結合したカルボキシ基とで構成されている。また、第2の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合した「−C6H4−C(=O)−NH−CH−基」(連結基)と、この連結基に結合した2つのホスホン酸基とで構成されている。第1の官能基の導入量Aは0.29mmol/g、第2の官能基の導入量Bは0.24mmol/g、A/Bは1.2であった。
(顔料分散液18)
顔料としてカーボンブラック(商品名「NIPEX170IQ」、オリオンエンジニアドカーボンズ製)を用いたこと以外は、特許文献3の「自己分散型顔料分散液1」の記載内容に準じて分散液を得た。得られた分散液を限外ろ過により精製した後、純水で希釈して、顔料の含有量が6.0%である顔料分散液18を得た。得られた顔料分散液18中の自己分散顔料における第1の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合したカルボキシ基である。また、第2の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合した「−C(=O)−NH−基」(連結基)と、この連結基に結合したカルボキシ基とで構成されている。第1の官能基の導入量Aは0.32mmol/g、第2の官能基の導入量Bは0.29mmol/g、A/Bは1.1であった。
顔料としてカーボンブラック(商品名「NIPEX170IQ」、オリオンエンジニアドカーボンズ製)を用いたこと以外は、特許文献3の「自己分散型顔料分散液1」の記載内容に準じて分散液を得た。得られた分散液を限外ろ過により精製した後、純水で希釈して、顔料の含有量が6.0%である顔料分散液18を得た。得られた顔料分散液18中の自己分散顔料における第1の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合したカルボキシ基である。また、第2の官能基は、顔料の粒子表面に直接結合した「−C(=O)−NH−基」(連結基)と、この連結基に結合したカルボキシ基とで構成されている。第1の官能基の導入量Aは0.32mmol/g、第2の官能基の導入量Bは0.29mmol/g、A/Bは1.1であった。
(顔料分散液19)
カーボンブラック(商品名「NIPEX170IQ」、オリオンエンジニアドカーボンズ製)20.0g、4−アミノフタル酸5.0g、硝酸カリウム10.0g、及びイオン交換水100.0gを用意した。これらを0.2mmのジルコニアビーズ50mLとともに200mLのベッセルに充填し、室温条件下で2時間撹拌して混合物を得た。得られた混合物を限外ろ過により精製し、純水で希釈して、顔料の含有量が6.0%である顔料分散液19を得た。得られた顔料分散液19中の自己分散顔料における官能基は、顔料の粒子表面に直接結合した「−C6H3−基」(連結基)と、この連結基に結合した2つのカルボキシ基とで構成されている。官能基の導入量は、0.40mmol/gであった。
カーボンブラック(商品名「NIPEX170IQ」、オリオンエンジニアドカーボンズ製)20.0g、4−アミノフタル酸5.0g、硝酸カリウム10.0g、及びイオン交換水100.0gを用意した。これらを0.2mmのジルコニアビーズ50mLとともに200mLのベッセルに充填し、室温条件下で2時間撹拌して混合物を得た。得られた混合物を限外ろ過により精製し、純水で希釈して、顔料の含有量が6.0%である顔料分散液19を得た。得られた顔料分散液19中の自己分散顔料における官能基は、顔料の粒子表面に直接結合した「−C6H3−基」(連結基)と、この連結基に結合した2つのカルボキシ基とで構成されている。官能基の導入量は、0.40mmol/gであった。
(顔料分散液20)
顔料としてカーボンブラック(商品名「NIPEX170IQ」、オリオンエンジニアドカーボンズ製)を用いたこと以外は、特表2012−528917号公報の「実施例31」の記載内容に準じて分散液を得た。得られた分散液を限外ろ過により精製した後、純水で希釈して、顔料の含有量が6.0%である顔料分散液20を得た。得られた顔料分散液20中の自己分散顔料における官能基は、顔料の粒子表面に直接結合した「−C6H3−基」(連結基)と、この連結基に結合した2つのカルボキシ基とで構成されている。官能基の導入量は、0.29mmol/gであった。
顔料としてカーボンブラック(商品名「NIPEX170IQ」、オリオンエンジニアドカーボンズ製)を用いたこと以外は、特表2012−528917号公報の「実施例31」の記載内容に準じて分散液を得た。得られた分散液を限外ろ過により精製した後、純水で希釈して、顔料の含有量が6.0%である顔料分散液20を得た。得られた顔料分散液20中の自己分散顔料における官能基は、顔料の粒子表面に直接結合した「−C6H3−基」(連結基)と、この連結基に結合した2つのカルボキシ基とで構成されている。官能基の導入量は、0.29mmol/gであった。
(顔料分散液21)
液体7を純水で希釈して、顔料の含有量が6.0%である顔料分散液21を得た。
得られた顔料分散液20中の自己分散顔料における官能基は、顔料の粒子表面にそれぞれ直接結合したカルボキシ基とスルホン酸基である。カルボキシ基の導入量は0.25mmol/g、スルホン酸基の導入量は0.30mmol/g、カルボキシ基の導入量/スルホン酸基の導入量の比率は1.2であった。
液体7を純水で希釈して、顔料の含有量が6.0%である顔料分散液21を得た。
得られた顔料分散液20中の自己分散顔料における官能基は、顔料の粒子表面にそれぞれ直接結合したカルボキシ基とスルホン酸基である。カルボキシ基の導入量は0.25mmol/g、スルホン酸基の導入量は0.30mmol/g、カルボキシ基の導入量/スルホン酸基の導入量の比率は1.2であった。
(顔料分散液22)
特許文献4の「Black Ink2A2」において使用されている「Bonjet CW−2」(オリエント製)と「Cab−o−jet300」(キャボット製)を等量ずつ混合した。純水で希釈することで、顔料の含有量が6.0%(各自己分散顔料の含有量が3.0%)である顔料分散液22を得た。なお、「Bonjet CW−2」は、顔料の粒子表面にカルボキシ基が結合している自己分散顔料であり、官能基の導入量は、0.23mmol/gであった。また、「Cab−o−jet300」は、顔料の粒子表面に「−C6H4−基」を介してカルボキシ基が結合している自己分散顔料であり、官能基の導入量は、0.15mmol/gであった。
特許文献4の「Black Ink2A2」において使用されている「Bonjet CW−2」(オリエント製)と「Cab−o−jet300」(キャボット製)を等量ずつ混合した。純水で希釈することで、顔料の含有量が6.0%(各自己分散顔料の含有量が3.0%)である顔料分散液22を得た。なお、「Bonjet CW−2」は、顔料の粒子表面にカルボキシ基が結合している自己分散顔料であり、官能基の導入量は、0.23mmol/gであった。また、「Cab−o−jet300」は、顔料の粒子表面に「−C6H4−基」を介してカルボキシ基が結合している自己分散顔料であり、官能基の導入量は、0.15mmol/gであった。
<インクの調製>
表3−1〜3−3の中段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ1.2μmのメンブレンフィルター(商品名「HDCIIフィルター」、ポール製)にて加圧ろ過して各インクを調製した。なお、表3−1〜3−3中の「アセチレノールE100」は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤(アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物)である。表3−1〜3−3の下段には、−C(=O)−NH−で表される構造を含む水溶性有機溶剤の含有量(「特定溶剤の含有量X(%)」と表記)、自己分散顔料の含有量Y(%)、及びX/Yの質量比率(倍)を示した。
表3−1〜3−3の中段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ1.2μmのメンブレンフィルター(商品名「HDCIIフィルター」、ポール製)にて加圧ろ過して各インクを調製した。なお、表3−1〜3−3中の「アセチレノールE100」は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤(アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物)である。表3−1〜3−3の下段には、−C(=O)−NH−で表される構造を含む水溶性有機溶剤の含有量(「特定溶剤の含有量X(%)」と表記)、自己分散顔料の含有量Y(%)、及びX/Yの質量比率(倍)を示した。
<評価>
調製したインクをインクカートリッジにそれぞれ充填し、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名「PIXUS iP4830」、キヤノン製)に搭載した。本実施例においては、1/600インチ×1/600インチの単位領域に1滴当たりの質量が30ng±10%であるインク滴を1滴付与して記録したベタ画像を「記録デューティが100%である」と定義する。本発明においては、下記の各項目の評価基準で、「A」及び「B」を許容できるレベルとし、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表4に示す。
調製したインクをインクカートリッジにそれぞれ充填し、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名「PIXUS iP4830」、キヤノン製)に搭載した。本実施例においては、1/600インチ×1/600インチの単位領域に1滴当たりの質量が30ng±10%であるインク滴を1滴付与して記録したベタ画像を「記録デューティが100%である」と定義する。本発明においては、下記の各項目の評価基準で、「A」及び「B」を許容できるレベルとし、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表4に示す。
(耐擦過性)
上記のインクジェット記録装置を用いて、3種の記録媒体(普通紙)に、記録デューティが100%であるベタ画像(0.5インチ×0.5インチ)を記録した。記録媒体としては、商品名「PB PAPER GF−500」(キヤノン製)、商品名「SW−101」(キヤノン製)、及び商品名「Bright White Inkjet Paper」(ヒューレットパッカード製)を用いた。記録してから10分後、得られたベタ画像の上にシルボン紙及び面圧40g/cm2の分銅を置き、シルボン紙を引っ張ることで、ベタ画像とシルボン紙を一定方向に擦り合わせる手順を20回繰り返した。その後、シルボン紙及び分銅を取り除き、ベタ画像から非記録部分へと転写された汚れの長さを目視で観察して、以下に示す評価基準にしたがって耐擦過性を評価した。
A:3種の記録媒体のいずれにおいても、長さ1cm以上の汚れはなかった。
B:少なくとも1種の記録媒体において、長さ1cm以上3cm未満の汚れがあった。
C:少なくとも1種の記録媒体において、長さ3cm以上の汚れがあった。
上記のインクジェット記録装置を用いて、3種の記録媒体(普通紙)に、記録デューティが100%であるベタ画像(0.5インチ×0.5インチ)を記録した。記録媒体としては、商品名「PB PAPER GF−500」(キヤノン製)、商品名「SW−101」(キヤノン製)、及び商品名「Bright White Inkjet Paper」(ヒューレットパッカード製)を用いた。記録してから10分後、得られたベタ画像の上にシルボン紙及び面圧40g/cm2の分銅を置き、シルボン紙を引っ張ることで、ベタ画像とシルボン紙を一定方向に擦り合わせる手順を20回繰り返した。その後、シルボン紙及び分銅を取り除き、ベタ画像から非記録部分へと転写された汚れの長さを目視で観察して、以下に示す評価基準にしたがって耐擦過性を評価した。
A:3種の記録媒体のいずれにおいても、長さ1cm以上の汚れはなかった。
B:少なくとも1種の記録媒体において、長さ1cm以上3cm未満の汚れがあった。
C:少なくとも1種の記録媒体において、長さ3cm以上の汚れがあった。
(固着回復性)
上記のインクジェット記録装置を用いてノズルチェックパターンを記録し、記録ヘッドの各吐出口からインクが正常に吐出されているのを確認した後、記録装置からヘッドカートリッジを取り外した。そして、ヘッドカートリッジにインクカートリッジが装着されたままの状態(インクカートリッジのインク供給口と記録ヘッドが連通した状態)のものを、温度30℃、相対湿度10%の環境下に1週間放置した。放置後のヘッドカートリッジを上記の記録装置に再び装着してノズルチェックパターンを再び記録した。ノズルチェックパターンが正常に記録されず、目詰まりが発生していた場合には、クリーニング操作を行った後、再びノズルチェックパターンを記録した。それでもなお目詰まりが発生していた場合には、クリーニング操作とノズルチェックパターンの記録を繰り返した。このようにして、ノズルチェックパターンを正常に記録することができるようなるまでに要したクリーニングの回数により、以下に示す評価基準にしたがって固着回復性を評価した。
A:1回又は2回のクリーニングで、ノズルチェックパターンが正常に記録された。
B:3回又は4回のクリーニングで、ノズルチェックパターンが正常に記録された。
C:ノズルチェックパターンが正常に記録されるまでに、5回以上のクリーニングを要した。
上記のインクジェット記録装置を用いてノズルチェックパターンを記録し、記録ヘッドの各吐出口からインクが正常に吐出されているのを確認した後、記録装置からヘッドカートリッジを取り外した。そして、ヘッドカートリッジにインクカートリッジが装着されたままの状態(インクカートリッジのインク供給口と記録ヘッドが連通した状態)のものを、温度30℃、相対湿度10%の環境下に1週間放置した。放置後のヘッドカートリッジを上記の記録装置に再び装着してノズルチェックパターンを再び記録した。ノズルチェックパターンが正常に記録されず、目詰まりが発生していた場合には、クリーニング操作を行った後、再びノズルチェックパターンを記録した。それでもなお目詰まりが発生していた場合には、クリーニング操作とノズルチェックパターンの記録を繰り返した。このようにして、ノズルチェックパターンを正常に記録することができるようなるまでに要したクリーニングの回数により、以下に示す評価基準にしたがって固着回復性を評価した。
A:1回又は2回のクリーニングで、ノズルチェックパターンが正常に記録された。
B:3回又は4回のクリーニングで、ノズルチェックパターンが正常に記録された。
C:ノズルチェックパターンが正常に記録されるまでに、5回以上のクリーニングを要した。
Claims (8)
- 第1のアニオン性基である第1の官能基と、前記第1のアニオン性基と異なる種類の第2のアニオン性基を含む第2の官能基とが顔料の粒子表面に結合した自己分散顔料を含有するインクジェット用の水性インクであって、
前記第1の官能基は、前記顔料の粒子表面に直接結合しており、
前記第2の官能基は、前記顔料の粒子表面に直接結合した連結基と、前記連結基に結合した前記第2のアニオン性基とを含み、
前記連結基は、−C(=O)−NH−、−O−C(=O)−NH−、又は−C(=O)−O−の構造を有し、
前記第2の官能基の導入量が、0.22mmol/g以上0.60mmol/g以下であり、
前記第1の官能基の導入量(mmol/g)が、前記第2の官能基の導入量(mmol/g)に対する比率で、1.0倍以上2.0倍以下であることを特徴とする水性インク。 - 前記第1の官能基の導入量(mmol/g)が、前記第2の官能基の導入量(mmol/g)に対する比率で、1.2倍以上1.8倍以下である請求項1に記載の水性インク。
- 前記第1のアニオン性基がカルボキシ基又はスルホン酸基であり、前記第2のアニオン性基がホスホン酸基又はスルホン酸基である請求項1又は2に記載の水性インク。
- 前記連結基が、−C(=O)−NH−の構造を有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水性インク。
- さらに、−C(=O)−NH−の構造を有する水溶性有機溶剤を含有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水性インク。
- インク全質量を基準とした、前記水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、前記自己分散顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.5倍以上5.0倍以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水性インク。
- インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
前記インクが、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。 - インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクが、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014133776A JP2016011371A (ja) | 2014-06-30 | 2014-06-30 | 水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2016011371A true JP2016011371A (ja) | 2016-01-21 |
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ID=55228295
Family Applications (1)
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JP2014133776A Pending JP2016011371A (ja) | 2014-06-30 | 2014-06-30 | 水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2016011371A (ja) |
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2014
- 2014-06-30 JP JP2014133776A patent/JP2016011371A/ja active Pending
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