本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(実施形態)
図1は、本実施形態に係る力覚センサを示す模式図である。力覚センサ1は、加えられた外力を検出することができる装置である。力覚センサ1は、例えば、ロボットの動きを規制するモータ等の回転機械に接続される。力覚センサ1は、加えられた外力の大きさおよび方向を検出し、加えられた外力の大きさおよび方向に応じた当該モータ等を制御する制御部に送る制御信号を送出することができる。
力覚センサ1は、筐体100と、基部10と、第1可動部21と、第2可動部22と、を有する。筐体100は、例えばアルミニウム等の金属で形成された円筒状の部材であって、遮光性を有している。基部10は、例えば筐体100の底面に固定された円盤状の板状部材であり、支持体30を備える。なお、基部10は、筐体100の底面と一体になっていてもよい。以下の説明において、基部10の中心軸Zrに平行なZ軸と、Z軸に対して直交するX軸、Z軸およびX軸に対して直交するY軸と、からなる直交座標系が用いられる。支持体30は、第1可動部21および第2可動部22を揺動可能に支持する。支持体30は、例えば、基部10の表面の中央部分に固定される。
図2は、本実施形態に係る基部、支持体および第2可動部を示す模式図である。図3は、本実施形態に係る支持体の構成を示す斜視図である。図4は、本実施形態に係る支持体および第1可動部を示す平面図である。図5は、本実施形態に係るシャフトおよび第2可動部を示す平面図である。図2に示すように、支持体30は、下部固定具31と、上部固定具32と、板バネ部33と、を有する。下部固定具31は、例えば、アルミニウム等の金属で形成された円筒状の部材であり、端面がZ軸に対して垂直になるように基部10に固定されている。上部固定具32は、例えば、アルミニウム等の金属で形成された円筒状の部材であり、端面がZ軸に対して垂直になるように板バネ部33を介して下部固定具31に固定されている。なお、支持体30は、ディスク型カップリングであってもよい。
図3に示すように、板バネ部33は、例えば、Z軸方向から見た形状が十字形であって、下部固定具31および上部固定具32に平行な板状の部材である。板バネ部33は、ベース部33xと、ベース部33xから突出する突出部33a、33b、33c、33dと、を有する。突出部33a、33bは、ベース部33xからX軸方向に向かって突出しており、突出部33c、33dは、ベース部33xからY軸方向に向かって突出している。突出部33a、33bの上部固定具32側の表面には、スペーサ37がそれぞれ接触している。スペーサ37は、上部固定具32と板バネ部33との間に隙間を生じさせるために設けられる部材であって、上部固定具32に変位が生じた場合に上部固定具32とともに移動することができる部材である。突出部33c、33dの下部固定具31側の表面には、スペーサ36がそれぞれ接触している。スペーサ36は、下部固定具31と板バネ部33との間に隙間を生じさせるために設けられる部材である。これにより、板バネ部33は、2つのスペーサ36を介して下部固定具31に支持されており、上部固定具32は、2つのスペーサ37を介して板バネ部33に支持されている。なお、ベース部33xと突出部33a、33b、33c、33dとは一体であってもよいし、別部材であってもよい。また、板バネ部33は、複数あってもよいし、突出部33a、33b、33c、33dの表面にそれぞれ配置されるスペーサ36、37は、複数であってもよい。
上部固定具32に外力が加わっていない場合、板バネ部33が下部固定具31および上部固定具32に平行であるため、下部固定具31から突出部33aまでの距離331は、下部固定具31から突出部33bまでの距離332と等しく、突出部33cから上部固定具32までの距離333は、突出部33dから上部固定具32までの距離334と等しくなっている。これに対して、上部固定具32に外力が加わった場合、突出部33a、33b、33c、33dは、上部固定具32の変位に応じて、スペーサ36またはスペーサ37が接触する位置よりもベース部33x側の部分が弾性変形する。具体的には、Y軸廻りのモーメントMyが上部固定具32に加わった場合、突出部33aの根元における仮想断面CS1よりスペーサ37側の部分がZ軸方向に下がるように変形し、突出部33bの根元における仮想断面CS2よりスペーサ37側の部分がZ軸方向に上がるように変形する。これにより、突出部33a、33bが下部固定具31に対して傾斜するため、距離331が距離332よりも小さくなる。その結果、上部固定具32が傾斜する。また、X軸廻りのモーメントMxが板バネ部33に加わった場合、突出部33cの根元における仮想断面CS3がZ軸方向に下がるように突出部33cが変形し、かつ突出部33dの根元における仮想断面CS4がZ軸方向に上がるように突出部33dが変形する。これにより、突出部33a、33bが下部固定具31に対して傾斜する。その結果、上部固定具32が傾斜することで、距離333が距離334よりも小さくなる。以上より、力覚センサ1に外力が加わった場合、上部固定具32は、板バネ部33の変形に応じて傾くことができる。
図4に示すように、上部固定具32は、Z軸方向に貫通する貫通孔32hと、Z軸に対して直交方向の開口部であるスリット32sと、を有する。このため、上部固定具32は、Z軸方向から見てC字形状となっている。また、上部固定具32は、スリット32sを挟んで対向する端面321および端面322を接続するボルト32cを有する。ボルト32cが締め付けられると、端面321から端面322までの距離が小さくなる。その結果、貫通孔32hの直径が小さくなる。これにより、ボルト32cは、貫通孔32hの直径を調節することができる。
第2可動部22は、ジョイントによってZ軸廻りに回転可能に支持体30に支持されている。ジョイントは、例えば、深溝玉軸受35と、シャフト11と、スラストころ軸受12と、を有する。図2に示すように、上部固定具32の貫通孔32hには、深溝玉軸受35が嵌め込まれている。深溝玉軸受35は、ボルト32cを緩めた状態で貫通孔32hに挿入された後、ボルト32cを締め付けて貫通孔32hの直径を小さくすることで固定されている。また、深溝玉軸受35の内輪の内側には、円柱状のシャフト11が圧入によって固定されている。シャフト11の一方側の端部は、貫通孔32hの内側に位置しており、他方側の端部は、上部固定具32の端面よりもZ軸方向に突出している。上部固定具32およびシャフト11に外力が加わると、上部固定具32およびシャフト11は、下部固定具31を支点としてシャフト11の中心軸が基部10の中心軸Zrに対して角度をなすように揺れ動く。以下の説明において、揺動するとの記載は、下部固定具31を支点としてシャフト11の中心軸が基部10の中心軸Zrに対して角度をなすように揺れ動くことを示す。なお、基部10が円盤状でない場合、揺動するとの記載は、下部固定具31を支点としてシャフト11の中心軸が基部10の表面に対して垂直な直線に対して角度をなすように揺れ動くことを意味する。
第2可動部22は、シャフト11の上部固定具32から突出している部分に固定されている。第2可動部22は、例えば、Z軸方向に貫通する貫通孔22hを有する円盤状の剛体である。第2可動部22は、貫通孔22hにシャフト11が圧入されることによって、基部10と平行になるように固定されている。また、例えば、スラストころ軸受12が、上部固定具32と第2可動部22との間に配置されている。第2可動部22は、深溝玉軸受35およびシャフト11によってZ軸廻りに回転可能に支持体30に支持されており、スラストころ軸受12によってより滑らかに回転可能に支持されている。一方、第2可動部22がZ軸廻りに回転しているとき、第1可動部21および基部10は、Z軸廻りに回転しない。なお、ジョイントは、スラストころ軸受12を有していなくてもよい。
図4に示すように、第1可動部21は、全体が円盤状の板状部材であり、上部固定具32の外周を囲むように固定されている。また、第1可動部21は、第2可動部22と平行になるように固定されている。例えば、第1可動部21は、半円筒状の剛体である第1可動部片21pを2つ含み、上部固定具32を挟むように配置された2つの第1可動部片21pをボルト21cで連結することにより上部固定具32に固定されている。なお、第1可動部21を固定する方法は、上述した方法に限らない。
以上により、図1に示すように、第1可動部21は、基部10に対向するように配置されており、第2可動部22は、第1可動部21に対向するように配置されている。力覚センサ1に外力が加わっていない状態においては、基部10、第1可動部21および第2可動部22は、互いに平行な状態を保っている。筐体100は、基部10、第1可動部21および第2可動部22を覆っている。これにより、筐体100は、基部10および第1可動部21の間の空間と第1可動部21および第2可動部22の間の空間に外部からの光の侵入を防いでいる。また、第1可動部21および第2可動部22は、板バネ部33を有する支持体30によって揺動可能に支持されている。また、第2可動部22は、ジョイント35によってZ軸廻りに回転可能に支持されている。また、本実施形態において、第1可動部21および第2可動部22は、基部10に対して鉛直方向で上側に配置されている。
図1に示すように、基部10は、第1センサ15を有する。第1センサ15は、例えば、フォトリフレクタであり、基部10の表面にセンサ台15bを介して固定されている。第1センサ15は、例えば、支持体30の外側に、中心軸Zrを中心とした周方向で等間隔に4つ配置されている。また、4つの第1センサ15のうち2つの第1センサ15は、X軸に平行な直線上に配置されており、残りの2つの第1センサ15は、Y軸に平行な直線上に配置されている。
図1に示すように、基部10は、ストッパー19を有する。ストッパー19は、第1センサ15よりもZ軸方向に突出する突出部である。例えば、ストッパー19は、第1センサ15の外側に、Z軸を中心とした周方向で等間隔に4つ配置されている。なお、ストッパー19は、第1センサ15の内側に配置されていてもよい。例えば、ストッパー19のZ軸方向の高さは、支持体30が弾性変形可能な荷重を超える荷重が力覚センサ1に加えられた場合に、先端が第1可動部21に接触するように調節されている。このため、第1可動部21および第2可動部22を揺動させる過大な外力が力覚センサ1に加えられた場合、ストッパー19は、支持体30に永久変形が生ずる事態を抑制することができる。
また、図1に示すように、第1可動部21は、第2可動部22と対向する表面に永久磁石24を有し、第2可動部22は、第1可動部21と対向する表面に2つの永久磁石25を有する。永久磁石24は、第1可動部21の表面から第2可動部22に向かって突出しており、永久磁石25は、第2可動部22の表面から第1可動部21に向かって突出している。また、Z軸方向から見て、永久磁石24および2つの永久磁石25が、中心軸Zrを中心とした同一円周上に配置されている。2つの永久磁石25は、永久磁石24に対して周方向の両側に等間隔で配置されている。
図6は、図5におけるA矢視図である。永久磁石24は、例えば、接着剤によってベース24bを介して第1可動部21に固定されている。永久磁石24は、Z軸方向にN極およびS極が並ぶように配置されている。永久磁石25は、例えば、接着剤によってベース25bを介して第2可動部22に固定されている。永久磁石25は、Z軸方向にN極およびS極が並ぶように配置されている。また、永久磁石24および永久磁石25は、互いのS極同士およびN極同士が周方向に対向するように配置されている。これにより、力覚センサ1に外力が加わっていない場合、永久磁石24および永久磁石25の反発力の釣り合いによって、第1可動部21に対する第2可動部22のZ軸廻りの相対回転角度が固定される。また、外力によって第2可動部22がZ軸廻りに回転した場合、永久磁石24および永久磁石25は、互いの距離が近づくことで反発力を増大させ、外力に対する反力を生じさせる。そして、外力が取り除かれると、第1可動部21に対する第2可動部22のZ軸廻りの相対回転角度は、外力が加わっていないときの角度に戻る。なお、永久磁石24および永久磁石25によって生じる反発力は、永久磁石24および永久磁石25の磁力の調節、ベース24bおよびベース25bのZ軸方向の高さの調節、等によって調節することができる。
また、図1に示すように、第1可動部21は、第2可動部22と対向する表面にストッパー26を有し、第2可動部22は、第1可動部21と対向する表面にストッパー27を有する。ストッパー26は、第1可動部21の表面から第2可動部22に向かって突出している。ストッパー27は、第2可動部22の表面から第1可動部21に向かって突出している。また、Z軸方向から見て、ストッパー26およびストッパー27が、中心軸Zrを中心とした同一円周上に配置されている。ストッパー26とストッパー27との周方向の距離Dlは、永久磁石24と永久磁石25との周方向の距離Dmよりも小さくなっている。これにより、外力によって第2可動部22がZ軸廻りに回転した場合、永久磁石24と永久磁石25とが接触する前にストッパー26とストッパー27とが接触する。このため、ストッパー26およびストッパー27は、永久磁石24と永久磁石25とが衝突して破損する事態を抑制することができる。
図1に示すように、第1可動部21は、基部10に対向する表面に反射板16を有する。反射板16は、4つの第1センサ15のそれぞれに対向する位置に配置されている。例えば、反射板16の表面の光に対する反射率は、一様であり、4つの反射板16の反射率は、互いに等しい。フォトリフレクタである第1センサ15は、受光部と発光部を有し、光を発することができかつ当該光の反射光強度を検出することができる。第1センサ15は、受光部と発光部が第1可動部21の方向を向くように固定されている。第1センサ15の発光部が発した光は、反射板16で反射して第1センサ15の受光部に入射する。第1センサ15は、検出した反射光強度の大きさに応じて、出力電圧を変化させる。
第1センサ15が検出する反射光強度は、第1センサ15から反射板16までの距離および反射板16の反射率に応じて変化する。力覚センサ1に外力が加わっていない場合、基部10、第1可動部21および第2可動部22が互いに平行であるため、4つの第1センサ15とそれぞれの第1センサ15に対向する反射板16との距離は、互いに等しい距離Dzとなっている。4つの反射板16の反射率が互いに等しいため、力覚センサ1に外力が加わっていない場合、4つの第1センサ15が検出する反射光強度は、互いに等しくなっている。
図7は、フォトリフレクタの特性を示すグラフである。図7の横軸はフォトリフレクタ(本実施形態における第1センサ15)から反射対象物(本実施形態に係る反射板16)までの距離であり、図7の縦軸はフォトリフレクタが検出する反射光強度である。図7に示すように、フォトリフレクタが検出する反射光強度は、反射対象物との距離が焦点距離fdのときに最も大きくなる。フォトリフレクタから反射対象物までの距離が焦点距離fdよりも小さい場合、フォトリフレクタから反射対象物までの距離が大きくなるにしたがって反射光強度が大きくなる。すなわち、反射光強度がフォトリフレクタから反射対象物までの距離に比例する。この理由は、フォトリフレクタから反射対象物までの距離が非常に小さい場合には反射対象物で反射された光が十分に受光部に届かなくなるためである。一方、フォトリフレクタから反射対象物までの距離が焦点距離fdよりも大きい場合、フォトリフレクタから反射対象物までの距離が大きくなるにしたがって反射光強度が小さくなる。すなわち、反射光強度がフォトリフレクタから反射対象物までの距離に反比例する。この理由は、反射対象物で反射された光のうち受光部に届く光の割合が低下するためである。また、図7に示すように、フォトリフレクタから反射対象物までの距離の変化に対する反射光強度の変化は、フォトリフレクタから反射対象物までの距離が焦点距離fdよりも小さい場合の方が急峻である。
本実施形態に係る力覚センサ1においては、第1センサ15から反射板16までの距離が第1センサ15の焦点距離より小さくされている。このため、本実施形態に係る第1センサ15が検出する反射光強度は、第1センサ15から反射板16までの距離に比例する。そして、第1センサ15から反射板16までの距離の変化に対する反射光強度の変化が急峻であるため、力覚センサ1は、第1センサ15から反射板16までの距離の微小な変化を高い分解能で検出することができる。
図8は、本実施形態に係る力覚センサにY軸廻りのモーメントが加えられた場合を示す模式図である。なお、図面上で変形をわかりやすくするため、図8では、ストッパー19の記載が省略されている。Y軸廻りのモーメントMyは、第1可動部21および第2可動部22を揺動させる第1の分力である。力覚センサ1にY軸廻りのモーメントMyが加えられた場合、支持体30の板バネ部33が変形することで、第1可動部21および第2可動部22は、揺動しYZ平面に対して所定の角度θだけ傾斜する。このため、第1可動部21は、XY平面に対して角度θだけ傾斜する。第1可動部21および第2可動部22が一緒に揺動するので、第1可動部21および第2可動部22は、平行な状態を保っている。また、第1可動部21は、基部10に対して傾斜している。その結果、X軸に平行な直線上に配置された2つの第1センサ15のうち一方の第1センサ15から当該第1センサ15に対向する反射板16までの距離Dz1は、距離Dzよりも大きくなる。X軸に平行な直線上に配置された2つの第1センサ15のうち他方の第1センサ15から当該第1センサ15に対向する反射板16までの距離Dz2は、距離Dzよりも小さくなる。具体的には、中心軸Zrから各第1センサ15までの距離Dsを用いて、距離Dz1は、距離DzよりもDs×tanθだけ大きくなり、距離Dz2は、距離DzよりもDs×tanθだけ小さくなる。これにより、X軸に平行な直線上に配置された2つの第1センサ15が検出する反射光強度に差が生じる。力覚センサ1は、当該反射光強度の差によって、加えられたY軸廻りのモーメントMyの大きさおよび方向を検出する。
力覚センサ1にX軸廻りのモーメントが加えられた場合、力覚センサ1は、Y軸に平行な直線上に配置された2つの第1センサ15が検出する反射光強度の差によって、加えられたX軸廻りのモーメントの大きさおよび方向を検出する。第1センサ15と反射板16との距離の説明は、力覚センサ1にY軸廻りのモーメントMyが加えられた場合と同様であるため省略する。
図1に示すように、第1可動部21は、第2可動部22に対向する表面に第2センサ28を有し、第2可動部22は、第1可動部21に対向する表面に反射板29を有する。第2センサ28は、例えば、フォトリフレクタであり、発光部および受光部が第2可動部22の方向を向くように固定されている。反射板29は、第2センサ28に対向する位置に配置されている。
図9は、本実施形態に係る第2センサおよび反射板を示す模式図である。反射板29は、例えば、紙製の板状部材であって、高反射率領域29wと、高反射率領域29wよりも光の反射率が小さい低反射率領域29bと、を有する。高反射率領域29wは、例えば、白色に塗装された扇形の領域である。低反射率領域29bは、例えば、黒色に塗装された扇形の領域である。高反射率領域29wおよび低反射率領域29bは、径方向に平行な境界線29lで区切られている。例えば、第2センサ28は、高反射率領域29wおよび低反射率領域29bの両方に対向するように配置されている。また、例えば、第2センサ28の発光部は、Z軸方向から見て、境界線29lに重なるように配置されている。
図10は、図9におけるB矢視図である。図10中の二点鎖線で示すように、第2センサ28の発光部は、反射板29に向かって放射状に光を発する。力覚センサ1に外力が加わっていない場合、第2センサ28の発光部は、高反射率領域29wおよび低反射率領域29bを等しい面積ずつ光を照射する。すなわち、図10に示すように、高反射率領域29wのうち光が照射される領域Aw1は、低反射率領域29bのうち光が照射される領域Ab1に等しい。
図11は、本実施形態に係る力覚センサにZ軸廻りのモーメントが加えられた場合を示す模式図である。図12は、図11におけるC矢視図である。Z軸廻りのモーメントMzは、第2可動部22を回転させる第2の分力である。力覚センサ1にZ軸廻りのモーメントMzが加えられた場合、第2可動部22は、Z軸廻りに回転する。第2可動部22のZ軸廻りの回転にしたがって、第2センサ28に対する反射板29の相対位置が変化する。このため、図12に示すように、高反射率領域29wのうち光が照射される領域Aw2は、低反射率領域29bのうち光が照射される領域Ab2よりも大きくなる。高反射率領域29wは低反射率領域29bに比べて光の反射率が大きいため、第2センサ28の受光部が検出する反射光強度が大きくなる。力覚センサ1は、当該反射光強度の変化によって、加えられたZ軸廻りのモーメントMzの大きさおよび方向を検出する。
なお、上述した説明とは逆方向にZ軸廻りのモーメントが力覚センサ1に加えられた場合、高反射率領域29wのうち光が照射される領域は、低反射率領域29bのうち光が照射される領域よりも小さくなる。低反射率領域29bは高反射率領域29wに比べて光の反射率が小さいため、第2センサ28の受光部が検出する反射光強度が小さくなる。
図13は、本実施形態に係る第1検出部および第2検出部の構成を示す模式図である。力覚センサ1は、第1検出部61と、第2検出部62と、を有している。第1検出部61および第2検出部62は、モータ等の回転機械の制御部41と接続されている。第1検出部61および第2検出部62は、力覚センサ1に加えられた外力の情報である外力データP1、P2を制御部41へ出力する。第1検出部61は、第1センサ15と、AD変換部51と、距離演算部53と、力演算部55と、を有する。第2検出部62は、第2センサ28と、AD変換部52と、角度演算部54と、力演算部56と、を有する。4つの第1センサ15は、それぞれが検出した反射光強度に応じて出力電圧S11、S12、S13、S14をAD変換部51に送る。第2センサ28は、検出した反射光強度に応じて出力電圧S2をAD変換部52に送る。AD変換部51、52、距離演算部53、角度演算部54および力演算部55、72は、例えば、1つの演算処理部42に備えられる。なお、AD変換部51、距離演算部53および力演算部55が1つの演算処理部に備えられ、AD変換部52、角度演算部54および力演算部56が異なる演算処理部に備えられてもよい。
図14は、本実施形態に係る演算処理部の構成図である。演算処理部42は、マイクロコンピュータ(マイコン)等のコンピュータであり、入力インターフェース42aと、出力インターフェース42bと、CPU(Central Processing Unit)42cと、ROM(Read Only Memory)42dと、RAM(Random Access Memory)42eと、内部記憶装置42fと、を含んでいる。入力インターフェース42a、出力インターフェース42b、CPU42c、ROM42d、RAM42eおよび内部記憶装置42fは、内部バスに接続されている。
入力インターフェース42aは、第1センサ15からの出力電圧S1および第2センサ28からの出力電圧S2を受け取り、CPU42cに出力する。出力インターフェース42bは、CPU42cから外力データP1、P2を受け取り、制御部41に出力する。
ROM42dには、BIOS(Basic Input/Output System)等のプログラムが記憶されている。内部記憶装置42fは、例えばHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等であり、オペレーティングシステムプログラムやアプリケーションプログラムを記憶している。CPU42cは、RAM42eをワークエリアとして使用しながらROM42dや内部記憶装置42fに記憶されているプログラムを実行することにより、種々の機能を実現する。
内部記憶装置42fは、4つの出力電圧S11、S12、S13、S14と4つの第1センサ15から反射板16までの距離とを対応付けた距離データベースと、出力電圧S2と第1可動部21に対する第2可動部22の相対回転角度とを対応付けた角度データベースとを記憶している。また、内部記憶装置42fは、4つの第1センサ15から反射板16までの距離と第1の分力の大きさおよび方向とを対応付けた第1の分力データベースと、第1可動部21に対する第2可動部22の相対回転角度と第2の分力の大きさおよび方向とを対応付けた第2の分力データベースと、が記憶されている。
AD変換部51、52は、入力インターフェース42aを用いてアナログデータである出力電圧S11、S12、S13、S14、S2をデジタル変換する。距離演算部53は、CPU42cがRAM42eを一時記憶のワークエリアとして使用しながら、内部記憶装置42fに記憶された距離データベースに出力電圧S11、S12、S13、S14を与えて、4つの第1センサ15から反射板16までの距離を導出する演算処理を行う。角度演算部54は、CPU42cがRAM42eを一時記憶のワークエリアとして使用しながら、内部記憶装置42fに記憶された角度データベースに出力電圧S2を与えて、第1可動部21に対する第2可動部22の相対回転角度を導出する演算処理を行う。力演算部55は、CPU42cがRAM42eを一時記憶のワークエリアとして使用しながら、内部記憶装置42fに記憶された第1の分力データベースに距離演算部53出力を与えて、第1の分力の大きさおよび方向を導出する演算処理を行う。力演算部56は、CPU42cがRAM42eを一時記憶のワークエリアとして使用しながら、内部記憶装置42fに記憶された第2の分力データベースに角度演算部54出力を与えて、第2の分力の大きさおよび方向を導出する演算処理を行う。また、力演算部55、72は、出力インターフェース42bを介して制御部41へ外力データP1、P2を出力する。外力データP1は、第1可動部21および第2可動部22を揺動させる外力の大きさおよび方向のデータである。外力データP2は、第2可動部22を回転させる外力の大きさおよび方向のデータである。
力覚センサ1は、第1検出部61を用いて、第1可動部21および第2可動部22を揺動させる第1の分力である図8に示したモーメントMyを検出することができる。力覚センサ1にモーメントMyが加えられたとき、図8で示した距離Dz1が距離Dzよりも大きくなるため、反射板16と距離Dz1だけ離れた第1センサ15が検出する反射光強度は、力覚センサ1に外力が加えられていない場合に比較して、大きくなる。このため、当該第1センサ15の出力電圧S11が大きくなる。一方、図8で示した距離Dz2が距離Dzよりも小さくなるため、反射板16と距離Dz2だけ離れた第1センサ15が検出する反射光強度は、力覚センサ1に外力が加えられていない場合に比較して、小さくなる。このため、当該第1センサ15が出力する出力電圧S12が小さくなる。そして、X軸に平行な直線上に配置された2つの第1センサ15から、2つの出力電圧S11、S12がAD変換部51へ送られる。
アナログデータである2つの出力電圧S11、S12は、AD変換部51によりデジタル変換され、距離演算部53へ送られる。距離演算部53は、デジタル変換された2つの出力電圧S11、S12を、距離データベースに与え、距離Dz1、Dz2のデータを得たのち、距離Dz1、Dz2のデータを力演算部55に送る。力演算部55は、距離Dz1および距離Dz2の差とモーメントMyの大きさおよび方向とを対応付けた第1の分力データベースに距離Dz1、Dz2のデータを与え、モーメントMyのデータを得たのち、モーメントMyの大きさおよび方向のデータを外力データP1として制御部41へ送る。以上の方法により、力覚センサ1は、第1検出部61により、モーメントMyを検出することができる。なお、力覚センサ1にX軸廻りのモーメントが加えられた場合も、Y軸に平行な直線上に配置された2つの第1センサ15の出力電圧S13、S14に基づいて、同様の方法で検出できる。
力覚センサ1は、第2検出部62を用いて、第2可動部22を回転させる第2の分力である図11に示したモーメントMzを検出することができる。力覚センサ1にモーメントMzが加えられた場合、第2可動部22のZ軸廻りの回転にしたがって第2センサ28に対する反射板29の相対位置が変化する。これにより、第2センサ28の受光部が検出する反射光強度が変化する。このため、第2センサ28の出力電圧S2が変化する。当該出力電圧S2は、AD変換部52へ送られる。
アナログデータである出力電圧S2は、AD変換部52によりデジタル変換され、角度演算部54へ送られる。角度演算部54は、デジタル変換された出力電圧S2を、角度データベースに与え、第1可動部21に対する第2可動部22の相対回転角度のデータを得たのち、当該相対回転角度のデータを力演算部56に送る。力演算部56は、第1可動部21に対する第2可動部22の相対回転角度とモーメントMzの大きさおよび方向とを対応付けた第2の分力データベースに当該相対回転角度のデータを与え、モーメントMzのデータを得たのち、モーメントMzのデータを外力データP2として制御部41へ送る。以上の方法により、力覚センサ1は、第2検出部62により、モーメントMzを検出することができる。
よって、第1可動部21および第2可動部22を揺動させる第1の分力が加わった場合、力覚センサ1は、第1可動部21および第2可動部22の基部10に対する相対的な変位に基づいた演算を行う第1検出部61により、第1の分力を検出することができる。また、第2可動部22を回転させる第2の分力が加わった場合、力覚センサ1は、第2可動部22の第1可動部21に対する相対的な変位に基づいた演算を行う第2検出部62により、第2の分力を検出することができる。すなわち、力覚センサ1は、第1検出部61により、X軸廻りのモーメントおよびY軸廻りのモーメントを検出することができ、第2検出部62により、Z軸廻りのモーメントを検出することができる。
力覚センサ1に外力が加えられたとき、出力電圧S11、S12、S13、S14は、第1可動部21および第2可動部22を揺動させる第1の分力に関する情報を有している。一方、出力電圧S2は、第2可動部22を回転させる第2の分力に関する情報を有している。このように、出力電圧S11、S12、S13、S14と出力電圧S2とは、同じ外力に含まれる多方向の分力のうち互いに異なる方向の分力に関する情報を有している。このため、出力電圧S11、S12、S13、S14および出力電圧S2のそれぞれが有する分力の方向に関する情報は、従来技術に比べ少ない。力覚センサ1は、互いに異なる方向の分力に関する情報を有する出力電圧S11、S12、S13、S14および出力電圧S2をそれぞれ個別に演算することで、互いに異なる方向の分力である第1の分力と第2の分力とを検出する。このため、力覚センサ1は、外力を検出するための演算処理を容易にすることで検出の応答性を向上させることができる。
図15は、本実施形態に係る力覚センサにZ軸に平行な軸方向力が加えられた場合を示す模式図である。力覚センサ1は、第1可動部21を基部10に向かって平行移動させる外力を検出することができる。第1可動部21を基部10に向かって平行移動させる外力は、図15に示すZ軸に平行な軸方向力Fzである。
力覚センサ1にZ軸に平行な軸方向力Fzが加えられた場合、支持体30に備えられた板バネ部33は、図3で示した突出部33a、33bが一様にZ軸方向に下がるように変形する。このため、支持体30の上部固定具32に固定された第1可動部21は、基部10に平行な状態を保ったままZ軸方向に移動する。その結果、4つの第1センサ15とそれぞれの第1センサ15に対向する反射板16との距離は、図1に示した距離Dzよりも小さくなる。すなわち、図15に示すように、X軸に平行な直線上に配置された2つの第1センサ15とそれぞれの第1センサ15に対向する反射板16との距離Dz5、Dz6は、ともに距離Dzよりも小さくなる。また、Y軸に平行な直線上に配置された2つの第1センサ15とそれぞれの第1センサ15に対向する反射板16との距離をそれぞれ距離Dz7、Dz8とすると、距離Dz7、Dz8は、ともに距離Dzよりも小さくなる。
上述したように、第1センサ15が検出する反射光強度は、第1センサ15から反射板16までの距離および反射板16の反射率に応じて変化する。また、反射板16の反射率は、一定である。このため、力覚センサ1にZ軸に平行な軸方向力Fzが加えられた場合、4つの第1センサ15が検出する反射光強度は、一様に小さくなる。力覚センサ1の第1検出部61は、4つの第1センサ15が検出する反射光強度の一様に小さくなる変化から、Z軸に平行な軸方向力Fzが加えられていることを判断し、例えば、距離Dz5、Dz6、Dz7、Dz8の平均値から軸方向力Fzの大きさを検出することができる。
距離演算部53は、4つの第1センサ15の出力電圧S11、S12、S13、S14に基づいて4つの出力を演算する。また、内部記憶装置42fは、距離Dz5、Dz6、Dz7、Dz8の平均値と軸方向力Fzの大きさとを対応付けた軸方向力データベースを記憶している。距離演算部53が距離として出力する4つの出力がいずれも距離Dzよりも小さい場合、力演算部55は、内部記憶装置42fに記憶された軸方向力データベースに距離演算部53の出力の平均値を与えて、軸方向力Fzの大きさを導出する演算処理を行う。そして、力演算部55は、Z軸に平行な軸方向力として外力データP1を制御部41へ出力する。これにより、力覚センサ1は、力覚センサ1に加えられる軸方向力Fzを検出することができる。
また、力覚センサ1において、支持体30は、互いに隙間を空けて対向するように連結された複数の板バネ部33を有していることが好ましい。例えば、複数の板バネ部33は、各板バネ部33における突出部33aおよび突出部33bまたは突出部33cおよび突出部33dに配置されたスペーサを介してZ軸方向に重ねられることで、互いに隙間を空けて対向するように連結される。これにより、力覚センサ1に第1可動部21を基部10に向かって平行移動させる外力が加えられた場合、それぞれの板バネ部33が変形することができる。このため、板バネ部33の数が多くなるほど、第1可動部21が基部10に向かって平行移動できる量が多くなる。よって、力覚センサ1は、第1可動部21を基部10に向かって平行移動させる外力が加えられた場合の第1可動部21の移動量を調節することができる。また、力覚センサ1は、人間である操作者によって直接外力を与えられることで操作される可能性がある。よって、力覚センサ1は、第1可動部21を基部10に向かって平行移動させる外力が操作者によって加えられる場合に、操作者に第1可動部21の移動を知覚させやすくすることで、操作性を向上させることができる。
なお、力覚センサ1は、永久磁石24、25に代えて、コイルばね等の弾性体を有していてもよい。例えば、力覚センサ1がコイルばねを有する場合、コイルばねの一方の端部が第1可動部21に固定され、他方の端部が第2可動部22に固定されていればよい。これにより、第1可動部21に対する第2可動部22の相対回転角度が変化すると、コイルばねが伸縮して弾性力を生じるため、当該相対回転角度が規制される。
なお、第1センサ15および反射板16が配置される位置は、上述した説明とは逆であってもよい。すなわち、第1センサ15が第1可動部21に設けられ、反射板16が基部10に設けられていてもよい。また、第2センサ28および反射板29が配置される位置は、上述した説明とは逆であってもよい。すなわち、第2センサ28が第2可動部22に設けられ、反射板29が第1可動部21に設けられていてもよい。
なお、反射板16は、光に対する反射率が一様であればよく、材質、表面性状、色等の制限はない。また、第1可動部21の基部10側の表面の反射率が一様である場合、反射板16は、なくてもよい。
なお、反射板29は、高反射率領域29wおよび低反射率領域29bに代えて、光を多方向に拡散させる拡散領域および光を入射方向に反射する再帰性反射領域を有していてもよい。再帰性反射領域の光の反射率は、拡散領域の光の反射率よりも大きいため、力覚センサ1にZ軸廻りのモーメントが加えられた場合、第2センサ28が検出する反射光強度が変化する。また、反射板29は、高反射率領域29wおよび低反射率領域29bに代えて、Z軸に対する周方向で段階的に反射率が異なるグラデーション領域を有していてもよい。
なお、第2可動部22は、反射板29に代えて、第1可動部21側の表面の一部を段階的に突出させるまたは段階的に窪ませることによって傾斜面を有していてもよい。このようにした場合、力覚センサ1にZ軸廻りのモーメントが加えられたとき、第2センサ28と当該傾斜面との距離が変化するため、第2センサ28が検出する反射光強度が変化する。
なお、本実施形態において、第1検出部61は、必ずしも4つの第1センサ15を有する必要はない。第1検出部61は、少なくとも3つ以上の第1センサ15を有していればよい。
ところで、特許文献1〜3で示されるように、力覚センサに用いられる複数の光学式センサは、それぞれ発光素子および受光素子を備えている。発光素子には、例えばLED(Light Emitting Diode)が用いられ、受光素子には、例えばPD(Photo Diode)が用いられる。しかしながら、LEDおよびPDには個体差があるため、LEDが放つ光量およびPDにおける単位受光量あたりの出力電圧は一定ではない。また、LEDおよびPDを力覚センサに取り付けるときに、取付誤差が生じる可能性がある。これにより、固定部および可動部の相対的な変位量とPDの出力電圧との相関関係が、複数の光学式センサ同士の間でバラつく可能性がある。このため、力覚センサが測定する外力に誤差が生じる可能性があった。
これに対して、発光素子および受光素子に起因する測定誤差を抑制するため、本実施形態に係る力覚センサ1は、検出回路200を備えている。図16は、本実施形態に係る検出回路の構成を示す模式図である。図16に示すように、検出回路200は、4つの発光側回路17および4つの受光側回路18を含む。1つの発光側回路17と1つの受光側回路18とが一対となっている。このため、検出回路200は、4対の発光側回路17および受光側回路18を備えている。
発光側回路17は、例えば電源171と、発光素子172と、固定抵抗器173と、発光側可変抵抗器174を備える。本実施形態に係る発光側回路17においては、電源171、発光素子172、固定抵抗器173、発光側可変抵抗器174の順でそれぞれが電気的に接続されている。そして、発光側可変抵抗器174の一端が接地されている。受光側回路18は、例えば電源181と、受光素子182と、固定抵抗器183と、受光側可変抵抗器184を備える。本実施形態に係る受光側回路18においては、電源181、受光素子182、固定抵抗器183、受光側可変抵抗器184の順でそれぞれが電気的に接続されている。そして、受光側可変抵抗器184の一端が接地されている。
なお、発光側回路17における電源171、発光素子172、固定抵抗器173および発光側可変抵抗器174の接続順は、電源171と接地点との間に発光素子172、固定抵抗器173および発光側可変抵抗器174が配置されていればよく、必ずしも上述した順でなくてもよい。受光側回路18における電源181、受光素子182、固定抵抗器183および受光側可変抵抗器184の接続順は、電源181と接地点との間に受光素子182、固定抵抗器183および受光側可変抵抗器184が配置されていればよく、必ずしも上述した順でなくてもよい。
電源171は、例えば5Vの電圧を印加する直流電源である。発光素子172は、上述した説明における第1センサ15の発光部に該当し、例えばLEDである。発光側回路17は、電源171により発光素子172に電圧を印加し、固定抵抗器173の抵抗および発光側可変抵抗器174の抵抗の和に応じた光量で発光素子172を発光させる。発光側可変抵抗器174は、例えばデジタル可変抵抗器である。4つの発光側可変抵抗器174は、それぞれ発光側抵抗制御部175を備えており、発光側抵抗制御部175から送信されるデジタル信号に基づいて抵抗の大きさを変化させかつ抵抗を所定値に保持することができる。これにより、検出回路200は、4つの発光側可変抵抗器174を別々に調節することにより、4つの発光素子172が放つ光E11、E12、E13、E14の大きさを別々に調節することができる。
電源181は、例えば5Vの電圧を印加する直流電源である。受光素子182は、上述した説明における第1センサ15の受光部に該当し、例えばPDである。電源181により受光素子182に電圧が印加されている状態で、発光素子172が放つ光を受光素子182が受け取ると、受光素子182に出力電圧が生じる。受光側回路18は、第1センサ15から反射板16までの距離と固定抵抗器173の抵抗および発光側可変抵抗器174の抵抗の和に応じた大きさで受光素子182から出力される出力電圧を検出する。受光側可変抵抗器184は、例えばデジタル可変抵抗器である。4つの受光側可変抵抗器184は、それぞれ受光側抵抗制御部185を備えており、受光側抵抗制御部185から送信されるデジタル信号に基づいて抵抗の大きさを変化させかつ抵抗を所定値に保持することができる。これにより、検出回路200は、4つの受光側可変抵抗器184を別々に調節することにより、4つの受光素子182が出力する出力電圧S11、S12、S13、S14の大きさを別々に調節することができる。
4つの発光側可変抵抗器174および4つの受光側抵抗制御部185を適切に調節するためには、図1に示した距離Dzと出力電圧S11、S12、S13、S14との相関関係を高い精度で求める必要がある。この相関関係を求めた上で発光側可変抵抗器174および受光側抵抗制御部185を適切に調節するため、本実施形態に係る力覚センサ1には、キャリブレーション装置8が用いられる。
図17は、本実施形態に係るキャリブレーション装置を示す模式図である。本実施形態に係るキャリブレーション装置8は、直動機構80と、第1アーム84と、第2アーム85と、補正処理部9と、を備える。直動機構80は、筐体87と、直動シャフト81と、回転シャフト82と、モータ83と、を備える。筐体87は、例えば略直方体状であって上面が開口している。直動シャフト81は、例えば円筒状の部材であって、内壁に雌ねじを有している。直動シャフト81の一端は、軸方向に移動可能な状態で筐体87に支持されている。回転シャフト82は、例えば円柱状の部材であって、表面に雄ネジを有している。回転シャフト82の一端が直動シャフト81の他端に挿入されており、直動シャフト81の雌ねじと回転シャフト82の雄ねじとが螺合している。回転シャフト82の他端は、モータ83に連結されている。これにより、モータ83が駆動すると、回転シャフト82が回転し、直動シャフト81が軸方向に移動する。
第1アーム84は、例えば板状部材であって、直動シャフト81の軸方向に対して直交する表面である第1平面841を有する。第1アーム84の一端は、直動シャフト81の表面に固定されている。これにより、直動シャフト81が軸方向に移動すると、第1アーム84は直動シャフト81の軸方向に直動運動することができる。
第2アーム85は、例えば板状部材であって、第1平面841に平行な第2平面851を有する。第2アーム85の一端は、筐体87の表面に固定されている。これにより、直動シャフト81が軸方向に移動しても、第2アーム85は移動しない。このため、直動シャフト81が軸方向に移動すると、第1平面841から第2平面851までの距離が変化する。また、第2平面851には、図1で示したシャフト11と略同径の窪みが設けられている。
補正処理部9は、マイクロコンピュータ(マイコン)等のコンピュータであり、図14で示した演算処理部42と同様に、入力インターフェースと、出力インターフェースと、CPUと、ROMと、RAMと、内部記憶装置と、を含んでいる。補正処理部9は、発光側回路17および受光側回路18に対して信号を送受信することができる。
図1に示した距離Dzと出力電圧S11、S12、S13、S14との相関関係を求める際、図17に示すように、第1アーム84と第2アーム85との間の位置に力覚センサ1が配置される。力覚センサ1は、例えば治具86を介して筐体87の上に載置されている。本実施形態において、力覚センサ1は、基部10が第1平面841に対向し、かつ基部10が第1平面841に平行になるように配置されている。力覚センサ1に外力が加わっていないときは基部10、第1可動部21および第2可動部22は互いに平行であるため、第1平面841、基部10、第1可動部21、第2可動部22および第2平面851は、互いに平行になっている。また、力覚センサ1は、キャリブレーション装置8に配置されるとき、図1で示したストッパー19を備えていない。
図18は、第1アームと第2アームとの距離を狭くしたときのキャリブレーション装置を示す模式図である。第1アーム84と第2アーム85との間の位置に力覚センサ1が配置された状態で、第1アーム84が第2アーム85に接近する方向に直動運動すると、図18に示すように、力覚センサ1が第1アーム84および第2アーム85に挟まれて保持される。この時、第2可動部22から突出するシャフト11は、上述した第2平面851の窪みに収まる。治具86は不要となるため取り除かれる。さらに第1アーム84が直動運動すると、基部10および第1可動部21が平行を保ったまま接近する。すなわち、図15に示した軸方向力Fzだけが力覚センサ1に作用する状態となる。このため、4つの第1センサ15の各々から反射板16までの距離が一様に小さくなる。
図19は、第1アームおよび第2アームが力覚センサを挟んだ状態での各部の寸法を示す模式図である。補正処理部9は、第1アーム84の位置を検出することで、第1平面841から第2平面851までの距離δ4を検出することができる。また、基部10の底面から第1センサ15の端部までの距離δ2は一定であり、反射板16の表面から第2可動部22の上面までの距離δ3も一定である。補正処理部9は、予め距離δ2および距離δ3を記憶している。したがって、補正処理部9は、距離δ4から距離δ2および距離δ3を減算することで、第1センサ15から反射板16までの距離δ4を算出することができる。補正処理部9は、第1アーム84の直動運動に伴い、距離δ4を随時算出することができる。
力覚センサ1が第1アーム84および第2アーム85に挟まれた状態で、発光素子172が電源171(図16参照)により電圧を印加され、受光素子182が電源181(図16参照)により電圧を印加される。これにより、受光素子182は、距離δ4に応じた出力電圧を随時出力する。
図20は、本実施形態に係る補正処理部9をブロック図で示した模式図である。補正処理部9は、寸法記憶部91と、距離演算部92と、AD変換部93と、相関関係記憶部94と、補正値演算部95と、基準値記憶部96と、を備える。寸法記憶部91は、図19で示した距離δ2、δ3を記憶している。距離演算部92は、第1アーム84から距離δ4のデータを受け取り、寸法記憶部91から距離δ2、δ3のデータを受け取る。距離演算部92は、距離δ4から距離δ2および距離δ3を減算することで距離δ4を演算し、相関関係記憶部94に出力する。AD変換部93は、受光側回路18の受光素子182から出力されるアナログデータである出力電圧S11、S12、S13、S14をデジタル変換し、相関関係記憶部94に出力する。相関関係記憶部94は、距離演算部92から得た距離δ4の値とAD変換部93から得た出力電圧S11、S12、S13、S14の値とに基づいて、距離δ4と出力電圧S11、S12、S13、S14との相関関係を記憶し、補正値演算部95に出力する。基準値記憶部96は、例えば距離δ4と受光素子182の出力電圧との理論上の相関関係を記憶している。補正値演算部95は、相関関係記憶部94から得た相関関係と、基準値記憶部96から得た理論上の相関関係と、に基づいて発光側可変抵抗器174に対する補正値である発光側補正値を演算できる。補正値演算部95は、発光側補正値を発光側抵抗制御部175に出力できる。また、補正値演算部95は、相関関係記憶部94から得た相関関係と、基準値記憶部96から得た理論上の相関関係と、に基づいて光側可変抵抗器184に対する補正値である受光側補正値を演算できる。補正値演算部95は、受光側補正値を受光側抵抗制御部185に出力できる。
図21は、本実施形態に係るキャリブレーション装置を用いたキャリブレーション方法を示すフローチャートである。図22は、第1センサから反射板までの距離と受光素子の出力電圧との実際の相関関係の一例を示すグラフである。図23は、第1センサから反射板までの距離と受光素子の出力電圧との実際の相関関係の一例を示すグラフである。図24は、第1センサから反射板までの距離と受光素子の出力電圧との理論上の相関関係の一例を示すグラフである。
まず、力覚センサ1がキャリブレーション装置8に載置される(ステップST1)。より具体的には、図17で示したように第1アーム84および第2アーム85の間の位置で治具86を介して筐体87の上に載置される。
次に、4つの受光素子182の出力電圧S11、S12、S13、S14が受光素子182の作動範囲を超えて基底値に至るまで、第1アーム84が第2アーム85に接近する方向に直動運動する(ステップST2)。例えば本実施形態において、基底値は0Vである。出力電圧S11、S12、S13、S14が0Vである状態で、第1アーム84の直動運動が停止する。
次に、第1アーム84が第2アーム85から離れる方向に直動運動する(ステップST3)。この時、第1センサ15から反射板16までの距離δ4と受光素子182の出力電圧S11、S12、S13、S14との相関関係を、図20で示した相関関係記憶部94が記憶する。図22中の曲線L1は、距離δ4と出力電圧S11との相関関係を示す。曲線L2は、距離δ4と出力電圧S12との相関関係を示す。曲線L3は、距離δ4と出力電圧S13との相関関係を示す。曲線L4は、距離δ4と出力電圧S14との相関関係を示す。
図22に示すように、出力電圧が0Vから立ち上がる点に対応する距離δ4が、4つの曲線L1、L2、L3、L4間でバラついている。例えば、曲線L4において出力電圧が0Vから立ち上がる点に対応する距離δ4が約0.4mmであるのに対して、曲線L1、L2、L3においては約0.4mmよりも小さい。このような曲線L1、L2、L3、L4間でのバラつきは、発光素子172の個体差に起因している可能性がある。
次に、図20で示した補正値演算部95が、発光側補正値を演算する(ステップST4)。図24中の曲線L9は、距離δ4と出力電圧との理論上の相関関係を示す。補正値演算部95は、曲線L9における任意の距離δ4に対応する出力電圧と、曲線L1、L2、L3、L4における当該任意の距離δ4に対応する出力電圧と、の差異に基づき4つの発光側補正値を別々に演算する。例えば、補正値演算部95は、曲線L9における距離δ4が0.4mmの場合の出力電圧と、曲線L1、L2、L3、L4における距離δ4が0.4mmの場合の出力電圧と、の差異に基づき4つの発光側補正値を別々に演算する。
次に、補正値演算部95が発光側可変抵抗器174の補正を行う(ステップST5)。具体的には、補正値演算部95が、ステップST4で演算した4つの発光側補正値をデジタル信号として4つの発光側抵抗制御部175に別々に出力する。そして、発光側補正値のデジタル信号を受け取った4つの発光側抵抗制御部175が、それぞれ発光側可変抵抗器174の補正を行う。これにより、4つの発光素子172のそれぞれが放つ光量が変化する。このため、一定の反射光が受光素子182に届く距離δ4が変化する。これは、図22において、4つの曲線L1、L2、L3、L4の位置が横軸方向に移動することを意味する。その結果、距離δ4と出力電圧S11、S12、S13、S14との相関関係は、図23に示す曲線L5、L6、L7、L8のようになる。
次に、第1アーム84が再び直動運動する(ステップST6)。例えば、第1アーム84は、第1センサ15から反射板16までの距離δ4が略0mmとなる位置から距離δ4が略5mmとなる位置まで直動運動する。この時、距離δ4と受光素子182の出力電圧S11、S12、S13、S14との相関関係を、図20で示した相関関係記憶部94が記憶する。図23中の曲線L5は、距離δ4と出力電圧S11との相関関係を示す。曲線L6は、距離δ4と出力電圧S12との相関関係を示す。曲線L7は、距離δ4と出力電圧S13との相関関係を示す。曲線L8は、距離δ4と出力電圧S14との相関関係を示す。
図23に示すように、距離δ4が略0mmの場合では、曲線L5、L6、L7、L8が各々示す相関関係は揃っている。しかし、距離δ4が略5mmの場合では曲線L5、L6、L7、L8が各々示す相関関係はバラついている。このような曲線L5、L6、L7、L8間でのバラつきは、受光素子182の個体差に起因している可能性がある。
次に、図20で示した補正値演算部95が、受光側補正値を演算する(ステップST7)。補正値演算部95は、図24で示す曲線L9における任意の距離δ4に対応する出力電圧と、曲線L5、L6、L7、L8における当該任意の距離δ4に対応する出力電圧と、の差異に基づき4つの受光側補正値を別々に演算する。例えば、補正値演算部95は、曲線L9における距離δ4が4mmの場合の出力電圧と、曲線L5、L6、L7、L8における距離δ4が4mmの場合の出力電圧と、の差異に基づき4つの受光側補正値を別々に演算する。
次に、補正値演算部95が受光側可変抵抗器184の補正を行う(ステップST8)。具体的には、補正値演算部95が、ステップST7で演算した4つの受光側補正値をデジタル信号として4つの受光側抵抗制御部185に別々に出力する。そして、受光側補正値のデジタル信号を受け取った4つの受光側抵抗制御部185が、それぞれ受光側可変抵抗器184の補正を行う。これにより、4つの受光素子182のそれぞれにおいて、距離δ4の変化量に対する出力電圧の変化量が変化する。これは、図23において、4つの曲線L5、L6、L7、L8の任意の距離δ4に対応する位置が縦軸方向に変化することを意味する。これにより、距離δ4と出力電圧S11、S12、S13、S14との相関関係が、曲線L9が示す理論上の相関関係と揃うまたは近くなる。
ところで、受光素子182が高感度である場合、蛍光灯等の可視光がキャリブレーションの精度に影響を与える可能性がある。このため、図1に示すように遮光性の筐体100で力覚センサ1が覆われた状態でキャリブレーションを行うことが望ましい。そのためには、発光側可変抵抗器174および受光側可変抵抗器184が筐体100の内側に配置される場合、発光側可変抵抗器174および受光側可変抵抗器184と補正処理部9とのデジタル信号の送受信が、電波等を用いて無線で行われることが好ましい。または、発光側可変抵抗器174および受光側可変抵抗器184が、筐体100の外側に配置されていることが望ましい。発光側可変抵抗器174および受光側可変抵抗器184が筐体100の外側に配置されている場合、発光側可変抵抗器174および受光側可変抵抗器18の故障時等における交換が容易になる。
なお、本実施形態に係る発光側可変抵抗器174および受光側可変抵抗器184は、必ずしもデジタル可変抵抗器でなくてもよく、アナログ可変抵抗器であってもよい。アナログ可変抵抗器は、手動で抵抗を変化させかつ抵抗を所定値に保持することができる可変抵抗器である。発光側可変抵抗器174および受光側可変抵抗器184がアナログ可変抵抗器である場合、上述したキャリブレーション方法で補正処理部9が自動的に行っていた工程を、手動で行うこととなる。したがって、筐体100で力覚センサ1が覆われた状態でキャリブレーションを行うためには、発光側可変抵抗器174および受光側可変抵抗器184が筐体100の外側に配置されている必要がある。また、アナログ可変抵抗器は抵抗を変化させる際に機械的な摺動部分が生じるのに対して、デジタル可変抵抗器は抵抗を変化させる際に機械的な摺動部分が生じない。このため、発光側可変抵抗器174および受光側可変抵抗器184がデジタル可変抵抗器である方が、発光側可変抵抗器174および受光側可変抵抗器184に故障等が発生しにくくなり長寿命化する点で好ましい。
なお、上述した説明においては、測定した相関関係と理論上の相関関係との差異に基づいてキャリブレーションを行っていたが、他の方法でキャリブレーションを行ってもよい。例えば、補正値演算部95が、任意の距離δ4での出力電圧について、図22に示した4つの曲線L1、L2、L3、L4の平均値を求め、当該平均値と基準値とに基づいて発光側補正値を演算してもよい。例えば、補正値演算部95が、任意の距離δ4での出力電圧について、図23に示した4つの曲線L5、L6、L7、L8の平均値を求め、当該平均値と基準値とに基づいて受光側補正値を演算してもよい。
または、図22に示した4つの曲線L1、L2、L3、L4のうちいずれか1つの曲線を基準として、補正値演算部95が発光側補正値を演算してもよい。例えば、4つの曲線L1、L2、L3、L4のうち出力電圧の立ち上がりが最も早い曲線、すなわち出力電圧が0Vから立ち上がる点に対応する距離δ4が最も小さい曲線である曲線L1を基準として、補正値演算部95が発光側補正値を演算してもよい。これにより、基準とした曲線L1に対応する発光側可変抵抗器174の補正が不要になるので、演算する必要のある発光側補正値が3つになる。また、図23に示した4つの曲線L5、L6、L7、L8のうちいずれか1つの曲線を基準として、補正値演算部95が受光側補正値を演算してもよい。例えば、4つの曲線L5、L6、L7、L8のうち距離δ4の変化に応じた出力電圧の変化が最も大きい曲線L5を基準として補正値演算部95が受光側補正値を演算してもよい。これにより、基準とした曲線L5に対応する受光側可変抵抗器184の補正が不要になるので、演算する必要のある受光側補正値が3つになる。このようにすることで、演算する必要のある発光側補正値または受光側補正値の数が減るため、キャリブレーションの工程が減り、キャリブレーションがより容易になる。
なお、本実施形態に係るキャリブレーション装置8は、第1アーム84を直動運動させるのではなく、第2アーム85を直動運動させてもよい。また、キャリブレーション装置8は、第1アーム84および第2アーム85の両方を直動運動させてもよい。すなわち、キャリブレーション装置8は、第1アーム84および第2アーム85のうち少なくとも一方を直動運動させればよい。
以上で述べたように、力覚センサ1は、板状部材である基部10と、基部10に対向して配置され、かつ基部10に平行な板状部材である第1可動部21と、基部10に設けられ、第1可動部21を揺動可能に支持する支持体30と、基部10および第1可動部21の一方に設けられ、発光素子172および受光素子182を含む複数の第1センサ15と、基部10および第1可動部21の他方に設けられ、発光素子172から放たれる光を受光素子182に向かって反射する反射板16と、を備える。本実施形態に係る検出回路200は、力覚センサ1における受光素子182の出力電力を検出する。検出回路200は、複数の発光側回路17と、複数の受光側回路18を備える。複数の受光側回路18の各々は、複数の発光側回路17の各々に一対に設けられる。発光側回路17は、発光素子172と発光側可変抵抗器174とを含み、発光側可変抵抗器174の抵抗に応じた光量で発光素子172を発光させる。受光側回路18は、受光素子182と受光側可変抵抗器184とを含み、第1センサ15から反射板16までの距離と受光側可変抵抗器184の抵抗とに応じた大きさで受光素子182から出力される出力電圧を検出する。
本実施形態に係る検出回路200を用いることにより、力覚センサ1を組み立てた後で、発光素子172の光量および受光素子182の出力電圧を調節することが可能になる。これにより、本実施形態に係る検出回路200は、第1センサ15から反射板16までの距離と受光素子182の出力電圧との相関関係の、複数の第1センサ15間でのバラつきを補正することができる。このため、検出回路200は、複数の第1センサ15間での測定誤差を抑制し、力覚センサ1における外力の検出精度を向上させることができる。
本実施形態に係る力覚センサ1は、検出回路200と、基部10および第1可動部21を覆う遮光性の筐体100と、を備える。
これにより、力覚センサ1は、第1センサ15から反射板16までの距離と受光素子182の出力電圧との相関関係の、複数の第1センサ15間でのバラつきを補正する際に、外光(発光素子172が放つ光以外の光)の影響を抑制することができる。力覚センサ1は、複数の第1センサ15間での測定誤差をより抑制しやすくなり、外力の検出精度をより向上させることができる。
また、本実施形態に係る力覚センサ1において、発光側可変抵抗器174および受光側可変抵抗器184は、デジタル信号に基づいて抵抗を変化させかつ抵抗を所定値に保持することができるデジタル可変抵抗器である。
デジタル可変抵抗器は抵抗を変化させる際に機械的な摺動部分が生じない。このため、発光側可変抵抗器および受光側可変抵抗器に故障等が発生しにくくなり長寿命化することで、力覚センサ1の信頼性が向上する。
また、本実施形態に係る力覚センサ1において、発光側可変抵抗器174および受光側可変抵抗器184は、筐体100の外側に配置されている。
これにより、力覚センサ1は、発光側可変抵抗器174および受光側可変抵抗器184に故障等が生じたときに、発光側可変抵抗器174および受光側可変抵抗器184の交換を容易にすることができる。
本実施形態に係るキャリブレーション装置8は、平坦な表面である第1平面841を備える第1アーム85と、第1平面841に平行な第2平面852を備える第2アーム85と、第1アーム84および第2アーム85の少なくとも一方を、第1平面841に対して直交する方向に直動運動させる直動機構80と、を備える。キャリブレーション装置8は、基部10と第1可動部21とが平行である状態を保ったまま、第1センサ15から反射板16までの距離を変化させることができる。
これにより、キャリブレーション装置8は、第1センサ15から反射板16までの距離と受光素子182の出力電圧との相関関係をより高い精度で求めることができる。このため、キャリブレーション装置8は、複数の第1センサ15間での測定誤差をより抑制しやすくし、力覚センサ1における外力の検出精度をより向上させることができる。
本実施形態に係るキャリブレーション方法は、ステップST1ないしステップST8を含む。ステップST1は、力覚センサ1を第1アーム84と第2アーム85との間に載置するステップである。ステップST2は、ステップST1の後で、複数の受光側回路18
のいずれにおいても受光素子182の出力電圧が基底値(本実施形態においては0V)になるまで、第1アーム84および第2アーム85の少なくとも一方を直動運動させるステップである。ステップST3は、ステップST2の後で、第1アーム84および第2アーム85の少なくとも一方を互いに離れる方向に直動運動させるステップである。ステップST4は、ステップST3の後で、発光側可変抵抗器174に対する補正値である発光側補正値を複数の発光側回路17に対して別々に演算するステップである。ステップST5は、ステップST4の後で、発光側補正値に基づいて発光側可変抵抗器174の補正を行うステップである。ステップST6は、ステップST5の後で、第1アーム84および第2アーム85の少なくとも一方を、直動運動させるステップである。ステップST7は、ステップST6の後で、受光側可変抵抗器184に対する補正値である受光側補正値を複数の受光側回路18に対して別々に演算するステップである。ステップST8は、ステップST7の後で、受光側補正値に基づいて受光側可変抵抗器184の補正を行うステップである。
このキャリブレーション方法を用いると、まず、第1センサ15から反射板16までの距離と受光素子182の出力電圧との相関関係の複数の第1センサ15間でのバラつきのうち、複数の発光素子172に起因するバラつきが揃う。その後に、第1センサ15から反射板16までの距離と受光素子182の出力電圧との相関関係の複数の第1センサ15間でのバラつきのうち、複数の発光素子172に起因するバラつきが揃う。キャリブレーション方法は、第1センサ15から反射板16までの距離と受光素子182の出力電圧との相関関係の、複数の第1センサ15間でのバラつきを補正することができる。このため、キャリブレーション方法は、複数の第1センサ15間での測定誤差を抑制し、力覚センサ1における外力の検出精度を向上させることができる。また、キャリブレーション方法は、力覚センサ1に対するキャリブレーションの効率を向上させることができる。
(変形例)
図25は、変形例に係る力覚センサを示す模式図である。変形例に係る力覚センサ1Aは、上述した実施形態に対して第2可動部22および第2検出部62を有さない点が異なる。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
変形例に係る力覚センサ1Aは、基部10と、第1可動部21と、第1検出部61と、を有する。基部10は、支持体30と、第1センサ15と、ストッパー19と、を有する。支持体30の上部固定具32には、第1可動部21が実施形態で示した方法で取り付けられている。変形例に係る力覚センサ1Aは、第1検出部61を有するので、実施形態で示した方法により、第1可動部21を搖動させる第1の分力を検出することができる。
変形例に係る力覚センサ1Aは、第1可動部21のZ軸方向に重なる第2可動部22を有さないので、実施形態と比較して、Z軸方向の高さが低くなる。よって、変形例2に係る力覚センサ1Aは、装置全体を小型化することができる。また、変形例に係る力覚センサ1Aに対しても、上述した実施形態と同様にキャリブレーション装置8を用いることができる。