JP2016009581A - 全固体リチウムイオン電池の製造方法 - Google Patents

全固体リチウムイオン電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の解決課題は、容量及び出力に優れる全固体リチウムイオン電池の製造方法を提供すること。【解決手段】超臨界流体または亜臨界流体(A)中にリチウムイオン伝導性固体電解質(D)を分散または溶解した混合物(C)を電極(B0)に接触させたものから、超臨界流体または亜臨界流体(A)を除去させる工程を含む全固体リチウムイオン電池の電極(B)の製造方法。前記超臨界流体または亜臨界流体(A)が二酸化炭素であり、混合物(C)が、超臨界流体または亜臨界流体(A)および有機溶剤(F)中にリチウムイオン伝導性固体電解質(D)を分散または溶解した混合物(C1)であり、前記リチウムイオン伝導性固体電解質(D)が、ガーネット系材料、窒化物系材料、ペロブスカイト系材料、リン酸系材料、硫化物系材料および高分子系材料からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、充放電サイクル特性および出力特性に優れる全固体リチウムイオン電池の製造方法に関するものである。
近年、パーソナルコンピュータ、携帯電話等のポータブル機器の開発に伴い、その電源としてのリチウムイオン電池の需要が大幅に拡大している。このような用途に用いられるリチウムイオン電池においては、イオンを移動させる媒体として、希釈溶媒に可燃性の有機溶媒を用いた有機溶媒等の液体の電解質(電解液)が従来使用されているが、このような電解液を用いた電池においては、電解液の漏液や、発火、爆発等の問題を生ずる可能性がある。
このような問題を解消すべく、本質的な安全性確保のために、液体の電解質に代えて固体電解質を使用するとともに、その他の要素の全てを固体で構成した全固体リチウムイオン電池の開発が進められている。このような全固体リチウムイオン電池は、電解質が固体であることから、発火の心配が少なく、漏液せず、また、腐食による電池性能の劣化等の問題も生じ難い。
しかしながら、上述した全固体リチウムイオン電池によると、電極活物質と固体電解質との間の界面抵抗などの、正極と負極との間におけるリチウムイオンの移動を阻害する要因があるため、有機電解液を用いたものに比べて、電池性能、特に充放電特性の点で十分ではなかった。
このような課題を解決するために活物質と電解質を事前混合して電極を作成する方法が提案されている(特許文献1)。
特開2009−164059号公報
しかし特許文献1に記載の技術では電極密度が低下するため、容量が低下するという問題点があった。また、界面抵抗も大きいため充放電サイクル特性および出力特性にも劣るという問題点があった。
本発明は、電極密度を低下させることなく、電極活物質と固体電解質の界面抵抗を低下させることができる全固体リチウムイオン電池の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、超臨界流体または亜臨界流体(A)中にリチウムイオン伝導性固体電解質(D)を分散または溶解した混合物(C)を電極(B0)に接触させたものから、超臨界流体または亜臨界流体(A)を除去させる工程を含む全固体リチウムイオン電池の電極(B)の製造方法;超臨界流体または亜臨界流体(A)中にリチウムイオン伝導性固体電解質(D)を分散または溶解した混合物(C)を電極(B0)に接触させたものから、超臨界流体または亜臨界流体(A)を除去させて電極(B)を製造し、該電極(B)を備える全固体リチウムイオン電池を組み立てる工程を含む全固体リチウムイオン電池の製造方法である。
本発明の製造方法によれば、高容量かつ充放電特性および出力特性に優れた全固体リチウムイオン電池を製造することが出来る。
本発明の全固体リチウムイオン電池の電極(B)の製造方法は、超臨界流体または亜臨界流体(A)中にリチウムイオン伝導性固体電解質(D)を分散または溶解した混合物(C)を電極(B0)に接触させたものから、超臨界流体または亜臨界流体(A)を除去させる工程を含む。
本発明において超臨界流体(A1)とは、気体と液体が共存できる限界(臨界点)を超えた温度・圧力領域において非凝集性高密度流体として存在し、圧縮しても凝集せず、臨界温度以上、かつ臨界圧力以上の状態にある流体である限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することが出来るが、臨界温度が低いものが好ましい。この超臨界流体は、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、窒素、水、メタノール、エタノール、n−ブタノールなどのアルコール系溶媒、エタン、プロパン、プロピレン、2,3−ジメチルブタン、ベンゼン、トルエン、アセトンなどの炭化水素系溶媒、塩化メチレン、クロロトリフロロメタンなどのハロゲン系溶媒、ジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒が好適である。これらの中でも、二酸化炭素は、臨界圧力7.3MPa、臨界温度31℃であることから、容易に超臨界状態をつくり出せるとともに、不燃性で取扱いが容易であり、特に好ましい。また、これらの流体は、単独であっても二種以上の混合であっても構わない。
亜臨界流体(A2)としては、臨界点近傍の温度及び圧力領域において、高圧液体として存在する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。上述した超臨界流体として挙げられる化合物は、亜臨界流体としても好適に使用することができる。
超臨界流体(A1)の臨界温度及び臨界圧力は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、臨界温度としては、−273℃以上300℃以下が好ましく、0℃以上200℃以下が特に好ましい。
亜臨界流体(A2)の温度及び圧力はそれぞれ臨界温度及び臨界圧力の近傍であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、臨界温度としては、−273℃以上300℃以下が好ましく、0℃以上200℃以下が特に好ましい。
さらに、上述の超臨界流体(A1)及び亜臨界流体(A2)に加え、有機溶媒(F)を添加することもできる。有機溶媒(F)の添加により、超臨界流体中での溶解度の調整をより容易に行うことができる。
このような有機溶媒(F)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、あるいはジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、あるいは1−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、あるいはクメン等の炭化水素系溶媒などが挙げられる。
本発明の全固体リチウム二次電池は、少なくとも、正極、リチウムイオン伝導性固体電解質(D)、負極および集電体が積層されてなる全固体リチウム二次電池である。
また、正極活物質としては、コバルト酸リチウム(LiCoO)やニッケル酸リチウム(LiNiO)等の層状活物質のほか、オリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO)等のオリビン型活物質や、スピネル型マンガン酸リチウム(LiMn)等のスピネル型活物質等を例示することができる。正極活物質の形状は、例えば粒子状や薄膜状等にすることができる。正極活物質の平均粒径は、例えば1nm以上100μm以下であることが好ましく、10nm以上30μm以下であることがより好ましい。また、正極層1における正極活物質の含有量は、特に限定されないが、質量%で、例えば40%以上99%以下とすることが好ましい。
リチウムイオン伝導性固体電解質(D)の好ましい例としては、ガーネット系セラミックス材料、窒化物系セラミックス材料、ペロブスカイト系セラミックス材料、リン酸系セラミックス材料及び硫化物系セラミックス材料、ゼオライト系材料からなる群から選択される少なくとも一種が挙げられる。ガーネット系セラミックス材料の例としては、Li−La−Zr−O系材料(具体的には、LiLaZr12など)、Li−La−Ta−O系材料(具体的には、LiLaTa12など)が挙げられ、特許文献4〜6に記載されているものも用いることができる。窒化物系セラミックス材料の例としては、LiN、LiPONなどが挙げられる。ペロブスカイト系セラミックス材料の例としては、Li−La−Zr−O系材料(具体的には、LiLa1−xTi(0.04≦x≦0.14)など)が挙げられる。リン酸系セラミックス材料の例としては、Li−Al−Ti−P−O,Li−Al−Ge−P−O、及びLi−Al−Ti−Si−P−O(具体的には、Li1+x+yAlTi2−xSi3−y12(0≦x≦0.4、0<y≦0.6)など)が挙げられる。硫化物系セラミックス材料の例としては、LiS−P、LiS−P、LiS−P−P、LiS−SiS、LiI−LiS−P、LiI−LiS−SiS−P、LiS−SiS−LiSiO、LiS−SiS−LiPO、LiPS−LiGeS、Li3.40.6Si0.4、Li3.250.25Ge0.76、Li4−xGe1−x、Li11等が挙げられる。
特に好ましいリチウムイオン伝導性固体電解質(D)は、ガーネット系セラミックス材料である。
とりわけ、Li、La、Zr及びOを含んで構成されるガーネット型又はガーネット型類似の結晶構造を有する酸化物焼結体が、焼結性に優れて緻密化しやすく、かつ、イオン伝導率も高いことから好ましい。
この種の組成のガーネット型又はガーネット型類似の結晶構造はLLZ結晶構造と呼ばれ、CSD(Cambridge Structural Database)のX線回折ファイルNo.422259(LiLaZr12)に類似のXRDパターンを有する。なお、No.422259と比較すると構成元素が異なり、またセラミックス中のLi濃度などが異なる可能性があるため、回折角度や回折強度比が異なる場合もある。
Laに対するLiのモル数の比Li/Laは2.0以上2.5以下であることが好ましく、Laに対するZrのモル比Zr/Laは0.5以上0.67以下であるのが好ましい。
このガーネット型又はガーネット型類似の結晶構造はNb及び/又はTaをさらに含んで構成されるものであってもよい。すなわち、LLZのZrの一部がNb及びTaのいずれか一方又は双方で置換されることにより、置換前に比べて伝導率を向上させることができる。ZrのNb及び/又はTaによる置換量(モル比)は、(Nb+Ta)/Laのモ
ル比が0.03以上0.20以下となる量にすることが好ましい。
また、このガーネット系酸化物焼結体はAl及び/又はMgをさらに含んでいるのが好ましく、これらの元素は結晶格子に存在してもよいし、結晶格子以外に存在していてもよい。
Alの添加量は焼結体の0.01〜1質量%とするのが好ましく、Laに対するAlのモル比Al/Laは、0.008〜0.12であるのが好ましい。Mgの添加量は0.01〜1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.05〜0.30質量%である。Laに対するMgのモル比Mg/Laは、0.0016〜0.07であるのが好ましい。
本発明において電極に接触させる混合物(C)の組成は、上記超臨界流体(A1)または亜臨界流体(A2)にリチウムイオン伝導性固体電解質(D)を分散または溶解したものである。(C)は必要により有機溶媒(F)を含有していても良い。
本発明において超臨界流体(A1)または亜臨界流体(A2)中のリチウムイオン伝導性固体電解質(D)を分散または溶解した混合物(C)による処理の用に供される電極(B0)は活物質(G)および結着剤(E)を含有する。必要に応じて導電助剤(H)を含有していても良い。これらの混合物を溶剤中で混合、分散させ集電体上に塗布し次に溶剤を乾燥させることで電極をえることができる。
活物質(G)の具体例としては黒鉛、アモルファス炭素、高分子化合物焼成体(例えばフェノール樹脂およびフラン樹脂等を焼成し炭素化したもの)、コークス類(例えばピッチコークス、ニードルコークスおよび石油コークス)、炭素繊維、導電性高分子(例えばポリアセチレンおよびポリピロール)、スズ、シリコン、および金属合金(例えばリチウム−スズ合金、リチウム−シリコン合金、リチウム−アルミニウム合金およびリチウム−アルミニウム−マンガン合金等)、リチウムと遷移金属との複合酸化物(例えばLiCoO2、LiNiO2、LiMnO2およびLiMn24)、遷移金属酸化物(例えばMnO2およびV25)、遷移金属硫化物(例えばMoS2およびTiS2)、および導電性高分子(例えばポリアニリン、ポリフッ化ビニリデン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレンおよびポリカルバゾール)等が挙げられる。
結着剤(E)としてはデンプン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレンおよびポリプロピレン等の高分子化合物が挙げられる。
任意成分として含有する導電助剤(H)としてはカーボンブラック類(例えばカーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック及びサーマルブラック)及び金属粉末(例えばアルミニウム粉及びニッケル粉)、導電性金属酸化物(例えば酸化亜鉛及び酸化チタン)等が挙げられる。
電極を調製する際に用いる溶媒(F)としては水、N−メチルピロリドン、アセトンおよびトルエンなどがあげられる。
本発明の電極における活物質(G)および結着剤(E)の合計重量に基づく(G)、(E)、(F)のそれぞれの好ましい含有量は以下の通りである。
活物質(G)の含有量は、電池容量の観点から好ましくは70〜98重量%であり、更に好ましくは90〜98重量%である。
結着剤(E)の含有量は、電池容量の観点から好ましくは0.5〜29重量%であり、更に好ましくは1〜10重量%である。
導電助剤(H)の含有量は、電池出力の観点から、好ましくは0〜29重量%であり、更に好ましくは1〜10重量%である。
本発明の製造方法における電極を混合物(C)と接触させる具体的な方法としては以下の方法があげられる。
リチウムイオン伝導性固体電解質(D)を耐圧容器(X)中に仕込む。耐圧容器(X)としては2MPa以上の圧力に耐え、攪拌混合できる設備を備え付けられており、容器下部には内容物を取り出すためのノズルが取り付けられているものを使用する。このときリチウムイオン伝導性固体電解質(D)を溶解または分散させるために有機溶媒(F)も導入することが好ましい。
次に超臨界流体(A1)または亜臨界流体(A2)を容器(X)中に導入し、しばらく攪拌を行うことで流体中にリチウムイオン伝導性固体電解質(D)を分散させる。攪拌時の温度はリチウムイオン伝導性固体電解質の分散性の観点から30〜120℃、さらに好ましくは50〜100℃である。攪拌時間はリチウムイオン伝導性固体電解質の分散性の観点から1〜120分が好ましく、より好ましくは10〜60分である。
上記耐圧容器(X)とは別の耐圧容器(Y)を用意し、その中に電極(B0)を仕込む。その後、前記耐圧容器(X)から耐圧容器(Y)へリチウムイオン伝導性固体電解質を分散させた流体を移送させ、電極に接触させる。電極に接触させる時間としてはリチウムイオン伝導性固体電解質の浸透性の観点から1〜120分が好ましく、より好ましくは10〜60分である。その後常圧に戻すことで超臨界流体(A1)または亜臨界流体(A2)を除去することができ、本発明の電極(B)をえることができる。
上記製造態様は一例であり、例えばリチウムイオン伝導性固体電解質(D)の分散と電極(B0)への接触を同一の耐圧容器中で行ってもよい。
このようにして得た電極(B)は活物質同士の空隙にまでリチウムイオン伝導性固体電解質(D)が行き渡らせることができ、界面抵抗低減に資することが出来る。
本発明の全固体リチウムイオン電池を製造する方法は、上記製造方法により製造した電極(B)を対極となる電極と向き合うように配置させ、電池缶内に配置する工程を含む。
全固体リチウムイオン電池における電池缶としては、ステンレススチール、鉄、アルミニウム及びニッケルメッキスチール等の金属材料を用いることができるが、電池用途に応じてプラスチック材料を用いることもできる。また電池缶は、用途に応じて円筒型、コイン型、角型又はその他任意の形状にすることができる。
以下実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下の記載において「部」は重量部を示す。
<製造例1>
LiCoO粉末90.0部、ケチェンブラック[シグマアルドリッチ(株)製]5部およびポリフッ化ビニリデン[シグマアルドリッチ(株)製]5部を乳鉢で充分に混合した後、1−メチル−2−ピロリドン[東京化成工業(株)製]70.0部を添加し、更に乳鉢で充分に混合してスラリーを得た。得られたスラリーを、大気中でワイヤーバーを用いて厚さ20μmのアルミニウム電解箔上の片面に塗布し、80℃で1時間乾燥させた後、更に減圧下(1.3kPa)、80℃で2時間乾燥して、15.95mmφに打ち抜き、電極(B−0)をえた。
<実施例1>
硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質(LiS−Pの組成を有するもの)をアセトン中に分散させ、これを耐圧容器に仕込み、釜内温度を40℃まで昇温した。昇温後二酸化炭素を供給し10MPaにして超臨界流体とし、10分間攪拌した。
上記容器とはべつに製造例1で製造した電極(B−0)を仕込み、この容器に前記リチウムイオン伝導性固体電解質を分散させた流体を移送し、電極を超臨界流体に接触させ、30分放置後、常圧に戻すことで超臨界流体を除去した。このようにして得た電極上に硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質粉末を加え加圧成型することにより電極表面上にリチウムイオン伝導性固体電解質の薄層を形成した電極(B−1)を得た。
<実施例2>
硫化物系電解質のかわりにガーネット系リチウムイオン伝導性固体電解質(LiLaZr12の組成を有するもの)を用いた以外は実施例1と同様にして行い電極(B−2)をえた。
<実施例3>
硫化物系電解質のかわりにリン酸系リチウムイオン伝導性固体電解質(Li1+x+yAlTi2−xSi3−y12(0≦x≦0.4、0<y≦0.6)の組成を有するもの)を用いた以外は実施例1と同様にして行い電極(B−3)をえた。
<比較例1>
電極(B−0)上に硫化物系リチウムイオン伝導性固体電解質粉末(LiS−Pの組成を有するもの)を加え、加圧成型することにより電極表面上にリチウムイオン伝導性固体電解質の薄層を形成したもので超臨界流体処理または亜臨界流体処理を行わない電極(B’−1)を得た。
<比較例2>
硫化物系電解質のかわりにガーネット系リチウムイオン伝導性固体電解質(LiLaZr12の組成を有するもの)を用いた以外は比較例1と同様にして行い超臨界流体処理または亜臨界流体処理を行わない電極(B’−2)を得た。
<比較例3>
硫化物系電解質のかわりにリン酸系リチウムイオン伝導性固体電解質(Li1+x+yAlTi2−xSi3−y12(0≦x≦0.4、0<y≦0.6)の組成を有するもの)を用いた以外は比較例1と同様にして行い超臨界流体処理または亜臨界流体処理を行わない電極(B’−3)を得た。
[全固体リチウムイオン電池の製造]
<実施例4〜6、比較例4〜6>
以下の方法で全固体リチウムイオン電池を製造した。得られた全固体リチウムイオン電池につき充放電サイクル特性および出力サイクル特性を評価した結果を表1に示した。
Figure 2016009581
[全固体リチウムイオン電池用負極の作製]
平均粒子径約8〜12μmの黒鉛粉末92.5部、ポリフッ化ビニリデン7.5部、1−メチル−2−ピロリドン[東京化成工業(株)製]200部を乳鉢で充分に混合しスラリーを得た。得られたスラリーを、大気中でワイヤーバーを用いて厚さ20μmの銅箔の片面に塗布し、80℃で1時間乾燥させた後、更に減圧下(1.3kPa)、80℃で2時間乾燥して、16.15mmφに打ち抜き、プレス機で厚さ30μmにして全固体リチウムイオン電池用負極をえた。
2032型コインセル内の両端に、上記実施例1〜3および比較例1の電極を正極として備え正極および負極をそれぞれの塗布面が向き合うように配置し、電池を組み立て、以下の方法で充放電サイクル特性および出力特性を評価した。
<充放電サイクル特性の評価>
室温のもと、充放電測定装置「バッテリーアナライザー1470型」[東陽テクニカ(株)製]を用いて、0.1Cの電流で電圧4.3Vまで充電し、10分間の休止後、0.1Cの電流で電池電圧を3.0Vまで放電し、この充放電を繰り返した。この時の初回充電時の電池容量と50サイクル目充電時の電池容量を測定し、下記式から充放電サイクル特性を算出した。数値が大きい程、充放電サイクル特性が良好であることを示す。
充放電サイクル特性(%)=(50サイクル目充電時の電池容量/初回充電時の電池容量)×100
<出力特性の評価>
室温のもと、充放電測定装置「バッテリーアナライザー1470型」[東陽テクニカ(株)製]を用いて、0.1Cの電流で電圧4.3Vまで充電し、10分間の休止後、0.1Cの電流で電圧を3.0Vまで放電し、放電容量(以下0.1C放電容量と記載)を測定した。次に0.1Cの電流で電圧4.3Vまで充電し、10分間の休止後、1Cの電流で電圧を3.0Vまで放電し容量(以下1C放電容量と記載)を測定し、下記式から1C放電時の容量維持率を算出する。数値が大きい程、出力特性が良好であることを示す。
1C放電時の容量維持率(%)=(1C放電容量/0.1C放電容量)×100
実施例4〜6および比較例4〜6に示したとおり、本発明の製造方法により得られた全個体リチウムイオン電池は充放電サイクル特性および出力特性に優れる。これはリチウムイオン電導性固体電解質が電極中に深く浸透したため、電極と固体電解質間の界面抵抗が減少したためと考えられる。
本発明の製造方法により製造したリチウムイオン電池は、出力特性に優れるため、特に電気自動車用リチウムイオン電池に好適である。また、本発明により製造した電極は電子伝導性に優れるためリチウムイオン伝導性固体電解質を用いたリチウムイオン電池にも好適に用いることが出来る。

Claims (5)

  1. 超臨界流体または亜臨界流体(A)中にリチウムイオン伝導性固体電解質(D)を分散または溶解した混合物(C)を電極(B0)に接触させたものから、超臨界流体または亜臨界流体(A)を除去させる工程を含む全固体リチウムイオン電池の電極(B)の製造方法。
  2. 前記超臨界流体または亜臨界流体(A)が二酸化炭素である請求項1に記載の製造方法。
  3. 混合物(C)が、超臨界流体または亜臨界流体(A)および有機溶剤(F)中にリチウムイオン伝導性固体電解質(D)を分散または溶解した混合物(C1)である請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記リチウムイオン伝導性固体電解質(D)が、ガーネット系セラミックス材料、窒化物系セラミックス材料、ペロブスカイト系セラミックス材料、リン酸系セラミックス材料、および硫化物系セラミックス材料からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 超臨界流体または亜臨界流体(A)中にリチウムイオン伝導性固体電解質(D)を分散または溶解した混合物(C)を電極(B0)に接触させたものから、超臨界流体または亜臨界流体(A)を除去させて電極(B)を製造し、該電極(B)を備える全固体リチウムイオン電池を組み立てる工程を含む全固体リチウムイオン電池の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111247669A (zh) * 2017-11-02 2020-06-05 麦斯韦尔技术股份有限公司 用于储能装置电极制备的方法和设备
WO2022004884A1 (ja) * 2020-07-02 2022-01-06 富士フイルム株式会社 全固体二次電池用シート及び全固体二次電池の製造方法、並びに、全固体二次電池用シート及び全固体二次電池

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