JP6076086B2 - 塗料用アクリル系ラテックス組成物 - Google Patents

塗料用アクリル系ラテックス組成物 Download PDF

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Description

本発明は、塗料用アクリル系ラテックス組成物に関する。
アクリル系ラテックスは、環境保護及びその物性の観点から、水性塗料等の材料として使用されている。例えば、水性塗料として使用する場合、その塗膜硬度と塗膜伸びを両立させるために架橋剤を配合すること等が行われている。
例えば、特許文献1には、ヒドラジド基、カルボジイミド基と反応する官能基を有するモノマーとアクリル系モノマーを重合してなるアクリル系ポリマーとヒドラジン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤を含有する水性感圧接着剤組成物が提案されている。
特開2008−037960号公報
しかしながら、アクリル系ラテックス組成物を塗膜とした際に要求される物性については、未だ改善の余地がある。例えば、耐水性、硬度、伸度、アルカリ黄変性といった塗膜の各種物性が両立可能な塗膜を形成できる塗料用アクリル系ラテックス組成物の開発が求められている。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、耐水性、硬度、伸度、アルカリ黄変性といった物性が両立可能な塗膜を形成できる塗料用アクリル系ラテックス組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のアクリル系ラテックスに、ヒドラジン系架橋剤とカルボジイミド系架橋剤を、特定の割合で併用することにより、耐水性、硬度、伸度、アルカリ黄変性といった物性が両立可能な塗膜を形成できることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
〔1〕
(A)分子中に少なくとも1個のアルデヒド基又はケトン基を含有する重合性単量体(a)と、カルボン酸基を含有する重合性単量体(b)と、前記(a)成分及び前記(b)成分と共重合可能な他の重合性単量体(c)とを重合して得られるアクリル系ラテックスと、
(B)ヒドラジン系架橋剤と、
(C)カルボジイミド系架橋剤と、
を含み、
前記(A)成分中の樹脂成分100質量部に対して、前記(C)成分を1.1〜10.0質量部(固形分換算)含有する、塗料用アクリル系ラテックス組成物。
〔2〕
前記重合は、反応性界面活性剤の存在下で行われる、〔1〕に記載の塗料用アクリル系ラテックス組成物。
〔3〕
前記(c)成分が、アルコキシシラン基含有重合性単量体である、〔1〕又は〔2〕に記載の塗料用アクリル系ラテックス組成物。
〔4〕
前記(A)成分が、下記式(1)で表される化合物によって変性されたアクリル系ラテックスである、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の塗料用アクリル系ラテックス組成物。

(R1n−Si−(R2(4-n) (1)

(式中、nは、0〜3の整数である。R1は、水素、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、又は炭素数5〜6のシクロアルキル基を表す。n個のR1は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。R2は、炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、又は水酸基を表す。(4−n)個のR2は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
本発明によれば、耐水性、硬度、伸度、アルカリ黄変性といった物性が両立可能な塗膜を形成できる塗料用アクリル系ラテックス組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明はその要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
本実施形態の塗料用アクリル系ラテックス組成物は、(A)分子中に少なくとも1個のアルデヒド基又はケトン基を含有する重合性単量体(a)と、カルボン酸基を含有する重合性単量体(b)と、(a)成分及び(b)成分と共重合可能な他の重合性単量体(c)とを重合して得られるアクリル系ラテックスと、(B)ヒドラジン系架橋剤と、(C)カルボジイミド系架橋剤と、を含み、(A)成分中の樹脂成分100質量部に対して、(C)成分を1.1〜10.0質量部(固形分換算)含有する、塗料用アクリル系ラテックス組成物(以下、単に「アクリル系ラテックス組成物」という場合がある。)である。
本実施形態のアクリル系ラテックス組成物は、(A)アクリル系ラテックスを含む。この(A)成分は、分子中に少なくとも1個のアルデヒド基又はケトン基を含有する重合性単量体(a)と、カルボン酸基を含有する重合性単量体(b)と、(a)成分と(b)成分と共重合可能な他の重合性単量体(c)とを重合して得られるアクリル系ラテックスである。
分子中に少なくとも1個のアルデヒド基又はケトン基を含有する重合性単量体(a)としては、例えば、アルデヒド基又はケトン基を含有するエチレン性不飽和単量体等が挙げられる。アルデヒド基又はケトン基を含有するエチレン性不飽和単量体としては、特に限定されず、例えば、アクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、ホルミルスチロール、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトン、アクリルオキシアルキルプロパナール類、メタクリルオキシアルキルプロパナール類、ジアセトンアクリレート、ジアセトンメタクリレート、アセトニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートアセチルアセテート、ブタンジオールアクリレートアセチルアセテート等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジアセトンアクリルアミドが好ましい。
なお、(a)成分のアルデヒド基は−CHOで表される官能基であり、ケトン基は>C=Oで表される官能基である。これらは、後述する(b)成分のカルボン酸基(−COOH)と相違する構造であるので、(a)成分は後述する(b)成分と明確に区別することができる。
カルボン酸基を含有する重合性単量体(b)としては、特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
本実施形態のアクリル系ラテックス組成物が優れた物性の塗膜を形成可能である理由の1つとしては、次のように推測される。(a)成分のアルデヒド基やケトン基は、主として、後述する(B)成分と反応し、(b)成分のカルボン酸基は、主として、後述する(C)成分と反応する。かかる反応が主として進むことにより、(A)成分は、(B)成分や(C)成分との架橋剤との架橋反応に関与しているものと推測される(但し、本実施形態の作用効果はこれらに限定されない。)。
(A)成分の重合に用いられる単量体総量中における(a)成分の割合は、特に限定されないが、上記観点から、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは0.5〜20質量%である。(a)成分の割合を上記範囲とすることで、上記した(B)成分との架橋反応における架橋点をより多くすることができるので、塗膜とした際の物性が一層向上するものと推測される(但し、本実施形態の作用はこれらに限定されない。)。
(A)成分の重合に用いられる単量体総量中における(b)成分の割合は、特に限定されないが、上記観点から、好ましくは0.5〜10質量%であり、より好ましくは1〜7質量%である。(b)成分の割合を上記範囲とすることで、上記した(C)成分との架橋反応における架橋点をより多くすることができるので、塗膜とした際の物性が一層向上するものと推測される(但し、本実施形態の作用はこれらに限定されない。)。
(a)成分及び(b)成分と共重合可能な他の重合性単量体(c)としては、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシル基含有重合性単量体、アルコキシシラン基含有重合性単量体、これら以外の重合性単量体等が挙げられる。これらの中でもアルコキシシラン基含有重合性単量体が好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、特に限定されず、例えば、炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、1〜100のエチレンオキサイド基を有する(ポリ)オキシエチレンモノ(メタ)アクリレート、1〜100のプロピレンオキサイド基を有する(ポリ)オキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート、炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。
ヒドロキシル基含有重合性単量体としては、特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも好ましくは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである。(A)成分の重合に用いられる単量体総量中におけるヒドロキシル基含有重合性単量体の割合は、特に限定されないが、耐水性及び発色性の観点から、好ましくは0.1〜5質量%である。
アルコキシシラン基含有重合性単量体としては、特に限定されず、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも好ましくは、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランである。さらに、(A)成分の重合に用いられる単量体総量中におけるアルコキシシラン基含有重合性単量体の割合は、特に限定されないが、重合安定性及び耐水性の観点から、好ましくは0.1〜10質量%である。
(c)成分において、上記した(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシル基含有重合性単量体及びアルコキシシラン基含有重合性単量体以外の重合性単量体としては、これら以外の重合性単量体であり、かつ(a)成分及び(b)成分と重合可能なものであれば特に限定されない。その具体例としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン等の芳香族単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、パーチサック酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類;ブタジエン等のオレフィン類等が挙げられる。さらに、種々の官能性単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸グリシジル、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジビニルベンゼン等も挙げられる。
(c)成分は、上記したもの1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(A)成分は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を、共重合させることで得られる。共重合としては、特に限定されないが、乳化重合が好ましく、ラジカル乳化重合がより好ましい。乳化重合等による重合を行う場合、界面活性剤を用いることが好ましく、反応性界面活性剤を用いることがより好ましい。
界面活性剤としては、特に限定されず、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤等が挙げられる。これらは、上記した反応性界面活性剤であるものが好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、特に限定されず、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪酸塩や、高級アルコール硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシノニルフェニルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコールエーテル硫酸塩、スルホン酸基又は硫酸エステル基と重合性の不飽和二重結合を分子中に有する、いわゆる反応性アニオン性界面活性剤等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルや、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、又は前述の骨格と重合性の不飽和二重結合を分子中に有する反応性ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、特に限定されず、例えば、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
高分子界面活性剤としては、特に限定されず、例えば、(変性)ポリビニルアルコール等が挙げられる。
これらの界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、得られる塗膜の耐水性向上の観点から、反応性界面活性剤が好ましい。
(A)成分は、耐候性向上の観点から、Si含有化合物によってシリコーン変性されていることが好ましい。変性に用いられるSi含有化合物としては、下記式(1)で表される化合物がより好ましい。

(R1n−Si−(R2(4-n) (1)

(式中、nは、0〜3の整数である。R1は、水素、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、又は炭素数5〜6のシクロアルキル基を表す。なお、n個のR1は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。R2は、炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、又は水酸基を表す。(4−n)個のR2は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
式(1)におけるR1としては、メチル基、フェニル基が好ましい。R2としては、それぞれ独立して、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基、水酸基が好ましい。
Si含有化合物としては、式(1)においてn=0であるシラン化合物(I)及び式(1)においてn=1であるシラン化合物(II)の少なくとも1種を含んでいることが更に好ましく、(A)成分の水分散液を得る際の重合安定性の観点から、シラン化合物(II)を少なくとも含むことがより更に好ましい。
シラン化合物(I)の式(1)におけるR2としては、それぞれ独立して、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基、水酸基であることが好ましい。シラン化合物(I)の好ましい具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等が挙げられる。
シラン化合物(II)の式(1)におけるR1としては、メチル基、フェニル基が好ましく、R2としては、それぞれ独立して、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基、水酸基が好ましい。シラン化合物(II)の好ましい具体例としては、メチルトリメトシキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
塗膜とした際に柔軟性が特に必要とされる場合には、Si含有化合物として、環状シラン化合物及び式(1)においてn=2であるシラン化合物(III)の少なくとも1種を含むことが好ましい。より好ましくは、環状シラン及びシラン化合物(III)の少なくとも1種と、シラン化合物(I)及びシラン化合物(II)の少なくとも1種と、を含むことであり、更に好ましくは、環状シラン化合物及びシラン化合物(III)の少なくとも1種と、シラン化合物(II)と、を含むことである。特に、環状シラン化合物及びシラン化合物(III)のいずれか1種と、シラン化合物(II)とを併用することにより、重合体である(A)成分の架橋密度を低く制御することができ、その結果、本実施形態のアクリル系ラテックス組成物を塗膜とした際の柔軟性を一層向上させることができる。
環状シラン化合物の具体例としては、特に限定されず、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。
シラン化合物(III)の具体例としては、特に限定されず、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン等が挙げられる。
さらに、Si含有化合物としては、加水分解基を有する線状シロキサン、アルコシシシランオリゴマー、及び式(1)においてn=3であるシラン化合物(IV)からなる群より選ばれる少なくとも1種を更に含んでもよい。
加水分解基を有する線状シロキサンの具体例としては、特に限定されず、例えば、下記式(i)、(ii)、(iii)で表される化合物が挙げられる。
(上記式中、R3は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数5〜6のシクロアルキル基、炭素数1〜10のアクリル酸アルキル基、又は炭素数1〜10のメタクリル酸アルキル基を表す。R4は、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、水酸基、エポキシ基、アルキレンオキサイド基、又はポリアルキレンオキサイド基を表す。mは、1〜999の整数である。)
シラン化合物(IV)におけるR1としては、特に限定されないが、メチル基、フェニル基が好ましい。シラン化合物(IV)におけるR2としては、特に限定されないが、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基、水酸基が好ましい。
シラン化合物(IV)の好ましい具体例としては、トリフェニルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン等が挙げられる。
Si含有化合物は、上記したシラン化合物以外の他のシラン化合物として、例えば、メチルクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルクロロシラン等のクロロシラン化合物を更に含むことができる。
Si含有化合物によって変性されたアクリル系ラテックスを用いることで、得られる塗膜の屋外等に長期曝露における光沢保持性を一層改善することができる。Si含有化合物によって変性されたアクリル系ラテックスの存在は、29Si−NMR(29Si核磁気共鳴スペクトル)及び/又は1H−NMR(プロトン核磁気共鳴スペクトル)によって確認することができる。例えば、シラン化合物(II)の縮合物は、通常、29Si−NMRのケミカルシフトにおいて−40〜−80ppmにシグナルが現れる。
(A)成分の製造方法としては、上述したように、乳化重合法が好適に採用できる。乳化重合の反応条件等については、特に限定されないが、好ましい方法としては、水中にて、乳化剤及び重合開始剤等の存在下で、pHが4以下であり、通常60〜90℃で、重合性単量体を乳化重合する方法等が挙げられる。乳化重合では、この乳化重合工程を1回又は複数段回繰り返し行う方法が挙げられる。
乳化重合の重合方法としては、例えば、単量体を一括して仕込む単量体一括仕込み法;単量体を連続的に滴下する単量体滴下法;単量体と水と乳化剤とを予め混合乳化しておき、これらを滴下するプレエマルジョン法;あるいは、これらを組み合わせた方法等が挙げられる。重合開始剤の使用方法については、特に限定されるものではない。また、上記したSi含有化合物を用いる場合、その使用方法としては、例えば、加水分解性シランの縮合反応と不飽和単量体のラジカル重合を同時に、あるいは加水分解性シランの縮合反応を先行させた後に不飽和単量体のラジカル重合を進行させる、乳化重合法;不飽和単量体のラジカル重合を進行させた後に加水分解性シランの縮合反応を進行させる方法等が用いられる。
重合開始剤としては、特に限定されず、一般に用いられるラジカル開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤は、熱又は還元性物質等によってラジカルを生成して重合性単量体の付加重合を起こさせるものである。ラジカル重合開始剤としては、特に限定されず、例えば、水溶性又は油溶性の過硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物等が挙げられる。具体的には、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。これらの中でも、水溶性であるものが好ましい。なお、重合速度の促進や低温での反応を一層望む場合には、重亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸、ホルムアルデヒドスルホキシレート塩等の還元剤を、ラジカル重合開始剤と組み合わせて用いることが好ましい。
乳化重合に際して、必要に応じて分子量調整剤を使用することができる。分子量調整剤としては、特に限定されず、例えば、ドデシルメルカプタン、ブチルメルカプタン等が挙げられる。分子量調整剤の使用割合は、特に限定されないが、単量体総量の2質量%以下であることが好ましい。
長期の分散安定性を一層向上させる観点から、上記重合後のpHを5〜10の範囲に制御することが好ましい。具体的には、アンモニア、ジメチルアミノエタノール等のアミン類等のような塩基性有機化合物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属塩等のような塩基性無機化合物等といった、塩基性物質を、重合後に用いることにより、pHを5〜10の範囲に調整することがより好ましい。
乳化重合終了後、成膜時の硬化用触媒として、例えば、ジブチルすずジラウレート、ジオクチルすずジラウレート、ジブチルすずジアセテート、オクチル酸すず、ラウリン酸すず、オクチル酸鉄、オクチル酸鉛、テトラブチルチタネート等の有機酸の金属塩、n−ヘキシルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン等のアミン化合物を添加することができる。なお、これらの硬化用触媒が水溶性でない場合には、その使用に際して、乳化剤と水を用いてエマルジョン化しておくことが好ましい。
本実施形態のアクリル系ラテックス組成物は、(B)ヒドラジン系架橋剤を含む。この(B)成分としては、通常、ヒドラジノ基(−NHNH2)を分子内に2個以上(例えば、2〜4個程度)有するヒドラジド化合物が挙げられる。ヒドラジド化合物としては、特に限定されず、例えば、−CONHNH2で表される構造を有する酸ヒドラジド化合物等が挙げられる。
(B)成分の具体例としては、特に限定されず、例えば、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等の飽和ジカルボン酸ジヒドラジド;マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等の不飽和ジカルボン酸ジヒドラジド等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジドが好ましく、アジピン酸ジヒドラジドがより好ましい。
(B)成分は、通常、主として、(A)成分を架橋させるために用いられる。(B)成分の添加態様は、特に限定されるものではない。例えば、乳化重合等により得られた(A)成分に、(B)成分を添加混合する方法が挙げられる。その際、例えば、(B)成分を直接(例えば、粉末状等の固体状として)(A)成分に添加してもよいし、(B)成分を適当な溶媒に溶解したヒドラジン系架橋剤溶液(例えば、水溶液)として(A)成分に添加してもよいし、(B)成分単独又はその有機溶媒溶液が水に分散した水分散液(例えば、エマルジョン)の形態で(A)成分に添加してもよい。
本実施形態のアクリル系エマルジョン組成物における(B)成分の含有量は、特に限定されないが、塗膜硬度と耐水性の両立の観点から、アクリル系エマルジョン組成物中におけるカルボニル基の総モル数に対するヒドラジン基の総モル数の比(ヒドラジン基の総モル数/カルボニル基の総モル数のモル比)は、好ましくは0.5〜2.0であり、より好ましくは0.8〜1.5である。
本実施形態のアクリル系ラテックス組成物は、(C)カルボジイミド系架橋剤を含む。この(C)成分としては、例えば、カルボジイミド基(−N=C=N−)及び/又はシアナミド基(NC−NH−)を、合計で分子内に1個又は2個以上(例えば、2〜10個程度)有するカルボジイミド化合物が挙げられる。カルボジイミド化合物としては、特に限定されず、例えば、ポリカルボジイミド化合物が挙げられる。また、カルボジイミド(HN=C=NH)は、シアナミド(NC−NH2)と互変異性の関係にあることから、ここでいうカルボジイミド系架橋剤には、分子内に1個又は2個以上のシアナミド基(NC−NH−)を有する化合物、及び分子内にシアナミド基(NC−NH−)とカルボジイミド基(−N=C=N−)とを合計で2個以上有する化合物も包含され得る。したがって、(C)成分としては、カルボジイミド基(−N=C=N−)及びシアナミド基(NC−NH−)から選択される架橋性官能基を分子内に1個又は2個以上有する化合物も包含される。
上記カルボジイミド系架橋剤としては、特に限定されず、例えば、下記式(iv)で表される構造を有するカルボジイミド化合物や、下記式(v)で表されるカルボジイミド化合物が挙げられる。

−(R5−N=C=N)n− ・・・(iv)

(式中、R5は、それぞれ独立して、ヘキサメチレン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレン等のアルキレン基;式−CH2−C64−CH2−で表されるキシリレン、−C(CH32−C64−C(CH32−で表されるテトラメチルキシリレン等の、芳香環に結合した2個のアルキル基を有する2価の有機基;−CH2−C610−CH2−で表される水添キシリレン、−C610−CH2−C610−で表されるメチレンビス−4,1−シクロヘキシレン等の、シクロアルキル環を含む2価の有機基;等からなる群より選ばれる1種を表す。nは、2〜10の整数である。)

6−N=C=N−R7 ・・・(v)

(式中、R6及びR7は、それぞれ独立して、水素原子;プロピル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;及びp−トルオイル基等の芳香環を含む1価の有機基からなる群より選ばれる1種を表す。)
式(iv)で表される構造を有するカルボジイミド化合物は、例えば、対応するジイソシアネート化合物の脱二酸化炭素縮合を含む方法によって製造され得る。この場合、式(iv)中のnは、その脱二酸化炭素縮合における重合度(平均重合度)に対応する数であって、例えば、凡そ2〜10程度であり得る。式(iv)で表されるカルボジイミド化合物における、架橋性官能基(典型的にはカルボジイミド基)当たりの化学式量は、特に限定されないが、反応性及び取扱性等の観点から、概ね150〜750程度(好ましくは200〜650程度、より好ましくは300〜600程度)である。
式(v)で表されるカルボジイミド化合物の具体例としては、特に限定されず、例えば、ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、テトラメチルキシリレンカルボジイミド、ウレア変性カルボジイミド等を挙げることができる。
(C)成分としては、市販品を用いることもできる。(C)成分の市販品としては、特に限定されず、例えば、日清紡ケミカル社製、商品名「カルボジライト」シリーズ等が挙げられる。より具体的には、「カルボジライト」シリーズの水溶性タイプ(例えば、グレード名「V−04」、「V−02」、「V−02−L2」、「SV−02」、「V−10」等)、エマルジョンタイプ(例えば、グレード名「E−02」、「E−03A」、「E−04」等)等が、(C)成分として好適に用いることができる。
(C)成分は、上記した化合物1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(C)成分は、通常、主として、(A)成分を架橋させるために用いられる。(C)成分の添加態様は、特に限定されるものではない。例えば、乳化重合等により得られた(A)成分に、(C)成分を添加混合する方法が挙げられる。その際、例えば、(C)成分を直接(例えば、粉末状等の固体状として)(A)成分に添加してもよいし、(C)成分を適当な溶媒に溶解したカルボジイミド系架橋剤溶液(例えば、水溶液)として(A)成分に添加してもよいし、(C)成分単独又はその有機溶媒溶液が水に分散した水分散液(例えば、エマルジョン)の形態で(A)成分に添加してもよい。
本実施形態のアクリル系エマルジョン組成物における(C)成分の含有量(固形分換算)は、(A)成分中の樹脂成分100質量部に対して、1.1〜10.0質量部である。(C)成分の含有量(固形分換算)が1.1質量部未満であると、十分な塗膜硬度や耐水性が得られない。また、(C)成分の含有量(固形分換算)が10.0質量部を超えると、アクリル系エマルジョン組成物の粘度が経時的に増粘してしまい、貯蔵安定性が悪くなってしまう。
(C)成分の含有量(固形分換算)は、好ましくは3.0〜7.0質量部である。(C)成分の含有量が上記範囲であると、塗膜硬度や耐水性が一層良好となる。
(A)成分、(B)成分及び(C)成分の添加態様としては、特に限定されず、例えば、(B)成分と(C)成分を同時に一括して(A)成分に添加してもよいし、(B)成分と(C)成分を別に(A)成分に添加してもよい。
本実施形態のアクリル系ラテックス組成物は、上記した成分以外にも、その効果の範囲内において、通常、水系塗料等に添加配合される他の成分を更に含有してもよい。このような他の成分としては、特に限定されず、例えば、増粘剤、成膜助剤、可塑剤、(B)成分及び(C)成分以外の架橋剤、凍結防止剤、消泡剤、染料、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が挙げられる。これらの他の成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
増粘剤としては、特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール(部分鹸化ポリ酢酸ビニル等を含む)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の高分子分散安定剤等、その他ポリエーテル系増粘剤、ポリカルボン酸系増粘剤等が挙げられる。
成膜助剤としては、特に限定されず、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ブタンジオールイソブチレート、グルタル酸ジイソプロピル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル等が挙げられる。
可塑剤としては、特に限定されず、例えば、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等が挙げられる。
(B)成分及び(C)成分以外の架橋剤としては、特に限定されず、例えば、イソシアネート基を有する化合物、アジリジン環を有する化合物、オキサゾリン環を有する化合物等が挙げられる。
イソシアネート基を有する化合物としては、例えば、2個以上のイソシアネート基を分子内に有するものが挙げられる。イソシアネート基を有する化合物の具体例としては、特に限定されず、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、及び、これらジイソシアネートの誘導体であるトリメチロールプロパンアダクト体、ビュレット体、イソシアヌレート体等のアダクトポリイシシアネート化合物;上記のイソシアネート基含有重合性単量体を単独重合させたもの、あるいは他の重合性単量体と共重合させたもの;あるいはこれらの乳化物等が挙げられる。イソシアネート基を有する化合物としては、市販品を用いることもでき、例えば、商品名「デュラネートWT20−100」、「デュラネートWT30−100」、「デュラネートWT40−100」(以上、旭化成ケミカルズ社製)等が挙げられる。
アジリジン環を有する化合物としては、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸−2−アリジニルエチル等のアジリジニル基含有エチレン性不飽和単量体を単独重合させたもの、あるいは、他の不飽和単量体と共重合させたもの等が挙げられる。アジリジン環を有する化合物としては、市販品を用いることもでき、例えば、商品名「ケミタイトPZ−33」、「ケミタイトDZ−22E」(以上、日本触媒社製)等が挙げられる。
オキサゾリン環を有する化合物としては、特に限定されず、例えば、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有エチレン性不飽和単量体を単独重合させたもの、あるいは、他のビニル系モノマーと共重合させたもの等が挙げられる。オキサゾリン環を有する化合物としては、市販品を用いることもでき、例えば、商品名「エポクロスWS−500」、「エポクロスWS−700」、「エポクロスK−2010E」、「エポクロスE−2020E」、「エポクロスE−2030E」(以上、日本触媒社製)等が挙げられる。
上記した(B)成分及び(C)成分以外の他の架橋剤は、必要に応じて、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。その配合量は、塗膜の柔軟性及び耐水性の観点から、上記した架橋剤の官能基の総量に対して0.1〜2当量であることが好ましい。なお、(A)成分の官能基と架橋剤の反応を高める目的で、触媒を使用することもできる。
凍結防止剤としては、特に限定されず、例えば、プロピレングリコール、エチレングルコール等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、特に限定されず、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例としては、特に限定されず、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ステアリルオキシベンゾフェノン等が挙げられる。
ラジカル重合性のベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例としては、特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシ−4−アクリロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メタクリロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−アクリロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−メタクリロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(アクリロキシ−エトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(メタクリロキシ−エトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(メタクリロキシ−ジエトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(アクリロキシ−トリエトキシ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては、特に限定されず、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニル〕ベンゾトリアゾール)、メチル−3−〔3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネートとポリエチレングリコール(分子量300)との縮合物(BASF社製、商品名「TINUVIN1130」)、イソオクチル−3−〔3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート(BASF社製、商品名「TINUVIN384」)、2−(3−ドデシル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製、商品名「TINUVIN571」)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(BASF社製、商品名「TINUVIN900」)等が挙げられる。
ラジカル重合性のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては、特に限定されず、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(大塚化学社製、商品名「RUVA−93」)、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチル−3−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリリルオキシプロピル−3−tert−ブチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、3−メタクリロイル−2−ヒドロキシプロピル−3−〔3’−(2’’−ベンゾトリアゾリル)−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチル〕フェニルプロピオネート(BASF社製、商品名「CGL−104」)等が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としての具体例としては、特に限定されず、例えば、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンとモノ[(アルコキシ)メチル]オキシラン誘導体との反応生成物等が挙げられる。このようなものとしては、市販品を用いることもできる。このような市販品としては、例えば、商品名「TINUVIN400」(BASF社製;2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンとモノ[(C10−C16−アルコキシ)メチル]オキシラン誘導体との反応生成物、但し、モノ[(C10−C16−アルコキシ)メチル]オキシラン誘導体のアルコキシ基の炭素数は、C10〜C16であり、主としてC12〜C13である。)が挙げられる。
光安定剤としては、特に限定されず、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。これらの中でも塩基性の低いものが好ましく、塩基定数(pKb)が8以上のものがより好ましい。
ヒンダードアミン系光安定剤の具体例としては、特に限定されず、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)サクシネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、1−〔2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとメチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−セバケートの混合物(BASF社製、商品名「TINUVIN292」)、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステルを主成分とした反応生成物(BASF社製、商品名「TINUVIN123」)等が挙げられる。
ラジカル重合性のヒンダードアミン系光安定剤の具体例としては、特に限定されず、例えば、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルアクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−イミノピペリジルメタクリレート、2,2,6,6,−テトラメチル−4−イミノピペリジルメタクリレート、4−シアノ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、4−シアノ−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート等が挙げられる。
紫外線吸収剤及び/又は光安定剤の添加態様としては、例えば、(A)成分の製造時(例えば、乳化重合時等)に添加してアクリル系ラテックスに導入する方法、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を成膜助剤等と混合してアクリル系ラテックスに導入する方法、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を成膜助剤、界面活性剤、水等と混合し乳化させて、アクリル系ラテックスに導入する方法等が挙げられる。本実施形態では、特に、紫外線吸収剤と光安定剤を併用すると、相乗効果により卓越した耐久性を示す。
本実施形態のアクリル系ラテックス組成物では、ラテックスの平均粒子径は、特に限定されず、好ましくは30〜500nmである。ラテックスの平均粒子径は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
本実施形態のアクリル系ラテックス組成物中の固形分含有量(固形分率)は、特に限定されないが、好ましくは30〜65質量%である。固形分含有量は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
次に実施例及び比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものでない。なお、特に断りがない限り、実施例及び比較例中の「部」及び「%」は、質量基準に基づくものである。
<試験方法>
<平均粒子径>
レーザー回折式の粒度分布計(リーズ・アンド・ノースラップ社製、マイクロトラック粒度分布計「UPA150」)にて測定した体積平均粒子径を、アクリル系ラテックスの平均粒子径とした。
<固形分率>
アルミ皿にアクリル系ラテックス1gを正確に秤量し、恒温乾燥機で105℃にて3時間乾燥させ、シリカゲルを入れたデシケーター中で30分間放冷した後に精秤した。乾燥後質量を乾燥前質量で除した割合を固形分率(%)とした。
<耐水白化性>
アクリル系ラテックスを、ガラス板上に100μmの厚みとなるように塗工し、室温にて成膜させた後、50℃にて1週間更に静置したものを試験体として用いた。得られた試験体について、ヘイズメータ(日本電色社製、濁度計「NDH5000」)を用いて、透過率及びヘイズ値を測定した。また、試験体を室温の水に4時間浸漬し、その後試験体の表面の水を拭き取ったものについても透過率及びヘイズ値を測定した。透過率は、全光線透過率JIS K7361−1に準拠して測定した。ヘイズ値は、JIS K7105に準拠して測定した。さらに、以下の式に基づき、浸漬前後の透過率保持率及びヘイズ変化率を算出した。

透過率保持率(%)=水浸漬後の透過率/水浸漬前の透過率×100

ヘイズ変化率=水浸漬後のヘイズ値−水浸漬前のヘイズ値
<吸水率>
アクリル系ラテックスを、ガラス板上に250μmの厚みとなるように塗工し、室温にて成膜させた後、5cm×5cmに切り取り、50℃にて1週間更に静置したものを試験体として用いた。得られた試験体の重量を計測した。また、試験体を室温の水に7日間浸漬し、その後、試験体表面の水を拭き取ったものについても質量を測定した。以下の式に基づき、浸漬前後の吸水率を算出した。

吸水率(%)=水浸漬後の試験体質量/水浸漬前の試験体質量×100
<塗膜の引張性能>
アクリル系ラテックスを、ガラス板上に250μmの厚みとなるように塗工し、室温にて成膜させた後、1cm×8cmに切り取り、50℃にて1週間更に静置したものを試験体として用いた。得られた試験体について、引張試験機(オリエンテック社製、テンシロン万能試験機「RTC−1250A」)を用いて、チャック間50mm、引張速度50mm/minの条件で引張試験を行い、伸度5%時の応力(MPa)、破断点応力(MPa)、破断点伸度(%)を測定した。
<塗膜のアルカリ黄変性>
7cm×15cm×0.3cmのフレキシブル板に、市販の水性白色塗料を塗付量が100g/m2となるようスプレー塗装し、室温で成膜させた後、50℃で1日間更に乾燥させた。白色塗料が塗布されたフレキシブル板の上に、アクリル系ラテックスを250μmの厚みとなるように塗工し、室温にて成膜させた後、50℃にて1日間更に静置したものを試験体として用いた。
得られた試験体の色調について、L値、a値、b値を色差計(コニカミノルタオプティクス社製、色彩色差計「CR−231」)にて測定した。その後、水酸化カルシウム飽和水溶液に試験体を1日間浸漬した。浸漬後、試験体の表面の水分を拭き取った後、L値、a値、b値を色差計にて測定した。以下の式に基づき、アルカリ黄変性(ΔE)を求めた
。ΔEの値が大きい程、アルカリ黄変性が高いと判断した。

ΔE=((浸漬後試験体L値−浸漬前試験体L値)×2+(浸漬後試験体a値−浸漬前試
験体a値)×2+(浸漬後試験体b値−浸漬前試験体b値)×2)×1/2
<アクリル系ラテックス例1>
商品名「ポリソリュートM100」(旭化成ケミカルズ社製:反応性界面活性剤使用、ジアセトンアクリルアミド4.5質量%、アクリル酸4.2質量%、メタクリル酸メチル31.6質量%、アクリル酸n−ブチル42.8質量%、メタクリル酸n−ブチル16.9質量%からなり、固形分率50.0質量%、pH6.8、平均粒子径280nm)
<アクリル系ラテックス例2>
攪拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取り付けた反応容器に、水545.3質量部、「ニューコール707SF」(日本乳化剤社製;ポリオキシアルキレン多環フェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩)2.7質量部を投入し、反応容器中の温度を80℃に昇温させて、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を12質量部添加した。その5分後に、メタクリル酸メチル253.1質量部、アクリル酸n−ブチル253.8質量部、アクリル酸28.2質量部、ジアセトンアクリルアミド25.3質量部、ドデシルメルカプタン8質量部、「アデカリアソープSR1025」(ADEKA社製、アニオン性反応性界面活性剤;α−スルホ−ω−(1−(アルコキシ)メチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)のアンモニウム塩の水溶液)22.4質量部、「ニューコール707SF」(日本乳化剤社製)18.7質量部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液84質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.7質量部、水263.8質量部の乳化混合液を、180分間かけて反応容器に流入させた。流入中は反応容器の温度を80℃に維持した。流入終了後、反応容器の温度を80℃にて60分間維持した。さらに、メタクリル酸n−ブチル135.7質量部、アクリル酸n−ブチル88.6質量部、アクリル酸4.9質量部、ジアセトンアクリルアミド10.9質量部、「アデカリアソープSR1025」9.6質量部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液24質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.2質量部、水129.3質量部の乳化混合液を、60分間かけて反応容器に流入させた。流入中は反応容器の温度を80℃に維持した。流入終了後、反応容器の温度を80℃にて60分間維持した後冷却し、25%アンモニア水12.5質量部、水85質量部を更に加え、アクリル系ラテックスを得た。得られたアクリル系ラテックスの固形分率は41.0質量%、pH7.2、平均粒子径160nmであった。
<アクリル系ラテックス例3>
攪拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取り付けた反応容器に水545.3質量部、「ニューコール707SF」(日本乳化剤社製)2.7質量部を投入し、反応容器中の温度を80℃に昇温させて、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を12質量部添加した。その5分後に、メタクリル酸メチル253.1質量部、アクリル酸n−ブチル253.8質量部、アクリル酸28.2質量部、ジアセトンアクリルアミド25.3質量部、ドデシルメルカプタン8質量部、「アデカリアソープSR1025」(ADEKA社製、アニオン性反応性界面活性剤)22.4質量部、「ニューコール707SF」(日本乳化剤社製)18.7質量部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液84質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.7質量部、水263.8質量部の乳化混合液と、メチルトリメトキシシラン24質量部、ジメチルジメトキシシラン8質量部の混合液とを、別々の滴下槽より180分間かけて反応容器に流入させた。流入中は反応容器の温度を80℃に維持した。流入終了後、反応容器の温度を80℃にて60分間維持した。さらに、メタクリル酸n−ブチル135.7質量部、アクリル酸n−ブチル88.6質量部、アクリル酸4.9質量部、ジアセトンアクリルアミド10.9質量部、「アデカリアソープSR1025」(ADEKA社製)9.6質量部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液24質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.2質量部、水129.3質量部の乳化混合液を60分間かけて反応容器に流入させた。流入中は反応容器の温度を80℃に維持した。流入終了後、反応容器の温度を80℃にて60分間維持した後冷却し、25%アンモニア水12.5質量部、水85質量部を加え、アクリル系ラテックスを得た。得られたアクリル系ラテックスの固形分率は41.2質量%、pH7.0、平均粒子径170nmであった。
<セミカルバジド系架橋剤の製造例>
ヘキサメチレンジイソシアネート168質量部と、ビュレット化剤としての水1.5質量部と、エチレングリコールメチルエーテルアセテートとリン酸トリメチルの1:1(質量比)の混合溶媒130質量部とを溶解させ、反応温度160℃にて1時間反応させた。得られた反応液について、薄膜蒸留装置を用いて、1回目は1.0mmHg/160℃の条件下で、2回目は0.1mmHg/200℃の条件下で、2段階の処理を行うことにより、余剰のヘキサメチレンジイソシアネート及び溶媒を反応液から留去し、残留物を得た。得られた残留物は、99.9質量%のポリイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット型ポリイソシアネート)及び0.1質量%の残存ヘキサメチレンジイソシアネートを含んでいた。得られた残留物の粘度は1900mPa.s/25℃、数平均分子量は約600、平均NCO官能基数は約3.3、NCO基含有量は23.3質量%であった。
還流冷却器、温度計及び攪拌装置を有する反応容器に、イソプロピルアルコール1000質量部を投入し、そこにヒドラジン1水和物80質量部を、攪拌しながら約30分間かけて室温で添加した。別途、上記ポリイソシアネート(NCO基含量23.3質量%)144質量部をテトラヒドロフラン576質量部に溶解させた溶液を準備し、10℃にて約1時間かけて反応容器に添加し、さらに40℃にて3時間攪拌し、水1000質量部をさらに添加した。続いて、得られた反応液を加熱減圧することで、イソプロピルアルコール、ヒドラジン、テトラヒドロフラン及び水等を、反応液から留去して、ビュレット構造を有するセミカルバジド誘導体168質量部を得た。得られたビュレット構造を有するセミカルバジド誘導体に水を加え、固形分50.0質量%のセミカルバジド系架橋剤を得た。
<実施例1>
アクリル系ラテックス例1を100質量部(樹脂成分50質量部)に、10%アジピン酸ジヒドラジド水溶液11.3質量部(有効成分1.13質量部)、カルボジイミド系架橋剤(日清紡ケミカル社製、「カルボジライトE02」:有効成分40%)6.25質量部(有効成分2.5質量部)、プロピレングリコールn−ブチルエーテル5質量部を配合し、アクリル系ラテックス組成物を得た。アクリル系ラテックス例1の樹脂成分100質量部に対する、ヒドラジン系架橋剤の含有量(固形分換算)は2.26質量部であり、カルボジイミド系架橋剤の含有量(固形分換算)は5質量部であった。
<実施例2>
アクリル系ラテックス例1を100質量部(樹脂成分50質量部)に、10%アジピン酸ジヒドラジド水溶液11.3質量部(有効成分1.13質量部)、カルボジイミド系架橋剤(日清紡ケミカル社製、「カルボジライトV10」:有効成分40%)6.25質量部(有効成分2.5質量部)、プロピレングリコールn−ブチルエーテル5質量部を配合し、アクリル系ラテックス組成物を得た。アクリル系ラテックス例1の樹脂成分100質量部に対する、ヒドラジン系架橋剤の含有量(固形分換算)は2.26質量部であり、カルボジイミド系架橋剤の含有量(固形分換算)は5質量部であった。
<実施例3>
アクリル系ラテックス例2を100質量部(樹脂成分41質量部)に、10%アジピン酸ジヒドラジド水溶液9.04質量部(有効成分0.904質量部)、カルボジイミド系架橋剤(日清紡ケミカル社製、「カルボジライトE02」:有効成分40%)5質量部(有効成分2質量部)、プロピレングリコールn−ブチルエーテル4質量部を配合し、アクリル系ラテックス組成物を得た。アクリル系ラテックス例2の樹脂成分100質量部に対する、ヒドラジン系架橋剤の含有量(固形分換算)は2.2質量部であり、カルボジイミド系架橋剤の含有量(固形分換算)は4.9質量部であった。
<実施例4>
アクリル系ラテックス例3を100質量部(樹脂成分41.2質量部)に、10%アジピン酸ジヒドラジド水溶液9.04質量部(有効成分0.904質量部)、カルボジイミド系架橋剤(日清紡ケミカル社製、「カルボジライトE02」:有効成分40%)5質量部(有効成分2質量部)、プロピレングリコールn−ブチルエーテル4質量部を配合し、アクリル系ラテックス組成物を得た。アクリル系ラテックス例3の樹脂成分100質量部に対する、ヒドラジン系架橋剤の含有量(固形分換算)は2.2質量部であり、カルボジイミド系架橋剤の含有量(固形分換算)は4.9質量部であった。
<比較例1>
アクリル系ラテックス例1を100質量部(樹脂成分50質量部)に、プロピレングリコールn−ブチルエーテル5質量部を配合し、架橋性を持たないアクリル系ラテックス組成物を準備した。
<比較例2>
アクリル系ラテックス例1を100質量部(樹脂成分50質量部)に、10%アジピン酸ジヒドラジド水溶液11.3質量部(有効成分1.13質量部)、プロピレングリコールn−ブチルエーテル5質量部を配合し、アクリル系ラテックス組成物を得た。
<比較例3>
アクリル系ラテックス例1を100質量部(樹脂成分50質量部)に、10%アジピン酸ジヒドラジド水溶液22.6質量部(有効成分2.26質量部)、プロピレングリコールn−ブチルエーテル5質量部を配合し、アクリル系ラテックス組成物を得た。
<比較例4>
アクリル系ラテックス例1を100質量部(樹脂成分50質量部)に、カルボジイミド系架橋剤(日清紡ケミカル社製、「カルボジライトE02」:有効成分40%)6.25質量部(有効成分2.5質量部)、プロピレングリコールn−ブチルエーテル5質量部を配合し、アクリル系ラテックス組成物を得た。
<比較例5>
アクリル系ラテックス例1を100質量部(樹脂成分50質量部)に、カルボジイミド系架橋剤(日清紡ケミカル社製、「カルボジライトE02」:有効成分40%)12.5質量部(有効成分5質量部)、プロピレングリコールn−ブチルエーテル5質量部を配合し、アクリル系ラテックス組成物を得た。
<比較例6>
アクリル系ラテックス例1を100質量部(樹脂成分50質量部)に、セミカルバジド系架橋剤4.5質量部、プロピレングリコールn−ブチルエーテル5質量部を配合し、アクリル系ラテックス組成物を得た。
<比較例7>
アクリル系ラテックス例1を100質量部(樹脂成分50質量部)に、10%アジピン酸ジヒドラジド水溶液11.3質量部(有効成分1.13質量部)、カルボジイミド系架橋剤(日清紡ケミカル社製、「カルボジライトE02」:有効成分40%)1.25質量部(有効成分0.5質量部)、プロピレングリコールn−ブチルエーテル5質量部を配合し、アクリル系ラテックス組成物を得た。
各実施例及び各比較例の成分組成及びその評価結果を、表1に示す。
*成分量:質量部
*ヒドラジド基/カルボニル基、セミカルバジド基/カルボニル基:(モル/モル)比
*ADH:アジピン酸ヒドラジド
以上より、本実施例のアクリル系ラテックス組成物は、耐水性、硬度、伸度、アルカリ黄変性といった物性が優れた塗膜を形成できることが確認された。
本発明の塗料用アクリル系ラテックス組成物は、塗料や各種コーティング材料といった用途に好適に利用することができる。

Claims (3)

  1. (A)分子中に少なくとも1個のアルデヒド基又はケトン基を含有する重合性単量体(a)と、カルボン酸基を含有する重合性単量体(b)と、前記(a)成分及び前記(b)成分と共重合可能な他の重合性単量体(c)とを重合して得られるアクリル系ラテックスと、
    (B)ヒドラジン系架橋剤と、
    (C)カルボジイミド系架橋剤と、
    を含み、
    前記(A)成分中の樹脂成分100質量部に対して、前記(C)成分を1.1〜10.0質量部(固形分換算)含有
    前記(A)成分が、下記式(1)で表される化合物によって変性されたアクリル系ラテックスである、塗料用アクリル系ラテックス組成物。

    (R 1 n −Si−(R 2 (4-n) (1)

    (式中、nは、0〜3の整数である。R 1 は、水素、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、又は炭素数5〜6のシクロアルキル基を表す。n個のR 1 は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。R 2 は、炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、又は水酸基を表す。(4−n)個のR 2 は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
  2. 前記重合は、反応性界面活性剤の存在下で行われる、請求項1に記載の塗料用アクリル系ラテックス組成物。
  3. 前記(c)成分が、アルコキシシラン基含有重合性単量体である、請求項1又は2に記載の塗料用アクリル系ラテックス組成物。
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