JP2016004647A - リチウム空気電池の負極複合体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 負極複合体内部の電解質の液漏れを防いで、電解質を注液するタイミングに自由度を与え、さらに負極複合体内部の気泡を効率的に除去できるリチウム空気電池の負極複合体およびその製造方法を提供する。【解決手段】 リチウム空気電池の負極複合体1は、負極集電体2と、金属リチウム、リチウムを主成分とする合金およびリチウムを主成分とする化合物からなる群より選択される少なくとも一つの負極層3、3と、電解質4と、少なくとも負極電体2、負極層3、3および電解質4を包囲する容器5と、容器5に挿通された樹脂、エラストマーまたはゴムからなるチューブ7とを少なくとも備えている。【選択図】 図1
Description
本発明は、リチウム空気電池の負極複合体およびその製造方法に関する。
従来、負極活物質として金属リチウムを主成分とする合金またはリチウムを主成分とする化合物を用いたリチウム空気電池が知られている。このようなリチウム空気電池は、電解質の種類に着目すると、水溶液系電解質および非水系電解質のリチウム空気電池の2つに大別されている。非水系電解質のリチウム空気電池は、空気極以外についてリチウムイオン電池の技術を利用できるため、研究開発の主流となっている。
他方で、未だ少数ではあるが、水溶液系電解質のリチウム空気電池の研究開発も進められてきている。水溶液系電解質のリチウム空気電池は、非水系電解質のリチウム空気電池に比べて空気中の水分の影響を受けず、電解質が安価かつ不燃である等の長所がある。しかしながら、負極活物質である金属リチウムは、直接酸素や水に接触すると反応してしまう。そこで、水溶液系電解質のリチウム空気電池には、金属リチウムを大気や水溶液から保護するために、リチウムイオン伝導性固体電解質等の保護層を設けられている。
このようなリチウム空気電池としては、板形状の金属リチウムの一面にポリマー電解質の緩衝層を形成し、ポリマー電解質の緩衝層の一面を、リチウムイオン伝導性(リチウムイオン電導性、リチウムイオン導電性とも表記する。)を有する耐水層としてのガラスセラミックスで覆った負極複合体を備えるリチウム空気電池が知られている(例えば、特許文献1および非特許文献1参照。)。
武田保雄、今西誠之、山本治、「水溶液系リチウム/空気電池の現状と課題」、GS Yuasa Technical Report、2010年6月、第7巻、第1号、p.1−6
しかし、リチウム空気電池の負極複合体については、電解質の液漏れ、電解質を注入するタイミングの自由度および負極複合体内部の気泡の除去について、改善すべき問題がある。
前記課題に照らして、本発明は、負極複合体内部の電解質の液漏れを防いで、電解質を注液するタイミングに自由度を与え、さらに負極複合体内部の気泡を効率的に除去できるリチウム空気電池の負極複合体およびその製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明に係るリチウム空気電池の負極複合体は、負極集電体と、金属リチウム、リチウムを主成分とする合金およびリチウムを主成分とする化合物からなる群より選択される少なくとも一つの負極層と、電解質と、少なくとも前記負極集電体、前記負極層および前記電解質を包囲する容器と、前記容器に挿通された樹脂、エラストマーまたはゴムからなるチューブとを少なくとも備えている。
また、本発明は別の側面からリチウム空気電池の負極複合体の製造方法である。本発明に係る負極複合体の製造方法は、前記負極複合体を製造するために、前記チューブにより前記容器の内部に前記電解質を注液する工程と、前記チューブを封止する工程とを少なくとも備えている。
本発明によれば、負極複合体内部の電解質の液漏れを防いで、電解質を注液するタイミングに自由度を与え、さらに負極複合体内部の気泡を効率的に除去できるリチウム空気電池の負極複合体およびその製造方法を得ることができる。
[第一実施の形態]
本発明に係るリチウム空気電池の負極複合体の第一実施の形態について図面を参照して説明する。
本発明に係るリチウム空気電池の負極複合体の第一実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係るリチウム空気電池の負極複合体の第一実施の形態を示す概略的な断面図である。図1に示すように、負極複合体1は、負極集電体2と、2つの負極層3、3と、電解質4と、容器5と、チューブ7と、2つのガスケット8、8と、外周封止部材9と、を少なくとも備えている。
負極集電体2は、板状または線状の部材であり、負極集電体2の一部(本体部ともいう。)が2つの負極層3、3で挟み込まれている。また、負極集電体2の本体部以外の一部は、チューブ7で包まれており、さらにチューブ7の外部に延出するように構成されている。負極集電体2の材料としては、リチウム空気電池の動作範囲で安定して存在でき、所望とする導電性を有する材料であればよい。負極集電体2としては、例えば、銅、ニッケル等を挙げることができる。
2つの負極層3、3は、同一または略同一の四角形の平板形状を呈する部材である。
負極層3、3は、負極複合体1内部にある負極集電体2の本体部を挟み込んだまま、負極集電体2と接合されるように構成されている。これにより、負極層3、3と負極集電体2の本体部とが電気的に接続されることになる。これをさらに例示すると、2つの負極層3、3は、負極集電体2を構成する銅箔の両面に張り合わされている。なお、負極層3、3は、電池容量に応じてその厚さ及び面積を変更することができる。
負極層3、3は、負極複合体1内部にある負極集電体2の本体部を挟み込んだまま、負極集電体2と接合されるように構成されている。これにより、負極層3、3と負極集電体2の本体部とが電気的に接続されることになる。これをさらに例示すると、2つの負極層3、3は、負極集電体2を構成する銅箔の両面に張り合わされている。なお、負極層3、3は、電池容量に応じてその厚さ及び面積を変更することができる。
負極層3、3は、金属リチウム、リチウムを主成分とする合金、またはリチウムを主成分とする化合物からなる群より選択される少なくとも一つからなる。これらのうち、負極層3、3は、金属リチウム製であることが望ましい。前記リチウムを主成分とする合金としては、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、銀、金、亜鉛等が挙げられる。また、前記リチウムを主成分とする化合物としては、Li3−xMxN(M=Co、Cu、Ni)等が挙げられる。
電解質4、負極複合体1の内部に備えられた非水系電解質であり、2つの負極層3、3および容器5と少なくとも接している。電解質4は、容器5を挿通して負極複合体1の内部に延出したチューブ7の一部およびチューブ7から突出して負極複合体1内部の負極集電体2の一部とも接触している。
電解質4を構成する非水電解質としては、リチウムイオン伝導性を有する有機電解液(以下、有機電解質ともいう。)が挙げられる。前記有機電解液としてはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等またはこれらの2つ以上からなる混合溶液を用いることができる。また、電気化学的特性を向上させるため、さらに、LiPF6(ヘキサフルオロリン酸リチウム)、LiClO4(過塩素酸リチウム)、LiBF4(テトラフルオロホウ酸リチウム)等を添加することができる。
容器5は、それぞれ負極層3、3よりも一回り大きい平板形状を呈する2つの隔離層6、6をガスケット8、8を介して貼り合せてなる。図1に示すように容器5は、一体化される2つの負極層3、3の全体を挟み込むように構成されている。このように、容器5は、少なくとも負極集電体2、2つの負極層3、3および電解質4を包囲するように構成されている。すなわち、容器5は、負極複合体1の外殻の大部分を担って2つの負極層3、3を水分から保護している。
2つの隔離層6、6の中央部分は負極層3、3に正対し、2つの隔離層6、6の外周縁部は鍔あるいは軒先のように負極層3、3よりも外方へ張り出している。また、2つの隔離層6、6の間には、チューブ7が挿通されている。
隔離層6、6は、耐水性、およびリチウムイオン伝導性を有するガラスセラミックスである。隔離層6、6のリチウムイオン伝導率は、10−5S/cm以上であることが望ましい。隔離層6、6として、例えば、NASICON(Na Superionic Conductor:ナトリウム超イオン導電体)型のリチウムイオン伝導体が挙げられる。また、隔離層6、6として、一般式LiM2(PO4)3(MはZr、Ti、Ge等の4価のカチオン)であらわされるリチウムイオン伝導体の4価のカチオンMの一部をIn、Al等の3価のカチオンM’で置換することによりリチウムイオン伝導性を向上した一般式Li1+xM2−xM’x(PO4)3であらわされるリチウムイオン伝導体が挙げられる。さらに、隔離層6、6として、一般式LiM2(PO4)3(MはZr、Ti、Ge等の4価のカチオン)であらわされるリチウムイオン伝導体の4価のカチオンMの一部をTa等の5価のカチオンM”で置換することによりリチウムイオン伝導性を向上した一般式Li1−xM2−xM”x(PO4)3であらわされるリチウムイオン伝導体が挙げられる。これらのリチウムイオン伝導体のPはSiで置換されている場合があり、一般式Li1+x+yTi2−xAlxP3−ySiyO12(LTAP)であらわされるリチウムイオン伝導体がイオン伝導性の観点から望ましい。これらの他にも、高いリチウムイオン伝導性をもつ硫化物系セラミック電解質等も挙げられる。
チューブ7は、所定の長さおよび内径を有して、円筒形状を呈して容器5に挿通された材料からなる。チューブ7は、負極集電体2の一部を容器5に挿通させるために包んでいる。また、チューブ7は、容器5の上端面、すなわち2つの隔離層6の間を挿通して固定されている。また、チューブ7は、容器5の外部から内部へ電解質4を注液するとともに、容器5の内部の気泡を外部へ放出するように構成され、かつ、気泡を放出した後にその一部が封止されてなる線状の封止部7aを有している。封止部7aの形状は、線状に限定されず、気密性の観点より、負極複合体1の外部に暴露されたチューブ7を面状で封をすることが好ましい。
チューブ7の長さは、負極集電体2を容器5の外部および内部へ導出および導入させ、かつ、容器5の内部に導入された負極集電体2が2つの負極層3、3に挟み込まれる長さであれば、特に限定されない。また、チューブ7の内径は、負極集電体2を挿通させ、かつ、2つの隔離層6、6を互いに貼り合せることができる内径であればよく、特に限定されない。
チューブ7は、本実施の形態では1つのチューブを用いている。しかし、チューブの数は、2つの隔離層6、6が貼り合せられる数であればよく、特に限定されない。少なくとも2つ以上のチューブを容器5に挿通させ、それらのうちの1つを空気集電体2の挿通のためのチューブとし、残りを電解質4の注液のためチューブおよび/または真空引きのためのチューブとすることができる。
チューブ7の材料は、樹脂、エラストマーまたはゴムである。チューブ7の材料は、封止部7aを形成可能であればよく、特に限定されない。チューブ7の材料としては、1つ以上のモノマーからなる単独重合体または共重合体を用いることができる。チューブ7の材料としては、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。これらのうち、実用性の観点より、ポリエチレン系樹脂が好ましい。この場合、電解質4の流入を視認しやすく、加熱等により容易に封止部7aを形成することができる。
2つのガスケット8、8は、所定の内寸、外寸および厚さを有して、四角形の枠状の形状を呈する材料からなる。2つのガスケット8、8は、2つの隔離層6、6の各々の内面上に配置された後に重ね合わされるように構成されている。2つのガスケット8、8は、互いに対向して貼り合わされた際に、その枠内に2つの負極層3、3の外周を取り囲み、かつ、2つの隔離層6、6の間に配置されている。ガスケット8、8は、2つの隔離層6、6の各々の内面に任意の方法により固定されてよいが、好ましくはガスケット8、8自体の吸着性および/または粘着性により固定される。ガスケット8、8は、負極集電体2が挿通しない箇所に重ね合わせ部8aを有している。重ね合わせ部8aは、好ましくはガスケット8、8自体の吸着性および/または粘着性により密着しており、より好ましくは負極集電体2の外径に合わせて厚さを有している。
ガスケット8、8の内寸は、その枠内に負極層3、3を配置できる内寸であればよく、特に限定されない。したがって、ガスケット8、8は、負極層3、3の外周に接していてもよく、外周から離れていてもよい。ガスケット8、8の外寸も、隔離層6、6と同一または略同一の外寸であればよく、特に限定されない。また、ガスケット8、8の厚さは、2つの隔離層6、6間に積層される構成部材の厚さの合計と同一または略同一の厚さであればよい。
ガスケット8、8の材料は、有機電解質4に耐性があるエラストマーまたはゴムであれば特に限定されないが、エチレン−プロピレン−ジエンの共重合からなるエラストマーまたはゴム、またはフッ素系のエラストマーまたはゴムが好適である。エチレン−プロピレン−ジエンの共重合からなるゴムとしては、例えば、EPM、EPDM、EPTが挙げられる。フッ素系のエラストマーまたはゴムとしては、例えば、フッ化ビニリデン系(FKM)、テトラフルオロエチレン-プロピレン系(FEPM)、テトラフルオロエチレン-パープルオロビニルエーテル系(FFKM)等が挙げられる。エラストマーまたはゴムの物性は、軟らかい硬度であることが好ましい。ガスケット8、8の材料の硬度は、好ましくはショアA50〜70付近である。ガスケット8、8の材料が著しく柔らかい場合、加工性が悪い等の問題がある場合がある。また、エラストマーまたはゴムは、成形前の原料が液状のタイプで、吸着性および/または粘着性が高いものが好ましい。
外周封止部材9は、容器5の外周、すなわち2つの隔離層6、6の外周に配置されている。外周封止部材9は、隔離層6、6の外周縁の全周に、隔離層6、6間の隙間を覆うように配置されている。外周封止部材9は、負極集電体2が挿通する側の容器5の外周にて負極集電体2の残部を2つの隔離層間の外側に露出させ、その反対側の容器5の外周部にて2つの隔離層間を密閉封止するように構成されている。2つの隔離層6、6の間には、チューブ7が配置されているため、チューブ7は、外周封止部材9により2つの隔離層6、6に対して固定されている。外周封止部材9は、好ましくはガスケット8、8の外周にも接触し、隔離層6、6およびガスケット8、8の両方を外部から固定するように構成されている。外周封止部材9により、負極複合体1の密閉性をさらに向上させることができる。
外周封止部材9の材料としては、2つの隔離層間を密閉封止可能であり、負極複合体1の厚さ方向に収縮可能であるものあれば特に限定されない。好ましくは接着剤である。接着剤としては、透湿性が低く、かつ、密閉性が高いものが好適である。接着剤として、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤、オレフィン系接着剤、合成ゴム系接着剤等が挙げられる。より好ましくは、接着剤は、水系電解質(好ましくは有機電解質4にも)に対する耐性をさらに有しており、例えば、エポキシ系接着剤、オレフィン系接着剤等である。接着剤は、室温にて短時間で硬化する硬化条件を有するものが好ましい。
なお、負極複合体1は、負極層3、3と隔離層6、6とを隔てる緩衝層(保護層)をさらに備えることができる。前記緩衝層は、負極複合体1に必ずしも備えられていなくてもよく、任意の構成要素である。負極複合体1が緩衝層を備えていない場合、負極層3、3は、緩衝層を隔てずに、それらの間に満たされた電解質4(有機電解液)を介して隔離層6、6と隣接するように配置されている。
前記緩衝層は、有機電解液である電解質4をセパレータ(多孔質のポリエチレンやポリプロピレン、セルロース等のシート)に浸み込ませたものである。また、緩衝層は、リチウムイオン伝導性のポリマー電解質であってもよい。緩衝層のリチウムイオン伝導率(リチウムイオン導電率とも表記する。)は、10−5S/cm以上であることが望ましい。緩衝層は、リチウム塩をポリマーに分散させた固体電解質であってもよいし、リチウム塩を溶解した有機電解質をポリマーに膨潤させたゲル電解質であってもよい。固体電解質のホストとなるポリマーは、PEO(ポリエチレンオキシド)、PPO(ポリプロピレンオキシド)等である。ゲル電解質のホストとなるポリマーは、PEO(ポリエチレンオキシド)、PVdF(ポリフッ化ビリニデン)、PVdF−HFP(ポリフッ化ビリニデンとヘキサフロオロプロピレンとの共重合体)等である。リチウム塩は、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiTFSI(Li(CF3SO2)2N)、Li(C2F4SO2)2N、LiBOB(ビスオキサラトホウ酸リチウム)等である。緩衝層を、固体電解質のポリマーとし、かつ、特に望ましいPEOとする場合には、PEOの分子量は104〜105であることが望ましく、PEOとリチウム塩とのモル比は8〜30:1であることが望ましい。緩衝層の強度および電気化学的特性を向上させるため、さらに、セラミックスフィラー、例えば、BaTiO3の粉末をポリマーに分散させることもできる。この場合、セラミックフィラーの混合量は、残余の成分100重量部に対して1〜20重量部であることが望ましい。
以上のような構成の負極複合体の製造方法、すなわちリチウム空気電池の負極複合体の製造方法の第一実施の形態について、添付図面を参照してさらに詳細に説明する。
図2(a)〜(d)は、本発明に係るリチウム空気電池の負極複合体の製造方法の第一実施の形態を示す模式図である。図2(a)〜(d)に示すように、負極複合体1の製造方法は、負極複合体1を構成する容器5の一部を2つ形成する工程と、容器5の一部を2つ貼り合せて容器5を形成する工程と、容器5のチューブ7から容器5の内部に電解質4を注液する工程と、チューブ7により真空引きを行う工程と、チューブ7を封止する工程と、を少なくとも備えている。
第1の工程として、隔離層6およびガスケット8を積層させた容器5の一部を2つ形成する工程を実施する。図2(a)に示すように、隔離層6にガスケット8を積層させた容器5の一部を形成する。同様の手順で2つめの容器5の一部を形成する。このとき、ガスケット8の枠内に緩衝層を配置して容器5の一部としてもよい。緩衝層には、容器の一部のうちの一方を傾けても漏れない程度に、電解質4を含むことができる。
第2の工程として、容器5の一部を2つ貼り合せて容器5を形成する工程を実施する。図2(b)および(c)に示すように、2つの負極層3、3により挟み込まれた負極集電体2およびチューブ7を中心として、双方の隔離層6およびガスケット8を対向させ、負極集電体2の端部のみがチューブ7の中に挿通した状態で容器5の一部同士がずれないように貼り合せる。より具体的には、2つの隔離層6、6同士および2つのガスケット8、8同士がずれないように貼り合せる。このとき、容器5の一部同士(貼り合せた2つの隔離層6、6)は、ガスケット8、8の吸着性および/または粘着性により、所定の程度だけ密着している。
次いで、負極集電体2およびチューブ7を挟み込んだ状態で、隔離層6、6およびガスケット8、8の間を密封するように、隔離層6、6およびガスケット8、8の外周縁に、外周封止部材9を塗布する。塗布された外周封止部材9が硬化することにより、負極集電体6が容器5に対して固定されるとともに、容器5の一部同士の間(2つの隔離層6、6の間)が固定される。これにより、チューブ7が挿通する近傍以外の容器5の外周が密閉固定されて、容器5が形成される。形成された容器5の内部には、負極層3、3、負極集電体2の一部およびチューブ7の一部を収納した空間が(以降、内部空間ともいう。)が形成されている。第1の工程にてガスケット8の枠内に緩衝層を配置した場合は、形成した容器5の内部空間に緩衝層も収納されている。
第3の工程として、容器5のチューブ7から容器5の内部に電解質4を注液する工程を実施する。容器5の内部に、チューブ7の隙間から電解質4を注液する。チューブ7から注入された電解質4(電解液)は、容器5の前記内部空間を満たす。本工程では、容器5の一部同士を貼り合せて容器5の内部空間を形成した後に容器5の内部空間に電解質4を満たすため、貼り合せる際に電解質4で満たした容器5の一部から電解質4が漏れることがなく、それに起因した気泡が発生することもない。
第4の工程として、チューブ7により真空引きを行う工程を実施する。第3の工程にて、容器5の内部に気泡が発生するおそれを低減されている。しかしながら、図5(d)に示すように、容器5の内部では、電解質4を注液した際に空気が巻き込まれ、それに起因する気泡が発生している場合がある。容器5の内部に発生した気泡は外部より視認できない。電解質4の注液に用いたチューブ7の隙間から、真空ポンプ等の公知の排気装置を用いて、減圧に引き、気泡を取り除く。
第5の工程として、チューブ7を封止する工程を実施する。シーラー等の公知の圧着装置を用いて熱圧着を行い、容器5の外部に延出したチューブ7の一部を線状に封止することにより、封止部7aを形成され、チューブ7が封止される。チューブを封止方法は、負極複合体1の外部に暴露されたチューブ7の一部を面状に封をすることが好ましい。封止部7aを形成することにより、容器5、すなわちチューブ7の開口部を含めた2つの隔離層6間が気密に密閉される。これにより、負極複合体1が形成される。
また、本発明は、別の側面より、負極複合体を備えたリチウム空気電池である。本発明に係るリチウム空気電池の第一実施の形態について、添付図面を参照してさらに詳細に説明する。
図3は、本実施の形態のリチウム空気電池11の内部構造を示す概略的な斜視図である。図3に示すように、リチウム空気電池11は、外殻としてのケース12と、ケース12に収容される負極複合体1および空気極13と、ケース12内に蓄えられて少なくとも空気極13に接して負極複合体1と空気極13の間でリチウムイオンの伝導を担う電解質14と、を備えている。また、リチウム空気電池11は充放電する。なお、負極複合体の第一実施の形態と同じ構成は説明を省略する。
ケース12は、その一面が開口した円筒形状を呈する中空体である。ケース12は、気体を透過しつつ、液体の不透過な材料、例えばポリエチレン、ポリプロピレンまたはビニリデンフルオライド単位およびテトラフルオロエチレン単位を有するフルオロポリマーからなるフッ素樹脂の成形品、ビニリデンフルオライド単位およびテトラフルオロエチレン単位を有するフルオロポリマーからなるフッ素樹脂等の多孔質体である。なお、ケース12の形状は、前記形状に限定されない。例えば、ケース12は、立方体、直方体、あるいは六面体形状を呈する中空体であってもよく、気体も液体も不透過な材料の成形品であってもよい。この場合、ケース12の側壁には、通気口が設けられている。前記通気口は、後述する電解質14を漏出させない位置に設けられ、ケース12の内外に空気を流通させるように構成されている。リチウム空気電池11の空気極13で消費する酸素は、電解質14内の溶存酸素である。消費した溶存酸素はケース12の外部から供給される。ケース12の寸法は、少なくとも1つ以上の負極複合体1および空気極13を収容し、電解質14を満たすことができる寸法であればよく、特に限定されない。ケース12は、その一面が開口したままでもリチウム空気電池として機能できるが、実用的な観点より、開口した一面を同一の部材で密閉し、負極集電体2および後述する空気集電体のみが密閉されたケース12の外部に露出した形態とすることができる。
空気極13は、平板形状を呈する部材からなり、負極複合体1と電気的に並列に接続されている(以降、空気極を正極ともいう。)。空気極13は、導電性材料を含有して負極複合体1の少なくとも一方の面(つまり、後述する隔離層の一面)に対向する図示しない空気極層と、空気極層に電気的に接続される図示しない空気極集電体と、を備えている。
空気極13の空気極層は、炭素繊維などの導電体を素材とし、空気極13と同一または略同一形状の部材からなる。空気極層は、多孔質構造、例えば、構成繊維が規則正しく配列されたメッシュ構造、ランダムに配列された不織布構造、三次元網目構造が挙げられる。より具体的には、カーボンクロス、カーボン不織布、カーボンペーパ等のカーボン材料である。また、その他の多孔質構造を持つ材料として、例えば、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、鉄等の金属材料でもよい。好ましい空気極層の材料としては、軽量化や耐腐食性の高い材料が良く、前述のカーボン材料による空気極層が望ましい。
空気極13の空気極層は、貴金属や酸化金属等の触媒を含んでもよい。触媒としては、放電時には酸素還元反応、充電時には酸素酸化反応を促進させる触媒であればよい。前記触媒としては、MnO2、CeO2、Co3O4、NiO、V2O5、Fe2O3、ZnO、CuO、La1.6Sr0.4NiO4、La2NiO4、La0.6Sr0.4FeO3、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3、La0.8Sr0.2MnO3、Mn1.5Co1.5O4等の金属酸化物;Au、Pt、Ag等の貴金属;およびこれらの複合物等が挙げられる。空気極層への触媒の付着方法は、特に限定されないが、例えば、白金などの触媒金属を担持したカーボンをバインダー(結着剤)および有機溶媒と混合したもの(スラリー)を、カーボンクロスなどに付着させることにより行うことができる。より具体的には、前記スラリーを、ドクターブレード法、スプレイ法等により塗布および付着する方法が挙げられる。また、前記有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、およびジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、エタノール、1−プロパノールなどを使用することができる。バインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)等を挙げることができる。
電界質14は、電解質を水に溶かした水溶液であり、負極複合体1と空気極13の外側に備えられた水系電解質である。電解質14は、その液面が負極複合体1の上端面より下になる位置までケース12内に満たされている。電解質14としてはLiClやLiNO3を使用できる。また、酢酸と酢酸リチウムの混合溶液のような緩衝溶液を用いることもできる。
本実施の形態によれば、容器の一部の各々に備えられているガスケット同士を合わせた後に、有機電解質をチューブから注液できる。そのため、有機電解質が漏れて減少することがなくなる。そうすると、負極層と隔離層との間のイオン導電性が目的の値となるため、負極層と隔離層との間の内部抵抗が増加することがない。結果として、目的の放電電圧を得ることができる。
また、本実施の形態によれば、有機電解液を注液するタイミングが、負極複合体に封をした後でも良くなるため、タイミングを自由に決定できる。そのため、注液するタイミングに自由度があり、工場などでの負極複合体の作製の工程に自由度を持たせることができる。
さらに、本実施の形態によれば、前記チューブより真空引きができるため、負極複合体の内部に入り込んだ気泡を取り除くことができる。そのため、導電経路が減少することがなく、内部抵抗が低減することがないことから、電池性能の低下を抑制できる。負極複合体の内部のみの気泡を除去するため、効率的に真空引きを行うことができる。また、負極複合体の内部のみを真空引きするため、電池の構造が崩壊するおそれもない。
さらにまた、本実施の形態によれば、負極集電体の一部が前記チューブで包まれていることとすることができる。負極集電体がチューブにより保護され、破損することを防止できる。また、絶縁性をより確保できるため、短絡のおそれを低減できる。また、負極集電体が容器から出る部位と、チューブが容器から出る部位を同部位とすることができるため、負極集電体の内部と外部とを挿通する部位を一箇所とすることができ、負極複合体の密封性をより確保できる。また、負極集電体が容器から出る部位と、チューブが容器から出る部位を同部位とすることができるため、チューブを配置するスペースを確保することができる。
[第二実施の形態]
続いて、本発明に係るリチウム空気電池の負極複合体の第二実施の形態について図面を参照して説明する。図4は、本発明に係るリチウム空気電池の負極複合体の第二実施の形態を示す概略的な断面図である。図4に示すように、負極複合体101は、負極集電体102と、2つの負極層103、103と、電解質104と、容器105と、2つのガスケット108、108と、外周封止部材109と、を少なくとも備えている。なお、負極複合体の第一実施の形態と同じ構成は説明を省略する。
続いて、本発明に係るリチウム空気電池の負極複合体の第二実施の形態について図面を参照して説明する。図4は、本発明に係るリチウム空気電池の負極複合体の第二実施の形態を示す概略的な断面図である。図4に示すように、負極複合体101は、負極集電体102と、2つの負極層103、103と、電解質104と、容器105と、2つのガスケット108、108と、外周封止部材109と、を少なくとも備えている。なお、負極複合体の第一実施の形態と同じ構成は説明を省略する。
容器105は、それぞれ負極層103、103よりも一回り大きい板形状を呈する2つの隔離層106、106をガスケット108、108を介して貼り合せてなる板形状を呈する。図4に示すように容器105は、一体化される2つの負極層103、103の全体を挟み込むように構成されている。このように、容器105は、少なくとも負極集電体102、2つの負極層103、103および電解質104を包囲するように構成されている。すなわち、容器5は、負極複合体1の外殻の大部分を担って2つの負極層103、103を水分から保護している。また、容器105は、負極集電体102側に向かって屈曲し、さらに、負極集電体102の延出方向に沿って屈曲することにより、その断面がL字型となる屈曲部を備えている。容器105の前記屈曲部の上端面は、容器105から露出した負極集電体102に向かって延出し、容器105の上端面をなしている。前記屈曲部には、負極集電体102の延出方向に沿って所定の内径を有する連通通路107が形成されている。
2つの隔離層106、106の中央部分は負極層103、103に正対し、2つの隔離層106、106の外周縁部は鍔あるいは軒先のように負極層103、103よりも外方へ張り出している。2つの隔離層106、106も、それぞれ、負極集電体102側に向かって屈曲し、さらに、負極集電体102の延出方向に沿って屈曲することにより、その断面がL字型となる屈曲部を備えている。2つの隔離層106、106の2つの屈曲部の上端面により、容器105の上端面をなしている。前記屈曲部の負極集電体102側の一面には、負極集電体102の延出方向に沿って所定の深さの溝部が形成されている。前記2つの溝部が貼り合わされることにより、負極集電体102の延出方向に沿った連通通路107の一部が形成されている。なお、隔離層106、106の材料は、第一実施の形態の隔離層と同様の材料とすることができる。
連通通路107は、所定の内径を有して容器105の上端面に形成されており、容器105の内部と外部とを連通している。より具体的には、連通通路107は、貼り合わされた2つの隔離層106、106の内部と外部とを連通している。さらに、図4に示すように、連通通路107は、貼り合わされた2つの隔離層106、106の内部と外部とを連通し、かつ、貼り合わされた2つのガスケット108、108の内部と外部とを連通している。連通通路107は、その内部にて空気集電体102を挿通させ、かつ、電解質104、気泡等の流体を流通させるように構成されている。
連通通路107の内径は、負極集電体102を挿通させ、かつ、2つの隔離層106を貼り合せることができる内径であればよく、特に限定されない。
連通通路107は、本実施の形態では1つである。連通通路107の数は、2つの隔離層106、106を貼り合せることができる数であればよく、特に限定されない。少なくとも2つ以上の連通通路を容器105に形成させてもよい。それら連通通路のうちの1つを空気集電体102の挿通のための連通通路とし、残りを電解質104の注液のためおよび/または真空引きのための連通通路とすることができる。
2つのガスケット108、108は、所定の内寸、外寸および厚さを有して、四角形の枠状の形状を呈する材料からなる。2つのガスケット108、108は、2つの隔離層106、106の各々の内面上に配置された後に重ね合わされるように構成されている。2つのガスケット108、108は、互いに対向して貼り合わされた際に、その枠内により2つの負極層103、103の外周を取り囲み、かつ、2つの隔離層106、106の間に配置されている。ガスケット108、108は、2つの隔離層6、6の各々の内面に任意の方法により固定されてよいが、好ましくはガスケット108、108自体の吸着性および/または粘着性により固定される。ガスケット108、108は、負極集電体102が挿通しない箇所に重ね合わせ部108aを有している。重ね合わせ部108aは、好ましくはガスケット108、108自体の吸着性および/または粘着性により密着しており、より好ましくは負極集電体102の外径に合わせて厚さを有している。また、2つのガスケット108、108の各々は、負極集電体102が挿通する箇所に、負極集電体102の延出方向に沿った所定の深さの溝部が形成されている。2つのガスケット108、108が対向して貼り合わされることにより、前記2つの溝部が貼り合わされ、負極集電体102の延出方向に沿った連通通路107の残部が形成されている。
ガスケット108、108の内寸、外寸、厚さおよび材料は、第一実施の形態のガスケットと同様の内寸、外寸、厚さおよび材料とすることができる。
外周封止部材109は、容器105の連通通路107以外の外周、すなわち隔離層106、106の挿通孔105以外の外周に配置されている。外周封止部材109は、負極集電体102が挿通する連通通路107がある容器105の外周部位近傍にて負極集電体102の残部を2つの隔離層間の外側に露出させ、連通通路107以外の容器105の外周部にて2つの隔離層106、106間を密閉封止するように構成されている。外周封止部材109は、好ましくはガスケット108、108の外周にも接触し、隔離層106、106およびガスケット108、108の両方を外部から固定するように構成されている。外周封止部材109により、負極複合体101の密閉性を向上させることができる。
外周封止部材109は、電解質104が容器105へ注液された後に、容器105を密閉封止するための封止部109aを備えている。2つの隔離層106、106の間には、負極集電体102が配置されているため、封止部109aにより負極集電体102が2つの隔離層106、106に対して固定されている。封止部109aにより、負極複合体101の密閉性をさらに向上させることができる。
外周封止部材109および封止部109aの材料は、第一実施の形態の外周封止部材と同様の材料とすることができる。
以上のような構成の負極複合体の製造方法、すなわちリチウム空気電池の負極複合体の製造方法の第二実施の形態について、添付図面を参照してさらに詳細に説明する。
図5(a)〜(d)は、本発明に係るリチウム空気電池の負極複合体の製造方法の第二実施の形態を示す模式図である。図5(a)〜(d)に示すように、リチウム空気電池の負極複合体101の製造方法は、負極複合体101を構成する容器105の一部を2つ形成する工程と、容器105の一部を2つ貼り合せて容器105を形成する工程と、容器105に形成された連通通路107から容器105の内部に電解質104を注液する工程と、真空ケース115の内部にて真空引きを行う工程と、外周封止部材109を用いて連通通路107を封止する工程と、を少なくとも備えている。
第1の工程として、負極複合体101を構成する容器105の一部を2つ形成する工程を実施する。図5(a)に示すように、隔離層106にガスケット108を積層させた容器105の一部を形成する。同様の手順で2つめの容器105の一部を形成する。また、ガスケット108の枠内に前述した緩衝層を配置して容器105の一部としてもよい。前記緩衝層には、容器105の一部のうちの一方を傾けても漏れない程度に、電解質104を含むことができる。
第2の工程として、容器105の一部を2つ貼り合せて容器105を形成する工程を実施する。図5(b)および(c)に示すように、2つの負極層103、103により挟み込まれた負極集電体102および連通通路107を中心として、双方の隔離層106およびガスケット108を対向させ、負極集電体102の端部のみが連通通路107の中に挿通した状態で容器105の一部同士がずれないように貼り合せる。より具体的には、2つの隔離層106、106同士と2つのガスケット108、108同士がずれずないように貼り合せる。このとき、貼り合せた容器105の一部同士(貼り合せた2つの隔離層106、106)は、ガスケット108の吸着性および/または粘着性により、所定の程度だけ密着している。また、隔離層106およびガスケット108に備えられた前記溝が2つ対向して合わされることにより、連通通路107が形成される
次いで、連通通路107以外の隔離層106、106およびガスケット108、108の間を密封するように、隔離層106、106およびガスケット108、108の外周縁のうちの連通通路107以外の部位に、外周封止部材109を塗布する。塗布された外周封止部材109が硬化することにより、容器105の一部同士の間(2つの隔離層106、106の間)が固定される。これにより、連通通路107近傍以外の容器105の外周が密閉固定されて、容器105が形成される。形成された容器105の内部には、2つの負極層103、103、負極集電体102の一部を収納した、内部空間が形成されている。第1の工程にてガスケット108、108の枠内に緩衝層を配置した場合は、形成した容器105の内部空間に緩衝層も収納されている。
第3の工程として、容器105に形成された連通通路107から容器105の内部に電解質104を注液する工程を実施する。容器105の内部に、連通通路107の隙間から電解質104を注液する。連通通路107が注入された電解質104(有機電解液)は、容器105に形成した前記内部空間を満たす。本工程では、容器105の密閉空間を形成した後に、その空間に電解質104を満たすため、容器105から電解質104が漏れることがなく、それに起因した気泡が発生することもない。
第4の工程として、真空ケース115の内部にて真空引きを行う工程を実施する。図5(d)に示すように、電解質104の注液により空気が巻き込まれ、それに起因する気泡Bが発生している場合がある。電解質104が注液された容器105を、所定形状の真空ケース115の内部に配置する。その後、真空ケース115の外部から真空ポンプ等の公知の排気装置を用いて真空引きを行うことにより、容器105内部の気泡Bを、連通通路107を介して容器105の外部まで吸引し、さらには真空ケース115の内部から外部まで排出することにより、除去する。
第5の工程として、外周封止部材109を用いて連通通路107を封止する工程を実施する。2つの隔離層106、106の間、すなわち連通通路107を封止するように、外周封止部材109を塗布する。塗布された外周封止部材109が硬化することにより、封止部109aが形成されて、連通通路107が密封される。封止部109を形成することにより、負極集電体102が容器105に対して固定されるとともに、容器105、すなわち2つの隔離層106、106間がより気密に密閉される。これにより、負極複合体101が形成される。
本実施の形態によれば、第一実施の形態と同様の効果を奏するとともに、真空引き用の孔と負極集電体の孔とを同一にすることができるため、無駄なスペースをとることがない。また、負極集電体が切れることを防止することができる。さらに、第一実施の形態よりも、絶縁性を確保することができるため、短絡する可能性を低減することができる。
また、本発明は、別の側面より、負極複合体を備えたリチウム空気電池である。本発明に係るリチウム空気電池の第二実施の形態は、リチウム空気電池の第一実施の形態に、負極複合体の第二実施の形態を適用してなる。すなわち、本実施の形態では、リチウム空気電池の第一の形態において、負極複合体1の代わりに、負極複合体101が配置されている。リチウム空気電池の第一実施の形態および負極複合体の第二実施の形態と同じ構成は、説明を省略する。
なお、前述したリチウム空気電池の実施の形態によれば、ケース内に1つの負極複合体および空気極を配置する構成を例示したが、本発明はこれに限定されない。前述した実施の形態に係る負極複合体は、負極層の隔離層に対する面積割合が高いため、コンパクトで効率のよい負極複合体を得ることができる。このため、ケース内に2つ以上の負極複合体および空気極を配置することにより、サイズを維持しつつ、電池容量を増加させた効率のよいリチウム空気電池を得ることができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明に係る負極複合体およびその製造方法は下記実施例によって制限されるものではない。
[実施例1]
(負極複合体の作製)
負極複合体を、以下の手順で作製した。
(1)アルゴン雰囲気下のグローブボックス中にて金属リチウム付き負極集電体を中心にして双方向にラバーガスケット、固体電解質を対向させ、銅箔のみの部分をポリエチレン系チューブの中に通した状態で貼り合せて外周部を接着剤により固定した。ポリエチレンチューブの先端から、少しだけ銅箔部を出して負極タブとした。
(2)非水系電解質をチューブの隙間から注液した。また、チューブの隙間を利用して真空ポンプ等で減圧に引き、気泡を取り除いた。
(3)汎用品のシーラーにて熱圧着を行いチューブに封をして複合負極を作製した。
(負極複合体の作製)
負極複合体を、以下の手順で作製した。
(1)アルゴン雰囲気下のグローブボックス中にて金属リチウム付き負極集電体を中心にして双方向にラバーガスケット、固体電解質を対向させ、銅箔のみの部分をポリエチレン系チューブの中に通した状態で貼り合せて外周部を接着剤により固定した。ポリエチレンチューブの先端から、少しだけ銅箔部を出して負極タブとした。
(2)非水系電解質をチューブの隙間から注液した。また、チューブの隙間を利用して真空ポンプ等で減圧に引き、気泡を取り除いた。
(3)汎用品のシーラーにて熱圧着を行いチューブに封をして複合負極を作製した。
(空気極の作製)
正極の酸素還元の触媒として白金担持カーボン(Pt45%)を0.8g、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を0.2gとを計りとり、分散溶媒としてNMP(N−メチル−2−ピロリドン)20mlを用いて混合した後、スラリーを調製した。空気極材のカーボンクロスに、このスラリーを塗工機等で塗布した後、真空乾燥機にて110℃で減圧乾燥した。空気極への塗布乾燥後の重量変化を測定し、0.2mg/cm2の白金触媒を担持した空気極を作製した。
正極の酸素還元の触媒として白金担持カーボン(Pt45%)を0.8g、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を0.2gとを計りとり、分散溶媒としてNMP(N−メチル−2−ピロリドン)20mlを用いて混合した後、スラリーを調製した。空気極材のカーボンクロスに、このスラリーを塗工機等で塗布した後、真空乾燥機にて110℃で減圧乾燥した。空気極への塗布乾燥後の重量変化を測定し、0.2mg/cm2の白金触媒を担持した空気極を作製した。
(リチウム空気電池の作製)
作製した負極複合体と空気極とを、5MのLiOH水溶液40mlが入ったビーカーに直接的に接触しないように浸し、リチウム空気電池とした。
作製した負極複合体と空気極とを、5MのLiOH水溶液40mlが入ったビーカーに直接的に接触しないように浸し、リチウム空気電池とした。
本発明に係る負極複合体およびリチウム空気電池によれば、従来の空気電池に比べてエネルギー密度および入出力密度を増加させても極端な大型化を抑制できる。また、長時間放電した後にリチウムが減少し、負極複合内の内圧が減少した場合でも、隔離層の変形や破損を防ぎ、長時間放電を可能にできる。
1、101 負極複合体
2、102 負極集電体
3、103 負極層
4、104 電解質(非水系電解質)
5、105 容器
6、106 隔離層
7 チューブ
7a 封止部
8、108 ガスケット
8a、108a 重ね合わせ部
9、109 外周封止部材
11 リチウム空気電池
12 ケース
13 空気極(正極)
14 電解質(水系電解質)
107 連通通路
109a 封止部
115 真空ケース
2、102 負極集電体
3、103 負極層
4、104 電解質(非水系電解質)
5、105 容器
6、106 隔離層
7 チューブ
7a 封止部
8、108 ガスケット
8a、108a 重ね合わせ部
9、109 外周封止部材
11 リチウム空気電池
12 ケース
13 空気極(正極)
14 電解質(水系電解質)
107 連通通路
109a 封止部
115 真空ケース
Claims (10)
- 負極集電体と、
金属リチウム、リチウムを主成分とする合金およびリチウムを主成分とする化合物からなる群より選択される少なくとも一つの負極層と、
電解質と、
少なくとも前記負極電体、前記負極層および前記電解質を包囲する容器と、
前記容器に挿通された樹脂、エラストマーまたはゴムからなるチューブと
を少なくとも備えるリチウム空気電池の負極複合体。 - 前記容器が、リチウムイオン伝導性を有する隔離層からなる請求項1に記載のリチウム空気電池の負極複合体。
- 前記負極集電体の一部が前記チューブで包まれている請求項1または2に記載のリチウム空気電池の負極複合体。
- 前記チューブの一部が、前記容器を密閉するための封止部を有する請求項3に記載のリチウム空気電池の負極複合体。
- 前記負極集電体の一部が2つの前記負極層で挟み込まれ、
前記2つの負極層が2つの前記隔離層で挟み込まれ、
前記2つの隔離層の間に前記チューブが挿通されている請求項1〜4のいずれか一項に記載のリチウム空気電池の負極複合体。 - 前記2つの負極層を取り囲むように前記2つの隔離層間に配置された、エラストマーまたはゴムからなる2つのガスケットシートをさらに備える請求項5に記載のリチウム空気電池の負極複合体。
- 前記2つの隔離層が合わされた際に、前記隔離層の内部と外部とを連通する通路をさらに備える請求項5に記載のリチウム空気電池の負極複合体。
- 前記2つの隔離層が合わされ、かつ、前記2つガスケットシートが合わされた際に、前記隔離層およびガスケットシートの内部と外部とを連通する通路をさらに備える請求項6に記載のリチウム空気電池の負極複合体。
- 前記チューブにより前記容器の内部に前記電解質を注液する工程と、
前記チューブを封止する工程と
を少なくとも備える請求項1〜8の何れか一項に記載のリチウム空気電池の負極複合体の製造方法。 - 前記チューブにより真空引きを行う工程をさらに備える請求項9に記載のリチウム空気電池の負極複合体の製造方法。
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JP2014123279A JP2016004647A (ja) | 2014-06-16 | 2014-06-16 | リチウム空気電池の負極複合体およびその製造方法 |
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---|---|---|---|---|
WO2019069764A1 (ja) * | 2017-10-02 | 2019-04-11 | シャープ株式会社 | 電池筐体、金属空気電池および金属空気電池の製造方法 |
-
2014
- 2014-06-16 JP JP2014123279A patent/JP2016004647A/ja active Pending
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WO2019069764A1 (ja) * | 2017-10-02 | 2019-04-11 | シャープ株式会社 | 電池筐体、金属空気電池および金属空気電池の製造方法 |
JPWO2019069764A1 (ja) * | 2017-10-02 | 2020-10-15 | シャープ株式会社 | 電池筐体、金属空気電池および金属空気電池の製造方法 |
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