JP6143597B2 - ロータリ圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、流体圧縮、冷凍空調機器等に使用されるロータリ圧縮機に関する。
ロータリ圧縮機のベーンは往復動の摺動部となるため、以下に示すように従来から信頼性向上のための工夫がなされてきた。特許文献1は、シリンダの外周部よりベーン案内溝に連通する給油孔を設けることで、ベーンと案内溝間に円滑に冷凍機油を供給する機構を開示する。特許文献2は、ベーン側面にオイル溜りと圧縮室に同時に臨まないくぼみを設け、くぼみに一定量の冷凍機油を補充し、圧縮室へ運搬することで給油を行う機構を開示する。特許文献3は、圧縮室の低圧側に連通するベーン側面に給油溝を設ける構造を開示する。
特開2003−269352号公報 特開2011−163257号公報 特開2000−182659号公報
地球環境保護の観点から、空調機器に関しては、省エネ及び低GWP冷媒の採用が必要とされている。そこで、現在主流であるR410A他の冷媒に対して、代替候補とされうるCO2やR32等を採用する場合には、使用時の圧力差や温度上昇による冷凍機油の粘度低下が生じやすく、シール性が低下する恐れがある。
ロータリ圧縮機の圧縮機構は、主に、シリンダ、上下端板、ローラ、ベーン及びクランク軸により構成され、シリンダ内に配置されたクランク軸の偏心部の回転運動により、クランク軸の偏心部に設けたローラがシリンダ内を公転する。更に、シリンダのベーン収納部に設けたベーンは、ローラに押し付けられた状態でローラの公転運動に合せて出入りし、圧縮室を高圧側、低圧側に仕切る。そのため、シリンダ、上下端板、ローラ及びベーンにより形成する圧縮室の容積が、クランク軸の回転より、徐々に縮小することで、圧縮仕事を行う。
ベーンは圧縮室の密閉性を高めるため、常にローラに押しつけた状態で運転する。そのため、ベーンとローラとの接触部では、面圧が高くなり、特に、高回転数条件、高差圧条件ではその傾向が強い。
このため、従来の冷媒でも、代替候補となる冷媒においても、ベーンとローラ間のシール性向上及び信頼性向上を実現できる給油を行う必要がある。
ここで、ロータリ圧縮機の給油機構は、クランク軸の回転による遠心力を利用した強制給油と、ベーンとベーン収納部のクリアランスと圧縮室内外の差圧を利用した差圧給油がある。クランク軸の回転を利用した強制給油では、クランク軸内にスパイラル形状に形成された給油板を設け、クランク軸と供に給油板が回転することで密閉容器内の冷凍機油を掻き揚げ、クランク軸に設けられた給油孔を通り、ローラを介して圧縮室へ給油が行われるが、ベーンとローラ間への冷凍機油の供給量は多くはない。
差圧給油では、ベーンとベーン収納部のクリアランスを介して、密閉容器内の圧力と圧縮室内との差圧により密閉容器内の冷凍機油がクリアランスを通り圧縮室内に漏れ入る。ここで、差圧給油による給油量は、式1の層流の二平面間の漏れ量の式で決まる。式1の冷凍機油の粘度η、圧力差ΔPは、概ね運転条件で決まるため、給油量を増加させるためには、クリアランスh、給油溝高さbの増加、又は給油溝長さLの減少が必要となる。
Q=(b・h3) /(12・η・L)・ΔP …式1
ここで、Q:給油量[m3/s]、b:給油溝高さ[m]、h:クリアランス[m]、L:給油溝長さ[m]、η:冷凍機油の粘度[Pa・s]、ΔP:圧力差[Pa]である。
前述の通りベーンとローラにより圧縮室は低圧室と高圧室に仕切られており、冷凍機油は圧力差により高圧室側から低圧室側に流れる。すなわちベーンとローラ間のシール性を高めるために、圧縮室の高圧室への給油量を増加させることが望ましい。
しかしながら、ベーンとベーン収納部のクリアランスを使用した差圧給油では、ケース内圧力と圧縮室の差圧の大きい圧縮室の低圧室により多くの給油がなされ、差圧の小さい高圧室の給油が少なくなってしまう。
そこで、給油量増加を目的としてクリアランスを増加させたとしても、クリアランス増加によるシール性の低下による圧縮漏れの発生が懸念される。さらに、低圧室側への過度な給油を生じた場合には、漏れ入る油が高温であるため、未圧縮冷媒ガスを熱膨張させて冷媒の循環量が低下し、圧縮機の性能低下が懸念される。
特許文献1は、ベーン収納部側面高圧側からシリンダ外周に伸びる小孔径の給油孔を有し、シリンダ外周連通部に切欠きを設けた例を開示する。このような構造では、給油量を増やすためには、ベーン収納部内での開口位置をより圧縮室側に設定する必要があるが、一方で、圧縮漏れが生じてしまうことから、設計範囲の制約があり、必ずしも目的の給油量が得られるとは限らない。特に、シリンダ外周部側での油面が変化し、ガス状態になった場合には、高圧ガスが圧縮室まで漏れてしまう恐れがある。
特許文献2は、ベーンくぼみを介した圧縮室への給油機構を開示する。特許文献2は、ベーン収納部高圧側側面に設けたくぼみが圧縮室内外へ連通することで、圧縮室の高圧室側に油を運搬する。しかしながら、100Hzを超えるような高回転数条件では、想定された容積分の冷凍機油の供給は困難である。一方、容積の大きなくぼみを設定すると、低速域での冷凍機油の過剰供給や、ベーン形状の設計が困難となる。
特許文献3は、ベーン収納部側面低圧側に密閉容器に連通した溝を設け、高圧の冷媒ガスを圧縮室内低圧側に送り込むことによって、ロータリ圧縮機停止時の低圧部の圧力上昇を速めることで、密閉容器内の油、液冷媒の流入防止を行い、再始動時の異常音を防止することを開示する。特許文献3は、ベーン収納部側面の溝の取付面を低圧側に配置する。特許文献3に記載の通りベーン収納部側面低圧側の溝から冷媒ガスが漏れ入る場合、圧縮機運転中にも冷媒ガスが圧縮室内低圧側に漏れ入ることで容積効率の低下が懸念される。更には、密閉容器内の冷媒ガスは高温であるため、圧縮室内低圧側の未圧縮冷媒ガスを膨張させるため循環量の低下も懸念される。
本発明は、圧縮室の低圧側への冷凍機油の供給量を過剰とさせず、且つ、高圧側への冷凍機油の供給量を増加させたロータリ圧縮機を提供することを課題とする。
本発明のロータリ圧縮機は、密閉容器内に、電動機と、電動機に接続されたクランク軸と、クランク軸を介して電動機により駆動される圧縮機構部と、を備え、圧縮機構部は、シリンダ室、シリンダ室から径方向外方に延びるベーン収納部、及び、外周面から径方向内方へ延びるスプリング挿入穴、を有するシリンダと、シリンダ室内に配置され、電動機により駆動されるローラと、ベーン収納部に収納され、一端側がローラの外周面に当接して、シリンダ室を低圧室と高圧室とに区分するベーンと、スプリング挿入穴に配置され、ベーンの他端側をローラ側に押し付けるコイル状のスプリングと、シリンダ室を閉塞するようにシリンダの軸方向の両側に配置された上閉塞部材及び下閉塞部材と、を有し、シリンダは、ベーン収納部の高圧室側となるベーン収納部高圧側側面に形成された第1給油溝と、ベーン収納部の低圧室側となるベーン収納部低圧側側面に形成された第2給油溝と、を有し、第1給油溝の断面積は、第2給油溝の断面積よりも大きいことを特徴とする。
本発明によれば、ベーン収納部の高圧室側となるベーン収納部高圧側側面に給油溝を形成するので、圧縮室の低圧側への冷凍機油の供給量を過剰とさせず、且つ、高圧側への冷凍機油の供給量を増加させたロータリ圧縮機を提供することができる。
第1実施例におけるロータリ圧縮機の圧縮機構部の断面図 従来技術におけるロータリ圧縮機の圧縮機構部の断面図 第1実施例におけるロータリ圧縮機のベーン収納部近傍の断面図 従来技術におけるロータリ圧縮機のベーン収納部近傍の断面図 従来技術におけるロータリ圧縮機の圧力勾配による冷媒ガス・冷凍機油の漏れ量を表す概念図 ベーン往復動時の模式図 第2実施例におけるロータリ圧縮機のベーン収納部近傍の断面図 第3実施例におけるロータリ圧縮機のベーン収納部近傍の断面図 第4実施例におけるロータリ圧縮機のベーン収納部近傍の断面図
本実施例のロータリ圧縮機は、密閉容器内に、電動機と、電動機に接続されたクランク軸と、クランク軸を介して電動機により駆動される圧縮機構部と、を備え、圧縮機構部は、シリンダ室、シリンダ室から径方向外方に延びるベーン収納部、及び、外周面から径方向内方へ延びるスプリング挿入穴、を有するシリンダと、シリンダ室内に配置され、電動機により駆動されるローラと、シリンダ室を閉塞するようにシリンダの軸方向の両側に配置された上閉塞部材及び下閉塞部材と、ベーン収納部に収納され、一端側がローラの外周面に当接して、シリンダ室を低圧室と圧縮室とに区分するベーンと、スプリング挿入穴に配置され、ベーンの他端側をローラに押し付けるコイル状のスプリングと、を有し、ベーン収納部の高圧室側となるベーン収納部高圧側側面に給油溝が形成される。本実施例のロータリ圧縮機によれば、ベーン収納部の高圧室側となるベーン収納部高圧側側面に給油溝を形成するので、圧縮室の低圧側への冷凍機油の供給量を過剰とさせず、且つ、高圧側への冷凍機油の供給量を増加させたロータリ圧縮機を提供することができる。
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。但し、各図は、説明のためベーン収納部3aの溝幅をベーンに対して誇張してクリアランスを大きくなるよう示している。
第1の実施例について図1−6を用いて説明する。図1は、本実施例のロータリ圧縮機の圧縮機構部の断面図であり、図1(a)に圧縮機構部を上方から見た際の横断面図、図1(b)に縦断面図(図1のA−A)を示す。図2は従来技術のロータリ圧縮機の圧縮機構部の断面図であり、図2(a)に横断面図、図2(b)に縦断面図(図2のB−B)を示す。
圧縮機のケースとなる密閉容器1内に、電動機部の回転を伝達する偏心部を有するクランク軸2と、クランク軸2の回転動力により圧縮仕事を行う圧縮機構部を備える。圧縮機構部は、シリンダ3と、シリンダ3内に配置されクランク軸2の偏心部により回転駆動されるローラ4と、ローラ4外周に延びてローラ4の偏心運動に応じてシリンダ3に設けられたベーン収納部3aに出入りするベーン5と、シリンダ3の上端面を閉塞し且つクランク軸2を保持する軸受部を有する上ベア6と、シリンダ3の下端面を閉塞し且つクランク軸2を保持する軸受部を有する下ベア7により構成される。
図3は図1のベーンスロット近傍の断面図であり、図3(a)に横断面図、図3(b)に縦断面図(図3のC−C)を示す。図4は図2のベーンスロット近傍の断面図であり、図4(a)に横断面図、図4(b)にベーンスロット近傍の縦断面図(図4のD−D)を示す。但し、図3(b)、図4(b)においてはベーン5及びスプリング14は省略して図示しており、以下、図7(b)〜図9(b)においても同様に省略して図示する。
圧縮機構部において冷媒ガスは、シリンダ3に設けられた吸込口8からシリンダ3内に流入し、シリンダ内壁面3aと、ローラ外壁面4aと、ベーン収納部高圧側側面5a又はベーン収納部低圧側側面5bと、上ベア内壁面6aと、下ベア内壁面7aによって形成される圧縮室9内で昇圧され、シリンダ3又はシリンダの上下方向の閉塞部材となる上ベア6或いは下ベア7に設けられた吐出口10から密閉容器1内に排出される。図1〜図4では、吐出口10が上ベア6に設けられた例を示す。
上ベア6には掘り込み部6bが設けられ、吐出口10と、吐出口10において密閉容器1内の高圧ガスを圧縮室9内へ流入することを防止し密閉容器1内のガス圧力Pdと圧縮室9内のガス圧力Pd‘との差圧によりPd’>Pdとなった際に開口する吐出弁11と、吐出弁11の開度を決定するリテーナ12が収納され、吐出弁11とリテーナ12を覆うカップマフラー13で構成される。
図5は、ベーン収納部3a近傍の圧力勾配による冷媒ガス又は冷凍機油の漏れ量を表す概念図であり、図中矢印は漏れ方向を、長さは量を表す。スプリング14の取り付け部は圧縮ガスが吐出される密閉容器1に連通するため常に高圧Pdに保たれる。圧縮室内低圧側は常に圧縮工程前のガスで満たされるため常に低圧Psに保たれる。圧縮室内高圧側は低圧Psから高圧Pd、更にはPd以上に昇圧され、吐出弁11の開口により密閉容器1に吐出されるため、吐出弁11が開口するクランク軸2の角度以前では変動圧Pd’となる。これらの圧力は、吐出弁開口中を除きPd≧Pd’≧Psの関係となる。そのため圧力勾配が形成され図5の如く漏れが発生する。
図6はベーン収納部3a近傍の概略図である。ベーン5とベーン収納部3aは微小なクリアランスがあり、ベーン5は圧縮室内の高圧側と低圧側の仕切であるため、ベーン収納部高圧側側面5aとベーン収納部低圧側側面5bが受ける圧力差によりベーン5が進行方向に対し角度α傾く。そのため、ベーン5とベーン収納部3aは図6の高圧側接触部19、低圧側接触部20を除き積極的な接触は発生せず、微小クリアランスに供給された油の油膜によりシールを行っている。
まず、図2、図4及び図5を用いて従来技術について説明し、本実施例である図1、図3との相違を明確にする。図2及び図4に示すように、従来技術のシリンダ3には、ベーン5をローラ4に押し付けるためのスプリング14の収納を目的とし設けられたスプリング挿入穴17が設けられる。更には、スプリング挿入穴17に連通したベーン収納部3aが、ベーン5が摺動できるようにベーン5の幅よりやや大きく設定されて設けられている。そのため、密閉容器1内の冷凍機油はスプリング挿入穴17を通り、圧縮室内外の差圧によりベーン収納部3aとベーン5のクリアランスを介し、ベーン収納部高圧側側面5a、ベーン収納部低圧側側面5b及び圧縮室9内へ給油を行う。しかし、圧縮機構の構成上、スプリング挿入穴17の直径には上限があり、また、ベーン収納部3aとベーン5のクリアランスを大きくする場合では圧縮漏れや、ベーン往復動のがたつきによる異常摩耗を誘発する恐れがある。
また、ベーン5を境にした高圧側、低圧側の給油量についても、図5に示すように、圧縮室内外の差圧は、圧縮室内低圧側が高圧側より大きくなるため、高圧側低圧側対称に設定されたベーン収納部3aの場合、低圧側への給油が多くなり、高圧側の給油は相対的に少なくなる。このため、側面が高圧側低圧側対称に設定されたベーン収納部3a及びベーン5のクリアランス拡大による給油量の増加では、低圧側の給油量も増加することとなり、圧縮工程前の冷媒ガスの膨張を誘発するため効率が低下する恐れがある。更には、圧縮室内に供給された冷凍機油はベーン5を境にしたPs(低圧側)、Pd‘(高圧側)の差圧により低圧側に流れるため、圧縮室内高圧側では密閉容器1からの流入油量に対して、油量の減少が懸念される。
従って、ベーン5とベーン収納部3aのクリアランスを増加させず、高圧側への給油量のみを増加させることで、圧縮損失を増加させる恐れが無く、圧縮室内高圧側から給油不足に陥り易いベーン5とローラ4との接触面の潤滑性を高め、圧縮機の効率及び信頼性の向上を図ることが必要となる。
このような課題に対する本実施例のロータリ圧縮機を図1及び図3を用いて説明する。図3に示すように、シリンダ3のベーン収納部3a側面の高圧側にスプリング挿入穴17と連通する貫通溝(給油溝)15を設ける。特に、本実施例においては、貫通溝(給油溝)15の領域が圧縮室側に向かうほど減少するように構成し(クランク軸と垂直方向の断面において、圧縮室側に向かうほど、貫通溝(給油溝)15の深さが減少するように構成し)、例えば、ベーン5と組み合わせて成す形状が圧縮室側に向かって減少する略クサビ形状となるサビ型貫通溝15とすることができる。貫通溝15はスプリング挿入穴17に連通するため、密閉容器1内の冷凍機油を貫通溝15内部に取り込むことができ、貫通溝15の両端は上ベア6及び下ベア7により塞がれているため、油ポケットとして機能する。また、貫通溝15の設定位置は、図3に示すように、圧縮機構上でベーン収納部3aとベーン5間の最低限必要とされるシール長さを確保でき、ベーン5が最も圧縮室内に移動した際においてベーン背面5cが貫通溝15を通過しない位置とする(つまり、ベーン5のローラと反対側の端部(ベーン背面5c)が最も圧縮室側に挿入された位置よりも圧縮室側に、貫通溝15が形成される。)。これにより、ベーン5背面は往復動時にも貫通溝15を通過しないため、貫通溝15による摩耗は発生しない。
尚、貫通溝15は、ベーン収納部高圧側側面が上閉塞部材と接する位置から下閉塞部材が接する位置まで、ベーン収納部高圧側側面を貫通するように形成してもよいし、ベーン収納部高圧側側面が上閉塞部材と接する位置から下閉塞部材が接する位置の手前まででベーン収納部高圧側側面を貫通しないように形成してもよい。
以下に本実施例について、ベーン収納部3a側面高圧側に貫通溝(給油溝)15を設けることによる効果と、貫通溝(給油溝)15をクサビ型貫通溝15にすることによる効果について、図1、図3及び式1を用いて説明する。
まず、本実施例のベーン収納部3a側面高圧側に溝を設ける効果について説明する。シリンダ3のベーン収納部高圧側側面5aに貫通溝(給油溝)15を設けることで(さらに、貫通溝15をスプリング挿入穴17に連通することにより)、式1のクリアランスh、給油溝高さbの増加及び給油溝長さLの減少により、給油量Qを増加させることができる。以下に、本実施例による各パラメータの増減について説明する。
図6に示すように、ベーン5は、圧力差によりシリンダ内径方向に対し角度α傾くため、シリンダ3の内径側ではクリアランスhが広くなる。そのため、ベーン収納部高圧側側面5aに貫通溝(給油溝)15を設けることで、ベーン5とベーン収納部3aのクリアランスhが広い部分、つまり式1のクリアランスhが大きい部分から給油が可能となる。
給油溝高さbは、従来機ではスプリング挿入穴17の高さが給油溝高さbとなるが、図3に示すように、本実施例ではベーン収納部高圧側側面5aに貫通溝15を設けることで、給油溝高さがシリンダ3の高さまで増加する。そのため、式1の給油溝高さbが大きくなり給油量が増加する。
また、図3に示すように、給油溝長さLは、シリンダ収納部3aに貫通溝15を設けることで、従来機に比べ、ベーン収納部3a長さが貫通溝15分短くなる。そのため、式1の給油溝長さが減少するため給油量が増加する。
また、特に、ベーン5とローラ4との接触面の給油量の増加が望まれる高差圧条件において、式1の圧力差ΔPが大きいため、本実施例との相乗効果により給油量を増加することができる。
次に、本実施例の貫通溝15をクサビ型とする(貫通溝15の領域が圧縮室側に向かうほど減少するように構成する(クランク軸と垂直方向の断面において、圧縮室側に向かうほど、貫通溝15の深さが減少するように構成する))ことによる効果について説明する。図3に示すように、ベーン収納部3a側面高圧側に設ける溝をクサビ型(クサビ型貫通溝15)とすることで、クサビ効果により、シリンダ3内側に向かうクサビ型の先端では局所圧力pが増加する。これにより、密閉容器1と圧縮室内高圧側との差圧ΔP‘に加え、クサビ形状による局所圧力増加分pが増加し、差圧ΔP’+pとなる。そのため、式1のΔPが大きくなり給油量が増加する。
さらに、このクサビ効果による局所圧力増加分pはベーン5の移動速度増加に伴い増加する。このため、給油量の増加が望ましい高回転数条件では回転数に応じてベーン5の移動速度が増加し、更に給油量を増加させることができる。
第2の実施例について図7を用いて説明する。図7に示すように、本実施例では、シリンダ3のベーン収納部3a側面高圧側に設けられた貫通溝15に連通する連通孔16を上ベア6に設ける。第1の実施例では密閉容器1内底部に貯まった冷凍機油の油面がスプリング挿入穴8の高さまで無ければ給油を行えなかったが、上ベア6に貫通溝15に連通する連通孔16を設けたことにより、密閉容器1内で循環した冷凍機油が底部に帰還する際に連通孔16に至るため、密閉容器1内の油面高さがスプリング挿入穴8より低い場合でも、密閉容器1内底部に帰還する冷凍機油を利用して給油が可能となる。また、連通孔16によりベーン5の上ベア6aとの接触面の一部が密閉容器1に開口されるため、給油面を増加させることができる。
第3の実施例について図8を用いて説明する。図8に示すように、本実施例では、スプリング挿入穴8と貫通溝15を連通させず、シリンダ3のベーン収納部3a側面高圧側に設けたクサビ型貫通溝15に連通する連通孔17を下ベア7に設ける。第1の実施例では密閉容器1内底部に貯まった冷凍機油の油面がスプリング挿入穴8の高さまで無ければ給油を行えなかったが、下ベア7に連通孔17を設け、更にクサビ型貫通溝15はスプリング挿入穴8に連通しない構造とするため、貫通溝15内は圧縮室内への圧力漏れにより、密閉容器1内より低圧となる。そのため、密閉容器1内の油面高さが下ベア7の連通孔17に達すると、連通溝15内と密閉容器1内との差圧を利用し、密閉容器1内底部に貯まった冷凍機油を連通孔16からクサビ型貫通溝15まで吸い上げることができる。そのため、油面高さが低い場合においても、給油を行うことができる。
第4の実施例について図9を用いて説明する。図9に示すように、本実施例では、ベーン収納部3側面低圧側に貫通溝15より小さい貫通溝18を設ける。本実施例においては、ベーン収納部3a側面低圧側からの給油性が向上するため、ベーン5とベーン収納部3aのクリアランスを図3より小さくした場合においても、ベーン5とベーン収納部3a側面低圧側との間に最低限必要な給油が可能となる。そのため、ベーン5とベーン収納部3aのクリアランス設定値を小さくできるため、ベーン5往復動のがたつきが低減し、信頼性を向上することができる。
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1…密閉容器、2…クランク軸、3…シリンダ、3a…ベーン収納部、3b…シリンダ内径側面、4…ローラ、5…ベーン、5a…ベーン収納部高圧側側面、5b…ベーン収納部低圧側側面、5c…ベーン背面、6…上ベア、6a…上ベア側面、7…下ベア、7a…下ベア側面、8…スプリング挿入穴、8a…スプリング挿入穴底面、9…圧縮室、10…吐出口、11…吐出弁、12…リテーナ、13…カップマフラー、14…スプリング、15…クサビ型貫通溝(高圧側)、16…上ベア連通孔、17…下ベア連通孔、18…クサビ型貫通溝(低圧側)、19…高圧側接触部、20…低圧側接触部

Claims (7)

  1. 密閉容器内に、電動機と、前記電動機に接続されたクランク軸と、前記クランク軸を介して前記電動機により駆動される圧縮機構部と、を備え、
    前記圧縮機構部は、
    シリンダ室、前記シリンダ室から径方向外方に延びるベーン収納部、及び、外周面から径方向内方へ延びるスプリング挿入穴、を有するシリンダと、
    前記シリンダ室内に配置され、前記電動機により駆動されるローラと、
    前記ベーン収納部に収納され、一端側が前記ローラの外周面に当接して、前記シリンダ室を低圧室と高圧室とに区分するベーンと、
    前記スプリング挿入穴に配置され、前記ベーンの他端側を前記ローラ側に押し付けるコイル状のスプリングと、
    前記シリンダ室を閉塞するように前記シリンダの軸方向の両側に配置された上閉塞部材及び下閉塞部材と、を有し、
    前記シリンダは、
    前記ベーン収納部の前記高圧室側となるベーン収納部高圧側側面に形成された第1給油溝と、
    前記ベーン収納部の前記低圧室側となるベーン収納部低圧側側面に形成された第2給油溝と、を有し、
    前記第1給油溝の断面積は、前記第2給油溝の断面積よりも大きい
    ことを特徴とするロータリ圧縮機。
  2. 前記第1給油溝および前記第2給油溝は、前記ベーンの前記他端側が最も前記シリンダ室側に挿入された位置よりも前記シリンダ室側に形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のロータリ圧縮機。
  3. 前記シリンダ室側に向かうほど領域が減少するように前記第1給油溝および前記第2給油溝が形成されている
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のロータリ圧縮機。
  4. 前記第1給油溝および前記第2給油溝が前記スプリング挿入穴に連通する
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のロータリ圧縮機。
  5. 前記上閉塞部材に前記第1給油溝および前記第2給油溝と連通する連通孔が形成されている
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のロータリ圧縮機。
  6. 前記第1給油溝および前記第2給油溝が前記スプリング挿入穴に連通せず、且つ、前記下閉塞部材に前記第1給油溝および前記第2給油溝と連通する連通孔が形成されている
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のロータリ圧縮機。
  7. R32冷媒又はCO冷媒を用いる
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載のロータリ圧縮機。
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