JP2015526516A - 低酸素誘導性転写因子複合体の活性を阻害するための組成物および方法、ならびに腫瘍の治療のためのその使用 - Google Patents

低酸素誘導性転写因子複合体の活性を阻害するための組成物および方法、ならびに腫瘍の治療のためのその使用 Download PDF

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Abstract

エピジチオジケトピペラジン化合物、それをベースとする医薬組成物、ならびに低酸素誘導性遺伝子の転写および翻訳を処置する、減少させる、または阻害する方法が開示されている。本発明の一態様は、低酸素誘導性転写経路に干渉するための方法を対象とする。一般に、この態様による方法は、細胞を、式I、式IIもしくは式IIIのいずれかによる少なくとも1種の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは水和物と接触させることを含む。

Description

発明の分野
関連出願の相互参照
本出願は、2012年8月29日に出願された米国仮出願第61/694,717号に開示された発明について主張するものであり、その全内容はここで参照によりここに組み込まれる。
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
本発明は、米国国立科学財団によって授与された契約番号CHE−1161644の下で政府支援を受けてなされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
本発明は、エピジチオジケトピペラジン化合物、それをベースとする医薬組成物、ならびに低酸素誘導性遺伝子の転写および翻訳を処置する、減少させる、または阻害する方法に関する。
発明の背景
癌の罹患率および死亡率の高さは、西洋社会の人々の間で、依然として主要な懸案事項である。癌患者およびその近親者に影響を及ぼすことに加えて、癌は、社会に大きな負担を強いる。癌治療および患者のケアの費用は典型的に高く、健康保険の費用増加の一因となり、ひいては、無保険者の割合の上昇をもたらし、その結果、無保険者が病気または負傷した場合の経済的負担の増加をもたらす。癌はまた、癌患者の長期欠勤に起因して、企業に対する重大な悪影響を引き起こす。
癌治療の方法は長年にわたり大幅に改善されてきたが、多くの課題、中でもとりわけ、癌患者の間の再発、ならびに癌の進行期の患者および転移性疾患または全身性の癌、たとえば、白血病もしくはリンパ腫を有する患者の治療の困難性が、依然として存在する。たとえば、改善された診断法とより良好な手術手技との併用により、腫瘍医は、より確信を持って腫瘍を除去しながら、同時に正常組織の除去を最小化することができる。したがって、患者の回復時間を短縮でき、心理的影響が減少する。しかしながら、手術は、限局性の非転移性腫瘍または広がりの少ない腫瘍を有する患者を治療するためのいくつかの有用なツールのうちの1つにすぎない。
化学療法は、ある特定の種類の癌に対する別の最適な治療である。しかしながら、化学療法の方法は、一般に、正常細胞と比較して、腫瘍細胞に特異的なものではない。結果として、化学療法は、一般に、深刻な副作用を伴い、患者の免疫系および急速に分裂する組織、たとえば、肝臓、腎臓、腸および上皮の組織に対して、特に破壊的なものであり得る。
癌の進行は、血管新生、またはあらゆる固形腫瘍を貫通する新たな血管の発芽に依存する。癌を定義する急速な組織増殖は、多数の適応的細胞応答をもたらし、その中でも主なものが、別個であるが関連した過程である血管新生および解糖の増加である。血管新生は、いくつかの分裂促進因子、たとえば血管内皮成長因子(VEGF)によって主に推進され、その受容体が、鍵となる役割を果たす。新血管形成は、胚発生においては必須であるが、癌においては非常に望ましくなく、その理由は、これらの新生血管は、腫瘍組織に注ぎ込み、より急速な成長のための増加した酸素供給および栄養分をそれらに与えるからである。血管新生は、特に致命的であり、その理由は、二重の脅威:腫瘍成長を加速するだけでなく、新たに形成された血管系を介した転移のための通路を与えるという脅威を及ぼすからである。全患者生存に最大の影響を及ぼすのは転移成長であることから、血管新生は、決定的な化学療法の標的である。さらに、血管標的は、療法に対する耐性を生じないはずであり、その理由は、悪性細胞において起こる多重変異を受けないからである。血液供給(血管系)を標的とする主な利点のうちの1つは、癌性組織における細胞とは異なり、血管を構成する細胞は、遺伝的に安定であり、したがって、療法に対して低減された耐性を有するはずであることである。
腫瘍細胞は、増殖し続けると、代謝過程のために必要な酸素および栄養素を運ぶ血液供給からさらに遠くに押しやられ、したがって、適切な酸素灌流を得ることができない。続いて起こる低酸素1は、嫌気的代謝への切り替えをもたらし、これは、解糖が上方調節された細胞を選択する。2解糖機能の増大は、次いで、細胞内pHを下げて細胞外マトリックスおよび基底膜の分解を容易にすることができる乳酸の発生の増加をもたらし、それによって血管新生を促進する。3解糖は、腫瘍形成の間の成長抑止の克服において有意な利点を与え4、5、大部分の主な転移性腫瘍は、解糖酵素、たとえば、ヘキソキナーゼ1および2ならびにグルコーストランスポーターGLUT1およびGLUT3の有意な上方調節を実証する。6
低酸素は、細胞の、増殖、シグナル伝達、および成長において極めて重要な役割を果たす、固形腫瘍の最も重要な特質のうちの1つである。7典型的な新生物は、その早期において血管を通常は持っていない。急速に増殖する細胞は、低酸素の発生の一因となる。8血管から離れた腫瘍の部分では細胞増殖が低下する9にもかかわらず、それらは、より攻撃的な細胞表現型を選択する傾向がある。さらに、血管から離れた低酸素組織は、p53媒介性アポトーシスに対する感受性を喪失した細胞を生じさせることが報告されている。7
低酸素細胞への適切な血液供給の欠如により、これらの細胞への薬物の送達がひどく損なわれる12、13ことに加えて、低酸素はまた、薬物耐性にかかわる遺伝子、たとえばP糖タンパク質の上方調節をもたらす。10、11最も重要なことには、転写の観点から、低酸素は、血管新生14および腫瘍浸潤15にかかわる遺伝子の上方調節をもたらし、より攻撃的な癌表現型がもたらされる。16
細胞および組織において、低酸素に対する応答は、低酸素誘導性転写因子のファミリーによって主に媒介され、その中でも、低酸素誘導性因子1(HIF1)が主要な役割を果たす。これは、低酸素状態において上方調節される多くの鍵遺伝子の調節を媒介するヘテロ二量体転写因子である(図1a)。17正常酸素条件の間、HIF1のαサブユニットは、プロリン残基402および564におけるヒドロキシル化によって調節され、18これらの修飾は、フォンヒッペルリンドウ(pVHL)タンパク質19がHIF1に結合し、その後のプロテアソーム分解のため、それをユビキチンで標識するためのドッキング部位として働く。20しかしながら、低酸素条件下では、HIF1αは蓄積し、核に移行し、そのベータサブユニットであるアリール炭化水素受容体核内輸送体(ARNT、またはHIF1β)と二量体化する21。これは、低酸素応答エレメント(HRE)を保有する低酸素誘導性遺伝子のプロモーター領域と結合し、22このような遺伝子としては、VEGF、c−Met、EPO、およびGLUT−1が挙げられる。23、24低い酸素レベルはまた、Asn803の別の調節部位のヒドロキシル化を不可能にする25〜30ことから、コアクチベーターであるCREB結合タンパク質(CBP)/p30031〜33がHIF1αのC−末端ドメインへの結合を介して動員され、低酸素誘導性遺伝子の発現レベルの上昇を促進する(図1b)。34〜36RAS、SRC、およびHER2/NEU/ERBB2の発癌性変異が見られる多くの腫瘍細胞では、酸素供給が十分な条件下でも高レベルのHIF1αが検出されている。37
HIF1αのアンチセンス構築物は、小さな移植された胸腺リンパ腫をインビボで根絶し、さらにはより大きな腫瘍に対する免疫療法の有効性を高めることが示されている。38低分子の微小管阻害剤、たとえば、2−メトキシエストラジオール、ビンクリスチン、およびパクリタキセルは、インビトロでHIF1αレベルを減少させ、また腫瘍成長および血管形成を減少させることが示されている。39しかしながら、腫瘍成長の減少において示される作用が、微小管阻害とHIF1αレベルの減少のどちらに起因するかは、明確に理解されていない。
HIF1は、主にCBP/300のCH1ドメインと、一連の鍵となるシステイン残基を介して相互作用し、この相互作用は、疎水性力によって推進される。天然産物のケトミン(chetomin)(図2、下記参照)は、ケトミウム属種(Chaetomium sp.)の菌代謝産物であるが、HIF/p300複合体の強力で特異的な阻害を実証することが示された。p300/CBPは、HIF1媒介性トランス活性化に不可欠であることから、HIF1とp300/CBPとの会合の遮断は、転写を有効に下方調節する。
本発明の一態様は、その塩、溶媒和物および水和物を含む式Iによる化合物:
(式中、n=1、2、3、4であり、
1およびR2は、水素、アルキル、置換アルキル、およびアリールからなる群から独立して選択され、
3は、Hおよびアシルからなる群から選択され、
Yは、(CH2k、(−CH2−CH2−O−)l、(−CH2−CH2−NH−)m、(−CH2−CH2−S−)n、(−CH=CH−)o、ヘテロ環、
からなる群から選択され、
ここで、Xは、(CH2k、(−CH2−CH2−O−)l、(−CH2−CH2−NH−)m、(−CH2−CH2−S−)n、(−CH=CH−)o、およびヘテロ環からなる群から選択され、
ここで、k、l、およびm、n、oは、それぞれ独立して、1、2、または3に等しく、
4は、H、アルキル、およびハロゲンからなる群から選択される)を対象とする。
上記の態様では、R1およびR2について、アルキルは、好ましくはメチルまたはエチルであり、置換アルキルは、好ましくは−CH2OHであり、アリールは、好ましくはフェニルまたはベンジルであり、R3について、アシルは、好ましくはCOCH3である。
本発明の別の態様は、その塩、溶媒和物および水和物を含む式IIによる化合物:
(式中、n=1、2、3、4であり、
1、R2は、H、アルキル、置換アルキル、およびアリールからなる群から独立して選択され、
3は、H、アシルからなる群から選択され、
Xは、(CH2k、(−CH2−CH2−O−)l、(−CH2−CH2−NH−)m、(−CH2−CH2−S−)n、(−CH=CH−)o、およびヘテロ環からなる群から独立して選択され、ここで、k、l、およびm、n、oは、それぞれ独立して、1、2、または3に等しく、
4は、H、アルキル、およびハロゲンからなる群から選択される)を対象とする。
上記の態様では、R1およびR2について、アルキルは、好ましくはメチルまたはエチルであり、置換アルキルは、好ましくは−CH2OHであり、アリールは、好ましくはフェニルまたはベンジルであり、R3について、アシルは、好ましくはCOCH3である。
本発明の別の態様は、その塩、溶媒和物および水和物を含む式IIIによる化合物:
(式中、n=1、2、3、4であり、
1およびR2は、H、アルキル、置換アルキル、アリールからなる群から独立して選択され、
3=Hまたはアシルであり、
Xは、(CH2k、(−CH2−CH2−O−)l、(−CH2−CH2−NH−)m、(−CH2−CH2−S−)n、(−CH=CH−)o、およびヘテロ環からなる群から選択され、ここで、k、l、およびm、n、oは、それぞれ独立して、1、2、または3に等しく、
4=H、アルキル、またはハロゲンである)を対象とする。
上記の態様では、R1およびR2について、アルキルは、好ましくはメチルまたはエチルであり、置換アルキルは、好ましくは−CH2OHであり、アリールは、好ましくはフェニルまたはベンジルであり、R3について、アシルは、好ましくはCOCH3である。
本発明の別の態様は、担体に溶解または分散された、式I、式IIもしくは式IIIのいずれかによる少なくとも1種の化合物、またはその塩、溶媒もしくは水和物を含む医薬組成物を対象とする。
本発明の別の態様は、以下の化合物:
を対象とする。
本発明の別の態様は、低酸素誘導性転写経路に干渉するための方法を対象とする。一般に、この態様による方法は、細胞を、式I、式IIもしくは式IIIのいずれかによる少なくとも1種の化合物、またはその塩、溶媒もしくは水和物と接触させることを含む。
本発明の別の態様は、乳癌を治療するための方法であって、それを必要とする対象に、式I、式IIもしくは式IIIのいずれかによる少なくとも1種の化合物、またはその塩、溶媒もしくは水和物の有効量を投与することを含む方法を対象とする。
本発明の別の態様は、癌腫を治療するための方法であって、それを必要とする対象に、式I、式IIもしくは式IIIのいずれかによる少なくとも1種の化合物、またはその塩、溶媒もしくは水和物の有効量を投与することを含む方法を対象とする。
本発明の他の側面および利点は、以下の詳細な説明、付属の図面、および添付の特許請求の範囲から明らかとなる。
(a)HIF1α C−TAD/p300 CH1複合体の構造、低酸素誘導性因子1α(HIF1α)のドメインマップ、およびヒトHIF1α C−TADの配列。(b)HIF1α転写経路の概略図。 ケトミウム・グロボーサム(Chaetomium globosum)から単離されるケトシン(chaetocin)CTCおよびケトミウム・コクリオデス(Chaetomium cocliodes)から単離されるケトミンCTM。 合成エピジチオジケトピペラジンLS69、LS72および対照のジケトピペラジンNP481の構造。 図4は、以下の条件下での二環式チオアセタールおよび単環ETPの合成を示す:a:p−アニスアルデヒド、BF3、ET2O、DCM、室温、16時間、92%;b:mCPBA、Me2S、HClO4;c:BOMCl、nBuLi、THF、−78℃、d:BCL3、CH2Cl2;e:AcCl、ピリジン、CH2Cl2;f:nBuLi、THF、−78℃、BnCl。 図5は、以下の条件下での架橋ETPの合成を示す:a:7、nBuLi、THF、−78℃;b:BCl3、CH2Cl2;c:mCPBA;Me2S、HClO4;d:nBuLi、THF、−78℃。 LS69の固定化融合タンパク質GST−CH1−p300に対する直接結合についてのSPRデータ。1.09μMの結合定数が得られた。 LS72の固定化GST−CH1−p300に対する結合を示すSPRセンサーグラム。3.62μMの結合定数が得られた。 hRE−hCMV−Lucプラスミドを安定にトランスフェクトしたMDA−MB−231細胞株における、ルシフェラーゼアッセイを用いた低酸素誘導性プロモーター活性の分析。化合物LS69、LS72、およびNP481の濃度は、それぞれ200nMと600nMであった。 リアルタイム定量的RT−PCRによって測定した、MCF7細胞におけるVEGF遺伝子の相対mRNAレベル。化合物LS69、LS72、およびNP481の濃度は、それぞれ200nMと600nMである。 MCF7細胞におけるLS72についてのMTT細胞毒性アッセイ。10%FBSを補充したRPMI−1640培地中で細胞を維持した。異なる濃度のLS72で24時間細胞を処理し、形成された紫色のホルマザンの量を、分光光度法によって決定した。 A549細胞株におけるケトミンについてのMTT細胞毒性アッセイデータ。無血清F−12K培地中で異なる濃度の化合物で48時間細胞を処理した。ケトミンについて得られたEC50値は、48時間の処理後のA549細胞株において0.9μMであった。比較のため、ケトミンによる24時間のMCF7細胞株の処理では、0.2μMのEC50が得られ、その細胞株における化合物の細胞毒性が有意により高いことが示される。 A549細胞株におけるLS72についてのMTT細胞毒性アッセイデータ。無血清F−12K培地中で異なる濃度の化合物で48時間細胞を処理した。 LS72による処理後のA549細胞における3つのHIF1α誘導性遺伝子:VEGF、c−Met、およびGlut1のmRNAレベル。0.2%血清を含む培地中でLS72(400nM)で細胞を処理した後のA549における3つのHIF1α誘導性遺伝子、VEGF、c−Met、およびGlut1のmRNAレベルを示す、qRT−PCR実験からのデータ。300μM DFOによって低酸素を誘導した。エラーバーは4連で実施した実験についての±s.e.mである。エラーバーは3連で実施した実験の±s.e.mである。***P<0.001、**P<0.01、t検定。 (A)LOX遺伝子についての、LS72で処理されたA549細胞におけるqRT−PCRデータ。低酸素バッグによって低酸素を誘導した。2%血清を含むF−12K培地中で細胞を維持した。65%コンフルエントに達した後、細胞を無血清培地中で成長させ、LS72(400nM)で処理した。DFO(300μM)を用いて48時間低酸素を誘導した。エラーバーは3連で実施した実験の±s.e.mである。**P<0.01、t検定。 (B)CXCR4遺伝子についての、LS72で処理されたA549細胞におけるqRT−PCRデータ。低酸素バッグによって低酸素を誘導した。2%血清を含むF−12K培地中で細胞を維持した。65%コンフルエントに達した後、細胞を無血清培地中で成長させ、LS72(400nM)で処理した。DFO(300μM)を用いて48時間低酸素を誘導した。エラーバーは3連で実施した実験の±s.e.mである。**P<0.01、t検定。 3つの異なる濃度のLS72処理に対する用量応答を示す、A549細胞株におけるVEGFのmRNAレベル。濃度:100nM、400nM、1600nMのLS72で処理されたA549細胞株におけるVEGFのmRNAレベルを決定するため、qRT−PCRアッセイを実施した。DFO(300μM)によって低酸素を誘導した。エラーバーは3連で実施した実験についての±semである。エラーバーは3連で実施した実験の±s.e.mである。**P<0.01、*P<0.05、t検定。 100nM、400nM、1600nMの濃度のLS72に対する用量応答を示す、A549細胞株におけるc−MetのmRNAレベル。qRT−PCRを使用して、c−MetのmRNAレベルを決定した。DFO(300μM)を用いて低酸素を誘導した。エラーバーは3連で実施した実験についての±semである。エラーバーは3連で実施した実験の±s.e.mである。***P<0.001、**P<0.01、#P<0.1、t検定。 3つの異なる濃度のLS72で処理された85%コンフルエントなA549細胞におけるGlut1 mRNAについてのqRT−PCRデータ。濃度:100nM、400nM、1600nMのLS72で処理されたA549細胞株におけるGlut1のmRNAレベルを決定するため、qRT−PCRアッセイを実施した。DFO(300μM)を用いて低酸素を誘導した。エラーバーは3連で実施した実験についての±semである。エラーバーは3連で実施した実験の±s.e.mである。***P<0.001、**P<0.01、t検定。 85%コンフルエントな細胞において低酸素を誘導したA549細胞についてのqRT−PCRデータ。650倍を超えるCXCR4転写の誘導が、300μMの濃度のDFOを用いて観察された。2つの異なる濃度である400nMおよび1600nMのLS72は、CXCR4 mRNAレベルを用量依存的に下方調節した。エラーバーは3連で実施した実験についての±semである。エラーバーは3連で実施した実験の±s.e.mである。**P<0.01、#P<0.1、t検定。 LS72によって下方調節されるVEGFおよびc−Metタンパク質レベル。a)MCF7細胞を、ケトミン(200nM)、LS72(400nM)、およびLS75(400nM)で処理した。300μM DFOを用いてHIF1αを誘導した。ウエスタンブロットを3連で行い、タンパク質レベルについての棒グラフは、LS72によるVEGFタンパク質の有意な下方調節を示す。b)MDA−MB−231細胞を、ケトミン(200nM)、LS72(400nM)、およびLS75(400nM)で処理した。150μM CoCl2を用いてHIF1αを誘導した。ウエスタンブロットを3連で行い、タンパク質レベルについての棒グラフは、ケトミンとLS72の両方が、c−Metタンパク質レベルを有意に下方調節することを示す。 マイクロアレイデータの分析からの結果。緑色のベン図形は、ビヒクルにおいて下方調節される遺伝子(左の緑色の円)、すなわち、正常酸素ビヒクルと比較して、低酸素ビヒクルにおいて下方調節される遺伝子を示し、右の緑色の円は、LS72で処理された正常酸素における遺伝子と比較して、LS72(400nM)で処理された低酸素において(2.0倍超)下方調節される遺伝子の数を示す。赤色の図形は、緑色のベン図形について説明したのと同じ条件において上方調節される遺伝子を示す。青色の図形は、上記の条件下での遺伝子の増減(2.0倍超)の総合的作用を示す。 DFO(300μM)を使用した低酸素誘導時のLS72で処理されたMCF7細胞のマイクロアレイ分析。クラスタリング分析を行って、異なる条件間の遺伝子における類似した傾向を確かめた。分析により、低酸素下のおよびLS72(400nM)で処理されたMCF7細胞は、ビヒクルにおいて見られるのと類似した傾向を示すことが示され、これは、LS72が全体的な転写レベルに対する低酸素の作用を無効にする働きをすることを示唆する。 H2B−GFP構築物を安定にトランスフェクトした蛍光N2O2細胞のマウス皮下腫瘍モデルの生体顕微鏡画像。N202 H2B−GFP腫瘍を有するマウスに、0日目に1mg/kgのLS72化合物を静脈内注射し、続いて、8日目以降2mg/kgを毎日注射し、2週間にわたり撮像した。処置後の示された日に撮影された腫瘍の蛍光IVM画像。 LS72で処置されたまたは処置されていないマウスのIVMの腫瘍画像から得られた蛍光強度の変化。グラフは、図22のIVM画像に示される腫瘍体積間の量的な差を示す。ビヒクルマウス(−四角−)、ならびにLS72で処置されたマウス、#1(−三角−)および#2(−菱形−)。 ケトミンCTMならびにETP LS69およびLS72で処理されたHeLa細胞についての細胞密度および集団倍加データ。対照:細胞培養培地のみ、ビヒクル:細胞培養培地中0.1%DMSO。
詳細な説明
定義
ここで別段の指示がない限り、ここで使用されるすべての用語は、本発明の技術分野の当業者にとってそれらの用語が有すると思われる意味を有する。当業者は、当技術分野の定義および用語について、最新の教本を特に参照されたい。しかしながら、本発明は、記載された特定の、方法、プロトコール、および試薬に限定されるものではなく、その理由は、これらは変動してもよいからであることを理解すべきである。
用語「アルキル」は、C1〜C10の直鎖状または分枝鎖状のアルキル、たとえば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、neo−ペンチル、tert−ペンチルなどを指す。
「置換アルキル」の置換基は、ヒドロキシ、アルコキシ(たとえば、メトキシおよびエトキシ)、メルカプト、アルキルチオ(たとえば、メチルチオ)、シクロアルキル(たとえば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシル)、ハロゲン(たとえば、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨード)、カルボキシ、アルコキシカルボニル(たとえば、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニル)、ニトロ、シアノ、ハロアルキル(たとえば、トリフルオロメチル)、アルコール、置換または無置換のアミノ(たとえば、メチルアミノ、ジメチルアミノ、およびカルバモイルアミノ)、グアニジノ、フェニル、ベンジルオキシなどである。これらの置換基は、任意の可能な位置のうちの1つ以上でそれらに結合することが可能である。
用語「アリール」は、単環式または縮合環の芳香族炭化水素を指す。アリールの例は、フェニル、ナフチルなどである。
用語「ヘテロ環」は、窒素、酸素、および硫黄原子からなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を環中に含有し、任意の可能な位置で炭素環式環または他のヘテロ環式環と縮合していてもよい芳香族ヘテロ環式基を指す。
用語「アシル」は、アルキルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、またはヘテロアリールカルボニル置換基を指し、これらはいずれも、たとえば1つ以上の置換基によって、さらに置換され得る。
用語「ハロゲン」は、単独または組合せで、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素、好ましくは、フッ素、塩素、または臭素を表す。
本発明の一態様は、その塩、溶媒和物および水和物を含む式Iによる化合物、
(式中、n=1、2、3、4であり、
各ジケトピペラジン環の中心間の距離は、4〜32オングストロームであり、
各ジケトピペラジン環の中心間の好ましい距離は、10〜22オングストロームであり、
1およびR2は、水素、アルキル、置換アルキル、およびアリールからなる群から独立して選択され、
3は、Hおよびアシルからなる群から選択され、
Yは、(CH2k、(−CH2−CH2−O−)l、(−CH2−CH2−NH−)m、(−CH2−CH2−S−)n、(−CH=CH−)o、ヘテロ環、
からなる群から選択され、
ここで、Xは、(CH2k、(−CH2−CH2−O−)l、(−CH2−CH2−NH−)m、(−CH2−CH2−S−)n、(−CH=CH−)o、およびヘテロ環からなる群から選択され、ここで、k、l、m、n、oは、それぞれ独立して、1、2、または3に等しく、
4は、H、アルキル、およびハロゲンからなる群から独立して選択される)を対象とする。
上記の態様では、R1およびR2について、アルキルは、好ましくはメチルまたはエチルであり、置換アルキルは、好ましくは−CH2OHであり、アリールは、好ましくはフェニルまたはベンジルであり、R3について、アシルは、好ましくはCOCH3である。
本発明の別の態様は、その塩、溶媒和物および水和物を含む式IIによる化合物:
(式中、n=1、2、3であり、
1、R2は、H、アルキル、置換アルキル、およびアリールからなる群から独立して選択され、
3は、Hおよびアシルからなる群から選択され、
Xは、(CH2k、(−CH2−CH2−O−)l、(−CH2−CH2−NH−)m、(−CH2−CH2−S−)n、(−CH=CH−)o、およびヘテロ環からなる群から独立して選択され、ここで、k、l、m、n、oは、それぞれ独立して、1、2、または3に等しく、
4は、H、アルキル、およびハロゲンからなる群から独立して選択される)を対象とする。
上記の態様では、R1およびR2について、アルキルは、好ましくはメチルまたはエチルであり、置換アルキルは、好ましくは−CH2OHであり、アリールは、好ましくはフェニルまたはベンジルであり、R3について、アシルは、好ましくはCOCH3である。
本発明の別の態様は、その塩、溶媒和物および水和物を含む式IIIによる化合物:
(式中、n=1、2、3であり、
1およびR2は、H、アルキル、置換アルキル、アリールからなる群から独立して選択され、
3=Hまたはアシルであり、
X=(CH2k、(−CH2−CH2−O−)l、(−CH2−CH2−NH−)m、(−CH2−CH2−S−)n、(−CH=CH−)o、ヘテロ環であり、ここで、k、l、m、n、oは、それぞれ独立して、1、2、または3に等しく、
4は、H、アルキル、およびハロゲンから独立して選択される)を対象とする。
上記の態様では、R1およびR2について、アルキルは、好ましくはメチルまたはエチルであり、置換アルキルは、好ましくは−CH2OHであり、アリールは、好ましくはフェニルまたはベンジルであり、R3について、アシルは、好ましくはCOCH3である。
式I〜III中、好ましいヘテロ環(heterocyles)は、インドール、置換ベンゼン(すなわち、フルオロフェニル等)である。また式I〜III中、R4は、芳香族環に対する可変結合点(variable attachment)として示され、R4は、芳香族環において一、二、三、または四置換されていてもよく、R4は、各置換部位で独立して選択されてもよいことを示す。
本発明の別の態様は、担体に溶解または分散された、式I、式IIもしくは式IIIのいずれかによる少なくとも1種の化合物、またはその塩、溶媒もしくは水和物を含む医薬組成物を対象とする。
本発明の別の態様は、低酸素誘導性転写経路に干渉するための方法を対象とする。一般に、この態様による方法は、細胞を、式I、式IIもしくは式IIIのいずれかによる少なくとも1種の化合物、またはその塩、溶媒もしくは水和物と接触させることを含む。
本発明の別の態様は、乳癌を治療するための方法であって、それを必要とする対象に、式I、式IIもしくは式IIIのいずれかによる少なくとも1種の化合物、またはその塩、溶媒もしくは水和物の有効量を投与することを含む方法を対象とする。
本発明の別の態様は、癌腫を治療するための方法であって、それを必要とする対象に、式I、式IIもしくは式IIIのいずれかによる少なくとも1種の化合物、またはその塩、溶媒もしくは水和物の有効量を投与することを含む方法を対象とする。
低酸素誘導性転写の阻害剤としての合成エピジチオジケトピペラジン
HIF1α c−末端活性化ドメイン(C−TAD)とp300/CBPシステイン−ヒスチジンリッチ領域1(CH1)との間の接触部における2つのαヘリックス領域の存在(図1a)は、この相互作用を予測通りにモジュレートし得る合成転写アンタゴニストの設計のための可能性を広げる。しかしながら、15個未満のアミノ酸残基から構成されるペプチドは、タンパク質環境から切除されると、生理的条件においてαヘリックス構造を一般に形成しない。とりわけ、αヘリックスによってC−TAD/CH1相互作用を破壊する唯一の試みは、Kungらによって報告された手法であった。40この研究では、C−TADを、ドメインを安定化させるGal4との融合タンパク質として発現させた。得られるタンパク質は、低酸素誘導性遺伝子の転写を抑制し、ヌードマウス異種移植片モデルにおける改変ヒト腫瘍細胞の成長に対する阻害作用を有していた。しかしながら、全身送達の困難性ならびに細胞および組織におけるレトロウイルスの使用から生じる合併症は、その広範な適合の障害となる。
HIF1α C−TADと転写コアクチベーターp300/CBPとの相互作用は、生物学的応答の顕著な増幅の要であることから、設計されたタンパク質リガンドによるその破壊は、癌における好気的解糖および血管新生を抑制する有効な手段であり得る。41〜43HIF1α C−TADとp300/CBPとの接触面は広い(3393Å2)が、直接的相互作用によるこのタンパク質−タンパク質相互作用の阻害は困難である。代わりに、結合パートナー(p300/CBP)の一方に対する構造変化の誘導は、複合体を破壊するのに十分であり得る。44逆の戦略は既に実証されており、そこでは、タンパク質p53の機能を低分子によって回復させている。45
低酸素誘導性転写経路に干渉するための方法が、本発明によって提供される。一般に、本方法は、細胞を、式I〜IIIの化合物のいずれかと接触させることを伴う。
上記の構造をとる低分子の例および治療用途のためのETPを設計するための方法を下記に述べる。
[実施例]
低酸素誘導性転写因子複合体を標的とする二量体エピジチオジケトピペラジンの設計および合成
合成二量体エピジチオジケトピペラジンの設計における構造基盤
低分子による核タンパク質−タンパク質相互作用の阻害は困難であることがこれまでに分かっている46が、高親和性タンパク質リガンドについての最近のスクリーニングは、いくつかの注目すべき業績をもたらしている。44、47〜532種の低分子、ケトシン(CTC)54およびケトミン(CTM)55(図2)は、HIF1α C−TADとp300/CBPとの間の相互作用を阻害し、低酸素誘導性転写を減衰させることが示されているが、その作用の正確な機序は依然として不明である。44初期の有望な報告にもかかわらず、HIF1経路の阻害剤のさらなる設計が必要であり、その理由は、いずれの化合物も、実験動物において凝固壊死、貧血、および白血球増加を誘導したからである。
ケトシンおよびケトミンは、ケトミウム属種の糸状菌由来の2種のエピジチオジケトピペラジン56(ETP)代謝産物であり、抗微生物活性を有すると以前に特徴付けられている。57、58これらの天然産物の全合成は非常に難題であり、ケトミンについては現在まで報告されておらず、その原因は恐らく、ジケトピペラジン環のエナンチオ選択的スルフェニル化のための方法の欠如ならびにジスルフィド架橋の塩基および還元剤に対する不安定性である。生理的条件下で、架橋ジスルフィド部分は、ジスルフィドまたはジチオールのいずれかの形態で存在し得、このクラスの天然産物の生物学的活性に必須であると考えられる。この仮説は、本発明者らの予備結果ならびにBernardoおよびWaringの最近の研究によって裏付けられ、BernardoおよびWaringは、天然(酸化)形態のみのエピジチオジケトピペラジンが、次いでグルタチオン依存的に還元され生細胞中に能動的に濃縮されることを示している。59ETPの細胞内レベルは、適用された濃度よりも最大1500倍大きくなり得、細胞中のETPは、ほぼもっぱら還元形態で存在する。59
本発明者らは、ケトシンおよびケトミンにおける2つの適正に配置されたレドックス活性なETP環が、システイン−ヒスチジンリッチなZn2+依存性タンパク質ドメインに対するこれらの化合物の高親和性二座結合において重要な役割を果たし得るという仮説を立てた。CTCおよびCTMの構造の剛性は、それらの生物学的に活性な立体配座を予測することを容易にする。中心骨格の構造が顕著に異なるにもかかわらず、2種の分子は、ETP環の配向が非常に類似した低エネルギー立体配座を取る。
合成二量体エピジチオジケトピペラジンは、2つのETP環を半剛性の中心骨格を介して連結することによって設計された。このような低分子は、全体の折りたたみを破壊し、結果として、HIF1アルファによるp300/CBPの動員を阻止することが可能であり得る。これを確認するため、本発明者らは、ETP環の配置がケトミンと類似しているETP LS69およびLS72を設計し、HIF誘導性遺伝子の転写に対するそれらの作用を調べた(図3)。ジスルフィド架橋を欠いている、LS69と構造的に類似した分子であるNP481もまた設計し、対照化合物として使用した(図3)。
二量体エピジチオジケトピペラジンの合成
本発明者らの合成計画では、ジスルフィド架橋をできる限り遅い段階の合成中間体において形成させた。本発明者らは、保護ジスルフィドを早い段階で導入し、保護ジスルフィド基の安定性が改善し、その結果、合成を容易にすることを期待する。60ジスルフィド架橋は、次いで、後の段階で再生され得る。
本発明者らの合成計画は、3つの鍵となる転換を伴うものであった(図4および5):i)二環式チオアセタールとしてのジスルフィド架橋の保護、ii)カルバニオン化学によるチオアセタール環のC−3およびC−6位の官能化、ならびにiii)ジスルフィド架橋の再生。市販で入手可能な1,4−ジメチル−2,5−ピペラジンジオン1を臭素化し、続いて、2をチオ酢酸カリウムと反応させ、その後、酸性条件下で3のアセチル基を除去することにより、cis−およびtrans−ジチオールの混合物4が良好な全収率で得られた(図4)。チオアセタール5は、ジチオールをp−アニスアルデヒドおよび三フッ化ホウ素エーテラートと反応させることによって高収率で得られた。チオアセタールの形成は、ジチオールのcisとtransの両方の異性体から進行することが公知である。60強塩基を用いて5を橋頭位で位置選択的に脱プロトン化し61、その後、ベンジルオキシメチルクロリド(BOMクロリド)と反応させることにより、一置換チオアセタール7が良好な収率で得られた。同様に、5を2当量の強塩基と反応させ、続いて、2当量のBOMクロリドを添加することにより、化合物9が得られた。1当量の三塩化ホウ素を用いて9の1つのベンジル基の位置選択的除去を行うことができ、アルコール10が形成された。9を2当量の三塩化ホウ素で処理することによって両方のベンジル基を除去することもでき、ジオール12が形成され、これをアセチル化して、ジアセタート13を得た。チオアセタール7、10、および13におけるジスルフィド架橋の再生により、それぞれ、単環ETP化合物、8、11(LS75)、および14が形成された。すべての生成物を分取逆相HPLCによって精製し、NMRおよび質量分析によってそれらの同定および純度の確認を行った。
架橋チオアセタール二量体の調製は、図5に概説されている。強塩基を用いてチオアセタール7の橋頭位を脱プロトン化し、続いて、過剰のα,α’−ジブロモ−p−キシレンと反応させることにより、中間体15が生成され、これを、7から発生させたカルバニオンの第2の当量と反応させることによってチオアセタール二量体16および21に変換した。16または21を三塩化ホウ素で処理することによって、ベンジル保護基の除去を達成した。保護チオアセタールの架橋ETPへの変換は、以下の通りに行った:m−クロロ過安息香酸を用いた酸化によりモノスルホキシドが形成され、これを、THF中70%過塩素酸で処理することによってインサイチューでETPに変換した。生成物19(LS69)および24(LS72)を、分取TLCによって、または逆相HPLCによって0.05%トリフルオロ酢酸(TFA)を含むアセトニトリルおよび水の5〜95%勾配を使用して、精製した。また、特徴付けを容易にするため、アルコール19および24をアセチル化して、ジアセチル誘導体20および26を生成した。
ETPの生物学的作用を比較し、ジスルフィド架橋の重要性を実証するため、キシリレン架橋ビス(1,4−ピペラジン−2,5−ジオン、DKP)NP481もまた合成した。この化合物は、ETP LS69と構造的に類似しているが、ジスルフィド架橋を欠いている。合成ETPの活性は、細胞培養物におけるDKP化合物の活性と直接比較することができる。
結果
LS69およびLS72はp300のCH1ドメインに結合する
二量体ETP LS69およびLS72のより厳密な生物物理学的および生物学的特徴付けに着手する前に、まず、標的であるp300 CH1ドメインに対するその熱力学的結合特性を特徴付けることが重要であった。本発明者らは、細胞内状況において見られる還元環境を模倣するため、DTTの存在下でSPR実験を実行した。SPRセンサーグラムから、LS69とLS72の両方が、ヒトp300のGSTタグ付きCH1ドメイン(aa残基323〜423)と高い親和性で直接結合することが明らかである。
LS69については、会合速度(ka)は、6.97×103±0.157M-1-1であることが決定され、会合工程に続く洗浄工程においてLS69について得られた解離速度kdは、1.33×10-2±1.72×10-4-1であった。したがって、p300のCH1ドメインに対するLS69の結合についてのSPR分析によって測定された結合定数は、「オフ速度」/「オン速度」であり、これは、KD=1.09μMの値を与える。
LS72については、SPR分析によって得られた会合速度kaは、4.25×103±85.8であり、続く洗浄工程において、得られた解離速度kdは、1.54±0.14×10-2-1であった。したがって、LS72について得られた結合定数は、KD=3.62μMである。これらのデータに基づけば、LS69とLS72の両方が、p300−CH1−GSTと可逆的に結合し、速いオン速度および遅いオフ速度を示し、チップ表面に固定化されたタンパク質から徐々に解離する。対照のDKP NP481は、5.0×10-5Mまでの試験したいずれの濃度でも結合しなかった(データ示さず)。
設計されたETPは、低酸素誘導性プロモーター活性を下方調節する
本発明者らはまず、HIF1誘導性プロモーターの活性化に対する設計されたETPの作用を調べた。ヒトVEGF遺伝子の5’非翻訳領域(UTR)に由来する低酸素応答エレメント(HRE)の5つのコピーを有する染色体に組み入れられたベクター構築物を含有するMDA−MB−231乳癌細胞株を使用した。62これらは、腫瘍低酸素に関連する低い酸素圧で優れた転写活性化を示した。63これらの細胞株を、本発明者らのルシフェラーゼレポーターアッセイにおいて使用した。実験の中で、細胞を、ETP LS69、LS72、LS75、およびDKP化合物NP481とともにインキュベーションした。並行して、ビヒクル(DMSO)のみを添加した未処理の細胞を対照として使用した。細胞を300uMメシル酸デスフェリオキサミンとともに18時間インキュベーションすることによって、低酸素条件を誘導した。細胞を収穫し、溶解し、ルシフェラーゼのレベルを照度計によって決定した。
本発明者らの測定の結果は図8に示され、棒グラフは、誘導対非誘導のルシフェラーゼレベルの比率を示す。化合物なしの場合、レポーター遺伝子の発現のレベルは、細胞を低酸素条件に置くことによって、約56倍増加する。ケトミンCTMならびに合成ETP化合物LS69およびLS72による細胞の処理は、低酸素誘導性プロモーター活性の有意な減少をもたらした(図8)。観察された作用は用量依存性であった。対照的に、単環ETP LS75による処理は、プロモーター活性のわずかな減少のみをもたらした。同様に、DKP化合物NP481による処理は、プロモーター活性の最小の減少をもたらし、用量依存性を示さなかった。
インビトロでの低酸素誘導性転写の阻害
本発明者らは、リアルタイム定量的RT−PCRアッセイを使用して、ETP化合物および対照のDKP化合物で処理された低酸素細胞におけるVEGF mRNAの相対レベルを決定した。並行して、ビヒクルで処理された細胞を対照として使用した。β−グルクロニダーゼ遺伝子のmRNAレベルを、転写の相対レベルの決定における対照として使用した。
低酸素条件下の培養MCF7細胞において、合成ETP化合物LS69およびLS72は、ケトミンで観察されたレベルと同等かまたはある特定の場合にはそれを上回るレベルで、VEGF遺伝子を下方調節した(図9)。したがって、600nMの濃度のLS69は、VEGF発現を約65%阻害し、これは、非誘導(正常酸素)細胞におけるVEGF mRNAレベルに近似している。観察された作用は用量依存性であった。対照化合物NP481は、VEGFのレベルに対する阻害作用を示さなかった。
本発明者らはまた、異なる細胞株におけるVEGF遺伝子の発現のレベルに対する本発明者らの化合物の作用を試験した。このアッセイのためにHeLa細胞を選択した。200nMの濃度の、ケトミン、LS69、またはLS72による処理は、VEGF mRNAのレベルの約50%の減少をもたらした。
c−Met遺伝子は、低酸素誘導性転写因子系の別の重要な下流の遺伝子標的である。これは、そのプロモーター領域中にHRE配列の5回の繰り返しを有し、Comoglioらは、HRE4およびHRE5が、c−Met遺伝子の低酸素誘導性転写を主として司ることを示している。c−Met遺伝子のプロモーター配列におけるHRE4およびHRE5の変異または欠失は、その転写の低酸素誘導性誘導を有意に低減する。c−MetのmRNAおよびタンパク質レベルは、多くの癌細胞株において低酸素下で有意に上方調節され、これらの癌細胞株の大部分は、典型的に、転移性の性質である。
MCF7乳癌細胞株およびA549肺上皮腺癌細胞株におけるLS72の細胞毒性
転写阻害剤としてのETPの使用により生じる1つの考えられる問題点は、その細胞毒性である。したがって、細胞毒性を慎重に査定することは、転写機構に対する非特異的な全体的作用を排除するため、転写阻害剤として働くあらゆる低分子にとって肝要である。
本発明者らは、MCF7乳癌細胞株およびA549肺腺癌細胞株におけるLS72のEC50値を得るため、細胞毒性実験を実施した。目標は、生存可能濃度域を決定し、本発明者らの転写阻害実験を、これらの細胞株におけるEC50値を有意に下回る濃度で実施することであった。
本発明者らの以前の研究64において、MCF7細胞におけるケトミンのEC50値は180nMであると報告した。本発明者らは、新たに設計されたLS72は、ケトミンと比較して、MCF7細胞に対する細胞毒性がはるかに低いことを発見した。MCF7細胞におけるMTT細胞毒性アッセイにおいて、LS72による24時間の処理の後、得られたEC50値は547nMであった(図10)。MCF7細胞におけるLS72のこのEC50値に基づき、HIF誘導性転写に対するその作用を、MCF7細胞において400nMの最大濃度で測定することを選択した。これは、細胞生存率の減少に起因するmRNAレベルに対する非特異的作用を最小化するために重要である。
細胞株A549は、低酸素条件下で、鍵となるHIF1α誘導性遺伝子、たとえば、c−Met、VEGF、およびGlut1の有意な上方調節を示すことが公知である非小細胞型の肺上皮腺癌である。この細胞株における本発明者らの生存率アッセイにおいて、ETPは、MCF7細胞株と比較して低い細胞毒性を示した。Kahn改変F−12培地中でのケトミンとLS72の両方による24時間の処理の後、10μM超のEC50が観察された。したがって、その細胞毒性をより十分に決定するため、細胞の処理を48時間に延長した。
MTT細胞毒性アッセイを、A549細胞株において48時間、ケトミンおよびLS72について行った。48時間の処理後にこのアッセイから得られたLS72のEC50は、2.8μMであった(図11〜12)。この値は、24時間の処理後のMCF7細胞株において得られたEC50値よりも約5倍高い。これらのデータは、A549細胞株が、MCF7細胞株と比較して、処理に対してはるかに頑強であることを示唆する。加えて、LS72は、ケトミンと比較して、細胞に対する毒性が明らかにはるかに低い。ETPモチーフはLS72とケトミンの両方において共通であることから、ケトミンのより高い毒性は、LS72には存在しないそのシクロトリプトファンモチーフに起因し得るとのみ推測された。
A549肺腺癌株におけるLS72によるHIF1α誘導性転写のモジュレーション
低酸素誘導性遺伝子の高い転写活性化を一貫して示す良好なインビトロモデルの発見は、難題であることが判明した。いくつかの細胞株を評価した後、本発明者らは、A549細胞、すなわち非小細胞肺腺癌細胞株に着目した。A549細胞株は、低酸素条件下で、鍵となるHIF誘導性遺伝子の強い上方調節を生じさせることが報告されている。具体的には、Comoglioら15は、低酸素下で、A549細胞株においてc−Met mRNAレベルが有意に上方調節されることを報告した。
様々な培地中血清レベルおよび低酸素誘導方法での試験の後、HIF1α依存性遺伝子の誘導に著しくかつ一貫して効果のあった条件は、A549細胞を2%血清中で保持し、続いて、0.2%血清を含む培地中で48時間化合物または対照で細胞を処理することであった(図13)。これらの条件下で、LOX遺伝子の誘導については低酸素バッグが最も良好な選択肢であったが、他の多くのHIF1α誘導性遺伝子の上方調節をもたらす最も良好な低酸素応答は、300μM DFOを用いた処理であった。
図13は、3つの重要な遺伝子、VEGF、Glut1、およびc−Metのレベルに対するLS72処理の作用を示し、これらの遺伝子は、低酸素条件下で多くの固形腫瘍において上方調節されることが公知である。
LS72による処理は、VEGF、Glut1、およびc−Met遺伝子の低酸素応答の有意な減少をもたらした。VEGFレベルは50%減少した一方、Glut1 mRNAレベルは60%を超えて減少した。c−Metもまた、有意に下方調節され、その正常酸素のレベルに実質的に達した(図13)。
LOX(リシルオキシダーゼ)は、低酸素下で上方調節される別の遺伝子であり、そのタンパク質は、癌組織の浸潤挙動および転移の間の細胞外マトリックスの調節にかかわる65。LOX遺伝子は、48時間後、低酸素バッグによってより良好な誘導を示し、LS72による処理の後、転写活性の有意な下方調節を示した。CXCR4は、損傷の治癒の間の幹細胞および前駆細胞の走化性に必須の遺伝子であり、癌幹細胞の遊走にも関与する66。SDF1−CXCR4軸は、前駆および幹細胞の癌組織または創傷への走化性をもたらし、続いて、それらの分化が生じる。本発明者らのA549細胞のモデル系において、CXCR4もまた、DFOを用いた低酸素の化学的誘導または低酸素バッグの後、100倍を超えて上方調節される。400nMの濃度のLS72で処理した際、転写活性の優れた阻害が、CXCR4遺伝子について観察された(図14)。
全体として、上記の条件下のA549細胞株は、HIF1α誘導性遺伝子発現を研究するための非常に良好なモデルとなった。上記の5つの遺伝子はすべて、腫瘍形成にかかわる多くの鍵遺伝子のHIF1α誘導性転写の高い上方調節を示しただけでなく、所与の条件下で、LS72が存在する正常酸素下では転写活性の変化をほとんど示さなかった。
HIF1α転写系によって上方調節され、400nMのLS72で処理した際下方調節される5つの遺伝子、VEGF、c−Met、Glut1、LOX、およびCXCR4について大幅な転写誘導を得た後、次の論理的工程は、薬物用量応答を研究することであった。LS72によるHIF1α誘導性転写のモジュレーションを、3つの異なる濃度である、100nM、400nM、および1600nMで研究した。
低酸素誘導は、無血清F−12K培地中の85%コンフルエントな細胞において、300μM DFOを用いて行った。
各濃度のLS72について、対照試料もまた存在し、対照試料では、細胞をLS72で、ただし低酸素の誘導なしで処理した。対照は、正常酸素におけるLS72の3つの異なる濃度で、VEGF転写レベルが有意に変化しなかったことを示し、これらの条件において、LS72がストレスまたは他の何らかの経路に起因して転写レベルの増減を示さなかったことを明示している。低酸素下では、LS72は、VEGF遺伝子のHIF1α誘導性転写の用量依存性の低下を示した(図15)。
高度にコンフルエントな細胞に対して低酸素誘導したこれらの条件下のc−Met遺伝子は、その転写の上方調節の増大を示した。c−Met mRNAは、低酸素において、5倍を超えて上方調節された。転写上方調節の用量依存性の低下が、LS72で処理した際、c−Metについて観察された(図16)。
高度にコンフルエントな細胞において10倍の誘導を示したGlut1。Glut1もまた、100nM、400nM、および1600nMのLS72で、低酸素性転写上方調節の用量依存性の低下を示す(図17)。
CXCR4は、低酸素条件下で上方調節されるGタンパク質共役受容体である。本発明者らは、A549細胞を選択し、DFOを用いて低酸素を誘導して、85%コンフルエントな細胞において、CXCR4遺伝子のレベルが650倍を超えて転写的に過剰発現されることを発見した。400nMおよび1600nMの濃度のLS72で処理した際、CXCR4のmRNAレベルの用量依存性の低下が観察された(図18)。これらの発見は、CXCR4が、低酸素条件下のA549細胞において転写的に誘導されることを示すだけでなく、それが、HIF1α経路を標的とする低分子によって下方調節され得ることをも示す。
LS72によるVEGFおよびc−Metタンパク質レベルの下方調節
VEGFおよびc−Metを含むいくつかの鍵となるHIF−1誘導性遺伝子について転写の有意な下方調節を得た後、本発明者らは、mRNAレベルにおいて観察された下方調節が、対応するタンパク質レベルの下方調節にも翻訳されるかどうかを確かめるため、VEGFおよびc−Metのタンパク質レベルを研究した。ウエスタンブロットを行って、それぞれLS72で処理されたMCF7およびMDA−MB−231細胞株におけるVEGFおよびc−Metのタンパク質レベルを測定した。VEGFタンパク質レベルは、300μM DFOを用いたHIF1α誘導下のMCF7細胞において、ケトミン(200nM)およびLS72(400nM)による有意な下方調節を示した(図19a)。c−Metタンパク質レベルもまた、MDA−MB−231細胞においてケトミン(200nM)およびLS72(400nM)で処理した際、HIF1α誘導性タンパク質レベルの有意な下方調節を示した(図19b)。
遺伝子発現プロファイリングおよびマイクロアレイ分析
標的タンパク質p300およびCBPは多面的なマルチドメインコアクチベーターであることから、それらのCH1領域は、複数の転写因子に対する結合部位を含有する。遺伝子調節のためのETPの使用の1つの考えられる懸案事項は、特異性であり、その理由は、CBP/p300とHIF1α以外の転写因子との間の相互作用の阻害は、多数の影響を受ける遺伝子をもたらし得るからである。ETPの非特異的でゲノムワイドな作用を排除するため、本発明者らは、28,869個の転写を示すオリゴヌクレオチド配列を含有するAffymetrix Human Gene ST 1.0 Arrayを使用して、LS72によるインビトロでの遺伝子発現プロファイリング実験を実行した。67、68
細胞ゲノムを全体的作用について探索するため、400nMのLS72で処理されたMCF7細胞を使用した。400nMの濃度のLS72による細胞の処理は、わずか178個の遺伝子の発現に2.0倍以上のレベルで影響を与えた(図20)。対照的に、DFO単独での処理は、329個の遺伝子のレベルを2.0倍以上変化させた。178個のうち、それぞれ、88個の遺伝子が2.0倍以上下方調節され、90個が2.0倍以上上方調節された。DFOで誘導した低酸素条件下でLS72で処理された細胞において、190個の遺伝子がこの化合物によって影響を受けたことを本発明者らは特定した。クラスタリング分析を実施して、異なる処理間の発現プロファイルの類似性を特定した(図19)。
図21は、低酸素およびLS72(400nM)処理の異なる条件下での遺伝子の凝集クラスタリングを示す。クラスタリングは、多くの遺伝子において、低酸素下でのLS72の作用が、低酸素の作用を無効にして、多くの遺伝子の転写レベルがビヒクル、すなわち、LS72処理なしの正常酸素において見られるレベルと類似した挙動を示すようにすることであることを示す。
DFOで誘導した低酸素下でLS72で処理された細胞の発現プロファイルは、DFO単独下のプロファイルとは大きく異なる。しかしながら、DFOで誘導した低酸素下でLS72で処理された細胞および正常酸素条件下の細胞のプロファイルは、類似領域を示している。これは、LS72による処理が、低酸素誘導性遺伝子に影響を与える転写阻害剤について予想される通り、ある特定の遺伝子群に対するDFO処理の作用を減少させることを示唆する。低酸素応答にかかわる細胞のシグナル伝達経路の複雑性を考えると、LS72とDFOの両方によって影響を受ける遺伝子にいくらかの重複が存在することは、必ずしも驚くべきことではない。結果はまた、全ゲノムに照らして、低酸素誘導に対するその作用におけるLS72の特異性を明らかに実証する。
表1は、MCF7細胞において低酸素下で400nMのLS72処理によって下方調節される重要な遺伝子を掲載している。データは、2倍超の変化を示す遺伝子のリストから抽出した。
興味深いことに、タンパク質の溶質キャリア(SLC)ファミリーに属する多くの遺伝子は、低酸素下でLS72によって下方調節された。これらは表2に掲載されている。これは、低酸素下では、溶質キャリアタンパク質が上方調節されて、細胞における分子の取り込みおよび分泌の上昇が容易になり、LS72がこの傾向を逆転させたことを示す。
生体顕微鏡法を使用したマウス腫瘍異種移植片モデルにおけるLS72の有効性のインビボ研究
N2O2(乳癌種)由来の腫瘍スフェロイドを調製し、ヌードマウスの皮下に埋め込んだ。腫瘍を10〜14日間血管形成させ、その後マウスに、0日目に1mg/kgの(±)−LS72を尾静脈から注射した。8日目から13日目まで、マウスに2mg/kgの(±)−LS72を毎日注射した。指定の日に得られた生体顕微鏡(IVM)画像を図22に示す。
図23は、IVM画像から得られた腫瘍体積の定量化を示す。データは、(±)−LS72を注射されたマウス#1および#2において、腫瘍血管系および腫瘍成長が有意に抑制されることを明らかに示す。これらの実験の中で、(±)−LS72は、マウスに対する非常に低い毒性を示し、これは、動物の行動の観察およびその体重のモニタリングによって確認された。本発明者らの設計したビス−ETPのこの低い毒性は、天然のビス−ETPであるケトミンに対するインビボでの有意な利点を与えるものであり、ケトミンは、動物にとって毒性、さらには致死性であると報告され、その理由は、ケトミンで処置されたマウスは、5日間の連続注射の後生存しないからである。
本発明者らの研究において、(±)−LS72で処置されたマウスは、14日間の処置の後も生存し、急性毒性のいかなる徴候をも示さなかった。この研究は、インビトロでの癌細胞株におけるHIF−1誘導性遺伝子発現およびインビボでのマウス異種移植片モデルにおける腫瘍成長の阻害剤としての、(±)−LS72の有効性を証明する。(±)−LS72は、インビボでの腫瘍成長の阻害を維持するのに十分な治療濃度の試験した範囲内において、ケトミンよりも毒性が有意に低い。
さらなる実験を行い、ここでは、マウスの腫瘍を10〜14日間血管形成させ、その後マウスに、0、8、10および12日目に1mg/kgのmeso−LS72を尾静脈から注射した。各日の生体顕微鏡(IVM)画像を、上記の通りに得た。データは、meso−LS72を注射されたマウスにおいても、腫瘍血管系および腫瘍成長が有意に抑制されることを示す。これらの実験の中で、meso−LS72もまた、マウスに対する非常に低い毒性を示し、これは、動物の行動の観察およびその体重のモニタリングによって確認された。これは、マウス異種移植片モデルでの腫瘍成長の抑制における、(±)−LS72とmeso−LS72の両方のインビボでの有効性を立証する。
考察
ここで開示されている通り、本発明の化合物は、インビトロおよびインビボで低酸素誘導性転写の破壊において有能であり、細胞成長および複製速度に対する有害作用をほとんど有さない。低酸素の乳癌腫細胞株MCF7およびMDA−MB−231において、設計された二量体LS72は、VEGFおよびc−Met遺伝子のHIF1α誘導性転写ならびにそれらのタンパク質産物の有意な下方調節を示す。肺腺癌細胞株A549において、5つの鍵遺伝子、VEGF、c−Met、Glut1、LOX、およびCXCR4は、LS72によって用量依存的に有意に下方調節された。本発明者らの遺伝子発現プロファイリング実験は、低酸素条件下でのLS72の全体的ゲノム作用に関する重要な知見を提供した。LS72によって影響を受ける遺伝子の数および種類は、本発明者らの以前の結果と一致し、この化合物が、明確な薬理ゲノム学的プロファイルを有する高度に特異的な転写阻害剤であることが示唆される。
材料および方法
一般的方法
別段の記述がない限り、すべての試薬および溶媒は、市販供給源から入手し、そのまま使用した。水分感受性試薬を要するすべての反応は、乾燥N2雰囲気下で、無水溶媒および火炎乾燥したガラス器具を用いて実行した。吸湿性液体は、シリンジによって移し、ラバーセプタムを介して反応容器に導入した。反応生成物溶液は、30〜150mmHgでロータリーエバポレーターを使用して濃縮した。重力クロマトグラフィーは、シリカゲル(230〜400メッシュ)にて、試薬グレードの溶媒を使用して実施した。分析薄層クロマトグラフィーは、ガラス基板のプレコートプレート(0.25ram、シリカゲル60、F−254、EM Science)にて実施した。核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、Varian Unity 300MHzまたはBruker 250MHz、500MHzもしくは600MHz装置にて、示された溶媒中で収集した。ピーク位置は、化学シフト(δ)によって、テトラメチルシラン(0ppm)または溶媒の不完全な重水素化から生じるシグナル:CDCl3(7.26ppm)もしくはCD3ODの多重線の中心線(3.31ppm)を基準としてppmで報告する。13C NMRスペクトルは、CDCl3(77.0ppm)またはCD3OD(49.2ppm)のシグナルを基準とした。カップリング定数(J)は、ヘルツ(Hz)で報告する。以下の略語を使用する:一重線(s)、二重線(d)、三重線(t)、四重線(q)、二重線の二重線(dd)、三重線の二重線(dt)、広幅(br)。
エピジチオジケトピペラジンの合成および特徴付け
1,4−ジメチル−2,5−ピペラジンジオン(piperazidnedione)−3,6−ジブロミド(2)の調製
o−ジクロロベンゼン(dichorobenzene)(10mL)に溶解した臭素(1.03mL、3.2g、20mmol、2当量)を、サルコシン無水物(1.42g、1mmol、1当量、Avocado,Inc.)スラリーのo−ジクロロベンゼン(30mL)溶液に、1時間かけて滴下添加した。黄色の沈殿物が直ちに形成した。反応混合物を150℃まで加熱し、ガスの発生が止むまで撹拌を続けた。次いで、混合物を室温に冷却し、ヘキサン(200mL)を徐々に添加した。淡黄色の結晶が堆積し、混合物を4℃で終夜静置した。結晶を濾別し、真空下で乾燥させた。粗生成物をクロロホルム−エーテル混合物から再結晶させて、1.62gの生成物を得た。収率54%、融点128℃。1H-NMR (CDCl3, TMS, ppm) δ: 6.00 (s, 2H), 3.07 (s, 6H).
1,4−ジメチル−2,5−ピペラジンジオン−3,6−ジチオアセタート(3)の調製
チオ酢酸カリウム(6.2g、54mmol、2.7当量)を、Et3N(3.1mL、22mmol)および粗生成物2(20mmol)をクロロホルム(50mL)およびアセトン(50mL)の混合物に溶解した4℃の溶液に、約1時間かけて少量ずつ添加した。反応混合物を、4℃でさらに3時間撹拌した。NMRによって記録された試料は、出発材料の不在を示した。混合物を減圧下で蒸発させ、残留物をジクロロメタンに溶解し、有機相を水で4回洗浄し、MgSO4下で乾燥させ、ロータリーエバポレーターで体積を減少させた。暗色のシロップといくらかの結晶性材料との混合物をEtOAcに溶解し、溶液が濁るまでヘキサンを添加した。結晶性材料が形成し、これを濾過し、乾燥させて、3.3g(54%)の生成物3を得た、融点204℃。1H-NMR (CDCl3, TMS, ppm) δ: 2.95 (s, 6H), 2.49 (s, 6H).
1,4−ジメチル−2,5−ピペラジンジオン−3,6−ジチオール(4)の調製
チオアセタート(3、1.33g)を無水MeOH(40mL)に懸濁させ、無水エーテル中1M HCl(40mL)を添加した。反応混合物を、2時間撹拌し還流させた。スラリーが黄色味を帯び、溶液がゆっくりと清澄化した。出発材料の消失をTLCによってモニタリングし、2時間後に完了したと決定された。溶液を真空中で濃縮し、残留物をクロロホルムに溶解し、蒸発させた。クロロホルム溶解−蒸発の手順を再度繰り返して、4を得た、0.8g(85%)。粗化合物に対してNMRスペクトルを記録した。融点108℃。1H-NMR (CDCl3, TMS, ppm) δ: 5.00 (d, 2H, J = 10.3 Hz), 3.09 (s, 6H), 3.06 (d, 2H. J = 10.2 Hz).
3−(4−メトキシ−フェニル)−6,8−ジメチル−2,4−ジチア−6,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン−7,9−ジオン(5)の調製
粗生成物4(1.11g)およびp−アニスアルデヒド(4.1mL)をジクロロメタン(50mL)に溶解した。この撹拌した溶液に、三フッ化ホウ素エーテラート(250μL)を添加した。室温で16時間撹拌した後、溶液を飽和炭酸水素ナトリウム溶液に注いだ。水層をジクロロメタンで完全に抽出し、有機相をNa2SO4上で乾燥させた。溶媒を蒸発させた後、残留物をTLC(ジクロロメタン−EtOAc、7:3、Rf0.45)によって試験し、クルードNMRを記録した。クルードNMRは、目標化合物および過剰のp−アニスアルデヒドを示す。粗混合物をジクロロメタンに溶解し、生成物をエチルエーテルで析出させて、590mgの精製された生成物を得た。母液から、第2の部分の生成物が晶出し、260mgの生成物を得た。総量は850mgの5である(50%)、融点269℃。1H NMR (CDCl3, TMS, ppm) δ: 7.38 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 6.87 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 5.15 (s, 1H), 5.03 (s, 1H), 4.87 (s, 1H), 3.80 (s, 1H), 3.20 (s, 3H), 3.07 (s, 3H)
1,4−ジメチル−2,5−ピペラジドンジオン−3,6−ジスルフィド(6)の調製
チオアセタール(5)(18mg、0.056mmol、1当量)を無水ジクロロメタン(15mL)に溶解し、溶液を0℃に冷却した。撹拌した溶液に、m−クロロ過安息香酸(15mg、0.067mmol、1.2当量、最大77%純度)を添加した。0℃で10分間撹拌した後、ジメチルスルフィド(20μL)を添加した。次いで、溶液を過塩素酸のメタノール溶液(1:5)25μLで処理した。溶液を室温で8時間静置し、次いで、飽和炭酸水素ナトリウム溶液に注いだ。水層をジクロロメタンで抽出した。ジクロロメタン溶液を水で洗浄し、MgSO4下で乾燥させ、真空下で濃縮して、18mgの粗生成物を得た。白色の沈殿物をEt2Oで洗浄して、8mg(71%)の精製された生成物(6)を得た。1H-NMR (CDCl3, TMS, ppm) δ: 5.22 (s, 2H), 3.11 (s, 3H). ESI MS: C6H8N2O2S2の計算値: 204.0, 実測値[M+H]+: 204.8.
3−(4−メトキシフェニル)−6,8−ジメチル−2−[(フェニルメトキシ)メチル]−2,4−ジチア−6,8−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン−7,9−ジオン、(7)の調製
結晶性の5(388mg、1.2mmol、1当量)およびベンジルクロロメチルエーテル(1.11mL、4.8mmol、4当量、749mg、1.25g、60%試薬用)を無水THF(40mL)に溶解した。溶液を−78℃に冷却し、撹拌した混合物に、ヘキサン中1.54M n−ブチルリチウム(1.16mL、1.8mmol、1.5当量)を、5分間かけて滴下添加した。混合物を−78℃で10分間撹拌した後、得られる赤色の濁った溶液を室温に昇温させ、30分間撹拌した。TLCは、1つの主要生成物および少量(約20%)の出発材料を示す。次いで、飽和NaCl溶液を反応混合物に添加し、赤色の溶液をジクロロメタンで抽出した。ジクロロメタン溶液を水で2回洗浄し、MgSO4下で乾燥させ、真空中で濃縮した。シロップをカラムにて分離(ヘキサン−酢酸エチル、7−3;Rf0.43)して、364mgの5を灰白色の粉末として得た(68%)。1H-NMR (CDCl3, TMS, ppm) δ: 7.36 (m, 5H), 7.31 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 6.84 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 5.11 (s, 1H), 5.04 (s, 1H), 4.74 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 4.54 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 4.22 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 3.82 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 3.79 (s, 3H, 3.23 (s, 3H), 3.10 (s, 3H). FAB-MS: C22H24N2O4S2の計算値: 444.1, 実測値[M+H]+: 445.1.
1,4−ジメチル−2−[(フェニルメトキシ)メチル]−2,5−ピペラジンジオン−3,6−ジスルフィド(8)の調製
精製された7(9.2mg、0.021mmol、1当量)を無水ジクロロメタン(4mL)に溶解し、溶液を0℃に冷却した。撹拌した溶液に、m−クロロ過安息香酸(5.5mg、0.025mmol、1.2当量、77%純度)を添加した。0℃で10分間撹拌した後、ジメチルスルフィド(4.6μL)を添加した。次いで、溶液を過塩素酸のメタノール溶液(1:5)9.2μLで処理した。溶液を室温で2時間、次いで、0℃で18時間静置した。反応混合物をHPLCによって追跡した。18時間後、それ以上の変化は見られなかった。混合物を真空下で蒸発させ、分取HPLCによって分離して、3.5mg(49%)の純粋化合物8を得た。1H-NMR (CDCl3, TMS, ppm) δ: 7.38 (m, 5H), 5.26 (s, 1H), 4.72 (d, J = 1.8 Hz, 2H), 4.22 (d, J = 1.8 Hz, 2H), 3.12 (s, 3H).
3−(4−メトキシフェニル)−6,8−ジメチル−2,4−ジ[(フェニルメトキシ)メチル]−2,4−ジチア−6,8−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン−7,9−ジオン(9)の調製
チオアセタール5(227mg、0.7mmol、1当量)および1mLのベンジルクロロメチルエーテル(546mg、3.5mmol、5当量、60%の市販供給源の試薬)を無水THF(35mL)に溶解し、溶液を−78℃に冷却した。撹拌した溶液に、ヘキサン中1.54M n−ブチルリチウム(1mL、1.54mmol、2.2当量)を、10分間かけて滴下添加した。混合物を−78℃で10分間撹拌した後、反応物を室温まで昇温させた。これは約30分を要した。TLCは、1つの主要生成物の存在、および出発材料の不在を示す。飽和NaCl溶液を反応混合物に添加し、赤色の溶液をジクロロメタンで抽出した。ジクロロメタン溶液を水で2回洗浄し、MgSO4下で乾燥させ、減圧下で濃縮した。油状残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって分離して、185mgの二置換生成物9を得た(47%)。1H NMR (CDCl3, TMS, ppm) δ: 7.38 (m, 10H), 7.31 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 6.86 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 5.00 (s, 1H), 4.76 (d, J = 12.3 Hz, 1H), 4.74 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 4.71 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 4.61 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 4.57 (d, J = 12.3 Hz, 1H), 4.49 (d, J = 10.6 Hz, 1H), 4.30 (d, J = 10.7 Hz, 1H), 3.83 (d, J = 11.1 Hz, 1H), 3.80 (s, 3H), 3.29 (s, 3H), 3.20 (s, 3H). FAB-MS: C30H32N2O5S2の計算値: 564.1, 実測値[M+H]+: 565.1.
3−(4−メトキシフェニル)−6,8−ジメチル−2−[(フェニルメトキシ)メチル]−4メチルヒドロキシ−2,4−ジチア−6,8−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン−7,9−ジオン(10)の調製
280mgの9(0.5mmol、1当量)のジクロロメタン(30mL)溶液を、0℃に冷却した。これに、ジクロロメタン中1M三塩化ホウ素(625μL、0.625mmol、1.25当量)を、30秒間かけて滴下添加した。溶液を0℃で10分間撹拌させ、次いで、氷水に注いだ。水相をジクロロメタンで抽出した。ジクロロメタン溶液を水で洗浄し、MgSO4下で乾燥させ、真空下で濃縮して、350mgの粗生成物を得た。ガラス状固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、ジクロロメタン−EtOAc混合物(85−15)、Rf0.44中で精製して、175mgの10を得た(74%)。1H NMR (CDCl3, TMS, ppm) δ: 7.30 (m, 5H), 7.28 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 6.83 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 5.00 (s, 1H), 4.69 (d, J = 12.3 Hz, 1H), 4.56, (d, J = 12.3 Hz, 1H), 4.46 (d, J = 10.7 Hz, 1H), 4.30 (dd, J = 12.6および5,4 Hz, 1H), 3.99 (dd, J = 12.6および9.9 Hz, 1H), 3.77 (s, 3H), 3.73 (d, J = 10.6 Hz, 1H), 3.31 (s, 3H), 3.15 (s, 3H), 3.15 (m, 1H). FAB-MS: C23H26N2O5S2の計算値: 474.1, 実測値[M+H]+: 475.1.
1,4−ジメチル−2−メチルヒドロキシ−5−[(フェニルメトキシ)メチル]−2,5−ピペラジンジオン−3,6−ジスルフィド(11)の調製
精製された10(20mg、0.035mmol、1当量)を無水ジクロロメタン(10mL)に溶解し、溶液を0℃に冷却した。撹拌した溶液に、m−クロロ過安息香酸(10mg、0.043mmol、1.2当量、最大77%純度)を添加した。0℃で10分間撹拌した後、ジメチルスルフィド(13μL)を添加した。次いで、溶液を過塩素酸のメタノール溶液(1:5)16μLで処理した。溶液を室温で8時間静置し、次いで、飽和炭酸水素ナトリウム溶液に注いだ。水層をジクロロメタンで抽出した。ジクロロメタン溶液を水で洗浄し、MgSO4下で乾燥させ、真空下で濃縮して、18mgの粗生成物を得た。白色の沈殿物をEt2Oで洗浄して、8mg(71%)の最終純粋生成物11を得た。1H NMR (CDCl3, TMS, ppm) δ: 7.38 (m, 5H), 4.76 (d, J = 11.9 Hz, 1H), 4.71 (d, J = 12.1 Hz, 1H), 4.36 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 4.28 (d, J = 11.1 Hz, 1H), 4.24 (d, J = 12.6 Hz, 1H), 4.23 (d, J = 11.1 Hz, H), 3.18 (s, 3H), 3.16 (s, 3H).
3−(4−メトキシフェニル)−6,8−ジメチル−1,5−ビス(ヒドロキシメチル(hydoxymethyl))−2,4−ジチア−6,8−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン−7,9−ジオン(12)の調製
40mgの9(0.071mmol、1当量)のジクロロメタン(10mL)溶液を、0℃に冷却した。撹拌した溶液に、ジクロロメタン中1M三塩化ホウ素(180μL、0.18mmol、2.5当量)を、30秒間かけて滴下添加した。溶液を0℃で10分間撹拌させ、次いで、氷水に注いだ。水相をジクロロメタンで抽出した。ジクロロメタン溶液を水で洗浄し、MgSO4下で乾燥させ、真空下で濃縮して、35mgの粗生成物を得た。結晶性固体をTLCで試験し、カラムにてジクロロメタン−アセトン混合物(8:2)、Rf0.28中で精製して、25mgの12を得た(93%)。1H NMR (CDCl3, TMS, ppm) δ: 7.31 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 6.85 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 5.01 (s, 1H), 4.64 (dd, J = 9.3および4.8 Hz, 1H), 4.32, (dd, J = 12.3および4.5 Hz, 1H), 4.01 (d, J = 12.3および10.2 Hz, 1H), 3.82 (dd, J = 9.3および4.2 Hz, 1H), 3.79 (s, 3H), 3.33 (s, 3H), 3.21 (s, 3H), 2.86 (dd, J = 9.9および4.8 Hz, 1H), 2.56 (dd, J = 9.9および5.1 Hz, 1H). FAB-MS: C16H20N2O5S2の計算値: 384.0, 実測値[M+H]+: 385.1.
3−(4−メトキシフェニル)−6,8−ジメチル−2,4−ジ[(アセチルオキシ)]メチル−2,4−ジチア−6,8−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン−7,9−ジオン(13)の調製
ジオール12(3mg)をジクロロメタン(500μL)に溶解し、ピリジン(100μL)およびAc2O(100μL)を添加した。16時間後、出発材料は存在せず、新たな生成物のみがTLCによって検出された。溶液をジクロロメタン(20mL)で希釈し、氷を添加し、反応物を2時間撹拌した。有機層を飽和NaHCO3溶液で洗浄した。減圧下で蒸発させた後、残留物をHPLCによって精製して、3mgの生成物13を得た(82%)。1H NMR (CDCl3, TMS, ppm) δ: 7.30 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 6.86 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 5.03 (s, 1H), 4.64 (dd, J = 9.3および4.8 Hz, 1H), 4.32, (dd, J = 12.3および4.5 Hz, 1H), 4.01 (d, J = 12.3および10.2 Hz, 1H), 3.82 (dd, J = 9.3および4.2 Hz, 1H), 3.79 (s, 3H), 3.33 (s, 3H), 3.21 (s, 3H), 2.86 (dd, J = 9.9および4.8 Hz, 1H), 2.56 (dd, J = 9.9および5.1 Hz, 1H).
1,4−ジメチル−3,6−ジ(アセチルオキシ)メチル−2,5−ピペラジンジオン(piperazidenedione)−3,6−ジスルフィド(14)の調製
精製された13(30mg、0.055mmol、1当量)を無水ジクロロメタン(8mL)に溶解し、溶液を0℃に冷却した。撹拌した溶液に、m−クロロ過安息香酸(17mg、0.077mmol、1.4当量、最大77%純度)を添加した。0℃で10分間撹拌した後、ジメチルスルフィド(10μL)を添加した。次いで、溶液を過塩素酸のメタノール溶液(1:5)20μLで処理した。溶液を室温で18時間静置し、次いで、飽和炭酸水素ナトリウム溶液に注いだ。水層をジクロロメタンで抽出した。ジクロロメタン溶液を水で洗浄し、MgSO4下で乾燥させ、真空中で濃縮した。固体残留物をHPLCによって精製して、14を得た、収量7mg(31%)。1H NMR (CDCl3, TMS, ppm) δ: 4.97 (d, J = 12.6 Hz, 2H), 4.76 (d, J = 12.6 Hz, 2H), 3.13 (s, 6H), 2.16 (s, 6H). HRFAB-MS: C12H16N2O6S2の計算値: 348.045, 実測値[M+H]+: 349.053.
3−(4−メトキシ−フェニル)−6,8−ジメチル−1−[(フェニルメトキシ)メチル]−5[(4−ブロモメチルフェニル)メチル]−2,4−ジチア−6,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン−7,9−ジオン(15)の調製
保護チオアセタール(444mg、1mmol、1当量)およびジブロモ−p−キシレン(1.58g、6mmol、6当量)を無水THF(80mL)に溶解し、−78℃に冷却した。次に、LHMDSの1M THF溶液(1.3mL、1.3mmol、1.3当量)を、撹拌しながら3分間かけて滴下添加した。添加に続いて、−78℃でさらに5分間撹拌を続けた。次いで、冷却浴を取り外し、混合物を昇温させ、室温で3時間静置した。飽和NaCl溶液を反応混合物に添加し、赤色の溶液をCH2Cl2(3×50mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水MgSO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。固体残留物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、CH2Cl2を使用して分離して、生成物388mgを得た(収率77%)。1H NMR (CDCl3, TMS, ppm) δ: 7.33 (m, 9H), 7.13 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.85 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 5.08 (s, 1H), 4.78 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 4.56 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 4.46 (s, 2H), 4.37 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 4.32 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 3.85 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 3.80 (s, 3H), 3.35 (s, 3H), 3.15 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 2.97 (s, 3H). 13C NMR (CDCl3, ppm) δ:165.72, 165.46, 160.55, 137.39, 136.30, 135.50, 130.46, 129.38, 128.75, 128.45, 127.93, 127.78, 126.52, 114.39, 74.02, 73.39, 71.07, 68.68, 55.37, 51.24, 40.21, 33.07, 29.80, 28.08. FABMS: C30H31BrN2O4S2の計算値: 626.1, 実測値[M+H]+: 627.0.
3−(4−メトキシ−フェニル)−6,8−ジメチル−1−[(フェニルメトキシ)メチル]−5[(4−{3−(4−メトキシフェニル)−6,8−ジメチル−1−[(フェニルメトキシ)メチル]−2,4−ジチア−6,8−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン−7,9−ジオン−5−イル}メチルフェニル)メチル]−2,4−ジチア−6,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン−7,9−ジオン(16)およびビス{3−(4−メトキシ−フェニル)−6,8−ジメチル−1−[(フェニルメトキシ)メチル]−2,4−ジチア−6,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン−7,9−ジオン−5[(4−メチルフェニル)メチル]}(21)の調製
196mgの7(0.44mmol、1当量)および413mgの15(0.66mmol、1.5当量)の無水THF(60mL)溶液を、−78℃に冷却した。撹拌した溶液に、ヘキサン中2.5M n−ブチルリチウム(264μL、0.66mmol、1.5当量)を、30秒間かけて滴下添加した。混合物を−78℃で5分間撹拌した後、反応物をTLCによって検査したところ、新たなスポットが存在するが多量の出発材料が存在するようであった。さらに150μLのn−ブチルリチウムを徐々に添加したが、各分割量(約30μL)の後に、反応混合物をTLCによって試験した。最終的に、TLCは、出発材料である7の不在を示した。混合物を、撹拌しながら室温に昇温させた。これは約30分を要した。TLCは、1つの主要生成物および少量(約5%未満、ジブロミド)の出発材料を示す。有機溶液を150mLのジクロロメタンで希釈し、飽和NaCl溶液で数回洗浄した。有機溶液を、MgSO4下で乾燥させ、真空下で濃縮した。固体残留物を、カラムにてヘキサン−EtOAc、6:4の混合物中で分離した。2種の新たな二量体が存在した:21(54mg、16%、Rf0.42、HRFAB−MS:C6062484の計算値1094.345、実測値[M+H]+1095.356)および16(107mg、36%、Rf0.35、FAB−MS:C5254484の計算値:990.282、実測値[M+H]+:991.291)。次の工程は、この粗材料から出発して行った。
5,5’−(1,4−フェニレンビス(メチレン))ビス(1−(ベンジルオキシメチル)−3−(4−メトキシフェニル)−6,8−ジメチル−2,4−ジチア−6,8−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン−7,9−ジオン)(16)
7(0.33g、0.75mmol)の乾燥THF(15mL)溶液を、−78℃に冷却した。次に、LHMDSの1M THF溶液(1.0mL、1.0mmol)を、撹拌しながら2分間かけて滴下添加した。次いで、2mLのTHFに溶解したα,α’−ジヨード−p−キシレン(88mg、0.25mmol)を反応混合物に滴下添加し、溶液を3時間室温まで昇温させた。水を反応物に添加し、混合物をジクロロメタン(3×50mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水MgSO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。ジアステレオアイソマーmeso−16および(±)−16の混合物(0.20g、80%)を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、溶離液としてCH2Cl2:ヘキサン:EtOAc=5:4:1を使用して分離した。(±)−16について、1H NMR (CDCl3, ppm) δ: 7.33 (m, 14H), 7.07 (s, 4H), 6.84 (d, J = 8.8 Hz, 4H), 5.06 (s, 2H), 4.78 (d, J = 12.20 Hz, 2H), 4.56 (d, J = 12.20 Hz, 2H), 4.36 (d, J = 16.39 Hz, 2H), 4.28 (d, J = 10.67 Hz, 2H), 3.82 (d, J = 10.67 Hz, 2H), 3.80 (s, 6H), 3.34 (s, 6H), 3.08 (d, J = 16.39 Hz, 2H), 2.94 (s, 6H). 13C NMR (CDCl3, ppm) δ: 165.76, 165.50, 160.45, 137.27, 133.72, 130.43, 128.78, 128.44, 127.92, 127.84, 126.52, 114.31, 73.97, 73.39, 71.00, 68.51, 55.35, 51.03, 40.23, 29.80, 28.08. HRMS (FAB) m/z: C52H55N4O8S4 + [M+H+]の計算値: 991.290, 実測値: 991.291.
(±)−5,5’−(1,4−フェニレンビス(メチレン))ビス(1−(ヒドロキシメチル)−3−(4−メトキシフェニル)−6,8−ジメチル−2,4−ジチア−6,8−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン−7,9−ジオン)、(±)−17
0℃に冷却した(±)−16(0.13g、0.13mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液に、三塩化ホウ素(CH2Cl2中1M溶液、320μL、0.32mmol)を、撹拌しながら滴下添加した。溶液を、0℃でさらに10分間撹拌し、次いで、氷冷水(10mL)に注ぎ、ジクロロメタン(25mL)で抽出した。有機層を水で2回洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗生成物を白色の固体として得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CH2Cl2/EtOAc=7:3)によって精製して、(±)−17を得た(93mg、91%)。1H NMR (CDCl3, ppm) δ: 7.32 (d, J=8.8 Hz, 4H), 7.03 (d, J = 8.8 Hz, 4H), 5.08 (s, 2H), 4.37 (d, J = 16.24 Hz, 1H), 4.33 (dd, J = 12.60 Hzおよび5.54 Hz, 2H), 4.05 (dd, J = 12.6 Hzおよび9.93 Hz, 2H), 3.81 (s, 6H), 3.42 (s, 6H), 3.06 (d, J = 16.24 Hz, 2H), 2.95 (dd, J = 9.93 Hzおよび5.54 Hz, 2H), 2.91 (s, 6H). 13C NMR (CDCl3, ppm) δ:166.67, 165.83, 160.45, 133.70, 130.42, 128.80, 126.45, 114.39, 73.20, 71.12, 62.98, 55.39, 50.98, 40.42, 29.79, 27.98. HRMS (ESI) m/z: C38H43N4O8S4 + [M+H+]の計算値: 811.196, 実測値: 811.195.
(±)−4,4’−(1,4−フェニレンビス(メチレン))ビス(1−(ヒドロキシメチル)−5,7−ジメチル−2,3−ジチア−5,7−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン−6,8−ジオン)、(±)−18、LS69
m−クロロ過安息香酸(22mg、77%最大含有率、0.10mmol)を、氷冷した(±)−17(33mg、0.040mmol)の無水ジクロロメタン(10mL)溶液に、撹拌しながら添加した。0℃で10分間撹拌した後、ジメチルスルフィド(10μL)を添加し、続いて、70%過塩素酸のメタノール溶液(1:5)20μLで処理した。溶液を室温で9時間静置した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウムに注いだ。溶液をジクロロメタン(3×30mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を合わせ、無水MgSO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。ガラス状残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CH2Cl2/EtOAc=6:4)によって精製して、(±)−18(LS69)を得た(11mg、33%)。1H NMR (DMSO-D6, ppm) δ: 7.24 (s, 4H), 5.90 (t, J = 5.50 Hz, 2H), 4.33 (dd, J = 12.83 Hzおよび5.50 Hz, 2H), 4.23 (dd, J = 12.83 Hzおよび5.50 Hz, 2H), 3.89 (d, J = 16.04 Hz, 2H), 3.73 (d, J = 16.04 Hz, 2H), 3.13 (s, 6H), 2.82 (s, 6H). 13C NMR (CDCl3, ppm) δ:165.35, 164.92, 133.45, 128.89, 76.33, 75.91, 59.12, 35.50, 28.31, 27.89. HRMS (FAB) m/z: C22H26N4O6S4Na+ [M+Na+]の計算値: 593.063. 実測値: 593.063.
5,5’−((エタン−1,2−ジイルビス(4,1−フェニレン))ビス(メチレン))ビス(1−((ベンジルオキシ)メチル)−3−(4−メトキシフェニル)−6,8−ジメチル−2,4−ジチア−6,8−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン−7,9−ジオン)(21)。
15(2.14g、3.40mmol、1.0当量)の溶液を−78℃に冷却し、ヘキサン中1.6M n−ブチルリチウム(2.77mL、4.43mmol、1.3当量)を、2分間かけて撹拌しつつ滴下添加した。添加に続いて、−78℃でさらに5分間撹拌を続けた。次いで、冷却浴を取り外し、混合物を、3時間かけて室温まで徐々に昇温させた。次いで、反応混合物を氷冷水に注ぎ、ジクロロメタン(3×50mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水MgSO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、生成物をmeso−21および(±)−21の混合物として得た。生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、溶離液としてCH2Cl2:ヘキサン:EtOAc=5:4:1を使用して反応物質から精製し、混合物として次の工程で使用した。総収量:638mg(34%)。得られた生成物の試料を、同じ溶離液系を使用して2回目のシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、ここで、ラセミ(±)−21のある分割量を(±)−21およびmeso−21の混合物から分離し、分析に使用した。(±)−21についての分析データ:1H NMR (CDCl3, ppm) δ: 7.34 (m, 14H), 7.08 (q, 8H), 6.85 (d, J = 8.8 Hz, 4H), 5.07 (s, 2H), 4.78 (d, J = 12.2 Hz, 2H), 4.56 (d, J = 12.2 Hz, 2H), 4.36 (d, J = 16.8 Hz, 2H), 4.31 (d, J = 10.7 Hz, 2H), 3.84 (d, J = 10. 7 Hz, 2H), 3.80 (s, 6H), 3.34 (s, 6H), 3.10 (d, J = 16.8 Hz, 2H), 2.97 (d, 6H), 2.86 (s, 4H). 13C NMR (CDCl3, ppm) δ:165.76, 165.63, 160.51, 140.26, 137.44, 132.66, 130.46, 128.69, 128.42, 127.89, 127.76, 126.67, 114.36, 74.00, 73.56, 71.08, 68.71, 55.36, 51.23, 40.24, 37.27, 29.78, 28.07. HRFABMS: C60H62N4O8S4の計算値1094.345, 実測値[M+H]+ 1095.356.
5,5’−((エタン−1,2−ジイルビス(4,1−フェニレン))ビス(メチレン))ビス(1−(ヒドロキシメチル)−3−(4−メトキシフェニル)−6,8−ジメチル−2,4−ジチア−6,8−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン−7,9−ジオン)(22)
氷冷した21(125mg、0.126mmol、1当量)のジクロロメタン溶液に、三塩化ホウ素の1Mジクロロメタン溶液(320μL、0.32mmol、2.5当量)を、撹拌しながら滴下添加した。混合物を0℃で15分間静置し、次いで、氷冷水に注いだ。水層をジクロロメタン(3×50mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗反応混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、meso−22および(±)−22の生成物混合物78mgを白色の固体として得た(75%合計収率)。meso−22と(±)−22とを分離するため、meso−22および(±)−22の混合物を、シリカゲルカラムにて、ジクロロメタン中EtOACの10%から50%の勾配を使用してさらに精製した。(±)-22についての分析データ:1H NMR (CDCl3, ppm) δ: 7.32 (d, 4H), 6.93 (d, 4H) 6.89 (d, 4H), 6.86 (d, 4H), 5.08 (s, 2H), 4.47 (dd, J = 6 Hz, 13 Hz, 2H), 4.37 (d, 2H), 4.26 (m, 2H), 3.98 (dd, J = 10 Hz, 13 Hz, 2H), 3.80 (s, 6H), 3.41 (s, 6H), 2.98 (d, 2H), 2.84 (s, 6H), 2.69 (d, 2H). 13C NMR (DMSO-d6, ppm) δ:165.42, 165.19, 160.06, 140.00, 132.93, 130.52, 128.53, 128.42, 126.82, 114.38, 73.47, 71.51, 60.79, 55.29, 49.91, 40.14, 36.36, 29.60, 27.96. FABMS: C46H50N4O8S4の計算値: 914.3 実測値[M+Na]+: 936.9. meso-7についての解析データ: 1H NMR (CDCl3, ppm) δ: 7.33 (d, 4H), 7.02 (d, 4H) 6.99 (d, 4H), 6.86 (d, 4H), 5.09 (s, 2H), 4.35 (dd, J = 10 Hz, 13 Hz, 2H), 4.37 (d, 2H), 3.11 (m, 2H), 4.04 (dd, J = 10 Hz, 13 Hz, 2H), 3.81 (s, 6H), 3.41 (s, 6H), 2.91 (s, 6H), 2.85 (s, 4H). 13C NMR (DMSO-d6, ppm) δ:165.47, 165.24, 160.10, 140.04, 132.96, 130.56, 128.55, 128.48, 126.85, 114.42, 73.50, 71.55, 60.83, 55.34, 49.96, 40.14, 36.42, 29.63, 28.00. FABMS: C46H50N4O8S4の計算値: 914.3 実測値[M+Na]+: 936.9.
(±)−4,4’−((エタン−1,2−ジイルビス(4,1−フェニレン))ビス(メチレン))ビス(1−(ヒドロキシメチル)−5,7−ジメチル−2,3−ジチア−5,7−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン−6,8−ジオン)((±)−LS72、(±)−23)
50mL丸底フラスコに、35mLのCH2Cl2に溶解したジチオアセタール(±)−22(20mg、0.022mmol)を投入した。フラスコを0℃に冷却し、過剰のm−クロロ過安息香酸(15mg、77%含有率、0.07mmol)を添加した。0℃で30分間撹拌した後、氷浴を取り外し、ジメチルスルフィド(6.4μL、0.09mmol)を添加し、続いて、トリフルオロ酢酸(126μL)を添加した。反応混合物を、室温で3時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(15mL)を反応混合物に添加し、有機層を分離した。水層をジクロロメタン(20mL)でさらに抽出した。合わせた有機層を無水Mg2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。ガラス状残留物をアセトニトリル中50%DMSOに溶解し、逆相HPLCによって精製して、(±)−LS72((±)−23)を収率61%で得た。あるいは、より多くの量の(±)−LS72を精製するため、反応混合物の結晶化後処理を実施した。簡単に言うと、残留物(25mg)に、アセトニトリルを添加し(2mL)、混合物を室温で短時間超音波処理して、残留物を溶解した。混合物を4℃に冷却し、その温度で2時間維持した後、−20℃で終夜保存した。上清を濾過によって除去し、白色の結晶を−20℃に冷却したアセトニトリルで洗浄した。上清を、上記の手順を用いることによって再度再結晶させた。最終生成物の純度を、分析HPLCによって、0.05v/v%のトリフルオロ酢酸を含有する水相中のアセトニトリルの勾配(20分で40%〜95%)を使用して検証した。1H NMR (CDCl3, ppm) δ: 7.19 (d, 4H), 7.07 (d, 4H), 4.39 (d, 2H), 4.30 (d, 2H), 4.04 (d, 2H), 3.59 (d, 2H), 3.21 (s, 6H), 2.96 (s, 6H), 2.86 (m, 4H). 13C NMR (CDCl3, ppm) δ: 166.85, 165.57, 140.65, 131.58, 129.07, 128.81, 75.80, 75.18, 61.21, 37.22, 36.51, 28.59, 27.53. HR-ESIMS: C30H34N4O6S4+H+の計算値: 675.14, 実測値[M+H]+: 675.
1401.
meso−4,4’−((エタン−1,2−ジイルビス(4,1−フェニレン))ビス(メチレン))ビス(1−(ヒドロキシメチル)−5,7−ジメチル−2,3−ジチア−5,7−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン−6,8−ジオン)(meso−LS72、meso−23)
meso−LS72(meso−23)は、ジチオアセタールmeso−22から、(±)−7の手順と同様の手順に従って調製した。収率60%、1H NMR (CDCl3, ppm) δ: 7.21 (d, 4H), 7.09 (d, 4H), 4.39 (d, 2H), 4.31 (d, 2H), 4.04 (d, 2H), 3.59 (d, 2H), 3.21 (s, 6H), 2.97 (s, 6H), 2.87 (m, 4H). 13C NMR (CDCl3, ppm) δ: 166.92, 165.58, 140.73, 131.59, 129.16, 128.77, 75.81, 75.15, 61.26, 37.15, 36.53, 28.61, 27.52. HR-ESIMS: C30H34N4O6S4+H+の計算値: 675.14, 実測値[M+H]+: 675.1411.
(±)−22のキラル分離:
丸底フラスコに、(±)−22(20mg、0.22mmol)および5mLのジクロロメタンを投入した。この混合物に、(1S)−(−)−カンファン酸クロリド(71mg、0.3mmol、1.4当量)、4−ジメチルアミノピリジン(0.8mg、0.007mmol、0.03当量)、およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(150μL、0.86mmol、3.9当量)を、撹拌しながら順次添加した。室温で1時間撹拌を維持した。反応混合物を0.1M HCl(5mL)で洗浄し、無水MgSO4上で乾燥させた。減圧下で溶媒を除去して、粗生成物24を得た(23mg、83%総収率)。24の2種のジアステレオマーを、カラムクロマトグラフィーによって、ヘキサン中10%CH2Cl2の初期溶媒系を使用し、CH2Cl2およびEtOAcの量をヘキサン:EtOAc:CH2Cl2=4:3:3の最終溶媒系まで徐々に増加させて分離した。得られた2つの分画を、それぞれdst1−24(13mg回収)およびdst2−24(10mg回収)と命名した。dst1−24の分析からのデータ:1H NMR (CDCl3, ppm) δ: 7.33 (d, 2H), 7.09 (d, 2H), 7.00 (d, 2H), 6.87 (d, 2H), 5.31 (d, 1H), 5.11 (s, 1H), 4.42 (d, 1H), 4.36 (d, 1H), 3.81 (s, 3H), 3.40 (s, 3H), 3.08 (d, 1H), 2.88 (s, 3H), 2.83 (br, 2), 2.40 (m, 1H), 2.02 (m, 1H), 1.89 (m, 1H), 1.68 (m, 1H), 1.09 (s, 3H), 0.97 (s, 3H), 0.81 (s, 3H). 13C NMR (CDCl3, ppm) δ: 177.78, 166.42, 165.86, 164.81, 160.94, 140.68, 132.58, 130.79, 129.03, 128.42, 126.10, 114.69, 91.01, 73.54, 70.13, 63.05, 55.62, 55.10, 54.62, 51.83, 40.28, 37.53, 30.90, 29.87, 28.92, 28.47, 16.77, 16.67, 10.05.
dst2−24の分析からのデータ:1H NMR (CDCl3, ppm) δ: 7.33 (d, 2H), 7.09 (d, 2H), 7.02 (d, 2H), 6.87 (d, 2H), 5.28 (d, 1H), 5.10 (s, 1H), 4.43 (d, 1H), 4.35 (d, 1H), 3.81 (s, 3H), 3.36 (s, 3H), 3.12 (d, 1H), 2.93 (s, 3H), 2.84 (br, 2), 2.33 (m, 1H), 2.05 (m, 1H), 1.90 (m, 1H), 1.71 (m, 1H), 1.10 (s, 3H), 0.94 (s, 3H), 0.91 (s, 3H). 13C NMR (CDCl3, ppm) δ: 178.12, 166.16, 165.89, 164.74, 160.96, 140.57, 132.73, 130.78, 128.90, 128.42, 126.21, 114.70, 90.87, 73.46, 70.03, 63.16, 55.61, 54.95, 54.47, 51.76, 40.19, 37.44, 30.97, 29.92, 29.19, 28.39, 16.74, 16.64, 9.96.
24の各ジアステレオマー10mgに、炭酸水素ナトリウムの飽和メタノール溶液1mLを添加した。反応物を、室温で24時間撹拌した。反応物を初めに短いシリカゲルカラムによって精製し、続いて、逆相HPLCにて精製した。2種のジアステレオマーのそれぞれの反応により、2種のエナンチオマーent1−22またはent2−22が得られた(6mgの各エナンチオマーを回収、74%)。CDスペクトルにより、2種の生成物のエナンチオマーの関係が確認された。
ent1−LS72およびent2−LS72はそれぞれ、ジチオアセタールent1−22およびent2−22から、(±)−22の手順と同様の手順に従って収率61%で得られた。予想した通り、ent1−LS72、ent2−LS72、およびラセミ混合物についてのNMRデータは同一であった。Ent1−ETP2 1H NMR (CDCl3, ppm) δ: 7.19 (d, 4H), 7.07 (d, 4H), 4.39 (d, 2H), 4.30 (d, 2H), 4.04 (d, 2H), 3.59 (d, 2H), 3.21 (s, 6H), 2.96 (s, 6H), 2.86 (m, 4H). Ent1-LS72: C30H34N4O6S4+H+の計算値: 675.14, 実測値[M+H]+: 675.1416. ent2-LS72: C30H34N4O6S4+H+の計算値: 675.14, 実測値[M+H]+: 675.1316.ent1−LS72およびent2−LS72についてのCDスペクトルにより、エナンチオマーの関係が確認された。
3−(4−メトキシフェニル)−6,8−ジメチル−1−(フェニルメチル)2,4−ジチア−6,8−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン−7,9−ジオン(26)の調製
チオアセタール5(194mg、0.6mmol、1当量)を無水THF(25mL)に溶解し、溶液を−78℃に冷却した。撹拌した溶液に、ヘキサン中1.54M n−ブチルリチウム(545μL、0.84mmol、1.4当量)を、1分間かけて滴下添加した。30秒後、臭化ベンジル(356μL、513mg、3mmol、5当量)を、撹拌した混合物に30秒間かけて添加した。混合物を−78℃で8分間撹拌した後、得られる赤色の濁った溶液を室温に昇温させ、撹拌した。これは約30分を要した。TLCは、1つの主要生成物および少量(約5%)の出発材料を示す。飽和NaCl溶液を反応混合物に添加し、溶液をジクロロメタンで抽出した。有機溶液を水で2回洗浄し、MgSO4下で乾燥させ、真空下で濃縮した。油状残留物をヘキサンで処理した。材料の一部が固体化し、ヘキサン溶液を除去した。黄色の固体をヘキサンで再度洗浄し、真空下で乾燥させた。固体粗材料をジクロロメタン(2mL)に溶解し、メタノール(4mL)およびヘキサン(約20mL)を添加した。白色の沈殿物を濾別して、純粋生成物である100mgの26を得た(40.8%)。1H NMR (CDCl3, TMS, ppm) δ: 7.36 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.24 (m, 5H), 6.88 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 5.19 (s, 1H), 5.10 (s, 1H), 4.15 (d, J = 16.6 Hz, 1H), 3.82 (s, 3H), 3.25 (d, J = 16.5 Hz, 1H), 3.15 (s, 3H), 3.11 (s, 1H).
3−(4−メトキシフェニル)−6,8−ジメチル−1−[(フェニルメトキシ)メチル]−5−(フェニルメチル)−2,4−ジチア−6,8−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン−7,9−ジオン(27)の調製
結晶性の26(144mg、0.35mmol、1当量)およびフェニルクロロメチルエーテル(500μL、455mg、1.75mmol、5当量、60%試薬用)を無水THF(40mL)に溶解した。溶液を−78℃に冷却し、撹拌した混合物に、ヘキサン中1.54M n−ブチルリチウム(1.16mL、1.8mmol、1.5当量)を、5分間かけて滴下添加した。混合物を−78℃で10分間撹拌した後、得られる赤色の濁った溶液を室温に昇温させ、撹拌した。飽和NaCl溶液を反応混合物に添加し、赤色の溶液をジクロロメタンで抽出した。有機相を水で2回洗浄し、MgSO4下で乾燥させ、真空下で濃縮した。シロップをカラムにて分離(ヘキサン−酢酸エチル、8−2、Rf0.4)して、114mgの27をガラス様固体として得た(62%)。1H NMR (CDCl3, TMS, ppm) δ: 7.35 (m, 5H), 7.28 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 6.86 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 5.02 (s, 1H), 4.72 (d, J = 11.7 Hz, 1H), 4.58 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 4.51 (d, J = 10.8 Hz, 1H), 4.20 (d, J = 16.5 Hz, 1H), 3.78 (s, 3H), 3.74 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 3.25 (d, J = 16.9 Hz, 1H), 3.19 (s, 3H), 3.15 (s, 3H). FAB-MS: C29H30N2O4S2の計算値: 534.1, 実測値[M+H]+: 535.0.
3−(4−メトキシフェニル)−6,8−ジメチル−1−ヒドロキシメチル−5−(フェニルメチル)−2,4−ジチア−6,8−ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン−7,9−ジオン(28)の調製
28(60mg、0.11mmol、1当量)の無水ジクロロメタン(15mL)溶液を、0℃に冷却した。この撹拌した反応混合物に、ジクロロメタン中1M三塩化ホウ素(200μL、0.2mmol、1.8当量)を、30秒間かけて滴下添加した。溶液を0℃で10分間撹拌させ、次いで、氷水に注いだ。水相をジクロロメタンで抽出した。有機相を水で洗浄し、MgSO4下で乾燥させ、真空下で濃縮して、38mgの粗生成物を得た。ガラス状固体を、カラムにてジクロロメタン−EtOAc(65−35、Rf0.35)の混合物を用いて精製して、28mgの純粋な28を得た(収率57%)。1H NMR (CDCl3, TMS, ppm) δ: 7.35-7.14 (m, 7H), 6.86 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 5.04 (s, 1H), 4.66 (dd, J = 5.1および12.5 Hz, 1H), 4.24 (d, J = 16.5 Hz, 1H), 3.87 (dd, J = 9.5および12.8 Hz, 1H), 3.80 (s, 3H), 3.25 (d, J = 16.3 Hz, 1H), 3.24 (s, 3H), 3.14 (s, 3H) 2.73 (dd, J = 5.7および9.7 Hz, 1H). FAB-MS: C22H24N2O4S2の計算値: 444.1, 実測値[M+H]+: 444.9.
1,4−ジメチル−3−ヒドロキシメチル−6−フェニルメチル−2,5−ピペラジンジオン−3,6−ジスルフィド(29)の調製
28(25mg、0.056mmol、1当量)の無水ジクロロメタン(15mL)溶液を、0℃に冷却した。この撹拌した溶液に、m−クロロ過安息香酸(15mg、0.0672mmol、1.2当量、最大77%純度)を添加した。0℃で10分間撹拌した後、ジメチルスルフィド(20μL)を添加した。次いで、溶液を過塩素酸のメタノール溶液(1:5)25μLで処理した。溶液を室温で9時間静置し、次いで、飽和炭酸水素ナトリウム溶液に注いだ。水層をジクロロメタンで抽出した。有機相を水で洗浄し、MgSO4下で乾燥させ、真空下で濃縮して、10mgの粗生成物を得た。ガラス状固体を、カラムにてジクロロメタン−EtOAc(97.5−2.5、Rf0.3)の混合物を用いて精製して、4mgの29を得た(収率22%)。1H NMR (CDCl3, TMS, ppm) δ: 7.30 (m, 5H), 4.34 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 4.08 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 3.65 (d, J = 13.0 Hz, 1H), 3.50 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 3.22 (s, 3H), 3.00 (s, 3H).
合成ETPのインビトロ活性の査定
3種類の生物学的アッセイを使用して、細胞培養物における本発明者らの化合物の有効性を評価した:1)HIF1誘導性プロモーターの活性を測定するためのルシフェラーゼベースのアッセイ;2)定量的逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応による内在性遺伝子のメッセンジャーRNAレベルの測定;および3)ウエスタンブロット分析によるVEGFおよびc−Metタンパク質レベルのレベル分析。
本発明者らは、これらのアッセイを用いて、以下の3つのヒト細胞株における遺伝子発現の相対レベルを評価した:HeLa(ヒト子宮頸部上皮腺癌)、MCF7(良性ヒト乳癌腫)、およびMDA−MB−231(悪性乳癌腫)を、表題のETP化合物、DKP対照NP481、およびケトミンCTMで処理した。並行して、未処理の細胞を対照として使用した。ルシフェラーゼおよびELISA実験は3連で行い、RT−PCR実験は6回繰り返した。
ルシフェラーゼアッセイ。MDA−MB−231−hRE−Luc細胞を、10%ウシ胎児血清および0.4g/L Geneticin(G418硫酸塩、RPI Corporation)を補充した高グルコースダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で維持した。細胞を、6.5×104細胞/mL懸濁液1mLを使用して、24ウェル皿(BD Falcon)に6×104細胞/ウェルの密度で播種した。接着が起こった後、細胞を、10nMから1μMの範囲にわたる濃度の合成ETP化合物またはケトミンを含有する新鮮な培地1mLで処理した。細胞を、5%CO2の加湿雰囲気中、37℃で6時間インキュベーションした。メシル酸デスフェリオキサミン(DFO、Sigma)を300μMの最終濃度まで添加することによって低酸素を誘導し、細胞をさらに18時間インキュベーションした。細胞を氷冷PBSで2回洗浄し、次いで、150μLのCell Culture Lysis Reagent(CCLR、Promega)を添加することによって、全細胞溶解物を単離した。溶解物を収集し、4℃で13,000rpmにて遠心分離し、アリコートに分け、−80℃で保存した。ルシフェラーゼアッセイは、全細胞溶解物およびLuciferase Assay Reagent(Promega)を、使用前に1時間周囲温度に戻すことによって実行した。Turner TD−20e Luminometerを使用して製造業者の使用説明書(Promega)に従って、ルシフェラーゼアッセイを実行した。相対光強度測定値は、ブラッドフォードアッセイを実施して、ルシフェラーゼアッセイにおいて使用された溶解物のタンパク質含量を決定することによって正規化した。簡単に言うと、1.5mLキュベットにおいて、50μLの細胞溶解物/ルシフェラーゼアッセイ試薬混合体を、200μLのブラッドフォード試薬および750μLのMillipore水に添加した。適当な量の1mg/mL BSA溶液を使用して、タンパク質標準物質を1μg/mLから10μg/mLの範囲で作製した。DU−800分光光度計を使用して、吸光度を595nMで測定した。実験は3連で行った。結果は図6に提示され、棒グラフは平均値を表し、エラーバーは平均値の標準誤差である。
細胞培養およびmRNAの単離
公開されている手順に従って、HeLa細胞を、8%ウシ胎児血清(Irvine Scientific)を補充した高グルコースダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Sigma)中で維持した。69細胞を、6×104細胞/mL懸濁液2mLを使用して、6ウェル皿(BD Falcon)に1.5×105細胞/ウェルの密度で播種した。接着が起こった後、細胞を、10nMから1μMの範囲にわたる濃度の合成ETP化合物またはケトミンを含有する新鮮な培地1mLで処理した。5%CO2の加湿雰囲気中、37℃で6時間のインキュベーション期間の後、メシル酸デスフェリオキサミン(DFO、Sigma)を300μMの最終濃度まで添加することによって低酸素を誘導し、細胞をさらに18時間インキュベーションした。細胞を氷冷PBSで2回洗浄し、直ちに溶解した。全RNAを、RNeasyキット(Qiagen)を用いて製造業者の使用説明書に従って単離し、UV吸光度によって定量した。単離したRNAをDNase I(Ambion、DNAfreeキット)でさらに処理して、残存するゲノムDNAを除去した。逆転写は、Powerscript II Reverse Transcriptase(Clontech)を用いて製造業者の推奨通りに実施した。
MCF7細胞を、10%ウシ胎児血清(Irvine Scientific)を補充したRPMI−1640培地(Sigma)中で維持した。細胞を、1.2×105細胞/mL懸濁液2mLを使用して、6ウェル皿に2.4×105細胞/ウェルの密度で播種した。接着が起こった後、細胞を、10nMから1μMの範囲にわたる濃度の合成ETP化合物またはケトミンを含有する新鮮な培地1mLで処理した。5%CO2の加湿雰囲気中、37℃で6時間のインキュベーション期間の後、メシル酸デスフェリオキサミン(DFO、Sigma)を300μMの最終濃度まで添加することによって低酸素を誘導し、細胞をさらに18時間インキュベーションした。細胞を氷冷PBSで2回洗浄し、直ちに溶解した。全RNAを、RNeasyキット(Qiagen)を用いて製造業者の使用説明書に従って単離し、UV吸光度によって定量した。単離したRNAをDNase I(Ambion、DNAfreeキット)でさらに処理して、残存するゲノムDNAを除去した。逆転写は、Powerscript II Reverse Transcriptase(Clontech)を用いて製造業者の推奨通りに実施した。
アフィメトリクスマイクロアレイを用いた遺伝子発現の分析。リアルタイム定量的逆転写PCR(qRT−PCR)を用いて、正常酸素と低酸素の両方の条件下の、HeLa細胞におけるVEGFおよびGLUT1遺伝子に対するETP化合物の作用を決定した。VEGFの分析については、フォワードプライマー5’−AGG CCA GCA CAT AGG AGA GA−3’およびリバースプライマー5’−TTT CCC TTT CCT CGA ACT GA−3’を使用して、遺伝子の3’翻訳領域から104bp断片を増幅した。GLUT1(SLC2A1)の分析については、本発明者らは、以下の配列を利用して、179bpの産物を得た:フォワード配列5’−TAG AAA CAT GGT TTT GAA ATG C−3’、リバース配列5’−GGT AAC AGG GAT CAA ACA GAT T−3’。RNAレベルは、ハウスキーピング遺伝子としてのβ−グルクロニダーゼを定量することによって標準化した。フォワードプライマー5’−CTC ATT TGG AAT TTT GCC GAT T−3’およびリバースプライマー5’−CCG AGT GAA GAT CCC CTT TTT A−3’を、この遺伝子に対して使用した。実験は、Applied Biosystems SYBR Green RT−PCRマスターミックスを用いて実施した。温度サイクルおよびSYBRグリーン発光の検出は、ABI7300リアルタイムPCR装置を用いて実施した。データは、Applied Biosystems Sequence Detection System、バージョン1.2を用いて分析した。統計分析は、6回の独立した実験からのデータを用いて実施した。
VEGFおよびc−Metタンパク質レベルのウエスタンブロット分析。MCF7およびMDA−MB−231細胞を、直径60mmの細胞培養皿(BD Falcon)に1.0×106細胞/mLの密度に播種した。接着の後、それらを、ケトミン(200nM)、LS72およびLS75(400nM)を含有する培地で処理した。すべての試料は、最終濃度0.1〜0.2v/v%のDMSOを含有した。6時間のインキュベーション期間の後、MCF7では300μM DFOを用いて、MDA−MB−231細胞では150μM CoCl2を用いて、低酸素を誘導した。試料をさらに18時間インキュベーションした。全細胞タンパク質を、細胞溶解バッファーを使用して製造業者のプロトコール(Cell Signaling)に従って細胞から抽出した。BCAプロテインアッセイキット(Pierce/Thermo Scientific)を用いて、タンパク質濃度を測定した。等量のタンパク質試料をSDS−PAGEに供し、PVDF膜(Bio−Rad)にエレクトロブロットした。これらを、まず抗VEGFマウスモノクローナル(sc−57496、Santa Cruz Biotechnology)または抗c−Metウサギポリクローナル抗体(sc−10、Santa Cruz Biotechnology)でプローブし、Restore Western Blot Stripping Buffer(Pierce/Thermo Scientific)でストリッピングし、ウサギポリクローナル抗β−アクチン抗体(4867、Cell Signaling)で再プローブした。
トリス緩衝生理食塩水−Tween20(TBST)溶液で洗浄した後、膜を西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲート二次抗体(Santa Cruz Biotechnology)とともにインキュベーションした。SuperSignal化学発光キット(Pierce/Thermo Scientific)を使用することによって、シグナルを検出した。
動物の使用。動物実験は、PRISM施設内動物管理使用委員会(IACUC)による審査および承認の後、連邦政府のガイドラインに準拠して行った。無胸腺ヌードマウスを、Harlanから8〜9週齢で購入した。
蛍光腫瘍細胞株。N202(Joseph Lustgarten、Mayo Clinic、Scottsdale、AZから寄贈)を、L−グルタミン(2mM)、ペニシリン(100U/ml)、ストレプトマイシン(100U/ml)、ピルビン酸ナトリウム(1mM)(Invitrogen、Carlsbad、CA)、および10%熱不活化FBS(Omega Scientific、Tarzana、CA)を補充したDMEM High Glucose中で、37℃、大気中5%CO2で維持した。ヒストンH2B−GFPを、BOSH2BGFPN1ベクター由来のSalIおよび平滑末端NotI部位を使用して、LXRNベクター(Clontech、Palo Alto、CA)のSalI/HpaI部位にサブクローニングし70、N202を生存ウイルスを用いて形質導入して、H2B−GFP遺伝子を安定に組み込んだ。形質導入細胞を2回FACsソートして、100%の細胞がH2B−GFPタンパク質を安定に発現することを確実にした。
マウス異種移植片腫瘍モデル。古典的なIVM腫瘍モデル71を、軽微な改変を加えて使用した。マウス、通常は無胸腺ヌードマウス(体重25〜30g)を麻酔し(体重100gあたり7.3mg塩酸ケタミンおよび2.3mgキシラジン、腹腔内注射)、加熱パッド上に置いた。チタンフレームをマウスの背面の皮膚のひだの上に置いて、伸ばした二重層の皮膚を挟んだ。次いで、直径15mmの円形の全層皮膚を切除した。残存する皮膚の上の浅筋膜を慎重に除去して、下層にある筋肉および皮下組織を露出させ、これを次いで、カバーガラスを備えた別のチタンフレームで覆って、ウィンドウチャンバーを形成する。1〜2日の回復期間の後、腫瘍スフェロイドを埋め込んだ。腫瘍スフェロイドは、50,000個のN202細胞を、1%寒天で被覆した96ウェル非組織培養処理平底皿に播種し(100μl培地中20μl細胞)、2000rpmにて4回15分間遠心分離し、各遠心分離後に皿を回転させることによって形成させた。細胞を、さらに3〜7日間(細胞型に応じて)37℃、大気中5%CO2でインキュベーションして、密なスフェロイドを形成した。腫瘍スフェロイドを、ウィンドウチャンバー内のみの背面皮膚に直接埋め込んだ。腫瘍を10〜14日間にわたり血管形成させた後、0日目に1mg/kgのLS72化合物を注射し、続いて、8〜13日目に2mg/kgで毎日投与した。
腫瘍成長。IVMを用いた腫瘍成長の分析。記載されている通りに、生体蛍光顕微鏡法によって腫瘍を撮像した。72腫瘍成長を、Image−Pro Plus(Media Cybernetics、Bethesda、MD)を使用して、記録されたデジタルのグレースケール0から256の画像からオフラインで分析した。腫瘍の積算蛍光シグナルを経時的に定量することによって、腫瘍成長を決定した。積算腫瘍蛍光シグナルは、75を超えるすべてのピクセルのシグナル総和によって測定した。すべての成長曲線は、処置後0日目の腫瘍に対して正規化されている。
本発明を具体的な典型的態様および例に関して説明してきたが、ここで開示された態様は例示目的のものにすぎず、以下の特許請求の範囲に規定される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者によって様々な改変および変更がなされ得ることは理解されよう。
DFO(300μM)を用いた低酸素誘導下でLS72(400nM)による処理によって下方調節される重要なHIF1α誘導性遺伝子のリスト。
DFO(300μM)を用いた低酸素誘導下のMCF7細胞においてLS72(400nM)で処理した際に下方調節される溶質キャリア(SLC)ファミリー遺伝子のリスト。
参考文献
前述のものを含むここでのすべての参考文献は、参照によりその全体がここに組み込まれる。
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Claims (8)

  1. 式Iによる化合物、およびその塩、溶媒和物または水和物:
    (式中、n=1、2、3、4であり、
    各ジケトピペラジン環の中心間の距離は、4〜32オングストロームであり、
    各ジケトピペラジン環の中心間の好ましい距離は、10〜22オングストロームであり、
    1およびR2は、水素、アルキル、置換アルキル、アミノアルキル、およびアリールからなる群から独立して選択され、
    3は、H、アルキル、アミノアルキル、PEG、およびアシルからなる群から選択され、
    Yは、(CH2k、(−CH2−CH2−O−)l、(−CH2−CH2−NH−)m、(−CH2−CH2−S−)n、(−CH=CH−)o、ヘテロ環、および
    からなる群から選択され、
    ここで、Xは、(CH2k、(−CH2−CH2−O−)l、(−CH2−CH2−NH−)m、(−CH2−CH2−S−)n、(−CH=CH−)o、およびヘテロ環からなる群から選択され、ここで、k、l、m、n、oは、それぞれ独立して、1、2、または3に等しく、
    4は、H、アルキル、およびハロゲンからなる群から選択される)。
  2. 式IIによる化合物、およびその塩、溶媒和物または水和物:
    (式中、n=1、2、3、4であり、
    1、R2は、H、アルキル、置換アルキル、アミノアルキル、およびアリールからなる群から独立して選択され、
    3は、H、アルキル、アミノアルキル、PEG、アシルからなる群から選択され、
    Xは、(CH2k、(−CH2−CH2−O−)l、(−CH2−CH2−NH−)m、(−CH2−CH2−S−)n、(−CH=CH−)o、およびヘテロ環からなる群から選択され、ここで、k、l、m、n、oは、それぞれ独立して、1、2、または3に等しく、
    4は、H、アルキル、およびハロゲンからなる群から選択される)。
  3. その塩、溶媒和物および水和物を含む式IIIによる化合物:
    (式中、n=1、2、3、4であり、
    1およびR2は、H、アルキル、置換アルキル、およびアリールからなる群から独立して選択され、
    3は、H、アルキル、アミノアルキル、PEG、およびアシルからなる群から選択され、
    Xは、(CH2k、(−CH2−CH2−O−)l、(−CH2−CH2−NH−)m、(−CH2−CH2−S−)n、(−CH=CH−)o、およびヘテロ環からなる群から選択され、ここで、k、l、m、n、oは、それぞれ独立して、1、2、または3に等しく、
    4=H、アルキル、またはハロゲンである)。
  4. 担体に溶解または分散された、請求項1〜3のいずれかに記載の少なくとも1種の化合物を含む医薬組成物。
  5. 細胞において低酸素誘導性転写経路に干渉するための方法であって、
    前記細胞を、請求項1〜3のいずれかに記載の少なくとも1種の化合物と接触させることを含む方法。
  6. 乳癌を治療するための方法であって、
    それを必要とする対象に、請求項1〜3のいずれかに記載の少なくとも1種の化合物の有効量を投与することを含む方法。
  7. 治療を必要とする癌腫に罹患した対象を治療するための方法であって、
    前記対象に、請求項1〜3のいずれかに記載の少なくとも1種の化合物の有効量を投与することを含む方法。
  8. 以下:
    から選択される化合物。
JP2015529791A 2012-08-29 2013-03-15 低酸素誘導性転写因子複合体の活性を阻害するための組成物および方法、ならびに腫瘍の治療のためのその使用 Expired - Fee Related JP6309523B2 (ja)

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