JP2016009694A - サーミスタの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】サーミスタのB定数を修正する方法を提供する。【解決手段】金属酸化物焼結体を用いたサーミスタの製造方法であって、(A)金属酸化物焼結体の表面に一対の電極が形成されたウエハを、複数枚用意する工程と、(B)ウエハのB定数を測定する工程と、(C)複数のウエハを、測定されたB定数に基づいてグループ分けする工程と、(D)少なくとも一のグループを、酸素の存在する所定の環境下にて加熱することにより、当グループのB定数を、所定の範囲内に修正する工程と、を備える。【選択図】図2
Description
本発明は、サーミスタの製造方法に関する。
従来、金属酸化物焼結体を用いたサーミスタを製造する場合、金属酸化物焼結体材料を焼成してウエハを形成した後、ウエハをダイシング等により所定の大きさの複数の個片に切断している。金属酸化物焼結体材料を焼成してウエハを形成する場合、1つの焼成炉で複数枚のウエハを焼成するため、焼成炉内の温度ばらつきにより、個体毎に抵抗値やB定数などの素子特性にばらつきが出ることがある。サーミスタは、例えば、温度センサとして利用され、規定の温度範囲を測定するためには、サーミスタの素子特性が規定の範囲内でなければならない。素子特性が規定の範囲外のサーミスタは使用できないため、材料および費用の無駄が生じるという課題があった。そこで、サーミスタの製造工程において、素子特性が規定の範囲内になるように修正する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1では、規定の範囲よりも抵抗値が低いサーミスタ個片の電極端面を研削することにより、抵抗値が規定の範囲内になるように修正している。しかしながら、B定数は研削での修正はできないため、B定数を容易に修正することができる技術が望まれていた。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することができる。
(1)本発明の一形態によれば、金属酸化物焼結体を用いたサーミスタの製造方法が提供される。このサーミスタの製造方法は、(A)前記金属酸化物焼結体の表面に一対の電極が形成されたウエハを、複数枚用意する工程と、(B)前記ウエハのB定数を測定する工程と、(C)複数の前記ウエハを、前記測定されたB定数に基づいてグループ分けする工程と、(D)少なくとも一の前記グループを、酸素の存在する所定の環境下にて加熱することにより、当該グループのB定数を、所定の範囲内に修正する工程と、を備えてもよい。この形態のサーミスタの製造方法によれば、B定数が所定の範囲外であるグループについて、B定数が所定の範囲内になるように修正することができるため、サーミスタの不良品率を低下させることができる。その結果、材料および費用の無駄を削減することができる。また、グループ毎に加熱することにより、B定数を修正することができるため、1個ずつ修正する場合と比べて、容易にB定数を修正することができる。
(2)上記形態のサーミスタの製造方法において、前記工程(D)は、2以上の前記グループに対して、前記グループ毎に、加熱温度、加熱時間、および酸素濃度の少なくとも一つを変えることにより、前記所定の環境を変えて加熱することで、当該グループのB定数を、同一の範囲内に修正してもよい。B定数の範囲が異なる2以上のグループのB定数を同一の範囲内に修正する場合、修正前後のB定数の変化率はグループ毎に異なる。そのため、このように所定の環境をグループ毎に変えることにより、適切に、2以上のグループのB定数を同一の範囲内に修正することができる。
(3)上記形態のサーミスタの製造方法において、前記工程(D)は、前記グループ毎に加熱温度を変え、加熱時間および酸素濃度を一定として加熱してもよい。このようにすると、容易にグループ毎の環境を変えることができる。また、加熱温度を変えることにより、加熱時間の過長を抑制することができる。
(4)上記形態のサーミスタの製造方法において、前記工程(C)と前記工程(D)の間に、(E)前記ウエハを所定の大きさの複数の個片に切断する工程を備え、前記工程(D)は、前記工程(E)により切断された前記個片を加熱して、前記B定数の修正を行うと共に、前記個片に含まれた樹脂成分を除去してもよい。このようにすると、個片に含まれた樹脂成分を除去すると共に、B定数の修正を行うことができる。従来、サーミスタを製造する際に、個片を形成した後に個片に含まれた樹脂成分を除去するための加熱処理を行っている。そのため、B定数の修正のための加熱工程を新たに加えず、従来の樹脂成分除去工程の加熱温度を調整することによりB定数の修正を行うことができる。その結果、サーミスタ製造工程の工数および時間の増加を抑制することができる。
(5)上記形態のサーミスタの製造方法において、前記工程(E)の後に、さらに、(F)前記個片の前記電極にリード線を接続して、該個片を封止する工程を備えてもよい。このようにすると、サーミスタ特性を安定な状態に保つことができ、より精密な測定を可能とするサーミスタを製造することができる。
本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、サーミスタ、サーミスタを備えたセンサ、サーミスタを備えた温度センサ、センサの製造方法、温度センサの製造方法、サーミスタの製造装置等の形態で実現することができる。
A.実施形態:
A−1.サーミスタの構造:
図1は、本発明の実施形態としてのサーミスタ40の構造を模式的に示す模式図である。サーミスタ40は、図1に示すように、サーミスタ素子20と、封止ガラス30と、セラミックタブレット32と、を備える。サーミスタ素子20は、平面形状が略正方形の平板状を成すサーミスタ焼結体25と、リード線26A,26Bと、を主に備える。サーミスタ焼結体25は、平面形状が略正方形の平板状を成す金属酸化物焼結体22と、電極24A,24Bと、を備える。
A−1.サーミスタの構造:
図1は、本発明の実施形態としてのサーミスタ40の構造を模式的に示す模式図である。サーミスタ40は、図1に示すように、サーミスタ素子20と、封止ガラス30と、セラミックタブレット32と、を備える。サーミスタ素子20は、平面形状が略正方形の平板状を成すサーミスタ焼結体25と、リード線26A,26Bと、を主に備える。サーミスタ焼結体25は、平面形状が略正方形の平板状を成す金属酸化物焼結体22と、電極24A,24Bと、を備える。
金属酸化物焼結体22としては、(Y,Yb,Sr)(Al,Mn,Cr)O3をベース組成としたペロブスカイト型酸化物を用いているが、これに限定されない。例えば、(Y,Sr)(Al,Mn,Cr)O3,(Y,Sr)(Al,Mn,Fe)O3等をベース組成とした金属酸化物を用いてもよい。
金属酸化物焼結体22は、サーミスタ素子を構成した場合に、NTC(負抵抗温度係数)サーミスタ特性を呈するものであって、100〜300℃の温度範囲内におけるB定数の目標値を1900Kに設定している。
電極24A,24Bは、白金からなり、平板状をなす金属酸化物焼結体22の上下両面の全体に、それぞれ膜状に形成されている。リード線26A、26Bとしては、直径0.2mmのジュメット線を用いている。リード線26A、26Bは、一端が、それぞれ、金属膜状の接続電極28A,28Bを介して電極24A,24Bに接続されている。
封止ガラス30としては、SiO2,CaO,SrO,BaO,Al2O3,及びSnO2を原料とするガラスを用いており、サーミスタ焼結体25と、セラミックタブレット32とを一体に溶融封止している。封止ガラスの組成は、本実施形態に限定されない。また、封止する部材の材料は、ガラスに限定されず、エポキシ樹脂等の樹脂、ステンレス等の金属等を用いてもよい。
セラミックタブレット32は、リード線26A、26Bをそれぞれリード線貫通孔に通した状態で、封止ガラス30の底部と一体に溶融封止されることによって、サーミスタ焼結体25およびリード線26A、26Bを機械的に補強する作用を有する。
A−2.サーミスタの製造方法:
図2は、本実施形態のサーミスタの製造方法の流れを示す工程図である。
まず、本実施形態のサーミスタ40が備える金属酸化物焼結体22のベース組成(Y,Yb,Sr)(Al,Mn,Cr)O3を構成する各金属の酸化物等の粉末から、冷間静水圧プレスにより平板状のウエハを形成する(ステップS22)。
図2は、本実施形態のサーミスタの製造方法の流れを示す工程図である。
まず、本実施形態のサーミスタ40が備える金属酸化物焼結体22のベース組成(Y,Yb,Sr)(Al,Mn,Cr)O3を構成する各金属の酸化物等の粉末から、冷間静水圧プレスにより平板状のウエハを形成する(ステップS22)。
ステップS22で形成された10枚のウエハを、同一の焼成炉内で1570℃、4時間かけて焼成する(ステップS24)。ステップS24の焼成を行うことにより、サーミスタ特性を安定化させることができる。
その後、各ウエハの表裏面を研磨して、板厚0.4mmに形成し(ステップS26)、研磨後の表裏面に、膜状の白金電極を形成する。具体的には、白金粉末に有機バインダーを混合して作製したペーストをウエハの表裏面にスクリーン印刷し、乾燥した後、1300℃で焼付けて形成する(ステップS28)。電極の形成方法は本実施形態に限定されず、スクリーン印刷に換えてタンポ印刷を用いてもよいし、真空蒸着、スパッタリング等の公知の方法によって形成してもよい。真空蒸着、スパッタリングによって電極を形成すると、薄膜状の電極を形成することができる。
同一の焼成炉内で焼成された10枚のウエハのB定数を、公知の方法で測定し(ステップS30)、B定数に基づいてグループ分けする(ステップS32)。本実施形態では、B定数1800±50KをグループA;B定数1900±50KをグループBは;B定数2000±50KをグループC;B定数2100±50KをグループDとした。グループ分けにおける各グループのB定数範囲は、後述する実験に基づいて決定されている。
各ウエハを、ダイシングによって0.63mm角に切断して、個片(サーミスタ焼結体25)を形成する(ステップS34)。ステップS32において分別された各グループ毎に、バッチ炉の設定温度を変えて、大気中で設定温度にて24時間、サーミスタ焼結体25を加熱して、B定数を修正する(ステップS36)。本実施形態では、グループAは1080−1120℃;グループBは1000−1080℃;グループCは900−1000℃;グループDは700−900℃に、それぞれ加熱温度を設定した。各グループの加熱温度は、後述する実験に基づいて決定されている。ステップS36においてサーミスタ焼結体25を加熱することにより、B定数を、目標範囲内(1900±50K)に修正すると共に、ダイシング時にサーミスタ焼結体25に付着した樹脂成分を、蒸散させることができる。
ステップS36においてB定数が修正されたサーミスタ焼結体25の両電極に、予め金ペーストを先端に塗布した一対のリード線を接続し、金ペーストを乾燥させた後、1100℃で焼結することによって、サーミスタ焼結体25に接続電極28A,28Bおよびリード線26A,26Bを装着する(ステップS38)。
ステップS38にて形成されたサーミスタ素子20のリード線26A,26Bをセラミックタブレット32のリード線貫通孔にそれぞれ貫挿させると共に、サーミスタ素子20とセラミックタブレット32との境界付近にガラスペーストを塗布し、乾燥させてセラミックタブレットを仮固定する。その後、サーミスタ焼結体25全体を覆うように、ガラス管を被せて、全体を垂直に保持した状態でガラス管からセラミックタブレット32にかけての部分を炉内に挿入して、約900℃で1分間保持してガラスを十分溶融させて、サーミスタ焼結体25をガラス封止する(ステップS40)。これにより、図1に示すサーミスタ40が完成する。
A−3.B定数の修正:
本実施形態のサーミスタの製造方法中のB定数の修正におけるウエハのグループ分けおよび加熱処理温度の設定は、以下の実験に基づいて行われている。
まず、ウエハのグループ分け(ステップS32)について、図3〜5に基づいて説明する。図3は、ウエハの焼成温度とB定数の関係を示すグラフである。図3におけるB定数は、100〜300℃におけるB定数を示す。図4,5についても同様に、100〜300℃におけるB定数を示す。上述のように、焼成炉の温度(焼成温度)を1570℃に設定しても、実際の焼成炉内の温度は、1550〜1580℃の範囲でばらつきが生じる。上述のように、同一の焼成炉内で複数のウエハを焼成する場合、各ウエハの実際の焼成温度は、各ウエハの焼成炉内の配置場所によって異なる。図3は、実際の焼成温度とB定数との関係を調べるために、比較的小さく、焼成炉内の温度が略均一に保たれる小型焼成炉を用いて、設定温度を、1550,1555,1560,1570,1580℃に設定して、各設定温度でウエハを焼成した結果を示している。各設定温度におけるサンプル数は5である。図3に示すように、焼成後のウエハのB定数は、焼成温度によって異なることが分かった。
本実施形態のサーミスタの製造方法中のB定数の修正におけるウエハのグループ分けおよび加熱処理温度の設定は、以下の実験に基づいて行われている。
まず、ウエハのグループ分け(ステップS32)について、図3〜5に基づいて説明する。図3は、ウエハの焼成温度とB定数の関係を示すグラフである。図3におけるB定数は、100〜300℃におけるB定数を示す。図4,5についても同様に、100〜300℃におけるB定数を示す。上述のように、焼成炉の温度(焼成温度)を1570℃に設定しても、実際の焼成炉内の温度は、1550〜1580℃の範囲でばらつきが生じる。上述のように、同一の焼成炉内で複数のウエハを焼成する場合、各ウエハの実際の焼成温度は、各ウエハの焼成炉内の配置場所によって異なる。図3は、実際の焼成温度とB定数との関係を調べるために、比較的小さく、焼成炉内の温度が略均一に保たれる小型焼成炉を用いて、設定温度を、1550,1555,1560,1570,1580℃に設定して、各設定温度でウエハを焼成した結果を示している。各設定温度におけるサンプル数は5である。図3に示すように、焼成後のウエハのB定数は、焼成温度によって異なることが分かった。
図4は、焼成後のウエハに加熱処理を施した場合の加熱処理温度とB定数との関係を示すグラフである。図4は、焼成後のウエハのB定数が1800Kのサンプルを用い、バッチ炉の加熱処理温度を、600,700,800,900,1000,1100℃に設定して、各設定温度でB定数1800Kのウエハを24時間加熱した結果を示している。図4では、加熱処理を行っていないウエハ(焼成後のウエハ)のB定数を、ブランクとして記載している。
図4に示すように、加熱処理後のウエハのB定数は、加熱処理を行っていないウエハと異なる値になることがわかった。金属酸化物焼結体を酸素存在下にて加熱すると、金属の酸化が促進されるため、加熱処理によりB定数が変化すると考えられる。さらに、加熱処理の処理温度によって、ブランクに対するB定数の変化率が異なることがわかった。これらの加熱処理温度によるB定数の変化は、焼成後のウエハのB定数の値によらず、同様の傾向を示した。
図5は、焼成後のウエハのB定数に基づくグループ分けを示す説明図である。図5に示したサンプルは、図3に示したものと同一である。すなわち、図5に示す焼成温度とB定数との関係は、図3と同様である。図5に示すように、焼成後のウエハのB定数を測定し、焼成温度にかかわらず、B定数に基づいてグループ分けした。グループAはB定数が1800±50K;グループBはB定数が1900±50K;グループCはB定数が2000±50K;グループDはB定数が2100±50Kである。
B定数に基づいてグループ分けする理由は、以下の通りである。図4に示すように、加熱処理温度によってB定数の変化率は異なる。この加熱処理温度とB定数の変化率との関係が加熱処理前(焼成後)のB定数にかかわらず同様であるため、B定数の目標値に近づけるためには、焼成後のウエハのB定数毎に異なる加熱処理温度にて加熱処理を行えばよいからである。また、図5に示すように、同一の焼成温度であっても、B定数にばらつきがあるためである。例えば、図5に示すように、焼成温度1560℃のウエハ群は、グループAとグループBとに分類される。
次に、ステップS36における各グループの加熱処理温度の設定について、図6に基づいて説明する。図6は、加熱処理温度と加熱処理前後のB定数の変化率の関係を示すグラフである。図6では、図4に示したサンプルを用いて、加熱処理後のB定数のブランクに対する変化率を示している。B定数の変化率は、図6に実線で示すように、加熱処理温度に応じて二次関数で近似可能であった。そこで、加熱処理後のB定数が目標値1900Kに近づくように、各グループの加熱処理温度を図6に示すように設定した。すなわち、グループAは1080−1120℃;グループBは1000−1080℃;グループCは900−1000℃;グループDは700−900℃に、それぞれ設定した。
最後に、グループ毎に加熱処理温度を変えて加熱処理を行った結果について、図7に基づいて説明する。図7は、各グループの加熱処理後のB定数を示す図である。図7に示すように、加熱処理後のB定数は、いずれのグループのウエハも1900K付近の値に修正されており、最大値(1970.5K)と最小値(1884.1K)との差が、約90Kとなった。これに対し、加熱処理を行っていないウエハ(焼成後のウエハ)のB定数は、図3に示すように、最大値(2115.3K)と最小値(1797.5K)との差が約320Kである。すなわち、焼成後のウエハに対して、B定数に基づくグループ毎に加熱処理温度を変えて加熱処理を行うことにより、B定数のばらつきを、約70%低減することができた。
A−4.実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態のサーミスタの製造方法によれば、焼成後のウエハをB定数に基づいてグループ分けし、グループ毎に異なる温度で加熱処理を行うことにより、B定数を目標範囲内の値に修正することができる。その結果、サーミスタ製造時の歩留まりを向上することができ、コスト低減に資する。焼成温度依存性の高い組成の金属焼結体を用いたサーミスタの場合、ウエハの焼成のみで目標範囲内のB定数のサーミスタを製造することは困難であるため、本実施形態のサーミスタの製造方法によってサーミスタを製造することが好ましい。
以上説明したように、本実施形態のサーミスタの製造方法によれば、焼成後のウエハをB定数に基づいてグループ分けし、グループ毎に異なる温度で加熱処理を行うことにより、B定数を目標範囲内の値に修正することができる。その結果、サーミスタ製造時の歩留まりを向上することができ、コスト低減に資する。焼成温度依存性の高い組成の金属焼結体を用いたサーミスタの場合、ウエハの焼成のみで目標範囲内のB定数のサーミスタを製造することは困難であるため、本実施形態のサーミスタの製造方法によってサーミスタを製造することが好ましい。
また、本実施形態のサーミスタの製造方法では、ステップS36において、B定数を修正するとともに、ダイシング時にサーミスタ焼結体25に付着した樹脂成分を蒸散させている。ダイシング後に樹脂成分を蒸散させるための加熱処理(ベーキング)は、従来から行われていた処理である。本実施形態では、このベーキング処理の際の加熱温度をグループ毎に変えることによりB定数を目標範囲内に修正することができるため、新たな加熱処理工程を加えることなくB定数の修正を行うことができる。したがって、製造効率の低下を抑制することができる。
本実施形態のサーミスタの製造方法では、複数のサーミスタ焼結体25を1つのグループにまとめて、加熱処理することによりB定数を修正することができる。そのため、サーミスタ焼結体25のB定数を1個ずつ修正する場合に比べて、煩瑣な手間を要さず、容易にB定数の修正を行うことができる。
B.変形例:
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。例えば、例えば次のような変形も可能である。
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。例えば、例えば次のような変形も可能である。
B−1.第1変形例:
上記実施形態では、ステップS36における加熱処理にて、B定数の修正を行うと共に樹脂の蒸散を行う工程を例示したが、B定数の修正と樹脂の蒸散とを別の工程にて行ってもよい。例えば、ダイシング(ステップS34)の後、ベーキング処理(100℃×2時間)を行い、ベーキング処理後のサーミスタ焼結体25に対してB定数の修正処理(グループ毎に加熱処理温度を変えて加熱)を行ってもよい。ベーキング処理とB定数の修正処理の順序を逆にしてもよい。さらに、ダイシングの前に、焼成後のウエハに対して、グループ毎に加熱処理温度を変えて加熱処理をし、B定数を修正してもよい。
上記実施形態では、ステップS36における加熱処理にて、B定数の修正を行うと共に樹脂の蒸散を行う工程を例示したが、B定数の修正と樹脂の蒸散とを別の工程にて行ってもよい。例えば、ダイシング(ステップS34)の後、ベーキング処理(100℃×2時間)を行い、ベーキング処理後のサーミスタ焼結体25に対してB定数の修正処理(グループ毎に加熱処理温度を変えて加熱)を行ってもよい。ベーキング処理とB定数の修正処理の順序を逆にしてもよい。さらに、ダイシングの前に、焼成後のウエハに対して、グループ毎に加熱処理温度を変えて加熱処理をし、B定数を修正してもよい。
B−2.第2変形例:
上記実施形態では、加熱時間および酸素濃度が全グループ同一の環境下にて、グループ毎に加熱温度を変え、加熱処理を行うことによりB定数の修正を行ったが、B定数の修正のための加熱処理において環境を変える要素は、加熱温度に限定されない。例えば、加熱温度、酸素濃度を一定にし、加熱時間をグループ毎に変えてもよい。加熱温度、加熱時間を一定にして、酸素濃度をグループ毎に変えてもよい。加熱温度、加熱時間、および酸素濃度の少なくとも一つをグループ毎に変えることにより、B定数の修正のための加熱処理における環境を変えればよい。このようにしても、B定数を修正することができる。但し、グループ毎に加熱温度を変えることにより加熱処理環境を変える方法が、より容易であり、かつ処理時間の過長化を抑制することができるため、好ましい。
上記実施形態では、加熱時間および酸素濃度が全グループ同一の環境下にて、グループ毎に加熱温度を変え、加熱処理を行うことによりB定数の修正を行ったが、B定数の修正のための加熱処理において環境を変える要素は、加熱温度に限定されない。例えば、加熱温度、酸素濃度を一定にし、加熱時間をグループ毎に変えてもよい。加熱温度、加熱時間を一定にして、酸素濃度をグループ毎に変えてもよい。加熱温度、加熱時間、および酸素濃度の少なくとも一つをグループ毎に変えることにより、B定数の修正のための加熱処理における環境を変えればよい。このようにしても、B定数を修正することができる。但し、グループ毎に加熱温度を変えることにより加熱処理環境を変える方法が、より容易であり、かつ処理時間の過長化を抑制することができるため、好ましい。
B−3.第3変形例:
上記実施形態では、ステップS32において分別した全てのグループに対して加熱処理を行ったが、全てのグループに対して加熱処理を行わなくてもよい。例えば、ベーキング処理とB定数の修正処理とを別の工程で行う場合には、焼成後のウエハのB定数が目標範囲内の場合(例えば、グループB)には、グループA,C,Dに対してのみ、B定数の修正のための加熱処理を行ってもよい。
上記実施形態では、ステップS32において分別した全てのグループに対して加熱処理を行ったが、全てのグループに対して加熱処理を行わなくてもよい。例えば、ベーキング処理とB定数の修正処理とを別の工程で行う場合には、焼成後のウエハのB定数が目標範囲内の場合(例えば、グループB)には、グループA,C,Dに対してのみ、B定数の修正のための加熱処理を行ってもよい。
B−4.第4変形例:
B定数の修正のための加熱処理(ステップS36)における加熱処理温度は上記実施形態に限定されない。例えば、図6に基づいて、グループCの加熱処理温度を600〜700℃に設定してもよい。焼成炉内の温度分布や、金属酸化物焼結体の組成、目標B定数範囲等に応じて、適宜、設定すればよい。また、グループ分けの基準となるB定数の範囲も上記実施形態に限定されない。金属酸化物焼結体の組成、加熱処理前後のB定数変化率、要求性能等に応じて、適宜、設定すればよい。B定数の範囲を狭くして、細かくグループ分けすることにより、精度の高いサーミスタを製造することができる。
B定数の修正のための加熱処理(ステップS36)における加熱処理温度は上記実施形態に限定されない。例えば、図6に基づいて、グループCの加熱処理温度を600〜700℃に設定してもよい。焼成炉内の温度分布や、金属酸化物焼結体の組成、目標B定数範囲等に応じて、適宜、設定すればよい。また、グループ分けの基準となるB定数の範囲も上記実施形態に限定されない。金属酸化物焼結体の組成、加熱処理前後のB定数変化率、要求性能等に応じて、適宜、設定すればよい。B定数の範囲を狭くして、細かくグループ分けすることにより、精度の高いサーミスタを製造することができる。
B−5.第5変形例:
上記実施形態において、同一の焼成炉内で焼成された10枚のウエハに対してB定数の修正処理を行う例を示したが、枚数は上記実施形態に限定されず、同一の焼成炉内で焼成されたウエハにも限定されない。同一の焼成炉内で焼成されたウエハでなくても、複数のウエハを用意して、用意したウエハをB定数に基づいてグループ分けし、グループ毎に異なる温度にてB定数を修正するための加熱処理を行ってもよい。
上記実施形態において、同一の焼成炉内で焼成された10枚のウエハに対してB定数の修正処理を行う例を示したが、枚数は上記実施形態に限定されず、同一の焼成炉内で焼成されたウエハにも限定されない。同一の焼成炉内で焼成されたウエハでなくても、複数のウエハを用意して、用意したウエハをB定数に基づいてグループ分けし、グループ毎に異なる温度にてB定数を修正するための加熱処理を行ってもよい。
B−6.第6変形例:
上記実施形態において、1グループに複数の個片(サーミスタ焼結体25)が含まれる例を示したが、これに限定されず、1グループに少なくとも、1つの個片が含まれればよい。例えば、各個片のB定数を測定してグループ分けを行ってもよい。このようにすると、より精度の高いサーミスタを製造することができる。
上記実施形態において、1グループに複数の個片(サーミスタ焼結体25)が含まれる例を示したが、これに限定されず、1グループに少なくとも、1つの個片が含まれればよい。例えば、各個片のB定数を測定してグループ分けを行ってもよい。このようにすると、より精度の高いサーミスタを製造することができる。
B−7.第7変形例:
上記実施形態において、加熱処理前のB定数に対して、加熱処理によってB定数を上げるものと、加熱処理によってB定数を下げるものとを含む例を示したが、両方を含まなくてもよい。例えば、焼成後のウエハのB定数が、目標B定数に対して低くなるように、予め、焼成温度を調節してウエハを焼成し、全てのグループにおいて、B定数を上げるように加熱処理を行ってもよい。逆に、焼成後のウエハのB定数が、目標B定数に対して高くなるようにウエハを焼成し、全てのグループにおいて、B定数を下げるように加熱処理を行ってもよい。
上記実施形態において、加熱処理前のB定数に対して、加熱処理によってB定数を上げるものと、加熱処理によってB定数を下げるものとを含む例を示したが、両方を含まなくてもよい。例えば、焼成後のウエハのB定数が、目標B定数に対して低くなるように、予め、焼成温度を調節してウエハを焼成し、全てのグループにおいて、B定数を上げるように加熱処理を行ってもよい。逆に、焼成後のウエハのB定数が、目標B定数に対して高くなるようにウエハを焼成し、全てのグループにおいて、B定数を下げるように加熱処理を行ってもよい。
20…サーミスタ素子
22…金属酸化物焼結体
24A,24B…電極
25…サーミスタ焼結体
26A,26B…リード線
28A,28B…接続電極
30…封止ガラス
32…セラミックタブレット
40…サーミスタ
22…金属酸化物焼結体
24A,24B…電極
25…サーミスタ焼結体
26A,26B…リード線
28A,28B…接続電極
30…封止ガラス
32…セラミックタブレット
40…サーミスタ
Claims (5)
- 金属酸化物焼結体を用いたサーミスタの製造方法であって、
(A)前記金属酸化物焼結体の表面に一対の電極が形成されたウエハを、複数枚用意する工程と、
(B)前記ウエハのB定数を測定する工程と、
(C)複数の前記ウエハを、前記測定されたB定数に基づいてグループ分けする工程と、
(D)少なくとも一の前記グループを、酸素の存在する所定の環境下にて加熱することにより、当該グループのB定数を、所定の範囲内に修正する工程と、
を備える、サーミスタの製造方法。 - 請求項1に記載のサーミスタの製造方法において、
前記工程(D)は、
2以上の前記グループに対して、前記グループ毎に、加熱温度、加熱時間、および酸素濃度の少なくとも一つを変えることにより、前記所定の環境を変えて加熱することで、当該グループのB定数を、同一の範囲内に修正する、
サーミスタの製造方法。 - 請求項2に記載のサーミスタの製造方法において、
前記工程(D)は、
前記グループ毎に加熱温度を変え、加熱時間および酸素濃度を一定として加熱する、
サーミスタの製造方法。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のサーミスタの製造方法において、
前記工程(C)と前記工程(D)の間に、
(E)前記ウエハを所定の大きさの複数の個片に切断する工程
を備え、
前記工程(D)は、
前記工程(E)により切断された前記個片を加熱して、前記B定数の修正を行うと共に、前記個片に含まれた樹脂成分を除去する、
サーミスタの製造方法。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のサーミスタの製造方法において、
前記工程(E)の後に、さらに、
(F)前記個片の前記電極にリード線を接続して、該個片を封止する工程
を備える、サーミスタの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014127802A JP2016009694A (ja) | 2014-06-23 | 2014-06-23 | サーミスタの製造方法 |
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JP2014127802A JP2016009694A (ja) | 2014-06-23 | 2014-06-23 | サーミスタの製造方法 |
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-
2014
- 2014-06-23 JP JP2014127802A patent/JP2016009694A/ja active Pending
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