JP2001126977A - ステージ装置および露光装置ならびに回路デバイス製造方法 - Google Patents

ステージ装置および露光装置ならびに回路デバイス製造方法

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JP2001126977A
JP2001126977A JP30563299A JP30563299A JP2001126977A JP 2001126977 A JP2001126977 A JP 2001126977A JP 30563299 A JP30563299 A JP 30563299A JP 30563299 A JP30563299 A JP 30563299A JP 2001126977 A JP2001126977 A JP 2001126977A
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Toru Kiuchi
徹 木内
Hiroto Horikawa
浩人 堀川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ステージの加減速に伴う反力の影響の少ないス
テージ装置を提供する。 【解決手段】定盤8の移動面上を1次元又は2次元移動
する可動体10と、定盤8を装置設置場所の床面上に防
振して支持する防振マウント機構2A〜2Cとを備えた
ステージ装置であって、防振マウント機構2A〜2Cの
荷重印加部3A〜3Cが定盤8の移動面よりも高くなる
ように、防振マウント機構2A〜2Cの荷重印加部3A
〜3Cから定盤8を懸架状態で支持する懸架支持部7A
〜7Cを設けるとともに、定盤8の移動面とほぼ平行な
方向に関して防振マウント機構2A〜2Cと定盤8との
相対変位を許容するように、防振マウント機構2A〜2
Cの荷重印加部3A〜3Cと懸架支持部7A〜7Cとの
間に可動支承機構5Aを設けている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被加工物や被検査
物等の試料を載置して定盤上を精密に2次元移動するス
テージ装置と、そのようなステージ装置を用いた露光装
置、精密加工装置等に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、半導体デバイスや液晶表示デ
バイス等の回路パターンの形成には、回路パターンが描
画されたマスクやレチクルを照明光(紫外線、X線、電
子線等のエネルギー線)で照射し、その透過光や反射光
を等倍、所定の縮小倍率あるいは拡大倍率を有する投影
結像系を介して感応基板上に投影露光する装置、所謂マ
イクロリソグラフィ装置が使用されている。このような
リソグラフィ装置には、感応基板(レジスト層が塗布さ
れた半導体ウェハやガラスプレート等)を載置してレー
ザ干渉計による位置サーボ制御のもとで平面(XY平
面)内で精密に2次元移動するステージ装置が設けられ
ている。
【0003】またその種の精密なステージ装置は、レチ
クルやマスク上に描画された回路パターンの線幅、複数
のパターンの間隔寸法、或いは描画されたパターンの設
計値に対する偏差等を検査する装置、所謂マイクロパタ
ーン検査装置にも設けられ、5nm〜20nm程度の測
長分解能を有するレーザ干渉計によって座標位置が計測
される。
【0004】典型的な従来のステージ装置は、(1)米
国特許第5,040,431号公報に開示されているように、可
動ステージ本体を定盤上面のガイド平面上に静圧気体軸
受けを介して非接触に搭載し、X方向とY方向の各ガイ
ド面に対しても静圧気体軸受けを介して案内するととも
に、可動ステージ本体をH型に配置された3個のリニア
モータで駆動するエアガイドステージ装置が使われてい
る。
【0005】この公報(1)に開示されたステージ装置
には、定盤に固定されて例えばY方向に直線的に延びて
定盤に固定された固定ガイド部材と、その固定ガイド部
材と平行に可動ステージ本体の両側に配置された2つの
リニアモータと、固定ガイド部材に案内されてY方向に
移動するとともにX方向に直線的に延びた可動ガイド部
材と、その可動ガイド部材に案内されてX方向に移動す
る可動ステージ本体とが設けられている。
【0006】このようなエアガイドステージ装置は、エ
キシマレーザ光源からの波長248nmの遠紫外線を用
いて64M〜256Mビットクラスの半導体メモリ素子
(DRAM、フラッシュメモリ等)を製造するためのス
テップアンドリピート方式の露光装置に適用する場合は
十分な精度を備えている。しかしながら、今後量産化が
進むと予測されている1G〜4Gビットクラス(最小線
幅で0.2μm以下)の電子デバイスチップを製造する走
査型の露光装置(所謂ステップアンドスキャン方式の露
光装置)への適用には必ずしも十分ではない。
【0007】それは、可動ステージ本体をXY方向に移
動する際に各リニアモータを駆動すると、可動ステージ
本体の加速、減速に伴って可動ステージ本体の質量と加
速度の積に応じた大きさの反力(ニュートン第3法則)
が定盤に加わり、定盤と機械的に結合された投影光学系
やマスクステージ機構に不要な振動を発生させたり、装
置コラムに不要な応力を加えて構造物の機械的な配置、
或いは構造物自体を歪ませたりするからである。
【0008】このような現象は、ステージの制御性能を
劣化させるため、益々微細化する回路パターンの重ね合
せ露光の精度を悪化させたり、投影パターン像のぶれに
よる解像不良を起こすことになる。そこで、例えば
(2)特開平8−166475号公報や(3)WO96
/38765号公報に開示されているように、可動ステ
ージ本体を駆動する非接触方式のアクチュエータ(リニ
アモータ)の固定子を、可動ステージ本体を支持する定
盤とは振動伝達特性上で絶縁された別のフレーム構造体
(リアクション吸収フレーム)側に取り付けることで、
ステージ加減速時の反力をフレーム構造体で受けて床に
逃がす装置が考えられている。
【0009】しかしながら、このような構造は2次元移
動するウェハステージを搭載する定盤の周囲にリアクシ
ョン吸収フレーム構造体を設ける必要があり、露光装置
全体の設置床面積(フットプリント)を大きくするとい
った問題がある。特に走査露光方式の露光装置では、ウ
ェハステージの他に、装置上方に設置されるマスクステ
ージにも高速な走査運動が要求されるため、床面からマ
スクステージの高さ位置まで剛性の高いタワーのような
リアクション吸収フレーム構造体が必要となり、フット
プリントが益々増大することになる。
【0010】そこで、例えば(4)米国特許第5,815,24
6号公報に開示されているように、定盤上に2次元可動
ステージを駆動するリニアモータの固定子を設けたまま
にし、定盤の下のベースと定盤との間にエアベアリング
を設けて定盤をベースに対してX,Y,θ方向に移動で
きるようにすることで、可動ステージの加減速に伴って
生じる反力を定盤自体の移動により吸収して、リアクシ
ョン吸収フレーム構造体を不要にした装置が提案されて
いる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の公
報(4)に開示のステージ装置では、定盤上の可動ステ
ージの移動反力によって定盤自体がベース上でXYθ方
向に自由に移動し得る構造になっている。このため、そ
のベースを露光装置の投影結像系の鏡筒保持コラムから
3個の板状部材で吊下げた場合、3個の板状部材の各々
に加わる荷重バランスの変化による機構学上の安定性や
剛性の解析を、可動ステージの2次元移動の他に定盤の
移動も考慮して設計する必要がある。
【0012】特に鏡筒保持コラムには、露光装置の心臓
部とも言える投影結像系が固定されているため、吊下げ
用の板状部材の各々に加わる荷重バランスの変化が大き
くなると、鏡筒保持コラム自体に思わぬ歪みが発生する
ことも考えられ、鏡筒保持コラム自体の構造を強固なも
のにして剛性を高める必要があろう。しかしながら、そ
のような構造は鏡筒保持コラム自体の大型化を招き、装
置重量を増すことなる。
【0013】そこで本発明は、可動ステージ本体の移動
範囲が載置すべき試料のサイズに応じて大きくなった場
合でも、全体サイズ(フットプリント)を従来装置より
もコンパクトにしつつ、可動ステージの加減速に伴う反
力を有効に吸収し得る構造のステージ装置を提供するこ
とを目的とする。また本発明は、可動ステージの加減速
に伴う反力の吸収のみならず、可動ステージの移動に伴
うステージ装置全体の重心移動を極めて小さく抑えたス
テージ装置を提供することを目的とする。さらに本発明
は、そのようなステージ装置が適用される露光装置を提
供することを目的とし、特にマスク(レチクル)と被露
光基板とを相対的に一方向に同期走査する走査型の露光
装置を提供することを目的とする。
【0014】さらに、本発明の別の目的は、主可動体
(例えばマスクステージ)を駆動する際に生じる運動エ
ネルギ−を吸収するために、逆方向に運動するカウンタ
−可動体を設け、反力や振動を極めて小さく抑えた構造
のステージ装置において、主可動体とカウンタ−可動体
との相対位置関係のずれが生じないようにしたステージ
装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に一実施例を表す図面に対応付けて説明すると、請求項
1記載のステージ装置は、定盤(8)の移動面上を1次
元又は2次元移動する可動体(10)と、定盤(8)を
装置設置場所の床面上に防振して支持する防振マウント
機構(2A〜2C)とを備えたステージ装置であって、
防振マウント機構(2A〜2C)の荷重印加部(3A〜
3C)が定盤(8)の移動面よりも高くなるように、防
振マウント機構(2A〜2C)の荷重印加部(3A〜3
C)から定盤(8)を懸架状態で支持する懸架支持部
(7A〜7C)を設けるとともに、定盤(8)の移動面
とほぼ平行な方向に関して防振マウント機構(2A〜2
C)と定盤(8)との相対変位を許容するように、防振
マウント機構(2A〜2C)の荷重印加部(3A〜3
C)と懸架支持部(7A〜7C)との間に可動支承機構
(5A)を設けている。
【0016】このため、可動体(10)と定盤(8)と
の間で運動量保存則が成立し、可動体(10)の移動方
向と逆方向に定盤(8)が移動するので、可動体(1
0)の移動によるステージ装置の重心の変化が発生しな
い。なお、この場合、定盤(8)と懸架支持部(7A〜
7C)との総重量M2を可動体(10)の総重量M1よ
りも大きくすることが好ましい。
【0017】請求項7記載の露光装置は、マスク(R)
のパターンを投影系(PL)により感応性基板(W)上
に投影露光する露光装置であって、感応性基板(W)を
載置して2次元平面内を移動する第1の可動ステージ
(10)を保持する第1の定盤部材(8)と、マスク
(R)を載置して2次元平面内を移動する第2の可動ス
テージ(16)を保持する第2の定盤部材(14)と、
マスク(R)が投影系(PL)の物体面に位置するよう
に第2の定盤(14)を支持する第3の定盤部材(6、
12A〜12C)と、第1の定盤部材(8)を防振支持
する防振支持部材(2A〜2C)と、防振支持部材(2
A〜2C)と第3の定盤部材(6、12A〜12C)と
に接続され、第3の定盤部材(6)を第1の定盤部材
(8)とは独立して支持する支持部材(4A〜4C)と
を備えている。
【0018】これによれば、第3の定盤部材(6、12
A〜12C)を支持する支持部材(4A〜4C)が第1
の定盤部材(8)を防振支持する防振支持部材(2A〜
2C)に接続されているので、露光装置全体のフットプ
リントを減少させることができる。また、支持部材(4
A〜4C)が第3の定盤部材(6、12A〜12C)を
第1の定盤部材(8)から独立して支持しているので第
2の可動ステージ(16)の移動に起因した振動が第2
の定盤部材(14)に伝わることがない。更に、第3の
可動ステ−ジ(15)を設けた場合には、第3の可動ス
テ−ジ(15)が第2の可動ステージ(16)の移動に
応じて第2の可動ステージ(16)とは逆方向に移動す
るので、第2の可動ステージ(16)の移動による反力
が第1の定盤部材(8)に伝わることもない。前述のよ
うに、支持部材(4A〜4C)が第3の定盤部材(6、
12A〜12C)を第1の定盤部材(8)から独立して
支持しているので、投影系(PL)を第3の定盤部材
(6、12A〜12C)で保持することができる。
【0019】請求項10記載のステージ装置は、所定の
基準平面と平行な少なくとも1次元方向に往復移動可能
な主可動体(10または500)と、主可動体(10ま
たは500)と所定の間隔で配置されて基準平面と平行
な1次元方向に往復移動可能なカンタ−可動体(8また
は405B,406B)とを有し、1次元方向に沿って
カウンタ−可動体(8または405B,406B)と主
可動体(10または500)とを互いに逆方向に相対移
動させるために非接触型の固定子と可動子とをそれぞれ
主可動体(10または500)とカウンタ−可動体(8
または405B,406B)とに設けた主アクチュエ−
タ(9Aまたは405A,B、406A,B)と、カウ
ンタ−可動体(8または405B,406B)を基準平
面に対して1次元方向に単独に移動させる非接触型の副
アクチュエ−タ(50A,52Aまたは520A,B、
522A,B)と、主アクチュエ−タ(9Aまたは40
5A,B、406A,B)による各可動体の移動の際に
副アクチュエ−タ(50A,52Aまたは520A,
B、522A,B)を速度サ−ボにより駆動する制御回
路系(60または630)とを備えている。
【0020】これによれば、制御回路系(60または6
30)が副アクチュエ−タ(50A,52Aまたは52
0A,B、522A,B)を速度サ−ボにより駆動して
いるので、主アクチュエータのトルクむらが発生するこ
となく安定して主可動体(10または500)を駆動す
ることができる。請求項12記載のステージ装置は、定
盤(14)上を少なくとも1次元方向に直線移動する主
可動体(500)を備えたステージ装置であって、主可
動体(500)の一方の側部に設けられた第1可動子
(405A)と、第1可動子(405A)に対峙して1
次元方向に相対移動可能な第1固定子(405B)とで
構成される第1リニアモータ(405A,405B)
と、主可動体(500)の他方の側部に設けられた第2
可動子(406A)と、第2可動子(406A)に対峙
して1次元方向に相対移動可能な第2固定子(406
B)とで構成される第2リニアモータ(406A,40
6B)と、第1固定子(405B)と主可動体(50
0)の1次元方向に関する相対位相を所期状態に復元す
る第1復元手段(405A、500、502、505
A,Bまたは522A,B)と、第2固定子(406
B)と主可動体(500)の1次元方向に関する相対位
相を所期状態に復元する第2復元手段(405A、50
0、503、504、505A,Bまたは520A,
B)と、第1復元手段(405A、500、502、5
05A,Bまたは522A,B)と第2復元手段(40
5A、500、503、504、505A,Bまたは5
20A,B)を所定のタイミングで個別に制御する制御
手段(510)とを備えている。
【0021】また、主可動体(500)の移動による運
動エネルギーを受けて第1固定子(405B)と第2固
定子(406B)との各々を定盤(14)上で逆方向に
移動させるように個別に支持するガイド機構(14B,
14F)を設けてもいい。これによれば、制御手段(5
10)は、第1固定子(405B)と主可動体(50
0)との相対位相の復元および第2固定子(406B)
と主可動体(500)との相対位相の復元を個別に行う
ことができため、第1固定子(405B)と第2固定子
(406B)とを別体にすることができ、主可動体(5
00)に加わる第1リニアモータ(405A,405
B)と第2リニアモータ(406A,406B)とのわ
ずかな推力差による応力発生(モ−メント力)を小さく
することができる。
【0022】請求項14記載の露光装置は、マスク
(R)のパターンを感応性基板(W)上の所定領域に露
光する露光装置であって、感応性基板(W)を載置して
2次元移動する基板ステージ(10)と、マスク(R)
を載置して少なくとも1次元移動するマスクステージ
(14)と、マスクステージ(14)の1次元移動によ
る運動エネルギーを消費するために、マスクステージ
(14)の両側に配置されてマスクステージ(14)に
対する相対位相関係を保って逆方向に移動可能な2つの
カウンター可動体(405B、Mgn、409A,B、
411A,Bと、406B、Mgn、408A,B、4
10A,B)と、マスクステージ(14)と2つのカウ
ンター可動体(405B、Mgn、409A,B、41
1A,Bと、406B、Mgn、408A,B、410
A,B)との相対位相関係の乱れを復元するために、2
つのカウンター可動体(405B、Mgn、409A,
B、411A,Bと、406B、Mgn、408A,
B、410A,B)の各々に設けられた2つの復元機構
(405A、500、502、505A,Bと405
A、500、503、504、505A,Bまたは52
2A,Bと520A,B)と、2つの復元機構405
A、500、502、505A,Bと405A、50
0、503、504、505A,Bまたは522A,B
と520A,B)を感応性基板(W)の露光シーケンス
上の所定タイミングで個別に動作させる復元制御系(5
10)とを備えている。
【0023】これによれば、復元制御系(510)は、
マスクステージ(14)と2つのカウンター可動体(4
05B、Mgn、409A,B、411A,Bと、40
6B、Mgn、408A,B、410A,B)との相対
位相関係の乱れを復元することができる。
【0024】
【発明の実施の態様】≪第1の実施態様≫図1は、本発
明の第1の実施例によるステージ装置が適用される走査
型の投影露光装置の全体構成を示す正面図であり、図2
と図3は図1中に示したウェハステージ装置の主要部分
を詳細に表した部分断面図である。図1において、露光
装置を設置する工場の床面(又は工場床面に設置される
専用のキャストフレームやペデスタル)1上には、露光
装置全体の荷重を支えるとともに、床面1の振動の露光
装置への伝播を防止したり、露光装置本体で発生した振
動を吸収したり、或いは露光装置本体の傾斜を防止した
りするための3個のアクティブな防振マウント2A,2
B,2C(図1では2Cを省略)が設置される。
【0025】各防振マウント2A,2B,2Cは、ステ
ージ装置の自重を受けるとともに、内蔵のアクチュエー
タによって露光装置の光軸AXと平行なZ方向の推力を
発生する上下動可能なピストン状の荷重印加部3A,3
B,3C(図1では3Cを省略)を備えている。さらに
各荷重印加部3A,3B,3Cの上面中央部には円柱状
の剛体部材4A,4B,4Cが所定の高さ寸法で固着さ
れている。
【0026】各剛体部材4A,4B,4Cは、露光装置
の投影結像系PLが取付けられる鏡筒保持コラム6の周
囲3ヶ所に結合され、鏡筒保持コラム6の上に構築され
る結像系PLや他の構造体(本体コラム12、レチクル
ステ−ジベ−ス14、レチクルステ−ジ16等)の重量
を受ける。鏡筒保持コラム6の下側には、結像系PLに
よって形成される回路パターン像が転写される感応基板
を載置するための2次元可動ステージ10が配置され、
このステージ10はXY平面と平行な定盤8上面の移動
面(ガイド面)に静圧気体軸受を介して支承される。
【0027】そのステージ10は、定盤8に固定された
固定ガイド、固定子が定盤8に固定された2つの平行な
リニアモータ9A,9B(図1では9Bを省略)、その
2つのリニアモータの推力により固定ガイドに沿って1
次元移動する可動ガイド、及び固定子が可動ガイドに固
定され、可動子がステージ10に固定されたリニアモー
タ等とによって2次元移動するように構成されるが、詳
細については後で説明する。
【0028】さて定盤8の周囲3ヶ所には、定盤8を防
振マウント2A,2B,2Cの各荷重印加部3A,3
B,3Cから懸架状態で支持するための懸架部材7A,
7B,7C(図1では7Cを省略)が固定され、各懸架
部材7A,7B,7Cの上方水平部分にはそれぞれ剛体
部材4A,4B,4Cの断面サイズよりも十分に大きな
径の貫通穴が成形され、各剛体部材4A,4B,4Cは
その貫通穴を通して鏡筒保持コラム6と結合される。
【0029】そして各懸架部材7A,7B,7Cの上方
水平部分と各荷重印加部3A,3B,3Cとの間には、
一体化された定盤8と懸架部材7A,7B,7CとのX
Y平面内での2次元移動を許容する可動支承機構として
の流体軸受部5A,5B,5C(図1では5Cを省略)
が設けられる。この流体軸受部5A,5B,5Cは各剛
体部材4A,4B,4Cを貫通するような円環状に形成
され、その下面と各荷重印加部3A,3B,3Cの上端
面との間、若しくは流体軸受部5A,5B,5Cの上面
と各懸架部材7A,7B,7Cとの間に圧搾空気による
数μm以下のエアベアリング層が形成される。
【0030】従って、ステージ10とその駆動機構(ガ
イドやリニアモータ等)を含む定盤8と懸架部材7A,
7B,7Cとの総重量は、流体軸受部5A,5B,5C
を介して荷重印加部3A,3B,3Cに分配されて印加
されるとともに、定盤8と各懸架部材7A,7B,7C
は、流体軸受部5A,5B,5Cの作用によって殆ど摩
擦の無い状態でX,Y方向とθ(Z軸回りの回転)方向
とに自由に微動することができる。
【0031】また図1において、鏡筒保持コラム6の中
央には投影結像系PLを貫通支持する開口が形成され、
鏡筒外部に設けられたフランジFRによって、ステージ
10上に吸着固定されるウェハの表面と結像系PLの最
良結像面とのZ方向(光軸AX方向)の間隔が一定にな
るように結像系PLが鏡筒保持コラム6に固定される。
そして鏡筒保持コラム6の上には、フレーム状の本体コ
ラム12A,12B等が設けられ、その上にはレチクル
ステ−ジベ−ス14が固定される。
【0032】レチクルステ−ジベ−ス14の上には、走
査露光の方向に関して運動量保存則に従って移動する一
対のレチクルステ−ジ16とカウンター可動体としての
可動バランサー15とが設けられ、レチクルステ−ジ1
6の上にはウェハに転写すべき回路パターンを備えたレ
チクル基板(マスク原版)が、光軸AXと垂直になるよ
うに吸着保持される。このため、鏡筒保持コラム6と本
体コラム12A〜12Cとは(第3の定盤部材)は、レ
チクル基板(マスク原版)が投影結像系PLの物体面に
位置するようにレチクルステ−ジベ−ス14を支持して
いることになる。
【0033】マスク用のレチクルステ−ジ16の上方に
は、露光時に照明光(水銀ランプからのi線やエキシマ
レーザ光源からのパルス紫外線等)をレチクルに照射す
るための照明系18内のコンデンサーレンズ18Aが、
光軸AXと同軸に配置される。尚、運動量保存則を利用
したレチクルステージの具体的な構造の一例は、例えば
特開平8−63231号公報に開示されており、図1の
投影型露光装置ではそのような従来の構造を使うものと
する。
【0034】アライメント系VRA1は、レチクルステ
−ジ16上のレチクルに形成されたアライメントマーク
を光電的に検出して、レチクルの中心点と投影結像系P
Lの投影視野とのXY方向の位置関係と、レチクルのZ
軸回りの微少回転とを計測することによって、レチクル
をアライメントするために使われる。さらにレチクルス
テ−ジ16の座標位置を計測するレーザ干渉計のビーム
スプリッタ部(干渉ビームの生成素子)がレチクルステ
−ジベ−ス14又は本体コラム12A,12Bに取付け
られる場合は、アライメント系VRA1もレチクルステ
−ジベ−ス14又は本体コラム12A,12Bに取付け
られる。また照明系18の少なくともコンデンサーレン
ズ18A等も、鏡筒保持コラム6上に構築された本体コ
ラム12A,12Bによって支持される。
【0035】図2は、図1中の防振マウント2A、荷重
印加部3A、剛体部材4A、流体軸受部5A、懸架部材
7A、及び鏡筒保持コラム6の構成を詳細に示した部分
断面図であり、剛体部材4Aのほぼ中心を通るZ軸と平
行な垂線Q1は、鏡筒保持コラム6から防振マウント2
A(荷重印加部3A)に加わる荷重位置と、懸架部材7
Aから防振マウント2A(荷重印加部3A)に加わる荷
重位置とを表している。
【0036】防振マウント2A内部の下側には、フィー
ドフォワード制御又はフィードバック制御によって荷重
を支持する空圧マウント2A1が設けられ、空圧マウン
ト2A1の上部と荷重印加部3Aの下部との間には複数
の高剛性の柱状部材2A3,2A4が設けられる。これ
によって、荷重印加部3Aと剛体部材4Aの両方から下
向きに加わる荷重が変化したときは、それに応じて空圧
マウント2A1内の空気圧が電磁弁の開閉によって調整
され、荷重印加部3Aは防振マウント2Aの内壁に設け
られた直線スライダー部3A2に沿って上下動し、Z方
向の高さ位置をほぼ一定に保つように駆動される。
【0037】防振マウント2Aの内部の底部から空圧マ
ウント2A1の運動を阻害しないように立設された台座
2A2と荷重印加部3Aの下面との間には、Z方向の推
力を発生して荷重印加部3Aを上下動させる非接触式の
電磁アクチュエータ(ボイスコイル型モータ)2A5が
設けられ、このアクチュエータ2A5はステージ10の
移動指令情報(移動目標位置、加速度、又は速度)を入
力値とするフィードフォワード制御回路によって駆動さ
れる。
【0038】以上により、荷重印加部3Aに加わる荷重
変動のうちで、比較的に周期の長い成分(例えば1Hz程
度)については空圧マウント2A1によって荷重印加部
3Aの高さ位置を一定に制御し、荷重の変動周期が短い
成分(空圧マウント2A1の応答周波数よりも高い周波
数領域)については電磁アクチュエータ2A5によって
荷重印加部3Aの高さ位置を一定に制御するというデュ
アル駆動方式のアクティブ・バイブレーション・アイソ
レート・システム(AVIS)が構成される。
【0039】さて、荷重印加部3Aの上部には、流体軸
受部5AをX,Y,θ方向に滑らかに移動させるための
ガイドプレート3A1が固着されている。このガイドプ
レート3A1の上面と流体軸受部5Aの下側のパッド面
とはミクロンオーダーで研磨された平坦面とされ、これ
らガイドプレート3A1と流体軸受部5Aは好ましくは
ファインセラミック材、又は金属の表面にCVD法によ
りセラミック層を数十μm程度の厚みで成長させた複合
材で構成される。
【0040】本実施例の場合、流体軸受部5Aは、図2
に示すように剛体部材4Aを所定のクリアランスを持っ
て貫通させるような円環状に形成され、剛体部材4Aが
通る懸架部材7Aの貫通穴7A1の下側に同軸に固定さ
れる。従って、剛体部材4Aの直径をD1とし、貫通穴
7A1の径(又は流体軸受部5Aの内径)をD2(D2
>D1)としたとき、中立位置からの懸架部材7Aと定
盤8のX,Y方向に関する最大の移動幅±ΔDは、ΔD
=(D2−D1)/2となる。
【0041】以上の図1、図2の構成から明らかなよう
に、本実施例では鏡筒保持コラム6はステージ10やリ
ニアモータ9A等を含む定盤8を懸架していないため、
保持コラム6にはステージ10の移動による重心変動に
伴った歪み応力の発生が皆無となり、結像系PL自体の
微小な傾斜誤差が低減される。また図1ではレチクルス
テ−ジベ−ス14を保持する本体コラム12A,12B
は、その荷重を鏡筒保持コラム6上の各剛体部材4A〜
4Cによる支持点の内側に印加するようになっている
が、これはレチクル用のレチクルステ−ジ16と可動バ
ランサー15とによって運動量保存則を実現するように
構成したためである。
【0042】即ち、レチクルステ−ジベ−ス14上でレ
チクルステ−ジ16が高速移動しても、運動量保存則が
ある程度成り立っていれば、レチクルステ−ジ16の移
動に応じて可動バランサー15がレチクルステ−ジ16
の移動方向とは逆方向に移動するので、レチクルステ−
ジベ−ス14上の構造体の重心位置は殆ど変化しないこ
とになり、複数の本体コラム12A,12Bの各々から
鏡筒保持コラム6に加わる荷重も、レチクルステ−ジ1
6の移動位置によらず常に一定となる。この結果、保持
コラム6と本体コラム12A,12Bの両方に対して不
要な応力(モーメント)を発生させることが無くなり、
機械的な歪みに起因した精度劣化を防止することができ
る。
【0043】逆に、レチクル用のステージ構造に運動量
保存則を使わない従来のリアクションフレーム方式、又
は走査移動用のリニアモータの固定子をベース14に載
置した方式等を採用する場合は、本体コラム12A,1
2Bの各々の鏡筒保持コラム6への荷重印加部を、XY
平面内において防振マウント2A〜2Cの各剛体部材4
A〜4Cの位置とほぼ一致させることで、保持コラム6
に極力曲げ応力を発生させないような構造にすることが
望ましい。
【0044】図3は、図1と図2に示したステージ装置
の荷重分配の様子を模式的に表わした図であり、そこに
は図1で省略した防振マウント2Cと懸架部材7Cの配
置も示されている。また図3中のステージ10の裏側に
は、図1中のリニアモータ9Aと対をなすリニアモータ
9Bも示される。図3のように、定盤8の上で移動する
ステージ10を含む可動体の総重量をM1とし、定盤8
と3ヶ所の懸架部材7A〜7C、定盤8上に構築される
リニアモータ9A,9B、及び固定ガイド等を含む静止
構造体(床1に対しては可動なので静止とは言えない
が、ステージ10を含む可動体との対比から便宜上で静
止とする)との合計の総重量をM2としたとき、その静
止構造体が床面1に対してXY方向に全く変位しない従
来の構造では、総重量M2の重心G2がXY方向、Z方
向に殆ど変位しないが、可動体の総重量M1の重心G1
は、ステージ10の移動に伴ってXY方向に大きく変位
する。
【0045】このため、3ヵ所の荷重印加部3A〜3C
を介して各防振マウント2A〜2Cに作用する荷重は、
位置変数k1,k2,k3を0<k1<1,0<k2<
1,0<k3<1であって、k1+k2+k3=1とす
ると次のように表わされる。 マウント2A: (M1+M2)/3・k1 (1) マウント2B: (M1+M2)/3・k2 (2) マウント2C: (M1+M2)/3・k3 (3) 位置変数k1,k2,k3は、ステージ10の移動位置
座標を入力情報とするマトリックス演算により逐次(例
えば10mS毎に)決定され、さらに上記の式(1)〜
(3)の各々に各変数k1〜k3を代入することで、各
防振マウント2A〜2Cで受け持つべき偏荷重を算出し
て、図2に示した電磁アクチュエータ2A5(及び2B
5,2C5)の駆動や空圧マウント2A1(及び2B
1,2C1)の流量制御が行なわれる。
【0046】しかしながら、定盤8を含む静止構造体を
図2のような構成によって各防振マウント2A〜2C上
でXYθ方向に自由に移動し得るようにし、ステージ1
0を含む可動体との間で運動量保存則が成り立つように
すると、図3に示したステージ装置の全体の重心位置は
ほとんど変化せず、位置変数k1,k2,k3は互いに
ほぼ一定の数値(具体的には約1/3)に安定化されるこ
とになる。
【0047】また本実施例の場合、定盤8上のステージ
10を含む可動体全体の重心G1の高さ位置は、定盤8
とその上の静止物、及び懸架部材7A〜7Cによって構
成される静止構造体全体の重心G2の高さ位置とほぼ等
しくなるように設定されている。さらに本実施例では、
各防振マウント2A〜2Cの荷重印加部3A〜3Cの高
さ位置も、各重心G1,G2の高さ位置と揃えるように
した。これは、ステージ10の加減速時に定盤8側が受
ける瞬間的な反力によって、定盤8や懸架部材7A〜7
C等で構成される静止構造体全体がXY面内でニュート
ン第三法則(反作用)に従った回転モーメント(Z軸回
りのθモーメント)を受けるとき、それに付随して瞬間
的に生じ得るX軸回り、又はY軸回りの大きなモーメン
ト(パルシブな反力)を抑制するためである。
【0048】さて、以上の図3のような構成において、
定盤8上で運動するステージ10を含む可動体の総重量
M1と、定盤8、懸架部材7A〜7C、リニアモータの
固定子等で構成される静止構造体の総重量M2との比は
極力大きな方が望ましく、一例として可動体の総重量M
1が25〜40Kg程度の場合、可動カウンター・マスと
しての静止構造体の総重量M2は300〜500Kg程度
に設定される。
【0049】本実施例の場合、ステージ10を含む可動
体と定盤8や懸架部材7A〜7C等を含む静止構造体と
の間には、極力運動量保存則が働くように構成されてい
るので、可動体が速度V1でXY面に沿ったある方向に
移動すると、定盤8や懸架部材7A〜7C等を含む静止
構造体は、それと逆方向に速度V2=M1/(M2・V
1)で、移動時間tに応じた距離ΔS(≒V2・t)だ
け移動する。
【0050】例えば、ステージ10が速度250mm/Sでフ
ルストロークを移動したとき、3秒かかるものとする
と、静止構造体の移動速度V2は、12.5(25/500・250)
mm/S〜33.3(40/300・250)mm/S程度となり、その移動距
離ΔSは37.5〜100mm程度になる。定盤8や懸架部材7
A〜7C等を含む静止構造体が中立位置にあり、ステー
ジ10もフルストロークの半分の位置にあるものとする
と、静止構造体の移動距離ΔSの幅は約±19〜±50mmと
なる。
【0051】この距離ΔSの幅は、先に説明した剛体部
材4A(4B,4C)の直径D1と懸架部材7Aの貫通
穴7A1の径D2との関係で決まる最大移動幅±ΔDの
範囲内に設定される。従って、例えばステージ10を含
む可動体の重量M1を軽量化により25Kg程度にし、定盤
8と懸架部材7A〜7C等を含む静止構造体の重量M2
を500Kg程度にすると、最大移動幅±ΔDとして±20mm
程度を見込んでおけば良いことになる。
【0052】尚、静止構造体に外部(床1)からXY方
向の力を加える別のアクチュエータを設けるとともに、
ステージ10のフルストローク内のどの位置においても
運動量保存則を成立させるのではなく、特にステージ1
0の加減速時にだけ運動量保存則を成立させ、ステージ
10の等速移動時には必ずしも運動量保存則が成り立た
ないような構成にすると、定盤8と懸架部材7A〜7C
等を含む静止構造体の最大移動距離ΔSを少なくするこ
とができる。それについては後で詳しく説明する。
【0053】図4〜図6は、図1〜3に示したステージ
装置の組み立て方法の一例を示す斜視図であり、本実施
例では、まず図4のように3つの防振マウント2A〜2
CをXY平面内でほぼ正三角形、或いは二等辺三角形に
配置し、流体軸受部5A,5B,5Cをそれぞれ防振マ
ウント2A〜2Cのガイドプレート3A1,3B1,3
C1上に設置し、さらにその上から定盤8と懸架部材7
A〜7Cとの一体化された構造物を降下させて、各剛体
部材4A,4B,4Cが懸架部材7A〜7Cの各貫通穴
7A1〜7C1の中央を通るように組み合わされる。
尚、定盤8の表面8Aは、ステージ10の下面に設けら
れたエアベアリングによる滑らかな移動を保証する面精
度(例えば10■角の範囲で±1μm以内の平坦度)に研
磨加工されており、定盤8の一部分にはステージ10の
駆動源となるリニアモータの固定子や固定ガイド等を取
付けるためのネジ穴や凹部も形成されている。
【0054】図5は、図4のようにして組み立てられた
定盤8の上に、ステージ10やリニアモータ等を組み付
けた状態を表わし、ここでは3つのリニアモータ9A,
9B,36を使ったエアガイドステージ装置を一例に説
明する。この図5のようなステージ装置は、例えば特開
昭61-209831号公報や特開平8-233964号公報に詳細に開
示されているので、ここではその構造を簡単に説明す
る。
【0055】定盤8にはY方向に延びた固定ガイド30
が固定され、固定ガイド30のYZ面と平行な面と定盤
8の表面8Aにはエアベアリングを介してY方向に移動
案内されるYスライダー部32が対峙し、Yスライダー
32にはX方向に延びた可動ガイド部34が固定され
る。可動ガイド34はその下面と定盤8の表面8Aとの
間に設けられたエアベアリングによって、その自重を支
えられる。
【0056】また可動ガイド34は、XZ面と平行な面
をガイド面としてステージ10をX方向に移動させるよ
うにガイドするが、ステージ10には下部ステージ部1
0Bが取付けられ、下部ステージ部10Bには表面8A
と可動ガイド34のガイド面との各々に対峙するエアベ
アリングが設けられる。従ってステージ10,10Bは
Y方向を可動ガイド34に拘束されて、可動ガイド34
とともにY方向に移動する。
【0057】さらに可動ガイド34の内部には、ステー
ジ10,10B側に設けられた可動子としての永久磁石
と磁気的に結合するリニアモータ36のコイル列が設け
られ、このリニアモータ36の駆動によりステージ1
0,10Bは可動ガイド34に沿ってX方向に移動す
る。また可動ガイド34とYスライダー32には、結合
部材33を介してリニアモータ9A,9B(ここでは固
定子としてのコイル列)と磁気的に結合する可動子37
A,37Bとしてのマグネットが取付けられる。そして
各リニアモータ9A,9B(コイル列のケース)は固定
部材38A,38B,38C,38D(38Bは懸架部
材7Bの影で見えない)を介して定盤8に固定される。
このようなステージ装置のステージ10の上には、真空
吸着や静電吸着による基板ホルダーを介してウェハWが
保持される。
【0058】以上のステージ装置の組み立て構造におい
て、露光装置をステップアンドスキャン方式にする場合
は、図1のレチクルステ−ジ16上に載置されるレチク
ルをX方向に走査移動させるとともに、ウェハWを載置
するステージ10,10BもX方向に走査移動させるこ
とになる。その際、ステージ10のX方向の移動に伴っ
て可動ガイド34に生じる反力は、Yスライダー32を
経て固定ガイド30と定盤8に伝わる。
【0059】もちろん、ステージ10をY方向に移動さ
せる場合は、Yスライダー32と可動ガイド34とがス
テージ10と一体となって運動し、それによってリニア
モータ9A,9B(固定子としてのコイル列)に生じる
反力は固定部材38A,38B,38C,38Dを経て
定盤8に伝わる。これらの反力はX方向とY方向に純粋
に分離して生じることもあれば、合成された方向に生じ
ることもある。いずれの方向に反力が発生しても、本実
施例ではそれらの反力を全て定盤8で受ける構造となっ
ている。先に述べた通り、定盤8は3ヵ所の防振マウン
ト2A〜2Cに対して中立位置からXY方向とθ方向と
に自由に動けるようになっているので、与えられた反力
の大きさと定盤8を含む静止構造体全体の重量とに応じ
た量だけ中立位置から変位したり、微少回転したりす
る。
【0060】このようにステージ10,10Bの単独の
移動、又はステージ10,10Bと可動ガイド34との
一体的な移動によって定盤8に生じる反力エネルギー
は、定盤8を含む静止構造体全体の運動エネルギーに転
換され消費される。このため、ステージ10の2次元移
動によらず、反力による不要な振動の発生が激減される
とともに、定盤8上の可動体と定盤8を含む静止構造体
との両方で決まる全体の重心位置はほとんどずれること
がない。
【0061】このため、各防振マウント2A〜2C内の
空圧マウント2A1〜2C1や電磁アクチュエータ2A
5〜2C5の制御精度の向上が見込まれる。それは、図
3で説明したように、運動量保存則がそこそこに成り立
っていれば可動体の重心G1と静止構造体の重心G2と
の位置関係が相対的に変化しても、それら可動体と静止
構造体の両方で決まる全体の重心位置はほとんど変化し
ないと言う物理現象に起因し、レチクル用のレチクルス
テ−ジ16も運動量保存則を利用する構造にしておけ
ば、図3、及び先の式(1)〜(3)で表わした位置変
数k1,k2,k3の各値が大きく振り分けられること
がなくなり、ほぼk1≒k2≒k3≒1/3で安定するか
らである。
【0062】図6は、図5に示した状態のステージ装置
の上に、図1に示した鏡筒保持コラム6を組み付ける様
子を表わした斜視図であり、鏡筒保持コラム6の平面外
形は全体的に三角形(厳密には六角形)となっており、
その各頂点付近の裏面で防振マウント2A〜2Cの各々
の剛体部材4A〜4Cとリジッドに結合される。この
際、鏡筒保持コラム6の下面と各懸架部材7A〜7Cの
上面との間には、僅かな隙間(例えば数mm〜数cm程度)
が維持されるように配置される。
【0063】鏡筒保持コラム6の中央部には、投影結像
系PLが貫通するよう円形開口6Aが形成され、その開
口6Aの周囲には図1に示したフランジFRが固定され
る固定部6Bが設けられ、フランジFRと鏡筒保持コラ
ム6とは3本の係止ピン6Cにより相互に位置決めされ
る。フランジFRの固定部6B内には、投影結像系PL
の鏡筒と保持コラム6との間での熱伝導を低減させるた
めに、結像系PLの鏡筒と同じ温度に精密制御されたク
ーラント(液体または気体)を循環させる温度調整機構
が設けられている。
【0064】また鏡筒保持コラム6は、モノリシックな
定盤状の鉄製の鋳物としてもよいが、必要な剛性が得ら
れるのであれば、軽量化のためにハニカム構造のような
肉抜きを施したり、リブフレーム構造とすることがで
き、場合によってはアルミニウムやジュラルミン等の軽
金属の表面にセラミック層やカーボングラファイト層を
積層させた複合材料を成形したものでもよい。さらに本
実施例のような装置構成にすると、鏡筒保持コラム6に
はステージ10の移動に伴う応力変化、即ち機械的な歪
みが全く生じないので、そこに干渉計の光学ユニット
(ビームスプリッタ等の干渉部)を取付けることで、ス
テージ10の位置を極めて正確に、且つ安定に計測する
ことができる。
【0065】図7は、図1〜図6に示されたウェハW側
のステージ装置に好適なレーザ干渉計の配置を模式的に
示し、図7は鏡筒保持コラム6の下面側にレーザ干渉計
の干渉用光学ユニット42X,42Y(42Yは不図
示)を固定した場合を表わし、その他図1〜6中の部材
と同じ部材には同一の符合、番号を付けてある。
【0066】図7において、投影結像系PLの鏡筒下部
には干渉計用の基準鏡(固定鏡)MRx,MRyが固定
され、可動ステージ10の側面部には移動鏡MX,MY
が取り付けられ、特に可動ステージ10(及び10B)
のX方向の移動量、θ方向の微小回転量としてのヨーイ
ング量、Y軸回りの微少傾斜としてのピッチング量等
は、鏡筒保持コラム6の下側に懸架された干渉計用光学
ユニット42Xから各鏡MX,MRxに向けて計測用ビ
ームBmx(複数本)と基準ビームBrx(複数本)を
投射することで計測される。
【0067】干渉計用光学ユニット42X内には、計測
用ビームBmxの移動鏡MXからの反射ビームと基準ビ
ームBrxの基準鏡MRxからの反射ビームとを合成し
て干渉させる偏光ビームスプリッタ、各種の偏光板や検
光子、光電的なレシーバー(複数個)等が設けられる。
これらのレシーバーは、可動ステージ10のX方向の移
動座標位置を表わす信号を出力する第1のレシーバー、
ヨーイング量を表わす信号を出力する第2のレシーバ
ー、ピッチング量を表わす信号を出力する第3のレシー
バーの少なくとも3個で構成される。
【0068】一方、可動ステージ10のY方向の移動座
標位置、Z軸回りの微少回転であるヨーイング量、X軸
回りの微少回転であるローリング量は、移動鏡MYと参
照鏡MRyの各々に計測ビームと参照ビームを投射し、
その反射ビームを受ける干渉計用光学ユニット42Y
(図7では省略)によって同様に計測される。また鏡筒
保持コラム6の下側にはウェハW上に形成されたアライ
メントマークの拡大像を光電的に検出するアライメント
光学系FIAが取り付けられ、その対物レンズの鏡筒付
近にはFIA専用干渉計のための固定鏡MFyが固定さ
れている。
【0069】以上で説明した各干渉計用光学ユニット4
2X,42YやFIA専用干渉計用の光学ユニットの各
々は、鏡筒保持コラム6の上に設置された周波数安定化
レーザ光源40からのレーザ光を導光用のパイプ41等
を介して導入する。また各基準ビームBrx(Bry)
等は、各光学ユニット42X,42Yと各参照鏡MR
x,MRyとの距離が常に一定であるため、空調化され
たパイプダクトによって密閉してもよい。
【0070】図7からも明らかなように、本実施例のよ
うに定盤8や可動ステージ10等の荷重は鏡筒保持コラ
ム6には全く作用しないので、その保持コラム3の干渉
計用光学ユニット42X,42Yの懸架部分、アライメ
ント光学系FIAの取り付け部分、或いはウェハWの表
面に斜め方向から非感光性のスリット光を投射する斜入
射光式のフォーカス検出光学系の取り付け部分は、可動
ステージ10の移動に伴う偏荷重による応力歪みの影響
を受けることがなく、極めて安定で高精度な計測や検出
が可能となる。
【0071】また鏡筒保持コラム6には偏荷重による応
力歪みが原理的に発生しないので、投影結像系PLの光
軸AXとアライメント光学系FIAの光軸とのXY面内
における機械的な間隔、所謂ベースラインも安定したも
のとなり、その結果ウェハW上の複数のショット領域に
付随したマークの位置や位置ずれを、可動ステージ10
を移動させてアライメント系FIAにより順次検出する
EGA法を適用する場合でも、その位置検出の精度や再
現性が向上し、位置合わせ精度、重ね合せ精度が向上す
ると言った利点が得られる。
【0072】尚、今までの図1〜6では示していなかっ
たが、図7中には可動ステージ10上に載置されるウェ
ハWや基準マーク板FMをZ方向に並進移動させたり、
X軸回りとY軸回りとに微少傾斜させたりするための3
個のZアクチュエータZA1,ZA2,ZA3(ZA3
は省略)が下部ステージ10Bに設けられ、下部ステー
ジ10Bの下にはエアベアリング用の複数のパッドPD
1,PD2…が設けられている。 ≪第2の実施形態≫以上の図1〜7で説明した第1実施
例では、定盤8と懸架部材7A〜7Cが可動ステージ1
0や可動ガイド部材34の移動反力によってX,Y,θ
方向に自由に移動できるようになっている。しかしなが
らそのような構造は、可動体が停止している場合でも、
露光装置全体の僅かな傾斜や床1の僅かな振動等によっ
て定盤8や懸架部材7A〜7Cで構成される静止構造体
がX,Y,θ方向に僅かずつ変位してしまうと言う不都
合を生じ得る。
【0073】そこで本実施例では、静止構造体の全体を
あるタイミングで自動的に中立位置に復帰させるオート
マチック・ニュートラル・リターン・システム(ANR
ES)を設け、そのような不都合を解消するようにし
た。図8はANRESのために、定盤8の周囲3ヶ所の
各々に設けられる電磁アクチュエータの構造と配置の一
例を具体的に示した部分断面図であり、図9はそれらの
3ヶ所の電磁アクチュエータのXY面内での配置を示し
た平面図である。
【0074】本実施例では図8,9に示すように、防振
マウント2A,2B,2Cの外部筐体と定盤8との間
に、電磁アクチュエータとしてのコイル50A,50
B,50Cと永久磁石52A,52B,52Cを設ける
ようにし、各永久磁石52A,52B,52Cは鉄製の
ヨーク51A,51B,51Cに固定されて、各ヨーク
51A,51B,51Cは防振マウント2A,2B,2
Cの各々と対向した定盤8の端部に固定される。
【0075】各コイル50A,50B,50Cは、対応
する永久磁石52A,52B,52CとZ方向に関して
所定のギャップを保つように防振マウント2A,2B,
2Cの外部筐体に固定され、コイル50A,50B,5
0Cの各々はその駆動電流に応じて、図9中の矢印で示
した推力PFa,PFb,PFcを発生する。このとき
各推力PFa,PFb,PFcの方向は定盤8や懸架部
材7A〜7C等を含む静止構造体のXY面内におけるほ
ぼ重心G2を通る線上に設定される。
【0076】従って定盤8等を含む静止構造体が中立位
置からXY方向に変位したり、θ方向に微少回転したり
した場合、3ヶ所のコイル50A,50B,50Cに所
定の駆動電流を供給すると、対応する永久磁石52A,
52B,52Cはいずれも重心G2に向う方向、又は重
心G2から遠ざかる方向のローレンツ力(ニュートン第
3法則に従った推力)PFa,PFb,PFcを発生
し、定盤8は中立位置(及び中立回転位置)まで復帰す
る。
【0077】ところで、図9のように定盤8の周囲3ヶ
所にほぼ120°間隔で電磁アクチュエータを設けるこ
とは、例えば米国特許第5,172,160号に開示されてい
る。しかしながら、その米国特許に開示の電磁アクチュ
エータは、ステージの移動で定盤に生じる反力によって
横方向やθ方向に発生する振動成分(急峻な反力成分)
を相殺する補償力を発生させる目的で設けられたもので
あり、本実施例で意図したような復帰の目的を果たすも
のではない。
【0078】従って、本実施例で用いる電磁アクチュエ
ータの各コイル50A,50B,50Cに駆動電流を供
給するANRES用駆動制御ユニットには、各種のセン
サー類からの信号に基づいた積分型のフィードバック制
御系が組み込まれるだけで、原理的にフィードフォワー
ド制御は不要である。そのためANRES用駆動制御ユ
ニットは、定盤8や懸架部材7A〜7C等を含む静止構
造体が中立位置(及び中立回転位置)に対して大きく変
位しているときは各コイル50A,50B,50Cに大
きな駆動電流を供給し、その定常変位がわずかなとき、
或いは静止構造体が反力によって急激に加減速運動して
いる間は各コイル50A,50B,50Cに少しの駆動
電流を供給するように働く。
【0079】図10は、ANRES駆動制御ユニットの
回路ブロックの一例を示し、主制御回路60内には8ビ
ット系(又は16ビット系)のCPUが組み込まれ、各
種センサー類からの信号処理と各コイル50A,50
B,50Cへの駆動電流の目標値の演算等を行なう。ま
たセンサー類としては、定盤8(静止構造体)の中立位
置から変位をXY方向の2次元に計測するとともに、定
盤8の中立状態からの回転変位量を計測するシステムと
しての2次元エンコーダシステム62と、ステージ移動
の反力によって発生する定盤8の加減速を計測する速度
センサー(または加速度センサ−)63等が設けられ
る。
【0080】2次元エンコーダシステム62は、一例と
して図6に示した鏡筒保持コラム6と各懸架部材7A〜
7Cとの間に設けられるが、ここでは懸架部材7A,7
Bの2つの位置でX方向の相対位置ずれを計測する2つ
のリニアエンコーダと、懸架部材7Cの位置でY方向の
位置ずれを計測する1つのリニアエンコーダとの3つで
構成され、それら3つのリニアエンコーダはいずれも同
じ構造のものとする。
【0081】図11は、そのリニアエンコーダのうちX
方向の位置計測を行うエンコーダの具体的な構成を示し
たもので、ここではインクリメント型で光学計測を行な
うものとし、測長用の固定スケール板100のスケール
ピッチは0.1mm程度、計測ストロークは静止構造体の可
動範囲をカバーする50■程度とする。この固定スケール
板100のスケールは反射タイプとし、デューティ50
%のラインとスペースのうち何れか一方の反射率は極め
て大きくし、他方の反射率は極めて小さくしたもので構
成され、その表面には透明度の高い樹脂やガラスによる
カバー層が防塵のために積層されている。
【0082】このスケール板100は、例えば図6に示
した懸架部材7Aの上端部にカバー層が上向きになるよ
うに、所定の取付け台座101を介して固着される。一
方、スケール板100上に2本の集光ビームB1,B2
(半導体レーザ光源と小レンズ群により作られる楕円ス
ポット状)を位相差が90°となるように垂直に投射す
る送光部102Aと、各ビームの固定スケール100で
の反射光をビームスプリッタを介して個別に光電検出す
る受光部102Aとを備えた検出ユニット102は、鏡
筒保持コラム6の対応する位置に形成された開口部内に
設置される。
【0083】図11に示すように、固定スケール板10
0に刻設されるライン&スペース状のスケールは計測方
向(X方向)に50mm程度の範囲に渡って形成されるが、
非計測方向(Y方向)についても50mm程度の長さを有し
ている。これは、1つのリニアエンコーダが原則的に計
測方向(スケールピッチ方向)にしか位置計測できない
のに対し、被計測対象である静止構造体(定盤8と懸架
部材7A〜7C等を含む)は2次元のXYθ方向に運動
し得るからである。
【0084】さて、検出ユニット102内の2つの光電
検出器105A,105Bからは位相差が90°となる
ような正弦波状の2相信号SS1,SC1が出力され、
2相信号SS1,SC1はデジタル処理回路106内の
ハードウェアロジック回路群によって2値化信号に変換
され、パルス化回路によって固定スケール板100と検
出ユニット102(即ち集光ビームB1,B2)との相
対的な位置変化とX方向の正負とに応じたアップ・ダウ
ンパルスに変換される。
【0085】デジタル処理回路106内には、アップ・
ダウンパルスを可逆的に計数するとともに、静止構造体
(定盤8と懸架部材7A〜7C等を含む)が中立位置又
は中立状態にあるときに零となるデジタルカウンタが設
けられる。このデジタルカウンタの計数値は、そのリニ
アエンコーダが設置されている懸架部材の鏡筒保持コラ
ム6に対する位置変位量(ここではX方向の変位量Xe
1)を表わしている。
【0086】3つの懸架部材7A〜7Cの各々には同様
のリニアエンコーダが設けられているので、各リニアエ
ンコーダのデジタルカウンタの計数値は、図10中の2
次元エンコーダシステム62から、2つのX方向の変位
量Xe1,Xe2と1つのY方向の変位量Yeとして常
時出力される。従って、主制御回路60は各デジタルカ
ウンタからの変位量Xe1,Xe2,Yeを、例えば10
mmS毎にほぼ同時に読み込み、静止構造体(定盤8と懸
架部材7A〜7C等を含む)の中立位置からのXY方向
の変位量とθ方向の回転量とを構造体の幾何学的な配置
や寸法等をファクターとした所定の演算式に基づいてほ
ぼ10mmS毎に算出する。
【0087】さらに主制御回路60は、算出された変位
量と回転量の時間的な平均化(積分処理)を行なう。そ
の積分処理は、電気回路的なローパスフィルター(積分
回路)に相当するものである。10mmS毎に算出される変
位量と回転量とが大きく変化する場合は、静止構造体が
急峻に変位しているものと判断して、見かけ上の時間軸
を伸張して積分時定数で決まる変化率を加味した内挿補
間により変位量と回転量とを再演算出力し、10mmS毎に
算出される変位量と回転量との各変化分が積分時定数で
決まる変化率よりも小さい場合は、内挿補間の再演算を
することなくそのまま出力するものである。
【0088】このように再演算処理された変位量と回転
量の各値は、アナログ電気回路における積分信号と同様
な特性を持ち、可動ステージ10や可動ガイド部材34
の加減速移動に伴う反力による静止構造体の移動が急峻
であるときはあまり変化せず、その移動が定常的になれ
ば徐々に変化するといった傾向を持つ。主制御回路60
は、さらに積分化された変位量と回転量の各値に基づい
て、静止構造体(定盤8)を中立状態に復元させるため
に各コイル50A,50B,50Cに与えるべき目標電
流値を所定のマトリックス演算(ベクトル計算)により
算出し、その値を出力レジスタ64A,64B,64C
に逐次設定する。この設定は、最も短い時間間隔では10
mmS毎(最長でも300mmS程度が望ましい)に繰り返さ
れる。
【0089】各出力レジスタ64A,64B,64Cに
設定された目標値は、デジタル/アナログ(D/A)変
換回路65A,65B,65Cによってアナログ信号に
変換され、サーボパワーアンプ67A,67B,67C
に印加される。サーボパワーアンプ67A,67B,6
7Cは設定された目標値に応じた電流出力を各コイル5
0A,50B,50Cに与えるようなフィードバック系
として構成され、そのフィードバック信号は各コイル5
0A,50B,50Cに流れる電流を電圧に変換する
0.1Ω程度の小抵抗器68A,68B,68Cによっ
て作られる。
【0090】また、図10中には速度センサー63A,
63B,63Cからの信号をサーボパワーアンプ67
A,67B,67Cにフィードバックする系も設けられ
ているが、この系は静止構造体が中立位置から大きく変
位していて、各コイル50A,50B,50Cに大きな
電流が供給されて静止構造体を復帰移動させる際の速度
安定性を高めるためのものである。
【0091】各速度センサー63A,63B,63C
は、3ヶ所の電磁アクチュエータの各コイル50A,5
0B,50Cと対応する永久磁石52A,52B,52
Cとの相対移動速度を検知するものである。そのために
格別の専用センサーを設けてもよいが、図11のリニア
エンコーダからの計数信号を微分処理する回路、例えば
2次元エンコーダ62からの計数値Xe1,Xe2,Y
eをリアルタイムにアナログ値に変換するD/A変換回
路とそのアナログ値を微分する回路等を設ければ、その
微分信号の値が速度を表すことになるので、格別のセン
サーを用意する必要がなく、コストダウンになる。
【0092】以上の構成によって、ANRESの3つの
電磁アクチュエータが静止構造体(定盤8や懸架部材7
A〜7C等)に与える中立位置への2次元的な復帰力
は、静止構造体が急峻に変位し得るような場合は極めて
小さく、中立位置からの定常的な変位が大きくなると大
きくなる。この特性は、コイルバネ、エアスプリング、
オイルダンパー等を使った機械的なショックアブソーバ
ーの機能と類似のものであり、本実施例ではそのような
ショックアブソーバーの特性を、電磁アクチュエータの
ソフトウェア(電気回路)制御により実現したものであ
る。
【0093】従って、ANRESとしては電磁アクチュ
エータを用いる代りに、それらの機械的なショックアブ
ソーバーを各防振マウント2A〜2Cと定盤8との間に
設けてもよい。その場合、最も簡単な構成は各防振マウ
ント2A〜2Cの外部筐体と、それと近接した定盤8の
各部分との間に、所定の初期テンションを与えた状態の
コイルバネ等を配置することである。その3ヶ所のコイ
ルバネの各初期テンションによる合力(合成ベクトル)
は、静止構造体が中立位置にあるときはほぼ零となるよ
うに設定されている。
【0094】ところで、図10に示したANRES制御
ユニットの主制御回路60は、図7に示した可動ステー
ジ10や可動ガイド部材34の移動をつかさどるリニア
モータの駆動を制御する回路ユニットからのステータス
信号SCSを受信し、その信号SCSが表す可動ステー
ジの運動制御状態に応じてANRES用の電磁アクチュ
エータの駆動制御パターン或いは応答性を変更できるよ
うになっている。
【0095】先の図7で説明したように、可動ステージ
10の座標位置は干渉計システムによって鏡筒保持コラ
ム6に対して計測されているので、可動ステージ10の
移動を干渉計からの位置計測情報に従って位置サーボ制
御している限り、定盤8を含む静止構造体(リニアモー
タの固定子)がXYθ方向に微動しても可動ステージ1
0の鏡筒保持コラム6に対する座標位置、即ちレチクル
の投影像に対する相対位置は変動しない。
【0096】しかしながら、ウェハW上の1つのショッ
ト領域に対してレチクルのパターンを精密に同期移動さ
せて走査露光している間、即ちレチクルステージと可動
ステージ10とを加速させ、等速域にしてからスリット
照明光による照射を行い、その後レチクルステージと可
動ステージ10とを減速させると言う一連のショット露
光期間中は、極めて高い同期精度が要求されるため、A
NRESによる静止構造体(定盤8)の復帰動作が同時
に行われると、精度劣化が生じることも有り得る。
【0097】そこで主制御回路60は、ステータス信号
SCSに基づいてウェハW上のショット領域の走査露光
が行われる期間と、次のショット領域露光のためにウェ
ハW(可動ステージ10)をステッピングさせる期間と
を判別し、走査露光の期間中はANRESによる復帰動
作を禁止したり、或いはANRESの駆動系の応答性を
極めて小さく切替える等の付加的な制御を行う。
【0098】図12は、主制御回路60による付加的な
制御のタイミングチャートを模式的に表したものであ
り、ステップアンドスキャン方式で露光している際のレ
チクルステージの速度特性(a)、ステータス信号SC
Sに含まれる各ステータスST1,ST2(b)、及び
ANRESの制御特性上での特定の伝達関数(c)とを
表している。
【0099】図12の速度特性(a)において、横軸は
時間tを表し、レチクルは時刻0でスキャン方向(X方
向)の正方向に加速し始め、時刻t2で一定の速度に達
した後、ほぼ等速度で移動し、時刻t3で減速を開始す
る。その時刻t2とt3の間だけ、照明系からスリット
状に制限された露光用照明光がレチクルを照射し、ウェ
ハW上の1つのショット領域が走査露光される。時刻t
4からt5の間は、ウェハステージとしての可動ステー
ジ10が次のショット領域の露光のためにステッピング
移動(多くのショットに対してU字状の移動軌跡とな
る)する期間であり、この期間中にレチクルステージは
一時的に静止状態になる。
【0100】そして可動ステージ10の次のショット領
域に対する走査露光の開始位置への移動が完了する直前
の時刻t5で、レチクルステージはスキャン方向(X方
向)の負方向に加速し始め、時刻t6で一定の速度に達
した後、ほぼ等速度で移動し、時刻t7で減速を開始す
る。その時刻t6とt7の間だけ、照明系からの露光用
照明光がレチクルを照射し、ウェハW上の次のショット
領域が走査露光される。
【0101】図12(b)のように信号SCSに含まれ
るステータスST1は照明光が実際にレチクルを照射し
ている状態と、それ以外の非照射の状態とを2値化信号
として表し、ステータスST2は可動ステージ10が実
際にステッピングする期間を2値化信号として表してい
る。このステータスST1,ST2からわかるように、
可動ステージ10のステッピング期間(t1以前、t4
〜t5、t8以降)は実際の照射期間が終了した直後で
あって、レチクルステージが減速するのとほぼ同時に始
まるように設定される。
【0102】さてANRESの伝達関数の特性(c)に
示すように、主制御回路60はステータスST1,ST
2に基づいて、ステッピング期間中である時刻t1以
前、時刻t4〜t5の間、及び時刻t8以降はANRE
S制御系に対して高い応答特性を与える伝達関数gs2
を設定し、それ以外の期間では低い応答特性を与える伝
達関数gs1を設定する。
【0103】この伝達関数gs1,gs2の切替えはAN
RES制御系のサーボ特性の切替え、或いは積分時定数
の切替えに相当するものであり、具体的には各コイル5
0A〜50Cに与える目標駆動電流/変位量の比率の変
更に他ならないが、その切替え範囲はサーボ系の安定領
域内で行われる。また伝達関数gs1,gs2の切替えの
際、図10中の各サーボ・パワーアンプ67A〜67C
内の回路定数やフィードバック信号に対する感度を切替
えるようにしてもよい。
【0104】またANRESの伝達関数の変化カーブ
は、図10のような矩形波状の他に緩やかなノコギリ波
状、台形波状、疑似正弦波状であってもよく、さらにス
キャン露光中にANRESの動作を完全に禁止するには
伝達関数(目標駆動電流/変位量の比率)gs1を零に
すればよい。 ≪第3の実施形態≫図13は、ウェハステージ装置の他
の構成を示す斜視図であり、本実施例ではステップアン
ドスキャン方式の露光時に、可動ステージ10のスキャ
ン方向の駆動推力を発生するリニアモータのステータ
(コイル列、或いは磁石列)を、非スキャン方向にステ
ップ移動させることなく連続移動させるようにした。
尚、図13において先の図5中の部材と同等の部材には
同じ符号を付けてある。
【0105】図13において、定盤8のガイド表面8A
上にはY方向に延びた直線固定ガイド部材とリニアモー
タの固定子(例えばコイル列)とを一体にしたスライダ
固定部200が設けられ、このスライダ固定部200に
はその固定ガイド部材に従ってY方向に往復移動可能に
案内される可動体202が係合する。可動体202内に
は固定ガイド部材と係合するエアベアリング用のパッド
部とリニアモータの可動子(例えば磁石列)とが取付け
られる。
【0106】さらに可動体202には、X方向に延設さ
れた2次元リニアモータの固定子(ここではコイル列と
する)204の一端部が、可動ステージ10の下部ステ
ージ10Bに形成された貫通穴10Cを非接触で通るよ
うに配置され、固定子204の他端部は、固定子204
自体を定盤8の表面8Aから一定の高さ位置に支持する
ようなエアベアリング方式の支持体206で支えられ
る。
【0107】2次元リニアモータの固定子(コイル列)
204と磁気的に結合する下部ステージ10B内の永久
磁石列は、貫通穴10Cの内壁部の上下に設けられ、固
定子204内に配列されたX方向(走査露光方向)移動
用のコイル列とY方向(非走査方向)移動用のコイル列
との各々に、X方向とY方向の各ローレンツ力、及びθ
方向のローレンツ力を発生させるための磁束を供給す
る。
【0108】このような構成において、2次元リニアモ
ータの固定子(コイル列)204のYZ面における断面
形状と、下部ステージ10Bの貫通穴10CのYZ面に
おける開口形状とは、一例として図14のように設定さ
れている。固定子204のZ方向の厚さは、下部ステー
ジ10Bの貫通穴10C内の上下に固定された永久磁石
列206A,206Bの各々と所定の固定子204とが
所定ギャップになるように設定される。
【0109】さらに固定子204のY方向(非走査方
向)の幅Wamは貫通穴10CのY方向の幅Wgmより
も小さく定められている。この図14では固定子204
が貫通穴10C内で最も左側に位置した場合を示し、そ
のときにも固定子204の左端部と貫通穴10Cの左側
の内壁との間にはY方向に所定の間隙Gpaが形成され
るものとする。同様に固定子204が貫通穴10C内の
最も右側に位置した場合も、固定子204の右端部と貫
通穴10Cの右側の内壁との間にはY方向に所定の間隙
Gpaが形成されるものとする。これらの間隙Gpaは
ミクロンオーダーで厳密なものではなく、リニアモータ
としての性能を維持し得る程度の範囲が確保できていれ
ばよい。
【0110】従って図14のように固定子204が貫通
穴10Cに対して最も左側にあるとき、固定子204の
右端と貫通穴10Cの右内壁との間隔をDaとすると、
固定子204と可動ステージ10とはY方向に関して相
対的にΔYC=Da−Gpa(又はΔYC=Wgm−
(Wam+2Gpa))の範囲で自由に移動できるよう
になっている。
【0111】ここで幅Wam,Wgm、間隔Daの各寸
法、即ち相対的な自由移動範囲ΔYCは、想定される露
光1ショット領域の最大のY方向寸法、或いは投影結像
系PLが有する像側の投影視野のY方向寸法(円形視野
の場合は像側視野の直径)に対して所定の関係を持つよ
うに設定されている。具体的には、1ショット領域のY
方向の最大寸法をHa(像側の投影視野内に形成される
矩形スリット状露光範囲のY方向の長さとほぼ等しい)
とすると、ΔYC>Haに定められる。
【0112】尚、移動範囲ΔYCの上限値には特に制限
はないが、定盤8、ガイド部材、各リニアモータ等をコ
ンパクトにするためは、ΔYC≒(Ha+Gpa)程度
にするのが望ましく、また図13中の可動体202と固
定子204とが一体にY方向移動する際の速度をより低
下させたければ、ΔYC>2Haに定められる。本実施
例のような構造にすることで、可動ステージ10がX方
向に走査移動している間も、固定子204をY方向にほ
ぼ等速で移動し続けることができ、従来のように可動ス
テージ10によるX方向の走査移動の間、それと直交し
たY方向に関しては固定子を停止させておく必要がない
と言った顕著な特徴を有する。
【0113】この特徴により、ウェハW上にマトリック
ス状に配列される複数のショット領域のうちでY方向に
一列に並んでいるショット領域をステップアンドスキャ
ン方式で順次走査露光している間は、可動体202と固
定子204とを一定速度でY方向に移動させることがで
き、その一列中の各ショット領域毎に可動体202,固
定子204の停止、加速、減速を繰り返すといった大き
な反力発生を伴うステッピング動作が不要になるという
顕著な効果が得られる。
【0114】このことについて、さらに図15を参照し
て説明する。図15は、下部ステージ10B、固定子2
04、及びウェハWの各々のXY平面内での配置を模式
的に表わしたものであり、ここではXY座標系の各軸を
ウェハWの中心を原点として示し、ウェハWはX方向の
径がSTx、Y方向の径がSTyであり、そのY軸上の
周縁部にプリアライメント用の切り欠きとしてのノッチ
Ntを有する。
【0115】またウェハW上にマトリックス状に区画さ
れた31個の領域S1,S2……,S31は、1回のス
キャン動作によって露光される寸法La×Haのショッ
ト領域であり、このうちショット領域S1,S2……,
S15までの15ショットについては既に走査露光が完
了し、現在ショット領域S16が投影結像系PLによっ
て投影されるレチクルパターンのスリット状の実効露光
領域PEAに対して走査露光されているものとする。ま
たショット領域S1,S2…,S16中に示した各矢印
は走査露光時のウェハW(下部ステージ10B)の移動
方向を表わす。
【0116】この図15の場合、ウェハW上のショット
領域はS1,S2,S3……の順に露光されるが、例え
ばショット領域S1の露光時は下部ステージ10BがX
軸の負方向に精密に直線移動するように、レーザ干渉計
による位置サーボや速度サーボによって制御され、同時
に固定子204はY軸の正方向、即ち次のショット領域
S2が投影結像系の投影視野に向う方向に、ほぼ一定の
ゆっくりとした速度で移動し続ける。
【0117】ショット領域S1に対する走査露光(走査
移動量はショット領域のX方向の寸法Laよりも若干大
きい)が完了した時点で、固定子204と下部ステージ
10Bとの間隙Gpaはショット領域のY方向の寸法H
a分だけ増大し、間隔Daはその寸法Ha分だけ減少す
る。その直後に下部ステージ10Bは次ショット領域S
2の露光のためにY方向に寸法Ha分だけU字ターンを
行なうので、寸法Haだけ増大した間隙Gpaと寸法H
aだけ減少した間隔Daとを初期の値に戻すように、下
部ステージ10Bは固定子204に追いつくように移動
する。
【0118】以上の動作を繰り返すことにより、ウェハ
W上でY方向に1列に並んだショット領域S1〜S5を
順次走査露光していく間、固定子204はY方向にほぼ
一定速度で移動し続ける。ただし、ウェハW上でY方向
に並んだショット領域列は、S1〜S5を含めてS6〜
S12,S13〜S19,S20〜S26,S27〜S
31の計5列分あるので、固定子204のY方向の移動
はショット領域S1〜S5の列を含めて2.5往復する
ことになる。
【0119】従って、図15に示したウェハWをステッ
プアンドスキャン方式で露光する際、図13中に示した
可動体202と固定子204は、Y方向に関する加減速
運動を最低でも5回行なうだけとなり、従来のように可
動体202と固定子204とを各ショット領域毎にY方
向にステップ移動させる場合の加減速運動の回数(図1
5では最低31回)とくらべて、定盤8に生じる急激な
反力の回数を極めて少なくすることができると言った効
果がある。
【0120】尚、図13〜15で示した下部ステージ1
0BがXYθ方向へ移動したときに生じる反力は、ほと
んど固定子204で受けることになるので、固定子20
4の剛性、及び固定子204を支持する可動体202の
剛性、及び可動スライダー200のガイド部材の剛性等
は、それに見合ったものとなるように設計される。さら
に下部ステージ10BがY方向に移動すると、固定子2
04はそれによるY方向の反力を受ける。
【0121】従って可動体202のY方向移動を制御す
る可動スライダー200内のリニアモータも、インクリ
メント型またはアブソリュート型のリニアエンコーダを
用いてY方向に位置サーボ制御しておくのが望ましい
が、その位置制御精度は0.1〜0.5mm程度で十分
であり、測長器として干渉計を使うほどの精度は不要と
考えられる。尚、図13に示した可動スライダー200
は固定子204に対して片側だけにしか設けられていな
いが、先の図5の実施例と同様に、定盤8に固定される
Y方向の直線ガイド部材は固定子204の片側のみと
し、Y方向駆動用のリニアモータは固定子204の両側
に設けてもよい。
【0122】ところで図14に示した固定子204と永
久磁石列206A,Bとは、相対的に2次元移動する必
要があるため、固定子204内に設けられるコイル列と
磁石列は特別な配置関係で組み立てられる。2次元リニ
アモータとしては、固定子204の長手方向(X方向)
についてウェハの寸法STx以上の移動ストローク(例
えば350mm程度)を有し、Y方向についてショット
領域の寸法Ha(または実効露光領域PEAの最大寸
法)〜2Ha程度の自由移動範囲ΔYCでの移動ストロ
ーク(例えば28〜56mm程度)を有するように構成
される。
【0123】また、そのような2次元モータの場合、固
定子204と磁石列206A,Bとの取付け配置は適宜
変更可能であり、例えば可動ステージ10をX方向(走
査方向)に移動させるリニアモータとしては図14の通
りに固定子204内にコイル列を設け、下部ステージ1
0B内に磁石列を設けたもので構成し、可動ステージ1
0をY方向(非走査方向)に移動させるリニアモータと
しては、固定子204内に複数個の磁石をX方向に一定
ピッチでX方向移動ストローク分に渡って並べ、下部ス
テージ10B内にはその磁石列と対峙するようにX方向
に離れた2ヶ所の各々にY方向のローレンツ力(推力)
を発生するコイルユニットを設けた構成にすることがで
きる。
【0124】このようにすると、Y方向に推力を発生す
る2ヶ所のコイルユニットの各々に供給される駆動電流
を、レーザ干渉計によって計測される可動ステージ10
のヨーイング量(θ方向の微少回転量)、またはレチク
ルステージのヨーイング量に基づいてサーボ制御するこ
とで、可動ステージ10のθ方向の回転位置を常に制御
された状態に維持できる。 ≪第4の実施形態≫ところで図13〜15に示したガイ
ドレス・ステージの場合、装置を使用可能状態に立ち上
げる作業の一貫として、可動ステージ10や固定子20
4等が定盤8のガイド表面8A上に載置されてエアベア
リングが作動した後、レーザ干渉計システムの正しい計
測動作を確立するために、可動ステージ10の座標系上
での原点出しと初期θ位置とを設定する必要がある。特
に初期θ位置の設定は、従来のガイド方式のステージで
は全く不要な作業であり、ガイドレス・ステージである
が故に必要となる作業である。
【0125】装置の立ち上げ作業を短時間に行なう観点
から、本実施例では図13に示した可動体202と可動
スライダー200との各々に、原点出しと初期θ位置設
定とに使われる専用の治具金物、例えば位置出し用の複
数の基準端面部が形成された軽合金製のフレーム構造体
を仮止めできるようにする。まず第1の治具金物を可動
スライダー200のY方向の一端側の所定位置に仮止め
し、さらに可動体200(固定子204)を手動でY方
向にスライドさせて第1の治具金物の基準端面に当接さ
せ、その位置に係止する。
【0126】次に、可動ステージ10を可動体202か
ら離した状態で、第2の治具金物を可動体202の所定
位置に仮止めし、その後に可動ステージ10を手動でゆ
っくりと可動体202の方に近づけ、第2治具金物の複
数の基準コマが下部ステージ10BのZY平面と平行な
端面側に形成されている対応するコマ受け部の各々に当
接し、係止されるように位置付ける。これにより、可動
ステージ10は定盤8上の所定のXY位置に、初期θ状
態に設定されてプリアライメントされたことになる。
尚、第2治具金物の基準コマは下部ステージ10BのX
方向の位置とθ方向の位置とを拘束するものであるが、
その基準コマの近傍にはコマ受け部との係止(ロック)
や解除を行なう簡単なロック機構が設けられている。
【0127】さて、その状態でレーザ干渉計による計測
動作のイニシャライズを行い、θ方向計測用の干渉計カ
ウンターを初期値(ゼロ、若しくは一定値)にリセット
し、XY方向の各測長用カウンターを初期値にリセット
し、その後、第2治具金物のロック機構により基準コマ
の係止を解除し、第2治具金物自体を可動体202から
取り外し、続いて第1治具金物を可動スライダー200
から取り外す。尚、各治具金物を取り外す際、下部ステ
ージ10Bの下部のエアベアリングに対する圧縮空気の
供給を一時的に中断し、可動ステージ10の全体をエア
パッドを介して定盤8上に接触支持させるようにしても
よい。
【0128】その後、干渉計システムを使った可動ステ
ージ10の位置サーボ系をスタートさせれば、2次元リ
ニアモータの駆動により可動ステージ10がXYθ方向
の各々について精密に位置制御できる状態になる。但
し、下部ステージ10Bの下部のエアベアリングを一時
的に中断した場合は、最初にスタートさせるときの位置
サーボ系への目標指令値を、干渉計システムで計測され
る現在のXY位置と現在のヨーイング量との各々と等し
くするようにし、その指令値に応答した位置サーボが働
くのとほぼ同時に、エアベアリングの作動を開始させ
て、可動ステージ10の下部エアパッドを定盤8から1
〜数μm程度浮上させればよい。
【0129】以上の構成では、第1治具金物と第2治具
金物とを別物としたが、一体化させてしまってもよく、
そのように一体化された治具金物は、可動体202と定
盤8とを仮止め(クランプ)する機能と、可動体202
と可動ステージ10(及び下部ステージ10B)とを仮
止めする機能とを兼ね備えており、可動体202の上か
ら覆い被せるようなフレーム構造になっている。
【0130】以上、本実施例のような適当な治具金物を
用いたり、エアベアリングを一時的に中断したりするこ
とで、図13に示したガイドレス・ステージ装置の立ち
上げ作業を極めて簡単に、短時間に、正確に行なうこと
ができ、作業員の安全性向上にも寄与すると言った装置
の設置方法上の利点がある。 ≪第5の実施形態≫図16は、レチクル側に対して運動
量保存則を適用する場合のレチクルステージ装置の一例
を示す平面図であり、図17は図16中の光軸AXを通
るY軸に沿って破断したときのC−C´矢視端面図であ
る。本実施例のレチクルステージ装置は、先の図1〜
7、或いは図13で説明したウェハステージ装置を有す
る走査露光装置内で組合せて用いると、最大の効果が得
られる。
【0131】図16において、6インチ或いは8インチ
程度のレチクルRは、X方向(走査方向)に大きなスト
ロークで移動し、Y方向に数mm程度の短ストロークで
移動し得るフレーム構造のレチクルステ−ジ16に保持
される。レチクルステ−ジ16のフレーム内側の3ヶ所
には真空方式または静電方式の吸着部267A,267
B,267Cが形成され、図17に示すように、各吸着
部267A〜267CによりレチクルRはステージ16
の上面とほぼ同じZ位置(高さ位置)に吸着保持され
る。
【0132】また図16において、レチクルステ−ジ1
6は、レチクルRのX方向の中心がちょうど投影結像系
PLの物体側の実効露光領域PEA´(図15中のPE
Aに相当)に合うように位置付けられているものとし、
レチクルRの遮光体で囲まれたパターン領域のY方向の
寸法は、実効露光領域PEA´のY方向寸法とほぼ等し
くなるように設定される。このとき実効露光領域PEA
´は、レチクルRを照明する露光光の強度分布にも対応
しており、投影結像系PLの物体側の円形視野IF内で
Y方向に延びる直径を含み、X方向に所定の幅(例えば
24〜40mm程度)となるように設定される。
【0133】尚、実効露光領域PEA´(露光用照明
光)のX方向の幅や位置は、レチクルR上に形成される
遮光体のX方向の寸法との関係から、例えば特開平4-19
6513号公報に開示されているように、レチクルRの走査
移動時の開始や停止のタイミングと同期して連続可変す
るようにしてもよい。その場合、実効露光領域PEA´
のX方向の幅が図16に示した状態で最大とすると、走
査露光時に連続可変される幅は常に図16の最大幅より
も小さい範囲に設定される。
【0134】さてレチクルステ−ジ16の下側4ヶ所に
は、図16,17に示すようにエアベアリング用のパッ
ド265A,265B,265C,265Dが設けら
れ、これらのパッド256A〜256Dはカウンタ−可
動体としてのカウンターステージ250A,250Bの
各々の上面にX方向に形成されたZ案内面252A,2
52B上に設置され、Z案内面252Aと2ヶ所のパッ
ド265A,265Dとの間、及びZ案内面252Bと
2ヶ所のパッド265B,265Cとの間に数μm以下
のギャップが形成される。
【0135】これらパッド256A〜256Dは、単に
圧搾空気を各Z案内面252A,Bに向けて噴出するだ
けでなく、その近傍で真空排気により吸引力を与える真
空与圧方式、或いは永久磁石や電磁石で吸引力を与える
磁力与圧方式にしてもよく、真空与圧方式の場合は、Z
案内面252A,Bを含むカウンターステージ250
A,Bをセラミックス材で作ることができる。
【0136】カウンターステージ250A,Bの各々の
下部には、図16,17に示すように複数のパッド25
6A,256B,256C,256D,256E,25
6Fが設けられ、各パッドとレチクルステ−ジベ−ス1
4の上表面との間にエアベアリングが形成される。この
パッド256A〜256Fも真空与圧方式や磁力与圧方
式とすることができる。
【0137】レチクルステ−ジベ−ス14の中央部に
は、図17に示すように投影結像系PLの上端部分が入
り込むような開口部が形成され、レチクルRと投影結像
系PLとのワーキングディスタンスが維持される。この
レチクルステ−ジベ−ス14は図1中に示した部材と同
じものであり、鏡筒保持コラム6から立設された本体コ
ラム12A〜12C(12Aは省略)上に取り付けられ
る。
【0138】さらにカウンターステージ250A,25
0Bは、レチクルステ−ジベ−ス14上の開口部を挟ん
でX方向の2ヶ所に固定された固定ガイド部材251,
253の左右(Y方向)に配置されるとともに、固定ガ
イド部材251,253のXZ面と平行な両側面をガイ
ド面とするような複数のパッド258A,258B,2
58C,258Dを有する。
【0139】これらのパッド258A〜258Dは、カ
ウンターステージ250A,Bを固定ガイド部材25
1,253の両側面に倣ってX方向に直線移動させるた
めのエアベアリングを形成するが、単に圧搾空気を噴出
するだけのエアベアリングだと、カウンターステージ2
50A,Bが固定ガイド部材251,253から離れる
方向に飛んでいってしまうので、ここのパッド258A
〜258Dは真空与圧方式または磁力与圧方式が必須で
ある。尚、固定ガイド部材251,253の高さは、図
17に示すようにレチクルステ−ジ16のY方向に延び
たフレーム部分16Sの下面よりも若干低めに設定され
るので、レチクルステ−ジ16がX方向に移動しても衝
突することはない。
【0140】図16,17に示すように、レチクルステ
−ジ16の左右側部には2次元リニアモータの可動子と
して機能するコイル列262A,262Bが固定され、
これに対応した固定子として各コイル列262A,26
2Bの上方と下方にX方向に整列された永久磁石列26
0A、260Bが設けられる。磁石列260A,Bは剛
性の高いケース等の保持部材内に取り付けられ、各保持
部材はカウンターステージ250A,Bの各々に薄いゴ
ムプレート、ゴムブッシュ等の弾性部材や制振鋼鈑(異
種金属の積層体)によるスペーサー等を介して固定され
る。これはリニアモータの加減速時に生じる高い周波数
成分の振動を抑制するためである。
【0141】磁石列260A,Bとコイル列262A,
Bで構成される2次元リニアモータは、非走査方向のス
トロークが数mm程度と小さい点が異なるだけで、基本的
には先の図13に示したウェハステージ装置の固定子2
04と同様のものである。即ち、各コイル列262A,
Bのケース内には、X方向のローレンツ力を効率よく発
生するように巻かれたコイル群と、それと独立してY方
向のローレンツ力を発生するように巻かれたコイル群と
が設けられている。
【0142】従って、コイル列262Aと262Bの各
々に設けられたX方向駆動用のコイル群に対して同一の
駆動電流を印加すると、原則的にレチクルステ−ジ16
はX方向に直線移動する。しかしながらステージ16の
両側の2次元リニアモータは、その推力(ローレンツ
力)を厳密に一致させることは難しく、多かれ少なかれ
ばらつきを有している。このばらつきは、レチクルステ
−ジ16のθ方向の位置変位(XY面内での回転誤差)
となって生じるため、その回転誤差の発生をコイル列2
62Aと262Bとの最適な電流制御によって抑制する
サーボ制御系が必要である。
【0143】そのサーボ制御系の具体的な一例として
は、まず計測センサーとしてレチクルR又はレチクルス
テ−ジ16の一部に形成された反射鏡に光ビームを投射
し、その反射ビームと基準ビームとを干渉させてレチク
ルRのXY方向の座標位置とθ方向のヨーイング量とを
計測するとともに、レチクルRのX軸周りとY軸回りの
微少傾斜量(ピッチング量)を計測する多軸レーザ干渉
計システムを設ける。
【0144】そして、計測されるXY方向の座標位置と
ヨーイング量がそれぞれ目標値に追い込まれるようにコ
イル列262A,B内の各コイル群に供給される駆動電
流を高い応答性で制御するサーボアンプを設ければよ
い。また、特開平9-171246号公報に開示されているよう
に、レチクルRの端面部を反射面にすることで、レチク
ルRのXYθ方向の各位置計測を直接行なうレーザ干渉
計システムも知られているので、必要であればその公報
に開示された技術をそのまま、又は若干変形して図1
6,17のレチクルステージ装置に適用すれば、レチク
ルRが走査露光中にステージ16の吸着部267A〜2
67C上で微少量ずれた場合、レチクルRが熱的な影響
で僅かに膨張伸縮した場合であっても正確な計測ができ
ると言った利点がある。
【0145】以上の構成において、運動量保存則はレチ
クルステ−ジ16(コイル列262A,Bも含む)と、
2つのカウンターステージ250A,B(磁石列260
A,Bも含む)とがX方向に運動するときに成り立つよ
うになっている。本実施例の場合、図16からも明らか
なように、カウンターステージ250A,B(磁石列2
60A,Bも含む)の総重量M2をレチクルステ−ジ1
6(コイル列262A,Bも含む)の総重量M1に対し
て数倍以上に大きくすることで、2つのカウンターステ
ージ250A,Bのレチクルステ−ジベ−ス14上での
X方向の可動範囲を相当に小さくすることができる。
【0146】本実施例の場合、レチクルステ−ジ16の
X方向の移動で生じる反力はカウンターステージ250
A,Bの逆方向への運動によって相殺されるが、コイル
列262A,Bを含むレチクルステ−ジ16自体の総重
量M1は、2つのカウンターステージ250A,Bの各
Z案内面252A,252B上に分散して印加され、レ
チクルステ−ジ16の総重量M1と2つのカウンタース
テージ250A,Bの総重量M2との合計がレチクルス
テ−ジベ−ス14上に分散して印加される。このときレ
チクルステ−ジベ−ス14の荷重分布は運動量保存のた
め変化しない。
【0147】このように、本実施例の構成ではレチクル
ステ−ジ16とカウンターステージ250A,Bとがス
タック(積み上げ)構造になっているため、レチクルス
テ−ジ16がX方向の移動ストロークを超えるような暴
走を起こした場合を想定して、機械的なストッパー25
4A,254B,254C,254Dを、レチクルステ
−ジベ−ス14上ではなくカウンターステージ250
A,B側に設けるようにした。ストッパー254A〜2
54Dは、レチクルステ−ジ16が暴走したときに、そ
のフレーム部16Sの端部に当接して暴走運動を係止す
るものであり、当接時の衝撃力を緩和するためのダンピ
ング素子(バネ、ゴム、エアピストン等のショックアブ
ソーバ)を内蔵している。
【0148】さらに、固定ガイド部材253には、Z方
向に上下動するレチクル搬送用のエレベータ部材270
A,270BがX方向に所定間隔だけ離して設けられ
る。このエレベータ部材270A,BのX方向の間隔は
レチクルRのX方向の寸法よりは小さく、レチクルRの
パターン領域のX方向寸法よりは大きく定められてお
り、レチクルステージ16上のレチクルRを交換すると
きは、レチクルRの真下に固定ガイド部材253が位置
するようなローディング位置にレチクルステージ16を
X方向に移動させて位置決めする。
【0149】その後、エレベータ部材270A,Bの上
端面を固定ガイド部材253の上面から突出させ、さら
にエレベータ部材270A,Bの上端面がレチクルステ
−ジ16の上面よりも所定量だけ高くなるように持ち上
げ、レチクルRをエレベータ部材270A,Bの上端面
に真空吸着することによって、ロボットアーム等を使っ
たレチクル交換作業が容易になると言った利点がある。
【0150】次に、図16,17の実施例によるレチク
ルステージ装置の動作について簡単に説明するが、前提
として、図16のようにレチクルRの中心が光軸AXと
ほぼ一致するようなレチクルステ−ジ16のXY方向の
各位置を中間位置とし、その位置からレチクルステ−ジ
16(及び262A,B)が図16の紙面内で最も上方
にある状態をローディング位置、最も下方の折り返し位
置にある状態を初期位置と呼ぶことにする。
【0151】新しいレチクルRが、ローディング位置に
おいてエレベータ部材270A,Bの動作によりレチク
ルステ−ジ16の吸着部267A〜267C上に±0.
5mm程度のプリアライメント精度で載置されると、レ
チクルRステージ16は中間位置に移動され、図1中に
示したレチクルアライメント系VRA1によってレチク
ルRのマークとウェハステージ上の基準マーク板FM
(図7参照)とを検出するレチクルアライメントを行な
う。
【0152】これにより、レチクルRの座標系(干渉計
による計測座標系)とウェハステージ側の座標系(干渉
計による計測座標系)とを相互に対応づけることがで
き、ウェハW内のショット領域の配列座標を図7中のア
ライメントセンサーFIAと干渉計とで計測することに
より、ウェハW内の座標系(ショット領域の配列)とウ
ェハステージ側の座標系とを対応づけることができ、そ
の結果レチクルRの座標系とウェハW内の座標系との相
互対応付け(広義のアライメント)が完了する。
【0153】次にレチクルステ−ジ16を初期位置に設
定し、ウェハW上の第1のショット領域S1(図15参
照)に対する走査露光が開始される。その際、レチクル
ステ−ジ16は初期位置から中間位置、ローディング位
置の順に走査移動するが、カウンターステージ250
A,Bはそれとは逆方向に移動する。ただし、レチクル
ステ−ジ16全体の重量M1に対してカウンターステー
ジ250A,Bの総重量M2が相当に大きいため、レチ
クルステ−ジベ−ス14に対するカウンターステージ2
50A,Bの移動ストロークは数cm程度になり、運動
量保存則に従ったレチクルの走査動作が行なわれる。
【0154】レチクルステ−ジ16の1スキャン動作が
終わり、ショット領域S1の露光が完了すると、レチク
ルステ−ジ16はローディング位置近傍で停止し、ウェ
ハステージ(可動ステージ10)はU字状のステッピン
グ動作(U字ターン動作)を行ない、次のショット領域
S2が実効露光領域PEAに差し掛かる前にレチクルス
テ−ジ16の加速が開始され、レチクルRとショット領
域S2との位置的な同期と速度上の同期とが必要精度に
なるようにサーボ制御を行なう。
【0155】これによってショット領域S2内が実効露
光領域PEAによって順次露光され、レチクルステ−ジ
16はローディング位置近傍から中間位置、初期位置の
順に運動量保存則に従って移動し、ショット領域S2に
対する露光動作が完了する。そして以上の動作が、ウェ
ハW上の露光すべきショット領域の全てに対して行なわ
れる。
【0156】以上のような走査露光動作の際、レチクル
ステ−ジ16のXYθ方向の各位置がレーザ干渉計によ
って常時計測され、その計測値に高速応答するサーボ制
御系によりコイル列262A,Bの各々に設けられた
X,Y方向駆動用の各コイルへ最適な電流が供給され
る。このときθ方向の駆動は、コイル列262A,Bの
各々に設けられたX方向駆動用のコイルに流す電流を、
計測されたレチクルステージのヨーイング量またはウェ
ハステージ側のヨーイング量に基づくPID(比例積分
微分制御)方式で制御することで実行される。
【0157】以上の通り、本実施例によるレチクルステ
ージ装置では、レチクルRを保持するステージ16(可
動子としてのコイル列262A,Bも含む)と、カウン
ターステージ250A,B(固定子としての磁石列26
0A,Bも含む)との間に運動量保存則が成り立つよう
に、カウンターステージ250A,Bをレチクルステ−
ジベ−ス14上で往復移動可能に構成した。
【0158】このため、露光装置の比較的に高い所に設
置されるレチクルステ−ジベ−ス14から上の構造体の
重心位置はほとんど変化することなく、露光装置全体が
大きく傾いたり、レチクルステ−ジ16の加減速に伴う
急峻な反力で振動が生じたりするといった問題が抜本的
に解消され得る。尚、図16,17に示したカウンター
ステージ250A,Bは、X方向に関する位置拘束や位
置制御が何もないので、仮に装置全体がXZ面内で傾く
とレチクルステ−ジ16との間の相対位置関係(相対位
相)を狂わすX方向に単独にずれていってしまう。そこ
で、そのような相対位相のずれが大きくなったときは、
先の図8〜10で説明したようなアクティブなANRE
S、或いはX方向に緩いテンションを持つコイルスプリ
ング等によるパッシブなANRESを、レチクルステ−
ジベ−ス14と各カウンターステージ250A,Bとの
間に設け、X方向に関する相対位相が所定範囲に保たれ
るように自動復帰機構を設けしておくのが望ましい。そ
のようなレチクルステージ用のANRESについて詳し
くは後で述べる。
【0159】但しコイルスプリング等を用いたパッシブ
なANRESの場合は、レチクルステ−ジ16の全スト
ローク範囲の両側付近でコイルスプリングの復元力が増
大するので、その両側付近では運動量保存則が若干阻害
されることになるのでスプリングのバネ定数とストロー
クの関係とを適当に定める必要がある。また、図16、
17に示したレチクルステージ装置では、レチクルステ
−ジ16、カウンターステージ250A,Bがスタック
構造になっていたが、レチクルステ−ジ16とカウンタ
ーステージ250A,Bの各自重を供にレチクルステ−
ジベ−ス14にかけるようなプレーナ構造に変更しても
よく、その場合、図16のようにカウンターステージ2
50A,B上に形成されたZ案内面252A,Bは不要
であるが、代わりにレチクルステ−ジ16の下側に設け
られるパッド265A〜265Dが直接レチクルステ−
ジベ−ス14の表面に係合するように、カウンターステ
ージ250A,Bの形状や構造を変更する必要がある。
【0160】さらに図16,17に示した実施例では、
レチクルステ−ジ16をXYθ方向に駆動するアクチュ
エータとして、粗動用と微動用とを別々に設ける構成と
はせずに、カウンターステージ250A,Bとレチクル
ステ−ジ16との間に配置した2次元リニアモータ(2
60Aと262A,260Bと262B)によって粗微
動の駆動源を兼用するようにし、同時にカウンターステ
ージ250A,Bも運動量保存則に従ってレチクルステ
−ジベ−ス14上を移動できるようにした。
【0161】このため、レチクルステ−ジ16上に微動
用アクチュエータを搭載せずに済むことによる軽量化が
図られ、レチクルステージの最高速が引き上げられると
ともに、高速化の際に問題となる反力が運動量保存則に
より相殺されて装置ボディ(特に投影結像系)にほとん
ど伝わらないといった効果、即ち装置ボディの剛性の度
合いで最高速が制限されることなく、レチクルステージ
の軽量化がそのままレチクル移動の最高速の向上(スル
ープット向上)に寄与するという顕著な効果が得られ
る。 ≪第6の実施形態≫図18は本発明が適用される投影露
光装置の全体構造の変形例を示す部分断面であり、先の
図1〜7で説明した部材、図16,17で説明した部材
と同一の機能を有する部材には同じ符号を付けてある。
本実施例が今まで説明した各実施例と異なる点は、ウェ
ハステージ装置(図1〜7と同様に定盤8、可動テーブ
ル10、懸架部材7A〜7C等を含む)、投影結像系P
Lを固定するボディコラム、及びレチクルステージ装置
(図16,17と同様にレチクルステ−ジベ−ス14、
レチクルステ−ジ16、カウンターステージ250A,
B等を含む)の3つの部分の重量を、互いに独立して床
1上に印加したことである。
【0162】図18においても、図1〜7と同様にし
て、懸架部材7A〜7Cは防振マウント部2A〜2Cの
各々に荷重を印加するように構成され、定盤8と懸架部
材7A〜7Cを含む静止構造体は流体軸受け部(例えば
エアベアリング)5A〜5Cを介してXYθ方向に微動
できるように構成される。そして各懸架部材7A〜7C
を貫通してZ方向に延びた剛体部材4A〜4Cには、ア
クティブな防振支持機構300A,300B,300C
(300Cは省略)を介して投影結像系PLの鏡筒保持
コラム6が支持され、剛体部材4A〜4Cの上端部には
第2の支持コラム320がリジッドに取り付けられる。
【0163】この第2支持コラム320の中央には投影
結像系PLの外部鏡筒よりも大きな径の開口部320F
が形成され、第2支持コラム320上の3〜4ヶ所には
レチクルステージ装置のレチクルステ−ジベ−ス14
(及びその上の構造体を含む)と本体コラム12A,1
2Bの荷重を支えるような防振マウント部330A,3
30B…が設けられている。
【0164】また先の図1や図17では省略したが、レ
チクルステ−ジ16の移動座標位置(XYθ方向の各位
置)を計測するレーザ干渉計システム350が設けら
れ、レーザビームの送受光部350Aからの送光ビーム
は、レチクルステ−ジ16に固定された移動鏡350B
と投影結像系PLの鏡筒に固定された固定鏡350Cと
に投射され、各鏡350B,Cからの反射ビームは干渉
用のビームスプリッタ350Dで合成されたのち、干渉
ビームとして送受光部350A内のレシーバに受光され
る。
【0165】これにより、レチクルステ−ジ16のXY
θ方向の姿勢が投影結像系PLの物体側の固定鏡350
Cを基準として精密に計測されるが、θ方向の計測につ
いては、XY面内で互いに平行な測長軸を有する2つの
干渉計による計測値の差分(ヨーイング計測値)として
求められるので、固定鏡350Cを基準としない系とし
てもよい。尚、ウェハステージ装置側のレーザ干渉計シ
ステム(42X,42Y)に関しては、先の図7で説明
した構成がそのまま適用されるので、ここではそれ以上
の説明を省略する。
【0166】さて本実施例の場合、防振マウント部2A
〜2Cと剛体部材4A〜4Cの組み合せ方が図1や図2
に示した実施例と異なり、本実施例の防振マウント部2
A〜2Cは対応した剛体部材4A〜4Cを貫通させるよ
うな筒状に構成され、その内部にアクチュエータを含む
図2と同様の各部材2A1〜2A5が収納される。そし
て剛体部材4A〜4Cは防振マウント部2A〜2Cに荷
重をかけることなく直接床1上に設置される。従って本
実施例の剛体部材4A〜4Cには床1からの振動がその
まま伝わってくる。
【0167】しかしながら、剛体部材4A〜4Cには防
振支持機構300A〜300Cを介して鏡筒保持コラム
6が取り付けられているため、剛体部材4A〜4Cを伝
わってくる床1の振動は、非接触式のボイスコイルモー
タやエアベアリング等を含む非接触駆動源310A〜3
10Cによってアクティブに除振され、その振動が投影
結像系PLに伝わることが防止される。即ち、防振支持
機構300A〜300Cは、投影結像系PLと鏡筒保持
コラム6の総重量を床1上に立設された剛体部材4A〜
4Cに直接印加させつつ、鏡筒保持コラム6と剛体部材
4A〜4Cとの間の振動伝達を絶縁する機能を有してい
る。
【0168】同様に、剛体部材4A〜4Cの上端に固定
された第2支持コラム320にも床1からの振動がその
まま伝わってくるが、防振マウント部330A,330
B…内に設けられたボイスコイルモータやエアベアリン
グ等を含む非接触式駆動源340A,340B…によっ
て、その振動がレチクルステ−ジ16用のレチクルステ
−ジベ−ス14に伝わることをアクティブに防止してい
る。
【0169】以上の図18中に示した防振支持機構30
0A〜300Cと防振マウント部330A,330B…
の各々に設けられた非接触式駆動源310A〜310
C,340A,340B…は、いずれもZ方向の推力を
発生することを必須とし、それに加えてX方向やY方向
の推力も発生するような構成にしてもよい。このよう
に、レチクルステージ装置、投影結像系PL、ウェハス
テージ装置を相互に分離して配置する場合、その3者の
Z方向の位置誤差とX軸回りやY軸回りの微少傾斜誤差
とが生じ易いため、それらの誤差を所定の精度範囲内に
抑えることが大切である。
【0170】そのためには、レチクルステージ装置のレ
チクルステ−ジベ−ス14と投影結像系PLとのZ方向
の間隔と相対的な傾斜量を計測するための干渉計やギャ
ップセンサーをXY面内の3ヶ所に設け、その計測値に
基づいて防振マウント部330A,330B…内の各駆
動源340A,340Bをフィードバック制御したり、
剛体部材4A〜4Cの振動(XYZの各方向)を検知す
るセンサーからの信号に応答して各駆動源340A,3
40Bをフィードフォワード制御したりするサーボ制御
系を設けることが望ましい。
【0171】また通常の投影露光装置には、投影結像系
PLとウェハとの間のZ方向の間隔と投影像面とウェハ
面との相対的な傾きをリアルタイムに計測するフォーカ
スセンサーとレベリングセンサーからの信号に応答し
て、ウェハステージ装置の可動ステージ10上に設けら
れたZLテーブル(Z方向と傾斜方向への駆動テーブ
ル)の3ヵ所のZアクチュエータをサーボ制御するオー
トフォーカス(AF)/オートレベリング(AL)機構
が設けられている。
【0172】このため、ウェハステージ装置の定盤8と
鏡筒保持コラム6の間に同様のZ方向の位置誤差や微少
傾斜誤差が発生したとしても、その誤差量はAF/AL
機構によって吸収することが可能であり、逆にAF/A
L機構によって吸収可能な誤差量が判っていれば、その
誤差量以内になるように、定盤8と鏡筒保持コラム6の
位置関係(Zと傾斜)を検知するセンサーからの信号に
基づいて防振マウント部300A〜300C内の駆動源
310A〜310C(又は防振マウント部2A〜2C)
をサーボ制御すればよい。
【0173】尚、レチクルステージ装置に運動量保存則
を利用した構造を採用しておくと、レチクルRの走査移
動時にレチクルステ−ジベ−ス14上に構築される構造
体全体の重心がほとんど変化しないと言った作用がある
ことから、第2支持コラム320上の3〜4ヶ所に設置
される防振マウント部330A,330B…の各々にか
かる荷重もほぼ一定になるといった利点がある。そのた
め図18中の駆動源340A,340B…は、非接触式
のボイスコイルモータとして説明したが、振動の高い周
波数成分を抑制するゴムパッドと2mm程度の伸縮を行
なうピエゾ素子とを貼り合わせた接触式のアクチュエー
タ(ハードマウント方式)にしてもよい。このような接
触式のアクチュエータは、図18中の防振支持機構30
0A〜300C内の各駆動源310A〜310Cとして
も同様に採用可能である。
【0174】以上の本実施例によれば、露光装置内で可
動部分を有するレチクルステージ装置とウェハステージ
装置を、投影結像系PLの鏡筒保持コラムから機械的に
分離するようにしたので、レチクルステ−ジ16や可動
ステージ10の運動で生じ得る極わずかな振動成分が投
影結像系PLに伝わらないと言った利点、或いはレチク
ルステ−ジ16や可動ステージ10の各々の運動による
微少振動成分が相互に干渉することで装置ボディ内に生
じる複雑な振動分布が投影結像系PLに伝わらないと言
った利点がある。
【0175】ところで、図16,17に示したレチクル
ステージ装置はXYθ方向に関してガイドレス方式を採
用したが、それと同様にしてウェハステージ装置につい
てもガイドレス方式を採用可能である。例えば、図5に
示した可動ステージ10の下部ステージ10Bにローレ
ンツ力またはインダクタンス力による2次元モータ、所
謂平面モータの可動子としてのXY方向駆動用のコイル
群(又は電磁石群)を組み込み、定盤8の上面にその平
面モータの固定子としての永久磁石群を2次元に配列す
ればよい。このような平面モータの一例は、例えば米国
特許第4,742,286号公報に詳細に開示されている。
【0176】このような平面モータを用いると、可動ス
テージ本体は定盤の表面上にエアベアリング等で浮上支
持されるだけで、XYθ方向に関する機械的な拘束が全
く不要となり、レーザ干渉計と組み合わせた平面モータ
の位置サーボ制御により可動ステージをXYθ方向に精
密に位置制御することができる。このような利点を有す
る反面、可動ステージの運動に伴う反力はすべて定盤で
受けることになり、定盤を防振マウント部材を介して床
面に設置するにしても、定盤と防振マウント部材との結
合部がXY方向に関してリジッドな構造だと、定盤が受
ける反力エネルギーは定盤や防振マウント部材の結合部
等の構造部品を歪ませる応力に転化されることになる。
【0177】このような場合でも、本発明の図1〜7で
説明した実施例と同様に、防振マウント部材と定盤との
間にXYθ方向に変位可能とするエアベアリングやボー
ルベアリング等を用いた可動支承機構を設ければ、定盤
に働く反力エネルギーを容易に定盤自体の運動エネルギ
ーへ転化することができ、運動量保存則がほぼ成り立つ
ような構成にすることで、平面モータを用いたステージ
装置であっても、その重心位置がほとんど変化しないと
言った利点が得られる。
【0178】また先の図1〜7で説明した実施例では、
可動支承機構としての流体軸受け部5A〜5Cにより定
盤8と懸架部材7A〜7Cが一体となってXYθ方向に
微動可能としたが、定盤8に働く反力の方向性が制限さ
れるような構造のステージ装置の場合、例えばX方向と
θ方向にだけ反力が生じるような場合は、そちらの方向
だけに自由度を有するような可動支持機構にすることが
できる。
【0179】≪第6の実施態様≫次に、運動量保存則を
利用したレチクルステージ装置の他の実施例について図
19〜22を参照して説明する。先の図16、17の説
明中においても触れたように、本実施例では粗動用ステ
ージ部と微動用ステージ部とを個別に設け、各ステージ
部と可動カウンターステージ部とをレチクルステ−ジベ
−ス14上に並置したプレーナ構造にするとともに、可
動カウンターステージ部(リニアモータの固定子部)と
レチクルステ−ジベ−ス14との間に、先に説明したA
NRES機能を達成するためのクランプ機構を設けるよ
うにした。
【0180】図19〜21はプレーナ構造のレチクルス
テージ装置の基本構成を示し、先の図16、17中に表
した部材と同じ機能の部材には同一の符号を付けてあ
り、レチクルステ−ジベ−ス14のY方向の両側にはX
方向に延設されたZガイド面(Z方向の案内面)14
A,14Bが形成され、レチクルステ−ジベ−ス14の
一段高くなった部分の上面の両サイドにもX方向に延設
されたZガイド面14C,14Dが形成され、段部とな
る側面にもX方向に延設されたYガイド面(Y方向の案
内面)14Eが形成されている。
【0181】粗動ステージ部400はセラミック材を全
体として矩形フレーム状に成型して作られ、その内側に
は同様のセラミック材で矩形フレーム状に作られた微動
ステージ部450が非接触状態で設けられる。図20,
21に示すように粗動ステージ部400の下面の周辺複
数ヶ所には、レチクルステ−ジベ−ス14上のZガイド
面14C,14Dに対峙するエアベアリング(真空与圧
式又は磁力与圧式)用のパッド401A,401B,4
01C,401Dが取り付けられている。
【0182】また粗動ステージ部400のY方向の一端
側には、レチクルステ−ジベ−ス14のYガイド面14
Eと対峙するような真空与圧方式のエアベアリングパッ
ド402A,402Bが取り付けられ、粗動ステージ部
400のY方向の位置が拘束される。従って粗動ステー
ジ部400は、パッド401A,401B,401C,
401Dとパッド402A,402Bによるエアベアリ
ングによってレチクルステ−ジベ−ス14上をX方向へ
直線移動する。
【0183】同様に、微動ステージ部450の下側の周
囲複数ヶ所にも、レチクルステ−ジベ−ス14上のZガ
イド面14C,14Dに対峙するエアベアリング(真空
与圧式又は磁力与圧式)用のパッド451A,451
B,451C,451Dが取り付けられ、フレーム状の
微動ステージ部450の内側には、レチクルRを吸着保
持するための吸着パッド部453A,453B,453
Cが形成され、そのパッド部453A〜Cの上端面は図
21のように粗動ステージ部400や微動ステージ部4
50の上端面よりも高くなるように設定されている。
【0184】粗動ステージ部400と微動ステージ部4
50との間には、微動用アクチュエータとしての小スト
ローク・リニアモータ(或いはボイスコイル型モータ)
が3組設けられており、そのうちの1組のリニアモータ
は粗動ステージ部400に対して微動ステージ部450
をX方向(スキャン方向)に数ミリ程度の範囲で微動さ
せるためのコイル部455Aと磁石部455Bとで構成
され、本実施例ではコイル部455Aを粗動ステージ部
400側に固定し、磁石部455Bを微動ステージ部4
50側に固定したMM(ムービングマグネット)型とな
っている。
【0185】図19に示すように、磁石部455Bはコ
イル部455Aと所定のギャップを保って上下に挟み込
むように配置され、コイル部455Aを通る磁束は上下
方向(Z方向)に設定され、その磁束を受けるコイル部
455A内の各銅線部分はY方向に電流を流すように設
定され、コイル部455Aと磁石部455Bとの間には
コイル電流の大きさに応じたX方向のローレンツ力(フ
レミング力)が発生する。
【0186】残りの2組の小ストローク・リニアモータ
は、図20に示すように粗動ステージ部400に対して
微動ステージ部450をY方向(非スキャン方向)に数
ミリ程度の範囲で微動させるためのコイル部456Aと
磁石部456Bによるセットと、コイル部457Aと磁
石部457Bによるセットとで構成される。この2組の
リニアモータのコイル部456A,457Aは粗動ステ
ージ部400の内側にX方向に離間して固定され、磁石
部456B,457Bは微動ステージ部450の外側に
X方向に離間して固定され、MM型のリニアモータとし
て構成される。
【0187】その磁石部456B,457Bも、対応す
るコイル部456A,457Aに対して磁束がZ方向に
通るように配置され、各コイル部456A,457A内
の銅線部分はX方向に電流を流すような巻き線構造にさ
れ、それぞれのコイル電流の大きさに応じたX方向のロ
ーレンツ力(フレミング力)が発生する。以上、3組の
微動リニアモータの各コイル部455A,456A,4
57Aに流す電流の大きさや方向を変えることで、微動
ステージ部450の粗動ステージ部400に対する姿勢
をX方向とθ方向の2自由度で制御でき、さらに1組の
Y方向用の微動リニアモータのコイル部455Aに流す
電流の大きさや方向を変えることで、微動ステージ部4
50をY方向の1自由度で制御でき、結局、3組の微動
リニアモータによって微動ステージ部450に保持され
たレチクルRはX、Y、θ方向にガイドレスで微動され
る。
【0188】また、微動ステージ部450上のY方向の
一端にはX方向に細長い移動鏡460Yが取り付けら
れ、微動ステージ部450上のX方向の一端には2つの
コーナーミラー461X,462Xが取り付けられてい
る。移動鏡460Yには、レチクルステ−ジベ−ス14
の一端側の台座465上に設けられたレーザ干渉計ユニ
ット470Aからの計測ビームIFBaが垂直に投射さ
れ、コーナーミラー461X,462Xの各々にはレー
ザ干渉計ユニット470B,470Cからの計測ビーム
IFBb,IFBcが投射される。
【0189】その際、ユニット470AからX方向に投
射されたビームIFBaはレチクルステ−ジベ−ス14
上に取り付けられた反射ブロック部材472によってX
Y面内で直角に折り曲げられ、移動鏡460Yの反射面
(XZ面と平行)に垂直に照射される。このため、反射
ブロック部材472は粗動ステージ部400の内側空間
であって、且つ移動鏡460Yに近接した位置に配置さ
れ、反射ブロック部材472内には、例えば図20中に
示すような5角形のプリズム素子(ダハプリズム、或い
は三角プリズムでも可)472aが設けられている。
【0190】図19,20では、移動鏡460Yが粗動
ステージ部400の上方空間まで張り出しているが、図
21から明らかなように、移動鏡460Yは粗動ステー
ジ部400の上端部よりも僅かに上方に位置するように
微動ステージ部450にのみ固定されており、移動鏡4
60Yは粗動ステージ部400の運動に干渉することな
く微動ステージ部450と一体に運動する。
【0191】また図19〜21では図示を省略してある
が、粗動ステージ部400のレチクルステ−ジベ−ス1
4上でのX方向位置を計測するために、粗動ステージ部
400の一部にコーナーミラーが固定され、それに対し
てレチクルステ−ジベ−ス14側からビームを投射する
粗動用レーザ干渉計が設けられ、このレーザ干渉計から
出力される位置情報と速度信号に基づいて粗動ステージ
部400の位置サーボ制御と速度サーボ制御とが行わ
れ、特にステップ&スキャン方式でレチクルをX方向に
走査移動させる際は、粗動ステージ部400が例えば1
200mm/sec程度の一定速度に速度制御される。
【0192】さらに、粗動ステージ部400のX方向の
移動は、Y方向の両側に配置された一対の高トルク・リ
ニアモータ(3相交流モータ)405,406によって
駆動される。そのリニアモータ405、406の可動子
としてのコイル部405A,406Aは、それぞれ締結
部材404A,404Bを介して粗動ステージ部400
の側方に取り付けられ、リニアモータの固定子としての
磁石ケース405B,406Bは、それぞれレチクルス
テ−ジベ−ス14のZガイド面14A,14B上にエア
ベアリング用のパッド408A,408Bとパッド40
9A,409B(図21参照)を介して設置される。
【0193】図21で詳細に示すように、各磁石ケース
405B,406B内には、対応したコイル部405
A,406Aを挟み込むように磁石Mgnが対向配置さ
れ、その磁石Mgnの複数個が図19、20に示すよう
にX方向に一定ピッチで配置される。従ってリニアモー
タ405,406の各コイル部405A、406Aに制
御された駆動電流(3相交流)を供給すると、対応した
磁石ケース405B,406Bとの間にはX方向のロー
レンツ力(例えば数十ニュートン程度の力)が発生し、
粗動ステージ部400と磁石ケース405B,406B
は運動量保存則に従って互いに逆方向に移動する。
【0194】尚、各リニアモータ405,406の磁石
ケース405B,406Bをレチクルステ−ジベ−ス1
4上に保持するパッド408A,Bと409A,Bは、
レチクルステ−ジベ−ス14のZガイド面14A,14
Bとの間にエアベアリング層を形成するだけでなく、Z
ガイド面14A,Bと直角なYガイド面14F(図1
9、21参照)との間にも真空与圧方式または磁力与圧
方式のエアベアリング層を形成する。
【0195】このため、仮に各リニアモータ405,4
06のコイル部405A,406Aへの給電が中断さ
れ、レチクルステ−ジベ−ス14がZX平面内で傾斜し
ていたりすると、磁石ケース405B,406Bはレチ
クルステ−ジベ−ス14上をX方向に直線的に滑ってい
くことになる。但し、そのようにコイル部405A,4
06Aへの給電が中断されることは、ステージ装置のサ
ーボ制御が正常に機能している間は皆無であり、もしそ
のような状態が起こるとすれば、それは装置の故障や異
常発生を意味する。
【0196】そのサーボ制御は、レーザ干渉計ユニット
470A〜470Cの各々で計測される微動ステージ部
450の移動座標位置や微小回転量等の情報をフィード
バック信号とし、粗動用のリニアモータ405,406
の各々に対する駆動電流の供給、微動用の3組のリニア
モータ455,456,457の各々に対する駆動電流
の供給を高速演算処理回路を介して行う。
【0197】ただし本実施例のステージ装置は、ステッ
プ&スキャン方式の露光装置におけるレチクル走査移動
に適用して、ウェハの走査移動と同期を保つことを前提
としているため、サーボ制御用の高速演算処理回路には
レチクルR単体で理想的な移動制御を行うための回路構
成だけでなく、常にウェハWの走査移動と同期した移動
制御を達成するための回路構成、即ちウェハステージ装
置側のレーザ干渉計で計測されるウェハWの移動位置座
標を読み込んで、レチクルRとウェハWとの位置的な同
期誤差(XYθの各方向における偏差分)や速度上の同
期誤差等を高速に算出してそれらの相対誤差が限りなく
零に追い込まれるように微動ステージ部450の3組の
リニアモータ455,456,457をサーボ制御する
回路も組み込まれている。
【0198】ところで図19〜21の構成において、リ
ニアモータ405、406の各磁石ケース405B,4
06Bの外壁にはバランスウェイトとしてのブロック4
10A,410Bと411A,411Bが取り付けられ
ている。これらのブロック410A,Bと411A,B
は、鉛等の高比重の金属を成型して作られ、各磁石ケー
ス405B,406Bの総重量を増大させるとともに、
左右のリニアモータ405,406における僅かなトル
ク差、エアベアリングの僅かな摩擦差等によって生じ得
る運動特性上のバランスを調整する働きを持っている。
【0199】本実施例の場合、運動量保存則に従って、
粗動ステージ部400と微動ステージ部450との移動
に応じて粗動ステージ部400と微動ステージ部450
とは逆方向に相対移動するカウンタ−可動体は2つ存在
する。1つ目は、第1のリニアモータ405の磁石ケー
ス405B、内部の磁石列Mgn、パッド409A,
B、及びブロック411A,Bからなる第1のカウンタ
ー可動体である。
【0200】2つ目は、、第2のリニアモータ406の
磁石ケース406B、内部の磁石列Mgn、パッド40
8A,B、及びブロック410A,Bからなる第2のカ
ウンター可動体である。しかしながら2つのリニアモー
タ405、406の各々には原則的に同一方向の同等の
駆動トルクを与えるので、運動量保存則が適用される荷
重体としては、第1のカウンター可動体と第2のカウン
ター可動体の両方の重量を持つ荷重体と、粗動ステージ
部400と微動ステージ部450を含む可動ステージ体
との一対を考えればよい。
【0201】本実施例では、第1のカウンター可動体と
第2のカウンター可動体との合計の重量(質量)を、粗
動ステージ部400と微動ステージ部450を含む可動
ステージ体の重量(質量)よりも大きくし、レチクルス
テ−ジベ−ス14上での各磁石ケース405B,406
Bの移動ストロークを粗動ステージ部400の移動スト
ロークよりも小さくするためにブロック410A,41
0B,411A,411Bを設けたが、その移動ストロ
ークの比率が所望の範囲内に入るほど、各リニアモータ
405、406の磁石ケース405B,406B(及び
磁石列Mgn)の重量が大きければ、それらのブロック
を格別に設ける必要はない。
【0202】但し、左右のリニアモータ405、406
の駆動トルクの微差、摩擦の微差等によって、第1カウ
ンター可動体と第2カウンター可動体との移動ストロー
クに僅かな差が生じることもあり、それを補償する目
的、即ち動バランスを取るために磁石ケース405B,
406Bのうちの少なくとも一方(相対的に移動ストロ
ークが微増している方)に荷重補正用のブロックを設け
ることは効果的である。
【0203】またブロック410A,410B,411
A,411Bとしては、内部を空洞にした密閉タンク内
に、粘性が高く比重の大きな流体(重油オイル等)や数
百ミクロン程度の砂粒を充填したものでもよく、このよ
うな構造のブロックの場合には、リニアモータ405,
406の加減速時に生じる比較的に高い周波数成分の微
振動をダンピングすると言った作用も得られる。また各
ブロック410A,410B,411A,411Bをゴ
ムパットやスポンジシート等の弾性体を介して磁石ケー
ス405B,406Bに固定すると、リニアモータに生
じる微振動を減衰させることが可能である。
【0204】以上の本実施例によれば、先の図17、1
8で説明したレチクルステージ装置と比較して、粗動ス
テージ部と微動ステージ部の2つの可動体に分けた構造
とするために複雑ではあるが、粗動用のリニアモータと
微動用のリニアモータも別々に配置されることから、各
リニアモータの機能に適した最適な制御、例えば粗動用
リニアモータは走査露光時に定速制御モードで使い、微
動用リニアモータは速度ムラの補正や微小な相対位置ず
れ補正(XYθ方向)のための位置制御モードで使うと
言うような分担制御が可能となり、制御性の向上が見込
まれる。
【0205】次に、以上の図19〜21で説明したレチ
クルステージ装置に適用可能なカウンター可動体(図1
9〜21中の磁石ケ−ス405B,406Bを示し、以
下適宜カウンタ−可動体という)の復帰機構(ANRE
S)について図22を参照して説明する。ここでは説明
を簡単にするため、レチクルステ−ジベ−ス14上に2
つのカウンター可動体(夫々リニアモータ405,40
6の磁石部405B,406Bを含む)と可動ステージ
体(各リニアモータ405,406のコイル部405
A,406Aを含む)とがプレーナ配置で保持されるも
のとし、粗動ステージ部400と微動ステージ部450
とを含む全体の構造体を、レチクルR保持用の主可動体
500として扱うものとする。
【0206】そして本実施例では、カウンター可動体4
05B,406Bの各々をレチクルステ−ジベ−ス14
上の所定位置にクランプするための係止機構502、5
03と、カウンター可動体406Bのレチクルステ−ジ
ベ−ス14に対するX方向位置を検知するリニアエンコ
ーダのセット504A,504Bと、図22では省略さ
れているが、カウンター可動体405Bのレチクルステ
−ジベ−ス14に対するX方向位置を検知するリニアエ
ンコーダのセット505A,505Bとを設けるように
した。
【0207】本実施例のエンコーダセットは、光学式の
リニアスケール(アブソリュート型またはインクリメン
タル型)を収納してレチクルステ−ジベ−ス14の側部
に固定されるスケール部504B(505B)と、カウ
ンター可動体406B(又は405B)の一部に固定さ
れて光学スケールと対峙する読取りヘッド部504A
(505A)とで構成され、そのヘッド部504A(5
05A)からの信号によりカウンター可動体406B
(又は405B)の移動位置が個別に計測される。
【0208】これらのエンコーダセットによる位置計測
分解能は、カウンター可動体405B、406Bの各移
動ストロークに対して例えば1/100〜1/1000程度でよ
く、ことさら高精度である必要はない。一例として、カ
ウンター可動体405B、406Bの実用的な移動スト
ロークを50mm程度に設定したとすると、エンコーダセ
ットの計測分解能は50μm〜5μmでよく、この程度の
ものであれば比較的に廉価に入手可能である。
【0209】また係止機構502、503としてのクラ
ンプとしては、電磁石や真空ピストン等のアクチュエー
タによって駆動され、カウンター可動体405B、40
6Bのケース部を確実に係止する構造(例えばマグネッ
トクランプ、真空吸着クランプ、或いは複数の微小なV
溝を形成した面がケース側の対応したV溝と係合するメ
カクランプ等)とされる。
【0210】このような係止機構502、503の一
方、例えば係止機構502によってカウンター可動体4
06Bをクランプした場合、そのカウンター可動体40
6Bと主可動体500との間には運動量保存則が働かな
い。そのため、仮に主可動体500側のコイル部405
A,406Aに同程度の同一極性の駆動電流を供給し、
主可動体500がクランプされたカウンター可動体40
6Bに対して+X方向に移動したものとすると、クラン
プされていないカウンター可動体405Bは運動量保存
則に従って単独で−X方向に移動することになる。
【0211】この際、運動量保存則は、主可動体500
とレチクルRの合計質量をM1とし、クランプされたカ
ウンター可動体406Bの全質量をM2´としたとき、
主可動体500の速度V1とカウンター可動体406B
の速度V2´との関係が、V1・M1=−V2´・M2
´となることで成立する。もちろん、カウンター可動体
405Bのクランプを解除し、他方のカウンター可動体
406Bをクランプした場合は、主可動体500とレチ
クルRの合計質量体とカウンター可動体405Bの全質
量体との間でのみ運動量保存則が成立する。
【0212】また先の図19に示したように、コーナー
ミラー461X,462Xは微動ステージ部450に固
定されるが、図22では主可動体500に固定されてい
るものとする。実際のところ、サーボ制御系が正常に動
作していれば、粗動ステージ部400と微動ステージ部
450とのXY方向の位置関係は所期状態に対して1m
m以内の誤差範囲に収まっているので、各干渉計のビー
ムIFBb,IFBcによって計測されるX方向の位置
は微動ステージ部450の精密な位置(例えば10nm
のオーダー)であるとともに、粗動ステージ部400の
X方向の概略位置(例えば±1mm程度の範囲)にも対
応している。
【0213】尚、図22では、係止機構502、503
をレチクルステ−ジベ−ス14の一端部側に設けたが、
各カウンター可動体405B、406Bをレチクルステ
−ジベ−ス14に確実に係止できさえすれば、その配置
はどこであってもよい。さらに係止機構502、503
としては、各カウンター可動体405B、406Bとレ
チクルステ−ジベ−ス14との間に設けられるエアベア
リング408A,Bや409A,B(図19,21参
照)を、一時的に真空吸着のみを行う吸着パッドに切り
替えることで兼用してもよい。
【0214】この場合、エアベアリング408A,Bや
409A,Bを真空排気用のオリフィスと加圧気体噴出
用のオリフィスとを備えた真空与圧型にしておくと、加
圧気体の噴出を中止することで、エアベアリング408
A,Bや409A,Bはレチクルステ−ジベ−ス14に
真空吸着されることになり、クランプ機能のために付加
的に必要な構成としては、エアベアリング408A,
B、409A,Bへの加圧気体の供給路中に電磁弁を設
け、クランプ時にその供給路を開閉すると言った極めて
簡単な構成で済むことになる。
【0215】次に、図22の概略構成に基づいたANR
ES機能の動作を、図23〜25を参照して説明する。
図23(A)は主可動体500(レチクルステージ部全
体)がレチクルステ−ジベ−ス14上でX方向の最も負
側に位置した状態を示す平面図であり、この状態はステ
ップ&スキャン方式によるウェハ露光動作中のステッピ
ング期間、ウェハの交換期間、或いはレチクルの交換期
間に生じ得る。
【0216】まず図23(A)のような状態で、制御回
路510は一方の係止機構503に駆動信号を出力し
て、一方のカウンター可動体405B(リニアモータの
磁石列Mgn、ケース、エアベアリング409A,B等
を含む)をレチクルステ−ジベ−ス14にクランプす
る。その際、主可動体500に対するカウンター可動体
405Bの位置関係(相対位相)と、主可動体500に
対するカウンター可動体406Bの位置関係(相対位
相)とは、いずれも所期の位相関係からずれているもの
とし、またカウンター可動体405Bと406BもX方
向に相対的にΔPx1だけずれているものとする。
【0217】さて、図23(A)のようにカウンター可
動体405Bがクランプされた場合でも、コーナーミラ
ー461X,462X、干渉計ユニット470B,47
0Cによる位置フィードバック系と制御回路510によ
り、可動子としてのコイル部405A,406Aがサー
ボ制御され続けるため、主可動体500は制御回路51
0が指定した目標X位置(IFx1とする)に静止し続
ける。
【0218】その後、制御回路510はエンコーダセッ
ト505A,505Bからの計測信号を読み込むことで
カウンター可動体405BがクランプされているX位置
(Ex1´とする)を検知し、主可動体500の目標位
置IFx1とカウンター可動体405Bの係止位置Ex
1´とに基づいて、主可動体500とカウンター可動体
405Bとの相対位相のずれ量を算出する。
【0219】ここで、図25(A),(B),(C)を
参照して、その相対位相のずれ量の求め方について簡単
に説明する。図25(A)は、主可動体500とカウン
ター可動体405Bとの関係のみを模式的に表した図で
あり、レチクルステ−ジベ−ス14上に定められる仮想
的な中立点のX方向位置PE0に対して、主可動体50
0の重心点のX方向位置PE1とカウンター可動体40
5Bの重心点のX方向位置PE2とが一致している場合
である。
【0220】図25(B)は、先の図23(A)と同様
に主可動体500がX方向の右側に移動し、カウンター
可動体405BがX方向の左側に移動した場合を示すも
ので、ここでは、運動量保存則に従った移動動作の直後
に主可動体500の位置PE1が中立位置PE0から距
離Lx1のところに停止し、カウンター可動体405B
の位置PE2が中立位置PE0から距離Lx2のところ
に停止しているものとする。
【0221】従って主可動体500とカウンター可動体
405Bとの相対位相にずれが無いと言うことは、距離
Lx1とLx2との間に主可動体500とカウンター可
動体405Bの各質量の比に対応した一義的な比例関係
が成立していることを意味するので、その比例関係の崩
れ方を検知すれば、相対位相のずれ量が判ることにな
る。
【0222】その距離Lx1,Lx2の関係は、結局の
ところ、干渉計ユニット470B,Cとエンコーダセッ
ト505A,Bとの各々で計測されるX方向の位置情報
の関係に置き換えて求められる。図25(C)は、図2
5(B)の状態において干渉計ユニット470B,Cと
エンコーダセット505A,Bの各々で計測される位置
情報の出力状態を模式的に表したグラフである。
【0223】図25(C)において、横軸はレチクルス
テ−ジベ−ス14上に設定される座標系における各可動
体500,405Bの絶対位置を表し、左側の縦軸は干
渉計ユニット470B,Cの読み値を表し、右側の縦軸
はエンコーダセット505A,Bの読み値を表し、右上
がりの実線が干渉計ユニット470B,Cの読み値の変
化特性であり、右下がりの破線がエンコーダセット50
5A,Bの読み値の変化特性である。但しここで言う干
渉計ユニット470B,Cの読み値とは、各干渉計ユニ
ット470B,Cから個別に出力されるX方向の位置情
報を図23の制御回路510内の演算部によって加算平
均した値([Xb+Xc]/2)を意味する。
【0224】この図25(C)のようなグラフからも明
らかなように、干渉計ユニット470B,Cの読み値が
IFx2→IFx0→IFx1と変化すると、エンコー
ダセット505A,Bの読み値はEx2→Ex0→Ex
1と変化する。運動量保存側が正しく作用していれば、
主可動体500が停止している位置PE1に対する干渉
計ユニット470B,Cの読み値はIFx1(目標X位
置)であり、カウンター可動体405Bが停止している
位置PE2に対するエンコーダセット505A,Bの読
み値はEx1である。
【0225】同様に、運動量保存側が正しく作用してい
れば、干渉計ユニット470B,Cの読み値IFx0と
エンコーダセット505A,Bの読み値Ex0とが対応
し、干渉計ユニット470B,Cの読み値IFx2とエ
ンコーダセット505A,Bの読み値Ex2とが対応し
ているので、制御回路510は干渉計ユニット470
B,Cの読み値とエンコーダセット505A,Bの読み
値との正しい対応関係を予め記憶している。
【0226】そこで記憶する情報としては、主可動体5
00の移動ストロークのほぼ両端に相当する干渉計読み
値IFx1,IFx2の2点、カウンター可動体405
Bの移動ストロークのほぼ両端であって干渉計読み値I
Fx1,IFx2の各々に対応したエンコーダ読み値E
x1,Ex2の2点、及び理想状態における主可動体5
00とカウンター可動体405Bの移動距離の比例定数
Kd(Lx1/Lx2)としてもよい。
【0227】ところが相対位相にずれが生じた場合、主
可動体500の停止している位置PE1に対する干渉計
ユニット470B,Cの読み値がIFx1(目標X位
置)であっても、カウンター可動体405Bの停止して
いる位置が理想位置であるPE1からずれたPE2´と
なり、エンコーダセット505A,Bの読み値が例えば
Ex1´になることがある。
【0228】そこで、そのずれ量ΔExをEx1−Ex
1´の演算によって求め、その値に比例定数Kdを乗算
すると、カウンター可動体405Bの停止位置PE2´
との相対位相が正しく保たれる主可動体500の理想的
な位置PE1´を、PE1´=PE1−(ΔEx・K
d)の演算によって求めることができる。ここで位置P
E1はサーボロックされる目標X位置としての干渉計読
み値IFx1であるので、理想的な位置PE1´(ずれ
た相対位相が是正される位置)に対応した干渉計読み値
IFx1´は、 IFx1´=IFx1−(ΔEx・Kd) …… (式10) の式によって簡単に求められる。
【0229】そこで再び図23(A)を参照すると、制
御回路510は上記の演算式(10)によって主可動体
500の理想位置である読み値IFx1´が新たな目標
位置となるようにリニアモータのコイル部405A,4
06Aをサーボ制御する。これによって主可動体500
は、例えば図23(A)中の矢印J1のように移動する
が、このときクランプされていないカウンター可動体4
06Bは矢印J2のように運動量保存則に従って逆方向
に移動する。
【0230】そして図23(B)に示すように、主可動
体500は係止機構503のクランプ直後の位置からΔ
XS1だけ移動した位置に停止し、これによってカウン
ター可動体405Bと主可動体500との相対位相の補
正が完了する。このとき、クランプされていないカウン
ター可動体406Bは、クランプ中のカウンター可動体
405Bに対してΔPx2の位置ずれを伴って停止して
いる。尚、図23(B)中の移動量ΔXS1が図25
(C)における位置PE1から位置PE1´までの距離
であることは言うまでもない。
【0231】次に、図24(A)に示すように制御回路
510は係止機構503の付勢を解除するとともに、係
止機構502に駆動信号を出力し、カウンター可動体4
06Bをレチクルステ−ジベ−ス14上にクランプす
る。その直後に制御回路510はエンコーダセット50
4A,Bにより計測されるカウンター可動体406Bの
位置情報Exn´を読み込み、先の式(10)と同様の
演算によって主可動体500とカウンター可動体406
Bとの相対位相のずれを是正するために必要な主可動体
500のX方向の移動量、または新たな目標X位置を演
算により求める。
【0232】但し、運動量保存則に従った主可動体50
0とカウンター可動体406Bとの相対移動距離の比例
定数Kdの値は、先の式(10)中で用いたものと若干
異なることもあるので、その場合は専用の比例定数の値
に置き換えてから式(10)の演算を行えばよい。その
後、制御回路510は干渉計ユニット470B,Cから
の位置計測情報を読み込みつつ、新たな目標X位置との
差分を逐次計算し、その差分を零にするようなサーボ駆
動信号を2つのリニアモータの各コイル部405A,4
06Aに出力する。これによって、主可動体500は図
24(A)中の矢印J3の方向に移動し、クランプされ
ていないカウンター可動体405Bは運動量保存則に従
って矢印J4のように逆方向に移動する。
【0233】図25(B)は主可動体500が新たな目
標X位置に向けてΔXS2だけ移動した直後の状態を示
し、これによって主可動体500とカウンター可動体4
06Bと相対位相が正しい関係に補正されたことにな
る。この際、両側のカウンター可動体405B,406
BのX方向の相対位置ずれΔPx3は、原理的にはほぼ
零となるが、各エンコーダセット504,505の計測
分解能程度の誤差は残存し得る。しかしながら、この程
度の誤差は実際の装置運用上ではほとんど問題とはなら
ない。
【0234】以上のようにして主可動体500とカウン
ター可動体406Bの相対位相が補正されると、制御回
路510は、係止機構502によるカウンター可動体4
06Bのクランプを解放することで一連のANRES
(自動復帰)制御モードを終了し、以後は干渉計ユニッ
ト470B,Cの読み値をフィードバック情報として2
つのリニアモータのコイル部405A,406A(及び
図19、20に示した微動用のリニアモータ455,4
56,457)をサーボ制御する通常の走査制御モード
に切り替わる。
【0235】以上、本実施例によればANRES機能と
して2つのカウンター可動体の主可動体500に対する
位相関係を、主可動体を駆動するための各リニアモータ
を使って個別に復元できるようにしたので、別途に復帰
用のモータを設ける必要がなく、装置構成が簡単になる
とともに、コスト削減にも寄与するといった利点が得ら
れる。
【0236】また上記の実施例のように2つのカウンタ
ー可動体の復元動作をシーケンシャルに続けて行うだけ
でなく、適当な動作を間に挟んで離散的に行うこともで
きる。例えば、1枚のウェハの露光動作中であっても、
あるショット領域に対するステッピング時間が相対的に
長いときを見計らって、その間に2つのカウンター可動
体のうちの一方に対して復元動作を行い、引き続く数シ
ョットの露光動作の後に他方のカウンター可動体に対し
て復元動作を行うようにしてもよい。
【0237】また本実施例では、図23(A),(B)
や図24(A),(B)で説明したように、主可動体5
00がX方向の最も左側に位置するときにANRES動
作を行うものとしたが、これはその位置がレチクルRの
交換位置等に当るために比較的に滞留時間が長く、AN
RES動作を行うことによるスループット低下の律速条
件になり難いと言う理由からである。しかしながら、A
NRES動作を行う位置は、2つのカウンター可動体を
レチクルステ−ジベ−ス14にクランプする係止機構の
構成や配置によって任意に設定することができる。
【0238】例えば、先に説明したように各カウンター
可動体のエアベアリング408A,Bや409A,Bを
一時的に真空吸着パッドに切替える方式の係止機構を採
用した場合、ANRES動作は主可動体500の移動ス
トローク内であればどの位置でも可能となる。尚、本実
施例の図23、24のような復元動作は先の図17に示
したレチクルステージ装置にも同様に適用できることは
言うまでもない。尚、図19〜21に示したレチクルス
テージ装置においては、説明を省略したが、粗動ステー
ジ部400のX方向の位置と速度とを単独に計測する1
軸のレーザ干渉計ユニット(粗動用1軸干渉計ユニット
とする)も設けられ、図23、24で説明した制御回路
510は、その粗動用1軸干渉計ユニットからの位置情
報や速度情報を使って各リニアモータセットの磁石ユニ
ット405B,406Bによるカウンター可動体と粗動
ステージ部400との相対位相のずれを補正する。
【0239】従って、図23、24中に示した相対位相
誤差の補正時は干渉計ユニット470B,470Cの代
わりに粗動用1軸干渉計ユニットが使われ、通常の走査
露光時は粗動用1軸干渉計から出力される速度情報が指
令された速度になるように粗動ステージ部400(コイ
ル部405A,406A)が速度サーボされ、微動ステ
ージ部450用のリニアモータ455,456,457
は走査移動位置が時間とともに変化し得る所定のXYθ
位置と一致するように位置サーボされる。
【0240】《第7の実施形態》次に、図26を参照し
て運動量保存則が適用されるレチクルステージ装置の全
体構成の変形例を説明するが、基本構造は先の図19〜
21と同じであるため、そこで例示した部材と同一の機
能のものには同じ符号をつけてある。また本実施例では
ANRES機構として特別な係止機構を設ける代わり
に、別途復帰用のリニアモータ520A,Bと522
A,B(図26では省略)とを設ける。
【0241】図26に示すように、本実施例においては
L字型に成型されたセラミック製の粗動ステージ部40
0と矩形フレーム状に成型されたセラミック製の微動ス
テージ部450とがレチクルステ−ジベ−ス14上に並
置され、それらの間に3個の微動用リニアモータYLM
0,XLM1,XLM2が設けられる。先の図19の構
成と異なる点は、ステップ&スキャン露光時の走査方向
(X方向)の微動とθ方向の微動を、X方向に推力を発
生する2個のリニアモータXLM1,XLM2で受け持
ち、非走査方向(Y方向)の微動を1個のリニアモータ
YLM0で受け持つようにしたことである。
【0242】このような粗微動構造のステージ装置の場
合、微動用アクチュエータは非走査方向に比べて走査方
向について極めて大きな推力(トルク)を発生するもの
が必要とされる。このため、本実施例では走査方向に推
力を発生する2個のリニアモータXLM1,XLM2を
非走査方向に適当に離間して設けることで、粗動ステー
ジ部400が加減速している間であっても、その加速度
に抗して十分な応答速度で微動ステージ部450をX方
向とθ方向とに微動できるようにした。
【0243】尚、3個の微動用リニアモータYLM0,
XLM1,XLM2は、いずれも永久磁石ユニットが微
動ステージ部450側に固定され、コイルユニットが粗
動ステージ部400側に固定されるMM型(ムービング
マグネット型)で構成されるが、これは必ずしも必須の
ことではなく、場合によっては3個の全て又は一部につ
いて磁石ユニットとコイルユニットの配置を逆にしたM
C(ムービングコイル)型にしてもよい。
【0244】また、本実施例では粗動ステージ部400
を大きく移動させるリニアモータとして、円筒状のケー
ス内に円板状またはドーナツ状の強力な永久磁石の多数
個をX方向に積層した円柱型の固定子(405B,40
6B)と、その固定子の周りを環状に包むようなコイル
巻き線を収納した可動子(405A,406A)とを組
み合わせたシャフト型リニアモータを用いる。
【0245】このようなシャフト型リニアモータは可動
子としてのコイル巻き線の構造が簡単であるとともに、
固定子内の磁石列の組み立ても容易であるため、同じ推
力特性を得るのであれば、図19に示した典型的なリニ
アモータ405,406と比べて格安に入手できるこ
と、投入エネルギー(電力)に対する出力エネルギー
(推力トルク)の変換効率が高いと言った効果が得られ
る。さらにコイル巻き線の構造が単純なので、冷却用ク
ーラントを可動子(405A,406A)内に供給する
際の内部循環路の構造を単純にでき、冷却効率を高めら
れると言った利点も得られる。
【0246】そして本実施例では、シャフト型リニアモ
ータの固定子としての円柱状磁石ユニット405B,4
06Bの各々を、リニアスライダー方式のエアベアリン
グ部材408A,408B,409A,409Bに固定
し、レチクルステ−ジベ−ス14の両側に形成されたガ
イド面14A,14Bに沿ってX方向に直線移動可能に
する。その際、エアベアリング部材409A,409B
は円柱状磁石ユニット405Bの長手方向の両端に固定
され、エアベアリング部材408A,408Bは円柱状
磁石ユニット406Bの長手方向の両端に固定される。
【0247】これにより、円柱状磁石ユニット405B
とエアベアリング部材409A,409Bは第1のカウ
ンター可動体としてレチクルステ−ジベ−ス14上を一
体にX方向に移動可能となり、円柱状磁石ユニット40
6Bとエアベアリング部材408A,408Bは第2の
カウンター可動体としてレチクルステ−ジベ−ス14上
を一体にX方向に移動可能となる。
【0248】シャフト型リニアモータの可動子としての
円筒状コイルユニット405A,406Aの各々は、そ
の内周壁が対応する円柱状磁石ユニット405B,40
6Bの外周壁と1〜4mm程度のギャップを保って位置
するように、適当な結合部材を介して粗動ステージ部4
00に取り付けられる。粗動ステージ部400の下面に
は、レチクルステ−ジベ−ス14の上表面との間にはエ
アベアリングを形成するためのパッド401A,401
B,401C(401B,Cは不図示)が設けられる。
【0249】また粗動ステージ部400のX方向に伸び
た端部側(シャフト型モータ406側)には、レチクル
ステ−ジベ−ス14の側面ガイド面14Bとの間にY方
向のエアベアリングを形成するためのパッド402が設
けられ、このパッド402は真空与圧型または磁力与圧
型のコンビネーションパッドで構成される。一方、微動
ステージ部450の下面には、レチクルステ−ジベ−ス
14の上表面との間にエアベアリングを形成するための
パッド451A,451B,451C,451D(45
1C,Dは不図示)が設けられ、微動ステージ部450
の上面部には、レーザ干渉計による測長のために、直線
ミラー(図19中の460Yに相当)用の載置部PDy
と2つのコーナーミラー(図19中の461X,462
Xに相当)用の載置部PDx1,PDx2とが形成され
ている。
【0250】このような基本構造に加えて、本実施例で
はカウンター可動体となるシャフト方モータの円柱状磁
石ユニット405B,406Bの移動位置を計測するリ
ニアエンコーダセット504A,504B,505A,
505B(505A,Bは不図示)を先の図22と同様
に設けるが、ここではエンコーダセットのスケール部5
04B(505B)をレチクルステ−ジベ−ス14に固
定し、読取りヘッド部504A(505A)をエアベア
リング部408A(409A)に固定する。
【0251】また、ANRES機構としてのリニアモー
タセット520,522(522は不図示)が夫々エア
ベアリング部材408B,409Bに設けられ、リニア
モータセット520(522)の固定子520A(52
2A)はレチクルステ−ジベ−ス14の側部に適当な弾
性シート材(ゴム板等)を介して取り付けられ、可動子
520B(522B)はエアベアリング部材408B
(409B)に取り付けられる。
【0252】このリニアモータセット520,522
は、ローレンツ力を推力とするVCM型、リアクタンス
力を推力とする電磁石型(ソーヤモータ等)のいずれで
あってもよく、磁石ユニットとコイルユニットをどちら
に取り付けるかも任意であるが、固定子520Aと可動
子520Bのうち、重量の大きい方をカウンター可動体
の質量の一部とすべくエアベアリング部材408B(4
09B)側に設けるのがよい。
【0253】以上の構成において、シャフト型モータの
円柱状磁石ユニット406B(405B)をレチクルス
テ−ジベ−ス14上に支持するエアベアリング部材40
8A,B(409A,B)は、図示のようにレチクルス
テ−ジベ−ス14のガイド面14B(14A)上で2つ
に分離されているが、一体化してもよい。しかしなが
ら、各リニアモータのコイルユニットからの発熱の影響
を受けて、円柱状磁石ユニット406B(405B)の
ケースがX方向に膨張した場合を考慮すると、エアベア
リング部材408A,B(409A,B)は2つに分離
していた方が有利である。
【0254】またシャフト型モータの各円柱状磁石ユニ
ット406B(405B)とエアベアリング部材408
A,B(409A,B)とはネジや接着剤等によって強
固に結合してもよいが、円筒状コイルユニット406A
(405A)に大きな駆動信号を供給して大きな加速度
を発生させる場合、各円柱状磁石ユニット406B(4
05B)にX方向の大きな反力が瞬間的に生じ、その振
動成分がエアベアリング部材408A,B(409A,
B)を介してレチクルステ−ジベ−ス14に伝わる可能
性もある。
【0255】そこで各円柱状磁石ユニット406B(4
05B)とエアベアリング部材408A,B(409
A,B)との間に、弾性体によるショック・アブソーバ
(ゴム、バネ、エアピストン、粘性流体等)を介在させ
て、X方向については例えば1〜数mm程度だけ相対微
動できる構造にし、粗動ステージ部400を加減速させ
る際に生じる高い周波数の振動成分を吸収するようにし
てもよい。
【0256】図27は、そのようなショック・アブソー
バの構造の一例を示す部分断面図であり、ここでは1ヶ
所のエアベアリング部材408Aと円柱状磁石ユニット
406Bとの間に設けられたアブソーバの構造を例示す
るが、他のエアベアリング部材408B,409A,4
09Bの各々についても同様のアブソーバ構造が設けら
れる。
【0257】図27において、内部に円板状またはドー
ナツ状の磁石Mgnを積層した円柱状磁石ユニット40
6Bの端部には、剛体による円柱部材600が固定さ
れ、その外周部には円柱部材600をX方向に滑らかに
スライド可能なスラストベアリング601が配置され、
そのベアリング601はゴム等の弾性体による環状シー
ト材602を介してエアベアリング部材408Aの座繰
り穴408A1の内部に取付けられる。
【0258】さらに円柱部材600の左端面部とエアベ
アリング部材408A1の座繰り穴の内壁との間には、
X方向に伸縮するコイルバネ603が配置され、そのテ
ンションは調整用ツマミ部材604を操作することで適
当な強さに調整可能である。また、エアベアリング部材
408Aの座繰り穴408A1の入り口付近と円柱部材
600(或いは円柱状磁石ユニット406B)との間の
空隙は、防塵のためにベローズ状の環状シートカバー6
05によって密封される。
【0259】以上の構成において、シャフト型モータの
円柱状磁石ユニット406BにX方向の加速度が生じる
と、スラストベアリング601の作用によって円柱部材
601と円柱状磁石ユニット406Bは一体となってX
方向のみに微動し、それと直交したY,Z方向の各々に
ついては位置規制される。但し、円柱状磁石ユニット4
06BはY,Z方向についてもミクロンオーダーで微小
振動し得るので、そのY,Z方向についての微小振動成
分は環状シート材602の弾性変形で吸収するようにす
る。
【0260】そしてコイルバネ603の作用によって、
円柱状磁石ユニット406BのX方向の振動成分は抑制
され得るが、その抑制の度合いはコイルバネ603のテ
ンション/伸縮量の比によって決まるため、調整用ツマ
ミ部材604で最適な状態に調整するのが望ましい。ま
たコイルバネ603としては、図27のようなアブソー
バ構造を円柱状磁石ユニット406Bの両端部に設ける
のであれば、バネによって円柱状磁石ユニット406B
をX方向に微動できるので、2つに分離しておいたエア
ベアリング部材408A,408Bを機械的に結合した
構造、又は一体化構造にしてもよい。
【0261】次に図28を参照して図26のレチクルス
テージ装置の制御システムの概略的な構成と動作を説明
する。図28では、図26で説明したのと同じ部材には
同一の符号をつけてあるが、併せて図26で図示を省略
した幾つかの構成部材、即ちレーザ干渉計ユニット47
0A〜470C、微動ステージ部450に固定された移
動鏡460Yとコーナーミラー461X,462X、及
び粗動ステージ部450に固定されたコーナーミラー6
25とレーザ干渉計ユニット627についても示してあ
る。
【0262】このコーナーミラー625と干渉計ユニッ
ト627とは、先の図19〜22の実施例で示した粗動
ステージ部400に対しても全く同様に設けられるもの
であり、以下に説明する制御系の構成と動作も図19〜
22の実施例に対して同様に適用される。そして図28
の制御系には、干渉計ユニット470A〜470Cと干
渉計ユニット627の各々からの計測情報を入力するフ
ィードバックインターフェース回路系(以下、FBIF
系とする)620と、そのFBIF系620で生成され
る位置情報620Aや速度情報620Bと、目標情報
(位置指令値や速度指令値)622Fとを受けるサーボ
駆動回路系622と、カウンター可動体の相対位相を所
期状態に復元、修正するリニアモータセット520,5
22の各可動子(コイルユニット)520A,522A
を制御するANRES駆動回路系630とが設けられて
いる。
【0263】この図28の制御系においては、目標情報
622Fが与えられると、粗動ステージ部400が現在
のX位置から目標X位置まで所定の速度特性(ほぼ台形
制御)で移動するように、干渉計ユニット627からの
計測情報をフィードバック情報にして粗動用のリニアモ
ータのコイル部405A,406Aに駆動電流を供給す
る。その移動がウェハ上の1ショット領域に対する走査
露光時のものであるときは、その移動速度が例えば12
00mm/Secに精密に速度制御される。
【0264】一方、1ショット領域に対する走査露光の
シーケンス中は、粗動ステージ部400の移動X位置に
追従しつつ、ウェハステージ側の干渉計で計測されるウ
ェハの移動座標位置(Xw,Yw,θw)とレチクル微動
ステージ部450の移動座標位置(Xr,Yr,θr)と
の差分が限りなく零に追い込まれるような駆動電流が微
動用のリニアモータのコイルユニットYLM0,XLM
1,XLM2の各々にサーボ駆動回路系622から常時
供給される。
【0265】この際、サーボ駆動回路系622は、目標
情報622Fとともに送られてくるウェハの移動座標位
置(Xw,Yw,θw)のうちウェハの回転位置θwと干渉
計ユニット470B,470Cで計測されるレチクルの
回転位置θrとの単純な差分演算によって回転誤差量Δ
θwrを求め、この誤差量がゼロに追い込まれるように主
に2つのコイルユニットXLM1,XLM2を駆動す
る。
【0266】微動ステージ部450のY方向(非走査方
向)位置に関しては、主にコイルユニットYLM0の駆
動によって、干渉計ユニット470Aで計測されるレチ
クルのY方向位置Yrとウェハの移動座標位置(Xw,Y
w,θw)のうちウェハのY方向位置Ywとの距離関係が
ウェハ上換算で数十nm以下の誤差範囲に保たれるように
サーボ制御される。
【0267】一方、微動ステージ部450のX方向(走
査方向)位置に関しては、干渉計ユニット470B,4
70Cで計測されるX方向位置Xrとウェハの移動座標
位置(Xw,Yw,θw)のうちウェハのX方向位置Xwと
の距離関係が、ウェハ上の露光すべきショット領域の配
置に応じた一定の状態で変化するように、サーボ駆動回
路系622によって主に2つのコイルユニットXLM
1,XLM2が駆動される。
【0268】以上の3つのコイルユニットYLM0,X
LM1,XLM2は、サーボ駆動回路系622内のクロ
ックによって0.1mS以下の応答周波数で同時制御さ
れるため、微動ステージ部450が走査露光中(X方向
移動中)にY,θ方向の各々に単独に動くか否かは全く
保証されておらず、その移動ベクトルは主にウェハステ
ージ側の干渉計で計測されるウェハの移動ベクトルに従
ったものとなる。
【0269】そして図28におけるANRES駆動系6
30は、サーボ駆動回路系622による粗動ステージ部
400、微動ステージ部450の動作とは独立して相対
位相補正用のリニアモータセット520,522の可動
子(コイル)520A,522Aをサーボ制御するが、
そのサーボ制御に当ってはフィードバックインターフェ
ース回路620を介して干渉計ユニット627で計測さ
れる粗動ステージ部400のX方向の位置情報と速度情
報が使われるとともに、エンコーダセット504,50
5の各読み取りヘッド504A,505Aからの位置情
報が使われる。
【0270】本実施例におけるANRES駆動系630
は、粗動ステージ部400と微動ステージ部450とを
含む主可動体とシャフト型モータの円筒状磁石ユニット
405Bを含む第1のカウンター可動体との相対位相、
及びシャフト型モータの円筒状磁石ユニット406Bを
含む第2のカウンター可動体と主可動体との相対位相
を、常に所期状態(相対位相の誤差量として例えば±1
mm程度)に保つようなサーボ制御を行う。
【0271】ところで、本実施例で設けたANRES用
のリニアモータセット520,522は、カウンター可
動体としての円柱状磁石ユニット406B,405Bの
定盤14上での可動ストロークの全体に渡って、固定子
520Aと可動子520Bとが対峙するような構成でも
良いし、円柱状磁石ユニット406B,405Bの可動
ストロークの両側付近でだけ対峙するような構成でも良
い。
【0272】カウンター可動体(405B,406B
等)と主可動体(400,450等)の相対位相を、ス
テップ&スキャン方式で各ショット領域を露光していく
際の各スキャン動作の完了時(粗微動ステージ部40
0,450のX方向の移動ストロークの両端側で停止し
た状態のとき)に補正するだけならば、固定子520A
と可動子520Bの対峙をカウンター可動体406B
(405B)の可動ストロークの両側付近だけに限定し
ても良い。
【0273】しかしながら、カウンター可動体(405
B,406B等)の可動ストロークの全体に渡って固定
子520Aと可動子520Bとが対峙し得るような構成
にしておくと、カウンター可動体406B(405B)
の運動特性の改善により、粗微動ステージ部400,4
50の走査露光時の速度特性(特に加減速時の速度の滑
らかさ)を向上できると言った利点が得られる。
【0274】そのように運動特性を改善するために、図
28に示したANRES駆動回路系630は2つの制御
モードで各リニアモータセット520,522をサーボ
制御する。その様子を図29のタイムチャートを参照し
て簡単に説明する。図29(A),(B)において横軸
は時間tを表し、図29(A)は縦軸を粗動ステージ部
400とカウンター可動体(円柱状磁石ユニット405
B,406B等)の各々のX方向位置としたときの各移
動特性を表し、図29(B)はANRES駆動回路系6
30の制御モードの切替えタイミングを表している。
【0275】図29(A)において、時刻t1で粗動ス
テージ部400が位置Pxa´から1ショット露光のた
めに移動を開始すると、時刻t2で位置Pxaに達する
までに粗動ステージ部400は所定の等速移動状態にな
り、時刻t2で露光用照明光のレチクルRへの照射が開
始される。その後、粗動ステージ部400がX方向の中
間位置PE0を通過して時刻t3で位置Pxbに到達す
ると、露光用照明光の照射が中止され、粗動ステージ部
400は時刻t4で位置Pxb´に静止するように減速
される。
【0276】以上の走査移動のシーケンスにおいて、時
刻t1〜t4の時間TSaがステージ移動期間であり、
時刻t2〜t3の時間T−MSaが実際のショット露光
期間である。その時刻t4以降、粗動ステージ部400
はウェハステージのステッピング(期間Tpp)のため
に時刻t5まで静止し続け、時刻t5からは逆方向の加
速移動を開始し、時刻t6で位置Pxbに達する前まで
に等速状態に制御される。
【0277】そして時刻t6〜t7の時間T−MSbの
間に、ウェハステッピング後の次のショットに対する露
光(露光用照明光の照射)が行われ、粗動ステージ部4
00は時刻t7で位置Pxa´に到達してから減速を開
始し、時刻t8で位置Pxaに静止する。このショット
に対する露光時間T−MSbが、ここではそのウェハに
対する最後の露光ショットだとすると、時刻t9以降は
ウェハWの交換作業、即ちウェハのアンロード期間とな
る。
【0278】一方、2つのカウンター可動体(405
B,406B)の移動特性は、粗動ステージ部400の
移動特性の位相を180°反転させて移動ストローク
(グラフ上の振幅)を縮小したようなものとなり、運動
量保存則に従った移動が行われる。その際、図29
(B)に示すように1枚のウェハに対する走査露光の期
間中は、ANRES駆動回路系630がカウンター可動
体(405B,406B)の速度特性を補償(改善)す
るようなサーボ制御(速度制御)方式で各リニアモータ
セット520,522のコイルユニット520A,52
2Aを個別に駆動する。
【0279】具体的には、エンコーダセットの読取りヘ
ッド部504A,505Aから出力される位置計測用の
アップダウンパルス信号の周波数(又はパルス周期)変
化に基づいて、各カウンター可動体(405B,406
B)の速度に比例した信号Vsf1,Vsf2をANR
ES駆動回路系630内で生成し、干渉計627で計測
される粗動ステージ部400の走査速度に対応した信号
Vcoをフィードバックインターフェース回路620内
で生成する。
【0280】そしてANRES駆動回路系630は、フ
ィードバックインターフェース回路620からの信号V
coで表される粗動ステージ部400の実速度(或いは
粗動ステージ部400の規格上の目標速度)と、信号V
sf1,Vsf2で表される各カウンター可動体(40
5B,406B)の実速度との各比例関係が所定値から
どれぐらい変位しているのかを求め、その偏差分の方向
と大きさに応じて各リニアモータセット520,522
のコイルユニット520A,522Aを個別に速度フィ
ードバック制御する。
【0281】このように、走査露光期間中は各リニアモ
ータセット520,522を速度フィードバック制御す
ることにより、各カウンター可動体(405B,406
B)の運動特性上にダンピング効果を持たせることがで
き、各カウンター可動体(405B,406B)が移動
するときに生じ得る高い周波数成分の速度ムラを抑える
ことができる。このため、粗動ステージ部400の加減
速時に生じ易いカウンター可動体(405B,406
B)との相対位相のずれを著しく低減することが可能と
なる。
【0282】こうして1枚のウェハに対する走査露光が
終わり、ウェハをアンロードするとともに新たなウェハ
をローディングする間、粗動ステージ部400とカウン
ター可動体(405B,406B)は最後のショット露
光が完了したときの位置で静止している。この静止期間
は、少なくともウェハ交換時間とウェハアライメント時
間との合計で決まり、その静止期間中、ANRES駆動
回路系630は各リニアモータセット520,522を
一時的に位置制御モードで駆動できるように状態が切替
えられる。
【0283】このような切替えによって、粗動ステージ
部400と各カウンター可動体(405B,406B)
との相対位相にずれが生じていた場合に、その位相ずれ
が強制的に補正されるように各リニアモータセット52
0,522のコイルユニット520A,522Aを位置
サーボ制御することが可能となる。その位置サーボで
は、粗動ステージ部400を定盤14に対して静止させ
た状態で、相対位相ずれが許容範囲内に是正されるよう
な目標位置まで各カウンター可動体(405B,406
B)が個別にX方向に移動され、次のウェハに対する走
査露光のためのレチクル走査移動が開始されるまでその
目標位置に対する位置サーボ制御が働き続ける。
【0284】具体的には、図29中の時刻t9において
ANRES駆動回路系630が干渉計627とフィード
バックインターフェース回路620によって計測される
粗動ステージ部400の現在の停止X位置Pxa´(図
29参照)を読み込み、エンコーダセット504,50
5の各々から各カウンター可動体(405B,406
B)の現在の停止X位置を求め、その各位置が粗動ステ
ージ部400の現在の停止X位置Pxa´に対応した理
想的なカウンター可動体のX位置に対してどれぐい誤差
を持っているかを確認する。
【0285】そして確認された位置誤差が許容範囲内で
あるときは、そのまま位置サーボ制御を持続してカウン
ター可動体(405B,406B)が現在の停止X位置
に静止しているように各リニアモータセット520,5
22のコイルユニット520A,522Aをフィードバ
ック駆動し、位置誤差が許容範囲外になっているカウン
ター可動体に対しては、そのカウンター可動体が位置す
べき理想位置を新たな目標位置として指令し、対応する
エンコーダセット504,505により計測される実測
位置と新たな目標位置との差分が零に追込まれるよう
に、対応したリニアモータセット520,522のコイ
ルユニット520A,522Aがフィードバック駆動さ
れる。
【0286】その際、相対位相補正のためのカウンター
可動体(405B,406B)の移動加速度は、リニア
モータセット520,522の駆動で生じる反力によっ
て定盤14を振動させないように、十分小さな値に抑え
られている。このような制御は、エンコーダセット50
4,505から生成される位置信号を全体帰還ループと
し、エンコーダセット504,505から生成される速
度信号Vsf1,Vsf2を局所帰還ループとしたフィ
ードバック系において、速度信号の帰還ループゲインを
大きくしたり、位置信号の帰還ループゲインを小さくし
たりすることで達成される。このようなフィードバック
ループのゲイン補正も、図28中のANRES駆動回路
系630内のプロセッサによって自動的に行われる。
【0287】以上、図27〜29で説明した実施例にお
いては、主可動体(粗微動ステージ部400,450)
とカウンター可動体(円柱状磁石ユニット405B,4
06Bを含む)との間で1次元方向(X方向)に関して
運動量保存則が成り立つようにメイン・リニアモータ4
05,406を設けるとともに、主可動体とカウンター
可動体との相対位相誤差を補正するために、定盤14に
対してカウンター可動体を1次元方向に移動させるサブ
・リニアモータ520,522を設け、主可動体とカウ
ンター可動体とが運動量保存則に従って移動する期間中
は、カウンター可動体の移動速度に応じてサブ・リニア
モータ520,522を速度サーボ制御で駆動するよう
にした。
【0288】このため、主可動体とカウンター可動体と
の相対位相の累積的なずれが低減されるとともに、カウ
ンター可動体の加減速時に発生し易い振動も十分に抑制
されるので像ブレが激減し、投影パターンをウェハW上
に転写したときの実効解像度を、その投影結像系による
理論上の解像度に限りなく近づけられるといった効果が
得られる。
【0289】また本実施例では、サブ・リニアモータ5
20,522の駆動を速度サーボ制御だけでなく位置サ
ーボ制御でもできるようにしたので、主可動体を所定位
置に静止させる際には、定盤の僅かな傾斜によってカウ
ンター可動体の位置が徐々にずれてしまうことが防止さ
れるとともに、主可動体とカウンター可動体の相対位相
に累積的なずれが生じても、そのずれを正確に補正する
ことができる。 《第8の実施形態》図30は、走査型露光装置のレチク
ルステージに適した他の構造を示す部分断面図であり、
先の図1〜7,図13,図18の各実施例に示された露
光装置の全体構造やウェハステージ構造はそのまま、又
は若干の変更を伴なって適用される。また、図30中の
投影結像系PLよりも下のウェハステージ構造を構成す
る定盤8、懸架部材7A,7B、エアベアリングパッド
5A,5B、剛体部材4A,4B、防振マウント2A,
2Bは、いずれも先の図1、或いは図18の構成と同じ
であるので、詳細な説明は省略する。
【0290】さらに、図30中のレチクルステージ構造
体は基本的には先の図16,17の構造を改良したもの
であり、図30中の各部材のうち図16,17中の部材
と同じ機能のものには同一の符号を付け、それらの重複
した部材についての詳細な説明は先の各実施例で既に述
べた通りである。本実施例の特徴は、図16,17に示
したレチクルステージ装置中の定盤14に相当する定盤
14Rを、ボディコラム12B,12Cの上端部に形成
されたガイド面12Bp,12Cpに沿ってスキャン方
向(紙面と垂直なX方向)に1次元移動できるように構
成し、レチクルRを保持する可動ステージ16全体の重
心と可動定盤14Rの重心とのZ方向の高さ位置を極力
揃えることにある。この特徴は、先に図3で説明したウ
ェハステージ装置の構造の考え方を踏襲したものであ
る。
【0291】図30において、レチクルRは可動ステー
ジ16の吸着パッド部267B等に保持され、可動ステ
ージ16はエアベアリング用のパッド265C,265
Dを介して可動定盤14R上に2次元移動可能に載置さ
れる。先の図16,17で説明したように、この可動ス
テージ16は可動定盤14Rに取付けられた2次元リニ
アモータの磁石ユニット260A,260Bと、可動ス
テージ16の両側部に取付けられた2次元コイルユニッ
ト262A,262Bの働きにより、スキャン方向には
レチクルの寸法以上の大きなストロークで移動し、非ス
キャン方向(Y方向)には数ミリ程度のストロークで移
動する。
【0292】本実施例では、可動定盤14Rの中央部に
投影結像系PLの鏡筒上部が入り込むような開口部14
Raが形成されており、レチクルRのパターン面から投
影結像系PLの最もレチクルR側のレンズ素子までの作
動距離が短縮されるようになっている。また可動定盤1
4RのY方向の両側には、YZ面内で逆L字状の断面を
成し、X方向に延びた懸架部14R1,14R2が一体
に設けられ、この懸架部14R1,14R2の各々の下
面部にはエアベアリング用のパッド部材14P1,14
P2が固定されている。
【0293】パッド部材14P1,14P2はボディコ
ラム12B,12Cの上端部にX方向に延びて形成され
たガイド面12Bp,12Cp上に載置される。また図
30では不図示ではあるが、可動定盤14RのY方向の
移動を拘束するYガイドもコラム12B,12C上に形
成されている。さらに本実施例では、パッド部材14P
1,14P2が対応したガイド面12Bp,12Cpと
係合する高さ位置を、懸架部14R1,14R2を含む
可動定盤14Rと、レチクルRを含む可動ステージ16と
の合計によって決まる構造体全体の重心の高さ位置、或
いは可動ステージ16だけの重心の高さ位置と極力揃え
るようにしてある。
【0294】以上のような構成において、レチクルRを
X方向にスキャン移動させる場合、2次元リニアモータ
の各コイルユニット262A,262B内のX方向に推
力を発生するコイル部分の各々にほぼ同じ大きさの駆動
電流が供給されるが、可動ステージ16のθ方向の回転
変位を所定状態に制御するために、ヨーイング干渉計
(例えば図19中の干渉計ユニット470B,470C
のセット)で計測される可動ステージ16の回転変位が
目標とする変位状態に一致するように各コイルユニット
262A,262Bへの駆動電流がサーボ制御される。
【0295】さらに可動ステージ16のスキャン移動中
は、非スキャン方向の位置計測用の干渉計(例えば図1
9中の干渉計ユニット470A)出力に基づいて、2次
元リニアモータの各コイルユニット262A,262B
内の非スキャン方向(Y方向)に推力を発生するコイル
部分の各々に駆動電流が供給され、レチクルRのY方向
位置が所定の目標位置にサーボ制御される。
【0296】このとき、可動ステージ16のスキャン方
向移動によって生じる運動エネルギーは、可動定盤14
Rの逆方向移動によって消費され、可動ステージ16の
移動で生じる反力が相殺され、その反力に伴なう振動が
ボディコラム12B,12Cに伝わることが防止され
る。また本実施例では、先の図16,17の構成と異な
り、可動定盤14Rと一体化された懸架部14R1,1
4R2の各々に磁石ユニット(X方向に複数の永久磁石
を並べたもの)260A,260Bを設けたので、両側
のコイルユニット262A,262Bに全く同じ位相で
同じ大きさの駆動電流をオープン制御(各干渉計の計測
値を使った位置サーボを行わない制御)で供給しただけ
では、各リニアモータの製造誤差等による僅かな推力差
によって可動ステージ16はθ方向に回転変位してしま
う。
【0297】これは、本実施例の可動ステージ16が先
の図16,17と同様のガイドレス構造(X,Y方向の
位置を拘束するガイド面が無い構造)だからである。し
かしながら、可動ステージ16がガイドレス構造である
と言うことは、そのような回転変位状態をヨーイング干
渉計(或いは差動干渉計)によって計測し、その回転変
位が目標値と一致するように両側のコイルユニット26
2A,262B内の各X方向コイル部を個別にサーボ制
御することで可動ステージ16の回転変位を常に所望の
状態に維持できることを意味する。
【0298】ところで、本実施例のレチクルステージ装
置においても、先の図22又は図26で説明したような
ANRES機構を同様に設けることが可能であり、特に
図26,28のような復帰補正用のリニアモータセット
520,522を用いた場合は、可動定盤14Rのボデ
ィコラム12B,12Cに対するX方向位置を非接触で
補正したり、スキャン露光中の可動定盤14Rの運動特
性上に非接触でダンピングを与えたりすることが可能と
なり、ステージ性能が向上する。
【0299】以上のように本実施例によるレチクルステ
ージ装置は、図30に示すようにウェハステージ装置と
相似の構造になっており、運動量保存則を利用して無反
力、無振動のステージ構造を実現できるとともに、主可
動体(可動ステージ16、レチクルR、コイルユニット
262A,262B)とカウンター可動体(可動定盤1
4R、懸架部14R1,14R2、パッド部14P1,
14P2、磁石ユニット262A,262B)の各重心
の高さ位置を揃えてあるため、主可動体の移動に伴なっ
て発生する不要なモーメントも低減できるといった効果
が得られる。
【0300】
【発明の効果】以上の通り、請求項1記載のステージ装
置は、可動体の運動に応じて定盤に作用する反力が、定
盤自体の運動エネルギーに転化されるので、ステージ装
置内に不要な応力が蓄積することがなく、機構系として
安定な装置が得られ、半導体ウェハや検査用ワークピー
ス等を精密移動させることができる。また運動量保存則
を利用することが可能なので、ステージ装置としての重
心位置の変化を極めて小さくすることができ、ステージ
装置を支持する複数の防振マウント部に加わる荷重分布
を可動ステージの運動によらずほぼ一定にすることがで
き、防振マウントによる防振や傾斜補正が極めて高性能
に達成されると言った顕著な効果が得られる。
【0301】請求項7記載の露光装置は、第3の定盤部財
を支持する支持部材が第1の定盤を防振支持する防振支
持部材に接続されているので露光装置をコンパクトにす
ることができる。請求項10記載のステージ装置は、制御
回路系が副アクチュエータを速度サ−ボにより駆動して
いるので、トルクむらが発生することなく安定して主可
動体を駆動させるステージ装置を提供することがきる。
【0302】請求項12記載のステージ装置は、移動可能
な第1固定子と第2固定子との主可動体に対する位相がず
れた場合でも容易に位相を合わせることができる。請求
項14記載の露光装置は、2つのカウンタ-可動体とマスク
ステージとの位相がずれた場合でも容易に位相を合わせ
ることができる。このため、マスクステージの移動によ
る反力の影響を受けないので精度の高い露光を実現する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の各実施例で適用される投影型露光
装置の全体的な構成を示す正面図である。
【図2】 図1中に示した防振マウント部の詳細な構
造を表わす部分断面図である。
【図3】 図1に示したウェハステージ装置の防振マ
ウンド部に加わる荷重分布を説明する模式図である。
【図4】 図1に示したウェハステージ装置の定盤と
防振マウント部との組み立て状態を説明する斜視図であ
る。
【図5】 図4で組み立てられた定盤上に可動ステージ
とリニアモータとを組み付けた状態を説明する斜視図で
ある。
【図6】 図5で組み立てられたウェハステージ装置の
上に鏡筒保持コラムを組み付ける状態を説明する斜視図
である。
【図7】 図1〜6に示したウェハステージ装置の詳細
な構成を説明する正面図である。
【図8】 図1〜7に示した定盤を含む静止構造体を中
立位置に復帰させるために設けたアクチュエータの配置
例を説明する部分断面図である。
【図9】 図8に示したアクチュエータの全体の配置例
を説明する平面図である。
【図10】図8、9に示したアクチュエータの駆動を制
御するためのサーボ制御系の構成を説明するブロック図
である。
【図11】図10中に示した2次元エンコーダの詳細構
造の一例を説明する斜視図である。
【図12】図10に示したサーボ制御系による動作特性
の一例を説明するタイミングチャート図である。
【図13】本発明の第2の実施例によるステージ装置の
全体構成を説明する斜視図である。
【図14】図13に示した可動ステージの構造を詳細に
説明する部分断面図である。
【図15】図13、14のステージ装置を用いたときの
ステップアンドスキャン動作を説明する模式図である。
【図16】本発明が適用される露光装置に搭載可能なレ
チクルステージ装置の全体構成を示す平面図である。
【図17】図16中のC−C´矢視の部分断面を示す図
である。
【図18】本発明によるステージ装置が適用される露光
装置の全体構成の変形例を示す図である。
【図19】プレーナ構造のレチクルステージ装置を示す
図である。
【図20】プレーナ構造のレチクルステージ装置を示す
図である。
【図21】プレーナ構造のレチクルステージ装置を示す
図である。
【図22】係止機構502、503を備えたレチクルス
テージ装置を示す図である。
【図23】図22の概略構成に基づいたANRES機能
の動作を示す図であり、図23(A)はカウンタ可動体
405Bと主可動体500との相対位相の補正前の状態
を示す図であり、図23(B)はカウンタ可動体405
Bと主可動体500との相対位相の補正後の状態を示す
図である。
【図24】図22の概略構成に基づいたANRES機能
の動作を示す図であり、図24(A)はカウンタ可動体
406Bと主可動体500との相対位相の補正前の状態
を示す図であり、図24(B)はカウンタ可動体406
Bと主可動体500との相対位相の補正後の状態を示す
図である。
【図25】主可動体とカウンタ−可動体とを模式的に示
す図であり、図25(A)は主可動体とカウンタ−可動
体とのX方向の重心が中立点PE0に一致しているとこ
ろを示す図であり、図25(B)は、主可動体とカウン
タ−可動体とが中立点PE0から所定量移動したところ
を示す図であり、図25(C)は干渉計ユニットとエン
コ−ダセットとの位置情報を模式的に表した図である。
【図26】運動量保存則が適用されるレチクルステージ
装置の変形例を示す図である。
【図27】ショック・アブソーバの構造の一例を示す部
分断面図である。
【図28】図26のレチクルステージ装置の制御システ
ムの概略を示す図である。
【図29】粗動ステージとカウンタ-可動体との移動特
性とそのとくのカウンタ-可動体の制御モ−ドを示す図
であり、図29(A)は粗動ステージとカウンタ-可動体
との移動タイミングを示す図であり、図29(B)はカ
ウンタ-可動体の制御モ−ドを切り換えるタイミングを
示す図である。
【図30】走査型露光装置のレチクルステージに適した
他の構造を示す部分断面図である。
【主要部分の符合の説明】
2A〜2C防振マウント、3A〜3C荷重印加部、4A
〜4C剛体部材(支持部材)、5A〜5C可動支承機
構、6鏡筒保持コラム、7A〜7C懸架支持部、8定
盤、9Aリニアモ−タ、10可動ステージ、12A〜1
2C本体コラム、14マスクベースステージ、14BZ
ガイド面、14FYガイド面、15可動バランサ−、1
6レチクルステ−ジ、50A〜50Cコイル、52A〜
52C永久磁石、60主制御回路、405A,406A
コイル部、405B,406B磁石ケース(カウンタ可
動体),500主可動体,520A,Bリニアモータ,
522A,Bリニアモータ,630ANRES駆動回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/30 515G 516B Fターム(参考) 2F078 CA02 CA08 CB05 CB09 CB10 CB12 CB13 CB16 CC11 CC14 5F031 CA02 HA55 HA57 MA27 5F046 AA23 BA05 CC01 CC02 CC03 CC16 CC17 CC20 DA06 DA07 DA08 DB05 DB11 DB14

Claims (14)

    【明細書】 【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 定盤の移動面上を1次元又は2次元移
    動する可動体と、前記定盤を装置設置場所の床面上に防
    振して支持する防振マウント機構とを備えたステージ装
    置において、 前記防振マウント機構の荷重印加部が前記定盤の移動面
    よりも高くなるように、前記防振マウント機構の荷重印
    加部から前記定盤を懸架状態で支持する懸架支持部を設
    けるとともに、前記定盤の移動面とほぼ平行な方向に関
    して前記防振マウント機構と前記定盤との相対変位を許
    容するように、前記防振マウント機構の荷重印加部と前
    記懸架支持部との間に可動支承機構を設けたことを特徴
    とするステージ装置。
  2. 【請求項2】 前記定盤と前記懸架支持部との総重量M
    2を前記可動体の総重量M1よりも大きく設定したこと
    を特徴とする請求項1記載のステージ装置。
  3. 【請求項3】 前記可動支承部材は、前記可動体の加
    速度を伴う移動により生じる前記移動面とほぼ平行な面
    に沿った反力に応答して前記定盤と懸架支持部とが前記
    防振マウント機構に対して変位するように、2次元変位
    可能な流体軸受を含むことを特徴とする請求項1または
    2記載のステージ装置。
  4. 【請求項4】 マスクのパターンを基板に露光する露
    光装置において、前記マスクを保持して移動するマスク
    ステージ装置と前記基板を保持して移動する基板ステー
    ジ装置との少なくとも一方に請求項1から3のいずれか
    一項記載のステージ装置を用いたことを特徴とする露光
    装置。
  5. 【請求項5】 前記露光装置は、前記マスクステージ
    装置に保持された前記マスクと前記基板ステージ装置に
    保持された基板とを同期移動して前記マスクのパターン
    を前記基板に露光する走査型露光装置であることを特徴
    とする請求項4記載の露光装置。
  6. 【請求項6】 請求項4または5記載の露光装置を用
    いた回路デバイス製造方法。
  7. 【請求項7】 マスクのパターンを投影系により感応
    性基板上に投影露光する露光装置において、前記感応性
    基板を載置して2次元平面内を移動する第1の可動ステ
    ージを保持する第1の定盤部材と、前記マスクを載置し
    て2次元平面内を移動する第2の可動ステージを保持す
    る第2の定盤部材と、前記マスクが前記投影系の物体面
    に位置するように前記第2の定盤を支持する第3の定盤
    部材と、前記第1の定盤部材を防振支持する防振支持部
    材と、前記第1防振支持部材と前記第3の定盤部材とに
    接続され、前記第3の定盤部材を前記第1の定盤部材と
    は独立して支持する支持部材とを備えたことを特徴とす
    る露光装置。
  8. 【請求項8】 前記第2の可動ステ−ジの移動に応じ
    て、前記第2の可動ステ−ジとは逆方向に移動する第3
    の可動ステ−ジを備えたことを特徴とする請求項7記載
    の露光装置。
  9. 【請求項9】 前記第3の定盤部材は前記投影系を支持
    することを特徴とする請求項7または8記載の露光装
    置。
  10. 【請求項10】 所定の基準平面と平行な少なくとも
    1次元方向に往復移動可能な主可動体と、該主可動体と
    所定の間隔で配置されて前記基準平面と平行な前記1次
    元方向に往復移動可能なカンタ−可動体とを有し、前記
    1次元方向に沿って前記カウンタ−可動体と前記主可動
    体とを互いに逆方向に相対移動させるために非接触型の
    固定子と可動子とをそれぞれ前記主可動体と前記カウン
    タ−可動体とに設けた主アクチュエ−タと、 前記カウンタ−可動体を前記基準平面に対して前記1次
    元方向に単独に移動させる非接触型の副アクチュエ−タ
    と、前記主アクチュエ−タによる各可動体の移動の際に
    前記副アクチュエ−タを速度サ−ボにより駆動する制御
    回路系とを備えたことを特徴とするステージ装置。
  11. 【請求項11】 前記カウンタ可動体は複数もうけられ
    ていることを特徴とする請求項10記載のステージ装
    置。
  12. 【請求項12】 定盤上を少なくとも1次元方向に直線
    移動する主可動体を備えたステージ装置において、 前記主可動体の一方の側部に設けられた第1可動子と、
    該第1可動子に対峙して前記1次元方向に相対移動可能
    な第1固定子とで構成される第1リニアモータと、 前記主可動体の他方の側部に設けられた第2可動子と、
    該第2可動子に対峙して前記1次元方向に相対移動可能
    な第2固定子とで構成される第2リニアモータと、 前記第1固定子と前記主可動体の1次元方向に関する相
    対位相を所期状態に復元する第1復元手段と、 前記第2固定子と前記主可動体の1次元方向に関する相
    対位相を所期状態に復元する第2復元手段と、 前記第1復元手段と第2復元手段を所定のタイミングで
    個別に制御する制御手段とを備えたことを特徴とするス
    テージ装置。
  13. 【請求項13】前記主可動体の移動による運動エネルギ
    ーを受けて前記第1固定子と前記第2固定子の各々を前
    記定盤上で逆方向に移動させるように個別に支持するガ
    イド機構を設けたことを特徴とする請求項12記載のス
    テージ装置。
  14. 【請求項14】 マスクのパターンを感応性基板上の
    所定領域に露光する露光装置において、 前記感応性基板を載置して2次元移動する基板ステージ
    と前記マスクを載置して少なくとも1次元移動するマス
    クステージとを、前記露光の際に同期移動させる同期制
    御系と、 前記マスクステージの1次元移動による運動エネルギー
    を消費するために、前記マスクステージの両側に配置さ
    れて前記マスクステージに対する相対位相関係を保って
    逆方向に移動可能な2つのカウンター可動体と、 前記マスクステージと前記2つのカウンター可動体との
    相対位相関係の乱れを復元するために、前記2つのカウ
    ンター可動体の各々に設けられた2つの復元機構と、 該2つの復元機構を前記感応性基板の露光シーケンス上
    の所定タイミングで個別に動作させる復元制御系とを備
    えたことを特徴とする露光装置。
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