JP2016008273A - 組成物及び塗膜 - Google Patents

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JP2016008273A JP2014130448A JP2014130448A JP2016008273A JP 2016008273 A JP2016008273 A JP 2016008273A JP 2014130448 A JP2014130448 A JP 2014130448A JP 2014130448 A JP2014130448 A JP 2014130448A JP 2016008273 A JP2016008273 A JP 2016008273A
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成瀬 秀樹
Hideki Naruse
秀樹 成瀬
康司 壹岐
Yasushi Iki
康司 壹岐
淳一 山元
Junichi Yamamoto
淳一 山元
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Abstract

【課題】組成物の長期安定性に優れるとともに、それから得られる塗膜の長期安定性も優れる、組成物を提供すること。【解決手段】重合性単量体(A)からなる重合体と、特定の有機シラン化合物(B)からなる重合体とを含み、Si核磁器共鳴スペクトルにおいて、0ppm〜−100ppmの範囲に特定の構造に由来するシグナルを少なくとも有し、かつ、そのシグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比が、0.50より大きい、組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、重合体を含む組成物及び塗膜に関する。
水系重合体を含む組成物は、エマルジョンとして塗料用バインダーやコーティング用ビヒクル等として用いられている。その他にも、溶剤系塗料、接着剤等の用途としても用いられている。しかし、近年は、製造時、作業時、最終製品となってからの低臭気等といった安全性や、環境負荷の低減の要求が高まり、これら溶剤系材料の代替となる水系材料の開発が望まれている。
このような要望を踏まえ、本発明者らは先に、乳化剤に、スルホン酸基、スルホネート基又は硫酸エステル基を有する単量体を用いることで耐水性を付与し、かつ、特定の構造を有するシラン化合物を用いて変性した、高耐久性のアクリル系エマルジョン等を提案した(特許文献1〜3参照)。
特許第3159234号公報 特許第4067336号公報 特許第4286066号公報
本発明者らが先に提案したものは、耐久性等において優れたものであるが、組成物の長期安定性に関して更なる改良を行う余地があると本発明者らは考えた。長期安定性としては、組成物をエマルジョンとして長期保存した場合であっても、組成物自身の物性を維持できることが挙げられる。さらに、このようなエマルジョンから得られる塗膜について、その塗膜を長期保存した場合であっても、塗膜の物性を維持できることが挙げられる。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、組成物の長期安定性に優れるとともに、それから得られる塗膜の長期安定性も優れる、組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意研究したところ、意外にも、Si核磁気共鳴スペクトルで特定される構造を有する有機シラン化合物由来の重合体を含むエマルジョン組成物を用いることに知見を得て、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
重合性単量体(A)からなる重合体と、不飽和基及びチオール基のいずれかを有しない有機シラン化合物(B)からなる重合体と、を含み、
Si核磁気共鳴スペクトルにおいて、0ppm〜−100ppmの範囲に、下記式(i)、式(ii)、式(iii)及び式(iv)のいずれかで表される構造に由来するシグナルを少なくとも有し、かつ、
前記シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比が、0.50より大きい、
組成物。
Figure 2016008273
(式中、Rは、炭素数1〜8のアルキル基、アセチル基、又は水素を表す。)
〔2〕
前記有機シラン化合物(B)として、下記成分(b1)〜(b3)からなる群より選ばれるいずれか1種を含む、〔1〕に記載の組成物。
(b1)成分:下記式(1)で表される有機シラン化合物
Figure 2016008273
(R1は、それぞれ独立して、炭素数2以上のアルキル基、炭素数1〜16のアルキル基を有するメタクリル酸アルキル基、フェニル基、シクロヘキシル基、ジフェニル基、又はナフタレン基を表し、R2は、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基を表し、R3は、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、又は水酸基を表す。nは、1〜3の数であり、mは、0〜1の数であり、n及びmは、n+m≦3の関係を満たす。)

(b2)成分:下記式(2)で表される有機シラン化合物

CH3−Si−(R43 (2)

(R4は、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、又は水酸基を表す。)

(b3)成分:環状有機シラン化合物、又は下記式(3)で表される有機シラン化合物

(CH32−Si−(R52 (3)

(R5は、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、又は水酸基を表す。)
〔3〕
前記(B)成分における前記(b3)成分の含有量が、0.01〜85質量%である、〔2〕に記載の組成物。
〔4〕
前記(B)成分の総量に対する前記(A)成分の質量比(A/B)が、1/150〜10000/1である、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔5〕
前記(A)成分として、(a1)エチレン性不飽和単量体を含み、前記(A)成分の総量における前記(a1)成分の含有量が、5〜100質量%である、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔6〕
前記(A)成分として、(a1)エチレン性不飽和単量体と(a2)不飽和カルボン酸と、を含む、〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔7〕
チキソトロピーインデックスが、1.1以上である、〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔8〕
貯蔵弾性率G’のLog指数部が、3以上である、〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔9〕
〔1〕〜〔8〕のいずれか一項に記載の組成物を含む、エマルジョン。
〔10〕
〔9〕に記載のエマルジョンから得られる、塗膜。
〔11〕
10%モジュラスに対する伸びの比が、0.1以上である、〔10〕に記載の塗膜。
本発明によれば、組成物の長期安定性に優れるとともに、それから得られる塗膜の長期安定性も優れる、組成物を提供することができる。
実施例7で得られた組成物の29Si−NMRスペクトルチャートである。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
本実施形態の組成物は、重合性単量体(A)からなる重合体と、不飽和基及びチオール基のいずれかを有しない有機シラン化合物(B)からなる重合体と、を含み、Si核磁気共鳴スペクトルにおいて、0ppm〜−100ppmの範囲に、下記式(i)、式(ii)、式(iii)及び式(iv)のいずれかで表される構造に由来するシグナルを少なくとも有し、かつ、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比が、0.50より大きい、組成物である。
Figure 2016008273
(式中、Rは、炭素数1〜8のアルキル基、アセチル基、又は水素を表す。)
本実施形態の組成物は、(A)成分からなる重合体と(B)成分からなる重合体とを含む組成物のSi核磁気共鳴スペクトル(29Si−NMR)において、0ppm〜−100ppmの範囲に、式(i)、式(ii)、式(iii)及び式(iv)のいずれかで表される構造に由来するシグナルを少なくとも有し、かつ、そのシグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比が、0.50より大きい。このシグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は、好ましくは0.50より大きく5.50以下であり、より好ましくは0.50より大きく3.20以下であり、更に好ましくは0.50より大きく1.20以下である。なお、上記した0〜−100ppmの範囲に式(i)〜(iv)のいずれかで表される構造に由来するシグナルが複数観測される場合は、該当する各シグナルの上記比率の平均値で評価する。この平均値は、各シグナルの比率の算術平均である。
本発明者らは、従来の水系エマルジョン等で使用されている重合体(例えば、含フッ素系重合体、ウレタン系重合体、スチレンブタジエン系重合体、アクリル系重合体、アクリルスチレン系重合体、塩素系重合体(塩化ビニル系重合体や塩化ビニリデン系重合体等)、ポリオレフィン系重合体、塩素化ポリオレフィン系重合体、酢酸ビニル系重合体等)は、有機シラン化合物由来の重合体に対する相溶性が低いため、その使用量がある程度制限されてしまうという問題に着目した。同様に、上記した汎用の重合体は、ガラス転移温度(Tg)が比較的高い重合体に対して相溶性が低いため、やはりその使用量がある程度制限されてしまうという問題にも着目した。本発明者らは、このようなことが原因となり、従来のエマルジョンの組成物中では有機シラン化合物由来の構造が安定化できないのではないかという考え等に基づき、鋭意研究を行った。すると、意外にも、有機シラン化合物由来の重合体が上記Si核磁気共鳴スペクトルにて特定される構造を、特定の条件で含む組成物とすることで優れた長期安定性を発揮することに知見を得て、本実施形態の組成物を成すに至った。その理由としては、定かではないが、以下のように考えられる。
上記したSi核磁気共鳴スペクトルの特定のシグナルについて、当該シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比を上記範囲とすることにより、各々安定に形成された組成物中において、(A)成分の重合体の一部と、(B)成分の重合体の一部が、安定な状態で混ざり合うことができる。これにより、均質な組成物が得られ、長期安定性も飛躍的に向上させることができる。さらには、本実施形態の組成物をエマルジョンとして塗膜やフィルム等にした際、その密着性が飛躍的に向上するため、塗膜やフィルム等の長期耐久性、例えば、耐候性も向上するものと考えられる(ただし、本実施形態の作用はこれらに限定されない。)。
以下、組成物に含まれる成分組成等について詳細に説明する。
本実施形態の組成物は、重合性単量体(A)からなる重合体と、有機シラン化合物(B)からなる重合体とを含むものである。この組成物は、(A)成分と(B)成分とを一部同一系内で各々重合させることで得ることもできる。以下、この組成物の製造に用いることができる各成分及び重合方法等の一例を説明する。
重合性単量体(A)は、重合可能な化合物であればよく、その種類は特に限定されない。重合性単量体(A)の具体例としては、例えば、イソシアネート類;ポリカーボネートジオール類;アルコール類;グリコール類;リン酸エステル類;ウリル類;ウレイン類;エチレン性不飽和類;アミン類;アミノアルコール類;イミン類;フッ素系化合物;不飽和スルホン酸類、不飽和カルボン酸類、及びこれらの酸無水物類;ラクトン類、オキソラン類;カルボジイミド類、カルボニル類、ビニル類;ケテン類;複素環類;これらの誘導体等が挙げられる。
(A)成分の具体例としては、特に限定されないが、イソシアネート類が好ましい。イソシアネート類としては、1官能のモノイソシアネート類や2官能以上のポリイソシアネート類等が挙げられる。イソシアネート類としては、例えば、フェニルイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリジンジイソシアネート(ジメチルベンジジンジイソシアネート)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、o−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ブチルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート(2,6−ジアミノヘキサン酸ジイソシアネート)等の脂肪族ジイソシアネート;o−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート(キシリレンジイソシアネート、フェニレンビスメチレンジイソシアナート、1,3−ベンゼンジイルビスメチレンビスイソシアナート)、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、トシルイソシアネート、トリス(フェニルイソシアネート)チオホスフェート等の芳香脂肪族ジイソシアネート;イソプロピリデンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(4,4’−メチレンビスシクロヘキシルイソシアネート)ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3−(2’−イソシアナトシクロヘキシル)プロピルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略称する。)、水素添加トルエンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。
多官能イソシアネートとしては、市販品を用いることもできる。このような市販品としては、例えば、旭化成ケミカルズ社製の「デュラネート(商標)」シリーズの、24A−100、22A−75PX、21S−75E、TPA−100、TKA−100、MFA−75B、MHG−80B、TLA−100、TSA−100、TSS−100、TSE−100、P301−75E、E402−80B、E405−70B、AE700−100、D101、D102、A201H等のグレードが挙げられる。
これらイソシアネートのアダクト変性体、ビュレット変性体、イソシアヌレート変性体、ウレトンイミン変性体、ウレトジオン変性体、カルボジイミド変性体等の変性ポリイソシアネートも使用できる。さらに、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、クルードトルエンジイソシアネート等のような、ポリメリック体であるポリイソシアネート、及び、これらのアダクト体やこれらの重合体等が挙げられる。アダクト体としては、例えば、上記のイソシアネート基を有する化合物とトリメチロールプロパンとのアダクト体、ビュウレット体、イソシアヌレート体等が挙げられる。重合体としては、例えば、上記のイソシアネート基含有重合性単量体を公知の重合方法で単独重合させたもの、他の重合性単量体と共重合させたもの等、あるいはこれらの乳化物等が挙げられる。
上記したイソシアネート類は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
さらに、イソシアネート類のカウンターとしては、水、尿素、ポリオール類、ポリアミン類、アミノアルコール類等が挙げられる。これらのカウンターは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
カウンターとして用いることができるポリオール類としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール(以下、1,4−BDと略称する。)、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−n−ヘキサデカン−1,2−エチレングリコール、2−n−エイコサン−1,2−エチレングリコール、2−n−オクタコサン−1,2−エチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリカーボネートオール、ポリカーボネートジオール、ポリカーボネートトリオール、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピオネート、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ヘキサントリオール、クオドロール等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
カウンターとして用いることができるポリアミン類としては、エチレンジアミン(以下、EDと略称する。)、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トルエンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジフェニルジメタンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、水素添加トリレンジアミン、水素添加キシレンジアミン、水素添加ジフェニルメタンジアミン、水素添加テトラメチルキシレンジアミン、ヒドラジン、ジエチレントリアミン等のポリアミン;カルボヒドラジド、アジピン酸ヒドラジド、イソフタル酸ヒドラジド等のジカルボン酸ヒドラジド、カルボジイミド、ポリエチレンイミン、アジリジン、オキサゾリン等が挙げられる。
カウンターとして用いることができるアミノアルコール類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等が挙げられる。これらは、必要に応じて、メタノール、エタノール、プロパノール等のモノアルコール類、エチルアミン、ブチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン等の1級及び2級のモノアミン類を併用してもよい。
ポリカーボネートジオール類としては、一部グリコール類を含むジオール類やトリオール類とカーボネート類とのエステル交換反応で得られるもの等が挙げられる。これらは、旭化成ケミカルズ社、宇部興産社、Bayer社等が提供する市販品を用いることもできる。
カーボネート類としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート等のジアルキルカーボネート、ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、1,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート等が挙げられる。
ジオール類としては、1,3−アダマンタンジオール、アセチレンジオール(別名、エチンジオール)、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブチンジオール、1,4−ブタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ナノジオール、1,10−ドデカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、トリエチレングリコール等の側鎖を持たないジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール等の側鎖を持つジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、カテコール、ヒドロキノン、レゾルシノール等の環状ジオール等が挙げられる。
トリオール類としては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、パントイン酸、1,3,5−アダマンタントリオール、ピロガロール、フロログルシノール、6−メチル−ベンゼン−1,2,4−トリオール、グリセリン、アルジトールを含む、エリトリトール、D−トレイトール、L−トレイトール、D−アラビニトール、L−アラビニトール、キシリトール、リビトール(アドニトール)、D−イジトール、ガラクチトール(ダルシトール)、D−グルシトール(ソルビトール)、マンニトール、ボレミトール、ペルセイトール、D−エリトロ−D−ガラクト−オクチトール、シクリトール(ポリヒドロキシシクロアルカン)として、クエルシトール、ボルネシトール、コンズリトール、イノシトール、オノニトール、ピニトール、ピンポリトール、クェブラキトール、キナ酸、シキミ酸、バリエノール、ビスクミトール、配糖体としてのシケリトール、リン酸化物、フィチン酸、アミノシクリトール、等、1分子中の主鎖、側鎖、末端に関わらず3個以上ヒドロキシル基を含有するもの等が挙げられる。また、グルコース等の糖類も挙げられる。
アルコール類としては、モノオール、上述したジオール類、トリオール類等を用いることができる。モノオールの具体例としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルキルアルコール;シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、フェノール、ベンジルアルコール、ペンタン−2−オール、2−メチルシクロペンタノール、4−エチル−3−メチルシクロヘプタノール、メントール、ゲラニオール、コレステロール、フェノール、クレゾール、ナフトール、ベンジルアルコール、シクロヘキサンメタノール、7−フェニル−1−ナフトール、1−アダマンタンノール、2−アダマンタンノール等の脂環族アルコール等が挙げられる。
グリコール類としては、例えば、グリコール酸を含むジエチレングリコール、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール等が挙げられる。
リン酸エステル類としては、例えば、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル、リン酸トリエステル、及び、それらの誘導体で、例えば、リン酸モノメチル、リン酸ジメチル、リン酸トリメチルであり、以降、代表として、トリエステルを例示すると、リン酸トリス(ブトキシエチル)、リン酸トリエチル、リン酸トリス(1,3−ジクロロ−2−プロピル)、リン酸トリプロピル、リン酸トリス(2−エチルヘキシル)、リン酸トリブチル、リン酸トリフェニル、リン酸トリス(2−クロロイソプロピル)、リン酸トリクレシル、リン酸トリス(2−クロロエチル)等が挙げられる。
ウリル類としては、例えば、ククルビットウリル、グリコウリル、メチルグリコウリル、アルコキシメチル化グリコールウリル等が挙げられる。
ウレイン類、すなわち、アルキル尿素、アルキルウレア(尿素(H2N)2COの水素原子をアルキル基Rで置換した化合物の総称)としては、例えば、p−エトキシフェニル尿素(ズルチン)、ジエチルジフェニル尿素(セントラリット)等が挙げられる。
エチレン性不飽和類としては、例えば、プロピレン、1,2−ブタジエン、1,3−ブタジエン、クロロプレン、シクロブタジエン、ポリブタジエン等のオレフィン類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル単量体;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族単量体;ヒドロキシエチルアクリレート等のヒドロキシル基含有単量体;アクリルアミド等のアミド基含有単量体;グリシジルアクリレート等のエポキシ含有単量体等の(メタ)アクリル酸類等が挙げられる。
アミン類としては、例えば、エチレンイミン(アジリジン)等の脂肪族アミン、ピリジン等の芳香族アミン等が挙げられる。また、アミン類は、ポリアミンであってもよい。
イミン類としては、例えば、ケテンイミン、エチレンイミン、ポリエチレンイミン、ベンゾフェノンイミン、アミジン、グアニジン、オキシム(N−ヒドロキシイミン)、ニトロン(N−オキシドイミン)、イミド等が挙げられる。
フッ素系化合物としては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PFAVE)、ヘキサフルオロイソブチレン(HFIB〕、フッ化ビニリデン(VdF)、エチレン、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)、及び、これらの誘導体等が好ましい。これらの中でも、耐熱性、及び相溶性の観点から、PPVE、PEVE、PMVEが好ましく、PPVEがより好ましい。
不飽和スルホン酸類としては、例えば、メシル基やスルフリル基、あるいは、不飽和アルキル等の不飽和炭化水素、不飽和脂環基を有する化合物の総称で、例えば、ビニルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等が挙げられる。
不飽和カルボン酸類としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等の(メタ)アクリル酸;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等のジカルボン酸及びこれらの無水物等が挙げられる。
ラクトン類としては、例えば、α−アセトラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ブテノライド、マクロライド、カルデノライド、ブファジエノライド、エキサルトリド、エリスロマイシン、アムホテリシン、タクロリムス等の環状エステル等が挙げられる。
複素環類としては、イソシアヌレート、フェノキサジン、ヒダントイン、オキサゾリドン、イミダゾール、ジオキソール、ピロール、ピラゾール、テルラゾール、モルホリン、チオフェン、ピラン、ピリジン、ピリミジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、プリン、キノリン、イソキノリン、キヌクリジン、クロメン、チアントレン、フェノチアジン、フラン、キサンテン、アクリジン、フラザン、フェナジン、カルバゾール、セレナゾール、チアゾール、オキサゾール、シドノン、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
複素環類の中のオキソラン類としては、例えば、テトラヒドロフラン、フラン、オキサゾール、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
ビニル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バッサチック酸ビニル、ビニルピロリドン、メチルビニルケトン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。
ケテン類としては、ワッカー法により製造されるもの等が挙げられる。具体例としては、例えば、ケテン、ジケテン、アルドケテン、ケトケテン等が挙げられる。
複素環類としては、イソシアヌレート、フェノキサジン、ヒダントイン、オキサゾリドン、イミダゾール、ジオキソール、ピロール、ピラゾール、テルラゾール、モルホリン、チオフェン、ピラン、ピリジン、ピリミジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、プリン、キノリン、イソキノリン、キヌクリジン、クロメン、チアントレン、フェノチアジン、フラン、キサンテン、アクリジン、フラザン、フェナジン、カルバゾール、セレナゾール、チアゾール、オキサゾール、シドノン等が挙げられる。
重合性単量体(A)からなる重合体のメルトフローレート(MFR)は、1〜75g/10分であることが好ましく、1〜40g/10分であることがより好ましい。このMFRは、ASTM D−1238に準拠して、温度372℃、荷重5.0kgの条件下で測定できる。
ラジカル重合開始剤としては、油溶性ラジカル重合開始剤であってもよいし、水溶性ラジカル重合開始剤であってもよい。使用する単量体の種類や反応条件等を考慮して、好適なものを選択することができる。
油溶性ラジカル重合開始剤としては、公知の油溶性の過酸化物を用いることもできる。油溶性ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート等のジアルキルパーオキシカーボネート類;tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシピバレート等のパーオキシエステル類;ジ−tert−ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類;ジ(ω−ハイドロ−ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(ω−ハイドロ−テトラデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(ω−ハイドロ−ヘキサデカフルオロノナノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロブチリル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロバレリル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロノナノイル)パーオキサイド、ジ(ω−クロロ−ヘキサフルオロブチリル)パーオキサイド、ジ(ω−クロロ−デカフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(ω−クロロ−テトラデカフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ω−ハイドロ−ドデカフルオロヘプタノイル−ω−ハイドロヘキサデカフルオロノナノイル−パーオキサイド、ω−クロロ−ヘキサフルオロブチリル−ω−クロロ−デカフルオロヘキサノイル−パーオキサイド、ω−ハイドロドデカフルオロヘプタノイル−パーフルオロブチリル−パーオキサイド、ジ(ジクロロペンタフルオロブタノイル)パーオキサイド、ジ(トリクロロオクタフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(テトラクロロウンデカフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ジ(ペンタクロロテトラデカフルオロデカノイル)パーオキサイド、ジ(ウンデカクロロドトリアコンタフルオロドコサノイル)パーオキサイドのジ[パーフロロ(又はフルオロクロロ)アシル]パーオキサイド類;等が挙げられる。
水溶性ラジカル重合開始剤としては、公知の水溶性過酸化物を用いることもできる。水溶性ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸、過ホウ酸、過塩素酸、過リン酸、過炭酸等のアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、tert−ブチルパーマレエート、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。水溶性ラジカル重合開始剤は、サルファイト類や亜硫酸塩類等の還元剤を過酸化物に組み合わせたものでもよい。
水溶性ラジカル重合開始剤は、溶媒として水を用いた水溶液として用いることもできる。さらには、水に加えて、フッ素系溶媒を使用してもよい。フッ素系溶媒としては、CH3CClF2、CH3CCl2F、CF3CF2CCl2H、CF2ClCF2CFHCl等のハイドロクロロフルオロアルカン類;CF2ClCFClCF2CF3、CF3CFClCFClCF3等のクロロフルオロアルカン類;パーフルオロシクロブタン、CF3CF2CF2CF3、CF3CF2CF2CF2CF3、CF3CF2CF2CF2CF2CF3等のパーフルオロアルカン類、フッ素アルコール等が挙げられる。
以上、重合性単量体(A)及びその重合体の具体例の一例を説明してきたが、その中でも、重合性単量体(A)としては、有機シラン化合物(B)からなる重合体との相溶性の観点から、(a1)エチレン性不飽和単量体や、(a2)不飽和カルボン酸が好ましく、更に、(a1)成分と(a2)成分とを含むことが好ましい。以下、これらの好適例を中心により具体的に説明する。
(a1)成分の具体例としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル単量体、芳香族単量体、ヒドロキシル基含有単量体、アミド基含有単量体、エポキシ基含有単量体等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、特に限定されないが、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート等が挙げられる。これらの中でも、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートが好ましい。
芳香族単量体としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等が挙げられる。これらの中でも、スチレンが好ましい。
ヒドロキシル基含有単量体としては、特に限定されないが、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート等が挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましい。
アミド基含有単量体としては、特に限定されないが、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−メチレンビスアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、マレイン酸アミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド等が挙げられる。これらの中でも、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドが好ましい。
エポキシ基含有単量体としては、特に限定されないが、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、メチルグリシジルアクリレート、メチルグリシジルメタクリレート等が挙げられる。これらの中でも、グリシジルメタクリレートが好ましい。
(A)成分の総量における(a1)成分の含有量は、好ましくは5〜100質量%であり、より好ましくは10〜99質量%であり、更に好ましくは30〜98質量%である。(a1)成分の含有量を上記範囲とすることにより、(B)成分との相溶性と縮合安定性を保持し、塗膜の迅性に寄与することができる。
(a2)成分の具体例としては、モノカルボン酸やジカルボン酸等が挙げられる。モノカルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸のハーフエステル、マレイン酸のハーフエステル、フマル酸のハーフエステル、クロトン酸等が挙げられる。ジカルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸等が挙げられる。これら不飽和カルボン酸は、有機シラン化合物(B)の加水分解反応及び縮合反応を促進させる触媒や、安定化剤として作用させることもできる。
(A)成分の総量における(a2)成分の含有量は、好ましくは0.1〜30質量%であり、より好ましくは0.5〜20質量%であり、更に好ましくは1.5〜15質量%である。(a2)成分の含有量を上記範囲とすることにより、相溶性を向上させ、(B)成分を安定化させると共に、塗膜のじん性と密着性に寄与することができる。
(A)成分として(a1)成分と(a2)成分の両方を含む場合、(a1)成分と(a2)成分の含有量は、好ましくは(a1)成分が10〜99質量%、(a2)成分が0.5〜20質量%であり、更に好ましくは(a1)成分が30〜98質量%、(a2)成分が1.5〜15質量%である。
(A)成分としては、更に、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン類;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプトアルキルシラン類等;γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ジメチルビニルシリル基やメチルフェニルビニルシリル基等を有する不飽和有機シラン化合物又は架橋性有機シラン化合物を含むことができる。
(A)成分として、これらを更に含むことで、単量体全体のカップリング効果、相効果、グラフト効果、配位効果等の向上を実現でき、製造時における重合安定性向上にも寄与する。このことにより、耐久性や長期曝露耐性等といった長期の耐候性も向上させることができる。その結果、組成物としての長期安定性も一層向上させることができる。
不飽和基及びチオール基のいずれかを有しない有機シラン化合物(B)としては、不飽和基及びチオール基のいずれかを有しないものであれば、特に限定されない。有機シラン化合物(B)には、不飽和基とチオール基のいずれも有していないものも包含される。このような有機シラン化合物としては、例えば、モノシラン、ジシラン、トリシラン等のシロキシド、ポリシラン、シロール、シリルといった各種誘導体等も包含される。
(B)成分としては、成分(b1)〜(b3)からなる群より選ばれるいずれか1種を含むことが好ましい。以下、各成分について説明する。なお、上述した式(iii)の置換基R、これらの成分(b1)〜(b3)においてSi原子と結合している置換基に対応している。なお、例えば、式(iii)の置換基Rは、以下に述べる式(2)の置換基R4と対応する。
(b1)成分:式(1)で表される有機シラン化合物
Figure 2016008273
(R1は、それぞれ独立して、炭素数2以上のアルキル基、炭素数1〜16のアルキル基を有するメタクリル酸アルキル基、フェニル基、シクロヘキシル基、ジフェニル基、又はナフタレン基を表し、R2は、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基を表し、R3は、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、又は水酸基を表す。nは、1〜3の数であり、mは、0〜1の数であり、n及びmは、n+m≦3の関係を満たす。)
(b1)の好ましい具体例としては、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトシキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン、エチルトリメトシキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
有機シラン化合物(B)の総量に対する(b1)成分の含有量は、好ましくは0〜90質量%であり、より好ましくは0〜80質量%であり、更に好ましくは0.05〜65質量%である。(b1)成分の含有量を上記範囲とすることにより、(B)成分からなる重合体におけるシランの均一性を高め、かつ、(A)成分との相溶性を一層向上させることができる。
(b2)成分:式(2)で表される有機シラン化合物

CH3−Si−(R43 (2)

(R4は、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、又は水酸基を表す。)
(b2)の好ましい具体例としては、メチルトリメトシキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリオキシイソブチルシラン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
有機シラン化合物(B)の総量に対する(b2)成分の含有量は、好ましくは0〜90質量%であり、より好ましくは3〜85質量%であり、更に好ましくは5〜80質量%である。(b2)成分の含有量を上記範囲とすることにより、(B)成分からなる重合体自身の自己組織化を促進すると共に、(B)成分からなる重合体の安定化を一層向上させることができる。
(b3)成分:環状有機シラン化合物又は式(3)で表される有機シラン化合物

(CH32−Si−(R52 ・・・(3)

(R5は、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、又は水酸基を表す。)
有機シラン化合物(B)の総量に対する(b3)成分の含有量は、好ましくは0.01〜85質量%であり、より好ましくは0.05〜80質量%であり、更に好ましくは0.1〜75質量%であり、より更に好ましくは3〜75質量%であり、一層好ましくは5〜70質量%である。(b3)成分の含有量の下限を上記範囲とすることで、(A)成分との相溶性を一層向上させることができるとともに、塗膜とした際のじん性を一層向上させることができる。(b3)成分の含有量の上限を上記範囲とすることで、疎水性の制御を一層容易とすることができる。
(b3)成分の環状有機シラン化合物の好ましい具体例としては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン等の環状化合物等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(b3)成分の式(3)で表される有機シラン化合物の好ましい具体例としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
有機シラン化合物(B)としては、上記したシラン化合物に加え、それ以外の構造のシラン化合物も用いることができる。このような他のシラン化合物としては、例えば、直鎖状あるいは分岐状のオルガノシロキサンポリマーやオリゴマー等が挙げられる。なお、これらは、予め重縮合や架橋されていてもよい。この場合、その分子鎖末端は、水酸基、アルコキシ基、トリメチルシリル基、メチルジフェニルシリル基等であってもよい。
(B)成分の総量に対する(A)成分の質量比(A/B)は、特に限定されないが、好ましくは1/150〜10000/1であり、より好ましくは1/100〜5000/1であり、更に好ましくは1/10〜5000/1であり、より更に好ましくは1/10〜1000/1であり、一層好ましくは1/6〜1000/1である。(B)成分の総量に対する(A)成分の質量比(A/B)を上記範囲にすることで、(A)成分と(B)成分を一層安定に相溶させ、然るに、長期安定性を一層確実なものにすることができる。
本実施形態の組成物は、例えば、その他のエマルジョンと併用してもよい。すなわち、本実施形態の組成物はその他のエマルジョンを更に含むものであってもよい。併用可能なその他のエマルジョンとしては、例えば、含フッ素系エマルジョン、ウレタン系エマルジョン、スチレンブタジエン系エマルジョン、アクリル系エマルジョン、アクリルスチレン系エマルジョン、塩素系エマルジョン(塩化ビニル系エマルジョンや塩化ビニリデン系エマルジョン等)、ポリオレフィン系エマルジョン、塩素化ポリオレフィン系エマルジョン、シリコーン系エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、エチレン酢酸ビニル系エマルジョン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用いてもよい。
含フッ素系エマルジョンは、含フッ素重合性単量体成分を配合して通常の方法でエマルジョンを調製することができる。例えば、白金系触媒、塩化白金酸と各種オレフィンとの錯塩等をエマルジョンの使用直前に混合してもよい。また、界面活性剤の一部と混合するプレ乳化も可能である。エマルジョンの調製条件(温度、圧力、速度等)は、適宜調整できる。
ウレタン系エマルジョンは、例えば、以下の方法により調製することができる。
まず、スルホン酸塩含有ポリオール及び有機ポリイソシアネートを反応させる。その後、低分子ポリオール、及びN−メチル−2−ピロリドン(NMP)やジメチルプロピレンジグリコール(DMFDG)あるいはその両方等を加えて反応させて、イソシアネート基末端プレポリマー溶液を得る。このイソシアネート基末端プレポリマー溶液を水に乳化させた後、必要に応じてNMP又はDMFDGあるいはその両方を更に追加し、それに低分子ポリアミンを加えて反応させることにより、ウレタン系エマルジョンを得ることができる。
イソシアネート基末端プレポリマーを得るに際し、イソシアネート基と活性水素基との仕込み比(モル比)は、従来では、1.1〜5.0程度が一般的であった。その理由としては、例えば、1.1未満の場合は、プレポリマーの分子量が大きくなりすぎて、その後の反応工程等が進みにくくり、5.0を越える場合は被膜強度が小さくなるためと考えられていた。しかし、本実施形態では、そのような仕込み比の制限を緩和することも可能となる。
アクリル系エマルジョンやスチレンブタジエン系エマルジョンは、通常の多段乳化重合法等によって調製することができる。乳化重合の方法や段数に関しては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。すなわち、水性媒体中で重合性単量体、乳化剤、ラジカル重合開始剤及び必要に応じて用いられる他の添加剤成分等を基本組成成分とする分散系において、通常−10〜220℃の温度下にて、単量体成分のバッチあるいは、連続の乳化重合を行う。そして、この工程を少なくとも1回以上繰り返す方法である。重合系内への単量体組成物の供給方法としては、単量体等を一括して仕込むバッチ仕込み法や、単量体等を連続的に同位置、あるいは、個別に滴下する滴下法、単量体と水と乳化剤等とを予め混合乳化しておき、これらを滴下するプレエマルジョン法、あるいはこれらを組み合わせる方法や、強制、可変的に投入する手法、加圧、減圧下に実施する手法等や、その組み合わせが挙げられる。
(A)成分と(B)成分の重合方法及び重合条件の好適例について説明する。好適な重合方法としては、例えば、(A)成分のラジカル重合、付加重合、縮合重合(重縮合等)、懸濁重合と、(B)成分の縮合重合(重縮合等)とを、媒体中で、同時、逐次、あるいは段階的に行う方法等が挙げられる。これらの重合反応は、水性媒体中で行うこともできる。水性媒体としては、水;炭素数1〜6のアルコール、ケトン系溶媒といった水に可溶な有機溶媒とを水との混合溶媒;水に溶けない溶媒と水との混合溶媒等が挙げられる。反応において用いられる溶媒総量、水の量、有機溶媒の総量等は、相状態が安定を維持できるものであれば、特に限定されるものではない。水性媒体中で実施の場合は、組成物はエマルジョンとして得られる。
具体的には、(A)成分の重合と(B)成分の反応を同時に行う方法;(B)成分の反応を先行させた後に(A)成分の重合を進行させる乳化重合方法;(A)成分の重合を進行させた後に(B)成分の反応を進行させる方法、あるいは、これらを組み合わせた手法等が挙げられる。特にこれらの方法の内、(A)成分の重合と(B)成分の重合とを、同時に実施する方法が、分子レベルとドメイン(レベル)の双方での成長と、その相溶性の向上の面で好ましい。
本実施形態では、29Si−NMRスペクトルにおいて、0ppm〜−100ppmの範囲に式(i)、式(ii)、式(iii)、及び式(iv)のいずれかで表される構造に由来するシグナルを少なくとも有し、かつ、当該シグナルの中央値に対するピーク強度の比を0.50より大きいものを効率的に得る観点から、(A)成分と(B)成分とを溶液重合、あるいは、乳化重合することで重合体((A)成分と(B)成分)を得ることが好ましい。乳化重合の場合、重合中に発生する凝集物を抑えるには、以下の手法を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
(1)(A)成分の単量体単独又は(A)成分の単量体を含む溶液から乳化液αを準備する工程と、(B)成分の単量体単独又は(B)成分の単量体を含む溶液から乳化液βを準備する工程と、乳化液α、乳化液β、(A)成分、(B)成分とを乳化重合させる工程と、を有する方法;
(2)(A)成分と(B)成分とを含む乳化液αβを準備する工程と、乳化液αβ、(A)成分、(B)成分とを乳化重合させる工程と、を有する方法;
等が挙げられる。
乳化液α、β、αβの準備には、いずれも、ホモジナイザーや攪拌機等を用いることができる。乳化と重合のタイミングについては、特に限定されず、一括バッチで乳化した上で、乳化重合に供してもよいし;(A)成分及び(B)成分の少なくとも一部を乳化した上で、乳化重合反応に順次用いてもよいし;(A)成分及び/又は(B)成分を逐次乳化しながら、乳化重合反応に順次用いてもよい。
上記いずれの場合も、(B)成分とその他の成分とが分散安定状態を維持しながら重合させることが好ましい。(B)成分と、その他の成分とが同一液滴粒子化しないように、不均質な組成を維持させることも、好ましい方法の1つである。組成物の安定性をより高める観点から、(B)成分について適度な加水分解を進行させることがより好ましい。従来、水性シラン系エマルジョンの製造プロセスにおいては、有機シラン化合物の加水分解を極力抑制することで、組成物の物性を向上させようという試みが行われていたが、本発明者らは発想を転換して、あえて(B)成分の加水分解を適度に進行させてみることを試みた。その結果、意外にも、本実施形態の条件においては(A)成分等に対する(B)成分の相溶化が大幅に進行し、エマルジョンの組成物中にケイ素(Si)をより多く導入することができるものと推測される。さらに、その導入プロセスにおいては、従来では必要とされていた助剤を必ずしも必要とせずに、(B)成分の相溶化が達成できることも見出した。そして、エマルジョンの組成物中でケイ素を適切にユニット化させることができ、組成物の29Si−NMRにおいて0〜−100ppmの範囲に、式(i)、式(ii)、式(iii)、及び式(iv)のいずれかで表される構造に由来する、使用する有機シラン化合物(B)に応じたシグナルを少なくとも有し、その中央の幅に対するピーク強度の比が0.50以上となるように効率よく制御することができる。その結果、組成物としても優れた長期安定性を発揮することができる(ただし、本実施形態の作用はこれに限定されない。)。
本実施形態では、加水分解が急激に進行しても大きな発熱を抑制できる。そのため、アルコール等の発生や急激な縮合反応を抑制することで、乳化液の乳化状態を破壊することなく、反応溶液のpH変動の影響も受けず、反応を安定して継続させることができる。また、本実施形態の重合反応は、1.0以上10以下といった幅広いpH領域であっても好適に行うことができる。
本実施形態の重合反応系への(A)成分及び(B)成分の添加に際しては、化学的安定化手法及び/又は物理的安定化手法を施すことが好ましい。ここでいう化学的安定化手法とは、安定化剤(例えば、有機系、無機系を問わず界面活性剤、キレート剤、ガス化物、種々の微粒子や大粒子等)の添加等が挙げられる。物理的安定化手法としては、乳化、温度制御による相分散、流体制御、振動、電磁波、パルス、臨界化等が挙げられる。このような安定化処手法を行わずに、媒体中で重合されている反応系へ有機シラン化合物(B)を導入した場合、有機シラン化合物(B)は、自身の粒子化と、重合中の高分子成分に作用するものと考えられる。このような重合の管理を行うことで、エマルジョン中の組成物の凝集物を一層緩和し、分子とドメインの双方の相溶性を一層向上させることができる。
上記した、組成物の29Si−NMRにおいて0〜−100ppmの範囲に、式(i)、式(ii)、式(iii)、及び式(iv)のいずれかで表される構造に由来するシグナルに関して、その中央の幅に対するピーク強度の比を制御する方法の一例としては、重合反応系へ導入する前に(A)成分と(B)成分とを混合する方法等が挙げられる。この方法は、重合反応系へ(A)成分及び(B)成分が安定して拡散することが期待できる観点から好ましい。加えて、以下の条件の少なくともいずれかを満たすことがより好ましい。
(ア)重合反応系に供給する前の段階である、(A)成分、(B)成分、及びそれらの混合液を反応溶液に供給する段階で、温度制御を行うこと。
(イ)重合反応系に供給する前の段階である、(A)成分、(B)成分、及びそれらの混合液を反応溶液に供給する段階で、(A)成分及び(B)成分の混合液の粒径を制御すること。
(ウ)重合反応系に供給する前の段階である、(A)成分、(B)成分、及びそれらの混合液を反応溶液に供給する段階で、(A)成分及び(B)成分の混合液の粘度を制御すること。
例えば、重合反応系に導入する前に(A)成分と(B)成分とを混合し、この混合物を重合反応系に供給する方法としては、例えば、反応容器に滴下管が接続された反応装置を用いる方法等が挙げられる。この滴下管としては、例えば、(A)成分の供給部と(B)成分の供給部と必要に応じて供給された他の成分の供給部等を備えるもの等が挙げられる。例えば、(A)成分と(B)成分を反応容器に供給する滴下管としては、ト字管やY字管等を用いることができる。この場合、別々の供給部から供給された(A)成分と(B)成分とが、滴下管の途中で接触混合することで混合物となり、滴下管から反応容器に連続的又は逐次的に供給される。この滴下管の構成や原料の供給条件等を適宜制御することで、上述した条件(ア)〜(ウ)等も適宜制御できる。この滴下管の形状や大きさ等は、特に限定されない。滴下管は、例えば、移送ライン(本実施形態では、単にラインという場合もある)、輸送ポンプ等と呼ばれるものも包含する。
例えば、条件(ア)について制御する場合、滴下管における(A)成分と(B)成分との混合領域の温度は、各成分が過冷却状態となっても凍結しない温度以上であり各成分の沸点以下の温度範囲に制御することが好ましく、より好ましくは−10〜80℃であり、更に好ましくは5〜65℃の範囲であり、より更に好ましくは15〜55℃の範囲である。なお、滴下管の温度制御については、(A)成分と(B)成分の混合領域だけでなく、(A)成分の移送領域及び(B)成分の移送領域についても温度制御が行われることが好ましい。これにより、重合反応をより一層制御することができる。
例えば、条件(イ)について制御する場合、滴下管にフィルタを配置することが好ましい。(A)成分と(B)成分を含む混合物を、フィルタを通過させることで、混合物の粒径を制御することができる。フィルタの種類や形状等は、特に限定されず、ストレーナ、金網、パンチングメタル、ハニカム体、連通体等を用いることができる。フィルタの開口率は、好ましくは18〜92%であり、より好ましくは20〜88%であり、更に好ましくは28〜78%である。ここでいう開口率は、窒素封入による圧力損失の測定等によって求めることができる。
さらに、滴下管における(A)成分と(B)成分との混合前後の断面積差を、0.18〜0.92に制御することが好ましく、0.28〜0.78に制御することがより好ましい。ここでいう断面積差は、目的のフィルタが封入される前の配管内径の断面積と、フィルタの開口率による有効最低断面積との比率によって求めることができる。
例えば、条件(ウ)について制御する場合、(A)成分と(B)成分を含む混合物の粘度を、0.1〜10000mPa・sに制御することが好ましく、0.5〜6000mPa・sに制御することがより好ましく、5〜2000mPa・sに制御することが更に好ましい。ここでいう粘度は、B型粘度計により測定することができる。
その他にも、滴下管中の成分の流速を制御することや、滴下管中の成分の保持時間を制御することも好ましい。例えば、滴下管中の保持時間としては、0.1ミリ秒〜2時間であることが好ましい。これにより重合安定性も一層向上できるとともに、(A)成分と(B)成分の相溶性を適宜制御できる。滴下管中の成分の保持時間を適宜制御する観点から、滴下管に2段以上の仕込み段数を設けることも好ましい。さらに、段と段との間に15分以上の間隔を設けることがより好ましく、段と段との間に45分以上の間隔を設けることが更に好ましい。また、成分毎等の混合槽や保持槽を、各段に別途設ける方法も採用できる。
特定の開口率を有するラインを使用する他に、その範囲の温度を制御し、混合させること等が挙げられる。これらの手法を組み合わせることで、効果が一層向上する。又は、これらの状態が保てなくても安定化が図れる。なお、化学的処理や物理的処置を施す方法もよいが、制御等の難易度が高い。いずれの場合も、各成分の混合液が安定でいられる時間としての(安定)保持時間は、少なくとも常温で8時間以上が好ましい。
本実施形態において採用することができる具体的な乳化方法及び混合方法としては、スタティックミキサー、連続密閉式分散・乳化機等を乳化、混合、あるいは、反応装置に用いる方法等が挙げられる。
スタティックミキサーとしては、市販品を使用することができ、例えば、「スタティックミキサーN10シリーズ」、「スタティックミキサーN16シリーズ」、「スタティックミキサーN60シリーズ」(いずれも、ノリタケ社製)等が挙げられる。
連続密閉式分散・乳化機としては、市販品を使用することができ、例えば、「125L」、「275L」(いずれもSilverson Machines,Inc.製)、「T.K.ホモミキサー」、「T.K.パイプラインホモミキサー」、「T.K.ホモミックラインミキサー」「フィルミクス」、「プラネタリミキサー」(いずれもプライミクス社製)、「ウルトラタラックスラボ」、「ラボパイロット」、「マジックラボ」(いずれもIKA社製)、「モーノ」(神鋼社製)、また、一般的な、リボンミキサー、スプレー、グラニュー、ハイブリ、アトマイザー、スプレードライ、圧力制御ホモジナイザー、超音波振動器、高速粉砕器、臨界制御装置等も挙げられる。
これらを反応容器として利用する場合は、攪拌回転数の制御、一回の操作ではなく、何回かに分けて投入する等の多段(反応)手法として使用することも可能である。この際、段数に規定はなく、また、各段の間に誘導時間を設けてもよい(いわゆる間欠)し、連続的に投入してもよいし、これらを併用してもよい。さらに、各段で投入する(A)成分や(B)成分を、全段分1つの容器で、一括で準備しても、一括で準備したものを後で分割しても、投入時に分割投入制御しても、全段、あるいは、一部の段のみ段毎に容器を変えて準備しても構わない。なお、各段の(A)成分と(B)成分の質量比は、同じであっても異なっていても構わない。操作の難易度は高いが、異なる方が好ましい場合が多い。原材料を含む、混合時の雰囲気温度としては、好ましくは5〜65℃である。材料温度としては、好ましくは15〜55℃である。これらの条件に制御することで、反応を一層安定に維持でき、所望するシリコーンユニットの生成が妨げられることなく、重合反応系での凝集物の発生を抑制でき、その結果、本実施形態のエマルジョン組成物を効率よく製造することができる。
(A)成分を含有する乳化液αは、安定分散を維持し、重合を安定に進行させ、重合安定性を維持し、また、(A)成分と(B)成分の相溶性を担保するための観点から、初期に酸触媒、過硫酸塩等のラジカル開始剤、その他酸性の単量体成分等といったような、酸性成分を含まないことが好ましい。その場合、乳化液αについては中性付近のプレ乳化液とし、他の酸性成分は予め反応系に導入しておくことや、乳化液を反応容器に導入する導入部とは別の導入部から酸性成分を逐次導入すること等が採用できる。重合を定量的に進めるためには、反応時に、酸性成分が、(A)成分(又は(A)成分を含有する乳化液α)と均一に混合した状態を形成させることが好ましい。
(A)成分(又は(A)成分を含有する乳化液α等)のpHは、特に限定されないが、酸性成分と混合した後のpHがpH1.0〜10.0の範囲となるように予め調整しておくことが好ましい。酸性成分と混合した後のpHは、より好ましくは1.0〜5.4であり、更に好ましくは6.8〜10.0である。pHの上限値を上記値以下とすることで、(B)成分の縮合反応が一層速やかに起こり、乳化重合後に(一度に、あるいは、極度に不均一に)縮合反応が進むことを抑制できるため、組成物の貯蔵安定性は一層向上する。さらに、反応装置への投入の段数については、特に限定されず、例えば、1段、バッチ重合に代表される初期張り1段等を採用することができる。
(A)成分及び(B)成分の乳化に用いられる乳化剤としては、特に限定されず、例えば、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性乳化剤、高分子乳化剤、反応性乳化剤等が挙げられる。
アニオン性乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪酸塩;高級アルコール硫酸エステル塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸塩;ポリオキシノニルフェニルエーテルスルホン酸塩;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコールエーテル硫酸塩;スルホン酸基、硫酸エステル基、又は上記骨格と重合性の不飽和二重結合を分子中に有する、いわゆる反応性乳化剤等が挙げられる。
ノニオン性乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルや、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、又は前述の骨格と重合性の不飽和二重結合を分子中に有する反応性ノニオン性乳化剤等が挙げられる。
カチオン性乳化剤としては、例えば、アンモニウムイオン、金属イオン(アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、遷移金属イオン等)、炭素数1〜6のアルカノールアンモニウムイオン又はアルカノールアミン等、即ち、アルキルトリメチルアンモニウム塩(C1225−N+(CH33・Cl-等)、ジアルキルジメチルアンモニウム塩(C1225−N+(C817)(CH32・Cl-等)、及びアルキルベンジルジメチルアンモニウム塩(デシルイソノニルジメチルアンモニウム塩)からなる群から選ばれる少なくとも1種等が挙げられ、好ましくはアルキルトリメチルアンモニウム塩(C1225−N+(CH33・Cl-)、具体例としては、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、カプリルトリメチルアンモニウムクロライド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、N−ステアリル−N,N,N−トリ(ポリオキシエチレン)アンモニウムクロライド(エチレンオキサイド合計3モル付加)、セチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、セチルトリエチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド、ステアラミドプロピルジメチルアミンや、その他アルキル(アルキル基の炭素数8〜28)ジメチルベンジルアンモニウム塩、ジアルキル(アルキル基の炭素数8〜28)メチルヒドロキシエチルアンモニウム塩等が挙げられる。
一般式:Q3(CH3)N+・X-、Q2(CH32+・X-、Q(CH33+・X-のようなジメチルタイプやトリメチルタイプ(ここで、Qは、それぞれ独立して、炭素数6〜30の1価の有機基を表し、Xはハロゲン原子又は炭素数1〜6の1価のカルボキシル基を表す。)等で表される化合物であってもよい。
Qは、それぞれ独立して、炭素数6〜30、好ましくは8〜18の1価の有機基である。Qの具体例としては、例えば、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ドコサニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等のアルキル基、フェニル、ベンジル、トリル、ナフチル等のアリール基、オレイル等のアルケニル基等が挙げられる。これらの中でも、オクチル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシルが好ましい。また、X-はハロゲンイオン又は炭素数1〜6の1価のカルボキシルイオンであり、具体的にはCl-、Br-、I-等のハロゲンイオン、HCOO-、CH3COO−、C25COO-等のカルボキシルイオン等が挙げられる。これらの中でも、Cl-、HCOO-、CH3COO-が好ましい。
両性乳化剤としては、カチオン性官能基及びアニオン性官能基を少なくとも1つずつ有し、溶液が酸性のときにはカチオン性、アルカリ性のときにはアニオン性となり、等電点付近では非イオン界面活性剤に近い性質を有するものであれば、特に限定されない。両性乳化剤は、アニオン基の種類により、カルボン酸型両性乳化剤、硫酸エステル型両性乳化剤、スルホン酸型両性乳化剤、リン酸エステル型両性乳化剤等に分類できる。これらの中でも、好ましくはカルボン酸型両性乳化剤、硫酸エステル型両性乳化剤、スルホン酸型両性乳化剤である。
また、カルボン酸型両性乳化剤は、さらにアミノ酸型両性乳化剤やベタイン型両性乳化剤等に分類できる。例えば、ベタイン、アルキルベタイン等のアルキルアミン塩や第四級アンモニウム塩等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはベタイン型である。具体的には、イミダゾリニウムベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、さらに、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩、2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、2−アルキル(例えば、炭素数8〜18)−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
高分子乳化剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリカルボン酸、ケチミン、PCD、ポリアミン、ポリアミド、ポリアミドアミン、ポリウレタン、タンパク質、微生物由来乳化剤、植物由来乳化剤、動物由来乳化剤、天然高分子誘導体等が挙げられる。これらは、有機化合物や無機化合物により変性されていてもよい。
反応性乳化剤としては、アニオン、ノニオン、カチオン、両性の骨格を有し、かつ、不飽和二重結合、ヒドロキシ等の反応性基を有するもの等が挙げられる。
上記乳化剤に加えて、下記式(4)で表されるスルホコハク酸系乳化剤や、ジェミニ型乳化剤、プルロニック型界面活性剤、長鎖脂肪族系アルキル型界面活性剤、ラウリル硫酸やその塩、αスチレンやジスチリル基含有型界面活性剤、ポリオレフィン型界面活性剤を併せて用いることが好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらを用いることにより、重合安定性を一層向上させることや、乳化重合時に発生する凝集物を一層低減させることができる。
Figure 2016008273
(式中、Ra、及びRbは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数5〜10のアリール基、炭素数6〜19のアラルキル基を表す。Mは、アルカリ金属、アンモニウム、アミン塩基、又は第四級アンモニウム塩基を表す。)
式(4)で表されるスルホコハク酸系乳化剤の具体例としては、例えば、ラジカル重合性二重結合を有さないスルホコハク酸系乳化剤や、ラジカル重合性二重結合を有するスルホコハク酸系乳化剤等が挙げられる。
ラジカル重合性二重結合を有さないスルホコハク酸系乳化剤としては、例えば、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム(市販品としては、例えば、花王社製、「ペレックス(商標)OT−P」、三井サイテック社製、「エアロゾル(商標)OT−75」等)、スルホコハク酸ジヘキシルナトリウム(三井サイテック社製、「エアロゾル(商標)MA−80」、三井サイテック社製、「エアロゾル(商標)TR−70」、「エアロゾル(商標)A−196−85」、「エアロゾル(商標)AY−100」、「エアロゾル(商標)IB−45」、「エアロゾル(商標)A−102」、「エアロゾル(商標)A−103」、「エアロゾル(商標)501」等)等が挙げられる。
ラジカル重合性二重結合を有するスルホコハク酸系乳化剤としては、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、三洋化成社製の「エレミノール(商標)JS−20」、花王社製の「ラテムル(商標)S−120」、「ラテムルS−180」、「ラテムルS−180A」等が挙げられる。
耐水性を向上させる観点から、反応性乳化剤を用いることが好ましい。これらの反応性乳化剤は、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、ADEKA社製の「アデカノールSR−1025」、第一工業製薬社製の「アクアロンKH−1025」等が挙げられる。
上記乳化剤に加えて、上記式(4)で表されるスルホコハク酸系乳化剤や、ジェミニ型乳化剤、プルロニック型界面活性剤、長鎖脂肪族系アルキル型界面活性剤、ラウリル硫酸やその塩、α−スチレンやジスチリル基含有型界面活性剤、ポリオレフィン型界面活性剤等を併用することが好ましい。これらを用いることにより、重合安定性の向上や、乳化重合時に発生する凝集物の低減が期待できる。
式(4)で表されるスルホコハク酸系乳化剤の具体例としては、例えば、ラジカル重合性二重結合を有さないスルホコハク酸系乳化剤や、ラジカル重合性二重結合を有するスルホコハク酸系乳化剤等が挙げられる。
本実施形態で用いる重合開始剤としては、一般に用いられるラジカル重合開始剤等が挙げられるが、特に限定されない。ラジカル重合開始剤は、熱又は還元性物質等によってラジカルを生成して重合性単量体の付加重合を起こさせるものである。ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物等が挙げられる。具体的には、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。重合開始剤は、水溶性でもよいし、油溶性でもよいが、好ましくは水溶性である。なお、重合速度の促進や低温反応を望む場合には、重亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸、ホルムアルデヒドスルホオキシレート塩等の還元剤を、ラジカル重合開始剤と併用することが好ましい。
本実施形態では、必要に応じて、分子量調整剤を使用することができる。分子量調整剤としては、例えば、ドデシルメルカプタン、ブチルメルカプタン等が挙げられる。分子量調整剤の使用方法は、特に限定されるものではない。
その他、本実施形態の組成物はエマルジョンとして用いることができ、用途等に応じて、エマルジョン中に通常配合できる他の成分を更に含有してもよい。このような他の成分としては、例えば、増粘剤、成膜助剤、可塑剤、凍結防止剤、消泡剤、分散剤、湿潤剤、染料、防腐剤、防カビ剤、防藻剤、農薬、顔料、触媒、難燃剤、耐火剤、耐擦過剤、吸油剤、耐電防止剤、導電性材料、絶縁材料、紫外線吸収剤、光安定剤、家庭用調味料、各種オイル、各種感冒薬、セルロース糖類、サプリメント(ビタミン、コンドロイチン、マカ、マテ、コエンザイムQ10等)、光触媒、香粧品添加素材、食品添加物、架橋剤、アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリルスチレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ピロリドン樹脂、これらの複合材料等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
増粘剤としては、例えば、ポリエーテル系増粘剤、ポリカルボン酸系増粘剤等が挙げられる。
湿潤剤としては、例えば、ポリエステル、コハクスルホン酸やそのエステル、ポリエーテル、(ポリ)グリコール類、水等が挙げられる。
分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール(部分鹸化ポリ酢酸ビニル等を含む)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の高分子分散剤等が挙げられる。
成膜助剤としては、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ブタンジオールイソブチレート、グルタル酸ジイソプロピル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、乳化剤等が挙げられる。これらの成膜助剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
可塑剤としては、例えば、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等が挙げられる。また、上記した成膜助剤や増粘剤等も、その効果が認められる。
凍結防止剤としては、例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール等のグリコール系凍結防止剤;乳化剤、昆虫、細菌、動植物等からの抽出物;たんぱく質等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ステアリルオキシベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニル〕ベンゾトリアゾール)、メチル−3−〔3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネートとポリエチレングリコール(分子量300等)との縮合物(例えば、市販品として、日本チバガイギー社製、「TINUVIN1130」)、イソオクチル−3−〔3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート(例えば、市販品として、日本チバガイギー社製、「TINUVIN384」)、2−(3−ドデシル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(例えば、市販品として、日本チバガイギー社製、「TINUVIN571」)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(例えば、市販品として、日本チバガイギー社製、「TINUVIN900」)等が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、日本チバガイギー社製、「TINUVIN400」等が挙げられる。
光安定剤としては、特に限定されないが、ヒンダードアミン系光安定剤が好ましく、その中でも塩基性の低いものがより好ましく、塩基定数(pKb)が8以上のものが更に好ましい。ヒンダードアミン系安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)サクシネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、1−〔2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとメチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−セバケートの混合物(例えば、市販品として、日本チバガイギー社製、「TINUVIN292」)、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(例えば、市販品として、日本チバガイギー社製、「TINUVIN123」)等が挙げられる。
紫外線吸収剤及び/又は光安定剤は、上記に加えて、乳化剤、凍結防止剤等のグリコール系、昆虫、細菌、動植物等からの抽出物、成膜助剤等もその効果がある。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
紫外線吸収剤及び/又は光安定剤、凍結防止剤等を本願エマルジョン組成物に導入する方法としては、例えば、重合時に上記化合物を存在させる方法;紫外線吸収剤、光安定剤、凍結防止剤等を成膜助剤等と混合し、重合後にこれを添加することにより導入する方法;紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を成膜助剤と混合し、これに界面活性剤、水を加えて乳化させた後、重合後にこれを添加することにより導入する方法等が挙げられる。また、紫外線吸収剤と光安定剤を併用すると、耐久性が飛躍的に向上する。
乳化重合終了後に、(B)成分の縮合反応を完結させるために、後処理として、pH1〜4又はpH9〜12の条件下で、15分間以上保持することが好ましい。
さらに、副生するアルコールを除去する方法も採用できる。その際の処理温度は、通常、10〜120℃である。また、当該操作は、上記した後処理と同時であっても、別であってもよく、通常、1〜20000段の範囲で設定することが好ましい。
架橋剤としては、例えば、水素基、水酸基、アミン基、イソシアネート基を有する化合物、アジリジン環を有する化合物、オキサゾリン環を有する化合物、カルボジイミド基を有する化合物、メタラシクロ基を有する化合物等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。架橋剤を反応系に加えるタイミングについては、特に限定されず、重合前でもよいし、重合中でもよい。
イソシアネート基を有する化合物としては、2個以上のイソシアネート基を分子内に有するものであれば特に限定されないが、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、及び、これらのアダクト体、ウレトンイミン変性体、ウレトジオン変性体、カルボジイミド変性体、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネートの様なクルード体あるいはポリメリック体等の重合体等が挙げられる。アダクト体としては、例えば、上記のイソシアネート基を有する化合物とトリメチロールプロパンとのアダクト体、ビュウレット体、イソシアヌレート体等が挙げられる。重合体としては、例えば、上記のイソシアネート基含有重合性単量体を公知の重合方法で単独重合させたもの、他の重合性単量体と共重合させたもの、あるいはこれらの乳化物等が挙げられる。
イソシアネート基を有する化合物は、水分散性の観点からは、ノニオン性及び/又はイオン性の界面活性剤等により変性処理された水分散性を有するポリイソシアネート化合物が好適である。このようなポリイソシアネート化合物としては、従来公知の手法により親水基を導入してなるものであれば特に制限なく使用でき、例えば、アルコキシポリアルキレングリコールとポリイソシアネート化合物との反応生成物や、界面活性能を有するノニオン性基及びイソシアネート反応性基(水酸基等)を含有するビニル系重合体とポリイソシアネート化合物との反応生成物、ジアルカノールアミンとを反応させることにより得られる反応生成物、イセチオン酸アミン塩等のスルホン酸基とイソシアネート反応基を有する化合物とポリイソシアネート化合物の反応生成物を含有するポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
これらの中で、アルコキシポリアルキレングリコールとポリイソシアネート化合物との反応生成物を含有するポリイソシアネート化合物は水分散性が優れるため、好ましい。
組成物のエマルジョン中の分散平均粒子径は、特に限定されないが、好ましくは0.01〜1000000nmであり、より好ましくは0.1〜650000nmであり、更に好ましくは0.5〜450000nmである。分散平均粒子径を上記範囲に制御することで、幅広い用途に有効に活用できる。なお、ここでいう分散平均粒子径は、体積平均粒子径である。
組成物をエマルジョンとした際の固形分含有量(固形分率)は、特に限定されないが、各用途で使用するのに好適であるという観点から、3〜72質量%であることが好ましい。
粘度は、希釈等の使用状況や、貯蔵安定性の観点から、用途や配合に応じて、適宜調整することが好ましい。また、エマルジョンの長期の分散安定性を保つため、塩基性物質、例えばアンモニア、ジメチルアミノエタノール等のアミン類を始めとする塩基性有機化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属塩を始めとする塩基性無機化合物等を用いて、pH2.5〜11.0の範囲に調整することが好ましい。
本実施形態の組成物のチキソトロピーインデックスは、好ましくは1.1以上であり、より好ましくは1.2以上であり、更に好ましくは1.2〜10.0であり、より更に好ましくは1.8〜8.0である。チキソトロピーインデックスを上記範囲とすることで、成膜時の不均一さを低減することができる。チキソトロピーインデックスとは、B型回転粘度計を用いて測定した、回転数60rpmの粘度に対する回転数6rpmの粘度の比をいう。チキソトロピーインデックスは、後述する実施例に記載の方法に準じて測定することができる。
本実施形態の組成物の貯蔵弾性率G’のLog指数部は、好ましくは3以上であり、より好ましくは3〜85であり、更に好ましくは4〜20である。貯蔵弾性率の値を上記範囲とすることで、成膜乾燥時の応力を緩和することができる。貯蔵弾性率は、後述する実施例に記載の方法に準じて測定することができる。
本実施形態の組成物は、長期間保存した場合であっても、物性を高いレベルで維持することができる。
本実施形態の組成物の好適な態様として、エマルジョンとすることができる。そして、このエマルジョンから塗膜を得ることができる。塗膜の形成方法としては、特に限定されず、その使用目的や環境等に応じて、適宜に好適な方法を採用することができる。本実施形態の塗膜は、長期にわたって優れた物性を維持することができる。
本実施形態の組成物を含んだエマルジョンから得られる塗膜において、10%モジュラスに対する伸びの比は、好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.1〜10000であり、更に好ましくは0.15〜1000である。10%モジュラス及び伸びは、塗膜を、温度23℃、湿度50%で5時間静置した後、温度100℃で30分間静置した条件で測定できる。この比は、後述する実施例に記載の方法に準じて測定することができる。塗膜の上記比を上記範囲とすることで、成膜後の寸法安定性と追従性を高いレベルで両立させることができる。
以下の実施例及び比較例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものでない。なお、実施例及び比較例中の「部」や「%」は、特に断りがない限り、質量基準である。
<使用原料等>
(A)重合性単量体
・スチレン(旭化成社製)
・ブタジエン(昭和電工社製、1,3−ブタジエン)
・フッ素(ダイキン社製)
・塩化ビニリデン(旭化成社製)
・ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)(東京化成社製)
・白金触媒(ゲレスト社製)
・スズ触媒(ゲレスト社製)
・以下のポリカーボネートとジオールからエステル交換反応で得られるポリカーボネートジオール(PCD)PC−01
エチレンカーボネート(アルドリッチ社製)
2−ブチル−2−エチル−1、3−プロパンジオール(アルドリッチ社製)
1,6−ヘキサンジオール(アルドリッチ社製)
チタンテトラブトキシド(アルドリッチ社製)
・メタクリル酸メチル(旭化成社製)
・メタクリル酸シクロヘキシル(旭化成社製)
・アクリル酸ブチル(東亞合成社製)
・メタクリル酸(和光純薬社製)
・アクリル酸(和光純薬社製)
・フマル酸(和光純薬社製)
・マレイン酸(和光純薬社製)
・イタコン酸(磐田化学社製)
・γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(東レダウ・コーニング社製、「SZ6030」)
(B)有機シラン化合物
・ジメチルジメトキシシラン(東レダウ・コーニング社製、「Z6329」)
・メチルトリメトキシシラン(東レダウ・コーニング社製、「Z6366」/信越化学工業社製、「KBM103」)
・フェニルトリメトキシシラン(東レダウ・コーニング社製、「Z6124」)
・フェニルジメトキシシラン(信越化学工業社製、「KBM202SS」)
<重合安定性(ろ過残渣率)>
重合終了後、得られたエマルジョンを400メッシュのフィルタに通し、凝集物をろ過した。得られた凝集物の質量をエマルジョン組成物の質量で除した割合を、ろ過残渣率(質量%)とした(WET式)。
<ガラス転移点(Tg)>
本報では、DSC(示差走査熱量測定)によって、ガラス転移点(Tg)を求めた。
<塗膜試験片の作製>
膜厚が0.25mmとなるように、ワイヤーバー(入江商会社より入手)を用いてガラス板上にクリアー塗料(各実施例及び各比較例で得られた重合体に、成膜助剤としてジプロピレングリコールn−ブチルエーテル(DPnB)を10phr添加したもの)を塗工した。そして、温度23℃、湿度50%の無風室内で約5時間静置させて、塗膜を得た。耐クラック性及び密着性評価の際には、この塗膜を50mm角の大きさに切り出したものを、試験片として用いた。それ以外の評価の際には、この塗膜を幅10mm、長さ80mmの大きさに切り出したものを、100℃雰囲気設定のオーブン中に、風が当たらないように30分間静置して養生したものを試験片とした。これらの塗膜試験片を用いて各種物性を評価した。
<Si核磁気共鳴スペクトル(29Si−NMR)>
得られた塗膜試験片を、温度23℃、湿度50%の無風室内で減圧粉砕し、試料管に約0.3g封入し、以下の条件で29Si−NMRを測定した。得られた測定図(スペクトルチャート)のピークが、−20〜−95ppmの敷居値範囲内の目的シグナルで、その中央値の幅に対するピーク強度の比を算出した。該当するピークが複数観測された場合は、各ピークの当該比の平均値で評価した。この平均値は、各ピークの当該比の算術平均である。
装置:Bruker社製、「Biospin DSX400」
手法:HPDECモード
積算時間:48時間
試料管:直径7mm
(耐クラック性、密着性の評価)
(1)塗膜試験片の準備
まず、試験片として、調製初期のエマルジョン組成物を塗膜化した塗膜試験片Aと、調製後60℃で1ヶ月保存したエマルジョン組成物を塗膜化した塗膜試験片Bを用意した。
(2)耐クラック性の評価
耐衝撃試験機(日立社製、「ES−102L」)を用いて、塗膜試験片A及びBについて温度サイクル試験(−20℃×3時間、25℃×3時間、50〜80℃×18時間を1サイクル)をそれぞれ行った。試験後、50倍ルーペを用いて、塗膜試験片A及びBの表面の状態を目視で観察した。その際、塗膜試験片Aの表面に最初のクラックが発生するまでの温度サイクル回数aを数えた。同様にして、塗膜試験片Bの表面に最初のクラックが発生するまでの温度サイクル回数bを数えた。
(3)密着性(初期密着性、保存後密着性)の評価
下記の塗膜試験片A、A’、B、及びB’のぞれぞれの塗膜の剥離状況に関して、0.5mm×0.5mmの塗膜領域をゲージ付きの50倍ルーペで観察し、塗膜が剥離せずに表面に残っている領域の面積(塗膜面積;mm2)を求めた。そして、下記式に基づき、「初期密着性」と「保存後密着性」をそれぞれ評価した。

・調製初期のエマルジョン組成物を塗膜化した塗膜試験片A(保存試験実施前かつ温度サイクル試験実施前の塗膜試験片A)
・塗膜試験片Aについて、上記のサイクル回数a(回)の温度サイクル試験を行った塗膜試験片A’(保存試験実施前かつ温度サイクル試験実施後の塗膜試験片A’)
・調製後60℃で1ヶ月保存したエマルジョン組成物を塗膜化した塗膜試験片B(保存試験実施後かつ温度サイクル試験実施前の塗膜試験片B)
・塗膜試験片Bについて、上記のサイクル回数b(回)の温度サイクル試験を行った塗膜試験片B’(保存試験実施後かつ温度サイクル試験実施後の塗膜試験片B’)

初期密着性(保存試験前の密着性;(%))=(塗膜試験片A’の塗膜面積)/(塗膜試験片Aの塗膜面積)×100

保存後密着性(保存試験後の密着性;(%))=(塗膜試験片B’の塗膜面積)/(塗膜試験片Bの塗膜面積)×100

例えば、実施例1の初期密着性は100%であったが、これは保存試験を行っていない場合、温度サイクル試験後に塗膜の剥離がなかったことを示す。実施例1の保存後密着性は95%であったが、これは保存試験を行った場合、温度サイクル試験後に塗膜が5%(100%−95%)しか剥離しなかったことを示す。本実施例では、初期密着性(%)や保存後密着性(%)の値が高い程、密着性に優れていると評価した。
(相溶性(粘弾性(チキソトロピーインデックス)及び貯蔵弾性率))
(1)粘弾性測定装置(「ロトビスコRV−20」:HAAKE製、英弘精機)を用いて、塗膜試験片の粘弾性、及び貯蔵弾性率を測定した。測定は、試験温度23℃、自動制御測定モードで行った。
チキソトロピーインデックスは、B型粘度計を用いて、回転数60rpmの粘度に対する回転数6rpmの粘度の比(測定条件:温度23℃、湿度50%)として求めた。

チキソトロピーインデックス=(回転数6rpmの粘度)/(回転数60rpmの粘度)

(2)貯蔵弾性率G’については、G’の常用対数をとり、その指数aを求めた。そして、以下の判定基準に基づき評価した。

指数a=log10G’

○:貯蔵弾性率G’のLog指数が3以上であった場合
×:貯蔵弾性率G’のLog指数が3未満であった場合
(10%モジュラスに対する伸びの比率(伸び/10%モジュラス比))
引張試験機(東洋ボールドウィン社製、「テンシロン UTM−III−500」)を用いて、塗膜試験片の引張試験を実施し、10%モジュラス(MPa)と伸び(%)を測定した。測定は、引張速度;50mm/分、試験温度23℃の条件で行った。
10%モジュラス(MPa)に対する伸び(%)の割合(伸び/10%モジュラス)を求め、10%モジュラスに対する伸びの比率として評価した。計算は装置の自動算出機能を利用した。
(徐放性の評価(触診による評価))
JIS K0067−1992の規格に準拠して、触診による評価を行った。徐放性については、以下の判定基準に基づき評価した。

◎:優れている
〇:やや優れている
△:やや劣る
×:劣る
(バリア性(水蒸気透過度)の評価)
JIS K7129の規格に準拠して、塗膜試験片の水蒸気透過度(g/m2、24hr/20℃)を求めた。
<実施例1>
攪拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取り付けた反応容器を準備した。さらに、滴下槽及び混合管の周囲に保温材を巻き付けて保温した。なお、準備した反応容器中の混合管にメッシュ(開口率29%)を配置した。この開口率は、砂充填の簡易法に基づくものである。この混合管前後のライン温度が35℃に、混合管前後のラインの圧力差が0.05Paになるよう制御した。
有機シラン化合物(B)として、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルジメトキシシランを、8:50:30:12の質量比率で混合した。
重合性単量体(A)として、ポリカーボネートジオール(PCD)PC−01と、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)(東京化成製)を、100:8の質量比で、80℃、20分間の条件で反応させてウレタン(A−1)(重合性単量体(A)からなる重合体)を得た。このウレタン(A−1)のTgは、18℃であった。
続いて、このウレタン(A−1)と上記した有機シラン化合物(B)を、100/60の質量比率((A)/(B))で配合して、乳化液を得た。この乳化液を、上記したメッシュ(開口率29%)を介して、反応容器内に1段の操作で逐次投入した(仕込み段数1段)。該メッシュ通過後の乳化液をサンプリングし、JIS Z8503の単一円筒型回転粘度測定法に準拠して常温で粘度(あ)を測定した。この乳化液の粘度(あ)は、180mPa・sであった。また、該乳化液を常温で8時間静置した後の粘度(い)も同様にして測定した。当初の粘度(あ)から静置後の粘度(い)の粘度変化率は20%未満であった。
ここでいう粘度変化率とは、粘度(あ)と粘度(い)の差分を、粘度(あ)で除した割合である。なお、表1では、粘度変化率が20%未満であったものは「○」と記載し、20%以上であったものは「×」と記載した(他の実施例及び比較例についても、特に断りがない限り同様である。)。
そして、反応溶液の温度が2〜35℃の範囲となるよう制御して、重合させた。重合終了後、エマルジョン組成物を得た。このエマルジョン組成物を金網(400メッシュ)でろ過して、ろ物(分別された固体物)を得た。このろ物を軽く絞った後、105℃、3時間で乾燥させて、乾燥物とした。エマルジョン組成物に対する乾燥物の質量比率(以下、ろ過残渣率という。)は、0.001質量%であった。反応後の反応容器及び攪拌翼の状態を確認したところ、これらへのエマルジョン成分の付着は確認されなかった。
エマルジョン組成物のスペクトルに関して、式(i):−[Si(Me2)]−に由来するシグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は1.16であった。式(ii):−[Si(Ph2)]−に由来するシグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.29であった。式(iii):−[Si(Me)(OR)]−に由来するシグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.93であった。式(iv):−[Si(Me)(O)]−に由来するシグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.42であった。そして、これらの該当シグナルに関する比の算術平均値は0.70であった。表1には、該当シグナルに関する比の平均値を記載した(他の実施例及び比較例についても、特に断りがない限り同様である。)。
<実施例2>
重合性単量体(A)としては、実施例1で、100:4の質量比以外は同様の条件で反応を行い、Tgが10℃であるウレタン(A−2)を得た。そして、表1に記載の条件で、原料を用いた点以外は、実施例1と同様の条件で、エマルジョン組成物を作製した。そして、実施例1と同様にして、エマルジョン組成物のろ過残渣率を求めたところ、0.001質量%であった。反応後の反応容器及び攪拌翼の状態を確認したところ、これらへのエマルジョン成分の付着は確認されなかった。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、該当シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.71であった。
<実施例3>
攪拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取り付けた反応容器を準備した。さらに、滴下槽及び混合管の周囲に保温剤を巻き付け保温した。なお、準備した反応容器中の混合管にはメッシュ(開口率29%)を配置した。
有機シラン化合物(B)として、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルジメトキシシランを、8:50:30:12の質量比率で混合した。
重合性単量体(A)として、スチレン、ブタジエン、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸、イタコン酸を、それぞれ、30:35:10:10:5:5:5の質量比で、減圧下にて混合した。そこに、ナトリウムパーオキサイドを投入して、67℃、120分間の条件で反応させて、スチレンブタジエン共重合体(A−3)(重合性単量体(A)からなる重合体)を得た。このスチレンブタジエン共重合体(SB(A−3))のTgは、18℃であった。
続いて、このスチレンブタジエン共重合体(A−3)と上記した有機シラン化合物(B)を、100/60の質量比((A)/(B))で配合して、乳化液を得た。この乳化液を、上記したメッシュ(開口率29%)を介して、反応容器内に逐次投入した。反応溶液の温度が2〜35℃の範囲となるよう制御して、重合させた。重合終了後、エマルジョン組成物を得た。このエマルジョン組成物を金網(400メッシュ)でろ過して、ろ物(分別された固体物)を得た。このろ物を軽く絞った後、105℃、3時間で乾燥させて、乾燥物とした。エマルジョン組成物に対する乾燥物の質量比率(ろ過残渣率)は、0.001質量%であった。反応後の反応容器及び攪拌翼の状態を確認したところ、これらへのエマルジョン成分の付着は確認されなかった。
エマルジョン組成物のスペクトルに関して、該当シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.72であった。
<実施例4>
攪拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取り付けた反応容器を準備した。さらに、滴下槽及び混合管の周囲に保温材を巻き付け、保温した。なお、準備した反応容器中の混合管にメッシュ(開口率29%)を配置した。
有機シラン化合物(B)として、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルジメトキシシランを、8:50:30:12の質量比率で混合した。
スチレン、フッ素、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸、イソシアネートを、それぞれ、5:45:5:30:5:5:5の質量比で、減圧下にて混合し、白金触媒(ゲレスト社製)を投入して、79℃、120分の条件で反応させて、フッ素共重合体(A−4)(重合性単量体(A)からなる重合体)を得た。このフッ素共重合体(A−4)のTgは、18℃であった。
続いて、このフッ素共重合体(A−4)と上記した有機シラン化合物(B)を、100/60の質量比((A)/(B))で配合して、乳化液を得た。この乳化液を、上記したメッシュ(開口率29%)を介して、反応容器内に1段の操作で逐次投入した。反応溶液の温度が2〜35℃の範囲を維持するように制御して、重合させた。重合終了後、エマルジョン組成物を得た。このエマルジョン組成物を金網(400メッシュ)でろ過して、ろ物(分別された固体物)得た。このろ物を軽く絞って、105℃、3時間で乾燥させて、乾燥物とした。エマルジョン組成物に対する乾燥物の質量比率(ろ過残渣率)は、0.001質量%であった。反応後の反応容器及び攪拌翼の状態を確認したところ、これらへのエマルジョン成分の付着は確認されなかった。
エマルジョン組成物のスペクトルに関して、該当シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.77であった。
<実施例5>
重合性単量体(A)について、スチレン、フッ素、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸、イソシアネートを、それぞれ、10:55:10:10:5:5:5の質量比に変更した点以外は、実施例4と同様の条件で、フッ素共重合体(A−5)を用意した。フッ素共重合体(A−5)のTgは30℃であった。
そして、表1に記載の条件とした点以外は実施例4と同様にして、フッ素共重合体(A−5)と有機シラン化合物(B)を用いて、エマルジョン組成物を作製した。エマルジョン組成物に対する乾燥物の質量比率(ろ過残渣率)は、0.001質量%であった。反応後の反応容器及び攪拌翼の状態を確認したところ、これらへのエマルジョン成分の付着は確認されなかった。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.65であった。
<実施例6>
攪拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取り付けた反応容器を準備した。さらに、滴下槽及び混合管の周囲に保温材を巻き付け、保温した。なお、準備した反応容器中の混合管にメッシュ(開口率29%)を配置した。
有機シラン化合物(B)として、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルジメトキシシランを、8:50:30:12の質量比率で混合した。
重合性単量体(A)として、スチレン、塩化ビニリデン、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸を、それぞれ、5:55:5:25:5:5:の質量比で、減圧下にて混合し、白金触媒(ゲレスト社製)を投入して、65℃、120分間の条件で反応させて塩化ビニリデン系共重合体A−6(重合性単量体(A)からなる重合体)を得た。この塩化ビニリデン系共重合体A−6のTgは、18℃であった。
続いて、この塩化ビニリデン系共重合体(A−6)と上記した有機シラン化合物(B)を、100/60の質量比で配合して、乳化液を得た。この乳化液を、上記したメッシュ(開口率29%)を介して、反応容器内に逐次投入した。反応溶液の温度が2〜35℃の範囲となるよう制御して、重合させた。重合終了後、エマルジョン組成物を得た。このエマルジョン組成物を金網(400メッシュ)でろ過して、ろ物(分別された固体物)を得た。このろ物を軽く絞った後、105℃、3時間で乾燥させて、乾燥物とした。エマルジョン組成物に対する乾燥物の質量比率(ろ過残渣率)は、0.001質量%であった。反応後の反応容器及び攪拌翼の状態を確認したところ、これらへのエマルジョン成分の付着は確認されなかった。
エマルジョン組成物のスペクトルに関して、該当シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.55であった。
<実施例7>
攪拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取り付けた反応容器を準備した。さらに、滴下槽及び混合管の周囲に保温材を巻き付け、保温した。なお、準備した反応容器中の混合管にメッシュ(開口率29%)を配置した。
まず、有機シラン化合物(B)として、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランを、8:50:30:12の質量比率で混合した。
次に、重合性単量体(A)として、メタクリル酸メチル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸、アクリル酸を40:10:45:3:2の比率で混合した。そして、この混合物300質量部に対して、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを2質量部加えて、混合液とした。そして、この混合液100質量部に、まず、プロパ−2−エン−1−オール、1,2−エポキシ−n−アルカン(C=12、14)及びオキシランの反応生成物(アンモニウム=α−{1−[(アリルオキシ)メチル]−n−アルキル(C=11,13)}−ω−(オキシドスルホニルオキシ)ポリ(n=1〜30)(オキシエチレン)を主成分とする)とスルファミド酸の反応生成物;第一工業製薬社製、「アクアロンKH−1025」)を1質量部添加した。続いて、スルホコハク酸系乳化剤(三洋化成社製、「エレミノール(商標)JS−20」)0.5質量部と、スルホコハク酸系乳化剤(スルホコハク酸ジオクチルナトリウム;三井サイテック社製、「エアロゾル(商標)OT−75」)0.5質量部とを液内に添加した。
この混合液102質量部に、アルキルアミン塩のアルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩を0.5質量部添加した。これに、過硫酸アンモニウム2%水溶液を0.5質量部、イオン交換水を300質量部更に添加して、乳化液とした。
トリアジン系紫外線吸収剤(2−[4,6]ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−[3−(ドデシルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ]フェノール;日本チバガイギー社製、「TINUVIN400」)を0.2質量部と、ヒンダードアミン系光安定剤(ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート;日本チバガイギー社製、「TINUVIN123」)0.2質量部とを、乳化液403質量部に添加した。
反応容器に水300質量部を投入し、スルホコハク酸系乳化剤(三洋化成社製、「エレミノール(商標)JS−20」)を反応系に更に混合し、65℃に温度を維持した。
そこに、(A)成分(AcL(A−7))と(B)成分の質量比率が、最終的に100/60の質量比((A)/(B))となるように、(B)成分を逐次投入して、重合させた。重合終了後、エマルジョン組成物を得た。このエマルジョン組成物を金網(400メッシュ)でろ過して、ろ物(分別された固体物)を得た。このろ物を軽く絞った後、105℃、3時間で静置して乾燥させて、乾燥物とした。エマルジョン組成物に対する乾燥物の質量比率(ろ過残渣率)は、0.001質量%であった。反応後の反応容器及び攪拌翼の状態を確認したところ、これらへのエマルジョン組成物の付着は確認されなかった。
エマルジョン組成物のスペクトルに関して、一例として、実施例7のエマルジョン組成物の29Si−NMRスペクトルチャートを図1に示す。
そして、一例として、このエマルジョン組成物の対象シグナル中央値に対するピーク強度比の算出結果を以下に示す。式(i):−[Si(Me2)]−に由来するシグナルの中央値に対するピーク強度の比は1.13、式(ii):−[Si(Ph2)]−に由来するシグナルの中央値に由来するシグナルの中央値に対するピーク強度の比は0.27、式(iii):−[Si(Me)(OR)]−に由来するシグナルの中央値に由来するシグナルの中央値に対するピーク強度の比は0.85、式(iv):−[Si(Me)(O)]−に由来するシグナルの中央値に対するピーク強度の比は0.25であった。そして、該当シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比(この場合は算術平均)は0.62であった。
<実施例8>
有機シラン化合物(B)として、表1に記載の条件にて単量体を用意した点以外は、実施例7と同様にして、有機シラン化合物(B)を用意した。
そして、(A)成分の総量2質量に対して重合性単量体(A)成分中のγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの量を2.5質量部に変更した点、メタクリル酸メチル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸、アクリル酸の質量比率を、45:10:40:3:2とした以外は実施例7と同様にして、AcL(A−8)を用意した。
そして、表1に記載の条件とした点以外は実施例7と同様にして、AcL(A−8)と有機シラン化合物(B)を用いて、エマルジョン組成物を作製した。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、該当シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.52であった。
<実施例9>
メタクリル酸メチル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸、アクリル酸を、55:10:30:3:2の質量比率で反応させた点以外は、実施例7と同様にして、AcL(A−9)を用意した。
そして、表1に記載の条件とした点以外は実施例7と同様にして、AcL(A−8)と有機シラン化合物(B)を用いて、エマルジョン組成物を作製した。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、式(i):−[Si(Me2)]−に由来するシグナルの中央値に対するピーク強度の比は0.8、式(iii):−[Si(Me)(OR)]−が0.5−に由来するシグナルの中央値に対するピーク強度の比は、式(iv):−[Si(Me)(O)]−が0.3であった。そして、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.53であった。
<実施例10、11>
有機シラン化合物(B)として、表2に記載の条件にて単量体を用意した点以外は、実施例7と同様にして、有機シラン化合物(B)を用意した。
そして、メタクリル酸メチル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸、アクリル酸を、51:10:34:3:2の質量比率で反応を行った点以外は、実施例7と同様にして、AcL(A−10)及びAcL(A−11)をそれぞれ用意した。
そして、表2に記載の条件とした点以外は実施例7と同様にして、エマルジョン組成物を作製した。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比はいずれも0.50であった。
<実施例12>
有機シラン化合物(B)として、表2に記載の条件にて単量体を用意した点以外は、実施例7と同様にして、有機シラン化合物(B)を用意した。
そして、メタクリル酸メチル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸、アクリル酸を49:10:36:3:2の質量比率で反応を行った点以外は、実施例7と同様にして、AcL(A−12)を用意した。
そして、表2に記載の条件とした点以外は実施例7と同様にして、エマルジョン組成物を作製した。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.62であった。
<実施例13>
実施例12のエマルジョン組成物を、常温で1年間保存したものを用いて評価した。よって、表2に記載のAcL(A−13)はAcL(A−12)と同じものである。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、該当シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.62であった。
<実施例14>
準備した反応容器中の混合管に、メッシュの代わりとなる直行型の金属熱交を応用し井桁状に流路が組まれたフィルタを配置し、ライン開口率を32%に変更した点以外は、実施例7と同様の条件で、AcL(A−14)と有機シラン化合物(B)を用意し、これらを用いてエマルジョン組成物を作製した。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、式(i):−[Si(Me2)]−に由来するシグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は1.13であった。式(ii):−[Si(Ph2)]−に由来するシグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.27であった。式(iii):−[Si(Me)(OR)]−に由来するシグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.85であった。式(iv):−[Si(Me)(O)]−に由来するシグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.25であった。そして、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.62であった。
<実施例15>
準備した反応容器中の混合管に、メッシュの代わりとなる直行型の金属熱交を応用し井桁状に流路が汲まれたフィルタを配置し、ライン開口率を40%に変更した点以外は、実施例7と同様の条件で、AcL(A−15)と有機シラン化合物(B)を用意し、これらを用いてエマルジョン組成物を作製した。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、式(i):−[Si(Me2)]−に由来するシグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は1.13であった。式(ii):−[Si(Ph2)]−に由来するシグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.27であった。式(iii):−[Si(Me)(OR)]−に由来するシグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.85であった。式(iv):−[Si(Me)(O)]−に由来するシグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.25であった。そして、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.62であった。
<実施例16>
実施例7で使用した滴下槽の段数を2段に変更した点以外は、実施例7と同様の条件で、AcL(A−16)と有機シラン化合物(B)を用意し、これらを用いてエマルジョン組成物を作製した。なお、段と段の間には、30分の間隔を設けた。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.87であった。
滴下槽の各段における粘度変化率については、表2に示したとおりであり、各段における粘度変化率については、実施例1で述べた測定方法と同様にして求め、評価した(以下、2段以上の実施例についても同様である。)。
<実施例17>
実施例7で使用した滴下槽の段数を、3段に変更した点以外は、実施例7と同様の条件で、AcL(A−17)と有機シラン化合物(B)を用意し、これらを用いてエマルジョン組成物を作製した。なお、滴下槽の段と段の間には、30分の間隔を設けた。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.78であった。
<実施例18>
実施例7で使用した滴下槽の段数を、4段に変更した点以外は、実施例7と同様の条件で、AcL(A−18)と有機シラン化合物(B)を用いてエマルジョン組成物を作製した。なお、滴下槽の段と段の間には、120分の間隔を設けた。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、式(i):−[Si(Me2)]−に由来するシグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は1.60であった。式(ii):−[Si(Ph2)]−に由来するシグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.48であった。式(iii):−[Si(Me)(OR)]−に由来するシグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.90であった。式(iv):−[Si(Me)(O)]−に由来するシグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.52であった。そして、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.88であった。
<実施例19>
表3に記載の条件で反応を行った点以外は、実施例7と同様の条件で、AcL(A−19)と有機シラン化合物(B)を用意し、これらを用いてエマルジョン組成物を作製した。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.72であった。
<実施例20>
表3に記載の成分組成、メタクリル酸メチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸、アクリル酸の比率を57:10:10:18:2:3で反応を行った点以外は、実施例7と同様の条件でエマルジョン組成物を作製した。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.73であった。
<実施例21>
有機シラン化合物(B)として、表3に記載の条件にて単量体を用意した点以外は、実施例7と同様にして、有機シラン化合物(B)を用意した。
そして、メタクリル酸メチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸、アクリル酸を、10:10:10:55:2:2:3の質量比率で反応を行った点以外は、実施例7と同様にして、AcL(A−21)を用意した。
そして、表3に記載の条件とした点以外は実施例7と同様にして、AcL(A−21)と有機シラン化合物(B)を用意し、これらを用いて、エマルジョン組成物を作製した。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.83であった。
<実施例22>
表3に記載の条件で反応を行った点以外は、実施例7と同様の条件で、AcL(A−22)と有機シラン化合物(B)を用意し、これらを反応させてエマルジョン組成物を作製した。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比はそれぞれ0.89、0.62、0.62であり、その算術平均は0.71であった。
<実施例23>
表3に記載の条件で反応を行った点以外は、実施例7と同様の条件で、AcL(A−23)と有機シラン化合物(B)を用意し、これらを反応させてエマルジョン組成物を作製した。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.62であった。
<実施例24>
表3に記載の条件で反応を行った点以外は、実施例7と同様の条件で、AcL(A−24)と有機シラン化合物(B)を用意し、これらを反応させてエマルジョン組成物を作製した。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.62であった。
<実施例25>
表3に記載の開口率の異なるメッシュを用い、ライン温度を変更した点以外は、実施例7と同様の条件で、AcL(A−25)と有機シラン化合物(B)を用意し、これらを反応させてエマルジョン組成物を作製した。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比はそれぞれ0.92であった。
<実施例26>
表3に記載の開口率の異なるメッシュを用い、ライン温度を変更した点以外は、実施例7と同様の条件で、AcL(A−26)と有機シラン化合物(B)を用意し、これらを反応させてエマルジョン組成物を作製した。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.68であった。
<実施例27>
ライン前後の圧力差と温度を変更した点以外は、実施例7と同様の条件で、AcL(A−27)と有機シラン化合物(B)を用意し、これらを反応させてエマルジョン組成物を作製した。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は2.00であった。
<実施例28>
表4に記載の条件で反応を行った点以外は、実施例7と同様の条件で、AcL(A−28)と有機シラン化合物(B)を用意し、これらを反応させてエマルジョン組成物を作製した。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は5.00であった。
<実施例29>
表4に記載のライン前後の圧力差と温度を変更した点以外は、実施例7と同様の条件で、AcL(A−29)と有機シラン化合物(B)を用意し、これらを反応させてエマルジョン組成物を作製した。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.62であった。
<実施例30>
表4に記載のライン前後の圧力差と温度を変更した点以外は、実施例7と同様の条件で、AcL(A−30)と有機シラン化合物(B)を用意し、これらを反応させてエマルジョン組成物を作製した。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.62であった。
<実施例31>
実施例7の(A)成分と(B)成分を合一させるラインでの合一前後に市販のSUSメッシュ(日本メッシュ工業社製、「200」:開口率28.2%)を配置した点以外は実施例7と同様の条件で、AcL(A−31)と有機シラン化合物(B)を用意し、これらを反応させてエマルジョン組成物を作製した。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.62であった。
<実施例32>
実施例7の(A)成分と(B)成分を合一させるラインでの合一前後に市販のSUSメッシュ(日本メッシュ工業社製、「400」;開口率27%)に変更した点以外は、実施例7と同様の条件で、AcL(A−32)と有機シラン化合物(B)を用意し、これらを反応させてエマルジョン組成物を作製した。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.62であった。
<実施例33>
表4の条件に変更した以外は、実施例7と同様の条件で、AcL(A−33)と有機シラン化合物(B)を用意し、これらを反応させてエマルジョン組成物を作製した。(エマルジョン組成物のスペクトルに関して、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.61であった。
<実施例34>
表4の条件に変更した以外は、実施例7と同様の条件で、AcL(A−34)と有機シラン化合物(B)を用意し、これらを反応させてエマルジョン組成物を作製した。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.60であった。
<実施例35>
表4の条件に変更した以外は、実施例7と同様の条件でAcL(A−35)と有機シラン化合物(B)を用意し、これらを反応させてエマルジョン組成物を作製した。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.60であった。
<比較例1>
ライン開口率が異なるメッシュを用い、表5に記載の条件で、AcL(A−36)と有機シラン化合物(B)を用意し、これらを反応させた点以外は、実施例8と同様の条件でエマルジョン組成物を作製した。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、その構造とスペクトルの比が、式(i):−[Si(Me2)]−が0.2、式(iii):−[Si(Me)(OR)]−が0.27、式(iv):−[Si(Me)(O)]−が0.21であった。そして、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.23であった。
<比較例2>
ライン開口率が異なるメッシュを用い、表5に記載の条件で、AcL(A−37)と有機シラン化合物(B)を用意し、これらを反応させた点以外は、実施例8と同様の条件でエマルジョン組成物を作製した。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.23であった。
<比較例3>
ライン開口率が異なるメッシュを用い、表5に記載の条件で反応を行った点以外は、実施例7と同様の条件で、AcL(A−38)と有機シラン化合物(B)を用意し、これらを反応させてエマルジョン組成物を作製した。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.23であった。
<比較例4>
表5に記載の条件で反応を行った点以外は、実施例1と同様の条件で、AcL(A−39)と有機シラン化合物(B)を用意し、これらを反応させてエマルジョン組成物を作製した。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.22であった。
<比較例5>
表5に記載の条件で反応を行った点以外は、実施例7と同様の条件で、AcL(A−40)と有機シラン化合物(B)を用意し、これらを反応させてエマルジョン組成物を作製した。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.21であった。
<比較例6>
表5に記載の条件で反応を行った点(メッシュの開口率が異なる)以外は、実施例1と同様の条件で、ウレタン(A−41)と有機シラン化合物(B)を用意し、これらを反応させてエマルジョン組成物を作製した。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.30であった。
<比較例7>
表5に記載の条件で反応を行った点(メッシュの開口率が異なる)以外は、実施例1と同様の条件で、ウレタン(A−42)と有機シラン化合物(B)を用意し、これらを反応させてエマルジョン組成物を作製した。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.30であった。
<比較例8>
開口率が異なるメッシュを用いて、表5に記載の条件で、AcL(A−43)と有機シラン化合物(B)を用意し、これらを反応させた点以外は、実施例7と同様の条件でエマルジョン組成物を作製した。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、式(i):−[Si(Me2)]−が0.2、式(ii):−[Si(Ph2)]−が0.27、式(iii):−[Si(Me)(OR)]−が0.2、式(iv):−[Si(Me)(O)]−が0.25であった。そして、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.23であった。
<比較例9>
ライン温度を変更し、表5に記載の条件で反応を行った点以外は、実施例1と同様の条件で、ウレタン(A−43)と有機シラン化合物(B)を用意し、これらを反応させてエマルジョン組成物を作製した。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.23であった。
<比較例10>
ライン温度を変更し、表5に記載の条件で反応を行った点以外は、実施例1と同様の条件で、ウレタン(A−44)と有機シラン化合物(B)を用意し、これらを反応させてエマルジョン組成物を作製した。その結果、ラインの原料混合前の部分において一部凍結が確認された。エマルジョン組成物のスペクトルに関して、シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比は0.23であった。
各実施例及び各比較例の製造条件及び物性評価を、表1〜5に示す。
Figure 2016008273
Figure 2016008273
Figure 2016008273
Figure 2016008273
Figure 2016008273
本発明のエマルジョン組成物は、従来よりも高耐久性を維持することが可能なため、建築、土木の塗料やコーティング用途、即ち、塗料、建材の下地処理材又は仕上げ材、接着剤、紙加工剤、又は織布、不織布の仕上げ材、具体的には、コンクリート、セメントモルタル、スレート板、ケイカル板、石膏ボード、押し出し成形板、発砲性コンクリート等の無機建材、織布あるいは不織布を基材とした建材、金属建材等の各種下地に対する塗料又は建築仕上げ材として、複層仕上げ塗材用の主材及びトップコート、薄付け仕上げ塗材、厚付け仕上げ塗材、石材調仕上げ材、グロスペイント等の合成樹脂エマルジョンペイント、金属用塗料、木部塗料、瓦用塗料として従来通り好適であるとともに、加えて、自動車分野の塗料、重防食、防錆性等、また、真空密着性、組成制御性、形状安定性、形状均一性が期待できることから、断熱、封止、発電・放熱、フォトニック等にも活用可能であると共に、電気、電子、光分野のコーティング材、ビア、バンプ、センサー等、更に、パワートレイン・船舶等分野の塗料、部材、香粧品のコーティング、材料、フィルム等のコーティング材にも利用可能である。

Claims (11)

  1. 重合性単量体(A)からなる重合体と、不飽和基及びチオール基のいずれかを有しない有機シラン化合物(B)からなる重合体と、を含み、
    Si核磁気共鳴スペクトルにおいて、0ppm〜−100ppmの範囲に、下記式(i)、式(ii)、式(iii)及び式(iv)のいずれかで表される構造に由来するシグナルを少なくとも有し、かつ、
    前記シグナルの中央値の幅に対するピーク強度の比が、0.50より大きい、組成物。
    Figure 2016008273
    (式中、Rは、炭素数1〜8のアルキル基、アセチル基、又は水素を表す。)
  2. 前記有機シラン化合物(B)として、下記成分(b1)〜(b3)からなる群より選ばれるいずれか1種を含む、請求項1に記載の組成物。
    (b1)成分:下記式(1)で表される有機シラン化合物
    Figure 2016008273
    (R1は、それぞれ独立して、炭素数2以上のアルキル基、炭素数1〜16のアルキル基を有するメタクリル酸アルキル基、フェニル基、シクロヘキシル基、ジフェニル基、又はナフタレン基を表し、R2は、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基を表し、R3は、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、又は水酸基を表す。nは、1〜3の数であり、mは、0〜1の数であり、n及びmは、n+m≦3の関係を満たす。)

    (b2)成分:下記式(2)で表される有機シラン化合物

    CH3−Si−(R43 (2)

    (R4は、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、又は水酸基を表す。)

    (b3)成分:環状有機シラン化合物、又は下記式(3)で表される有機シラン化合物

    (CH32−Si−(R52 (3)

    (R5は、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、又は水酸基を表す。)
  3. 前記(B)成分における前記(b3)成分の含有量が、0.01〜85質量%である、請求項2に記載の組成物。
  4. 前記(B)成分の総量に対する前記(A)成分の質量比(A/B)が、1/150〜10000/1である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 前記(A)成分として、(a1)エチレン性不飽和単量体を含み、前記(A)成分の総量における前記(a1)成分の含有量が、5〜100質量%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 前記(A)成分として、(a1)エチレン性不飽和単量体と(a2)不飽和カルボン酸と、を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
  7. チキソトロピーインデックスが、1.1以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 貯蔵弾性率G’のLog指数部が、3以上である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物を含む、エマルジョン。
  10. 請求項9に記載のエマルジョンから得られる、塗膜
  11. 10%モジュラスに対する伸びの比が、0.1以上である、請求項10に記載の塗膜。
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