JP4576870B2 - 圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、冷蔵庫、エアーコンディショナー、冷凍冷蔵装置、給湯器等のヒートポンプ装置、真空ポンプなどに用いられ、空気や酸素および冷媒等を使用する圧縮機の高効率化に関するものである。
近年、例えば、家庭用冷凍冷蔵庫等の冷凍装置に使用される圧縮機については、消費電
力の低減や静音化が強く望まれている。特に、冷蔵庫等の消費電力の低減に関しては、インバーター駆動による圧縮機の低速回転化が進んできており、低速回転時の効率を高める上で、圧縮室での漏れ損失を低減することが重要である。
この漏れ損失を低減する手段としては、例えば、ピストンの外周に環状の給油溝を用いているものがある。具体的には、圧縮された冷媒ガスがピストンとシリンダー間の摺動隙間を介して漏れる量を、環状の給油溝に溜まったオイルでシールすることで低減し、漏れ損失を低減し圧縮機の効率を高めることができる(例えば、特許文献1参照)。
以下、図面を参照しながら上述した従来の圧縮機を説明する。
図9は従来の圧縮機の縦断面図、図10は図9の矢印Aにおける矢視図、図11は従来の圧縮機のピストン周りの要部断面図である。
図9から図11において、密閉容器1の内部の密閉容器内空間2には、固定子3と永久磁石(図示せず)を内蔵した回転子4からなる電動要素5と、電動要素5によって駆動される圧縮要素6と、密閉容器1の下部に貯溜したオイル7を収容する。
シャフト8には、回転子4が圧入固定される主軸部9と、主軸部9に対し偏芯して形成された偏芯部10を有する。シャフト8に形成された給油手段8aは、一端がオイル7中に開口し他端が粘性ポンプ12と連通する傾斜ポンプ11と、粘性ポンプ12の反対側で密閉容器内空間2へと開口する縦孔部13および横孔部14とから構成されている。
ブロック15は、略円筒形の圧縮室17を形成するシリンダー16と、主軸部9を軸支する主軸受18を備えている。シリンダー16には、偏芯部10との間を連結手段20によって連結されたピストン19が往復摺動自在に挿入されている。ピストン19の外周部には、環状の給油溝21が2本周設されている。
また、給油溝21は、上死点(ピストンの上端面19aが矢印Bに位置する)でシリンダー16の内周に位置し、下死点時(ピストンの上端面19aが矢印Cに位置する)では密閉容器内空間2と連通するように配設されている。
以上のように構成された圧縮機について、以下その動作を説明する。
電動要素5の回転子4はシャフト8を回転させ、偏芯部10の回転運動が連結手段20を介してピストン19に伝えられることで、ピストン19は圧縮室17内を往復運動する。これにより、冷却システム(図示せず)からの冷媒ガスは圧縮室17内へ吸入されて圧縮された後、再び冷却システムへと吐き出されるといった圧縮動作を繰り返す。
圧縮機が運転されると、図10に示すように、シャフト8の回転により傾斜ポンプ11内のオイル7は遠心力により上方へと汲み上げられ、粘性ポンプ12を介し各摺動部への給油を施した後、縦孔部13や横孔部14から開放され、密閉容器内空間2に飛散される。このとき、特に放出路Dによってピストン19上部に飛散したオイル7で、ピストン19の給油溝21上部に、表面張力により油溜7aが形成される。
この油溜7aのオイル7は、給油溝21全周へとまわっていき、この環状の給油溝21に溜まったオイル7で、ピストン19とシリンダー16との間のシール性を向上させ、漏れ損失を低減している。
特開2003−65236号公報
しかしながら、上記従来の構成では、環状の給油溝21の空間容積を任意に設計していた為、給油溝21の空間容積のバラツキが大きく、場合によっては体積効率が低下し圧縮機の効率が低下するという課題を有していた。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、ピストン外周の保油性を良化することでシール性を高め、効率の高い圧縮機を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の圧縮機は、ピストンの往復運動の過程で少なくとも一部がシリンダーの内外に位置し、かつ空間容積が0.25mm 〜25mm の環状溝をピストンの外周に形成したものであり、毛細管現象による環状溝の保油性が維持できるとともに、ラビリンス効果によるシール性を良化することで、ピストンとシリンダー間の隙間からの冷媒ガスの漏れを低減するといった作用を有する。
本発明の圧縮機は、空間容積が0.25mm 〜25mm の環状溝をピストンの外周に形成したもので、ピストン外周の保油性を良化することでシール性を高め、効率の高い圧縮機を提供することができる。
請求項1に記載の発明は、密閉容器内に、シリンダーを形成するブロックと、前記シリンダー内で往復運動するピストンを備えた圧縮要素を収容し、前記ピストンの外周にオイルを供給する給油手段を備え、前記ピストンの往復運動の過程で少なくとも一部が前記シリンダーの内外に位置し、かつ空間容積が0.25mm 〜25mm の環状溝を前記ピストンの外周に形成し、さらに前記環状溝を、底部がラウンドした略V字状の断面形状とし、さらに前記略V字状のV字の角度を40°〜80°の範囲としたものであり、環状溝の空間容積が25mm 以下では、毛細管現象の保油性が維持できシール性が向上するとともに、ラビリンス効果の渦流が形成されることでピストンの摺動潤滑状態が良化する。
さらに、環状溝の空間容積が0.25mm 以上では、ラビリンス効果の渦流が形成されることでラビリンス効果によるシール性を保持し、ピストンとシリンダー間の隙間からの冷媒ガスの漏れ量を低減でき、圧縮機の体積効率が向上する。
また、前記環状溝を、底部がラウンドした略V字状の断面形状としたことにより、V字状の環状溝に漏れ込む冷媒ガスがV字形状をガイドとして、ラビリンス効果として重要な渦流を形成する流路と、シリンダーとピストン間で静圧を形成する流路との分流が乱れなく形成されるので、さらにラビリンス効果が向上し、ピストンとシリンダー間の隙間からの冷媒ガスの漏れ量を低減でき、圧縮機の効率を高めることができる。
さらに、前記略V字状のV字の角度を40°〜80°の範囲とすることにより、V字状の環状溝に漏れ込む冷媒ガスがV字形状をガイドにして、渦流を形成する流路と、シリンダーとピストン間で静圧形成する流路との分流が乱れなく形成されるが、特にV字角度が60°の場合では、V字状の環状溝に漏れ込む冷媒流路の角度に対してほぼ直角に投射されるので、さらに渦流と静圧発生流路との分流が均一に形成され、いずれか一方の流路が大きすぎるといったアンバランスな流路形成が防止できるので、ラビリンス効果を安定化させ、圧縮室からの冷媒ガスの漏れ量を低減することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、複数の環状溝をピストンの
外周面に形成するとともに、隣り合う前記環状溝どうしの距離を1mm以上離したものであり、2本以上保有する環状溝のいずれかのオイルが不連続になった場合においても、他の環状溝によりシール性が確保され、さらに、隣り合う溝同士の間隔が1mm以上にすることにより縮流による減速流を形成することから、請求項1に記載の発明の効果に加えて、2つ目の環状溝に達する冷媒ガス量が低減されるとともに、2つ目の環状溝によって下流側への冷媒ガスの漏れ量をより低減でき、体積効率の低減を防止し圧縮機の効率を高めることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、ピストンが20r/sec未満の回転数を含む複数の運転周波数で駆動されるものであり、請求項1または2に記載の発明の効果に加えて、冷凍能力に対するピストンとシリンダー間からの漏れ損失の割合が大きく、圧縮機の効率が低下する冷凍能力の小さい運転においても、安定したオイルシールおよびラビリンス効果による冷媒ガスの漏れ量を低減でき、体積効率低下に伴う圧縮機の効率低下を防止できるとともに、冷却システムの消費電力を低減することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3に記載の発明において、圧縮される冷媒はR600aであり、請求項1から3に記載の発明の効果に加えて、R134a冷媒を使用する圧縮機と同等の冷凍能力を得るためにピストンの外径が大きくなり、ピストンとシリンダー間の漏れ流路の断面積が大きく漏れが生じやすくなっても、安定したオイルシールおよびラビリンス効果による冷媒ガスの漏れ量を低減でき、体積効率低下に伴う圧縮機の効率低下を防止できるとともに、冷却システムの消費電力を低減することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明による圧縮機の縦断面図である。図2は、同実施の形態におけるピストン周りの要部断面図である。図3は同実施の形態におけるピストンとシリンダーとの要部断面図である。
図1から図3において、密閉容器101内部の密閉容器内空間102には、固定子103と永久磁石(図示せず)を内蔵した回転子104からなる電動要素105と、電動要素105によって駆動される圧縮要素106と、密閉容器101の下部に貯溜したオイル107を収容する。
電動要素105はインバーター(図示せず)によって20r/sec未満の運転周波数と80r/sec以上の運転周波数を含む複数の運転周波数で駆動される。本圧縮機に使用される密閉容器内空間102の冷媒は、温暖化係数の低い自然冷媒として代表的な炭化水素系冷媒であるR600aである。
シャフト108には、回転子104が圧入固定され、主軸部109と主軸部109に対して偏芯して形成された偏芯部110を有する。シャフト108に形成された給油手段108aは、一端がオイル107中に開口し他端が粘性ポンプ112と連通する傾斜ポンプ111と、粘性ポンプ112の反対側で密閉容器内空間102へと開口する縦孔部113およびと横孔部114とから構成されている。
シリンダー116を有するブロック115は、略円筒形の圧縮室117を有するとともに、主軸部109を軸支する主軸受118を有している。シリンダー116には、偏芯部110との間を連結手段120によって連結されたピストン119が往復摺動自在に挿入
されている。
ピストン119の外周には環状溝121が設けられており、図2に示す通り、下死点では密閉容器内空間102と連通し、それ以外の例えば上死点近傍などではシリンダー116内に位置するように配設されている。従って、環状溝121はピストン119の往復運動の過程で少なくとも一部がシリンダー116外の密閉容器内空間102に位置するとともに、シリンダー116内に位置する。
環状溝121は2本形成されており、隣り合う環状溝121どうしの距離(S)は1mm以上としており、その空間容積、すなわち環状溝121の断面とピストン119外径の延長面で囲われて成る空間容積の総和を、0.25mm 〜25mm としている。また、図3に示すように、V字状のV字の角度(R)を40°〜80°とし、環状溝121の底部はラウンドした略V字状の断面形状であるラウンド部121aを形成する。
以上のように構成された圧縮機について、以下にその動作、作用を説明する。
電動要素105の回転子104はシャフト108を回転させ、偏芯部110の回転運動が連結手段120を介してピストン119に伝えられることで、ピストン119は圧縮室117内を往復運動する。これにより、冷却システム(図示せず)からの冷媒ガスは圧縮室117内へ吸入されて圧縮された後、再び冷却システムへと吐き出されるといった圧縮動作を繰り返す。
圧縮機が運転されると、シャフト108の回転により、傾斜ポンプ111内のオイル107は遠心力により上方へと汲み上げられ、粘性ポンプ112を介し各摺動部への給油を施した後、縦孔部113や横孔部114から、放出路M、Nで示すように密閉容器内空間102に全周方向に放出される。このとき、放出されるオイル107はピストン119上部にも飛散するので、ピストン119の環状溝121上部には、表面張力等によって油溜り107aが形成される。
この油溜り107aのオイル107は毛細管現象によって環状溝121を満たす。この油溜り107aに溜まったオイル107が、ピストン119とシリンダー116とのオイルシールをつかさどる。
以下、図4から図8を用いて環状溝121の最適値とその原理について説明する。
図4は、圧縮室117からの冷媒漏れの流路指図である。図5は、環状溝121の空間容積に対する成績係数の特性図を示す。図6は、隣り合う環状溝121どうしの距離に対する成績係数の特性図である。図7は、圧縮機の運転周波数変化に対する成績係数の特性図である。図8は、成績係数のばらつきの特性図である。なお、成績係数(C.O.P)は印加入力に対する冷凍能力の比であり、一般的に効率を指し示す指標として用いられる。
図5ないし図8に示すように、本実施の形態において高い成績係数を得られたが、その具体的な効果およびその理由について、各図を参照しながら説明する。
まず、図4に基づいて、環状溝121のシール作用について、V字の角度(R)の設計とともに説明する。
圧縮された高圧の冷媒ガスが、圧縮室117からピストン119とシリンダー116との隙間を介して反圧縮室117側へ漏出しようとすると、オイル107を保持したV字状
の環状溝121に到達する。
この高圧の冷媒ガスが環状溝121の角121bに到達すると、環状溝121の内側に引き込まれ、オイル107と混合した状態(以後、混合流という)となってピストン119外周に対し角度θをなすT方向の流れとなり、環状溝121のV字状の面に衝突する。
衝突したT方向の混合流は、渦流を形成する流路Pと、シリンダー116へと流れて静圧を形成する流路Oとに分流される。
流路Pでは、V字状の面に衝突した後に、V字状の面とラウンド部121aをガイドにして渦を巻くので、安定した渦流を形成する。
一方、流路Oは、環状溝121のV字状の面に沿ってシリンダー116の方向への流れを作るが、この際、流路Pの渦流に乱れが少ないので、流路Oは流路Pの渦流の外側を通ってシリンダー116の方向へ向かう流れを形成する。その後、流路Oと流路Pは後段の環状溝121において合流し、再びピストン119とシリンダー116との隙間を反圧縮室117側へと進む。
以上のように、圧縮された高圧の冷媒ガスがV字状の環状溝121に到達すると、オイル107と混合した状態の混合流となり、流体の粘性抵抗が激増する。そして、この混合流がV字状の環状溝121内で分流し合流するため、ここで極めて大きな抵抗が発生する。
さらに、混合流はV字状の環状溝121内で膨張と収縮を経ることで減圧し、いわゆるラビリンスシールの効果が発生して、漏出するエネルギーが激減する。その結果、ピストン119とシリンダー116間の隙間からの冷媒ガスの漏れ量を低減することができたものと考える。
この際、例えば、V字の角度(R)の大小によって流路Pと流路Oとの分流比率が変わり、いずれか一方の流路が大きすぎるとアンバランスな流路分布となるため、流路に乱れが生じてラビリンス効果が低下すると推察するが、本実施の形態においては略V字状のV字の角度(R)を40°〜80°とすることで最適化している。
これは、V字状の環状溝121に漏れ込むT方向の混合流が、環状溝121のV字状の面に略垂直に投射されることで、渦流を形成する流路と静圧を形成する流路との分流が均一に形成され、いずれか一方の流路が大きすぎるといったアンバランスな流路形成を回避できるので、安定的にラビリンス効果を得ることができ、圧縮室117からの冷媒ガスの漏れ量を低減することができたものと推察する。
次に、図5に基づいて、環状溝121の空間容積の設計について説明する。
図5において、縦軸は圧縮機の成績係数(C.O.P)であり、横軸は環状溝121の断面とピストン119外径の延長面で囲われて成る空間容積の総和である。そして、冷媒をR600aとR134aを用いて、それぞれの冷媒に対して略同一の冷凍能力の圧縮機を用いて試験を行った結果である。
また、運転周波数は27r/secであり、冷蔵庫で運転される条件に近い運転条件として、蒸発温度は−30℃、凝縮温度は40℃としている。
本結果から明らかなように、本実施の形態の通り、環状溝121の空間容積を0.25
mm 〜25mm とすることによって、空間容積が0.25mm より小さい場合や25mm より大きい場合と比べて高い成績係数を得ることができることが、試験により明確となった。
特に、環状溝121の空間容積が25mm を越えると成績係数が急激に低下するが、これは成績係数のばらつきが急激に増加するためであり、本実施の形態ではこういった成績係数のばらつきが大幅に減少している。この成績係数のばらつきについては、図8に基づいて、後述する。
なお、環状溝121の空間容積が成績係数の及ぼす影響については、以下の通り推察する。
環状溝121の空間容積は25mm 以上にすることにより、圧縮機の成績係数において、ばらつきが極端に増大することを試験により確認している。これはV字状の環状溝121の空間容積が過大となることで毛細管現象による環状溝121全体へのオイル107の染み渡り性が低下してしまい、その結果、圧縮された高圧の冷媒ガスはオイル107と十分に混合しない状態でV字状の環状溝121を通過するため、冷媒ガスだけの流路を形成し、漏れ抵抗が小さくなってしまったためと推察する。
逆に、環状溝121の容積は0.25mm 以下になっても成績係数のばらつきが増え、効率が低下することを試験により確認している。これは、環状溝121の空間容積が極端に小さくなったことで、シールをつかさどるオイル107が搬出されてしまうとともに、ラビリンス効果を発揮するために必要な渦流が形成できなくなったためであると推測する。
次に、図6に基づいて、隣り合う環状溝121どうしの距離(S)の設計について説明する。
図6において、縦軸は圧縮機の成績係数であり、横軸は隣り合う環状溝121どうしの距離(S)である。冷媒はR600aで、運転周波数は27r/secであり、冷蔵庫で運転される条件に近い運転条件として、蒸発温度は−30℃、凝縮温度は40℃としている。
本実施の形態において、環状溝121は隣り合う環状溝121どうしの距離(S)を1mm以上離して2本形成している。これはいずれかの環状溝121内のオイル107が不連続になってシール性が低下した場合においても、他の環状溝121によりシール性を保つことができるようにしたものである。
そして、隣り合う環状溝121どうしの距離(S)を1mm以上離すことで、複数の環状溝121が独立してそれぞれの効果を発揮することができ、高い成績係数を得ることができることが試験により明確となった。従って、反圧縮室117側への漏れ量をより低減させることで、体積効率の低減を防止し、圧縮機の効率を高めることができる。
上記の結果について、以下の通り推察する。
すなわち、隣り合う環状溝121どうしの距離が短かすぎると、隣り合う環状溝121どうしのオイルシールが不十分となり、複数の環状溝121を配設している効果がなくなる。そのため、隣り合う環状溝121どうしの距離を1mm未満とした場合では、成績係数のばらつきが増加し、このことは試験により確認している。
そして、図6から明らかなように、隣り合う環状溝121どうしの距離を1mm以上にすることにより、ピストン119とシリンダー116との隙間が絞りとなり、混合流の流速が増加することで混合流は減圧され、その結果、ピストン119とシリンダー116と漏れ量はさらに減少するものと推察する。
次に、図7に基づいて、圧縮機の運転周波数を変化させた時の成績係数の特性について説明する。
図7において、縦軸は圧縮機の成績係数(C.O.P)であり、横軸はピストン119が駆動される運転周波数を示している。冷媒はR600aを用いた際の結果である。また、冷蔵庫で運転される条件に近い運転条件として、蒸発温度を−30℃、凝縮温度を40℃としている。
本結果から明らかなように、冷蔵庫等の冷却システムにおいて消費電力の低減効果の高い20r/sec未満といった低い運転周波数において、成績係数が大幅に改善されており、従来の圧縮機と比べて、ピストン119とシリンダー116のシール性が格段に良化し、漏れ量を低減できることを確認した。
一般に、20r/sec未満といった低速回転域では、冷凍能力が小さく、冷凍能力に対してピストン119とシリンダー116間からの漏れ損失の割合が大きくなるため、圧縮機の効率が低下する。しかしながら、本実施の形態においては、安定したオイルシールおよびラビリンス効果によるピストン119とシリンダー116の漏れ量が低減できるので、体積効率低下に伴う圧縮機の極端な効率低下を防止でき、冷却システムの消費電力を大きく低減することができる。
次に、図8に基づいて、成績係数およびそのばらつきの改善効果について説明する。
図8において、縦軸は圧縮機の成績係数およびそのばらつきを示しており、本実施の形態の圧縮機と従来の圧縮機に、R600a冷媒とR134a冷媒を用いた場合の結果である。運転周波数は27r/secであり、冷蔵庫で運転される条件に近い運転条件として、蒸発温度は−30℃、凝縮温度は40℃としている。
また、成績係数のばらつきは、最小値と最大値をばらつき幅として示し、平均値を棒グラフとして示している。
本実施の形態における環状溝121の詳細な仕様についてはすでに説明済みであるが、従来の冷媒圧縮機の仕様は、2本の給油溝を設けているものの、給油溝の空間容積が25mm を超えている点などが本実施の形態と大きく異なる。
本結果から明らかなように、本実施の形態においては、従来の冷媒圧縮と比べて、いずれの冷媒においても成績係数の改善効果、ばらつきの低減効果は大きい。特にR600a冷媒を用いたものはR134a冷媒を使用した場合と比べて、成績係数のばらつきの低減効果が大きく、成績係数そのものについても著しい改善効果を得ることができることが試験により明確となった。
上記の改善効果の理由について、以下に説明する。
R134a冷媒を使用する場合と同じ冷凍能力を得るためには、両冷媒の物性値の違いから、R600a冷媒を使用する冷媒圧縮機の気筒容積は約2倍程度となる。通常、気筒容積を大きくするためには、ピストン119の外径やストロークを大きくする設計をおこ
なう。
ピストン119の外径を大きくすると、ピストン119とシリンダー116間の摺動隙間の流路断面積が増えるため、圧縮室117からの冷媒ガスの漏れ量が増大し、またピストン119やシリンダー116は寸法が大きくなることで精度のばらつきも増加するので漏れ量のばらつきも増加する。
しかしながら、本実施の形態における圧縮機では、ピストン119に形成した環状溝121の作用によって、オイルシール性およびラビリンス効果によるシール性がより向上するとともに安定したために、圧縮室117からの冷媒ガスの漏れ量を低減でき、ばらつきも低減できたため、R600a冷媒を使用した場合の改善効果が大きくなったと考えられる。
以上のように本実施の形態によれば、圧縮機の低回転域でのピストン119とシリンダー116間のシール性を向上させることができる。その結果、ピストン119とシリンダー116間の漏れ損失を低減でき、効率の高い圧縮機を実現することができた。
以上のように、本発明にかかる圧縮機は、ピストン外周の保油性を良化することでシール性を高め、効率の高い圧縮機を提供することができので、家庭用冷蔵庫のみならず、自販機やショーケースといった他の冷凍サイクル等の用途にも適用できる。また、同様のピストン構成であるリニアコンプレッサー等の用途にも適用できる。
本発明の実施の形態1における圧縮機の縦断面図 同実施の形態におけるピストン周りの要部断面図 同実施の形態におけるピストンとシリンダーとの要部断面図 同実施の形態における圧縮室からの冷媒漏れの流路指図 同実施の形態における環状溝の空間容積に対する成績係数の特性図 同実施の形態における隣り合う環状溝どうしの距離に対する成績係数の特性図 同実施の形態における運転周波数変化に対する成績係数の特性図 同実施の形態における成績係数のばらつきの特性図 従来の圧縮機の縦断面図 図9の矢印Aにおける矢視図 従来の圧縮機のピストン周りの要部断面図
101 密閉容器
106 圧縮要素
108a 給油手段
115 ブロック
116 シリンダー
119 ピストン
121 環状溝
121a ラウンド部

Claims (4)

  1. 密閉容器内に、シリンダーを形成するブロックと、前記シリンダー内で往復運動するピストンを備えた圧縮要素を収容し、前記ピストンの外周にオイルを供給する給油手段を備え、前記ピストンの往復運動の過程で少なくとも一部が前記シリンダーの内外に位置し、かつ空間容積が0.25mm 〜25mm の環状溝を前記ピストンの外周に形成し、さらに前記環状溝を、底部がラウンドした略V字状の断面形状とし、さらに前記略V字状のV字の角度を40°〜80°の範囲とした圧縮機。
  2. 複数の環状溝をピストンの外周面に形成するとともに、隣り合う前記環状溝どうしの距離を1mm以上離した請求項1に記載の圧縮機。
  3. ピストンが20r/sec未満の回転数を含む複数の運転周波数で駆動される請求項1または2に記載の圧縮機。
  4. 圧縮される冷媒はR600aである請求項1から3のいずれか一項に記載の圧縮機。
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