JP2016000403A - 洗浄装置、および多孔質膜の製造方法 - Google Patents

洗浄装置、および多孔質膜の製造方法 Download PDF

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康太郎 平岡
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Abstract

【課題】大型の設備を必要とすることなく、短時間、及び低コストで効率よく多孔質膜から溶媒を除去できる多孔質膜の製造方法と、この製造方法に好適に用いられる洗浄装置の提供。【解決手段】本発明は、製膜原液を凝固させて多孔質膜を形成する凝固工程と、前記多孔質膜を洗浄して多孔質膜中に残存する物質を除去する洗浄工程と、前記多孔質膜中に残存する親水性ポリマーを除去する除去工程とを有する多孔質膜の製造方法であって、前記洗浄工程は、落下する洗浄液に接触するように多孔質膜を走行させることを含む、前記製造方法に関する。本発明は、製膜原液を凝固させて得られた多孔質膜を洗浄する洗浄装置であって、洗浄液を落下させる落下手段と、落下する洗浄液に接触するように多孔質膜を走行させる走行手段とを備える前記洗浄装置に関する。【選択図】図1

Description

本発明は、多孔質膜を洗浄する洗浄装置、及び多孔質膜の製造方法に関する。
本願は、2010年10月29日に日本に出願された特願2010−243853号、2011年3月30日に日本に出願された特願2011−076244号、2011年7月12日に日本に出願された特願2011−153646号、2011年8月4日に日本に出願された特願2011−170999号、及び2011年8月12日に日本に出願された特願2011−176720号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年、環境汚染に対する関心の高まりと規制の強化により、水処理方法として、分離の完全性やコンパクト性などに優れたろ過膜を用いた方法が注目を集めている。
ろ過膜として使用される多孔質膜の製造方法としては、高分子溶液を相分離させて多孔化する非溶媒相分離現象、又は溶媒をさらに添加することなく高分子溶液を相分離させて多孔化する相分離現象を利用した非溶媒相分離法が知られている。
非溶媒相分離法としては、湿式又は乾湿式紡糸法(以下、両紡糸方法をまとめて湿式紡糸という。)が知られており、この方法によれば、高いろ過流量と、良好な分画層を有し、多量の水処理に好適な多孔質膜が得られやすい。
このような湿式紡糸により多孔質膜を製造する場合には、まず、疎水性ポリマー、親水性ポリマー、及び溶媒を含む製膜原液を調製する。ついで、この製膜原液を環状に吐出し、凝固液中で凝固させる凝固工程により多孔質膜を形成した後、乾燥工程により多孔質膜を乾燥する。製膜原液は空気と接触する空走部を経て、凝固液中へ導入されても(乾湿式紡糸法)、直接凝固液に導入されても(湿式紡糸法)よい。
ところが、この時点で得られた多孔質膜中には、通常、その多孔質部に親水性ポリマー及び溶媒が残存している。特に親水性ポリマーが残存していると、多孔質膜に求められる重要な性能の1つである透水性能が不十分となる。そのため、凝固工程と乾燥工程の間で、溶媒を洗浄により多孔質膜から除去する工程と、親水性ポリマーを分解及び洗浄などにより多孔質膜から除去する工程を行うことが、高透水性の多孔質膜を得るうえで必要となる。
溶媒を除去する方法としては、例えば図9に示すような洗浄装置120を用い、熱水121が貯蔵された洗浄槽122中に多孔質膜123を走行させて多孔質膜123を洗浄する方法がある。
しかし、この方法では多孔質膜中の溶媒が膜内部から膜表面に拡散移動すると共に、膜表面から水浴中に拡散移動することにより、多孔質膜から除去されるため、一般に長時間を要する。洗浄時間を短縮するには洗浄液である熱水の温度を上げて溶媒の拡散速度を上げればよいが、常圧下における通常の洗浄では100℃が限界であり、これ以上の温度に上げるためには加圧下で洗浄したり、洗浄液に添加物を添加して沸点を上昇させたりする必要があった。
ところが、加圧下での洗浄は洗浄槽を密閉にする必要があるため、設備が大掛かりなものとなる。一方、添加物を用いる方法は多孔質膜に添加物が付着することがあるため、洗浄後に添加物を除去する新たな工程が必要となる。
また、多孔質膜から溶媒を除去する場合、多孔質膜が保持する溶媒の残存溶媒濃度と、膜表面近傍における洗浄液の溶出溶媒濃度の関係が重要となる。すなわち、残存溶媒濃度よりも溶出溶媒濃度の方が低ければ、膜表面から洗浄液への溶媒の拡散は促進される。
しかし、従来の方法では、時間の経過と共に多孔質膜から洗浄液への溶媒の拡散が進行すると、溶出溶媒濃度が残存溶媒濃度よりも高くなり、溶媒が洗浄液へ拡散しにくくなる。そのため、洗浄時間を長くしたり、洗浄槽中の洗浄液を新しいものに交換したりする必要があったが、凝固工程から乾燥工程は連続して行われるため、特に洗浄液を交換する際は運転を停止しなければならなかった。
そこで、経済性に優れた溶媒の除去方法として、例えば特許文献1には、洗浄液を流す2以上の樋状の洗浄浴を1〜3度に傾けてジグザグ状に配置し、洗浄浴中の洗浄液の流れと多孔質膜の走行方向が同一方向になるように、かつ多孔質膜が洗浄浴の傾斜を下るように多孔質膜を洗浄浴中に走行させて、洗浄浴中にて多孔質膜を洗浄する方法が開示されている。
特開2008−237987号公報
しかしながら、特許文献1に記載の洗浄方法により多孔質膜から溶媒を除去する場合、洗浄効率を高めるためには洗浄浴の数を増やす必要があり、設備が大掛かりなものとなる。
また、洗浄浴が1〜3度に傾けられているため、洗浄浴中を流れる洗浄液の速さには限界があった。そのため、必ずしも十分な洗浄効率は得られなかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、大型の設備を必要とすることなく、短時間、及び低コストで効率よく多孔質膜から溶媒を除去できる多孔質膜の製造方法と、この製造方法に好適に用いられる洗浄装置の提供を目的とする。
本発明の洗浄装置の1つの側面は、疎水性ポリマーと親水性ポリマーと溶媒とを含む製膜原液を凝固液により凝固させて得られた多孔質膜を洗浄し、多孔質膜中に残存する溶媒を除去する洗浄装置において、洗浄液を落下させる落下手段と、落下する洗浄液に接触するように多孔質膜を走行させる走行手段とを備えたことを特徴とする。
また、前記走行手段は、多孔質膜を洗浄液の落下方向と同一方向及び/又は反対方向に走行させることが好ましい。
さらに、前記走行手段は、1対の円筒状回転体を有し、1対の円筒状回転体の間を往復させながら、多孔質膜を円筒状回転体の軸方向へ移動させることが好ましい。
前記走行手段は、鉛直方向に落下する洗浄液で多孔質膜が洗浄されるように、前記多孔質膜を走行させることが好ましい。
また、本発明の多孔質膜の製造方法の1つの側面は、疎水性ポリマーと親水性ポリマーと溶媒とを含む製膜原液を凝固液により凝固させて多孔質膜を形成する凝固工程と、前記多孔質膜を洗浄して多孔質膜中に残存する溶媒を除去する洗浄工程と、前記多孔質膜中に残存する親水性ポリマーを除去する除去工程と、前記多孔質膜を乾燥する乾燥工程とを有する多孔質膜の製造方法において、前記洗浄工程は、落下する洗浄液に接触するように多孔質膜を走行させることを特徴とする。
本発明の多孔質膜の製造方法の別の側面は、前記洗浄工程が、鉛直方向に落下する洗浄液で、走行している多孔質膜を洗浄する工程である。
さらに、前記洗浄工程は、多孔質膜を洗浄液の落下方向と同一方向及び/又は反対方向に走行させることが好ましい。
また、前記洗浄工程は、1対の円筒状回転体の間を往復させながら、多孔質膜を円筒状回転体の軸方向へ移動させることが好ましい。
本発明の洗浄装置のさらに別の側面は、疎水性ポリマーと親水性ポリマーと溶媒とを含む製膜原液を凝固液により凝固させて得られた多孔質膜を洗浄する洗浄装置であって、洗浄液を落下させる落下手段と、落下する洗浄液に接触するように多孔質膜を走行させる走行手段とを備え、前記走行手段は、千鳥状に配置された2以上の円筒状回転体を有し、これらの円筒状回転体の間を折り返しながら、多孔質膜を上流側の円筒状回転体から下流側の円筒状回転体へ移動させることを特徴とする。
ここで、前記走行手段は、多孔質膜を洗浄液の落下方向と同一方向及び/又は反対方向に走行させることが好ましい。
或いは、前記走行手段は、多孔質膜を洗浄液の落下方向に対して直交方向に走行させることが好ましい。
前記走行手段は、鉛直方向に落下する洗浄液で多孔質膜が洗浄されるように、前記多孔質膜を走行させることが好ましい。
また、本発明の多孔質膜の製造方法の別の側面は、疎水性ポリマーと親水性ポリマーと溶媒とを含む製膜原液を凝固液により凝固させて多孔質膜を形成する凝固工程と、前記多孔質膜を洗浄して多孔質膜中に残存する溶媒を除去する洗浄工程と、前記多孔質膜中に残存する親水性ポリマーを除去する除去工程とを有する多孔質膜の製造方法であって、前記洗浄工程は、落下する洗浄液に接触するように多孔質膜を走行させつつ、千鳥状に配置された2以上の円筒状回転体の間を折り返しながら、多孔質膜を上流側の円筒状回転体から下流側の円筒状回転体へ移動させることを特徴とする。
本発明の多孔質膜の製造方法の別の側面は、前記洗浄工程が、鉛直方向に落下する洗浄液で、走行している多孔質膜を洗浄する工程である。
ここで、前記洗浄工程は、多孔質膜を洗浄液の落下方向と同一方向及び/又は反対方向に走行させることが好ましい。
或いは、前記洗浄工程は、多孔質膜を洗浄液の落下方向に対して直交方向に走行させることが好ましい。
本発明の洗浄装置の別の側面は、疎水性ポリマーと親水性ポリマーと溶媒とを含む製膜原液を凝固液により凝固させて得られた多孔質膜を洗浄する洗浄装置であって、洗浄液を落下させる落下手段と、落下する洗浄液に接触するように、多孔質膜を洗浄液の落下方向と同一方向及び反対方向に走行させる走行手段とを備え、前記走行手段は、軸方向が互いに非平行な1対の円筒状回転体を有し、この1対の円筒状回転体の間を往復するように走行させながら、多孔質膜を円筒状回転体の軸方向へ移動させることを特徴とする。
前記走行手段は、鉛直方向に落下する洗浄液で多孔質膜が洗浄されるように、前記多孔質膜を走行させることが好ましい。
また、本発明の多孔質膜の製造方法の別の側面は、疎水性ポリマーと親水性ポリマーと溶媒とを含む製膜原液を凝固液により凝固させて多孔質膜を形成する凝固工程と、前記多孔質膜を洗浄して多孔質膜中に残存する溶媒を除去する洗浄工程と、前記多孔質膜中に残存する親水性ポリマーを除去する除去工程と、前記多孔質膜を乾燥する乾燥工程とを有する多孔質膜の製造方法であって、前記洗浄工程は、落下する洗浄液に接触するように、多孔質膜を洗浄液の落下方向と同一方向及び反対方向に走行させつつ、軸方向が互いに非平行な1対の円筒状回転体の間を往復するように走行させながら、多孔質膜を円筒状回転体の軸方向へ移動させることを特徴とする。
本発明の多孔質膜の製造方法の別の側面は、前記洗浄工程が、鉛直方向に落下する洗浄液で、走行している多孔質膜を洗浄する工程である。
本発明の洗浄装置の別の側面は、疎水性ポリマーと親水性ポリマーと溶媒とを含む製膜原液を凝固液により凝固させて得られた多孔質膜を洗浄し、多孔質膜中に残存する溶媒を除去する洗浄装置であって、洗浄液を落下させる落下手段と、落下する洗浄液に接触するように、かつ、洗浄液の落下方向と多孔質膜の走行方向とが交差するように、多孔質膜を走行させる走行手段とを備え、前記走行手段は、1対の円筒状回転体を有し、この1対の円筒状回転体の間を往復するように走行させながら、多孔質膜を円筒状回転体の軸方向へ移動させることを特徴とする。
前記走行手段は、鉛直方向に落下する洗浄液で多孔質膜が洗浄されるように、前記多孔質膜を走行させることが好ましい。
また、本発明の多孔質膜の製造方法の別の側面は、疎水性ポリマーと親水性ポリマーと溶媒とを含む製膜原液を凝固液により凝固させて多孔質膜を形成する凝固工程と、前記多孔質膜を洗浄して多孔質膜中に残存する溶媒を除去する洗浄工程と、前記多孔質膜中に残存する親水性ポリマーを除去する除去工程と、前記多孔質膜を乾燥する乾燥工程とを有する多孔質膜の製造方法であって、前記洗浄工程は、落下する洗浄液に接触するように、かつ、洗浄液の落下方向と多孔質膜の走行方向とが交差するように、多孔質膜を走行させつつ、1対の円筒状回転体の間を往復するように走行させながら、多孔質膜を円筒状回転体の軸方向へ移動させることを特徴とする。
本発明の多孔質膜の製造方法の別の側面は、前記洗浄工程が、鉛直方向に落下する洗浄液で、走行している多孔質膜を洗浄する工程である。
本発明の洗浄装置の別の側面は、疎水性ポリマーと親水性ポリマーと溶媒とを含む製膜原液を凝固液により凝固させて得られた多孔質膜を洗浄し、多孔質膜中に残存する溶媒を除去する洗浄装置であって、洗浄液を落下させる落下手段と、落下する洗浄液に接触するように、多孔質膜を洗浄液の落下方向と同一方向又は反対方向に走行させる走行手段とを備え、前記落下手段は洗浄液を流す流路を有し、前記流路はその一端から洗浄液が落下するように斜めに配置され、前記走行手段は、洗浄液が前記流路から落下する落下部に多孔質膜の走行を規制するガイド部材を有する、ことを特徴とする。
前記走行手段は、鉛直方向に落下する洗浄液で多孔質膜が洗浄されるように、前記多孔質膜を走行させることが好ましい。
また、前記落下手段が2以上の流路を有することが好ましい。
さらに、前記2以上の流路は、洗浄液が任意の流路から次の流路へ落下しながら順次移動するようにジグザグ状に配置されたことが好ましい。
また、本発明の多孔質膜の製造方法の別の側面は、疎水性ポリマーと親水性ポリマーと溶媒とを含む製膜原液を凝固液により凝固させて多孔質膜を形成する凝固工程と、前記多孔質膜を洗浄して多孔質膜中に残存する溶媒を除去する洗浄工程と、前記多孔質膜中に残存する親水性ポリマーを除去する除去工程と、前記多孔質膜を乾燥する乾燥工程とを有する多孔質膜の製造方法であって、前記洗浄工程は、洗浄液を流す流路の一端から落下する洗浄液に接触するように、この洗浄液の落下部に設けられた多孔質膜の走行を規制するガイド部材によって、多孔質膜を洗浄液の落下方向と同一方向又は反対方向に走行させることを特徴とする。
本発明の多孔質膜の製造方法の別の側面は、前記洗浄工程が、鉛直方向に落下する洗浄液で、走行している多孔質膜を洗浄する工程である。さらに、前記洗浄工程は、洗浄液を流す2以上の流路の任意の流路から次の流路へ落下しながら順次移動する洗浄液に接触するように、これら洗浄液の落下部に設けられた走行手段によって、多孔質膜を洗浄液の落下方向と同一方向又は反対方向に走行させることが好ましい。
また、前記2以上の流路がジグザグ状に配置されたことが好ましい。
すなわち、本発明は以下に関する。
(1)疎水性ポリマーと親水性ポリマーと溶媒とを含む製膜原液を凝固液により凝固させて多孔質膜を形成する凝固工程と、前記多孔質膜を洗浄して多孔質膜中に残存する物質を除去する洗浄工程と、前記多孔質膜中に残存する親水性ポリマーを除去する除去工程と、前記多孔質膜を乾燥する乾燥工程とを有する多孔質膜の製造方法であって、前記洗浄工程は、落下する洗浄液に接触するように多孔質膜を走行させることを含む、前記多孔質膜の製造方法。
(2)前記洗浄工程は、多孔質膜を洗浄液の落下方向と平行に走行させることを含む、(1)に記載の多孔質膜の製造方法。
(3)前記洗浄工程は、前記多孔質膜を前記洗浄液に対し高角で接触するように走行させることを含む、(1)又は(2)に記載の多孔質膜の製造方法。
(4)前記洗浄工程において、前記洗浄液の落下が自由落下である、(1)〜(3)の何れか1項に記載の多孔質膜の製造方法。
(5)前記洗浄工程は、前記多孔質膜を前記洗浄液の落下方向と同一方向及び反対方向に走行させることを含み、前記洗浄工程において、前記多孔質膜の走行速度をV1、前記洗浄液の平均移動速度をv2としたときに、v2/V1が1以上である、(1)〜(4)の何れか1項に記載の多孔質膜の製造方法。
(6)前記洗浄工程は、前記多孔質膜を前記洗浄液の落下方向と同一方向に走行させることを含み、前記洗浄工程において、前記多孔質膜の走行速度をV1、前記洗浄液の平均移動速度をv2としたときに、v2/V1が2以上である、(1)〜(4)の何れか1項に記載の多孔質膜の製造方法。
(7)前記洗浄工程は、前記多孔質膜を前記洗浄液の落下方向と反対方向に走行させることを含む、(1)〜(4)の何れか1項に記載の多孔質膜の製造方法。
(8)前記洗浄工程は、1対の円筒状回転体の間を往復させながら、多孔質膜を円筒状回転体の軸方向へ移動させることを含む、(1)〜(7)の何れか1項に記載の多孔質膜の製造方法。
(9)前記洗浄工程は、落下する洗浄液に接触するように多孔質膜を走行させつつ、互い違いに配置された2以上の円筒状回転体の間を順に走行させながら、多孔質膜を上流側の円筒状回転体から下流側の円筒状回転体へ移動させることを含む、(1)又は(3)〜(7)の何れか1項に記載の多孔質膜の製造方法。
(10)前記洗浄工程は、多孔質膜を洗浄液の落下方向と平行に走行させることを含む、(9)に記載の多孔質膜の製造方法。
(11)前記洗浄工程は、多孔質膜を洗浄液の落下方向に対して直交方向に走行させることを含む、(9)に記載の多孔質膜の製造方法。
(12)前記洗浄工程は、落下する洗浄液に接触するように、多孔質膜を洗浄液の落下方向と同一方向及び反対方向に走行させつつ、軸方向が互いに非平行な1対の円筒状回転体の間を往復するように走行させながら、多孔質膜を円筒状回転体の軸方向へ移動させることを含む、(1)〜(7)の何れか1項に記載の多孔質膜の製造方法。
(13)前記洗浄工程は、落下する洗浄液に接触するように、かつ、洗浄液の落下方向と多孔質膜の走行方向とが交差するように、多孔質膜を走行させつつ、1対の円筒状回転体の間を往復するように走行させながら、多孔質膜を円筒状回転体の軸方向へ移動させることを含む、(1)〜(7)の何れか1項に記載の多孔質膜の製造方法。
(14)前記洗浄工程は、洗浄液を流す流路の一端から落下する洗浄液に接触するように、この洗浄液の落下部に設けられた多孔質膜の走行を規制するガイド部材によって、多孔質膜を洗浄液の落下方向と同一方向又は反対方向に走行させることを含む、(1)〜(7)の何れか1項に記載の多孔質膜の製造方法。
(15)前記洗浄工程は、洗浄液を流す2以上の流路の任意の流路から次の流路へ落下しながら順次移動する洗浄液に接触するように、これら洗浄液の落下部に設けられた走行手段によって、多孔質膜を洗浄液の落下方向と同一方向又は反対方向に走行させることを含む、(14)に記載の多孔質膜の製造方法。
(16)前記2以上の流路がジグザグ状に配置された、(15)に記載の多孔質膜の製造方法。
(17)疎水性ポリマーと親水性ポリマーと溶媒とを含む製膜原液を凝固液により凝固させて得られた多孔質膜を洗浄し、多孔質膜中に残存する物質を除去する洗浄装置であって、洗浄液を落下させる落下手段と、落下する洗浄液に接触するように多孔質膜を走行させる走行手段とを備える、前記洗浄装置。
(18)前記走行手段は、多孔質膜を洗浄液の落下方向と平行に走行させる手段である、(17)に記載の洗浄装置。
(19)前記走行手段は、1対の円筒状回転体を有し、1対の円筒状回転体の間を往復させながら、多孔質膜を円筒状回転体の軸方向へ移動させる手段である、(17)又は(18)に記載の洗浄装置。
(20)前記走行手段は、互い違いに配置された2以上の円筒状回転体を有し、これらの円筒状回転体の間を順に走行させながら、多孔質膜を上流側の円筒状回転体から下流側の円筒状回転体へ移動させる手段である、(17)に記載の洗浄装置。
(21)前記走行手段は、多孔質膜を洗浄液の落下方向と平行に走行させる手段である、(20)に記載の洗浄装置。
(22)前記走行手段は、多孔質膜を洗浄液の落下方向に対して直交方向に走行させる手段である、(20)に記載の洗浄装置。
(23)前記走行手段は、多孔質膜を洗浄液の落下方向と同一方向及び反対方向に走行させる走行手段であり、前記走行手段は、軸方向が互いに非平行な1対の円筒状回転体を有し、この1対の円筒状回転体の間を往復するように走行させながら、多孔質膜を円筒状回転体の軸方向へ移動させる手段である、(17)に記載の洗浄装置。
(24)前記走行手段は、洗浄液を落下させる落下手段と、落下する洗浄液に接触するように、かつ、洗浄液の落下方向と多孔質膜の走行方向とが交差するように、多孔質膜を走行させる走行手段であり、かつ1対の円筒状回転体を有し、この1対の円筒状回転体の間を往復するように走行させながら、多孔質膜を円筒状回転体の軸方向へ移動させる手段である、(17)に記載の洗浄装置。
(25)前記走行手段は、多孔質膜を洗浄液の落下方向と平行に走行させる走行手段であり、前記落下手段は、洗浄液を流す流路を有し、前記流路はその一端から洗浄液が落下するように斜めに配置され、前記走行手段は、さらに洗浄液が前記流路から落下する落下部に多孔質膜の走行を規制するガイド部材を有する、(18)に記載の洗浄装置。
(27)前記落下手段が2以上の流路を有する、(26)に記載の洗浄装置。
(28)前記2以上の流路は、洗浄液が任意の流路から次の流路へ落下しながら順次移動するようにジグザグ状に配置された流路である、(27)に記載の洗浄装置。
本発明によれば、大型の設備を必要とすることなく、短時間及び低コストで効率よく多孔質膜から溶媒を除去できる多孔質膜の製造方法と、この製造方法に好適に用いられる洗浄装置を提供できる。
本発明の第1の態様の洗浄装置の一例を示す正面図である。 図1に示す洗浄装置の側面図である。 は図2の洗浄装置に備わる走行手段の他の例を示す正面図である。 は図2の洗浄装置に備わる走行手段の他の例を示す側面図である。 図2の洗浄装置に備わる走行手段の他の例を示す斜視図である。 は図2の洗浄装置に備わる走行手段の他の例を示す斜視図である。 は図2の洗浄装置に備わる走行手段の他の例を示す斜視図である。 本発明の第1の態様の落下手段及び走行手段の他の例を示す側面図である。 試験例1〜5の結果を示すグラフである。 実施例1の結果を示すグラフである。 従来の洗浄装置の一例を示す断面図である。 本発明の第2の態様の洗浄装置の一例を示す正面図である。 図10に示す洗浄装置の部分斜視図である。 本発明の第3の態様の洗浄装置の他の例を示す正面図である。 図11に示す洗浄装置の部分斜視図である。 本発明の第3の態様の洗浄装置の一例を示す正面図である。 図14に示す洗浄装置の側面図である。 本発明の第3の態様の洗浄装置に備わる走行手段の他の例を示す側面図である。 本発明の第4の態様の洗浄装置の一例を示す正面図である。 図17に示す洗浄装置の部分斜視図である。 本発明の第4の態様の洗浄装置の他の例を示す正面図である。 図19Aの部分斜視図である。 本発明の第4の態様の洗浄装置の他の例を示す正面図である。 図20Aの部分斜視図である。 本発明の第5の態様の洗浄装置の一例を示す側面図である。 上下1対の円筒状回転体の配置の他の例を示す斜視図である。 ガイド部材の他の例を示す斜視図である。 ガイド部材の他の例を示す斜視図である。 ガイド部材の他の例を示す斜視図である。 ガイド部材の他の例を示す斜視図である。 ガイド部材の他の例を示す斜視図である。 本発明の洗浄装置の他の例を示す側面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図2〜6において、図1に示した実施形態に対応する構成要素、図11〜図13において、図10に示した実施形態に対応する構成要素、図15及び図16において、図14に示した実施形態に対応する構成要素、図18〜図19Bにおいて、図17に示した実施形態に対応する構成要素、又は図22〜図24Cにおいて、図21と同じ構成要素には、同一の符号を付してその詳細な説明を省略することがある。
[洗浄装置]
本発明の洗浄装置は、製膜原液を凝固液により凝固させて得られた多孔質膜を洗浄し、多孔質膜中に残存する溶媒などの物質を除去するための装置である。
前記多孔質膜中に残存する物質とは、多孔質膜を本質的に構成する物質以外の物質であって、多孔質膜の製造工程に由来し、例えば前記多孔質膜の製造工程で用いる溶媒、又は前記多孔質膜の製造工程で副次的に生成する物質などが挙げられる。
図1、又は2に本発明の第1の態様の洗浄装置の一例を示す。図1は正面図、図2は側面図である。
図1、又は2に示す洗浄装置110は、洗浄液111を落下させる落下手段112、すなわち洗浄液111を鉛直方向に落下させる落下手段112と、落下する洗浄液111に接触するように多孔質膜113を走行させる走行手段114と、落下した洗浄液を回収する回収手段115と、回収した洗浄液を落下手段112に返送する返送ライン116とを備えて構成される。
落下手段112は、洗浄液111を落下させる、すなわち洗浄液111を鉛直方向に落下させる。
図1、又は2に示す落下手段112は、洗浄液111を貯蔵する貯蔵タンク112aと、洗浄液111を鉛直方向に吐出する1又は複数の吐出口112b,112b・・・と、貯蔵タンク112aに新鮮な洗浄液を供給する供給ライン112cとを備えている。
吐出口112bの形状については特に制限されない。
走行手段114は、落下する洗浄液111、すなわち鉛直方向に落下する洗浄液111に接触するように多孔質膜113を走行させる。
本発明の第1の態様において1つの側面は、落下する洗浄液に多孔質膜が接触するときには、洗浄液が樋などの液体を運ぶ手段に接していない。前記洗浄装置において、落下する洗浄液に接触するように多孔質膜を配置するときは、洗浄液が樋などの液体を運ぶ手段に接していないように配置されている箇所が含まれていれば良く、それ以外の箇所では洗浄液に多孔質膜が接触するときには、洗浄液が樋などの液体を運ぶ手段に接していても良い。
本発明の第1の態様において別の側面は、鉛直方向に落下する洗浄液が多孔質膜を洗浄する。
本発明の第1の態様においてさらに別の側面は、鉛直方向に落下する洗浄液が自由落下する。
本発明の第1の態様においてさらに別の側面は、樋などの液体を運ぶ手段以外の場所で、鉛直に落下する洗浄液が多孔質膜と接触する際に、多孔質膜を洗浄する。
図1、又は2に示す走行手段114は、軸方向が水平になるように配置された上下1対の円筒状回転体114a、及び114bを有する。この円筒状回転体114a、及び114bが回転すると、多孔質膜113が円筒状回転体114a、及び114bの間を往復しながら、円筒状回転体114a、又は114bの軸方向へ移動する。
多孔質膜113が円筒状回転体114a及び114bの間を移動するときの走行方向は、洗浄液11の落下方向と平行である。
但し、本発明の第1の態様において、多孔質膜113の走行方向が洗浄液111の落下方向と平行である場合の「平行」とは、厳密な平行を意味するものではない。例えば洗浄液111が下方向に落下する場合には、多孔質膜113も下方向及び/又はその反対方向に走行すればよく、実質的に洗浄液111と同じ方向及び/又はその反対方向に走行すればよい。
すなわち、多孔質膜113が円筒状回転体114aから円筒状回転体114bへ移動するときの走行方向は洗浄液11の落下方向と同一方向となり、円筒状回転体114bから円筒状回転体114aへ移動するときの走行方向は洗浄液111の落下方向と反対方向となる。
円筒状回転体114a、又は114bの長さや、多孔質膜113が円筒状回転体114a、及び114bの間を往復する回数は、多孔質膜113中の多孔質膜が保持する溶媒の残存溶媒濃度に応じて適宜決定される。残存溶媒濃度が高いほど、円筒状回転体114a、又は114bの長さは長くなる傾向にあり、往復回数は増える傾向にある。
回収手段115は、落下手段112から落下した洗浄液111を回収する。
回収手段115は、洗浄液111を回収する回収タンク115aと、回収された洗浄液111の一部を系外へ排出する排出ライン115bを有し、円筒状回転体114bの下側に設けられている。
返送ライン116は、回収手段115に回収され、排出されなかった残りの洗浄液111を落下手段112へ返送する。前記返送ライン116は、回収タンク115aと貯蔵タンク112aとを接続している。
図10、又は図11に本発明の第2の態様の洗浄装置の一例を示す。図10は正面図、図11は後述する走行手段の斜視図である。
図10、又は11に示す洗浄装置210は、洗浄液211を落下させる落下手段212、すなわち洗浄液211を鉛直方向に落下させる落下手段212と、落下する洗浄液211に接触するように多孔質膜213を走行させる走行手段214と、落下した洗浄液を回収する回収手段215と、回収した洗浄液を落下手段212に返送する返送ライン216とを備えて構成される。
落下手段212は、洗浄液211を落下させる、すなわち洗浄液211を鉛直方向に落下させる。
図10、図11に示す落下手段212は、洗浄液211を貯蔵する貯蔵タンク212aと、洗浄液211を鉛直方向に吐出する1又は複数の吐出口212b,212b・・・と、貯蔵タンク212aに新鮮な洗浄液を供給する供給ライン212cとを備えている。
吐出口212bの形状については特に制限されない。
走行手段214は、落下する洗浄液211に接触するように多孔質膜213を走行させる。この例の走行手段214では、多孔質膜213は洗浄液211の落下方向と同一方向及び反対方向に走行する。
本発明の第2の態様において1つの側面は、落下する洗浄液に多孔質膜が接触するときには、洗浄液が樋などの液体を運ぶ手段に接していない。前記洗浄装置において、落下する洗浄液に接触するように多孔質膜を配置するときは、洗浄液が樋などの液体を運ぶ手段に接していないように配置されている箇所が含まれていれば良く、それ以外の箇所では洗浄液に多孔質膜が接触するときには、洗浄液が樋などの液体を運ぶ手段に接していても良い。
本発明の第2の態様において別の側面は、鉛直方向に落下する洗浄液が多孔質膜を洗浄する。
本発明の第2の態様においてさらに別の側面は、鉛直方向に落下する洗浄液は、自由落下する。
本発明の第2の態様においてさらに別の側面は、樋などの液体を運ぶ手段以外の場所で、鉛直方向に落下する洗浄液が多孔質膜と接触する際に、多孔質膜を洗浄する。
図10、又は11に示すように、走行手段214は、互い違いに配置された2以上の円筒状回転体214a〜214eを有する。また、この例では、各円筒状回転体214a〜214eが横2列に配列し、かつこれらの軸方向が水平である。
ここで、「互い違いに配置された」とは、一方の列における円筒状回転体214a,214c,及び214eのピッチ間に、他方の列の円筒状回転体214b,又は214dが位置している状態(図10)や、一方の列における円筒状回転体214f,214h,及び214jのピッチ間に、他方の列の円筒状回転体214g,又は214iが位置している状態、すなわち前記円筒状回転体が千鳥状に配置された状態(図12)をいう。
これら円筒状回転体214a〜214eが回転すると、多孔質膜213が円筒状回転体214a〜214eの間を折り返しながら、すなわち、前記円筒状回転体214a〜214eの間を順に走行しながら、上流側の円筒状回転体214aから下流側の円筒状回転体214eへ移動する。
この例では、多孔質膜213が円筒状回転体214aから円筒状回転体214bや、円筒状回転体214cから円筒状回転体214dへ移動するときの走行方向は洗浄液211の落下方向と同一方向となり、円筒状回転体214bから円筒状回転体214cや、円筒状回転体214dから円筒状回転体214eへ移動するときの走行方向は洗浄液211の落下方向と反対方向となる。
多孔質膜213が2以上の円筒状回転体の間を折り返す回数(すなわち、円筒状回転体の数)は、多孔質膜213が保持する溶媒の残存溶媒濃度に応じて適宜決定される。残存溶媒濃度が高いほど、折り返す回数(円筒状回転体の数)は増える傾向にある。
回収手段215は、落下手段212から落下した洗浄液211を回収する。
回収手段215は、洗浄液211を回収する回収タンク215aと、回収された洗浄液211の一部を系外へ排出する排出ライン215bを有し、他方の列の円筒状回転体214b、又は214dの下側に設けられている。
返送ライン216は、回収手段215に回収され、排出されなかった残りの洗浄液211を落下手段212へ返送する。前記返送ライン216は、回収タンク215aと貯蔵タンク212aとを接続している。
図14、又は15に本発明の第3の態様の洗浄装置の一例を模式的に示す。図14は正面図、図15は側面図である。
図14、又は15に示す洗浄装置310は、洗浄液311を落下させる落下手段312、すなわち洗浄液311を鉛直方向に落下させる落下手段312と、落下する洗浄液311に接触するように、多孔質膜313を洗浄液311の落下方向と同一方向及び反対方向に走行させる走行手段314と、落下した洗浄液を回収する回収手段315と、回収した洗浄液を落下手段312に返送する返送ライン316とを備えて構成される。
落下手段312は、洗浄液311を落下させる、すなわち洗浄液311を鉛直方向に落下させる。
図14、又は15に示す落下手段312は、洗浄液311を貯蔵する貯蔵タンク312aと、洗浄液311を鉛直方向に吐出する1又は複数の吐出口312b,312b・・・と、貯蔵タンク312aに新鮮な洗浄液を供給する供給ライン312cとを備えている。 吐出口312bの形状については特に制限されない。
走行手段314は、落下する洗浄液311に接触するように、多孔質膜313を洗浄液311の落下方向と同一方向及び反対方向に走行させる。
本発明の第3の態様において1つの側面は、落下する洗浄液に多孔質膜が接触するときには、洗浄液が樋などの液体を運ぶ手段に接していないものとする。前記洗浄装置において、落下する洗浄液に接触するように多孔質膜を配置するときは、洗浄液が樋などの液体を運ぶ手段に接していないように配置されている箇所が含まれていれば良く、それ以外の箇所では洗浄液に多孔質膜が接触するときには、洗浄液が樋などの液体を運ぶ手段に接していても良い。
本発明の第3の態様において別の側面は、鉛直方向に落下する洗浄液が多孔質膜を洗浄する。
本発明の第3の態様においてさらに別の側面は、鉛直方向に落下する洗浄液は、自由落下する。
本発明の第3の態様においてさらに別の側面は、樋などの液体を運ぶ手段以外の場所で、鉛直に落下する洗浄液が多孔質膜と接触する際に、多孔質膜を洗浄する。
図14、又は15に示すように、走行手段314は、中心軸を含む同一平面内において、軸方向が互いに非平行になるように配置された上下1対の円筒状回転体314a、及び314bを有する。
また、この例では、一方の円筒状回転体314aの真下に他方の円筒状回転体314bが配置され、かつ一方の円筒状回転体314aの軸方向が水平である。この円筒状回転体314a、及び314bが回転すると、多孔質膜313が円筒状回転体314a、及び314bの間を往復するように走行しながら、円筒状回転体314a、又は314bの軸方向へ移動する。
多孔質膜313が円筒状回転体314aから円筒状回転体314bへ移動するときの走行方向は洗浄液311の落下方向と同一方向となり、円筒状回転体314bから円筒状回転体314aへ移動するときの走行方向は洗浄液311の落下方向と反対方向となる。
円筒状回転体314a、又は314bの長さや、多孔質膜313が円筒状回転体314a、及び314bの間を往復する回数は、多孔質膜313が保持する溶媒の残存溶媒濃度に応じて適宜決定される。残存溶媒濃度が高いほど、円筒状回転体314a、又は314bの軸方向の長さは長くなる傾向にあり、往復回数は増える傾向にある。
回収手段315は、落下手段312から落下した洗浄液311を回収する。
回収手段315は、洗浄液311を回収する回収タンク315aと、回収された洗浄液311の一部を系外へ排出する排出ライン315bを有し、円筒状回転体314bの下側に設けられている。
返送ライン316は、回収手段315に回収され、排出されなかった残りの洗浄液311を落下手段312へ返送する。前記返送ライン316は、回収タンク315aと貯蔵タンク312aとを接続している。
図17、又は18に本発明の第4の態様の洗浄装置の一例を示す。図17は正面図、図18は後述する走行手段部分の斜視図である。
図17、又は18に示す洗浄装置410は、洗浄液411を落下させる落下手段412、すなわち洗浄液411を鉛直方向に落下させる落下手段412と、落下する洗浄液411に接触するように、かつ、洗浄液411の落下方向と多孔質膜413の走行方向とが交差するように、多孔質膜413を走行させる走行手段414と、落下した洗浄液を回収する回収手段415と、回収した洗浄液を落下手段412に返送する返送ライン416とを備えて構成される。
落下手段412は、洗浄液411を落下させる、すなわち洗浄液411を鉛直方向に落下させる。
図17、又は18に示す落下手段412は、洗浄液411を貯蔵する貯蔵タンク412aと、洗浄液411を鉛直方向に吐出する1又は複数の吐出口412b,412b・・・と、貯蔵タンク412aに新鮮な洗浄液を供給する供給ライン412cとを備えている。 吐出口412bの形状については特に制限されない。
走行手段414は、落下する洗浄液411に接触するように、かつ、洗浄液411の落下方向と多孔質膜413の走行方向とが交差するように、多孔質膜413を走行させる。 本発明の第4の態様において1つの側面は、落下する洗浄液に多孔質膜が接触するときには、洗浄液が樋などの液体を運ぶ手段に接していないものとする。前記洗浄装置において、落下する洗浄液に接触するように多孔質膜を配置するときは、洗浄液が樋などの液体を運ぶ手段に接していないように配置されている箇所が含まれていれば良く、それ以外の箇所では洗浄液に多孔質膜が接触するときには、洗浄液が樋などの液体を運ぶ手段に接していても良い。
本発明の第4の態様において別の側面は、鉛直方向に落下する洗浄液が多孔質膜を洗浄する。
本発明の第4の態様においてさらに別の側面は、鉛直方向に落下する洗浄液は、自由落下する。
本発明の第4の態様においてさらに別の側面は、樋などの液体を運ぶ手段以外の場所で、鉛直に落下する洗浄液が多孔質膜と接触する際に、多孔質膜を洗浄する。
図17、又は18に示すように、走行手段414は、軸方向が互いに平行になるように配置された左右1対の円筒状回転体414a、及び414aを有する。また、この例では、一方の円筒状回転体414aの真横に他方の円筒状回転体414aが配置され、かつ両方の円筒状回転体414a、及び414aの軸方向が水平である。この円筒状回転体414a、及び414aが回転すると、多孔質膜413が円筒状回転体414a、及び414aの間を往復しながら、円筒状回転体414a、又は414aの軸方向へ移動する。
円筒状回転体414a、又は414aの長さや、多孔質膜413が円筒状回転体414a、及び414aの間を往復する回数は、多孔質膜413が保持する溶媒の残存溶媒濃度に応じて適宜決定される。残存溶媒濃度が高いほど、円筒状回転体414a、又は414aの長さは長くなる傾向にあり、往復回数は増える傾向にある。
回収手段415は、落下手段412から落下した洗浄液411を回収する。
回収手段415は、洗浄液411を回収する回収タンク415aと、回収された洗浄液411の一部を系外へ排出する排出ライン415bを有し、円筒状回転体414a、又は414aの下側に設けられている。
返送ライン416は、回収手段415に回収され、排出されなかった残りの洗浄液411を落下手段412へ返送する。前記返送ライン416は、回収タンク415aと貯蔵タンク412aとを接続している。
図21に本発明の第5の態様の洗浄装置の一例を示す。
図21に示す洗浄装置510は、洗浄液511を落下させる落下手段512と、落下する洗浄液511に接触するように、多孔質膜513を洗浄液511の落下方向と同一方向に走行させる走行手段514と、落下した洗浄液を回収する回収手段515と、回収した洗浄液を落下手段512に返送する返送ライン516とを備えて構成される。
落下手段512は、洗浄液511を落下させる、すなわち洗浄液511を鉛直方向に落下させる。
図21に示す落下手段512は、洗浄液511を貯蔵する貯蔵タンク512aと、貯蔵タンク512aから供給された洗浄液511を流す1又は複数の流路512bと、貯蔵タンク512aから最も上流に位置する1番目の流路5121bに洗浄液511を供給する第一の供給ライン512cと、貯蔵タンク512aに新鮮な洗浄液を供給する第二の供給ライン512dとを備えている。前記洗浄装置は、洗浄液が落下しながら移動する部分(落下部F)を1又は複数有していればよく、前記落下手段512は前記流路512bを1又は複数有していればよい。
1又は複数の流路512bは、それぞれ流路512bの一端から洗浄液511が落下するように斜めに配置され、かつ洗浄液511が任意の流路512bから次の流路512bへ落下しながら順次移動するように、ジグザグ状に配置されている。
図21に示す洗浄装置510の場合、貯蔵タンク512aから供給された洗浄液511は、最も上流に位置する1番目の流路5121b内を流れた後、流路5121bの一端から放出され落下し、2番目の流路5122bへ移動する。2番目の流路5122bへ移動した洗浄液511は、この流路5122b内を流れた後、流路5122bの一端から放出され落下し、3番目の流路5123bへ移動する。3番目の流路5123bへ移動した洗浄液511は、この流路5123b内を流れた後、流路5123bの一端から放出され、後述する回収手段515の回収タンク515aへ回収される。
流路512bとしては、洗浄液511を流すことができれば、材質、形状、長さなどは特に制限されないが、例えば断面形状としては四角形、逆三角形、又は半円などが挙げられる。
流路512bは、樋状であってもよいし、パイプ状であってもよい。
任意の流路512bから次の流路512bまでの距離や、流路512bの数は、多孔質膜513が保持する溶媒の残存溶媒濃度に応じて適宜決定される。残存溶媒濃度が高いほど、流路512b同士の距離は長くなり、流路512bの数は増える傾向にある。流路512b同士の距離が長くなることは、洗浄液511が任意の流路512bから次の流路512bへ落下しながら移動する部分(落下部F)の距離が長くなることを意味する。また、流路512bの数が増えることは、落下部Fの数が増えることを意味する。
図21に示す走行手段514は、落下する洗浄液511に接触するように、多孔質膜513を洗浄液511の落下方向と同一方向に走行させる。
本発明の第5の態様において1つの側面は、落下する洗浄液に多孔質膜が接触するときには、洗浄液が上述した流路など、液体を運ぶ手段に接していないものとする。前記洗浄装置において、落下する洗浄液に接触するように多孔質膜を配置するときは、洗浄液が樋などの液体を運ぶ手段に接していないように配置されている箇所が含まれていれば良く、それ以外の箇所では洗浄液に多孔質膜が接触するときには、洗浄液が樋などの液体を運ぶ手段に接していても良い。
本発明の第5の態様において別の側面は、鉛直方向に落下する洗浄液が多孔質膜を洗浄する。
本発明の第5の態様においてさらに別の側面は、鉛直方向に落下する洗浄液は、自由落下する。
本発明の第5の態様においてさらに別の側面は、樋などの液体を運ぶ手段以外の場所で、鉛直に落下する洗浄液が多孔質膜と接触する際に、多孔質膜を洗浄する。
走行手段514は、落下部Fに多孔質膜513の走行を規制するガイド部材514aを有する。ガイド部材514としては、多孔質膜513を案内して走行を規制できれば特に限定されないが、この例では、ガイド部材514aとして上下1対の円筒状回転体5141a、及び5141aが、その軸方向を水平にして2箇所の落下部Fにそれぞれ設けられている。
図21に示す洗浄装置510の場合、1番目の流路5121bを通過した多孔質膜513は、1番目の流路5121bと2番目の流路5122bの間の落下部Fにおいて、落下する洗浄液511に接触しながら、かつ、上下1対の円筒状回転体5141a、5141aの一方(上側)から他方(下側)に(すなわち、洗浄液511の落下方向と同一方向に)移動しながら走行し、2番目の流路5122bへと導かれる。2番目の流路5122bへ導かれた多孔質膜513は、この流路5121bを通過し、2番目の流路5122bと3番目の流路5123bの間の落下部Fにおいて、落下する洗浄液511に接触しながら、かつ、上下1対の円筒状回転体5141a、又は5141aの一方(上側)から他方(下側)に移動しながら走行し、3番目の流路5123bへと導かれる。
上述したように、多孔質膜513が保持する溶媒の残存溶媒濃度が高いほど、流路512b同士の距離が長くなり、流路512bの数が増える傾向にあるため、結果、落下部Fの距離も長くなる。よって、落下部Fに設けられる上下1対の円筒状回転体5141a、及び5141a間の距離も、残存溶媒濃度が高くなるほど長くするのが好ましい。
回収手段515は、落下手段512の最も下流に位置する流路512bを流れた後、放出された洗浄液511を回収する。
図21に示す回収手段515は、洗浄液511を回収する回収タンク515aと、回収された洗浄液511の一部を系外へ排出する排出ライン515bを有し、3番目の流路5123bの下側に設けられている。
返送ライン516は、回収手段515に回収され、排出されなかった残りの洗浄液511を落下手段512へ返送する。前記返送ライン516は、回収タンク515aと貯蔵タンク512aとを接続している。
洗浄液111、211、311、411又は511としては、溶媒の洗浄効果が高いことから水が好ましい。使用する水としては、蒸留水、イオン交換水、水道水、工業用水、河川水、又は井戸水等が挙げられ、これらにアルコール、無機塩類、酸化剤、又は界面活性剤等を混合して使用してもよい。また、洗浄液111、211、311、411又は511としては、製膜原液に含まれる溶媒と水との混合液を用いることもできる。ただし、この混合液を用いる場合、溶媒の濃度は10質量%以下が好ましい。
洗浄液111、211、311、411又は511の温度は、0℃以上であれば特に限定されないが、多孔質膜中に残存する溶媒などの物質の拡散移動速度の低下を防ぐため、高い方が好適であり、50℃以上が好ましく、より好ましくは80℃以上である。
本発明の洗浄装置110、210、310又は410によれば、落下する洗浄液111、211、311、411に接触するように多孔質膜113、213、313、413、が走行することで、洗浄液111、211、311、411は多孔質膜113、213、313、413と接しながら、膜表面を流れ落ちる。
さらに本発明の洗浄装置510によれば、多孔質膜513は、流路512bを通過している最中、及び洗浄部Fにおいて落下する洗浄液に接触している最中に洗浄される。特に、落下部Fにおいて落下する洗浄液511に接触するように多孔質膜513が走行することで、洗浄液511は多孔質膜513と接しながら、膜表面を流れ落ちる。
その結果、多孔質膜中の溶媒などの物質が膜内部から膜表面に拡散移動すると共に、前記物質が膜表面から洗浄液111、211、311、411又は511に拡散移動して、多孔質膜から除去される。
また、洗浄液111、211、311、411又は511が落下している間、多孔質膜113、213、313、413又は513の膜表面を流れ落ちる洗浄液111、211、311、411又は511の最外界面は、大気圧の空気と接触し自由表面となる。そのため、洗浄液111、211、311、411又は511は抵抗を受けにくくなるので、特許文献1に記載のように樋などの洗浄浴を用いて洗浄液を流しながら洗浄する方法に比べて洗浄液の流速が上がる。また、前記洗浄液の最外界面は大気圧の空気と接触し自由表面となるため、図9に示すような洗浄槽122を用いて多孔質膜123を浸漬して洗浄する従来の方法に比べて、多孔質膜に対して過剰な水圧がかからず、多孔質膜中への洗浄液の浸透が抑えられ、洗浄液の滞留を防ぎ、常に新しい洗浄液が多孔質膜の表面に存在できる。このため本発明は洗浄効率に優れる。
加えて、本発明の洗浄装置110、210、310、410又は510は洗浄効率に優れるため、洗浄浴を用いることなく多孔質膜を洗浄できるので、特許文献1に比べて洗浄浴(樋状の流路)の数を削減できる。よって、本発明であれば、設備が大掛かりなものにならず、低コストで多孔質膜を洗浄できる。
本発明の洗浄とは、多孔質膜の表面に接する洗浄液を交換すること(表面更新)により、多孔質膜を本質的に構成する物質以外の物質であって、前記多孔質膜の製造工程に由来し、例えば前記多孔質膜の製造工程で用いる溶媒又は前記多孔質膜の製造工程で副次的に生成する物質などを除去することである。
本発明の除去とは、前記多孔質膜が保持する、前記多孔質膜を本質的に構成する物質以外の物質の濃度を40%以下まで減少させ、好ましくは10%以下まで減少させ、より好ましくは6%以下まで減少させ、さらに好ましくは3%以下まで減少させることである。
本発明における洗浄液の落下とは、洗浄液が鉛直方向に落下することである。鉛直方向へ落下する際の前記洗浄液の角度としては、鉛直方向に対する洗浄液の角度が30°以下が好ましく、0°がより好ましい。
多孔質膜から溶媒を除去する場合、多孔質膜が保持する溶媒の残存溶媒濃度よりも、多孔質膜表面近傍における洗浄液の溶出溶媒濃度の方が低ければ、多孔質膜表面から洗浄液への溶媒の拡散は促進され、多孔質膜は洗浄される。
さらに、図1、又は2に示すように多孔質膜113が洗浄液111の落下方向と同一方向や反対方向に走行すれば、均一かつ十分に洗浄液111が多孔質膜113に接触するので、多孔質膜113がより効果的に洗浄され、多孔質膜113中に存在する溶媒などの物質が除去されやすくなる。
また、洗浄装置110によれば、洗浄液111は常に流れており、多孔質膜113の表面に接する洗浄液111が交換されているため、図9に示すような洗浄装置120を用いた従来の方法に比べて、多孔質膜113には常に新鮮な洗浄液111が接触する。これは、多孔質膜113の表面更新が積極的に行われていることを意味する。そのため、多孔質膜が保持する溶媒の残存溶媒濃度よりも膜表面近傍の洗浄液の溶出溶媒濃度の方が低い状態を維持できる。その結果、膜表面から洗浄液への溶媒の拡散が促進され、短時間での洗浄が可能である。特に、円筒状回転体114a、及び114b間の距離を長くすれば、洗浄液111の流速が早まるので、多孔質膜113の表面更新がより促進される。
加えて、本発明の洗浄装置210によれば、走行手段214の円筒状回転体214a〜214eは、互い違いに配置されている。この円筒状回転体214a〜214eの間を多孔質膜213が折り返しながら、すなわち前記円筒状回転体214a〜214eの間を前記多孔質膜213が順に走行しながら、上流側の円筒状回転体214aから下流側の円筒状回転体214eへ移動することにより、2以上の多孔質膜を走行させて洗浄する場合(多錐化)に好適であるとともに、設備の小型化が可能となる。
さらに、図10、又は11に示すように多孔質膜213が洗浄液211の落下方向と同一方向や反対方向に走行すれば、均一かつ十分に洗浄液211が多孔質膜213に接触する。従って、多孔質膜213がより効果的に洗浄され、多孔質膜213中に存在する溶媒などの物質が除去されやすくなる。
また、洗浄装置210によれば、洗浄液211は常に流れており、多孔質膜213の表面に接する洗浄液211が交換されているため、図9に示すような洗浄装置120を用いた従来の方法に比べて、多孔質膜213には常に新鮮な洗浄液211が接触する。これは、多孔質膜213の表面更新が積極的に行われていることを意味する。そのため、多孔質膜が保持する溶媒の残存溶媒濃度よりも膜表面近傍の洗浄液の溶出溶媒濃度の方が低い状態を維持できる。その結果、膜表面から洗浄液への溶媒などの物質の拡散が促進され、短時間での洗浄が可能である。特に、1列目と2列目の円筒状回転体間の距離を長くすれば、洗浄液211の流速が早まるので、多孔質膜213の表面更新がより促進される。
加えて、洗浄装置310によれば、図14、又は15に示すように多孔質膜313が洗浄液311の落下方向と同一方向や反対方向に走行するので、均一かつ十分に洗浄液311が多孔質膜313に接触する。従って、多孔質膜313が効果的に洗浄され、多孔質膜313中に存在する溶媒などの物質が除去されやすくなる。
洗浄装置310によれば、多孔質膜313が例えば一方の円筒状回転体314aから他方の円筒状回転体314bへ移動するとき、多孔質膜313は円筒状回転体314bに、その中心軸に対して直角になる角度で接触しようとする性質がある。円筒状回転体314bに到達した多孔質膜313は、その後、円筒状回転体314bの周面を回って、円筒状回転体314aへと移動する。このときも、多孔質膜313は、円筒状回転体314aの中心軸に対して直角になる角度で接触しようとする。円筒状回転体314aに到達した多孔質膜313は、その後、円筒状回転体314aの周面を回って、円筒状回転体314bへと移動する。
そのため、1対の円筒状回転体の軸方向が互いに平行であると、これら円筒状回転体に多孔質膜の走行を規制するための溝(規制溝)などが形成されていない場合、多孔質膜は円筒状回転体間の同じ場所を往復しながら走行することになり、円筒状回転体の軸方向へ移動するのが困難となる。
しかし、本発明の洗浄装置310であれば、円筒状回転体314a、及び314bの軸方向が互いに非平行であるため、2つの円筒状回転体314a、又は314bの中心軸は平行から所定の角度だけ傾いていることになる。上述したように、多孔質膜313は各中心軸に対して直角になる角度で円筒状回転体314a、又は314bに接触しようとするので、多孔質膜313は円筒状回転体314a、及び314b間の同じ場所を往復することなく、一定の間隔(ピッチ)を空けながらこれらの軸方向へ移動できる。従って、規制溝が形成された円筒状回転体を用いる必要がなく、周面がフラットな円筒状回転体を用いても、円筒状回転体間を往復するように走行させることで、多孔質膜を一定のピッチで軸方向に移動させることができる。
多孔質膜313の移動ピッチは、円筒状回転体314a、及び314bの中心軸の傾斜角度によって任意に変更できる。
前記傾斜角度は、前記円筒状回転体を回転させた時に、前記多孔質膜の周囲及び表面に洗浄液を落下させることが可能なピッチとなるような角度を適宜選択することが好ましい。
よって、本発明の洗浄装置310であれば、円筒状回転体314a、又は314bに規制溝を形成する必要がない。また、円筒状回転体314a、及び314b間を多孔質膜313が往復するように走行しながら軸方向へ移動するので、設備の小型化が可能となる。
また、洗浄装置310によれば、洗浄液311は常に流れており、多孔質膜313の表面に接する洗浄液311が交換されているため、図9に示すような洗浄装置120を用いた従来の方法に比べて、多孔質膜313には常に新鮮な洗浄液311が接触する。これは、多孔質膜313の表面更新が積極的に行われていることを意味する。そのため、多孔質膜が保持する溶媒の残存溶媒濃度よりも膜表面近傍の洗浄液の溶出溶媒濃度の方が低い状態を維持できる。その結果、膜表面から洗浄液への溶媒などの物質の拡散が促進され、短時間での洗浄が可能である。特に、円筒状回転体314a、及び314b間の距離を長くすれば、洗浄液311の流速が早まるので、多孔質膜313の表面更新がより促進される。
加えて、洗浄装置410によれば、図17、又は18に示すように、洗浄液411の落下方向と多孔質膜413の走行方向とが交差するように多孔質膜413が走行するので、洗浄液411が多孔質膜413の表面から剥離しやすくなり、洗浄効率が向上する。また、円筒状回転体414a、及び414aの間を多孔質膜413が往復するように走行しながら軸方向へ移動することにより、設備が小型化となると共に、多孔質膜413の表面の片側半分だけでなく、反対側の半分も新鮮な洗浄液411が接触可能となり、洗浄効率が向上する。
また、洗浄装置410によれば、洗浄液411は常に流れており、多孔質膜413の表面に接する洗浄液411が交換されているため、図9に示すような洗浄装置120を用いた従来の方法に比べて、多孔質膜413には常に新鮮な洗浄液411が接触する。これは、多孔質膜413の表面更新が積極的に行われていることを意味する。そのため、多孔質膜が保持する溶媒の残存溶媒濃度よりも膜表面近傍の洗浄液の溶出溶媒濃度の方が低い状態を維持できる。その結果、膜表面から洗浄液への溶媒などの物質の拡散が促進され、短時間での洗浄が可能である。特に、円筒状回転体414a、及び414a間の距離を長くすれば、洗浄液411の流速が早まるので、多孔質膜413の表面更新がより促進される。
加えて、洗浄装置510によれば、図21に示すように多孔質膜513が洗浄液511の落下方向と平行に走行するので、均一かつ十分に洗浄液511が多孔質膜513に接触する。従って、多孔質膜513が効果的に洗浄され、多孔質膜513中に存在する溶媒などの物質が除去されやすくなる。
但し、洗浄装置510において、多孔質膜513が洗浄液511の落下方向と平行に走行する場合の「平行」とは、厳密な平行を意味するものではない。例えば洗浄液511が下方向に落下する場合には、多孔質膜513も下方向及び/又はその反対方向に走行すればよく、実質的に洗浄液511と同じ方向及び/又はその反対方向に走行すればよい。
また、図21に示す洗浄装置510は、2以上の流路512bをジグザグ状に配置し、任意の流路512bから次の流路512bへの洗浄液511の移動を利用して洗浄液511を落下させており、多孔質膜513が任意の流路512bから次の流路512bに移動するための方向転換は、上下1対の円筒状回転体5141a、及び5141aで行われる。そのため同一張力条件下において、一つの円筒状回転体で方向転換を行う場合と比較して、円筒状回転体5141aと多孔質膜513の接触角が小さくなり、多孔質膜513が円筒状回転体5141aに押し付けられる力を小さくすることができ、膜変形やつぶれの発生の抑制に効果がある。また、流路512bを加熱すれば、洗浄液511を保温あるいは加熱することが可能となる。さらには流路512b内壁に突起や障害物等を設け、多孔質膜513に沿って流れる洗浄液511の流れを乱し、多孔質膜513近傍の濃度分布を有する洗浄液511の境膜を破壊して洗浄性を高めることが可能となる。
また、洗浄装置510によれば、洗浄液511は常に流れており、多孔質膜513の表面に接する洗浄液511が交換されているため、図9に示すような洗浄装置20を用いた従来の方法に比べて、多孔質膜513には常に新鮮な洗浄液511が接触する。これは、多孔質膜513の表面更新が積極的に行われていることを意味する。そのため、多孔質膜が保持する溶媒の残存溶媒濃度よりも膜表面近傍の洗浄液の溶出溶媒濃度の方が低い状態を維持できる。その結果、膜表面から洗浄液への溶媒などの物質の拡散が促進され、短時間での洗浄が可能である。特に、落下部Fの距離を長くすれば、洗浄液511の流速が早まるので、多孔質膜513の表面更新がより促進される。
ところで、図9に示すような洗浄装置120を用いた従来の方法の場合、上述したように洗浄槽122内を多孔質膜123が走行しているため、熱水121(洗浄液)を交換する際は運転を停止する必要がある。
しかし、図1、2、10、11、14、15、17、18又は21に示す洗浄装置110、210、310、410又は510は、供給ライン112c、212c、312c、412c又は第二の供給ライン512dから新鮮な洗浄液111、211、311、411又は511が貯蔵タンク112a、212a、312a、412a又は512aに供給されるので、運転を停止して洗浄液を交換する必要がない。加えて、落下した洗浄液111、211、311、411又は511を回収し、その一部を多孔質膜113、213、313、413又は513の洗浄に再利用しているので、コストをさらに削減できる。
本発明の走行手段、及び被洗浄膜、すなわち洗浄される多孔質膜は、洗浄槽に浸漬していないように設置されていることが好ましく、全ての走行手段、及び被洗浄膜、すなわち洗浄される多孔質膜が、洗浄槽に浸漬していないように設置されていることがより好ましい。
図1、2、10、12、14、15、17、19A又は20Aに示す本発明の洗浄装置110、210、220、310、410、420又は430では、筒状回転体114b、214b、214d、214j、314b又は414aが回収タンク115a、215a、315a又は415aに浸漬しないように設置されており、前記回収タンク内の洗浄液中に前記筒状回転体及び多孔質膜113、213、313又は413が浸漬していないことが好ましい。従って、前記筒状回転体及び前記多孔質膜が回転する際の遠心力によって前記多孔質膜表面の洗浄液が飛ばされるため、多孔質膜の表面に接する洗浄液が交換され、洗浄液が常に滞留してしまうことを避けることができる。このことにより、多孔質膜の表面更新がより促進されるため、本発明は洗浄効率に優れる。
本発明の洗浄装置は回収タンクを有するが、前記回収タンクは洗浄液を回収するためのタンクである。すなわち、本発明の洗浄装置は円筒状回転体の下に、多孔質膜を洗浄するための洗浄槽を有していないことを特徴とする。このことから設備の小型化が可能となる。
ここで、洗浄槽とは、洗浄液を貯蔵する容器であり、洗浄浴とは、洗浄液を流す樋状の流路である。
<他の実施形態>
本発明の洗浄装置は、図1、2、10、11、14、15、17、18又は21に示す洗浄装置110、210、310、410又は510に限定されない。
例えば洗浄装置110、210、310、410又は510では、1本の多孔質膜113、213、313、413又は513を走行させているが、一度に2以上の多孔質膜を走行させてもよい。その場合、各多孔質膜の走行方向は同一方向であることが好ましい。
また、洗浄装置110、210、310又は410では、洗浄液111、211、311又は411は1又は複数の吐出口112b、212b、312b又は412bから水柱状に落下しているが、例えばスリット状の吐出口から帯状に落下してもよいし、シャワー流出孔からシャワー状に吐出してもよい。
また、吐出口112b、212b、312b又は412bは真下を向いている必要はなく、例えば斜め下向きや横向きであってもよい。吐出する際の洗浄液の吐出方向は特に限定されない。さらに、洗浄液を帯状に落下させる場合、スリット状の吐出口の横断面における長手方向と円筒状回転体の軸方向は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
また、洗浄装置110では、走行手段114として軸方向が水平になるように配置された上下1対の円筒状回転体114a、及び114bを有するものを例示したが、これら円筒状回転体114a、又は114bは図3Aに示すように軸方向が平行でなくてもよいし、図3Bに示すように、円筒状回転体114a、及び114bが前後にずれ、多孔質膜313の走行方向が鉛直方向に対して傾いていてもよい。このときの多孔質膜313の傾斜角度範囲は鉛直方向に対して30°以下であることが、洗浄液との接触の面から好ましく、鉛直方向、すなわち0°に近いほうがより好ましい。
さらに図3Aに示す走行手段では、上下1対の前記円筒状回転体114a及び114bは非並行である。すなわち、前記円筒状回転体114bが水平であり、前記円筒状回転体114aは水平ではないが、本発明の洗浄装置はこれに限定されない。図14に示すように、上下1対の円筒状回転体314a及び314bのうち、上側の円筒状回転体314aが水平ではなく、下側の円筒状回転体314bが水平である非平行であってもよい。
また、走行手段は、例えば図4に示すように左右1対の円筒状回転体114c、及び114dを有してもよい。この場合、多孔質膜113は、洗浄液111の落下方向に対して直交方向に走行する。
図4における円筒状回転体114c、又は114dは軸方向が水平であるが、これに限定されず、水平でなくてもよい。また、互いに平行であってもよいし、平行でなくてもよい。
以上の実施形態では、走行手段として1対の円筒状回転体を有する、いわゆるネルソンタイプを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。
走行手段は、例えば図5A、又はBに示すように、多孔質膜113をジグザグ状に折り返しながら、すなわち、前記円筒状回転体114a〜114nの間を順に走行しながら、走行手段の上流側から下流側へ走行させる、いわゆるカレンダータイプでもよい。このような走行手段では、2以上の円筒状回転体114e〜114nが互い違いに配置されている。
ここで、「互い違いに配置された」とは、一方の列における円筒状回転体114e,114g,114iのピッチ間に、他方の列の円筒状回転体114f,114hが位置している状態(図5A)や、一方の列における円筒状回転体114j,114l,114nのピッチ間に、他方の列の円筒状回転体114k,114mが位置している状態、すなわち前記円筒状回転体が千鳥状に配置された状態(図5B)をいう。
図5Aに示す走行手段では、多孔質膜113は洗浄液111の落下方向と同一方向及び反対方向に走行する。一方、図5Bに示す走行手段では、多孔質膜113は洗浄液111の落下方向に対して直交方向に走行する。洗浄液111と多孔質膜113の接触を考慮すると、図5Aに示すような、洗浄液111の落下方向と同一方向や反対方向に多孔質膜113を走行させる走行手段が好ましい。
設備の小型化を考慮すると、洗浄液の落下方向と同一方向や反対方向に多孔質膜を走行させる走行手段の中でも、図1、又は2に示すようなネルソンタイプの走行手段が好ましい。
また、洗浄装置としては、例えば図6に示すように、樋117を落下手段及び回収手段の代わりに備えてもよい。この場合、第一の樋117aを流れた洗浄液111は出口から放出され落下し、第二の樋117bに回収される。一方、第一の樋117aを通過した多孔質膜113は落下する洗浄液111と接触しながら、走行手段114によって鉛直方向に走行する。多孔質膜113は、第一の樋117aの通過中及び洗浄液111が落下している際中に洗浄され、溶媒などの物質が除去される。特に落下中の洗浄液111は樋117の抵抗を受けないので流速が上がり、効果的に多孔質膜113を洗浄できる。
樋117は図6に示すように3段以上設けられていてもよい。この場合、第二の樋117bに回収された洗浄液111はその出口から放出され落下し、次の段の樋117に回収されるので、1つの樋(例えば第二の樋117b)が落下手段と回収手段の両方の役割を果たすことになる。
ただし、樋117の数が増えると設備が大掛かりになるため、洗浄性と設備の大型化を考慮して樋117の数を設定するのがよい。
また、洗浄装置210では、走行手段214として、軸方向が水平かつ平行になるように配置された円筒状回転体214a〜214eを有するものを例示したが、これら円筒状回転体214a〜214eは軸方向が水平でなくてもよいし、平行でなくてもよい。
さらに、洗浄装置210の走行手段214は、横方向に2列に配置された円筒状回転体214a〜214eを有しているが、各円筒状回転体が互い違いに配置され、その間を多孔質膜が折り返しながら移動できれば、すなわち前記円筒状回転体の間を前記多孔質膜が順に走行しながら移動できれば、各円筒状回転体は2列に配置されていなくてもよい。
また、例えば図12、又は13に示す洗浄装置220のように、走行手段214としては、縦方向に2列に配置された円筒状回転体214f〜214jを有してもよい。
図12、又は13に示す走行手段214では、多孔質膜213は洗浄液211の落下方向に対して直交方向に走行する。多孔質膜213が洗浄液211の落下方向に対して直交方向に走行すれば、多孔質膜213から洗浄液211が剥離しやすくなり、水切りによる洗浄性が向上する。
ただし、洗浄液と多孔質膜の接触を考慮すると、図10、又は11に示すような、洗浄液211の落下方向と同一方向や反対方向に多孔質膜213を走行させる走行手段が好ましい。
また、洗浄装置310では、図15に示すように、走行手段314として一方の円筒状回転体314aの真下に他方の円筒状回転体314bが配置されたものを例示したが、これら円筒状回転体314a、及び314bは、軸方向が互いに非平行で、多孔質膜面を流下する洗浄液が膜表面から剥離しない角度範囲であれば、図16に示すように前後にずれ、多孔質膜313の走行方向が鉛直方向に対して傾いていてもよい。このときの多孔質膜313の傾斜角度範囲は鉛直方向に対して30°以下であることが、洗浄液との接触の面から好ましく、鉛直方向、すなわち0°に近いほうがより好ましい。
また、図14、又は15に示す洗浄装置310では、多孔質膜313が一方の円筒状回転体314aから他方の円筒状回転体314bへ移動するときと、他方の円筒状回転体314bから一方の円筒状回転体314aへ移動するときの両方のタイミングにおいて、多孔質膜313は洗浄液311と接触しているが、多孔質膜313と洗浄液311の接触のタイミングはこれに限定されない。例えば、多孔質膜313は、一方の円筒状回転体314aから他方の円筒状回転体314bへ移動するときのみ洗浄液311と接触してもよいし、逆に他方の円筒状回転体314bから一方の円筒状回転体314aへ移動するときのみ洗浄液311と接触してもよい。
また、洗浄装置410では、走行手段414として、軸方向が水平かつ互いに平行な円筒状回転体414a、及び414aを有するものを例示したが、これら円筒状回転体414a、又は414aは軸方向が水平でなくてもよいし、軸方向が互いに非平行であってもよい。
さらに、洗浄装置410では、落下手段412の吐出口412bの配列方向と、走行手段414の円筒状回転体414a、及び414aの軸方向が同じ方向であるが、両者の方向は例えば図19A、又はBに示すように異なっていてもよい。上述したように、洗浄液を帯状に落下させる場合も同様であり、スリット状の吐出口の横断面における長手方向と円筒状回転体の軸方向は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
図19A又はBに示す洗浄装置420では、円筒状回転体414a、又は414aの軸方向が、吐出口412bの配列方向に対して直交している。
また、上述した洗浄装置410、又は420では、洗浄液411の落下方向と多孔質膜413の走行方向とが十字状に交差するように多孔質膜413を走行させているが、例えば図20A、又はBに示すように、洗浄液411の落下方向と多孔質膜413の走行方向とが筋交い状に交差するように、多孔質膜413を走行させてもよい。洗浄液411の落下方向と多孔質膜413の走行方向とが筋交い状に交差するように多孔質膜413を走行させると、円筒状回転体414a、又は414aに多孔質膜413が弛まないように巻き付きやすくなり、多孔質膜413を安定して走行させることができる。よって、より多くの洗浄液411を多孔質膜413に接触させることが可能となる。係る理由は以下のように考えられる。
洗浄液の落下方向と多孔質膜の走行方向とが筋交い状に交差するように多孔質膜を走行させると、多孔質膜は円筒状回転体間で交差するため(図20A、又はB参照)、多孔質膜が円筒状回転体を締め付ける形となり、多孔質膜が円筒状回転体から外れにくくなる。また、円筒状回転体と多孔質膜が接触する部分が長くなるので、より多くの張力を多孔質膜に付与できる。よって、円筒状回転体に多孔質膜が弛まないように巻き付きやすくなり、多孔質膜の走行安定性が向上する。
特に多孔質膜の曲げ半径が大きい(膜が剛直である)場合などは、多孔質膜を円筒状回転体間で交差させる(すなわち、多孔質膜を円筒状回転体に交差させて掛ける)方が、多孔質膜に張力を付与しやすくなり、多孔質膜を安定して走行させることができる。
図20A又はBに示す洗浄装置430では、走行手段414として、軸方向が水平かつ互いに平行な円筒状回転体414a、及び414aを有するものを例示したが、これら円筒状回転体414a、及び414aは軸方向が水平でなくてもよいし、軸方向が互いに非平行であってもよい。また、落下手段412の吐出口412bの配列方向と、走行手段414の円筒状回転体414a、及び414aの軸方向は、同じ方向であってもよい。
また、洗浄装置510では、多孔質膜513を各流路512bに通過させているが、落下部Fにおいて落下する洗浄液511に多孔質膜513が接触できれば、多孔質膜513は流路512bを通過しなくてもよい。
さらに、洗浄装置510では、洗浄液511の落下方向と同一方向に多孔質膜513を走行させているが、洗浄液511の落下方向と反対方向に多孔質膜513を走行させてもよい。すなわち、例えば図21に示す洗浄装置510において、多孔質膜513の走行方向を逆向きにし、流路512bを上るように多孔質膜513を走行させてもよい。この場合、多孔質膜の走行速度と、洗浄液の流速で洗浄液による多孔質膜の表面更新はより促進される。また、多孔質膜に含まれる液体の溶媒濃度が低くなるに連れ、使用する洗浄液の溶媒濃度も低くなり、洗浄効率として優れる。更に、多孔質膜から除去された溶媒などの物質は洗浄液で濃縮することができ、高濃度の廃液として処理が可能となり、コスト面からも有利である。
また、洗浄装置510では、上下1対の円筒状回転体5141a、及び5141aが、軸方向が水平かつ同じ方向になるように配置されているが、落下部Fにおいて多孔質膜513の走行方向を洗浄液511の落下方向と同一方向又は反対方向に規制できれば、例えば図22に示すように、上下1対の円筒状回転体5141a、及び5141aの軸方向は同じ方向を向いていなくてもよい。
また、落下部Fに設けられる円筒状回転体5141aの数は、1箇所につき上下1対(2個)に限定されず、例えば図23Aに示すように3個でもよいし、図23Bに示すように4個でもよいし、それ以上の数でもよい。
さらに、図21に示す洗浄装置510の走行手段514は、ガイド部材514aとして上下1対の円筒状回転体5141a、及び5141aを有しているが、ガイド部材514aとしては上下1対の円筒状回転体5141a、及び5141aに限定されない。ガイド部材514aとしては、例えば、図24Aに示すような上下1対のニップロール5142a、及び5142aでもよいし、図24Bに示すような上下1対のリング状ガイド5143a、及び5143aでもよいし、図24Cに示すような周面に溝が形成された円板状ガイド5144aでもよい。ただし、ガイド部材514aとの摩擦により多孔質膜13が傷つくのを防いだり、多孔質膜13を安定して走行させたりできる点で、図21〜図23Bに示すような円筒状回転体5141aが好ましい。
ガイド部材514aとして図24Aに示すようなニップロール5142aや、図24Bに示すようなリング状ガイド5143aを用いる場合、その数は1箇所の落下部Fにつき上下1対(2個)に限定されず、3個以上でもよい。
また、洗浄装置510では、2以上の流路512bがジグザグ状に配置に配置されているが、洗浄液511が任意の流路512bから次の流路512bへ落下しながら順次移動できれば、図25に示すように、各流路512bの傾斜の向きが同じ方向になるように配置されていてもよい。この場合、多孔質膜513が上下1対の円筒状回転体5141a、及び5141aの一方から他方へ、斜め掛けになるように移動する。
ただし、図21に示すように2以上の流路512bがジグザグ状に配置されていれば、装置をより小型化できる。
[多孔質膜の製造方法]
本発明の多孔質膜の製造方法は、疎水性ポリマーと親水性ポリマーと溶媒とを含む製膜原液を凝固液により凝固させて多孔質膜を形成する凝固工程と、前記多孔質膜を洗浄して多孔質膜中に残存する溶媒などの物質を除去する洗浄工程と、前記多孔質膜中に残存する親水性ポリマーを除去する除去工程とを有する。また、除去工程の後に、前記多孔質膜を乾燥する乾燥工程をさらに有する。
<凝固工程>
本実施形態例の多孔質膜の製造方法では、まず、疎水性ポリマーと親水性ポリマーと溶媒とを含む製膜原液を調製する。ついで、通常、この製膜原液を環状の吐出口が形成されたノズルから凝固液中に吐出し、凝固液中で凝固させる凝固工程により、多孔質膜を形成する。
疎水性ポリマーは、凝固工程により多孔質膜を形成し得る物質であればよく、そのような物質であれば特に制限なく使用できるが、ポリスルホンやポリエーテルスルホンなどのポリスルホン系樹脂、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系樹脂、ポリアクリロニトリル、セルロース誘導体、ポリアミド、ポリエステル、ポリメタクリレート、又はポリアクリレートなどが挙げられる。また、これらの樹脂の共重合体を使用してもよいし、これら樹脂や共重合体の一部に置換基を導入したものも使用できる。また、分子量などが異なる同種のポリマーをブレンドして用いてもよく、2種以上の異なる種類の樹脂を混合して使用してもよい。
これらのなかでフッ素系樹脂、中でもポリフッ化ビニリデンやフッ化ビニリデン単体と他の単量体からなる共重合体は、次亜塩素酸などの酸化剤に対する耐久性が優れている。 よって、例えば後述の親水性ポリマー除去工程などで、酸化剤により処理されるような多孔質膜を製造する場合には、疎水性ポリマーとしてフッ素系樹脂を選択することが好適である。
親水性ポリマーは、製膜原液の粘度を多孔質膜の形成に好適な範囲に調整し、製膜状態の安定化を図るために添加される物質であって、ポリエチレングリコールやポリビニルピロリドンなどが好ましく使用される。これらの中でも、多孔質膜の孔径の制御や多孔質膜の強度の点から、ポリビニルピロリドンやポリビニルピロリドンに他の単量体が共重合した共重合体が好ましい。
また、親水性ポリマーには、2種以上の樹脂を混合して使用することもできる。例えば親水性ポリマーとして、より高分子量のものを用いると、膜構造の良好な多孔質膜を形成しやすい傾向がある。一方、低分子量の親水性ポリマーは、後述の親水性ポリマー除去工程において多孔質膜からより除去されやすい点で好適である。よって、目的に応じて、分子量が異なる同種の親水性ポリマーを適宜ブレンドして用いてもよい。
上述した疎水性ポリマー及び親水性ポリマーをこれらが可溶な溶媒(良溶媒)に混合することにより、製膜原液を調製することができる。製膜原液には、所望によりその他の添加成分を加えてもよい。
溶媒の種類には特に制限はないが、乾湿式紡糸で凝固工程を行う場合には、空走部において製膜原液を吸湿させることによって多孔質膜の孔径を調整するため、水と均一に混合しやすい溶媒を選択することが好ましい。このような溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、又はN−メチルモルホリン−N−オキシドなどが挙げられ、これらを1種以上使用できる。また、溶媒への疎水性ポリマーや親水性ポリマーの溶解性を損なわない範囲で、疎水性ポリマーや親水性ポリマーの貧溶媒を混合して使用してもよい。
製膜原液の温度は、特に制限はないが通常は20〜40℃である。
製膜原液中における疎水性ポリマーの濃度は、薄すぎても濃すぎても製膜時の安定性が低下し、好適な多孔質膜構造が形成されに難くなる傾向にあるため、下限は10質量%が好ましく、15質量%がより好ましい。また、上限は30質量%が好ましく、25質量%がより好ましい。
一方、親水性ポリマーの濃度の下限は、多孔質膜をより形成しやすいものとするために1質量%が好ましく、5質量%がより好ましい。親水性ポリマーの濃度の上限は、製膜原液の取扱性の点から20質量%が好ましく、12質量%がより好ましい。
こうして調製された製膜原液を吐出ノズルなどから吐出して、凝固液に浸漬することによって、疎水性ポリマーが凝固されて、疎水性ポリマーと親水性ポリマーとで構成される中空糸状の多孔質膜が得られる。ここで親水性ポリマーは、ゲル状態で疎水性ポリマーと三次元的に絡みあっているものと推察される。
吐出後、凝固液の入った凝固槽に至るまでの間に、空走区間を設けても(乾湿式紡糸)、空走区間を設けなくても(湿式紡糸)よい。
ここで使用する凝固液は、疎水性ポリマーの非溶媒で、親水性ポリマーの良溶媒である必要があり、水、エタノール、又はメタノール等やこれらの混合物が挙げられるが、特に製膜原液に用いた溶媒と水との混合液が安全性、又は運転管理の面から好ましい。
また、ここで使用する吐出ノズルとしては、多孔質膜の形態に応じて選択することができる。例えば、環状のノズルを有するものを使用した場合には、多孔質膜として中空状の中空糸膜を製造することができる。本発明で製造される多孔質膜の形態としては、中空状の他、平膜などであってもよく、膜の形態には特に制限はないが、特に水処理においては中空状の中空糸膜が好適に使用される。
本発明で製造される多孔質膜の形態としては、中空糸膜の他、平膜などであってもよく、膜の形態には特に制限はない。
また、多孔質膜の強度をさらに向上させたい場合には、多孔質膜の内部に補強支持体を配することができる。
補強支持体としては、各種の繊維で製紐された中空状の編紐や組紐、又は中空糸膜等が挙げられ、各種素材を単独又は組み合わせて用いることができる。
補強支持体としては、中空糸膜を製造する場合には、各種の繊維で製紐された中空状の編紐や組紐等が挙げられ、各種素材を単独又は組み合わせて用いることができる。中空編紐や組紐に使用される繊維として、合成繊維、半合成繊維、再生繊維、又は天然繊維等が挙げられ、また繊維の形態は、モノフィラメント、マルチフィラメント、又は紡績糸のいずれであってもよい。
一方、平膜を製造する場合は、織布、不織布又はネットなどを用いることができる。中空糸膜又は平膜のいずれを製造する場合にも、補強支持体を用いる場合には、ノズルから製膜原液を補強支持体の表面に塗布した後、凝固液中に投入すればよい。中空糸膜を製造する場合においては、環状複合紡糸ノズルを用いて、ノズル内で補強支持体表面に製膜原液を塗布した後、直接凝固液に吐出することも考えられる。
このように製膜原液を凝固液に吐出(投入)すると、製膜原液中に凝固液が拡散するにしたがって、疎水性ポリマーと親水性ポリマーがそれぞれ相分離を起こす。このように相分離が進行しつつ、凝固することにより、疎水性ポリマーと親水性ポリマーとが相互に入り組んだ三次元網目構造の多孔質膜が得られる。相分離が止まった時点で、次工程である洗浄工程へと移る。
<洗浄工程>
上述の凝固工程により形成された多孔質膜は、一般的に孔径が大きく高透水性を潜在的には有しているが、多孔質膜中に溶液状態の親水性ポリマーや溶媒などの物質が多量に残存している。特に、親水性ポリマーが膜中に残存していると、十分な高透水性を発揮できない。また、親水性ポリマーが膜中で乾固すると、膜の機械的強度の低下の原因にもなる。よって、凝固工程の後には、多孔質膜中に残存する親水性ポリマーを除去する工程を行う。
ところで、親水性ポリマーの除去工程では、詳しくは後述するが酸化剤を使用して親水性ポリマーを酸化分解(低分子量化)するが、多孔質膜中に溶媒が残存していると、溶媒と酸化剤とが反応してしまうため、親水性ポリマーの酸化分解が阻害されることとなる。 そこで、親水性ポリマーの除去工程に先立って、多孔質膜を洗浄し、多孔質膜中に残存する溶媒などの物質を除去する工程(洗浄工程)を行う。
本発明の第1の態様の洗浄工程では、例えば図1、又は2に示す本発明の洗浄装置110を用い、落下する洗浄液111、すなわち鉛直方向に落下する洗浄液111に接触するように多孔質膜113を走行させる。
落下手段112より洗浄液111を落下させる方法としては特に限定されず、洗浄液111の自重により吐出口112bから自然落下させてもよいし、ポンプ(図示略)等の外力を作用させて落下させてもよい。
落下する洗浄液111に接触するように多孔質膜113が走行することで、洗浄液111は多孔質膜113と接しながら、膜表面を流れ落ちる。その結果、多孔質膜中の溶媒などの物質が膜内部から膜表面に拡散移動すると共に、膜表面から洗浄液111に拡散移動して、多孔質膜から除去される。
落下する洗浄液111に多孔質膜113が接触するときには、洗浄液111が樋などの液体を運ぶ手段に接していないものとする。前記洗浄工程においては、落下する洗浄液111に接触するように多孔質膜113を配置するときは、洗浄液111が樋などの液体を運ぶ手段に接していないように配置されている箇所が含まれていれば良く、それ以外の箇所では洗浄液111に多孔質膜113が接触するときには、洗浄液111が樋などの液体を運ぶ手段に接していても良い。
前記洗浄工程では、図1、2、3A、5A、又は6に示すように、多孔質膜113を洗浄液111の落下方向と平行に走行させることが好ましい。すなわち、多孔質膜113を洗浄液111の落下方向と同一方向及び/又は反対方向に走行させることが好ましい。これにより、均一かつ十分に洗浄液111が多孔質膜113に接触するので、多孔質膜113がより効果的に洗浄され、多孔質膜113中に存在する溶媒などの物質が除去されやすくなる。
但し、前記洗浄工程において、多孔質膜113を洗浄液111の落下方向と平行に走行させる場合の「平行」とは、厳密な平行を意味するものではない。例えば洗浄液111が下方向に落下する場合には、多孔質膜113も下方向及び/又はその反対方向に走行すればよく、実質的に洗浄液111と同じ方向及び/又はその反対方向に走行すればよい。
前記洗浄工程では、図1〜4に示すように、1対の円筒状回転体を往復させながら、多孔質膜を円筒状回転体の軸方向へ移動させることが好ましい。これにより、設備がより小型化される。
前記洗浄工程では、前記多孔質膜を前記洗浄液に対し高角で接触するように走行させることが好ましい。前記多孔質膜に対する前記洗浄液の角度は、45°〜90°が好ましい。前記多孔質膜を前記洗浄液に対し高角で接触するように走行させることにより、多孔質膜表面の水切り及び境膜剥離が起こりやすくなり、多孔質膜がより効果的に洗浄され、多孔質膜中に存在する溶媒などの物質が除去されやすくなる。
前記洗浄工程では、前記洗浄液の鉛直方向への落下が自由落下であることが好ましい。前記洗浄液の自由落下とは、重力以外の外力が存在しない状況下で、前記洗浄液が落下することを意味する。
すなわち、本発明の洗浄工程では、樋などの洗浄浴を用いた洗浄手段ではなく、鉛直方向に落下する前記洗浄液と多孔質膜とが接触することにより、多孔質膜中に残存する物質を除去し、多孔質膜を洗浄する。これにより、多孔質膜の表面に接する洗浄液の交換(表面更新)が促進されるので、洗浄効果が向上する。
前記洗浄工程では、前記多孔質膜を前記洗浄液の落下方向と同一方向及び反対方向に走行させることを含み、前記洗浄工程において、前記多孔質膜の走行速度をV1、前記洗浄液の平均移動速度をv2としたときに、v2/V1が1以上であることが好ましい。これにより、多孔質膜よりも速い速度で鉛直方向に自由落下する洗浄液に、多孔質膜を接触させることができる。従って、多孔質膜の表面に接する洗浄液の交換(表面更新)が促進されるので、洗浄効果が向上する。
前記v2/V1は、好ましくはv2/V1≧1であり、より好ましくはv2/V1≧2であり、さらに好ましくはv2/V1≧3であり、特に好ましくはv2/V1≧5である。
前記v2は、前記多孔質膜へ前記洗浄液が接触する接触開始点での前記洗浄液の落下速度をv0、及び前記多孔質膜から前記洗浄液が分離する分離点での前記洗浄液の落下速度をv1としたときに、下記式(I)により算出される。
v2=(v0+v1)/2 ・・・(I)
前記洗浄工程では、前記多孔質膜を前記洗浄液の落下方向と同一方向に走行させることを含み、前記洗浄工程において、前記多孔質膜の走行速度をV1、前記洗浄液の平均移動速度をv2としたときに、v2/V1が2以上であることが好ましい。これにより、多孔質膜よりも速い速度で鉛直方向に自由落下する洗浄液に、多孔質膜を接触させることができる。従って、多孔質膜の表面に接する洗浄液の交換(表面更新)が促進されるので、洗浄効果が向上する。
前記v2/V1は、好ましくはv2/V1≧2であり、より好ましくはv2/V1≧2.5であり、さらに好ましくはv2/V1≧3である。
前記洗浄工程は、前記多孔質膜を前記洗浄液の落下方向と反対方向に走行させることを含み、前記洗浄工程において、前記多孔質膜の走行速度をV1、前記洗浄液の平均移動速度をv2としたときに、v2/V1>0であることが好ましい。これにより、多孔質膜よりも速い速度で鉛直方向に自由落下する洗浄液に、多孔質膜を接触させることができる。従って、多孔質膜の表面に接する洗浄液の交換(表面更新)が促進されるので、洗浄効果が向上する。
前記v2/V1は、好ましくはv2/v1>0であり、より好ましくはv2/V1≧0.5であり、さらに好ましくはv2/V1≧1である。
前記洗浄工程では、前記多孔質膜が前記洗浄液に2回以上接触することが好ましい。これにより、前記洗浄液が多孔質膜に十分に接触し、多孔質膜をより効果的に洗浄できる。
前記洗浄工程では、前記洗浄液の少なくとも一部が自由表面となるように、前記洗浄液が前記多孔質膜に接触することが好ましい。これにより、洗浄液は抵抗を受けにくくなるので、樋などの洗浄浴を用いて洗浄液を流しながら洗浄する方法に比べて洗浄液の流速が上がり、洗浄効率に優れる。加えて、洗浄浴を用いることなく多孔質膜を洗浄できるので、大型の設備を必要とせず、低コストである。
本発明の第2の態様の洗浄工程では、例えば図10、又は11に示す本発明の洗浄装置210を用い、落下する洗浄液211に接触するように、多孔質膜213を洗浄液211の落下方向と平行に走行させる。
但し、本発明の第2の態様において、多孔質膜213を洗浄液211の落下方向と平行に走行させる場合の「平行」とは、厳密な平行を意味するものではない。例えば洗浄液211が下方向に落下する場合には、多孔質膜213も下方向及びその反対方向に走行すればよく、実質的に洗浄液211の落下方向と同じ方向及びその反対方向に走行すればよい。
すなわち、多孔質膜213を洗浄液211の落下方向と同一方向及び反対方向に走行させる。
落下手段212より洗浄液211を落下させる方法としては特に限定されず、洗浄液211の自重により吐出口212bから自然落下させてもよいし、ポンプ(図示略)等の外力を作用させて落下させてもよい。
落下する洗浄液211に接触するように多孔質膜213が走行することで、洗浄液211は多孔質膜213と接しながら、膜表面を流れ落ちる。その結果、多孔質膜213中の溶媒などの物質が膜内部から膜表面に拡散移動すると共に、膜表面から洗浄液211に拡散移動して、多孔質膜から除去される。
落下する洗浄液211に多孔質膜213が接触するときには、洗浄液211が樋などの液体を運ぶ手段に接していないものとする。前記洗浄工程においては、落下する洗浄液211に接触するように多孔質膜213を配置するときは、洗浄液211が樋などの液体を運ぶ手段に接していないように配置されている箇所が含まれていれば良く、それ以外の箇所では洗浄液211に多孔質膜213が接触するときには、洗浄液211が樋などの液体を運ぶ手段に接していても良い。
また、前記洗浄工程では、互い違いに配置された2以上の円筒状回転体214a〜214eの間を折り返しながら、すなわち前記2以上の円筒状回転体214a〜214eの間を順に走行させながら、多孔質膜213を上流側の円筒状回転体214aから下流側の円筒状回転体214eへ移動させる。これにより、2以上の多孔質膜を走行させて洗浄する場合(多錐化)に好適であるとともに、設備の小型化が可能となる。
さらに、図10、又は11に示すように、多孔質膜213を洗浄液211の落下方向と同一方向や反対方向に走行させれば、均一かつ十分に洗浄液211が多孔質膜213に接触する。従って、多孔質膜213がより効果的に洗浄され、多孔質膜213中に存在する溶媒などの物質が除去されやすくなる。
本発明の第3の態様の洗浄工程では、例えば図14、又は15に示す本発明の洗浄装置310を用い、落下する洗浄液311に接触するように、多孔質膜313を洗浄液311の落下方向と平行に走行させる。
但し、本発明の第3の態様において、多孔質膜313を洗浄液311の落下方向と平行に走行させる場合の「平行」とは、厳密な平行を意味するものではない。例えば洗浄液311が下方向に落下する場合には、多孔質膜313も下方向に走行すればよく、実質的に洗浄液311と同じ方向及びその反対方向に走行すればよい。
すなわち、多孔質膜313を洗浄液311の落下方向と同一方向及び反対方向に走行させる。
落下手段312より洗浄液311を落下させる方法としては特に限定されず、洗浄液311の自重により吐出口312bから自然落下させてもよいし、ポンプ(図示略)等の外力を作用させて落下させてもよい。
落下する洗浄液311に接触するように多孔質膜313を洗浄液311の落下方向と同一方向又は反対方向に走行させることで、洗浄液311は多孔質膜313と接しながら、膜表面を流れ落ちる。その結果、多孔質膜313中の溶媒などの物質が膜内部から膜表面に拡散移動すると共に、膜表面から洗浄液311に拡散移動して、多孔質膜から除去される。
落下する洗浄液311に多孔質膜313が接触するときには、洗浄液311が樋などの液体を運ぶ手段に接していないものとする。前記洗浄工程においては、落下する洗浄液311に接触するように多孔質膜313を配置するときは、洗浄液311が樋などの液体を運ぶ手段に接していないように配置されている箇所が含まれていれば良く、それ以外の箇所では洗浄液311に多孔質膜313が接触するときには、洗浄液311が樋などの液体を運ぶ手段に接していても良い。
さらに、前記洗浄工程では、多孔質膜313を洗浄液311の落下方向と同一方向及び反対方向に走行させることにより、均一かつ十分に洗浄液311が多孔質膜313に接触するので、多孔質膜313が効果的に洗浄され、多孔質膜313中に存在する溶媒などの物質が除去されやすくなる。
さらに、前記洗洗浄工程では、1対の円筒状回転体314a、及び314bの間を往復するように走行させながら、多孔質膜313を円筒状回転体314a、又は314bの軸方向へ移動させる。これにより、設備の小型化が可能となる。また、多孔質膜313が移動する際、1対の円筒状回転体314a、及び314bの軸方向は、同一平面内において互いに非平行であるため、2つの円筒状回転体314a、及び314bの中心軸は平行から所定の角度だけ傾いていることになる。上述したように、多孔質膜313は各中心軸に対して直角になる角度で円筒状回転体314a、又は314bに接触しようとするので、多孔質膜313は円筒状回転体314a、及び314b間の同じ場所を往復することなく、一定の間隔(ピッチ)を空けながらこれらの軸方向へ移動できる。従って、規制溝が形成された円筒状回転体を用いる必要がなく、周面がフラットな円筒状回転体を用いても、円筒状回転体間を往復するように走行させることで、多孔質膜を一定のピッチで軸方向に移動させることができる。
本発明の第4の態様の洗浄工程では、例えば図17、又は18に示す本発明の洗浄装置410を用い、落下する洗浄液411に接触するように、かつ、洗浄液411の落下方向と多孔質膜413の走行方向とが交差するように、多孔質膜413を走行させる。
落下手段412より洗浄液411を落下させる方法としては特に限定されず、洗浄液411の自重により吐出口412bから自然落下させてもよいし、ポンプ(図示略)等の外力を作用させて落下させてもよい。
落下する洗浄液411に接触するように多孔質膜413が走行することで、洗浄液411は多孔質膜413と接しながら、膜表面を流れ落ちる。その結果、多孔質膜413中の溶媒などの物質が膜内部から膜表面に拡散移動すると共に、膜表面から洗浄液411に拡散移動して、多孔質膜から除去される。
落下する洗浄液411に多孔質膜413が接触するときには、洗浄液411が樋などの液体を運ぶ手段に接していないものとする。前記洗浄工程においては、落下する洗浄液411に接触するように多孔質膜413を配置するときは、洗浄液411が樋などの液体を運ぶ手段に接していないように配置されている箇所が含まれていれば良く、それ以外の箇所では洗浄液411に多孔質膜413が接触するときには、洗浄液411が樋などの液体を運ぶ手段に接していても良い。
また、前記洗浄工程では、洗浄液411の落下方向と多孔質膜413の走行方向とが交差するように多孔質膜413を走行させる。これにより、洗浄液411が多孔質膜413の表面から剥離しやすくなり、洗浄効率が向上する。
さらに、前記洗浄工程では、1対の円筒状回転体414a、及び414aの間を往復するように走行させながら、多孔質膜413を円筒状回転体414a、又は414aの軸方向へ移動させる。これにより、設備が小型化されると共に、多孔質膜413の表面の片側半分だけでなく、反対側の半分も新鮮な洗浄液411が接触可能となり、洗浄効率が向上する。
本発明の第5の態様の洗浄工程では、例えば図21に示す本発明の洗浄装置510を用い、ジグザグ状に配置された2以上の流路512bの任意の流路512bから次の流路512bへ落下しながら順次移動する洗浄液511に接触するように、落下部Fに設けられた多孔質膜の走行を規制するガイド部材514a(図21に示す洗浄装置510の場合は、上下1対の円筒状回転体5141a、及び5141a)によって、多孔質膜513を洗浄液511の落下方向と同一方向に走行させる。
洗浄装置510内での洗浄液511と多孔質膜513の移動は以下の通りである。
貯蔵タンク512aから供給された洗浄液511は、1番目の流路5121b内を流れた後、流路5121bの一端から放出され落下し、2番目の流路5122bへ移動する。2番目の流路5122bへ移動した洗浄液511は、この流路5122b内を流れた後、流路5122bの一端から放出され落下し、3番目の流路5123bへ移動する。3番目の流路5123bへ移動した洗浄液511は、この流路5123b内を流れた後、流路5123bの一端から放出され、後述する回収手段515の回収タンク515aへ回収される。
一方、1番目の流路5121bを通過した多孔質膜513は、1番目の流路5121bと2番目の流路5122bの間の落下部Fにおいて、落下する洗浄液511に接触しながら、かつ、上下1対の円筒状回転体5141a、又は5141aの一方(上側)から他方(下側)に(すなわち、洗浄液511の落下方向と同一方向に)移動しながら走行し、2番目の流路5122bへと導かれる。2番目の流路5122bへ導かれた多孔質膜513は、この流路5121bを通過し、2番目の流路5122bと3番目の流路5123bの間の落下部Fにおいて、落下する洗浄液511に接触しながら、かつ、上下1対の円筒状回転体5141a、又は5141aの一方(上側)から他方(下側)に移動しながら走行し、3番目の流路5123bへと導かれる。
洗浄工程では、多孔質膜513は、流路512bを通過している最中、及び洗浄部Fにおいて落下する洗浄液に接触している最中に洗浄される。特に、落下部Fにおいて、落下する洗浄液511に接触するように多孔質膜513が走行することで、洗浄液511は多孔質膜513と接しながら、膜表面を流れ落ちる。その結果、多孔質膜513中の溶媒などの物質が膜内部から膜表面に拡散移動すると共に、膜表面から洗浄液511に拡散移動して、多孔質膜から除去される。
落下する洗浄液511に多孔質膜513が接触するときには、洗浄液511が樋などの液体を運ぶ手段に接していないものとする。前記洗浄工程においては、落下する洗浄液511に接触するように多孔質膜513を配置するときは、洗浄液511が樋などの液体を運ぶ手段に接していないように配置されている箇所が含まれていれば良く、それ以外の箇所では洗浄液511に多孔質膜513が接触するときには、洗浄液511が樋などの液体を運ぶ手段に接していても良い。
また、洗浄工程では、多孔質膜513を洗浄液511の落下方向と同一方向に走行させる。
これにより、均一かつ十分に洗浄液511が多孔質膜513に接触するので、多孔質膜513が効果的に洗浄され、多孔質膜513中に存在する溶媒などの物質が除去されやすくなる。
さらに、図21に示す洗浄装置510を用いた洗浄工程は、2以上の流路512bをジグザグ状に配置し、任意の流路512bから次の流路512bへの洗浄液511の移動を利用して洗浄液511を落下させており、多孔質膜513が任意の流路512bから次の流路512bに移動するための方向転換は、上下1対の円筒状回転体5141a、5141aで行われる。そのため同一張力条件下において、一つの円筒状回転体で方向転換を行う場合と比較して、円筒状回転体5141aと多孔質膜513の接触角が小さくなり、多孔質膜513が円筒状回転体5141aに押し付けられる力を小さくすることができ、膜変形やつぶれの発生の抑制に効果がある。また、流路512bを加熱すれば、洗浄液511を保温あるいは加熱することが可能となる。さらには流路512b内壁に突起や障害物等を設け、多孔質膜513に沿って流れる洗浄液511の流れを乱し、多孔質膜513近傍の濃度分布を有する洗浄液511の境膜を破壊して洗浄性を高めることが可能となる。
本発明の洗浄工程では主に多孔質膜中の溶媒を除去するが、多孔質膜を洗浄することで親水性ポリマーの一部も除去される。
<除去工程>
除去工程では、まず酸化剤による親水性ポリマーの酸化分解を行った後、低分子量化された親水性ポリマーを除去する。
低分子量化の方法としては、まず、多孔質膜に酸化剤を含む薬液を保持させ、ついで、薬液を保持した多孔質膜を気相中で加熱する方法が好ましい。
酸化剤としては、オゾン、過酸化水素、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、又は過硫酸塩等を使用することもできるが、酸化力が強く分解性能に優れること、取扱性に優れること、安価なこと等の点より、特に次亜塩素酸塩が好ましい。次亜塩素酸塩としては、次亜塩素酸ナトリウム、又は次亜塩素酸カルシウムなどが挙げられるが、特に次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。
この際、薬液の温度は50℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましい。50℃より高温であると、多孔質膜の浸漬中に酸化分解が促進され、薬液中に脱落した親水性ポリマーがさらに酸化分解し、酸化剤の浪費が進んでしまう。一方、過度に低温であると、酸化分解は抑制されるものの、常温で実施する場合と比較して、低温に温度制御するためのコストなどが増加する傾向にある。よって、その点からすると、薬液の温度は0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましい。
多孔質膜に薬液を保持させたあとは、多孔質膜を気相中で加熱することにより、親水性ポリマーを酸化分解する。気相中での加熱によれば、多孔質膜中に保持された薬液が大きく希釈されたり、薬液が加熱媒体中へ脱落溶出したりすることがほとんどなく、薬液中の酸化剤が多孔質膜中に残存する親水性ポリマーの分解に効率よく使用されるため好ましい。
具体的な加熱方法としては、大気圧下で加熱流体を用いて多孔質膜を加熱することが好ましい。加熱流体としては相対湿度の高い流体を使用すること、すなわち湿熱条件で加熱を行うことが、次亜塩素酸塩などの酸化剤の乾燥を防ぎ、効率的な分解処理が可能となるため好ましい。その際、流体の相対湿度としては80%以上が好ましく、90%以上とすることがより好ましく、100%近傍とすることが最も好ましい。
加熱温度の下限は、連続処理を行う場合、処理時間を短くできることから50℃とするのが好ましく、80℃がより好ましい。温度の上限は、大気圧状態では100℃とするのが好ましい。
低分子量化された親水性ポリマーを除去する方法としては、多孔質膜を洗浄する方法が好ましい。洗浄方法としては特に制限されず、上述した洗浄工程と同様に本発明の洗浄装置を用いた方法でもよいし、図9に示すように洗浄槽中に多孔質膜を走行させる方法でもよいし、洗浄液中に浸漬させる方法でもよい。
<乾燥工程>
乾燥工程では、親水性ポリマーの除去工程が実施された多孔質膜を乾燥する。
乾燥工程の方法としては特に制限はなく、多孔質膜を熱風乾燥機などの乾燥装置に導入する方法で行えばよい。
以上説明したように、本発明の多孔質膜の製造方法によれば、洗浄工程において落下する洗浄液に接触するように多孔質膜を走行させることによって、洗浄液は多孔質膜と接しながら、膜表面を流れ落ちる。その結果、多孔質膜中の溶媒などの物質が膜内部から膜表面に拡散移動すると共に、膜表面から洗浄液に拡散移動して、多孔質膜から除去される。また、洗浄液が落下している間、洗浄液の最外界面は自由表面となるため洗浄液の流速が上がり、短時間、及び低コストで効率よく多孔質膜を洗浄し、多孔質膜に残存する溶媒などの物質を除去できる。
本発明の第2の態様の洗浄工程では、互い違いに配置された2以上の円筒状回転体の間を折り返しながら、すなわち前記円筒状回転体の間を順に走行させながら、多孔質膜を上流側の円筒状回転体から下流側の円筒状回転体へ移動させるので、2以上の多孔質膜を走行させて洗浄する場合(多錐化)に好適であるとともに、設備の小型化が可能となる。
さらに、多孔質膜を洗浄液の落下方向と同一方向や反対方向に走行させるので、洗浄液が多孔質膜に均一かつ十分に接触し、多孔質膜をより効果的に洗浄できる。
本発明の第3の態様の洗浄工程では、軸方向が互いに非平行な円筒状回転体の間を往復するように走行させながら、多孔質膜を円筒状回転体の軸方向へ移動させる。2つの円筒状回転体の中心軸は平行から所定の角度だけ傾いていることになるため、上述したように、多孔質膜は各中心軸に対して直角になる角度で各円筒状回転体に接触しようとするので、多孔質膜は円筒状回転体間の同じ場所を往復することなく、一定の間隔(ピッチ)を空けながらこれらの軸方向へ移動できる。従って、規制溝が形成された円筒状回転体を用いる必要がなく、周面がフラットな円筒状回転体を用いても、円筒状回転体間を往復するように走行させることで、多孔質膜を一定のピッチで軸方向に移動させることができる。
本発明の第4の態様では、洗浄液の落下方向と多孔質膜の走行方向とが交差するように多孔質膜を走行させるので、洗浄液が多孔質膜の表面から剥離しやすくなり、洗浄効率が向上する。
さらに、本発明の第4の態様の洗浄工程では、1対の円筒状回転体の間を往復するように走行させながら、多孔質膜を円筒状回転体の軸方向へ移動させるので、設備を小型化できると共に、多孔質膜の表面の片側半分だけでなく、反対側の半分も新鮮な洗浄液が接触可能となり、洗浄効率を向上できる。
さらに、上述した方法での本発明の第5の態様の洗浄工程は、2以上の流路512bをジグザグ状に配置し、任意の流路512bから次の流路512bへの洗浄液511の移動を利用して洗浄液511を落下させており、多孔質膜513が任意の流路512bから次の流路512bに移動するための方向転換は、上下1対の円筒状回転体5141a、及び5141aで行われる。そのため同一張力条件下において、一つの円筒状回転体で方向転換を行う場合と比較して、円筒状回転体5141aと多孔質膜513の接触角が小さくなり、多孔質膜513が円筒状回転体5141aに押し付けられる力を小さくすることができ、膜変形やつぶれの発生の抑制に効果がある。また、流路512bを加熱すれば、洗浄液511を保温あるいは加熱することが可能となる。さらには流路512b内壁に突起や障害物等を設け、多孔質膜513に沿って流れる洗浄液511の流れを乱し、多孔質膜513近傍の濃度分布を有する洗浄液511の境膜を破壊して洗浄性を高めることが可能となる。
また、本発明の洗浄液は常に流れており、多孔質膜の表面に接する洗浄液が交換されているため、多孔質膜の表面更新が積極的に行われる。そのため、多孔質膜が保持する溶媒の残存溶媒濃度よりも膜表面近傍の洗浄液の溶出溶媒濃度の方が低い状態を維持できる。その結果、膜表面から洗浄液への溶媒の拡散が促進され、短時間での洗浄可能である。
さらに、本発明であれば、大型の洗浄設備を必要としない。
<他の実施形態>
本発明の多孔質膜の製造方法は、上述した方法に限定されない。
例えば、洗浄工程では、図12、又は13に示すような洗浄装置を用い、多孔質膜を洗浄液の落下方向に対して直交方向に走行させてもよい。多孔質膜213が洗浄液211の落下方向に対して直交方向に走行すれば、多孔質膜213から洗浄液211が剥離しやすくなり、水切りによる洗浄性が向上する。
ただし、洗浄液と多孔質膜の接触を考慮すると、図10、又は11に示すように、洗浄液211の落下方向と同一方向や反対方向に多孔質膜213を走行させるのが好ましい。
また洗浄工程の前及び/又は後に、図9に示すように、熱水121が貯蔵された洗浄槽122中に多孔質膜を走行させて熱洗浄してもよい。ただし、本発明の効果を十分に得るためには、熱洗浄は洗浄工程の後が好ましい。
さらに、除去工程と乾燥工程の間で、多孔質膜の外周側を減圧してもよい。多孔質膜の外周側を減圧することで、多孔質膜の外周側の圧力が内周側よりも低くなり、その圧力差により多孔質膜中に残存する親水性ポリマーが外周側へと移動する。従って、除去工程を行ってもなお親水性ポリマーが残存している場合は、より効果的に親水性ポリマーを除去することができる。
また、図14、又は15に示す洗浄装置310を用いた方法では、多孔質膜313が一方の円筒状回転体314aから他方の円筒状回転体314bへ移動するときと、他方の円筒状回転体314bから一方の円筒状回転体314aへ移動するときの両方のタイミングにおいて、多孔質膜313を洗浄液311に接触させているが、多孔質膜313と洗浄液311の接触のタイミングはこれに限定されない。例えば、多孔質膜313が一方の円筒状回転体314aから他方の円筒状回転体314bへ移動するときのみ多孔質膜313を洗浄液311に接触させてもよいし、逆に他方の円筒状回転体314bから一方の円筒状回転体314aへ移動するときのみ多孔質膜313を洗浄液311に接触させてもよい。
例えば、本発明の第5の態様の洗浄工程では、落下する洗浄液の走行方向と反対方向に多孔質膜を走行させてもよい。この場合、多孔質膜の走行速度と、洗浄液の流速で洗浄液による多孔質膜の表面更新はより促進される。また、多孔質膜に含まれる液体の溶媒濃度が低くなるに連れ、使用する洗浄液の溶媒濃度も低くなり、洗浄効率として優れる。更に、多孔質膜から除去された溶媒などの物質は洗浄液で濃縮することができ、高濃度の廃液として処理が可能となり、コスト面からも有利である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
[試験例]
以下、試験例について説明する。
以下の試験例1〜5では、多孔質膜を洗浄して溶媒を除去する際に、多孔質膜が表面更新された場合の洗浄効果や、洗浄液の温度に対する洗浄効果を確認するために行った。
<試験例1>
(多孔質膜の形成)
ポリフッ化ビニリデンA(アトフィナジャパン製、商品名カイナー301F)12質量部、ポリフッ化ビニリデンB(アトフィナジャパン製、商品名カイナー9000LD)8質量部、ポリビニルピロリドン(ISP社製、商品名K−90)10質量部、及びN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)70質量部を混合して、製膜原液(1)を調製した。
別途、ポリフッ化ビニリデンAを3質量部と、ポリフッ化ビニリデンBを2質量部と、ポリビニルピロリドンを2質量部と、DMAcを93質量部とを混合して、製膜原液(2)を調製した。
ついで、中心に中空部が形成され、その外側に、2種の液を順次塗布できるように環状の吐出口が二重に順次形成されたノズル(特開2005−42074号公報の図1参照。)を用意し、これを30℃に保温した状態で、中空部には補強支持体としてポリエステル製マルチフィラメント単繊組紐(マルチフィラメント;830T/96F、16打ち)を導入するとともに、その外周に製膜原液(2)、及び製膜原液(1)を内側から順次塗布し、80℃に保温した凝固液(N,N−ジメチルアセトアミド5質量部と水95質量部との混合液)中で凝固させた。このようにして、外表面近傍に分画層を1層有し、内部に向かって孔径が増大する傾斜構造の多孔質層が組紐にコーティングされた多孔質膜を得た。塗布された製膜原液(1)及び(2)のうち、多孔質膜の膜構造を形成する主原液は、外側に塗布された製膜原液(1)である。
さらに、この多孔質膜の外径よりも大きい内径の中空部が中心に形成され、その外側に、2種の液を順次塗布できるように環状の吐出口が二重に順次形成されたノズル(特開2005−42074号公報の図1参照。)を用意し、これを30℃に保温した状態で、中空部には上述のようにして得られた多孔質膜を導入するとともに、その外周にグリセリン(和光純薬工業製 一級)、及び製膜原液(1)を内側から順次塗布し、先に使用したものと同じ80℃に保温された凝固液中で凝固させた。このようにしてさらに多孔質層がコーティングされた2層構造で組紐支持体を有する多孔質膜を得た(凝固工程)。
このときの紡糸速度(多孔質膜の走行速度)は8.8m/分とした。
ついで、得られた多孔質膜を長さ50cmになるように2本切断し、一方の多孔質膜については、切断直後の多孔質膜の単位長さ当たりの質量(W)を測定した後、常温(25℃)にて質量変化が見られなくなるまで自然乾燥した。自然乾燥により質量変化が見られなくなった状態の多孔質膜の質量を測定し、これを自然乾燥後の多孔質膜の単位長さ当たりの質量(W)とした。自然乾燥前後の多孔質膜の質量から、洗浄処理前の多孔質膜が保持していた液体の質量(W)を下記式(II)より求めた。
=W−W ・・・(II)
もう一方の多孔質膜については、切断直後に50mLの純水(常温)に半日浸漬させ、多孔質膜中に残存するDMAcを純水に拡散及び抽出した(抽出処理)。抽出処理後の純水を採取し、ガスクロマトグラフィー(GC)により純水中のDMAc濃度を測定した。濃度測定に当たっては、既知濃度のDMAcを用いてあらかじめ検量線を作成した。
DMAc濃度の測定値と、先に求めた質量(W)との比(DMAc濃度/W)から、洗浄処理前の多孔質膜中の残存溶媒濃度(C)を求めた。結果を図7に示す。
<試験例2>
試験例1と同様にして凝固工程後の多孔質膜を形成した。
ついで、得られた多孔質膜を長さ50cmになるように6本切断し、そのうちの2本を用いて、試験例1と同様にして質量(W)、質量(W)、質量(W)、及び残存溶媒濃度(C)を求めた。この残存溶媒濃度(C)を洗浄処理前(洗浄液中の滞在時間:0秒間)の多孔質膜中の残存溶媒濃度とした。
次に、残りの4本の多孔質膜について、以下のようにして洗浄処理を行い、洗浄処理後の多孔質膜中の残存溶媒濃度を求めた。
まず、1本の多孔質膜を、洗浄液として純水(1000mL)が入ったビーカーに投入し、15秒間浸漬して洗浄処理を行った。洗浄処理中は、純水の温度が98℃を保つようにホットスターラーにて加温した。洗浄処理後、ビーカーから多孔質膜を取り出し、多孔質膜の単位長さ当たりの質量(W’)を測定した。これと、自然乾燥後の多孔質膜の単位長さ当たりの質量(W)とから、洗浄処理後の多孔質膜が保持していた液体の質量(W’)を下記式(III)より求めた。
’=W’−W ・・・(III)
ついで、質量を測定した洗浄処理後の多孔質膜を50mLの純水(常温)に半日浸漬させ、多孔質膜中に残存するDMAcを純水に拡散及び抽出した(抽出処理)。抽出処理後の純水を採取し、試験例1と同じ方法でGCにより純水中のDMAc濃度を測定した。
DMAc濃度の測定値と、希釈倍率(抽出処理に用いた純水の質量及び先に求めた質量(W’)から算出)との比(DMAc濃度/希釈倍率)から、洗浄処理後の多孔質膜中の残存溶媒濃度(C)を求めた。
残りの3本の多孔質膜についても、1本目と同様にして洗浄処理を行った後、それぞれ質量(W’)、質量(W’)、及び洗浄処理後の多孔質膜中の残存溶媒濃度(C)〜(C)を求めた。ただし、各洗浄処理における多孔質膜のビーカー内への滞在時間(浸漬時間)は、それぞれ30秒間、60秒間、又は120秒間となるようにした。
各滞在時間と多孔質膜中の残存溶媒濃度の関係を図7に示す。
<試験例3>
洗浄液の温度を88℃に変更した以外は、試験例2と同様にして洗浄処理前の多孔質膜中の残存溶媒濃度(C)、及び洗浄処理後の多孔質膜中の残存溶媒濃度(C)〜(C)を求めた。結果を図7に示す。
<試験例4>
洗浄液の温度を78℃に変更した以外は、試験例2と同様にして洗浄処理前の多孔質膜中の残存溶媒濃度(C)、及び洗浄処理後の多孔質膜中の残存溶媒濃度(C)〜(C)を求めた。結果を図7に示す。
<試験例5>
洗浄処理中、洗浄液を撹拌した以外は、試験例2と同様にして洗浄処理前の多孔質膜中の残存溶媒濃度(C)、及び洗浄処理後の多孔質膜中の残存溶媒濃度(C)〜(C)を求めた。結果を図7に示す。
図7から明らかなように、膜の表面更新効果は、多孔質膜中の残存溶媒濃度が高いときに顕著であった。
また、洗浄液温度は高い方が優れた洗浄効果が得られたが、その効果は多孔質膜中の残存溶媒濃度が低くなるにつれて顕著であった。
また、洗浄液を撹拌した方が優れた洗浄効果が得られた。
これらの結果より、多孔質膜の表面に接する洗浄液を交換(表面更新)することで、短時間で効率よく多孔質膜中に残存する溶媒を除去できることが分かった。
[実施例1]
試験例1と同様にして多孔質膜を形成した。
ついで、熱交換器により70℃に加温された温水を1mの高さから流量2.0L/分の条件で落下させ、その水流に接触するように、錘を付けた多孔質膜を投入して洗浄処理を行った。
前記洗浄処理を30秒間、60秒間、又は120秒間行った後の多孔質膜をそれぞれ半分に切断して上流部と下流部に分け、試験例2と同様にして洗浄処理前の多孔質膜中の残存溶媒濃度(C)、及び洗浄処理後の多孔質膜中の残存溶媒濃度(C)〜(C)を求めた。結果を図8に示す。
以下の実施例2〜4及び比較例1は、図1に示す装置で洗浄処理を行った。
実施例2〜4の洗浄液の温度は、80℃になるように熱交換器で温度調整し、ポンプで循環させた。また、純水を2L/minで供給又は追添することで、洗浄液の一部は排出した。
前記洗浄液に含まれる溶剤の濃度を測定したところ、0.5%であった。
前記洗浄液は貯蔵タンク(容器)に送液され、前記貯蔵タンク底部には6mmの孔が10mmピッチで24個、空けられており、その孔が多孔質膜のロール折り返し部の上になるように設置した。前記洗浄液の循環流量を測定したところ、27.6L/minであり、その時の前記貯蔵タンク底部の孔から落下する洗浄液の流量は1.2L/minであった。したがって多孔質膜に沿って流れる洗浄液の流量は0.6L/min程度である。
多孔質膜はロール外径80mmの二つのロール間を、多孔質膜が10mmピッチで23回往復するように、配置し、落下する洗浄液と接触させた。落下する洗浄液と接触するロール間の距離は1150mmであった。
円筒状回転体114aにおける多孔質膜へ洗浄液が接触する接触開始点での洗浄液の落下速度v0、及び円筒状回転体114bにおける多孔質膜から洗浄液が分離する分離点での洗浄液の落下速度v1をそれぞれ高速度カメラの記録より算出した。
[実施例2]
試験例1と同様にして凝固工程後の多孔質膜を形成した。
ついで、得られた多孔質膜を速度10m/minで走行させ、洗浄処理を行った。処理後の多孔質膜を長さ50cmになるように切断し、試験例1と同様にして質量(W)、質量(W)、質量(W)、および残存溶媒濃度(C)を求めた。なお、この残存溶媒濃度(C)を洗浄処理前(洗浄液中の滞在時間:0秒間)の多孔質膜中の残存溶媒濃度とした。
ついで、質量を測定した洗浄処理後の多孔質膜を50mLの純水(常温)に半日浸漬させ、多孔質膜中に残存するDMAcを純水に拡散及び抽出した(抽出処理)。抽出処理後の純水を採取し、試験例1と同じ方法でGCにより純水中のDMAc濃度の測定値と、希釈倍率(抽出処理に用いた純水の質量、及び先に求めた質量(W’)から算出)との比(DMAc濃度/希釈倍率)から、洗浄処理後の多孔質膜中の残存溶媒濃度(C)を求めた。結果を表1に示す。また、落下部のみの合計の洗浄長を多孔質膜の走行速度で割ったものを滞在時間とした。
[実施例3]
走行速度を30m/minに変更した以外は、実施例2と同様にして、洗浄処理後の多孔質膜中の残存溶媒濃度(C)を求めた。結果を表1に示す。
[実施例4]
走行速度を50m/minに変更した以外は、実施例2と同様にして、洗浄処理後の多孔質膜中の残存溶媒濃度(C)を求めた。結果を表1に示す。
[比較例1]
走行速度を70m/minに変更した以外は、実施例2と同様にして、洗浄処理後の多孔質膜中の残存溶媒濃度(C)を求めた。結果を表1に示す。
その結果、多孔質膜中の残存溶媒濃度が10%程度までは、膜の表面更新効果によって、効率よく短時間で多孔質膜から溶媒を除去できた。この傾向は、試験例2〜5と同様であった。
これらの結果より、落下する洗浄液に接触するように多孔質膜を走行させた場合でも、短時間で効率よく溶媒を除去できることが容易に推測できる。
Figure 2016000403
本発明の洗浄装置及び多孔質膜の製造方法は、大型の設備を必要とすることなく、短時間及び低コストで効率よく多孔質膜から溶媒などの物質を除去できるため、産業上の利用可能性がある。
110 洗浄装置
111 洗浄液
112 落下手段
112a 貯蔵タンク
112b 吐出口
112c 供給ライン
113 多孔質膜
114 走行手段
114a〜114n 円筒状回転体
115 回収手段
115a 回収タンク
115b 排出ライン
116 返送ライン
117 樋
120 洗浄装置
121 熱水
122 洗浄槽
123 多孔質膜
210、220 洗浄装置
211 洗浄液
212 落下手段
212a 貯蔵タンク
212b 吐出口
212c 供給ライン
213 多孔質膜
214 走行手段
214a〜214j 円筒状回転体
215 回収手段
215a 回収タンク
215b 排出ライン
216 返送ライン
310 洗浄装置
311 洗浄液
312 落下手段
312a 貯蔵タンク
312b 吐出口
312c 供給ライン
313 多孔質膜
314 走行手段
314a、314b 円筒状回転体
315 回収手段
315a 回収タンク
315b 排出ライン
316 返送ライン
410、420 洗浄装置
411 洗浄液
412 落下手段
412a 貯蔵タンク
412b 吐出口
412c 供給ライン
413 多孔質膜
414 走行手段
414a 円筒状回転体
415 回収手段
415a 回収タンク
415b 排出ライン
416 返送ライン
430 洗浄装置
510 洗浄装置
511 洗浄液
512 落下手段
512a 貯蔵タンク
512b 流路
512c 第一の供給ライン
512d 第二の供給ライン
513 多孔質膜
514 走行手段
514a ガイド部材
515 回収手段
515a 回収タンク
515b 排出ライン
516 返送ライン
F 落下部

Claims (17)

  1. 疎水性ポリマーと親水性ポリマーと溶媒とを含む製膜原液を凝固液により凝固させて多孔質膜を形成する凝固工程と、
    前記多孔質膜を洗浄して多孔質膜中に残存する物質を除去する洗浄工程と、
    前記多孔質膜中に残存する親水性ポリマーを除去する除去工程と、
    前記多孔質膜を乾燥する乾燥工程とを有する多孔質膜の製造方法であって、
    前記洗浄工程は、落下する洗浄液に接触するように多孔質膜を走行させることを含む、前記多孔質膜の製造方法。
  2. 前記洗浄工程は、多孔質膜を洗浄液の落下方向と平行に走行させることを含む、請求項1に記載の多孔質膜の製造方法。
  3. 前記洗浄工程は、前記多孔質膜を前記洗浄液に対し高角で接触するように走行させることを含む、請求項1又は2に記載の多孔質膜の製造方法。
  4. 前記洗浄工程において、前記洗浄液の落下が自由落下である、請求項1〜3の何れか1項に記載の多孔質膜の製造方法。
  5. 前記洗浄工程は、前記多孔質膜を前記洗浄液の落下方向と同一方向及び反対方向に走行させることを含み、
    前記洗浄工程において、前記多孔質膜の走行速度をV1、前記洗浄液の平均移動速度をv2としたときに、v2/V1が1以上である、請求項1〜4の何れか1項に記載の多孔質膜の製造方法。
  6. 前記洗浄工程は、前記多孔質膜を前記洗浄液の落下方向と同一方向に走行させることを含み、
    前記洗浄工程において、前記多孔質膜の走行速度をV1、前記洗浄液の平均移動速度をv2としたときに、v2/V1が2以上である、請求項1〜4の何れか1項に記載の多孔質膜の製造方法。
  7. 前記洗浄工程は、前記多孔質膜を前記洗浄液の落下方向と反対方向に走行させることを含む、請求項1〜4の何れか1項に記載の多孔質膜の製造方法。
  8. 前記洗浄工程は、1対の円筒状回転体の間を往復させながら、多孔質膜を円筒状回転体の軸方向へ移動させることを含む、請求項1〜7の何れか1項に記載の多孔質膜の製造方法。
  9. 前記洗浄工程は、洗浄液を流す流路の一端から落下する洗浄液に接触するように、この洗浄液の落下部に設けられた多孔質膜の走行を規制するガイド部材によって、多孔質膜を洗浄液の落下方向と同一方向又は反対方向に走行させることを含む、請求項1〜7の何れか1項に記載の多孔質膜の製造方法。
  10. 前記洗浄工程は、洗浄液を流す2以上の流路の任意の流路から次の流路へ落下しながら順次移動する洗浄液に接触するように、これら洗浄液の落下部に設けられた走行手段によって、多孔質膜を洗浄液の落下方向と同一方向又は反対方向に走行させることを含む、請求項9に記載の多孔質膜の製造方法。
  11. 前記2以上の流路がジグザグ状に配置された、請求項10に記載の多孔質膜の製造方法。
  12. 疎水性ポリマーと親水性ポリマーと溶媒とを含む製膜原液を凝固液により凝固させて得られた多孔質膜を洗浄し、多孔質膜中に残存する物質を除去する洗浄装置であって、
    洗浄液を落下させる落下手段と、落下する洗浄液に接触するように多孔質膜を走行させる走行手段とを備える、前記洗浄装置。
  13. 前記走行手段は、多孔質膜を洗浄液の落下方向と平行に走行させる手段である、請求項12に記載の洗浄装置。
  14. 前記走行手段は、1対の円筒状回転体を有し、1対の円筒状回転体の間を往復させながら、多孔質膜を円筒状回転体の軸方向へ移動させる手段である、請求項12又は13に記載の洗浄装置。
  15. 前記走行手段は、多孔質膜を洗浄液の落下方向と平行に走行させる走行手段であり、
    前記落下手段は、洗浄液を流す流路を有し、前記流路はその一端から洗浄液が落下するように斜めに配置され、
    前記走行手段は、さらに洗浄液が前記流路から落下する落下部に多孔質膜の走行を規制するガイド部材を有する、請求項12に記載の洗浄装置。
  16. 前記落下手段が2以上の流路を有する、請求項15に記載の洗浄装置。
  17. 前記2以上の流路は、洗浄液が任意の流路から次の流路へ落下しながら順次移動するようにジグザグ状に配置された流路である、請求項16に記載の洗浄装置。
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