JP2016009547A - 電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】セパレータの変形による電極板の内部短絡が抑えられる電池を提供すること。【解決手段】本発明の電池(1)は、負極板(2)と正極板(3)がセパレータ(4)を介して配された蓄電要素(5)を有する電池(1)であって、負極板と正極板の少なくとも一方の電極板(2)は、略方形状の外形を有し、さらに、略方形状の辺の一辺の略中央部に、電極板の一部が欠損した欠損部(23)を有することを特徴とする。【選択図】図5

Description

本発明は、電池に関し、詳しくは、正極板と負極板がセパレータを介して積層した蓄電要素を備えた電池に関する。
ノート型コンピュータ、携帯電話、デジタルカメラ等の普及に伴い、これら小型の電子機器を駆動するための二次電池の需要が拡大している。そして、これら電子機器には、高容量化が可能であることから、非水電解質二次電池(特に、リチウムイオン二次電池)の使用が進められている。
非水電解質二次電池は、通常、正極板及び負極板をセパレータを介した状態で積層して蓄電要素としての電極体を形成し、非水電解質とともにケースに収容(封入)している。正極板及び負極板のそれぞれは、非水電解質二次電池の電極端子と電気的に接続され、蓄電要素が充放電する。
電極板は、金属板(金属箔)よりなる集電体の表面に、電極活物質を含む活物質ペーストを塗布・乾燥し、所定の形状に成形して製造される。電極板は、活物質ペーストが塗布された部分(塗工部)が対向した状態でセパレータを介して配され、蓄電要素を形成する。電極板は、活物質ペーストが塗布されていない部分(未塗工部)よりなる集電タブを形成しておく。この集電タブを電極端子(電極タブ)に電気的に接続する。
非水電解質二次電池は、小型の電子機器への利用に加えて、車両(EV,HV,PHV)や家庭用電源(HEMS)等の大電力が求められる用途への適用も検討されている。この場合、電極板のサイズの大型化,電極板の積層数を多くする等の蓄電要素の大型化や、多数の電池セルを組み合わせて組電池とする方法で大電力を得られるようにしている。たとえば、電極板を大面積とする電池が特許文献1に開示されている。
特許文献1には、電極板の角部の輪郭を仮想的な輪郭より内側にすることで、電極板の内部短絡(及びそれによって発生するジュール熱)を抑えることが記載されている。
特開2012−79501号公報
特許文献1に記載の電池では、その流動性の問題から電解液が電極板の端部(周縁部)に十分に供給されなかった。このため、電極板の端部近傍の抵抗が高くなり、充放電時に発熱して高温となるという問題があった。発熱により高温となると、セパレータが変形(熱収縮)を生じる。セパレータの変形(熱収縮)は、電極板の露出を生じさせる可能性を示し、電極板の露出部が内部短絡を生じる可能性をも示す。
特許文献1に記載の電池では、電極板の輪郭を内側にする縮小が角部のみであるため、このセパレータの変形(熱収縮)に十分に対応できなかった。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、セパレータの変形による電極板の内部短絡が抑えられる電池を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明者らは、電池の蓄電要素の構成について検討を重ねた結果、電極板の一方が、セパレータが収縮したときに各電極板の電極活物質が露出する部分が欠損した欠損部を有する構成とすることで上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明の電池は、正極板と負極板とがセパレータを介して配された蓄電要素を有する電池であって、正極板と負極板の少なくとも一方の電極板は、略方形状の外形を有し、さらに、略方形状の辺の一辺の略中央部に、電極板の一部が欠損した欠損部を有することを特徴とする。
本発明の電池は、正極板と負極板の少なくとも一方の電極板が略方形状の外形を有し、さらに、略方形状の辺の一辺の略中央部に、電極板の一部が欠損した欠損部を有することで、セパレータが収縮しても電極板の露出による内部短絡を防止できる。具体的には、略方形状の電極板を用いる蓄電要素では、セパレータも略方形状の形状を有する。この形状のセパレータでは、角部よりも辺の中央部における変形(熱収縮)量が大きくなることを本発明者らは確認した。本発明の電池では、この中央部に対応した位置の電極板の一方に欠損部をもうけることで、セパレータが変形しても欠損部が露出するため、内部短絡を生じなくなる。
電極板は、集電体と、集電体の表面に配された電極活物質を有する電極活物質層部と、電極活物質層部が形成されていない未塗工部と、を有し、欠損部は、電極活物質層部の未塗工部と背向する辺にもうけられていることが好ましい。
電極活物質層部と、未塗工部と、を有する電極板を用いる場合には、電極活物質層部の外形の辺であって未塗工部と背向する辺の中央部が、セパレータの変形量が最も大きくなる。このセパレータの変形量が最も大きくなる部分に欠損部をもうけることで、より確実に内部短絡を抑えることができる。
第一実施形態のリチウムイオン電池の構成を示した斜視図である。 第一実施形態のリチウムイオン電池の構成を示した断面図である。 第一実施形態のリチウムイオン電池の負極板の構成を示した図である。 第一実施形態のリチウムイオン電池の正極板の構成を示した図である。 第一実施形態のリチウムイオン電池の蓄電要素の構成を示した図である。 第一実施形態のリチウムイオン電池のセパレータの変形を示した図である。 第二実施形態1のリチウムイオン電池の負極板の構成を示した図である。 第二実施形態2のリチウムイオン電池の負極板の構成を示した図である。 第二実施形態3のリチウムイオン電池の負極板の構成を示した図である。 第三実施形態のリチウムイオン電池の負極板の構成を示した図である。 第四実施形態のリチウムイオン電池の蓄電要素の負極板の積層体の構成を示した図である。 第四実施形態のリチウムイオン電池の蓄電要素の負極板の積層体の構成を示した断面図である。 試験例4(比較例)のリチウムイオン電池のセパレータの変形を示した図である。
以下、実施の形態を用いて本発明を説明する。
以下、本発明の電池を、リチウムイオン二次電池(非水電解質二次電池)を実施の形態として説明する。
[第一実施形態]
(リチウムイオン二次電池)
リチウムイオン二次電池1は、負極板2及び正極板3がセパレータ4を介して積層した蓄電要素5を、非水電解質6とともに電池ケース7に封入(収容)する。すなわち、リチウムイオン二次電池1は、負極板2と正極板3とがセパレータ4を介して配された蓄電要素5を有する。
リチウムイオン二次電池1は、負極板2には電池ケース7を貫通する負極端子72が、正極板3には電池ケース7を貫通する正極端子73が、それぞれ電気的に接続されている。負極端子72と正極端子73は、いずれも金属箔(金属シート)よりなる。本形態のリチウムイオン二次電池1の代表的な構成を、図1〜2に示す。図1は斜視図で、図2は図1中のI−I線での構成を示す概略断面図で、それぞれリチウムイオン二次電池1を示した。
(負極板)
負極板2は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極活物質を含む負極活物質層21(負極活物質層部に相当)を、負極集電体20の表面(両面)に有する。負極活物質層21は、負極活物質以外に、必要に応じて、バインダ,導電材等の部材を備える。
負極板2は、図3に示したように、略方形状(略長方形状)の外形を有する。図3では、負極板2の断面も部分拡大図として合わせて示した。負極板2は、方形状の負極集電体20の長手方向の一方の端部側に負極活物質層21が形成され、他方の端部側に所定の幅で負極活物質層21が形成されていない未塗工部22が形成される。未塗工部22は、負極集電体20が露出してなる。未塗工部22は、幅方向の一方の端部側が突出した略L字状で形成されている。負極板2は、未塗工部22以外の部分は、負極活物質層21が形成されている。
負極板2は、長手方向の一方の端部の幅方向の中央部に、その一部が欠損した欠損部23が形成されている。欠損部23は、負極板2の見かけの外形(仮想の外形)よりも内側にその外形がくるようにくぼんだ形状(部分的にかけた形状)で形成されている。負極板2は、欠損部23以外の部分は、負極板2の見かけの外形(仮想の外形)に一致する。
本形態において、欠損部23は、その外形が、幅方向長さ(幅);T1,長手方向長さ(深さ);T2の方形状(長方形状)をなすように、すなわち負極板2の見かけの外形(仮想の外周形状,欠損部23が形成されない場合の外周形状に相当)と実際の外周形状との間に区画される形状が方形状をなすように形成されている。
欠損部23の大きさ(T1,T2の長さ)は、蓄電要素5の構成(活物質層21,31の大きさ,電極板2,3の積層数,セパレータ4の材質や厚さ等の条件)により適宜決定できる。
本形態において、好ましい欠損部23は、幅方向長さ(T1)が、負極活物質層21の幅方向の長さの2〜30%であり、長手方向長さ(T2)が、対向する電極の未塗工部32の長手方向長さである。
(正極板)
正極板3は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極活物質を含む正極活物質層31を、正極集電体30の表面(両面)に有する。正極活物質層31は、正極活物質以外に、必要に応じて、バインダ,導電材等の部材を備える。正極板3を、図3の時と同様に、図4に示した。
正極板3は、図4に示したように、略方形状の外形を有する。正極板3は、方形状の正極集電体30の長手方向の一方の端部側に正極活物質層31(正極活物質層部に相当)が形成され、他方の端部側に所定の幅で正極活物質層31が形成されていない未塗工部32を有する。未塗工部32は、正極集電体30が露出してなる。未塗工部32は、幅方向の他方の端部側が突出した略L字状で形成されている。正極板3は、未塗工部32以外の部分は、正極活物質層31が形成されている。
正極板3は、欠損部23を有していない負極板2と同様な構成で形成されている。本形態では、正極板3は、正極活物質層31が負極活物質層21よりも長手方向の長さがわずかに小さく形成されている。
(セパレータ)
セパレータ4は、負極板2(負極活物質層21)と正極板3(正極活物質層31)の間に介在して、両者の接触を防止するとともに、非水電解質13を保持する。セパレータ4は、多孔性合成樹脂膜、特にポリオレフィン系高分子(ポリエチレン、ポリプロピレン)の多孔膜が用いられる。
セパレータ4は、二つの合剤層21,31の電気的な絶縁を担保するために、合剤層21,31よりも大きな寸法で成形される。
(蓄電要素)
蓄電要素5は、負極板2と正極板3とがセパレータ4を介して積層して形成される。蓄電要素5は、電極板2,3及びセパレータ4を複数層積層してなる。電極板2,3及びセパレータ4の積層は、二つの合剤層21,31の一方の端部をそろえて行われた。
蓄電要素5は、図5に示したように、負極板2と正極板3を、それぞれの未塗工部22,32が幅方向の一方の端部側と他方の端部側に位置するように配される。
(非水電解質)
非水電解質6は、支持塩が有機溶媒に溶解してなるものを用いた。
(電池ケース)
電池ケース7は、蓄電要素5を非水電解質6とともに内部に封入(収容)する。電池ケース7は、ラミネートフィルム70から構成されるラミネート外装体より形成される。ラミネートフィルムは、可塑性樹脂層701/金属箔702/可塑性樹脂層703をこの順で含む。ラミネート外装体は、熱や何らかの溶媒により可塑性樹脂層701,703を軟化させた状態で他のラミネートフィルムなどに押圧することにより接着される。
電池ケース7(ラミネート外装体)は、蓄電要素5及び非水電解質6を挟むようにラミネートフィルムを重ね合わせ、外周を接着して形成される。
(電極端子)
負極端子72は、蓄電要素5の負極板2の未塗工部22に電気的に接続されている。正極端子73は、蓄電要素5の正極板3の未塗工部32に電気的に接続されている。電極端子72,73のそれぞれがラミネート外装体よりなる電池ケース7を貫通する部分では、ラミネート外装体を構成するラミネートフィルムの可塑性樹脂層と電極端子72,73とが密封状態を保つように接合されている。
(充放電)
本形態のリチウムイオン二次電池1は、電極端子72,73を外部装置に接続して使用される。すなわち、外部装置への充放電が行われる。
本形態のリチウムイオン二次電池1は、外部装置に対する充放電が行われると、それぞれの電極板2,3において、電極活物質がリチウムを吸蔵・放出する電極反応を生じる。そして、電極反応に伴って、電極板2,3が発熱する。電極板2,3が発熱すると、その中央部の熱は放熱されにくく、蓄電要素5に蓄熱する。そして、充放電が繰り返されると、蓄熱量が増加して蓄電要素5の温度が上昇し、所定の温度を超えるとセパレータ4が変形(熱収縮)を生じる。
セパレータ4の熱収縮は、図6に示したように、電極板2,3の一方の端部の辺の中央部で大きく変形し、負極板2の欠損部23に対応した部分の変形量が最も大きくなるように変形(収縮)する。図6は、負極板2の上に位置した状態でセパレータ4を示した図である。セパレータ4の熱収縮は、正極板3の正極活物質層31の中心に向かって収縮するが、
本形態のリチウムイオン二次電池1は、図6に示したように、セパレータ4に熱収縮が生じても、欠損部23が露出するのみであり、負極活物質層21は露出しない。すなわち、負極活物質層21が内部短絡を生じることが抑えられている。
以上のように、本形態のリチウムイオン二次電池1は、負極板2が略方形状の外形を有し、さらに、略方形状の辺の一辺の略中央部に、負極板2の一部が欠損した欠損部23を有することで、セパレータ4が収縮しても負極板2の負極活物質層21が露出することによる内部短絡を防止できる。
また、本形態のリチウムイオン二次電池1は、方形状の電極活物質層部21の外形の辺であって未塗工部22と背向する辺の中央部に欠損部23を有する。この部分は、セパレータ4の変形量が最も大きくなる部分であり、セパレータ4が収縮を生じても、より確実に内部短絡を抑えることができる。
なお、本形態において、欠損部23の形状及び大きさについては、セパレータの材質等により適宜決定できる。すなわち、充放電時の蓄電要素5(負極板2)の温度(蓄熱による最高温度)及び当該温度におけるセパレータ4の収縮量から設定できる。
すなわち、蓄電要素5(負極板2)の温度が高温となる場合には、セパレータ4の収縮量が大きくなり、欠損部23もより大きくする必要がある。また、蓄電要素5(負極板2)の温度が高温よりも低い温度の場合には、セパレータ4の収縮量が比較的小さく、欠損部23もより小さくすることができる。
上記のセパレータ4の収縮は、蓄電要素5が蓄熱(発熱)することにより生じる。蓄電要素5の発熱(発された熱の蓄熱)は、蓄電要素5の電極活物質がリチウムを吸蔵・放出することにより生じる。発熱量は、電極活物質ごとに異なる。そして、電極反応の反応量が多くなるほど、より多くの熱が発生し、蓄電要素5に蓄熱する。本形態のリチウムイオン二次電池1においては、電極反応の反応量が多くなるほど、すなわち、電池容量が大きいほど、セパレータ4の収縮が発生しやすくなり、上記の効果を発揮できる。本形態のリチウムイオン二次電池1は、小型・大容量の電池であることが好ましい。
本形態のリチウムイオン二次電池1(非水電解質二次電池)は、4〜66Ahの電池容量を有することが好ましい。そして、10〜66Ahの電池容量を有することがより好ましく、10〜44Ahの電池容量を有することがさらに好ましい。
本形態のリチウムイオン二次電池1(非水電解質二次電池)は、小型の電池であることが好ましい。本形態のリチウムイオン二次電池1において、同一の電池容量で小型となるほど、蓄電要素5がより多くの熱量の蓄熱を生じるため、セパレータ4の収縮が生じやすくなる。小型の電池の具体的な形状(体格)については発熱量との関係で限定できるものではないが、セパレータ4に熱収縮が生じる程度の蓄熱が生じる程度の体格を示す。
[リチウムイオン二次電池の具体的な構成]
本形態のリチウムイオン二次電池1は、負極板2が欠損部23を備えること以外は、従来のリチウムイオン二次電池と同様の構成とすることができる。
(負極)
負極板2の負極活物質層21は、負極活物質と結着剤とを混合して得られた負極合剤を負極集電体20の表面に塗布して形成される。
負極板2の負極活物質は、従来の負極活物質を用いることができる。Sn,Si,Sb,Ge,Cの少なくともひとつの元素を含有する負極活物質を挙げることができる。これらの負極活物質のうち、Cは、リチウムイオン二次電池の電解質イオンを吸蔵・脱離可能な(Li吸蔵能がある)炭素材料であることが好ましく、アモルファスコート天然黒鉛であることがより好ましい。
また、これらの負極活物質のうち、Sn、Sb、Geは、特に、体積変化の多い合金材料である。これらの負極活物質は、Ti−Si、Ag−Sn、Sn−Sb、Ag−Ge、Cu−Sn、Ni−Snなどのように、別の金属と合金をなしていてもよい。
負極板2の導電材としては、炭素材料、金属粉、導電性ポリマーなどを用いることができる。導電性と安定性の観点から、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラックなどの炭素材料を使用することが好ましい。
負極板2の結着材としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素樹脂共重合体(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体)SBR、アクリル系ゴム、フッ素系ゴム、ポリビニルアルコール(PVA)、スチレン・マレイン酸樹脂、ポリアクリル酸塩、カルボキシルメチルセルロース(CMC)などを挙げることができる。
負極板2の合剤の溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの有機溶媒、又は水などを挙げることができる。
負極集電体20は、従来の集電体を用いることができ、銅、ステンレス、チタンあるいはニッケルなどの金属を加工したもの、例えば板状に加工した箔,網,パンチドメタル,フォームメタルなどを用いることができるが、これらに限定されない。
(正極)
正極板3の正極活物質層31は、正極活物質と導電材と結着剤とを混合して得られた正極合剤を正極集電体30の表面に塗布して形成される。
正極板3の正極活物質は、従来公知の正極活物質を用いることができる。正極活物質は、例えば、種々の酸化物、硫化物、リチウム含有酸化物、導電性高分子などを用いることができる。正極活物質は、リチウム−遷移金属複合酸化物であることが好ましい。
リチウム−遷移金属複合酸化物は、ポリアニオン構造のリチウム金属化合物(Liα βη4−γγ)であることがより好ましい。(なお、M:Mn,Co,Ni,Fe,Cu,Cr,Mg,Ca,Zn,Tiより選ばれる1種以上、X:P,As,Si,Mo,Geより選ばれる1種以上、Z:Al,Mg,Ca,Zn,Tiより選ばれる1種以上を任意で含有可能、0≦α≦2.0、0≦β≦1.5、1≦η≦1.5、0≦γ≦1.5)
リチウム−遷移金属複合酸化物は、オリビン構造のリチウム−遷移金属複合酸化物であることが好ましい。このオリビン構造のリチウム−遷移金属複合酸化物としては、LiFePO,LiFeMn1−xPO(0≦x<1)を例示できる。
正極板3の導電材は、正極板3の電気伝導性を確保する。導電材としては、黒鉛の微粒子,アセチレンブラック,ケッチェンブラック,カーボンナノファイバーなどのカーボンブラック,ニードルコークスなどの無定形炭素の微粒子などを使用できるが、これらに限定されない。
正極板3の結着剤は、正極活物質粒子や導電材を結着する。結着剤としては、例えば、PVDF,EPDM,SBR,NBR,フッ素ゴムなどを使用できるが、これらに限定されない。
正極板3の溶媒としては、通常は結着剤を溶解する有機溶媒を使用する。例えば、NMP,ジメチルホルムアミド,ジメチルアセトアミド,メチルエチルケトン,シクロヘキサノン,酢酸メチル,アクリル酸メチル,ジエチルトリアミン,N−N−ジメチルアミノプロピルアミン,エチレンオキシド,テトラヒドロフランなどを挙げることができるが、これらに限定されない。また、水に分散剤、増粘剤などを加えてPTFEなどで正極活物質をスラリー化する場合もある。
正極集電体30は、例えば、アルミニウム,ステンレスなどの金属を加工したもの、例えば板状に加工した箔,網,パンチドメタル,フォームメタルなどを用いることができるが、これらに限定されない。
(非水電解質)
非水電解質6は、支持塩が有機溶媒に溶解してなるものを用いる。
非水電解質6の支持塩は、その種類が特に限定されるものではないが、LiPF,LiBF,LiClO及びLiAsFから選ばれる無機塩,これらの無機塩の誘導体,LiSOCF,LiC(SOCF及びLiN(SOCF,LiN(SO,LiN(SOCF)(SO),から選ばれる有機塩、並びにこれらの有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが望ましい。これらの支持塩は、電池性能を更に優れたものとすることができ、かつその電池性能を室温以外の温度域においても更に高く維持することができる。支持塩の濃度についても特に限定されるものではなく、用途に応じ、支持塩及び有機溶媒の種類を考慮して適切に選択することが好ましい。
支持塩が溶解する有機溶媒(非水溶媒)は、通常の非水電解質に用いられる有機溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えばカーボネート類,ハロゲン化炭化水素,エーテル類,ケトン類,ニトリル類,ラクトン類,オキソラン化合物等を用いることができる。特に、プロピレンカーボネート,エチレンカーボネート,1,2−ジメトキシエタン,ジメチルカーボネート,ジエチルカーボネート,エチルメチルカーボネート,ビニレンカーボネート等及びそれらの混合溶媒が適当である。例に挙げたこれらの有機溶媒のうち、特にカーボネート類,エーテル類からなる群より選ばれた1種以上の非水溶媒を用いることにより、支持塩の溶解性、誘電率及び粘度において優れ、電池の充放電効率が高いので、好ましい。
(電池ケース)
電池ケース7のラミネートフィルム70は、可塑性樹脂層701/金属箔702/可塑性樹脂層703をこの順で含むが、これらの層以外にも、樹脂層や金属層を含んでいてもよい。ラミネートフィルム70の表面や、各層の間には何らかの表面処理(プラズマ処理、酸処理、化学的処理など)を行い、それぞれの層間や接着される部材との間の接着性を向上することができる。そして熱融着する面には可塑性樹脂層を配設する。
2つの可塑性樹脂層701,703を構成する可塑性樹脂は、同じ材料であっても、異なる材料であっても、いずれでもよい。可塑性樹脂層701,703を構成する可塑性樹脂としては非水電解質に対して安定性が高い材料であることが望ましく、例えばポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル樹脂、ナイロン、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体などのフッ素樹脂、ポリカーボネートなどを単独で又は複数積層して又は複数混合(ポリマーアロイなどとして)用いることができる。金属箔702は、特に限定されないが、アルミニウム箔などを採用できる。
本形態では、電池ケース7にラミネートフィルム70よりなるラミネート外装体を用いているが、電池ケース7はラミネート外装体に限定されるものではない。すなわち、樹脂や金属のケースであってもよい。
電極端子72,73は、ラミネートフィルムとの接着性を向上する目的で表面処理を行ったり、金属製の電極端子72,73とその表面を被覆する可塑性樹脂層とから構成したりすることができる。電極端子72,73に行う表面処理としては、表面粗化などを行いアンカー効果を期待する物理的なものや、プラズマ処理やプライマー塗布によって化学的に表面を活性化したりするものが例示できる。
電極端子72,73は、その形状が限定されるものではないが、電極2,3との電流の流れを阻害しないためには、可能な限り幅が広い板状(箔状)であることが好ましい。電極端子72,73の幅が広くなると、蓄電要素5で発生した熱の放熱にも寄与できる。
電極端子72,73は、電極2,3の幅方向の中央部に接続されていることが好ましい。この構成によると、電極端子72,73から電極2,3の幅方向の両端部までの距離に偏りが生じなくなり、内部抵抗の増加による電池性能の低下が抑えられる。
[第二実施形態]
上記の形態では負極板2の欠損部23が方形状をなしているが、欠損部23の形状は、上記の形状に限定されるものではない。
(第二実施形態1)
本形態は、負極板2の欠損部23が図7に示した形状であること以外は、第一実施形態と同様なリチウムイオン二次電池である。
本形態の負極板2の欠損部23は、図に示したように、負極板2の一方の端部から未塗工部22方向に向かって、欠損部23の幅が階段状に縮小した形状(凸字状)をなすように形成されている。
本形態においても、第一実施形態と同様な効果を発揮できる。
さらに、本形態では、欠損部23の形状がセパレータ4の変形(幅方向の中央部が最も変形し、幅方向の端部側にかけて変形量が小さくなる略三角形の変形形状)に合わせた形状となり、欠損部23を過剰にもうける必要がなくなり、負極活物質層21を過剰に欠損させることが抑えられる。すなわち、負極活物質量の減少による電池性能の低下を抑えることができる。
(第二実施形態2)
本形態は、負極板2の欠損部23が図8に示した形状であること以外は、第一実施形態(第二実施形態1)と同様なリチウムイオン二次電池である。
本形態の負極板2の欠損部23は、図に示したように、負極板2の一方の端部から未塗工部22に向かって、欠損部の幅が徐々に縮小した、三角形状をなすように形成されている。
本形態においても、第二実施形態1と同様な効果を発揮できる。
(第二実施形態3)
本形態は、負極板2の欠損部23が図9に示した形状であること以外は、第一実施形態と同様なリチウムイオン二次電池である。
本形態の負極板2の欠損部23は、図に示したように、負極板2の一方の端部から未塗工部22に向かって、欠損部の幅が徐々に縮小した、弧状(半円形状)をなすように形成されている。
本形態においても、第二実施形態1と同様な効果を発揮できる。
さらに、本形態では、欠損部23が角部を持たない弧状をなすように形成されていることで、負極板2の損傷が抑えられる。具体的には、組み付け時等の負極板2の取り扱い時に、欠損部23に角部が存在すると、負極板2の湾曲に起因する応力がこの角部に集中する。過度に応力が集中すると、破損の起点となる。対して、本形態のように欠損部23が角部がない弧状となると、このような応力の集中が抑えられ、その結果としての負極板2の損傷が抑えられる。
[第三実施形態]
上記の各形態では負極板2の欠損部23は、負極板2が形成されないように形成されている。本発明の欠損部23は、上記の各形態のように負極板2が形成されていない状態だけを示すのではなく、電気的に欠損している状態も含む。電気的に欠損している状態とは、電気的に上記の各形態と同様な状態となるものであり、欠損部を電気的に絶縁して形成する態様を例示できる。本形態は、この電気的に欠損した状態の欠損部23を備えたリチウムイオン二次電池である。特に言及しない構成は、第一実施形態と同様なリチウムイオン二次電池である。
本形態は、図10に断面図で示したように、負極板2の欠損部23に対応する部分に、負極活物質層21を形成せず、当該部分に更に絶縁処理を施していること以外は、第一実施形態と同様なリチウムイオン二次電池である。
本形態の負極板2の欠損部23への絶縁処理は、セパレータ4の材質とは異なる樹脂(セパレータが収縮する温度で収縮がほとんど生じない樹脂)よりなる被膜24を形成することで行われる。
本形態においても、上記の各形態と同様な効果を発揮できる。
さらに、本形態では、欠損部23に対応した部分に負極集電体20及び樹脂被膜24を備えている。つまり、負極板2に物理的な欠損が存在しなくなっている。このことは、負極板2の強度の低下が抑えられていることを示す。
[第四実施形態]
本形態は、負極板2の欠損部23の形状が、蓄電要素5の積層方向での位置により異なること以外は、第一実施形態と同様なリチウムイオン二次電池である。
本形態の蓄電要素5は、複数の負極板2を備えている。蓄電要素5のうち、負極板2,2’の構成がわかるように、負極板2,2’を抜き出した状態を図11〜12に示した。図11は、積層した状態を示した図であり、図12は図11中のII−II線における断面図である。複数の負極板2のうち、蓄電要素5の積層方向の中央部に位置する負極板2は、欠損部23を有する。蓄電要素5の積層方向の両端部に位置する負極板2’は、欠損部23’を有する。欠損部23’は、図11〜12に示したように、欠損部23よりも小さく形成されている。
本形態においても、上記の各形態と同様な効果を発揮できる。
さらに、本形態は、エネルギー密度の低下が抑えられる。具体的には、本形態は、蓄電要素5の積層方向の中央部に位置する負極板2の欠損部23が、端部に位置する負極板2’の欠損部23’よりも大きく形成されている。蓄電要素5の積層方向の中央部は、端部よりも蓄熱が起こりやすい。すなわち、積層方向の中央部に位置するセパレータ4は、端部に位置するセパレータより高温にさらされる。このことは、積層方向の端部に位置するセパレータ4は、中央部に位置するセパレータと比較して、熱収縮の収縮量が小さくなる。すなわち、欠損部23’を小さくできる。このことは、負極活物質層21の面積を広くできることを示し、負極活物質の担持量を多くすることができることを示す。この結果、負極活物質量が少なくなることに起因するエネルギー密度の低下が抑えられる。
なお、リチウムイオン二次電池1を積層して組電池を形成する場合であって、ラミネート外装体同士が密着した状態で組み付けられる場合には、複数の蓄電要素5がラミネートフィルム70を介して積層した状態となる。このような場合には、蓄電要素5の積層体を上記の蓄電要素5と同様に扱ってもよい。
[第五実施形態]
上記の各形態では負極板2に欠損部23を形成したが、負極板2ではなく正極板3に同様な欠損部を形成してもよい。すなわち、本形態は、負極板2ではなく正極板3に同様な欠損部を形成した形態である。
本形態においても、上記の各形態と同様な効果を発揮できる。
なお、上記の第1〜第5の各実施形態は、適宜組み合わせることができる。
以下、実施例を用いて本発明を説明する。
実施例として、上記の第一実施形態のリチウムイオン二次電池を製造した。
[実施例]
(負極板)
負極活物質(黒鉛/SMG:98質量部),結着剤(スチレンブタジエンゴム/SBR:1質量部),結着剤(カルボキシメチルセルロース/CMC:1質量部)を混合して得られた負極ペーストを調製した。
負極ペーストを厚さ0.01mmの銅箔よりなる負極集電体20の両面に塗布、乾燥、圧縮し、0.0886mg/mmの片面目付け重量を有する負極活物質層21を得た。負極集電体20への負極ペーストの塗布は、負極集電体20の一方の端部側に負極活物質層21が形成され、他方の端部側に所定の幅で負極活物質層21が形成されていない未塗工部22が形成されるように行われた。
そして、一方の端部側の幅方向の中央部を切り落として、負極集電体20及び負極活物質層21が形成されていない欠損部23が形成された。欠損部23は、後述の表1に記載のT1,T2の方形状となるように形成されている。
以上により、負極板2が製造された。
得られた負極板2は、幅方向の長さが124mm,長手方向の長さが195mmの負極活物質層21を有している。
(正極板)
正極活物質(LiFePO:88質量部),アセチレンブラック(6質量部),PVDF(6質量部)を混合して得られた正極ペーストを調製した。
正極ペーストを厚さ0.015mmのアルミニウム箔よりなる正極集電体30の両面に塗布、乾燥、圧縮し、0.18mg/mmの片面目付け重量を有する正極活物質層31を備える正極板3を得た。
正極板3は、欠損部23を有していない負極板2と同様な構成で形成され、さらに、負極板2よりもわずかに大きく形成されている。
正極板3は、幅方向の長さが120mm,長手方向の長さが195mmの正極活物質層31を有している。
(セパレータ)
セパレータ4には、ポリエチレンよりなる厚さ0.016mmの多孔質膜が用いられた。セパレータ4は、85〜140℃での熱収縮率が20〜50%であった。セパレータ4は、幅方向の長さが126mm,長手方向の長さが215mmの方形状を有している。
(非水電解質)
非水電解質6には、EC:DMC:EMCが30:30:40の割合(vol%)になるように混合した混合溶媒に、LiPFを1mol%となるように溶解させたものが用いられた。
(蓄電要素)
蓄電要素5には、セパレータ4,負極板2,セパレータ4,正極板3を、この順序で複数積層させたものが用いられた(本例では26層)。電極板2,3及びセパレータ4の積層は、電極板2,3の長手方向の一方の端部(欠損部23が形成される端部)に合わせて積層された。
(リチウムイオン二次電池)
本実施例のリチウムイオン二次電池1は、蓄電要素5を非水電解質6とともに電池ケース7に封入して製造された。
[評価]
実施例のリチウムイオン二次電池1において、欠損部23の大きさ(幅方向の長さ)が異なる試験例を製造し、過充電試験,外部短絡試験,釘刺し試験を施した。
本発明の実施例に相当する各試験例1〜3の電池は、T1が2.5mmであった。そして、試験例1の電池はT2が36mm(全幅の29%),試験例2の電池はT2が63mm(全幅の50%),試験例3の電池はT2が90mm(全幅の73%)であった。
また、本発明の比較例に相当する試験例4の電池は、欠損部23を持たない電池(T1及びT2が0mm)であった。
(過充電試験)
UN38.3.4.7に規定の試験方法である。具体的には、リチウムイオン二次電池1をSOC100%まで満充電し、25℃に保持した状態で、20V,22Aの定電流定電圧充電(CC−CV充電)を24時間行い、その後、7日間二次電池1の状態を観察した。観察結果を表1に示した。
(外部短絡試験)
リチウムイオン二次電池1をSOC100%まで満充電し、25℃に保持した状態で、短絡抵抗5mΩで外部短絡を生じさせ、二次電池1の状態を観察した。観察結果を表1に合わせて示した。
(釘刺し試験)
リチウムイオン二次電池1にφ3mmのステンレスよりなる釘を80mm/secの速度で押しつけ、釘を貫通させて内部短絡を生じさせた。このときの二次電池1の状態を観察し、観察結果を表1に合わせて示した。
Figure 2016009547
表1に示したように、本発明の実施例に該当する試験例1〜3のリチウムイオン二次電池1は、いずれの試験においても発煙及び発火が見られなかった。すなわち、過充電や短絡が生じても、発煙や発火というより安全性に影響を及ぼす不具合が生じない。
これに対し、本発明の比較例に該当する試験例4のリチウムイオン二次電池1は、いずれの試験においても発煙及び発火が見られた。すなわち、欠損部23を有していない試験例4のリチウムイオン二次電池1は、発煙や発火がていることから、セパレータ4の収縮により内部短絡が生じていることがわかる。
さらに、試験後の試験例1及び試験例4のリチウムイオン二次電池1を分解して、セパレータ4と、それに隣接した負極を確認した。その結果、いずれの試験例でもセパレータ4に熱収縮が確認できた。そして、試験例4では図13に示したように、セパレータが熱収縮したことにより、負極板2(及び正極板3)が露出した状態となっていた。すなわち、セパレータ4による負極板2及び正極板3による絶縁が不十分となった。これに対し、試験例1では図6に示したように、セパレータが熱収縮しても、負極板2の欠損部23が、セパレータ4の熱収縮に対応した部分にもうけられており、負極板2と正極板3との接触(短絡)が抑えられている。
以上に示したように、本発明の実施例に該当する試験例1〜3のリチウムイオン二次電池1は、セパレータ4に収縮が生じても、内部短絡が抑えられた二次電池となっていることが確認できた。
1:リチウムイオン二次電池
2:負極板(電極板)
20:負極集電体 21:負極活物質層
22:未塗工部 23:欠損部
3:正極板(電極板) 30:正極集電体
31:正極活物質層 32:未塗工部
4:セパレータ
5:蓄電要素
6:非水電解質
7:電池ケース
72:負極端子(電極端子)
73:正極端子(電極端子)

Claims (5)

  1. 負極板(2)と正極板(3)がセパレータ(4)を介して配された蓄電要素(5)を有する電池(1)であって、
    該負極板と該正極板の少なくとも一方の電極板(2)は、略方形状の外形を有し、さらに、略方形状の辺の一辺の略中央部に、該電極板の一部が欠損した欠損部(23)を有することを特徴とする電池。
  2. 前記電極板は、集電体(20)と、該集電体の表面に配された電極活物質を有する電極活物質層部(21)と、該電極活物質層部が形成されていない未塗工部(22)と、を有し、
    前記欠損部は、該電極活物質層部の該未塗工部と背向する辺にもうけられている請求項1記載の電池。
  3. 前記一方の電極板は、負極板である請求項1〜2のいずれか1項に記載の電池。
  4. 非水電解質二次電池である請求項1〜3のいずれか1項に記載の電池。
  5. 前記非水電解質二次電池は、4〜66Ahの電池容量を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の電池。
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