JP2016008558A - 圧縮機 - Google Patents

圧縮機 Download PDF

Info

Publication number
JP2016008558A
JP2016008558A JP2014129992A JP2014129992A JP2016008558A JP 2016008558 A JP2016008558 A JP 2016008558A JP 2014129992 A JP2014129992 A JP 2014129992A JP 2014129992 A JP2014129992 A JP 2014129992A JP 2016008558 A JP2016008558 A JP 2016008558A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cross
compressor
sectional area
oil groove
lubricating oil
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014129992A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6528110B2 (ja
Inventor
優 塩谷
Masaru Shiotani
優 塩谷
裕文 吉田
Hirofumi Yoshida
裕文 吉田
信吾 大八木
Shingo Oyagi
信吾 大八木
啓晶 中井
Hiroaki Nakai
啓晶 中井
竜一 大野
Ryuichi Ono
竜一 大野
健 苅野
Takeshi Karino
健 苅野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Original Assignee
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd filed Critical Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority to JP2014129992A priority Critical patent/JP6528110B2/ja
Publication of JP2016008558A publication Critical patent/JP2016008558A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6528110B2 publication Critical patent/JP6528110B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Applications Or Details Of Rotary Compressors (AREA)
  • Sliding-Contact Bearings (AREA)

Abstract

【課題】断面積が変化する油溝を備えた軸受を有する圧縮機において、潤滑油の粘性低下時にも断面積の大きな部分での潤滑油くみ上げ量の増加効果を維持する。
【解決手段】圧縮機100は、密閉容器1、シリンダ5、ピストン8、上軸受部材6、下軸受部材7、ベーン32、吸入口、吐出口40、区画部材9を有する。上軸受部材6には油溝105が形成されており、油溝105の上側端面における断面積を下側端面における断面積よりも小さくするとともに、下側端面における溝の深さに対する幅の比を、上側端面における溝の深さに対する幅の比よりも大きくする。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧縮機に関する。
回転式圧縮機の圧縮機構部において、軸受は冷媒の圧力差によって生じる荷重を回転軸を介して支える重要な役割を果たしており、軸受と回転軸の間の潤滑状態を良好に保つことは圧縮機の信頼性の観点から重要である。軸受の一般的な潤滑方法として、油溝と呼ばれる溝を軸受内周面に形成し、油溝内の潤滑油を回転軸と接触している部分の粘性力によって軸方向にくみ上げつつ、軸受と回転軸の隙間に引き込んで軸受全体を潤滑する方法が知られている。
例えば、特許文献1の圧縮機では、先端側での潤滑油の噴出を抑えつつ軸受への潤滑油供給量を増加させるため、油溝の断面積を根元側で大きく、先端側で小さくなるよう構成している。
図9は特許文献1における圧縮機の縦断面図、図10はその軸受の断面図である。
ロータリ圧縮機500は密閉容器501内の上部にステータ502a、ロータ502bから成る電動機502を、下部に圧縮機構部503を、回転軸504で連結された状態で収納しており、密閉容器501の底部に圧縮機構部の各摺動部を潤滑する潤滑油506が封入されている。
回転軸504は軸受509によって回転自在に軸支されている。また、回転軸504には軸方向に貫通穴504aが形成されるとともに、貫通穴504aに連通する形で横穴504bが形成されている。
軸受509の内周面には油溝517が形成されており、軸受509の根元側509aでの油溝517の断面積S1よりも、先端側509bでの断面積S2のほうが小さくなっている。
特許文献1では、断面積S1をS2よりも大きくすることで、根元側509aでの給油能力を大きく、先端側509bで給油能力を小さくすることができ、先端側509bでの潤滑油の噴出量を抑えながらも根元側509aでの給油量を増加させ、信頼性を向上させている。
特開平3-134292号公報
特許文献1で示された断面積S1、S2の大小関係による給油能力の差は、クエット流と呼ばれる流れの状態で成り立つものであり、粘性の影響が大きく、溝内が層流となり、回転軸による潤滑油のくみ上げ作用が溝内の広い範囲に作用している状態であることを前提としている。しかし、実際の圧縮機の運転条件では、潤滑油の粘度が冷媒の溶解等で著しく低下し、回転軸による潤滑油のくみ上げ作用が回転軸表面近傍に限られる場合がある。このような場合、回転軸表面から離れた場所では粘性力が作用せずに潤滑油のくみ上げ
作用が低下してしまうため、断面積が大きい根元側の油溝内でも、特許文献1に明示されていない油溝の深さや幅について考慮しなければ、狙い通りの給油能力の向上効果が得られず、信頼性の良化効果が目減りしてしまうという課題があった。
本発明はこの点に鑑みてなされたものであり、従来よりも軸受の信頼性を高めた圧縮機を提供することを目的とする。
すなわち、本開示は、潤滑油溜まりを有する密閉容器と、密閉容器の内部に配置され、潤滑油溜まりに、一部または全部が浸漬された圧縮機構と、圧縮機構に含まれ、かつ圧縮機構を駆動する回転軸と、圧縮機構に含まれ、かつ回転軸を軸支する軸受と、を有する圧縮機であって、軸受の軸受部内周面には、潤滑油が通るらせん状の油溝が形成され、油溝の少なくともひとつ以上が軸方向上流側の端における断面積が軸方向下流側の端における断面積よりも大きく形成されている断面積変化油溝であるとともに、断面積変化油溝の上流側の端における深さに対する幅の比は、下流側の端における深さに対する幅の比よりも大きくなるよう形成されている圧縮機を提供する。
前記の圧縮機の軸受に形成された油溝は、上流側の端における断面積が下流側の端における断面積よりも大きく形成される断面積変化油溝であるとともに、断面積変化油溝上流側の端における深さに対する幅の比は、下流側の端における深さに対する幅の比よりも大きくなるよう形成されている。このようにすることによって、上流側の断面積が大きくても幅を広く、深さを小さく形成して粘性の作用を得やすい形状とすることができるので、上流側での粘性によるくみ上げる力を良化させ、給油能力を向上させることができる。
本発明に係るロータリ圧縮機の縦断面図 図1に示すロータリ圧縮機の上軸受部材6の投影図 図1に示すロータリ圧縮機の上軸受部材6の内周面展開図 本発明に係るロータリ圧縮機の油溝105上側端面の溝断面図 本発明に係るロータリ圧縮機の油溝105下側端面の溝断面図 本発明に係るロータリ圧縮機における油溝断面全域に粘性の影響が及ぶ場合の潤滑油の速度分布を示す模式図 本発明に係るロータリ圧縮機における潤滑油の粘性が小さい場合の油溝内の速度境界層を示す模式図 変形例における潤滑油流れの概念図 従来の圧縮機の縦断面図 従来の圧縮機の軸受の断面図
第1の発明の圧縮機は、潤滑油溜まりを有する密閉容器と、密閉容器の内部に配置され、潤滑油溜まりに、一部または全部が浸漬された圧縮機構と、圧縮機構に含まれ、かつ圧縮機構を駆動する回転軸と、圧縮機構に含まれ、かつ回転軸を軸支する軸受と、を有する圧縮機であって、軸受の軸受部内周面には潤滑油が通るらせん状の油溝が形成され、油溝の少なくともひとつ以上が軸方向上流側の端における断面積が軸方向下流側の端における断面積よりも大きく形成されている断面積変化油溝であるとともに、断面積変化油溝の上流側の端における深さに対する幅の比は、下流側の端における深さに対する幅の比よりも大きくなるよう形成されているものである。
上記の圧縮機の軸受に形成された油溝は、上流側の端における断面積が下流側の端にお
ける断面積よりも大きく形成される断面積変化油溝であるとともに、断面積変化油溝上流側の端における深さに対する幅の比は、下流側の端における深さに対する幅の比よりも大きくなるよう形成されている。このようにすることによって、上流側の断面積が大きくても幅を広く、深さを小さく形成して粘性の作用を得やすい形状とすることによって、上流側での粘性によるくみ上げる力を良化させ、給油能力を向上させることができる。
第2の発明は、特に、第1の発明の圧縮機において、圧縮機は縦置型圧縮機であり、回転軸の軸方向が鉛直線上となるよう配置されており、断面積変化油溝のうちの少なくともひとつは、上流側が鉛直下方、下流側が鉛直上方となるよう配置されていることを特徴とするものである。縦置型の圧縮機では油溝内の潤滑油を鉛直上方に重力に逆らってくみ上げる必要があり、本発明による給油能力の向上によって、より大きな信頼性良化効果を得ることができる。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の圧縮機において、断面積変化油溝の断面積は、上流側の端から下流側の端まで連続的に単調減少していることを特徴とするものである。これによれば、潤滑油の通路となる油溝の断面積が大きくなったり小さくなったりすることがないために流れに沿った圧力変動や剥離の起きる可能性が少ないので、安定した流れを実現し、給油能力の向上効果を安定させて信頼性を高めることが可能となる。
第4の発明は、特に、第1から第3の発明の圧縮機において、断面積変化油溝の断面形状は、回転軸の回転により発生する周方向流れの上流側の軸受内周面との接点において、軸受内周面と鈍角に接続しているとともに、直線部分を有することを特徴とするものである。このようにすることで、回転軸に引き込まれ、軸受と回転軸の隙間から油溝に流れ込む潤滑油が油溝の壁面から剥離して油溝内の流れを乱すことを抑制するので、油溝内の流れが安定し、給油能力が安定して信頼性良化の効果を得ることが可能となる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態)
図1に示すように、本実施形態のロータリ圧縮機100は、密閉容器1、モータ2、圧縮機構102及び回転軸4を備えている。圧縮機構102は、密閉容器1の下部に配置されている。モータ2は、密閉容器1の内部において、圧縮機構102の上に配置されている。回転軸4によって、圧縮機構102とモータ2とが連結されている。密閉容器1の上部には、モータ2に電力を供給するための端子21が設けられている。密閉容器1の底部には、潤滑用の潤滑油を保持するための潤滑油溜まり22が形成されている。
モータ2は、ステータ17及びロータ18で構成されている。ステータ17は、密閉容器1の内壁に固定されている。ロータ18は、回転軸4に固定されており、かつ回転軸4とともに回転する。
密閉容器1の上部には、吐出管11が設けられている。吐出管11は、密閉容器1の上部を貫通しているとともに、密閉容器1の内部空間13に向かって開口している。吐出管11は、圧縮機構102で圧縮された冷媒を密閉容器1の外部に導く吐出流路としての役割を担う。ロータリ圧縮機100の動作時において、密閉容器1の内部空間13は、圧縮された冷媒で満たされる。
圧縮機構102は、冷媒を圧縮するようにモータ2によって動かされる。具体的に、圧縮機構102は、圧縮ブロック3、上軸受部材6、下軸受部材7、区画部材9を有する。冷媒は、圧縮ブロック3で圧縮される。圧縮ブロック3は、潤滑油溜まり22に溜められた潤滑油に浸漬されている。
圧縮ブロック3は、シリンダ5、ピストン8、ベーン32、図示しない吸入口、吐出口40及び図示しないばねで構成されている。
回転軸4は、偏心部4aを有する。偏心部4aは、半径方向の外向きに突出している。ピストン8は、シリンダ5の内部に配置されている。シリンダ5の内部において、偏心部4aにピストン8が取り付けられている。シリンダ5には、図示しないベーン溝が形成されている。
上軸受部材6と下軸受部材7は、シリンダ5の内周面とピストン8の外周面との間にシリンダ室25を形成するようにシリンダ5に取り付けられている。上軸受部材6には、油溝105が、下軸受部材7には油溝106が、それぞれ形成されている。
吐出口40は上軸受部材6に形成されている。吐出口40は、シリンダ室25に向かって開口している。吐出口40を開閉するように、吐出口40に吐出弁43が設けられている。
ベーン溝には、ベーン32がスライドできるように配置されている。ベーン32は、シリンダ室25をピストン8の周方向に沿って仕切っている。つまり、シリンダ室25が吸入室と圧縮室とに仕切られている。
冷媒の流れについて説明する。吸入口を通じて、圧縮されるべき冷媒がシリンダ室25に供給される。シリンダ室25で圧縮された冷媒は、吐出弁43を押し開き、吐出口40を通じてシリンダ室25から吐出される。区画部材9内に吐出された冷媒は、密閉容器1内を経由して、吐出管11から密閉容器外へと流出する。
圧縮機構102の運転中において、シリンダ室25はベーン32によって吸入室と圧縮室に仕切られる。圧縮室には圧縮途中の冷媒が、吸入室には圧縮前の冷媒が存在するため、圧縮室内は吸入室内よりも高圧となって、それらを仕切っているピストン8の外周面には吸入室側と圧縮室側で圧力差が生じる。すなわち、ピストン8には圧縮室側から吸入室側へ向かう力が作用し、上軸受部材6と下軸受部材7はこのピストン8に作用する力を、回転軸4(偏心部4a)を介して支えている。よって上軸受部材6と下軸受部材7には回転軸4からの負荷がかかるため、それら摺動部の潤滑状態はロータリ圧縮機100の信頼性と密接に関連している。
次に、潤滑油の流れについて説明する。回転軸4には、貫通孔4cが設けられている。また、貫通孔4cと連通するように、横穴4bが形成されており、圧縮機構102内に通じている。さらに、貫通孔4cの下端には、羽根4dが配置されている。回転軸4の回転に伴って、羽根4dが回転し、密閉容器1の底部付近に位置する貫通穴4c内へ潤滑油溜まり22の潤滑油が送りこまれる。潤滑油は貫通孔4c内を上昇し、横穴4bを通じて圧縮機構102内に供給される。圧縮機構102内を潤滑した潤滑油の大部分は、油溝105、106を通って圧縮機構102の外へと排出され、潤滑油溜まり22へと返る。一部の潤滑油はシリンダ室25内へと入り、圧縮された冷媒とともに圧縮機構102から吐出される。
図2は上軸受部材6の投影図である。図3は図2の点Xにおいて上軸受部材6の内周面を展開した展開図である。
図2からわかるように、油溝105は上軸受部材6の内周面にある角度範囲をもって形成されている。また、油溝105が形成される位置は、回転軸4から上軸受部材6に対し
て負荷のかかる方向の反対側となるよう設定されている。
図3からわかるように、油溝105は上軸受部材6の内周面の下端から上端にかけて、回転軸4の回転方向に対し角度αをもって形成されている。図4は油溝105の上軸受部材6上側端面における断面105aの形状を示し、図5は油溝105の上軸受部材6下側端面における断面105bの形状を示している。断面105a、105bそれぞれの深さをH1、H2、幅をB1、B2、面積をA1、A2とすると、
A1<A2
B1/H1<B2/H2
となっている。
油溝105の断面積がA1<A2のように構成されている効果を説明する。
油溝105は粘性ポンプと呼ばれる技術を利用した機構であり、潤滑油の粘性を利用して潤滑油を輸送する役割を果している。油溝105内で回転軸4の表面と接触している潤滑油は回転軸4と同じ方向に同じ速度で移動する。回転軸4の表面近傍の潤滑油は、粘性により、その内側に存在し回転軸4と同じ速度で回転している潤滑油から粘性により力を受け、回転軸4の回転方向に移動する。油溝105は回転軸4の回転方向と角度αをもって形成されており、潤滑油の流れは回転軸4の回転方向から油溝105に沿って溝方向へと誘導される。油溝105の角度αは回転軸4の回転方向後方から前方に向かって上向きになるよう構成されているので、潤滑油は上軸受部材6の上方に向かって輸送される。このようにして油溝105は上軸受部材6の下から上へと潤滑油をくみ上げるポンプとして作用する。
潤滑油の速度は、回転軸の表面では回転軸と同じだが、回転軸表面から半径方向に離れるにつれて潤滑油の粘性による作用が小さくなるため、速度は徐々に減少しやがて0となる。この速度が0となる位置と回転軸4の表面までの間が潤滑油の粘性が作用し、回転軸4の回転に伴って潤滑油が速度を持つ範囲であり、一般的に速度境界層と呼ばれている。速度Vで流れる流体の速度境界層の厚さδは一般的に以下の数式で表される。
Figure 2016008558
ν:流体の動粘性係数
x:境界層の開始位置からの流れ方向の距離
a:境界層の定義により定まる定数
油溝105中の流れについても、回転軸の回転速度をUとすると、数式1と同様に、
Figure 2016008558
であらわされる速度境界層が形成されていると考えられる。
油溝105の溝方向に垂直な断面が速度境界層の厚さよりも小さい場合、回転軸4の回転により潤滑油に伝えられた力が粘性によって油溝105の断面全域にまで作用する。このとき、粘性の影響が十分に大きく、重力が無視できる場合には、油溝105内の潤滑油の速度uは
Figure 2016008558
H:油溝105の溝深さ
y:回転軸4の表面からの距離
となる。図6は油溝105の断面全域に粘性の影響が及ぶ場合、すなわち、断面全域にわたって速度境界層(図6の斜線部)が形成されている場合の潤滑油の速度uの分布を示している。uは回転軸4との接触部において回転軸4の回転速度の溝方向成分Ucosαと同じ速度をもち、また、上軸受部材6との接触部において速度は0となっている。数式3からわかるように、潤滑油の速度uは線形に変化するので、潤滑油の平均速度はUcosα/2となる。すなわち、油溝105内を流れる潤滑油の流量Qは、以下のように表される。
Figure 2016008558
A:油溝105の断面積
数式4からわかるように断面積Aが大きいほど流量Qが大きくなるので、油溝105の断面積を大きくすることで粘性の作用による潤滑油の給油能力を向上させることが可能となる。
よって、上記のような粘性の作用が油溝105の断面全域に及ぶ場合において、油溝105の上端面側の断面105a、下端面側の断面105bの面積A1、A2をA1<A2とすることにより、下側端面の断面105bに作用する給油能力を、上側端面の断面105aに作用する給油能力よりも大きくすることができる。このように構成した場合、断面105aでの潤滑油の流量Q1は断面105bでの潤滑油の流量Q2よりも小さくなるため、Q2−Q1の潤滑油が断面105aから流出せず、上軸受部材6と回転軸4の隙間へと流入する。上軸受部材6と回転軸4の隙間へと流入した潤滑油は摺動部の潤滑に利用されるので、A1=A2である場合に比べて摺動部への潤滑油の供給量を増加させることができる。よって上軸受部材6と回転軸4の摺動部における潤滑状態を良化させることができ、圧縮機の信頼性を向上させることができる。
ところで、数式2からわかるように、速度境界層δは流体の動粘性係数νの平方根に比例する。つまり、潤滑油の粘性が小さいほど、速度境界層厚さは小さくなることがわかる。圧縮機運転時の潤滑油は、冷媒の溶け込みや温度変化によって、粘度が大きく低下する場合がある。
図7は潤滑油の動粘性係数が低い場合の油溝内の速度境界層を模式的に示した図である。潤滑油の粘性が低い場合には、図7に示すように、回転軸と接するごく限られた範囲(図7の斜線部分)のみに速度境界層が形成され、残りの部分(図7の油溝断面図内無地部分)には粘性が作用しない状態となる。このとき、速度境界層厚さ、すなわち速度境界層の回転軸4の表面からの距離は、数式2で示したように潤滑油の粘性(動粘性係数)に依存し、断面105a、105bのどちらにおいても変わらない。
これに対して、断面105aに比べて断面105bの断面積が大きく、断面105bの断面形状が断面105aと同じである場合には、断面105bの溝幅、溝深さ共に比例して大きくなるため、粘性が作用しない部分の割合が断面105aよりも大きくなる(図7の破線部分)。このような場合には断面全体に粘性の影響が及ぶ場合(流量が数式4で表される場合)と異なり、流量が断面積に比例せず、断面105bにおける給油能力の低下が著しくなる。
本実施形態では、B1/H1<B2/H2となるように油溝105の断面形状を構成している。このようにすることで、上軸受部材6の上側端面の断面105aよりも下側端面の断面105bのほうが、相対的に、回転軸4と接する幅方向の割合を大きく、潤滑油の
粘性によって速度境界層の作用が変化しやすい深さ方向の割合を小さくすることができる。従って、断面105aよりも断面105bのほうが相対的に速度境界層に沿った形状となるので、潤滑油の粘性が低下し、速度境界層が薄くなった場合でも、上軸受部材6の上側端面の断面105aにおける給油能力の低下に対して下側端面の断面105bにおける給油能力の低下を抑制することができる。
さらに、断面積の大きい断面105b側では溝方向流れの弱い領域で回転軸4の回転によって油溝105の溝方向に垂直な方向に渦が発生し、渦中心の減圧によって減圧発泡が起こり油溝105内の流れを阻害してしまう恐れあるが、B1/H1<B2/H2とすることで油溝105内の溝方向流れを強くし、渦の発生を抑制して流れのエネルギーの損失を抑えることで、油溝内の流れを安定化させることができる。これらの効果により、粘性が低下した場合でも断面積をA1<A2にすることによる上軸受部材6と回転軸4の隙間への潤滑油の供給量増加効果を維持して、潤滑状態を良好にすることができる。
また、本実施例において、圧縮機100は縦置型の圧縮機である。縦置型の圧縮機では、上記で説明した油溝の速度境界層に入らない空間において、重力による逆流が発生する可能性があるため、本構成の効果がより顕著となる。
また、本実施例において、油溝105の断面積は、下側端面から上側端面に向かって単調に減少している。このようにすることによって、油溝105内を流れる潤滑油の圧力変動が起きにくく、減圧発泡による流れの阻害を防止して、潤滑油の流れを安定させることができる。
なお、本実施形態では油溝105を上軸受部材6のみに設けているが、同様の形状の油溝を下軸受部材7に設けてもよい。また、本実施形態の構成は、1ピストンロータリ圧縮機に限らず、油溝を有する種々の圧縮機に対して適用することができる。
(変形例)
図8は、油溝105の断面形状の変形例および潤滑油流れの概念図を示しており、図1のI−I断面に相当する位置での断面図を用いている。変形例における油溝105の断面は、回転軸4の回転により発生する潤滑油の周方向流れの上流側の軸受内周面との接点において、軸受内周面と鈍角に接続している(図8の角度θ)とともに、直線状壁面105cを有している。
このような形状にすることによって、上軸受部材6の内周面から油溝105の内壁へと滑らかに壁面が接続されるので、回転軸4によって引き込まれた潤滑油の流れ(図8の破線矢印)が油溝105内で壁面から剥離しにくくなり、潤滑油流れの乱れを抑制し、流れを安定させることができる。よって油溝105内で渦が発生し摩擦によって流れのエネルギーが熱エネルギーに変わってしまうことを抑制できるので、油溝105内での渦にエネルギー損失の発生を抑えて効率よく潤滑油を輸送することができる。
本発明は、給湯機、温水暖房装置、空気調和装置などの電気製品に利用できる冷凍サイクル装置の圧縮機に有用である。
1 密閉容器
2 モータ
3 圧縮ブロック
4 回転軸
4a 偏心部
5 シリンダ
6 上軸受部材
7 下軸受部材
8 ピストン
9 区画部材
11 吐出管
17 ステータ
18 ロータ
22 潤滑油溜まり
25 シリンダ室
32 ベーン
40 吐出口
43 吐出弁
100 ロータリ圧縮機
102 圧縮機構
105 油溝
105a 油溝105の上側端面における断面
105b 油溝105の下側端面における断面
105c 変形例における油溝105の直線状壁面
θ 接続角
α 油溝105の回転軸4の回転方向に対する角度

Claims (4)

  1. 潤滑油溜まりを有する密閉容器と、
    前記密閉容器の内部に配置され、前記潤滑油溜まりに、一部または全部が浸漬された圧縮機構と、
    前記圧縮機構に含まれ、かつ前記圧縮機構を駆動する回転軸と、
    前記圧縮機構に含まれ、かつ前記回転軸を軸支する軸受と、
    を有する圧縮機であって、
    前記軸受の軸受部内周面には、潤滑油が通るらせん状の油溝が形成され、前記油溝の少なくともひとつ以上が軸方向上流側の端における断面積が軸方向下流側の端における断面積よりも大きく形成されている断面積変化油溝であるとともに、前記断面積変化油溝の上流側の端における深さに対する幅の比は、下流側の端における深さに対する幅の比よりも大きくなるよう形成されていることを特徴とする圧縮機。
  2. 前記圧縮機は縦置型圧縮機であり、前記回転軸の軸方向が鉛直線上となるよう配置されており、前記断面積変化油溝のうちの少なくともひとつは、上流側が鉛直下方、下流側が鉛直上方となるよう配置されていることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
  3. 前記断面積変化油溝の断面積は、前記上流側の端から前記下流側の端まで連続的に単調減少していることを特徴とする、請求項1、又は2に記載の圧縮機。
  4. 前記断面積変化油溝の断面形状は、前記回転軸の回転により発生する周方向流れの下流側の軸受内周面との接点において、軸受内周面と鈍角に接続しているとともに、直線部分を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の圧縮機。
JP2014129992A 2014-06-25 2014-06-25 圧縮機 Active JP6528110B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014129992A JP6528110B2 (ja) 2014-06-25 2014-06-25 圧縮機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014129992A JP6528110B2 (ja) 2014-06-25 2014-06-25 圧縮機

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016008558A true JP2016008558A (ja) 2016-01-18
JP6528110B2 JP6528110B2 (ja) 2019-06-12

Family

ID=55226294

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014129992A Active JP6528110B2 (ja) 2014-06-25 2014-06-25 圧縮機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6528110B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020037887A (ja) * 2018-09-03 2020-03-12 日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社 密閉型電動圧縮機
JP2020105979A (ja) * 2018-12-27 2020-07-09 株式会社富士通ゼネラル ロータリー圧縮機
JP7228730B1 (ja) 2022-06-10 2023-02-24 日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社 ロータリ圧縮機及び空気調和機

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02114781U (ja) * 1989-02-28 1990-09-13
JPH03134292A (ja) * 1989-10-20 1991-06-07 Hitachi Ltd ロータリ圧縮機
JP2009108747A (ja) * 2007-10-30 2009-05-21 Panasonic Corp 密閉型電動圧縮機

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02114781U (ja) * 1989-02-28 1990-09-13
JPH03134292A (ja) * 1989-10-20 1991-06-07 Hitachi Ltd ロータリ圧縮機
JP2009108747A (ja) * 2007-10-30 2009-05-21 Panasonic Corp 密閉型電動圧縮機

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020037887A (ja) * 2018-09-03 2020-03-12 日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社 密閉型電動圧縮機
JP2020105979A (ja) * 2018-12-27 2020-07-09 株式会社富士通ゼネラル ロータリー圧縮機
JP7228730B1 (ja) 2022-06-10 2023-02-24 日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社 ロータリ圧縮機及び空気調和機
JP2023180875A (ja) * 2022-06-10 2023-12-21 日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社 ロータリ圧縮機及び空気調和機

Also Published As

Publication number Publication date
JP6528110B2 (ja) 2019-06-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100294429B1 (ko) 스크롤기계
JP5685742B2 (ja) ロータリ圧縮機
JP2014139443A5 (ja)
WO2012132436A1 (ja) スクロール圧縮機
JP2003028065A (ja) 密閉型電動圧縮機
JP5429353B1 (ja) 圧縮機
JP2016008558A (ja) 圧縮機
US20230296095A1 (en) Liquid blade pump
JP6134903B2 (ja) 容積型圧縮機
JP6618663B1 (ja) すべり軸受構造及びスクロール圧縮機
JP6328330B2 (ja) スクロール圧縮機
JP5626041B2 (ja) 往復式圧縮機
JP6328322B2 (ja) すべり軸受を有する圧縮機
JP2009068386A (ja) 密閉型圧縮機
JP6445948B2 (ja) スクリュー圧縮機
JP3819360B2 (ja) 容積型オイルポンプ
JP2004225578A (ja) ロータリ圧縮機
JP6143597B2 (ja) ロータリ圧縮機
JP6785991B2 (ja) 圧縮機
JP4520731B2 (ja) スクロール圧縮機
JP2009138582A (ja) 密閉型圧縮機
KR900000904Y1 (ko) 수평형 회전식 압축기의 윤활유 공급장치
JP5195290B2 (ja) 密閉型スクロール圧縮機
JP4576870B2 (ja) 圧縮機
JPS59226294A (ja) 圧縮機の給油装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20160520

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170417

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180206

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180208

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20180405

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180604

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20181106

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20190116

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190205

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20190228

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190402

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190415

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6528110

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151