JP2016001236A - 回折格子および変位計測装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】1次回折光に対して2次以上の高次回折光の出射が相対的に抑制される透過型の回折格子、および、高いS/N比を有する変位計測装置、を提供する。【解決手段】回折格子100は、光透過性の部材で構成された、透過型の回折格子であり、第1の面110と第2の面120を有する。第1の面110は、レーザー光が入射すべきパターン112を含み、第2の面120は、回折光のうちの1次回折光が出射されるべき窓部122と、その周囲に配置される、2次以上の高次回折光が到達すべき粗面部124と、を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、回折格子およびそれを有する変位計測装置に関する。
物体の変位量(例えば移動距離)を測定する変位計測装置には、回折格子による回折光の光量の変化から、当該物体の変位量を検出する装置が知られている。当該変位計測装置では、例えば、上記物体に対して独立して配置された光源からの光から、同じく上記物体に対して独立して配置された第1の回折格子によって回折光を生じさせる。そして、上記物体の移動に対応して移動可能な第2の回折格子によって上記回折光を光センサに向けて回折させ、第2の回折格子の移動に応じた光量の変化を当該光センサで検出する(例えば、特許文献1参照)。
上記変位計測装置における第1および第2の回折格子には、いずれも、透過型の回折格子が用いられる。透過型の回折格子では、1次回折光以外の高次回折光、例えば3次回折光、が、1次回折光と重なって出射されることがある。このため、上記光センサでは、1次回折光と3次回折光とが重なった光が検出されることがある。
1次回折光は、通常、3次回折光よりも十分に強いので、光センサにおける検出対象とされやすい。しかしながら、例えば光センサの感度によっては、3次回折光がノイズとなることがある。
一方で、反射型の回折格子では、パターンの深さと、当該パターンへの光の入射角度とを規定することにより、2次以上の高次回折光の発生を抑制することが知られている(例えば、特許文献2)。
国際公開第2011/043354号 特開2012−002701号公報
上記変位計測装置では、S/N比を高める観点から、1次回折光を強め、または2次以上の高次回折光を弱めることが望まれる。このように、上記変位計測装置に適用可能な回折格子(すなわち透過型の回折格子)において、2次以上の高次回折光の発生を抑制することには、未だ検討の余地が残されている。
本発明は、1次回折光に対して2次以上の高次回折光の出射が相対的に抑制される透過型の回折格子を提供することを第1の課題とする。
また、本発明は、高いS/N比を有する変位計測装置を提供することを第2の課題とする。
本発明は、光透過性の部材で構成され、回折光を生じさせるためのパターンを有する透過型の回折格子であって、光が入射すべき、前記パターンを含む第1の面と、前記パターンへの前記光の入射によって生じ、前記回折格子を透過した前記回折光が出射すべき第2の面と、前記第2の面における、前記回折光のうちの2次以上の高次回折光が到達すべき部分に配置される遮光部と、を有する、回折格子を提供する。
また、本発明は、光源と、前記光源から出射された光を、1次回折光を含む回折光に分けるための第1の回折格子と、前記第1の回折格子と対向し、かつ、相対的に移動可能に配置されており、前記第1の回折格子から出射される少なくとも前記1次回折光を所期の方向へ進行させるための第2の回折格子と、前記第2の回折格子から出射された光の光量を検出するための光センサと、を有し、前記光センサで検出された光の光量の変化から、前記第1の回折格子に対する前記第2の回折格子の移動量を測定する、変位計測装置であって、少なくとも前記第1の回折格子における、前記回折光のうちの2次以上の高次回折光が到達すべき部分は、遮光されている、変位計測装置を提供する。
上記回折格子は、第2の面における1次回折光が出射されるべき部分に隣接する、高次回折光が到達すべき部分に上記遮光部が配置されることから、高次回折光の出射が上記遮光部によって十分に抑制される。よって、実質的には1次回折光のみが第2の面から出射される。したがって、1次回折光に対して2次以上の高次回折光の出射が相対的に抑制される透過型の回折格子が提供される。
また、上記変位計測装置は、少なくとも上記第1の回折格子において、1次回折光が出射される部分の周囲が遮光され、そして高次回折光は当該部分の周囲に到達することから、1次回折光とともに3次回折光が出射される従来の変位計測装置よりも高いS/N比を有する変位計測装置が提供される。
図1Aは、本発明の第1の実施の形態に係る回折格子の部分断面図であり、図1Bは、当該回折格子の部分平面図である。 図2Aは、回折格子の平面図であり、図2Bは、当該回折格子の要部の断面を模式的に示す図である。 図3Aは、本発明の第2の実施の形態に係る回折格子の構成を模式的に示す図であり、図3Bは、本発明の第3の実施の形態に係る回折格子の構成を模式的に示す図である。 本発明の第4の実施の形態に係る回折格子の構成を模式的に示す図である。 図5Aは、本発明の第5の実施の形態に係る回折格子の部分断面図であり、図5Bは、本発明の第6の実施の形態に係る回折格子の部分平面図であり、図5Cは、本発明の第7の実施の形態に係る回折格子の部分平面図である。 図6Aは、本発明の一実施の形態に係る変位計測装置の構成を模式的に示す図であり、図6Bは、本発明の他の実施の形態に係る変位計測装置の構成を模式的に示す図である。
[回折格子]
本発明の一実施の形態に係る回折格子を説明する。図1Aは、本発明の第1の実施の形態に係る回折格子100の部分断面図であり、図1Bは、回折格子100の部分平面図である。
回折格子100は、光透過性の材料で板状に形成されている。回折格子100の平面形状は、その用途などに応じて適宜に決めることができる。上記材料の例には、ガラスなどの無機材料、および、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、環状オレフィンコポリマー(COC)、環状ポリオレフィン(COP)およびポリカーボネート(PC)などの樹脂、が含まれる。
回折格子100は、第1の面110および第2の面120を有している。第1の面110は、光が入射すべき面であり、回折光を生じさせるパターン112を含む。
パターン112は、第1の面110の一部、例えば後述のレーザー光が入射する部分、のみに配置されていてもよいし、第1の面110の全面に配置されていてもよい。パターン112は、例えは、その断面形状が矩形である複数の並列する溝で構成されるが、パターン112の形状は、公知の技術に基づいて適宜に決められる。パターン112は、例えば、0次を含む偶数次の回折光を実質的に生じないように形成されている。
なお、パターン112における光の入射すべき領域(「入射スポット(IS)」とも言う)の中心を入射点(IP)とし、入射点IPを通って回折格子100の面方向に直交する仮想線を光軸LAとする。また、図1Bに示されるように、パターン112で生じた1次回折光が第2の面120に表れるべき範囲をスポットAとし、パターン112で生じた3次回折光が第2の面120に表れるべき範囲をスポットBとする。スポットAとスポットBは、その外縁で互いに接している、とする。
第2の面120は、窓部122および粗面部124を含む。窓部122は、第2の面120における平滑な部分であり、光軸LAおよびスポットAを含む領域である。粗面部124は、第2の面120における、光を散乱するように微細な凹凸によって粗されている部分であり、スポットBを含む領域に形成されている。粗面部124は、上記遮光部に該当する。当該遮光部における「遮光」とは、1次回折光に対して高次回折光が完全に遮られることのみならず、1次回折光に対して当該高次回折光が実質的に影響しない程度の適度な遮光率で遮られることも意味する。
なお、波長780nmのレーザー光では、粗面部124における当該透過率は、例えば20.2%であり、窓部122における当該透過率は、例えば90.7%である。当該透過率は、例えば、コンピュータシミュレーションによって求めることが可能であり、あるいは、回折格子100と同じ材料および同じ厚さの、そして第2の面の一部に粗面部を有する試験片を用いる分光光度測定によって求められる。
なお、回折格子100は、第2の面120においてスポットAとスポットBとが接する位置関係となるための十分な厚さを有している。たとえば、パターン112の溝の幅が2.4μm、当該溝の深さが0.8μm、パターン112のピッチが4.8μmであり、パターン112における入射光の波長が780nm、当該入射光のスポットISの直径が1.5mmである場合、回折格子100の厚さは4〜5mmである。
また、スポットAおよびスポットBは、パターン112の溝の幅(ピッチ)が狭いと離れ、広いと近づく。パターン112のピッチによっても、上記の位置関係を調整することが可能である。
パターン112および粗面部124は、いずれも、回折格子100を成形するための金型に形成した凹凸の転写によって形成され得る。このため、回折格子100は、回折格子100の生産性の観点から、パターン112と同じ方法で製造され得ることが好ましく、例えば回折格子100の材料が樹脂であれば射出成形、ガラスであればガラスモールド、によって製造されることが好ましい。
当該金型における、パターン112に対応する凹凸は、転写によってパターン110を形成する形状であり、例えば、その断面形状が矩形の突条である。当該突条の高さは、例えば1.0μm以下であり、当該突条の幅は、例えば2.4μm以下であり、そのピッチは4.8μmである。このような凹凸は、例えば、公知の切削加工によって作製され得る。
上記金型における粗面部124のための凹凸は、例えば、シボである。シボとは、形状および配置が不規則な微細な凹凸である。このような凹凸は、例えば、サンドブラストにより作製され得る。
次に、回折格子100の回折光の出射について説明する。図2Aは、回折格子の平面図であり、図2Bは、当該回折格子の要部の断面を模式的に示す図である。図中のLA1は1次回折光の光軸を、LA3は3次回折光の光軸をそれぞれ示す。なお、図2Aおよび図2Bには、正の次元の回折光のみを示す。
回折格子200は、従来の回折格子である。回折格子200は、回折格子200の厚さが薄く、また粗面部124を有さない以外は、回折格子100と同じに構成されている。
回折格子200は、第1の面のパターン112に光(例えばレーザー光)が照射されることにより、パターン112で1次回折光と3次回折光が発生する。発生した1次回折光および3次回折光は、回折格子200を透過し(図2Bの(1))、第2の面から出射する。このため、第2の面には、1次回折光のスポットS1と3次回折光のスポットS3とが、ほとんど重なる(図2Aの(1))。このように、第2の面では、回折格子200では、1次回折光は、3次回折光とはほとんど区別され得ない。
ところで、例えば、回折格子200の厚さだけを大きくする(この回折格子を200’とする)と、1次回折光および3次回折光は、いずれも、図2Bの(2)に示されるように、光軸LA1、LA3に沿って回折格子200’を透過することから、図2Aの(2)に示されるように、第2の表面において実質的に分離する程、例えば、スポットS1とスポットS3とがその外縁で接する程、スポットS3がスポットS1から離れ得る。
回折格子100は、回折格子200’に粗面部124をさらに配置したものと同じである。回折格子100では、1次回折光は、第2の面120の窓部122にスポットS1を形成する。しかしながら、3次回折光は、粗面部124で散乱し、遮られる(図2Bの(3))。よって、第2の面には、スポットS1のみが形成され、窓部(第2の面)からは、実質的には1次回折光のみが出射される。
ここで、波長780nmのレーザー光を上記パターンに照射したときの、回折格子200’および回折格子100の第2の面から出射される各回折光の光強度(%)をコンピュータシミュレーションで求めた結果を下記表1に示す。いずれの回折格子においても、パターン112の溝の深さは0.8μmであり、当該溝の幅は2.4μmであり、パターン112のピッチは4.8μmである。なお、上記光強度(%)とは、入射光の光強度に対する、各次数における回折光の光強度の割合を百分率で示したものである。
Figure 2016001236
回折格子100では、0次回折光は、前述したようにパターン112の溝の深さによって実質的に影響を及ぼさない程度に設定されている。そして、3次回折光は、0次回折光と同程度の光強度にまで抑えられている。また、1次回折光は、0次回折光および3次回折光のいずれに対しても十分に強い。
以上の説明から明らかなように、回折格子100は、光透過性の部材で構成され、回折光を生じさせるためのパターン112を有する透過型の回折格子であり、光が入射すべき、パターン112を含む第1の面110と、パターン112への光の入射によって生じ、回折格子を透過した回折光が出射すべき第2の面120と、第2の面120における、回折光のうちの2次以上の高次回折光が到達すべき部分に配置される遮光部(粗面部124)と、を有する。よって、回折格子100は、1次回折光に対して2次以上の高次回折光の出射を相対的に抑制することができる。
また、回折格子100が、第2の面120における3次回折光が到達すべき部分(スポットS3)を、第2の面120における1次回折光が出射されるべき部分(スポットS1)から実質的に分離させる厚さを有することは、1次回折光に対する3次回折光の出射の相対的な抑制を簡易に実現する観点から、より一層効果的である。
また、粗面部124が、第2の面120における、上記回折光のうちの3次回折光が到達すべき部分に配置されていることは、1次回折光の光強度を他の高次回折光のそれに対して相対的に十分に、そして簡易に高くする観点から、より一層効果的である。
また、粗面部124が第2の面120における、光を散乱させる凹凸で構成されていることは、パターン112および粗面部124を含む回折格子100を一度の射出成形で製造することが可能となるので、生産性を高める観点からより一層効果的である。
なお、回折格子100は、粗面部124に代えて着色部または金属膜を含んでいてもよい。当該着色部は、多層成形技術を用いて、着色ポリカーボネートのような着色層を粗面部124の位置に作製してもよいし、あるいは、回折格子200’の所期の位置に塗料の塗布によって作製してもよい。また、上記金属膜は、例えば、めっきにより作製することが可能である。
図3Aは、本発明の第2の実施の形態に係る回折格子の構成を模式的に示す図であり、図3Bは、本発明の第3の実施の形態に係る回折格子の構成を模式的に示す図である。粗面部124は、図3Aに示されるように、シボではなくプリズム部であってもよい。プリズム部とは、四角錐などの所定の、しかし微細な形状が、平面的に規則的に配置されている構造であり、シボと同様に、光を散乱する微細な凹凸となる。当該プリズム部は、図3Aに示されるように、回折格子100用の金型の対応する部分に規則的な微細構造を形成し、当該金型を用いて回折格子100の成形と同時に作製されたものであってもよいし、あるいは、回折格子100’は、図3Bに示されるように、回折格子200’と、回折格子200’の所期の位置に貼り付けられた、プリズム部となるシート174と、から構成されていてもよい。
図4は、本発明の第4の実施の形態に係る回折格子の構成を模式的に示す図である。回折格子300は、図4に示されるように、回折格子200’と、粗面部124に代わる、回折格子200’に取り付けられる、スポットBを塞ぐ不透明な部材224とから構成されていてもよい。部材224の例には、回折格子200’を使用されるべき位置に保持するためのホルダー、および、当該ホルダーに固定するための枠体、が含まれる。
また、回折格子100は、粗面部124に代えて、高次回折光を全反射させる部位を含んでいてもよい。図5Aは、本発明の第5の実施の形態に係る回折格子の部分断面図である。
図5Aに示される回折格子400は、粗面部124の位置に傾斜部324を有する以外は回折格子100と同様に構成されている。回折格子400では、図5Aに示されるように、3次回折光は、傾斜部324の傾斜面で全反射し、例えば光軸LA3からさらに外方へ、出射される。回折格子400も、回折格子100と同様の効果を奏する。
なお、回折格子100は、スポットAとスポットBとが接するように設計されているが、スポットAおよびスポットBは、1次回折光の検出が可能な範囲において、一部が重なっていてもよい。図5Bは、本発明の第6の実施の形態に係る回折格子の部分平面図である。
図5Bに示される回折格子500は、スポットBがスポットAにわずかに重なっており、粗面部424は、スポットBを全て覆い、スポットAにおける、スポットBと重複する部分を覆うように、配置されている。回折格子500は、1次回折光の光強度が若干低いことを除き、回折格子100と同様の効果を奏する。
また、回折格子100では、第2の面120において、正の1次回折光のスポットAと、負の1次回折光のスポットAとの間には何も配置されていないが、両スポットA間に、さらに粗面部が配置されていてもよい。図5Cは、本発明の第7の実施の形態に係る回折格子の部分平面図である。
図5Cに示される回折格子600は、二つのスポットA間に粗面部524がさらに配置されている。粗面部524は、主に0次回折光を散乱させ、弱める。回折格子600は、回折格子100と同様の効果を奏し、さらに0次回折光の影響を低減させる観点からより一層効果的である。
上述した回折格子は、公知の回折格子と同様に、変位計測装置に利用することができる。
[変位計測装置]
変位計測装置は、前述した回折格子が少なくとも、上記パターンが光源側に配置される回折格子として用いられる以外は、特許文献1に記載の変位計測装置と同様に構成することができる。
図6Aは、本発明の一実施の形態に係る変位計測装置の構成を模式的に示す図である。
変位計測装置700は、図6Aに示されるように、光源601、コリメータレンズ602、第1の回折格子100(前述の回折格子100と同じ)、第2の回折格子604、および光センサ605を有する。
光源601は、例えば、レーザー光を出射する装置である。コリメータレンズ602は、光源601からのレーザー光を直進する平行光にするための光学素子である。第1の回折格子100は、当該レーザー光から1次回折光を生じさせるための光学素子である。光源601、コリメータレンズ602および第1の回折格子100は、いずれも所期の位置に固定されている。
第2の回折格子604は、第1の回折格子100と対向して配置されている。また、第2の回折格子604は、第1の回折格子100に対して相対的に移動可能に配置されており、移動量の測定対象品(例えば、自転車のブレーキパッド)と、その移動量が適当に反映されるように、直接または間接的に接続されている。第2の回折格子604は、第1の回折格子100から出射される少なくとも1次回折光を、光センサ605に向けて出射するための光学素子である。光センサ605は、光量を検出するための装置であり、例えばフォトダイオードである。
光源601から照射されたレーザー光は、図6A中において実線で示されるように、コリメータレンズ602によって平行な光となり、第1の回折格子100のパターン112に入射する。パターン112では、1次回折光を含む高次回折光が発生し、第1の回折格子100を透過する。3次回折光は、粗面部124によって散乱され、実質的に1次回折光のみが、窓部122から出射する。
窓部122から出射した1次回折光は、第2の回折格子604のパターンに入射し、光センサ605に向かう回折光として第2の回折格子604から出射する。当該回折光は、光センサ605に入射し、検出される。
第2の回折格子604が、その光軸方向(図6A中のX方向)に移動すると、第2の回折格子604から出射される回折光の光路も当該光軸方向へ移動し、移動後の光路の当該回折光が光センサ605で検出される。このときの光量の変化などによって、この光学的な変化に応じた距離が、第1の回折格子100に対する第2の回折格子604の移動量として測定され、その結果、上記測定対象品の移動量が求められる。
変位計測装置700は、第1の回折格子100を有することから、実質的に1次回折光のみが出射される。よって、光センサ605の検出条件が、3次回折光がノズルとなるような、より限定された条件であっても、S/N比が高く、従来の3次回折光を含む変位計測に比べて、より高い精度の変位計測を行うことが可能である。
なお、変位計測装置700は、粗面部124に代わる構成要素を有する場合には、回折格子100に代えて回折格子200’を用いることが可能である。
図6Bは、本発明の他の実施の形態に係る変位計測装置の構成を模式的に示す図である。変位計測装置800は、図6Bに示されるように、第1の回折格子100に代えて、第1の回折格子200’を有するとともに、第1の回折格子200’を光路中の所期の位置に固定、保持するためのホルダー706を有している。ホルダー706は、光透過性を有さず、かつ、第1の回折格子100を保持したときに、第1の回折格子100の粗面部124に対応する部分を覆うように形成されている。このように、変位計測装置800では、第1の回折格子200’の第2の面における窓部122の周囲に、遮光性のホルダー706が配置される。変位計測装置800も、前述した変位計測装置700と同様の効果を奏する。
なお、上記変位計測装置において、第1の回折格子のみならず、第2の回折格子にも前述した本実施の形態に係る回折格子を採用してもよい。
以上の説明から明らかなように、上記変位計測装置は、光源と、当該光源から出射された光を、1次回折光を含む回折光に分けるための第1の回折格子と、当該第1の回折格子と対向し、かつ、相対的に移動可能に配置されており、第1の回折格子から出射される少なくとも1次回折光を所期の方向へ進行させるための第2の回折格子と、当該第2の回折格子から出射された光の光量を検出するための光センサと、を有し、当該光センサで検出された光の光量の変化から、第1の回折格子に対する第2の回折格子の移動量を測定する、変位計測装置であって、少なくとも第1の回折格子における、回折光のうちの2次以上の高次回折光が到達すべき部分が遮光されていることから、1次回折光とともに3次回折光も出射される従来の変位計測装置よりも、S/N比をより高めることが可能となる。そして、当該変位計測装置の第1の回折格子には、前述した本実施の形態に係る回折格子を好適に採用することができる。
本発明に係る回折格子は、物体の移動量を計測するための変位計測装置における光学スケールとして有用であり、上記光学スケールおよび上記変位計測装置の技術分野のさらなる発展に寄与することが期待される。
100、100’、200、200’、300、400、500、600 (第1の)回折格子
110 第1の面
112 パターン
120 第2の面
122 窓部
124、424、524 粗面部
174 シート
224 部材
324 傾斜部
601 光源
602 コリメータレンズ
604 第2の回折格子
605 光センサ
700、800 変位計測装置
706 ホルダー

Claims (6)

  1. 光透過性の部材で構成され、回折光を生じさせるためのパターンを有する透過型の回折格子であって、
    光が入射すべき、前記パターンを含む第1の面と、
    前記パターンへの前記光の入射によって生じ、前記回折格子を透過した前記回折光が出射すべき第2の面と、
    前記第2の面における、前記回折光のうちの2次以上の高次回折光が到達すべき部分に配置される遮光部と、
    を有する、回折格子。
  2. 前記回折格子は、前記第2の面における3次回折光が到達すべき部分を、前記第2の面における1次回折光が出射されるべき部分から実質的に分離させる厚さを有する、請求項1に記載の回折格子。
  3. 前記遮光部は、前記第2の面における、前記回折光のうちの3次回折光が到達すべき部分に配置されている、請求項1または2に記載の回折格子。
  4. 前記遮光部は、前記第2の面における、光を散乱させる凹凸で構成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の回折格子。
  5. 光源と、
    前記光源から出射された光を、1次回折光を含む回折光に分けるための第1の回折格子と、
    前記第1の回折格子と対向し、かつ、相対的に移動可能に配置されており、前記第1の回折格子から出射される少なくとも前記1次回折光を所期の方向へ進行させるための第2の回折格子と、
    前記第2の回折格子から出射された光の光量を検出するための光センサと、
    を有し、前記光センサで検出された光の光量の変化から、前記第1の回折格子に対する前記第2の回折格子の移動量を測定する、変位計測装置であって、
    少なくとも前記第1の回折格子における、前記回折光のうちの2次以上の高次回折光が到達すべき部分は、遮光されている、変位計測装置。
  6. 少なくとも前記第1の回折格子は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の回折格子である、請求項5に記載の変位計測装置。
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