本出願は、主に光通信技術に関連し、そして特に、可変光フィルタ、可変光学部品及び多波長受動光ネットワーク(Passive Optical Network、PON)システムに関連する。
受動光ネットワーク(PON)技術は、現在、主要なブロードバンドアクセス技術である。従来のPONシステムは、時分割多重(Time Division Multiplexing、TDM)メカニズムに基づいた、一地点対多地点(point−to−multipoint)のネットワークシステムである。図1を参照すると、一般に、PONシステムは、中央局に設置される光回線装置(Optical Line Terminal、OLT)、ユーザ側に設置される複数の光回線終端装置(Optical Network Unit、ONU)、及びOLTと複数のONUとの間の光分配ネットワーク(Optical Distribution Network、ODN)を含む。ODNは、複数のONUによる光伝送路の共有を可能とするために、OLTと複数のONUとの間の複数のデータ信号を分配又は多重化するために使用される。
TDMメカニズムに基づくPONシステムにおいて、OLTから複数のONUへの方向はダウンストリーム(下り回線)と呼ばれ、OLTは複数のONUにTDM方式でダウンストリームのデータストリームを送信し、各ONUはそのONUの識別子を送信するデータのみを受信する。複数のONUからOLTへの方向はアップストリーム(上り回線)と呼ばれる。全てのONUは、光伝送路を共有するので、複数のONUの間での競合を防ぐために、PONシステムは、上り回線方向で時分割多重アクセス(Time Division Multiple Access、TDMA)方式を使用する。すなわち、OLTは、各ONUにタイムスロットを割り当て、そして各ONUは、OLTにより割り当てられたタイムスロットに厳密に従って、アップストリームデータを送信する。
しかしながら、PONシステムは、TDMメカニズムの時分割特性による影響を受け、そしてユーザの利用可能な帯域幅は限定される。さらに、ファイバそのものの利用可能なデータ伝送率を効果的に使用することができない。従って、新しく出現するブロードバンドのネットワークアプリケーションのサービス要件を満たすことができない。このような問題を解決するため及び既存のPONシステムとの互換性を考慮して、産業界において、波長分割多重技術(Wavelength Division Multiplexing、WDM)とTDM技術とを統合した、ハイブリッドPONシステムが提唱されている。ハイブリッドPONシステムにおいては、データを受信及び送信するために、中央局のOLTとユーザ側の複数のONUとの間で、複数の波長チャネルが使用される。すなわち、ハイブリッドPONシステムは、多波長PONシステムである。
多波長PONシステムにおいて、OLTは、複数の波長チャネルを使用することにより、同時に実行されるデータの送信及び受信に対応する。各ONUは、複数の波長チャネルのうちの1つで別々に動作する。下り回線方向において、OLTは、ダウンストリームデータを波長チャネルで動作する複数のONUに送信するために、各波長チャネルに対応するダウンストリーム波長を使用する。上り回線方向において、各波長チャネルにおけるONUは、当該波長チャネルのアップストリーム波長を使用することにより、OLTにより割り当てられたタイムスロットにおいて、アップストリームデータをOLTに送信することができる。
保管コストを削減するために、ONUは、一般に、波長可変光学部品を使用することにより、データ受信及び送信を実行する。一例として、光受信部品が使用される。可変フィルタの動作波長と特定の温度範囲の温度との間には線形関係があるため、従来の光受信部品は、温度調整に基づく可変光フィルタを使用することにより、受信波長を可変としている。具体的には、典型的な可変光受信部品において、可変光フィルタは光受信TO−CANの内部に直接的に配置され、かつ光検出器に隣接して設置され;ヒータ又は冷却器の温度調整手段により、可変光フィルタの動作波長を、ONUが現在動作しているダウンストリーム波長チャネルのダウンストリーム波長に調整することができる。マルチ波長の光信号が入射窓から光受信TO−CANに入る場合、他のダウンストリーム波長の光信号が除外されるようにするために、可変光フィルタのフィルタ機能の手段により波長選択がまず実行され、そして当該ダウンストリーム波長の光信号だけが通過可能とされ、そして、例えば、光学電気変換を実行するためのアバランシェフォトダイオード(Avalanche Photo Diode、APD)などの光検出器に送信される。
しかしながら、一般的に、光検出器は温度に敏感な装置であるため、可変光フィルタが光受信TO−CANの内部に配置される前述の可変光部品において、可変光フィルタの動作波長が温度制御の手段により調整される場合、温度制御により生成された熱は、光検出器の受信感度に悪影響を与える可能性があり、これにより、光学的受信機の性能が劣化する。
前述の問題を解決するために、本出願は、光検出器の受信感度を確かなものにできる可変光フィルタ、及び当該可変光部品を使用する光受信部品、光送信部品、及び多波長受動光ネットワークシステムを提供する。
可変光フィルタが提供され、かつ該可変光フィルタは:基板、可変フィルタ部、温度制御部、及び容器を備え、ここで:前記基板、前記可変フィルタ部、及び前記温度制御部は前記容器の内部に配置され、前記容器は光入射窓及び光出射窓を備え;前記基板は、前記光入射窓又は前記光出射窓に隣接して配置され、かつ前記可変フィルタ部を支持するように構成され;前記温度調整部は、前記可変フィルタ部の表面に配置され、かつ温度制御手段により前記可変フィルタ部のチャネル波長を調整するように構成され;かつ前記光入射窓の光路、前記可変フィルタ部の光路、及び前記光出射窓の光路は揃えられる。
光受信部品が提供され、該光受信部品は光ファイバアダプタ、可変光フィルタ、及び光受信サブモジュールを備え、前記可変光フィルタは上記可変光フィルタであり、かつ前記可変光フィルタは、前記光ファイバアダプタに接続される光ファイバから入力される光信号に対する波長選択を実行するように構成され、かつ前記波長選択の後に取得される前記光信号を前記光受信サブモジュールに与えるように構成される。
光送受信部品が提供され、かつ該光送受信部は光ファイバアダプタ、可変光フィルタ、光受信サブモジュール、光送信サブモジュール、及び基板ベースを備え、前記基板ベースは、前記光ファイバアダプタに接続される光ファイバに対して、前記光送信サブモジュールの送信される光を与えるように構成され、かつ前記可変光フィルタに前記光ファイバにより入力される受信される光を与えるように構成され;かつ前記可変光フィルタは、上記可変光フィルタであり、かつ前記可変光フィルタは前記受信される光に対して波長選択を実行するように構成され、かつ前記光受信サブモジュールに前記波長選択の後に取得される前記受信される光を与えるように構成される。
多波長受動光ネットワークシステムが提供され、かつ該多波長受動光ネットワークシステムは、1つ以上の光回線装置及び複数の光回線終端装置を備え、前記1つ以上の光回線装置は、光分配ネットワークを一地点対多地点方式で使用することにより、前記複数の光回線終端装置に接続され、かつ前記光回線終端装置は、上記可変光フィルタを備える。
本出願により提供される前記可変光フィルタ、前記光受信部品、前記光送受信部品、及び前記多波長受動光ネットワークシステムにおいて、前記可変光フィルタの前記可変フィルタ部及び前記温度制御部は別々に独立して前記容器の中に配置されため、及び前記容器の熱隔離機能の結果、前記温度制御部により実行される前記可変フィルタの温度調整は、温度に敏感な外部の他の装置(例えば、光検出器)に対して悪影響を及ぼさない。従って、複数の実施例により提供される前記可変光フィルタを用いる前記光部品及び前記多波長受動光ネットワークシステムの性能を確かなものとすることができる。
本発明の複数の実施例の複数の技術的手段をより明確に説明するために、当該複数の実施例を説明するために必要な添付図面を以下において簡単に紹介する。明らかに、以下の説明における添付の図面は、本発明いくつかの実施例を示すのみであり、当業者は、創造的な努力なしで、これらの添付図面から他の図面をさらに得ることができる。
時分割多重メカニズムに基づく受動光ネットワークシステムのネットワーク構成の概略図である。
本出願の本実施例に従う多波長受動光ネットワークシステムのネットワーク構成の概略図である。
本出願の実施例に従う可変光フィルタの側面図である。
図3に示される可変光フィルタの正面図である。
本出願の実施例に従う可変光フィルタの横断面図である。
図5に示される可変光フィルタの正面図である。
本出願の実施例に従う可変光フィルタを備える可変光受信部品の概略構成図である。
図7に示される可変光受信部品の構造の概略分解立体図である。
本出願の他の実施例に従う可変光フィルタを備える可変光受信部品の概略構成図である。
本出願の他の実施例に従う可変光フィルタを備える可変光受信部品の概略構成図である。
本出願の実施例に従う可変光フィルタを備える可変光受信部品の概略構成図である。
図11に示される可変光送受信部品の構成の概略分解立体図である。
本出願の他の実施例に従う可変光フィルタを備える可変光送受信部品の概略構成図である。
図13に示される可変光送受信部品の構成の概略分解立体図である。
本出願の他の実施例に従う可変光フィルタを備える可変光送受信部品の概略構成図である。
以下において、本発明の複数の実施例における複数の添付図面を参照して、本発明の複数の実施例における複数の技術的解決手段を明確かつ完全に説明する。明らかに、説明される複数の実施例は、本発明の複数の実施例の一部であり、全てではない。創造的努力なしで本発明の複数の実施例に基づき当業者により得られる全ての他の実施例は、本発明の保護範囲に属さなければならない。
本出願の実施例に従う多波長受動光ネットワークシステムのネットワーク構成の概略図である図2を参照する。多波長PONシステム100は、1つ以上の光回線装置(OLT)110、複数の光回線終端装置(ONU)120、及び1つの光分配ネットワーク(ODN)130を備える。ここで、OLT110は、ODN130を使用することにより、一地点対多地点方式で複数のONU120に接続され、そして複数のONU120はODN130の光伝送媒体を共有する。ODN130は、フィーダファイバ131、光分波モジュール132、及び複数のドロップファイバ133を含んでもよく、ここで光分波モジュール132は遠隔ノード(Remote Node、RN)に配置されてもよい。光分波モジュールは、一方において、フィーダファイバ131を使用することによりOLT110に接続され、かつ他方において、複数のドロップファイバ133を使用することにより複数のONU120に接続される。
多波長のPONシステム100において、OLT110と複数のONU120との間の通信リンクは、複数のアップストリーム波長チャネル及び複数のダウンストリーム波長チャネルを含んでもよい。下り回線方向において、複数のダウンリンク波長チャネルは、さらに、波長分割多重(WDM)方式で、ODNの光伝送媒体を共有し、各ONU120は、多波長のPONシステム100の複数のダウンストリーム波長チャネルのうちの1つにおいて動作してもよく、そして各ダウンストリーム波長チャネルは、1つ以上のONU120のダウンストリームサービスを送信してもよく;同じダウンストリーム波長チャネルで動作する複数のONU120は、時分割多重(TDM)方式でダウンストリーム波長チャネルを共有してもよい。上り回線方向において、複数のアップストリーム波長チャネルはODN130の光伝送媒体をWDM方式で共有し、各ONU120は、多波長のPONシステム100の複数のアップストリーム波長チャネルのうちの1つで動作してもよく、そして各アップストリーム波長チャネルは、1つ以上のONU120の複数のアップストリームサービスを送信してもよく;同じアップストリーム波長チャネルで動作する複数のONU120は、時分割多重アクセス(TDMA)方式でアップストリーム波長チャネルを共有してもよい。
本実施例において、図2に示されるように、多波長のPONシステム100が4つのアップストリーム波長チャネル及び4つのダウンストリーム波長チャネルを持つ例を使用することにより、説明が与えられる。実際の応用において、多波長のPONシステム100のアップストリーム及びダウンストリームの波長チャネルの数は、さらに、複数のネットワーク要件に従って決定されてもよい、ということが理解されるべきである。説明を容易にするために、本実施例において、多波長のPONシステム100の4つのアップストリームチャネルは、アップストリーム波長チャネル1(第1アップストリーム波長λu1を使用する)、アップストリーム波長チャネル2(第2アップストリーム波長λu2を使用する)、アップストリーム波長チャネル3(第3アップストリーム波長λu3を使用する)、及びアップストリーム波長チャネル4(第4アップストリーム波長λu4を使用する)として、別々に名付けら;多波長のPONシステム100の4つのダウンストリームチャネルは、ダウンストリーム波長チャネル1(第1ダウンストリーム波長λd1を使用する)、ダウンストリーム波長チャネル2(第2ダウンストリーム波長λd2を使用する)、ダウンストリーム波長チャネル3(第3ダウンストリーム波長λd3を使用する)、及びダウンストリーム波長チャネル4(第4ダウンストリーム波長λd4を使用する)として、別々に名付けられる。
一実施例において、図2を参照すると、OLT110は光結合器111、第1波長分割多重化部112、第2波長分割多重化部113、複数のダウンストリーム光送信部品Tx1からTx4、複数のアップストリーム光受信部品Rx1からRx4、及び処理モジュール114を備える。複数のダウンストリーム光送信部品Tx1からTx4は、第1波長分割多重化部112を使用して光結合器111に接続され、複数のアップストリーム光受信部品Rx1からRx4は、第2波長分割多重化部113を使用して光結合器111に接続され、そして結合器111は、さらに、ODN130のフィーダファイバ131に接続される。
送信波長は複数のダウンストリーム光送信部品Tx1からTx4の間で異なる。ダウンストリーム光送信部品Tx1からTx4はそれぞれ、多波長のPONシステム100の複数のダウンストリーム波長チャネルのうちの1つに対応してもよい。例えば、複数のダウンストリーム光送信部品Tx1からTx4の送信波長は、それぞれ、λd1からλd4であってもよい。ダウンストリームデータを対応する複数のダウンストリームチャネルで別々に送信して、複数のダウンストリームチャネルで動作する複数のONU120によりダウンストリームデータが受信されるようにするために、ダウンストリーム光送信部品Tx1からTx4は、それらそれぞれの送信波長λd1からλd4を使用してもよい。同様に、受信波長は複数のアップストリーム光受信部品Rx1からRx4の間で異なってもよい。また、アップストリーム光受信部品Rx1からRx4は、それぞれ、多波長受動光ネットワークシステム100の複数のアップストリーム波長チャネルのうちの1つに対応してもよい。例えば、複数のアップリンク光受信部品Rx1からRx4の送信波長は、それぞれ、λu1からλu4であってもよい。複数のアップストリーム光受信部品Rx1からRx4は、対応する複数のアップストリーム波長チャネルで動作する複数のONU120から送信されるアップストリームデータを受信するために、それらそれぞれの受信波長λu1からλu4を使用してもよい。
第1の波長分割多重化部112は:複数のダウンストリーム光送信部品Tx1からTx4により送信される、波長がλd1からλd4である、ダウンストリームデータについて波長分割多重化処理を実行し;かつODN130のフィーダファイバ131にダウンストリームデータを送信して、ODN130を越えて複数のONU120に対してダウンストリームデータを提供するために、光結合器111を使用するように構成される。また、光結合器111は、さらに、複数のONU120から到来し、かつその波長がλu1からλu4のアップストリームデータを第2波長分割多重化部113に与えるように構成されてもよく、そして第2波長分割多重化部113は、データ受信を実行するために、その波長がλu1からλu4であるアップストリームデータを、アップストリーム光受信部品Rx1からRx4に対して分離してもよい。
処理モジュール114は、メディアアクセス制御(Media Access Control、MAC)モジュールであってもよい。一方において、ONU120が動作するダウンストリーム波長チャネルに従って、ダウンストリーム光送信部品がダウンストリームデータを当該波長チャネル対して送信できるようにするために、処理モジュール114は、当該ダウンストリーム波長チャネルに対応するダウンストリーム光送信部品に対して、ONU120に送信されるダウンストリームデータを提供してもよい。他方において、処理モジュール114は、各アップストリーム光受信部品Rx1からRx4により受信されるアップストリームデータの処理を実行してもよい。
複数のONU120の複数の動作波長(複数のアップストリーム送信波長及び複数のダウンストリーム受信波長を含む)は可変である。特定の実施例において、ONU120は光結合器121、ダウンストリーム光受信部品122、アップストリーム光送信部品123、及び処理モジュール124を備えてもよい。ダウンストリーム光受信部品122及びアップストリーム光送信部品123の双方は、波長可変装置であり、かつ光結合器121を使用することにより、それらはONU120に対応するドロップファイバに接続されてもよい。一実施例において、ダウンストリーム光受信部品122及びアップストリーム光送信部品123は、さらに、同じ光送信部品の中に配置されてもよく、例えば、単一ファイバ双方向光送受信部品の中に配置されてもよい。一方において、光結合器121は、アップストリームデータをODN130を越えてOLT110に送信するために、ODN130のドロップファイバ133に、アップストリーム光送信部品123により送信されるアップストリームデータを提供してもよい。他方において、光結合器121は、さらに、データ受信を実行するために、ダウンストリーム光受信部品122に、OLT110によりODN130を越えて送信されるダウンストリームデータを提供してもよい。
処理モジュール124は、MACモジュールであってもよく、それは、一方で、要求に従って、波長の調整を実行するために、ダウンストリーム光受信部品122及びアップストリーム光送信部品123を制御してもよく、そして他方で、アップストリーム光送信部品123が、対応するアップストリーム波長チャネルを介して、アップストリームデータをOLT110に送信し、そして処理モジュール124が、ダウンストリーム光受信部品122により受信されるダウンストリームデータの処理を実行できるようにするために、特定のタイムスロットの中で、アップストリーム光送信部品123に、OLT110に対して送信されるアップストリームデータを提供してもよい。
多波長のPONシステムにおいて、ONU120のダウンストリーム光受信部品122は、本出願により提供される可変光ファイバを使用することにより、受信波長を可変としてもよい。また、本出願は、可変光ファイバに基づき、さらに、ONU120のダウンストリーム受信部品122に適用可能な可変光受信部品及び可変光送受信部品を提供する。
図3及び図4を参照する。図3は、本出願の実施例に従う可変光フィルタの側面図であり、図4は、図3に示される可変光フィルタの正面図である。可変光フィルタ300は、ベース310、基板320、可変フィルタ部330、温度制御部340、温度センサ350、及び容器380を含んでもよい。
基板320、可変フィルタ部330、温度制御部340、及び温度センサ350は、容器380の中に配置されてもよく、ここで、容器380は、円筒状の金属ケースであってもよく、かつ底に配置される開口を有してもよく、そしてベース310は、容器の開口部に埋め込まれ、かつ取り付けられてもよく、これにより容器380による一つの密閉収容空間を形成する。代替的に、容器380は、また、直方体のケース又は他の形のケースであってもよい。さらに、特定の実施例において、収容空間はシンクであってもよく、或いは窒素又は不活性ガスで満たされていてもよい。ベース310は、金属材料で作られてもよく、そして複数のピン311を別々に収容及び固定するように構成される複数の貫通孔を有してもよい。複数のピン311は、温度制御部340及び温度センサ350に電力を供給するように構成されてもよい。特定の実施例において、ベース310が金属材料で作られている場合、複数のピン311とベース310との間、及び複数のピン311の間の電気的な絶縁を実現するために、貫通孔の内部には絶縁材料、が充填されてもよく、例えば、ガラス充填剤がベース310と複数のピン311との間に置かれてもよい。図3に示される実施例において、ベース310は、それぞれ、第1のピン、第2のピン、及び第3のピンと呼ばれる、3つのピンを有する。特定の実施において、ピンの数は、必要に応じて決められてもよい、ということが理解されるべきである。
基板320は、容器380の複数の内面のうちの一つ(すなわち、第1の内面)に固定されており、可変フィルタ部330を支持するように構成されている。一実施例において、基板320は、セラミック材料でつくられてもよい。セラミック材料は遮光性であるため、光線が基板を通過し、かつ可変フィルタ部330に入射できるようにするために、基板320をデバイス要件に従って円形構造として設計してもよく、例えば、基板320の中心からの延長により光透過領域322が形成されるようにするために、環状構造として設計してもよい。これに対応して、容器380の中で、第1の窓381が第1の内面の光透過領域322に対応する領域に形成され、そして第2の窓382が第1の内面の反対側の他の内面(すなわち、第2の内面)に形成される。第1の窓381及び第2の窓382は、それぞれ、光入射窓及び光出射窓としての役割を果たしてもよく、かつその双方に、例えば、ガラス材料又は低い光挿入損失を有し、かつ高温に耐えることができる他の材料などの、透明な材料が埋め込まれてもよい。
可変フィルタ部330は、基板320の表面上に配置され、円形、長方形又は他の形状(図3に示される実施例においては、長方形の形状が例として用いられている)であってもよく、かつ少なくとも部分的に光透過領域322をカバーし;第1の窓381から入射し、光透過領域322を通過した光が可変フィルタ部330に入射できるようにするために、可変フィルタ部330、第1の窓381、光透過領域322、及び第2の窓381の各光路は揃えられている。特定の実施例において、可変フィルタ部330は、例えば、可変薄膜光フィルタ装置などの、温度に基づく可変光フィルタ装置であってもよい。特定の温度範囲内では、可変フィルタ部330のチャネル波長と温度との間に対応関係がある。他の代替実施例において、可変フィルタ部330は、さらに、他の種類の可変フィルタ装置、例えば、液晶可変フィルタ、分布ブラッグ反射型(Distributed Bragg Reflective、DBR)可変フィルタ、ファイバ・ブラッグ・グレーティング(Fiber Bragg Grating、FBG)可変フィルタ、音響光学可変フィルタ、又は微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical System、MEMS)に基づく可変フィルタであってもよい。
可変フィルタ部330の表面の一方は、基板320と接触してもよく、かつ温度制御部340は、可変フィルタ部330の他の表面上に設置されてもよい。温度制御部340は、ヒータ(heater)又は熱電冷却器(Thermo Electric Cooler、TEC)であってもよく、そして温度制御部340は、波長要件に従って加熱又は冷却するといった温度制御方法で、可変フィルタ部330のチャネル波長を調整するように構成される。
ヒータは一例として使用されている。一実施例において、温度制御部340は、可変フィルタ部330の表面に取り付けられる光透過薄膜で作られてもよい。他の実施例において、温度制御部340は、また、非透明材料で作られてもよい。この場合、可変フィルタ部330ができるだけ均一に加熱されるようにするために、温度制御部340は、環状構造、例えば、リング形状、楕円環状形状、又は矩形環状形状であってもよい。円形構造である温度制御部340の中央の光透過領域及び可変フィルタ部330は揃えられており(すなわち、温度制御部340、第1の窓381、基板320の光透過領域322、及び第2の窓381は揃えられている)、温度制御部340の中央の光透過領域のサイズは、可変フィルタ部330によるフィルタ後に出力される光信号のフレアのサイズよりも大きい。
特定の実施例において、温度制御部340は、さらに、端子341を備え、ここで、端子341は、温度制御部340の底部に配置されてもよく、つまり、ベース310に隣接して配置され、そして端子341は、金属の導線を使用して、ベース310のピンに接続されてもよい。図3に示される実施例において、例として、2つの端子341が使用され、ここで、2つの端子341は、別々に、基板310の第1のピン及び第2のピンと接続されている。温度制御部340を駆動し、可変フィルタ部330の加熱又は冷却を実行するために、端子341は、第1のピン及び第2のピンからの電力信号を受信するように構成される。
温度センサ350は、サーミスタ又は可変フィルタ部330の温度を監視するように構成される他の温度に敏感な装置であってもよく、そして基板320の底部の表面に配置され、かつベース310に隣接して配置される。一方において、第3のピンからの電力信号を受信して温度検出を行うために、温度センサ350は、金属導線を使用することによりベース310の第3のピンと接続されてもよく;他方において、可変フィルタ部330の検出された温度に従って、温度制御部340を制御し、波長の調整又は可変フィルタ部330のロッキングを行うために、温度センサ350は、温度制御部340の端子341に接続されてもよい。
特定の応用において、可変光フィルタ300により現在必要とされる動作波長がλiであると仮定して、可変フィルタ部330のチャネル波長は、温度制御部340により、可変フィルタ部330の温度を制御することにより、動作波長λiに調整されてもよい。複数の波長(例えば、λ1からλn)を有する入射光線が第1の窓381を介して可変光フィルタ300の容器380に入射し、基板320の光透過領域322を通過し、かつ可変フィルタ部330に到達可能である場合、波長選択機能により、可変フィルタ部330は、波長λiを有する光信号以外の入力光線の中の光信号を除去することができ、そして波長λiを有する光信号だけが可変フィルタ部330を通過し、かつ第2の窓382から出射される出射光を形成し、そして波長λiを有する光信号は、さらに、他の外部の装置(例えば光検出器)により受信される。
前述の実施例により提供される可変光フィルタ300は、容器の内部に独立して配置される。容器380の温度遮断機能により、温度制御部340により実行される可変フィルタ部330の温度調整は、他の外部の温度に敏感な装置(例えば、光検出器)に対して悪影響を与えない。従って、前述の実施例により提供される可変光フィルタ300を使用する光部品の性能を確かなものとすることができる。
図5及び図6を参照する。図5は、本出願の他の実施例に従う可変光フィルタの横断面図であり、そして図6は図5に示される可変光フィルタの正面図である。図5及び図6に示される可変光フィルタ500の構造は、図3及び図4に示される可変光フィルタ300の構造と同様である。しかしながら、図5及び図6に示される可変光フィルタ500と図3及び図4に示される可変光フィルタ300との間の主な違いは、可変フィルタ500が可変フィルタ300のベース310を有しないという点にある。また、それに対応して、複数のピン511を収容及び固定するように構成される複数の貫通孔は、可変光フィルタ500の容器580の底部に配置され、そして複数のピン511と容器580の間、及び複数のピン511の間の電気的絶縁を実現するために、複数の貫通孔の内部には絶縁材が充填される。可変フィルタ300と比較して、ベースがないので、図5に示される構造を用いる可変光フィルタ500は小型にすることが可能であり、かつ複数のピン511の位置をより柔軟に設定することが可能であり、そして容器580の底部に配置することには限定されない。例えば、他の代替実施例において、可変光フィルタ500をさらに集積化し、かつ光部品の内部に設置できるようにするために、複数のピン511のうちのいくつかは容器580の側壁、例えば、基板520と接する第1の側壁、又は第1の側壁の反対側の第2の側壁、に配置されてもよい。
図3から図6に示される可変光フィルタ300及び500に基づき、本出願は、さらに、可変光受信部品を提供する。当該可変光受信部品は、図2に示される多波長受動光ネットワークシステム100における複数のONU120に対して適用することが可能である。
図7及び図8を参照する。図7は、本出願の実施例に従う可変光フィルタを有する可変光受信部品700の概略構成図であり、そして図8は、図7に示される可変光受信部品700の概略分解立体図である。可変光受信部品700は、光ファイバアダプタ710、可変光フィルタ720、及び光受信サブモジュール730を備える。可変光フィルタ720は、図3及び図4に示される可変光フィルタ300又は図5及び図6に示される可変光フィルタ500であってもよい。可変光フィルタ720の具体的な構造については、上述の実施例の説明を参照する。以下においては、可変光フィルタ720と光ファイバアダプタ710との間、及び可変光フィルタ720と光受信サブモジュール730との間の構造関係だけが説明される。
可変光フィルタ720は、容器780を備え、ここで容器780は、互いに対向する第1の側壁及び第2の側壁を含み、そして光入射窓としての役割を果たす第1の窓781と光出射窓としての役割を果たす第2の窓782は2つの側壁において別々に配置され、第1の窓781の光路と第2の窓782の光路は揃えられている。
光ファイバアダプタ710は、接続部711、コリメーションレンズ712、及びチューブ713を備える。接続部711は、可変光フィルタ720の容器780の第1側壁に接続及び固定され、そしてチューブ713は、可変光フィルタ720に隣接する表面の反対側である接続部711の表面に配置されてもよい。チューブ713は、光ファイバ収容キャビティ714を有し、ここで、光ファイバ収容キャビティ714は、可変光フィルタ720の第1の窓781と揃えられ、そして光ファイバ収容キャビティ714は、光ファイバ715を収容するように構成され、例えば、光ファイバ715のフェルールは、チューブ713の光ファイバ収容キャビティ714の内部に完全に挿入されてもよく(つまり、ピグテールは外部に残されない)、そしてフェルールのケーブル心線は、基本的に、第1の窓781の中心に揃えられる。コリメーションレンズ712は、接続部711とチューブ713との間に配置される。例えば、コリメーションレンズ712は、部分的に接続部711の表面に埋め込まれ、かつ部分的にチューブ713の光ファイバ収容キャビティ714の底部に収容され、かつ光ファイバ715により出力されるテーパ状の光を平行光に変換して、光ファイバ715からの全ての出力光が、基本的に第1の窓781を介して可変光フィルタに入力されることを可能とするために、光ファイバ収容キャビティ714の光ファイバ715からの出力光にコリメーション処理を行うように構成されてもよい。
光受信サブモジュール730は、ケース731、ベース732、レンズ733、及び光検出器734を備えてもよく、ここで、ケース731は、ベース732の上に設置され、かつベース732を含む密閉収容空間を形成し、そして光検出器734を収容するように構成される。光検出器734は、基板735及び光受信チップ736を備えてもよく、ここで基板735は、ベース732の内面上に配置され、かつ光受信チップ736を保持するように構成される。光受信チップ736の光路及び可変光フィルタ720の容器782の窓782の光路は揃えられ、そして光受信チップ736は、可変光フィルタ720での波長変換の実行後に第2の窓782から出射される光信号の光学電気変換を実行するように構成される。レンズ733は、ケース731の光入射面の上に配置されてもよく、レンズ733の光路と第2の窓782の光路とは揃えられ、そしてレンズ733は、第2の窓782から出射される光信号を光受信チップ736にて変換するように構成される。また、光受信サブモジュール730は、さらに、複数のピン737を備えてもよく、ここで、複数のピン737は、光検出器734に接続され、かつベース732から延びている。複数のピン737は、一方では、光検出器734の光受信チップ736に電力を供給してもよく、そして他方では、光受信チップ736により実行される光学電気変換の手段により形成される電気信号を他の外部装置に出力してもよい。
特定の実施例において、光受信サブモジュール730は、金属リング740を使用することにより、可変光フィルタ720の上に固定されてもよい。例えば、ケース731の光入射面を可変光フィルタ720の第2側壁の反対側とし、そしてレンズ733の光路と第2の窓782の光路とが揃えられるようにするために、金属リング740は、部分的に可変光フィルタ720に設置され、かつ部分的に光受信サブモジュール730に設置されてもよい。他の代替実施例において、他の留め具が光サブモジュール730を可変光フィルタ722に固定することができ、かつそれらを互いに揃えることができる限り、金属リング740は、また、当該他の留め具に置き換えられてもよい、ということが理解されるべきである。
図9を参照する。図9は、本出願の他の実施例に従う可変光フィルタを有する可変光受信部品の概略構成図である。図9に示される可変光受信部品800の構造は、図7及び図8に示される可変光受信部品700の構造と同様であり、そして主な相違は、図9に示される可変光受信部品800の光ファイバアダプタ810において、光ファイバ815の一部だけがチューブ813の光ファイバ収容キャビティの内部に収容され、他の部分は光ファイバ収容キャビティの上部から延びてピグテールを形成する、という点にある。
図10を参照する。図10は、本出願の他の実施例に従う可変光フィルタを有する可変光受信部品の概略構成図である。図10に示される可変光受信部品900の構造は、図7及び図8に示される可変光受信部品700の構造と同様であり、そして主な相違は、図9に示される可変光受信部品900の光ファイバアダプタ910は、コリメーションレンズを持たない、という点にある。コリメーションレンズがない場合、チューブ913に収容される光ファイバ915からの出力光は、テーパ状の光の形で直接可変光フィルタ920に入射する。
図7から図10に示される可変光受信部品700、800、及び900において、好適には、配置及びピン接続を容易にするために、可変光フィルタ720、820及び920は、図3及び図4に示される可変光フィルタ300の構造を使用してもよい。もちろん、図5及び図6に示される可変光フィルタ500の構造もまた使用することも可能である、ということが理解されるべきである。
図3から図6に示される可変光フィルタ300及び500に基づき、本出願は、さらに、可変光送受信部品を提供する。可変光送受信部品は、図2に示される多波長受動光ネットワークシステム100における複数のONU120に適用可能である。
図11及び図12を参照する。図11は、本出願の実施例に従う可変光フィルタを有する可変光送受信部品の概略構成図であり、そして図12は、図11に示される可変光送受信部品の構造の概略立体分解図である。図11に示される可変光送受信部品1100は、光ファイバアダプタ1110、可変光フィルタ1120、光受信サブモジュール1130、光送信メインモジュール1140、及び基板ベース1150を備える。図3及び図4に示される可変光フィルタ300又は図5及び図6に示される可変光フィルタ500を可変光フィルタ1120として使用してもよい。可変光フィルタ1120の具体的な構造については、関連する複数の実施例の説明を参照する。図7に示される光受信サブモジュールを、光受信サブモジュール1130として使用してもよい。光受信サブモジュール1130の具体的な構造についても、関連する複数の実施例の説明を参照する。
基板ベース1150は、第1側壁1151、第1側壁1151に隣接する第2側壁1152、第1側壁1151に対向する第3側壁1153、及び第2側壁1152に対向する第4側壁1153を備え、ここで、第1側壁1151、第2側壁1152、第3側壁1153、第4側壁1154は、正方形の台を形成するために、その端と端が接続される。第1側壁1151、第2側壁1152、及び第3側壁1153は、それぞれ光送信窓を有する。
光ファイバアダプタ1110は、基板ベース1150の第1側壁1151に接続及び固定される。光ファイバアダプタ1110は、コリメーションレンズ1112及びチューブ1113を有してもよく、ここで、チューブ1113は基板ベース1150の第1側壁1151に取り付けられてもよく、チューブ1113は光ファイバ1115を収容するように構成される光ファイバ収容キャビティ1114を有し、そして光ファイバ収容キャビティ1114は、第1側壁1151の光送信窓に揃えられる。一実施例において、光ファイバ1115のフェルールは、チューブ1113の光ファイバ収容キャビティの内部に完全に挿入されてもよく(つまり、ピグテールは外部に残されない)、そしてフェルールのケーブル心線は、基本的に、第1側壁1151の光送信窓の中心に揃えられる。コリメーションレンズ1112は、基板ベース1150の第1側壁1151とチューブ1113との間に配置される。例えば、コリメーションレンズ1112は、部分的に第1側壁1151に埋め込まれ、かつ部分的にチューブ1113の光ファイバ収容キャビティ1114の底部に収容され、そして光ファイバ収容キャビティ1131の光ファイバ1115からの出力光にコリメーション処理を行うように構成される。また、コリメーションレンズ1112は、さらに、出射光を光ファイバ1115に収束させてもよい。
可変光フィルタ1120は、容器1180を含んでもよく、ここで、容器1180は、互いに対向する第1側壁及び第2側壁を備え、そして光入射窓としての役割を果たす第1の窓1181と光出射窓としての役割を果たす第2の窓1182は、それぞれ、2つの側壁に配置され、ここで、第1の窓1181の光路及び第2の窓1182の光路は揃えられる。容器1180の第2側壁は基板ベース1150の第2側壁1152に取り付け及び固定されてもよく、第1の窓1181は第2側壁1152の光送信窓に揃えられる。
光受信サブモジュール1130は、ケース1131、チューブホルダ1132、第1レンズ1133、及び光検出器1134を備える。ここで、光検出器1134は、ケース1131及びチューブホルダ1132により共同で形成される収容空間の中に配置される。第1レンズ1133は、ケース1131の光入射平面上に配置されてもよく、そして可変フィルタ1120の容器1180の第2側壁に対向して配置される。そして、第2の窓1182の光路、第1のレンズ1131の光路、及び光検出器1134の光路が揃えられるようにするために、光受信サブモジュール1130は、金属リングを使用することにより、可変光フィルタ1120に固定されてもよい。
光送信サブモジュール1140は、ケース1141、ベース1142、第2レンズ1143、及び光送信器1144を備えてもよい。ここで、光送信器1144は、ケース1141及びチューブホルダ1142により共同で形成される収容空間の内部に配置され、例えば、光送信器1144は、チューブホルダ1142の表面に配置され、そして光送信サブモジュール1141の光が出射される方向に面して配置される。ケース1141の光出射面は、基板ベース1150の第3側壁1153に取り付け及び固定されてもよい。第2レンズ1143は、ケース1141の光出射面上に配置されてもよく、そして光送信器1141により送信される光信号を収束させ、かつ第3側壁1153の光送信窓を介して基板ベース1150に光信号を入力するように構成されてもよい。光送信器1144の光路、第2レンズ1143の光路、及び第3側壁1153の光送信窓の光路は揃えられる。また、光送信サブモジュール1140は、さらに、複数のピン1147を備えてもよく、ここで、複数のピン1147は、光送信器1144に接続され、かつベース1142から延び、そして一方において、複数のピン1147は、光送信器1144に電力を供給してもよく、かつ他方において、光送信器1144が送信されるデータを光信号の方法で送信できるようにするために、光送信器1144の送信されるデータを光送信器144に提供してもよい。
また、波長分割多重(Wavelength Division Multiplexing、WDM)フィルタリングシート1155が、さらに、基板ベース1150の内部に配置されてもよい。ここで、波長分割多重フィルタリングシート1155は、約45度の傾斜角で基板ベース1150の中心位置に配置されてもよく、かつ基板ベース1150の第1側壁1151、第2側壁1152、及び第3側壁1153に対向する。一方において、WDMフィルタリングシート1155は、光ファイバ1115を使用して出射光を送信するために、光送信器1144から到来し、かつ第3側壁1153の光送信窓を介して基板ベース1150に入った出射光を、第1側壁1151の光送信窓に対して送信してもよい。他方において、WDMフィルタリングシート1155は、さらに、受信した光が光受信サブモジュール1130の光検出器1134により受信されるようにするために、光ファイバ1115から出力され、かつ第1側壁1151の光送信窓を介して基板ベース1150に入った受信した光を第2側壁1152の光送信窓に対して反射してもよい。
図13及び図14を参照する。図13は、本出願の他の実施例に従う可変光フィルタを有する可変光送受信部品の概略構成図であり、そして図14は、図13に示される可変光送受信部品の構造の概略分解立体図である。図13に示される可変光送受信部品1300の構造は、図11に示される可変光送受信部品1100の構造と同様であり、主な相違は、可変光送受信部品1300において、可変光フィルタ1320は、基板ベース1350の第2側壁1352と光受信サブモジュール1330との間には配置されず、光受信サブモジュール1330の受信光路に沿って、直接、基板ベース1350の内部に配置される、という点にある。また、可変光フィルタ1320への電力の供給を容易にするために、本実施例において、可変光送受信部品1300は、さらに、基板ベース1350の第4側壁1354の上に配置された外部ピン1360を備え、そして可変光フィルタ1320のピン1322は、基板ベース1350の内部導線を使用することにより、外部チューブホルダ1360のピン1361に接続されてもよい。
図15は、本出願の他の実施例に従う可変光フィルタを有する可変光送受信部品の概略構成図である。図15に示される可変光送受信部品1500の構造は、図13に示される可変光送受信部品1300の構造と同様であり、そして主な相違は、可変光送受信部品1500の光ファイバアダプタ1510は、コリメーションレンズを有さず、そしてそれに対応して、チューブ1513の光ファイバ収容キャビティ1514の中に収容される光ファイバ1515のフェルール部は、基板ベース1550の第1側壁1551の光送信窓を通過し、かつ基板ベース1550に入っている、という点にある。
図11から図15に示される可変光送受信部品1100、1300、及び1500において、好適には、可変光送受信部品1100の可変光フィルタ1120は、図3及び図4に示される可変光フィルタ300の構造を使用してもよく、そして配置及びピン接続を容易にするために、可変光送受信部品1300及び1500の可変光フィルタ1320及び1520は、図3及び図4に示される可変光フィルタ300の構造を使用してもよい。もちろん、図5及び図6に示される可変光フィルタ500の構造も可変光フィルタ1120に適用可能であり、そして、図3及び図4に示される可変光フィルタ300の構造も可変光フィルタ1320及び1520に適用可能である、ということが理解されるべきである。
前述の説明は、本出願の単なる例示的な特定の実装方法を示すものであり、本出願の保護範囲を限定することは意図されていない。本出願において開示される技術的範囲内で当業者により容易に考案される如何なる変更及び置換も、本出願の保護範囲に属さなければならない。従って、本出願の保護範囲は、複数の特許請求項の保護範囲に従わなければならない。
本出願は、主に光通信技術に関連し、そして特に、可変光フィルタ、可変光学部品及び多波長受動光ネットワーク(Passive Optical Network、PON)システムに関連する。
受動光ネットワーク(PON)技術は、現在、主要なブロードバンドアクセス技術である。従来のPONシステムは、時分割多重(Time Division Multiplexing、TDM)メカニズムに基づいた、一地点対多地点(point−to−multipoint)のネットワークシステムである。図1を参照すると、一般に、PONシステムは、中央局に設置される光回線装置(Optical Line Terminal、OLT)、ユーザ側に設置される複数の光回線終端装置(Optical Network Unit、ONU)、及びOLTと複数のONUとの間の光分配ネットワーク(Optical Distribution Network、ODN)を含む。ODNは、複数のONUによる光伝送路の共有を可能とするために、OLTと複数のONUとの間の複数のデータ信号を分配又は多重化するために使用される。
TDMメカニズムに基づくPONシステムにおいて、OLTから複数のONUへの方向はダウンストリーム(下り回線)と呼ばれ、OLTは複数のONUにTDM方式でダウンストリームのデータストリームを送信し、各ONUはそのONUの識別子を送信するデータのみを受信する。複数のONUからOLTへの方向はアップストリーム(上り回線)と呼ばれる。全てのONUは、光伝送路を共有するので、複数のONUの間での競合を防ぐために、PONシステムは、上り回線方向で時分割多重アクセス(Time Division Multiple Access、TDMA)方式を使用する。すなわち、OLTは、各ONUにタイムスロットを割り当て、そして各ONUは、OLTにより割り当てられたタイムスロットに厳密に従って、アップストリームデータを送信する。
しかしながら、PONシステムは、TDMメカニズムの時分割特性による影響を受け、そしてユーザの利用可能な帯域幅は限定される。さらに、ファイバそのものの利用可能なデータ伝送率を効果的に使用することができない。従って、新しく出現するブロードバンドのネットワークアプリケーションのサービス要件を満たすことができない。このような問題を解決するため及び既存のPONシステムとの互換性を考慮して、産業界において、波長分割多重技術(Wavelength Division Multiplexing、WDM)とTDM技術とを統合した、ハイブリッドPONシステムが提唱されている。ハイブリッドPONシステムにおいては、データを受信及び送信するために、中央局のOLTとユーザ側の複数のONUとの間で、複数の波長チャネルが使用される。すなわち、ハイブリッドPONシステムは、多波長PONシステムである。
多波長PONシステムにおいて、OLTは、複数の波長チャネルを使用することにより、同時に実行されるデータの送信及び受信に対応する。各ONUは、複数の波長チャネルのうちの1つで別々に動作する。下り回線方向において、OLTは、ダウンストリームデータを波長チャネルで動作する複数のONUに送信するために、各波長チャネルに対応するダウンストリーム波長を使用する。上り回線方向において、各波長チャネルにおけるONUは、当該波長チャネルのアップストリーム波長を使用することにより、OLTにより割り当てられたタイムスロットにおいて、アップストリームデータをOLTに送信することができる。
保管コストを削減するために、ONUは、一般に、波長可変光学部品を使用することにより、データ受信及び送信を実行する。一例として、光受信部品が使用される。可変フィルタの動作波長と特定の温度範囲の温度との間には線形関係があるため、従来の光受信部品は、温度調整に基づく可変光フィルタを使用することにより、受信波長を可変としている。具体的には、典型的な可変光受信部品において、可変光フィルタは光受信部品の内部に直接的に配置され、かつ光検出器に隣接して設置され;ヒータ又は冷却器の温度調整手段により、可変光フィルタの動作波長を、ONUが現在動作しているダウンストリーム波長チャネルのダウンストリーム波長に調整することができる。マルチ波長の光信号が入射窓から光受信部品に入る場合、他のダウンストリーム波長の光信号が除外されるようにするために、可変光フィルタのフィルタ機能の手段により波長選択がまず実行され、そして当該ダウンストリーム波長の光信号だけが通過可能とされ、そして、例えば、光学電気変換を実行するためのアバランシェフォトダイオード(Avalanche Photo Diode、APD)などの光検出器に送信される。
しかしながら、一般的に、光検出器は温度に敏感な装置であるため、可変光フィルタが光受信部品の内部に配置される前述の可変光部品において、可変光フィルタの動作波長が温度制御の手段により調整される場合、温度制御により生成された熱は、光検出器の受信感度に悪影響を与える可能性があり、これにより、光学的受信機の性能が劣化する。
前述の問題を解決するために、本出願は、光検出器の受信感度を確かなものにできる可変光フィルタ、及び当該可変光部品を使用する光受信部品、光送信部品、及び多波長受動光ネットワークシステムを提供する。
可変光フィルタが提供され、かつ該可変光フィルタは:基板、可変フィルタ部、温度制御部、及び容器を備え、ここで:前記基板、前記可変フィルタ部、及び前記温度制御部は前記容器の内部に配置され、前記容器は光入射窓及び光出射窓を備え;前記基板は、前記光入射窓又は前記光出射窓に隣接して配置され、かつ前記可変フィルタ部を支持するように構成され;前記温度調整部は、前記可変フィルタ部の表面に配置され、かつ温度制御手段により前記可変フィルタ部のチャネル波長を調整するように構成され;かつ前記光入射窓の光路、前記可変フィルタ部の光路、及び前記光出射窓の光路は揃えられる。
光受信部品が提供され、該光受信部品は光ファイバアダプタ、可変光フィルタ、及び光受信サブモジュールを備え、前記可変光フィルタは上記可変光フィルタであり、かつ前記可変光フィルタは、前記光ファイバアダプタに接続される光ファイバから入力される光信号に対する波長選択を実行するように構成され、かつ前記波長選択の後に取得される前記光信号を前記光受信サブモジュールに与えるように構成される。
光送受信部品が提供され、かつ該光送受信部は光ファイバアダプタ、可変光フィルタ、光受信サブモジュール、光送信サブモジュール、及び基板ベースを備え、前記基板ベースは、前記光ファイバアダプタに接続される光ファイバに対して、前記光送信サブモジュールの送信される光を与えるように構成され、かつ前記可変光フィルタに前記光ファイバにより入力される受信される光を与えるように構成され;かつ前記可変光フィルタは、上記可変光フィルタであり、かつ前記可変光フィルタは前記受信される光に対して波長選択を実行するように構成され、かつ前記光受信サブモジュールに前記波長選択の後に取得される前記受信される光を与えるように構成される。
多波長受動光ネットワークシステムが提供され、かつ該多波長受動光ネットワークシステムは、1つ以上の光回線装置及び複数の光回線終端装置を備え、前記1つ以上の光回線装置は、光分配ネットワークを一地点対多地点方式で使用することにより、前記複数の光回線終端装置に接続され、かつ前記光回線終端装置は、上記可変光フィルタを備える。
本出願により提供される前記可変光フィルタ、前記光受信部品、前記光送受信部品、及び前記多波長受動光ネットワークシステムにおいて、前記可変光フィルタの前記可変フィルタ部及び前記温度制御部は別々に独立して前記容器の中に配置されため、及び前記容器の熱隔離機能の結果、前記温度制御部により実行される前記可変フィルタの温度調整は、温度に敏感な外部の他の装置(例えば、光検出器)に対して悪影響を及ぼさない。従って、複数の実施例により提供される前記可変光フィルタを用いる前記光部品及び前記多波長受動光ネットワークシステムの性能を確かなものとすることができる。
本発明の複数の実施例の複数の技術的手段をより明確に説明するために、当該複数の実施例を説明するために必要な添付図面を以下において簡単に紹介する。明らかに、以下の説明における添付の図面は、本発明いくつかの実施例を示すのみであり、当業者は、創造的な努力なしで、これらの添付図面から他の図面をさらに得ることができる。
時分割多重メカニズムに基づく受動光ネットワークシステムのネットワーク構成の概略図である。
本出願の本実施例に従う多波長受動光ネットワークシステムのネットワーク構成の概略図である。
本出願の実施例に従う可変光フィルタの側面図である。
図3に示される可変光フィルタの正面図である。
本出願の実施例に従う可変光フィルタの横断面図である。
図5に示される可変光フィルタの正面図である。
本出願の実施例に従う可変光フィルタを備える可変光受信部品の概略構成図である。
図7に示される可変光受信部品の構造の概略分解立体図である。
本出願の他の実施例に従う可変光フィルタを備える可変光受信部品の概略構成図である。
本出願の他の実施例に従う可変光フィルタを備える可変光受信部品の概略構成図である。
本出願の実施例に従う可変光フィルタを備える可変光受信部品の概略構成図である。
図11に示される可変光送受信部品の構成の概略分解立体図である。
本出願の他の実施例に従う可変光フィルタを備える可変光送受信部品の概略構成図である。
図13に示される可変光送受信部品の構成の概略分解立体図である。
本出願の他の実施例に従う可変光フィルタを備える可変光送受信部品の概略構成図である。
以下において、本発明の複数の実施例における複数の添付図面を参照して、本発明の複数の実施例における複数の技術的解決手段を明確かつ完全に説明する。明らかに、説明される複数の実施例は、本発明の複数の実施例の一部であり、全てではない。創造的努力なしで本発明の複数の実施例に基づき当業者により得られる全ての他の実施例は、本発明の保護範囲に属さなければならない。
本出願の実施例に従う多波長受動光ネットワークシステムのネットワーク構成の概略図である図2を参照する。多波長PONシステム100は、1つ以上の光回線装置(OLT)110、複数の光回線終端装置(ONU)120、及び1つの光分配ネットワーク(ODN)130を備える。ここで、OLT110は、ODN130を使用することにより、一地点対多地点方式で複数のONU120に接続され、そして複数のONU120はODN130の光伝送媒体を共有する。ODN130は、フィーダファイバ131、光分波モジュール132、及び複数のドロップファイバ133を含んでもよく、ここで光分波モジュール132は遠隔ノード(Remote Node、RN)に配置されてもよい。光分波モジュールは、一方において、フィーダファイバ131を使用することによりOLT110に接続され、かつ他方において、複数のドロップファイバ133を使用することにより複数のONU120に接続される。
多波長のPONシステム100において、OLT110と複数のONU120との間の通信リンクは、複数のアップストリーム波長チャネル及び複数のダウンストリーム波長チャネルを含んでもよい。下り回線方向において、複数のダウンリンク波長チャネルは、さらに、波長分割多重(WDM)方式で、ODNの光伝送媒体を共有し、各ONU120は、多波長のPONシステム100の複数のダウンストリーム波長チャネルのうちの1つにおいて動作してもよく、そして各ダウンストリーム波長チャネルは、1つ以上のONU120のダウンストリームサービスを送信してもよく;同じダウンストリーム波長チャネルで動作する複数のONU120は、時分割多重(TDM)方式でダウンストリーム波長チャネルを共有してもよい。上り回線方向において、複数のアップストリーム波長チャネルはODN130の光伝送媒体をWDM方式で共有し、各ONU120は、多波長のPONシステム100の複数のアップストリーム波長チャネルのうちの1つで動作してもよく、そして各アップストリーム波長チャネルは、1つ以上のONU120の複数のアップストリームサービスを送信してもよく;同じアップストリーム波長チャネルで動作する複数のONU120は、時分割多重アクセス(TDMA)方式でアップストリーム波長チャネルを共有してもよい。
本実施例において、図2に示されるように、多波長のPONシステム100が4つのアップストリーム波長チャネル及び4つのダウンストリーム波長チャネルを持つ例を使用することにより、説明が与えられる。実際の応用において、多波長のPONシステム100のアップストリーム及びダウンストリームの波長チャネルの数は、さらに、複数のネットワーク要件に従って決定されてもよい、ということが理解されるべきである。説明を容易にするために、本実施例において、多波長のPONシステム100の4つのアップストリームチャネルは、アップストリーム波長チャネル1(第1アップストリーム波長λu1を使用する)、アップストリーム波長チャネル2(第2アップストリーム波長λu2を使用する)、アップストリーム波長チャネル3(第3アップストリーム波長λu3を使用する)、及びアップストリーム波長チャネル4(第4アップストリーム波長λu4を使用する)として、別々に名付けら;多波長のPONシステム100の4つのダウンストリームチャネルは、ダウンストリーム波長チャネル1(第1ダウンストリーム波長λd1を使用する)、ダウンストリーム波長チャネル2(第2ダウンストリーム波長λd2を使用する)、ダウンストリーム波長チャネル3(第3ダウンストリーム波長λd3を使用する)、及びダウンストリーム波長チャネル4(第4ダウンストリーム波長λd4を使用する)として、別々に名付けられる。
一実施例において、図2を参照すると、OLT110は光結合器111、第1波長分割多重化部112、第2波長分割多重化部113、複数のダウンストリーム光送信部品Tx1からTx4、複数のアップストリーム光受信部品Rx1からRx4、及び処理モジュール114を備える。複数のダウンストリーム光送信部品Tx1からTx4は、第1波長分割多重化部112を使用して光結合器111に接続され、複数のアップストリーム光受信部品Rx1からRx4は、第2波長分割多重化部113を使用して光結合器111に接続され、そして結合器111は、さらに、ODN130のフィーダファイバ131に接続される。
送信波長は複数のダウンストリーム光送信部品Tx1からTx4の間で異なる。ダウンストリーム光送信部品Tx1からTx4はそれぞれ、多波長のPONシステム100の複数のダウンストリーム波長チャネルのうちの1つに対応してもよい。例えば、複数のダウンストリーム光送信部品Tx1からTx4の送信波長は、それぞれ、λd1からλd4であってもよい。ダウンストリームデータを対応する複数のダウンストリームチャネルで別々に送信して、複数のダウンストリームチャネルで動作する複数のONU120によりダウンストリームデータが受信されるようにするために、ダウンストリーム光送信部品Tx1からTx4は、それらそれぞれの送信波長λd1からλd4を使用してもよい。同様に、受信波長は複数のアップストリーム光受信部品Rx1からRx4の間で異なってもよい。また、アップストリーム光受信部品Rx1からRx4は、それぞれ、多波長受動光ネットワークシステム100の複数のアップストリーム波長チャネルのうちの1つに対応してもよい。例えば、複数のアップリンク光受信部品Rx1からRx4の受信波長は、それぞれ、λu1からλu4であってもよい。複数のアップストリーム光受信部品Rx1からRx4は、対応する複数のアップストリーム波長チャネルで動作する複数のONU120から送信されるアップストリームデータを受信するために、それらそれぞれの受信波長λu1からλu4を使用してもよい。
第1の波長分割多重化部112は:複数のダウンストリーム光送信部品Tx1からTx4により送信される、波長がλd1からλd4である、ダウンストリームデータについて波長分割多重化処理を実行し;かつODN130のフィーダファイバ131にダウンストリームデータを送信して、ODN130を越えて複数のONU120に対してダウンストリームデータを提供するために、光結合器111を使用するように構成される。また、光結合器111は、さらに、複数のONU120から到来し、かつその波長がλu1からλu4のアップストリームデータを第2波長分割多重化部113に与えるように構成されてもよく、そして第2波長分割多重化部113は、データ受信を実行するために、その波長がλu1からλu4であるアップストリームデータを、アップストリーム光受信部品Rx1からRx4に対して分離してもよい。
処理モジュール114は、メディアアクセス制御(Media Access Control、MAC)モジュールであってもよい。一方において、ONU120が動作するダウンストリーム波長チャネルに従って、ダウンストリーム光送信部品がダウンストリームデータを当該波長チャネル対して送信できるようにするために、処理モジュール114は、当該ダウンストリーム波長チャネルに対応するダウンストリーム光送信部品に対して、ONU120に送信されるダウンストリームデータを提供してもよい。他方において、処理モジュール114は、各アップストリーム光受信部品Rx1からRx4により受信されるアップストリームデータの処理を実行してもよい。
複数のONU120の複数の動作波長(複数のアップストリーム送信波長及び複数のダウンストリーム受信波長を含む)は可変である。特定の実施例において、ONU120は光結合器121、ダウンストリーム光受信部品122、アップストリーム光送信部品123、及び処理モジュール124を備えてもよい。ダウンストリーム光受信部品122及びアップストリーム光送信部品123の双方は、波長可変装置であり、かつ光結合器121を使用することにより、それらはONU120に対応するドロップファイバに接続されてもよい。一実施例において、ダウンストリーム光受信部品122及びアップストリーム光送信部品123は、さらに、同じ光送信部品の中に配置されてもよく、例えば、単一ファイバ双方向光送受信部品の中に配置されてもよい。一方において、光結合器121は、アップストリームデータをODN130を越えてOLT110に送信するために、ODN130のドロップファイバ133に、アップストリーム光送信部品123により送信されるアップストリームデータを提供してもよい。他方において、光結合器121は、さらに、データ受信を実行するために、ダウンストリーム光受信部品122に、OLT110によりODN130を越えて送信されるダウンストリームデータを提供してもよい。
処理モジュール124は、MACモジュールであってもよく、それは、一方で、要求に従って、波長の調整を実行するために、ダウンストリーム光受信部品122及びアップストリーム光送信部品123を制御してもよく、そして他方で、アップストリーム光送信部品123が、対応するアップストリーム波長チャネルを介して、アップストリームデータをOLT110に送信し、そして処理モジュール124が、ダウンストリーム光受信部品122により受信されるダウンストリームデータの処理を実行できるようにするために、特定のタイムスロットの中で、アップストリーム光送信部品123に、OLT110に対して送信されるアップストリームデータを提供してもよい。
多波長のPONシステムにおいて、ONU120のダウンストリーム光受信部品122は、本出願により提供される可変光ファイバを使用することにより、受信波長を可変としてもよい。また、本出願は、可変光ファイバに基づき、さらに、ONU120のダウンストリーム受信部品122に適用可能な可変光受信部品及び可変光送受信部品を提供する。
図3及び図4を参照する。図3は、本出願の実施例に従う可変光フィルタの側面図であり、図4は、図3に示される可変光フィルタの正面図である。可変光フィルタ300は、ベース310、基板320、可変フィルタ部330、温度制御部340、温度センサ350、及び容器380を含んでもよい。
基板320、可変フィルタ部330、温度制御部340、及び温度センサ350は、容器380の中に配置されてもよく、ここで、容器380は、円筒状の金属ケースであってもよく、かつ底に配置される開口を有してもよく、そしてベース310は、容器の開口部に埋め込まれ、かつ取り付けられてもよく、これにより容器380による一つの密閉収容空間を形成する。代替的に、容器380は、また、直方体のケース又は他の形のケースであってもよい。さらに、特定の実施例において、収容空間はシンクであってもよく、或いは窒素又は不活性ガスで満たされていてもよい。ベース310は、金属材料で作られてもよく、そして複数のピン311を別々に収容及び固定するように構成される複数の貫通孔を有してもよい。複数のピン311は、温度制御部340及び温度センサ350に電力を供給するように構成されてもよい。特定の実施例において、ベース310が金属材料で作られている場合、複数のピン311とベース310との間、及び複数のピン311の間の電気的な絶縁を実現するために、貫通孔の内部には絶縁材料、が充填されてもよく、例えば、ガラス充填剤がベース310と複数のピン311との間に置かれてもよい。図3に示される実施例において、ベース310は、それぞれ、第1のピン、第2のピン、及び第3のピンと呼ばれる、3つのピンを有する。特定の実施において、ピンの数は、必要に応じて決められてもよい、ということが理解されるべきである。
基板320は、容器380の複数の内面のうちの一つ(すなわち、第1の内面)に固定されており、可変フィルタ部330を支持するように構成されている。一実施例において、基板320は、セラミック材料でつくられてもよい。セラミック材料は遮光性であるため、光線が基板を通過し、かつ可変フィルタ部330に入射できるようにするために、基板320をデバイス要件に従って円形構造として設計してもよく、例えば、基板320の中心からの延長により光透過領域322が形成されるようにするために、環状構造として設計してもよい。これに対応して、容器380の中で、第1の窓381が第1の内面の光透過領域322に対応する領域に形成され、そして第2の窓382が第1の内面の反対側の他の内面(すなわち、第2の内面)に形成される。第1の窓381及び第2の窓382は、それぞれ、光入射窓及び光出射窓としての役割を果たしてもよく、かつその双方に、例えば、ガラス材料又は低い光挿入損失を有し、かつ高温に耐えることができる他の材料などの、透明な材料が埋め込まれてもよい。
可変フィルタ部330は、基板320の表面上に配置され、円形、長方形又は他の形状(図3に示される実施例においては、長方形の形状が例として用いられている)であってもよく、かつ少なくとも部分的に光透過領域322をカバーし;第1の窓381から入射し、光透過領域322を通過した光が可変フィルタ部330に入射できるようにするために、可変フィルタ部330、第1の窓381、光透過領域322、及び第2の窓382の各光路は揃えられている。特定の実施例において、可変フィルタ部330は、例えば、可変薄膜光フィルタ装置などの、温度に基づく可変光フィルタ装置であってもよい。特定の温度範囲内では、可変フィルタ部330のチャネル波長と温度との間に対応関係がある。他の代替実施例において、可変フィルタ部330は、さらに、他の種類の可変フィルタ装置、例えば、液晶可変フィルタ、分布ブラッグ反射型(Distributed Bragg Reflective、DBR)可変フィルタ、ファイバ・ブラッグ・グレーティング(Fiber Bragg Grating、FBG)可変フィルタ、音響光学可変フィルタ、又は微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical System、MEMS)に基づく可変フィルタであってもよい。
可変フィルタ部330の表面の一方は、基板320と接触してもよく、かつ温度制御部340は、可変フィルタ部330の他の表面上に設置されてもよい。温度制御部340は、ヒータ(heater)又は熱電冷却器(Thermo Electric Cooler、TEC)であってもよく、そして温度制御部340は、波長要件に従って加熱又は冷却するといった温度制御方法で、可変フィルタ部330のチャネル波長を調整するように構成される。
ヒータは一例として使用されている。一実施例において、温度制御部340は、可変フィルタ部330の表面に取り付けられる光透過薄膜で作られてもよい。他の実施例において、温度制御部340は、また、非透明材料で作られてもよい。この場合、可変フィルタ部330ができるだけ均一に加熱されるようにするために、温度制御部340は、環状構造、例えば、リング形状、楕円環状形状、又は矩形環状形状であってもよい。円形構造である温度制御部340の中央の光透過領域及び可変フィルタ部330は揃えられており(すなわち、温度制御部340、第1の窓381、基板320の光透過領域322、及び第2の窓382は揃えられている)、温度制御部340の中央の光透過領域のサイズは、可変フィルタ部330によるフィルタ後に出力される光信号のフレアのサイズよりも大きい。
特定の実施例において、温度制御部340は、さらに、端子341を備え、ここで、端子341は、温度制御部340の底部に配置されてもよく、つまり、ベース310に隣接して配置され、そして端子341は、金属の導線を使用して、ベース310のピンに接続されてもよい。図3に示される実施例において、例として、2つの端子341が使用され、ここで、2つの端子341は、別々に、基板310の第1のピン及び第2のピンと接続されている。温度制御部340を駆動し、可変フィルタ部330の加熱又は冷却を実行するために、端子341は、第1のピン及び第2のピンからの電力信号を受信するように構成される。
温度センサ350は、サーミスタ又は可変フィルタ部330の温度を監視するように構成される他の温度に敏感な装置であってもよく、そして基板320の底部の表面に配置され、かつベース310に隣接して配置される。一方において、第3のピンからの電力信号を受信して温度検出を行うために、温度センサ350は、金属導線を使用することによりベース310の第3のピンと接続されてもよく;他方において、可変フィルタ部330の検出された温度に従って、温度制御部340を制御し、波長の調整又は可変フィルタ部330のロッキングを行うために、温度センサ350は、温度制御部340の端子341に接続されてもよい。
特定の応用において、可変光フィルタ300により現在必要とされる動作波長がλiであると仮定して、可変フィルタ部330のチャネル波長は、温度制御部340により、可変フィルタ部330の温度を制御することにより、動作波長λiに調整されてもよい。複数の波長(例えば、λ1からλn)を有する入射光線が第1の窓381を介して可変光フィルタ300の容器380に入射し、基板320の光透過領域322を通過し、かつ可変フィルタ部330に到達可能である場合、波長選択機能により、可変フィルタ部330は、波長λiを有する光信号以外の入力光線の中の光信号を除去することができ、そして波長λiを有する光信号だけが可変フィルタ部330を通過し、かつ第2の窓382から出射される出射光を形成し、そして波長λiを有する光信号は、さらに、他の外部の装置(例えば光検出器)により受信される。
前述の実施例により提供される可変光フィルタ300は、容器の内部に独立して配置される。容器380の温度遮断機能により、温度制御部340により実行される可変フィルタ部330の温度調整は、他の外部の温度に敏感な装置(例えば、光検出器)に対して悪影響を与えない。従って、前述の実施例により提供される可変光フィルタ300を使用する光部品の性能を確かなものとすることができる。
図5及び図6を参照する。図5は、本出願の他の実施例に従う可変光フィルタの横断面図であり、そして図6は図5に示される可変光フィルタの正面図である。図5及び図6に示される可変光フィルタ500の構造は、図3及び図4に示される可変光フィルタ300の構造と同様である。しかしながら、図5及び図6に示される可変光フィルタ500と図3及び図4に示される可変光フィルタ300との間の主な違いは、可変フィルタ500が可変フィルタ300のベース310を有しないという点にある。また、それに対応して、複数のピン511を収容及び固定するように構成される複数の貫通孔は、可変光フィルタ500の容器580の底部に配置され、そして複数のピン511と容器580の間、及び複数のピン511の間の電気的絶縁を実現するために、複数の貫通孔の内部には絶縁材が充填される。可変フィルタ300と比較して、ベースがないので、図5に示される構造を用いる可変光フィルタ500は小型にすることが可能であり、かつ複数のピン511の位置をより柔軟に設定することが可能であり、そして容器580の底部に配置することには限定されない。例えば、他の代替実施例において、可変光フィルタ500をさらに集積化し、かつ光部品の内部に設置できるようにするために、複数のピン511のうちのいくつかは容器580の側壁、例えば、基板520と接する第1の側壁、又は第1の側壁の反対側の第2の側壁、に配置されてもよい。
図3から図6に示される可変光フィルタ300及び500に基づき、本出願は、さらに、可変光受信部品を提供する。当該可変光受信部品は、図2に示される多波長受動光ネットワークシステム100における複数のONU120に対して適用することが可能である。
図7及び図8を参照する。図7は、本出願の実施例に従う可変光フィルタを有する可変光受信部品700の概略構成図であり、そして図8は、図7に示される可変光受信部品700の概略分解立体図である。可変光受信部品700は、光ファイバアダプタ710、可変光フィルタ720、及び光受信サブモジュール730を備える。可変光フィルタ720は、図3及び図4に示される可変光フィルタ300又は図5及び図6に示される可変光フィルタ500であってもよい。可変光フィルタ720の具体的な構造については、上述の実施例の説明を参照する。以下においては、可変光フィルタ720と光ファイバアダプタ710との間、及び可変光フィルタ720と光受信サブモジュール730との間の構造関係だけが説明される。
可変光フィルタ720は、容器780を備え、ここで容器780は、互いに対向する第1の側壁及び第2の側壁を含み、そして光入射窓としての役割を果たす第1の窓781と光出射窓としての役割を果たす第2の窓782は2つの側壁において別々に配置され、第1の窓781の光路と第2の窓782の光路は揃えられている。
光ファイバアダプタ710は、接続部711、コリメーションレンズ712、及びチューブ713を備える。接続部711は、可変光フィルタ720の容器780の第1側壁に接続及び固定され、そしてチューブ713は、可変光フィルタ720に隣接する表面の反対側である接続部711の表面に配置されてもよい。チューブ713は、光ファイバ収容キャビティ714を有し、ここで、光ファイバ収容キャビティ714は、可変光フィルタ720の第1の窓781と揃えられ、そして光ファイバ収容キャビティ714は、光ファイバ715を収容するように構成され、例えば、光ファイバ715のフェルールは、チューブ713の光ファイバ収容キャビティ714の内部に完全に挿入されてもよく(つまり、ピグテールは外部に残されない)、そしてフェルールのケーブル心線は、基本的に、第1の窓781の中心に揃えられる。コリメーションレンズ712は、接続部711とチューブ713との間に配置される。例えば、コリメーションレンズ712は、部分的に接続部711の表面に埋め込まれ、かつ部分的にチューブ713の光ファイバ収容キャビティ714の底部に収容され、かつ光ファイバ715により出力されるテーパ状の光を平行光に変換して、光ファイバ715からの全ての出力光が、基本的に第1の窓781を介して可変光フィルタに入力されることを可能とするために、光ファイバ収容キャビティ714の光ファイバ715からの出力光にコリメーション処理を行うように構成されてもよい。
光受信サブモジュール730は、ケース731、ベース732、レンズ733、及び光検出器734を備えてもよく、ここで、ケース731は、ベース732の上に設置され、かつベース732を含む密閉収容空間を形成し、そして光検出器734を収容するように構成される。光検出器734は、基板735及び光受信チップ736を備えてもよく、ここで基板735は、ベース732の内面上に配置され、かつ光受信チップ736を保持するように構成される。光受信チップ736の光路及び可変光フィルタ720の容器780の窓782の光路は揃えられ、そして光受信チップ736は、可変光フィルタ720での波長変換の実行後に第2の窓782から出射される光信号の光学電気変換を実行するように構成される。レンズ733は、ケース731の光入射面の上に配置されてもよく、レンズ733の光路と第2の窓782の光路とは揃えられ、そしてレンズ733は、第2の窓782から出射される光信号を光受信チップ736にて変換するように構成される。また、光受信サブモジュール730は、さらに、複数のピン737を備えてもよく、ここで、複数のピン737は、光検出器734に接続され、かつベース732から延びている。複数のピン737は、一方では、光検出器734の光受信チップ736に電力を供給してもよく、そして他方では、光受信チップ736により実行される光学電気変換の手段により形成される電気信号を他の外部装置に出力してもよい。
特定の実施例において、光受信サブモジュール730は、金属リング740を使用することにより、可変光フィルタ720の上に固定されてもよい。例えば、ケース731の光入射面を可変光フィルタ720の第2側壁の反対側とし、そしてレンズ733の光路と第2の窓782の光路とが揃えられるようにするために、金属リング740は、部分的に可変光フィルタ720に設置され、かつ部分的に光受信サブモジュール730に設置されてもよい。他の代替実施例において、他の留め具が光サブモジュール730を可変光フィルタ720に固定することができ、かつそれらを互いに揃えることができる限り、金属リング740は、また、当該他の留め具に置き換えられてもよい、ということが理解されるべきである。
図9を参照する。図9は、本出願の他の実施例に従う可変光フィルタを有する可変光受信部品の概略構成図である。図9に示される可変光受信部品800の構造は、図7及び図8に示される可変光受信部品700の構造と同様であり、そして主な相違は、図9に示される可変光受信部品800の光ファイバアダプタ810において、光ファイバ815の一部だけがチューブ813の光ファイバ収容キャビティの内部に収容され、他の部分は光ファイバ収容キャビティの上部から延びてピグテールを形成する、という点にある。
図10を参照する。図10は、本出願の他の実施例に従う可変光フィルタを有する可変光受信部品の概略構成図である。図10に示される可変光受信部品900の構造は、図7及び図8に示される可変光受信部品700の構造と同様であり、そして主な相違は、図9に示される可変光受信部品900の光ファイバアダプタ910は、コリメーションレンズを持たない、という点にある。コリメーションレンズがない場合、チューブ913に収容される光ファイバ915からの出力光は、テーパ状の光の形で直接可変光フィルタ920に入射する。
図7から図10に示される可変光受信部品700、800、及び900において、好適には、配置及びピン接続を容易にするために、可変光フィルタ720、820及び920は、図3及び図4に示される可変光フィルタ300の構造を使用してもよい。もちろん、図5及び図6に示される可変光フィルタ500の構造もまた使用することも可能である、ということが理解されるべきである。
図3から図6に示される可変光フィルタ300及び500に基づき、本出願は、さらに、可変光送受信部品を提供する。可変光送受信部品は、図2に示される多波長受動光ネットワークシステム100における複数のONU120に適用可能である。
図11及び図12を参照する。図11は、本出願の実施例に従う可変光フィルタを有する可変光送受信部品の概略構成図であり、そして図12は、図11に示される可変光送受信部品の構造の概略立体分解図である。図11に示される可変光送受信部品1100は、光ファイバアダプタ1110、可変光フィルタ1120、光受信サブモジュール1130、光送信サブモジュール1140、及び基板ベース1150を備える。図3及び図4に示される可変光フィルタ300又は図5及び図6に示される可変光フィルタ500を可変光フィルタ1120として使用してもよい。可変光フィルタ1120の具体的な構造については、関連する複数の実施例の説明を参照する。図7に示される光受信サブモジュールを、光受信サブモジュール1130として使用してもよい。光受信サブモジュール1130の具体的な構造についても、関連する複数の実施例の説明を参照する。
基板ベース1150は、第1側壁1151、第1側壁1151に隣接する第2側壁1152、第1側壁1151に対向する第3側壁1153、及び第2側壁1152に対向する第4側壁1154を備え、ここで、第1側壁1151、第2側壁1152、第3側壁1153、第4側壁1154は、正方形の台を形成するために、その端と端が接続される。第1側壁1151、第2側壁1152、及び第3側壁1153は、それぞれ光送信窓を有する。
光ファイバアダプタ1110は、基板ベース1150の第1側壁1151に接続及び固定される。光ファイバアダプタ1110は、コリメーションレンズ1112及びチューブ1113を有してもよく、ここで、チューブ1113は基板ベース1150の第1側壁1151に取り付けられてもよく、チューブ1113は光ファイバ1115を収容するように構成される光ファイバ収容キャビティ1114を有し、そして光ファイバ収容キャビティ1114は、第1側壁1151の光送信窓に揃えられる。一実施例において、光ファイバ1115のフェルールは、チューブ1113の光ファイバ収容キャビティの内部に完全に挿入されてもよく(つまり、ピグテールは外部に残されない)、そしてフェルールのケーブル心線は、基本的に、第1側壁1151の光送信窓の中心に揃えられる。コリメーションレンズ1112は、基板ベース1150の第1側壁1151とチューブ1113との間に配置される。例えば、コリメーションレンズ1112は、部分的に第1側壁1151に埋め込まれ、かつ部分的にチューブ1113の光ファイバ収容キャビティ1114の底部に収容され、そして光ファイバ収容キャビティ1114の光ファイバ1115からの出力光にコリメーション処理を行うように構成される。また、コリメーションレンズ1112は、さらに、出射光を光ファイバ1115に収束させてもよい。
可変光フィルタ1120は、容器1180を含んでもよく、ここで、容器1180は、互いに対向する第1側壁及び第2側壁を備え、そして光入射窓としての役割を果たす第1の窓1181と光出射窓としての役割を果たす第2の窓1182は、それぞれ、2つの側壁に配置され、ここで、第1の窓1181の光路及び第2の窓1182の光路は揃えられる。容器1180の第2側壁は基板ベース1150の第2側壁1152に取り付け及び固定されてもよく、第1の窓1181は第2側壁1152の光送信窓に揃えられる。
光受信サブモジュール1130は、ケース1131、チューブホルダ1132、第1レンズ1133、及び光検出器1134を備える。ここで、光検出器1134は、ケース1131及びチューブホルダ1132により共同で形成される収容空間の中に配置される。第1レンズ1133は、ケース1131の光入射平面上に配置されてもよく、そして可変フィルタ1120の容器1180の第2側壁に対向して配置される。そして、第2の窓1182の光路、第1のレンズ1133の光路、及び光検出器1134の光路が揃えられるようにするために、光受信サブモジュール1130は、金属リングを使用することにより、可変光フィルタ1120に固定されてもよい。
光送信サブモジュール1140は、ケース1141、ベース1142、第2レンズ1143、及び光送信器1144を備えてもよい。ここで、光送信器1144は、ケース1141及びチューブホルダ1142により共同で形成される収容空間の内部に配置され、例えば、光送信器1144は、チューブホルダ1142の表面に配置され、そして光送信サブモジュール1140の光が出射される方向に面して配置される。ケース1141の光出射面は、基板ベース1150の第3側壁1153に取り付け及び固定されてもよい。第2レンズ1143は、ケース1141の光出射面上に配置されてもよく、そして光送信器1144により送信される光信号を収束させ、かつ第3側壁1153の光送信窓を介して基板ベース1150に光信号を入力するように構成されてもよい。光送信器1144の光路、第2レンズ1143の光路、及び第3側壁1153の光送信窓の光路は揃えられる。また、光送信サブモジュール1140は、さらに、複数のピン1147を備えてもよく、ここで、複数のピン1147は、光送信器1144に接続され、かつベース1142から延び、そして一方において、複数のピン1147は、光送信器1144に電力を供給してもよく、かつ他方において、光送信器1144が送信されるデータを光信号の方法で送信できるようにするために、光送信器1144の送信されるデータを光送信器1144に提供してもよい。
また、波長分割多重(Wavelength Division Multiplexing、WDM)フィルタリングシート1155が、さらに、基板ベース1150の内部に配置されてもよい。ここで、波長分割多重フィルタリングシート1155は、約45度の傾斜角で基板ベース1150の中心位置に配置されてもよく、かつ基板ベース1150の第1側壁1151、第2側壁1152、及び第3側壁1153に対向する。一方において、WDMフィルタリングシート1155は、光ファイバ1115を使用して出射光を送信するために、光送信器1144から到来し、かつ第3側壁1153の光送信窓を介して基板ベース1150に入った出射光を、第1側壁1151の光送信窓に対して送信してもよい。他方において、WDMフィルタリングシート1155は、さらに、受信した光が光受信サブモジュール1130の光検出器1134により受信されるようにするために、光ファイバ1115から出力され、かつ第1側壁1151の光送信窓を介して基板ベース1150に入った受信した光を第2側壁1152の光送信窓に対して反射してもよい。
図13及び図14を参照する。図13は、本出願の他の実施例に従う可変光フィルタを有する可変光送受信部品の概略構成図であり、そして図14は、図13に示される可変光送受信部品の構造の概略分解立体図である。図13に示される可変光送受信部品1300の構造は、図11に示される可変光送受信部品1100の構造と同様であり、主な相違は、可変光送受信部品1300において、可変光フィルタ1320は、基板ベース1350の第2側壁1352と光受信サブモジュール1330との間には配置されず、光受信サブモジュール1330の受信光路に沿って、直接、基板ベース1350の内部に配置される、という点にある。また、可変光フィルタ1320への電力の供給を容易にするために、本実施例において、可変光送受信部品1300は、さらに、基板ベース1350の第4側壁1354の上に配置された外部ピン1360を備え、そして可変光フィルタ1320のピン1322は、基板ベース1350の内部導線を使用することにより、外部チューブホルダ1360のピン1361に接続されてもよい。
図15は、本出願の他の実施例に従う可変光フィルタを有する可変光送受信部品の概略構成図である。図15に示される可変光送受信部品1500の構造は、図13に示される可変光送受信部品1300の構造と同様であり、そして主な相違は、可変光送受信部品1500の光ファイバアダプタ1510は、コリメーションレンズを有さず、そしてそれに対応して、チューブ1513の光ファイバ収容キャビティ1514の中に収容される光ファイバ1515のフェルール部は、基板ベース1550の第1側壁1551の光送信窓を通過し、かつ基板ベース1550に入っている、という点にある。
図11から図15に示される可変光送受信部品1100、1300、及び1500において、好適には、可変光送受信部品1100の可変光フィルタ1120は、図3及び図4に示される可変光フィルタ300の構造を使用してもよく、そして配置及びピン接続を容易にするために、可変光送受信部品1300及び1500の可変光フィルタ1320及び1520は、図5及び図6に示される可変光フィルタ500の構造を使用してもよい。もちろん、図5及び図6に示される可変光フィルタ500の構造も可変光フィルタ1120に適用可能であり、そして、図3及び図4に示される可変光フィルタ300の構造も可変光フィルタ1320及び1520に適用可能である、ということが理解されるべきである。
前述の説明は、本出願の単なる例示的な特定の実装方法を示すものであり、本出願の保護範囲を限定することは意図されていない。本出願において開示される技術的範囲内で当業者により容易に考案される如何なる変更及び置換も、本出願の保護範囲に属さなければならない。従って、本出願の保護範囲は、複数の特許請求項の保護範囲に従わなければならない。