JP6379715B2 - リチウム空気電池、およびリチウム空気電池の負極複合体 - Google Patents
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Description
ホストとなるポリマーは、PEO(ポリエチレンオキシド)、PPO(ポリプロピレンオキシド)等である。リチウム塩は、LiPF6(ヘキサフルオロリン酸リチウム)、LiClO4(過塩素酸リチウム)、LiBF4(テトラフルオロリン酸リチウム)、LiTFSI(Li(CF3SO2)2N)、Li(C2F4SO2)2N、LiBOB(ビスオキサラトホウ酸リチウム)等である。
また、緩衝層17は有機電解質をセパレータ(多孔質のポリエチレンやポリプロピレン、セルロース等のシート)に浸み込ませたものであっても良い。この場合、緩衝層17に使用される有機電解質は、炭酸エチレンに、炭酸ジエチルや炭酸ジメチルを混合し、さらにLiPF6(六フッ化リン酸リチウム)、LiClO4(過塩素酸リチウム)、LiBF4(テトラフルオロリン酸リチウム)、LiTFSI(Li(CF3SO2)2N)、Li(C2F4SO2)2N、LiBOB(ビスオキサラトホウ酸リチウム)等などのリチウム塩を添加したものである。このようなセパレータを用いることにより、リチウムイオン導電性を有して、さらに緩衝層17の厚さを低減可能となる。
ゲル電解質は、リチウム塩を溶解した有機電解質でポリマーを膨潤させて得られるゲル状のポリマー電解質である。ゲル電解質のホストとなるポリマーは、PEO(ポリエチレンオキシド)、PVA(ポリビニルアルコール)、PAN(ポリアクリロニトリル)、PVP(ポリビニルピロリドン)、PEO−PMA(ポリエチレンオキシド修飾ポリメタクリレートの架橋体)、PVDF(ポリフッ化ビリニデン)、PVDF−HFP(ポリフッ化ビリニデンとヘキサフロオロプロピレンとの共重合体)等である。有機電解質は、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等の混合溶媒に、電解質であるLiPF6(ヘキサフルオロリン酸リチウム)、LiClO4(過塩素酸リチウム)、LiBF4(テトラフルオロリン酸リチウム)、LiTFSI(Li(CF3SO2)2N)、Li(C2F4SO2)2N、LiBOB(ビスオキサラトホウ酸リチウム)などのリチウム塩を添加したものである。有機電解質の溶媒の混合は、任意の割合で行うことができる。リチウム塩の有機電解質中の濃度は、1〜1.3(mol/L)であることが好ましい。ゲル電解質におけるポリマーの割合は、ゲル電解質中に3〜7質量%の範囲であることが好ましい。ポリマーの割合をこの範囲とすることにより、所望とするイオン伝導性と負極複合体の作製に最適な粘度を満たすことが可能となる。ゲル電解質の厚さは、10〜100μmであり、好ましくは50μm以下である。また、緩衝層となるゲル電解質量は、負極層15と隔離層12間の対向する表面全てに対して、密着性を過不足なく高められる充填量が望ましい。ゲル電解質を使用することにより、セパレータシートを使用した場合よりも気泡の混入を防ぐことが容易になる。また、ゲル電解質は、緩衝層17の厚みを低減させることができ、また、部品数を減らすことにより構造を簡単にすることができる。
ゲル電解質には、ゲル電解質の強度および電気化学的特性を向上させるために、セラミックスフィラー、例えば、BaTiO3の粉末をさらに分散させてもよい。セラミックフィラーの混合量は、残余の成分100重量部に対して1〜20重量部であることが望ましい。
ゲル電解質含有セパレータは、リチウムイオン電池用のセパレータ(多孔質のポリエチレンやポリプロピレン、セルロース等のシート)に、上述のゲル電解質を含浸または保持させたものである。ゲル電解質のセパレータにおいて、ゲル電解質とセパレータの重量比は好ましくは7〜30:1である。ゲル電解質を含有するセパレータは、1枚のみを用いてもよいが、複数枚重ねて用いることもできる。ゲル電解質含有セパレータの好ましい枚数は、セパレータの材質や厚さにもよるが、1〜4枚である。ゲル電解質を含有するセパレータは、上記(c)のゲル電解質と同様に、放電電圧を向上させ、放電電圧を長期間維持することができる。これは、負極層15の体積が減少した場合にも、負極層15と隔離層12との接触性を保持して接触抵抗を減少させるためと考えられる。さらに、セパレータにゲル電解質を含有させることにより、負極複合体の作製において、緩衝層17を挿入する際の作業性が良くなり、セルの電気化学的特性の再現性が高まり、製造時の歩留まりが改善する。また、ゲル電解質含有セパレータの使用により、有機電解質のガスケットや外周封止部材への接触が抑制される。このため、ガスケットおよび外周封止部材として用いられる接着剤や樹脂等の劣化を緩和し、長期的に負極複合体およびセルの密閉性を確保することができる。
2つの負極層15の全体を挟み込む。つまり、隔離層12の中央部分は負極層15に正対
し、隔離層12の外周縁部は鍔あるいは軒先のように負極層15よりも外方へ張り出す。
(負極複合体の作製)
負極複合体108を、以下の手順で作製した。図9には、負極複合体の分解した状態と組み立てた状態を示す。
(1)負極複合体108の構成部材である固体電解質112(リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス(LTAP)薄板、四角形、2枚)、金属リチウム115(四角形、2枚、1枚の銅箔(負極集電体)105(四角形の板状部と帯状の端子部分とからなる)の両面に貼付)、セルロースセパレータ117(四角形、2枚)、およびガスケットシート118(EPDM、四角枠、2枚)を準備した。2枚の固体電解質112の各々にガスケットシート118を貼り付けた。
(2) 図9において下側に示される1枚の固体電解質112上に、セルロースセパレータ117を、ガスケットシート118の枠内に入るように配置し、有機電解質(EC:EMC=1:1、1MのLiPF6)をセルロースセパレータ117に滴下して全体に染み込ませた。金属リチウム115を、セルロースセパレータ117上に、ガスケットシート118の枠内に入るように配置し、2枚目のセルロースセパレータ117を金属リチウム115上に配置した。2枚目のセルロースセパレータ117に有機電解質を滴下し、全体に染み込ませた。
(3)(1)で作製した上側の固体電解質112を、(2)の作製物の上から被せ、上側と下側のガスケットシート118をずれないように張り付けて、外部の空気等が入らないようにガスケットシート118の粘着性により密閉させた。負極複合体208の内部の構成部材同士が、特に固体電解質112と金属リチウム115とが密着性良く接触するように、外側から全体を押さえて固定させた。
(4)エポキシ系接着剤119(2液常温硬化型)を、2枚の固体電解質112の間を密閉するように、固体電解質112の外周端縁の全周に薄く塗布し、エポキシ系接着剤119を硬化させた。
正極の酸素還元の触媒として白金担持カーボン(Pt45.8%)を80mgと、バインダー(結着剤)としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を20mgとを計り取り、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)3mlを添加して混合溶媒を調製した。
混合溶媒を攪拌機(シンキ−製AR−100)で15分、超音波で60分攪拌および分散を行い、塗工機(松尾産業製K202コントロールコーター)を用いて、カーボンクロス上に塗布し、その後、ホットプレート上に置いて110℃で1時間加熱乾燥させて、白金担持量0.25mg/cm2の空気極を作製した。空気極の集電体として、空気極のカーボンクロスを直方形の形状で延長させたものとした。
4.24gのLiClを精製水50mlに溶解させ、2MのLiCl水溶液を調製した。水系電解質を保持するため、水系電解質をセルロースシートに滴下し、空気極と負極の間に配置した。
負極複合体を収容可能な大きさの、穴が開いたプラスチック製のケースに、空気極、水系電解質を滴下したセルロースシート、負極複合体、水系電解質を滴下したセルロースシート、および空気極をこの順にズレが無いように重ねたものを収容し、リチウム空気電池のセルとした。
(負極複合体の作製)
負極複合体208を、次の手順で作製した。固体電解質212(リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス(LTAP)薄板、四角形、1枚)の一面に窓材用のアルミラミネート包材202(PP樹脂/アルミ/PET樹脂、四角枠)を合成ゴム系接着剤で接着した。固体電解質212のもう一方の面に、セルロースセパレータ217(四角形、1枚)を配置し、有機電解質(EC:EMC=1:1、1MのLiPF6)を染み込ませた。次いで、負極集電体(銅箔)205の片面に貼り付けられた金属リチウム215をセルロースセパレータ217上に配置した。これらの部材を、窓材用のアルミラミネート包材202と外側用のアルミラミネート包材202(PP樹脂/アルミ/PET樹脂、四角形)との間に入れて包んで袋状のセルにするため、外側用と窓材用のアルミラミネート包材202の四辺の端部を重ね合わせた状態で熱溶着して密閉した。金属リチウムの使用量は実施例1とほぼ同一とした。
空気極209の作製は、実施例1と同様にして行った。空気極集電体206としてはアルミ箔を使用した。
水系電解質の調製は、実施例1と同様にして行った。
比較例1のセルの構造は、その分解された状態が図10に示されている。比較例1の負極複合体208に、水系電解質を滴下したセルロースシート219、および空気極209をこの順にズレが無いように重ねてリチウム空気電池201のセルとした。
実施例1および比較例1のセルにおいて、4mA/cm2(約0.1Cの放電レート)で放電した際の放電電圧をBAS社製 電気化学アナライザALS608Aで6時間にわたって測定した。ここで、1Cは、公称容量を有するセルを定電流放電して、ちょうど1時間で放電終了となる電流値を指す。放電電圧の測定結果を図11に示す。図11に示されるように、実施例1のセルは、比較例1のセルと比べて全ての測定時間において高い放電電圧を示した。平均放電電圧は、実施例1のセル1.56V、比較例1のセルが0.65Vであり、実施例1のセルは2倍以上の値であった。
実施例1のセルと比較例1のセルの1MHz〜10mHzの範囲におけるインピーダンスをSolartron社製 周波数応答アナライザ(FRA)1255B型を用いて測定した。図12にその測定結果(ナイキストプロット)を示す。Z’は実数部を示し、Z’ ’は虚数部を示す。図12に示されるナイキストプロットから、実施例1のセルは、比較例1のセルよりもインピーダンスがおよそ半分という顕著に低い値を示すことが判明した。これにより、実施例1のセルと比較例1のセルは、同一条件で作製した空気極を使用しているため、実施例1のセルのインピーダンスの低さは、負極複合体における内部抵抗の低さに起因していると考えられる。また、実施例1のセルでは、負極複合体の内部抵抗が低いことにより、図11に示す放電電圧が高い値を示したと考えられる。
(負極複合体の作製)
実施例2の負極複合体を、酸素濃度1ppm以下、露点−76℃dpのアルゴンガス雰囲気下、以下の手順で作製した。負極複合体の組み立ては、実施例1のセルの負極複合体について図9に示した構造と同様に行った。
(1)負極複合体の構成部材である固体電解質(リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス(LTAP)薄板、四角形、2枚)、金属リチウム(四角形、2枚、1枚の銅箔(四角形の板状部と帯状の端子部分とからなる)の両面に貼付)、セルロースセパレータ(四角形、2枚)、およびガスケットシート(EPDM、四角枠、2枚)を準備した。2枚の固体電解質の各々にガスケットシートを貼り付けた。
(2)PEOを有機電解質(EC:EMC=1:1、1MのLiPF6)に加えてゲル状にして、5質量%の濃度のPEOのゲル電解質を調製した。次にゲル電解質にセルロースセパレータを浸した。このゲル電解質を含浸したセルロースセパレータを、1枚の固体電解質上に、ガスケットシートの枠内に入るように配置した。金属リチウムを、セルロースセパレータ上に、ガスケットシートの枠内に入るように配置し、2枚目の同様の方法によりゲルポリマーを含浸させたセルロースセパレータを金属リチウム上に配置した。
(3)(1)で作製した固体電解質を、(2)の作製物の上から被せ、上側と下側のガスケットシートをずれないように張り付けて、外部の空気等が入らないようにガスケットシートの粘着性により密閉させた。負極複合体の内部の構成部材同士が、特に固体電解質と金属リチウムとが密着性良く接触するように、外側から全体を押さえて固定させた。
(4)エポキシ系接着剤(2液常温硬化型)を、2枚の固体電解質の間を密閉するように、固体電解質の外周端縁の全周に薄く塗布し、エポキシ系接着剤を硬化させた。
正極の酸素還元の触媒として白金担持カーボン(Pt45.8%)を80mgと、バインダー(結着剤)としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を20mgとを計り取り、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)3mlを添加して混合溶媒を調製した。
混合溶媒を攪拌機(シンキ−製AR−100)で15分、超音波で60分攪拌および分散を行い、塗工機(松尾産業製K202コントロールコーター)を用いて、2枚の金属リチウムを合わせたものと同じサイズのカーボンクロス上に塗布し、その後、ホットプレート上に置いて110℃で1時間加熱乾燥させて、白金担持量0.5mg/cm2の空気極を作製した。空気極の集電体として、空気極のカーボンクロスを直方形の形状で延長させたものとした。
4.24gのLiClを精製水50mlに溶解させ、2MのLiCl水溶液を調製した。水系電解質を保持するため、水系電解質をセルロースシートに滴下し、空気極と負極の間に配置した。
負極複合体を収容可能な大きさの、穴が開いたプラスチック製のケースに、空気極、水系電解質を滴下したセルロースシート、負極複合体、水系電解質を500μl程度を滴下したセルロースシート、および空気極をこの順にズレが無いように重ねたものを収容し、実施例2のリチウム空気電池のセルとした。
(負極複合体の作製)
実施例3のセルの負極複合体を、以下の手順で作製した。負極複合体の組み立ては、実施例1のセルの負極複合体について図9に示した構造と同様に行った。実施例3のセルでは、ゲル電解質を含浸したセルロースセパレータの代わりに有機電解質を含浸したセルロースセパレータを緩衝層として使用した以外は、実施例2のセルと同じ材質および大きさの構成部材を用いた。
(1)負極複合体の構成部材である固体電解質(リチウムイオン電導性ガラスセラミックス(LTAP)薄板、四角形、2枚)、金属Li(四角形、2枚、1枚の銅箔(四角形の板状部と帯状の端子部分とからなる)の両面に貼付)、セルロースセパレータ(四角形、2枚)、およびガスケットシート(EPDM、四角枠、2枚)を準備した。2枚の固体電解質の各々にガスケットシートを貼り付けた。
(2)1枚の固体電解質上に、セルロースセパレータを、ガスケットシートの枠内に入るように配置し、有機電解質(EC:EMC=1:1、1MのLiPF6)をセルロースセパレータに滴下して全体に染み込ませた。金属Liを、セルロースセパレータ上にガスケットシートの枠内に入るように配置し、2枚目のセルロースセパレータを金属Li上に配置した。2枚目のセルロースセパレータに有機電解質を滴下し、全体に染み込ませた。
(3)(1)で作製した固体電解質を、(2)の作製物の上から被せ、2枚の固体電解質の各々に貼り付けたガスケットシートを相互にずれないように張り付けて、外部の空気等が入らないようにガスケットシートの粘着性により密閉した。負極複合体の内部の構成部材同士が、特に固体電解質と金属Liとが密着性良く接触するように、外側から全体を押さえて固定した。
(4)エポキシ系接着剤(2液常温硬化型)を、2枚の固体電解質の間を密閉するように、固体電解質の外周端縁の全周に薄く塗布し、エポキシ系接着剤を硬化させた。
実施例2および実施例3のセルにおいて、4mA/cm2(約0.1Cの放電レート)で放電した際の放電電圧をBAS社製 電気化学アナライザALS608Aで7時間にわたって測定した。ここで、1Cは、公称容量を有するセルを定電流放電して、ちょうど1時間で放電終了となる電流値を指す。放電電圧の測定結果を図13および表1に示す。図13および表1に示されるように、実施例2のセルおよび実施例3のセルはいずれも、全ての測定時間において高い放電電圧を示した。平均放電電圧は、実施例2のセル1.89V、実施例3のセルが1.33Vであり、実施例2のセルは実施例3のセルと比べて放電電圧が大幅に向上していた。
(負極複合体の作製)
実施例4のセルの負極複合体を、酸素濃度1ppm以下、露点−76℃dpのアルゴンガス雰囲気下、以下の手順で作製した。負極複合体の組み立ては、実施例1のセルの負極複合体について図9に示した構造と同様に行った。実施例4のセルでは、ゲル電解質を含浸したセルロースセパレータの代わりに粉末を含有するゲル電解質を緩衝層として使用した以外は、実施例2のセルと同じ材質および大きさの構成部材を用いた。
(1)負極複合体の構成部材である固体電解質(リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス(LTAP)薄板、四角形、2枚)、金属リチウム(四角形、2枚、1枚の銅箔(四角形の板状部と帯状の端子部分とからなる)の両面に貼付)、およびガスケットシート(EPDM、四角枠、2枚)を準備した。2枚の固体電解質の各々にガスケットシートを貼り付けた。
(2)PEOを有機電解質(有機電解液:EC:EMC=1:1、1MのLiPF6)に加えてゲル状にして調製した5質量%のPEOに、平均粒子径5μmのポリプロピレンの微粉末パウダーを加えて、1質量%のポリプロピレンの微粉末を含む4質量%の濃度のPEOのゲル電解質を調製した。このポリプロピレンの微粉末パウダー入りのゲル電解質を、1枚の固体電解質上に、ガスケットシートの枠内に入るように載せて表面が均一になるようにスパチュラ等で調整した。その上に金属リチウムを載せ、ガスケットシートの枠内に入るように配置し、ポリプロピレンの微粉末パウダー入りのゲル電解質を金属リチウム上に載せて表面が均一になるように調整した。
(3)(1)で作製した固体電解質を、(2)の作製物の上から被せ、上側と下側のガスケットシートをずれないように張り付けて、外部の空気等が入らないようにガスケットシートの粘着性により密閉させた。負極複合体の内部の構成部材同士が、特に固体電解質と金属リチウムとがゲル電解質を介して密着性良く接触するように、外側から全体を押さえて固定させた。
(4)エポキシ系接着剤(2液常温硬化型)を、2枚の固体電解質の間を密閉するように、固体電解質の外周端縁の全周に薄く塗布し、エポキシ系接着剤を硬化させた。
正極の酸素還元の触媒として白金担持カーボン(Pt45.8%)を80mgと、バインダー(結着剤)としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を20mgとを計り取り、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)3mlを添加して混合溶媒を調製した。
混合溶媒を攪拌機(シンキ−製AR−100)で15分、超音波で60分攪拌および分散を行い、塗工機(松尾産業製K202コントロールコーター)を用いて、2枚の金属リチウムを合わせたものと同じサイズのカーボンクロス上に塗布し、その後、ホットプレート上に置いて110℃で1時間加熱乾燥させて、白金担持量0.5mg/cm2の空気極を作製した。空気極の集電体として、空気極のカーボンクロスを直方形の形状で延長させたものとした。
4.24gのLiClを精製水50mlに溶解させ、2MのLiCl水溶液を調製した。水系電解質を保持するため、水系電解質をセルロースシートに滴下し、空気極と負極の間に配置した。
セルの作製は、実施例2と同様にして行った。
実施例4のセルの放電電圧を、放電試験2と同様の条件で測定した。その結果を、表2に示す。実施例4のセルは、高い初期放電電圧および平均放電電圧を示した。
2 ケース
5 負極集電体
6、6A 空気極集電体
7 電解質
8、8A、8B 負極複合体
9、9A 空気極
11 空気電池セル
12 隔離層
13、13A 空気極層
13a 折り目
13b 平面部
15 負極層
16 接合部
17 緩衝層
18 ガスケット
19 外周封止部材
20 ガスケット合わせ面
105 銅箔
108 負極複合体
112 固体電解質
115 金属リチウム
117 セルロースセパレータ
118 ガスケットシート
119 エポキシ系接着剤
201 リチウム空気電池
202 アルミラミネート包材
205 負極集電体(銅箔)
206 空気極集電体
208 負極複合体
209 空気極
212 固体電解質
215 金属リチウム
217 セルロースセパレータ
219 セルロースシート
Claims (12)
- 板状または線状の負極集電体と、
金属リチウム、リチウムを主成分とする合金、またはリチウムを主成分とする化合物製で前記負極集電体の一部を挟み込む板形状の2つの負極層と、
前記2つの負極層の全部を挟み込む、リチウムイオン伝導性を有する板形状の2つの隔離層と、
前記2つの負極層を取り囲むように前記2つの隔離層間に配置され、前記2つの隔離層の間の空間を密閉するガスケットと
を備える負極複合体と、
導電性材料を含有して前記2つの隔離層の少なくとも一方に対向する空気極層と、
前記空気極層に電気的に接続される板状または線状の空気極集電体と
を備える空気極と
を備えるリチウム空気電池。 - 板状または線状の負極集電体と、
金属リチウム、リチウムを主成分とする合金、またはリチウムを主成分とする化合物製で前記負極集電体の一部を挟み込む板形状の2つの負極層と、
前記2つの負極層の全部を挟み込む、リチウムイオン伝導性を有する板形状の2つの隔離層と、
前記2つの負極層を取り囲むように前記2つの隔離層間に配置され、前記2つの隔離層の間の空間を密閉するガスケットと
を備えるリチウム空気電池の負極複合体。 - 前記2つの隔離層間を密閉封止する外周封止部材を、前記2つの隔離層の外周部にさらに備える請求項2に記載のリチウム空気電池の負極複合体。
- 前記ガスケットが、2つのガスケットからなる、請求項2または3に記載のリチウム空気電池の負極複合体。
- 前記ガスケットが、ゴムまたはエラストマーである、請求項2〜4のいずれかに記載の負極複合体。
- 前記ゴムまたはエラストマーが、エチレン−プロピレン−ジエンの共重合からなるゴムまたはエラストマー、またはフッ素系のゴムまたはエラストマーである、請求項5に記載の負極複合体。
- 前記負極層と前記隔離層との間に、緩衝層をさらに備える、請求項2〜6のいずれかに記載の負極複合体。
- 前記緩衝層が、ゲル電解質、またはゲル電解質を含有するセパレータである、請求項7に記載の負極複合体。
- 前記ゲル電解質が、有機電解質に溶解しない粉末を含む、請求項8に記載の負極複合体。
- 前記粉末が、樹脂粉末である、請求項9に記載の負極複合体。
- 前記樹脂粉末が、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはそれらの混合物である、請求項10に記載の負極複合体。
- 請求項2〜11のいずれかに記載の負極複合体と、
導電性材料を含有して前記2つの隔離層の少なくとも一方に対向する空気極層と、
前記空気極層に電気的に接続される板状または線状の空気極集電体と
を備える空気極と
を備えるリチウム空気電池。
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