JP2016003315A - 配向膜形成用組成物、配向膜の形成方法及び液晶表示装置 - Google Patents

配向膜形成用組成物、配向膜の形成方法及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】溶剤の使用量を低減することができると共に、安価な低沸点溶剤を用いて低温処理で配向膜を形成することができる配向膜形成用組成物及び配向膜の形成方法、並びにそれを用いた液晶表示装置を提供する。【解決手段】本発明は、デンドロン側鎖を有するポリマーを含むことを特徴とする配向膜形成用組成物である。また、本発明は、上記の配向膜形成用組成物を基板上に塗布した後、乾燥させることで配向膜を形成すること特徴とする配向膜の形成方法である。さらに、本発明は、配向膜が形成された一対の基板と、前記一対の基板間に挟持された液晶層とを有する液晶表示装置であって、配向膜が、上記の配向膜形成用組成物を用いて形成されていることを特徴とする液晶表示装置である。【選択図】なし

Description

本発明は、配向膜形成用組成物、配向膜の形成方法及び液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、低駆動電圧、低消費電力及び軽量などの特性を有していることから、時計の表示板や携帯電話のディスプレイのほか、コンピュータやテレビのディスプレイなどでの用途が拡がっている。
現在主流の液晶表示装置では、TN(twisted nematic)モード、VA(vertical alignment)モード、IPS(in-plane switching)モードなどの駆動方式が採用されている。そして、これらの駆動方式の液晶表示装置ではいずれも、液晶分子の配向を制御する手段が必要であり、配向膜を形成する手段が一般的に使用されている。例えば、TNやIPSモードの液晶表示装置では、ラビング処理を施した配向膜によって、基板に対して平行な方向に液晶分子を配向制御している。他方、ラビング処理が不要なVAモードの液晶表示装置では、配向膜によって基板に対して垂直な方向に液晶分子を配向制御している。
配向膜としては、配向性能及び耐熱性などの各種特性の観点から、ポリイミド膜が一般に使用されている。このポリイミド膜は、ポリアミック酸などのポリイミド前駆体を含む溶液を基板に塗布して基板上でイミド化させる方法、又は可溶性ポリイミドの溶液を基板に塗布する方法を用いて一般に形成されている(例えば、特許文献1及び2)。
しかしながら、ポリイミド前駆体を含む溶液を用いる方法では、ポリイミド前駆体をイミド化するのに高温処理(一般に250℃以上、具体的には300〜350℃)が要求されるため、プロセス的に手間がかかる上、物性の制御も難しいという問題がある。また、高温処理に耐え得る高耐熱性の高価な基板(例えば、ガラス基板や耐熱性プラスチック基板)を使用する必要があり、液晶表示装置の製造コストが増大するという問題もある。
一方、可溶性ポリイミドの溶液を用いる方法では、ポリイミド前駆体を含む溶液を用いる方法に比べて低温処理での配向膜の形成が可能であるものの、可溶性ポリイミドは溶剤に対する溶解性が低いため、溶剤の使用量が多くなるという問題がある。特に、可溶性ポリイミドの溶液に使用される溶剤は、N−メチルピロリドンやγ−ブチルラクトンなどの高価な高沸点溶剤であるため、配向膜の形成にかかる費用が増大するという問題がある。
溶剤に対する可溶性ポリイミドの溶解性は、可溶性ポリイミドに脂環式骨格などの官能基を導入して対称性を低下させることで向上させることができるものの、これまでに提案された可溶性ポリイミドの溶剤に対する溶解度は最大でも約6%程度であり、十分なものとは言えない。
特許第3150953号公報 特許第3289271号公報
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、溶剤の使用量を低減することができると共に、安価な低沸点溶剤を用いて低温処理で配向膜を形成することができる配向膜形成用組成物及び配向膜の形成方法、並びにそれを用いた液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記のような問題を解決すべく鋭意研究した結果、デンドロン側鎖を有するポリマーが、各種溶剤に対する溶解性及び液晶分子の配向性能に優れており、このポリマーを配向膜形成用組成物に用いることで、溶剤の使用量を低減し得ると共に、ポリイミド膜と同様の特性を有する配向膜を低温処理で容易に形成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、デンドロン側鎖を有するポリマーを含むことを特徴とする配向膜形成用組成物である。
また、本発明は、前記配向膜形成用組成物を基板上に塗布した後、乾燥させることで配向膜を形成すること特徴とする配向膜の形成方法である。
さらに、本発明は、配向膜が形成された一対の基板と、前記一対の基板間に挟持された液晶層とを有する液晶表示装置であって、前記配向膜が、前記配向膜形成用組成物を用いて形成されていることを特徴とする液晶表示装置である。
本発明によれば、溶剤の使用量を低減することができると共に、安価な低沸点溶剤を用いて低温処理で配向膜を形成することができる配向膜形成用組成物及び配向膜の形成方法、並びにそれを用いた液晶表示装置を提供することを提供することができる。
(A)電界OFF、(B)電界ONの場合における平面型電極を用いた実施の形態3のVAモード液晶表示装置の断面図である。 (A)電界OFF、(B)電界ONの場合における櫛型電極を用いた実施の形態3のVAモード液晶表示装置の断面図である。
実施の形態1.
本実施の形態の配向膜形成用組成物は、デンドロン側鎖を有するポリマーを含むことを特徴とする。
ここで、本明細書において「デンドロン側鎖」とは、規則的に枝分かれした樹状側鎖のことを意味し、「配向膜」とは、液晶分子の配列状態を制御する膜のことを意味する。
デンドロン側鎖を有するポリマーは、各種溶剤に対する溶解性に優れているため、配向膜形成用組成物に用いられる溶剤の使用量を低減することができると共に、当該溶剤として高沸点溶剤に比べて安価な低沸点溶剤を用いることができる。したがって、配向膜形成用組成物に用いられる溶剤の種類及び使用量の観点から、配向膜形成用組成物のコストを低減することができる。また、配向膜形成用組成物に用いられる溶媒として低沸点溶剤を用いることにより、低温処理での配向膜の形成が可能となるため、液晶表示装置に用いられる基板の選択自由度も高くなる。
ここで、本明細書において「低沸点溶剤」とは、沸点が150℃以下、好ましくは120℃以下、より好ましくは25℃〜100℃の溶剤のことを意味する。
低沸点溶剤としては、デンドロン側鎖を有するポリマーを溶解することができ、且つ沸点が所定の範囲であるものであれば特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。低沸点溶剤の例としては、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、アセトニトリルなどの極性非プロトン性溶剤;ヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、塩化メチレンなどの無極性溶剤;酢酸、1−ブタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エタノール、メタノールなどの極性プロトン性溶剤が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、配向膜形成用組成物の安定性及び作業性などの観点からテトラヒドロフランが好ましい。
また、デンドロン側鎖を有するポリマーは、ポリイミドと同様に液晶分子の配向性能に優れており、このポリマーを含む配向膜形成用組成物を用いることでポリイミド膜と同様の特性を有する配向膜を形成することができる。したがって、デンドロン側鎖を有するポリマーを含む配向膜形成用組成物から形成される膜は、従来のポリイミド膜などの配向膜と同様の作用効果を与え、液晶層中の液晶分子を基板に対して垂直方向に配向させることができる。
デンドロン側鎖を有するポリマーを構成する主鎖のポリマーの種類としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の各種ポリマーであることができる。ポリマーの例としては、アクリルポリマー、ポリスチレンポリマー、ポリオレフィンポリマー、エポキシポリマー、ポリエステルポリマー、ポリアミドポリマー、ポリウレタンポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、耐熱性や液晶分子の配向制御能力の観点から、アクリルポリマーが好ましい。
デンドロン側鎖としては、特に限定されないが、各種溶剤に対する溶解性の観点から、アルキル基、アルコキシ基及びフッ素からなる群より選択される少なくとも1つを末端に有するものが好ましい。このような構造を有するデンドロン側鎖であれば、各種溶剤に対する溶解性が特に優れている。
デンドロン側鎖は、液晶分子の配向制御能力の観点から、メソゲン基を有することが好ましい。このような構造を有するデンドロン側鎖であれば、液晶成分の特性を阻害し難く、且つ液晶配向制御にも優れている。ここで、本明細書において「メソゲン基」とは、液晶性を発現するために必要な剛直構造を有する有機基を意味する。メソゲン基としては、特に限定されないが、例えば、安息香酸フェニル、ビフェニル、シアノビフェニル、ターフェニル、シアノターフェニル、フェニルベンゾエート、アゾベンゼン、ジアゾベンゼン、アニリンベンジリデン、アゾメチン、アゾキシベンゼン、スチルベン、フェニルシクロヘキシル、ビフェニルシクロヘキシル、フェノキシフェニル、ベンジリデンアニリン、ベンジルベンゾエート、フェニルピリミジン、フェニルジオキサン、ベンゾイルアニリン、トラン及びこれらの誘導体などが挙げられる。
デンドロン側鎖の世代(分岐の次数)は、特に限定されないが、一般に第1〜第6世代のものを用いることができる。ここで、本明細書において分岐の数が1つのものを第1世代という。
デンドロン側鎖を有するポリマーの数平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは2500〜30000、より好ましくは3000〜22000、さらに好ましくは4000〜15000である。ここで、本明細書において「数平均分子量」とは、ポリスチレンを標準として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される分子量のことを意味する。
本実施の形態の配向膜形成用組成物に用いるのに好ましいポリマーは、以下の一般式(1)により表されるアクリルポリマーである。
Figure 2016003315
一般式(1)中、nは2〜20の正数、好ましくは2〜15の正数、より好ましくは3〜10の正数であり、Dはデンドロン側鎖である。
デンドロン側鎖Dは、以下の一般式(2)により表される。
Figure 2016003315
一般式(2)中、a及びbは2〜5の整数、好ましくは2〜4の整数、より好ましくは2〜3の整数であり、Rは以下の一般式(3)により表される。
Figure 2016003315
一般式(3)中、cは3〜12の整数、好ましくは4〜10の整数、より好ましくは5〜8の整数であり、Aは、
Figure 2016003315
である。式中、Rは、炭素数1〜12、好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数3〜8のアルキル基若しくはアルコキシ基、又はフッ素である。
デンドロン側鎖を有するポリマーは、デンドロン側鎖を有するモノマーを単独重合させることによって調製することができる。したがって、調製するポリマーの種類に応じて、単独重合可能なモノマーを選択すればよい。例えば、上記の一般式(1)により表されるアクリルポリマーは、以下の一般式(4)により表されるアクリルモノマーを単独重合させることによって調製することができる。
Figure 2016003315
一般式(4)中、Dは上記の一般式(1)において定義した通りである。
一般に、デンドロン側鎖を有するモノマーは、デンドロンを予め合成した後、デンドロンをモノマーの側鎖に導入することによって調製することができる。
デンドロンの合成方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いて行うことができる。一般には、フォーカルポイント(中心)を与える化合物と、この化合物と結合してデンドロンの枝部分を与える化合物とを反応させることによってデンドロンを合成することができる。例えば、デンドロンの枝部分を与えるアクリル酸エステル誘導体と、このアクリル酸エステル誘導体と反応する末端アミノ基を有する化合物とを有機溶剤中で反応させればよい。
フォーカルポイントを与える化合物としては、特に限定されず、合成するデンドロンに応じて適宜選択すればよい。また、デンドロンの世代(分岐の次数)を調整する場合、フォーカルポイントを与える化合物をアクリルニトリルなどと反応させることによって分岐構造を形成してもよい。
例えば、一般式(4)のアクリルモノマーを合成する場合、以下の一般式(5)により表されるデンドロンを合成した後、このデンドロンをアクリルモノマーの側鎖に導入する。
Figure 2016003315
一般式(5)中、a、b及びRは上記の一般式(2)において定義した通りである。
一般式(5)のデンドロンを合成する場合、フォーカルポイントを与える化合物として以下の一般式(6)を有する化合物、デンドロンの枝部分を与える化合物として以下の一般式(7)を有する化合物をそれぞれ用いることができる。
Figure 2016003315
Figure 2016003315
一般式(6)及び(7)中、a、b、c及びAは、上記の一般式(2)及び(3)で定義した通りである。
フォーカルポイントを与える化合物(例えば、一般式(6)の化合物)と、デンドロンの枝部分を与える化合物(例えば、一般式(7)の化合物)との反応比は、使用する化合物の種類に応じて適宜調整する必要があるが、一般に、フォーカルポイントを与える化合物1モルに対して、デンドロンの枝部分を与える化合物を1〜10モル用いればよい。
上記の反応に用いられる有機溶剤としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。有機溶剤の例としては、1,2−ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル系溶剤;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤;N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性溶剤が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
また、有機溶剤の量は、使用する原料の種類及び量などに応じて適宜調整すればよく、特に限定されない。
反応温度としては、−50〜150℃、好ましくは25〜80℃である。反応温度が−50℃未満であると、反応速度が著しく低下することがある。また、反応温度が150℃を超えると、原料の安定性が低下することがある。
反応時間としては、2〜200時間、好ましくは48〜100時間である。反応時間が2時間未満であると、反応が十分に進行しないことがある。反応時間が200時間を超えると、時間がかかりすぎて実用的でない。
反応終了後は溶剤を除去することにより、目的とするデンドロンを得ることができる。また、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ヘキサン、トルエンなどの貧溶剤を加えて加熱し、上澄みを除去することによってデンドロンを精製してもよい。
上記の一般式(5)により表されるデンドロンは、トリエチルアミンやピリジンなどの塩基の存在下でアクリル酸塩化物とエステル化反応させることにより、一般式(4)のアクリルモノマーを合成することができる。このとき必要に応じてテトラヒドロフラン(THF)などの溶媒を用いることができる。このエステル化反応は、当該技術分野において一般に公知であるため、その条件は公知の方法に準じて調整すればよい。
デンドロン側鎖を有するモノマーを単独重合させる方法としては、特に限定されず、使用するモノマーの種類に応じて適宜選択すればよい。モノマーを単独重合は、当該技術分野において一般に公知であるため、その条件は公知の方法に準じて調整すればよい。
例えば、一般式(4)のアクリルモノマーを単独重合して一般式(1)のアクリルポリマーを得る場合、AIBNなどの重合開始剤を用いて一般式(4)のアクリルモノマーを単独重合させればよい。このとき必要に応じてテトラヒドロフラン(THF)などの溶媒を用いることができる。この重合反応は、当該技術分野において一般に公知であるため、その条件は公知の方法に準じて調整すればよい。
本実施の形態の配向膜形成用組成物におけるデンドロン側鎖を有するポリマーの含有量は、特に限定されないが、従来の可溶性ポリイミドの溶液における可溶性ポリイミドの含有量よりも多くすることができる。具体的には、本実施の形態の配向膜形成用組成物におけるデンドロン側鎖を有するポリマーの含有量は、好ましくは6質量%超過50質量%以下、より好ましくは8〜45質量%、さらに好ましくは10〜40質量%である。このような含有量とすることにより、本実施の形態の配向膜形成用組成物は、従来の可溶性ポリイミドの溶液に比べて、配向膜形成成分(固形分)の含有量を多くすることができるため、配向膜形成用組成物の使用量を減らすことができると共に、配向膜形成用組成物の保管用容器なども小さくすることができる。
実施の形態2.
本実施の形態の配向膜の形成方法は、上記の配向膜形成用組成物を基板上に塗布した後、乾燥させることで配向膜を形成することを特徴とする。
配向膜形成用組成物は前駆体を含有していないため、この配向膜の形成方法ではイミド化反応などを生じさせる高温処理工程(ポストベーク工程)が要求されない。そのため、本実施の形態の配向膜の形成方法は、配向膜形成用組成物の塗布物を乾燥させるだけで容易に行うことができ、配向膜の形成工程を短縮化することができる。また、高温処理工程が要求されないことから、汎用のプラスチック基材などの様々な基材を用いることができ、液晶表示装置に用いられる基板の選択自由度が高くなる。
乾燥温度は、配向膜形成用組成物に含まれる溶剤を除去することができる温度であれば特に限定されないが、好ましくは200℃以下、より好ましくは40〜150℃、さらに好ましくは50〜100℃である。
配向膜形成用組成物の塗布方法としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の方法を用いることができる。塗布方法の例としては、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、浸漬塗布法、ロールコーター塗布法、スピンコート法などが挙げられる。
実施の形態3.
本実施の形態の液晶表示装置は、配向膜が形成された一対の基板と、前記一対の基板間に挟持された液晶層とを有する液晶表示装置であって、配向膜が、上記の配向膜形成用組成物を用いて形成されていることを特徴とする。
以下、図面を参照して本実施の形態の液晶表示装置について詳細に説明する。なお、本実施の形態の液晶表示装置は、配向膜の構成以外は公知の液晶表示装置の構成を採用することができ、以下の構成に限定されるものではない。
図1は、平面型電極を用いた本実施の形態のVAモード液晶表示装置の断面図である。図1において、(A)は電界OFFの場合、(B)は電界ONの場合を表す。このVAモード液晶表示装置は、対向した一対のガラス基板などの基板1a,1bと、基板1aと基板1bとの間に形成された液晶層2とを備えており、基板1a,1bの液晶層2と直に接する面には、液晶分子を配向制御する配向膜8が形成されている。また、基板1aには、所望のカラーを実現するためのカラーフィルタ層4、カラーフィルタ層4を保護するためのオーバーコート層5及び平面型電極6が順次形成されており、基板1bには、平面型電極6が形成されている。そして、液晶層2は、シール材9によって封止されている。
このVAモード液晶表示装置において、上記の配向膜形成用組成物を用いて形成された配向膜8は、液晶層2中の液晶分子3を基板に対して垂直に配向させることができる。したがって、このVAモード液晶表示装置では、(A)電界OFFの場合、液晶層2中の液晶分子(n型液晶分子)3が基板1a,1bに対して垂直に配向し、(B)電界ONの場合、液晶分子(n型液晶分子)3が電気力線(図中の矢印)に垂直に配向、すなわち基板1a,1bに対して平行に配向させることができる。
図2は、櫛型電極を用いた本実施の形態のVAモード液晶表示装置の断面図である。図2において、(A)は電界OFFの場合、(B)は電界ONの場合を表す。この液晶表示装置は、対向した一対のガラス基板などの基板1a,1bと、基板1aと基板1bとの間に形成された液晶層2とを備えており、基板1a,1bの液晶層2と直に接する面には、液晶分子を配向制御する配向膜8が形成されている。また、基板1aには、所望のカラーを実現するためのカラーフィルタ層4、及びカラーフィルタ層4を保護するためのオーバーコート層5が順次形成されており、基板1bには、櫛型電極7が形成されている。そして、液晶層2は、シール材9によって封止されている。なお、櫛型電極構造には、FFS(フリンジフィールドスィッチング)モード(例えば、特開2008−51846号公報参照)を用いることも可能である。
このVAモード液晶表示装置において、上記の配向膜形成用組成物を用いて形成された配向膜8は、液晶層2中の液晶分子3を基板に対して垂直に配向させることができる。したがって、このVAモード液晶表示装置では、(A)電界OFFの場合、液晶層2中の液晶分子(p型液晶分子)3が基板1a,1bに対して垂直に配向し、(B)電界ONの場合、液晶分子(p型液晶分子)3が電気力線(図中の矢印)に平行に配向、すなわち基板1a,1bに対して平行に配向させることができる。
以下、実施例により本発明の詳細を説明するが、これらによって本発明が限定されるものではない。
まず、上記の一般式(5)により表されるデンドロン(a=2、b=3、Rは以下に表す)を次のようにして合成した。
Figure 2016003315
<2−[N,N−ビス(2−シアノエチル)アミノ]エタノールの合成>
200mLのナスフラスコに、水(60mL)、2−アミノエタノール(10g、0.17mmol)及びアクリロニトリル(22g、0.42mol)を入れ、80℃で1時間攪拌した後、減圧下でアクリロニトリル及び水を留去した。次に、残渣をクロロホルムに溶解し、この溶液に無水硫酸マグネシウムを加えて水分を除去した後、クロロホルムを減圧下で除去することによって無色透明な液体を収量27g(収率97%)で得た。この液体のIRを測定したところ、3492cm−1(OH)、2248cm−1(CN)の特性吸収が観測された。
<2−[N,N−ビス(3−アミノプロピル)アミノ]エタノールの合成>
300mLの三口フラスコに、水素化リチウムアルミニウム(6.9g、0.18mol)及びTHF(160mL)を入れ、室温で30分攪拌した。次に、この溶液に−5℃で濃硫酸(3.6mL、0.068mol)を加え、さらに1時間攪拌した。次に、この溶液に2−[N,N−ビス(2−シアノエチル)アミノ]エタノール(5.0g、0.03mol)のTHF溶液(30mL)を加え、さらに室温で8時間攪拌した。次に、氷浴中で、この混合溶液に注射器を用いて水(9.7mL)を加えた。生成した固体をろ過することによって分離した後、固体をメタノールで24時間ソックスレー抽出した。次に、抽出液と、ろ過によって分離したろ液とを混合した後、この溶液に無水硫酸マグネシウムを加えて水分を除去した。次に、減圧下で溶媒を除去することによって、黄色の液体を収量2.9g(収率54%)で得た。この液体のIRを測定したところ、3285cm−1(OH)の特性吸収が観測された。
<デンドロンの合成>
50mLのナスフラスコに、2−[N,N−ビス(3−アミノプロピル)アミノ]エタノール(0.18g、1.0mmol)、6−[4−(trans−4−ペンチルシクロヘキシル)フェノキシ]ヘキシルアクリレート(2.1g、5.1mmol)及びTHF(1.0mL)を入れ、窒素雰囲気下で3日間攪拌した。次に、減圧下でTHFを除去した後、残渣をクロロホルムに溶解し、この溶液を水で三回洗浄した。次に、この溶液に無水硫酸マグネシウムを加えて水分を除去した後、減圧下でクロロホルムを除去した。次に、残渣を少量のクロロホルムに溶解した後、この溶液を100mLのメタノールに加え、上澄みをデカンテーションによって除去することによって沈殿物を回収した。この操作を6回繰り返すことによって精製を行い、淡黄色固体を収量0.85g(収率49%)で得た。
この淡黄色固体のH−NMR(CDCl,400MHz)を測定したところ、7.12〜6.79ppm(m,ArH,16H)、4.07ppm(t,COOCH,8H)、3.91ppm(t,PhOCH,2H)、3.53ppm(t,HOCH,2H)の特性吸収が観測された。また、この淡黄色固体のMALDI−TOF−MSによる分子量を測定したところ、理論値m/Z=1777.37(M+H)に対して実測値m/Z=1778.27(M+H)であった。また、この淡黄色固体のDSC測定を行ったところ、昇温過程においては14℃及び63℃に吸熱ピークが観測され、また、降温過程においては19℃及び58℃に発熱ピークが観測された。
<デンドロン側鎖を有するアクリルモノマーの合成>
上記の一般式(4)により表されるアクリルモノマー(a、b及びRは、上記のデンドロンの合成で示した通りである)を次のようにして合成した。
上記で得られたデンドロン(0.202g、0.114mmol)のTHF(4.0mL)溶液にトリエチルアミン(23.5μL、0.169mmol)を加え、室温で30分攪拌した。次に、水浴で冷却しつつ、アクリル酸塩化物(27.5μL、0.340mmol)を滴下し、室温で3日間攪拌して反応させた。次に、反応物を減圧下で濃縮した後、濃縮物をクロロホルムに溶解し、その溶液を飽和重曹水(20mL)で2回、水(20mL)で3回、飽和食塩水(20mL)で2回洗浄した。次に、この溶液に無水硫酸マグネシウムを加えて水分を除去した後、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮した。次に、残渣をGPC(溶媒:クロロホルム)で精製し、黄色の粘性のある液体(アクリルモノマー)を収量98mg(0.054mmol、収率47%)で得た。
この液体(アクリルモノマー)のH−NMR(CDCl,400MHz)を測定したところ、7.12〜6.81ppm(m,Ph,16H)、6.41ppm(d,CH=CH−,1H)、6.14ppm(dd,CH=CH−,1H)、5.81ppm(d,CH=CH−,1H)、4.21ppm(s,−OCHCHN−,2H)、4.07ppm(t,−OCH−,8H)、3.92ppm(t,−CHOPh−,8H)、2.79〜0.89ppm(m)の特性吸収が観測された。
<デンドロン側鎖を有するアクリルポリマーの合成>
上記の一般式(1)により表されるアクリルポリマー(a、b及びRは、上記のデンドロンの合成で示した通りであり、nは4.2である)を次のようにして合成した。
上記で得られたデンドロン側鎖を有するアクリルモノマー(78mg、43μmol)のTHF(0.4mL)溶液にAIBN(0.8mg、4.9μmol)を加え、窒素雰囲気下、60℃で12時間攪拌して反応させた。次に、反応物を減圧下で濃縮した後、残渣をGPC(溶媒:クロロホルム)で精製し、褐色の固体(アクリルポリマー)を収量19mg(収率24%)で得た。
この固体(アクリルポリマー)の数平均分子量をGPCを用いて測定したところ、7,700であった。
また、この固体(アクリルポリマー)のH−NMR(CDCl,400MHz)を測定したところ、7.09〜6.79ppm(m,Ph)、4.03ppm(m)、3.89ppm(m)、2.75〜0.79ppm(m)の特性吸収が観測された。
上記で合成したデンドロン側鎖を有するアクリルポリマーについて、テトラヒドロフラン(THF)に対する溶解度(25℃)の試験を行った。
その結果、上記で合成したデンドロン側鎖を有するアクリルポリマーは、29質量%までTHFに完全に溶解することを目視にて確認した。
次に、上記で合成したデンドロン側鎖を有するアクリルポリマーを10質量%含むテトラヒドロフラン溶液(配向膜形成用組成物)を用いて液晶セルを作製した。
まず、一方のガラス基板上にクロム櫛型電極(イーエッチシー社製、電極間距離10μm、電極面積2cm)を形成した後、配向膜形成用組成物をスピンコートにて塗布し、80℃で乾燥させることにより配向膜を形成した。また、他方のガラス基板にも配向膜形成用組成物をスピンコートにて塗布し、80℃で乾燥させることにより配向膜を形成した。次に、配向膜を形成した一方のガラス基板上にドット状カラムスペーサー(JSR株式会社製、型番JNPC−123−V2、高さ約5μm)を配置し、注入口エリアとなる部分を除くガラス基板の周辺に熱硬化型シール材(三井化学株式会社製、型番XN21−S)を塗布した後、配向膜を形成した他方のガラス基板と重ね合わせ、バネ式冶具加圧環境下、160℃で5時間加熱することによりガラス基板同士を接着した。次に、フッ素系混合液晶(メルクジャパン製ZLI4972)を注入口からキャピラリーで注入した後、UV接着剤(スリーボンド製、型番3027D)で注入口を封止した。このようにして得られた液晶セルのセルギャップは約3.0μmであった。
作製した液晶セルについて、昇降温過程前及び昇降温過程後のスイッチング特性を評価した。この評価は、偏光顕微鏡(BX−50p、オリンパス株式会社製)を用いて、電界印加時及び無印加時の挙動を観察することによって行った。また、昇降温過程は、液晶セルをホットステージ(顕微鏡用加熱/冷却装置LK−600PM、リンカム社製)上に配置し、20℃/分の昇温速度にて20℃から120℃へ昇温させた後、1℃/分の冷却速度にて20℃まで冷却した。
この評価の結果、デンドロン側鎖を有するポリマーを含むことを特徴とする配向膜形成用組成物を用いて形成した配向膜を有する液晶セルでは、昇降温過程前及び昇降温過程後のいずれにおいても、均一な垂直配向が確認されると共に、暗視野から明視野への切り替えが良好であり、スイッチング特性に優れていることがわかった。
以上の結果からわかるように、本発明によれば、溶剤の使用量を低減することができると共に、安価な低沸点溶剤を用いて低温処理で配向膜を形成することができる配向膜形成用組成物及び配向膜の形成方法、並びにそれを用いた液晶表示装置を提供することができる。
1a、1b 基板、2 液晶層、3 液晶分子、4 カラーフィルタ層、5 オーバーコート層、6 平面型電極、7 櫛型電極、8 配向膜、9 シール材。

Claims (10)

  1. デンドロン側鎖を有するポリマーを含むことを特徴とする配向膜形成用組成物。
  2. 前記ポリマーがアクリルポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の配向膜形成用組成物。
  3. 前記デンドロン側鎖が、アルキル基、アルコキシ基及びフッ素からなる群より選択される少なくとも1つを末端に有することを特徴とする請求項1又は2に記載の配向膜形成用組成物。
  4. 前記デンドロン側鎖がメソゲン基を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の配向膜形成用組成物。
  5. 前記ポリマーが、以下の一般式(1):
    Figure 2016003315
    (式中、nは2〜20の正数であり、Dはデンドロン側鎖である)で表され、
    前記デンドロン側鎖Dが、以下の一般式(2):
    Figure 2016003315
    (式中、a及びbは2〜5の整数であり、Rは以下の一般式(3):
    Figure 2016003315
    (式中、cは3〜12の整数であり、Aは、
    Figure 2016003315
    (式中、Rは、炭素数1〜12のアルキル基若しくはアルコキシ基、又はフッ素である)である)により表される)により表されるアクリルポリマーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の配向膜形成用組成物。
  6. 前記ポリマーの含有量が6質量%超過50質量%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の配向膜形成用組成物。
  7. 前記ポリマーを溶解し且つ沸点が150℃以下である低沸点溶剤をさらに含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の配向膜形成用組成物。
  8. 前記低沸点溶剤がテトラヒドロフランであることを特徴とする請求項7に記載の配向膜形成用組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の配向膜形成用組成物を基板上に塗布した後、乾燥させることで配向膜を形成すること特徴とする配向膜の形成方法。
  10. 配向膜が形成された一対の基板と、前記一対の基板間に挟持された液晶層とを有する液晶表示装置であって、
    前記配向膜が、請求項1〜8のいずれか一項に記載の配向膜形成用組成物を用いて形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
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