JP6361476B2 - リチウム空気電池、およびリチウム空気電池の負極複合体 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウム空気電池、およびリチウム空気電池の負極複合体に関する。
電気自動車の普及のために、リチウムイオン電池よりもはるかに大きいエネルギー密度を有する空気電池に期待が寄せられている。空気電池は、空気中の酸素を正極活物質に使用する。
ところで、負極活物質に金属リチウム、リチウムを主成分とする合金、またはリチウムを主成分とする化合物を使用するリチウム空気電池が知られている。電解質の種類に着目すると、リチウム空気電池は水溶液系電解質と、非水系電解質との2つに大別される。非水系電解質のリチウム空気電池は、空気極以外についてリチウムイオン電池の技術を利用できるために研究開発の主流となっている。
他方、未だ少数ではあるが、水溶液系電解質のリチウム空気電池の研究開発も進められている。水溶液系電解質のリチウム空気電池は、非水系電解質のリチウム空気電池に比べて、空気中の水分の影響を受けない、電解質が安価かつ不燃である等の長所がある。ただし、負極活物質である金属リチウムは、直接酸素や水に接触すると反応してしまう。そこで、水溶液系電解質のリチウム空気電池では、金属リチウムを大気や水溶液から保護するために、リチウムイオン伝導性固体電解質などの保護層を設ける必要があった。
そこで、板形状の金属リチウムの一面にポリマー電解質の緩衝層を形成し、ポリマー電解質の緩衝層の一面を、リチウムイオン伝導性(リチウムイオン電導性、リチウムイオン導電性とも表記する。)を有する耐水層としてのガラスセラミックスで覆った負極複合体を備えるリチウム空気電池が知られている(例えば、特許文献1、および非特許文献1参照。)。
特開2010−192313号公報
武田保雄、今西誠之、山本治、「水溶液系リチウム/空気電池の現状と課題」、GS Yuasa Technical Report、2010年6月、第7巻、第1号、p.1−6
特許文献1、および非特許文献1に記載の従来の空気電池は、1つの空気極の一面を1つの負極複合体の一面に正対させて容器やラミネートフィルムに封入している。これら従来の空気電池は、入出力密度(重量あたりの出力)を増加させる場合、同じ構造の空気電池を単純に多数使用する、または同じ構造の空気電池を単純に大きくすることになる。しかし、同じ構造の空気電池を単純に多数使用する、または同じ構造の空気電池を単純に大きくする態様は、必要な空気電池の搭載スペースを非効率かつ大幅に増加させるため、電気自動車に搭載する場合等、現実的には採用し難い。
また、非特許文献1に記載の従来の空気電池は、ポリプロピレン(PP)、アルミニウム箔、ポリエチレンテレフタラート(PET)の三層構造を有するガスバリア性のラミネートフィルムに負極複合体を封入する。そして、非特許文献1の負極複合体は、ラミネートフィルム内外のリチウムイオン伝導性を確保するため、リチウムイオン伝導性のある窓材としてのガラスセラミックスで、ラミネートフィルムに穿たれた開口を塞ぐ。
しかし、ラミネートフィルムのポリプロピレン(PP)と負極複合体のガラスセラミックスとの組合せを接着剤で接合することは困難であり耐久性を欠く。また、ラミネートフィルムを熱溶着して負極複合体を形成するためには、ラミネートフィルムの外周縁部に10mm程度の溶着しろを必要とし、結果、ラミネートフィルムの面積が拡大し、空気電池の体積が増加する。
つまり、従来の空気電池は、実験用の小型な単セルを開示するものであり、電池特性、特にエネルギー密度を増加させたコンパクトな実用セルを構成することが難しい。リチウム空気電池の電池特性を向上させるためには、リチウム空気電池を成立させるための材料に加え、小型軽量化し、内部抵抗の低減により放電電圧を高める技術が必要である。
そこで、本発明は、従来の空気電池に比べてエネルギー密度および入出力密度を増加させても極端な大型化を抑制できるコンパクトなリチウム空気電池、およびリチウム空気電池の負極複合体を提供することを目的とする。
前記の課題を解決するため本発明に係るリチウム空気電池は、負極複合体と、空気極と、を備え、前記負極複合体は、板状または線状の負極集電体と、金属リチウム、リチウムを主成分とする合金、またはリチウムを主成分とする化合物製で前記負極集電体の一部を挟み込む板形状の2つの負極層と、リチウムイオン伝導性を有するガラスセラミックス製で前記負極集電体の他の一部、および前記2つの負極層の全部を挟み込む板形状の2つの隔離層と、前記負極集電体の残部を前記2つの隔離層間の外側に露出させつつ前記2つの隔離層の外周縁部間を接合して閉ざす接合部と、を備え、前記空気極は、導電性材料を含有して前記2つの隔離層の少なくとも一方に対向する空気極層と、前記空気極層に電気的に接続される板状または線状の空気極集電体とを備える。
また、本発明に係るリチウム空気電池の負極複合体は、板状または線状の負極集電体と、金属リチウム、リチウムを主成分とする合金、またはリチウムを主成分とする化合物製で前記負極集電体の一部を挟み込む板形状の2つの負極層と、リチウムイオン伝導性を有するガラスセラミックス製で前記負極集電体の他の一部、および前記2つの負極層の全部を挟み込む板形状の2つの隔離層と、前記負極集電体の残部を前記2つの隔離層間の外側に露出させつつ前記2つの隔離層の外周縁部間を接合して閉ざす接合部とを備える。
本発明に係るリチウム空気電池は、他の形態において、板状または線状の負極集電体と、金属リチウム、リチウムを主成分とする合金、またはリチウムを主成分とする化合物製で前記負極集電体の一部を挟み込む板形状の2つの負極層と、前記2つの負極層の全部を挟み込む、リチウムイオン伝導性を有する板形状の2つの隔離層と、前記2つの負極層を取り囲むように前記2つの隔離層間に配置され、前記2つの隔離層の間の空間を密閉する内側封止部材と備える負極複合体と、導電性材料を含有して前記2つの隔離層の少なくとも
一方に対向する空気極層と、前記空気極層に電気的に接続される板状または線状の空気極集電体とを備える空気極とを備える。
本発明に係るリチウム空気電池の負極複合体は、他の形態において、板状または線状の負極集電体と、金属リチウム、リチウムを主成分とする合金、またはリチウムを主成分とする化合物製で前記負極集電体の一部を挟み込む板形状の2つの負極層と、前記2つの負極層の全部を挟み込む、リチウムイオン伝導性を有する板形状の2つの隔離層と、前記2つの負極層を取り囲むように前記2つの隔離層間に配置され、前記2つの隔離層の間の空間を密閉する内側封止部材とを備える。
本発明によれば、従来の空気電池に比べてエネルギー密度および入出力密度を増加させても極端な大型化を抑制できるコンパクトなリチウム空気電池、およびリチウム空気電池の負極複合体を提供できる。
本発明の実施形態に係るリチウム空気電池を示す概略的な斜視図。 本発明の実施形態に係るリチウム空気電池の内部構造を示す概略的な斜視図。 本発明の実施形態に係るリチウム空気電池を示す回路図。 本発明の実施形態に係るリチウム空気電池の内部構造の他の例を示す概略的な斜視図。 本発明の実施形態に係るリチウム空気電池の負極複合体を示す概略的な斜視図。 本発明の実施形態に係るリチウム空気電池の負極複合体を示す概略的な断面図。 本発明の実施形態に係るリチウム空気電池の負極複合体の他の例を示す概略的な断面図。 本発明の実施形態に係るリチウム空気電池の負極複合体の他の例を示す概略的な断面図。 本発明の実施形態に係るリチウム空気電池の負極複合体の他の例を示す概略的な断面図。 本発明の実施形態に係るリチウム空気電池の負極複合体の他の例を示す概略的な断面図。 本発明の実施形態に係るリチウム空気電池の負極複合体の他の例を示す概略的な断面図。 本発明の実施形態に係るリチウム空気電池の負極複合体の他の例を示す概略的な断面図。 本発明の実施形態に係るリチウム空気電池の負極複合体の他の例を示す概略的な斜視図。 本発明の実施形態に係るリチウム空気電池の負極複合体の他の例を示す概略的な断面図。 本発明の実施形態に係るリチウム空気電池の負極複合体の他の例を示す概略的な斜視図。 本発明の実施形態に係るリチウム空気電池の負極複合体の他の例を示す概略的な断面図。 本発明の実施形態に係る負極層および負極集電体の例を示す概略図。 本発明の実施形態に係る負極層および負極集電体の他の例を示す概略図。 実施例1のセルの負極複合体の分解した状態と組み立てた状態とを説明する斜視図。 比較例1のセルの分解した状態を説明する斜視図。 実施例1および比較例1のセルの放電電圧の推移を示すグラフ。 インピーダンススペクトルを示すグラフ。 実施例2のセルの負極複合体の分解した状態と組み立てた状態とを説明する斜視図。 実施例2および実施例3のセルの放電電圧の推移を示すグラフ。 実施例4のセルの構造を示す概略図。 実施例4および実施例5のセルの放電電圧の推移を示すグラフ。 実施例8のセルの構造を示す概略図。 実施例8の金属リチウムおよび負極集電体を示す概略図。
本発明に係るリチウム空気電池、およびリチウム空気電池の負極複合体の実施形態について図1から図28を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るリチウム空気電池を示す概略的な斜視図である。
リチウム空気電池1は充放電する。図1に示すように、本実施形態に係るリチウム空気電池1は、外殻としてのケース2と、ケース2内から引き出されて露出する負極集電体5、および正極集電体としての空気極集電体6と、を備える。
ケース2は、気体を透過する一方で、液体の不透過な材料、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、またはビニリデンフルオライド単位およびテトラフルオロエチレン単位を有するフルオロポリマーからなるフッ素樹脂の成形品や、ビニリデンフルオライド単位およびテトラフルオロエチレン単位を有するフルオロポリマーからなるフッ素樹脂の多孔質体であり、六面体、例えば直方体形状を呈する中空体である。なお、ケース2は、気体も液体も不透過な材料の成形品であっても良い。この場合には、ケース2の側壁に通気口が設けられる。通気口は、後述する電解質7を漏出させない位置に設けられ、ケース内外に空気を流通させる。
ケース2の外側には負極集電体5、および空気極集電体6のみが露出している。
図2は、本発明の実施形態に係るリチウム空気電池の内部構造を示す概略的な斜視図である。
図3は、本発明の実施形態に係るリチウム空気電池を示す回路図である。
なお、隣り合う負極複合体8、および空気極9は、実際には相互に接しているが、図2においては識別しやすいように離間させて示している。
図2および図3に示すように、本実施形態に係るリチウム空気電池1は、負極複合体8と空気極9とを収容するケース2と、交互に重ね合わせて積層される複数の負極複合体8、および複数の空気極9と、ケース2内に蓄えられて少なくとも空気極9に接して空気極9と負極複合体8との間でリチウムイオンの伝導を担う電解質7と、を備える。
負極複合体8の一面、およびこれに正対する空気極9の一面は、1つの空気電池セル11である。つまりリチウム空気電池1は、負極複合体8と空気極9との対面箇所数の空気電池セル11を並列に接続したものである。
複数の負極複合体8、および複数の空気極9は、それぞれ板形状を呈する。また、複数の負極複合体8、および複数の空気極9は、それぞれ電気的に並列に接続される。
空気極9は負極複合体8よりも大きい投影面積を呈する。具体的には、四角形の平板形状を呈する負極複合体8よりも一回り大きい四角形状を呈する。
また、空気極9は、導電性材料を含有して負極複合体8の少なくとも一方の面(つまり、後述する隔離層12の一面)に対向する空気極層13と、空気極層13に電気的に接続される板状または線状の空気極集電体6と、を備える。
空気極層13は、炭素繊維などの導電体を素材とし、薄板形状を呈する。具体的には、空気極層13は、多孔質構造、例えば、構成繊維が規則正しく配列されたメッシュ構造、ランダムに配列された不織布構造、三次元網目構造が挙げられる。具体的には、カーボンクロス、カーボン不織布、およびカーボンペーパ等のカーボン材料である。また、その他の多孔質構造を持つ材料として、例えば、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、鉄等の金属材料でも良い。好ましい空気極の材料としては、軽量化や耐腐食性の高い材料が良く、前述のカーボン材料による空気極が望ましい。空気極層13は、毛細管現象で電解質7を吸い上げて負極複合体8と空気極9との間に介在させる。空気極層13は、貴金属や酸化金属等の触媒を含んでもよい。触媒としては、放電時には酸素還元反応、充電時には酸素酸化反応を促進させる触媒であれば良い。例えば、MnO、CeO、Co、NiO、V、Fe、ZnO、CuO、La1.6Sr0.4NiO、LaNiO、La0.6Sr0.4FeO、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8、La0.8Sr0.2MnO、Mn1.5Co1.5等の金属酸化物;Au、Pt、Ag等の貴金属;およびこれらの複合物等が挙げられる。触媒を含む空気極層13を作製する方法は、特に限定されないが、例えば、白金などの触媒金属を担持したカーボンをバインダー(結着剤)および有機溶媒と混合したもの(スラリー)を、カーボンクロスなどに付着させることにより行うことができる。有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、およびジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、エタノール、1−プロパノールなどを使用することができる。バインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)等を挙げることができる。具体的な空気極層13への触媒の付着方法としては、前記のスラリーを、ドクターブレード法、スプレイ法により塗布および付着する方法が挙げられる。
空気極集電体6としては、リチウム空気電池の動作範囲で安定して存在でき、所望とする導電性を有していれば良い。空気極集電体6の材料としては、例えば、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、金、および白金等の金属材料、カーボンクロスおよびカーボン不織布等のカーボン材料が挙げられる。
空気極9と負極複合体8の間には、保水層が任意に配置される。保水層は、電解質7を吸収し、保持するものであり空気極9と負極複合体8の間の電解質7の存在を容易にするものである。保水層は、好ましくは電解質を含浸・保水する多孔質性および発泡質性のシートであり、セルロース、化学繊維不織布、PP(ポリプロピレン)樹脂、PE(ポリエチレン)樹脂、PI(ポリイミド)樹脂などの高分子膜などが挙げられる。
電解質7は、水系電解質である。なお、電解質7は負極複合体8にも接していても良い。水系電解質は、例えば、塩化リチウム水溶液等である。
また、電解質7は、ポリマー電解質であっても良い。この場合、電解質7は、空気極9と負極複合体8との間に挟まれる薄膜状体であったり、空気極層13の表面をコーティングする膜状体であったりする。
図4は、本発明の実施形態に係るリチウム空気電池の内部構造の他の例を示す概略的な斜視図である。
なお、隣り合う負極複合体8、および空気極9Aは、実際には相互に接しているが、図4においては識別しやすいように離間させて示している。
なお、リチウム空気電池1Aにおいてリチウム空気電池1と同じ構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図4に示すように、本実施形態に係るリチウム空気電池1Aの空気極9Aの空気極層13Aは、葛折りに折り曲げられている。複数の負極複合体8は、空気極層13Aの折り目13aと折り目13aとの間にある平面部13bに挟み込まれる。
空気極集電体6は、複数の負極複合体8を挟み込む1つの空気極層13Aに対して1つ設けられていれば良く、リチウム空気電池1の空気極集電体6よりも数量、総延長長さ、重量、および容積を減じることができる。
図5は、本発明の実施形態に係るリチウム空気電池の負極複合体を示す概略的な斜視図である。
図6は、本発明の実施形態に係るリチウム空気電池の負極複合体を示す概略的な断面図である。
図5および図6に示すように、リチウム空気電池1、1Aの負極複合体8は、板状または線状の負極集電体5と、金属リチウム、リチウムを主成分とする合金、またはリチウムを主成分とする化合物製で負極集電体5の一部を挟み込む板形状の2つの負極層15と、リチウムイオン伝導性を有するガラスセラミックス製で負極集電体5の他の一部、および2つの負極層15の全部を挟み込む板形状の2つの隔離層12と、負極集電体5の残部を2つの隔離層12間の外側に露出させつつ2つの隔離層12の外周縁部間を接合して閉ざす接合部16と、を備える。
また、負極複合体8は、リチウムイオン伝導性を有して負極層15と隔離層12とを隔てる緩衝層17を備える。
つまり、負極複合体8は、貼り合わせられる2つの負極層15を緩衝層17で包み、緩衝層17を2つの隔離層12および、接合部16で包んだ包装構造を備える。
負極集電体5の材料としては、リチウム空気電池の動作範囲で安定して存在でき、所望とする導電性を有していれば良い。例えば、銅、ニッケル等を挙げることができる。
2つの負極層15は、略同じ四角形の平板形状を呈し、負極集電体5の一部を挟み込んだまま接合される。本実施形態において、負極集電体5は、負極層15と略同じサイズの四角形の板状部に帯状の端子部が一体形成されている。しかし、目的により、負極集電体5は2つの負極層15の対抗面の全体にわたって接触せず、負極層15の少なくとも一部に接触するように挟み込まれている形態も本発明の技術的範囲に含まれる。負極集電体5の形状およびサイズは、当業者が適宜決定することができる。
また、負極層15は金属リチウム製であることが望ましい。負極層15は、金属リチウムに代えて、リチウムを主成分とする合金、またはリチウムを主成分とする化合物であっても良い。リチウムを主成分とする合金は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、銀、金、亜鉛、インジウム等を含むことができる。リチウムを主成分とする化合物は、Li3−xN(M=Co、Cu、Ni)がある。
緩衝層17はリチウムイオン伝導性のポリマー電解質、または有機電解質である。緩衝層17のリチウムイオン伝導率(リチウムイオン導電率とも表記する。)は、10−5S/cm以上であることが望ましい。
緩衝層17は、リチウム塩をポリマーに分散させた固体状のポリマー電解質、リチウム塩を溶解した有機電解質を含有するセパレータ、リチウム塩を溶解した有機電解質でポリマーを膨潤させたゲル状のポリマー電解質であってもよい。ポリマー電解質のホストとなるポリマーは、PEO(ポリエチレンオキシド)、PVA(ポリビニルアルコール)、PPO(ポリプロピレンオキシド)、PAN(ポリアクリロニトリル)、PVP(ポリビニルピロリドン)、PEO−PMA(ポリエチレンオキシド修飾ポリメタクリレートの架橋体)、PAA(ポリアクリル酸)、PVDF(ポリフッ化ビリニデン)、PVDF−HFP(ポリフッ化ビリニデンとヘキサフロオロプロピレンとの共重合体)等である。リチウム塩は、LiPF、LiClO、LiBF、LiTFSI(Li(CFSON)、Li(CSON、LiBOB(ビスオキサラトホウ酸リチウム)等である。
なお、固体状のポリマー電解質として、特に望ましいPEOを用いる場合には、PEOの分子量は10〜10であることが望ましく、PEOとリチウム塩とのモル比は、8〜30:1であることが望ましい。
緩衝層17の強度、および電気化学的特性を向上させるため、さらに、セラミックスフィラー、例えば、BaTiOの粉末をポリマーに分散させてもよい。セラミックフィラーの混合量は、残余の成分100重量部に対して1〜20重量部であることが望ましい。
ところで、負極層15と隔離層12とが接触すると、負極層15のリチウムと隔離層12のガラスセラミックスとが反応する場合がある。例えば、隔離層12の材質がLTAPである場合、リチウムによってLTAPが反応して劣化する可能性がある。しかし、緩衝層17を挿入して負極層15と隔離層12との接触を防ぐことによって、そのような反応は抑制される。このことは、リチウム空気電池1の寿命を長くすることに寄与する。
また、緩衝層17は有機電解質をセパレータ(多孔質のポリエチレンやポリプロピレン、セルロース等のシート)に浸み込ませたものであっても良い。この場合、緩衝層17に使用される有機電解質は、例えば、プロピレンカーボネート(PC)およびエチレンカーボネート(EC)等の環状カーボネート、ジメチルカーボネート(DMC)およびエチルメチルカーボネート(EMC)等の鎖状カーボネート、またはそれらの混合溶液に、さらにLiPF(六フッ化リン酸リチウム)、LiClO(過塩素酸リチウム)、およびLiBF(テトラフルオロほう酸リチウム)、LiTFSI(リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド)などのリチウム塩を添加したものである。
ここで、緩衝層17は、負極複合体8に必ずしも備えられていなくてもよく、任意の構成要素である。すなわち、負極複合体8において、負極層15は、緩衝層17を隔てずに隔離層12と直接に隣接するように配置されていてもよい。
隔離層12は負極複合体8の外殻の大部分を担って負極層15を水分から保護する。つまり、2つの隔離層12は、それぞれ異なる空気極9の空気極層13に対面する。
隔離層12は、負極層15よりも一回り大きい四角形の平板形状を呈し、一体化される2つの負極層15の全体を挟み込む。つまり、隔離層12の中央部分は負極層15に正対し、隔離層12の外周縁部は鍔あるいは軒先のように負極層15よりも外方へ張り出す。
また、隔離層12は、耐水性、およびリチウムイオン伝導性を有するガラスセラミックスである。隔離層12のリチウムイオン伝導率は、10−5S/cm以上であることが望ましい。隔離層12としては、例えば、NASICON(Na Superionic Conductor;ナトリウム超イオン導電体)型のリチウムイオン伝導体が挙げられる。さらに、隔離層12として、一般式LiM(PO(MはZr、Ti、Ge等の4価のカチオン)であらわされるリチウムイオン伝導体の4価のカチオンMの一部をIn、Al等の3価のカチオンM’で置換することによりリチウムイオン伝導性を向上した一般式Li1+x2−xM’(POであらわされるリチウムイオン伝導体が挙げられる。また、隔離層12として、一般式LiM(PO(MはZr、Ti、Ge等の4価のカチオン)であらわされるリチウムイオン伝導体の4価のカチオンMの一部をTa等の5価のカチオンM”で置換することによりリチウムイオン伝導性を向上した一般式Li1−x2−xM”(POであらわされるリチウムイオン伝導体が挙げられる。これらのリチウムイオン伝導体のPはSiで置換されている場合があり、一般式Li1+x+yTi2−xAl3−ySi12(LTAP)であらわされるリチウムイオン伝導体がイオン伝導性の観点から望ましい。
接合部16は、2つの隔離層12のそれぞれの外周縁部間に架け渡される。接合部16は、2つの隔離層12に挟み込まれる領域を閉ざし、2つの隔離層12と協働してこの領域内に負極集電体5の一部、2つの負極層15、および緩衝層17を封入する。
また、接合部16は、エポキシ樹脂系接着剤、シリコーン系接着剤、またはスチレン−ブタジエンゴム系接着剤等の接着材を2つの隔離層12のそれぞれの外周縁部間に充填し、硬化させたものである。接合部16は、緩衝層17、および電解質7の両方に晒されるため、耐有機電解質性と耐アルカリ性とを有することが好ましい。
なお、接合部16は、接着剤に代えて樹脂を充填し、硬化させたものであっても良い。
本実施形態に係るリチウム空気電池1、および負極複合体8は、板形状の負極複合体8の両面を発電に寄与させる。この負極複合体8の両面化により、従来のリチウム空気電池に比べて、同体積あたり、電池反応に有効な面積を2倍に増加させて入出力密度を向上できる。
また、本実施形態に係るリチウム空気電池1、および負極複合体8は、従来のリチウム空気電池におけるラミネートフィルムを不要にし、部品点数の低減、およびラミネートフィルムのポリプロピレンとガラスセラミックスとの接合における困難な接着を不要にする。さらに、負極複合体8と空気極9とを1つの空気電池セル11として積層しやすい構造となっている。
負極複合体と空気極とを対にした単セルごとに水溶液系電解質を内包する従来のリチウム空気電池に比べて、本実施形態に係るリチウム空気電池1、および負極複合体8は、複数の空気電池セル11を並列接続して1つのケース2に収容する。このような構造によって、本実施形態に係るリチウム空気電池1、および負極複合体8は、空気電池セル11ごとの仕切り(従来のリチウム空気電池の外装に相当する)を必要とせず、複数の空気電池セル11で電解質7を共有し、リチウム空気電池1全体として電解質7の貯留量を最適化して重量や体積を低減できる。また、空気電池セル11ごとの仕切りが不要であるため、構造がシンプルになり、部品点数を減らすことができる。
さらに、本実施形態に係るリチウム空気電池1、および負極複合体8は、ケース2内に水系電解質を電解質7として蓄える場合には、放電の進行にともなって電解質7が揮発しても次々に空気極9へ電解質7を補給できる。これにより、本実施形態に係るリチウム空気電池1、および負極複合体8は、長期に亘って電解質7の補充を必要とせず、電解質7の不足による性能低下を防止する。
さらにまた、本実施形態に係るリチウム空気電池1、および負極複合体8は、2つの隔離層12を接合部16で接合するため、ラミネートフィルムのポリプロピレンとガラスセラミックスとの接合における困難な接着に比べて容易に製造できる。
したがって、本実施形態に係るリチウム空気電池1、および負極複合体8によれば、従来の空気電池に比べてエネルギー密度および入出力密度を増加させても極端な大型化を抑制してコンパクトにできる。
図7は、本発明の実施形態に係るリチウム空気電池の負極複合体の他の例を示す概略的な断面図である。
図7に示すように、負極複合体8Aは、負極集電体5と、2つの負極層15と、2つの隔離層12と、緩衝層17と、内側封止部材としてのガスケット18と、外周封止部材19とを備える。同一の符号を付した構成要素は、図5、6について説明した実施形態と同一の構成を持ち、重複する説明は省略する。負極複合体8Aは、リチウム空気電池1、1Aにおいて、負極複合体8に代えて使用されることができる。
本実施形態では、負極層15の外周を取り囲むようにガスケット18が2つの隔離層12の間に配置され、負極層15はガスケット18の枠内に配置される。ガスケット18は、隔離層12の各々の内面に任意の方法により固定されてよいが、好ましくはガスケット18自体の吸着性および/または粘着性により固定される。ガスケット18は、負極層15の外周に接していてもよく、外周から離れていてもよい。ガスケット18は、2つのガスケットからなり、2つの隔離層12の各々の内面上に配置された後に重ね合わされる。2つのガスケットの重ね合わせ面20は、好ましくはガスケット自体の吸着性および/または粘着性により密着しており、ガスケット18内の空間は密閉される。負極集電体5は、重ね合わせ面20を通して負極複合体8Aの外部に導出される。あるいは、ガスケット18は、1つの部材として構成されていてもよく、かかる場合は、負極集電体5のための貫通孔がガスケット18に設けられている。
ガスケット18としては、有機電解質に耐性があるゴムまたはエラストマーであれば特に限定されないが、エチレン−プロピレン−ジエンの共重合からなるゴムまたはエラストマー、またはフッ素系のゴムまたはエラストマーが好適である。エチレン−プロピレン−ジエンの共重合からなるゴムとしては、例えば、EPM、EPDM、EPTが挙げられる。フッ素系のゴムまたはエラストマーとしては、例えば、フッ化ビニリデン系(FKM)、テトラフルオロエチレン-プロピレン系(FEPM)、テトラフルオロエチレン-パープルオロビニルエーテル系(FFKM)等が挙げられる。ゴムまたはエラストマーの物性は、軟らかい硬度であることが好ましい。ガスケット材料の硬度は、好ましくはショアA50〜70付近である。ガスケット材料が著しく柔らかい場合、加工性が悪い等の問題がある場合がある。ガスケット18が柔らかい硬度およびゴム弾性を有することにより、隔離層12間の隙間を塞ぐとともに、負極複合体8A内部の構成部材の均一な高さ調整が可能となる。すなわち、隔離層12の一方または両方を、直接または間接に押圧することで、緩衝層17と隔離層12との接触面の全体的な密着性を向上させることができる。さらに、これにより、緩衝層17を介した隔離層12と負極層15との接触性を高めることができる。また、ゴムまたはエラストマーは、成形前の原料が液状のタイプで、吸着性および/または粘着性が高いものが好ましい。
ガスケット18は、好ましくは四角形の窓枠状の形状である。ガスケット18のサイズは、枠内に負極層15を配置可能な内寸を有し、隔離層12とほぼ同じ大きさの外寸である。ガスケット18の厚さは、隔離層12間に積層される構成部材の厚さの合計と同程度の厚さであってよい。
ガスケット18に代えて、接着剤や、エポキシ樹脂およびシリコーン樹脂などの樹脂封止材を、隔離層12間の隙間を塞いで隔離層12間の空間を密閉するための内側封止部材として使用することもできる。
外周封止部材19は、2つの隔離層12の外周端に配置され、負極集電体の残部を2つの隔離層間の外側に露出させつつ2つの隔離層間を密閉封止する。外周封止部材19は、2つの隔離層12の外周端縁の全周に、2つの隔離層間の隙間を覆うように配置される。外周封止部材19は、好ましくはガスケット18に接触し、隔離層12およびガスケット18を外部から固定する。外周封止部材19により、負極複合体8Aの密閉性をさらに向上させることができる。外周封止部材19としては、2つの隔離層間を密閉封止可能であり、負極複合体8Aの厚さ方向に収縮可能であれば特に限定されないが、好ましくは接着剤である。接着剤としては、透湿性が低く、密閉性が高いものが好適であり、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤、オレフィン系接着剤、および合成ゴム系接着剤などが挙げられる。より好ましくは、接着剤は、水系電解質(好ましくは有機電解質)に対する耐性をさらに有しており、例えば、エポキシ系接着剤、オレフィン系接着剤等である。接着剤は、室温で短時間で硬化する硬化条件を有するものが好ましい。また、外周封止部材19として使用される接着剤には、金属リチウムを劣化させるアルコール系溶剤等が微量成分として含まれる場合があるが、ガスケット18により隔離層間の空間が密閉されているため、このようなアルコール系溶剤の負極複合体8A内部への侵入を防ぐことができる。この結果、外周封止部材19に使用可能な接着剤の種類の自由度を向上することができる。接着剤は、負極集電体5が貫通する貫通部を有する。
あるいは、外周封止部材19は、2つの隔離層12の各々の外面を外周端付近において押圧して挟持することにより固定する部材、例えばクリップなどであってもよい。外周封止部材19がこのような部材である場合、使用中の放電により負極層15の厚さが低減してしまった際に、隔離層12の一方または両方を押圧する作業を行うことなく、負極層15と隔離層12との距離を自動的に収縮させ、緩衝層17と隔離層12との密着性、および負極層15と隔離層12との緩衝層17を介した密着性を維持することができる。また、ガスケット18による2つの隔離層間の密閉性を強化することができる。外周封止部材19としてのクリップなどの部材は、上記の接着剤と併用することもできる。
本実施形態に係る負極複合体8Aは、隔離層12の一方または両方を押圧することにより、緩衝層17を介した隔離層12と負極層15との密着性を高めることができ、その結果、内部抵抗を低下させ、放電電圧を増加させることができる。リチウム空気電池の使用中の放電により、負極層15の厚さが低減してしまい、緩衝層17と隔離層12との密着性および緩衝層17を介した負極層15と隔離層12との密着性が低下した場合においても、再度、隔離層12の一方または両方を直接または間接に押さえ付けるだけで、負極層15と隔離層12との距離を縮めることができ、負極層15と隔離層12との密着性を確保できる。すなわち、放電により、隔離層12と緩衝層17、および隔離層12と負極層15との緩衝層17を介した密着性が低下しても、負極複合体を分解することなく、押圧という簡単な作業のみによって内部抵抗の低下、つまり、放電電圧の増加を達成することができる。
さらに、本実施形態に係る負極複合体8Aでは、ガスケット18同士、およびガスケット18と隔離層12とがガスケット18の吸着および/または粘着により固定されているため、負極複合体8A内の空間の密閉性が高い。また、外周封止部材19を備えることにより、密閉性をさらに高めることができる。このため、負極複合体8A内への水分や溶液の侵入を防ぐことができる。
さらに、本実施形態に係る負極複合体8Aでは、ガスケット18同士、またはガスケット18と隔離層12とがガスケット18の吸着および/または粘着により固定されているため、外周封止部材19として接着剤を塗布する際にはガスケット18同士または隔離層12とガスケット18との横ズレが生じる問題がない。よって、負極複合体8Aの製造過程における作業性が向上するという効果がある。
また、本実施形態に係る負極複合体8Aでは、ガスケット18が有機電解質に耐性があるため、接着剤や樹脂等の劣化原因となる有機電解質を負極複合体内に用いても、ガスケット18が劣化せず、負極複合体8A内部の密閉性を維持することができる。
図8は、本発明の実施形態に係るリチウム空気電池の負極複合体の他の例を示す概略的な断面図である。
図8に示すように、負極複合体8Bでは、負極複合体8Aと比較して、負極層15の隔離層12に対する面積割合が高く、ガスケット18の一部が隔離層12の端部外側にはみ出している。また、外周封止部材19は、2つの隔離層12の外周端の全周にかけて、ガスケット18を覆いつつ、隔離層12の外周端縁に配設されている。同一の符号を付した構成要素は、図5〜7について説明した実施形態と同一の構成を持ち、重複する説明は省略する。負極複合体8Bは、リチウム空気電池1、1Aにおいて、負極複合体8に代えて使用されることができる。
本実施形態に係る負極複合体8Bは、負極層15の隔離層12に対する面積割合が高いため、負極複合体8Bのサイズをコンパクトに維持しつつ、電池容量を増加させることができる。
図9は、本発明の実施形態に係るリチウム空気電池の負極複合体の他の例を示す概略的な断面図である。
図9に示すように、負極複合体8Cは、第1の負極集電体5aと、第2の負極集電体5bと、接触保持層3と、集電体接合部4と、2つの負極層15と、2つの隔離層12と、緩衝層17と、ガスケット18と、外周封止部材19とを備える。同一の符号を付した構成要素は、図5〜8について説明した実施形態と同一の構成を持ち、重複する説明は省略する。負極複合体8Cは、リチウム空気電池1、1Aにおいて、負極複合体8に代えて使用されることができる。
本実施形態では、負極集電体が、板状の第1の負極集電体5aと板状第2の負極集電体5bとで構成される。負極複合体8Cは、第1の負極集電体5aと第2の負極集電体5bとの間に、接触保持層3を備える。第1の負極集電体5aおよび第2の負極集電体5bの、接触保持層3と接触する面と反対の面には、2つの負極層15が各々隣接している。
第1の負極集電体5aおよび第2の負極集電体5bは、負極層15とほぼ同じ大きさの略同じ四角形の板形状を呈している。第1の負極集電体5aは一方の負極層15と隣接して配置され、第2の負極集電体5bはもう一方の負極層15と隣接して配置されており、(負極集電体−負極層)の構成が2組設けられている。この2組の構成体は、第1の負極集電体5aおよび第2の負極集電体5bが対向するように配置され、該2つの構成体の間に接触保持層3が配置される。すなわち、負極層15、第1の負極集電体5a、接触保持層3、第2の負極集電体5b、および負極層15の順に配置される。
第1の負極集電体5aおよび第2の負極集電体5bの間には、接触保持層3が存在しない領域において、集電体接合部4が配置される。集電体接合部4が配置される領域は、負極端子部5a1まで及んでいてもよい。集電体接合部4は、第1の負極集電体5aと第2の負極集電体5bとを接合して外部に導出させる。集電体接合部4は、第1の負極集電体5a側の負極15と、第2の負極集電体5b側の負極15とを統合して集約する。集電体接合部4としては、対象物を互いに溶かして接合する溶融溶接、固体同士をかしめ等で接合する固相接合、融点の低い合金(ろう)を溶かして母材自体を溶かさずに接合するろう付けの手段があるが、第1と第2の負極集電体同士で導電性を付与する接合手段であれば特に限定されない。集電体接合部4の具体例としては、スポット溶接、レーザー溶接、超音波溶接、ろう付けが挙げられる。これらの手段のうち、負極集電体同士で隙間なく、厚みが増えない接合方法がより好ましい。集電体接合部4は、接触保持層3に保持される有機電解質に晒されるため、耐有機電解質性を有することが好ましい。
本実施形態において、第1の負極集電体5aは、負極端子部5a1と一体形成されている。負極端子部5a1は、負極集電体と一体形成されていなくとも、別途形成されて、負極集電体に接続されていてもよい。また、第1の負極集電体5aおよび第2の負極集電体5bの両方が、負極端子部と一体形成されるか、接続されていてもよい。
接触保持層3は、四角形の平板形状を呈しており、第1の負極集電体5aおよび第2の負極集電体5bとほぼ同じサイズである。接触保持層3は、第1の負極集電体5aと第2の負極集電体5bとの間に配置される。
接触保持層3は、リチウムイオン伝導性を有し、かつ膨潤性を有する層である。接触保持層3は、有機電解質を吸収して膨潤しており、第1の負極集電体5aおよび第2の負極集電体5bを外側に押すことにより、負極複合体の内部の部材間の隙間が生じるのを減少させる。また、接触保持層3は、負極複合体8Cを組み立てる際に、接触保持層3の収縮力により圧縮された状態で、2組の(負極集電体−負極層)に挟み込まれることが好ましい。
接触保持層3は、樹脂もしくはゴムの多孔質シート、ゲル状のポリマー電解質、または多孔質および発泡質性のシートで形成されていることが好適である。接触保持層3は、これらの材料に吸収させたリチウムイオン伝導性の有機電解質を含有している。
樹脂もしくはゴムの多孔質シートは、好ましくはスポンジ素材の発泡質性のシートであり、負極複合体内部に含有するのと同成分等によるリチウム塩等の電解質を溶解した有機電解質によって膨潤させたものであることが好ましい。スポンジ素材のシートとしては、好ましくは、PP(ポリプロピレン)樹脂、およびPE(ポリエチレン)樹脂などのポリオレフィン系、PU(ポリウレタン)のスポンジ素材の多孔質シート、ならびにゴムスポンジの多孔質シートが挙げられるが、負極複合体内の有機電解質により溶解、変質などしない素材であることが好ましい。
ゲル状のポリマー電解質は、リチウム塩等の電解質を溶解した有機電解質によってポリマーシートを膨潤させて得られるゲル電解質である。ポリマーシートの材料としては、PEO(ポリエチレンオキシド)、PVA(ポリビニルアルコール)、PAN(ポリアクリロニトリル)、PVP(ポリビニルピロリドン)、PEO−PMA(ポリエチレンオキシド修飾ポリメタクリレートの架橋体)、PVdF(ポリフッ化ビリニデン)、PVA(ポリビニルアルコール)、PAA(ポリアクリル酸)、PVdF−HFP(ポリフッ化ビリニデンとヘキサフロオロプロピレンとの共重合体)、およびPPO(ポリプロピレンオキシド)等が挙げられる。リチウム塩は、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiTFSI(Li(CFSON)、Li(C2FSO2)N、LiBOB(ビスオキサラトホウ酸リチウム)等である。有機電解質の溶媒は1種単独または2種以上の混合物とすることができ、混合割合は任意である。有機電解質中のリチウム塩の濃度は、1〜1.3mol/lであることが好ましい。ゲル電解質におけるポリマーの量は、ゲル電解質中に3〜7質量%の範囲であることが好ましい。ポリマーの割合をこの範囲とすることにより、所望とするイオン伝導性を満たすことが可能となる。
接触保持層3は、リチウムイオン電池用のセパレータ、例えばセルロース、PPおよびPE等のポリオレフィン系などの多孔質性および/または発泡質性の材質のシートに、負極複合体内部に含有するのと同成分等によるリチウム塩等の電解質を溶解した有機電解質またはゲル状のポリマー電解質を含浸させ、膨潤させたシートであってもよく、このシートを1枚または数枚重ねたものであってもよい。
接触保持層3の厚さは、負極複合体内の負極層・隔離層等の部材間の接触性、部材の収納性、複合負極体の製造時の作業性に応じて決定することができる。
一般に、リチウム空気電池では、負極層と隔離層などの部材と間の密着性の低下により内部抵抗が増大する。また、リチウム空気電池では、放電時に負極層からリチウムイオンが溶け出すため、負極層の体積が減少する。このため、負極層と他の部材との間に隙間が生じることにより、密着性が低下し、接触抵抗が増大し、放電電圧が低下する場合がある。特に、高容量の電池を作製するために金属リチウム等の負極の厚さを厚くした場合に、隙間の発生に起因する放電電圧の低下が著しくなり得る。
これに対し、本実施形態に係る負極複合体8Cは、2組の(負極層−負極集電体)の間に、膨潤性の接触保持層3を配置することにより、負極層15と隔離層12との間の緩衝層17を介した密着性が高まり、内部抵抗を減少させることができる。さらに、放電時には負極層15の体積が減少するが、接触保持層3が負極集電体を介して負極層15に追従するため、負極層15と隔離層12との間の隙間の発生を抑え、負極層15と隔離層12との間の緩衝層17を介した密着性を保持することが可能となる。また、2つの負極層15の間で放電の偏りが生じた場合、接触保持層3が片側の負極層15ごとに追従することができ、体積がより大きく減少した片側の負極層15と隔離層12との緩衝層17を介した密着性が減少することがなく、両側の負極層の放電に影響が生じないという効果がある。
さらに、第1の負極集電体5aおよび第2の負極集電体5bの片面のみに負極層15が貼付される構成であるため、負極集電体の両面に2つの負極層が貼付される場合よりも、負極層15の厚さを厚くすることが製造上容易になるという利点がある。その結果、リチウム空気電池を高容量化させることが可能となる。
また、本実施形態によれば、接触保持層3は、リチウムイオン伝導性であるため、負極複合体8C内部の内部抵抗を低下させ、その結果放電電圧を高めることができる。さらに、接触保持層3の配置により、負極複合体8Cの内部の有機電解質および/またはゲル電解質の存在量が増加するため、長期にわたって安定した電池性能を得ることができる。
図10は、本発明の実施形態に係るリチウム空気電池の負極複合体の他の例を示す概略的な断面図である。
図10に示すように、負極複合体8Dでは、第1の負極集電体5aが、負極端子部5a1と一体形成されており、第2の負極集電体5bが負極端子部5b1と一体形成されている。負極端子部5a1および5b1は、ガスケット18の外側に導出されている。負極端子部5a1と負極端子部5b1との間には、集電体接合部4が配置されている。同一の符号を付した構成要素は、図5〜9について説明した実施形態と同一の構成を持ち、重複する説明は省略する。負極複合体8Dは、リチウム空気電池1、1Aにおいて、負極複合体8に代えて使用されることができる。本実施形態に係る負極複合体8Dは、負極集電体の面積が増えて導通が大きくなり、大電流での充放電に有利であるという効果を有する。
図11は、本発明の実施形態に係るリチウム空気電池の負極複合体の他の例を示す概略的な断面図である。
図11に示すように、負極複合体8Eでは、第1の負極集電体5aおよび第2の負極集電体5bが一体形成されており、接触保持層3と隣接する2つの平面部を連結する折り返し部5cを備える。さらに、2つの負極層15が一体形成されており、隔離層12と緩衝層17を介して隣接する2つの平面部を連結する折り返し部15cを備える。第1の負極集電体5aは、負極端子部5a1と一体形成されており、負極端子部5a1は、ガスケット18の外側に導出されている。第1の負極集電体5aおよび第2の負極集電体5bの間には、接触保持層3が存在しない領域において、集電体接合部4が配置される。同一の符号を付した構成要素は、図5〜10について説明した実施形態と同一の構成を持ち、重複する説明は省略する。負極複合体8Eは、リチウム空気電池1、1Aにおいて、負極複合体8に代えて使用されることができる。本実施形態に係る負極複合体8Eは、1組の(負極集電体−負極層)折り返すことになり、部品点数の減少、負極複合体の製造時の作業性向上、および接触保持層3との一体化の効果がある。
図12は、本発明の実施形態に係るリチウム空気電池の負極複合体の他の例を示す概略的な断面図である。
図12に示すように、負極複合体8Fでは、第1の負極集電体5aおよび第2の負極集電体5bが一体形成されており、接触保持層3と隣接する2つの平面部を連結する折り返し部5cを備える。さらに、2つの負極層15が一体形成されており、隔離層12と緩衝層17を介して隣接する2つの平面部を連結する折り返し部15cを備える。第1の負極集電体5aは、負極端子部5a1と一体形成されており、第2の負極集電体5bは負極端子部5b1と一体形成されている。負極端子部5a1および5b1は、ガスケット18の外側に導出されている。負極端子部5a1と負極端子部5b1との間には、集電体接合部4が配置されている。同一の符号を付した構成要素は、図5〜11について説明した実施形態と同一の構成を持ち、重複する説明は省略する。負極複合体8Fは、リチウム空気電池1、1Aにおいて、負極複合体8に代えて使用されることができる。本実施形態に係る負極複合体8Fは、負極複合体8Eの効果に負極複合体8Dの効果が追加される。
図13は、本発明の実施形態に係るリチウム空気電池の負極複合体の他の例を示す概略的な斜視図である。
図14は、本発明の実施形態に係るリチウム空気電池の負極複合体を示す概略的な断面
図である。
図13および図14に示すように、負極複合体8Gでは、2つの隔離層12のうちの一方が、負極層15に隣接する面内の第1の分割線、および同一面内の第2の分割線の各々において分割されており、分割によって形成された分割体が分割前の位置に配置されたまま、分割体間の隙間がガスケット22および接着剤23により封止されている。なお、図13において省略されているが、図14に示されるように2つの隔離層12の開口は、ガスケット18および外周封止部材19により適切に封止され、内部の空間は密閉されている。同一の符号を付した構成要素は、図5〜12について説明した実施形態と同一の構成を持ち、重複する説明は省略する。負極複合体8Gは、リチウム空気電池1、1Aにおいて、負極複合体8に代えて使用されることができる。
本実施形態では、第1の分割線は、負極層15に隣接する面内の、隔離層12の一辺と略平行であり、第2の分割線は、第1の分割線と略直交する。隔離層12の分割により形成された4つの分割体は、分割前と同一の配置位置で、隔離層封止部材であるゴム製のガスケット22および接着剤23を用いて貼り合わされる。ガスケット22は、分割体間の隙間を隙間なく封止するように、分割線に沿って十字状に隔離層12に貼付される。接着剤23は、ガスケット22を隔離層12上に液密的に封止して固定するように、ガスケット22全体およびその周囲の隔離層12上の面に塗布され、硬化される。なお、接着剤23は、硬化後においても、液密性は保持しているものとする。隔離層12が負極複合体8Gの内側に折れ曲がるのを可能とするために、ガスケット22および接着剤23は、緩衝層17に隣接する面とは反対の面に配置される。
第1の分割線は、必ずしも隔離層12の一辺と略平行である必要はなく、隔離層12の一辺と任意の角度をなす方向であってよい。また、第2の分割線は、第1の分割線と略直交でなくてもよく、第1の分割線と平行、または第1の分割線と交差する任意の角度をなす方向とすることができる。第1の分割線および第2の分割線の方向は、隔離層12が負極複合体8Gの内側に適切に折れ曲がることができるように決定される。隔離層12は、第1の分割線および第2の分割線に加え、さらなる1以上の分割線で分割されていてもよい。さらなる1以上の分割線は、第1の分割線および第2の分割線と同じ方向であっても、異なる方向であってもよい。隔離層12における好ましい分割線の数の合計は、例えば1辺が2インチ程度の場合は2〜4である。隔離層12の1辺が2インチ以上の場合は、その限りではなく、分割数を増やすことが好ましい。
本実施形態では、隔離層12のうち一方が分割されているが、2つの隔離層12の両方が分割されていてもよい。分割線の方向および数は、2つの隔離層12において同一であっても異なっていてもよい。
なお、後述するように、負極層15に溝部を形成する場合は、理論放電容量の低下を防ぐため、隔離層12のうちの一方のみが分割されていることが好ましい。
ガスケット22は、分割体同士を貼り合わせることができるものであれば特に限定されず、ゴム製の他に、エラストマー製であってもよい。ゴムおよびエラストマーは、電解質に耐性を有するものであることが好ましく、エチレン−プロピレン−ジエンの共重合からなるゴムまたはエラストマー、またはフッ素系のゴムまたはエラストマーがより好ましい。エチレン−プロピレン−ジエンの共重合からなるゴムとしては、例えば、EPM、EPDM、EPTが挙げられる。フッ素系のゴムまたはエラストマーとしては、例えば、フッ化ビニリデン系(FKM)、テトラフルオロエチレン-プロピレン系(FEPM)、テトラフルオロエチレン-パープルオロビニルエーテル系(FFKM)等が挙げられる。ゴムまたはエラストマーの物性は、軟らかい硬度であることが好ましい。ガスケット材料の硬度は、好ましくはショアA50〜70付近である。ガスケット材料が著しく柔らかい場合、加工性が悪い等の問題がある場合がある。ガスケット22が柔らかい硬度およびゴム弾性を有することにより、隔離層12の負極複合体8G内部への屈曲が可能となる。また、ゴムまたはエラストマーは、成形前の原料が液状のタイプで、吸着性および/または粘着性が高いものが好ましい。
接着剤23は、ガスケット22および隔離層12の両方に液密的に接着可能なものが望ましく、硬化後も弾性を持ち屈曲可能であれば特に限定されないが、透湿性が低く、密閉性が高いものが好適である。接着剤23は、水系電解質に耐性があることが好ましく、非水系電解質にも耐性があることがより好ましい。接着剤23は、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤、オレフィン系接着剤、および合成ゴム系接着剤などであり、実施例ではエポキシ系接着剤を使用している。
分割体間の貼り合わせには、ガスケット22および接着剤23を各々単独で用いてもよい。好ましくは、ガスケット22および接着剤23が併用され、ガスケット22が分割体同士を貼り合わせ、接着剤23がガスケットを覆うことにより固定する。
図14に示されるように、リチウム空気電池では、放電により負極層からリチウムイオンが溶け出すため、放電前の負極複合体8G(図14(a))の負極層15の体積よりも、放電後の負極複合体8G(図14(b))の負極層15の体積は減少し、厚さが薄くなる。負極複合体8Gの隔離層12は、分割体の接合により形成されているため、負極層15の体積の減少により負極複合体8の内部が減圧されると、隔離層12の分割体の接合部分が負極複合体8Gの内側に折れ曲がり、緩衝層17を介した隔離層12と負極層15との接触性を高めることができる。このため、放電後のセルの内部抵抗の増加を抑え、長時間にわたって放電電圧を維持することができる。
特に、負極層15の厚さが厚い場合、放電による負極層15の薄化による影響が大きくなるが、本実施形態に係る負極複合体8Gによれば、負極層15が薄化しても放電電圧を長時間維持することができる。よって、負極複合体8Gは、通常よりも厚い負極層15を採用することが可能であり、それによりリチウム空気電池の容量を向上させることができる。例えば、本実施形態では、負極層15の厚さを、隔離層が分割されていない場合の負極層の厚さと比べて2倍程度に増加させても、高深度の放電による内部抵抗の増加を減少させることができる。
さらに、接着剤23は、負極複合体8Gの外面を構成する隔離層12の面に配置されており、ガスケット22により、負極複合体8G内部の有機電解質に接触しない。負極複合体8Gの外側に存在するのは水系電解質であるため、接着剤23の選定の自由度が高まる。また、接着剤23は、負極複合体8Gの内部の有機電解質と直接に接触しないため、劣化が抑制され、有機電解質の漏洩が発生しにくいという利点もある。
図15は、本発明の実施形態に係るリチウム空気電池の負極複合体の他の例を示す概略
的な斜視図である。
図16は、本発明の実施形態に係るリチウム空気電池の負極複合体を示す概略的な断面
図である。
図15および図16に示すように、負極複合体8Hでは、2つの隔離層の一方が、負極層に隣接する面内の第1の分割線および第2の分割線で各々分割されて形成された分割体が、分割前の位置に配置されたまま、分割体間の隙間をガスケット22および接着剤23により封止されてなる。さらに、負極複合体8Hでは、分割体から構成される隔離層12と対向する負極層15が、隔離層12の分割線と積層方向から見て重なる位置に形成された溝部を有する。なお、図15において省略されているが、図16に示されるように2つの隔離層12の開口は、ガスケット18および外周封止部材19により適切に封止され、内部の空間は密閉されている。同一の符号を付した構成要素は、図5〜14について説明した実施形態と同一の構成を持ち、重複する説明は省略する。負極複合体8Hは、リチウム空気電池1、1Aにおいて、負極複合体8に代えて使用されることができる。
本実施形態では、分割体から構成される隔離層12と緩衝層17を介して隣接する負極層15が帯状の溝部を有している。該溝部は、分割線に平行に、十字状の形状に形成されている。該溝部は、隔離層12の分割線に沿った位置、すなわち、隔離層12と負極層15との積層方向から見て分割線と重なる位置に設けられている。重なる位置は、積層方向から見た場合に、分割線が溝部の幅に収まる位置であればよい。
溝部の幅および深さは、隔離層12や負極層15の種類およびサイズ等の構成部材の具体的な構造により適宜決定することができ、隔離層12が負極複合体8Hの内側に折れ曲がったときに隔離層12が負極層15に接触しない程度の幅および深さであることが好ましい。一例としては、溝部の幅が接着剤23の幅以上となるようにし、深さは負極層15の厚さの1/2以上となるようにする。溝部は、負極層15を貫通していても、非貫通であってもよいが、100%放電容量を向上させる観点から、出来る限り幅が短く深さが浅いことが好ましい。
溝部を有する負極層15は、種々の任意の方法により作製することができる。溝部を有する負極層15は、例えば、負極層15の表面を削る、または負極集電体5の端からはみ出す舌部を、負極集電体5を包み込むように折り曲げることにより成形することができる。また、図17に示すように、負極集電体5の一面に、小さな負極層15を4枚貼り付けることにより、十字状の溝部を設けてもよい。あるいは、負極集電体5に貼り付けた負極層15を型押し成形することにより、溝部を設けることもできる。図18(a)には、型押し成形により溝部15eが設けられた負極層15と、負極層15が貼付された負極集電体5を示し、図18(b)には、図18(a)のA−A’による断面を示す。なお、図18では省略されているが、負極集電体5のもう一方の面には、溝部を有していない負極層5が貼付される。
負極層15の溝部は、絶縁処理が施されていることが好ましい。絶縁処理は、例えば、導電性のないテープを貼る、または塗装を行うこと等により行うことができる。負極層15の溝部が絶縁処理されていることにより、リチウム空気電池の充電時に、負極層15の溝部にリチウム金属が載らないようにすることができ、溝部を保持することができる。その結果、溝部による効果を持続させることができる。
2枚の隔離層12のうち一方は分割体から構成される隔離層12であり、もう一方の隔離層12は分割されていない平板状形状を有するものである。もう一方の隔離層12が分割されていない一枚板の平板状形状であることにより、負極複合体8Hが折れ曲がることがなく、形状を保持することができる。また、隔離層12のうち一方のみが分割されている場合は、負極層15の一方のみに溝部を設ければよい。よって、溝部の形成による負極層15の体積の減少を少なくして、セルの理論放電容量の低下を防ぐことができる。
本実施形態に係る負極複合体8Hでは、隔離層の分割線に沿った位置に負極層15に溝部が設けられているため、放電時に隔離層12が負極複合体8Hの内側に折れ曲がったときに、負極層15が隔離層12に接触しにくいため、隔離層12の変形が妨げられない。よって、隔離層12の安定した変形が可能となり、ひずみを分散することができる。図16に示されるように、放電前の負極複合体8H(図16(a))では隔離層12は平面状の形状であるが、充電後の負極複合体8H(図16(b))では、負極層15の体積の減少による内圧の低下により、隔離層12が負極複合体8Gの内側に折れ曲がる。隔離層12は、内圧の低下の程度が大きい場合はより深く折れ曲がることができる。これにより、負極複合体8H内部の内圧低下時の負極複合体8H内の部材間の接触性を高め、セルの内部抵抗の増加を抑えることができる。このように、本実施形態に係る負極複合体8Hは、放電時の内圧低下による内部抵抗の増加を緩和することができるため、設計した電気量により近い放電容量、例えば、理論容量の80%以上の放電容量が安定的に得られるセルの作製を可能とする。
ここで、負極層15に溝部を形成すると、溝部の分だけ負極層15の体積が減少するため、セルのエネルギー密度は低下するものの、溝部によって上述のように隔離層12の安定的な変形が可能となることにより、長時間の高い平均電圧での放電が可能となり、結果的に放電容量は増加する。
また、本実施形態に係る負極複合体8Hによれば、負極層15の厚さを厚くし、リチウム量を増加させた場合にも、分割された隔離層12が安定的に変形することにより、負極複合体8H内部の減圧を緩和し、内部抵抗の増加を抑えることができる。このため、本実施形態に係る負極複合体8Hによれば、厚い負極層15を使用できることによりエネルギー密度が増加し、かつ安定して高い放電容量が得られるリチウム空気電池を実現できる。
一方、負極層15に溝部が設けられていない場合、放電時に、隔離層12の分割線に沿った部分の負極層15が溶け出さずに残存することがあり、残存した部分が隔離層12の内側への折れ曲がりを妨げる場合もある。このため、隔離層12の分割による効果が十分に得られずに、より高い放電容量が得られない場合があった。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明に係るリチウム空気電池および負極複合体は下記実施例によって制限されるものではない。
[実施例1]
(負極複合体の作製)
負極複合体108を、以下の手順で作製した。図19には、負極複合体の分解した状態と組み立てた状態を示す。
(1)負極複合体108の構成部材である固体電解質112(リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス(LTAP)薄板、四角形、2枚)、金属リチウム115(四角形、2枚、銅箔(負極集電体、1枚、四角形の板状部と帯状の端子部分とからなる)の両面に貼付)、セルロースセパレータ117(四角形、2枚)、およびガスケットシート118(EPDM、四角枠、2枚)を準備した。2枚の固体電解質112の各々にガスケットシート118を貼り付けた。
(2)図19において下側に示される1枚の固体電解質112上に、セルロースセパレータ117を、ガスケットシート118の枠内に入るように配置し、有機電解質(EC:EMC=1:1、1MのLiPF)をセルロースセパレータ117に滴下して全体に染み込ませた。金属リチウム115を、セルロースセパレータ上に、ガスケットシート118の枠内に入るように配置し、2枚目のセルロースセパレータ117を金属リチウム115上に配置した。2枚目のセルロースセパレータ117に有機電解質を滴下し、全体に染み込ませた。
(3)(1)で作製した上側の固体電解質112を、(2)の作製物の上から被せ、上側と下側のガスケットシート118をずれないように張り付けて、外部の空気等が入らないようにガスケットシート118の粘着性により密閉させた。負極複合体208の内部の構成部材同士が、特に固体電解質112と金属リチウム115とが密着性良く接触するように、外側から全体を押さえて固定させた。
(4)エポキシ系接着剤119(2液常温硬化型)を、2枚の固体電解質112の間を密閉するように、固体電解質112の外周端縁の全周に薄く塗布し、エポキシ系接着剤119を硬化させた。
(空気極の作製)
正極の酸素還元の触媒として白金担持カーボン(Pt45.8%)を80mgと、バインダー(結着剤)としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を20mgとを計り取り、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)3mlを添加して混合溶媒を調製した。
混合溶媒を攪拌機(シンキ−製AR−100)で15分、超音波で60分攪拌および分散を行い、塗工機(松尾産業製K202コントロールコーター)を用いて、カーボンクロス上に塗布し、その後、ホットプレート上に置いて110℃で1時間加熱乾燥させて、白金担持量0.25mg/cmの空気極を作製した。空気極の集電体として、空気極のカーボンクロスを直方形の形状で延長させたものとした。
(水系電解質の調製)
4.24gのLiClを精製水50mlに溶解させ、2MのLiCl水溶液を調製した。水系電解質を保持するため、水系電解質をセルロースシートに滴下し、空気極と負極の間に配置した。
(セルの作製)
負極複合体を収容可能な大きさの、穴が開いたプラスチック製のケースに、空気極、水系電解質を滴下したセルロースシート、負極複合体、水系電解質を滴下したセルロースシート、および空気極をこの順にズレが無いように重ねたものを収容し、リチウム空気電池のセルとした。
[比較例1]
(負極複合体の作製)
負極複合体208を、次の手順で作製した。固体電解質212(リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス(LTAP)薄板、1枚)の一面に窓材用のアルミラミネート包材202(PP樹脂/アルミ/PET樹脂、四角枠)を合成ゴム系接着剤で接着した。固体電解質212のもう一方の面に、緩衝層217としてセルロースセパレータを配置し、有機電解質(EC:EMC=1:1、1MのLiPF)を染み込ませた。次いで、銅箔205の片面に貼り付けられた金属リチウム215を緩衝層217上に配置した。これらの部材を、窓材用のアルミラミネート包材202と外側用のアルミラミネート包材202(PP樹脂/アルミ/PET樹脂、四角形)との間に入れて包んで袋状のセルにするため、外側用と窓材用のアルミラミネート包材202の四辺の端部を重ね合わせた状態で熱溶着して密閉した。金属リチウムの使用量は実施例1とほぼ同一とした。
(空気極の作製)
空気極209の作製は、実施例1と同様にして行った。空気極集電体206としてはアルミ箔を使用した。
(水系電解質の調製)
水系電解質の調製は、実施例1と同様にして行った。
(セルの作製)
比較例1のセルの構造は、その分解された状態が図20に示されている。比較例1の負
極複合体208に、保水層219(水系電解質を滴下したセルロースシート)、および空気極209をこの順にズレが無いように重ねてリチウム空気電池201のセルとした。
[放電試験1]
実施例1および比較例1のセルにおいて、4mA/cm(約0.1Cの放電レート)で放電した際の放電電圧をBAS社製 電気化学アナライザーALS608Aで6時間にわたって測定した。ここで、1Cは、公称容量を有するセルを定電流放電して、ちょうど1時間で放電終了となる電流値を指す。放電電圧の測定結果を図21に示す。図21に示されるように、実施例1のセルは、比較例1のセルと比べて全ての測定時間において高い放電電圧を示した。平均放電電圧は、実施例1のセル1.56V、比較例1のセルが0.65Vであり、実施例1のセルは2倍以上の値であった。
[インピーダンス評価]
実施例1のセルと比較例1のセルの1MHz〜10mHzの範囲におけるインピーダンスをSolartron社製 周波数応答アナライザ(FRA)1255B型を用いて測定した。図22にその測定結果(ナイキストプロット)を示す。Z’は実数部を示し、Z’ ’は虚数部を示す。図22に示されるナイキストプロットから、実施例1のセルは、比較例1のセルよりもインピーダンスがおよそ半分という顕著に低い値を示すことが判明した。これにより、実施例1のセルと比較例1のセルは、同一条件で作製した空気極を使用しているため、実施例1のセルのインピーダンスの低さは、負極複合体における内部抵抗の低さに起因していると考えられる。また、実施例1のセルでは、負極複合体の内部抵抗が低いことにより、図21に示す放電電圧が高い値を示したと考えられる。
[実施例2]
(負極複合体の作製)
負極複合体108A(理論容量336mAh相当)を、酸素濃度1ppm以下、露点−76℃dpでのArガスの雰囲気下で、以下の手順で作製した。図23には、複合負極体108Aの分解した状態と、組み立てた状態を示す。
(1)負極複合体108Aの構成部材である隔離層である固体電解質112A(リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス(LTAP)薄板、四角形、2枚)、負極層の金属リチウム115A(金属Li、四角形、2枚、2枚の銅箔105A(四角形の板状部と帯状の端子部分とからなる)の片面に1枚ずつ貼付)、接触保持層103A(ポリオレフィン系(PE樹脂)多孔質シート、四角形、1枚)、セルロースセパレータ117A(四角形、2枚)、およびガスケットシート118A(EPDM、四角枠、2枚)を準備した。金属リチウム115Aは、実施例1の金属リチウム115の2倍の厚さのものを用いた。2枚の固体電解質112Aの各々にガスケットシート118Aを1枚ずつ貼り付けた。
(2)図23において下側に示される1枚目の固体電解質112A上に、緩衝層としてセルロースセパレータ117Aを、ガスケットシート118Aの枠内に入るように配置し、有機電解質(EC:EMC=1:1、1MのLiPF)をセルロースセパレータ117Aに滴下して全体に染み込ませた。金属リチウム115Aに、端子部を含む負極集電体の銅箔105Aを貼付したもの(金属リチウム115A−銅箔105A)をセルロースセパレータ117A上に、金属リチウム115Aがセルロースセパレータ117Aと接触し、かつガスケットシート118Aの枠内に入るように配置した。銅箔105A上に、接触保持層103Aとして、ポリオレフィン(PE樹脂)系多孔質シートを配置した。接触保持層103Aに、有機電解質(EC:EMC=1:1、1MのLiPF)を滴下して全体に染みこませた。その上に2つ目の金属リチウム115A−銅箔105Aを、銅箔105Aがポリオレフィン系多孔質シート103Aと接触するように配置し、2枚目のセルロースセパレータ117Aを金属リチウム115A上に配置した。2枚目のセルロースセパレータ117Aに有機電解質を滴下し、全体に染み込ませ、このセルロースセパレータ117Aと金属リチウム115Aとが密着するのを確認した。
(3)図23において上側に示される2枚目の固体電解質112Aを、2枚目の固体電解質112Aに貼り付けられたガスケットシートと1枚目の固体電解質112Aに貼り付けられたガスケットシートとが重ね合わさるように、(2)の作製物上にずれのないように被せた。2枚のガスケットシート118Aを張り付けて、外部の空気等が入らないようにガスケットシート118Aの粘着性により密閉させた。負極複合体内部の構成部材同士が、特に固体電解質112Aと金属リチウム115Aとが密着性良く接触するように、外側から全体を押さえて固定させた。また、金属リチウム115Aに貼付された銅箔105A(負極集電体)の一部を負極端子として固体電解質112Aの外側に露出するようにした。
(4)エポキシ系接着剤119A(2液常温硬化型)を、2枚の固体電解質112Aの間を密閉するように、固体電解質112Aの外周端縁の全周に薄く塗布し、エポキシ系接着剤119Aを硬化させた。2枚の端子は、負極端子内側をろう付け部104Aで接合させて負極複合体108Aの外に出した。
(空気極の作製)
空気極を、以下の手順で作製した。
(1)空気極の酸素還元の触媒として白金担持カーボン(Pt45.8%)を80mgと、バインダー(結着剤)としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を20mgとを計り取り、N−メチルピロリドン(NMP)を3.0ml添加して混合溶媒を調製した。
(2)混合溶媒を攪拌機(シンキ−製AR−100)で15分、超音波で60分攪拌および分散を行い、塗工機(松尾産業製K202コントロールコーター)を用いて、カーボンクロス上に塗布し、その後、ホットプレート上に置いて110℃で1時間加熱乾燥させて、白金担持量およそ0.25mg/cmの空気極を作製した。
(3)(2)の空気極において、白金が担持されたカーボンクロスをカットして作製した
。放電試験では、2枚の空気極を使用した。
(水系電解質の調製)
4.24gのLiClを精製水500mlに溶解させ、2MのLiCl水溶液を調製した。水系電解質を保持するため、水系電解質をセルロースシート上に滴下し、空気極と負極複合体108Aとの間に配置した。
(セルの作製)
負極複合体108Aを収容可能な大きさの、穴が開いたプラスチック製のケースに、空気極、水系電解質を滴下したセルロースシート、負極複合体108A、水系電解質を滴下したセルロースシート、および空気極をこの順にズレが無いように重ねたものを収容し、実施例2のリチウム空気電池のセルとした。
[実施例3]
実施例3のセルを、以下の手順により作製した。
(負極複合体の作製)
実施例3の負極複合体(理論容量336mAh相当)を、酸素濃度1ppm以下、露点−76℃dpでのArガスの雰囲気下で、以下の手順で作製した。構成部材の組み立ては、図19に示される実施例1のセルと同様にした。
(1)負極複合体の構成部材である固体電解質(リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス(LTAP)薄板、四角形、2枚)、金属リチウム(四角形、2枚、1枚の銅箔(四角形の板状部と帯状の端子部分とからなる)の両面に貼付)、セルロースセパレータ(四角形、2枚)、およびガスケットシート(EPDM、四角枠、2枚)を準備した。金属リチウムの使用量は実施例2と同一とした。2枚の固体電解質の各々にガスケットシートを1枚ずつ貼り付けた。
(2)1枚目の固体電解質上に、セルロースセパレータを、ガスケットシートの枠内に入るように配置し、有機電解質(EC:EMC=1:1、1MのLiPF)をセルロースセパレータに滴下して全体に染み込ませた。金属リチウムをセルロースセパレータ上に、ガスケットシートの枠内に入るように配置し、2枚目のセルロースセパレータを金属リチウム上に配置した。2枚目のセルロースセパレータに有機電解質を滴下し、全体に染み込ませ、このセルロースセパレータと金属リチウムが密着するのを確認した。
(3)2枚目の固体電解質に貼り付けられたガスケットシートと1枚目の固体電解質に貼り付けられたガスケットシートとが重ね合わさるように、(2)の作製物上にずれのないように被せた。2枚のガスケットシートを張り付けて、外部の空気等が入らないようにガスケットシートの粘着性により密閉させた。負極複合体内部の構成部材同士が、特に固体電解質と金属リチウムとが密着性良く接触するように、外側から全体を押さえて固定させた。また、金属リチウムに貼付された銅箔(負極集電体)の一部が固体電解質の外側に露出するようにした。
(4)エポキシ系接着剤(2液常温硬化型)を、2枚の固体電解質の間を密閉するように、固体電解質の外周端縁の全周に薄く塗布し、エポキシ系接着剤を硬化させた。
(空気極の作製)
空気極の作製は、実施例2と同様にして行った。
(水系電解質の調製)
水系電解質の調製は、実施例2と同様にして行った。
(セルの作製)
実施例3のセルを実施例2と同様の方法で作製した。
[放電試験2]
実施例2および実施例3の理論容量336mAh相当セルにおいて、理論容量に対して0.05C相当の電流密度4mA/cmで放電した際の放電電圧を、20℃の温度で、BAS社製ALS608Aで測定した。放電電圧の測定結果を図24に示す。図24に示されるように、実施例2および実施例3のセルはいずれも長時間にわたる安定した放電電圧を示したが、実施例2のセルは、実施例3のセルよりもさらに放電電圧が高く、放電時間も長くなる結果となった。
[実施例4]
実施例4のセル101Bを作製した。図25には、実施例4のセル101Bの構造を示す。なお、図25では、識別しやすいように各部材間の間に隙間を空けて示されているが、実際には各部材は接触している。空気極109Bは空気極と正極集電体とにより構成されている。また、図示は両略されているが、空気極109Bの開口は、ゴム、エラストマー、および接着剤等の蓋材により適切に閉塞されている。
(負極複合体の作製)
負極複合体108Bを、酸素濃度1ppm以下、露点−76℃dpでのArガスの雰囲気下で、以下の手順で作製した。
(1)隔離層の固体電解質112B(リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス(LTAP)薄板、四角形、2枚)を準備した。2枚の固体電解質112Bのうち1枚を、縦横ともに半分に分割し、4枚の分割体とした。4枚の分割体を分割前の配置のまま、ラバーガスケット122Bおよびエポキシ系接着剤123Bを用いて、切断部分を貼り合せて、分割体間の隙間を密封した。ラバーガスケット122Bおよびエポキシ系接着剤123Bは、固体電解質112Bの片面に十字状に貼り付けた。
(2)負極層の金属リチウム115B(四角形、2枚、1枚の銅箔(負極集電体)105Bの両面に貼付)、緩衝層としてポリマー電解質117B(EC:EMC=1:1、1MのLiPF+PEO6%)、およびガスケットシート118B(EPDM、四角枠、2枚)を準備した。金属リチウム115Bは、実施例1の金属リチウム115の2倍の厚さのものを用いた。ガスケットシート118Bの外寸は、固体電解質112Bと同じサイズとした。分割していない固体電解質112B、および4枚の分割体を貼りあわせた固体電解質112Bの各々にガスケットシート118Bを貼り付けた。4枚の分割体を貼り合わせた固体電解質112Bにガスケットシート118Bを貼り付ける際は、分割体の貼り合わせに用いたラバーガスケット122Bが貼付している面とは反対の面に貼り付けた。
(3)1枚の固体電解質112B上に、緩衝層のポリマー電解質117Bを、ガスケットシート118Bの枠内に入れて配置した。金属リチウム115Bおよび負極集電体105Bを、緩衝層のポリマー電解質117B上に、ガスケットシート118Bの枠内に入るように配置した。2枚目の金属リチウム115Bおよび負極集電体105Bをその上に配置した。金属リチウム上に緩衝層のポリマー電解質117Bを入れて配置した。
(4)(1)で作製した固体電解質112Bを、(3)の作製物の上から被せ、2枚の固体電解質112Bに各々貼り付けられたガスケットシート118Bが重ね合わさるように、ずれないように張り付けて、外部の空気等が入らないようにガスケットシート118Bの粘着性により密閉させた。負極複合体208Bの内部の構成部材同士が、特に固体電解質112Bと金属リチウム115Bとが密着性良く接触するように、外側から全体を押さえて固定させた。
(5)エポキシ系接着剤119B(2液常温硬化型)を、2枚の固体電解質112Bの間を密閉および固定するように、固体電解質112Bの外周端縁の全周に薄く塗布し、エポキシ系接着剤119Bを硬化させた。
(空気極の作製)
正極の酸素還元の触媒として白金担持カーボン(Pt45.8%)を80mgと、バインダー(結着剤)としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を20mgとを計り取り、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を3mlを添加して混合溶媒を調製した。
混合溶媒を攪拌機(シンキ−製AR−100)で15分、超音波で60分攪拌および分散を行い、塗工機(松尾産業製K202コントロールコーター)を用いて、カーボンクロス上に塗布し、その後、ホットプレート上に置いて100℃で1時間加熱乾燥させて、白金担持量0.2mg/cmの空気極を作製した。空気極の集電体として、アルミ箔を空気極に貼付した。
(水系電解質の調製)
4.24gのLiClを精製水50mlに溶解させ、2MのLiCl水溶液を調製した
。水系電解質を保持するため、水系電解質をセルロースシートに滴下し、空気極と負極の
間に配置した。
(セルの作製)
負極複合体を収容可能な大きさの、穴が開いたPP製のケース(図示を省略)に、4枚の空気極109B、負極複合体108B、保水層としてセルロースセパレータ107B、および4枚の空気極109Bの順に収容し、水系電解質(2MのLiCl水溶液)を、空気極108B、負極複合体108Bが十分に浸漬するまで注ぎ、ケースを閉じて、実施例4のリチウム空気電池のセルとした。
[実施例5]
実施例5のリチウム空気電池のセルを、負極複合体の作製において、2枚の固体電解質として分割されていないものを使用した以外は実施例4と同様にして作製した。
[実施例6]
負極複合体の作製において、固体電解質の分割および貼り合わせを次のように行った以外は実施例4と同様にして実施例6のリチウム空気電池のセルを作製した。2枚の固体電解質のうち1枚を、表2に示すように対角線上に半分に分割し、4枚の分割体とした。4枚の分割体を分割前の配置のまま、ラバーガスケットおよびエポキシ系接着剤を用いて、切断部分を貼り合せて、分割体間の隙間を密封した。ラバーガスケットおよびエポキシ系接着剤は、固体電解質の片面に対角線状に貼り付けた。
[実施例7]
負極複合体の作製において、固体電解質の分割および貼り合わせを次のように行った以外は実施例4と同様にして実施例7のリチウム空気電池のセルを作製した。2枚の固体電解質のうち1枚を、表2に示すように横に半分に分割し、縦に三等分して6枚の分割体とした。また、2枚の固体電解質のうち1枚を、縦に半分に分割し、横に三等分して6枚の分割体としてもよい。6枚の分割体を分割前の配置のまま、ラバーガスケットおよびエポキシ系接着剤を用いて、切断部分を貼り合せて、分割体間の隙間を密封した。ラバーガスケットおよびエポキシ系接着剤は、固体電解質の片面に分割体の境界に沿って直線状に貼り付けた。
[放電試験3]
実施例4および実施例5のセルにおいて、理論容量に対して0.05C相当の電流密度
4mA/cmで放電した際の放電電圧を、20℃の温度で、BAS社製ALS608A
で測定した。
放電電圧の測定結果を表1と図26に示す。表1に示されるように、実施例4および実施例5のセルは、いずれも高い放電電圧を安定に示したが、実施例4のセルは、放電容量が理論容量の76.0%という高い値を示し、その結果、放電電力量も高いことが確認された。
Figure 0006361476
[放電試験4]
実施例4、実施例5に加えて実施例6、および実施例7のセルにおいても理論容量に対して0.05C相当の電流密度4mA/cmで放電した際の放電電圧を、20℃の温度で、BAS社製ALS608Aで測定した。
放電試験3および放電試験4の測定結果のまとめを表2に示す。表2に示されるように、実施例4〜7のセルは、いずれも高い放電電圧を示していた。実施例5は最も高い平均放電電圧を示したが、放電の進行に伴い、負極層の減少で内圧の減少により放電容量が約50%に達した時点で複合負極の隔離層が破損した。これは、実施例1の負極層の2倍の厚さのぶ厚い負極層を用いたため、放電の進行による負極層の薄化の影響が大きく出たためと考えられる。なお、実施例5のセルにおいて実施例1の負極層の2倍の厚さの負極層の代わりに実施例1の負極層と同じ厚さの薄い負極層を用いた場合は、放電の進行に伴って隔離層が破損することはなく、90%以上の深度まで放電が可能であり、長時間放電を行うことができることは本発明者らによって確かめられている(データは示さず)。
一方、実施例4、実施例6、および実施例7のセルは、いずれも高い放電電圧で安定に推移した。隔離層を分割したことにより、放電の推移に伴う分厚い負極層の薄化に起因する内圧の減少に対応できたためである。実施例5は平均放電電圧が高いが、分厚い負極層を用いると長時間放電ができない構造であるためエネルギー密度の点では不利である。表2より、実施例4および実施例6は、エネルギー密度に優れ、また隔離層の亀裂が無く、長時間放電に特に向いている構造であることが確認された。これらの結果を鑑みると、隔離層の分割数が多くなるにつれて長時間放電に有利であるが、隔離層の表面積減少に伴う電流密度の減少で、放電電圧が低下したり、分割体の境界から負極複合体へ電解質等のリークや空気等の侵入のリスクが高いとも言える。したがって、1辺2インチのサイズの隔離層に関しては、エネルギー密度と隔離層の耐性の両立を考慮すると実施例4の構造が最も好ましいと考えられる。しかし、隔離層のサイズが大きくなった場合は、この限りではなく分割数を増やした方が好ましい場合もある。
Figure 0006361476
[実施例8]
(負極複合体の作製)
負極複合体108Cを、アルゴン雰囲気下のグローブボックス中で、以下の手順で作製した。図27には、実施例8のセル101Cの構造を示す。なお、図27では、識別しやすいように各部材間の間に隙間を開けて示しているが、実際には隣接する各部材は接触している。空気極109Bは空気極と正極集電体とにより構成されている。また、図示は省略されているが、空気極109Cの開口は、ゴム、エラストマー、および接着剤等の蓋材により適切に閉塞されている。
(1)隔離層の固体電解質112C(リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス(LTAP)薄板(オハラ社製LICGC)、四角形、2枚)を準備した。2枚の固体電解質112Cのうち1枚を、縦横ともに半分に分割し、4枚の分割体とした。4枚の分割体を分割前の配置のまま、EPDM製のラバーガスケット122Cおよび2液常温硬化型のエポキシ系接着剤123Cを、切断部分を十字状に貼り合わせて、分割体間の隙間を密封した。ラバーガスケット122Cおよびエポキシ系接着剤123Cは、固体電解質112Cの片面のみに貼り付けた。
(2)金属リチウム115Cが片面に貼付された負極集電体(銅箔)105C(本城金属社製)を、図28(a)に示すように、エの字型に切りだし、エの字の4つの端部を負極集電体105側に折り返すことにより、負極集電体105Cの一方の面に溝部を有さない金属リチウム115Cが貼付し、他方の面に十字状の溝部が設けられた金属リチウム115Cが貼付した負極(図28(b))を作製した。金属リチウム115Cの厚さは、実施例1の金属リチウム115の2倍の厚さであった。溝部の深さは、1枚の金属リチウム115Cと同一の厚さであり、溝部の幅は、金属リチウム一辺の長さの1/6とした。
(3)固体電解質112Cと外寸が同じサイズのガスケットシート118C(EPDM、四角枠、2枚)を用意し、分割していない固体電解質112C、および4枚の分割体を貼り合わせた固体電解質112Cの各々に貼り付けた。4枚の分割体を貼り合わせた固体電解質112Cにガスケットシート112Cを貼り付ける際は、分割体の貼り合わせに用いたラバーガスケット122Cが貼付している面とは反対の面に貼り付けた。
(4)分割していない固体電解質112C上に、セパレータ117Cを、ガスケットシート118Cの枠内に入れて配置した。上記(2)で作製した金属リチウム115Cと負極集電体105Cとを貼り合わせたものを、セパレータ117C上にガスケットシート118Cの枠内に入るように配置した。この際、溝部が形成されていない金属リチウム115Cが、分割していない固体電解質112Cに対面するように配置した。金属リチウム115C上に、セパレータ117Cを入れて配置した。非水系電解質(PC:DMC=1:1、1MのLiPF+PEO4wt%)を加えたもの)を添加し、リチウム金属115Cが浸漬する程度に満たした。
(5)(3)で作製した分割体を貼り合わせた固体電解質112C上に2枚目のセパレータ117Cを配置し、非水系電解質(PC:DMC=1:1、1MのLiPF+PEO4wt%)を染み込ませた。これを、(4)の作製物の上から被せ、2枚の固体電解質112Cに各々貼り付けられたガスケットシート118Cが重ね合わされるように、ずれないように張り付けて、外部の空気等が入らないようにガスケットシート118Cの粘着性により密閉させた。分割体を貼り合わせた固体電解質112Cの内面は、金属リチウム115Cの溝部が形成されている面にセパレータ117Cを介して対面しており、固体電解質112Cの十字状の切断線と、金属リチウム115Cの十字状の貫通溝部とが、積層方向から見て重なる位置にあるようにした。負極複合体208Cの内部の構成部材同士が、密着性良く接触するように、外側から全体を押さえつけて固定させた。
(6)エポキシ系接着剤119C(2液常温硬化型)を、2枚の固体電解質112Bの間を密閉および固定するように、固体電解質112Cの外周端縁の全周に薄く塗布し、エポキシ系接着剤119Cを硬化させた。
(空気極の作製)
空気極の作製は、白金重量で0.5mg/cmを担持した点以外は、実施例4と同様にして行った。
(水系電解質の調製)
水系電解質の調製は、実施例4と同様にして行った。
(セルの作製)
セルの作製は、実施例4と同様にして行った。
[実施例9]
負極複合体の作製において、負極として、溝部が設けられていない金属リチウム(四角形、2枚)を負極集電体(銅箔)の両面にそれぞれ貼り付けたものを用いた以外は、実施例8と同様にして、実施例9のリチウム空気電池のセルを作製した。
[放電試験5]
実施例8および9のセルにおいて、理論容量に対して0.02C相当の電流密度約2mA/cmで放電した際の放電電圧を、25℃の温度で、BAS社製ALS608Aで測定した。放電電圧の測定結果を表3に示す。
Figure 0006361476
表3に示されるように、実施例8および9のセルは、いずれも高い放電電圧を示した。特に、実施例8のセルは、金属リチウムが100%使用されたときの理論上の放電容量(理論容量)の82%という高い放電容量を示し、高深度の放電が可能であった。なお、実施例9のセルは、実施例4のセルと同様の、分割した隔離層および溝部のない負極層を備える構成を有するが、実施例4のセルよりも低い放電容量を示した。これは、実施例9のセルでは、隔離層の分割線(分割体間の隙間)にあたる部分の負極層が放電時に溶出せずに残り、この残った部分により隔離層が上手く変形できなかったためと考えられる。一方、実施例4のセルでは、隔離層の分割線にあたる部分の負極層が放電時に残存していたとしても、隔離層の変形を妨げなかったため、高い放電容量を示したと推測される。
1、1A リチウム空気電池
2 ケース
3 接触保持層
4 集電体接合部
5、5a、5b 負極集電体
5a1、5b2 負極端子部
5c 折り返し部
6、6A 空気極集電体
7 電解質
8、8A、8B、8C、8D、8E、8F、8G、8H 負極複合体
9、9A 空気極
11 空気電池セル
12 隔離層
13、13A 空気極層
13a 折り目
13b 平面部
15 負極層
15c 折り返し部
15e 溝部
16 接合部
17 緩衝層
18 ガスケット
19 外周封止部材
20 ガスケット合わせ面
22 ガスケット
23 接着剤

101B、101C リチウム空気電池
105、105A、105B、105C 負極集電体(銅箔)
107B、107C セルロースセパレータ
108、108A、108B、108C 負極複合体
109B、109C 空気極
112、112A、112B、112C 隔離層(固体電解質)
103A 接触保持層
104A ろう付け部
115、115A、115B、115C 負極層(金属リチウム)
117、117A 緩衝層(セルロースセパレータ)
117B、117C 緩衝層(ポリマー電解質)
118、118A、118B、118C ガスケットシート
119、119A、119B、119C エポキシ系接着剤
122B、122C ラバーガスケット
123B、123C エポキシ系接着剤

201 リチウム空気電池
202 アルミラミネート包材
205 負極集電体(銅箔)
206 空気極集電体
208 負極複合体
209 空気極
212 隔離層(固体電解質)
215 負極層(金属リチウム)
217 緩衝層
219 保水層

Claims (17)

  1. 板状または線状の負極集電体と、
    金属リチウム、リチウムを主成分とする合金、またはリチウムを主成分とする化合物製で前記負極集電体の一部を挟み込む板形状の2つの負極層と、
    前記2つの負極層の全部を挟み込む、リチウムイオン伝導性を有する板形状の2つの隔離層と、
    前記2つの負極層を取り囲むように前記2つの隔離層間に配置され、前記2つの隔離層の間の空間を密閉する内側封止部材と
    を備える負極複合体と、
    導電性材料を含有して前記2つの隔離層の少なくとも一方に対向する空気極層と、
    前記空気極層に電気的に接続される板状または線状の空気極集電体と
    を備える空気極と
    を備え、前記2つの隔離層の一方または両方が、前記負極層に隣接する面内の第1の分割線および第2の分割線で各々分割されており、前記分割により形成された分割体が分割前の位置に配置されたまま、前記分割体間の隙間が隔離層封止部材により封止されているリチウム空気電池。
  2. 前記分割体から構成される前記隔離層と対向する前記負極層が、積層方向から見て前記分割線と重なる位置に形成された溝部を有する、請求項1に記載のリチウム空気電池。
  3. 前記負極集電体が、板状の第1の負極集電体と板状の第2の負極集電体とで構成され、前記第1の負極集電体と前記第2の負極集電体との間に、リチウムイオン伝導性を有する膨潤性の接触保持層を備えるようにしてなる、請求項1または2に記載のリチウム空気電池。
  4. 板状または線状の負極集電体と、
    金属リチウム、リチウムを主成分とする合金、またはリチウムを主成分とする化合物製で前記負極集電体の一部を挟み込む板形状の2つの負極層と、
    前記2つの負極層の全部を挟み込む、リチウムイオン伝導性を有する板形状の2つの隔離層と、
    前記2つの負極層を取り囲むように前記2つの隔離層間に配置され、前記2つの隔離層の間の空間を密閉する内側封止部材と
    を備え、前記負極集電体が、板状の第1の負極集電体と板状の第2の負極集電体とで構成され、前記第1の負極集電体と前記第2の負極集電体との間に、リチウムイオン伝導性を有する膨潤性の接触保持層を備えるようにしてなるリチウム空気電池の負極複合体。
  5. 前記2つの隔離層間を密閉封止する外周封止部材を、前記2つの隔離層の外周部にさらに備える請求項に記載のリチウム空気電池の負極複合体。
  6. 前記内側封止部材が、ガスケットである、請求項4または5に記載の負極複合体。
  7. 前記ガスケットが、エチレン−プロピレン−ジエンの共重合からなるゴムまたはエラストマー、またはフッ素系のゴムまたはエラストマーである、請求項に記載の負極複合体。
  8. 前記負極層と前記隔離層との間に、緩衝層をさらに備える、請求項4〜7のいずれかに記載の負極複合体。
  9. 前記接触保持層が、樹脂もしくはゴムの多孔質シート、ゲル状のポリマー電解質、またはゲル状のポリマー電解質を含有する多孔質シートで形成されている、請求項4〜8のいずれかに記載のリチウム空気電池の負極複合体。
  10. 前記第1の負極集電体および前記第2の負極集電体が一体形成されており、前記接触保持層と隣接する2つの平面部を連結する折り返し部を備える、請求項4〜9のいずれかに記載のリチウム空気電池の負極複合体。
  11. 前記第1の負極集電体および第2の負極集電体の一方または両方が、前記ガスケットの外側に導出される負極端子部と接続されているか、前記負極端子部と一体形成されている、請求項6または7に記載のリチウム空気電池の負極複合体。
  12. 前記2つの負極層が一体形成されており、前記隔離層と隣接する2つの平面部を連結する折り返し部を備える、請求項4〜11のいずれかに記載のリチウム空気電池の負極複合体。
  13. 前記2つの隔離層の一方または両方が、前記負極層に隣接する面内の第1の分割線および第2の分割線で、各々分割されており、前記分割により形成された分割体が分割前の位置に配置されたまま、前記分割体間の隙間が隔離層封止部材により封止されている、請求項4〜12のいずれかに記載のリチウム空気電池の負極複合体。
  14. 前記分割体から構成される前記隔離層と対向する前記負極層が、積層方向から見て前記分割線と重なる位置に形成された溝部を有する、請求項13に記載のリチウム空気電池の負極複合体。
  15. 前記第1の分割線および第2の分割線で分割された隔離層が、さらなる1つ以上の前記面内の分割線で分割されており、前記分割により形成された分割体が、分割前の配置のまま、前記分割体間の隙間が隔離層封止部材により封止されている、請求項13に記載のリチウム空気電池の負極複合体。
  16. 前記隔離層封止部材が、ゴム製またはエラストマー製のガスケット、接着剤、またはこれらの組み合わせである、請求項13〜15のいずれかに記載のリチウム空気電池の負極複合体。
  17. 請求項4〜12のいずれかに記載の負極複合体と、
    導電性材料を含有して前記2つの隔離層の少なくとも一方に対向する空気極層と、
    前記空気極層に電気的に接続される板状または線状の空気極集電体と
    を備える空気極と
    を備えるリチウム空気電池。
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