JP2016003369A - 硬質被膜、切削工具および硬質被膜の製造方法 - Google Patents

硬質被膜、切削工具および硬質被膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】長寿命の切削工具を作製することが可能な硬質被膜、切削工具および硬質被膜の製造方法を提供する。
【解決手段】複数の結晶粒と、結晶粒の間の非晶質相とを含み、結晶粒は、それぞれ、fcc構造を有するTi1-xAlxN層と、hcp構造を有するTi1-yAlyN層とが交互に積層された構造を有しており、Ti1-xAlxN層のAl組成比xは0≦x<1の関係を満たし、Ti1-yAlyN層のAl組成比yは0<y≦1の関係を満たし、Al組成比xとAl組成比yとは(y−x)≧0.1の関係を満たし、非晶質相は、TiおよびAlの少なくとも一方の炭化物、窒化物または炭窒化物を含む硬質被膜である。
【選択図】図1

Description

本発明は、硬質被膜、切削工具および硬質被膜の製造方法に関する。
従来より、超硬合金からなる切削工具を用いて、鋼および鋳物などの切削加工が行われている。このような切削工具は、切削加工時において、その刃先が高温および高圧などの過酷な環境に曝されるため、刃先が摩耗したり、欠けたりするといった問題が生じる場合が多く、その切削性能には課題がある。
そこで、切削工具の切削性能の改善を目的として、超硬合金などの基材の表面を被覆する被膜の開発が進められている。なかでも、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)と窒素(N)との化合物(以下、「TiAlN」ともいう。)からなる被膜は、高い硬度を有することができるとともに、Alの含有割合を高めることによって耐酸化性を高めることができる。このような被膜によって切削工具を被覆することにより、切削工具の性能の改善が可能であることから、当該被膜のさらなる開発が期待されている。
たとえば、特許文献1には、プラズマ励起を行わずにCVD(Chemical Vapor Deposition)により作成されたTi1-xAlxN硬質被膜を少なくとも1つ有する硬質被膜が開示されている。Ti1-xAlxN硬質被膜は、x>0.75〜x=0.93の化学量論係数および0.412nm〜0.405nmの格子定数afccを有する立方晶NaCl構造の単相の層として存在しているか、またはTi1-xAlxN硬質被膜は、その主要な相がx>0.75〜x=0.93の化学量論係数および0.412nm〜0.405nmの格子定数afccを有する立方晶NaCl構造を有するTi1-xAlxNからなっている。また、別の相として、Ti1-xAlxNがウルツ鉱構造および/またはNaCl構造のTiNxとして含有されている多相の層であり、Ti1-xAlxN硬質被膜の塩素含有率が0.05〜0.9原子%の範囲となっている。非特許文献1にも同様の技術が開示されている。
また、たとえば、特許文献2には、少なくとも1の硬質材料複合層が開示されている。硬質材料複合層は、主相として立方晶TiAlCN及び六方晶AlNを含有し、立方晶TiAlCNが、≧0.1μmの結晶子サイズを有する微晶質fcc−Ti1-xAlxyz(ここで、x>0.75、y=0〜0.25であり、かつz=0.75〜1である)となっている。また、硬質材料複合層は、さらに粒界領域内に非晶質炭素を0.01%〜20%の質量割合で含有している。非特許文献2にも同様の技術が開示されている。
また、たとえば、特許文献3および非特許文献3には、fcc構造のTiN膜とhcp構造のAlN膜とが交互に積層された超多層膜が開示されている。ここで、TiN膜の厚さは3nmであり、AlN膜の厚さは10nmであって、硬質粒子の粒径は1.0μm未満である。また、この超多層膜は、28GPa程度の硬度を有するとともに1.20GPaの圧縮残留応力を有している。また、この超多層膜は、AlCl3ガス、TiCl4ガス、N2ガス、NH3ガスおよびH2ガスを原料ガスとし、CVD炉の内部の雰囲気の温度を800℃とし、圧力を3kPaとして形成されている。
特表2008−545063号公報 特表2013−510946号公報 オーストリア特許公報(AT510713B1)
I. Endler et al., "Novel aluminum−rich Ti1−xAlxN coatings by LPCVD", Surface & Coatings Technology 203 (2008) 530−533 I. Endler et al., "Aluminum−rich TiAlCN coatings by Low Pressure CVD", Surface & Coatings Technology 205 (2010) 1307−1312 J. Keckes, "Self−organized periodic soft−hard nanolamellae in polycrystalline TiAlN", Thin solid Films 545 (2013) 29−32
しかしながら、特許文献1および非特許文献1に記載のTi1-xAlxN硬質被膜は、Ti1-xAlxN硬質被膜中のxが0.7よりも大きいため、立方晶としては不安定であり、切削加工時に発生する擦過熱により高温に加熱されるとウルツ鉱型構造に相変態し、硬度が低下するという問題があった。Ti1-xAlxN硬質被膜中のxが0.7よりも大きい場合には、結晶構造に大きな歪が生じるため、より安定なウルツ鉱型に相転移することによって被膜全体の内部エネルギーを安定化させるためである。
また、特許文献1および非特許文献1に記載のTi1-xAlxN硬質被膜においては、高温に加熱された後の冷却過程における熱落差によって、硬度の低い六方晶AlNが析出する。このように析出した六方晶AlNがTi1-xAlxN硬質被膜中の欠陥となり、被膜の耐摩耗性の向上を妨げ、切削工具の耐チッピング性および耐欠損性を低下させるため、十分な切削性能を得ることができない。
このような課題を解決するため、特許文献2および非特許文献2においては、非晶質炭素を添加して、結晶粒界に非晶質炭素を析出させることによって、立方晶TiAlCNからウルツ鉱型への相転移を抑制している。
しかしながら、非晶質炭素は切削加工時に酸化されるため、立方晶TiAlCNのウルツ鉱型への相転移が突発的に発生する。そのため、切削工具の被膜の硬度が突然低下し、突発的な欠損が発生する。
また、特許文献3および非特許文献3に記載の超多層膜は、hcp構造のAlN膜を含んでいるため、相転移に伴う硬度の低下の可能性はなくなるが、超多層膜自体が低硬度であるため、高速加工時の耐摩耗性が不十分となる。また、この超多層膜を構成する膜は、結晶粒同士が固着し、非晶質相を有しない粒状組織となっているため、切削工具の突発的な欠損は発生しにくい。しかしながら、凝着しやすい被削材(ステンレスおよび鉄板材など)の切削においては、膜から粒子が脱落し、耐溶着性が低いという問題がある。
したがって、未だ、長寿命の切削工具の実現には至っておらず、その開発が要望されている。
本発明の一態様に係る硬質被膜は、複数の結晶粒と、前記結晶粒の間の非晶質相とを含み、前記結晶粒は、それぞれ、fcc構造を有するTi1-xAlxN層と、hcp構造を有するTi1-yAlyN層とが交互に積層された構造を有しており、前記Ti1-xAlxN層のAl組成比xは、0≦x<1の関係を満たし、前記Ti1-yAlyN層のAl組成比yは、0<y≦1の関係を満たし、前記Al組成比xと前記Al組成比yとは、(y−x)≧0.1の関係を満たし、前記非晶質相は、TiおよびAlの少なくとも一方の炭化物、窒化物または炭窒化物を含んでいる。
本発明の他の一態様に係る切削工具は、基材と、前記基材上に設けられた上記の硬質被膜とを備えている。
本発明のさらに他の一態様に係る硬質被膜の製造方法は、チタンのハロゲン化物ガスと、アルミニウムのハロゲン化物ガスと、テトラキスネオペンチルチタンガスと、アンモニアガスとを基材の表面に噴出する工程と、前記基材を冷却する工程とを含んでいる。
上記によれば、長寿命の切削工具を作製することが可能な硬質被膜、切削工具および硬質被膜の製造方法を提供することができる。
実施形態の切削工具の模式的な断面図である。 硬質被膜の模式的な拡大断面図である。 結晶粒の1個の模式的な拡大断面図である。 実施形態の硬質被膜の作製に用いられるCVD装置の一例の模式的な断面図である。 図4に示すガス導入管の模式的な断面図である。 第1ガス〜第4ガスの噴出方向を示す模式的な平面図である。 結晶粒の粒径の算出方法を図解する模式的な拡大平面図である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係る硬質被膜は、複数の結晶粒と、前記結晶粒の間の非晶質相とを含み、前記結晶粒は、それぞれ、fcc構造を有するTi1-xAlxN層と、hcp構造を有するTi1-yAlyN層とが交互に積層された構造を有しており、前記Ti1-xAlxN層のAl組成比xは0≦x<1の関係を満たし、前記Ti1-yAlyN層のAl組成比yは0<y≦1の関係を満たし、前記Al組成比xと前記Al組成比yとは(y−x)≧0.1の関係を満たし、前記非晶質相は、TiおよびAlの少なくとも一方の炭化物、窒化物または炭窒化物を含んでいる。これにより、硬質被膜の耐摩耗性が向上するため、硬質被膜を備えた切削工具の耐チッピング性および耐欠損性が向上し、ひいては長寿命の切削工具を実現することができる。また、従来の非晶質炭素よりも酸化されにくい非晶質相によって、高温における摩擦係数が低下するため、過酷な環境下でも工具の刃先の脱落およびチッピングが少なく、刃先の安定性に優れるため、切削工具の長寿命化に寄与する。
(2)本発明の一態様に係る硬質被膜において、隣り合う前記Ti1-xAlxN層の1層当たりの厚さと前記Ti1-yAlyN層の1層当たりの厚さとの合計厚さは、1nm以上50nm以下であることが好ましい。隣り合う前記Ti1-xAlxN層の1層当たりの厚さと前記Ti1-yAlyN層の1層当たりの厚さとの合計厚さが1nm以上である場合には、硬質被膜の作製が容易となる。また、隣り合う前記Ti1-xAlxN層の1層当たりの厚さと前記Ti1-yAlyN層の1層当たりの厚さとの合計厚さが50nm以下である場合には、前記Ti1-xAlxN層と前記Ti1-yAlyN層との界面の歪の緩和に起因する硬質被膜の耐摩耗性の低下を抑制することができる。
(3)本発明の一態様に係る硬質被膜においては、前記結晶粒の粒径が0.01μm以上1μm以下であることが好ましい。前記結晶粒の粒径が0.01μm以上1μm以下である場合には、硬質被膜を高硬度にすることができるとともに、非晶質相を高潤滑性にすることができる。これにより、硬質被膜の耐摩耗性が向上するため、硬質被膜を備えた実施形態の切削工具の耐チッピング性および耐欠損性が向上し、切削工具のさらなる長寿命化も図ることができる。
(4)本発明の一態様に係る硬質被膜においては、前記非晶質相の厚さが100nm以下であることが好ましい。この場合には、硬質被膜が硬脆くなるのを抑制することができるとともに、硬質被膜に好適な潤滑性を付与することができるため、硬質被膜の耐摩耗性を向上することができる。これにより、硬質被膜を備えた切削工具の耐チッピング性および耐欠損性をさらに向上することができる。
(5)本発明の一態様に係る硬質被膜においては、前記硬質被膜のナノインデンテーション法による押し込み硬さが28GPa以上であることが好ましい。この場合には、硬質被膜を備えた切削工具を用いて、耐熱合金などの難削材の切削加工を行う際に優れた性能を発揮することができる。
(6)本発明の一態様に係る硬質被膜は、400℃におけるステンレスとの摩擦係数が0.5以下であることが好ましい。硬質被膜の400℃におけるステンレスとの摩擦係数が0.5以下である場合には、ステンレス等の溶着しやすい被削材を切削加工したときに、硬質被膜の脱落または剥離を抑制することができるため、耐チッピング性および耐欠損性が向上し、工具刃先の安定性を著しく向上することができ、ひいては切削工具の長寿命化につながる。
(7)本発明の一態様に係る切削工具は、基材と、前記基材上に設けられた上記のいずれかに記載の硬質被膜とを備えている。これにより、硬質被膜の耐摩耗性が向上するため、硬質被膜を備えた切削工具の耐チッピング性および耐欠損性が向上し、ひいては長寿命の切削工具を実現することができる。また、従来の非晶質炭素よりも酸化されにくい非晶質相によって、高温における摩擦係数が低下するため、過酷な環境下でも工具の刃先の脱落およびチッピングが少なく、刃先の安定性に優れるため、切削工具の長寿命化に寄与する。
(8)本発明の一態様に係る硬質被膜の製造方法は、チタンのハロゲン化物ガスと、アルミニウムのハロゲン化物ガスと、テトラキスネオペンチルチタンガスと、アンモニアガスとを基材の表面に噴出する工程と、前記基材を冷却する工程とを含んでいる。これにより、硬質被膜の耐摩耗性が向上するため、硬質被膜を備えた切削工具の耐チッピング性および耐欠損性が向上し、ひいては長寿命の切削工具を実現することができる。また、従来の非晶質炭素よりも酸化されにくい非晶質相によって、高温における摩擦係数が低下するため、過酷な環境下でも工具の刃先の脱落およびチッピングが少なく、刃先の安定性に優れるため、切削工具の長寿命化に寄与する。
(9)本発明の一態様に係る硬質被膜の製造方法は、前記基材を冷却する工程の後に、アンモニアガスの気流中またはアンモニアガスと水素ガスとの混合ガスの気流中で前記基材を600℃以上800℃以下の温度で30分以上300分以下加熱する工程をさらに含むことが好ましい。この場合には、非晶質相に含まれる未反応物および欠陥を除去することができるため、硬質被膜の潤滑性が向上し、実施形態の切削工具の耐チッピング性および耐欠損性をさらに向上することができる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、実施形態について説明する。なお、実施形態の説明に用いられる図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。また、本明細書において、fcc構造は、面心立方構造の結晶構造を意味するものとする。また、hcp構造は、六方細密充填構造の結晶構造を意味するものとする。
<被膜>
図1に、実施形態の切削工具の模式的な断面図を示す。図1に示すように、実施形態の切削工具は、基材11と、基材11上に設けられた被膜50とを備えている。被膜50は、下地膜20と、下地膜20上に設けられた硬質被膜30とを備えている。
図2に、硬質被膜30の模式的な拡大断面図を示す。図2に示すように、硬質被膜30は、複数の結晶粒21と、複数の結晶粒21の間の非晶質相22とを含んでいる。
<結晶粒>
図3に、結晶粒21の1個の模式的な拡大断面図を示す。図3に示すように、結晶粒21は、fcc構造を有するTi1-xAlxN層21aと、hcp構造を有するTi1-yAlyN層21bとが交互に積層された構造を有している。ここで、Ti1-xAlxN層21aのAl組成比xは、0≦x<1の関係を満たしている。また、Ti1-yAlyN層21bのAl組成比yは、0<y≦1の関係を満たしている。さらに、Ti1-xAlxN層21aのAl組成比xとTi1-yAlyN層21bのAl組成比yとは、(y−x)≧0.1の関係を満たしている。
なお、Ti1-xAlxN層21aのAl組成比xは、上記の関係を満たす限り、結晶粒21を構成する他の少なくとも1層のTi1-xAlxN層21aのAl組成比xと異なっていてもよく、同じであってもよい。また、Ti1-yAlyN層21bのAl組成比yも、上記の関係を満たす限り、結晶粒21を構成する他の少なくとも1層のTi1-yAlyN層21bのAl組成比yと異なっていてもよく、同じであってもよい。
また、結晶粒21のTi1-xAlxN層21aがfcc構造を有していること、およびTi1-yAlyN層21bがhcp構造を有していることについては、それぞれ、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた観察により確認することができる。
また、結晶粒21のTi1-xAlxN層21aおよびTi1-yAlyN層21bの組成(構成元素の種類および構成元素の構成比率)については、エネルギー分散型X線分析(EDX)または3次元アトムプローブ電界イオン顕微鏡分析により求めることができる。
<非晶質相>
非晶質相22は、TiおよびAlの少なくとも一方の炭化物、窒化物または炭窒化物を含んでいる。
すなわち、非晶質相22は、Tiの炭化物(TiC)、Tiの窒化物(TiN)、Tiの炭窒化物(TiCN)、Alの炭化物(AlC)、Alの窒化物(AlN)、Alの炭窒化物(AlCN)、TiおよびAlの炭化物(TiAlC)、TiおよびAlの窒化物(TiAlN)およびTiおよびAlの炭窒化物(TiAlCN)からなる群から選択された少なくとも1つの金属化合物を含んでいる。
なお、非晶質相22の存在は、それぞれ、TEMを用いた観察により確認することができる。
<基材>
基材11としては、たとえば、炭化タングステン(WC)基超硬合金、サーメット、高速度鋼、セラミックス、立方晶型窒化ホウ素焼結体またはダイヤモンド焼結体などを用いることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
<下地膜>
下地膜20としては、基材11と硬質被膜30との接合強度を高くすることが可能な膜を用いることができ、たとえば、窒化チタン(TiN)膜、炭窒化チタン(TiCN)膜またはTiN膜とTiCN膜との積層膜などを用いることができる。
<切削工具>
実施形態の切削工具としては、たとえば、ドリル、エンドミル、ドリル用刃先交換型切削チップ、エンドミル用刃先交換型切削チップ、フライス加工用刃先交換型切削チップ、旋削加工用刃先交換型切削チップ、メタルソー、歯切工具、リーマまたはタップなどを挙げることができる。
<CVD装置>
図4に、実施形態の硬質被膜30の作製に用いられるCVD装置の一例の模式的な断面図を示す。図4に示すように、CVD装置10は、基材11を保持するための基材セット治具12の複数と、基材セット治具12を被覆する耐熱合金鋼製の反応容器13とを備えている。また、反応容器13の周囲には、反応容器13内の温度を制御するための調温装置14が設けられている。反応容器13にはガス導入口15を有するガス導入管16が設けられている。ガス導入管16は、基材セット治具12が配置される反応容器13の内部の空間を鉛直方向に延在するように設けられている。また、ガス導入管16の内部を流れるガスを基材セット治具12に保持された基材11の表面に噴出するための複数の貫通孔17がガス導入管16に形成されている。さらに、反応容器13には、反応容器13の内部のガスを外部に排気するためのガス排気管18が設けられており、反応容器13の内部のガスは、ガス排気管18の内部を通過して、ガス排気口19から反応容器13の外部に排出される。
図5に、図4に示すガス導入管16の模式的な断面図を示す。なお、図5は、ガス導入管16の軸方向に垂直な断面であって、貫通孔17が位置する部分の断面を示している。図5に示すように、ガス導入管16の軸方向に沿って4つの管路16a〜16dが設けられており、それぞれの管路16a〜16dの外周の一部を構成するように貫通孔17が設けられている。
図4に示すCVD装置10においては、ガス導入管16のガス導入口15側から導入された異なる種類の複数のガスは、4つの管路16a〜16dのそれぞれ異なる管路を通って、鉛直上方に流れるとともに、各貫通孔17から反応容器13の内部の基材セット治具12に保持された基材11の表面に噴出される。
図6に、ガス導入管16のガス導入口15側から導入される異なる種類の複数のガス(第1ガス〜第4ガス)の噴出方向を示す模式的な平面図を示す。第1ガスは貫通孔17から矢印P1の方向に噴出し、第2ガスは貫通孔17から矢印P2の方向に噴出し、第3ガスは貫通孔17から矢印P3の方向に噴出し、第4ガスは貫通孔17から矢印P4の方向に噴出している。本実施形態においては、第1ガスと第2ガス、第2ガスと第4ガス、第4ガスと第3ガス、第3ガスと第1ガスはそれぞれ軸Wに関して互いに90°の位相を有している状態で貫通孔17から噴出される。また、ガス導入管16は、ガス導入管16の軸を中心軸として回転しながらガスを貫通孔17から噴出するため、異なる種類の複数のガスのすべてが各基材11の表面に到達することになる。
<製造方法>
以下、図4〜図6に示すCVD装置を用いて、実施形態の硬質被膜30の製造方法の一例について説明する。実施形態の硬質被膜30の製造方法の一例は、噴出工程と冷却工程とを含み、硬質被膜30をCVD(Chemical Vapor Deposition)法により製造している。
<噴出工程>
まず、本工程を実施するに先立って、CVD装置10の反応容器13の内部の基材セット治具12には、硬質被膜30の形成部位となる基材11の表面が反応容器13の内部に露出するように基材11が配置される。
反応容器13の内部は、高温減圧環境に維持される。ここで、反応容器13の内部の温度は700℃以上900℃以下に維持されることが好ましい。また、反応容器13の内部の圧力は、0.1kPa以上13kPa以下に維持されることが好ましい。
次に、ガス導入管16に、チタンのハロゲン化物ガスと、アルミニウムのハロゲン化物ガスと、チタンのアルキル化合物(テトラキスネオペンチルチタン(Ti[CH2C(CH334))ガスと、アンモニア(NH3)ガスとを導入して、ガス導入管16に設けられた複数の貫通孔17から基材11の表面に噴出させる。
ここで、チタンのハロゲン化物ガスとしては、たとえば四塩化チタン(TiCl4)ガスなどを用いることができる。また、アルミニウムのハロゲン化物ガスとしては、たとえば三塩化アルミニウム(AlCl3)ガスなどを用いることができる。
たとえば、第1ガスをTiCl4ガスとし、第2ガスをAlCl3ガスとし、第3ガスをTi[CH2C(CH334ガスとし、第4ガスをNH3ガスとする。そして、本実施形態において、第1ガスを管路16a内に導入し、第2ガスを管路16b内に導入し、第3ガスを管路16c内に導入し、第4ガスを管路16d内に導入する。そして、ガス導入管16が不図示の駆動部によって回転することによって、第1ガス〜第4ガスの各ガスが反応容器13の内部に同時に噴出され、第1ガス〜第4ガスが順番に基材11の表面に到達し、基材11の表面上に膜がCVD法により形成されることになる。なお、第1ガス〜第4ガスの各ガスとともに、たとえば水素(H2)ガスおよびアルゴン(Ar)ガスなどのキャリアガスを導入してもよい。
第1ガス〜第4ガスの噴出速度は、各管路16a〜16d内に導入する各ガスの導入速度(L/分)、各管路16a〜16dに通じる貫通孔17の数、大きさ等を制御することにより容易に制御することができる。
<冷却工程>
次に、基材11を冷却する。これにより、fcc構造を有するTi1-xAlxN層21aとhcp構造を有するTi1-yAlyN層21bとが交互に積層された硬質被膜30を安定して作製することができる。
また、基材11を冷却した後に、NH3ガスの気流中またはNH3ガスとH2ガスとの混合ガスの気流中で基材11を600℃以上800℃以下の温度で30分以上300分以下加熱することが好ましい。この場合には、非晶質相22に含まれる未反応物および欠陥を除去することができるため、硬質被膜30の潤滑性が向上し、実施形態の切削工具の耐チッピング性および耐欠損性をさらに向上することができる。
<作用効果>
実施形態の硬質被膜30は、複数の結晶粒21と、複数の結晶粒21の間の非晶質相22とを含み、結晶粒21は、それぞれ、fcc構造を有するTi1-xAlxN層21aと、hcp構造を有するTi1-yAlyN層21bとが交互に積層された構造を有しており、Ti1-xAlxN層21aのAl組成比xとTi1-yAlyN層21bのAl組成比yとは、0≦x<1、0<y≦1、および(y−x)≧0.1の関係を満たしており、非晶質相22は、TiおよびAlの少なくとも一方の炭化物、窒化物または炭窒化物を含んでいる。
このような構成を有する硬質被膜30の結晶粒21においては、異なる結晶構造(fcc構造とhcp構造)で異なる組成のTi1-xAlxN層21aとTi1-yAlyN層21bとの界面に大きな弾性率の差に起因する歪が生じる。Ti1-xAlxN層21aとTi1-yAlyN層21bとの界面に異なる弾性率を有する相が複数積層することによって、高強度であるとともに、優れた靭性を有する硬質被膜30を形成することができるため、硬質被膜30の耐チッピング性が向上する。
また、Ti1-xAlxN層21aのAl組成比xと、Ti1-yAlyN層21bのAl組成比yとが(y−x)≧0.1の関係を満たすことによって、Ti1-xAlxN層21aとTi1-yAlyN層21bとの界面に形成される弾性率の差に起因する歪による効果をさらに大きくすることができるため、硬質被膜30の硬度をさらに高めることができる。これにより、硬質被膜30の耐摩耗性がさらに向上する。
さらに、結晶粒21の間には、TiおよびAlの少なくとも一方の炭化物、窒化物または炭窒化物を含む非晶質相22が設けられている。非晶質相22は、硬質被膜30の潤滑性を向上させることにより、硬質被膜30の耐摩耗性を向上させることができる。また、非晶質相22は、従来の非晶質炭素よりも酸化されにくいため、高温における摩擦係数が低下する。これにより、過酷な環境下でも工具の刃先の脱落およびチッピングが少なく、刃先の安定性に優れた切削工具を作製することができるため、切削工具の長寿命化に寄与する。
以上の理由により、本実施形態においては、fcc構造を有するTi1-xAlxN層21aとhcp構造を有するTi1-yAlyN層とが交互に積層されてなる結晶粒21と、これらの結晶粒21の間の非晶質相22とによって、高硬度かつ高潤滑性の硬質被膜30の耐摩耗性を向上することができる。これにより、硬質被膜30の耐摩耗性が向上するため、硬質被膜30を備えた切削工具の耐チッピング性および耐欠損性が向上し、ひいては長寿命の切削工具を実現することができる。また、従来の非晶質炭素よりも酸化されにくい非晶質相によって、刃先の安定性に優れた切削工具を作製することができるため、切削工具の長寿命化に寄与する。
また、硬質被膜30の形成時に、チタンのハロゲン化物ガス、アルミニウムのハロゲン化物ガスおよびNH3ガスとともに、Ti[CH2C(CH334ガスを導入することによって、TiC、TiN、TiCN、TiAlC、TiAlNおよびTiAlCNからなる群から選択された少なくとも1つの金属化合物を含む非晶質相22を形成することができる。これらのTi炭化物、Ti窒化物およびTi炭窒化物は切削加工時の擦化熱による酸化をさらに防止することができ、高温における摩擦係数が低下する。これにより、過酷な環境下でも工具の刃先の脱落およびチッピングが少なく、刃先の安定性に優れた切削工具を作製することができるため、Ti[CH2C(CH334ガスを用いて非晶質相22を形成した場合には、切削工具をさらに長寿命にすることができる。
<その他の好ましい形態>
≪Ti1-xAlxN層とTi1-yAlyN層との合計厚さ≫
結晶粒21において、隣り合うTi1-xAlxN層21aの1層当たりの厚さt1とTi1-yAlyN層21bの1層当たりの厚さt2との合計厚さt3は、1nm以上50nm以下であることが好ましい。隣り合うTi1-xAlxN層21aの1層当たりの厚さt1とTi1-yAlyN層21bの1層当たりの厚さt2との合計厚さt3が1nm以上である場合には、硬質被膜30の作製が容易となる。また、隣り合うTi1-xAlxN層21aの1層当たりの厚さt1とTi1-yAlyN層21bの1層当たりの厚さt2との合計厚さt3が50nm以下である場合には、Ti1-xAlxN層21aとTi1-yAlyN層21bとの界面の歪の緩和に起因する硬質被膜30の耐摩耗性の低下を抑制することができる。
なお、結晶粒21において、隣り合うTi1-xAlxN層21aとTi1-yAlyN層21bとの少なくとも1組の合計厚さが1nm以上50nm以下であればよいが、隣り合うTi1-xAlxN層21aとTi1-yAlyN層21bとのすべての組の合計厚さが1nm以上50nm以下であることが耐摩耗性に優れた硬質被膜30を安定して作製する観点からは好ましい。
また、Ti1-xAlxN層21aの1層当たりの厚さt1およびTi1-yAlyN層21bの1層当たりの厚さt2は、それぞれ、基材11の表面上に硬質被膜30を形成し、基材11の表面上に形成された硬質被膜30の断面をSTEMを用いたSTEM高角度散乱暗視野法(HAADF−STEM:High-Angle Annular Dark-field Scanning Transmission Electron Microscopy)で観察することにより測定することができる。
≪結晶粒の粒径≫
結晶粒21の粒径が0.01μm以上1μm以下であることが好ましい。結晶粒21の粒径が0.01μm以上1μm以下である場合には、結晶粒21を高硬度にすることができるとともに、非晶質相22を高潤滑性にすることができる。これにより、硬質被膜30の耐摩耗性が向上するため、硬質被膜30を備えた実施形態の切削工具の耐チッピング性および耐欠損性が向上し、切削工具のさらなる長寿命化も図ることができる。
結晶粒21の粒径は、以下の方法(以下、この方法を「線分法」という)で算出される。まず、たとえば、図7の模式的拡大平面図に示すように、硬質被膜30を光学顕微鏡を用いて観察して得られた組織を紙面に印刷し、任意の線40を引き、線40全体の長さ(L)を調べる。次に、線40が横切る結晶粒21のそれぞれの長さ(LC1、LC2、LC3)を調べる。最後に、上記のように調べた長さ(L、LC1、LC2およびLC3)をそれぞれ実際の長さに換算し、線40が横切る結晶粒21のそれぞれの換算後の長さの合計(LC1+LC2+LC3)を線40が横切る結晶粒21の数(3個)で割ることによって、結晶粒21の粒径を算出することができる。
≪非晶質相の厚さ≫
非晶質相22の厚さは、100nm以下であることが好ましい。非晶質相22の厚さが100nm以下である場合、硬質被膜30が硬脆くなるのを抑制することができるとともに、硬質被膜30に好適な潤滑性を付与することができるため、硬質被膜30の耐摩耗性を向上することができる。これにより、硬質被膜30を備えた実施形態の切削工具の耐チッピング性および耐欠損性をさらに向上することができる。
非晶質相22の厚さも線分法で算出される。たとえば、まず、図7の模式的拡大平面図に示すように、硬質被膜30を光学顕微鏡を用いて観察して得られた組織を紙面に印刷し、任意の線40を引き、線40全体の長さ(L)を調べる。次に、線40が横切る非晶質相22のそれぞれの長さ(LA1、LA2)を調べる。最後に、上記のように調べた長さ(L、LA1およびLA2)をそれぞれ実際の長さに換算し、線40が横切る非晶質相22の数(2個)で割ることによって、非晶質相22の厚さを算出することができる。
≪押し込み硬さ≫
硬質被膜30のナノインデンテーション法による押し込み硬さは28GPa以上であって、かつナノインデンテーション法で測定された押し込み硬さ(Hv)とヤング率(E)との比(以下、「Hv/E比」という。)が0.08以上であることが好ましい。硬質被膜30のナノインデンテーション法による押し込み硬さが28GPa以上であって、かつHv/E比が0.08以上である場合には、硬質被膜30を備えた切削工具を用いて、耐熱合金などの難削材の切削加工を行う際に優れた性能を発揮することができる。
硬質被膜30のナノインデンテーション法による押し込み硬さおよびヤング率の測定は、ナノインデンテーション法が利用可能な超微小押し込み硬さ試験機(たとえば、(株)エリオニクス社製)を用いて硬質被膜30の厚さ方向に垂直に所定の荷重(たとえば25mN)で圧子を押し込んだときの圧子と硬質被膜30との接触面積で除することによって算出される。
≪ステンレスとの摩擦係数≫
硬質被膜30の400℃におけるステンレスとの摩擦係数は、0.5以下であることが好ましく、0.3以下であることがより好ましい。硬質被膜30の400℃におけるステンレスとの摩擦係数が0.5以下である場合、特に0.3以下である場合には、ステンレス等の溶着しやすい被削材を切削加工したときに、硬質被膜30の脱落または剥離を抑制することができるため、耐チッピング性および耐欠損性が向上し、工具刃先の安定性を著しく向上することができ、ひいては切削工具の長寿命化につながる。なお、硬質被膜30の400℃におけるステンレスとの摩擦係数は、高温摩擦係数の測定が可能な高温トライボーメータを用いて測定することができる。たとえば、CSMインストルメンツ社製の高温トライボーメータを用いて400℃に保たれた雰囲気中に、硬質被膜30が被覆された基材11の表面に、直径6mmのSUS304剛球を1Nの荷重で押さえつけながら、基材11を一定の速度で稼動させる。このとき、硬質被膜30が被覆された基材11の表面とSUS304剛球との間に発生する摩擦応力を計測し、当該摩擦応力により摩擦係数を算出することができる。
<その他の構成>
硬質被膜30は、塩素(Cl)、酸素(O)および炭素(C)からなる群から選択された少なくとも1種の不純物を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。
実施形態の切削工具の被膜50は、下地膜20および硬質被膜30以外の膜を含んでいてもよい。下地膜20および硬質被膜30以外の膜としては、たとえば、Ti、ZrおよびHfからなる群から選択された少なくとも1つと、N、O、C、B、CN、BN、COおよびNOからなる群から選択された少なくとも1つとの化合物からなる膜を含んでいてもよい。また、被膜50は、耐酸化膜として、α−Al23膜およびκ−Al23膜の少なくとも一方を含んでいてもよい。たとえば、被膜50は、硬質被膜30の最表面の最外膜として他の膜を含んでいてもよい。また、被膜50は、下地膜20を含んでいなくてもよい。
硬質被膜30の総厚T1は、1μm以上20μm以下であることが好ましい。硬質被膜30の総厚T1が1μm以上である場合には、硬質被膜30の特性が顕著に向上する傾向にある。硬質被膜30の総厚T1が20μm以下である場合には、硬質被膜30の特性の向上に大きな変化が見られる傾向にある。硬質被膜30の特性を向上させる観点からは、硬質被膜30の総厚T1は、2μm以上15μm以下であることがより好ましく、3μm以上10μm以下であることがさらに好ましい。
被膜50の総厚T2は、3μm以上30μm以下であることが好ましい。被膜50の総厚T2が3μm以上である場合には、被膜50の特性が好適に発揮される傾向にある。被膜50の総厚T2が30μm以下である場合には、切削加工時の被膜50の剥離を抑制することができる傾向にある。被膜50の特性を好適に発揮するとともに、切削中の被膜50の剥離を抑制する観点からは、被膜50の総厚T2は、5μm以上20μm以下であることがより好ましく、7μm以上15μm以下であることがさらに好ましい。
被膜50の圧縮残留応力の絶対値は、X線回折法による残留応力測定において、0.2GPa以下であることが好ましい。被膜50の圧縮残留応力の絶対値が0.2GPa以下である場合には、被膜50に適切な大きさの歪が維持されるため、被膜50が高硬度になる傾向にある。被膜50を高硬度にする観点からは、被膜50の圧縮残留応力の絶対値は、0.2GPa以上2GPa以下であることがより好ましく、0.2GPa以上2GPa以下であることがさらに好ましい。なお、被膜50の圧縮残留応力は、たとえば付加的な物理処理(ピーニング処理)等によって発現し得る。
ここで、「圧縮残留応力」とは、被膜50に存する内部応力(固有ひずみ)の一種であって、「−」(マイナス)の数値(単位:実施形態では「GPa」を使う)で表される応力をいう。このため、圧縮残留応力が大きいという概念は、上記数値の絶対値が大きくなることを示し、また、圧縮残留応力が小さいという概念は、上記数値の絶対値が小さくなることを示す。すなわち、圧縮残留応力の絶対値が2GPa以下であるとは、被膜50に関する好ましい圧縮残留応力が−2GPa以上0GPa未満であることを意味する。
被膜50の圧縮残留応力は、X線応力測定装置を用いたsin2ψ法により測定することができる。このようなX線を用いたsin2ψ法は、多結晶材料の残留応力の測定方法として広く用いられているものであり、たとえば、「X線応力測定法」(日本材料学会、1981年株式会社養賢堂発行)の54〜67頁に詳細に説明されている方法を用いることができる。
以下の各試料における被膜の各膜の厚さは、STEMを用いたSTEM高角度散乱暗視野法で被膜の断面を観察することにより測定したものである。また、以下の各試料における被膜の各膜の組成は、3次元アトムプローブ電界イオン顕微鏡分析により求めた。また、以下の各試料における被膜の各膜の結晶粒の結晶構造および非晶質相の存在は、TEMを用いた観察により確認した。以下の各試料における被膜の各膜の結晶粒の粒径および非晶質相の厚さはそれぞれ線分法で算出した。また、以下の各試料における被膜のナノインデンテーション法による押し込み硬さ(Hv)およびヤング率(E)は、(株)エリオニクス社製の超微小押し込み硬さ試験機を用いて算出した。さらに、以下の各試料の被膜の圧縮残留応力の絶対値は、X線応力測定装置を用いたsin2ψ法により算出した。
<切削工具の作製>
≪基材の準備≫
まず、被膜を形成させる対象となる基材として、以下の表1に示す基材Kおよび基材Lを準備した。具体的には、まず、表1に記載の配合組成(質量%)からなる原料粉末を均一に混合した。表1中の「残り」とは、WCが配合組成(質量%)の残部を占めることを示している。次に、この混合粉末を所定の形状に加圧成形した後に、1300〜1500℃で1〜2時間焼結することにより、超硬合金からなる基材Kおよび基材Lを得た。
Figure 2016003369
≪被膜の作製:試料No.1〜24≫
基材Kまたは基材Lの表面上に、表2の被膜の構成の欄に示される下地膜、硬質被膜および最外膜を形成することによって、基材Kまたは基材Lの表面上に被膜が形成された切削工具(試料No.1〜24)を作製した。なお、試料No.1〜6および8〜15の切削工具が実施例であり、試料No.7および16〜24の切削工具が比較例である。
Figure 2016003369
表2において、下地膜は基材の表面と直接接する膜であり、硬質被膜は下地膜上に形成された膜であり、最外膜は硬質被膜上に形成された膜であって外部に露出する膜である。また、表2の化合物の記載は、表2の下地膜、硬質被膜および最外膜を構成する化合物であり、化合物の右の括弧は膜の厚さを意味している。また、表2の1つの欄内に2つの化合物(たとえば、「TiN(1.0)−TiCN(2.0)」)が記載されている場合には、左側(「TiN(1.0)」)の化合物が基材の表面に近い側に位置する膜であることを意味し、右側(「TiCN(2.0)」)の化合物が基材の表面から遠い側に位置する膜であることを意味しており、括弧の中の数値はそれぞれの膜の厚さを意味している。また、表2の「−」で示される欄は、膜が存在しないことを意味する。
たとえば、表2の試料No.10の切削工具は、基材Lの表面上に1.0μmの厚さのTiN膜および2.0μmの厚さのTiCN膜がこの順序に積層されて下地膜が形成され、その上に後述する形成条件aで形成された3.0μmの厚さの硬質被膜が形成され、硬質被膜上には0.5μmの厚さのTiN膜からなる最外膜が形成されている被膜を有しているとともに、被膜全体の厚さが6.5μmである切削工具を意味している。
表2に示す下地膜および最外膜は、従来公知のCVD法によって形成された膜であり、その形成条件は表3に示す通りである。たとえば、表3の「TiN(下地膜)」の行には、下地膜としてのTiN膜の形成条件が示されている。表3のTiN膜(下地膜)の記載は、CVD装置の反応容器内(容器内の環境は6.7kPa、915℃)に基材を配置し、反応容器内に2体積%のTiCl4ガス、39.7体積%のN2ガスおよび残り58.3体積%のH2ガスからなる混合ガスを63.8L/分の流量で噴出することにより形成されたことを意味している。なお、各形成条件によって形成される各膜の厚さは、各反応ガスを噴出する時間によって制御している。
Figure 2016003369
また、表2に示される硬質被膜は、図4〜図6に示されるCVD装置10を用いて、表4に示す形成条件a〜j、lおよびmのいずれかの条件で作製された。たとえば、表4の形成条件a(1−A)の記載は、交互積層膜が、表5のNo.1の成膜温度(870℃)、炉内圧力(3kPa)、反応ガス組成(N2:10体積%、Ar:5体積%、AlCl3:2体積%、TiCl4:0.5体積%、Ti[CH2C(CH334:0.01体積%、NH3:6体積%、H2:残り)および全ガス量(50L/分)の条件で形成され、その後、基材が冷却され、最後に、表6のNo.Aの加熱温度(800℃)、加熱時間(30分)および気流組成の条件で基材が加熱されることによって、表4に示す特性(Ti1-xAlxN層のAl組成比x(0.45)、Ti1-yAlyN層のAl組成比y(0.75)、y−x(0.3)、隣り合うTi1-xAlxN層とTi1-yAlyN層の合計厚さ(12nm)、結晶粒の粒径(100nm未満)、非晶質相の厚さ(20μm未満)、Hv(30.7GPa)、E(341GPa)、Hv/E(0.09)および400℃におけるステンレスとの摩擦係数(0.22)を有する硬質被膜を作製した。
以上のようにして、表2に示す試料No.1〜18においては、複数の結晶粒と、結晶粒の間の非晶質相とを含み、それぞれの結晶粒は、表4に示す組成のfcc構造を有するTi1-xAlxN層と、hcp構造を有するTi1-yAlyN層とが交互に1層ずつ積層された構造を有しており、結晶粒間にTiCNからなる非晶質相が形成された硬質被膜が形成された。
なお、表4の形成条件jは、複数のAl0.87Ti0.13N結晶粒とその間の非晶質炭素(a−C)とを含む単層を表5のNo.6に示す条件のCVD法により形成した後に基材を冷却し、表6のNo.Cに示すように冷却後に加熱されずに形成された膜であることを意味している。
なお、表4の形成条件lは、fcc構造のTiN結晶粒(fcc−TiN)の粒状組織と、hcp構造のAlN結晶粒(hcp−AlN)の粒状組織とからなる膜(非晶質相なし)を表5のNo.7に示す条件のCVD法により形成した後に基材を冷却し、表6のNo.Cに示すように冷却後に加熱されずに形成された膜であることを意味している。
また、表4の形成条件mも、Al0.5Ti0.5Nの多結晶膜の単層を表5のNo.8に示す条件のPVD法で形成した後に、基材を冷却し、表6のNo.Cに示すように冷却後に加熱されずに形成された膜であることを意味している。
また、表2の硬質被膜の欄のa〜j、lおよびmの記載は、それぞれ、表4の形成条件の欄のa〜j、lおよびmの条件で形成された膜であることを意味しており、表2の硬質被膜の欄のa〜j、lおよびmの右側の括弧の中の数値は硬質被膜の総厚を意味している。
また、表4の結晶粒の粒径は、硬質被膜の結晶粒の粒径を意味し、表4の非晶質相の厚さは、硬質被膜の非晶質相の厚さを意味している。
また、表4に示す400℃におけるステンレスとの摩擦係数は、以下のようにして測定した。まず、CSMインストルメンツ社製の高温トライボーメータを用いて400℃に保たれた雰囲気中に、硬質被膜30が被覆された基材11の表面に、直径6mmのSUS304剛球を1Nの荷重で押さえつけながら、基材11を一定の速度で稼動させた。そして、硬質被膜30が被覆された基材11の表面とSUS304剛球との間に発生する摩擦応力を計測し、当該摩擦応力により摩擦係数を算出した。
Figure 2016003369
Figure 2016003369
Figure 2016003369
<切削性能>
上記のようにして作製した試料No.1〜24の切削工具を用いて、以下の切削試験1〜4を行い、各切削工具の切削性能を評価した。
<切削試験1:丸棒外周切削試験>
試料No.1〜9および19〜21の切削工具について、以下の切削試験1の切削条件により逃げ面摩耗量(Vb)が0.20mmとなるまでの切削時間を測定するとともに刃先の最終損傷形態を観察した。その結果を表7に示す。表7の切削時間の欄の数値が大きいほど、被膜の耐摩耗性に優れ、切削工具が長寿命であることを示している。また、表7に示す最終損傷形態の記載が、正常摩耗、チッピングおよび欠損の順に耐摩耗性が優れていることを示す。なお、表7の最終損傷形態において、「正常摩耗」とはチッピングおよび欠けを生じず、摩耗のみで構成される損傷形態(平滑な摩耗面を有する)を意味する。
<切削試験1の切削条件>
被削材:SUS304丸棒外周切削
周速:150m/min
送り速度:0.1mm/rev
切込み量:1.0mm
切削液:有り
Figure 2016003369
表7に示すように、試料No.1〜6、8および9の切削工具は、それぞれ、試料No.7および19〜21の切削工具と比べて、切削時間が長く、切削工具の長寿命を達成できることが確認された。これは、試料No.1〜6、8および9の被膜は、試料No.7および19〜21の被膜と比べて耐摩耗性に優れていることを示している。
<切削試験2:丸棒外周切削試験>
試料No.1〜5、7〜9および19〜21の切削工具について、以下の切削試験2の切削条件により逃げ面摩耗量(Vb)が0.20mmとなるまでの切削時間を測定するとともに刃先の最終損傷形態を観察した。その結果を表8に示す。表8の切削時間の欄の数値が大きいほど、被膜の耐摩耗性が優れ、切削工具が長寿命であることを示している。なお、表8の最終損傷形態において、「チッピング」は、仕上げ面を生成する切れ刃部に生じた微小な欠けを意味している。また、表8の最終損傷形態において、「欠損」は、切れ刃部に生じた大きな欠けを意味する。表8のその他の表記は、表7と同様である。
<切削試験2の切削条件>
被削材:FCD450丸棒外周切削
周速:180m/min
送り速度:0.1mm/rev
切込み量:1.0mm
切削液:有り
Figure 2016003369
表8に示すように、試料No.1〜5、8および9の切削工具は、それぞれ、試料No.7および19〜21の切削工具と比べて、耐摩耗性に優れ、かつ切削工具の長寿命を達成できることが確認された。これは、試料No.1〜5、8および9の被膜が、試料No.7および19〜21の被膜と比べて耐摩耗性に優れていることを示している。
<切削試験3:溝材耐溶着チッピング性試験>
試料No.1〜9および19〜21の切削工具について、以下の切削試験3の切削条件により工具刃先部において欠損またはチッピングが発生するまでの切削時間(分)を測定した。その結果を表9に示す。表9に示す切削時間が長いものほど耐溶着性に優れていることを示している。
<切削試験3の切削条件>
被削材:FCD700溝材
周速:200m/min
送り速度:0.2mm/s
切込み量:1.0mm
切削液:有り
Figure 2016003369
表9に示すように、試料No.1〜6、8および9の切削工具は、試料No.7および19〜21の切削工具と同等あるいはそれ以上の耐溶着性を有することが確認された。
<切削試験4:ブロック材耐チッピング性試験>
表10に示す試料No.9〜17および22〜24の切削工具について、以下の切削試験4の切削条件により欠損または逃げ面摩耗量(Vb)が0.20mmになるまでの切削距離を測定するとともに刃先の最終損傷形態を観察した。その結果を表10に示す。表10に示す切削距離の欄の数値が大きいほど、耐摩耗性に優れていることを示す。なお、表10の最終損傷形態の欄の表記は表7および表8と同様である。
<切削試験4の切削条件>
被削材:S25Cブロック材
周速:150m/min
送り速度:0.3mm/s
切込み量:2.0mm
切削液:有り
Figure 2016003369
表10に示すように、試料No.9〜17および22〜24の切削工具の最終損傷形態はすべて欠損であったが、試料No.9〜17の切削工具は、試料No.22〜24の切削工具と比べて、切削距離が長く、被膜の耐摩耗性に優れていることが確認された。これは、試料No.9〜17の切削工具の硬質被膜を含む被膜は、試料No.22〜24の切削工具の被膜と比べて、耐摩耗性に優れていることを示している。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の実施の形態および各実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態および実施例ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 CVD装置
11 基材
12 基材セット治具
13 反応容器
14 調温装置
15 ガス導入口
16 ガス導入管
17 貫通孔
18 ガス排気管
19 ガス排気口
20 下地膜
30 硬質被膜
21a Ti1-xAlxN層
21b Ti1-yAlyN層
30 硬質被膜
40 線
50 被膜

Claims (9)

  1. 複数の結晶粒と、
    前記結晶粒の間の非晶質相と、を含み、
    前記結晶粒は、それぞれ、fcc構造を有するTi1-xAlxN層と、hcp構造を有するTi1-yAlyN層とが交互に積層された構造を有しており、
    前記Ti1-xAlxN層のAl組成比xは、0≦x<1の関係を満たし、
    前記Ti1-yAlyN層のAl組成比yは、0<y≦1の関係を満たし、
    前記Al組成比xと前記Al組成比yとは、(y−x)≧0.1の関係を満たし、
    前記非晶質相は、TiおよびAlの少なくとも一方の炭化物、窒化物または炭窒化物を含む、硬質被膜。
  2. 隣り合う前記Ti1-xAlxN層の1層当たりの厚さと前記Ti1-yAlyN層の1層当たりの厚さとの合計厚さは、1nm以上50nm以下である、請求項1に記載の硬質被膜。
  3. 前記結晶粒の粒径が0.01μm以上1μm以下である、請求項1または請求項2に記載の硬質被膜。
  4. 前記非晶質相の厚さが100nm以下である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の硬質被膜。
  5. 前記硬質被膜のナノインデンテーション法による押し込み硬さが28GPa以上である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の硬質被膜。
  6. 400℃におけるステンレスとの摩擦係数が0.5以下である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の硬質被膜。
  7. 基材と、
    前記基材上に設けられた請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の硬質被膜とを備えた、切削工具。
  8. チタンのハロゲン化物ガスと、アルミニウムのハロゲン化物ガスと、テトラキスネオペンチルチタンガスと、アンモニアガスとを基材の表面に噴出する工程と、
    前記基材を冷却する工程とを含む、硬質被膜の製造方法。
  9. 前記基材を冷却する工程の後に、アンモニアガスの気流中またはアンモニアガスと水素ガスとの混合ガスの気流中で前記基材を600℃以上800℃以下の温度で30分以上300分以下加熱する工程をさらに含む、請求項8に記載の硬質被膜の製造方法。
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