JP2016003934A - 絶対変位センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】極低振動数領域までの位相の進みを少なくできて固有振動数を低下させることができ、長周期振動でも絶対変位を検出し得る絶対変位センサを提供する。
【解決手段】絶対変位センサ1は、質量体2と、センサハウジング4と、検出手段5と、質量体2及びばね3で決定される固有振動数よりも高い高振動数成分を抑制する一方、固有振動数よりも低い低振動数成分を通過させる伝達特性を有するローパスフィルタ8と、ローパスフィルタ8から出力された相対変位をポジティブに、相対速度及び相対加速度の夫々をネガティブに夫々フィードバックさせて、センサハウジング4の絶対変位に起因する質量体2の絶対変位を抑制制御するフィードバック制御手段9と、フィードバック制御手段9からの積分して得られた相対変位に所要の振動数領域で3次の位相遅れ補償を施す位相遅れ補償手段10とを具備する。
【選択図】図1

Description

本発明は、地震又は風の渦励振による超高層ビルの振動等を観測したり振動制御するために必要な振動体(被検出体)の絶対変位を検出する絶対変位センサ、特に、周期10秒に至る長周期振動及び1メートルを超える大振幅振動の検出を可能にする長周期・大振幅振動検出用の絶対変位センサに関する。
2011年3月11日に発生した東日本大震災では岩手県、宮城県、福島県を中心に長周期大振幅振動の大地震が発生し、家屋の倒壊はもとより地震が誘発した大津波によって大被害をもたらし、多くの人命が失われた。都内では200メートル級の超高層ビルで1メートルを超える長周期・大振幅振動の揺れが10分を超える長時間でもたらされ、住民に多大な不安と被害をもたらした。近未来予測される東南海地震でも長周期・大振幅振動の巨大地震が懸念されている。その様な巨大地震による建物の被害を防ぐには、建物に制振技術を組み込む必要があるが、先ず建物の地震動を検出する手段、即ち、絶対変位センサが不可欠である。
斯かる絶対変位センサは、風による渦励振によって長周期の振動が発生する超高層ビルを制御する場合にその超高層ビルの変位を検出するために、また、東日本大震災以来、最近の免震装置の性能向上と普及とは著しく、低層建物に止まらず中高層建物の免震にも免震装置が導入されているが、免震装置が導入された建物各層の地震動の監視を行うためにも、加えて、スカイフックダンピングやスカイフックスプリング技術等の除振技術を活用する場合に、除振台のアクティブ除振装置のフィードバック制御を行うためにも不可欠である。
特開2009−41954号公報
ところで、絶対変位振動の検出には、従来では、サイズモ型変位センサが用いられており、このサイズモ型変位センサは、質量体と、質量体を検出面で支えるばねとを具備しており、質量体とばねとの固有振動数の振動で、検出面の振動と検出面に対する質量体の相対変位とが一致することを利用しており、斯かるサイズモ型変位センサの検出範囲は、固有振動数以上の振動数領域であるので、検出すべき振動数範囲を低振動数まで広げるには固有振動数を低下させる必要があるが、これには精々1Hz程度に固有振動数を低下させるのが限界であり、サイズモ型変位センサでは低振動数の振動の検出は不向きとされている。
一方、地震観測や建物の振動制御用センサとしてサイズモ型等の加速度センサ及び速度センサが用いられており、この加速度センサは、固有振動数以下の振動を検出でき、速度センサは、固有振動数付近の振動を検出でき、超高層ビルや長大吊橋の主塔の風による揺れの制御等に広く使用されているが、現在最も一般的な制御理論である線形2次形式最適制御理論(LQ最適制御理論)では、制御すべき制御変数は変位と速度とであるために、建物の振動制御には絶対変位と絶対速度との検出が不可欠となるが、加速度センサ及び速度センサでは、絶対変位を直接に検出することはできない。
この絶対変位を直接に検出するために加速度センサの場合は、積分器を2段用いるが、斯かる積分器は、僅かな直流信号も積分されて、時間の経過とともに入力とは無関係に変動する積分信号、所謂、ドリフト信号を出力し、このドリフト信号で質量体を勝手に動かすことになって制御不能な状態にし、このドリフトのない積分器をもつセンサは、極めて高価となる。
一方、速度センサは、積分器が1段で済むので、比較的ドリフトの影響を受け難いが、固有振動数を低くしなければならないので、質量体が大型となり、また弱いばねを使用しなければならないので、小型化が困難であり取り扱いが難しい。
斯かる問題を解決するために、質量体と筐体との間に配置された相対変位センサを用いる絶対変位・速度センサが提案されているが、この相対変位センサでの相対変位の検出にはギャップセンサやひずみゲージを用いる方法や、光信号を用いる方法が用いられているが、狭い空間で安定して相対変位信号を得ることが難しく、また絶対変位・速度センサ自体を高価にする一方、センサを設置する際、設置面に僅かでも傾けて取り付けると自重によって質量体の位置が変化するので、変位信号に偏りが生ずることになり、その偏りが相対変位の直流信号となって現れるので、それが制御信号に悪い影響をもたらし、絶対変位・速度センサを設置するごとにその直流分を取り除かなければならない。
質量体と筐体との間に配置された相対変位センサに代えて相対速度センサを用いることにより、偏りが原因となる直流信号の発生を解決した絶対変位センサが特許文献1において提案されている。
ところで、特許文献1において提案されている絶対変位センサでは、検出体の絶対変位に対する質量体の検出体に対する相対変位をs(sは微分演算子)の二次式で表せると近似して、sについての二次式の位相遅れ補償手段で、検出すべき振動数範囲を低振動数まで広げるようにしているが、しかしながら、実際の絶対変位センサでは、検出体の絶対変位に対する質量体の検出体に対する相対変位は、厳密にはsの四次式以上となり、極低振動数領域では位相が180度以上に進み、したがって、検出すべき振動数範囲を極低振動数まで広げるには限界がある。
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、極低振動数領域までの位相の進みを少なくできて固有振動数を低下させることができ、而して、例えば、周期10秒に至る長周期振動でも絶対変位を検出し得る絶対変位センサを提供することにある。
本発明による絶対変位センサは、質量体と、この質量体をばねを介して弾性的に一の方向に変位自在に支持する被検出体と、質量体に対する被検出体の一の方向の変位における相対速度を検出する検出手段と、検出手段から出力された相対速度を積分して得られた相対変位をポジティブに、当該相対速度及び当相対速度を一次微分して得られた相対加速度の夫々をネガティブに夫々フィードバックさせて、被検出体の一の方向の絶対変位に起因する質量体の一の方向の絶対変位を抑制制御するフィードバック制御手段と、このフィードバック制御手段からの積分して得られた相対変位にフィードバック制御手段の固有振動数以下の振動数領域で3次の位相遅れ補償を施す位相遅れ補償手段とを具備しており、位相遅れ補償手段からの位相遅れ補償を施された相対変位を被検出体の一の方向の絶対変位として出力するようになっている。
本発明によれば、フィードバック制御手段からの積分して得られた相対変位にフィードバック制御手段の固有振動数以下の振動数領域で3次の位相遅れ補償を施す位相遅れ補償手段が配されているために、実際の検出体の絶対変位に対する質量体の検出体に対する相対変位に対応して、極低振動数領域までの位相の進みを少なくできて固有振動数を低下させることができ、而して、例えば、周期10秒に至る長周期振動でも一の方向の絶対変位を検出し得る。
本発明の好ましい例では、位相遅れ補償手段は、2次と1次との位相遅れ補償回路を組み合わせてなる。
位相遅れ補償手段は、sを微分演算子として、式[(s+2ζωs+ω )/(s+2ζωs+ω )]・[{s+(1/T)}/[s+{1/(α・T)}]で表される伝達関数Glag3(s)を有していてもよく、ここで、固有角振動数ω及び減衰比ζは、フィードバック制御手段の固有角振動数ω及び減衰比ζと同じ値であり、固有振動数ω/2πを所望の固有振動数に低下させると共に低下させた固有振動数での位相進みを45度以下に抑えるように、T及びαが決定されている。
好ましい例では、位相遅れ補償手段は、フィードバック制御手段からの積分して得られた相対変位において、0.1Hzの振動数で、45度以内の位相進みとなるようになっている。
本発明の好ましい例では、フィードバック制御手段は、ポジティブにフィードバックされた相対変位、ネガティブにフィードバックされた相対速度及び当該相対速度を一次微分して得られると共にネガティブにフィードバックされた相対加速度に基づいて、質量体を被検出体に付加される変位の方向に関して変位させるアクチュエータを具備している。
本発明の絶対変位センサにおいては、質量体及びばねで決定される固有振動数よりも高い高振動数成分を抑制する一方、固有振動数よりも低い低振動数成分を通過させる伝達特性を有すると共にこの伝達特性をもって検出手段から入力された相対速度を出力に伝達する低振動数成分通過手段を更に具備していてもよく、フィードバック制御手段は、低振動数成分通過手段から出力された相対速度を、検出手段から出力された相対速度として、積分して得られた相対変位をポジティブに、当該相対速度及び当該相対速度を一次微分して得られた相対加速度の夫々をネガティブに夫々フィードバックさせて、被検出体の一の方向の絶対変位に起因する質量体の一の方向の絶対変位を抑制制御するようになっていてもよい。
低振動数成分通過手段は、好ましい例では、質量体の一の方向の変位でのばねに起因して発生する高次の固有振動数の質量体の振動を抑制する伝達特性を有しており、斯かる低振動数成分通過手段は、伝達関数G(s)=(R/R)・{1/(1+R・C・s)}(ここで、R及びRは夫々電気抵抗値、Cは静電容量値、sは微分演算子)をもった電気回路を有していてもよく、この場合、伝達関数G(s)=(R/R)・{1/(1+R・C・s)}をもった電気回路は、質量体の固有振動数以上のカットオフ振動数f=1/(2πR・C)を有していてもよく、ここで、カットオフ振動数f=1/(2πR・C)は、検出する被検出体の一の方向の絶対変位の振動数領域の上限の値をしていてもよい。
本発明によれば、極低振動数領域までの位相の進みを少なくできて固有振動数を低下させることができ、而して、例えば、周期10秒に至る長周期振動でも絶対変位を検出し得る絶対変位センサを提供することができる。
図1は、本発明の実施の形態の好ましい一例の説明図である。 図2は、図1に示す例のセンサハウジング、質量体、検出手段及びアクチュエータの詳細説明図である。 図3は、図1に示す例のローパスフィルタの詳細説明図である。 図4は、図3に示すローパスフィルタの振動数応答特性の説明図である。 図5は、図1に示す例の位相遅れ補償手段の詳細説明図である。 図6は、図5に示す例の位相遅れ補償手段の振動数応答特性の説明図である。 図7は、図1に示す例のローパスフィルタの効果の説明図である。 図8は、図1に示す例の加速度・速度・変位フィードバック無しの振動数応答特性(曲線142)、加速度・速度・変位フィードバックを施した時の振動数応答特性(曲線141)、加速度・速度・変位フィードバックに加えて2次の位相遅れ補償を施した時の振動数応答特性(曲線144)、加速度・速度・変位フィードバックに加えて3次の位相遅れ補償を施した時の振動数応答特性(曲線145)の4種類の振動数応答特性の説明図である。 図9は、図1に示す例の2次の位相遅れ補償回路の振動数応答特性(曲線143)と3次の位相遅れ補償手段の振動数応答特性(曲線146)との比較説明図である。 図10は、図1に示す例の1次の位相遅れ補償回路の振動数応答特性の説明図である。
次に、本発明の実施の形態の例を、図に示す例に基づいて更に詳細に説明する。尚、本発明は、これら例に何等限定されないのである。
図1から図9において、本例の絶対変位センサ1は、質量m(kg)を有した質量体2と、ばね係数k(N/m)及び減衰係数c(N・sec/m)(secは、秒)をもってばね3を介して質量体2を弾性的に一の方向Hに変位自在に支持する被検出体としてのセンサハウジング4と、質量体2に対するセンサハウジング4の方向Hの変位における相対速度v(=v−v)(m/sec)(ここで、v(m/sec)は、センサハウジング4の方向Hの絶対速度v(m/sec)に起因する質量体2の方向Hの絶対速度である)を電気的に検出する検出手段5と、質量体2及びばね3で決定される固有振動数ω/2πよりも高い高振動数成分を抑制する一方、固有振動数ω/2πよりも低い低振動数成分を通過させる伝達特性(伝達関数=GP(s))を有すると共にこの伝達特性をもって検出手段5から入力端6を介して入力された相対速度vとしての相対速度電圧信号er(V)を出力端7に相対速度vLpとしての相対速度電圧信号ev(V)を出力して伝達する低振動数成分通過手段としてのローパスフィルタ8と、出力端7を介してローパスフィルタ8から出力された相対速度vLpの相対速度電圧信号eVを積分して得られた相対変位(u−x)としての相対変位電圧信号eD(V)をポジティブに、相対速度vLpとしての相対速度電圧信号eV及び相対速度vLpとしての相対速度電圧信号eVを一次微分して得られた相対加速度a(m/sec)としての相対加速度電圧信号eA(V)の夫々をネガティブに夫々フィードバックさせて、センサハウジング4の方向Hの絶対変位uに起因する質量体2の絶対変位xを抑制制御するフィードバック制御手段9と、フィードバック制御手段9からの積分して得られた相対変位(u−x)の電気信号eに所要の振動数領域で3次の位相遅れ補償を施す位相遅れ補償手段10とを具備している。
質量体2は、同心に配された一対の円筒状部21及び22と、一対の円筒状部21及び22の夫々に一体形成されて同心に配された一対の円盤状部23及び24と、一対の円盤状部23及び24を相互に連結する軸部材25とを具備している。
センサハウジング4は、中空本体部材31と、中空本体部材31の両端面に取付けられた蓋部材32及び33と、中空本体部材31の内周面の両端に嵌着された円環状取付具34及び35とを具備しており、質量体2は、円盤状部23及び24においてばね3を介して円環状取付具34及び35に取付けられて、ばね3の弾性変形で方向Hに振動できるように、センサハウジング4に方向Hに変位自在に支持されている。
ばね定数k(N/m)をもったばね3は、円盤状部23及び24の夫々の周りに蜘蛛の巣状(円環状)のばね部37及び38からなり、ばね部37は、円盤状部23の周りの120度の等角度間隔で、一端では、円環状取付具34の内周面に、他端では、円盤状部23の外周面に夫々固着されており、ばね部38は、ばね部37と同様に、円盤状部24の周りの120度の等角度間隔で、一端では、円環状取付具35の内周面に、他端では、円盤状部24の外周面に夫々固着されており、ばね部37及び38からなるばね3は、方向Hに大変形できるようになっている。
検出手段5は、円筒状部21に巻かれたコイル41と、磁気回路形成手段42とを具備しており、磁気回路形成手段42は、中空本体部材31の内周面に固着された円環状の永久磁石43と、中空本体部材31の内周面に固着されていると共に円環状の磁性材からなる一方の磁気回路形成部材44と、磁気回路形成部材44と協働して方向Hにおいて永久磁石83を挟んでおり、且つ、円筒状部21及びコイル41が方向Hに変位自在に配される円筒状空間45を磁気回路形成部材44と協働して形成していると共に軸部材25が方向Hに変位自在に貫通した磁性材からなる他方の磁気回路形成部材46と、コイル41からの相対速度vを示す電流信号iを増幅度(電流−電圧変換係数=変換フィードバックゲイン)K(V/A)をもって相対速度vとしての相対速度電圧信号e(V)に変換する増幅器47とを具備しており、コイル41は、センサハウジング4に対する円筒状部21の方向Hの変位に伴う方向Hの変位で、センサハウジング4に対する質量体2の方向Hの変位における相対速度vを、円筒状空間45での永久磁石43からの磁束を横切ることによって電気的に検出して、出力端子48に生じるこの電気的な検出結果の相対速度電気信号e(V)を増幅器47を介して入力端6に出力するようになっており、コイル41による永久磁石43の磁束の電気的な検出における渦電流損が減衰係数cに寄与している。
高振動数領域ではばね要素と質量要素とが無限に分布する分布定数系の弾性体と見做し得るばね部37及び38に起因する固有振動数ω/2πよりも高い高振動数成分を抑制するローパスフィルタ8は、演算増幅器51と、一方では、入力端6に、他方では、演算増幅器51の反転入力端に夫々接続されている共に抵抗値Rf1(Ω)を有した入力抵抗52と、一方では、演算増幅器51の反転入力端に、他方では、演算増幅器51の出力端に夫々接続されている共に抵抗値Rf2(Ω)及び静電容量値C(F)を有した帰還抵抗53及び帰還キャパシタ54とを具備しており、増幅器47からの相対速度電圧信号e(V)を相対速度電圧信号e(V)として出力するローパスフィルタ8は、カットオフ振動数f=1/(2π・Rf2・C)を有する伝達関数G(s)=e/e=(Rf2/Rf1)・{1/(1+Rf2・Cf2・s)}をもった電気回路を有している。
例えば、入力抵抗52の抵抗値Rf1=1kΩ、帰還抵抗53の抵抗値Rf2=1kΩ及び帰還キャパシタ54の静電容量値C=10μF並びにカットオフ振動数f=1.59Hzを有したローパスフィルタ8における伝達関数G(s)の振動数応答特性(ボーデ線図)は、図4の曲線55のようになるが、斯かるカットオフ振動数f=1/(2π・Rf2・C)は、高すぎると分割振動数の抑制ができない一方、低すぎるとフィードバックループの安定性に支障をきたし、好ましくは、質量体2及びばね3で決定される固有振動数ω/2π以上であって、絶対変位センサ1で検出しようとする振動数領域の上限、言い換えると、検出しようとするセンサハウジング4の方向Hの絶対変位uの振動数領域の上限の値に設定する。
フィードバック制御手段9は、ローパスフィルタ8からの相対速度電圧信号eを積分して相対変位(u−x)としての相対変位電圧信号eを出力する積分回路61と、ローパスフィルタ8からの相対速度電圧信号eを一次微分して相対加速度aとしての相対加速度電圧信号eを出力する微分回路62と、ローパスフィルタ8からの相対速度電圧信号eを積分して得られた相対変位電圧信号eに変位フィードバックゲインKを乗算して電圧信号K・e(V)を出力する乗算器63と、ローパスフィルタ8からの相対速度電圧信号eに速度フィードバックゲインKを乗算して電圧信号K・e(V)を出力する乗算器64と、ローパスフィルタ8からの微分回路62を介した相対加速度電圧信号eに加速度フィードバックゲインKを乗算して電圧信号K・e(V)を出力する乗算器65と、乗算器63、64及び65からの電圧信号K・e、K・e及びK・eを加減算して加減算電圧信号e(=K・e−K・e−K・e)を出力する加減算器66と、加減算電圧信号eを変換フィードバックゲインK(A/V)をもって電流信号fに変換する変換器67と、変換器67からの電流信号fをコイル駆動電流として作動する電磁アクチュエータ68とを具備している。
積分回路61は、抵抗値R(Ω)をもった抵抗71と、静電容量値C(F)をもったキャパシタ72とからなり、微分回路62は、静電容量値C(F)をもったキャパシタ73と、抵抗値R(Ω)をもった抵抗74とからなる。
高振動数成分が抑制されていると共にポジティブにフィードバックされた相対変位(u−x)に相当する電圧信号K・e、高振動数成分が抑制されていると共にネガティブにフィードバックされた相対速度vに相当する電圧信号−K及び同じく高振動数成分が抑制された相対速度vを一次微分して得られ且つネガティブにフィードバックされた相対加速度aに相当する電圧信号−K・eに基づいて、方向Hに関して質量体2をセンサハウジング4に対して変位させるアクチュエータとしての電磁アクチュエータ68は、円筒状部22に巻かれたコイル81と、磁気回路形成手段82とを具備しており、磁気回路形成手段82は、中空本体部材31の内周面に固着された円環状の永久磁石83と、中空本体部材31の内周面に固着されていると共に円環状の磁性材からなる一方の磁気回路形成部材84と、磁気回路形成部材84と協働して方向Hにおいて永久磁石83を挟んでおり、且つ、円筒状部22及びコイル81が方向Hに変位自在に配される円筒状空間85を磁気回路形成部材84と協働して形成していると共に軸部材25が方向Hに変位自在に貫通した磁性材からなる他方の磁気回路形成部材86とを具備しており、入力端子87に入力される電流信号fに基づいてコイル81に流される電流(A)で方向Hに電磁力である駆動力F(N)を発生させ、駆動力Fをセンサハウジング4に対して円筒状部22に相対的に付与してセンサハウジング4に対して相対的に質量体2を方向Hに変位させるようになっており、変換フィードバックゲインKには、電流信号fに対する駆動力Fへの変換ゲインが含まれているものとする。
以上の検出手段5及び電磁アクチュエータ68を有している場合、質量体2の質量mは、一対の円筒状部21及び22、一対の円盤状部23及び24、コイル41及び81並びに軸部材25の夫々の質量の合計となり、減衰係数c(N・sec/m)は、ばね3自体の弾性変形における熱損失とコイル41による永久磁石43の磁束の電気的な検出における渦電流損と、コイル81によるセンサハウジング4に対する相対的な質量体2の方向Hの変位における渦電流損とに基づいて決定される。
3次の位相遅れ補償を施す位相遅れ補償手段10は、2次の位相遅れ補償回路91と、1次の位相遅れ補償回路92との組み合わせからなる。
2次の位相遅れ補償回路91は、抵抗値R(Ω)、R(Ω)及びR(Ω)を夫々有した入力抵抗101、102及び103、抵抗値R(Ω)を有した帰還抵抗104、静電容量値C(F)を有した帰還キャパシタ105並びに演算増幅器106からなると共に入力抵抗101、102及び103を介して入力される電気信号を加算して積分する積分回路107と、抵抗値R(Ω)を有した入力抵抗108、抵抗値R(Ω)を有した帰還抵抗109、静電容量値C(F)を有した帰還キャパシタ110及び演算増幅器111からなると共に入力抵抗108を介して入力される電気信号を積分する積分回路112と、抵抗値R(Ω)を有した入力抵抗113、抵抗値R(Ω)を有した帰還抵抗114及び演算増幅器115からなると共に入力抵抗113を介して入力される電気信号を反転する符号反転回路116と、抵抗値R(Ω)を有した入力抵抗117、抵抗値R10(Ω)を有した帰還抵抗118及び演算増幅器119からなると共に入力抵抗117を介して入力される電気信号を反転する符号反転回路120と、抵抗値R11(Ω)、抵抗値R12(Ω)及び抵抗値R13(Ω)を夫々有した入力抵抗121、122及び123、抵抗値R14(Ω)を有した帰還抵抗124並びに演算増幅器125からなると共に入力抵抗121、122及び123を介して入力される電気信号を加算する加算回路126とを具備しており、1次の位相遅れ補償回路92は、抵抗値R15(Ω)を有する入力抵抗127、抵抗値R17(Ω)を有する帰還抵抗128、抵抗値R16(Ω)を有する帰還抵抗129及び帰還抵抗129に直列接続されていると共に静電容量値Cを有する帰還キャパシタ130並びに演算増幅器131を具備しており、積分回路107には、入力抵抗101を介して相対変位電圧信号eが、入力抵抗102を介して符号反転回路120の出力電圧信号が、そして、入力抵抗103を介して積分回路107自体の出力電圧信号が夫々入力されており、積分回路112には、入力抵抗108を介して積分回路107の出力電圧信号が入力されており、符号反転回路116には、入力抵抗113を介して積分回路107の出力電圧信号が入力されており、符号反転回路120には、入力抵抗117を介して積分回路112の出力電圧信号が入力されており、加算回路126には、入力抵抗121を介して相対変位電圧信号eが、入力抵抗122を介して積分回路112の出力電圧信号が、そして、入力抵抗123を介して符号反転回路116の出力電圧信号が夫々入力されており、1次の位相遅れ補償回路92には、入力抵抗127を介して加算回路126の出力電圧信号が入力されており、1次の位相遅れ補償回路92の出力端135に、相対変位電圧信号eに式(1)で示す伝達関数Glag3(s)をもって3次の位相遅れ補償が施された相対変位電圧信号eOUTが出力されるようになっている。
Figure 2016003934
式(1)において、(s+2ζωs+ω )/(s+2ζωs+ω )(但し、ω>ω)が2次の位相遅れ補償回路91の伝達関数であり、{s+(1/T)}/[s+{1/(α・T)}]が1次の位相遅れ補償回路92の伝達関数であり、ω、ω、ζ、ζ、α及びTと、図5における抵抗値RからR17及び静電容量値CからCとの関係は、C=1、C=1、R=ω 、R=2ζω、R14/R11=1、R14/R12=ω −ω 、R14/R13=2ζω−2ζω、R=R、R10/R=1/10、T=R16、α=(R17+R15)/R15であり、R及びRは、これ以外の抵抗値R等と比較して充分に大きく、無視し得る。
例えば、ω=0.05×2π(rad/sec)、ζ=0.8、ω=0.23×2π(rad/sec)、ζ=0.45、T=1(sec)及びα=4であると、位相遅れ補償手段10の伝達関数Glag3(s)の振動数応答特性は、図6の曲線136のようになる。
以上の絶対変位センサ1では、相対変位電圧信号e、相対速度電圧信号e及び相対加速度電圧信号eの全てが負帰還されるとすると、被検出体としてのセンサハウジング4の絶対変位uに対する相対変位電圧信号eの伝達関数e/uは次式(2)となる。
Figure 2016003934
式(2)において、係数a、a、a、a及びaは、次式(3)から(7)で表される。
Figure 2016003934
ここで、T(=C)は、積分回路61の時定数、T(=C)は、微分回路62の時定数である。
積分回路61の伝達関数G(s)は、G(s)=1/(T・s+1)となり、Tが大きければTs≫1であるから、伝達関数G(s)は、G(s)=1/(T・s)となり、微分回路62の伝達関数G(s)は、G(s)=T・s/(T・s+1)となり、sが小さい範囲では、Ts≪1であるから、伝達関数G(s)は、G(s)=T・sとなる。
そうすると、式(2)の絶対変位uに対する相対変位電圧信号eの伝達関数e/uは次式(8)となる。
Figure 2016003934
式(8)より、式(9)の係数K、固有角振動数ω及び減衰比ζは、次式(10)、(11)及び(12)となる。
Figure 2016003934
相対変位電圧信号eのみが正帰還されるとすると、変位フィードバックゲインKの符号が負に転じるので、固有角振動数ω及び減衰比ζは、次式(13)及び(14)となる。
Figure 2016003934
これらの式(13)及び(14)より、固有角振動数ωは、加速度フィードバックゲインKと変位フィードバックゲインKとに関係し、加速度フィードバックゲインKを負に大きくすれば固有角振動数ωを低下させることができ、これによって質量体2の質量mを増加させることができる。また、変位フィードバックゲインKを正に大きくすれば、固有角振動数ωの低下も可能であるが、フィードバックループを不安定にする方向に移行させるため、これには限界がある。
そこで、式(2)の分母がsを変数とするn次の多項式(P(s)=a+an−1+an−2+an−3+・・・an−1s+a)で与えられたとき、安定か不安定かを代数的に解くラウスの安定判別法によって、加速度フィードバックゲインKを増加させる限界を、加速度フィードバックゲインKと速度フィードバックゲインKとを負に、変位フィードバックゲインKを正に夫々設定して、求める。
式(1)の分母の変数sの多項式のラウス表を式(15)に示す。
Figure 2016003934
斯かるラウスの安定判別法によれば,一列目のa,a,A,A,aの符号が,全て同符号であればフィードバックループは安定であるが,a,aは、正符号を取るので,a,A,Aは、全て正符号を取らねばならない。式(15)に式(2)の分母の係数を代入すると、式(16)から(19)となる。
Figure 2016003934
これにより、a,Aが全て正符号を取るには、変位フィードバックゲインKの値を加速度フィードバックゲインK及び速度フィードバックゲインKの値以下にすることで実現できることになる。Aについても同様である。
結論として、絶対変位センサ1では、相対加速度aの加速度フィードバックゲインKは、フィードバックループを不安定にすることはなく、固有角振動数ωを低下させるには、この値を大きくすることで可能となる。
また、絶対変位センサ1では、相対変位(u−x)と絶対変位uとの比は、式(20)となり、振動の検出の領域は、固有角振動数ω以上であるから、相対変位(u−x)と絶対変位uとの比は、式(21)となり、相対加速度aの加速度フィードバックゲインKを大きくすることによって、式(21)の値は小さくなり、相対変位(u−x)が小さくても、大変位振幅の検出が可能になる。
Figure 2016003934
ところで、絶対変位センサ1では、原理的には、相対加速度aの加速度フィードバックゲインKはフィードバックループを不安定にすることはないので、相対加速度aの加速度フィードバックゲインKを大きく定めることで、固有角振動数ωを低下させることが可能であるが、質量体2を支持しているばね3は、実質的にはばね要素と質量要素とが無限に分布する分布定数系の弾性体と見做し得るので、厳密には固有角振動数ωよりも無数の高次固有角振動数ωを有していることになり、この無数の高次固有角振動数ωに基づいて、例えば、質量m=25.2×10−3(kg)、ばね係数k=30.1(N/m)、減衰係数c=0.87(N・sec/m)、変換フィードバックゲインK=35、変位フィードバックゲインK=0、速度フィードバックゲインK=0、加速度フィードバックゲインK=0、積分回路61の時定数T(sec)=3.3、微分回路62の時定数T(sec)=0.001、入力抵抗52の抵抗値Rf1=1kΩ、帰還抵抗53の抵抗値Rf2=1kΩ及び帰還キャパシタ54の静電容量値C=0μFの場合(ローパスフィルタ8の機能なしで、フィードバックなしの場合)に、式(2)の絶対変位uに対する相対変位電圧信号eの伝達関数e/uは、図7の曲線137で示すように、位相が90度となる振動数を固有角振動数ωと定義すれば、固有振動数ω/2π=5.5Hzよりも高い振動数領域の240Hz、380Hz及び480Hz付近で分割振動(共振ピーク)138、即ち、高振動数で無数の固有振動(分割共振現象)が発生する。
絶対変位センサ1において、式(2)は、ばね3を単純な弾性体とした伝達関数e/uであるが、相対加速度aの加速度フィードバックゲインKを大きくしていくと、固有振動数ω/2π=5.5Hzよりも高い振動数領域での分割振動138も大きくなり、フィードバックループで発振に至る虞がある結果、固有角振動数ωを低下するために相対加速度aの加速度フィードバックゲインKを大きくすることには限界があり、分割振動138を抑制しなければ相対加速度aの加速度フィードバックゲインKを大きくすることができないが、例えば、静電容量値C=0μFに代えて、静電容量値C=10μFの帰還キャパシタ54にして図4の周波数応答特性の曲線55で示されるカットオフ振動数fc=1.59Hzをもった伝達関数G(s)=e/eLr=(R/R)・{1/(1+R・C・s)}のローパスフィルタ8にすることにより、式(2)の絶対変位uに対する相対変位電圧信号eの伝達関数e/uは、フィードバックなしの場合、図7の曲線139で示すように、固有振動数ω/2π=5.5Hz以上の分割振動138を抑制でき、ばね3の高振動数領域で発生する分布定数系特有の高次の固有角振動数での質量体2の振動に影響されないで、分割振動138による発振現象を回避でき、相対加速度aの加速度フィードバックゲインKを大きくして、固有角振動数ωを低下させことができ、而して、例えば、周期10秒に至る長周期振動でも方向Hの絶対変位uを検出し得る。
また、絶対変位センサ1では、式(21)においてh≦1/500になるように加速度フィードバックゲインKを設定すれば、質量体2の変位±1mmでセンサハウジング4の全変位1000mm以上の大変位の検出が可能となり、例えば、質量体2の質量m=25.2×10−3(kg)、ばね定数k=30.1(N/m)、減衰係数c=0.87(N・sec/m)、変換フィードバックゲインK=35、変位フィードバックゲインK=0.5、速度フィードバックゲインK=0.75、変換フィードバックゲインK(A/V)=0.6、積分回路61の時定数T=3.3(sec)、微分回路62の時定数T=0.001(sec)、入力抵抗52の抵抗値Rf1=1kΩ、帰還抵抗53の抵抗値Rf2=1kΩ及び帰還キャパシタ54の静電容量値C=10μFでの、加速度フィードバックゲインKをK=550にした場合であって位相遅れ補償手段10を設けないe=eOUTの場合には、図8の曲線141となり、図8の曲線142で示される加速度フィードバックゲインK=0、速度フィードバックゲインK=0及び変位フィードバックゲインK=0にした場合(フィーバックなしの場合)であって位相遅れ補償手段10を設けないe=eOUTの場合と比較して、固有振動数ω/2π=5.5Hzから0.23Hzにできると共に固有振動数ω/2π=0.23Hz以上で、固有振動数ω/2π=5.5Hzでのセンサハウジング4の変位に対して、−55dB=1/570に圧縮でき、従って、絶対変位センサ1では、質量体2の変位をセンサハウジング4の全変位に対して、−55dB=1/570に圧縮でき、斯かる圧縮効果は、固有振動数ω/2π=0.23Hzよりも十分に高いカットオフ振動数f、例えばカットオフ振動数f=1.59Hzをもったローパスフィルタ8を有している場合においても同様に得ることができる。
このように絶対変位センサ1では、一例では、質量体2の変位をセンサハウジング4の全変位に対して−55dB=1/570に圧縮できるのであるが、式(2)又は式(20)の伝達関数をもったフィードバックループでは、固有振動数ω/2πが0.23Hzであり、位相も固有振動数ω/2π=0.23Hzで90度進んでおり、振動数0.1Hzでは位相の進み角が180度を超えており、固有振動数ω/2π以下の振動数では270度に向けてさらに進むが、絶対変位センサ1では、例えば、式(1)における2次の位相遅れ補償回路91の伝達関数(s+2ζωs+ω )/(s+2ζωs+ω )において固有角振動数ω及び減衰比ζを、フィードバックループの固有角振動数ω及び減衰比ζの値と同一にして、フィードバックループの固有角振動数ω及び減衰比ζと相殺させて、絶対変位uに対する2次の位相遅れ補償回路91の出力電気信号eD1の伝達関数eD1/uが式(22)で表されるようにすると、当該2次の位相遅れ補償回路91の伝達関数(s+2ζωs+ω )/(s+2ζωs+ω )を、例えば、図9の曲線143で示される振動数応答特性にして、式(22)の伝達関数eD1/uを、図8の曲線144で示されるように、0.075Hz程度の固有振動数ω/2πをもった振動数応答特性にすることができる。
Figure 2016003934
新たな伝達関数eD1/uが式(1)の伝達関数Glag3(s)の(s+2ζωs+ω )で定まるようにした絶対変位センサ1でも、位相が90度となる固有振動数ω/2πを0.075Hz程度にしか低下できなく、しかも、実際にはコイル81のインダクタンス等が含まれる結果、厳密には式(22)の分母はsに関して4次式となって極低振動数領域で位相が270度まで進むのであるが、斯かる位相の進みを相殺して、目標とする超低振動数の固有振動数ω/2πを得ることができるように、即ち、例えば、絶対変位uに対する相対変位電圧信号eOUTの伝達関数eOUT/uにおいて固有振動数ω/2πが0.060Hzに低下されていると共に振動数0.1Hzで進み位相が45度に抑えられた図8に示す曲線145となるように、伝達関数Glag3(s)において図9の曲線146(図6の曲線136と同じ)の振動応答特性をもった位相遅れ補償手段10となる1次の位相遅れ補償回路92の伝達関数{s+(1/T)}/[s+{1/(α・T)}]におけるのα及びTが決定されており、こうして決定されたα及びTをもった1次の位相遅れ補償回路92の振動応答特性は、例えば、図10に示す曲線147となる。
このように絶対変位センサ1では、図9の曲線146で示される振動応答特性をもった位相遅れ補償手段10により、図8の曲線145の周波数応答特性をもった絶対変位センサ1が得られる結果、固有振動数ω/2πを0.060Hzに低下でき、0.1Hzで位相も45度の進みに止めることができ、周期T=10秒の超低振動数の検出が可能となる。即ち、絶対変位センサ1では、被検出体としてのセンサハウジング4の絶対変位uを検出する検出範囲での位相の進みが限りなく零となるように、2次の位相遅れ補償回路91に加えて1次の位相遅れ補償回路92を有した位相遅れ補償手段10により、相対変位(u−x)の電気信号eに、フィードバックループの固有振動数ωn/2πを含む所要の振動数領域で3次の位相遅れ補償を施している。
従って、位相遅れ補償手段10からの位相遅れ補償を施された相対変位(u−x)を被検出体としてのセンサハウジング4の方向Hの絶対変位xとして出力するようになっている絶対変位センサ1では、フィードバック制御手段9によって相対変位u−xを圧縮でき、質量体2の方向Hの変位xでのばね3に起因して発生する高次の固有振動数の質量体2の振動をローパスフィルタ8で抑制でき、しかも、フィードバック制御手段9の固有振動数ωn/2πを3次の位相遅れ補償手段10によって低下できて検出範囲を0.1Hz以下の極低振動数まで拡張できる結果、センサハウジング4と質量体2との方向Hの相対変位u−xが±1mmであっても、±570mmの方向Hの変位uを検出でき、また、10秒の長周期振動以上の検出が可能となり、従って、相対変位u−xが±1mmしかできない小型の本絶対変位センサ1によっても、全振幅1メートル以上で10秒以上の長周期・大振幅振動の変位が検出できることになる。
なお、絶対変位センサ1では、ローパスフィルタ8、フィードバック制御手段9及び位相遅れ補償手段10を、抵抗、キャパシタ、演算増幅器等を用いた電気回路で構成したが、本発明の絶対変位センサは、斯かる電気回路で構成したものに限定されず、例えば、ローパスフィルタ8、フィードバック制御手段9及び位相遅れ補償手段10を、プログラムを用いたコンピュータで具体化してもよい。
1 絶対変位センサ
2 質量体
3 ばね
4 センサハウジング
5 検出手段
6 入力端
7 出力端
8 ローパスフィルタ
9 フィードバック制御手段
10 位相遅れ補償手段

Claims (5)

  1. 質量体と、この質量体をばねを介して弾性的に一の方向に変位自在に支持する被検出体と、質量体に対する被検出体の一の方向の変位における相対速度を検出する検出手段と、検出手段から出力された相対速度を積分して得られた相対変位をポジティブに、当該相対速度及び当相対速度を一次微分して得られた相対加速度の夫々をネガティブに夫々フィードバックさせて、被検出体の一の方向の絶対変位に起因する質量体の一の方向の絶対変位を抑制制御するフィードバック制御手段と、このフィードバック制御手段からの積分して得られた相対変位にフィードバック制御手段の固有振動数以下の振動数領域で3次の位相遅れ補償を施す位相遅れ補償手段とを具備しており、位相遅れ補償手段からの位相遅れ補償を施された相対変位を被検出体の一の方向の絶対変位として出力するようになっている絶対変位センサ。
  2. 位相遅れ補償手段は、2次と1次との位相遅れ補償回路を組み合わせてなる請求項1に記載の絶対変位センサ。
  3. 位相遅れ補償手段は、sを微分演算子として式[(s+2ζωs+ω )/(s+2ζωs+ω )]・[{s+(1/T)}/[s+{1/(α・T)}]で表される伝達関数Glag3(s)を有しており、ここで、固有角振動数ω及び減衰比ζは、フィードバック制御手段の固有角振動数ω及び減衰比ζと同じ値であり、固有振動数ω/2πを所望の固有振動数に低下させると共に低下させた固有振動数での位相進みを45度以下に抑えるように、T及びαが決定されている請求項1又は2に記載の絶対変位センサ。
  4. 位相遅れ補償手段は、フィードバック制御手段からの積分して得られた相対変位において、0.1Hzの振動数で、45度以内の位相進みとなるようになっている請求項1から3のいずれか一項に記載の絶対変位センサ。
  5. フィードバック制御手段は、ポジティブにフィードバックされた相対変位、ネガティブにフィードバックされた相対速度及び当該相対速度を一次微分して得られると共にネガティブにフィードバックされた相対加速度に基づいて、質量体を被検出体に付加される変位の方向に関して変位させるアクチュエータを具備している請求項1から4のいずれか一項に記載の絶対変位センサ。
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