JP2015526366A - シリカライト−1または複数のゼオライトベータの種結晶の表面から2次成長のみを誘導する結晶成長合成ゲル - Google Patents

シリカライト−1または複数のゼオライトベータの種結晶の表面から2次成長のみを誘導する結晶成長合成ゲル Download PDF

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Abstract

本発明は、シリカライト−1(SL)または複数のゼオライトベータ(BEA)種結晶の表面から2次成長のみを誘導し、結晶成長合成ゲル中または種結晶の表面において結晶核生成反応を誘導しない結晶成長合成ゲルを提供する。前記合成ゲルは、フュームドシリカ、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAOH)、[(NH4)2SiF6]、KOH、および H2O を含有するか、または、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAOH)、フッ化水素およびH2O を含有する。【選択図】図1

Description

本発明は、シリカライト−1(SL)または複数のゼオライトベータ(BEA)種結晶の表面から2次成長のみを誘導し、結晶成長合成ゲル中、または種結晶の表面において結晶核生成反応(crystal nucleation)を誘導しない結晶成長合成ゲル、前記合成ゲルを使用して複数のシリカライト−1種結晶または複数のゼオライトベータ種結晶の表面から2次成長を誘導することによって製造されたシリカライト−1膜またはゼオライトベータ膜、前記合成ゲルを使用して薄膜または厚膜を製造する方法、および前記方法によって製造された膜に関する。
ゼオライトは、結晶格子の中にオングストロームサイズの細孔およびチャネルを有する結晶性アルミノシリケートである。アルミノシリケートの骨格においてアルミニウムを有する場所は負電荷を帯びているので、電荷相殺のための陽イオンが細孔の中に存在し、細孔内の残りの空間は、通常水の分子で満たされている。ゼオライトが有する3次元的な細孔構造、形状およびサイズは、ゼオライトの種類によって異なるが、細孔の直径は普通分子サイズに相当する。従って、ゼオライトは種類に応じて細孔内に収容される分子のサイズ選択性または形状選択性を有することから、分子篩(molecular sieve)とも呼ばれる。
一方、ゼオライトの骨格構造を構成する元素であるシリコン(Si)とアルミニウム(Al)の代わりに、 他の様々な元素でシリコンやアルミニウムの一部または全体を置き換えたゼオタイプ分子篩(zeotype molecular sieves)が知られている。例えば、アルミニウムを完全に除去した多孔性シリカとシリコンをリン(P)で置き換えたアルポ(ALPO)系分子篩、このようなゼオライトおよびゼオタイプ分子篩の骨格にTi、Mn、Co、Fe、およびZnなど様々な金属元素を一部置換して得られたゼオタイプ分子篩が知られている。これらはゼオライトから派生した物質であり、本来の鉱物学的分類によるとゼオライトには属さないが、当業界では、これらをいずれもゼオライトと呼んでいる。
従って、本明細書におけるゼオライトとは、前述のゼオタイプ分子篩を含む広い意味でのゼオライトを意味する。
一方、MFI構造を有するゼオライトは、ゼオライトの中でも最もよく使用されているゼオライトの一つであり、その種類は次のとおりである:
1)ZSM−5:シリコンとアルミニウムが一定比率で形成されたMFI構造のゼオライト。
2)シリカライト−1:シリカのみからなる構造を有するゼオライト。
3)TS−1:アルミニウムの部分の一部にチタン(Ti)を有するMFI構造のゼオライト。
MFI構造は、図1AおよびBに示すとおりである。このゼオライトは、楕円形(0.51×0.55nm)細孔がジグザグ型につながったチャンネルがa軸方向に流れており、円形に近い(0.54 ×0.56nm)細孔が直線を成してb軸方向に伸びているため、直線型チャンネルを形成する。c軸方向にはチャネルが開かれていない。
また、この他のゼオライト、ベータ(BEA)は、a(またはb)軸に沿って流れる6.6×6.7Åチャンネルを有し、c軸に沿って湾曲して流れる5.6×5.6Åチャンネルを有する截頭された2つのピラミッド形状(truncated bipyramid shape)を有している(図1C)。
粉末状態のゼオライトは、原油のクラッキング触媒、吸着剤、脱水剤、イオン交換剤、および気体浄化剤などとして日常生活および産業界において非常に広範囲に使用されているが、多孔性アルミナなどの多孔性基板上に形成された薄膜構造のMFIゼオライト薄膜は、分子をサイズに応じて分離できる分子分離膜として広く利用されている。それだけでなく、MFIゼオライト薄膜は、2次および3次の非線形光学薄膜、3次元的メモリー素材、太陽エネルギー収集装置、電極補助物質、半導体量子ドットおよび量子線担体、分子回路、感光装置、発光体、低誘電薄膜、および防錆コーティング剤など広範囲に応用されている。
前述のように、ゼオライトは結晶方向に沿って細孔の形状、サイズおよびチャネル構造が異なる。
一方、ガラス板のような基板上にMFI構造のゼオライト薄膜を生成する方法は、1次成長法と2次成長法に大別される。1次成長法の場合、前処理せずに基板をMFIゼオライト合成用ゲルの中に入れ、その後MFIゼオライト膜が自発的に基板上で成長するように誘導する。このとき使用される合成用ゲルは、通常テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(tetrapropylammonium hydroxide、TPAOH)を添加したものが使用される。この場合、反応初期には、ガラス板上の複数のMFI結晶は、b軸がガラス板に垂直な配向に成長する。しかし、ガラス板上に生成された大部分の複数の結晶の中心部に、a軸に配向した複数の結晶が寄生的に成長し始める。それだけでなく、時間の経過に伴い複数の結晶が様々な方向に成長し、その結果、生成された薄膜は様々な配向に置かれるようになる。従って、生成されたMFIゼオライト薄膜はランダム配向を有し、それなりの用途はあるが、その応用性において劣っている。特に分子分離膜としての応用時に最も重要な要素の一つである分子透過性(permeability)が顕著に低下する。1次成長法の場合、TPAOH以外の他の有機塩基を使用すると、MFIゼオライト薄膜が基板上に成長しない。このような問題を克服するために、2次成長法が用いられる。
2次成長法の場合、複数のMFIゼオライト結晶を予め付着させた基板をMFI合成ゲルに浸漬した後、反応を進行させてMFI薄膜を形成する。ここで、すでに付着したMFI結晶は、種結晶の役割を果たす。このとき、付着したMFIゼオライト結晶の配向が後に生成されるMFIゼオライト薄膜の配向に非常に重要な役割を果たす。例えば、MFIゼオライト種結晶のa軸が基板に垂直に配向すると、生成されるMFIゼオライト薄膜のa軸が基板に垂直な方向に配向する傾向があり、種結晶のb軸が基板に垂直に配向すると、後に生成されるMFIゼオライト薄膜のb軸が基板に垂直な方向に配向する傾向がある。
しかし、最終的に生成されるゼオライト薄膜の配向は、種結晶の配向より薄膜を形成するために入れたMFI合成ゲルに添加される有機塩基によって敏感に変わる。例えば、2次成長法に使用されるMFI合成ゲル中には、普通TPAOHが添加されてきた。この場合、付着したMFIゼオライトの種結晶の配向が全て、a軸またはb軸と基板が垂直になるように付着していても、最終的に生成されるMFIゼオライトの薄膜の配向はランダムに変化する。
本明細書の全体を通して多数の論文および特許文献が参照され、その引用が示されている。引用された論文および特許文献の開示内容は、本明細書に参照として組み込まれており、本発明が属する技術分野のレベルおよび本発明の内容がより明確に説明される。
韓国特許公開第2009−120846号 国際出願PCT/KR2010/002180 国際出願PCT/KR2010/002181 米国特許第7,357,836号
Y. Liu、Y. S. Li、W. S. Yang、J. Am. Chem. Soc.132、1768(2010) Z.P. Lai、M. Tappetsis、J.R. Nicolich、Adv.Funct.Mater.14、716(2004) O. Larlus、V. Valtchev、Microporous Mesoprous Mater.93、55(2006) H.S. Kim et al.、J. Am.Chem.Soc.126、673(2004)
これまで、基板上に純粋なシリカBEA(Si−BEA)を成長させようとする試みは成されてきたが、a(またはb)軸が均一に基板に垂直に配向した薄膜についは未だ報告されていない。
従って、本発明の目的は、基板上に均一にa軸配向したSL(図1G)、b軸配向したSL(図1H)およびSi−BEA(図1I)膜を再現可能に製造することができる膜の製造方法を提供することにある。
本発明の第1の実施態様は、複数のシリカライト−1(SL)種結晶の表面から2次成長のみを誘導し、結晶成長合成ゲル中、または種結晶の表面において結晶核生成反応を誘導しない結晶成長合成ゲルであって、ヒュームドシリカ(fumed silica)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(tetraethylammonium hydroxide、TEAOH)、[(NHSiF]、KOH、およびHOを含有することを特徴とする合成ゲルを提供する。
また、本発明の第2実施態様は、前記第1合成ゲルを使用して、複数のシリカライト−1(SL)種結晶の表面から2次成長を誘導することによって製造されたシリカライト−1膜を提供する。
また、本発明の第3の実施態様は、複数のゼオライトベータ(BEA)種結晶の表面から2次成長のみを誘導し、結晶成長合成ゲル中、または種結晶の表面において結晶核生成反応を誘導しない結晶成長合成ゲルとして、テトラエチルオルトシリケート(tetraethylorthoSilicate、TEOS)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAOH)、フッ化水素およびHOを含有することを特徴とする合成ゲルを提供する。
また、本発明の第4の実施態様は、前記第2の合成ゲルを使用して、複数のゼオライトベータ(BEA)種結晶の表面から2次成長を誘導することによって製造されたゼオライトベータ(BEA)膜を提供する。
また、本発明の第5の実施態様は、基板の少なくとも1つの表面に、a軸、b軸およびc軸の1つ以上または全てが、一定の規則に従って配向するように、非球形シリカライト−1または複数のゼオライトベータの種結晶を整列させた第1工程と、および前記第1合成ゲルまたは第2合成ゲルに前記整列した複数の種結晶を露出させ、2次成長法を用いて前記複数の種結晶から膜を形成および成長させる第2工程とを含む、薄膜または厚膜を製造する方法を提供する。
また、本発明の第6の実施態様は、前記方法により製造された膜を提供する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書における結晶軸a軸、b軸およびc軸の関係は、結晶軸a軸とb軸が形成する平面上に結晶軸c軸は存在しないというものである。一例として、結晶軸a軸、b軸およびc軸は互いに垂直であってもよく、または結晶軸a軸とb軸が形成する平面上に結晶軸c軸は傾斜を成してもよい。
シリカライト−1(SL)単一層でコーティングされた基板を水、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)およびテトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAOH)または ビス−N,N−(トリプロピルアンモニウムヘキサメチレン)ジ−N,N−プロピルアンモニウムトリヒドロキシド(トリマーTPAOH)からなる合成ゲルに浸漬し、これを所定の温度で一定時間、テフロン(登録商標)内張り(ライニング)高圧反応器を用いて加熱した。TPAOHまたはトリマーTPAOHの使用は、SL薄膜の形成のためには不可欠である。なぜなら、TPAイオン(またはトリマーTPAOHでTPA誘導体)が構造誘導剤として作用するからである。これらのイオンは正弦波と直線チャネル間の交差点に閉じ込められ、チャンネルを塞いでしまうため、薄膜を分離および吸着用として使用する前に、焼成(通常酸素または空気を吹き入れ、550℃で12時間加熱)して、SL膜から取り除かなければならない。
前記方法の重要な問題点は、基板上の種結晶の配向や新たに成長した薄膜の厚さとは無関係に、常に種結晶上にランダムに配向したSL薄膜の成長が成されるということである。結局、a軸に沿って流れる正弦波チャンネルおよびb軸に沿って流れる直線チャネルは、薄膜でランダムに配向し、局所的結晶配向の不一致度が大きいため、様々な位置でのチャンネルの不一致度が大きくなるとともに、a軸に沿って流れる正弦波チャンネルとb軸に沿って流れる直線状のチャネルは、薄膜内でランダムに配向する。ランダムに配向した薄膜は、それぞれの主要な軸に沿ってSL粒子の複合熱膨張係数(complex thermal expansion coefficient)により焼成工程でクラック(crack)が生じやすい。また、熱膨張係数は大きさ(magnitude)だけでなく、室温と焼成温度間の温度範囲における形跡(sign)もかなり多様である(表1)。
前記表1は、様々な温度範囲におけるSLの熱膨張係数を示す。SL結晶は複合温度依存−異方性熱膨張係数、α、α、α、αを有する。ここでa、b、cおよびvは、主軸と体積を示す。従って、それぞれの結晶は、最初の工程(25−150℃)において異方性熱膨張の過程を経る。続いて焼成工程(150−550℃)において異方性熱収縮の過程を経る。
本発明者らは、leaflet形SL結晶(0.3×1.3×1.5μm)(図5)、サイズの異なる4種類(0.35×0.12×0.7、1.0×0.5×1.4、1.5×0.6×1.9、および2.8×1.1×4.8μm)(図6)の円形のcoffin形SL結晶、および截頭された2つのピラミッド形のSi−BEA結晶(14×14×19μm)(図7)を準備した。これらをラビング(rubbing)によってガラス板上に均一に配向した単一層に付着し(図2、A〜C)、表面上で2次成長を行った。均一に配向した膜を成功的に成長させる鍵は、適切な条件のゲル組成を準備し、適切な反応温度を見出すことである。
1000回に及ぶ試行錯誤の結果、本発明者らは、複数のシリカライト−1(SL)種結晶の表面から2次成長のみを誘導し、結晶成長合成ゲル中、または種結晶の表面において結晶核生成反応を誘導しない結晶成長合成ゲルの設計を成し得るに至った。
前記結晶成長合成ゲルは、フュームドシリカ、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAOH)、[(NHSiF]、KOH、およびHOを含有することを特徴とする。このとき、フュームドシリカ:TEAOH:[(NH4)SiF]:KOH:HO=4.00:1.92:0.36:0.40:n(モル比)であり、ここでn=30〜80であることが好ましい。前記合成ゲルは粉末の状態である。
前記合成ゲルを使用し、複数のシリカライト−1(SL)種結晶の表面から2次成長を誘導することによってシリカライト−1膜を製造することができる。
前記結晶成長合成ゲルは、シリカライト−1(SL)のa軸が均一に配向するように2次成長を誘導することができる(図1DおよびG)。このとき、2次成長は150℃で行うことが好ましい。
一方、前記結晶成長合成ゲルは、TEOS、TEAOH、(NHSiF、およびHOを含有することができる。このとき、TEOS:TEAOH:(NHSiF:HO=4.00:1.92:0.36:n、であり、ここでn=40〜80であることが好ましい。前記合成ゲルは半固体状態である。
前記結晶成長合成ゲルは、シリカライト−1(SL)のb軸が均一に配向するように、2次成長を誘導することができる(図1EおよびH)。従って、前記合成ゲルを使用して、複数のシリカライト−1(SL)種結晶の表面から2次成長を誘導することによって、シリカライト−1膜を製造することができる。
また、本発明者らは、複数のゼオライトベータ(BEA)種結晶の表面から2次成長のみを誘導し、結晶成長合成ゲル中、または種結晶の表面において結晶核生成反応を誘導しない結晶成長合成ゲルを設計した。
前記結晶成長合成ゲルは、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAOH)、フッ化水素およびHOを含有することを特徴とする。前記合成ゲルは、半固体状態である。
このとき、TEOS:TEAOH:フッ化水素:HO=4.00:2.20:2.20:n(モル比)であり、ここでn=30〜40であることが好ましい。
前記合成ゲルを使用して複数のゼオライトベータ(BEA)種結晶の表面から2次成長を誘導することによって、ゼオライトベータ(BEA)膜を製造することができる。
前記結晶成長合成ゲルは、ゼオライトベータ(BEA)のa軸が均一に配向するように、2次成長を誘導することができる(図1FおよびI)。
前記合成ゲルにおけるテトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAOH)およびテトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAOH)は、構造誘導剤(structure directing agent)である。
構造誘導剤は、特定の結晶構造の鋳型の役割を果たす物質であり、構造誘導剤の電荷分布、サイズおよび幾何学的形状が構造誘導特性(structure directing properties)を提供する。本発明による合成ゲルにおいて使用される構造誘導剤は、複数の種結晶の表面から2次成長のみを誘導して、種結晶成長溶液中、または種結晶の表面において結晶核生成反応を誘導しない種類のものとして選別したものである。結晶核生成反応さえ誘導しない限り、各結晶軸による結晶成長速度は重要ではない。
種結晶も種子の構造誘導剤を使用して形成することができる。種子の構造誘導剤を使用すると、結晶核生成反応を誘導するため、種子の構造誘導剤を2次成長のための構造誘導剤として使用することは好ましくない。
一方、本発明による薄膜または厚膜の製造方法は、基板の少なくとも1つの表面に、a軸、b軸およびc軸の1つ以上または全てが、一定の規則に従って配向するように、非球形シリカライト−1または複数のゼオライトベータの種結晶を整列させる第1工程、および、前述の本発明による結晶成長合成ゲルに前記整列した複数の種結晶を露出させ、2次成長法を用いて前記複数の種結晶から膜を形成および成長させる第2工程を含むことを特徴とする。
本発明における種結晶および形成された膜は、ゼオライトまたはゼオタイプ分子篩であってもよい。例えば、複数のシリカライト−1種結晶を使用した場合、それから形成された膜もMFI構造となりうる。
第1工程で使用できる「基板」は、多孔性または非多孔性支持体である。本発明に適した基板の好ましい例は、以下のとおりである。
1)ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、チタニウム(Ti)、フッ素(F)、スズ(Sn)およびインジウム(In)などの各種金属ならびに非金属元素が単独または2種以上含まれている酸化物であり、表面にヒドロキシル基を有する物質。例えば、石英、雲母、ガラス、ITOガラス(インジウムスズ酸化物が蒸着されたガラス)、スズ酸化物(SnO)、フッ素ドープスズ酸化物(F−doped tinoxide) などの各種導電性ガラス、シリカ、多孔性シリカ、アルミナ、多孔性アルミナ、二酸化チタン、多孔性二酸化チタン、およびシリコンウエハーなどがある。
2)非多孔性または多孔性の形態に加工されたシリコン(Si)、アルミニウム(Al)、チタニウム(Ti)、鉄(Fe)、スズ(Sn)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、ステンレス鋼などの単一の元素および複数の元素からなる非金属、金属、金属の合金
3)金、銀、銅、白金のようにチオール基(−SH)やアミン基(−NH)と結合する金属またはその合金。
4)表面に様々な官能基を有する高分子。例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)およびメリフィールドペプチド樹脂(Merrifield peptide resins)などがある。
5)セレン化亜鉛(ZnSe)、ガリウム砒素(GaAs)およびリン化インジウム(InP)などの半導体。
6)天然または合成ゼオライトおよび多孔性ゼオタイプ分子篩。
7)表面にヒドロキシル基を有しているか、またはヒドロキシル基を有するように処理が可能なセルロース、デンプン(アミロースおよびアミロペクチン)およびリグニンなどの天然高分子、合成高分子、または導電性高分子。
より好ましい基板は、様々な形態の多孔性または非多孔性金属、合金、金属および非金属元素が単独または2種以上含まれている酸化物であり、より好ましくは石英、雲母、ガラス、ITOガラス、スズ酸化物、フッ素ドープスズ酸化物などの各種導電性ガラス、シリカであり、最も好ましくはガラスである。
一方、本発明による薄膜または厚膜の製造方法において、第1工程は、後に2次成長の鋳型として使用される基板上に整列した複数の非球形種結晶が、結晶軸a軸、b軸およびc軸の1つ以上または全てが一定の規則に従って配向するように整列することを特徴とする。
例えば、基板上に整列した複数の種結晶は、複数の種結晶の全てのa軸が互いに平行であるか、複数の種結晶の全てのb軸が互いに平行であるか、複数の種結晶の全てのc軸が平行であるか、またはこれらの組み合わせに応じて配向したものであってもよい。
また、基板上に整列した複数の種結晶は、a軸、b軸、c軸が基板面に対して垂直に配向したものであってもよい。
一方、基板上にa軸、b軸およびc軸1つ以上または全てが、一定の規則に従って配向した複数の種結晶は、単一層を形成することが好ましい。
基板上に、複数の種結晶を置いた後、物理的圧力によって複数の種結晶のa軸、b軸、c軸配向を整列させることができる。
特許文献1には、基板上に複数のMFI型種結晶の全てのb軸を垂直方向に配向させる方法が開示されており、基板上に複数の結晶のa軸、b軸、および/またはc軸配向を調節することができる技術は特許文献2および特許文献3に記載されている。従って、基板上にa軸、b軸およびc軸配向のうち少なくとも1つまたは全てが整列した複数の種結晶は、特許文献1、特許文献2および特許文献3に記載された方法によって、あるいはこれを応用して準備することができる。
具体的には、第1工程で基板上にa軸、b軸およびc軸配向が全て整列した複数の種結晶は、以下のような工程によって準備することができる:
[第1工程]
複数の種結晶の位置および配向を固定することができる陰刻または陽核が表面に形成された基板を準備するA工程と、
前記基板上に複数の種結晶を置いた後、物理的圧力により種結晶の一部または全部を陰刻または陽核によって形成された孔隙に挿入するB工程を含む工程。
[第2工程]
複数の種結晶の位置および配向を固定することができる陰刻または陽核が表面に形成された鋳型基板を準備するA工程と、
前記鋳型基板上に複数の種結晶を置いた後、物理的圧力により種結晶の一部または全部を陰刻または陽核によって形成された孔隙に挿入して複数の種結晶を鋳型基板上に整列させるB工程、および、
複数の種結晶が整列している鋳型基板と被印刷体基板とを接触させて前記複数の種結晶を被印刷体基板上に転写させるC工程を含む工程。
前記工程において、前記孔隙の形状は前記種結晶の結晶軸配向を調節するために、孔隙内に挿入される種結晶の所定の部分の形状と対応するように形成されたものが好ましい。
前記工程における物理的圧力は、ラビングまたはプレッシングによって加えることができる。
一方、基板または鋳型基板と種結晶は、付加される物理的圧力によって水素結合、イオン結合、共有結合、配位結合、またはファンデルワールス結合を形成することができる。
基板または鋳型基板の表面に形成された陰刻または陽核は、基板自体に直接刻印されたり、フォトレジストによって形成されたり、犠牲層をコーティングした後、レーザーアブレーションによって形成されたり、インクジェット印刷法によって形成されうる。
フォトレジストやインクは、基板上に複数の種結晶を整列させた後除去してもよいが 、2次成長時にも継続して種結晶の支持体として存在することができる。第1工程で基板上に整列した複数の種結晶は、隣接する種結晶と接触または離隔していてもよいが、フォトレジストやインクが2次成長時にも種結晶の支持体としての役割を十分に果たすためには厚さが必要であるため、隣接する複数の種結晶は離間していることが好ましい。
第1工程以前に、基板と複数の種結晶とを結合させうるカップリング剤を基板表面上に使用することができる。本明細書における用語「カップリング剤」とは、基板と種結晶との間の結合を可能にする、末端に官能基を有する全ての化合物を意味する。好ましいカップリング剤ならびに、その作用機序および使用例は、特許文献1および特許文献4に開示されている。
非球形シリカライト−1または複数のゼオライトベータの種結晶は、規則的多孔性物質であり、結晶内にa軸、b軸および/またはc軸方向にチャンネルを有している(図1A、B、C)。
本発明は、第2工程で結晶核生成反応が結晶成長溶液中、または種結晶の表面において起こらない合成ゲルを使用して、第2工程において種結晶の表面から2次成長によって複数の種結晶が2次元的に互いに連結しながら、3次元的に垂直成長して膜を形成する。
このとき、シリカライト−1または複数のゼオライトベータの種結晶は規則的多孔性物質であり、結晶内にチャネルを形成しているので、前記種結晶のチャンネルがそれから形成された膜にまで拡張し得る。
例えば、隣接した複数の種結晶の結晶軸配向が同じブロック内で形成された膜は、基板面に平行な軸方向にチャンネルが連続的に連結されて拡張されたり、基板面に垂直または傾斜を成した軸方向にチャンネルが連続的に連結されて拡張されたり、もしくは2つの条件を全て満たすことができる。
本発明は、第2工程以前に、種結晶の表面に形成された無定形シリカ層を除去する工程をさらに含むことが好ましい。
ゲル組成の開発初期には、薄膜の厚みが増加するにつれて均一に配向したSL薄膜が、ランダムに配向した小さな複数の結晶によって汚染されているのが観察された(図21)。以後、基板上に種結晶を接着させるためにラビングおよびそれに続いて焼成する単一層結晶の整列(monolayer assembly)過程で、複数の種結晶の表面〜7nm(図22)の厚さで無定形のシリカ層で覆われ、最も外側の無定形のシリカ層が不純物吸着の主な要因であるこが分かった。最も外側の無定形のシリカ層は、焼成した複数のSL種結晶を0.2MのNHF溶液で6時間処理することによって効果的に除去される。新たに露出したb−配向面(図22)は、8μmの厚さに均一性を維持しながら、b−配向においてSL膜の成長のための実質的鋳型の表面に作用する。このような処理がなければ、b−配向の薄膜は厚さが増すにつれて、ランダムに配向した小さな結晶を含んでしまう。
本方法における膜形成および成長のための反応温度は、使用される種結晶成長溶液の組成もしくは作製しようとする物質によって50から250℃まで多様に変化し得る。その反応温度は、好ましくは80〜200℃であり、より好ましくは120〜180℃である。また、反応温度は常に固定されたものではなく、さまざまな段階に温度を変化させながら反応させることができる。
本方法における膜形成および成長のための反応時間は、0.5時間から20日まで、 様々に変化してもよい。反応時間は、好ましくは2時間〜15日、より好ましくは6時間〜2日、最も好ましくは10時間〜1日である。
本発明によって製造された膜は、分子分離膜、半導体産業における低誘電体物質、非線形光学物質、水分解装置用薄膜、太陽電池用薄膜、光学用部品、航空機用の内部または外部部品、化粧品容器、生活容器、鏡およびその他のゼオライトのナノ細孔の特性を利用する薄膜など多様に応用できるが、これに限定されるものではない。
本発明による合成ゲルを使用すると、シリカライト−1(SL)または複数のゼオライトベータ(BEA)種結晶の表面から2次成長のみを誘導し、結晶成長合成ゲル中、または種結晶の表面において結晶核生成反応を誘導できないようにすることができる。従って、本発明によって製造された薄膜または厚膜は、垂直方向にチャネルが連結されているので、2−NLO薄膜を製造することができ、オルト−およびパラキシレンの混合物を分離することができる膜(membrane)を製造することができる
(A)leaglet形、(B)coffin形SL結晶、(C)截頭された2つのピラミッド形のSi−BEA結晶および、これらのチャネルシステムの模式図、ならびに(D)a−配向、(E)b−配向および(F)a−配向単一層の模式図を示したものである。(G)〜(I)は、単一膜上の2次成長が均一に配向した膜を生成することを示したものである。 (A)ガラス板上に付着した複数のSL結晶のa−配向単一層のSEMイメージおよび(B)ガラス板上に付着した複数のSL結晶のb−配向単一層のSEMイメージと(C)ガラス板上に付着した複数のSi−BEA結晶のa−配向単一層のSEMイメージである。指示された条件の下に、単一層上に成長した均一配向の膜を示したもので、(D)、(G)および(J)は、SEM上部のイメージであり、(E)、(H)および(K)はSEM側面のイメージである。(F)、(I)および(L)は、X線回析パターンである。 TPAゲル内のb−SLm/gの2次成長によって得られたガラス板上のランダムに配向したSL膜と、t−TPAゲル内のb−SLm/gの2次成長によって得られた、ガラス板上のランダムに配向したSL膜上部のSEMイメージ(AおよびD)、側面SEMイメージ(B、E)とX線回析パターン(CおよびF)を示したものである。 (A)HC−n染料の構造、(B)HC−n染料のアルキル鎖の長さに対するSL膜の単一チャネル(Nc)nに含まれるHC−n染料の数のグラフを示したものである。(C)参照(厚さ3MmのYカット水晶)に比べHC−n染料のアルキル鎖の長さに対するHC−n含有SL膜(厚さで表示)の相対的な第2高調波の強度のグラフを示したものである。また、p−およびo−キシレンの透過度のグラフであり、2種類の(D)80℃、(E)150℃の作動温度での時間に対するSFを示したものである。 本発明で使用された複数の SL結晶のSEMイメージを示したものである。 (A)0.35×0.12×0.7mm、(B)1.0×0.5×1.4mm、(C)1.5×0.6×1.9mm3、および(D)2.8×1.1×4.8mMのサイズを有する複数のSL結晶のSEMイメージを示したものである。 14×14×19μmサイズの複数のSi−BEM結晶の2つの異なる倍率でのSEMイメージを示したものである。 165℃で(A)3時間、(B)6時間、(C)24時間、TPAゲル(TEOS:TPAOH:HO=4:1:600)内の2次成長によって、b−SLm/g膜から製造したガラス上のSL膜のSEMイメージ(上部と側面)を示したものである。 非特許文献1の方法により、成分の濃度を希釈するために、即ち、大部分の成分を消費するために150℃で2時間予熱されたTPAゲル内のb−SLm/gの2次成長によって製造されたSL膜の3時間(A〜C)および6時間(D〜F)後のSEMイメージを示したものである。 175℃で(A)3時間、(B)12時間、(C)24時間のt−TPAゲル内の2次成長によるb−SLm/gから製造したSL膜のSEMイメージ(上部と側面)を示したものである。 175℃で(A、B)3時間、(C、D)6時間、(E、F)12時間、および(G、H)24時間のTPAゲル内の2次成長によって、a−SLm/gから製造したSL膜のSEMイメージ(上部および側面)を示したものである 175℃で(A)3時間、(B)6時間、(C)12時間、および(D)24時間、t−TPAゲル内2次成長によってa−SLm/gから製造したSL膜のSEMイメージを示したものである。 (A)a−Si−BEA/g膜から、(B、C)175℃で3時間Si−BEA種子ゲル内の2次成長によって、(D、E)175℃で24時間TPAゲル内2次成長によって、および(F、G)100℃で24時間ゼオライトY(Ygel)の合成のためのゲル内の2次成長によって製造したSi−BEA薄膜のSEMイメージを示したものである。 (A)ランダムに配向したSi−BEA/g膜から、(B、C)165℃で4時間のゲル3内の2次成長によって製造されたSi−BEA膜のSEMイメージを示したものである。互いに異なる倍率により上部から観察したイメージおよび、(D)側面から観察したイメージである。 ゲル2、TPAゲル、およびt−TPAゲル内のb−SLm/g膜の2次成長のSf値を経時的に示したグラフである。 様々な反応温度のゲル2内における、様々な最初の厚さを有するSL種結晶b−SLm/gの、2次成長中の反応時間に応じた均一にb−配向したSL膜の厚さにを示したグラフである (A)leaflet形SL種結晶のSEMイメージ、および(B)ゲル2内の2次成長によってSL種結晶から成長したSL結晶を示したものであり、(C)は、leaflet形種結晶のXRD回折パターンおよびゲル2内の2次成長によって種結晶から成長したSL結晶のXRD回折パターン、(D)は、ゲル2内のleaflet形SL結晶の2次成長中のSL結晶の平均成長の長さに対する反応時間のグラフを示したものである。(E)は、2次成長後のSL種結晶の形態学的変化を示したものである。 (A)b−SLm/g膜のSEMイメージ、および(B)ゲル2のTMAOH誘導体におけるb−SLm/g膜の2次成長によって製造されるb−SLf/g膜に関するものである。反応は165℃で7時間行われた。(C)は、b−SLf/g膜のXRD回折パターンを示したものであり、(D)は、様々な反応温度での膜厚に対する反応時間を示すグラフである。 500℃で焼成した後、クラック形成の傾向を比較したものである。(A)は、ゲル2内の2次成長によってb−SLm/g膜から製造されるガラス板上に均一にb−配向したSL膜を示したものである。(B)は、TPAゲルにおける2次成長によって、b−SLm/g膜から製造されるガラス板上に均一に配向したSL膜を示したものである。(C)は、t−TPAゲル内の2次成長によってb−SLm/g膜から製造されるガラス板上に均一に配向したSL膜を示したものであり、これらを同一条件で同時に焼成した。焼成条件は、温度を5時間で500℃に上昇させながら、温度上昇速度100℃/時(1.67℃/分)、500℃で10時間焼成し、125℃/時の速度で冷却する条件である。 (A)ランダムに配向して焼成されたSL膜に蛍光体を処理した後のSEMイメージ、(B)LSCMイメージの2D、および(C)LSCMイメージの3Dであり、(D)均一にb−配向して焼成されたSL膜蛍光体で処理した後の一般的なSEMイメージ、(E)LSCMイメージの2D、および(F)LSCMイメージの3Dを示したものである。 (A) 焼成前のb−SLm/g膜のSEMイメージ(上)およびゲル2内の2次成長後のイメージ(中間)および膜に相応するX線回析パターン(下)を示したものであり、(B)焼成後のb−SLm/g膜のSEMイメージ(上)およびゲル2での2次成長後のイメージ(中間)および膜と同等のX線回析パターン(下)を示したものである。 (C)焼成後の0.2M NHF水溶液で洗浄したb−SLm/g膜のSEMイメージ(上部)およびゲル2内の2次成長後のイメージ(中間)および膜に相応するX線回析パターン(下)を示したものである。 ラビングによって、単一層に付着した複数のSL結晶を0.2MNHF溶液で6時間単一層を(A)洗浄する前の断面イメージ、および(B)洗浄後の断面イメージを示したものである。(C)集束イオンビーム(FIB、focused ion beam)カッターによって製造され、Wを接着剤として使用して銅TEM格子に搭載したSiウェーハ上に均一にb−配向したSL膜片を示したものである。SL膜を切断する前に1.2μmの厚さW層をSL薄膜上に積層した。選択領域の電子回折(SAED)パターンは、3つの点で得た。(D)Spot1におけるL膜結晶イメージと(E)その拡張イメージ、および(F)Spot1におけるSAEDパターン。(G)Spot2におけるSL膜の結晶イメージ、および(H)その拡張イメージ、および(I)Spot2におけるSAEDパターン。(J)Spot3におけるSL膜の結晶イメージ、および(K)その拡張イメージ、ならびに(L)Spot3のSAEDパターン。b−配向の均一性は高分解透過電子顕微鏡で膜の断面分析により立証された(図22C)。従って、結晶フリンジ(fringes)および膜の交差領域の選択領域電子回折パターンは、膜内の地点とは無関係に同一であり(図4D〜L)膜の深さに関係なくSL膜は完全にb−配向することを再確認した(図22C、Si層からW層)。Si層からW層の方向がb−軸方向であるとき、銅TEM格子の垂直方向はa−軸またはc−軸方向である。観察された結晶フリンジおよび選択領域の電子回折パターン(図18、F、I、およびL)は、銅TEM格子に対する垂直方向がc−軸方向のときと一致し、これは集中イオンビーム(FIB)によって切り分けられた特定の小さな部分のSL膜が、銅TEM格子に対してc−軸に配向したとき生じることを意味する。 (A)全長が18.051Åである1−ブロモドデカンをChem Drawで 描いた構造図、(B)SLチャンネル内に含まれる1−ブロモドデカン分子の模式図、(C)ガラス板上にb−配向した厚さ3−μmのSLの模式図である。膜の各領域に位置するBr対Siの原子比は、SEMでEDXを用いて測定した。 3種類の異なる含浸時間における膜の厚さに対するBr含有量(原子%)をグラフに示したものである。 HC−n(n=9、12、15、18、および22)の染料を含有する厚さ3μmのb−SLf/g/b−SLf膜のメーカーフリンジ(Maker fringe)を示したものである。メーカーフリンジは均一にb−配向したSL膜が厚さ1−mmのガラス膜の両面にコーティングされているので、表示される。 (A)厚さ1−mmの清浄なガラス板のデジタルカメラ画像を示したものであり、3種類の異なるゲル、(B)ゲル2、(C)t−TPAゲル1、および(D)TPAゲルにおけるb−SLm/g膜の2次成長によって製造されるSL膜の、膜3つの異なる種類でコーティングされた同じガラス膜を示したものである。 空気の透過スペクトル、清浄なガラス板の透過スペクトル、3つの異なるゲル、Gel−2、t−TPAゲル、およびTPAゲル内のb−SLm/g膜の2次成長によって製造される3種類の異なるタイプのSL−膜でコーティングされた3枚のガラス板の透過スペクトルを示したものである。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は単に本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の要旨により、本発明の範囲がこれらの実施例によって限定されないことは、当業界で通常の知識を有する者にとって自明であろう。
実験材料
水溶性テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAOH、25%、シグマアルドリッチ)、水溶性テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAOH、35%、アルファ)、水溶性テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAOH、1M、シグマアルドリッチ)、アンモニウムヘキサフルオロシリケート[(NHSiF、98%、シグマアルドリッチ]、テトラエチルオルトシリケート(TEOS、98%、アクロスオーガニック)、およびn−ヘキサン(HPLC単位、≧95%、アルドリッチ)、HF(48〜51%、A.C.S.試薬、J.T. Baker)は、購入して使用した。75×25×1mmサイズのスライドガラス板は、マリエンフィールドから購入した。ビス−N、N−(トリプロピルアンモニウムヘキサメチレン)ダイ−N、N−プロピルアンモニウムトリヒドロキシド(トリマーTPAOH)は、公知の方法によって合成した(非特許文献2)。
製造例1:leaflet形SL種結晶の製造
平均サイズ0.3×1.3×1.5μmのleaflet形SL結晶を文献(非特許文献2)に記載の方法により合成した。このため、TEOS:トリマーTPAOH、KOHおよび脱イオン蒸留水(DDW)で構成されたゲルを製造し、このときモル比は、TEOS:トリマーTPAOH:HO:KOH=4.0:0.5:950.0:0.8であった。その他の反応工程は、TPAOHゲルにおけるa−SLm/gの2次成長のための工程と同様である。高圧反応器の底に沈殿したSL粉末は遠心分離によって収集し、DDWで洗浄して母液を除去した。洗浄されたleaflet形SL結晶をオーブンに静置し、100℃で乾燥した。
製造例2:4つの異なるサイズを有する円形のcoffin形SL種結晶の製造
平均サイズ0.35×0.12×0.7μmの円形のcoffin形SLの結晶は、TEOS:TPAOH:HO=6:3:330(モル比)の組成を有するゲルで合成した。平均サイズ1.0×0.5×1.4μmのSL結晶はTTEOS:TPAOH: HO =6:1.28:620(モル比)の組成を有するゲルで合成した。1.5×0.6×1.9μmの平均サイズのSL結晶は、TEOS:TPAOH:HO=6:0.9:620(モル比)の組成を有するゲルで合成した。前記合成ゲルは、TPAOHおよびHOを含む溶液にTEOSを導入して製造した。室温で24時間撹拌した後、混合物は透明ゲルに転換した。透明ゲルをろ紙(Whatman(R) No. 5)でろ過し、テフロン(登録商標)内張り(ライニング)高圧反応器に充填した。磁気攪拌機で激しく攪拌して水熱反応を150℃で12時間行った。
平均サイズ2.8×1.1×4.8μmの円形coffin形態のSL結晶は、TEOS:TPAOH:TEAOH:エチレングリコール(EG):HO=6:0.9:0.6:24:600(モル比)の組成を有するゲルで合成した。ゲルは、31.8gのTEOSをTPAOH(22.5mL)、HO(247mL)、およびエチレングリコール(37.2g)を含む溶液に入れて製造した。室温で24時間混合物を攪拌し、TEAOH(6.17mL)を混合物に添加した。透明ゲルを室温で12時間熟成させた。得られた透明ゲルをろ紙(Whatman(R) No.5)でろ過し、磁気攪拌機を備えたテフロン(登録商標)内張り(ライニング)高圧反応器に充填した。水熱反応は490rpmの回転速度で撹拌し、150℃で12時間行った。
得られた結晶を大量の脱イオン蒸留水で洗浄して母液を除去した。その後、結晶を25%TMAOH溶液に再分散して6時間振盪し、結晶に付着した非晶質ナノ粒子を除去した。TMAOH処理した結晶を上部溶液が中性になるまで脱イオン蒸留水で洗浄した。洗浄した結晶は、一晩オーブンに静置し、100℃で乾燥した。
製造例3:純粋シリカベータゼオライト(Si−BEA)種結晶の製造
Si−BEAゼオライトは、文献(非特許文献3)に記載された方法で合成した。ヒュームドシリカ:TEAOH:(NHSiF:KOH:脱イオン蒸留水( HO )=4.00:1.92:0.36:0.40:31.20(モル比)の組成を有するゲル合成した。
(I)フュームドシリカ/TEAOH溶液(溶液I)の製造:TEAOH(35%、12.62g)、脱イオン蒸留水(0.91g)およびKOH(96%、0.06g)をプラスチックビーカーに順次添加し、磁気撹拌機で連続的に攪拌した。フュームドシリカ (SiO、6.01g)が全て溶解するまで連続攪拌しながら、フュームドシリカを30分以内で徐々に添加した。混合物が透明な黄色および粘性溶液になるまで10分以上攪拌した。
(II)TEAOH/(NHSiF溶液(溶液II)の製造:TEAOH(35%、7.57g)、(NHSiF(1.64g)をプラスチックビーカーに入れ、均質なゲルになるまで攪拌した。
激しく攪拌しながら、溶液IIを溶液Iに移した。混合物が個体化するまでさらに1時間攪拌した。個体化された混合物を静的な条件で24時間熟成させた。熟成後、淡黄色の乾燥粉末になるまで固体のゲルをフードミキサーで粉砕した。次いで、テフロン(登録商標)内張り(ライニング)高圧反応器に移して充填し、165℃で水熱反応を行った。反応7日後に、高圧反応器をオーブンから取り出し、水道の流水で室温に急速冷却した。得られた結晶は、大量の脱イオン蒸留水で完全に洗浄し、一晩オーブンにて100℃で乾燥した。
実施例1:
1−1.a−配向された単一層にシリカライト−1結晶がコーティングされたガラス板の製造(a−SLm/gプレート)
スライドガラスを45分間ピラニア(Piranha)溶液に静置して洗浄し、過剰量の脱イオン蒸留水で洗浄した。洗浄したガラス板に窒素を吹き入れ乾燥した。清浄なガラス板に2,500rpmの回転速度で15秒間PDMS溶液(0.1%ヘキサン)でスピンコーティングして、PDMS(ポリジメチルシラン)の薄層をコーティングした。80℃で1時間PDMS層を硬化させ、30秒間Oプラズマエッチングを行い表面が親水性になるようにした。親水性PDMSコーティングされたガラス基板をエタノール内PEI(0.1%PEI)溶液に2,500rpmの速度で15秒間スピンコーティングした。
PEIコーティングされたガラス板上にleaflet形SL−結晶を平らなPDMSモールドを用いてラビング処理した。複数のleaflet形SL結晶からなる単一層でコーティングされたガラス板(a−SLm/gと称する)を500℃で10時間 焼成した。1.2℃/分の速度で室温にて500℃に温度を上昇させて焼成した後、溶鉱炉の温度は再び1.2℃/分の同一速度で室温まで下げた。焼成後、磁気撹拌するNHF溶液(0.2M)に前記ガラス板を静置して付着した複数の種結晶を4時間洗浄した。NHF溶液処理後、a−SLm/g単一層を過剰量の脱イオン蒸留水で洗浄し、窒素で乾燥した。
1−2.ゲル1におけるa−SLm/g膜の2次成長
フュームドシリカ:TEAOH:(NHSiF:KOH: HO=4.00:1.92:0.36:0.40:n1(ここでn1=30〜80)(モル比)で構成されたゲル1を下記の方法で製造した(典型的方法)。
(I)フュームドシリカ/ TEAOH溶液(溶液I)の製造:TEAOH(35%、12.62g)、脱イオン蒸留水(0.91g)およびKOH(95%、0.06g)をプラスチックビーカーに順次添加し、磁気攪拌機で連続的に攪拌した、30分間、連続的な撹拌しながら、SiOが全て溶解するまで前記溶液にフュームドシリカ(SiO、6.01g)を徐々に添加した。前記混合物が透明な黄色および粘性を示すまで、さらに2分間攪拌した。
(II)TEAOH/(NHSiF溶液(溶液II)の製造:TEAOH(35%、7.57g)、(NHSiF(1.64g)をプラスチックビーカーに投入し、均質になるまで攪拌した。
激しく攪拌しながら、溶液IIを溶液Iに移した。混合物が個体化するまで1時間以上攪拌した。個体化された混合物を12時間、静止状態で熟成した。熟成後、固体ゲルは淡黄色の乾燥粉末になるまでフードミキサーで攪拌した。次いで、テフロン(登録商標)内張り(ライニング)高圧反応器に移した。a−SLm/g プレートを固体ゲル中に垂直に置いた。a−SLm/g プレートと固体ゲルとの間の適切な接着を誘導するために、高圧反応器のベンチトップ(bench top)を徐々に加熱して密封した。密封された高圧反応器を150℃に予熱したオーブンに静置した。所定時間が経過した後、高圧反応器をオーブンから取り出し、水道の流水で室温に急速冷却した。ガラス板上に完璧にa−配向した薄膜(a−SLf/gと称する)を高圧反応器から取り出し、脱イオン蒸留水で表面をきれいに洗浄して、窒素で乾燥した。
2日にわたり膜の成長を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところによると、図2Dおよび図2Eに示すように、実施例1に従ってガラス板上のSL leaflet単一層(a−SLm/g)からの2次成長が150℃でゲル1において行われるとき、ゲル1は、乾燥粉末であるにもかかわらず、a−配向の種子単一層で 時間が徐々に増すにつれて、ほぼ完璧にa−配向した連続的な膜が着実に成長した。薄膜のX線回折パターン(図2F)は、(200)、(400)、(600)、(800)、および(1000)面からの回折のピークを示す。小さい(501)面の回折値は、単一層で複数のleaflet SL結晶が少し傾いたことを意味する。
実施例2:
2−1.b−配向された単一層にシリカライト−1結晶がコーティングされたガラス板の製造(b−SLm/g膜)
何らかの高分子糊を用いてガラス板をコーティングせず、指でガラス板上に複数の種結晶を直接擦り付け、清浄なスライドガラス板上に円形の複数のcoffin形SL結晶からなる単一層を整列させた(b−SLm/gと称する)。2−NLO膜を製造するための主材料で、完璧にb−配向したSLの連続薄膜でコーティングされたガラス板を使用する場合、ガラス板の両面に単一層のコーティングを行った(b−SLm/g/b−SLmと称する)。それ以外の場合には、ガラス板の一方の面にのみに単一層のコーティングを行った。b−SLm/gおよびb−SLm/g/b−SLm膜を550℃の溶鉱炉で10時間焼成した。1.2℃/分の速度で室温から550℃に温度を上昇させて焼成した後、溶鉱炉の温度を再び1.2℃/分の同じ速度で室温まで下げた。
2−2.ゲル2におけるb−SLm/g膜の2次成長
TEOS:TEAOH:(NHSiF:HO=4.00:1.92:0.36:n(n=40−80)(モル比)で構成されたゲル2を下記のように調製した(典型的方法)。
(I)TEOS/ TEAOH溶液(溶液I)の製造:TEAOH(35%、20.2g)および脱イオン水(22.2g)を、順次31.8gのTEOS(98%)を含むプラスチックビーカーに添加した。前記溶液の入ったビーカーをプラスチックラップでしっかり覆い、溶液が透明になるまで約30分間磁気攪拌した。
(II)TEAOH/(NHSiF溶液の製造(溶液II):TEAOH(35%、10.1g)、(NHSiF(2.45g)、および脱イオン水(11.1g)をプラスチックビーカーに入れ、(NHSiFが溶解するまで攪拌した。
激しく攪拌しながら、溶液IIを溶液Iに迅速に注いだ。混合物は即時個体化した。個体化された混合物をプラスチック棒でさらに2分間に攪拌し、6時間静止状態で熟成させた。熟成後、半固体ゲルをフードミキサーで攪拌してテフロン(登録商標)内張り(ライニング)高圧反応器に移した。b−SLm/gプレートを半固体ゲル中に垂直に静置した。密封した高圧反応器を所定の温度で予熱したオーブンに垂直に静置した。所定時間経過後、高圧反応器をオーブンから取り出し、水道の流水で室温に急速冷却した。ガラス板上に完璧にb−配向したSL−膜(b−SLf/gと称する)を高圧反応器から取り出し、脱イオン蒸留水で洗浄して表面をきれいにした。1分間脱イオン蒸留水が満たされた水槽で、超音波によって幕をきれいにした後、脱イオン蒸留水で洗浄し、窒素気流下で乾燥した。得られたb−SLf/g プレートを酸素の流れる中で550℃で焼成し、チャンネルからTEA+イオンを除去した。1℃/分の速度で室温から550℃に温度を上昇させ、焼成後の溶鉱炉の温度は再び1℃/分の速度で減少した。焼成された膜は6時間0.2MNHF溶液で洗浄し、次いで過剰量の水で洗浄して膜の表面から無定型シリカ層または粒子を除去して、大気中にチャンネル孔(openings)を露出させた。
実施例2により、coffin−型SL単一層(b−SLm/g)の2次成長を165℃で半固体ゲル2において行う際、膜の成長を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて7日間観察した(図2Gおよび図2H)。図2Gおよび図2Hに示すように、完璧にb−配向した連続膜がb−配向種子の単一層上に時間の経過とともに着実に成長した。薄膜のX線回折パターン(図2I)は、(020)、(040)、(060)、(080)、および(0100)面からの回折ピークを示す。後者の4つの回折ピークのスプリッテイング(splitting)は、X線源(Cu KαおよびKα2)の2つの異なる波長の存在によって起こる。
実施例3:
3−1: a−配向された単一層でSi−BEA結晶がコーティングされたガラス板の製造(a−Si−BEAm/g)
清浄なスライドガラスをエタノール内のPEI溶液(0.3%PEI)で2,500rpmの速度で15秒間スピンコーティングした。ラテックス手袋をはめ、截頭された2つのピラミッド形(truncated bipyramid shape)の複数のSi−BEA結晶をPEIコーティングされたスライドガラス上に擦り付け、複数のSi−BEA結晶者からなる単一層を製造した。Si−BEA結晶の単一層でコーティングされたガラス板(a−Si−BEAm/gで表す)を550℃の溶鉱炉で24時間焼成した。1.2℃/分の速度で室温から550℃に温度を上昇させて焼成した後、溶鉱炉の温度を再び1.2℃/分の同一速度で室温まで下げた。
3−2.ゲル3におけるa−Si−BEAm/g膜の2次成長
ガラスプレート上にa−配向した連続的なSi−BEA膜(a−Si−BEAf/gと称する)は、ゲル3(TEOS:TEAOH:HF:HO=4.00:2.20:2.20:n、ここでn=30〜40)で製造した。ゲルは、次のように製造した。
TEAOH(35%、23.41g)およびTEOS(98%、21.2g)をプラスチックビーカーに入れた。前記溶液の入ったビーカーをプラスチックラップでしっかりと覆い、溶液が透明になるまで約30分間磁気攪拌した。激しく撹拌しながら、HF(50%、2.20g)を前記透明溶液に一滴ずつ添加した。混合物は即時個体化した。個体化された混合物をプラスチック棒で2分間攪拌し、静止状態で5時間熟成した。熟成後、半固体ゲルをフードミキサーで攪拌し、テフロン(登録商標)内張り(ライニング)高圧反応器に移した。a−Si−BEAm/g膜を半固体ゲル中に垂直に静置した。密封された高圧反応器を150℃に予熱されたオーブンに静置した。反応時間4日後に、高圧反応器をオーブンから取り出し、水道水の流水で室温に急速冷却した。a−Si−BEAf/g膜を高圧反応器から取り出し、脱イオン蒸留水で洗浄して表面をきれいにし、窒素で乾燥した。
実施例3により、Si−BEA単一層(a−Si−BEAm/g)上の2次成長が150℃で半固体ゲル3において行う際、薄膜の成長を走査電子顕微鏡(SEM)で4日間観察した(図2Jおよび図2K)。図2Jおよび図2Kに示すように、ほぼ完璧にa−配向した連続膜がa−配向種子単一層上に時間の経過とともに着実に成長した。薄膜のX線回折パターン(図2L)は、(101)および(116)面からの回折ピークを示したが、(h00)面では示されなかった。Si−BEA結晶が基板表面に対して4つの台形面の一つと平行に基板上に置かれているので、これらのパターンは一貫して表れる。
比較例1:TPAゲルにおけるb−SLm/gの2次成長
TPAゲルにおけるb−SLm/gの2次成長のために、TEOS:TPAOH:脱イオン蒸留水(HO)=4:1:600(モル比)で構成されたゲルを準備した。TEOS(10.6g)をTPAOH(8.4ml)および脱イオン水(84g)を含む溶液に添加した。この混合物を室温で12時間攪拌した。得られた透明ゲルを、数個のb−SLm/gプレートを有するテフロン(登録商標)支持体を具備したテフロン(登録商標)内張り(ライニング)高圧反応器に注いだ。b−SLm/gプレートを〜30°に傾け、SL単一層面を下に傾けた。165℃で所定時間予熱されたオーブンにおいて静止状態で2次成長を行った。反応後、高圧反応器をオーブンから取り出し、水道水の流水で高圧反応器を急速冷却して反応を停止させた。ランダムに配向したシリカライト−1結晶でコーティングされたガラス板を、高圧反応器から取り出し、過剰量の脱イオン蒸留水で洗浄した。高圧反応器の底に沈殿したSL粉末は、遠心分離器で収集し、新しい脱イオン蒸留水で数回洗浄した。洗浄されたSL結晶をオーブンに静置し、100℃で乾燥し、乾燥したシリカライト−1粉末の重量を測定した。
<考察>
比較例1により、TPAゲルを使用して種結晶の形成を導く条件下において、b−SLm/gプレート上で2次成長を行った。Si−BEA種子ゲルの組成は、ゲル1の組成中の一定の成分が同じである。これらの種結晶を形成するための主な違いは、水の含有量がより正確に固定され、温度が165℃とより高いという点である。
TPAゲルにおいてb−SLm/gプレートの2次成長を行う場合、複数のb−配向した種結晶(1.0×0.5×1.4μm)は、165℃で3時間経過した後も、より大きく成長し、連続薄膜を形成した(図8)。しかし、同時にa−配向したSL結晶もまたb−配向連続薄膜上に成長し始め、新たに形成された複数のb−配向SL結晶もb−配向薄膜上に付着した。結果的には、表面は非常に粗くなった。24時間後、薄膜は(〜10μm)と、さらに厚くなるか、またはSLの配向は、上部と側面SEMイメージ(図3Aおよび図3B)に示すように、非常にランダムに配向した。薄膜のX線回折パターン(図3C)は、他の配向に相当するピークを示している。
ランダム配向度は、TPAゲルにおいて時間の経過とともに増加する。これらの現象は避けることができないので、成分が高度に枯渇したTPAOHゲル、または非常に低いTPAOH濃度で短期間(3時間)の2次成長を行い、ランダム配向の減少を試みた。しかし、これらの方法によって製造された薄膜を精密に分析した結果、ランダムに配向した複数の混合結晶が、すでに3時間で形成され始めたことが明らかになった。また、複数の結晶間の間隔は完璧に埋めることができないということが見出された。さらに長時間の経過後、配向のランダム化はさらに顕著になった(図9)。
比較例2:t−TPAゲルにおけるb−SLm/gの2次成長
t−TPAゲルにおけるb−SLm/gの2次成長は、文献に記載された方法によって行われた(非特許文献2)。このため、TEOS:トリマーTPAOH:脱イオン蒸留水(HO):KOH=4.0:0.5:950.0:0.8(モル比)で構成されたゲルを準備した。残りの製造過程は、TPAゲルにおけるb−SLm/gの2次成長の製造過程と同じである。遠心分離によって高圧反応器の底に沈殿したSL粉末を収集し、過剰量の脱イオン蒸留水で洗浄して母液を除去した。洗浄されたシリカライト−1結晶をオーブンに静置し、100℃で乾燥した。乾燥したシリカライト−1粉末の重量を測定した。
<考察>
比較例2により、t−TPAゲルを使用して種結晶の形成を導く条件下において、b−SLm/g基板上で2次成長を行った。175℃のt−TPAゲルで、ほとんどの結晶は3時間が経過した後も、非常によく相互連結され、上部および断面SEM観察(図10)に示すように、非常に滑らかな連続薄膜を形成した。この期間、薄膜の厚さは200nmに増加した。24時間後に、薄膜の表面は依然として滑らかさが残っており、上部(図3D)および側面(図3E)のSEMイメージに示すように、TPAゲルの場合とは異なり、24時間が経過しても膜の表面は、依然とて滑らかさが残っていた。しかし、SL薄膜のX線回折パターン(図3F)は、aおよびb配向が同時に共存することを示した。具体的には、種子膜が完璧にb−配向したにもかかわらず、a:b配向比は7:3であった。これはバルク相で生成された複数のleaf−型SL結晶が2次成長中にb−配向種子膜に容易に付着することを示している。
比較例3
a−SLm/g基板の場合、ゲル1の代わりにTPAゲルまたはt−TPAゲルを使用すると、175℃で3時間後にランダムに配向したSL薄膜を生成する(図11および12)。a−Si−BEAm/g基板の場合、Si−BEA種子ゲルの使用(Si−BEA種結晶を生成するために使用されるゲル)は、ランダムに配向した膜の形成を誘導する(図13)。a−Si−BEAm/g基板の2次成長のためにゲル3を使用したとしても、ランダムに配向した単一層Si−BEA結晶を単一層に使用した場合、Si−BEA薄膜は結果的にランダムに配向するようになる(図14)。TPAゲルの使用は、表面上にSL結晶の付着をもたらし、ゼオライトY製造用のゲルのような非常に基本的なゲルの使用は、種子Si−BEA結晶を分解する(図13)。
<考察>
TPAおよびt−TPAゲルの使用に関する一般的な現象は、2次成長中の膜の成長過程とは無関係に、大量のSL結晶が自己結晶化(self−crystallization)によって形成される。薄膜形成のためのゲルの選択も(パーセントのS)を次のように定義する。
[式1]
(%)=△W/(△W+ W)x100(1)
ここで△Wは種子層に添加されるSL膜の重量を示し、Wはバルク相(bulk)で生成された遊離したSL粉末の重量を示す。TPAゲルの場合には、S の値は、3時間後および24時間後にそれぞれ3.11%と3.23%である。このとき、△W値とW値は、それぞれ4.4mgおよび137.2mg、14.6mgおよび436.7mgである。t−TPAゲルの場合、Sの値はそれぞれ3時間と24時間後に3.16%と0.34%である。このとき、△W値とWの値は、それぞれ0.5mgおよび14.4mgであり、0.5mgおよび307.7mgである。したがって、典型的に使用されるゲルの場合に、成分の96%以上は、バルクで自己結晶化によってSL結晶生成のために消費された。
対照的に、ゲル1、ゲル2、およびゲル3は7日目まで調査されたバルク相でので反応期間に、新たなSLまたはSi−BEA結晶は形成されなかった。つまり、Sの値は、3種類のゲルにおて100%である。代表的な例として、ゲル2、TPAゲル、およびt−TPAゲルにおけるb−SLm/gの2次成長に関連し、反応時間のS値のグラフは図15に示した。
ゲル2におけるb−SLm/gの2次成長の場合、実験誤差の範囲内で(図16)、種結晶層の厚さと反応時間が与えられた場合に、2次成長の厚さは時間に対して直線的に増加した。これらの1次動態学的挙動は、ゲルからの自己結晶化が存在せず、一定のSL表面の面積、SL表面の同じ配向、およびゲル内の成分に対して同じ配向でSL表面の同じ反応性と一致する。これらの現象は、さらに適当な厚さの種結晶層、反応時間、および反応温度を選択することにより、均一に配向したSL薄膜の好ましい厚さを精密に調節することを可能とする。
したがって、たとえTEA+イオンのみではゲル内のSL結晶の自己核形成 (self−nucleation)を開始するための構造誘導剤として作用し得ないとしても、F−供給源と結合すると、SL種結晶の2次成長が徐々に発生可能となる。ゲル2上に分散したSL種結晶の2次成長を追跡した一実施例によれば、a、b、およびc方向に沿った相対的な成長速度はa:b:c=1:3:15であった(図17)。したがって、c方向に沿った2次成長速度は、ゲル2において、他の2つの方向と比較するとはるかに速い。
前記の結果により、ゲル中の自己結晶化、それに伴う薄膜上の自己形成結晶の拡散、およびこれらの様々な配向に沿った相次ぐ接着は、TPAおよびt−TPAゲルにおいてランダムに配向したSL薄膜成長の主要な原因であることがわかる。言い換えれば、自己結晶を抑制しながら2次成長を維持することは、薄膜成長における配向調節を成すための主要素である。ゲル1、ゲル2、ゲル3でTEAOHの代わりにテトラアンモニウムヒドロキシドおよびテトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシドの使用は、同じ結果をもたらす(図18)。また、2次成長後に残ったゲルは、少なくとも3回、さらに新しいa−SL/g、b−SL/g、およびa−Si−BEA/gの基板を浸漬するために使用することができる。
ランダムに配向した多結晶SL薄膜(図3、AおよびD)は、前述のSL薄膜複合温度依存異方性熱膨張係数により、500℃(1時間当たり100℃ずつ温度上昇)で焼成することによって、徐々にクラック(crack)が形成される(図19)。近年、Tsapatsis et al.は、非常に急速に(1分間)700℃に加熱し、次いで短い(30秒)休息期間および非常に急速な(1分間)室温への冷却という一連の過程は、焼成によるクラック形成の効果的な抑制をもたらし、ランダムに配向した結晶間を強力に結合することを報告している。
一方、均一に配向したSLおよびSi−BEA薄膜(図2、D、G、J)では、格子は依然として他の2つの軸(aおよびc)に沿ってランダムに配向するにもかかわらず、550℃で24時間焼成中または24時間焼成後に、クラックは形成されていない。したがって、高速熱アニーリングはクラックの形成を防止するために不可欠ではない。b−配向SL膜の場合、クラックの形成に関連するこのような安定性が、表面のSEM分析によって確認されるだけでなく、多孔性シリカ上に支持された1、3、5−トリイソプロピルベンゼンが焼成されたb−配向薄膜を通じて拡散されないという観察結果によって確認された。レーザー走査型共焦点顕微鏡もまた、焼成中にクラックの形成が起こらないことを示している(図20)。
実験例1:b−SLf/g/b−SLfプレート内への1−ブロモドデカンの注入および含有量の分析
真空において純粋な1−Br−C12にb−SLf/g/b−SLfプレートを浸漬することによって、b−SLf/g/b−SLfプレートに1−ブロモドデカン(1−Br−C12)を注入した。焼成およびNHF(18×25×1mm)で洗浄した4つのb−SLf/g/b−SLfプレートを300℃で24時間真空状態に置き、膜を脱水した。脱水したb−SLf/g/b−SLfプレートを乾燥Arで充填されたグローブボックスの中にあるシュレンク(シュレンク)フラスコに移した。1−Br−C12(5ml)を乾燥b−SLf/g/b−SLfプレートを含むシュレンクフラスコに添加して、外部の真空システム(グローブボックスの外側)に連結された真空ラインにシュレンクチューブのサイドアーム(side arm)を連結させ、迅速に真空状態を付与することによってシュレンクフラスコの中にあるArガスを除去した。真空ラインを分離した後、しっかりと蓋を閉めたシュレンクチューブを50℃に維持されるアルミブロックに挿入した。3日、5日および7日後に、b−SLf/g/b−SLfプレートのうち1つは3日および5日後に、2つは7日後にシュレンクチューブから除去し、プレート上にn−ヘキサン15mlを流しb−SLf/g/b−SLfプレートから表面コーティング1−Br−C12分子を洗浄した。
膜の深さにより、SLチャンネル内の1−Br−C12の相対的濃度プロファイルを、BrおよびSiのエネルギー分散型X線分光器(EDX)分析によって1−Br−C12含有b−SLf/g/b−SLfプレートから得た。7日後に得られた2つの1−Br−C12含有b−SLf/g/b−SLfプレートから、1−Br−C12を次のように抽出した。3mLのHF溶液(3M)を入れたプラスチックビーカーに7日後のプレートを導入した。穏やか5分間攪拌した後、ガラス板を溶液から取り出し、プラスチックビーカーで1mlのHF溶液(3M)でさらに洗浄した。氷浴中にプラスチックビーカーを静置して、収集されたHF溶液を〜0℃に冷却した。NaOH水溶液(3M、4mL)を冷たいHF溶液に一滴ずつ添加した。水溶性混合物を室温に上昇させた後、n−ヘキサン8mLを水溶性混合物に添加した。混合物を1分間振盪して分別漏斗に移した。10分間立てかけて置いた後、上部有機層を25mLメスフラスコに移した。下部水層は分別漏斗に再び移し、新鮮な8mLn−ヘキサンを漏斗にさらに加えた。振盪、静置、および分離のサイクル後に、n−ヘキサン層を最初のサイクルの抽出物〜8mlが予め入っている25mLのメスフラスコに移した。抽出過程は、8mLn−ヘキサンを使用してもう一度繰り返した。25mLのメスフラスコに新たなn−ヘキサンを、n−ヘキサン溶液の全体溶積が25mLになるまで添加した。HP−INNO Waxカラムを装備したFID−GCに5μlの溶液を投入した後、クロマトグラムの面積から1−Br−C12の濃度を分析した。濃度分析のための検定用カラムは独自に作製した。
また、本実験の分析工程の正確度を測定するために、既知量の1−Br−C12を使用して、次のような模擬実験を行った。プラスチックビーカーに、新たに焼成された5mgのSL粉末および同一サイズ(18×25×1mm)の2枚のスライドガラスを導入した。プラスチックビーカーに3mLのHF溶液(3M)をさらに加えた。シリカライト−1粉末が完全に溶解するまで穏やかに振盪した後、ガラス板を溶液から取り出し、1 mLのHF溶液(3M)で洗浄した。氷浴にプラスチックビーカーを静置してHF溶液を〜0℃に冷却した。HF溶液に4mLのNaOH水溶液(3M)をさらに加えて溶液を中和した。ウォーミングアップ(warming−up)した後、1−ブロモドデカン(200mM)のn−ヘキサン溶液5mLを中和溶液に添加した。残りの抽出および分析工程は同じであった。得られた回収物は、99.3%であった。
SLチャンネル内に導入された1−Br−C12の量を測定するための主要な要素は次のとおりである。
膜の種類:b−SLf/g/b−SLf
各面における膜の厚さ=3μm
一面におけるの膜の面積=17×25.8mM(スライドガラス)
一面におけるチャネルの数=3.25×1014チャンネル
二面におけるチャネルの数=3.25×1014×2チャンネル
1−ブロモドデカン分子の総数=9.4322×1017
Exp. Nc=1448.063
収集された全Nc=1448.063×(抽出要素:100/99.25)=1,459
分子の長さ=18.051Å
全長=2.634μm
占有量=87.8%
<実験結果>
SL薄膜の実用化のための重要な要素は、薄膜の上から下まで開いている垂直チャンネルのパーセンテージである。例えば、b−配向SL薄膜(図2D)を用いて、1−ブロモドデカンで飽和した後(図23)、薄膜に含まれている1−ブロモドデカン分子の数を計算してこれらの性質を計算した。b−配向SL薄膜は、薄膜から無定形層を除去するために0.2M NHF溶液で洗浄し、脱水素化した後、ニート (neat)な1−ブロモドデカンに浸漬した。浸漬後、チャンバー内の空気を、室温にて短時間で除去した。減圧下で浸漬過程3日、5日および7日後に、薄膜を1−ブロモドデカンから削除してn−ヘキサンで洗浄した。
エネルギー分散型X線光度計によって測定されたデプスプロファイル(depth profile)は、浸漬時間および浸漬深さの増加とともに、Br含有量(原子%)が増加することを示す(図24)。表面の下の部分からのBr含有量の漸次的減少は、SLチャンネルが1−ブロモドデカンよりn−ヘキサンにより高い接着性を有しているため 、ヘキサン表面の洗浄工程によって誘発される。しかし、重要な点は、膜の下の部分の1−ブロモドデカンのパーセンテージである。前記の結果は、1−ブロモドデカンの1459分子は、単一の3μmの長さのSLチャンネルに含まれている計算(ガスクロマトグラフィーのデータから)によってさらに確認され、理論上の最大値87.8%と一致する(各チャネル当り1662分子)。
実験例2:b−SLf/g/b−SLfプレート内へのヘミシニアン染料(HC−n)の注入および注入量の分析
アルキル鎖長(HC−n)の異なるヘミシニアン染料の合成、およびガラス板上のSL膜内への注入は、本発明者らの以前の報告書にも記述されている(非特許文献4)。このため、NHFで洗浄されたb−SLf/g/b−SLfプレートはそれぞれ12×25×1mmの大きさで6つに分けられた。ガラスによって支持された小さなb−SLf/g/b−SLfプレートは、酸素の流れる中で385℃で15時間焼成し、焼成後すぐに使用された。
異なるHC−n(n=6、9、12、15、18、22)をメタノール溶液を入れたバイアルに、それぞれb−SLf/g/b−SLfプレート3片を入れた。蓋を閉じてバイアルを室温で1週間保管した。各溶液から膜を除去し、清浄なメタノールで洗浄し、窒素で乾燥した。それぞれのチャンネル内に注入されたHC−nの分子数(Nc)の分析および第2次高調波(SH)強度の測定は、以前の文献(非特許文献4)に記載された方法によって行った。
<実験結果>
本発明により、均一配向した薄膜の用途を開発するために、まず、様々な厚さ(0.13、2.40、2.60および3.00μm)で均一にb−配向したSL薄膜の様々な鎖長(図4A)のヘミシニアン染料を浸透させ、2−NLO活性を測定した。以前の報告結果と比較するために、ガラス板上に直接成長したb−配向SL膜(厚さ400nmに測定される、1次的成長膜)にHC−n染料を注入した。
HC−nにおける鎖長nに対する単一SLチャンネル[(Nc)n]に注入されたHC−n分子値のプロファイルは、各SL膜に対して図4Bに示した。均一なb−配向薄膜の場合、膜厚が増加するに従い、(Nc)nは増加する。さらに、(Nc)nは鎖長nが、n=15になるまで漸次に増加する。しかし、1次成長膜の場合、(Nc)nはnが増加するにつれて、次第に減少する。これらの結果は、均一にb−配向したSL膜1次成長薄膜よりもさらに疎水性であることを意味する。HC−15から130nmの厚さSL薄膜の(Nc)n=16の値は、厚さ400nmの1次成長膜で観測された〜6の値と比較した場合、非常に大きい。t−TPAゲルを使用して準備したSL薄膜は、さらに10倍厚い(1.3μm)という事実にもかかわらず、t−TPAゲルを用いて準備したSL膜で測定した(Nc)nの値は、常に130nmの厚さで均一にb−配向したSL薄膜に対して測定した値よりも小さい。
厚さ3mmのSL薄膜に対するSL薄膜(p−極性化された1064−nm基本レーザー光線から発生されたp極性化I2ω)の放射によって誘導される相対的な第2高調波の強度(相対I2ω)、Y−カット水晶版をメーカーフリンジ(Maker fringe)法によって得(図25)、これらは、それぞれの厚さにおいてnに対して直線化される(図4C)。前記曲線は、参考物質として使用される数千倍の厚さ(3mm)の石英よりも偶数の2.4μm〜3.0μmの厚さのHC−n−含有SL薄膜(n=I、15、18、および22)がより高い2次NLO活性を有する。最も高い相対−I2ω値(174.5%)は、HC−15を含む厚さ3.0μmのSL薄膜から得られる(表2)。
表2は、両面においてHC−n−含有が均一にb−配向したSL膜でコーティングされたガラスの性能を表す。SL膜の厚さはnmである。Ncは各チャンネルにおけるHC−n染料の数であり、I2ωは3mmのYカット水晶の値に対するHC−n−含有SL膜の相対的な第2高調波の強度であり、d33は、分極性テンソルの要素(Polarizability tensor componet)である。
前記数値は、さらに、HC−15含有1次成長SL薄膜(8%)を使用して、以前観察した最も高い値に比べ、21倍上昇したものと一致する。t−TPAゲルによって準備されたSL薄膜に対して測定したI2ω値は、常に7.1%よりも小さかった。
HC−n−含有SL薄膜の計算されたd33値(2−NLO物質の2次非線形磁化率のテンソル要素)は、前記表2に記載されたとおりである。 HC−15の場合、d33値は2.68(3μmの薄膜)および35.42pm/V(0.13μmの薄膜)の間の値である。商業的2−NLO物質の相応する値は0.16〜13.7pm/V(表3)の範囲である。したがって、均一にb−配向したHC−15含有SL薄膜は、商業的に実行可能な2−NLO物質に発展し得る。対照的に、t−TPAゲルから製造されたSL膜のd33値は、商業的な適用にはあまり適さない1.21pm/Vである(表4)。
表3の前記COANPは2−サイクロオクチルアミノ−5−ニトロピリジンである。表3は、2−NLO物質の2次非線形磁化率のテンソル要素の値を示したものである。
表4は、ガラス板の両面がTPAゲルおよびt−TPAゲルでb−SLm/g膜の2次成長コーティングされたガラス板の性能である。
さらに、2μm厚さで均一にb−配向した膜は、平らなガラスの透過率(〜85%)に比べ、透過度(380nm〜1100nm部分で70%〜84%)を示す(図26および27)。ランダムに配向したSL薄膜から観察される値は、t−TPAゲルからの製造時20%〜60%であり、TPAゼリーで製造した場合は12%以下である。
以上で、本発明の特定部分を詳細に記述したが、当業界の通常の知識を有する者にとって、これらの具体的な技術は単に好ましい実施一例であって、これに本発明の範囲が限定されるないことはは自明である。
したがって、本発明の実質的な範囲は、添付された請求項とその等価物によって定義されるであろう。

Claims (16)

  1. 複数のシリカライト−1(SL)種結晶の表面から2次成長のみを誘導し、結晶成長合成ゲル中、または種結晶の表面において結晶核生成反応(crystal nucleation)を誘導しない結晶成長合成ゲルであり、
    フュームドシリカ(fumed silica)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(tetraethylammonium hydroxide、TEAOH)、[(NHSiF]、KOH、およびHOを含有することを特徴とする合成ゲル。
  2. フュームドシリカ:TEAOH:[(NHSiF]:KOH:HO=4.00:1.92:0.36:0.40:n(モル比)であり、ここでn=30〜80であることを特徴とする、請求項1に記載の合成ゲル。
  3. 前記結晶成長合成ゲルが、シリカライト−1(SL)のa軸が均一に配向するように2次成長を誘発することを特徴とする、請求項1に記載の合成ゲル。
  4. 複数のゼオライトベータ(BEA)種結晶の表面から2次成長のみを誘導し、結晶成長合成ゲル中、または種結晶の表面において結晶核生成反応を誘導しない結晶成長合成ゲルであり、
    1418623033874_0
    (tetraethylorthosilicate、TEOS)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAOH)、フッ化水素(hydrogenfluoride)、およびHOを含有することを特徴とする合成ゲル。
  5. TEOS:TEAOH:フッ化水素:HO=4.00:2.20:2.20: n(モル比)であり、ここでn=30〜40であることを特徴とする、請求項4に記載の合成ゲル。
  6. 前記結晶成長合成ゲルが、ゼオライトベータ(BEA)のa軸またはb軸が均一に配向するように2次成長を誘導することを特徴とする、請求項4に記載の合成ゲル。
  7. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の合成ゲルを使用して、複数のシリカライト−1(SL)種結晶の表面から2次成長を誘導することによって製造されたシリカライト−1膜。
  8. 請求項4〜6のいずれか1項に記載の合成ゲルを使用し、複数のゼオライトベータ(BEA)種結晶の表面から2次成長を誘導することによって製造されたゼオライトベータ(BEA)膜。
  9. 基板の少なくとも1つの表面にa軸、b軸、c軸のうち1つ以上または全てが一定の規則に従って配向するように非球形のシリカライト−1または複数のゼオライトベータの種結晶を整列させる第1工程と、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の結晶成長合成ゲルに前記複数の整列した種結晶を露出させ、2次成長法を用いて前記複数の種結晶から膜を形成、ならびに成長させる第2工程と
    を含む、薄膜または厚膜を製造する膜の製造方法。
  10. 前記第2工程以前に複数の種結晶の表面に形成された無定形シリカ層を除去する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載の膜の製造方法。
  11. 前記合成ゲルが、種結晶の表面から2次成長によって複数の種結晶が2次元的に互いに連結しながら3次元的に垂直成長して膜を形成することを特徴とする、請求項9に記載の膜の製造方法。
  12. 隣接した複数の種結晶の少なくとも1つの結晶軸の配向が同じブロック内で形成された膜が、
    基板面に平行な軸方向にチャンネルが連続的に連結されて拡張したり、
    基板面に垂直または傾斜した軸方向にチャンネルが連続的に連結して拡張したり、または、
    2つの条件を全て満たすことを特徴とする、請求項9に記載の膜の製造方法。
  13. 前記第1工程において、複数の種結晶がa軸、b軸またはc軸が基板面に対して垂直に配向したことを特徴とする、請求項9に記載の膜の製造方法。
  14. 前記第1工程が、前記基板上に複数の種結晶を置いた後、物理的圧力によって複数の種結晶のa軸、b軸またはc軸の配向を整列させたことを特徴とする、請求項9に記載の膜の製造方法。
  15. 前記物理的圧力が、ラビング(rubbing)またはプレッシング(pressing)によって加えられることを特徴とする、請求項14に記載の膜の製造方法。
  16. 請求項9に記載の方法によって製造された膜。
JP2015517157A 2012-06-15 2012-06-15 シリカライト−1または複数のゼオライトベータの種結晶の表面から2次成長のみを誘導する結晶成長合成ゲル Pending JP2015526366A (ja)

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