JP2016010858A - 紙容器用包装材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このような紙容器としては、外面熱可塑性樹脂層、紙基材層および内面熱可塑性樹脂層を有する紙容器用包装材料を、図4に示されるゲーブルトップ型や、図5に示されるフラットトップ型等の種々の形状に製函してなるものが用いられている。
しかしながら、紙基材はある程度の厚さや剛性を持つため、これを用いる紙容器は一般的に、接合部分に生じる空隙や、折り曲げに対する紙の反発力等により、密封性が損なわれ易い。例えば、ゲーブルトップ型紙容器の場合は、その上部、底部および胴部の接合部、特に上部接合部において、確実な密封性を得ることは困難とされていた。
したがって、製函時のシール温度を低く設定しても、高い接着強度および密封性が得られる紙容器用包装材料が求められている。
(1)少なくとも、外面熱可塑性樹脂層、紙基材層、および内面熱可塑性樹脂層の順に積層された紙容器用包装材料の製造方法であって、該内面熱可塑性樹脂層は、紙基材層に近い層から順に、貼合層、1層またはそれ以上の中間層、および接液層からなる3層またはそれ以上の多層構造を有し、貼合層は低密度ポリエチレンからなり、接液層は線状低密度ポリエチレンからなり、中間層は、接液層を形成する線状低密度ポリエチレンと密度が同等以上のポリエチレンからなり、該貼合層の厚みは、該内面熱可塑性樹脂層の厚みの半分以下であり、該内面熱可塑性樹脂層を、共押出コーティング法により積層することを特徴とする、上記製造方法。
(2)前記中間層を形成するポリエチレンが、線状低密度ポリエチレンであることを特徴とする、上記(1)に記載の紙容器用包装材料の製造方法。
(3)前記内面熱可塑性樹脂層が、紙基材層に近い層から順に、貼合層、中間層および接液層を積層した3層構造を有することを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の紙容器用包装材料の製造方法。
(4)紙基材層と内面熱可塑性樹脂層との間にバリア層を積層したことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の紙容器用包装材料の製造方法。
この多層構造において、紙基材層に最も近い場所に位置する貼合層は低密度ポリエチレンからなり、紙基材層から最も離れた場所に位置する層、すなわち、紙容器の最内層となる接液層は線状低密度ポリエチレンからなり、中間層は、該接液層を形成する線状低密度ポリエチレンと密度が同等以上のポリエチレンからなり、該貼合層の厚みは、該内面熱可塑性樹脂層の厚みの半分以下である。
また、貼合層は低密度ポリエチレンからなるため、シール時に好適な低粘性を示し、紙容器の接合部分の段差部やセンターシール部に流れ込んでその空隙を埋めて、容器の密封性を高め、内容物の漏れを防ぐことができる。
またさらに、本発明の製造方法によれば、3層またはそれ以上の多層構造からなる内面熱可塑性樹脂層を一度に形成することができるため、包装材料の生産性に優れる。
<1>本発明の製造方法により製造される紙容器用包装材料の層構成および紙容器の形状
図1〜2は、本発明の製造方法により製造される紙容器用包装材料の層構成の一例を示す概略的断面図である。
本発明の製造方法により製造される紙容器用包装材料は、図1に示すように、外面熱可塑性樹脂層(1)、紙基材層(2)および内面熱可塑性樹脂層(3)を基本の構成とする。ここで、内面熱可塑性樹脂層(3)は、3層またはそれ以上の多層構造を有し、少なくとも、紙基材層に最も近い場所に位置する層(貼合層)(3a)、中間層(3b)、および、紙基材層から最も離れた場所に位置する層(接液層)(3c)を有する。外面熱可塑性樹脂層(1)は、紙容器の外面を形成し、内面熱可塑性樹脂層(3)の接液層(3c)は、紙容器の最内層となる。外面熱可塑性樹脂層(1)と紙基材層(2)との間に、印刷層等を任意に設けることができる。また、外面熱可塑性樹脂層(1)のさらに表面に印刷層を設けることもできる。
紙容器の一態様として、ゲーブルトップ型紙容器を例に、その接合部分の段差部やセンターシール部における密封性について説明する。
72)を備えていてもよい。
本発明において、外面熱可塑性樹脂層は、紙基材層の一方の面に積層され、内面熱可塑性樹脂層の接液層との接着性を有する任意の熱可塑性樹脂からなってよい。
このような熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の樹脂を、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。接液層を形成する線状低密度ポリエチレンと特に良好な接着性を示すことから、低密度ポリエチレン、または線状低密度ポリエチレンを用いることが特に好ましい。
本発明において、紙基材層としては、適用する紙容器の用途に応じて、種々の賦型性、耐屈曲性、剛性、腰、強度等を有する任意の紙を使用することができ、例えば、主強度材であり、強サイズ性の晒または未晒の紙、あるいは、純白ロール紙、クラフト紙、板紙、加工紙、ミルク原紙等の各種の紙を使用することができる。紙基材層は、これらの紙を複数層重ねてラミネートしたものであってもよい。任意の厚さのものを使用することができるが、例えば、坪量80〜600g/m2、好ましくは坪量100〜500g/m2であり、厚さ110〜860μm、好ましくは140〜640μmの範囲である。なお、紙基材には、例えば、文字、図形、記号、その他の所望の絵柄を通常の印刷方式にて任意に形成することができる。
本発明において、内面熱可塑性樹脂層は、3層以上の熱可塑性樹脂からなる多層構造を有し、この多層構造において、中間層を形成する熱可塑性樹脂の密度が、接液層を形成する熱可塑性樹脂の密度と同等以上であり、該貼合層の厚みは、該内面熱可塑性樹脂層の厚みの半分以下である。
また、貼合層を形成する低密度ポリエチレンは、シール時に、紙容器の接合部分の段差部やセンターシール部に流れ込んでその空隙を埋めることにより、容器の密封性を高め、内容物の漏れを防ぐ。
性樹脂層は、100μm以下で十分な接着強度を示すため、成形性に優れる。
アンカーコート剤を用いる場合は、ウレタン系接着剤等を使用することができ、その塗布量は0.01〜1.0g/m2程度であることができる。
本発明において、紙基材層と内面熱可塑性樹脂層との間に、バリア層を設けてもよい。バリア層は、酸素及び水蒸気に対するバリア性を示す任意のバリアフィルム等であってよい。具体的には、アルミニウム箔等の金属箔、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン等からなるフィルムに、アルミニウム等の金属や酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の無機酸化物を蒸着した蒸着フィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクロニトリル等のガスバリア性を示す樹脂により形成された層が挙げられる。これらの2種以上を積層してもよい。
本発明の製造方法は、紙基材層の一方の面上に外面熱可塑性樹脂層を積層し、反対側の面上に、場合によりバリア層を積層し、さらに内面熱可塑性樹脂層を積層する。あるいは、一方の面上に外面熱可塑性樹脂層を積層した紙基材層と、一方の面上に内面熱可塑性樹脂層を積層したバリア層とを、貼り合わせることによって製造してもよい。
本発明の製造方法によれば、高い生産性で安価に、密封性および低温シール性に優れた紙容器用包装材料を製造することができる。
なお、バリア層に加えて、またはバリア層の代わりに、任意の機能層を設ける場合は、該機能層上に直接、共押出コーティング法により内面熱可塑性樹脂層を形成すればよい。
本発明の製造方法により製造される紙容器法包装材料からなる紙容器は、例えば、各種の飲食品、接着剤、粘着剤等の化学品、化粧品、医薬品等の雑貨品等の種々の物品を充填包装することができるものである。特に、例えば、酒、果汁飲料等のジュース、ミネラルウォーター、醤油、ソース、スープ等の液体調味料、あるいは、カレー、シチュー、スープ等の種々の液体飲食物を充填包装する液体用紙容器として有用なものである。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらは本発明を制限するものではない。
坪量400g/m2のミルクカートン原紙の表面側に、低密度ポリエチレン(LC520、日本ポリエチレン(株)製)を厚さ20μmになるように押出しコーティングした。次いで、ミルクカートン原紙の裏面側に、エチレン−メタクリル酸共重合体(N0908C、三井デュポンポリケミカル(株)製)を厚さ20μmになるように押し出しながら、サンドイッチラミネーション法を用いて、蒸着膜が設けられた厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り合わせた。最後に、蒸着膜が設けられた厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムにウレタン系接着剤(EL−540(主剤)/CAT−RT32(硬化剤)、東洋モートン(株)製)を乾燥後の塗布量が0.1g/m2となるように塗工した後、低密度ポリエチレン(貼合層、LC520、密度0.923g/m3、日本ポリエチレン(株)製)と、線状低密度ポリエチレン(中間層、FV403、密度0.918g/m3、住友化学(株)製)と、線状低密度ポリエチレン(接液層、057FA、密度0.902g/m3、宇部丸善ポリエチレン(株)製)とを、厚さがそれぞれ20μm、25μm、10μmになるように共押出コーティングし、本発明の紙容器用包装材料を作製した。
接液層を形成する樹脂として、線状低密度ポリエチレン(057FA、密度0.902g/m3、宇部丸善ポリエチレン(株)製)の代わりに、線状低密度ポリエチレン(FV401、密度0.904g/m3、住友化学(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、本発明の紙容器用包装材料を作製した。
実施例1と同様にして、ミルクカートン原紙の表面側に低密度ポリエチレンを押出しコーティングし、裏面側に蒸着フィルムを貼り合わせ、この蒸着フィルム上にウレタン系接着剤を塗工した。その後、低密度ポリエチレン(貼合層、LC520、密度0.923g/m3、日本ポリエチレン(株)製)と、線状低密度ポリエチレン(中間層、022GS、密度0.904g/m3、宇部丸善ポリエチレン(株)製)と、線状低密度ポリエチレン(FV401、密度0.904g/m3、住友化学(株)製)とを、厚さがそれぞれ20μm、20μm、15μmになるように共押出コーティングし、本発明の紙容器用包装材料を作製した。
実施例1と同様にして、ミルクカートン原紙の表面側に低密度ポリエチレンを押出しコーティングし、裏面側に蒸着フィルムを貼り合わせ、この蒸着フィルム上にウレタン系接着剤を塗工した。その後、低密度ポリエチレン(貼合層、LC520、密度0.923g/m3、日本ポリエチレン(株)製)と、線状低密度ポリエチレン(中間層、057FA、密度0.902g/m3、宇部丸善ポリエチレン(株)製)と、線状低密度ポリエチレン(接液層、FV403、密度0.918g/m3、住友化学(株)製)とを、厚さがそれぞれ20μm、25μm、10μmになるように共押出コーティングし、紙容器用包装材料を作製した。
実施例1と同様にして、ミルクカートン原紙の表面側に低密度ポリエチレンを押出しコーティングし、裏面側に蒸着フィルムを貼り合わせ、この蒸着フィルム上にウレタン系接着剤を塗工した。その後、低密度ポリエチレン(貼合層、LC520、密度0.923g/m3、日本ポリエチレン(株)製)と、線状低密度ポリエチレン(中間層、057FA、密度0.902g/m3、宇部丸善ポリエチレン(株)製)と、線状低密度ポリエチレン(接液層、057FA、密度0.902g/m3、宇部丸善ポリエチレン(株)製)とを、厚さがそれぞれ35μm、10μm、10μmになるように共押出コーティングし、紙容器用包装材料を作製した。
(耐ピンホール性試験)
実施例1〜3および比較例1〜2で作製した紙容器用包装材料を用いて、シール温度(エアー温度)を280〜360℃の間で10℃おきに変化させて、ヒーターを通過後にカートンをサンプリングし、紙容器用包装材料の内面に浸透液を塗布して、5分後にふき取り、目視によりピンホールを確認した。
実施例1〜3および比較例1〜2で作製した紙容器用包装材料を用いて、シール温度(エアー温度)を280〜360℃の間で10℃おきに変化させて、中に内容物として水を充填した容量1800mlのゲーブルトップ型紙容器のサンプルを作製した。上部の傾斜パネルの糊代は幅17mmとし、折込パネルの糊代と重ね合せてシールを行い、上部接合部15を設けた。ここで、段差部においては、折れ線(非糊代部との境界線)から2mmより上の位置にビスを設け、センターシール部においては、折れ線(非糊代部との境界線)から2.5mmより上の位置にビスを設けた。底部においても同様に底部接合部を設けるとともに、底部接合部にビスを設けた。
結果を以下の表2に示す。
2.紙基材層
3.内面熱可塑性樹脂層
3a.紙基材層に最も近い場所に位置する層(貼合層)
3b.中間層
3c.紙基材層から最も離れた場所に位置する層(接液層)
4.接着層
5.バリア層
10.上部
11.傾斜部
11a.傾斜パネル
11b.傾斜パネル糊代
13.折込部
13a.折込パネル
13b.折込パネル糊代
15.上部接合部
30.胴部
31、32、33、34.側面パネル
50.底部
51、52、53、54.底面パネル
52b、53b、54b.底面パネル糊代
70.把持タブ
71.注出口
72.キャップ
90.糊代
L1、L2.折れ線
P.紙容器
DS.段差部
CS.センターシール部
X、Y.空隙
Claims (4)
- 少なくとも、外面熱可塑性樹脂層、紙基材層、および内面熱可塑性樹脂層の順に積層された紙容器用包装材料の製造方法であって、
該内面熱可塑性樹脂層は、紙基材層に近い層から順に、貼合層、1層またはそれ以上の中間層、および接液層からなる3層またはそれ以上の多層構造を有し、
貼合層は低密度ポリエチレンからなり、
接液層は線状低密度ポリエチレンからなり、
中間層は、接液層を形成する線状低密度ポリエチレンと密度が同等以上のポリエチレンからなり、
該貼合層の厚みは、該内面熱可塑性樹脂層の厚みの半分以下であり、
該内面熱可塑性樹脂層を、共押出コーティング法により積層することを特徴とする、上記製造方法。 - 前記中間層を形成するポリエチレンが、線状低密度ポリエチレンであることを特徴とする、請求項1に記載の紙容器用包装材料の製造方法。
- 前記内面熱可塑性樹脂層が、紙基材層に近い層から順に、貼合層、中間層および接液層を積層した3層構造を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の紙容器用包装材料の製造方法。
- 紙基材層と内面熱可塑性樹脂層との間にバリア層を積層したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の紙容器用包装材料の製造方法。
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