JP2010230310A - サーボ型振動センサ及び振動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】センサ外郭に対して質量体を支持する支持ばねと、前記センサ外郭と前記質量体の間の相対変位を検知する検知器と、前記センサ外郭と前記質量体の間に配置され前記質量体を負荷として駆動するアクチュエータと、前記検知器から得られる相対変位信号を前記アクチュエータの駆動部に帰還するサーボ回路を備えたサーボ型振動センサにおいて、地動絶対速度、あるいは地動絶対変位を検出するために、積分帰還用増幅器をセンサのサーボ回路に配置して、この積分帰還用増幅器から検出信号を取り出したものである。さらに、この積分器の極の構成と、検出信号を取り出す方法に工夫を施すことにより、広い検出帯域でゲイン・位相特性をフラットにできることを理論的に見出したものである。
【選択図】図1
Description
半導体製造プロセス、液晶製造プロセス、精密機械加工などの様々な分野で、微細な振動を遮断・抑制するための振動制御の利用が広がっている。これらのプロセスで用いられる走査型電子顕微鏡、半導体露光装置(ステッパ)などの微細加工・検査装置は、装置の性能を保障するための厳しい振動許容条件が要求される。今後、製品のさらなる高集積化・微細化と共に、加工プロセスの高速化と装置の大型化が進み、振動許容条件はますます厳しくなる傾向にある。
近年、振動制御対象の構造物(たとえば、精密除振台)の複数箇所に配置された振動センサからの変位・速度・加速度情報に基づいて制御信号を作り、制御装置を制御するアクティブ振動制御技術が普及している。
地動外乱となる振動の発生源として、歩行振動と呼ばれる人の移動によるものは1〜3Hz、エアコンなどのモータによるものは6〜35Hz、床や壁の共振点は10〜100Hz程度である。超高層・免振ビルでは0.2〜0.3Hz近傍に固有振動数を有する。また風揺れによって、建築物は0.1〜1.0Hzの微振動が発生する。したがって、除振台には、高周波の振動抑制だけではなく、低い周波数の振動を取り除くことも要求される。
アクティブ振動制御では、状態フィードバックによる制御方法が採られている。これは、振動制御対象の構造物の複数個所に配置された振動センサからの加速度・速度・変位情報に基づいて、制御装置を制御する方法である。広い周波数領域で除振性能を得るために、たとえば、加速度信号は主に10Hz以上の状態量を制御し、速度信号は1〜10Hz、変位信号は1Hz以下の状態量を制御するのに用いられる。たとえば、
(1)定盤401上に配置された加速度センサ(図44の加速度センサ403を利用)からの信号を用いて、加速度フィードバックを施せば、質量Mの増加と等価となり、固有振動数を低下させ、共振ピークを低減させるなどの効果が得られる。
(2)上記加速度センサ(図44の403)からの信号を絶対速度あるいは絶対変位信号に変換し、フィードバックあるいはフィードフォワードを施せば、広い周波数領域で大幅な除振性能の改善ができる。
(3)定盤401直下に配置された加速度センサ(図38の404)からの信号を用いて、その信号を絶対速度あるいは絶対変位信号に変換し、同様にフィードフォワードを施せば、広い周波数領域で除振性能の改善ができる。
上記(2)(3)の制御を行うためには、慣性空間に対する速度、位置情報が必要である。加速度センサは慣性空間に対する加速度を計測することができるため、加速度センサを制御対象に取り付けることで、制御対象に加わる加速度が検出できる。したがって、従来のアクティブ除振装置では、加速度センサの出力を1回積分することで速度信号を求め、さらに2回積分することで変位信号を求める方法が採用されている。
精密除振台には、(1)定盤が設置された床面と定盤間の相対変位、(2)慣性空間に対する定盤の絶対変位、上記(1)(2)の制御が必要とされる。
(1)の相対変位については、床面に対して設置された変位センサにより、比較的容易にその検出が可能である。しかし、(2)の絶対変位を検出するためには、後述する加速度センサを用いざるを得ない場合が多く、次のような課題があった。
(1)積分器に完全積分1/sを用いた場合、信号を増幅するアンプ類にはドリフト等の直流成分があり、主信号に重畳された直流成分も同時に積分されるため、本来必要な主信号(たとえば変位信号)の正確な情報が得られない。
(2)上記問題を解消するために、通常、不完全積分1/(s+a)により、加速度セ
ンサの出力を積分して近似的な速度信号を得て、さらに、この速度信号を
同様な積分器により積分して近似的な変位信号を得る方法が採用されてい
る。完全積分の場合は、全周波数領域で位相遅れ角度Φは一定(1/sでΦ
=-90°、1/s2でΦ=-180°)である。しかし、不完全積分を経由した信号は、
低周波数領域において位相の遅れ角度は上記完全積分の場合の値にはなら
ず、その結果、正確な負帰還信号は得られない。
たとえば、f=0.01〜1Hzの低周波数領域における除振性能の向上を図るために、上記(2)の不完全積分を用いて、絶対変位フィードバックを施した場合、低周波数領域で位相が遅れると共に、ゲインが増大するなどの問題があった。
ここで、従来から用いられている加速度センサの基本構成と検出原理について説明する。図45は、従来の静電容量型加速度センサの一例を示すモデル図である。301はセンサの各部材を収納する本体部、302は質量体、303は振動測定面Aに対して質量体302を機械的に支持するバネ、304は減衰器である。質量体302は静電容量型センサの可動側電極も兼ねている。305は可動側電極(質量体302)の対抗面側に配置された固定側電極、306は前記2つの電極間の空隙部である。
この静電量Cを計測することにより、地動絶対変位Uと質量体の絶対変位Xの
差である相対変位U-Xを検出できる。サーボ回路310(2点鎖線で示す)は、
記相対変位信号U-Xを利得KPで増幅する変位増幅器311から構成される。
チュエータの電流i0が制御される。
従来の加速度センサを道いた場合の、アクティブ精密除振台に係る上述した問題を解決するために、速度信号、あるいは変位信号を直接検出するサーボ型センサが提案されている。
実公平6-28698号には、地動絶対変位uと質量体の絶対変位xの差である相
対変位信号u-xを入力として、微分回路を経由してアクチュエータを駆動し、
検出された相対変位の増幅器出力から絶対速度信号を得る方法が開示されてい
る。この方法では、微分回路の微分ゲイン定数KDを他のパラメータと比べて十
分に大きく設定ことにより、質量体の絶対速度が得られる、としている。
めに、地動絶対変位uと質量体の絶対変位xの差である相対変位u-xをポジテ
ィブ・フィードバック(正帰還)することにより、等価バネ定数を制御面から
低減させる方法が、特許第3561344号、及び特許第389989号に開示されている。
(1)たとえば、f=0.01Hz以下の低周波領域から、f=1000Hz近傍の高周波数領域まで、広い信号検出帯域を有する。
(2)センサ単体の機械ばね剛性と制御時の比例ゲインを共に充分大きくできる
ために、構造体しても強固で衝撃に強く、軽量・小型化が図れる。
低周波数領域での用途に主眼点をおいた絶対速度センサとして、また広い周波数帯域で用いる絶対変位センサに適用できる。また、質量体の原点復帰力(機械ばね剛性と比例ゲイン)を十分に大きく設定しても、低周波数領域での絶対速度、あるいは、絶対変位信号の検出が可能である。また、センサ単体の機械ばね剛性と制御時の比例ゲインを共に充分大きくできるために、衝撃に強く、構造体としても強固なセンサが実現できる。
すなわち、本発明は、信号検出用比例増幅器の出力と、積分器の出力を加算することにより、より高い周波数領域まで信号検出範囲を広げることができる。
請求項17の発明に係るサーボ型振動センサは、地動ステップ入力に対してセンサ出力が概略ステップ状の応答を示すときの前記積分帰還用増幅器の極の実数部の基準値をa0、前記積分帰還用増幅器に適用する極の実数部をaとしてξ=a/a0を定義したとき、1≦ξ≦1.5となるように構成したものである。
(2)「極の実数部の符号が正の不完全積分」が組み込まれたアクティブ精密除
振台の制御システム
上記(1)(2)を組み合わせた相乗効果により、より優れた除振性能を有するアクティブ精密除振台が実現できる。
(1)広い周波数帯域で、フラットなゲイン・位相特性を有する検出信号が得ら
れる。
(2)大きな原点復帰能力(充分に大きな剛性の機械ばねと比例ゲイン)を有す
るため、構造体としても強固で衝撃に強く、軽量・小型化が図れる。
本発明を、たとえば、アクティブ制振装置に適用することにより、低周波数領域での除振性能の向上、高周波数領域での制振性能の向上が図れる。その効果は絶大である。
[1] 理想的条件における絶対速度・絶対変位センサ
[2] 実用性を重視した場合の絶対速度・絶対変位センサ
最初に、上記[1]章から [第1実施形態]を基に説明する
1.本発明による絶対速度センサの原理
1−1.基本構造
詳細を示す。サーボ回路8(2点鎖線で示す)は、前記相対変位信号を利得KPで増幅する変位増幅器9と、前記相対変位信号を利得KDの微分増幅器10を経て、この増幅された信号を微分する微分器11と、前記相対変位信号を利得KIの積分増幅器12を経て、この増幅された信号を積分する積分器13(積分帰還用増幅器)から構成され、これらの信号が加算器14により加算されて、電磁アクチュエータ7を駆動する信号となる。
さて、本発明を適用した絶対速度センサは、後述する解析結果が示すように、従来の提案では得られなかった次のような特徴を有する。
(1)広い周波数帯域で検出信号が得られる。特に低い周波数帯域での本発明の
効果は顕著である。
(2)大きな原点復帰能力を有する。質量体(可動側電極)を充分に大きな剛性
の支持バネで支えることができ、かつ比例ゲインを大きくとれる。そのため、センサ単体の機械ばね剛性と制御時の比例ゲインを共に大きく設定できるために、衝撃に強く、構造体としても強固なセンサが実現できる。
(1)相対変位に対する絶対変位の伝達関数
地動絶対変位をU(s)、質量体(センサの可動側電極)の絶対変位をX(s)としたとき、相対変位E(s)[=U(s)-X(s)]に対する上記絶対変位X(s)の伝達関数G1(s)は、図2の制御ブロック図から次のように得られる。
ここで、センサのサーボ回路から絶対速度信号を取り出すために、たとえば、次の方法が考えられる。
(1)比例増幅器の出力だけを利用する
(2)積分器の出力だけを利用する
(3)2つの積分の和(第1積分器の出力+第2積分器の出力)を利用する
(4)比例増幅器と積分器との和を利用する
ここで、数23の伝達関数G2(s)の分母と分子のsの多項式を相殺することを試みる。上式の分母・分子のsの多項式を相殺できるならば、質量体速度V(s)に対する検出速度信号Z(s)の伝達特性の周波数依存性は抹消され、単なる比例関係の特性として取り扱えるのではないか、というのが本発明の着眼点である。分母と分子共sの2次式であることに注目し、分母=分子となる条件は、
次に、地動速度Uに対する質量体速度V(s)の伝達関数を求める。質量体の絶対変位X(s)は、式数20から
2−1.4つの条件のゲイン・位相特性比較
図4は、表1に示す4つの条件でパラメータを設定した場合について、絶対速度センサのゲイン・位相特性を示すものである。表1の4つの条件はいずれも、式数33の安定条件を満足している。条件(4)は、微分ゲインKD=0の場合である。速度帰還用増幅器をサーボ回路に並列に設けることにより、微分ゲインKDの選択によってセンサの検出周波数範囲が選択できる。微分ゲインKDを大きく設定すれば、より高い周波数まで検出範囲を広げることができる。
なお、他の実施例も同様であるが、図4のグラフにおいて、式数28から求められるセンサの検出値をZ→Z×(KD+c)/KXに置き換えて、ゲイン特性(図4上図のY軸の値)を整理している。
図5は、表1に示す条件(1)〜(3)でパラメータを設定した場合について、速度センサの過渡応答特性(t=0.002sでステップ入力を与えた場合)を示すものである。いずれの場合も、立ち上がり時間Tr<0.001秒であり、速度センサとして広い周波数帯域を有するゲイン・位相特性の解析結果(図4)と対応している。また、そのなかでも、検出周波数範囲が広い条件のサンサ程、応答性が速いことがわかる。
図7〜図8は、前述した速度センサが成立する条件[式数26、式数27]を満足するように選定された各パラメータのうち、バネ定数kと減衰係数cが所定の設定値に対して誤差がある場合、あるいは所定の設定値から変動した場合について、センサのゲイン・位相特性に与える影響を考察したものである。バネ定数kと減衰係数cは、センサの構造面から予め決まるもので、制御装置では任意に設定できないものである。
える影響
前節までの実施例の説明は、比例・微分・積分の各増幅器がすべて完備され、かつ、センサの速度信号出力=「信号検出用比例増幅器の出力+積分増幅器の出力」と仮定した場合であった。以下、下記項目、
(i)積分増幅器の有無、(ii)上記積分の極の符号、(iii)検出信号の取り出し方法、上記(i)〜(iii)がセンサのゲイン・位相特性に与える影響ついて述べる。図9は、図2の制御ブロック図を用いて、表2の各条件下における絶対速度センサのゲイン・位相特性の解析結果を示すものである。速度帰還用増幅器10は、そのゲインの大きさで検出周波数帯域を調整できるが、本発明の速度センサを実現する上で必須ではないため、全条件下で微分ゲイン定数KD=0とする。また、表2の条件(4)は、表1の条件(4)と同一のもので、式数26、式数27を同時に満足する最適パラメータを設定している。
図9において、条件(7)の結果は、積分回路12、13を省略し、信号検出用比例増幅器15だけを経由して速度検出信号とした場合である。f=20〜30Hzより低い周波数ではゲインは大きく低下し、また位相はΦ→+90degに漸近していく。したがって、積分回路を省略した比例増幅器だけの場合は、速度センサとして適用するのは難しい。
条件(6)は、式数26で決まる最適条件aの絶対値はそのままで、符号のみを負(a<0の安定積分)に変えた場合である。条件(5)は、積分器に完全積分(a=0)を用いた場合であり、条件(6)と比べて、ゲイン・位相特性は若干改善される。
図10は、図2の制御ブロック図を用いて、表2の条件(4)で、
(1)速度信号出力=信号検出用比例増幅器の出力+積分増幅器の出力
(2)速度信号出力=積分増幅器の出力
上記(1)(2)を比較したものである。(2)の積分増幅器だけから検出信号を取り出す場合と比べて、(1)の比例増幅器と積分増幅器を加算して検出信号を取り出す場合は、検出周波数帯域は高域側で大幅に改善される。しかし、(2)の場合でも、f<10Hz以下の周波数では、フラットなゲイン・位相特性が得られるため、適用する用途次第では十分に実用に供することができる。
1−3節において、式数26、数27が同時に成り立つとき、質量体速度V(s)に対する検出速度信号Z(s)の伝達特性の周波数依存性は完全に抹消され、広い周波数帯域でフラットなゲイン・位相特性が得られることを見出すことができた。ここで、式数26;a0= KI/(k+KP)、及び、式数27;KX= KI(c+KD)/(k+KP)のそれぞれの式が、ゲイン・位相特性のどの周波数帯域で大きな影響を与えるかについて考察する。
3.本発明による絶対速度センサの改良
3−1.基本構造
図13の制御ブロック図で示す実施例は、信号検出用比例増幅器(図2の15)と微分増幅器(図2の10)と兼用して、かつ微分増幅器出力と積分器出力を加算することにより、質量体の絶対速度信号を求めたものである。本構成により、パラメータ数の低減と制御システムの簡素化が図れる。
ここで、式数23における分母と分子のsの多項式を相殺する条件は、式数27においてKX=KDとおけば
4.本発明による変位センサの原理
4−1.基本構造
さて、前述したように、第1及び第2実施形態で前述した速度センサは、
(1)地動絶対速度を検出するために、積分帰還用増幅器をセンサのサーボ回路に配置して、この積分帰還用増幅器から検出信号を取り出すことにより実現したものである。さらに、(2)積分器の極の構成と、検出信号を取り出す方法に工夫を施すと共に、センサの可動電極である質量体の絶対速度・絶対変位に対する検出信号の周波数依存性が極力小さくなるように、各制御要素のパラメータを最適化する。すなわち、上記(1)(2)を組み合わせることにより、広い周波数領域で、フラットなゲイン・位相特性が得られることを見出したものである。この考え方は、絶対変位検出センサにも適用できる。本発明を適用した絶対変位センサは、後述する解析結果が示すように、従来の提案では得られなかった次のような特徴を有する。
効果は顕著である。
(2)大きな原点復帰能力を有する。質量体(可動側電極)を充分に大きな剛性の支持バネで支えることができ、かつ比例ゲインを大きくとれる。そのため、センサ単体の機械ばね剛性と制御時の比例ゲインを共に大きく設定できるために、衝撃に強く、構造体としても強固なセンサが実現できる。
以下、本発明適用の変位センサが成立するパラメータの最適条件を、理論解析により導出する。
(1)相対変位に対する絶対変位の伝達関数
地動絶対変位をU(s)、質量体(センサの可動側電極)の絶対変位をX(s)としたとき、相対変位E(s)[=U(s)-X(s)]に対する上記絶対変位X(s)の伝達関数は式数20から次のように得られる。また、実施形態1同様に、図15における実用微分回路61は、完全微分に置き換えて、すなわちs/(Ts+1)→ sとして求めた。相対変位検出用増幅器65の利得はKa=1とする。
ここで、絶対変位出力=積分回路出力(センサ検出信号)と仮定する。
式数38のsの多項式において、分母=分子となる条件は、
次に、地動変位U(s)に対する質量体変位X(s)の伝達関数を求める。
式数30から、X(s)とU(s)の関係を求める。V(s)=sX(s)として、
5−1.3つの条件のゲイン・位相比較
図16は、表3に示す3つの条件でパラメータを設定した場合について、変位センサのゲイン・位相特性を示すものである。表3の3つの条件はいずれも、式数47の安定条件を満足するように選択されている。前述した速度センサ同様に、パラメータの選択によって、センサの検出周波数範囲が選択できることがわかる。
図17は、表3に示す3つの条件でパラメータを設定した場合について、速度センサの過渡応答特性(t=0.002sでステップ入力を与えた場合)を示すものである。いずれの場合も、立ち上がり時間Tr<0.5ms秒であり、絶対変位センサとして広い周波数帯域を有するゲイン・位相特性の解析結果(図16)と対応している。また、そのなかでも、検出周波数範囲が広い条件のセンサ程、応答性が速いことがわかる。
さて、前述した絶対速度センサの場合も、積分器の出力だけから絶対速度信号が得られることを、[2-4]節で述べた。この速度センサと同様なサーボ回路で、積分器の出力から絶対変位信号が得られる理由は次の通りである。
もしセンサ・パラメータを絶対速度センサ用に設定された条件で、地動変位信号(全周波数領域で変位振幅一定)を入力した場合、その出力は地動速度信号を入力した場合に対して位相φ=0→90deg進み、またゲインは周波数(対数表示)に対して直線的に増大するカーブとなる。
たとえば、速度センサのパラメータ:表1の条件(1)と、変位センサのパラメータ:表3の条件(8)を比較する。
(2)微分ゲインをKD=1.0→80.7に増大させることにより、ゲインが周波数に対してフラットになる周波数は、さらにf=10→1Hz近傍にまで低下し、逆に高い周波数領域では、フラットになる周波数はf=1000Hz近傍まで伸びる。
位相がφ=90degから降下を始める周波数はf=1→0.1Hz近傍にまで低下する。
(3)積分器の極の実数部a=0.222→1.41に増大させることにより、f<1Hz以下の周波数で、不安定積分の効果(図3参照)により、位相は一層大きく降下して、φ→0degに漸近していく。
したがって、検出信号を取り出す方法と、各制御要素のパラメータの最適化により、積分器の出力から広い周波数帯域で絶対変位信号が得られるのである。
6.本発明による速度と変位の共用センサの原理
6−1.基本構造
図18は、本発明の実施形態4に係る静電容量型の速度と変位共用センサの一例を示す制御ブロック図である。サーボ回路100(2点鎖線で示す)は、前記相対変位信号U-Xを利得KPで増幅する変位増幅器101と、信号U-Xを利得KDの微分増幅器102を経て、この増幅された信号を微分する微分器103と、信号U-Xを利得KIの積分増幅器104を経て、この増幅された信号を積分する積分器105から構成され、これらの信号が加算器106により加算されて、電磁アクチュエータ(図示せず)を駆動する入力信号となる。107は、前記静電容量型の変位検知器から得られた相対変位信号U-Xを、利得Kaで増幅する相対変位検出用増幅器である。本発明の実施例においては、前述した積分器105には、前述した実施例同様に、「極の実数部の符号が正の不完全積分」を用いている。微分増幅器102の出力と、積分器105の出力を加算器108により加算することにより、質量体(図示せず)の絶対速度信号Z1が得られる。また、積分器105の出力から質量体の絶対変位信号Z2が得られる。
本実施例においては、速度センサと変位センサが共用できる条件は、実施形態2(速度センサ)で求めた式数34、及び、実施形態3(変位センサ)で求めた式数42から求めることができる。
なお、速度センサの実施例である実施形態1のように、速度信号を取り出すのに信号検出用比例増幅器(利得KX)を別途設ける場合は、式数26、式数27、式数42が同時に成り立つ条件を求めれば良い。
表4に、式数48、式数49、式数50が同時に成り立つパラメータの一例を示す。
また、図19に検出速度信号のゲイン・位相特性、図20に検出変位信号のゲイン・位相特性の解析結果を示す。
図21に、本発明の実施形態5に係る静電容量型の加速度センサの一例を示す制御ブロック図である。サーボ回路150(2点鎖線で示す)は、前記相対変位信号を利得KPで増幅する変位増幅器151と、前記相対変位信号を利得KDの微分増幅器152を経て、この増幅された信号を微分する微分器153と、前記相対変位信号を利得KIの積分増幅器154を経て、この増幅された信号を積分する積分器155から構成され、これらの信号が加算器156により加算されて、電磁アクチュエータ(図示せず)を駆動する信号となる。本発明の実施例においては、前述した積分器155には、前述した実施例同様に、「極の実数部の符号が正の不完全積分」を用いている。また、微分増幅器152の出力と、積分器155の出力を加算器157により加算することにより、質量体(図示せず)の絶対速度信号ZVが得られ、さらに微分器158を経て加速度信号ZA[図21の検出加速度信号(1)]が得られる。図22に、表1における条件(1)で解析した加速度センサのゲイン・位相特性を示す。
(1)低い周波数0.01Hz以下から、1000Hz近傍までフラットなゲイン・位相特性が得られる。
(2)立ち上がり時間T=1ms以下の優れた応答性を有する。
(3)同一のセンサから、絶対変位信号、絶対速度信号、加速度信号を得ることができる。
8.ポジティブ・フィードバックを用いる場合の速度センサの原理
8−1.基本構造
以下、従来から用いられている安定積分、すなわち、「極の実数部が負の符号を持つ積分」を用いた場合でも、不安定積分を用いた場合と同様に、低い周波数までフラットなゲイン・位相特性が得られる方法について述べる。具体的には、極の実数部が負の符号を持つ安定積分により積分帰還用増幅器を構成し、この積分帰還用増幅器を経由して、検知器から得られる相対変位信号を前記アクチュエータの駆動部に正帰還(ポジティブ・フィードバック)するように構成したものである。この方法では、前記積分帰還用増幅器に安定積分
[a<0である積分1/(s-a)]を用いる。この安定積分を経由して、前記検知器から得られる相対変位信号を前記アクチュエータの駆動部に正帰還すると、極の実数部が正の不安定積分[a>0である積分1/(s-a)]を用いた場合と同様な作用により、制御系全体に大幅な改善効果をもたらすことができる。
(1)相対変位に対する絶対変位の伝達関数
以下、ポジティブ・フィードバックを用いた本発明の原理を、前述した絶対速度センサの場合を対象にして、理論解析により明らかにする。地動絶対変位をU(s)、質量体(センサの可動側電極)の絶対変位をX(s)としたとき、相対変位E(s)[=U(s)-X(s)]に対する上記絶対変位X(s)の伝達関数G1(s)は、定数Tが十分に小さければ、図23の制御ブロック図から次のように得られる。実施形態1同様に、図23における実用微分回路903は、完全微分に置き換えて、すなわちs/(Ts+1)→ sとして求めた。また、相対変位検出用増幅器908の利得はKa=1とする。
ここで、センサのサーボ回路から速度信号出力を取り出す方法として、[1]節同様に、センサの速度信号出力=「信号検出用比例増幅器907の出力+積分器905の出力」を適用する。検出速度信号Z(s)は
ここで、式数54の伝達関数G2(s)の分母と分子のsの多項式を相殺する条件を求める。分母=分子となる条件は、
次に、[1]節と同様に地動速度Uに対する質量体速度V(s)の伝達関数を求める。質量体の絶対変位X(s)は、式数51から
図24は、安定積分で構成される表5の条件(12)〜条件(14)の絶対速度センサにおいて、ポジティブ・フィードバックを施した場合のゲイン・位相特性を示すものである。各条件を、第1実施形態同様に負帰還(図23の加算器906にマイナスの符号で入力)を施した場合を、同図中に対比して示す。
本実施例では安定積分を用いているため、前記積分帰還用増幅器に用いる積分器の直前の入力側に発生するドリフトなどに対して有利となる。
1.振動センサの適用範囲の拡大を図る方法
前章 [1]では、「極の実数部が正の符号を持つ積分」を導入して、質量体の速度・変位に対する検出信号の周波数依存性を僅少化する最適なパラメータ条件を選定することにより、広い周波数領域で、フラットなゲイン・位相特性が得られることを見出すことができた。また、制御要素として元来不安定とされる、a>0である積分1/(s-a)は、フィードバック制御の閉ループの中に局所的に組み込まれて、かつ適切なパラメータ選定が系全体で為されることで、制御システム全体の伝達特性、すなわち、地動速度、あるいは地動変位に対する検出速度信号の伝達関数には表れず、系全体としては安定性を維持できるのである。また、従来から用いられている安定積分を正帰還することで、不安定積分の特性を等価的に持たせる場合も同様であった。これらの結果は、振動センサが適用される環境温度が整備され、また振動センサのサーボ回路における直流ドリフトの発生防止が十分に配慮されていれば問題はない。たとえば、振動センサの主信号をできるだけデジタル回路で処理し、またアナログ回路であっても、温度係数が小さく、精度の高い回路素子で構成されると共に、実消費電力/許容電力が十分小さく設計されるならば、実用性に支障はなかった。
(1)センサ・パラメータを最適値ではなく、安定側に設定する方法
(2)「準最適条件」を用いる方法
まず、絶対速度センサを対象にして上記(1)から説明する。
する方法
2−1.極の実数部aの値を最適値ではなく、安定側に設定する方法
図25は、図2の制御ブロック図において、地動速度入力17に速度一定のステップ入力を与えた場合の、検出速度出力(ステップ応答)を示すグラフである。同図中に記載されたξ=a/ a0の条件は、第1実施形態で示した絶対速度センサを対象に、表1、条件(1)のパラメータを基本にして、積分の極の実数部の値aが最適値(基準値)a0=0.222を中心に、上下に変化させた場合(ξ=a/ a0=-0.5〜1.5をNo(1)〜No(6)で整理)を示す。変化させるのはaの値だけで、他のパラメータは一定である。上記同一条件におけるゲイン・位相特性は、既に図11に記載している。a>a0(ξ>1)の場合、検出速度信号は増大し、a<a0(ξ<1)の場合は、検出速度信号は零に収束していく。この結果から、a<a0(ξ<1)の範囲に設定することにより、ステップ状の速度入力に対して、あるいは、緩やかな直流成分のドリフトが前記積分帰還用増幅器の入力側に発生した場合に対しても、センサ出力は発散することなく安定に減衰する作用を有する。さらに、ξ>0となるように極の実数部aの値を設定することで、極の実数部aの符号は正の値を保つため、低周波数領域におけるゲイン・位相特性の改善が図れる。
図26は、図2の制御ブロック図において、地動速度入力17に速度一定のステップ入力を与えた場合の、検出速度出力(ステップ応答)を示すグラフである。同図中に記載されたη=KI /KI0 の条件は、第1実施形態で示した絶対速度センサを対象に、表1、条件(1)のパラメータを基本にして、積分ゲイン定数KIを最適値(基準値)KI0=87.7を中心に、上下に変化させた場合(η=KI /KI0 =0.6〜1.6をNo(1)〜No(6)で整理)を示す。ここで、KI0=a(k+KP)である。変化させるのはKIの値だけで、他のパラメータは一定である。図26の、ステップ応答において、t=2.0秒における出力の値がηの設定で異なるのは、KI の値により検出出力Z(s)の絶対値が変わるからである。上記同一条件におけるゲイン・位相特性を、図27に示す。KI<KI0(η<1)の場合、検出速度信号は増大し、KI>KI0(η>1)の場合は、検出速度信号は零に収束していく。この結果から、KI>KI0(η>1)の範囲に設定することにより、ステップ状の速度入力に対して、あるいは、緩やかな直流成分のドリフトが前記積分帰還用増幅器の入力側に発生した場合に対しても、センサ出力は発散することなく安定に減衰する作用を有する。η=KI /KI0 を大きく設定する程、より安定側に移行するが、ゲイン・位相特性が劣化していく。適用実験の結果、1.0≦η≦1.2の範囲に設定すればベストであり、1.0≦η<1.5の場合でも、実用上十分な性能が得られた。
図28は、図2の制御ブロック図において、地動速度入力17に速度一定のステップ入力を与えた場合の、検出速度出力(ステップ応答)を示すグラフである。同図中に記載されたφ=KP /KP0 の条件は、第1実施形態で示した絶対速度センサを対象に、表1、条件(1)のパラメータを基本にして、比例ゲイン定数KPを最適値(基準値)KP0=316を中心に、上下に変化させた場合(φ=KP /KP0=0.4〜1.4をNo(1)〜No(6)で整理)を示す。変化させるのはKPの値だけで、他のパラメータは一定である。ここで、KP0=KI/a-kである。図28の、ステップ応答において、t=2.0秒における出力の値がφの設定で異なるのは、KPの値により検出出力Z(s)の絶対値が変わるからである。上記同一条件におけるゲイン・位相特性を、図29に示す。KP>KP0(φ>1)の場合、検出速度信号は増大し、KP<KP0(φ<1)の場合は、検出速度信号は零に収束していく。この結果から、KP<KP0(φ<1)の範囲に設定することにより、ステップ状の速度入力に対して、あるいは、緩やかな直流成分のドリフトが前記積分帰還用増幅器の入力側に発生した場合に対しても、センサ出力は発散することなく安定に減衰する作用を有する。φ=KP /KP0を小さく設定する程、より安定側に移行するが、ゲイン・位相特性が劣化していく。適用実験の結果、0.8≦φ≦1.0の範囲に設定すればベストであり、0.4<φ≦1.0の場合でも、実用上十分な性能が得られた。
3−1.極の実数部aの値を最適値ではなく、安定側に設定する方法
図30は、図2の制御ブロック図において、地動速度入力17に速度一定のステップ入力を与えた場合の、検出速度出力(ステップ応答)を示すグラフである。同図中に記載されたξ=a/a0の条件は、第1実施形態で示した絶対速度センサを対象に、表1、条件(1)のパラメータを基本にして、積分の極の実数部の値aが最適値(基準値)a0=-0.222を中心に、上下に変化させた場合(ξ=a/a0=-0.5〜1.5をNo(1)〜No(6)で整理)を示す。変化させるのはaの値だけで、他のパラメータは一定である。上記同一条件におけるゲイン・位相特性を図31に示す。a<a0(ξ<1)の場合、検出速度信号は増大し、a>a0(ξ>1)の場合は、検出速度信号は零に収束していく。この結果は、[2-1]節で述べた不安定積分を負帰還する場合とは逆となる。したがって、a>a0(ξ>1)の範囲に設定することにより、ステップ状の速度入力に対して、あるいは、緩やかな直流成分のドリフトが前記積分帰還用増幅器の入力側に発生した場合に対しても、センサ出力は発散することなく安定に減衰する作用を有する。さらに、ξ<1.5となるように極の実数部aの値を設定することで、低周波数領域におけるゲイン特性の低下も十分に小さく、位相特性の進みも抑制できる。
図32は、図2の制御ブロック図において、地動速度入力17に速度一定のステップ入力を与えた場合の、検出速度出力(ステップ応答)を示すグラフである。同図中に記載されたη=KI /KI0 の条件は、第1実施形態で示した絶対速度センサを対象に、表1、条件(1)のパラメータを基本にして、積分ゲイン定数KIを最適値(基準値)KI0=87.7を中心に、上下に変化させた場合(η=KI/KI0 =0.6〜1.6をNo(1)〜No(6)で整理)を示す。ここで、式数57からKI0=-a(k+KP)である。変化させるのはKIの値だけで、他のパラメータは一定である。図32の、ステップ応答において、t=2.0秒における出力の値がηの設定で異なるのは、KI の値により検出出力Z(s)の絶対値が変わるからである。上記同一条件におけるゲイン・位相特性を、図33に示す。KI>KI0(η>1)の場合、検出速度信号は増大し、KI<KI0(η<1)の場合は、検出速度信号は零に収束していく。この結果は、[2-2]節で述べた不安定積分を負帰還する場合とは逆となる。したがって、KI<KI0(η<1)の範囲に設定することにより、ステップ状の速度入力に対して、あるいは、緩やかな直流成分のドリフトが前記積分帰還用増幅器の入力側に発生した場合に対しても、センサ出力は発散することなく安定に減衰する作用を有する。η=KI /KI0 を小さく設定する程、より安定側に移行するが、ゲイン・位相特性が劣化していく。適用実験の結果、0.6≦η≦1.0の範囲に設定すれば、実用上十分な性能が得られた。
図34は、図2の制御ブロック図において、地動速度入力17に速度一定のステップ入力を与えた場合の、検出速度出力(ステップ応答)を示すグラフである。同図中に記載されたφ=KP/KP0 の条件は、第1実施形態で示した絶対速度センサを対象に、表1、条件(1)のパラメータを基本にして、比例ゲイン定数KPを最適値(基準値)KP0=316を中心に、上下に変化させた場合(φ=KP /KP0=0.4〜1.4をNo(1)〜No(6)で整理)を示す。変化させるのはKPの値だけで、他のパラメータは一定である。ここで、式数57からKP0=-KI/a-kである。図34の、ステップ応答において、t=2.0秒における出力の値がφの設定で異なるのは、KPの値により検出出力Z(s)の絶対値が変わるからである。上記同一条件におけるゲイン・位相特性を、図35に示す。KP<KP0(φ<1)の場合、検出速度信号は増大し、KP>KP0(φ>1)の場合は、検出速度信号は零に収束していく。この結果は、[2-3]節で述べた不安定積分を負帰還する場合とは逆となる。この結果から、KP>KP0(φ>1)の範囲に設定することにより、ステップ状の速度入力に対して、あるいは、緩やかな直流成分のドリフトが前記積分帰還用増幅器の入力側に発生した場合に対しても、センサ出力は発散することなく安定に減衰する作用を有する。φ=KP /KP0を小さく設定する程、より安定側に移行するが、ゲイン・位相特性が劣化していく。適用実験の結果、1.0≦φ≦1.4の範囲に設定すれば実用上十分な性能が得られた。
以下、従来から用いられている安定積分、すなわち、「極の実数部が負の符号を持つ積分」の場合でも、実用上充分なセンサ特性を得る方法、すなわち、質量体の絶対速度・絶対変位に対する検出信号の周波数依存性が抹消される条件が近似的に成り立つ「準最適条件」について述べる。この準最適条件でセンサ・パラメータを選定すれば、「極の実数部が負の符号を持つ安定積分」を用いても、ゲイン・位相特性が充分に低い周波数までフラットな、実用上充分な性能を持つ絶対速度・絶対変位センサが実現できる。以下、準最適条件を次の(1)〜(3)のステップで求める。
質量体速度V(s)に対する検出信号Z(s)の伝達関数をG2(s)とする。絶対速度センサの場合は、前述した式数23に相当する。
(2)パラメータの最適条件
伝達関数G2(s)の分母・分子を相殺する条件式において、積分の極aは、できるだけ0に近い値を選ぶ。たとえば、絶対速度センサの場合、式数26のa=KI/(k+KP)→0となるように、機械的バネ定数k、積分ゲイン定数KI、比例ゲイン定数KPを選ぶ。次に、式数27のKX=KI(c+KD)/(k+KP)を満足させるように各パラメータを選定する。
(3)パラメータの「準最適条件」の決定
上記で選んだa=a0とおき、他のパラメータは同一のままで、極の符号だけをa=-a0に置き換える。
図36は、第1実施形態である絶対速度センサを対象にして、表5に示す条
件下でのゲイン・位相特性を示すものである。条件(15)は「極の実数部が正の符号を持つ積分(不安定積分)」を用いた場合を示し、条件(16)は安定積分を用いて、積分の極の実数部aの値をa=-0.2〜-0.02の範囲で変えた場合(6ケース)を示す。
なお、極の実数部の最適値a0を理論的に求める場合を示したが、[4]章(7)で詳細に述べるように、ステップ応答から実験的に求めてもよい。
以下、本発明をアクティブ精密除振台の制御システムに適用した実施例について説明する。本発明の適用により、たとえば、f=0.01〜1Hzの低周波数領域において、優れた除振特性を有する精密除振台が実現できる。
図37は、本発明を適用した精密除振台における相対変位と絶対変位の制御方法の一例を示すモデル図である。アクティブ精密除振台は、図44で説明した同様の構造のものである。精密除振台には、前述したように、(1)定盤(質量体)が設置された床面(基礎)と定盤間の相対変位、(2)慣性空間に対する定盤の絶対変位、上記(1)(2)の制御が必要とされる。(1)の相対変位については、床面に対して設置された変位センサにより、比較的容易にその検出が可能である。(2)の絶対変位を検出するために、本実施例では低い周波数までフラットなゲイン・位相特性を有する本発明の絶対速度センサを用いて、この絶対速度センサの出力を不完全積分で積分して、絶対変位信号を得ている。
)であり、この2つの制御装置の出力から制御対象を駆動する駆動力が得られる。204は絶対速度センサであり、たとえば、本発明の第1実施形態で説明したものである。205は積分器であり、積分器205により絶対速度センサ204の出力206を積分して、近似的な絶対変位信号207を得ている。積分器205は、従来からサーボ回路に用いられている「極の実数部の符号が負の不完全積分(極s=-aであり、a=0.628の安定積分)」である。
)、704は加速度センサ、705、706は積分器である。積分器705により加速度センサの出力707を積分して近似的な速度信号708を得て、さらにこの信号708を積分器706により積分して近似的な変位信号709を得ている。積分器705,706は、いずれも従来からサーボ回路に用いられている「極の実数部の符号が負の不完全積分(極s=-aであり、a=0.628の安定積分)」である。
<f<10Hzの範囲における除振性能を改良できる。但し、本発明の効果を従来例と比べてより明確に相対評価するために、これらの制御は施さない場合を記載した。
図39は、本発明を適用した精密除振台における相対変位と絶対変位の制御方法の一例を示すモデル図である。絶対変位を検出するために、本実施例では低い周波数までフラットなゲイン・位相特性を有する本発明の絶対変位センサを用いている。一点鎖線で囲まれた部分251が定盤(質量体)の質量M、粘性C、ばねKを負荷とする除振装置の制御対象を示す。252は相対変位を制御するための制御装置(伝達函数GR)、253は絶対変位を制御するための制御装置(伝達函数GA)であり、この2つの制御装置の出力から制御対象を駆動する駆動力が得られる。254は絶対変位センサであり、たとえば、本発明の第3実施形態で説明したものである。
図41は、本発明を適用した精密除振台における相対変位と絶対変位の制御方法の一例を示すモデル図である。絶対変位を検出するために、本実施例では本発明の絶対速度センサを用いると共に、速度センサの出力から絶対変位信号を得るために、「極の実数部の符号が正の不完全積分」、すなわち、a>0である積分1/(s-a)を用いている。一点鎖線で囲まれた部分801が定盤(質量体)の質量M、粘性C、ばねKを負荷とする除振装置の制御対象を示す。802は相対変位を制御するための制御装置(伝達函数GR)、803は絶対変位を制御するための制御装置(伝達函数GA)であり、この2つの制御装置の出力から制御対象を駆動する駆動力が得られる。
(1) 本発明の絶対速度センサ
(2)「極の実数部の符号が正の不完全積分」が組み込まれたアクティブ精密除振台の制御システム
上記(1)(2)を組み合わせた相乗効果により、より優れた除振性能を有するアクティブ精密除振台が実現できるのである。
(1)本発明による振動センサの応用について
以上、本発明の振動センサを精密除振台に適用した場合について説明した。しかし、絶対変位、絶対速度が直接出力でき、耐衝撃性に優れ、小型・軽量で、広い周波数帯域でゲイン・位相特性がフラットな特性を有するセンサの用途は、精密除振台に留まらない。
速度センサの実施例である[1]章の[1-3]節において、センサの速度信号出力=「比例増幅器の出力+積分器の出力」と仮定した。この仮定の根拠について、理論解析を用いてより詳細に述べる。センサの速度信号出力を取り出す方法として、たとえば、上記以外に次の方法が考えられる。
(ii)積分器の出力だけを利用する
(iii)2つの積分の和(第1積分器の出力+第2積分器の出力)を利用する
最初に上記(i)の場合について考察する。センサの速度信号出力は
上記(ii)の場合、センサの速度信号出力は
実施例では、「極の実数部の符号が正の不完全積分」に最もシンプルな1次の積分、すなわち、ラプラス演算子sで記述した場合、1/(s-a)を用いた場合を説明したが、本発明に適用できる積分の形態は、上記1/(s-a)に限定されない。
特性方程式(伝達関数の分母)が、G(s)=ansn+an-1sn-1 ・・・ +a0で記述されるsの多項式1/G(s)でもよい。要は、実数部の符号が正の極(特性方程式の根)を有すればよい。あるいは、伝達関数は、sの多項式では記述できない非線形でもよい。非線形の微分方程式を、動作点近傍で線形化したときの近似的な伝達関数から、実数部の符号が正の極となるように特性方程式を求めればよい。
本発明を適用した速度センサの絶対速度検出信号から、絶対変位信号を得る方法として、前述したように絶対速度と絶対変位の共用センサを用いてもよいが、絶対速度検出信号に別途積分器を経由して絶対変位信号を得てもよい。
静電容量型センサの場合、アクチュエータの減衰作用は電極間の空隙による粘性効果(スクイーズ効果)によって生じるため、減衰器を敢えて独立して設置する必要はない。しかし、より大きな減衰作用が要求される場合は、減衰器を個別に設けても良い。
図7、図8に示したように、バネ定数k、減数係数cが変動すると、速度センサの場合は、式数26、式数27で示す最適条件、変位センサの場合は、式数41、式数42で示す最適条件を満たさなくなる。この対策として、たとえば、
(1)減数係数cは、隙間の変化で発生する粘性流体のスクイーズ作用が極力小さく、微分ゲイン定数KD≫cとなるように電極形状を設計する。
(2)バネ定数kは、センサ自身の固有振動数fn(質量体mは不変)を常時計測して、この固有振動数fnからバネ定数kを求める。
振動センサが低い周波数(たとえば、f=0.01〜0.1Hz)までフラットな上記ゲイン・位相特性を有するためには、
(1)極の実数部が正の積分器(不安定積分)から検出信号を取り出すと共に、この積分器の出力を入力側に負帰還する。
(2)極の実数部が負の積分器(安定積分)から検出信号を取り出すと共に、この積分器の出力を入力側に正帰還する。
以上、本発明の実施例では、絶対変位、絶対速度、加速度検出信号のゲイン・位相特性は、広い周波数領域で、周波数に対してフラットであることが理想というのが前提であった。しかし、本発明を適用すれば、センサを適用する制御対象の特性に合せた任意のゲイン・位相特性の設定ができる。
第1章の[5-3]節で一例を示したように、センサ・パラメータを適切に選択すれば、積分帰還用増幅器の出力から、絶対速度信号と絶対変位信号を同一の出力端子から得ることができた。すなわち、本発明が見出した「a>0である不安定積分1/(s-a)の適用」、「安定積分をポジティブ・フィードバックする方法」、「比例・速度増幅器の各出力を加算して検出信号を取り出す方法」などの工夫と、パラメータの選択により、本発明の振動センサにおいては、従来センサと比べて、センサ特性選択の自由度を大幅に広げることができるのである。この特徴を利用して、たとえば、センサを適用する制御対象(たとえばアクチュエータ)の伝達特性が、大きな周波数依存性を持っている場合、この周波数依存性を補償する伝達特性(ゲイン・位相特性)を振動センサ側に持たせてもよい。その結果、制御システム全体として制御特性の向上が図れる。
2・・・質量体
3・・・支持ばね
7・・・アクチュエータ
2,5,6・・・検知器
8・・・サーボ回路
13・・・積分帰還用増幅器
Claims (26)
- センサ外郭に対して質量体を支持する支持ばねと、前記センサ外郭と前記質量体の間の相対変位を検知する検知器と、前記センサ外郭と前記質量体の間に配置され前記質量体を負荷として駆動するアクチュエータと、前記検知器から得られる相対変位信号を前記アクチュエータに帰還するサーボ回路を備えたサーボ型振動センサにおいて、前記サーボ回路には前記相対変位信号を積分する積分帰還用増幅器が設けられており、この積分帰還用増幅器の出力をセンサ検出信号としたことを特徴とするサーボ型振動センサ。
- 前記サーボ回路は、前記相対変位信号を帰還する変位帰還用増幅器と、前記相対変位信号を増幅する信号検出用比例増幅器を有し、前記信号検出用比例増幅器の出力と前記センサ検出信号を加算して得られた出力から絶対速度信号得ることを特徴とする請求項1記載のサーボ型振動センサ。
- 前記サーボ回路は、前記相対変位信号を微分して帰還する速度帰還用増幅器を有することを特徴とする請求項1記載のサーボ型振動センサ。
- 前記速度帰還用増幅器の出力と前記センサ検出信号を加算して得られた出力から絶対速度信号を得ることを特徴とする請求項3記載のサーボ型振動センサ。
- 極の実数部が正の符号を持つ不完全積分により前記積分帰還用増幅器を構成したことを特徴とする請求項1記載のサーボ型振動センサ。
- 前記サーボ回路は、前記相対変位信号を帰還する変位帰還用増幅器を有し、この変位帰還用増幅器の比例ゲイン定数をKP、前記支持ばねのばね定数をk、前記積分帰還用増幅器の積分ゲイン定数をKI、前記積分帰還用増幅器に不完全積分を用いて、かつ、この不完全積分の極の実数部の値をaとして、下式数74が概略成り立つように構成されていることを特徴とする請求項1記載のサーボ型振動センサ。
- 前記支持ばねのばね定数をk、この支持ばねと並列に機能する減衰手段の減衰定数をc、前記変位帰還用増幅器の比例ゲイン定数をKP、前記速度帰還用増幅器の微分ゲイン定数をKD、前記積分帰還用増幅器の積分ゲイン定数をKI、前記信号検出用比例増幅器の比例ゲイン定数をKX、前記不完全積分の極の実数部の値をaとして、
- 前記支持ばねのばね定数をk、この支持ばねと並列に機能する減衰手段の減衰定数をc、前記変位帰還用増幅器の比例ゲイン定数をKP、前記速度帰還用増幅器の微分ゲイン定数をKD、前記積分帰還用増幅器の積分ゲイン定数をKI、前記不完全積分の極の実数部の値をaとして、下式数77が概略成り立つように構成されているサーボ型振動センサであることを特徴とする請求項4記載のサーボ型振動センサ。
- 前記支持ばねのばね定数をk、この支持ばねに並列して機能する減衰手段の減衰定数をc、前記積分帰還用増幅器の積分ゲイン定数をKI、前記サーボ回路に設けられた変位帰還用増幅器の比例ゲイン定数をKP、速度帰還用増幅器の微分ゲイン定数KD、前記不完全積分の極の実数部の値をaとして、
- サーボ回路に設けられた前記相対変位信号を増幅する信号検出用比例増幅器の出力と前記積分帰還用増幅器の出力を加算して得られた出力を絶対速度検出信号とし、前記積分帰還用増幅器の出力を絶対変位検出信号として、前記絶対速度検出信号と前記絶対変位検出信号が同一のセンサで検出するサーボ型振動センサであることを特徴とする請求項1記載のサーボ型振動センサ。
- 下式数80、下式数81、下式数82が概略成り立つように構成されているサーボ型振動センサであることを特徴とする請求項7又は9記載のサーボ型振動センサ。
- 下式が成り立つように構成されているサーボ型振動センサであることを特徴とする請求項7、又は9記載のサーボ型振動センサ。
- 地動ステップ入力に対してセンサ出力が概略ステップ状の応答を示すときの前記積分帰還用増幅器の極の実数部の基準値をa0、前記積分帰還用増幅器に適用する極の実数部をaとしてξ=a/a0を定義したとき、0<ξ≦1であることを特徴とする請求項5記載のサーボ型振動センサ。
- 地動ステップ入力に対してセンサ出力が概略ステップ状の応答を示すときの前記積分帰還用増幅器の積分ゲイン定数の基準値をKI0、前記積分帰還用増幅器に適用する積分ゲイン定数をKIとしてη=KI/KI0 を定義したとき、1.0≦η<1.5であることを特徴とする請求項5記載のサーボ型振動センサ。
- 地動ステップ入力に対してセンサ出力が概略ステップ状の応答を示すときの変位帰還用増幅器の比例ゲイン定数の基準値をKP0、前記変位帰還用増幅器に適用する比例ゲイン定数をKPとして、φ=KP/KP0 を定義したとき、0.4<φ≦1.0であることを特徴とする請求項5記載のサーボ型振動センサ。
- 極の実数部が負の符号を持つ不完全積分により前記積分帰還用増幅器を構成し、
この積分帰還用増幅器を経由して、前記検知器から得られる相対変位信号を前記アクチュエータの駆動部に正帰還することを特徴とする請求項1記載のサーボ型振動センサ。 - 地動ステップ入力に対してセンサ出力が概略ステップ状の応答を示すときの前記積分帰還用増幅器の極の実数部の基準値をa0、前記積分帰還用増幅器に適用する極の実数部をaとしてξ=a/a0を定義したとき、1≦ξ≦1.5であることを特徴とする請求項16記載のサーボ型振動センサ。
- 地動ステップ入力に対してセンサ出力が概略ステップ状の応答を示すときの前記積分帰還用増幅器の積分ゲイン定数の基準値をKI0、前記積分帰還用増幅器に適用する積分ゲイン定数をKIとしてη=KI/KI0 を定義したとき、0.6≦η≦1.0であることを特徴とする請求項16記載のサーボ型振動センサ。
- 地動ステップ入力に対してセンサ出力が概略ステップ状の応答を示すときの変位帰還用増幅器の比例ゲイン定数の基準値をKP0、前記変位帰還用増幅器に適用する比例ゲイン定数をKPとして、φ=KP/KP0 を定義したとき、1.0≦φ≦1.4であることを特徴とする請求項16記載のサーボ型振動センサ。
- 極の実数部が正の符号を持つ不完全積分により前記積分帰還用増幅器を構成し、かつ、地動ステップ速度入力に対してセンサ出力が概略ステップ状の応答を示すときの前記極の実数部をa0としたとき、前記積分帰還用増幅器に適用する不完全積分の極が負の符号を持つ実数部a≒-a0となるように符号を変換し、かつ、0<a0≦0.2であることを特徴とする請求項1記載のサーボ型振動センサ。
- 0<a0≦0.1であることを特徴とする請求項20記載のサーボ型振動センサ。
- 除振対象物を基礎に対して支持する支持アクチュエータと、この支持アクチュエータを駆動する駆動手段と、前記除振対象物の振動状態を検出するサーボ型振動センサと、この振動センサからの情報に基づいて前記除振対象物の慣性空間に対する絶対変位、及び、又は絶対速度を目標値となるように前記駆動手段を制御する制御装置から構成される振動制御装置において、請求項1で記載される前記サーボ型振動センサを用いて、このサーボ型振動センサからの情報を基に前記除振対象物を制御するアクティブ制振装置であることを特徴とする振動制御装置。
- 除振対象物を基礎に対して支持する支持アクチュエータと、この支持アクチュエータを駆動する駆動手段と、前記除振対象物の変位及び又は振動状態を検出する振動センサと、この振動センサからの情報に基づいて前記除振対象物と前記基礎との間の相対変位、及び、前記除振対象物の慣性空間に対する絶対変位を目標値となるように前記駆動手段を制御する制御装置から構成される振動制御装置において、前記振動センサに絶対速度センサを用いて、この絶対速度センサの出力信号が極の実数部が正の符号を持つ不完全積分を経由することにより、前記除振対象物を制御する絶対変位信号を得るアクティブ制振装置であることを特徴とする請求項22記載の振動制御装置。
- センサ外郭に対して質量体を支持する支持ばねと、前記センサ外郭と前記質量体の間の相対変位を検知する検知器と、前記センサ外郭と前記質量体の間に配置され前記質量体を負荷として駆動するアクチュエータと、前記検知器から得られる相対変位信号を前記アクチュエータに帰還するサーボ回路を備えたサーボ型振動センサにおいて、前記サーボ回路には前記相対変位信号を極の実数部が正の符号を持つ不完全積分により積分する積分帰還用増幅器が設けられており、ラプラス変換演算子sの多項式、あるいはz変換演算子の式、あるいは微分方程式で記述される、質量体速度もしくは質量体変位に対する検出信号の伝達特性の周波数依存性を僅少化するように、伝達関数の分母・分子の式、あるいは微分方程式の両辺の各項を概略相殺するセンサ・パラメータを選定したことを特徴とするサーボ型振動センサの設計方法
- センサ外郭に対して質量体を支持する支持ばねと、前記センサ外郭と前記質量体の間の相対変位を検知する検知器と、前記センサ外郭と前記質量体の間に配置され前記質量体を負荷として駆動するアクチュエータと、前記検知器から得られる相対変位信号を前記アクチュエータに帰還するサーボ回路を備えたサーボ型振動センサにおいて、前記サーボ回路には前記相対変位信号を極の実数部が負の符号を持つ不完全積分により積分して、かつ、前記アクチュエータの駆動部に正帰還する積分帰還用増幅器が設けられており、ラプラス変換演算子sの多項式、あるいはz変換演算子の式、あるいは微分方程式で記述される、質量体速度もしくは質量体変位に対する検出信号の伝達特性の周波数依存性を僅少化するように、伝達関数の分母・分子の式、あるいは微分方程式の両辺の各項を概略相殺するセンサ・パラメータを選定したことを特徴とするサーボ型振動センサの設計方法
- センサ外郭に対して質量体を支持する支持ばねと、前記センサ外郭と前記質量体の間の相対変位を検知する検知器と、前記センサ外郭と前記質量体の間に配置され前記質量体を負荷として駆動するアクチュエータと、前記検知器から得られる前記相対変位信号を前記アクチュエータに帰還するサーボ回路を備えたサーボ型振動センサにおいて、前記サーボ回路には利得KIの積分帰還用増幅器、及び、前記相対変位信号を帰還する利得KPの変位帰還用増幅器と、利得KXの信号検出用比例増幅器と、利得KDの速度帰還用増幅器のいずれかが前記積分帰還用増幅器と共に配置されており、前記積分帰還用増幅器の積分回路は、極の実数部aが正の符号を持つ不安定積分、あるいは、極の実数部aが負の符号を持ちその出力が前記アクチュエータの駆動部に正帰還される安定積分により構成され、前記各増幅器の利得前記KI、前記KP、前記KX、前記KD、及び、前記極の実数部aの数値の選択、及び、前記各増幅器出力からのセンサ出力信号の取り出し方の選択により、任意のゲイン・位相特性を得ることを特徴とするサーボ型振動センサの設計方法。
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