JP2016007748A - 接着構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】常温のような比較的低い温度でも接着シートと被着体との接着性に優れている接着構造を提供することを課題とする。【解決手段】被着体と、前記被着体に積層された接着シートと、を備え、前記被着体と前記接着シートとの間には、前記被着体を構成する成分及び前記接着シートを構成する成分を含み、且つ、前記接着シートを構成する成分が硬化反応を起こして形成された硬化反応層を備える、接着構造を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、接着シートと被着体との接着構造に関する。
従来から部材同士を接着する方法として、接着剤による方法が広く採用されている。この種の接着剤としては、ホットメルト接着剤等が知られている(特許文献1等)。
ところで、接着剤は、接着領域からはみ出してしまうことがある。そのため、近年では、接着剤がシート状に形成されてなる接着シートが広く採用されている。このような接着シートを用いると、あらかじめ所定の形状に加工して接着領域を確定できるため、接着領域から接着剤がはみ出すのを抑制できる。
特開2007−66768号公報
しかしながら、従来の接着シートは、常温に近い温度での接着効果は十分ではなく、未だ改善の余地がある。また、接着シートを被着体に接着する際には、熱硬化やホットメルト接着等のような加熱プレス処理を必要とする場合が多いため、被着体に熱ダメージを与えるおそれがある。従って、常温に近い温度でも接着シートと被着体とを強固に接着可能な接着構造が求められている。
本発明は、上記問題点等に鑑みてなされたものであり、常温のような比較的低い温度でも接着シートと被着体との接着性に優れている接着構造を提供することを課題としている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、被着体と、前記被着体に積層された接着シートと、を備え、前記被着体と前記接着シートとの間には、前記被着体を構成する成分及び前記接着シートを構成する成分を含み、且つ、前記接着シートを構成する成分が硬化反応を起こして形成された硬化反応層を備える、接着構造を提供する。
本発明によれば、常温のような比較的低い温度でも接着シートと被着体との接着性に優れている接着構造が提供され得る。
図1は、本発明の一実施形態に係る接着構造の概略断面図である。 図2は、実施例3の接着構造の断面観察結果を示す図である。 図3は、比較例3の接着構造の断面観察結果を示す図である。 図4は、実施例3及び比較例3の接着構造の厚みと弾性率との関係を示す図である。
以下、本発明に係る接着構造の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
本実施形態に係る接着構造は、図1に示すように、被着体10と、前記被着体10に積層された接着シート20と、を備える。また、この接着構造は、被着体10と接着シート20との間には、前記被着体10を構成する成分及び前記接着シート20を構成する成分を含み、且つ、前記接着シート20を構成する成分が硬化反応を起こして形成された硬化反応層11を備える。本実施形態において、前記硬化反応層11は、前記接着シート20を構成する成分の一部が、前記被着体10の表層内に浸透、移行して硬化することにより形成されたものである。
本実施形態では、被着体10と接着シート20との間に硬化反応層11が形成されることによって、接着する際の温度が常温のような比較的低い温度でも接着シート20と被着体10との接着性に優れている接着構造が得られる。比較的低い温度でも接着シート20と被着体10との接着性に優れている接着構造が得られる理由は以下のように考えられる。
通常の界面接着では、接着シート20と被着体10との間に分子間力が働いて接着シート20と被着体10とが接着されている。一方、本実施形態では、接着シート20を構成する成分の一部が被着体10内に浸透、移行して硬化しているので、接着シート20と被着体10とが化学結合によって接着されている。
接着シート20と被着体10との接着界面を破壊する場合、つまり、接着シート20と被着体10とを剥離する場合、分子間力の切断に必要なエネルギーよりも、化学結合の切断あるいは分子の引き抜きに必要なエネルギーの方が大きいため、通常の分子間力を利用した界面接着よりも、本実施形態の化学結合を利用した接着構造の方が、接着シート20と被着体10との接着力が高いと考えられる。
このように本実施形態の接着構造は、通常の界面接着よりも接着シート20と被着体10とが強固に接着されている。また、本実施形態の接着構造は、接着シート20と被着体10とが強固に接着されているため、接着界面への水や電解質等の液体の侵入を抑制できると考えられる。従って、本実施形態の接着構造は、接着シート20と被着体10との接着性に優れるだけでなく、良好な耐水性を有すると考えられる。
以下、本実施形態の接着構造を構成する各層について詳細に説明する。
(接着シート)
本実施形態の接着シート20は、樹脂組成物で形成された接着剤層(以下、本実施形態の接着剤層ともいう。)を備える。
本実施形態の接着シート20を構成する接着剤層の厚みは、接着性の向上の観点から、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、10μm以上が特に好ましい。また、5000μm以下が好ましく、2000μm以下がより好ましく、1000μm以下が特に好ましい。
本実施形態の接着シート20を構成する接着剤層は、被着体10に対して3N/10mm以上の剥離強度を発揮することが好ましい。剥離強度は、後述の実施例に記載の方法によって求めることができる。
本実施形態の接着シート20を構成する接着剤層は、貯蔵弾性率が過小であると常温における接着力が発揮され難い。一方、前記貯蔵弾性率が過大であると被着体10に対する密着性が低下する傾向にあり、接着力が発揮され難くなる。
従って、前記接着剤層は、被着体10に対する常温(例えば23℃)における優れた接着性を発揮させ得る観点から、40℃における貯蔵弾性率(G’)が0.01MPa以上50MPa以下であることが好ましい。
この貯蔵弾性率については、下記のような条件での測定によって求められる。
<貯蔵弾性率(G’)の測定条件>
・使用機器:ティー・エー・インスツルメント・ジャパン社製、商品名「ARES−2 KFRT」
・測定モード:動的粘弾性の温度依存性試験、8mmパラレルプレートを使用
・測定温度範囲:30℃〜200℃
・昇温速度:10℃/min
・振動周波数:1Hz
・歪み:0.5%
本実施形態の接着シート20は、例えば、燃料電池用高分子電解質膜のシール材として用いることができる。燃料電池用高分子電解質膜とは、水素と酸素との反応により発電される燃料電池に用いられる高分子電解質膜である。
本実施形態の接着シート20の形態としては、本実施形態の接着剤層のみの単層構造であってもよいし、本実施形態の接着剤層以外に基材や他の接着剤層等をさらに含む多層構造であってもよい。本実施形態の接着剤層は、硬化反応層11を介して被着体10に接着される。
本実施形態の接着シート20が、本実施形態の接着剤層と基材とを含む多層構造である場合、前記基材としては、通常、樹脂組成物との親和性の良好な樹脂からなるフィルム状シートや前記樹脂からなる繊維シート等を用いることができる。なかでも、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂からなるフィルムや不織布で、且つ厚みが10μm以上200μm以下のものが前記基材の構成材料として好適である。このようなポリエステル系樹脂シートのみならず、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等の他の樹脂、シリコーンゴムやフッ素ゴム等のポリマーからなるポリマーシートを前記基材の構成材料として用いることも可能である。さらに、異なる材質のものがラミネートされてなるラミネートシートを前記基材の形成材料として採用してもよい。
前記基材は、単層であってもよいし、複数層であってもよい。
前記基材は、必要に応じて、帯電防止処理等の各種処理が施されていてもよい。
本実施形態の接着シート20を構成する接着剤層の表面は、剥離シートによって保護されていてもよい。剥離シートとしては特に限定されないが、プラスチックフィルム等が挙げられる。
本実施形態の接着シート20の全体の厚みとしては、特に限定されないが、成形性等の観点から、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、10μm以上が特に好ましい。また、5000μm以下が好ましく、2000μm以下がより好ましく、1000μm以下が特に好ましい。
本実施形態の接着シート20を構成する成分としての樹脂組成物、すなわち、接着剤層を形成する樹脂組成物は、硬化反応を起こす成分を含む。該成分は、被着体10の表層内に移行可能な成分を含むことが好ましい。また、該成分は、被着体10の表層内に移行する前は、未硬化の状態である。
前記被着体10の表層内に移行可能な成分の含有量は、接着性及び成形性の観点から、本実施形態の接着剤層を形成する樹脂組成物の固形成分中、1重量%以上が好ましく、5重量%以上がより好ましく、10重量%以上が特に好ましい。また、50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、30重量%以下が特に好ましい。前記含有量は、被着体10に積層される前の接着シート20(接着剤層)に含まれる含有量である。
前記被着体10の表層内に移行可能な成分の分子量は、100以上が好ましく、200以上がより好ましく、300以上が特に好ましい。また、10000以下が好ましく、5000以下がより好ましい。
前記被着体10の表層内に移行可能な成分は、酸を触媒として硬化反応を起こす成分を含有することが好ましい。該成分は、被着体10の表面に酸成分が存在する場合又は被着体10内に酸成分が含まれている場合、硬化反応層11内において、酸成分を触媒として硬化するため、硬化時間及び接着時間を短縮できる。
前記酸を触媒として硬化反応する成分としては、例えば、カチオン重合性化合物が挙げられる。前記カチオン重合性化合物は、常温下でも酸を触媒として開環重合して硬化反応を起こすので、常温接着性を向上できる。
前記カチオン重合性化合物としては、例えば、環状エーテル化合物が挙げられる。環状エーテル化合物は、エポキシ化合物及びオキセタン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
前記オキセタン化合物としては、例えば、東亜合成社製の“アロンオキセタンOXT-101”等の3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン;東亜合成社製の“アロンオキセタンOXT-212”等の2−エチルヘキシルオキセタン;東亜合成社製の“アロンオキセタンOXT−121”等のキシリレンビスオキセタン;東亜合成社製の“アロンオキセタンOXT-221”等の3−エチル−3{[3−エチルオキセタン−3−イル]メトキシ]オキセタン;等が挙げられる。
前記エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂が挙げられる。
前記エポキシ樹脂は、前記接着剤層を形成する樹脂組成物にタック性を発揮させるのに有効な成分である。
前記エポキシ樹脂は、樹脂組成物へのタック性や靭性の付与、及び、優れた耐湿熱性の付与に有効である点においてビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましく、なかでも日本工業規格(JIS)K 7234の環球法によって求められる軟化点が130℃以上150℃以下のビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。
前記エポキシ樹脂は、分子量が3000〜5000でJIS K 7236により求められるエポキシ当量が2000〜3500g/eqであることが好ましい。
前記エポキシ樹脂は、硬化反応層が形成される前において、少なくとも一部のエポキシ基を開環させない状態(未反応な状態)で樹脂組成物に含有されていることが好ましい。この場合、接着剤層の形成に用いられている樹脂組成物が湿熱劣化して接着力や引張強度等の物性が低下することをエポキシ基の存在によって抑制できる。
なお、エポキシ基が開環されずに残存していることは、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)を用いて確認することができ、具体的には、エポキシ基の存在を示すピークが925〜899cm−1に現れることで確認することができる。
また、925〜899cm−1に現れるピークがエポキシ基によるものかどうかについて確認が必要であれば、その樹脂組成物をエポキシ樹脂の軟化点以上に加熱した後に改めてFTIRによる測定を実施すれば良く、当該ピーク高さと、3650〜3140cm−1に現れる水酸基によるピーク高さとが関連して変化することで前記ピークがエポキシ基によるものであると確認することができる。
本実施形態の接着剤層を形成している前記樹脂組成物は、上記したような前記被着体10の表層内に移行可能な成分以外に、ポリエステル系樹脂;アクリル系樹脂;スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)等のゴム系樹脂;ポリウレタン系樹脂;等を主成分樹脂として含むことが好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、結晶性ポリエステル樹脂等が挙げられる。
前記結晶性ポリエステル樹脂としては、多価カルボン酸とポリオールとを脱水縮合させてなるものを採用することができる。前記樹脂組成物が、一部のエポキシ基が開環されていない状態(未反応な状態)のエポキシ樹脂を含有している場合、結晶性ポリエステル樹脂が加水分解されて分子末端に水酸基やカルボキシル基を有する短鎖なものとなったときに、これらに前記未反応なエポキシ基を反応させて再び長鎖化させることができる。これにより、接着剤層を形成する樹脂組成物が湿熱劣化して接着力や引張強度等の物性が低下するのを抑制できる。
本明細書において、結晶性ポリエステル樹脂とは、多価カルボン酸とポリオールとを含むポリエステルのうち、示差走査熱量(DSC)分析による測定において、結晶化に由来するピーク又は/及び結晶融解に由来するピークを示すポリエステルをいう。一方、非晶性ポリエステル樹脂とは、DSC分析による測定によって結晶化に由来するピーク及び結晶融解に由来するピークを示さない樹脂いう。
従って、ポリエステル樹脂が結晶性ポリエステル樹脂か非晶性ポリエステル樹脂かを判別する必要がある場合には、DSC分析により結晶化に由来するピーク及び結晶融解に由来するピークを確認することにより判別できる。
前記結晶性ポリエステル樹脂を構成する前記多価カルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;p−オキシ安息香酸、p−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸等の芳香族オキシカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸;テトラヒドロフタル酸等の不飽和脂環族ジカルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等のトリカルボン酸が挙げられる。
前記結晶性ポリエステル樹脂を構成する前記ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等の脂肪族グリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のオリゴアルキレングリコール;1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレンエーテルグリコール;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等のトリオール;ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物やプロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物やプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
前記結晶性ポリエステル樹脂は、その結晶領域においてはアモルファス領域に比べて分子鎖が水による攻撃を受け難く、加水分解等による劣化が生じにくいと考えられる。従って、前記結晶性ポリエステル樹脂としては、融点が高く、結晶化度が高い方が接着剤層の耐湿熱性を向上できる傾向にある。
その一方で、本実施形態の接着剤層を形成している樹脂組成物の主成分樹脂たる結晶性ポリエステル樹脂を過度に結晶化度が高い高融点なものとすると、良好な常温接着性を有する接着剤層が得られにくくなる傾向にある。
従って、接着剤層の耐湿熱性や常温接着性を向上させる観点から、前記結晶性ポリエステル樹脂は、融点が90℃を超え150℃未満であることが好ましく、融点が100℃を超え140℃未満であることがより好ましく、105℃を超え130℃未満であることが特に好ましい。
また、前記結晶性ポリエステル樹脂は、そのガラス転移温度(以下、「Tg」ともいう)が、−100℃以上30℃以下の範囲にあることが好ましく、−80℃以上−20℃以下の範囲にあることが更に好ましい。
上記の範囲内のTgを有する結晶性ポリエステル樹脂を前記樹脂組成物の主成分樹脂として採用することにより、上記範囲外のTgを有する結晶性ポリエステル樹脂を用いる場合に比べて接着剤層によりゴム弾性を発揮させることができ、凝集力を向上させて優れた接着性を発揮させ得る。
本実施形態において、結晶性ポリエステル樹脂のTgを30℃以下とすることにより、耐寒性に優れた接着剤層を形成させ得る。
また、本実施形態において、Tgが30℃以下の結晶性ポリエステル樹脂を前記樹脂組成物の主成分樹脂とすることにより、接着剤層の常温接着性を良好なものとし得る。
このような好適な結晶性ポリエステル樹脂を接着剤層に含有させた場合には、本実施形態の接着シート20はシール材に適したものとすることができる。例えば、本実施形態の接着シート20を使って燃料電池用高分子電解質膜の周囲をシールする際に前記高分子電解質膜に熱ダメージを与えるおそれを抑制しつつ確実なシールを施すことができる。
また、本実施形態において、Tgが−100℃以上の結晶性ポリエステル樹脂を前記樹脂組成物の主成分樹脂として採用することにより、接着剤層が柔軟になり過ぎることを抑制させることができる。
しかも、上記のような結晶性ポリエステル樹脂を採用することで樹脂組成物全体としての軟化温度が低くなり過ぎることを抑制させることができるため、接着剤層に高い接着強度を発揮させ得る。
本明細書において、前記融点や前記ガラス転移温度(Tg)は、例えば、DSC分析装置を用いて測定することができる。
より具体的には、予測される融点やガラス転移温度よりも30K以上低い温度から30K以上高い温度までの間、窒素ガスを流しながら5℃/minの昇温速度で試料(結晶性ポリエステル樹脂)を昇温させた際に得られるDSC曲線から融点やガラス転移温度を求めることができる。
ガラス転移温度(Tg)については、JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」に記載されている方法に基づいて求めることができる。
結晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量は、10000〜50000であることが好ましい。前記樹脂組成物の主成分樹脂たる結晶性ポリエステル樹脂がこのような分子量であることが好ましいのは、結晶性ポリエステル樹脂の分子量を10000以上とすることにより、接着剤層が脆くなるおそれを抑制させることができ、接着剤層に優れた靱性を発揮させ得るためである。一方で、結晶性ポリエステル樹脂として数平均分子量が50000以下のものを採用することにより、接着剤層を常温接着性に優れたものとすることができる。
即ち、このような結晶性ポリエステル樹脂を採用することで、接着シートを、被着体に熱ダメージを与えるおそれが低く且つ優れた接着性、シール性を発揮可能なものとすることができる。
本明細書において、結晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるスチレン換算値として求めることができる。
上記のような特性を示す結晶性ポリエステル樹脂としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ブタンジオール、及び、ポリオキシテトラメチレングリコールを反応させてなるものが好適である。なかでも、テレフタル酸が25〜40moL%、イソフタル酸が10〜20moL%、ブタンジオールが35〜50moL%、平均繰り返し数が10〜20のポリオキシテトラメチレングリコールが5〜15moL%の割合で構成されている結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
前記結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、接着性の観点から、樹脂組成物の固形成分中、50重量%以上が好ましく、60重量%以上がより好ましく、70重量%以上が特に好ましい。
本実施形態の接着剤層を形成している樹脂組成物は、結晶性ポリエステル樹脂、及び、被着体10に移行可能な成分以外に、イソシアネート系架橋剤をさらに含有していてもよい。この場合、前記樹脂組成物には、イソシアネート系架橋剤によって架橋された状態で前記結晶性ポリエステル樹脂が含有されている。本実施形態の接着剤層を形成する樹脂組成物は、イソシアネート系架橋剤を含有することで、接着シート20の耐湿熱性を向上できる。
前記イソシアネート系架橋剤は、結晶性ポリエステル樹脂が有する水酸基等の極性基との反応性を有するものを用いることができ、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等の脂肪族イソシアネートや、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)等の芳香族イソシアネートを挙げることができる。
前記イソシアネート系架橋剤としては、キシリレンジイソシアネートが好ましく、該イソシアネート系架橋剤の配合割合は、前記結晶性ポリエステル樹脂100重量部に対して、1重量部以上12重量部以下が好ましく、2重量部以上8重量部以下がより好ましい。
本実施形態の接着剤層を形成する樹脂組成物には、上記に示した樹脂成分以外の樹脂成分を本実施形態の効果を著しく損ねない範囲において含有させることができる。例えば、さらなる常温接着性を付与するため、テルペン系樹脂等の粘着性付与剤を添加することができる。
また、本実施形態の接着剤層を形成する樹脂組成物には、老化防止剤、酸化防止剤、難燃剤、充填剤、着色剤、加工助剤等といった一般的なプラスチック配合剤を本実施形態の効果を損ねない範囲において適宜含有させることができる。
なかでも、樹脂組成物の凝集力を向上させるとともに水蒸気バリア性やガスバリア性を向上させる観点から、板状鉱物粒子のような無機充填剤を含有させることが好ましい。特に、平均粒子径(レーザー回折法によるメジアン径)が1〜10μmのタルク粉末は、安価に入手可能である点において好適である。
また、樹脂組成物に含有させるタルク粉末は、脂肪酸やシランカップリング剤等によって表面処理されたものであってもよいが、その表面の官能基を利用して樹脂組成物の凝集力を向上させる観点から、無処理のものを用いることが好ましい。
このタルク粉末を樹脂組成物に含有させる場合には、タルク粉末の含有量は、結晶性ポリエステル樹脂100重量部に対して、10重量部以上50重量部以下が好ましく、20重量部以上30重量部以下がより好ましい。
本実施形態の接着シート20は、例えば、前記樹脂組成物を適宜溶剤に溶解又は分散させて塗工液を調製し、該塗工液を基材上に塗布し、80℃〜150℃の温度範囲で1〜10分間乾燥することにより得られる。前記塗工液を塗布する方法としては、ダイコート法、ロールコート法等の公知のコーティング方法が挙げられる。
(被着体)
本実施形態の被着体10は、上述したように、硬化反応層11を備える。
前記硬化反応層11の厚みは、接着性の観点から、1nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましく、10nm以上が特に好ましい。また、接着性の観点から、5000nm以下が好ましく、1000nm以下がより好ましく、500nm以下が特に好ましい。硬化反応層の厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた断面観察により測定することができる。
本実施形態の被着体10は、接着シート20を構成する成分の一部が移行できるものであれば特に限定されず、例えば、高分子電解質膜、燃料電池用高分子電解質膜が挙げられる。
前記高分子電解質膜としては、具体的には、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂製の高分子電解質膜が挙げられる。パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂製の高分子電解質膜としては、例えば、デュポン社製の商品名「ナフィオン」が用いられてなるもの、旭化成社製の商品名「フレミオン」が用いられてなるもの、旭硝子社製の商品名「アシプレックス」が用いられてなるものを挙げることができる。
前記パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂は、例えば、以下の式(1)に示されるポリマー構造を有する樹脂である。式(1)におけるm、nおよびxについて、例えば、前記の「ナフィオン」では、m≧1、n=2、x=5〜13.5であり、「アシプレックス」では、m=0,1、n=2〜5、x=1.5〜14であり、「フレミオン」では、m=0,1、n=1〜5である。
本実施形態において、前記被着体10の表面に酸成分が存在することが好ましい。接着シート20から前記被着体10の表層内に移行する成分が酸を触媒として硬化反応を起こす成分を含む場合、接着シート20と被着体10とを積層した際に、被着体10の表面に存在する酸成分によって前記硬化反応を促進できる。
前記酸成分としては、酸性基を含む化合物が挙げられる。酸性基を含む化合物としては、例えば、イオン性基含有ポリフェニレンオキシド、イオン性基含有ポリエーテルケトン、イオン性基含有ポリエーテルエーテルケトン、イオン性基含有ポリエーテルスルホン、イオン性基含有ポリエーテルエーテルスルホン、イオン性基含有ポリエーテルホスフィンオキシド、イオン性基含有ポリエーテルエーテルホスフィンオキシド、イオン性基含有ポリフェニレンスルフィド、イオン性基含有ポリアミド、イオン性基含有ポリイミド、イオン性基含有ポリエーテルイミド、イオン性基含有ポリイミダゾール、イオン性基含有ポリオキサゾール、イオン性基含有ポリフェニレン、イオン性基含有ポリアゾメチン、イオン性基含有ポリイミドアゾメチン、イオン性基含有ポリスチレン、イオン性基含有スチレン−マレイミド系架橋共重合体等のイオン性基含有ポリオレフィン高分子及びその架橋体等のイオン性基を含有する芳香族炭化水素系高分子が挙げられる。
前記イオン性基としては、カチオン重合を引き起こすことができるものであれば特に限定されないが、例えば、硫酸イオン(SO −2)、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CFSO )、テトラフルオロボレート(BF )、ヘキサフルオロホスフェート(PF )、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF )、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[(C)]等が挙げられる。
前記イオン性基を含有する芳香族炭化水素系高分子としては、具体的には、旭硝子社製の商品名「セレミオン」等が挙げられる。
本実施形態の被着体10は、必要に応じて、帯電防止剤、フィラー等を含有していてもよい。
本実施形態の接着構造は、被着体10と接着シート20とを積層することにより作製される。被着体10と接着シート20とを積層する際の温度は、常温(例えば、室温程度)でもよいし、常温よりも高い温度でもよい。積層に際しては、被着体10と接着シート20とを重ね合わせて、これら積層体を圧接してもよい。積層体にかける圧力は、低圧力であってもよいし、高圧力であってもよい。
なお、本発明に係る接着構造は、上記実施形態に限定されるものではない。また、本発明に係る接着構造は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に指摘がない限り、下記において「部」は、「重量部」を意味する。
(実施例1)
[フィルム基材]
フィルム基材として、25μm厚みのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製)を用いた。
[被着体]
被着体として、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ[2−(フルオスルホニルエトキシ)プロビルビニルエーテル]共重合体膜(デュポン社製、商品名“NAFION N−115”)を用いた。
[接着シート用ワニスの作製]
攪拌翼付きメカニカルスターラーと冷却管を取り付けた4つ口フラスコに、1,3−ジオキソラン:350部と、結晶性ポリエステル樹脂(東洋紡社製、商品名“バイロンGM920”):100部とを投入し、60℃の温度条件下で攪拌した。1時間攪拌した後、エポキシ樹脂(三菱化学社製、商品名“JER1003”):15部と、エポキシ樹脂(三菱化学社製、商品名“JER1004”):10部とをさらに添加して1時間攪拌した。そして、充填剤(タルク、富士タルク工業社製、商品名“LMS−200”):25部をさらに添加して30分間攪拌した。その後、イソシアネート系架橋剤(三井武田ケミカル社製、商品名“タケネートD−110N”):8部をさらに添加して10分間攪拌し、接着シート用ワニスAを得た。
[接着シートの作製]
接着シート用ワニスAを真空引きして脱泡した後、アプリケーターを用いてフィルム基材上に塗布し、120℃で4分間乾燥した。これにより、厚み20μmの接着剤層を備えた接着シートを得た。
[接着構造の作製]
接着シートの接着剤層側の面を被着体に積層した積層体を圧接することにより貼り付けた。貼り付け条件は、常温(23℃)にて重さ2kgのローラで1往復とした。その後、常温(23℃)で60分間放置することにより、実施例1の接着構造を得た。
(実施例2)
充填剤を添加しなかったこと以外、上記実施例1と同様にして、接着シート用ワニスBを得た。そして、接着シート用ワニスBを用いたこと以外、上記実施例1と同様にして、実施例2の接着構造を得た。
(実施例3)
充填剤及び架橋剤を添加しなかったこと以外、上記実施例1と同様にして、接着シート用ワニスCを得た。そして、接着シート用ワニスCを用いたこと以外、上記実施例1と同様にして、実施例3の接着構造を得た。
(実施例4)
[アクリル系樹脂の合成]
冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌機を備えたフラスコ内に、重合開始剤としての2,2´−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジハイドロクロライド:0.279gと、イオン交換水:100gとを投入し、窒素ガスを導入しながら1時間攪拌した。そして、フラスコを60℃に保温した。
また、ブチルアクリレート(アクリル酸n−ブチル)(BA):66部、アクリロニトリル(AN):29部、アクリル酸(AA):5部、連鎖移動剤としての1−ドデカンチオール:0.04部、及び乳化剤としてのポリエキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム:2部をイオン交換水:41部に添加して乳化し、モノマー原料のエマルジョンを得た。
そして、上記フラスコ内に上記モノマー原料のエマルジョン400gを3時間かけて徐々に滴下し、乳化重合反応を進行させた。モノマー原料のエマルジョンの滴下終了後、フラスコをさらに3時間、60℃で保温し、熟成させた。このようにして重合したアクリル系樹脂の水分散液(エマルジョン)を乾燥し、アクリル系樹脂を得た。得られたアクリル系樹脂の重量平均分子量は100万であった。
[接着シート用ワニスの作製]
攪拌翼付きメカニカルスターラーと冷却管を取り付けた4つ口フラスコに、酢酸エチル:350部と、上記アクリル系樹脂:100部とを投入し、60℃の温度条件下で攪拌した。1時間攪拌した後、エポキシ樹脂(三菱化学社製、商品名“JER1003”):15部と、エポキシ樹脂(三菱化学社製、商品名“JER1004”):10部とをさらに添加した後、1時間攪拌し、接着シート用ワニスDを得た。
[接着構造の作製]
接着シート用ワニスDを用いたこと以外、上記実施例1と同様にして実施例4の接着構造を得た。
(実施例5)
[接着シート用ワニスの作製]
攪拌翼付きメカニカルスターラーと冷却管を取り付けた4つ口フラスコに、トルエン:350部と、SEBS樹脂(旭化成ケミカルズ社製、商品名“タフテックH1041”):100部とを投入し、60℃の温度条件下で攪拌した。1時間攪拌した後、エポキシ樹脂(三菱化学社製、商品名“JER1003”):15部と、エポキシ樹脂(三菱化学社製、商品名“JER1004”):10部とをさらに添加した後、1時間攪拌し、接着シート用ワニスEを得た。
[接着構造の作製]
接着シート用ワニスEを用いたこと以外、上記実施例1と同様にして実施例5の接着構造を得た。
(実施例6)
エポキシ樹脂の代わりに、オキセタン樹脂(東亜合成社製、商品名“アロンオキセタンOXT−221”):25部を添加したこと以外、上記実施例1と同様にして接着シート用ワニスFを作製した。そして、接着シート用ワニスFを用いたこと以外、上記実施例1と同様にして、実施例6の接着構造を得た。
(比較例1)
エポキシ樹脂を添加しなかったこと以外、上記実施例1と同様にして接着シート用ワニスGを作製した。そして、接着シート用ワニスGを用いたこと以外、上記実施例1と同様にして、比較例1の接着構造を得た。
(比較例2)
エポキシ樹脂、及び充填剤を添加しなかったこと以外、上記実施例1と同様にして接着シート用ワニスHを作製した。そして、接着シート用ワニスHを用いたこと以外、上記実施例1と同様にして、比較例2の接着構造を得た。
(比較例3)
エポキシ樹脂、充填剤、及びイソシアネート系架橋剤を添加しなかったこと以外、上記実施例1と同様にして接着シート用ワニスIを作製した。そして、接着シート用ワニスIを用いたこと以外、上記実施例1と同様にして、比較例2の接着構造を得た。
(比較例4)
エポキシ樹脂を添加しなかったこと以外、上記実施例4と同様にして、接着シート用ワニスJを得た。そして、接着シート用ワニスJを用いたこと以外、上記実施例1と同様にして、比較例4の接着構造を得た。
(比較例5)
エポキシ樹脂を添加しなかったこと以外、上記実施例5と同様にして、接着シート用ワニスKを得た。そして、接着シート用ワニスKを用いたこと以外、上記実施例1と同様にして、比較例5の接着構造を得た。
(比較例6)
被着体として、東レ社製のPETフィルム“ルミラーS10”(厚み100μm)を用いたこと以外、実施例3と同様にして、比較例6の接着構造を得た。
上記実施例1〜6及び上記比較例1〜6の接着構造について下記の評価を行った。
(常温接着性)
接着構造を長さ100mm×幅10mmに切断して試料とした。この試料の被着体側の面を両面テープでステンレス板に貼り付けた。貼り付けてから60分間後、オートグラフ(島津製作所社製の“AG−X”)を用いて接着シートを被着体から剥離し、剥離強度(N/10mm)を測定した。測定数値が高いほど、接着力が高いと評価できる。剥離条件は、引張速度は10mm/分、剥離角度は180度であった。
(耐水性)
熱水接着試験によって接着構造の耐水性を評価した。まず、接着構造を長さ100mm×幅10mmに切断して試料とした。この試料を90℃の水に5時間浸漬させた後、水を拭き取って、接着シートと被着体との剥がれの有無を目視により確認し、接着力を評価した。剥離が全く見られなかった場合は、接着力が高く耐水性が良好であると判断し、表1及び表2では「A」と表記した。剥離が確認された場合は、接着力が低く耐水性が良好ではないと判断し、表1及び表2では「B」と表記した。
上記評価結果を表1及び表2に示した。
以上の結果からも、実施例1〜6によれば、常温においても接着シートと被着体との接着性に優れている接着構造が得られることが分かった。また、実施例1〜6の接着構造は良好な耐水性を有することも分かった。
また、硬化反応層が形成されているか否かは次のようにしても確認することができた。ここでは、実施例3及び比較例3についてのみ評価した。
(TEMを用いた断面観察)
凍結超薄切片法によって接着構造の断面作製を行い、Os(オスミウム)、Ru(ルテニウム)を含む重金属染色(オスミウム染色及びルテニウム染色)を行った。そして、日立社製のTEM“H−7650”を用いて接着構造の断面観察を行った。硬化反応層は重金属染色により強く染色されるため、TEMを用いて断面観察した際に低輝度層が確認された場合、該低輝度層が硬化反応層であると判断することができる。なお、直接倍率は3000倍とした。
図2に、実施例3の接着構造の断面観察結果を示し、図3に、比較例3の接着構造の断面観察結果を示した。実施例3の接着構造では、図2に示すように、低輝度層が確認されたので、硬化反応層が形成されていると判断した。硬化反応層の厚みは、60μmであった。一方、比較例3の接着構造では、図3に示すように、低輝度層は確認されなかったので、硬化反応層は形成されていないと判断した。
(弾性率)
まず、接着構造の断面を上にしてAFM(原子間力顕微鏡)専用のサンプル固定台に固定し、アサイラムテクノロジー社製のAFM“MEP−3D-SA-J”とオリンパス社製のカンチレバー“OMCL-AC240TS-C3”(材質:Si、ばね定数:1N/m)を用い、15nm間隔で接着シートと被着体の界面に対して垂直方向にContactモードにおけるフォースカーブを測定した。測定条件は、カンチレバーの移動速度:4μm/秒、最大押し込み荷重:100nNとした。
そして、フォースカーブから得られたForce-Ind曲線からAFM装置付属のソフトIgropro6.22A MFP3D101010+1313に付属のHertzの理論に基づいた解析を行わせることにより、弾性率を求めた。なお、Tip Geometry=Sphere、Radius=10nm、Select=Fused Sillica、νTip=0.17、ETip=74.9GPa、νSample=0.33、ForceタブのLow=10%、ForceタブのHigh=90%で計算した。
図4に、実施例3及び比較例3の接着構造の厚みと弾性率との関係を示した。図4において、測定位置450nm〜550nmの付近が、各接着構造の接着界面近傍に該当する。図4から分かるように、実施例3では、接着界面近傍(450nm〜550nm)において、比較例3よりも弾性率が高くなっていた。この弾性率が増大する現象は、実施例3で硬化反応層が形成されていることを示していると考えられる。
10 被着体
11 硬化反応層
20 接着シート

Claims (12)

  1. 被着体と、
    前記被着体に積層された接着シートと、を備え、
    前記被着体と前記接着シートとの間には、前記被着体を構成する成分及び前記接着シートを構成する成分を含み、且つ、前記接着シートを構成する成分が硬化反応を起こして形成された硬化反応層を備える、接着構造。
  2. 前記硬化反応層は、前記接着シートを構成する成分の一部が、前記被着体の表層内に移行して硬化することにより形成されたものである、請求項1に記載の接着構造。
  3. 前記接着シートから前記被着体の表層内に移行する成分は、酸を触媒として硬化反応を起こす成分を含有する、請求項2に記載の接着構造。
  4. 前記酸を触媒として硬化反応を起こす成分が、カチオン重合性化合物である、請求項3に記載の接着構造。
  5. 前記カチオン重合性化合物は、環状エーテル化合物を含む、請求項4に記載の接着構造。
  6. 前記環状エーテル化合物は、エポキシ化合物及びオキセタン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つである、請求項5に記載の接着構造。
  7. 前記被着体の表面に酸成分が存在する、請求項1から6のいずれか1項に記載の接着構造。
  8. 前記酸成分は、酸性基を含む化合物である、請求項7に記載の接着構造。
  9. 前記硬化反応層の厚みは、1nm以上5000nm以下である、請求項1から8のいずれか1項に記載の接着構造。
  10. 前記被着体は高分子電解質膜である、請求項1から9のいずれか1項に記載の接着構造。
  11. 前記被着体は、燃料電池用高分子電解質膜であり、
    前記接着シートは、前記燃料電池用高分子電解質膜のシール材である、請求項10に記載の接着構造。
  12. 前記接着シートは、硬化反応を起こす成分を含む接着剤層と、基材とを備え、
    前記接着剤層は、前記硬化反応層を介して前記被着体に接着される、請求項1から11のいずれか1項に記載の接着構造。
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