JP6445948B2 - スクリュー圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、スクリュー圧縮機に関する。
密閉形スクリュー圧縮機は、スクリューロータ、スクリューロータを支持する低圧側軸受及び高圧側軸受、スクリューロータを駆動する電動機、並びに、これらを収納するケーシングにより構成される。電動機は低圧側と高圧側のいずれにも配置可能であるが、低圧側に配置すると低温、低圧の冷媒ガスで発熱した電動機を冷却できるため、低圧側に配置されるケースが多い。
低圧側に配置された電動機は、ケーシング内周面と電動機固定子外周面との間で構成されるガス通路断面積(以下「電動機外周通路断面積」という。)と、電動機固定子内周面と電動機回転子外周面との間で構成されるガス通路断面積(以下「エアギャップ断面積」という。)により構成され、低圧側の冷媒ガスにより電動機を効果的に冷却するには、電動機外周通路断面積とエアギャップ断面積との割合を最適化する必要があるが、実際には電動機コイルエンド周囲のガス通路形状も電動機を冷却する上で重要な役割を果たすことが分かっており、電動機の冷却効率を高める手段として、電動機外周通路断面積を調整して、冷媒ガスのガス流速を増加させる技術(特許文献1および特許文献2参照)やガス衝突部材を電動機コイルエンド直後に設けガスを衝突させることで電動機のコイルエンドの上部から下部へ冷媒ガスを流す技術(特許文献3参照)記載のものなどが知られている。
特開昭58−032990号公報 特開平01−237389号公報 特開2013−167211号公報
吸入冷媒ガスのみで電動機を効果的に冷却するには、構成部材として耐熱温度が低い樹脂材が含まれる電動機巻線部へ均一に低温、低圧の冷媒ガスを直接当てることが望ましいが、巻線部を必要以上に冷却すると、流れの圧力損失の増大や電動機の熱により冷媒ガスを加熱するため、冷媒ガスの比体積が増加し冷凍能力が低下してしまう問題がある。
そのため、使用範囲内において、電動機巻線温度が耐熱温度以下となるように冷媒ガスの流れを調整し、電動機の冷却に必要な冷媒ガスを当てることで、電動機巻線温度と圧力損失の両立を図ることが望ましい。
特許文献1及び特許文献2に記載の技術では、大半の冷媒ガスが抵抗の少ない、つまりガス通路断面積が大きいところに流れるため、電動機の巻線に均一に冷媒ガスを流すことが困難であり、電動機巻線部根元で冷媒ガスの滞留が生じて巻線の局部的な温度上昇の要因となる。
特許文献3に記載の技術では、スクリューロータへの吸入ポートが電動機軸中心より下側にあり、且つ、電動機軸中心より上側に電動機外周通路がある場合、スクリューロータ側の電動機巻線部において、電動機軸中心より下側の巻線部が温度上昇する。
これは、電動機軸中心より下側は衝突部材が無く吸入ポートが開口しているため、外周通路から流出し電動機巻線部外周面に沿って流れる冷媒ガスが、巻線外周面下端まで到達することなく、吸入ポートへ吸い込まれるため、巻線外周下端近傍で冷媒ガスが滞留し効果的な冷却ができない問題がある。
上記課題を解決するために、本発明の一態様であるスクリュー圧縮機は、電動機と、前記電動機の軸を共有し、前記電動機により駆動されるスクリューロータと、前記電動機及び前記スクリューロータを収納するケーシングと、を備える。前記ケーシングは、前記電動機の外周のうち前記軸を含む特定の仮想平面に対して一方側の部分に沿って設けられ、ガスを前記電動機に対して前記スクリューロータの反対側から前記スクリューロータ側へ通すガス通路と、前記ケーシングの内壁面のうち前記仮想平面に対して前記一方側で且つ前記ガス通路の下流側で且つ前記電動機に面する位置に設けられ、前記内壁面から突出する突出部と、前記ケーシング内で且つ前記仮想平面に対して前記一方側で且つ前記突出部の下流に設けられ、前記電動機を経たガスを前記スクリューロータへ導く吸入ポートと、
を含む。
巻線の局所的な温度上昇を防ぎ、スクリュー圧縮機の信頼性を向上させることができる。
本発明の実施例に係るスクリュー圧縮機の全体構成を示す縦断面図である。 図1のA−A矢視断面図である。 ガス通路4bが設けられていない場合の吸入ポート6前の第2巻線部20bを拡大した断面図である。 ガス通路4bが設けられており突出部30が設けられていない場合の吸入ポート6前の第2巻線部20bを拡大した断面図である。 実施例の吸入ポート6前の第2巻線部20bを拡大した断面図である。 図5のB−B矢視断面図である。 突出部30形状の第1例を示す要部拡大図である。 突出部30形状の第2例を示す要部拡大図である。 突出部30形状の第3例を示す要部拡大図である。
以下、本発明のスクリュー圧縮機の実施例を、図面を用いて説明する。なお、各図において、同一符号を付した部分は同一或いは相当する部分を示している。
以下、実施例のスクリュー圧縮機の全体構成を説明する。
図1は、本発明の実施例に係るスクリュー圧縮機の全体構成を示す縦断面図である。
本実施例に係るスクリュー圧縮機100は、密閉形のツインスクリュー圧縮機である。
スクリュー圧縮機100において、モータケーシング1、メインケーシング2及び吐出ケーシング3は、互いに密封関係に接続され、ケーシングを構成している。なお、ケーシングは鋳物で形成されている。
モータケーシング1には、圧縮機構部を駆動させるための駆動用電動機4が収納されている。この駆動用電動機4は、モータケーシング1内に固定された固定子20と、この固定子20の内側に回転自在に設けられた回転子21とを備えている。
固定子20から上流側には、巻線のうち第1巻線部20a(コイルエンド)が突出している。固定子20から下流側には、巻線のうち第2巻線部20b(コイルエンド)が突出している。本実施例において、第1巻線部20aの径及び第2巻線部20bの径の夫々は、固定子20の径より小さい。第1巻線部20a及び第2巻線部20bの夫々は、固定子20に接する部分である頸部を有する。頸部の径は、第1巻線部20a及び第2巻線部20bの他の部分の径より小さい。
モータケーシング1の端部には、吸入口18が設けられている。この吸入口18には、異物を捕集するストレーナ19が取り付けられている。このストレーナ19は、固定フランジ65とモータケーシング1に挟まれて固定されている。また、固定フランジ65には、冷凍サイクルを循環する冷媒を吸入するための吸入配管が接続されている。
メインケーシング2には、円筒状ボア5と、この円筒状ボア5に冷媒ガスを導入するための吸入ポート6とが形成されている。また、雄ロータ11の吸込側軸部は、モータケーシング1に配設されたころ軸受7(低圧側軸受)で支持される。雄ロータ11の吐出側軸部は、吐出ケーシング3に配設されたころ軸受8及び玉軸受9(高圧側軸受)で支持される。また、雄ロータ11に平行に配置された雌ロータ(図示せず)の吸込側軸部は、モータケーシング1に配設されたころ軸受(図示せず)で支持される。雌ロータの軸は、雄ロータ11の軸に対し、この図の断面の垂直方向に位置する。雌ロータの吐出側軸部は、吐出ケーシング3に配設されたころ軸受及び玉軸受(図示せず)で支持される。雄ロータ11と雌ロータは、互いに噛み合い、メインケーシング2により回転可能に支持され収納される。雄ロータ11と雌ロータにより、互いに噛み合う雄・雌一対のスクリューロータが構成されている。このスクリューロータと、メインケーシング2に形成された円筒状ボア5などにより、圧縮機構部が構成されている。スクリューロータに対して冷媒ガスの上流側を低圧側と呼び、下流側を高圧側と呼ぶ。
雄ロータ11の軸は、低圧側で駆動用電動機4の回転子21に直結されている。また、メインケーシング2の側面には、油分離器12が一体に形成されている。圧縮機構部で圧縮された冷媒ガスと油は、油分離器12に入って分離される。分離された油は、油分離器12下部に形成された油溜め14に溜められる。吐出ケーシング3には、ころ軸受8及び玉軸受9が収納される。また吐出ケーシング3には、油分離器12に連通する冷媒ガスの吐出通路(図示せず)が形成されている。この吐出ケーシング3は、ボルトによってメインケーシング2に固定されている。また、吐出ケーシング3内には、ころ軸受8及び玉軸受9を収納する軸受室16が形成されている。更に軸受室16を閉止する遮蔽板17が吐出ケーシング3の終端部に取り付けられている。
スクリュー圧縮機100には、スライド弁26、ロッド27、油圧ピストン28及びコイルばね29などにより構成される容量制御機構部が設けられている。スライド弁26は、メインケーシング2内に形成された凹部2a内に、軸方向に往復動自在に収納されている。このスライド弁26の位置を移動させることにより、雄ロータ11と雌ロータとの噛合い部に吸込まれた冷媒ガスの一部を吸入口側へバイパスして、スクリュー圧縮機100の容量を制御可能にしている。
ロッド27、油圧ピストン28及びコイルばね29は、吐出ケーシング3に収納されている。このうち、油圧ピストン28及びコイルばね29は、吐出ケーシング3内に形成されたシリンダ室Q内に収納されている。コイルばね29は、シリンダ室Qに支持され油圧ピストン28よりもスライド弁26側に配置されることで、油圧ピストン28に対し、常にスライド弁26の反対方向に押圧する力を付与している。
油圧ピストン28は、シリンダ室Q内に軸方向に摺動可能に収納されている。シリンダ室Q内に油を給排して、油量を調整することにより、油圧ピストン28を移動させる。この油圧ピストン28の動作がロッド27を介してスライド弁26に伝達されることにより、スライド弁26の位置が軸方向に移動し、スクリュー圧縮機100を所定の容量で運転することが可能となる。
なお、図1では、シリンダ室Q内に油を給排して油量を調整するための油圧系統や油圧系統を開閉する電磁弁などの図示を省略している。
次に、スクリュー圧縮機100における冷媒ガスの流れについて説明する。
吸入口18からモータケーシング1内に吸入された低温、低圧の冷媒ガスの流れは、ストレーナ19で異物が捕集された後、駆動用電動機4とモータケーシング1の間に設けられたガス通路4a、4b及び駆動用電動機4の固定子20と回転子21間のエアギャップ4cの流路に分かれる。
ストレーナ19から駆動用電動機4の上方へ向かう第1ガス流路23aは、第1巻線部20aを冷却し、駆動用電動機4とモータケーシング1の間に設けられたガス通路4aを通過した後、第2巻線部20b直後に設けられた壁に衝突し、第2巻線部20bを冷却しつつ第2巻線部20bの上部から下部に向けて流れ、その後、吸入ポート6に流れる流路である。
ストレーナ19から駆動用電動機4の下方へ向かう第2ガス流路23bは、第1巻線部20aを冷却し、駆動用電動機4とモータケーシング1の間に設けられたガス通路4bを通過した後、吸入ポート6に向けて流れる流路である。
また、冷媒ガスは、エアギャップ4cを通過することで第1巻線部20a及び第2巻線部20b内側を冷却する。
図2は、図1のA−A矢視断面図である。
この図は、ガス通路4a、4b及びエアギャップ4cの位置関係及び通路断面積を示している。この図に示されるように、ガス通路4aが複数の通路であってもよい。ここで、固定子20の外周を外壁面と呼ぶ。モータケーシング1の内壁面のうち、固定子20の外壁面に接する部分に、電動機軸方向の溝が形成されている。これにより、ケーシング1は固定子20を支持すると共に、ガス通路4a、4bを形成する。
ガス通路4bは、電動機軸中心に対して吸入ポート6と同じ下側に設けられている。ガス通路4bは、第2巻線部20b周囲の流れの淀み部に対応して設けられる。複数のガス通路4aは、固定子20の外壁面のうち、ガス通路4b以外の位置に設けられる。複数のガス通路4aの夫々の少なくとも一部は、電動機軸中心に対して吸入ポート6の反対側である上側に位置する。ガス通路4a、4bが設けられることにより、駆動用電動機4の全体を冷却することができる。なお、吸入ポート6が電動機軸中心に対して下側に設けられていることは、スクリューが電動機軸中心に対して下側から冷媒ガスを吸い込むことを示す。そのため、吸入ポート6の一部が電動機軸中心に対して上側に位置する場合であっても、吸入ポート6のうちスクリュー側の開口が電動機軸中心に対して下側に設けられていれば、吸入ポート6が電動機軸中心に対して下側に設けられている場合に含めることができる。
吸入ポート6が電動機軸中心より下側にある場合、電動機軸中心より上側の巻線が上昇しやすい。そのため、ガス通路4aをガス通路4bよりも広く確保することで、駆動用電動機4の全体を冷却しやすくしている。
なお、ガス通路4bが複数の通路であってもよい。第2巻線部20b周囲において流れの淀みが複数ある場合、ガスを複数の箇所に夫々導く複数の通路が設けられていてもよい。
次に、スクリュー圧縮機100における油の流れについて説明する。
雄ロータ11と雌ロータの噛み合い歯面と、メインケーシング2とは、圧縮室(圧縮作動室)を形成する。駆動用電動機4を冷却後の冷媒ガスは、メインケーシング2に形成された吸入ポート6から、圧縮室に吸入される。その後、駆動用電動機4と直結された雄ロータ11の回転と共に、冷媒ガスは、圧縮室に密閉され、圧縮室の縮小により徐々に圧縮され、高温、高圧の冷媒ガスとなって、油分離器12内へ吐出される。
上記圧縮時に雄ロータ11及び雌ロータに作用する圧縮反力の内、ラジアル荷重についてはころ軸受7、8により支持され、スラスト荷重については玉軸受9により支持される。
これらころ軸受7、8、及び玉軸受9の潤滑用の油の供給について説明する。
まず、メインケーシング2の高圧側である油分離器12の油溜め14の油は、低圧側との差圧により、低圧側軸受(吸入側軸受;ころ軸受7)を潤滑及び冷却し、吸入ポート6側へ排出される。また、油溜め14の油は、高圧側軸受(吐出側軸受;ころ軸受8、玉軸受9)を潤滑及び冷却し、吸入ポート6側或いは吸込完了直後の圧縮室などへ排出される。
各軸受潤滑後に排出された油は、圧縮冷媒ガスと共に圧縮室を潤滑しながら流れて、圧縮冷媒ガスと共に吐出され、油分離器12内へ流入する。この油分離器12により、油は油分離器12下部に設けた油溜め14に再び溜められ、圧縮冷媒ガスは吐出口22から冷凍サイクルへと送られる。
次に、吸入ポート6前の冷媒ガスの流れと、ガス通路4b及び突出部30の効果とを詳細に説明する。
図3は、ガス通路4bが設けられていない場合の吸入ポート6前の第2巻線部20bを拡大した断面図である。
ガス通路4bが設けられていない場合、ガス通路4aからの冷媒ガスは第2巻線部20bの雄ロータ11側を通って吸入ポート6へ向かう。これにより、第2巻線部20bの下方の冷媒ガスが淀み、第2巻線部20bの下部が十分に冷却されず発熱する。特に、第2巻線部20bの頸部の下部が発熱する。
図4は、ガス通路4bが設けられており突出部30が設けられていない場合の吸入ポート6前の第2巻線部20bを拡大した断面図である。
この図において、第1ガス流路23aは上方から第2巻線部20bを冷却しつつ、吸入ポート6前の空間にて広がり、その後、吸入ポート6へ向かって流れる。第2ガス流路23bは第2巻線部20bの下を通過し、吸入ポート6前の空間にて広がり、吸入ポート6へ向かう。ガス通路4bが設けられることにより、前述の第2巻線部20bの下方の淀みは解消される。しかし、第2巻線部20bの径が固定子20の径より小さく、第2巻線部20bの下で第2ガス流路23bが広がるため、第2巻線部20bの下部の冷却の効果は小さい。
図5は、実施例の吸入ポート6前の第2巻線部20bを拡大した断面図である。
本実施例においても第1ガス流路23aは、同様の流れである。
本実施例の突出部30は、モータケーシング1の内壁面のうち、第2巻線部20bに対向する位置に設けられている。突出部30は、スロープ30a、曲面30b、スロープ30cを含む。突出部30の上流側にはスロープ30aが設けられており、これにより、第2ガス流路23bは、第2巻線部20bに沿う。また、スロープ30aが設けられていない場合に比べて、第2巻線部20bの表面を流れる冷媒ガスの流量が大きくなり、第2巻線部20bの下部の冷却の効果が大きくなる。
ここで、突出部30の上流側に設けられたスロープ30aの角度は、1〜90度の範囲で変更可能である。これにより、第2巻線部20b表面近傍で生じている流れの淀み部に向けて冷媒ガスを流すことが出来る。
更に、スロープ30a終端から第2巻線部20bと同心円となる曲面30bを設けることにより、スロープ30aを流出した冷媒ガスの流れを第2巻線部20bに沿って流すことができる。これにより、流れ23bの流速を維持しつつ、曲面30bに対向する第2巻線部の表面を効果的に冷却することができる。
曲面30bの高さは、第2巻線部20bとの絶縁距離が確保できる範囲で冷媒ガスの流れに応じて変更可能である。
また、駆動用電動機4の径方向におけるモータケーシング1の内壁面から固定子20の外壁面までの距離を、ガス通路4bの高さとし、突出部30の曲面30bと第2巻線部20bの間の最小距離をガス通路4bの高さより小さくすると、曲面30bと第2巻線部20bの間の冷媒ガスの流速は増加するため、圧力損失は増加するものの、第2巻線部20bの下部の冷却の効果が大きくなる。ここで、曲面30bと第2巻線部20bの間の距離は、絶縁距離以上で、絶縁距離に近いことが望ましい。
第2ガス流路23bにおいて、突出部30の終端は、第2巻線部20bの終端より上流側に位置し、曲面30b終端から突出部終端間を緩やかなスロープ30c状にすることが望ましい。これにより、第2巻線部20bの終端における圧力損失を抑えることができる。
図6は、図5のB−B矢視断面図である。
もし、突出部30の円周方向の長さが、ガス通路4bの流出口の円周方向の長さ以下である場合、ガス通路4bから流出した冷媒ガスが突出部30の円周方向外側へ流れることで、第2巻線部20bに沿う流量が減少する。円周方向において、突出部30の位置の範囲は、ガス通路4bの位置の範囲を含む。また、突出部30の円周方向の長さは、ガス通路4bの流出口の円周方向の長さより長いことが望ましい。これにより、ガス通路4bから流出した冷媒ガスが突出部30と第2巻線部20bの間を流れ、第2巻線部20bに沿う流量を確保することができる。
複数のガス通路4bが設けられている場合、複数のガス通路4bの夫々の下流側に、突出部30が設けられていてもよいし、一つの突出部30が複数のガス通路4bに亘って設けられていてもよい。これにより、第2巻線部20bの周囲において流れの淀みが複数ある場合であっても、各箇所に沿って冷媒ガスを流すことができる。一つの突出部30が設けられる場合、駆動用電動機4の円周方向において、突出部30の位置の範囲は、複数のガス通路4bの全体の位置の範囲を含み、複数のガス通路4bの全体の位置の範囲より広い。
なお、突出部30は、ガス通路4bの下流側だけでなく、夫々のガス通路4aの下流側に設けられていてもよい。これにより、第2巻線部20bの外周の広い範囲に亘って、第2巻線部20bに沿う流れを形成することができ、第2巻線部20b全体の冷却効果を高めることができる。一つの突出部30がガス通路4aとガス通路4bに亘って設けられていてもよい。
本実施例では、駆動用電動機4の径方向においてモータケーシング1の内壁面からの突出部30の高さは、円周方向に亘って一定である。突出部30の高さが円周方向に亘って変化してもよい。これにより、第2巻線部20bの表面の特定の箇所へ、他より多くの冷媒ガスを流すことができる。
突出部30は、モータケーシング1と一体であってもよいし、モータケーシング1を作成した後に、モータケーシング1に取り付けられてもよい。
以下、突出部30の形状について説明する。
図7は、突出部30形状の第1例を示す要部拡大図である。
第1例の突出部30は、上流側に形成されたスロープと、スロープの下流側に形成された上面とを含む。スロープにおいて、モータケーシング1の内壁面からの距離は、ガス通路4bの終端から下流に向かって徐々に増大する。上面において、モータケーシング1の内壁面からの距離は一定である。スロープをゆるやかな傾斜とすることで、第2ガス流路23bを急峻に狭めることなく、第2ガス流路23bを徐々に第2巻線部20bに近づけることができ、突出部30による圧力損失を低減することができる。
図8は、突出部30形状の第2例を示す要部拡大図である。
第2例の突出部30は、上流側に形成された第1曲面と、曲面の下流側に形成された上面と、上面の下流側に形成された第2曲面とを含む。第1曲面と第2曲面の断面を円弧状とすることで、軸方向に短い突出部30でガスの流れを変更できると共に、エッジ(平面)よりも圧力損失を低減することができる。
図9は、突出部30形状の第3例を示す要部拡大図である。
第3例の突出部30の断面は、矩形である。エッジにより、第1例及び第2例に比べて圧力損失が大きくなる。また、既存のモータケーシング1に別部品として突出部30を取り付ける場合、加工性や固定の観点で簡易に構成することができる。
なお、突出部30の形状は、第1例〜第3例には限られず、これら以外の形状であっても良い。
以上説明したように、本発明の実施例によれば、冷媒ガスの流れを電動機の巻線に沿った流れとし、巻線温度の上昇を抑えることができる。これにより、冷媒ガスの流速を低下させた場合でも、電動機全体を冷却することができる。即ち、吸入圧力損失を低減させて圧縮機性能の向上を図ることができると共に、信頼性を確保できる。
本実施例では、雄ロータ11の軸と雌ロータの軸が水平方向の仮想平面内に配列され、仮想平面の下側に吸入ポート6が設けられている。この場合、雄ロータ11と雌ロータは、仮想平面の上側から冷媒ガスを吸入して圧縮し、圧縮された冷媒ガスを仮想平面の下側へ吐出する。この場合、第2ガス通路4b、突出部30は、仮想平面の下側に設けられる。
なお、雄ロータ11の軸と雌ロータの軸が水平方向の仮想平面内に配列され、仮想平面の上側に吸入ポート6が設けられている場合にも、本発明を適用することができる。この場合、雄ロータ11と雌ロータは、仮想平面の上側から冷媒ガスを吸入して圧縮し、圧縮された冷媒ガスを仮想平面の下側へ吐出する。この場合、第2ガス通路4b、突出部30は、仮想平面の上側に設けられる。また、雄ロータ11の軸と雌ロータの軸が鉛直方向の仮想平面内に配列され、仮想平面の特定側(一方側)に吸入ポート6が設けられている場合にも、本発明を適用することができる。この場合、雄ロータ11と雌ロータは、仮想平面の特定側から冷媒ガスを吸入して圧縮し、圧縮された冷媒ガスを仮想平面の反対側へ吐出する。この場合、第2ガス通路4b、突出部30は、仮想平面の特定側に設けられる。
本発明は、密閉型のツインスクリュー圧縮機に限定されるものではなく、半密閉型のものにも適用可能である。また、シングルスクリュー圧縮機等、他のスクリュー圧縮機であっても、冷媒ガスの流路において電動機の下流にスクリューロータが設けられ、冷媒ガスが電動機の軸に対して特定の方向からスクリューロータに吸入されるものであれば、本発明を適用可能である。このようなスクリュー圧縮機は、空気調和機、チラーユニット、冷凍機などに使用されることができる。
本発明の表現における用語について説明する。スクリューロータは例えば、雄ロータ11に対応する。第2スクリューロータは例えば、雌ロータに対応する。ガス通路、第2ガス通路の夫々は例えば、ガス通路4bに対応する。反対側ガス通路は例えば、ガス通路4aに対応する。突出部、第2突出部の夫々は例えば、突出部30に対応する。コイルエンドは例えば、第2巻線部20bに対応する。外壁部は例えば、固定子20に対応する。
また、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。更に、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1:モータケーシング、2:メインケーシング、2a:凹部、
3:吐出ケーシング、
4:駆動用電動機、4a、4b:ガス通路、4c:エアギャップ、
5:円筒状ボア、6:吸入ポート、
7:ころ軸受、8:ころ軸受、9:玉軸受、
11:雄ロータ、12:油分離器、14:油溜め、
16A、16B:軸受室、17:遮蔽板、
18:吸入口、19:ストレーナ、
20:固定子、20a:第1巻線部、20b:第2巻線部
21:回転子、22:吐出口、
23:冷媒ガス流路、23a:第1ガス流路、23b:第2ガス流路
26:スライド弁、27:ロッド、28:油圧ピストン、29:コイルばね、
30:突出部、30a:スロープ、30b:曲面、30c:スロープ
65:固定フランジ、100:スクリュー圧縮機。

Claims (11)

  1. 電動機と、
    前記電動機の軸を共有し、前記電動機により駆動されるスクリューロータと、
    前記電動機及び前記スクリューロータを収納するケーシングと、
    を備え、
    前記ケーシングは、
    前記電動機の外周のうち前記軸を含む特定の仮想平面に対して一方側の部分に沿って設けられ、ガスを前記電動機に対して前記スクリューロータの反対側から前記スクリューロータ側へ通すガス通路と、
    前記ケーシングの内壁面のうち前記仮想平面に対して前記一方側で且つ前記ガス通路の下流側で且つ前記電動機に面する位置に設けられ、前記内壁面から突出する突出部と、
    前記ケーシング内で且つ前記仮想平面に対して前記一方側で且つ前記突出部の下流に設けられ、前記電動機を経たガスを前記スクリューロータへ導く吸入ポートと、を含み、
    前記突出部の終端は、前記軸方向において前記電動機の下流側の巻線部の終端より上流側に位置する
    スクリュー圧縮機。
  2. 前記ケーシングは、前記電動機の外周のうち前記仮想平面に対して前記一方側の反対側の部分に沿って設けられ、ガスを前記電動機に対し前記スクリューロータの反対側から前記スクリューロータ側へ通す反対側ガス通路を含む、
    請求項1に記載のスクリュー圧縮機。
  3. 前記電動機は、
    前記外周を形成する外壁部と、
    前記外壁部から前記軸のスクリューロータ方向へ突出するコイルエンドと、
    を含み、
    前記突出部は、前記軸方向において前記コイルエンドの下流端より上流側に位置する、
    請求項2に記載のスクリュー圧縮機。
  4. 前記電動機の円周方向において、前記突出部の位置の範囲は、前記ガス通路の位置の範囲を含み、前記ガス通路の位置の範囲より広い、
    請求項3に記載のスクリュー圧縮機。
  5. 前記突出部と前記コイルエンドの間の最小距離は、前記電動機の径方向における前記ガス通路の距離より小さい、
    請求項4に記載のスクリュー圧縮機。
  6. 前記コイルエンドの径は、前記電動機の径より小さい、
    請求項5に記載のスクリュー圧縮機。
  7. 前記軸に垂直な方向において、前記反対側ガス通路の断面積は、前記ガス通路の断面積より大きい、
    請求項6に記載のスクリュー圧縮機。
  8. 前記ケーシングは、前記電動機の外周のうち前記仮想平面に対して前記一方側の部分に沿って設けられ、ガスを前記電動機に対し前記スクリューロータの反対側から前記スクリューロータ側へ通す第2ガス通路を更に含む、
    請求項1に記載のスクリュー圧縮機。
  9. 前記ケーシングは、前記ケーシングの内壁面のうち前記仮想平面に対して前記一方側で且つ前記第2ガス通路の下流側で且つ前記電動機に面する位置に設けられ、前記内壁面から突出する第2突出部を更に含む、
    請求項8に記載のスクリュー圧縮機。
  10. 前記電動機の円周方向において、前記突出部の位置の範囲は、前記ガス通路の位置から前記第2ガス通路の位置までの範囲を含み、前記ガス通路の位置から前記第2ガス通路の位置までの範囲より広い、
    請求項8に記載のスクリュー圧縮機。
  11. 前記ケーシング内で前記スクリューロータに平行に設けられた第2スクリューロータを更に備え、
    前記仮想平面は、前記軸と前記第2スクリューロータの軸とを含む、
    請求項1乃至10の何れか一項に記載のスクリュー圧縮機。
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