JP2016008268A - ポリマーエマルジョンの製造方法およびそれにより得られるポリマーエマルジョン、ならびに中空粒子の製造方法およびそれにより得られる中空粒子 - Google Patents

ポリマーエマルジョンの製造方法およびそれにより得られるポリマーエマルジョン、ならびに中空粒子の製造方法およびそれにより得られる中空粒子 Download PDF

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Abstract

【課題】従来に比べ、充分な量の特定の化合物を内包するポリマー粒子を含有するポリマーエマルジョンの製造方法およびそれにより得られるポリマーエマルジョン、ならびに従来に比べ、高い空隙率を有する中空粒子の製造方法およびそれにより得られる中空粒子を提供することを目的とする。
【解決手段】下記(a)〜(d)成分を用いて、重合してなるポリマー粒子を含有するポリマーエマルジョンの製造方法であって、上記重合を、上記(b)成分の曇点以上の温度で行うポリマーエマルジョンの製造方法。
(a)モノマー。
(b)アルキル基の炭素数が14以上のポリオキシアルキレンアルキルエーテル。
(c)重合開始剤。
(d)水。
【選択図】なし

Description

本発明は、従来に比べ、充分な量の特定の化合物を内包するポリマー粒子を含有するポリマーエマルジョンの製造方法およびそれにより得られるポリマーエマルジョン、ならびに従来に比べ、高い空隙率を有する中空粒子の製造方法およびそれにより得られる中空粒子に関するものである。
これまで内部に空隙を有するポリマー粒子(以下、「中空粒子」という)は水系塗料組成物あるいは、紙被覆組成物等の用途に用いられ、隠蔽剤、あるいは隠蔽度の高い白色顔料として、中空粒子をこれらの組成物の成分に加えて利用されてきた。
例えば、紙に添加される隠蔽剤として用いられる中空粒子の製造方法として、重合開始剤に極性官能基を有するものを用いポリマー粒子内にその極性官能基を集合させて、そこへ水が付帯するように水をポリマー粒子に取り込ませ、その含水ポリマー粒子を乾燥することにより、水が抜け、内部に間隙を有するポリマー粒子が製造されるという方法が提案されている(特許文献1)。
特開2007−270096号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示の製造方法は、基本的にその取り込んだ水体積分しか間隙ができないものであった。すなわち、加熱時に熱膨張する特定の化合物を充分な量含有していないため、加熱した際に粒子の膨張が不充分となり、冷却した際の収縮時に内部に侵入する水の割合が少なくなることから、結果として、粒子の空隙率が不充分となり、空隙率の高い中空粒子が得られていなかった。
そして、上記特許文献1で得られた中空粒子は、空隙率が不充分なため隠蔽性の面でも劣るという問題もあった。
そこで、本発明はこのような背景下において得られたものであり、従来に比べ、充分な量の特定の化合物を内包するポリマー粒子を含有するポリマーエマルジョンの製造方法およびそれにより得られるポリマーエマルジョン、ならびに従来に比べ、高い空隙率を有する中空粒子の製造方法およびそれにより得られる中空粒子を提供することを目的とする。
しかるに、本発明者等はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、乳化重合において、通常ノニオン性乳化剤として使用される炭素数14以上のポリオキシアルキレンアルキルエーテル(b)を、曇点以上の温度下にさらして、本来の乳化性能がない状態とした上で乳化重合に使用する(無乳化剤乳化重合)ことにより、重合により形成されたポリマー粒子内に、乳化性能のない上記(b)成分が充分に取り込まれたポリマーエマルジョンができることを突き止めた。この製造方法によって得られたポリマーエマルジョンは、上記(b)成分がポリマー粒子内に充分に取り込まれることから、このポリマーエマルジョンを、特定温度に加熱することにより、上記(b)成分を熱膨張させてポリマー製のシェル部を拡張させ、ついで、ポリマーエマルジョンを室温に冷却することにより、シェル部は基本そのままに(b)成分が収縮する際に水を取り込み、それによって(b)成分を希釈させる。そして、そのポリマーエマルジョンを乾燥することにより、ポリマー粒子内部の水を除去して、従来に比べ、高い空隙率を有するポリマー粒子が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、下記(a)〜(d)成分を用いて、重合してなるポリマー粒子を含有するポリマーエマルジョンの製造方法であって、上記重合を、上記(b)成分の曇点以上の温度で行うポリマーエマルジョンの製造方法に関するものである。
(a)モノマー。
(b)アルキル基の炭素数が14以上のポリオキシアルキレンアルキルエーテル。
(c)重合開始剤。
(d)水。
また、本発明においては、前記の製造方法により得られるポリマーエマルジョンであって、上記(b)成分がポリマー製のシェル部で内包されたポリマー粒子が分散していることを特徴とするポリマーエマルジョンも提供するものである。
さらに、前記のポリマーエマルジョンを用いて、下記の工程〔I〕〜〔III〕を経由することにより内部が中空となるポリマー製のシェル部構造を有する中空粒子を製造する方法も提供するものである。
〔I〕上記(b)成分の曇点以上の温度かつ上記ポリマーのガラス転移温度より10℃低い温度以上で加熱する工程。
〔II〕室温に冷却する工程。
〔III〕加熱乾燥および真空乾燥の少なくとも一方をする工程。
そして、前記の中空粒子の製造方法によって得られる中空粒子も提供するものである。
本発明は、上記(a)〜(d)成分を用いて、重合してなるポリマー粒子を含有するポリマーエマルジョンの製造方法であって、上記重合を、上記(b)成分の曇点以上の温度で行うポリマーエマルジョンの製造方法であることから、この製造方法によれば、従来に比べ充分な量の特定の化合物を内包するポリマー粒子を含有するポリマーエマルジョンが得られるようになる。
そして、得られた上記ポリマーエマルジョンを用いて、上記の工程〔I〕〜〔III〕を経由することにより内部が中空となるポリマー製のシェル部構造を有する中空粒子を製造することができ、かかる中空粒子の製造方法であると、従来に比べ、高い空隙率を有する中空粒子が得られるようになる。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に限定されるものではない。
以下、本発明について詳細に説明する。
《ポリマーエマルジョンの製造》
本発明では、モノマー成分(a)、アルキル基の炭素数が14以上のポリオキシアルキレンアルキルエーテル(b)、重合開始剤(c)及び水(d)を用いて重合反応を行なうことによりポリマーエマルジョンを製造する。そして、上記重合反応を、上記ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(b)の曇点以上の温度で行なうことを特徴とするものである。
上記ポリマーエマルジョンの構成材料である上記(a)〜(d)について以下順に説明する。
〈モノマー成分(a)〉
上記モノマー成分(a)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の脂肪族系(メタ)アクリレート系モノマーや、フェノキシ(メタ)アクリレート等の芳香族系(メタ)アクリレート系モノマー、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル等の(メタ)アクリル系モノマー;および、官能基含有モノマー等があげられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらの中でもスチレン系モノマーが好ましく、特にスチレンモノマーが好ましく用いられる。
なお、本発明においては、(メタ)アクリルはアクリルまたはメタクリルをいい、(メタ)アクリレートはアクリレートまたはメタクリレートをいう。
また、上記官能基含有モノマーとしては、例えば、分子構造中にビニル基を2個以上有するモノマー、グリシジル基含有モノマー、アリル基含有モノマー、加水分解性シリル基含有モノマー、アセトアセチル基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー等があげられる。
これらの中でも、重合時の安定性に優れる点から、分子構造中にビニル基を2個以上有するモノマーまたは加水分解性シリル基含有モノマーを用いることが好ましい。
上記分子構造中にビニル基を2個以上有するモノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼンが挙げられ、アリル基を2個以上有するモノマーとしては、例えば、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルオキシエチレン、マレイン酸ジアリル、テトラアリルオキシエタン等があげられ、(メタ)アクリレート基を2個以上有するモノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等があげられ、また、異なる重合可能な基を2個以上有するモノマーとしては、例えば、アリル(メタ)アクリレート等があげられる。
これらの中でも、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが、(メタ)アクリレート系モノマーとの共重合性に優れる点で好ましい。
上記グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アリルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等があげられる。
上記アリル基含有モノマーとしては、例えば、アリルグリシジルエーテル、酢酸アリル等があげられる。
上記加水分解性シリル基含有モノマーとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン等のビニル系シリル基含有モノマー;γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等の(メタ)アクリロキシ系シリル基含有モノマーがあげられる。
これらの中でも、(メタ)アクリロキシ系シリル基含有モノマーが、(メタ)アクリレート系モノマーとの共重合性に優れる点で好ましい。
上記アセトアセチル基含有モノマーとしては、例えば、アセト酢酸ビニルエステル、アセト酢酸アリルエステル、ジアセト酢酸アリルエステル、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチルクロトナート、アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシプロピルクロトナート、2−シアノアセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等があげられる。
上記ヒドロキシル基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート等があげられ、乳化重合時における保護コロイド的作用および被洗浄性の観点から、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましい。
上記カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、アクリル酸ダイマー、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イタコン酸、アクリルアミド−N−グリコール酸、ケイ皮酸等があげられ、これらの中でも、乳化重合時における機械安定性を付与しやすい観点から、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
上記他のモノマー成分(a)の含有割合としては、例えば、上記スチレン系モノマーとそれ以外の他のモノマー成分(X)を使用する場合、その使用割合は、重量基準で、スチレン系モノマー/X=100/0〜50/50、特には95/5〜70/30とすることが好ましい。スチレン系モノマーが少なすぎると空隙率が低下する傾向がある。
〈アルキル基の炭素数が14以上のポリオキシアルキレンアルキルエーテル(b)〉
上記アルキル基の炭素数が14以上のポリオキシアルキレンアルキルエーテル(b)は、RO−((Cm2m)O)n−H(Rは炭素14以上のアルキル基、mは1〜4、nは1〜50)で表されるものであり、例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
また、上記(b)成分のアルキル基の炭素数は上記のように14以上であるが、曇点以上の温度における水に対しての溶解性が低いという観点から好ましくは14〜22であり、さらに好ましくは16〜20である。中でも、上記(b)成分としては、モノマーとの帯同移動がし易いという点から、ポリオキシエチレンオレイルエーテルが好ましい。具体的には、エマルゲン409PV(曇点55℃)(花王社製)があげられる。
そして、本発明においては、上記ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(b)の曇点が、20〜70℃のものが好ましく、特に好ましくは30〜60℃のものである。上記曇点が高すぎると、生成したポリマー粒子の内部にポリオキシアルキレンアルキルエーテル(b)を取り込み難くなる傾向がみられ、曇点が低すぎると、ポリマー粒子の内部にポリオキシアルキレンアルキルエーテル(b)は入り込み易くなるが、この後の工程にて取り込んだポリオキシアルキレンアルキルエーテル(b)を除去しポリマー粒子内部を中空化した際に上記ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(b)の残留が多くなり空隙率が低下する傾向がみられる。
さらに、上記ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(b)の疎水性度合い(HLB)は、5〜20のものが好ましく、特に好ましくは6〜19である。上記ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(b)のHLBが高すぎると、粒子内部に内包し難くなる傾向がみられ、HLBが低すぎると、中空化時に粒子内に残留が多くなり空隙率が低下する傾向がみられる。
また、上記ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(b)としては、その疎水基の水に対する溶解度が0.0001〜10mg/Lであるものが好ましく、特に好ましくは0.001〜5mg/Lである。上記疎水基の水に対する溶解度が高すぎると、ポリマー粒子の内部にポリオキシアルキレンアルキルエーテル(b)を取り込み難くなる傾向がみられ、疎水基の水に対する溶解度が低すぎると、ポリマー粒子内部にポリオキシアルキレンアルキルエーテル(b)は入り込み易くなるが、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(b)を除去しポリマー粒子内部を中空化した際にポリオキシアルキレンアルキルエーテル(b)の残留が多くなり空隙率が低下する傾向がみられる。
上記ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(b)の使用量は、モノマー成分(a)100重量部に対して、2〜40重量部であることが好ましく、特に好ましくは4〜20重量部、さらに好ましくは5〜15重量部である。上記使用量が少なすぎると、空隙率が低下する傾向があり、多すぎると、重合時の安定性が低下する傾向がみられる。
〈重合開始剤(c)〉
上記重合開始剤(c)としては、水溶性、油溶性のいずれのものも用いることが可能である。例えば、アルキルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、p−メタンヒドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクロルベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、ジ−イソブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2′−アゾビスイソブチレート、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、4,4′−アゾビス−4−シアノバレリックアシッドのアンモニウム(アミン)塩、2,2′−アゾビス(2−メチルアミドオキシム)ジヒドロクロライド、2,2′−アゾビス(2−メチルブタンアミドオキシム)ジヒドロクロライドテトラヒドレート、2,2′−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕−プロピオンアミド}、2,2′−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕、各種レドックス系触媒(この場合酸化剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、p−メタンハイドロパーオキサイド等が、還元剤としては亜硫酸ナトリウム、酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸等が用いられる。)等があげられる。これらの重合開始剤(c)は単独であるいは2種以上併せて用いられる。
これらの中でも重合安定性に優れる点で、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、レドックス系触媒(酸化剤:過硫酸カリウム,過硫酸ナトリウム、還元剤:亜硫酸ナトリウム,酸性亜硫酸ナトリウム,ロンガリット,アスコルビン酸)等が好適に用いられる。
上記重合開始剤(c)の使用量は、モノマー成分(a)100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.03〜7重量部、さらに好ましくは0.05〜5重量部である。重合開始剤(c)の使用量が少なすぎると、重合速度が遅くなる傾向があり、多すぎると、得られる共重合体の分子量が低くなり耐水性が低下しやすい傾向がある。
なお、上記重合開始剤(c)の使用態様としては、重合缶内に予め加えておいてもよいし、重合開始直前に加えてもよいし、必要に応じて重合途中に追加添加してもよい。あるいは、モノマー成分(a)に予め添加したり、モノマー成分(a)からなる乳化液に添加したりしてもよい。また、重合開始剤(c)の添加に際しては、重合開始剤(c)を別途溶媒や上記モノマー成分(a)に溶解して添加したり、溶解した重合開始剤(c)をさらに乳化状にして添加したりしてもよい。
〈水(d)〉
本発明のポリマーエマルジョンの構成材料としては、上記(a)〜(c)に加え、さらに水(d)を必須成分とする。上記水(d)としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水、異物を除去した井戸水、水道水、を用いることができる。中でも経済性と製造安定性の点からイオン交換水が好ましい。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記水(d)の含有量としては、モノマー成分(a)100重量部に対して、50〜20000重量部であることが好ましく、特に好ましくは100〜10000重量部、さらに好ましくは200〜5000重量部である。水の使用量が少なすぎると、重合時の安定性が低下する傾向があり、多すぎると、工業化時の経済性が低下する傾向がある。
〈その他の成分〉
本発明のポリマーエマルジョンの製造方法においては、界面活性剤としての作用を奏する乳化剤を使用してもよい。上記乳化剤は、従来から界面活性剤として用いられている各種界面活性剤を用いればよく、例えば、アニオン型、カチオン型、およびノニオン型の反応性界面活性剤、アニオン型、カチオン型、およびノニオン型の非反応性界面活性剤があげられる。
これらの中でも、重合安定性に優れる点で、ノニオン型非反応性界面活性剤を用いることが好ましく、さらにその曇点が後述の重合反応の際の重合温度以上のものがよい。
上記乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、エマルゲン120(曇点98℃)、エマルゲン123P(曇点>100℃)、エマルゲン130K(曇点>100℃)、エマルゲン147(曇点>100℃)、エマルゲン150(曇点>100℃)、エマルゲン1118S−70(曇点>100℃)、エマルゲン1135S−70(曇点>100℃)、エマルゲン1150S−60(曇点>100℃)(いずれも花王社製)等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
なお、上記乳化剤の添加方法としては、モノマー成分(a)からなる乳化モノマー液に添加したり、予め重合缶に添加しておいたりしてもよく、また両者を併用してもよい。
上記乳化剤の使用量については、上記モノマー成分(a)100重量部に対して、0〜10重量部であることが好ましく、特に好ましくは0〜5重量部である。上記使用量が多すぎると無乳化剤重合が進行せずに乳化重合が行われる傾向がある。
本発明のポリマーエマルジョンの製造方法においては、上記各成分以外に、例えば、重合調整剤を用いることができる。上記重合調整剤としては、例えば、連鎖移動剤、pH緩衝剤等があげられる。
上記連鎖移動剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール;アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類;n−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸、チオグリコール酸オクチル、チオグリセロール等のメルカプタン類等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記連鎖移動剤の使用は、重合を安定に行わせるという点では有効であるが、樹脂の重合度を低下させ、得られる塗膜の弾性率を低下させる可能性がある。そのため、具体的には、連鎖移動剤の使用量は、モノマー成分(a)100重量部に対して、1重量部以下であることが好ましく、特に好ましくは0.5重量部以下、さらに好ましくは0.3重量部以下である。上記連鎖移動剤の使用量が多すぎると、反応性の低下や粒子の弾性率が低下する傾向がある。
また、上記pH緩衝剤としては、例えば、ソーダ灰(炭酸ナトリウム)、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、蟻酸ナトリウム、蟻酸アンモニウム等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記pH緩衝剤の使用量は、モノマー成分(a)全体100重量部に対して10重量部以下であることが好ましく、特に好ましくは5重量部以下、さらに好ましくは3重量部以下である。上記pH緩衝剤の使用量が多すぎると、反応を阻害しやすい傾向がある。
〈ポリマーエマルジョンの製造方法〉
本発明のポリマーエマルジョンは、前述のとおり、モノマー成分(a)、アルキル基の炭素数が14以上のポリオキシアルキレンアルキルエーテル(b)、重合開始剤(c)、水(d)、必要に応じてその他の成分を用いて、上記ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(b)の曇点以上の温度条件下にて重合反応を行なうことによりポリマーエマルジョンを製造する。
〈重合反応条件〉
上記重合反応に際しての温度条件としては、ポリマー粒子内部に内包されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル(b)の有する曇点にもよるが、例えば、常圧下の場合、40〜100℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは60〜90℃である。
上記重合反応に要する時間としては、例えば、3〜48時間とすることが好ましく、より好ましくは5〜24時間である。上記重合反応に要する時間は、使用されるモノマー成分(a)が反応に消費される時間であればよく、上記時間が短すぎると、モノマー成分(a)の残留率が高くなり歩留りが低下する傾向がある。
上記重合反応において、反応系の圧力は常圧であることが好ましく、また重合反応時の撹拌条件としては、重合中のモノマー成分(a)が乳化される状態よりも早く設定することが好ましく、例えば、重合反応容器が300mLのスケールでは300rpm以上とすることが好ましい。
本発明のポリマーエマルジョンの製造に際して使用される装置としては、通常の撹拌装置であればよい。例えば、パドル型、タービン型、インペラ型等の棒・板・プロペラ状の撹拌子が槽内で回転する装置等があげられる。
〈ポリマーエマルジョンの物性〉
本発明のポリマーエマルジョンの製造方法によってポリマーエマルジョンが得られる。このポリマーエマルジョンは、上記(b)成分がポリマー製のシェル部で内包されたポリマー粒子が分散されている状態である。
上記ポリマー粒子の平均粒子径は、中空形成のし易さの観点から、0.05〜50μmであることが好ましく、さらに0.1〜10μmであることが好ましい。
上記ポリマー粒子は、ほぼ球状であることから、粒径は球を基本形状として求めることができ、上記平均粒子径は重量平均粒子径をいい、かかる重量平均粒子径は、動的光散乱法粒子径分布測定装置により測定することができる。
上記ポリマー粒子のシェル部を構成するポリマーとして、好ましくは重量平均分子量が10,000〜300,000であり、さらに50,000〜200,000、特に80,000〜170,000であることが好ましい。上記重量平均分子量が低すぎるとポリマー粒子のシェル部が弱くなる傾向があり、高すぎると加熱処理の温度を高くしなければならない傾向にある。
なお、上記の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、サイズ排除クロマトグラフィー(東ソー社製、「HLC−8320GPC」に、カラム:TSK SuperMultiporeHZ−H(排除限界分子量:4×107、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:6μm)の2本直列を用いることにより測定される。
また、上記ポリマー粒子のシェル部を構成するポリマーのガラス転移温度(Tg)として好ましくは、40℃以上であり、さらに60℃以上、特に80℃以上であることが好ましい。Tgが低すぎると、上記ポリマー粒子同士が融着する傾向がある。また、Tgの上限は通常150℃以下である。
なお、ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、下記の式(1)に示すFoxの式で算出した値を用いた。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+ ・・・ + Wn/Tgn ・・・(1)
上記式(1)において、W1からWnは、使用している各単量体の重量分率を示し、Tg1からTgnは、各単量体の単独重合体のガラス転移温度(単位は絶対温度「K」)を示す。また絶対温度は、絶対温度「K」=セルシウス温度「℃」+273.15として計算する。
〈中空粒子の製造方法〉
次に、上記得られたポリマーエマルジョンを用いて、下記の工程〔I〕〜〔III〕を経由することにより内部が中空となるポリマー製のシェル部構造を有する中空粒子を製造することができる。
〔I〕上記(b)成分の曇点以上の温度かつ上記ポリマーのガラス転移温度より10℃低い温度以上で加熱する工程。
〔II〕室温に冷却する工程。
〔III〕加熱乾燥および真空乾燥の少なくとも一方をする工程。
上記〔I〕の加熱温度としては、常圧、加圧状態において曇点以上の温度であり、かつ、上記シェル部を構成するポリマーのガラス転移温度(Tg)より10℃低い温度以上であり、さらにTgより5℃低い温度以上、特にTg以上の温度であることが好ましい。また、加熱温度の上限値としては、Tg+50℃以下であることが好ましく、さらにTg+40℃以下、特にTg+30℃以下であることが好ましい。加熱温度が低すぎるとポリマーがガラス状態で膨張しにくい傾向があり、高すぎると粒子が融着し凝集物が生成する傾向がある。
上記〔I〕の加熱時間は、上記シェル部を構成するポリマーのTgおよび組成に影響されることはあるが、常圧の場合には5〜24時間加熱することが好ましく、さらに6〜20時間過熱することが好ましい。また、加圧(1Pa〜200kPa)の場合には30分〜2時間であることが好ましく、さらに40分〜1時間であることが好ましい。加熱時間が短すぎると、ポリマー粒子が充分に膨張しない傾向があり、長すぎるとポリマー粒子の膨張安定性が低下し、空隙率が低下する傾向がある。
上記〔II〕の室温に冷却するとは、例えば、25℃±10℃の室温において、上記〔I〕の工程において加熱されたポリマーエマルジョンを環境空気にさらすこと、加熱されたポリマーエマルジョンを冷却または冷凍された流体(これらに限定されるものではないが、液体、空気、窒素、酸素、またはその組合せ等)にさらすこと、加熱されたポリマーエマルジョンを温度制御されたチェンバー(チューブ、パイプ、若しくは導管、または浴等)に通すこと等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記〔III〕の乾燥工程としては、例えば、循風乾燥機、スプレードライヤー、流動層式乾燥機等を用いて加熱乾燥すること、また、真空乾燥機等を用いて真空乾燥すること等があげられる。加熱条件としては、例えば、循風乾燥機を用いた場合では30〜90℃の温度条件で3〜20時間加熱乾燥させることが好ましい。真空乾燥機を用いた場合では、10〜90℃の温度条件で3〜20時間加熱乾燥させることが好ましい。
ポリマーエマルジョンが上記〔I〕〜〔III〕の工程を経るとエマルジョン中のポリマー粒子の中空化が可能となる。この中空化メカニズムについて説明をすると次の通りである。上記〔I〕の加熱をすることにより、ポリマー粒子内部に内包されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル(b)が膨張してポリマーのシェル部が拡張される。その後、上記〔II〕の室温へ冷却することにより、シェル部は基本そのままに(b)成分が収縮する際に水を取り込むため、それによって(b)成分が希釈される。この際、シェル部内部の希釈された上記(b)成分と、シェル部外部の水成分との濃度勾配より、さらにシェル部内部の(b)成分が希釈されることになる。そして、上記〔III〕の乾燥により、シェル部内部の水成分が蒸発して、シェル部内部に空洞ができ、これによりポリマー製のシェル部内部が中空のポリマー粒子、すなわち中空粒子が得られるようになる。
また、上記乾燥により得られた中空粒子について、シェル部表面等に(b)成分の残部付着している可能性が高いことから、アルコール等の溶剤洗浄を行うことにより、目的とする中空粒子が得られるようになる。
〈中空粒子の物性〉
上記得られた中空粒子の空隙率は、好ましくは4〜70%であり、さらに6〜70%、特に8〜70%であることが好ましい。空隙率が高すぎるとシェルの厚みが薄くなり、粒子シェルの強度が低下し、粒子が壊れる可能性がある。
なお上記空隙率は、「透過型電子顕微鏡(TEM)により、100,000倍以上の倍率で複数個の中空粒子を観察し、SEM像の2値化画像処理によるシェル部と空間部の面積比から、混合膜の空隙率を算出し、その平均値を空隙率とする。」方法により測定することができる。
また、上記中空粒子は、空隙率が高いと隠蔽性(光の非透過性)等の光学特性において有利であるため空隙率が高いこと、およびそれと相関のある液中浮遊率が高いことも要求される。
そこで、上記中空粒子の液中浮遊率については、上記得られた中空粒子0.2gを1重量%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液20mLに配合したときの24時間後の中空粒子の浮遊率が40%以上であることが好ましい。その浮遊率がさらに40〜100%、特に50〜100%、殊に70〜100%であることが好ましい。かかる液中浮遊率が低すぎると空隙率が低下する傾向がある。
本発明の中空粒子は、従来に比べ、(b)成分等の化合物を充分な量を内包するポリマー粒子を含有するポリマーエマルジョンを製造し、それを用いて加熱、冷却、乾燥することにより中空化することから、従来に比べ、高い空隙率を有する中空粒子が得られる。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」は、重量基準を意味する。
〔実施例1〕
〈ポリマーエマルジョンの製造〉
スチレン100部に界面活性剤A(b)としてポリオキシエチレンオレイルエーテル〔花王社製、「エマルゲン409PV」(アルキル基の炭素数18、曇点55℃)〕10部が溶解した溶液を準備した。そして、反応容器に脱イオン水360部に、界面活性剤Dとしてポリオキシエチレンラウリルエーテル〔花王社製、「エマルゲン150」:(アルキル基の炭素数12、曇点>100℃)〕1部を溶解させ、70℃に昇温した。この中に先に準備した溶液を配合し、さらに重合開始剤αとして3%過硫酸カリウム水溶液66.7部を配合して重合を開始した。重合中は内温70℃を維持し、約24時間かけて重合を行った。
上記得られたポリマーエマルジョンの不揮発分〔SC;Solid Content(%)〕は21%であり、上記得られたポリマーエマルジョンのポリマーのTgは100℃であった。
〈中空粒子の製造〉
上記で得られたエマルジョン100部に同量の脱イオン水を加え、94℃で9時間撹拌を続け、加熱処理を行った。その後、加熱処理を行ったエマルジョンを室温(25℃)で放置冷却をして、遠心分離機にて固形分(ポリマー)と水溶液を分離した。そして、下記(1)および(2)の方法により2種の中空粒子を得た。
(1) 固形分を採取し、50℃で約24時間乾燥させて中空粒子を得た。
(2) 固形分を採取し、25℃のメタノール中で24時間撹拌させた後、固形分を同様に採取し、50℃で約24時間乾燥させて中空粒子を得た。
〔実施例2〕
実施例1の重合開始剤αを重合開始剤β(3%過硫酸アンモニウム水溶液)に変更した以外は、実施例1と同様に重合を行い、中空粒子を得た。結果は表1に記入した。
〔実施例3〕
実施例1の界面活性剤D(エマルゲン150)を使用しない以外は、実施例1と同様に重合を行い、中空粒子を得た。結果は表に記入した。
〔実施例4〕
実施例1の界面活性剤A(エマルゲン409PV)を1.25倍にした以外は、実施例1と同様に重合を行い、中空粒子を得た。結果は表に記入した。
〔比較例1〕
重合温度を界面活性剤Aの曇点より低い45℃にし、低温のため反応の活性を上げる必要から、重合開始剤は、重合開始剤α(3%過硫酸カリウム水溶液)66.7部と重合開始剤θ(3%亜硫酸水素ナトリウム水溶液)66.7部のレドックス反応にて行った。それ以外は、実施例1と同様にして重合を行った。この結果、急激な発熱があり、安定なエマルジョンが得られなかったことから、中空粒子も得られなかった。
なお、実施例1の重合温度を界面活性剤Aの曇点より低い45℃にした場合、重合開始剤が分解せず重合しなかったことから上記レドックス反応を用い重合を行った。
〔比較例2〕
比較例1にて、重合反応をマイルドにするため、スチレンモノマーのみを3時間かけて滴下して重合を行い、エマルジョンを得た。それ以外は実施例1と同様にして中空粒子を得た。なお、得られたエマルジョンの不揮発分(%)は19%であった。
〔比較例3〕
実施例1の界面活性剤A(エマルゲン409PV)を、界面活性剤Cのアルキル基の炭素数が14未満のポリオキシエチレンラウリルエーテル〔「エマルゲン108」(炭素数12、曇点40℃)〕に変更した以外は、実施例1と同様に重合を行い、中空粒子を得た。なお、得られたエマルジョンの不揮発分(%)は21%であった。
〔比較例4〕
実施例1の界面活性剤A(エマルゲン409PV)を、界面活性剤Bの炭素数14未満のポリオキシエチレンラウリルエーテル〔「エマルゲン109P」(アルキル基の炭素数12、曇点83℃)〕に変更した以外は、実施例1と同様に重合を行い、中空粒子を得た。なお、得られたエマルジョンの不揮発分(%)は21%であった。
<液中浮遊率>
上記得られた中空粒子について、下記の方法に従って液中浮遊率試験を行い、その結果を下記の表1に示す。
上記(1)および(2)の乾燥工程を経て得られた中空粒子について、30mLのガラス瓶に、上記中空粒子0.2gを計量し、約20mLの1%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液を加えた。1%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液を加えてから3日後の浮遊率を下記の評価基準に従って目視で判断した。上記(1)の乾燥工程を経たものを「浮遊率a」とし、上記(2)の乾燥工程を経たものを「浮遊率b」として下記の表1に併せて示した。
<評価基準>
浮遊率 80%以上100%以下:◎
浮遊率 50%以上80%未満 :○
浮遊率 20%以上50%未満 :△
浮遊率 20%未満 :×
Figure 2016008268
更に、実施例1と比較例4の中空粒子については、「透過型電子顕微鏡(TEM)により、100,000倍以上の倍率で複数個の中空粒子を観察し、SEM像の2値化画像処理によるシェル部と空間部の面積比から、混合膜の空隙率を算出し、その平均値を空隙率とする。」方法により、空隙率を測定した。その結果、実施例1では30%、比較例4では3%という結果を得た。
上記結果から、アルキル基の炭素数が14以上のポリオシアルキレンアルキルエーテル(b)を用いた実施例の中空粒子は、浮遊率aおよびbともに、ほとんどが液中に浮遊している状態であった。
これに対し、重合温度が(b)成分の曇点未満の比較例1,2においては、比較例1が急激な発熱により安定なエマルジョンが得られず、比較例2は浮遊率aおよびbともに×であり、中空粒子がほとんど沈殿している状態であった。
また、炭素数が14未満のポリオシアルキレンアルキルエーテルを用いた比較例3,4においても、浮遊率aおよびbは共に×もしくは△であり、中空粒子が液体中に沈降もしくは大半が沈降している状態であった。
上記比較例2〜4は、エマルジョンの際に、ポリマー粒子が充分な量のポリオキシアルキレンアルキルエーテル(b)を内包することができなかったことから、中空粒子とした際にも、充分な空隙率を得られなかったことに起因するものである。すなわち、実施例品の中空粒子の高い液中浮遊率は、中空粒子の空隙率の高さも示している。
本発明のポリマーエマルジョンの製造方法では、従来に比べ、充分な量の特定の化合物を内包するポリマー粒子を含有するポリマーエマルジョンを得ることが可能となり、これにより得られる中空粒子は、高い空隙率を有することから、例えば、塗料、被膜形成材料、シート形成材料、隠蔽材等の各種用途に用いるものとして有用である。

Claims (5)

  1. 下記(a)〜(d)成分を用いて、重合してなるポリマー粒子を含有するポリマーエマルジョンの製造方法であって、上記重合を、上記(b)成分の曇点以上の温度で行うことを特徴とするポリマーエマルジョンの製造方法。
    (a)モノマー。
    (b)アルキル基の炭素数が14以上のポリオキシアルキレンアルキルエーテル。
    (c)重合開始剤。
    (d)水。
  2. 請求項1記載の製造方法により得られるポリマーエマルジョンであって、上記(b)成分がポリマー製のシェル部で内包されたポリマー粒子が分散していることを特徴とするポリマーエマルジョン。
  3. 請求項2記載のポリマーエマルジョンを用いて、下記の工程〔I〕〜〔III〕を経由することにより内部が中空となるポリマー製のシェル部構造を有する中空粒子を製造することを特徴とする中空粒子の製造方法。
    〔I〕上記(b)成分の曇点以上の温度かつ上記ポリマーのガラス転移温度より10℃低い温度以上で加熱する工程。
    〔II〕室温に冷却する工程。
    〔III〕加熱乾燥および真空乾燥の少なくとも一方をする工程。
  4. 請求項3記載の中空粒子の製造方法によって得られることを特徴とする中空粒子。
  5. 請求項4記載の中空粒子0.2gを1重量%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液20mLに配合したときの24時間後の中空粒子の浮遊率が70%以上である請求項4記載の中空粒子。
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