JP2015515470A - 脱毛障害を処置するための方法 - Google Patents

脱毛障害を処置するための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、JAK3阻害剤の投与によって被験体において脱毛障害を処置するための方法を提供する。【選択図】図1

Description

円形脱毛症(AA)は、最も広く蔓延している自己免疫疾患のうちの1つであり、米国では500万人を超える個体に影響を及ぼし、世界中では1400万人もの個体に影響を及ぼしている。AAは、毛包の免疫特権の崩壊及びその後の自己免疫性破壊に起因する脱毛をもたらす。AAは、頭皮及び他の場所において脱毛をもたらす皮膚疾患である。一部の重篤な症例では、AAは、頭部又は体における完全な脱毛へと進行し得る。円形脱毛症は、自己免疫により引き起こされると考えられるが、遺伝子レベルの診断及び合理的な標的に対する治療は開発されていない。AAの遺伝的基礎は、ほとんど知られていない。罹患した患者、特に、小児における心理的影響は、衝撃的なものである。
本発明の一態様は、それを必要とする哺乳動物被験体における脱毛障害を処置する方法であって、サイトカインシグナル伝達に関与するタンパク質チロシンキナーゼ(PTK)の阻害剤を、被験体に投与するステップを含む上記方法を包含する。一実施形態では、阻害剤は、Jak3阻害剤である。一実施形態では、阻害剤は、トファシチニブ(CP690550)である。別の実施形態では、脱毛障害は、男性型脱毛症、休止期脱毛、円形脱毛症、頭部白癬、完全脱毛症、貧毛症、遺伝性単純型貧毛症(hereditary hypotrichosis simplex)、又は全身性脱毛症を含む。一実施形態では、該方法は、投与された阻害剤が、脱毛障害に罹患している被験体における毛の成長を、阻害剤による処置の前における被験体の毛の成長と比較して誘導したのかどうかを決定するステップをさらに含む。一実施形態では、阻害剤は、Jak3タンパク質若しくはその断片に特異的に結合する抗体;Jak3タンパク質をコードする遺伝子の発現を低下させるアンチセンスRNA若しくはアンチセンスDNA;Jak3タンパク質の発現を低下させるアンチセンスRNA若しくはアンチセンスDNA;Jak3遺伝子を特異的にターゲティングするsiRNA;低分子;又はこれらの組合せである。一実施形態では、低分子は、Janex 1 (WHI-P131)、PF-956980、WHI-P154、トファシチニブ(CP690550)、VX-509、JAK3阻害剤IV、NSC114792、又はR348である。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号1を含むタンパク質に特異的に結合する。別の実施形態では、siRNAは、配列番号2を含むヒト核酸配列を指向する。いくつかの実施形態では、Jak3遺伝子を指向するsiRNAは、表1に列挙する配列のうちのいずれか1つである。さらなる実施形態では、投与は、皮下、筋肉内、
腹腔内、若しくは静脈内注射;注入;経口、経鼻、若しくは局所送達;又はそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、投与は、毎日、毎週、毎週2回、毎月、毎月2回、又は毎年施す。いくつかの実施形態では、Jak3阻害剤は、1週間当たり1回、1週間当たり2回、1週間当たり3回、1週間当たり4回、1週間当たり5回、1週間当たり6回、1週間当たり7回、1週間当たり8回、1週間当たり9回、1週間当たり10回、1週間当たり9回、1週間当たり10回、1週間当たり11回、1週間当たり12回、1週間当たり13回、又は1週間当たり14回投与する。他の実施形態では、被験体に、Jak3阻害剤を、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、又は少なくとも16週間にわたり投与する。いくつかの実施形態では、該方法は、Jak1/2阻害剤を被験体に投与するステップをさらに含む。さらなる実施形態では、JAK1/2阻害剤を投与するステップは、Jak3阻害剤の投与と同時に行う。さらに他の実施形態では、JAK1/2阻害剤を投与するステップは、Jak3阻害剤の投与と共に任意の順序で経時的に行う。いくつかの実施形態では、Jak1/2阻害剤は、INCB 018424、GLPG0634、AG490、CYT387、SB1518、LY3009104 (バリシチニブ; INCB28050)、AZD1480、TG101348、BMS-911543、又はCEP-701である。
本発明の一態様は、被験体における毛の成長を誘導するための方法であって、被験体に、有効量の、サイトカインシグナル伝達に関与するタンパク質チロシンキナーゼ(PTK)の阻害剤を投与するステップを含む上記方法を提供する。一実施形態では、阻害剤は、Jak3阻害剤である。一実施形態では、阻害剤は、トファシチニブ(CP690550)である。別の実施形態では、脱毛障害は、男性型脱毛症、休止期脱毛、円形脱毛症、頭部白癬、完全脱毛症、貧毛症、遺伝性単純型貧毛症、又は全身性脱毛症を含む。一実施形態では、該方法は、
投与された阻害剤が、脱毛障害に罹患している被験体における毛の成長を、阻害剤による処置の前における被験体の毛の成長と比較して誘導したのかどうかを決定するステップをさらに含む。一実施形態では、阻害剤は、Jak3タンパク質若しくはその断片に特異的に結合する抗体;Jak3タンパク質をコードする遺伝子の発現を低下させるアンチセンスRNA若しくはアンチセンスDNA;Jak3タンパク質の発現を低下させるアンチセンスRNA若しくはアンチセンスDNA;Jak3遺伝子を特異的にターゲティングするsiRNA;低分子;又はそれらの組合せである。一実施形態では、低分子は、Janex 1 (WHI-P131)、PF-956980、WHI-P154、トファシチニブ(CP690550)、VX-509、JAK3阻害剤IV、NSC114792、又はR348である。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号1を含むタンパク質に特異的に結合する。別の実施形態では、siRNAは、配列番号2を含むヒト核酸配列を指向する。いくつかの実施形態では、Jak3遺伝子を指向するsiRNAは、表1に列挙する配列のうちのいずれか1つである。さらなる実施形態では、投与は、皮下、筋肉内、腹腔内、若しくは静脈内注射;注入;経口、経鼻、若しくは局所送達;又はそれれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、投与は、毎日、毎週、毎週2回、毎月、毎月2回、又は毎年施す。いくつかの実施形態では、Jak3阻害剤は、1週間当たり1回、1週間当たり2回、1週間当たり3回、1週間当たり4回、1週間当たり5回、1週間当たり6回、1週間当たり7回、1週間当たり8回、1週間当たり9回、1週間当たり10回、1週間当たり9回、1週間当たり10回、1週間当たり11回、1週間当たり12回、1週間当たり13回、又は1週間当たり14回投与する。他の実施形態では、被験体に、Jak3阻害剤を、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、又は少なくとも16週間にわたり投与する。いくつかの実施形態では、該方法は、Jak1/2阻害剤を被験体に投与するステップをさらに含む。さらなる実施形態では、JAK1/2阻害剤を投与するステップは、Jak3阻害剤の投与と同時に行う。さらに他の実施形態では、JAK1/2阻害剤を投与するステップを、Jak3阻害剤の投与と共に任意の順序で経時的に行う。いくつかの実施形態では、Jak1/2阻害剤は、INCB 018424、GLPG0634、AG490、CYT387、SB1518、LY3009104 (バリシチニブ; INCB28050)、TG101348、BMS-911543、又はCEP-701である。
Jak3阻害剤(トファシチニブ; CP-69055)によるマウスの処置により、円形脱毛症(AA)が防止されることを示す図である。 処置と関連する真皮内のT細胞浸潤及び炎症性バイオマーカーの消失を、免疫染色(図2A)及びフローサイトメトリー(図2B)により示す図である。AA皮膚内の真皮細胞の最大25%を表すCD8+ NKG2D+ T細胞が、処置により完全に消失する。フローサイトメトリーは、皮膚に由来する単一細胞懸濁液についてのフローサイトメトリーである。右上の象限内の細胞は、CD8+NKG2D+エフェクターT細胞であり、健常マウスでは観察されない。CD8+NKG2D+エフェクターT細胞は、皮膚移植後の脱毛症マウスにおいて見出される。Jak3阻害剤で処置されたマウスは脱毛症を発症せず、それらマウスの皮膚は、これらの細胞を欠いている。 図2Aと同じ。 図2Aと同じ。 処置と関連する皮膚リンパ節(LN)内のIFN-γ産生性「NK型」CD8T細胞の消失、及び循環IFN誘導性ケモカインの喪失を示すグラフである。左パネルの棒グラフは、CD8.NKG2A/C/D/E.IFNγについて染色された、個々に処置されたマウス及び処置されなかったマウスに由来するPMA/Ionoで刺激されたLN細胞についての細胞内フローサイトメトリーを示す。1群当たり2匹のマウスを示す。 C3H/HeJ移植レシピエントを、Jak3阻害剤(右パネル)又はPBSで処置したことを示すリボンダイアグラムである。RNAを、処置の6週間後(w6)及び13週間後(w13)に採取された皮膚から、また偽手術を受けたマウスからも抽出し、その後マイクロアレイ解析により調べた。 クリームだけによる局所処置の前(上段パネル)及び後(9日後(中段パネル)及び30日後(下段パネル))におけるマウスの写真を示す図である。 Jak3阻害剤であるトファシチニブによる局所処置の前(上段パネル)及び後(9日後(中段パネル)及び30日後(下段パネル))におけるマウスの写真を示す図である。 Jak3阻害剤であるトファシチニブを伴わない対照注入の前(上段パネル)及び後(5週間後(中段パネル)及び10週間後(下段パネル))におけるマウスの写真を示す図である。 Jak3阻害剤であるトファシチニブを伴うポンプ注入の前(上段パネル)及び後(5週間後(中段パネル)及び10週間後(下段パネル))におけるマウスの写真を示す図である。 処置と関連する真皮内のT細胞浸潤及び炎症性バイオマーカーの消失を、フローサイトメトリーにより示す図である。フローサイトメトリーは、リンパ節細胞についてのフローサイトメトリーである。右上の象限内の細胞は、CD8+NKG2D+エフェクターT細胞を表しており、健常マウスでは観察されない。CD8+NKG2D+エフェクターT細胞は、皮膚移植後の脱毛症マウスにおいて見出される。Jak3阻害剤で処置された脱毛症マウスは毛の再成長を示し、それらマウスのリンパ節は、これらの細胞を欠いている。 図9−1と同じ。 NKG2D「ストレスリガンド」が毛包内で上方制御されることを示す図であり、ヒト及びマウスにおける共通の発症機序を示す。 CD8+ NKG2D+ T細胞が毛包に浸潤することを示す免疫染色の顕微鏡写真を示す図であり、ヒト及びマウスにおける共通の発症機序を示す。 NKG2D+ CD8+ T細胞が主要な浸潤細胞であることを示すフローサイトメトリー解析を示す図であり、ヒト及びマウスにおける共通の発症機序を示す(例えば、皮膚から溢出T細胞を単離するための方法について報告する、Clarkら(2006)、J Invest Dermatol.、126(5):1059〜70を参照されたい)。 図12−1と同じ。 比較トランスクリプトミクスが、共通のIFN応答サインを明らかにすることを示す図であり、ヒト及びマウスにおける共通の発症機序を示す。 CD8+NKG2D+細胞傷害性T細胞が、NK型受容体を保有するIFN-ガンマ産生細胞であることを表すプロットを示す図である。 図14−1と同じ。 NK型CD8T細胞が、円形脱毛症のT細胞移植に必要とされることを示す図である。 円形脱毛症のC3H-HeJマウスモデルにおける全身性JAK阻害剤を使用する前臨床研究を示す図である(例えば、O'Shea、Immunity、2012年4月20日、36(4):542〜50を参照されたい)。 JAK3阻害剤(トファシチニブ)の全身送達による前臨床研究の結果、及びトファシチニブ処置により円形脱毛症が防止されることを示す図である。 円形脱毛症のためのターゲティング療法の異なる例を表す図である。これらの局所療法は、確立した疾患から復帰させるのに用いられ得る。 JAK3阻害剤(トファシチニブ)の局所送達による前臨床研究を示す図である。JAK3阻害剤を使用する局所処置は、長期型AA(2〜3カ月間にわたる持続)からの復帰をもたらす。処置の前に、全てのマウスは、2〜3カ月間にわたり脱毛を示した。対照マウスには、毎日クリームを適用した。Jak3阻害剤であるトファシチニブで処置されたマウスは、0.5%のトファシチニブを含有する局所用クリームで毎日処置した。 脱毛症のC3H/HeJマウスにおける前臨床研究の概要を示す図である。 皮膚移植の時点において施されるJak3阻害剤による全身処置によるAAの防止を示す図である。全ての試薬は、移植(防止)の時点において開始する。JAK3阻害剤(CP690550)又はビヒクル(PEG300)を、皮下に移植されたAlzet浸透圧ミニポンプ(28日間用ポンプ;モデル2004)を使用して、10mg/kg/日で送達した。 Jak3阻害剤であるトファシチニブによる処置が、炎症性浸潤を正常化することを表す顕微鏡写真を示す図である。 C3H/HeJ脱毛症マウスの毛包内のNKG2DLの上方制御を示す図である。毛包内毛根鞘(K71でマークされた)内のNKG2Dリガンド(H60)の免疫蛍光染色である。 AAマウスにおけるCD8+NKG2D+細胞傷害性Tリンパ球の細胞表現型及び機能を示す図である。C57BL/6マウス、健常C3H/HeJマウス、及びC3H/HeJ AAマウスの毛包内のCD8+NKG2D+細胞の免疫蛍光染色である。 AAマウスにおけるCD8+NKG2D+細胞傷害性Tリンパ球の細胞表現型及び機能を示す図である。AAを発症したC3H/HeJマウスにおける顕著な皮膚リンパ節腫脹及び細胞充実度である。 AAマウスにおけるCD8+NKG2D+細胞傷害性Tリンパ球の細胞表現型及び機能を示す図である。プロットは、脱毛症マウスにおける皮膚及び皮膚所属リンパ節に由来するCD8+NKG2D+ T細胞の非移植マウスの頻度を示す。 AAマウスにおけるCD8+NKG2D+細胞傷害性Tリンパ球の細胞表現型及び機能を示す図である。プロットは、C3H/HeJ脱毛症マウスにおける皮膚リンパ節内のCD8+NKG2D+ T細胞の免疫表現型を示す。 AAマウスにおけるCD8+NKG2D+細胞傷害性Tリンパ球の細胞表現型及び機能を示す図である。グラフは、AAマウスの皮膚LNから単離されたCD8+NKG2D+ T細胞が、C3H/HeJマウスの毛包から成長したRae-1を発現させる真皮鞘細胞をNKG2D依存的な様式で死滅させることを示す。図23Gは、AAマウスにおけるCD8+NKG2D+細胞傷害性Tリンパ球の細胞表現型及び機能を示す図である。AA皮膚リンパ節から精製されたCD8+NKG2D+ T細胞分取物及びCD8+NKG2D- T細胞分取物に対してRNAseqを実施した。CD8+NKG2D+ T細胞で上方制御される転写物を文献8,9中のCTL遺伝子発現及びNK細胞遺伝子発現と比較し、重複する遺伝子サインをこのベン図に表す。 AAマウスにおけるCD8+NKG2D+細胞傷害性Tリンパ球の細胞表現型及び機能を示す図である。C3H/HeJマウスに、4つの異なる集団に由来する2×106個ずつの細胞を皮下注射した。全LN細胞又はCD8+NKG2D+ T細胞単独の注射後のレシピエントでは脱毛が発症した(1群当たり5匹のマウスのうちの5匹)のに対し、NKG2D+細胞を枯渇させたCD8+NKG2D- T細胞又はLN細胞を施されたマウスは、脱毛症を発症しなかった(1群当たり5匹のマウスのうちの0匹)。***p値≦0.001。 IFNγ、細胞傷害性T細胞、及びIL15経路が疾患の病原性にとって中心的である証拠を明らかにし、Jak阻害剤を使用する治療的ターゲティングを促すヒト及びマウスのAA皮膚の転写プロファイリングを示す図である。図24Aは、IFNγ誘導性遺伝子発現11を伴う脱毛症C3H/HeJマウスの皮膚全体(罹患していないC3H/HeJ皮膚と比較した)に由来する遺伝子リストと、ImmGen Consortiumの刊行物8,9に由来するCD8細胞及びNK細胞の遺伝子サインとの重複を示すベン図(上段パネル)である。ヒトAAとC3H/HeJ AAとの間で示差的に発現した遺伝子の代表的なリストは、共通の炎症性経路、特に、CD8エフェクターを表す遺伝子であるIFNγ経路遺伝子及び顕著なIL-15経路のサイン(下段パネル)を明らかにする。 Jak3阻害剤(JAK3i)による処置の効果を示す図である。図24B:JAK3i(トファシチニブ)が、T細胞のIL-15誘導性のStat3活性化を阻害することを示す図である。図24C:JAK3iが、IL-15誘導性のLAK細胞による細胞傷害性機能を阻害することを示す図である。図24D:JAK3iが、IL-15誘導性のLAK細胞によるグランザイムBの発現及びIFNγの産生を阻害することを示す図である。 CD8+NKG2D+細胞傷害性Tリンパ球をJAK3iでターゲティングすることにより、移植を受けたC3H/HeJマウスにおける脱毛症の発症が防止されることを示す図である。移植を受けたC3H/HeJマウスは、移植の時点から全身処置した。脱毛症の発症は、JAK3iであるトファシチニブで処置することにより阻害する。疾患の持続的防止は、処置中止後さらに12週間にわたる処置の中止により示された。 図25Bは、CD8+NKG2D+細胞傷害性Tリンパ球をJAK3iでターゲティングすることにより、移植を受けたC3H/HeJマウスにおける脱毛症の発症が防止されることを示す図である。移植を受けたC3H/HeJマウスは、移植の時点から全身処置した。脱毛症の発症は、JAK3iであるトファシチニブで処置することにより阻害する。図25Cは、CD8+NKG2D+細胞傷害性Tリンパ球をJAK3でターゲティングすることにより、移植を受けたC3H/HeJマウスにおける脱毛症の発症が防止されることを示す図である。JAK3iで処置されたマウスの皮膚及び皮膚リンパ節におけるCD8+NKG2D+ T細胞の頻度は、対照マウスと比較して有意に低下した。***p値≦0.001。 CD8+NKG2D+細胞傷害性Tリンパ球をJAK3iでターゲティングすることにより、移植を受けたC3H/HeJマウスにおける脱毛症の発症が防止されることを示す図である。皮膚生検の免疫組織化学染色は、JAK3iで処置されたマウスの皮膚におけるCD4、CD8、MHCクラスI及びIIの発現が、対照マウスと比較して有意に低下することを示した。 図25Eは、CD8+NKG2D+細胞傷害性Tリンパ球をJAK3iでターゲティングすることにより、移植を受けたC3H/HeJマウスにおける脱毛症の発症が防止されることを示す図である。JAK3iで処置されたマウスに由来するALADINスコア(IFNサイン遺伝子及びCTLサイン遺伝子の発現についての概略統計)は、正常化を示した。遺伝子発現研究のために、正常な自家皮膚を移植されたマウスを、偽手術対照として組み入れた。図25Fは、CD8+NKG2D+細胞傷害性Tリンパ球をJAK3iでターゲティングすることにより、移植を受けたC3H/HeJマウスにおける脱毛症の発症が防止されることを示す図である。JAK3iで処置されたマウスのGEDI結果は、CTLサイン及びIFNサインの低減を示した。 下流のエフェクターキナーゼであるJAK3の局所用低分子阻害剤による、確立したAAからの復帰を示す図である。(移植後少なくとも12週間にわたる)長期型AAを伴う1群当たり3〜5匹のマウスを、0.5%のJAK3iであるトファシチニブ又は(上段パネルの)ビヒクル単独(Aquaphor)で12週間にわたる毎日の適用により背部に局所処置した。JAK3iで処置されたマウスでは、7週間にわたる処置で毛の完全な外被が出現し、12週間後までに、さらに拡充された。処置の中止後さらに8週間にわたり毛の再成長の持続性を測定したが、疾患再発の証拠は見られなかった。 図26Bは、下流のエフェクターキナーゼであるJAK3の局所用低分子阻害剤による、確立したAAからの復帰を示す図である。グラフは、処置後の週数として示される、毛の再成長係数の時間経過を表す。図26Cは、下流のエフェクターキナーゼであるJAK3の局所用低分子阻害剤による、確立したAAからの復帰を示す図である。プロットは、JAK3iで処置されたマウスの皮膚におけるCD8+NKG2D+ T細胞の頻度が、対照マウスと比較して有意に低下したことを表す。*p値≦0.05、**p値≦0.01、n.s.=有意ではない。 図26Dは、下流のエフェクターキナーゼであるJAK3の局所用低分子阻害剤による、確立したAAからの復帰を示す図である。皮膚生検の免疫組織化学染色は、CD4、CD8、MHCクラスI及びIIマーカーの発現の、処置と関連する喪失を示す。図26Eは、下流のエフェクターキナーゼであるJAK3の局所用低分子阻害剤による、確立したAAからの復帰を示す図である。ALADINスコアは、処置と関連するCTLサイン及びIFNサインの喪失を示す。 図26Fは、下流のエフェクターキナーゼであるJAK3の局所用低分子阻害剤による、確立したAAからの復帰を示す図である。GEDI解析は、処置に関連する病理学的サインからの復帰を伴う遺伝子発現のテリトリーを示す。 図27Aは、AAの毛包(HF)では、Rae-1が上方制御されることを示す図である。C3H/HeJ脱毛症マウス、罹患していないC3H/HeJマウス、及びC57Bl.6マウスにおいてpan-Rae-1抗体を使用する病変部の免疫染色である。図27Bは、AAでは、H60及びRae-1が過剰発現することを示す図である。C3H/HeJマウスに由来する脱毛症病変皮膚におけるNKG2DL RNAの、罹患していないC3H/HeJマウスに由来する非病変皮膚と比較した発現である。3匹のマウスに由来するcDNAに由来するRT-PCRデータを示しており、相対誘導倍率として表す。 図27Cは、AA病変皮膚では、CD4 T細胞が低頻度であること:フローサイトメトリーによる脱毛症病変皮膚の評価を示す図である。ゲートした全CD3+細胞又は全CD45+細胞の百分率としてのCD4 T細胞及びCD8T細胞の定量化である。図27Dは、CD8+NKG2D+ T細胞のエフェクターメモリー免疫表現型が、病変皮膚及び皮膚所属リンパ節において類似することを示す図である。ゲートしたCD8アルファ+NKG2D+ T細胞を、CD8ベータ、NKG2D、NKG2A/C/E、CD44、CD103、及びCD62Lの発現について表す。 CD3+ CD8+NKG2D+ LN細胞とCD8+NKG2D-細胞において示差的に発現する、上方制御された遺伝子のネットワークマップである。String.dbを使用して、示差的に発現した遺伝子による生物学的相互作用スコアマトリックスを作出した。Cytoscapeを使用して、ネットワークマップを作出した(生物学的相互作用>0.75のみを使用した)。ノードは遺伝子を表し、エッジはString.dbに由来する生物学的相互作用を表す。ノードサイズは倍数変化に比例し、エッジ幅は生物学的相互作用に比例する。 図28と同じ。 図28と同じ。 図28と同じ。 図28と同じ。 図28と同じ。 マウスRNA発現研究の検証を示す図である。円形脱毛症に罹患したC3H/HeJマウスの皮膚の発現サインを決定するために、病変皮膚を3匹の罹患した雌マウス及び3匹の罹患していない週齢を適合させた対照から単離した。全RNA及び低分子RNAを、全皮膚から単離し、ビオチン標識cRNAをin vitroにおける転写を介して作り出した後、Affymetrix Mouse 430 2.0 Genechipとのハイブリダイゼーションを行った。データ解析は、方法において概括した通りに行った。図29Aは、C3H/HeJの罹患した皮膚と罹患していない皮膚との間で有意且つ示差的に発現した遺伝子を表すヒートマップである。図29Bは、罹患していない皮膚と比較して、AA病変皮膚で発現レベルが有意に上方制御される、本リストから選択されたいくつかの免疫関連遺伝子のqRT-PCRによる検証を示す図である(各バーは、3回の独立の実験の平均の倍数変化を表す)。UA=罹患していない; AA=罹患した。 図29Aと同じ。 JAK3阻害剤によるAAマウスの全身処置を示す図である。ビヒクル(ポリ(エチレングリコール)(PEG)300)又はJAK3iであるトファシチニブ(Abmole)を含有するビヒクルを、15mg/kg/日で12週間にわたり送達するために各マウスの背部の皮下に埋め込まれたAlzet浸透圧ミニポンプ(ポンプ;モデル2004、Durect Corporation)により、長期型円形脱毛症を有するC3H/HeJマウスをトファシチニブで処置した。円形脱毛症からの復帰は、背部及び腹部のいずれにおいても完全なものであった。 JAK3阻害剤によるAAマウスの全身処置を示す図である。皮膚及び皮膚のリンパ節集団についてのフローサイトメトリーによる解析は、処置されたマウス(1群当たりn=3)におけるCD8+NKG2D+ T細胞集団の消失を示す。 JAK3阻害剤によるAAマウスの全身処置を示す図である。トファシチニブ又はプラセボで処置されたマウスに由来する皮膚の免疫染色は、トファシチニブ処置マウスにおけるCD8浸潤並びにMHC I及びIIの上方制御の消失を示す。 正常な毛包発生におけるJAK-STATシグナル伝達を表す図である。正常な毛周期におけるJAK-STATシグナル伝達経路の状態を解析するために、mRNAを生後17、23、29、33日目に3匹のマウスの皮膚から回収した。試料は、これらの時点に由来するH&E染色の顕微鏡写真において明らかな通り、休止期から発育期への移行を表す。17日目=早期休止期; 23日目=後期休止期; 29日目=早期発育期; 33日目=完全発育期。cDNAを、JAK-STAT qPCRアレイ上で作製し、プローブした。JAK-STATシグナル伝達は、休止期では増大し、発育期では減少する(図32を参照されたい)。 階層的なクラスター解析を示すヒートマップである。各時点(D17、23、29、33)でマウスの皮膚から単離されたmRNAを、JAK-STAT qPCRアレイ上でプローブした。赤色=誘導、緑色=抑制。アレイの全ての遺伝子が示される。休止期時点のいずれ(d17及びd23)においても上方制御されるか、又は発育期時点のいずれ(d29及びd33)においても上方制御される、複数の遺伝子クラスターが明らかである。 図32−1と同じ。 階層的なクラスター解析を示すヒートマップである。図は、1つの時点当たり3つの生物学的反復の平均を示す。対照群: D17 (休止期);群1: D23 (休止期);群2: D29 (発育期);及び群3: D33 (発育期)。JAK1及びJAK3は、休止期群では上方制御される(対照群及び群1における赤色)。JAK-STATシグナル伝達経路成分の発現は、休止期では増大し、発育期では減少する。 階層的なクラスター解析を示すヒートマップである。図は、1つの時点当たり3回ずつの生物学的反復の平均を示す。対照群: D17 (休止期);群1: D23 (休止期);群2: D29 (発育期);及び群3: D33 (発育期)。Stat 1/2/3/5は、休止期(対照群及び群1における赤色)では上方制御される。JAK-STATシグナル伝達経路成分の発現は、休止期では増大し、発育期では減少する。 クラスター解析を示すヒートマップ(上段)である。対照群: D17 (休止期);群1: D23 (休止期);群2: D29 (発育期);及び群3: D33 (発育期)。休止期の試料では、JAK STATの潜在的なリガンド又はJAK3iの潜在的な標的: OSM、IL6st (GP130)、IL-4、IL-2Rg、及びCSF1Rなどが上方制御される。 休止期において上方制御される遺伝子並びに休止期において下方制御される遺伝子の概要を示す図である。対照群: D17 (休止期);群1: D23 (休止期);群2: D29 (発育期);及び群3: D33 (発育期)。休止期では、JAK/STATシグナル伝達により上方制御される、十分に規定された遺伝子であるCRPが顕著に増大する。 図35−1と同じ。 毛包発生:胚発生におけるJAK-STATを示す顕微鏡写真である。Stat 3及びStat 5は、休止期と発育期との間で示差的に発現することが同定された。胚発生における発現のパターンを検討するため、これらのタンパク質の活性化(リン酸化)形態を染色した。示される通り、P-Stat 3は、発生の早期段階において上皮層内で発現し、次いで真皮乳頭内でわずかに見ることができる。P-Stat5の発現は、後期のE16.5に散在した真皮細胞内で現れ、E18.5までに真皮内凝縮物中で顕著となる。 毛包発生:出生後発生におけるJAK-STATを示す顕微鏡写真である。P-Stat3は、新生児の皮膚発生時の表皮の基底層及び毛包の上部上皮層において発現する。発現はまた、休止期(D17)において、真皮乳頭内でも極めて明白に検出することができる。P-Stat5は、毛周期の全ての段階において、真皮乳頭内で高度に発現する。休止期では、P-Stat5の発現は、K15+バルジに最も近接する二重陽性(DP)細胞のサブセット(D17、下段)に限定され得る。 JAK-STAT阻害剤の正常マウスの毛周期に対する効果:発育期の誘導を示す顕微鏡写真である。休止期におけるJAK-STAT経路の阻害(JAK阻害剤を適用することによる)は、発育期の早期開始をもたらす。休止期における7〜8週齢の動物を、対照又はJAK STAT阻害剤で処置した。陰性(ビヒクル単独;左パネル)対照及び陽性(SAG=ソニックヘッジホッグアゴニスト;中段パネル)対照は、DMSO処置単独が発育期を誘導しないのに対し、ソニックヘッジホッグアゴニストによる処置は予測される通り早期(処置後4〜7日間)に発育期の誘導をもたらすことを示す。右: Jak 3阻害剤であるトファシチニブ(10mg/mL)による処置は、2週間又は3週間にわたる処置の後に、休止期にとどまるビヒクル処置マウスと比較して、著しい発育期の誘導をもたらす。 in vivoにおけるケラチノサイトの増殖に対する薬物処置の効果を示す顕微鏡写真である。トファシチニブは、表皮の過剰増殖を引き起こさないと考えられる。上段:毛包の内毛根鞘で典型的に発現する、ケラチノサイト増殖のマーカーであるKrt6。下段:毛包の増殖に対する薬物処置の効果。トファシチニブで処置された皮膚では後に二次胚葉の増殖が生じることから、トファシチニブが発育期を誘導し得ることが示される。 毛周期におけるJAK-STAT:マウスにおける薬物処置を示すプロットである。Jak3阻害剤であるトファシチニブ及びJak1/2阻害剤であるルキソリチニブで処置された皮膚における、毛を抜き取られた皮膚及びビヒクル(DMSO)で処置された皮膚と比較した、毛包の数及び厚さの定量化である。毛包の数並びに毛包の厚さのいずれも、ビヒクルで処置されたマウスよりも、薬物で処置された皮膚において大きい。 Jak阻害剤のヒト毛包の形態形成に対する効果:ヒト胎児頭皮の薬物処置を示す顕微鏡写真である。20週齢のヒト胎児頭皮を得て、in vitroにおいて30mg/mLのJak3阻害剤であるトファシチニブ又はビヒクル単独で処置した。皮膚を採取して、切片化し、毛包の形態について評価した。処置された皮膚における毛は、DMSO処置された頭皮と比較して、形態形成の最初の発育期により早く進むと考えられる。 JAK阻害剤による局所処置を示す図である。7週齢の正常なC57BL/6マウスを、休止期に剃毛し、1%のJak3阻害剤(トファシチニブ;右パネル)、1.5mg/mlのイソプロピルウノプロストン(Latisse;中段右パネル)、100μMのSAG (shhアゴニスト;中左パネル)、又はビヒクルとしてのDMSO(左パネル)で、3週間にわたる毎日の適用により処置した。効果は、画像を収集した時点である1カ月をわずかに超えるまで持続性である。各マウスの右半身に局所用薬物を投与し、各マウスの左半身はDMSO単独で処置した。 トファシチニブ及びSAGで処置された皮膚の休止期毛包において、ビヒクルと比較して、発育期の開始を示す著しい増殖を示すKi67染色(緑色)の顕微鏡写真である。
本発明は、脱毛障害(例えば、脱毛の一般的な自己免疫形態である円形脱毛症(AA))を、Jak3阻害剤で処置する方法を提供する。AAの臨床研究は、この遺伝子が関与している、より深く研究されたその「姉妹」自己免疫疾患(例えば、関節リウマチ(RA)、1型糖尿病(T1D)、多発性硬化症(MS))に後れを取っている。本発明は、AAではこれまで調べられていない治療剤であって、AA及び関連疾患におけるJak3関連経路の臨床上の関連性についての情報をもたらし得る治療剤を提供する。
略語及び定義
単数形の用語は、文脈により他に明確に指示されない限り、複数形の言及を含む。
本明細書で用いられる場合、用語「約」は、約、ほぼ、およそ、又は〜の領域にあることを意味するために用いられる。「約」という用語を数値範囲と共に使用する場合は、示された数値の上限及び下限を拡張することによりその範囲を修飾する。本明細書では一般に、「約」という用語は、上下に20パーセント(高値又は低値)の変動により、記載された値の上及び下の数値を修飾するために用いられる。
外皮及び毛細胞についての概観
外皮(又は皮膚)は、体で最大の器官であり、体の外面を覆う高度に複雑な器官である。外皮は、多様な体の開口部において、消化管及び他の管の粘膜と統合されている。外皮は、体温及び水分の喪失;汗腺による排出の制御により定常的な内部環境を維持することなど、多数の不可欠な機能を果たすが、物理的、化学的、及び生物学的作用物質の深部組織への作用に対する防御障壁として主に作用する。皮膚は、弾性があり、足底、手掌、及び耳など、少数の領域を除き、深部組織に緩やかに接合されている。皮膚はまた、眼瞼(「薄い皮膚」)における0.5mm(0.02インチ)から、手掌及び足底(「厚い皮膚」)における4mm(0.17インチ)以上まで厚さも変化する(Ross MH、「Histology: A text and atlas」、3版、Williams and Wilkins、1995: 14章; Burkitt HGら、「Wheater's Functional Histology」、3版、Churchill Livingstone、1996: 9章)。
皮膚は、a)表皮及びb)真皮の2層からなる。表皮は、比較的薄い(0.1mm)外層である。表皮は、細胞数個の厚さであり、基底層、有棘層、顆粒層、透明層(厚い皮膚に限定される)、及び角質層の5層からなる。最も外側の表皮層(角質層)は、常に表面から剥落し、基底層と呼ばれる単一の基底的な細胞層により下方から置きかえられる死滅細胞からなる。表皮は主に、細胞集団のうちの95%超を構成するケラチノサイトからなる。基底層(basal layer (stratum germinativum))のケラチノサイトは、常に分裂しており、その後、娘細胞は上方及び外側に移動し、そこで分化期間を経て、最終的に表面から脱落する。表皮の残りの細胞集団は、ランゲルハンス細胞及びメラニン細胞などの樹状細胞を含む。表皮は、本質的に細胞性であり、非脈管性であり、ケラチノサイトの基底層の下のコラーゲン及び他のタンパク質の層を除き、細胞外マトリックスをほとんど含有しない(Ross MH、「Histology: A text and atlas」、3版、Williams and Wilkins、1995: 14章; Burkitt HGら、「Wheater's Functional Histology」、3版、Churchill Livingstone、1996: 9章)。
真皮は、皮膚の内層であり、コラーゲン性の細胞外物質、血管、神経、及び弾性線維のネットワークからなる。真皮内には、それらと関連する脂腺(まとめて、毛包脂腺単位として知られる)及び汗腺を伴う毛包が存在する。表皮と真皮との界面は、薄い皮膚の場合を除き、極めて不規則且つ不均等である。表皮-真皮間界面に沿った基底表皮細胞の下では、特化した細胞外マトリックスが、基底膜と呼ばれる顕著に異なる構造へと組織化されている(Ross MH、「Histology: A text and atlas」、3版、Williams and Wilkins、1995: 14章; Burkitt HGら、「Wheater's Functional Histology」、3版、Churchill Livingstone、1996: 9章)。
哺乳動物の体毛線維は、角化細胞からなり、毛包から発育する。毛包は、表皮の下方成長に由来する杭状の組織であり、皮膚の表面の直下に存在する。毛包の遠位部は、皮膚外側の表皮と直接につながっている。毛包は、小型の構造体ではあるが、同軸系列に配置される、認識可能な形で異なる層の、高度に組織化された系を含む。活動的な毛包は、真皮、皮下組織(緩やかな結合組織層である)を介して、下方の脂肪(fat又はadipose)層に伸展する(Ross MH、「Histology: A text and atlas」、3版、Williams and Wilkins、1995: 14章; Burkitt HGら、「Wheater's Functional Histology」、3版、Churchill Livingstone、1996: 9章)。
活動的な毛包の基部には、毛球が存在する。毛球は、表皮マトリックスとして知られる表皮細胞の倒立した杯状構造内に含有される、真皮乳頭として知られる真皮細胞の本体からなる。毛包の種類に関わらず、この表皮マトリックスのまさに基部にある成長性の表皮細胞は、いくつかの支持的表皮層と併せて、毛線維を産生する。最も下方の真皮鞘は乳頭基底部の茎状構造と隣接し、ここから、真皮鞘は組織の薄い被覆としての毛マトリックスの表皮層全ての周囲の外側に湾曲する。次いで、真皮鞘の最下方部分が、スリーブ又はチューブとして毛包の全長にわたって続く(Ross MH、「Histology: A text and atlas」、3版、Williams and Wilkins、1995: 14章; Burkitt HGら、「Wheater's Functional Histology」、3版、Churchill Livingstone、1996: 9章)。
毛包及び羽嚢など、皮膚付属器の発生は、皮膚の2層である表皮と真皮との相互作用に依拠する。胚発生において、これらの2層の間で経時的に情報が交換されることにより、形態形成過程の複雑な系列が支持され、これにより成体の毛包構造の形成がもたらされる。しかし、一般的な皮膚の真皮細胞及び表皮細胞とは対照的に、ある種の毛包細胞集団は、成熟後も、それらの胚型の相互作用性、誘導性、及び生合成性挙動を保持する。これらの特性は周期的に産生性となる毛包の極めて動的な性質に由来し得、ここで反復性の組織リモデリングは、胚発生にとって重要であり、また他の組織再構築の形態においても望まれるだろう高レベルの真皮-表皮間相互作用性のコミュニケーションを必要とする。
毛線維は、活動的な毛包の基部において、極めて急速に産生される。例えば、ヒト頭皮では、毛包は毛線維を1日当たり0.4mmの速度で産生し、ラットの鼻毛又はひげでは1日当たり最大1.5mmの速度で産生し、このことは毛包表皮内の細胞増殖が成体組織内で最速にランクされることを意味している(Malkinson FD及びJT Kearn、Int J Dermatol 1978、17:536〜551)。毛は、周期的に成長する。発育期は成長期であり、毛包のうちの最大90%は発育期にあるといわれる、退行期は消失期又は後退期であり、毛包のうちの約1〜2%を占める、休止期は毛周期のうちの休眠期又は静止期であり、毛包のうちの約10〜14%を占める。毛周期の長さは、体の様々な部分に応じて変化する。
毛包の形成及び周期は、阻害シグナルと刺激シグナルとのバランスにより制御される。シグナル伝達の合図は、TGFβ-BMPファミリーのメンバーである成長因子により強化される。TGFβ-BMPファミリーメンバーの著名なアンタゴニストは、フォリスタチンである。フォリスタチンは、多様なBMP(BMP-2、BMP-4、BMP-7、及びBMP-11など)及びアクチビンの作用を、前記タンパク質に結合することにより阻害し、毛包の発生において役割を果たすとされる分泌タンパク質である(Nakamura Mら、FASEB J、2003、17(3):497〜9; Patel K、Intl J Biochem Cell Bio、1998、30:1087〜93; Ueno Nら、PNAS、1987、84:8282〜86; Nakamura Tら、Nature、1990、247:836〜8; Iemura Sら、PNAS、1998、77:649〜52; Fainsod Aら、Mech Dev、1997、63:39〜50; Gamer LWら、Dev Biol、1999、208:222〜32)。
局所的な真皮-表皮間相互作用により活動的な線維成長が駆動される深く埋め込まれた終末小体は、真皮乳頭(DP)と呼ばれる間葉細胞のクラスターを含む毛包のシグナル伝達の中心である。同領域はまた、成長期と後退期との間での毛線維又は付属器の正確な交代に関与する組織リモデリング及び発生の変化にとっても中心的である。これらの活性において鍵となる構成要素であるDPは、未成熟の成長性表皮細胞供給源からの毛線維の形成を特徴付ける分化の複雑なプログラムを編成すると考えられる(Oliver RF、J Soc Cosmet Chem、1971、22:741〜755; Oliver RF及びCA Jahoda、Biology of Wool and Hair (Rogerら編)、1971、Cambridge University Press:51〜67; Reynolds AJ及びCA Jahoda、Development、1992、115:587〜593; Reynolds AJら、J Invest Dermatol、1993、101:634〜38)。
最も下方の真皮鞘(DS)は、乳頭基底部の茎状構造の下方に発し、そこから外側及び上方に湾曲する。次いで、この真皮鞘は、表皮の毛マトリックスの層を、組織の薄い層として外側から包み込み、毛包の全長にわたって上方に続く。表皮に由来する外毛根鞘(ORS)もまた、毛包の全長にわたって続き、真皮鞘のすぐ内側で2層の間に存在し、硝子膜と称される特化した基底膜を形成する。外毛根鞘は、下部毛包では、表皮の単層構成するに過ぎないが、表面に近づくにつれて厚みを増す。内毛根鞘(IRS)は、毛幹を発生させるための鋳型を形成する。IRSはヘンレ層、ハックスリー層、及び角質の3つの部分を含み、角質は毛幹に接触する最も内側の部分である。IRSの角質層は、単一細胞の厚さであり、毛線維に隣接して位置する。IRSの角質層は、毛線維の角質層と緊密にかみ合う。ハックスリー層は、最大4つの細胞層を含み得る。IRSのヘンレ層は、ORS層に隣接して走る単一の細胞層である(Ross MH、「Histology: A text and atlas」、3版、Williams and Wilkins、1995: 14章; Burkitt HGら、「Wheater's Functional Histology」、3版、Churchill Livingstone、1996: 9章)。
円形脱毛症
円形脱毛症(AA)は、最も蔓延している自己免疫疾患のうちの1つであり、米国だけで、全ての人種群にわたる男性及び女性を含む約460万人に影響を及ぼし、生涯の危険率は1.7%である(1)。AAでは、毛包に対する自己免疫が発生することから、斑点として始まり、融合し、進行して、頭皮全体を覆い(完全脱毛症;AT、最終的に全身を覆う(全身性脱毛症;AU)場合もある、非瘢痕性脱毛がもたらされる。AAは紀元後30年にコルネリウス・ケルススにより最初に記載され、頭皮にわたりゆっくりと広がるときの、脱毛の蛇行する斑点のために、「蛇」を意味する「ophiasis(蛇行状脱毛)」という用語が使用された。「アロペキア(キツネ疥癬)」というギリシャ語を最初に使用したのはヒポクラテスであったが、現代の「円形脱毛症」という用語はSauvagesが1760年にフランスのリヨンで刊行された彼の「Nosologica Medica」中で最初に使用した。
興味深いことに、AAは毛周期の発育期(成長)期における色素性の毛包に優先的に影響を及ぼし、AAの斑点内で毛が再成長すると、毛は白色又は無色で再成長する頻度が高い。したがって、「毛の突発的白色化」の現象は、急性の発症を伴うAAに帰せられ、歴史を通じて、複数の著名な個人が深刻な悲嘆、ストレス、又は恐怖に際して罹患したとして記録されてきた(2)。1631年に妻の死に際して、毛の急性の白色化を経験し、悲嘆の中で妻のためにタージマハールを建造したシャージャハーン、1535年に処刑の前夜に「顎鬚と毛髪との両方が白く」なったといわれる「ユートピア」の著者であるトーマスモア卿が例として挙げられる。毛の突発的白色化は、色素性の毛包に対する急性の攻撃から生じ、白髪を無傷のまま後に残すと考えられる。
AAのいくつかの臨床的側面は、依然として説明されていないが、病原性の理解に向けた重要な手がかりを有し得る。AAは、リンパ球の稠密なクラスターにより取り囲まれた毛包の基部周囲の毛だけを攻撃し、組織学において特徴的な「蜂の群れ」の外観をもたらす。これらの観察に基づき、色素性の発育期毛包内でシグナルが発せられ、これが毛包の下端部に対する急性又は慢性免疫応答を誘起することから、毛周期の攪乱、急性の毛の剥落、毛幹の異常、及び毛の破断がもたらされることが想定される。毛包内のこれらの劇的な攪乱にもかかわらず、恒常的な器官破壊は見られず、免疫特権が回復できれば、毛の再成長の可能性は維持される。
歴史を通じて、AAは、ときに、ストレス若しくは不安により、又は感染性因子なお若しくはホルモンの機能不全の結果として引き起こされる、神経疾患であると考えられてきた。20世紀中に、AAの基礎として、遺伝子的に決定される自己免疫機構という概念が、複数の系統の証拠から現れた。AA毛包は活性化Th、Tc、及びNK細胞による免疫浸潤を示しており(3、4)、抑制性(Th2)サイトカイン応答から自己免疫性(Th1)サイトカイン応答へのシフトが存在している。ドナーT細胞の移植は毛包又はヒト黒色腫ホモジネートと共培養する場合に限り脱毛を引き起こすので、AA患者頭皮の免疫欠損SCIDマウスへの移植を伴うAAのヒト化モデルは、AAの自己免疫的な性質を例示している(5、6)。AA組織では免疫寛容を維持する役目をする制御性T細胞が少数観察されており(7)、これらの細胞をC3H/HeJマウスへ移植することによりAAに対する抵抗性がもたらされる(8)。AAはもっぱらT細胞媒介疾患であると長い間考えられてきたが、近年ではAAのさらなる機構が想定されている。毛包は、免疫細胞のトラフィッキングを妨げる細胞外マトリックス障壁の存在、抗原提示細胞の欠如、及び免疫抑制性因子の局所的な産生を介するNK細胞活性の阻害、及びMHCクラスI発現レベルの低減を特徴とする、体内の少数の選り抜きの免疫特権部位のうちの1つとして規定されている(9)。したがってまた、「免疫特権の崩壊」という考えも、AAが生じ得る機構の一部として想定される。AAの遺伝的基礎の裏付けは、第1度近親者において観察される遺伝可能性(10、11)、双子研究(12)を含む複数の系統の証拠に由来し、最近では本発明者らによる家族ベースのリンケージ研究の結果(13)に由来する。
脱毛障害の処置
本発明は、知られている治療剤、例えば、Jak 3などのサイトカインシグナル伝達に関与するタンパク質チロシンキナーゼ(PTK)の阻害剤を、脱毛障害の処置に使用し得るという発見を提供する。脱毛障害の非限定的な例として、男性型脱毛症、円形脱毛症、休止期脱毛、円形脱毛症、完全脱毛症、及び全身性脱毛症が挙げられる。例えば、男性型脱毛症(また、女性男性型脱毛症とも呼ばれる)は、男性及び女性の両方において一般的な脱毛の形態であり、結果として毛が薄くなり、頭皮の脱毛がもたらされる。例えば、円形脱毛症(AA)は典型的に、頭皮又は体の他の部分における脱毛の斑点で始まる。AAが処置されていないか、又は処置に対して応答性でない場合は、罹患した領域における脱毛(例えば、完全脱毛症)がもたらされ得る。完全脱毛症(AT)並びに全身性脱毛症(AU)は、円形脱毛症(AA)の重篤な形態である。AUは、円形脱毛症の最も重篤な形態である。例えば、Choら(2012)、J Korean Med Sci、27: 799〜802を参照されたい。
本発明の一態様は、それを必要とする哺乳動物被験体における脱毛障害を処置する方法であって、サイトカインシグナル伝達に関与するタンパク質チロシンキナーゼ(PTK)の阻害剤を、被験体に投与するステップを含む上記方法を包含する。いくつかの実施形態では、Jak3阻害剤は、Jak3タンパク質若しくはその断片に特異的に結合する抗体;Jak3タンパク質をコードする遺伝子の発現を低下させるアンチセンスRNA若しくはアンチセンスDNA;Jak3タンパク質の発現を低下させるアンチセンスRNA若しくはアンチセンスDNA;Jak3遺伝子を特異的にターゲティングするsiRNA;低分子;又はそれらの組合せである。一実施形態では、阻害剤は、Jak3阻害剤である。さらなる実施形態では、阻害剤は、トファシチニブ(CP690550)である。さらなる実施形態では、低分子は、Janex 1 (WHI-P131)、PF-956980、WHI-P154、VX-509、JAK3阻害剤IV、NSC114792、又はR348である。別の実施形態では、脱毛障害は、男性型脱毛症、休止期脱毛、円形脱毛症、頭部白癬、完全脱毛症、貧毛症、遺伝性単純型貧毛症、又は全身性脱毛症を含む。
本発明の一態様は、被験体における毛の成長を誘導するための方法であって、被験体に、有効量の、サイトカインシグナル伝達に関与するタンパク質チロシンキナーゼ(PTK)の阻害剤を投与するステップを含む上記方法を提供する。いくつかの実施形態では、Jak3阻害剤は、Jak3タンパク質若しくはその断片に特異的に結合する抗体;Jak3タンパク質をコードする遺伝子の発現を低下させるアンチセンスRNA若しくはアンチセンスDNA;Jak3タンパク質の発現を低下させるアンチセンスRNA若しくはアンチセンスDNA;Jak3遺伝子を特異的にターゲティングするsiRNA;低分子;又はそれらの組合せである。一実施形態では、阻害剤は、Jak3阻害剤である。さらなる実施形態では、阻害剤は、トファシチニブ(CP690550)である。さらなる実施形態では、低分子は、Janex 1 (WHI-P131)、PF-956980、WHI-P154、VX-509、JAK3阻害剤IV、NSC114792、又はR348である。別の実施形態では、脱毛障害は、男性型脱毛症、休止期脱毛、円形脱毛症、頭部白癬、完全脱毛症、貧毛症、遺伝性単純型貧毛症、又は全身性脱毛症を含む。
本発明の一態様は、それを必要とする哺乳動物被験体における脱毛障害を処置する方法であって、被験体に、Jak3阻害剤を投与するステップを含む上記方法を包含する。一実施形態では、阻害剤は、配列番号1を指向する抗体又は抗体断片である。別の実施形態では、脱毛障害は、男性型脱毛症、休止期脱毛、円形脱毛症、頭部白癬、完全脱毛症、貧毛症、遺伝性単純型貧毛症、又は全身性脱毛症を含む。
本発明の一態様は、被験体における毛の成長を誘導するための方法であって、被験体に、有効量のJak3阻害剤を投与し、それにより被験体における毛の成長を制御するステップを含む上記方法を提供する。一実施形態では、阻害剤は、配列番号1を含むタンパク質に特異的に結合する抗体を含む。いくつかの実施形態では、被験体は、脱毛障害に罹患している。他の実施形態では、脱毛障害は、男性型脱毛症、休止期脱毛、円形脱毛症、頭部白癬、完全脱毛症、貧毛症、遺伝性単純型貧毛症、又は全身性脱毛症を含む。
本発明は、いくつかのヒト遺伝子が、毛周期の休止期から発育期への移行に関与する遺伝子(例えば、休止期〜発育期毛周期(TAHC)遺伝子)のコホートとして同定されたという発見を提供する。これらの遺伝子は、毛周期の休止期において上方制御される遺伝子として同定され、被験体における脱毛障害の存在と相関し得る。これらの遺伝子は、今や同定されているので、様々な有用な方法に使用することができ、例えば、それらを使用して、被験体が、円形脱毛症(AA)などの脱毛障害に対する感受性を有するのかどうかを決定することができる。この休止期から発育期への移行毛周期のコホート又は群の一部として同定された遺伝子(すなわち、「TAHC遺伝子」)として、CSF1R (Gene ID受託番号1436)、FCER2 (Gene ID受託番号2208)、IFNGR1 (Gene ID受託番号3459)、IL20 (Gene ID受託番号50604)、OAS1 (Gene ID受託番号4938)、PTPRC (Gene ID受託番号5788)、CEBPD (Gene ID受託番号1052)、CRP (Gene ID受託番号1401)、IL2RA (Gene ID受託番号3559)、IL4 (Gene ID受託番号3565)、IL6ST (Gene ID受託番号3572)、INSR (Gene ID受託番号3643)、JAK3 (Gene ID受託番号3718)、NR3C1 (Gene ID受託番号2908)、OSM (Gene ID受託番号5008)、PTPN11 (Gene ID受託番号5781)、SOCS3 (Gene ID受託番号9021)、STAT5A (Gene ID受託番号6776)、STAT5B (Gene ID受託番号6777)、CCND1 (Gene ID受託番号595)、F2 (Gene ID受託番号2147)、LRG1 (Gene ID受託番号116844)、PRLR (Gene ID受託番号5618)、MPL (Gene ID受託番号4352)、及びJUNB (Gene ID受託番号3726)が挙げられる。
一実施形態では、本発明は、ヒト被験体における脱毛障害の存在又は素因を検出するための方法であって、生物学的試料をヒト被験体から得るステップと; 脱毛障害に罹患していない被験体における発現のレベルと比較して、被験体において、TAHC遺伝子によりコードされるmRNA又はタンパク質の発現のレベルの変化があるかどうかを検出するステップとを含む上記方法を包含する。一実施形態では、検出は、TAHC遺伝子のmRNA発現又はタンパク質発現が、正常試料中の発現と比較して増大するのか、減少するのかを決定することを含む。別の実施形態では、検出は、試料中で、少なくとも2つのTAHCタンパク質、少なくとも3つのTAHCタンパク質、少なくとも4つのTAHCタンパク質、少なくとも5つのTAHCタンパク質、少なくとも6つのTAHCタンパク質、少なくとも6つのTAHCタンパク質、少なくとも7つのTAHCタンパク質、又は少なくとも8つのTAHCタンパク質の発現が、正常試料中の発現と比較して増大するのか、減少するのかを決定することを含む。いくつかの実施形態では、検出は、試料中で、少なくとも2つのTAHC mRNA、少なくとも3つのTAHC mRNA、少なくとも4つのTAHC mRNA、少なくとも5つのTAHC mRNA、少なくとも6つのTAHC mRNA、少なくとも6つのTAHC mRNA、少なくとも7つのTAHC mRNA、又は少なくとも8つのTAHC mRNAの発現が、
正常試料中の発現と比較して増大するのか、減少するのかを決定することを含む。一実施形態では、少なくとも2つのTAHC遺伝子、少なくとも3つのTAHC遺伝子、少なくとも4つのTAHC遺伝子、少なくとも5つのTAHC遺伝子、少なくとも6つのTAHC遺伝子、少なくとも7つのTAHC遺伝子、又は少なくとも8つのTAHC遺伝子の発現の増大は、被験体における脱毛障害の存在又は素因を示す。別の実施形態では、少なくとも2つのTAHC遺伝子、少なくとも3つのTAHC遺伝子、少なくとも4つのTAHC遺伝子、少なくとも5つのTAHC遺伝子、少なくとも6つのTAHC遺伝子、少なくとも7つのTAHC遺伝子、又は少なくとも8つのTAHC遺伝子の発現の減少は、被験体における脱毛障害の素因又は存在を示す。一実施形態では、被験体におけるmRNA発現又はタンパク質発現のレベルは、正常試料中のレベルと比較して、約5倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、約30倍、約35倍、約40倍、約45倍、約50倍、約55倍、約60倍、約65倍、約70倍、約75倍、約80倍、約85倍、約90倍、約95倍であるか、又は100倍である。いくつかの実施形態では、被験体におけるmRNA発現又はタンパク質発現のレベルは、正常試料中のレベルと比較して、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍であるか、又は少なくとも約500倍である。さらなる実施形態では、被験体におけるTAHC遺伝子のmRNA発現又はタンパク質発現のレベルは、正常試料中のレベルと比較して、約5倍〜約70倍である。他の実施形態では、被験体におけるTAHC遺伝子のmRNA発現又はタンパク質発現のレベルは、正常試料中のレベルと比較して、約5倍〜約90倍である。一実施形態では、被験体におけるmRNA発現又はタンパク質発現のレベルは、正常試料中のレベルと比較して、約5分の1、約10分の1、約15分の1、約20分の1、
約25分の1、約30分の1、約35分の1、約40分の1、約45分の1、約50分の1、約55分の1、約60分の1、約65分の1、約70分の1、約75分の1、約80分の1、約85分の1、約90分の1、約95分の1であるか、又は100分の1である。いくつかの実施形態では、被験体におけるmRNA発現又はタンパク質発現のレベルは、正常試料中のレベルと比較して、少なくとも約100分の1である。いくつかの実施形態では、被験体におけるTAHC遺伝子のmRNA発現又はタンパク質発現のレベルは、正常試料中のレベルと比較して、約5分の1〜約70分の1である。さらに他の実施形態では、被験体におけるTAHC遺伝子のmRNA発現又はタンパク質発現のレベルは、正常試料中のレベルと比較して、約5分の1〜約90分の1である。さらなる実施形態では、検出は、遺伝子の配列決定、選択的ハイブリダイゼーション、選択的増幅、遺伝子発現解析、又はそれらの組合せを含む。別の実施形態では、脱毛障害は、男性型脱毛症、円形脱毛症、休止期脱毛、完全脱毛症、貧毛症、遺伝性単純型貧毛症、又は全身性脱毛症を含む。一実施形態では、TAHC遺伝子は、CSF1R、FCER2、IFNGR1、IL20、OAS1、PTPRC、CEBPD、CRP、IL2RA、IL4、IL6ST、INSR、JAK3、NR3C1、OSM、PTPN11、SOCS3、STAT5A、STAT5B、CCND1、F2、LRG1、PRLR、MPL、又はJUNBである。別の実施形態では、TAHC遺伝子は、CRPである。
診断
本発明は、被験体が、脱毛障害に対して感受性であるか、又はこれを有するのかどうかを診断する方法を提供する。一実施形態では、診断法は、被験体における、CSF1R、FCER2、IFNGR1、IL20、OAS1、PTPRC、CEBPD、CRP、IL2RA、IL4、IL6ST、INSR、JAK3、NR3C1、OSM、PTPN11、SOCS3、STAT5A、STAT5B、CCND1、F2、LRG1、PRLR、MPL、又はJUNBなどのTAHC遺伝子の発現、例えば、それらが正常試料と比較して増大するのか減少するのかをモニタリングすることに基づく。本明細書で使用される「診断」という用語は、成体及び小児における早期段階、前症状段階、及び後期段階を含む多様な段階における検出、分類、モニタリング、投薬、比較を含む。診断は、発症の素因又は危険性の評価、予後診断、又は最も適切な処置(薬理遺伝学)を規定するための被験体の特徴づけを含み得る。
本発明は、個体に脱毛障害を発症する危険性があるか、又は脱毛障害を患っているかどうかを決定するための診断法であって、疾患が、TAHC遺伝子の発現の変化から生じる上記診断法を提供する。一実施形態では、被験体における脱毛障害の存在又は素因を検出する方法が提供される。被験体は、ヒト又はその小児であり得る。該方法は、被験体に由来する試料中に、脱毛障害に罹患していない被験体における発現のレベルと比較して、被験体において、TAHC遺伝子によりコードされるタンパク質の発現のレベルの変化があるかどうかを検出するステップを含み得る。一実施形態では、検出するステップは、TAHCのmRNAの発現が増大するのか、減少するのかを決定することを含み得る。例えば、マイクロアレイアッセイでは、TAHC遺伝子の示差的な発現を探索することができる。脱毛障害に罹患していない被験体について観察されるTAHC発現の2倍又は2分の1である、任意のTAHC遺伝子の発現(蛍光の読取りにより示される)は、正常ではないとみなされ、さらなる探索に値する。検出するステップはまた、試料中で、少なくとも2つのTAHCタンパク質、少なくとも3つのTAHCタンパク質、少なくとも4つのTAHCタンパク質、少なくとも5つのTAHCタンパク質、少なくとも6つのTAHCタンパク質、少なくとも6つのTAHCタンパク質、少なくとも7つのTAHCタンパク質、又は少なくとも8つのTAHCタンパク質の発現が増大するのか、減少するのかを決定することも含み得る。このような変化の存在は、脱毛障害の存在又は素因を示す。
試料中のTAHC遺伝子の変化の存在は、試料の遺伝子型決定を介して、例えば、遺伝子の配列決定、選択的ハイブリダイゼーション、増幅、遺伝子発現解析、又はそれらの組合せを介して検出する。一実施形態では、試料は、血液、血清、唾液、涙液分泌物、精液、膣分泌物、胎児組織、皮膚組織、上皮組織、筋肉組織、羊水、又はこれらの組合せを含み得る。
本発明は、被験体に由来する試料が、少なくとも2つ以上のTAHC遺伝子の発現の増大を示すかどうかを決定するために使用される診断用キットを提供する。一実施形態では、キットは、1つ以上のTAHC遺伝子と特異的にハイブリダイズする核酸プライマーを含む。本発明はまた、被験体に由来する試料が、ヒト被験体における脱毛障害の素因を示すかどうかを決定するために使用される診断用キットも提供する。さらなる実施形態では、TAHC遺伝子は、CSF1R、FCER2、IFNGR1、IL20、OAS1、PTPRC、CEBPD、CRP、IL2RA、IL4、IL6ST、INSR、JAK3、NR3C1、OSM、PTPN11、SOCS3、STAT5A、STAT5B、CCND1、F2、LRG1、PRLR、MPL、又はJUNBである。別の実施形態では、脱毛障害は、男性型脱毛症、円形脱毛症、休止期脱毛、完全脱毛症、貧毛症、遺伝性単純型貧毛症、又は全身性脱毛症を含む。
DNA及びアミノ酸の操作法並びにそれらの精製
他に示されない限り、本発明の態様の実施は、当技術分野の範囲内にある細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組換えDNA、及び免疫学の従来の技術を用いることができる。このような技術は、文献中で完全に説明されている。例えば、「Molecular Cloning A Laboratory Manual」、3版、Sambrook、Fritsch、及びManiatis編(2001)(Cold Spring Harbor Laboratory Press: 1989);「DNA Cloning」、I及びII巻(D. N. Glover編、1985);「Oligonucleotide Synthesis」(M. J. Gait編、1984); Mullisら、米国特許第4,683,195号;「Nucleic Acid Hybridization」(B. D. Hames及びS. J. Higgins編、1984);「Transcription and Translation」(B. D. Hames及びS. J. Higgins編、1984);「Culture Of Animal Cells」(R. I. Freshney、Alan R. Liss, Inc.、1987);「Immobilized Cells and Enzymes」(IRL Press、1986); B. Perbal、「A Practical Guide To Molecular Cloning」(1984);「Methods In Enzymology」(Academic Press, Inc.、N.Y.)、とりわけ、「Methods In Enzymology」、154及び155巻(Wuら編);「Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells」(J. H. Miller及びM. P. Calos編、1987、Cold Spring Harbor Laboratory);「Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology」(Caner及びWalker編、Academic Press、London、1987);「Handbook Of Experimental Immunology」、I〜IV巻(D. M. Weir及びC. C. Blackwell編、1986);「Manipulating the Mouse Embryo」(Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、1986)を参照されたい。本明細書で引用される全ての特許、特許出願、及び参考文献は、参照によりそれらの全体において組み込まれる。
当業者は、タンパク質を、生化学的手段を介してタンパク質を単離すること、又は被験体のタンパク質をコードするヌクレオチド配列を遺伝子操作法により発現させることを含むがこれらに限定されないいくつかの方途で得ることができる。
タンパク質は、核酸(例えば、ゲノムDNA、相補的DNA (cDNA)、合成DNA、並びに対応するRNAの任意の形態を含む)によりコードされる。例えば、タンパク質は、遺伝子の組換え核酸によりコードされ得る。本発明のタンパク質は、多様な供給源から得ることができ、当技術分野で知られる多様な技術に従い作製することができる。例えば、タンパク質をコードする核酸は、DNAライブラリーをスクリーニングすることにより、又は天然の供給源からの増幅により得ることもできる。タンパク質は、その断片又は部分であり得る。タンパク質をコードする核酸は、組換えDNA技術を介して作製することができ、このような組換え核酸は、化学合成、遺伝子操作、酵素法、又はそれらの組合せを含む、従来の技術により調製することができる。例えば、JAK3タンパク質は、配列番号2に示されるヌクレオチド配列を有する核酸によりコードされるポリペプチドである。JAK3ポリペプチドの例は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する。
ヒトJak 3のポリペプチド配列を、配列番号1に表す。ヒトJak 3のヌクレオチド配列は、配列番号2に示す。Jak 3と関連する配列情報は、GenBank受託番号NP_000206 (タンパク質の配列情報)及びNM_000215 (核酸の配列情報)により公開されたデータベースでアクセス可能である。JAK3は、IL-2受容体の共通のガンマ鎖の下流におけるシグナル伝達パートナーであり、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-15、及びIL-21受容体により共有されている。
配列番号1は、Jak3に対応するヒト野生型アミノ酸配列(残基1〜1124)である:
1 MAPPSEETPL IPQRSCSLLS TEAGALHVLL PARGPGPPQR LSFSFGDHLA EDLCVQAAKA
61 SGILPVYHSL FALATEDLSC WFPPSHIFSV EDASTQVLLY RIRFYFPNWF GLEKCHRFGL
121 RKDLASAILD LPVLEHLFAQ HRSDLVSGRL PVGLSLKEQG ECLSLAVLDL ARMAREQAQR
181 PGELLKTVSY KACLPPSLRD LIQGLSFVTR RRIRRTVRRA LRRVAACQAD RHSLMAKYIM
241 DLERLDPAGA AETFHVGLPG ALGGHDGLGL LRVAGDGGIA WTQGEQEVLQ PFCDFPEIVD
301 ISIKQAPRVG PAGEHRLVTV TRTDNQILEA EFPGLPEALS FVALVDGYFR LTTDSQHFFC
361 KEVAPPRLLE EVAEQCHGPI TLDFAINKLK TGGSRPGSYV LRRSPQDFDS FLLTVCVQNP
421 LGPDYKGCLI RRSPTGTFLL VGLSRPHSSL RELLATCWDG GLHVDGVAVT LTSCCIPRPK
481 EKSNLIVVQR GHSPPTSSLV QPQSQYQLSQ MTFHKIPADS LEWHENLGHG SFTKIYRGCR
541 HEVVDGEARK TEVLLKVMDA KHKNCMESFL EAASLMSQVS YRHLVLLHGV CMAGDSTMVQ
601 EFVHLGAIDM YLRKRGHLVP ASWKLQVVKQ LAYALNYLED KGLPHGNVSA RKVLLAREGA
661 DGSPPFIKLS DPGVSPAVLS LEMLTDRIPW VAPECLREAQ TLSLEADKWG FGATVWEVFS
721 GVTMPISALD PAKKLQFYED RQQLPAPKWT ELALLIQQCM AYEPVQRPSF RAVIRDLNSL
781 ISSDYELLSD PTPGALAPRD GLWNGAQLYA CQDPTIFEER HLKYISQLGK GNFGSVELCR
841 YDPLGDNTGA LVAVKQLQHS GPDQQRDFQR EIQILKALHS DFIVKYRGVS YGPGRQSLRL
901 VMEYLPSGCL RDFLQRHRAR LDASRLLLYS SQICKGMEYL GSRRCVHRDL AARNILVESE
961 AHVKIADFGL AKLLPLDKDY YVVREPGQSP IFWYAPESLS DNIFSRQSDV WSFGVVLYEL
1021 FTYCDKSCSP SAEFLRMMGC ERDVPALCRL LELLEEGQRL PAPPACPAEV HELMKLCWAP
1081 SPQDRPSFSA LGPQLDMLWS GSRGCETHAF TAHPEGKHHS LSFS
配列番号2は、Jak3に対応するヒト野生型ヌクレオチド配列(ヌクレオチド1〜5449)である[配列中、下線太字の「ATG」は、オープンリーディングフレームの開始を表す]:
1 cacacaggaa ggagccgagt gggactttcc tctcgctgcc tcccggctct gcccgccctt
61 cgaaagtcca gggtccctgc ccgctaggca agttgcactc atggcacctc caagtgaaga
121 gacgcccctg atccctcagc gttcatgcag cctcttgtcc acggaggctg gtgccctgca
181 tgtgctgctg cccgctcggg gccccgggcc cccccagcgc ctatctttct cctttgggga
241 ccacttggct gaggacctgt gcgtgcaggc tgccaaggcc agcggcatcc tgcctgtgta
301 ccactccctc tttgctctgg ccacggagga cctgtcctgc tggttccccc cgagccacat
361 cttctccgtg gaggatgcca gcacccaagt cctgctgtac aggattcgct tttacttccc
421 caattggttt gggctggaga agtgccaccg cttcgggcta cgcaaggatt tggccagtgc
481 tatccttgac ctgccagtcc tggagcacct ctttgcccag caccgcagtg acctggtgag
541 tgggcgcctc cccgtgggcc tcagtctcaa ggagcagggt gagtgtctca gcctggccgt
601 gttggacctg gcccggatgg cgcgagagca ggcccagcgg ccgggagagc tgctgaagac
661 tgtcagctac aaggcctgcc tacccccaag cctgcgcgac ctgatccagg gcctgagctt
721 cgtgacgcgg aggcgtattc ggaggacggt gcgcagagcc ctgcgccgcg tggccgcctg
781 ccaggcagac cggcactcgc tcatggccaa gtacatcatg gacctggagc ggctggatcc
841 agccggggcc gccgagacct tccacgtggg cctccctggg gcccttggtg gccacgacgg
901 gctggggctg ctccgcgtgg ctggtgacgg cggcatcgcc tggacccagg gagaacagga
961 ggtcctccag cccttctgcg actttccaga aatcgtagac attagcatca agcaggcccc
1021 gcgcgttggc ccggccggag agcaccgcct ggtcactgtt accaggacag acaaccagat
1081 tttagaggcc gagttcccag ggctgcccga ggctctgtcg ttcgtggcgc tcgtggacgg
1141 ctacttccgg ctgaccacgg actcccagca cttcttctgc aaggaggtgg caccgccgag
1201 gctgctggag gaagtggccg agcagtgcca cggccccatc actctggact ttgccatcaa
1261 caagctcaag actgggggct cacgtcctgg ctcctatgtt ctccgccgca gcccccagga
1321 ctttgacagc ttcctcctca ctgtctgtgt ccagaacccc cttggtcctg attataaggg
1381 ctgcctcatc cggcgcagcc ccacaggaac cttccttctg gttggcctca gccgacccca
1441 cagcagtctt cgagagctcc tggcaacctg ctgggatggg gggctgcacg tagatggggt
1501 ggcagtgacc ctcacttcct gctgtatccc cagacccaaa gaaaagtcca acctgatcgt
1561 ggtccagaga ggtcacagcc cacccacatc atccttggtt cagccccaat cccaatacca
1621 gctgagtcag atgacatttc acaagatccc tgctgacagc ctggagtggc atgagaacct
1681 gggccatggg tccttcacca agatttaccg gggctgtcgc catgaggtgg tggatgggga
1741 ggcccgaaag acagaggtgc tgctgaaggt catggatgcc aagcacaaga actgcatgga
1801 gtcattcctg gaagcagcga gcttgatgag ccaagtgtcg taccggcatc tcgtgctgct
1861 ccacggcgtg tgcatggctg gagacagcac catggtgcag gaatttgtac acctgggggc
1921 catagacatg tatctgcgaa aacgtggcca cctggtgcca gccagctgga agctgcaggt
1981 ggtcaaacag ctggcctacg ccctcaacta tctggaggac aaaggcctgc cccatggcaa
2041 tgtctctgcc cggaaggtgc tcctggctcg ggagggggct gatgggagcc cgcccttcat
2101 caagctgagt gaccctgggg tcagccccgc tgtgttaagc ctggagatgc tcaccgacag
2161 gatcccctgg gtggcccccg agtgtctccg ggaggcgcag acacttagct tggaagctga
2221 caagtggggc ttcggcgcca cggtctggga agtgtttagt ggcgtcacca tgcccatcag
2281 tgccctggat cctgctaaga aactccaatt ttatgaggac cggcagcagc tgccggcccc
2341 caagtggaca gagctggccc tgctgattca acagtgcatg gcctatgagc cggtccagag
2401 gccctccttc cgagccgtca ttcgtgacct caatagcctc atctcttcag actatgagct
2461 cctctcagac cccacacctg gtgccctggc acctcgtgat gggctgtgga atggtgccca
2521 gctctatgcc tgccaagacc ccacgatctt cgaggagaga cacctcaagt acatctcaca
2581 gctgggcaag ggcaactttg gcagcgtgga gctgtgccgc tatgacccgc taggcgacaa
2641 tacaggtgcc ctggtggccg tgaaacagct gcagcacagc gggccagacc agcagaggga
2701 ctttcagcgg gagattcaga tcctcaaagc actgcacagt gatttcattg tcaagtatcg
2761 tggtgtcagc tatggcccgg gccgccagag cctgcggctg gtcatggagt acctgcccag
2821 cggctgcttg cgcgacttcc tgcagcggca ccgcgcgcgc ctcgatgcca gccgcctcct
2881 tctctattcc tcgcagatct gcaagggcat ggagtacctg ggctcccgcc gctgcgtgca
2941 ccgcgacctg gccgcccgaa acatcctcgt ggagagcgag gcacacgtca agatcgctga
3001 cttcggccta gctaagctgc tgccgcttga caaagactac tacgtggtcc gcgagccagg
3061 ccagagcccc attttctggt atgcccccga atccctctcg gacaacatct tctctcgcca
3121 gtcagacgtc tggagcttcg gggtcgtcct gtacgagctc ttcacctact gcgacaaaag
3181 ctgcagcccc tcggccgagt tcctgcggat gatgggatgt gagcgggatg tccccgccct
3241 ctgccgcctc ttggaactgc tggaggaggg ccagaggctg ccggcgcctc ctgcctgccc
3301 tgctgaggtt cacgagctca tgaagctgtg ctgggcccct agcccacagg accggccatc
3361 attcagcgcc ctgggccccc agctggacat gctgtggagc ggaagccggg ggtgtgagac
3421 tcatgccttc actgctcacc cagagggcaa acaccactcc ctgtcctttt catagctcct
3481 gcccgcagac ctctggatta ggtctctgtt gactggctgt gtgaccttag gcccggagct
3541 gcccctctct gggcctcaga ggccttatga gggtcctcta cttcaggaac acccccatga
3601 cattgcattt gggggggctc ccgtggcctg tagaatagcc tgtggccttt gcaatttgtt
3661 aaggttcaag acagatgggc atatgtgtca gtggggctct ctgagtcctg gcccaaagaa
3721 gcaaggaacc aaatttaaga ctctcgcatc ttcccaaccc cttaagccct ggccccctga
3781 gtttcctttt ctgtctctct ctttttattt tttttatttt tatttttatt tttgagacag
3841 agcctcgctc tgttacccag ggtggagtgc agtggtgcga tctcggctca gtgcaacctc
3901 tgcttcccag gttcaagcga ttctcctgcc tcagcctccc gagtagctgg gattacaggt
3961 gtgcaccacc acacccggct aatttttttt atttttaata gagatgaggt ttcaccatga
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タンパク質の変異体は、アミノ酸配列の修飾を含み得る。例えば、アミノ酸配列の修飾は、置換、挿入、又は欠失変異体の3つのクラスのうちの1つ以上に分類される。挿入は、1つ以上のアミノ酸残基のアミノ末端及び/又はカルボキシル末端の融合並びに配列内挿入を含み得る。挿入は通常、アミノ末端又はカルボキシル末端の融合による挿入より小規模の、例えば、1つ〜4つの残基の規模の挿入となる。欠失は、1つ以上のアミノ酸残基のタンパク質配列からの除去を特徴とする。これらの変異体は通常、タンパク質をコードするDNA内のヌクレオチドに部位特異的突然変異誘発を施し、それにより変異体をコードするDNAを作製し、その後、組換え細胞培養物中でDNAを発現させることにより調製する。
ポリペプチドをコードするJak3遺伝子などの遺伝子を含む核酸配列は、当技術分野で知られている化学的方法を、全体的又は部分的に使用して合成することができる。あるいは、Jak3などのポリペプチドは、固相技術を使用する直接的なペプチド合成によるなど、そのアミノ酸配列を合成するのに化学的方法を使用して、作製することもできる。タンパク質の合成は、手作業による技術、又は自動法を使用して実施することができる。自動式の合成は、例えば、Applied Biosystems 431Aペプチド Synthesizer (Perkin Elmer)を使用して達成することができる。任意選択で、JAK3ポリペプチドの断片は、化学的方法を使用して、別個に合成し、組み合わせて、全長分子を作製することもできる。
本明細書で使用される「Jak3分子」は、Jak3活性を示すポリペプチドをコードする核酸、又はJak3活性を示すポリペプチド又はペプチド模倣体であり得る。例えば、Jak3分子は、ヒトJAK3タンパク質(例えば、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する)、又はJak3活性を示すその断片など、その変異体を含み得る。Jak3活性は、共通のガンマ鎖(γc)を使用するI型サイトカイン受容体(例えば、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-15、IL-21)によるシグナル伝達イベントを包含し得る。例えば、Jak3活性は、インターロイキン受容体によるチロシンのリン酸化を介するその活性化に応答して伝達されるシグナルであり得る。
核酸は、ゲノムDNA、相補的DNA (cDNA)、合成DNA又は半合成DNA、並びに対応するRNAの任意の形態を含む任意の型の核酸であり得る。例えば、Jak3分子は、ヒトJAK3タンパク質をコードする組換え核酸を含み得る。一実施形態では、Jak3分子は、(配列をアセンブルするか、切断するか、ライゲーションするか、又は増幅することなどにより)人工的に作出された非天然核酸を含み得る。Jak3分子は、二本鎖であり得る。Jak3分子は、一本鎖であり得る。本発明のJak3分子は、多様な供給源から得ることができ、当技術分野で知られている多様な技術に従い作製することができる。例えば、Jak3分子である核酸は、DNAライブラリーをスクリーニングすることにより、又は天然の供給源からの増幅により得ることができる。Jak3分子は、組換えDNA技術を介して作製することができ、このような組換え核酸は、化学合成、遺伝子操作、酵素法、又はそれらの組合せを含む、従来の技術により調製することができる。核酸であるJak3分子の非限定的な例は、配列番号2を含む核酸である。Jak3分子の別の例は、配列番号2に示される配列を含む核酸の断片であって、Jak3活性を示す断片である。本発明のJak3分子はまた、Jak3タンパク質又はJak3活性を示すヒトJak3タンパク質の変異体をコードするヒト核酸の変異体も包含する。Jak3分子はまた、Jak3活性を示すポリペプチドをコードするヒトJak3核酸の断片も含み得る。Jak3分子は、Jak3活性を示すヒトJAK3タンパク質の断片を包含し得る。
Jak3分子はまた、ヒト、イヌ、ネコ、マウス、及びラットなど、異なる生物学的種の間で保存される遺伝子であり、ヒトに由来するタンパク質(Jak3タンパク質など)と生物学的に同等な機能を有するタンパク質(例えば、相同体(スプライス変異体を含む)、突然変異体、及び誘導体)をコードする、Jak3オルソログ遺伝子も包含し得る。Jak3オルソログは、ヒト及び他の霊長動物、実験用哺乳動物(マウス、ラット、ハムスター、及びモルモットなど)、市場的重要性を有する哺乳動物(ウマ、ウシ、ラクダ、ブタ、及びヒツジなど)、並びに、愛玩用哺乳動物(例えば、ウサギ、フェレット、イヌ、及びネコなどの家畜動物)におけるオルソログも含む、Jak3の任意の哺乳動物オルソログを含む。
Jak3変異体は、例えば、個体間の対立遺伝子変異による天然の変異体(例えば、多型)、円形脱毛症と関連する突然変異した対立遺伝子、又は選択的スプライシング形態を含み得る。一実施形態では、Jak3分子は、配列番号2に示される配列を有する核酸の核酸変異体であって、配列番号2に対する、約65%、約75%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%のヌクレオチド配列同一性を有する上記変異体である。一実施形態では、Jak3分子は、配列番号2の約8つの連続ヌクレオチドの任意の一部を包含する。一実施形態では、断片は、配列番号2のうちの約15ヌクレオチド、約20ヌクレオチド、又は約30ヌクレオチドを含み得る。断片は、約8〜100ヌクレオチドの間の全ての可能なヌクレオチドの長さ、例えば、約15〜100ヌクレオチドの間、又は約20〜100ヌクレオチドの間の長さを含む。
本発明は、Jak3タンパク質をコードする核酸と相補的な核酸もさらに提供する。このような相補的な核酸は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でJak3タンパク質をコードする核酸配列とハイブリダイズする核酸配列を含み得る。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の非限定的な例は、30℃を上回る温度、35℃を上回る温度、42℃を超える温度、及び/又は約500mM未満若しくは約200mM未満の塩分濃度を含む。ハイブリダイゼーション条件は、当業者が、温度、塩分濃度、及び/又はSDS若しくはSSCなど、他の試薬の濃度を修飾することにより、調整することができる。
一実施形態では、Jak3分子は、配列番号1に示される配列など、Jak3核酸配列によりコードされるタンパク質又はポリペプチドを含む。別の実施形態では、ポリペプチドは、グリコシル化及び/又はアセチル化及び/又は化学反応若しくはカップリングなどにより修飾することができ、1つ又はいくつかの非天然アミノ酸又は合成アミノ酸を含有し得る。Jak3分子の例は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドである。別の実施形態では、Jak3分子は、Jak3タンパク質の断片であり得る。例えば、Jak3分子は、配列番号1の約8つの連続アミノ酸の任意の一部を包含し得る。断片は、配列番号1の約10アミノ酸、少なくとも約20アミノ酸、約30アミノ酸、約40アミノ酸、少なくとも約50アミノ酸、約60アミノ酸、又は約75アミノ酸を含み得る。断片は、約8〜100アミノ酸の間の全ての可能なアミノ酸の長さ、例えば、約10〜100アミノ酸の間、約15〜100アミノ酸の間、約20〜100アミノ酸の間、約35〜100アミノ酸の間、約40〜100アミノ酸の間、約50〜100アミノ酸の間、約70〜100アミノ酸の間、約75〜100アミノ酸の間、又は約80〜100アミノ酸の間の長さを含む。
いくつかの実施形態では、Jak3分子は、ヒトJak3タンパク質(配列番号1に示されるアミノ酸配列を含む)の変異体を含む。このような変異体は、配列番号1に対して少なくとも約46%〜約50%の同一性を有するか、又は配列番号1に対して少なくとも約50.1%〜約55%の同一性を有するか、又は配列番号1に対して少なくとも約55.1%〜約60%の同一性を有するか、又は配列番号1に対して約60.1%〜約65%の同一性を有するか、又は配列番号1に対して約65.1%〜約70%の同一性を有するか、又は配列番号1に対して少なくとも約70.1%〜約75%の同一性を有するか、又は配列番号1に対して少なくとも約75.1%〜約80%の同一性を有するか、又は配列番号1に対して少なくとも約80.1%〜約85%の同一性を有するか、又は配列番号1に対して少なくとも約85.1%〜約90%の同一性を有するか、又は配列番号1に対して少なくとも約90.1%〜約95%の同一性を有するか、又は配列番号1に対して少なくとも約95.1%〜約97%の同一性を有するか、又は配列番号1に対して少なくとも約97.1%〜約99%の同一性を有する変異体を含み得る。
既知の配列を有するDNA内の所定の部位において置換による突然変異を施すための技術、例えば、M13プライマーによる突然変異誘発及びPCRによる突然変異誘発はよく知られている。アミノ酸の置換は、単一の残基であり得るが、多数の異なる位置において同時に施すことができる。非限定的な一実施形態では、挿入は、約1〜約10アミノ酸残基の規模の挿入であり得るのに対し、欠失は、約1〜約30残基の範囲であり得る。欠失又は挿入は、隣接する対において施すことができる(例えば、約2つの残基の欠失又は約2つの残基の挿入)。置換、欠失、挿入、又はそれらの任意の組合せを組み合わせて、最終構築物に到達することができる。突然変異は、配列を、リーディングフレームの外に配置することは不可能であり、mRNAの二次構造をもたらし得る相補的な領域を作出するべきでない。置換変異体は、少なくとも1つの残基が除去され、異なる残基がその代わりに挿入された変異体である。
機能若しくは免疫学的同一性の実質的な変化は、(a)例えば、シート若しくはへリックスコンフォメーションとしての、置換の領域におけるポリペプチド骨格の構造、(b)標的部分における分子の電荷若しくは疎水性、又は(c)側鎖の大きさの維持に対するそれらの効果においてより顕著に異なる残基を選択することにより施す。タンパク質の特性の最大の変化をもたらし得る置換は、(a)親水性の残基、例えば、セリル若しくはトレオニルの、疎水性の残基、例えば、ロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリル、若しくはアラニルへの(又はによる)置換;(b)システイン若しくはプロリンの、他の任意の残基への(又はによる)置換;(c)陽性の側鎖を有する残基、例えば、リシル、アルギニル、若しくはヒスチジルの、陰性の残基、例えば、グルタミル若しくはアスパルチルへの(又はによる)置換;(d)大きな側鎖を有する残基、例えば、フェニルアラニンの、側鎖を有さない残基、例えば、この場合には、グリシンへの(又はによる)置換、又は(e)硫黄化及び/若しくはグリコシル化のための部位の数を増大させることによる置換である。
配列番号1のアミノ酸配列内には、微細な変異を施すこともできる。アミノ酸配列内の変異は、配列が、配列番号1に対する約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約90%、約95%、又は約99%の同一性を維持する場合に施すことができる。例えば、保存的なアミノ酸の置換を活用することができる。保存的な置換は、それらの側鎖において関連するアミノ酸のファミリー内で施される置換であって、互換性の残基が類似する側鎖を有する置換である。
遺伝子によりコードされるアミノ酸は一般に、ファミリーに分けられる: (1)酸性のアミノ酸は、アスパラギン酸、グルタミン酸であり; (2)塩基性のアミノ酸は、リシン、アルギニン、ヒスチジンであり; (3)非極性のアミノ酸は、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファンであり、(4)非荷電極性のアミノ酸は、グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシンである。親水性のアミノ酸は、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、リシン、セリン、及びトレオニンを含む。疎水性のアミノ酸は、アラニン、システイン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、チロシン、及びバリンを含む。アミノ酸の他のファミリーは、(i)セリン及びトレオニンなど、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸の群; (ii)アスパラギン及びグルタミンなど、アミド含有側鎖を有するアミノ酸の群; (iii)グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、及びイソロイシンなど、脂肪族側鎖を有するアミノ酸の群; (iv)フェニルアラニン、チロシン、及びトリプトファンなど、芳香族側鎖を有するアミノ酸の群;並びに(v)システイン及びメチオニンなど、硫黄含有側鎖を有するアミノ酸の群を含む。有用な保存的アミノ酸置換群は、バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リシン-アルギニン、アラニン-バリン、グルタミン酸-アスパラギン酸、及びアスパラギン-グルタミンである。
例えば、当業者には、1つのアミノ酸残基の、生物学的及び/又は化学的に類似する別のアミノ酸残基による置換は、保存的置換として知られている。例えば、保存的置換であれば、1つの疎水性の残基で他を、又は1つの極性の残基で他を置きかえ得る。置換は、例えば、Gly、Ala; Val、Ile、Leu; Asp、Glu; Asn、Gln; Ser、Thr; Lys、Arg;及びPhe、Tyrなどの組合せを含む。置換又は欠失突然変異誘発を用いて、N-グリコシル化(Asn-X-Thr/Ser)又はO-グリコシル化(Ser又はThr)のための部位を挿入することができる。また、システイン又は他の不安定残基の欠失も望ましいものであり得る。潜在的なタンパク質分解部位、例えば、Argの欠失又は置換は、例えば、塩基性残基のうちの1つを欠失、又はグルタミニル残基若しくはヒスチジル残基で置換することにより達成する。
別の実施形態では、Jak3分子は、Jak3活性を示すペプチド模倣体を包含する。ペプチド模倣体は、その分子を酵素による分解から保護し、その安定性を増大させ、及び/又は分子の特性を変化させるための、既存のペプチドの修飾(例えば、分子の安定性又は生物学的活性を変化させる修飾)から生じ得るペプチドを模倣するようにデザインされた、小型のタンパク質様鎖である。これらの修飾は、自然発生する可能性がない、ペプチドへの変化(骨格の変化及び非天然アミノ酸の組込みなど)を伴う。薬物様化合物は、既存のペプチドから開発することができる。ペプチド模倣体は、選択された天然ペプチド又はタンパク質の機能的ドメイン(例えば、結合モチーフ又は活性部位)の三次結合構造又は活性を模倣するペプチド、部分ペプチド、又は非ペプチド分子であり得る。これらのペプチド模倣体は、組換え又は化学修飾ペプチドを含む。
一実施形態では、配列番号1を含むJak3分子、その変異体、又はその断片を修飾して、遺伝子によりコードされる20のアミノ酸(又はDアミノ酸)による1つ以上の天然の側鎖を他の側鎖で置きかえることにより、ペプチド模倣体を作製することができる。これは、例えば、アルキル、低級アルキル、4、5、6〜7員環の環状アルキル、アミド、低級アルキルアミド、ジ(低級アルキル)アミド、低級アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシなどの基、及びこれらの低級エステル誘導体、並びに4、5、6〜7員環の複素環により行うことができる。例えば、プロリン残基の環サイズを、5員環から4、6、又は7員環に変化させたプロリン類似体を作製することができる。環状基は、飽和又は不飽和であり得、不飽和の場合は、芳香族又は非芳香族であり得る。複素環基は、1つ以上の窒素、酸素、及び/又は硫黄のヘテロ原子を含有し得る。このような基の例は、フラザニル、イフリル、イミダゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、モルホリニル(例えば、モルホリノ)、オキサゾリル、ピペラジニル(例えば、1-ピペラジニル)、ピペリジル(例えば、1-ピペリジル、ピペリジノ)、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル(例えば、1-ピロリジニル)、ピロリニル、ピロリル、チアジアゾイル、チアゾリル、チエニル、チオモルホリニル(例えば、チオモルホリノ)、及びトリアゾリルを含む。これらの複素環基は、置換されていても置換されていなくてもよい。基を置換する場合、置換基は、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、酸素、又は置換若しくは非置換フェニルであり得る。ペプチド模倣体はまた、リン酸化、スルホン化、ビオチニル化、又は他の部分の付加若しくは除去により化学修飾されたアミノ酸残基も有し得る。例えば、ペプチド模倣体をデザインし、配列番号1を含むJak3分子によりコードされるアミノ酸配列を指向するものにすることができる。
対応する天然物と同じか又は類似する所望の生物学的活性を有するが、可溶性、安定性、及び/又は加水分解若しくはタンパク質分解に対する感受性に関してペプチドより好適な活性を有するペプチド模倣体を構築するための様々な技術が利用可能である(例えば、Morgan及びGainor、Ann. Rep. Med. Chem.、24、243〜252、1989を参照されたい)。ある種のペプチド模倣体化合物は、本発明のペプチドのアミノ酸配列に基づく。ペプチド模倣体化合物は、選択されたペプチドの三次元構造に基づく三次元構造(すなわち、ペプチドモチーフ)を有する合成化合物であり得る。ペプチドモチーフは、ペプチド模倣体化合物に、所望の生物学的活性を与え、ここで、模倣体化合物の結合活性は、実質的に低減されず、しばしば模倣体のモデルとなる天然ペプチドの活性の同等以上である。ペプチド模倣体化合物は、細胞透過性の増大、アフィニティー及び/又はアビディティーの増大、並びに生物学的半減期の延長など、それらの治療適用を増強するさらなる特徴を有し得る。当技術分野では、ペプチド模倣体のデザイン戦略が容易に利用可能である(例えば、Ripka及びRich(1998)、Curr. Op. Chem. Biol.、2:441〜452; Hrubyら(1997)、Curr. Op. Chem. Biol.、1:114〜119; Hruby及びBalse (2000)、Curr. Med. Chem.、9:945〜970を参照されたい)。
細胞のトランスフェクション
ベクターのヌクレオチド配列によりコードされるタンパク質を作製するために、真核生物の発現ベクターを使用して、細胞にトランスフェクトすることができる。哺乳動物細胞(毛球からの単離細胞;例えば、真皮鞘細胞及び真皮乳頭細胞など)は、当技術分野で知られている方法を介して、適切な宿主細胞に発現ベクターを導入することにより、発現ベクター(例えば、Jak3タンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子を含有する発現ベクター)を含有し得る。
宿主細胞株は、挿入された配列の発現を調節するか、又はJak3遺伝子などの遺伝子によりコードされる、発現させたポリペプチドを所望の形でプロセシングするその能力について選ぶことができる。このようなポリペプチドの修飾は、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化、及びアシル化を含むがこれらに限定されない。また、ポリペプチドの「プレプロ」形態を切断する翻訳後プロセシングも使用して、適正な挿入、フォールディング、及び/又は機能を容易にすることもできる。翻訳後活性に特異的な細胞性機構及び特徴的な機構を有する異なる宿主細胞(例えば、CHO細胞、HeLa細胞、MDCK細胞、HEK293細胞、及びWI38細胞)は、American Type Culture Collection (ATCC; 10801 University Boulevard、Manassas、Va. 20110-2209)から入手可能であり、外来タンパク質の適正な修飾及びプロセシングを確保するように選ぶことができる。
外因性核酸は、リポフェクション、マイクロインジェクション、リン酸カルシウム若しくは塩化カルシウム沈殿、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、又は電気穿孔など、当技術分野で知られている様々な技術を介して、細胞に導入することができる。電気穿孔は、DNA構築物の対象の細胞(毛包の終末小体の細胞、例えば、真皮乳頭細胞又は真皮鞘細胞など)への移入を結果としてもたらすおおよその電圧及び静電容量で実行する。他のトランスフェクション法はまた、改変リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン沈殿、リポソーム融合、及び受容体媒介遺伝子送達も含む。
遺伝子操作される細胞は、多様な組織から得られる初代細胞及び第二継代細胞であり得、培養物中で維持し、増殖させ得る細胞型を含む。初代細胞及び第二継代細胞の非限定的な例は、上皮細胞(例えば、真皮乳頭細胞、毛包細胞、内毛根鞘細胞、外毛根鞘細胞、脂腺細胞、表皮マトリックス細胞)、神経細胞、内皮細胞、神経膠細胞、線維芽細胞、筋細胞(筋芽細胞など)、ケラチノサイト、形成された血液要素(例えば、リンパ球、骨髄細胞)、及びこれらの体細胞細胞型の前駆体を含む。
脊椎動物組織は、パンチ生検、又は被験体の初代細胞型の組織供給源を得る、他の外科的方法など、当業者に知られる方法により得ることができる。一実施形態では、パンチ生検又は摘出を使用して、ケラチノサイト、線維芽細胞、内皮細胞、又は間葉細胞(例えば、毛包細胞又は真皮乳頭細胞)の供給源を得ることができる。別の実施形態では、毛包の摘出を使用して、線維芽細胞、ケラチノサイト、内皮細胞、又は間葉細胞(例えば、毛包細胞又は真皮乳頭細胞)の供給源を得ることができる。初代細胞の混合物は、外植又は酵素消化(例えば、プロナーゼ、トリプシン、コラゲナーゼ、エラスターゼ、ディスパーゼ、及びキモトリプシンなどの酵素を使用する)など、当技術分野で容易に実施される方法を使用して、組織から得ることができる。生検法はまた、米国特許第7,419,661号及びPCT出願公開第WO/2001/032840号においても記載されており、これらは、各々が参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる。
初代細胞は、遺伝子操作された初代細胞又は第二継代細胞が投与される個体から取得することができる。しかし、初代細胞はまた、同じ種のレシピエント以外のドナーからも得ることができる。細胞はまた、別の種(例えば、ウサギ、ネコ、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ウマ、ウシ、トリ、又はブタ)からも得ることができる。初代細胞はまた、組織培養基質(例えば、フラスコ又はディッシュ)に付着させて成長させるか、又は懸濁液中で成長させた、単離脊椎動物組織供給源に由来する細胞;組織に由来する外植片内に存在する細胞;初回に播種された前述の細胞型の両方;及びこれらの播種された細胞に由来する細胞培養懸濁液も含み得る。第二継代細胞は、培養基質から摘出され、再播種又は継代培養された、播種された初代細胞、並びにその後の継代に由来する細胞であり得る。第二継代細胞は、1回以上にわたり継代培養することができる。これらの初代細胞又は第二継代細胞は、対象のタンパク質(例えば、Jak3タンパク質又はポリペプチド)をコードする遺伝子を有する発現ベクターを含有し得る。
細胞培養
培養される宿主細胞に関して、多様な培養パラメータを使用することができる。哺乳動物細胞に適切な培養条件は、当技術分野においてよく知られている(Cleveland WLら、J Immunol Methods、1983、56(2): 221〜234)か、又は当業者が決定することができる(例えば、「Animal Cell Culture: A Practical Approach」、2版、Rickwood, D.及びHames, B. D.編(Oxford University Press: New York、1992)を参照されたい)。細胞の培養条件は、選択される宿主細胞の型に従い変化し得る。市販の培地を活用することができる。培地の非限定的な例は、例えば、最小必須培地(MEM、Sigma、St. Louis、Mo.);ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Sigma); Ham F10培地(Sigma); HyClone細胞培養培地(HyClone、Logan、Utah); RPMI-1640培地(Sigma);及び多様な細胞型に応じて処方される合成(CD)培地、例えば、CD-CHO培地(Invitrogen、Carlsbad、Calif.)を含む。
必要であるか望ましい場合、細胞培養培地には、必要に応じて、任意選択の成分を、適切な濃度若しくは量で含む補充成分を補充することができる。細胞培養培地溶液は、以下の類型: (1)通常、グルコースなど、炭水化物の形態のエネルギー供給源; (2)全ての必須アミノ酸、及び、通常、20アミノ酸にシステインを加えた基本セット; (3)ビタミン及び/又は低濃度で必要とされる他の有機化合物; (4)遊離脂肪酸又は脂質、例えば、リノール酸;並びに(5)極めて低濃度、通常マイクロモルの範囲で必要とされ得る、無機化合物又は天然の元素として規定される微量元素のうちの1つ以上に由来する少なくとも1つの成分を提供する。
培地にはまた、以下の類型: (1)塩、例えば、マグネシウム塩、カルシウム塩、及びリン酸塩; (2)ホルモン、並びに血清、インスリン、トランスフェリン、及び上皮増殖因子など、他の成長因子; (3)タンパク質及び組織の加水分解物、例えば、精製ゼラチン、植物物質、又は動物副産物から得ることができる、ペプトン又はペプトン混合物; (4)アデノシン、チミジン、及びヒポキサンチンなどのヌクレオシド及び塩基; (5)HEPESなどの緩衝剤; (6)ゲンタマイシン又はアンピシリンなどの抗生剤; (7)細胞保護剤、例えば、プルロニック(Pluronic)ポリオール;並びに(8)ガラクトースのうちのいずれかに由来する1つ以上の成分も選択的に補充することができる。一実施形態では、可溶性因子を、培養培地に添加することができる。
本発明と共に使用し得る哺乳動物細胞の培養物は、培養される細胞の種類に適する培地中で調製する。一実施形態では、細胞の培養培地は、既に論じた培養培地のうちのいずれか1つ(例えば、MEM)であって、哺乳動物供給源に由来する血清(例えば、ウシ胎仔血清(FBS))を補充した培地であり得る。別の実施形態では、培地は、上皮細胞又は毛包の毛球から得られる細胞(真皮乳頭細胞又は真皮鞘細胞など)の成長を維持する馴化培地であり得る。例えば、上皮細胞は、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、Barnes及びMather、「Animal Cell Culture Methods」(Academic Press、1998)に従い培養することができる。さらなる実施形態では、上皮細胞又は毛包細胞に、対象のポリペプチド又はタンパク質(例えば、Jak3タンパク質又はJak3ポリペプチド)をコードする遺伝子を含有するDNAベクターをトランスフェクトすることもできる。本発明の他の実施形態では、細胞を、有効量の酵素の存在下で懸濁培養(例えば、懸滴培養などの三次元培養)において成長させるが、ここで、酵素基質は、懸濁培養物中の細胞外マトリックス分子である。例えば、酵素は、ヒアルロニダーゼであり得る。上皮細胞又は毛包細胞は、当技術分野で実施される方法、例えば、各々が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,785,876号において記載されている方法、又はHarris、「Handbook in Practical Animal Cell Biology: Epithelial Cell Culture」(Cambridge Univ. Press、Great Britain; 1996; 8章を参照されたい)により記載されている方法に従い培養することができる。
懸濁培養は、細胞又は細胞の凝集物(DP細胞の凝集物など)を、液体培地中に懸濁させながら増殖させる培養の種類である。哺乳動物細胞を含む懸濁培養は、接着しないか、又は細胞が接着形態では見られない特異的な細胞特徴を顕示することを可能とする細胞型を維持するために使用し得る。懸濁培養のいくつかの種類は、三次元培養又は懸滴培養を含み得る。懸滴培養は、培養される材料を、平坦な表面(カバーガラス、スライドガラス、ペトリディッシュ、フラスコなど)に付着させた流体の液滴中に接種し、中空表面上で倒立させ得る培養である。懸滴中の細胞は、重力の結果として、液滴の懸垂中心に凝集し得る。しかし、本発明の方法によれば、細胞外マトリックスを分解するタンパク質(コラゲナーゼ、コンドロイチナーゼ、ヒアルロニダーゼなど)の存在下で培養される細胞は、よりコンパクトとなり、懸滴培養物中に凝集するであろうが、これは、存在するECMが少ないので、ECMの分解により、細胞が互いと近接することが可能となるためである。参照により組み込まれる、米国特許公開第US2010-0303767A1号もまた参照されたい。
毛包の毛球から得られる細胞(真皮乳頭細胞又は真皮鞘細胞など)は、DP細胞の凝集物を作り出すように、懸滴培養において、単一の同質集団(例えば、DP細胞を含む)として培養することができる。細胞はまた、DP及びDS細胞のキメラ凝集物を作り出すように、懸滴培養において、異質集団(例えば、DP細胞及びDS細胞を含む)として培養することもできる。上皮細胞は、当技術分野で実施される通り、単層としてコンフルエンスまで培養することができる。このような培養法は、全てが参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、「Handbook in Practical Animal Cell Biology: Epithelial Cell Culture」(Cambridge Univ. Press、Great Britain; 1996)の8章; Underhill CB、J Invest Dermatol、1993、101(6):820〜6); Armstrong及びArmstrong (1990)、J Cell Biol、110:1439〜55;又は「Animal Cell Culture Methods」(Academic Press、1998)において記載されている方法に本質的に従い実行することができる。
三次元培養物は、寒天(Gey Agarなど)、ハイドロゲル(マトリゲル、アガロースなど; Leeら(2004)、Biomaterials、25: 2461〜2466)、又は架橋ポリマーから形成することができる。これらのポリマーは、天然のポリマー及びそれらの誘導体、合成ポリマー及びそれらの誘導体、又はそれらの組合せを含み得る。天然のポリマーは、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー、両親媒性ポリマー、又は中性ポリマーであり得る。アニオン性ポリマーの非限定的な例は、ヒアルロン酸、アルギン酸、カラギーナン、硫酸コンドロイチン、硫酸デキストラン、及びペクチンを含み得る。カチオン性ポリマーのいくつかの例は、キトサン又はポリリシンを含むがこれらに限定されない(Peppasら(2006)、Adv Mater.、18: 1345〜60; Hoffman, A. S. (2002)、Adv Drug Deliv Rev.、43: 3〜12; Hoffman, A. S. (2001)、Ann NY Acad Sci 944: 62〜73)。両親媒性ポリマーの例は、コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、及びカルボキシメチルキチンを含み得るがこれらに限定されない。中性ポリマーの非限定的な例は、デキストラン、アガロース、又はプルランを含み得る(Peppasら(2006)、Adv Mater.、18: 1345〜60; Hoffman, A. S.(2002)、Adv Drug Deliv Rev.、43: 3〜12; Hoffman, A. S. (2001)、Ann NY Acad Sci 944: 62〜73)。
本発明の方法に従う培養に適する細胞は、プラスミドなどの導入された発現ベクターを保有し得る。発現ベクター構築物は、形質転換、マイクロインジェクション、トランスフェクション、リポフェクション、電気穿孔、又は感染を介して導入することができる。発現ベクターは、発現及び産生のための、タンパク質をコードするコード配列又はその部分を含有し得る。産生されるタンパク質及びポリペプチドをコードする配列、並びに適切な転写及び翻訳制御エレメントを含有する発現ベクターは、当業者によく知られ、実施される方法を使用して作り出すことができる。これらの方法は、J. Sambrookら、2001、「Molecular Cloning, A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Press、Plainview、N.Y.;及びF. M. Ausubelら、1989、「Current Protocols in Molecular Biology」、John Wiley & Sons、New York、N.Y.において記載されている、合成法、in vitroにおける組換えDNA技術、及びin vivoにおける遺伝子的組換えを含む。
Jak3調節化合物
本明細書で使用される「Jak3調節化合物」は、Jak3遺伝子又はJak3タンパク質若しくはポリペプチドと相互作用し、その活性及び/又はその発現を調節する化合物を指す。化合物は、Jak3遺伝子によりコードされるタンパク質の活性又は発現を増大させることができる。逆に、化合物は、Jak3遺伝子によりコードされるタンパク質の活性又は発現を低下させることができる。化合物は、Jak3アゴニスト又はJak3アンタゴニスト(例えば、Jak3阻害剤)であり得る。Jak3調節化合物のいくつかの非限定的な例は、ペプチド(Jak3遺伝子によりコードされるポリペプチドを含むペプチド断片、又はその抗体若しくは断片など)、低分子、及び核酸(Jak3遺伝子を含む核酸に特異的なsiRNA又はアンチセンスRNAなど)を含む。Jak3タンパク質のアゴニストは、Jak3タンパク質に結合すると、Jak3タンパク質の活性を増大させるか又は延長する分子であり得る。Jak3アゴニストは、Jak3タンパク質を活性化させるタンパク質、核酸、低分子、又は他の任意の分子を含むがこれらに限定されない。Jak3タンパク質のアンタゴニストは、Jak3タンパク質に結合すると、Jak3タンパク質の量又は活性の持続を低下させる分子であり得る。アンタゴニストは、Jak3タンパク質の活性を低下させるタンパク質、核酸、抗体、低分子、又は他の任意の分子を含む。
本明細書に現れる「調節する」という用語は、Jak3の遺伝子又はタンパク質の活性又は発現の変化を指す。例えば、調節は、Jak3タンパク質のタンパク質活性、結合特性、又は他の任意の生物学的、機能的、若しくは免疫学的特性の増大又は低下を引き起こし得る。
一実施形態では、Jak3調節化合物は、Jak3タンパク質に結合する、Jak3タンパク質のペプチド断片であり得る。例えば、Jak3ポリペプチドは、配列番号1の約8つの連続アミノ酸の任意の一部を包含し得る。断片は、配列番号1の約10の連続アミノ酸、約20の連続アミノ酸、約30の連続アミノ酸、約40の連続アミノ酸、約50の連続アミノ酸、約60の連続アミノ酸、又は約75の連続アミノ酸を含み得る。断片は、約8〜約100アミノ酸の間及びこれらを含む全ての可能なアミノ酸の長さ、例えば、約10〜約100アミノ酸の間、約15〜約100アミノ酸の間、約20〜約100アミノ酸の間、約35〜約100アミノ酸の間、約40〜約100アミノ酸の間、約50〜約100アミノ酸の間、約70〜約100アミノ酸の間、約75〜約100アミノ酸の間、又は約80〜約100アミノ酸の間の長さを含む。これらのペプチド断片は、購入することもでき、液相又は固相の合成法を介して合成することもできる(Athertonら(1989)、「Solid Phase Peptide Synthesis: a Practical Approach」、IRL Press、Oxford、England)。Jak3ペプチド断片は、天然の供給源から単離することもでき、遺伝子操作することもでき、化学的に調製することもできる。これらの方法は、当技術分野ではよく知られている。
Jak3調節化合物は、Jak3遺伝子によりコードされるポリペプチドを指向する抗体(モノクローナル、ポリクローナル、ヒト化、キメラ、又は完全ヒト抗体)又はその結合性断片などのタンパク質であり得る。抗体断片は、全長形態以外の抗体の形態であることが可能であり、操作された抗体断片に加えて、全長抗体内に存在する部分又は成分も含む。抗体断片は、単鎖Fv(scFv)、ダイアボディー、Fv、及び(Fab')2、トリアボディー、Fc、Fab、CDR1、CDR2、CDR3、CDRの組合せ、可変領域、テトラボディー、二官能性ハイブリッド抗体、フレームワーク領域、定常領域などを含み得るがこれらに限定されない(Maynardら(2000)、Ann. Rev. Biomed. Eng.、2:339〜76; Hudson (1998)、Curr. Opin. Biotechnol.、9:395〜402を参照されたい)。抗体は、購入することもでき、特注で作り出すこともでき、当技術分野で確立された方法に従い、対象の抗原に対して合成することもできる(それらの各々が参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、Roland E. Kontermann及びStefan Duebel (編)、「Antibody Engineering」、I及びII巻(2010)、2版、Springer; Antony S. Dimitrov (編)、「Therapeutic Antibodies: Methods and Protocols」(Methods in Molecular Biology)(2009)、Humana Press; Benny Lo (編)、「Antibody Engineering: Methods and Protocols」(「Methods in Molecular Biology」)(2004)、Humana Pressを参照されたい)。例えば、Jak3を指向する抗体は、Abcam、Santa Cruz Biotechnology、Abgent、R&D Sytems、Novus Biologicalsなどから購入することができる。Jak3を指向するヒト抗体(モノクローナル抗体、ヒト化抗体、又はキメラ抗体など)は、ヒトにおける使用のための有用な抗体治療剤であり得る。一実施形態では、抗体又はその結合性断片は、配列番号1を指向する。
Jak3遺伝子によりコードされるポリペプチドをコードするRNAの阻害は、そこからRNAが転写されるJak3遺伝子の発現を効果的に調節し得る。阻害剤は、siRNA;RNA干渉又はRNAi; dsRNA; RNAポリメラーゼIII転写型DNA;リボザイム;及びRNA、DNA、又は人工核酸であり得るアンチセンス核酸を含む群から選択される。
アンチセンスDNA、RNA、及びDNA/RNA分子を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ターゲティングされたmRNAに結合し、タンパク質への翻訳を防止することにより、mRNAの翻訳を直接阻止するように作用する。例えば、約15塩基であり、Jak3遺伝子によりコードされるポリペプチドをコードするDNA配列の固有の領域と相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、従来のホスホジエステル技術(Dallasら(2006)、Med. Sci.、Monit.、12(4):RA67〜74; Kalotaら(2006)、Handb. Exp. Pharmacol.、173:173〜96; Lutzelburgerら(2006)、Handb. Exp. Pharmacol.、173:243〜59)により合成することができる。アンチセンスヌクレオチド配列は、モルホリノ、2'-O-メチルポリヌクレオチド、DNA、RNAなどを含むがこれらに限定されない。一実施形態では、Jak3に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドは、TGCCATGAGTGCAACTTGCCTAGC(配列番号3)を含む。
siRNAは、約15〜約50塩基対、例えば、約21〜約25塩基対を含有し、細胞内で発現する標的遺伝子又はRNAと同一であるか又はほぼ同一なヌクレオチド配列を有する二本鎖構造を含む。siRNAは、センスRNA鎖、及び標準的なワトソン-クリック塩基対合相互作用により共にアニールさせた相補的なアンチセンスRNA鎖を含む。センス鎖は、標的miRNA分子内に含有される核酸配列と実質的に同一な核酸配列を含む。標的mRNA内に含有される標的配列と「実質的に同一」は、標的配列と約3%以下異なる核酸配列を指す。siRNAのセンス及びアンチセンス鎖は、2つの相補的な一本鎖RNA分子を含み得るか、又は2つの相補的な部分が塩基対合し、一本鎖「ヘアピン」領域により共有結合的に連結された単一の分子を含み得る。また、それらの全開示が参照により本明細書に組み込まれる、McMnaus及びSharp (2002)、Nat Rev Genetics、3:737〜47;並びにSen及びBlau (2006)、FASEB J.、20:1293〜99も参照されたい。
siRNAは、1つ以上のヌクレオチドの付加、欠失、置換、及び/又は変化により天然のRNAと異なる、変化させたRNAであり得る。このような変化は、siRNAの末端、又はsiRNAの1つ以上の内部ヌクレオチドなどへの、非ヌクレオチド物質の付加、或いはsiRNAをヌクレアーゼによる消化に対して抵抗性とする修飾、或いはsiRNA内の1つ以上のヌクレオチドの、デオキシリボヌクレオチドによる置換を含み得る。また、siRNAの一方又は両方の鎖は、3'オーバーハングも含み得る。本明細書で使用される3'オーバーハングは、二重鎖RNAの3'端から伸長する少なくとも1つの非対合ヌクレオチドを指す。例えば、siRNAは、1〜約6ヌクレオチド(リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドを含む)の長さ、又は1〜約5ヌクレオチドの長さ、又は1〜約4ヌクレオチドの長さ、又は約2〜約4ヌクレオチドの長さの少なくとも1つの3'オーバーハングを含み得る。例えば、siRNAの各鎖は、ジチミジル酸(「TT」)又はジウリジル酸(「uu」)の3'オーバーハングを含み得る。
siRNAは、化学的又は生物学的に作製することもでき、組換えプラスミド又はウイルスベクターから発現させることもできる(例えば、それらの全開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,294,504号及び米国特許第7,422,896号を参照されたい)。dsRNA又はsiRNA分子を作製し、調べるための例示的な方法は、それらの各々の全開示が参照により本明細書に組み込まれる、Gewirtzによる米国特許出願公開第2002/0173478号、Hannonらによる米国特許第8,071,559号、Reichらによる米国特許第7,674,895号、及びTolentinoらによる米国特許第7,148,342号において記載されている。
一実施形態では、Jak3遺伝子を含むヒト核酸配列を指向するsiRNAを、配列番号2のいずれか1つに対して作り出すことができる。別の実施形態では、Jak3遺伝子を含むヒト核酸配列を指向するsiRNAは、表1に列挙する配列のうちのいずれか1つを含み得る。
別の実施形態では、Jak3を指向するsiRNAは、表1に列挙される。
Figure 2015515470
RNAポリメラーゼIII転写型DNAは、U6プロモーターなどのプロモーターを含有する。これらのDNAは、転写されて、siRNAとして機能し得る、細胞内の低分子ヘアピンRNA、又はアンチセンスRNAとして機能し得る直鎖状RNAを産生し得る。Jak3調節化合物は、標的RNA及び/又は遺伝子を阻害するように、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、合成ヌクレオチド、又は任意の適する組合せを含有し得る。加えて、これらの核酸の形態は、一本鎖、二本鎖、三本鎖、又は四本鎖であり得る(例えば、Bass (2001)、Nature、411:428〜429; Elbashirら(2001)、Nature、411:494 498;米国特許第6,509,154号;及びPCT公開第WO00/044895号、同第WO01/036646号、同第WO99/032619号、同第WO00/01846号、同第WO01/029058号、同第WO00/44914号を参照されたい)。
Jak3調節化合物は、Jak3タンパク質に結合し、その機能を破壊するか、又は逆にその機能を増強する低分子であり得る。低分子は、一般に小さな分子量がを有する合成及び天然物質の多様な群である。それらは、天然の供給源(例えば、植物、真菌、微生物など)から単離することができ、購入され、且つ/又はライブラリー若しくはコレクションとして入手可能であるか、或いは合成される。Jak3タンパク質を調節する候補低分子は、当技術分野で確立された方法に従うコンビナトリアルライブラリーのin silicoスクリーニング又はハイスループット(HTP)スクリーニングにより同定することができる(例えば、それらの各々が参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、Potyrailoら(2011)、ACS Comb Sci.、13(6):579〜633; Menschら(2009)、J Pharm Sci.、98(12):4429〜68; Schnur (2008)、Curr Opin Drug Discov Devel.、11(3):375〜80;及びJhoti (2007)、Ernst Schering Found Symp Proc.、(3):169〜85を参照されたい)。アスピリン、ペニシリン、及び多くの化学療法剤など、従来の医薬品の大半は低分子であり、購入することもでき、化学合成することもでき、下記の通りランダムライブラリー又はコンビナトリアルライブラリーから得ることもできる(例えば、Wernerら(2006)、Brief Funct. Genomic Proteomic、5(1):32〜6を参照されたい)。
JAK3阻害剤は現在、ヒトにおける急性腎移植拒絶及び関節リウマチの処置についての臨床試験中である。JAK3阻害剤の非限定的な例は、、Janex 1 (WHI-P131) (Changelianら(2008)、Blood、111(4):2155〜7); Uckunら(1999)、Clin Cancer Res.、5(10):2954〜62; Uckunら(2010)、Arzneimittelforschung.、60(4):218〜25)、PF-956980 (Sigma製品番号PZ0151 (St. Louis、MO、http://www.sigmaaldrich.com/catalog/product/sigma/pz0151 ?lang=enRion=US)); Changelianら(2008)、Blood、111(4):2155〜7)、WHI-P154 (Calbiochem製品番号420104-5MG (San Diego、CA、http://www.emdbiosciences.com)); Changelianら(2008)、Blood、111(4):2155〜7)、VX-509 (Vertex Pharmaceuticals、Cambridge MA製の経口剤; Fleischmannら(2011)、Arthritis Rheum、63:LB3; Fleischmannら(2012)、Curr Opin Rheumatol.、2月18日、PMID: 22357358)、JAK3阻害剤IV (ZM-39923) Calbiochem製品番号420121-10MG (San Diego、CA、http://www.emdbiosciences.com;WO1998022103)、NSC114792 (Kimら(2010)、Mol Cancer.、2010、9:36)、トファシチニブ(CP690550) (Changelianら(2008)、Blood、111(4):2155〜7; Vijayakrishnanら(2011)、Trends Pharmacol Sci.、32(1):25〜34; Fleischmannら(2012)、Curr Opin Rheumatol.、2月18日、PMID: 22357358)、及びR348 (Rigel Pharmaceuticals、San Francisco CA製の局所経口剤; Deuseら(2008)、Transplantation.、85(6):885〜92; Vijayakrishnanら(2011)、Trends Pharmacol Sci.、32(1):25〜34)を含み、それらの参考文献の各々が参照によりそれらの全体において組み込まれる。
本発明に有用なJAK3阻害剤の構造は、a)経口局所剤であるJanex 1; b)静注剤であるPF-956980; c)WHI-P154; d)ZM-39923; e)NSC114792; f)経口剤であるトファシチニブ(CP690550)を含む。
Figure 2015515470
JAK阻害剤の非限定的な例(例えば、I型及びII型Jak阻害剤)は、それらの各々が参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、O'Shea及びPlenge (Immunity、2012年4月20日、36(4):542〜50)、LaFave及びLevine (Trends Pharmacol Sci.、2012年11月、33(11):574〜82)、Kontziasら、(Curr Opin Pharmacol.、2012年8月、12(4):464〜70)、Norman (Expert Opin Ther Pat.、2012 10月、22(10):1233〜49)、並びにWilson (Expert Opin Ther Pat.、2010年5月、20(5):609〜23)において論じられている。
Jak3遺伝子によりコードされるポリペプチドなど、対象の分子の一次配列、及びこの配列の、機能が知られるタンパク質との類似性についての知識は、対象のタンパク質のアゴニストに加えて、阻害剤又はアンタゴニストについての情報も提供し得る。アゴニスト及びアンタゴニストの同定及びスクリーニングは、例えば、X線結晶構造解析、中性子回折、核磁気共鳴分光法、及び構造決定のための他の技術を使用してタンパク質の構造的特徴を決定することにより、さらに容易となる。これらの技術は、アゴニスト及びアンタゴニストの合理的デザイン又は同定を提供する。
Jak3調節化合物などの被験化合物は、合成又は天然化合物の大規模ライブラリーからスクリーニングすることができる(Alicea-Velazquez及びBoggon (2011)、Curr Drug Targets、12(4):546〜55; Wangら(2007)、Curr Med Chem、14(2):133〜55; Mannhold (2006)、Curr Top Med Chem、6 (10):1031〜47;並びにHensen (2006)、Curr Med Chem、13(4):361〜76を参照されたい)。多数の手段が、糖、ペプチド、及び核酸ベースの化合物のランダム合成及び方向付けられた合成のために、現在使用されている。合成化合物ライブラリーは、Maybridge Chemical Co. (Trevillet、Cornwall、UK)、AMRI (Albany、NY)、ChemBridge (San Diego、CA)、及びMicroSource (Gaylordsville、CT)から市販されている。希少な化学物質のライブラリーは、Aldrich (Milwaukee、Wis.)から入手可能である。あるいは細菌、真菌、植物、及び動物抽出物の形態の天然化合物のライブラリーも、例えば、Pan Laboratories (Bothell、Wash.)又はMycoSearch (N.C.)から入手可能であるか、又は容易に作成可能である。加えて、天然並びに合成により作製されるライブラリー及び化合物は、従来の化学的、物理的、及び生化学的手段によっても容易に修飾される(Blondelleら(1996)、Tib Tech、14:60)。
当技術分野では、分子のライブラリーを調製するための方法がよく知られており、多くのライブラリーが市販されている。本発明における対象のライブラリーは、ペプチドライブラリー、ランダム化オリゴヌクレオチドライブラリー、合成有機コンビナトリアルライブラリーなどを含む。縮重ペプチドライブラリーは、溶液中で、固定化形態で、細菌鞭毛ペプチドディスプレイライブラリー又はファージディスプレイライブラリーとして容易に調製することができる。ペプチドリガンドは、少なくとも1つのアミノ酸を含有するペプチドのコンビナトリアルライブラリーから選択することができる。ペプトイド及び非ペプチドの合成部分のライブラリーも合成することができる。それらの天然の対応物と比較して酵素による分解を受けにくい、非ペプチド合成部分を含有するかかるライブラリーも、さらに合成することができる。例えば、ライブラリーはまた、ペプチドオンプラスミドライブラリー、合成低分子ライブラリー、アプタマーライブラリー、in vitro翻訳ベースのライブラリー、ポリソームライブラリー、合成ペプチドライブラリー、神経伝達物質ライブラリー、及び化学物質ライブラリーも含み得るがこれらに限定されない。
化学合成ライブラリーの例は、Fodorら(1991)、Science、251:767〜773; Houghtenら(1991)、Nature、354:84〜86; Lamら(1991)、Nature、354:82〜84; Medynski (1994)、BioTechnology、12:709〜710; Gallopら(1994)、J. Medicinal Chemistry 37(9):1233〜1251; Ohlmeyerら(1993)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90:10922〜10926; Erbら(1994)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、91:11422〜11426; Houghtenら(1992)、BioTechniques、13:412; Jayawickremeら(1994)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、91:1614〜1618; Salmonら(1993)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90:11708〜11712; 1993年10月14日付のPCT公開第WO93/020242号;及びBrennerら(1992)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89:5381〜5383において記載されている。
ファージディスプレイライブラリーの例は、Scottら(1990)、Science、249:386〜390; Devlinら(1990)、Science、249:404〜406; Christianら(1992)、J. Mol. Biol.、227:711〜718; Lenstra (1992)、J. Immunol. Meth.、152:149〜157; Kayら(1993)、Gene、128:59〜65;及びPCT公開第WO94/018318号において記載されている。
In vitro翻訳ベースのライブラリーは、PCT公開第WO91/005058号;及びMattheakisら(1994)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、91:9022〜9026において記載されているライブラリーを含むがこれらに限定されない。
本明細書で使用される「リガンド供給源」という用語は、Jak3タンパク質のアゴニスト又はアンタゴニストとして作用する化合物についてスクリーニングするために用い得る、本明細書で記載される任意の化合物ライブラリー、又は生物系における多様な器官から調製される組織抽出物であり得る。本明細書で列挙される化合物ライブラリーのスクリーニング(また、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、米国特許第7,884,189号も参照されたい)を、下記の、in vivoにおける動物研究、機能及びシグナル伝達アッセイと組み合わせて使用して、毛の成長を制御するか、又は脱毛障害を処置するJak3調節化合物を同定することができる。
ライブラリーのスクリーニングは、あらゆる種類の、一般に知られる方法により達成することができる。例えば、ペプチドライブラリーのスクリーニングについて開示する以下の参考文献: Parmley及びSmith (1989)、Adv. Exp. Med. Biol.、251:215〜218; Scott及びSmith (1990)、Science、249:386〜390; Fowlkesら(1992)、BioTechniques、13:422〜427; Oldenburgら(1992)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89:5393〜5397; Yuら(1994)、Cell、76:933〜945; Staudtら(1988)、Science、241:577〜580; Bockら(1992)、Nature、355:564〜566; Tuerkら(1992)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89:6988〜6992; Ellingtonら(1992)、Nature、355:850〜852;全てLadnerらによる、米国特許第5,096,815号、同第5,223,409号、及び同第5,198,346号; Rebarら(1993)、Science、263:671〜673;並びにPCT公開第WO94/018318号を参照されたい。
低分子コンビナトリアルライブラリーもまた、作製し、スクリーニングすることができる。低分子有機化合物のコンビナトリアルライブラリーは、1つ以上の多様性の点で互いと異なるが、緊密に関連し、多段階工程を使用する有機技術により合成される類似体のコレクションである。コンビナトリアルライブラリーは、極めて多数の低分子有機化合物を含む。コンビナトリアルライブラリーの1つの種類は、化合物アレイを作製するための並行合成法により調製される。化合物アレイは、デカルト座標におけるそれらの空間的な位置により同定可能であり、各化合物が一般的な分子コア及び1つ以上の可変的な構造多様性エレメントを有するように配置された、化合物のコレクションであり得る。このような化合物アレイ内の化合物は、個別の反応容器内で並行して作製され、各化合物は、その空間的位置により同定され、追跡される。並行合成混合物及び並行合成法の例は、各々が参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、1994年1月5日に出願された米国特許第08/177,497号及びこれに対応するPCT公開第WO95/018972号、並びに米国特許第5,712,171号及びこれに対応するPCT公開第WO96/022529号において提示されている。
非限定的な一例では、ベンゾジアゼピンライブラリーなどの非ペプチドライブラリー(例えば、Buninら(1994)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、91:4708〜4712を参照されたい)をスクリーニングすることができる。Simonら(1992)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89:9367〜9371により記載されているペプトイドライブラリーなどのペプトイドライブラリーもまた使用することができる。ペプチド内のアミド官能基が、化学的に形質転換されたコンビナトリアルライブラリーを作り出すように完全メチル化された、使用し得るライブラリーの別の例は、Ostreshら(1994)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、91:11138〜42により記載されている。
コンピュータによるモデル化及び検索技術は、化合物の同定、又はJak3タンパク質の発現若しくは活性を調節し得る、既に同定された化合物の改善を可能とする。このような化合物又は組成物を同定したら、続いて、化合物が結合する部位を検討することにより、Jak3タンパク質の活性部位又は領域を同定することができる。これらの部位は、リガンド結合性部位であり得、例えば、ペプチドのアミノ酸配列に由来する、核酸のヌクレオチド配列に由来する、又は関連する化合物又は組成物のその天然のリガンドとの複合体についての研究に由来する方法を含む、当技術分野で知られている方法を使用して同定することができる。後者の場合は、化学的方法又はX線結晶構造解析法を使用して、因子上のどこに複合したリガンドが見出されるのかを見い出すことにより、活性部位を見い出すことができる。
部位、例えば、Jak3遺伝子によりコードされるポリペプチドの部位の三次元幾何学的構造は、完全な分子構造を決定し得るX線結晶構造解析など、当技術分野で知られる方法により決定することができる。固相又は液相NMRを使用して、いくつかの分子内距離を決定することができる。他の任意の実験的構造決定法を使用して、部分的又は完全な幾何学的構造を得ることができる。幾何学的構造は、天然又は人工の複合したリガンドにより測定することができ、これにより構造決定される活性部位の精度を増大させることができる。
当技術分野では、標的に結合するペプチドを調製又は同定するための他の方法も知られている。例えば、分子インプリンティングは、分子に結合するペプチドなど、高分子構造のデノボ構築に使用することができる。例えば、Kenneth J. Shea (1994)、「Molecular Imprinting of Synthetic Network Polymers: The De Novo synthesis of Macromolecular Binding and Catalytic Sites」、TRIP 2(5); Mosbach (1994)、Trends in Biochem. Sci.、19(9);及びWulff, G.、「Polymeric Reagents and Catalysts」(Ford, W. T.編)、ACS Symposium Series、308号、186〜230頁、American Chemical Society (1986)を参照されたい。Jak3調節化合物の模倣体を調製するための1つの方法は、(i)所望の活性を示す既知の基質(鋳型)の周囲において、機能的な単量体を重合化させるステップと; (ii)鋳型分子を除去するステップと;次いで、(iii)鋳型により残された空隙において、第2のクラスの単量体を重合化させて、鋳型の特性と類似する1つ以上の所望の特性を呈示する新たな分子をもたらすステップとを含む。ペプチドの調製に加えて、この様式で、多糖、ヌクレオシド、薬物、核タンパク質、リポタンパク質、炭水化物、糖タンパク質、ステロイド、脂質など、他の結合性分子、及び他の生物学的活性物質もまた、調製することができる。この方法は、機能的な単量体のフリーラジカルによる重合化により調製される結果として、非生分解性骨格を有する化合物をもたらすため、それらの天然の対応物より安定な多種多様な生物学的模倣体をデザインするのに有用である。このような分子をデザインするための他の方法は、例えば、多数の化合物の合成及び評価並びに分子モデリングを必要とする構造活性相関に基づく薬物デザインを含む。
スクリーニングアッセイ
Jak3調節化合物は、in vivo及び/又はin vitroにおいて、Jak3タンパク質の活性及び/又は発現に影響を及ぼす化合物であり得る。Jak3調節化合物は、Jak3タンパク質のアゴニスト及びアンタゴニストであり得、発現、翻訳後修飾、又は他の手段を介して、Jak3タンパク質の活性にその効果を及ぼす化合物であり得る。
Jak3タンパク質に結合し、且つ/又はJak3タンパク質の活性若しくは発現に対して刺激性若しくは阻害性の効果を及ぼす被験化合物又は薬剤は、2種類のアッセイ: (a)Jak3タンパク質若しくはその変異体を細胞表面上で発現させる細胞を使用する細胞ベースのアッセイ;又は(b)単離JAK3タンパク質を使用し得る無細胞アッセイにより同定することができる。これらのアッセイは、生物学的に活性なJak3タンパク質の断片、全長タンパク質、又はJak3遺伝子によりコードされるポリペプチドの全部若しくは一部を含む融合タンパク質を用いることができる。Jak3タンパク質は、任意の適する哺乳動物種(例えば、ヒト、ラット、ニワトリ、カエル、ウマ、ウシ、又はマウス)から得ることができる。アッセイは、被験化合物の結合の直接的又は間接的な測定を含む結合アッセイであり得る。アッセイはまた、Jak3タンパク質の活性の直接的又は間接的な測定を含む活性アッセイでもあり得る。アッセイはまた、Jak3 mRNAの核酸配列又はJak3遺伝子によりコードされるタンパク質の発現の直接的又は間接的な測定を含む発現アッセイでもあり得る。多様なスクリーニングアッセイは、被験体における脱毛障害若しくは脱毛疾患(例えば、男性型脱毛症、円形脱毛症、完全脱毛症、又は全身性脱毛症)なお又は貧毛症の症状に対する被験化合物の効果を測定することを含むin vivoアッセイと組み合わせることができる。
In vivoアッセイはまた、毛の成長の表現型の欠損若しくは異常を示す既知の哺乳動物モデル、又は毛の成長の制御若しくは毛の密度に影響を及ぼすJak3遺伝子を含む核酸配列のオープンリーディングフレーム(ORF)内に突然変異を含有する哺乳動物における、毛の成長の制御に対する被験化合物の効果を評価することも含み得る。一実施形態では、毛の成長の調節は、被験体における毛の成長又は密度の誘導を含み得る。この場合、毛の成長の制御における化合物の効果は、生物の物理的な毛の成長又は脱毛を検討することにより、又は当技術分野で知られている方法を使用して、タンパク質又はmRNAの発現を評価することにより観察することもできる。
また、Jak3タンパク質に結合するか又はその活性を調節する被験化合物をスクリーニングするためのアッセイも実行することができる。被験化合物は、従来の化合物ライブラリーによるなど、任意の適切な手段により得ることができる。Jak3タンパク質の膜結合形態に結合する被験化合物の能力の決定は、複合体中の標識化合物を検出することにより、被験化合物の、Jak3タンパク質を発現する細胞への結合を測定し得るように、被験化合物を、放射性同位元素又は酵素標識とカップリングすることにより達成することができる。例えば、被験化合物は、3H、14C、35S、又は125Iで直接的又は間接的に標識し、その後、放射性同位元素を、放射性物質放射の直接的なカウンティングにより、又はシンチレーションカウンティングにより検出することができる。あるいは被験化合物は、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、又はルシフェラーゼで酵素標識することもでき、酵素標識は、適切な基質の生成物への変換を決定することにより検出することができる。
細胞ベースのアッセイは、Jak3を発現させる細胞を、被験薬剤と接触させることと、膜結合分子の活性又は発現を調節する(増大させるか又は低下させるなど)被験薬剤の能力を決定することとを含み得る。膜結合Jak3分子の活性を調節する被験薬剤の能力の決定は、下流のシグナル伝達イベントのモニタリングなど、このような分子の活性の測定に適する任意の方法(例えば、それらのの各々が参照によりそれらの全体において組み込まれる、Thomaら(2011)、J Med Chem.、54(1):284〜8; Flanagan (2010)、J Med Chem.、53(24):8468〜84; Linら(2010)、Arthritis Rheum.、62(8):2283〜93; Kimら(2010)、Mol Cancer.、9:36; Malabarbaら(1995)、J Biol Chem. 270(16):9630〜7; JAK3 Kinase Enzyme Systems (Promega(http://www.promega.com/products/cell-signaling/protein--kinases-and-kinase--assays/nonreceptor-tyrosine-kinase-enzyme-systems/jak3-kinase-enzyme-system/)から入手可能な製品番号V9441及びV3701))により達成することができる。
Jak3タンパク質又はJak3タンパク質の標的は、固定化して、タンパク質の一方又は両方の非複合形態からの複合形態の分離を容易にすることができる。被験化合物のJak3タンパク質若しくはその変異体への結合、又は被験化合物の存在下及び非存在下におけるJak3タンパク質の標的分子との相互作用は、反応物を含有するのに適する任意の容器内で達成することができる。このような容器の例は、マイクロ滴定プレート、試験管、及びマイクロ遠心管を含む。一実施形態では、タンパク質の一方又は両方が、マトリックスに結合することを可能とするドメインを付加する融合タンパク質を提供することができる(例えば、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)融合タンパク質を、グルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical; St. Louis、Mo.)又はグルタチオン誘導体化マイクロ滴定プレートに吸着させることができる)。
Jak3タンパク質又はその変異体はまた、固体支持体に結合させることにより、固定化することもできる。適切な固体支持体の非限定的な例は、ガラス若しくはプラスチックスライド、組織培養プレート、マイクロ滴定ウェル、チューブ、シリコンチップ、又はビーズ(ラテックス、ポリスチレン、又はガラスを含むがこれらに限定されない)などの粒子を含む。共有結合的連結及び非共有結合的連結又は受動吸着の使用を含む、当技術分野で知られている任意の方法を使用して、Jak3若しくはその変異体に対応するポリペプチド(又はポリヌクレオチド)又は被験化合物を、固体支持体に付着させることができる。
Jak3タンパク質の発現はまた、モニタリングすることもできる。例えば、Jak3タンパク質発現の制御因子は、細胞を被験化合物と接触させ、細胞内のJak3遺伝子によりコードされるタンパク質又はJak3 mRNAの核酸配列の発現を決定することにより同定することができる。被験化合物の存在下における、細胞内のJak3遺伝子によりコードされるタンパク質又はJak3 mRNAの核酸配列の発現レベルを、被験化合物の非存在下におけるタンパク質又はmRNAの発現レベルと比較する。次いで、この比較に基づき、被験化合物を、Jak3タンパク質発現の制御因子として同定することができる。例えば、被験化合物の存在下における、細胞内のJak3遺伝子によりコードされるタンパク質又はJak3 mRNAの核酸配列の発現が、その非存在下における発現より、統計学的又は有意に大きい場合、被験化合物は、細胞内のJak3遺伝子によりコードされるタンパク質又はJak3 mRNAの核酸配列の発現の刺激剤/エンハンサーとして同定される。被験化合物は、Jak3調節化合物(アゴニストなど)であるということができる。
あるいは被験化合物の存在下における、細胞内のJak3遺伝子によりコードされるタンパク質又はJak3 mRNAの核酸配列の発現が、その非存在下における発現より、統計学的又は有意に小さい場合、被験化合物は、細胞内のJak3遺伝子によりコードされるタンパク質又はJak3 mRNAの核酸配列の発現の阻害剤として同定される。被験化合物はまた、Jak3調節化合物(アンタゴニストなど)であるということもできる。細胞内のJak3遺伝子によりコードされるタンパク質又はJak3 mRNAの核酸配列の発現レベルは、既に記載した方法により決定することができる。
結合アッセイでは、被験化合物は、Jak3遺伝子によりコードされるポリペプチド又はその変異体の結合部位に結合し、これを占有する低分子であり得る。これは、正常な生物学的活性を防止するように、リガンド結合性部位を基質に対してアクセス不可能とし得る。このような低分子の例は、小型のペプチド又はペプチド様分子を含むがこれらに限定されない。結合アッセイでは、被験化合物又はJak3遺伝子によりコードされるポリペプチドは、蛍光、放射性同位元素性、化学発光、又は酵素標識(例えば、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、又はルシフェラーゼ)などの検出可能な標識を含み得る。次いで、Jak3遺伝子によりコードされるポリペプチドに結合する被験化合物の検出を、放射性物質の放射を直接カウンティングすることにより、シンチレーションカウンティングにより、又は適切な基質の検出可能な生成物への変換を決定することにより決定することができる。
また、Jak3タンパク質に結合する被験化合物の能力の決定も、リアルタイムのBiamolecular Interaction Analysis (BIA) (McConnellら、1992、Science、257、1906〜1912; Sjolander、Urbaniczky、1991、Anal. Chem.、63、2338〜2345)を使用して達成することができる。BIAは、生体特異的相互作用を、リアルタイムで、相互作用物のうちのいずれも標識化せずに研究するための技術(例えば、BIA-coreTM)である。光学現象である表面プラズモン共鳴(SPR)の変化を、生物学的分子の間のリアルタイムの反応の指標として使用することもできる。
Jak3タンパク質に結合するか又はこれと相互作用し、その活性を調節する他のタンパク質を同定するため、Jak3遺伝子によりコードされるポリペプチドを当技術分野で実施される方法に従う、2ハイブリッドアッセイ又は3ハイブリッドアッセイ(Szaboら、1995、Curr. Opin. Struct. Biol. 5、699〜705;米国特許第5,283,317号)におけるベイトタンパク質として使用することができる。2ハイブリッドシステムは、大半の転写因子のモジュール的性格に基づいたものであり、分離可能なDNA結合性及び活性化ドメインとからなる。
機能的アッセイ:被験化合物は、Jak3タンパク質又はその変異体の活性を増大させるか又は低下させる能力について調べることができる。活性は、精製されたJAK3タンパク質、細胞膜調製物、又はインタクトな細胞を被験化合物と接触させた後で測定することができる。Jak3タンパク質の活性を、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約90%、約95%、又は100%低下させる被験化合物は、Jak3タンパク質の活性を低下させるための潜在的な薬剤、例えば、アンタゴニストとして同定される。Jak3タンパク質の活性を、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約90%、約95%、又は100%増大させる被験化合物は、Jak3タンパク質の活性を増大させるための潜在的な薬剤、例えば、アゴニストとして同定される。
処置及び防止
本発明はまた、被験体における脱毛障害を処置又は防止するための方法も提供する。一実施形態では、該方法は、被験体に由来する試料中のJak3遺伝子の変化の存在であって、脱毛障害又は脱毛障害に対する素因を示す変化の存在を検出するステップと、それを必要とする被験体に、脱毛障害に対する治療的処置を施すステップとを含む。治療的処置は、薬物投与(例えば、Jak3核酸を指向するsiRNAを含む医薬組成物)であり得る。一実施形態では、投与される治療用分子は、配列番号1のアミノ酸配列のうちの約75%、約80%、約85%、約90%、約93%、約95%、約97%、約98%、約99%、又は100%を含む、Jak3遺伝子によりコードされるポリペプチドを含み、Jak3遺伝子によりコードされるタンパク質の発現を低下させる機能を示す。これは、毛包又は皮膚に由来する細胞における毛の成長を誘発する能力を回復させ得る。別の実施形態では、投与される治療用分子は、配列番号2の核酸配列のうちの約75%、約80%、約85%、約90%、約93%、約95%、約97%、約98%、約99%、又は100%を含む、ポリペプチドをコードするJak3遺伝子を含む核酸配列を含み、Jak3遺伝子によりコードされるタンパク質の発現を低下させる機能を伴うポリペプチドをコードし、したがって、毛包細胞又は皮膚に由来する細胞における毛の成長を誘発する能力を回復させる。
試料中の、Jak3分子をコードする遺伝子の変化の存在は、試料の遺伝子型決定、例えば、遺伝子の配列決定、選択的ハイブリダイゼーション、増幅、遺伝子発現解析、又はそれらの組合せを介して検出することができる。一実施形態では、試料は、血液、血漿、血清、唾液、涙液分泌物、精液、膣分泌物、皮膚組織、筋肉組織、羊水、又はそれらの組合せを含み得る。
変化は、DNA、RNA、又はポリペプチドのレベルで決定することができる。任意選択で、検出は、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ、確認ベースのアッセイ、ハイブリダイゼーションアッセイ、配列決定アッセイ、対立遺伝子特異的増幅アッセイ、マイクロ配列決定アッセイ、融解曲線解析、変性高速液体クロマトグラフィー(DHPLC)アッセイ(例えば、Jonesら、(2000)、Hum Genet.、106(6):663〜8を参照されたい)、又はそれらの組合せを実施することにより決定することができる。別の実施形態では、検出は、Jak3遺伝子の全部若しくは一部の配列決定により、又は選択的ハイブリダイゼーションにより、又はJak3遺伝子の全部若しくは一部の増幅により実施する。Jak3遺伝子特異的増幅は、変化の同定ステップの前に実行することができる。
Jak3遺伝子により占有される染色体領域の変化は、単独又は多様な組合せにおける、遺伝子座のコード及び/又は非コード領域内の、突然変異、欠失、再構成、及び/又は挿入のうちの任意の形態であり得る。突然変異は、点突然変異を含み得る。挿入は、遺伝子座のコード又は非コード部分内の1つ又はいくつかの残基の付加を包含し得る。挿入は、遺伝子座内の1〜50塩基対の間の付加を含み得る。欠失は、2残基〜遺伝子又は遺伝子座全体など、遺伝子座のコード部分内又は非コード部分内の、1つ、又は2つ以上の残基の任意の領域を包含し得る。欠失は、ドメイン(イントロン)又は反復配列又は約50連続塩基対未満の断片など、小さな領域に影響を及ぼし得るが、大きな欠失も施し得る。再構成は、配列の反転を含む。Jak3遺伝子により占有される染色体領域の変化は、アミノ酸の置換、RNAのスプライシング若しくはプロセシング、生成物の不安定性、終止コドンの作出、フレームシフト突然変異、及び/又は切断型ポリペプチドの産生をもたらし得る。変化は、機能、安定性、ターゲティング、又は構造の変化を伴う、Jak3遺伝子によりコードされるポリペプチドの産生をもたらし得る。変化はまた、タンパク質発現の低減、又は増大をも引き起こし得る。一実施形態では、Jak3遺伝子により占有される染色体領域の変化は、Jak3遺伝子内又は対応する発現生成物内の点突然変異、欠失、又は挿入を含み得る。別の実施形態では、変化は、Jak3遺伝子の欠失又は部分的欠失であり得る。変化は、DNA、RNA、又はポリペプチドのレベルで決定することができる。
別の実施形態では、該方法は、RNA発現の変化の存在を検出するステップを含み得る。RNA発現の変化は、RNA配列の変化の存在、RNAのスプライシング若しくはプロセシングの変化の存在、又はRNA量の変化の存在を含む。これらは、RNAの全部又は一部の配列決定を含む当技術分野で知られている多様な技術により、又は選択的ハイブリダイゼーション又はRNAの全部若しくは一部の選択的増幅により検出することができる。さらなる実施形態では、該方法は、Jak3遺伝子によりコードされるポリペプチドの発現の変化の存在を検出するステップを含み得る。ポリペプチド発現の変化は、ポリペプチド配列の変化の存在、ポリペプチド量の変化の存在、又は組織分布の変化の存在を含む。これらは、配列決定及び/又は特異的リガンド(抗体、例えば、Jak3を指向する抗体など)への結合によることを含む、当技術分野で知られている多様な技術により検出することができる。
ハイブリダイゼーション、配列決定、増幅、及び/又は特異的リガンド(抗体など)への結合を含むがこれらに限定されない、当技術分野で知られている多様な技術を使用して、遺伝子若しくはRNAの発現又は核酸配列の変化を検出又は定量化することができる。他の適する方法は、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)、オリゴヌクレオチドライゲーション、対立遺伝子特異的増幅、サザンブロット(DNAのための)、ノーザンブロット(RNAのための)、一本鎖コンフォメーション解析(SSCA)、パルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)、等電点電気泳動、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、ゲル泳動、クランプ付加変性ゲル電気泳動、変性HPLC、融解曲線解析、ヘテロ二重鎖解析、RNaseプロテクション、化学的又は酵素的ミスマッチ切断、ELISA、ラジオイムノアッセイ(RIA)、及び免疫酵素アッセイ(IEMA)を含む。一実施形態では、検出は、ノーザンブロット;配列番号2を指向するリアルタイムPCR及びプライマー;リボヌクレアーゼプロテクションアッセイ;配列番号2を識別するためのハイブリダイゼーション、増幅、若しくは配列決定技術;又はそれらの組合せの使用を含む。
これらの手法のいくつか(SSCA及び定常勾配ゲル電気泳動(CGGE)など)は、配列の変化の存在の結果としての核酸の電気泳動的移動の変化に基づく。これらの技術に従い、配列の変化を、ゲル上の移動性のシフトにより視覚化する。次いで、断片を配列決定して、変化を確認することができる。他のいくつか手法は、被験体に由来する核酸と、野生型又は変化した遺伝子若しくはRNAに特異的なプローブとの間の特異的ハイブリダイゼーションに基づく。プローブは、懸濁液中に存在し得るか、又は基質上に固定化され得る。プローブは、ハイブリッドの検出を容易にするように標識することができる。ノーザンブロット、ELISA、及びRIAなど、これらの手法のいくつかは、ポリペプチドの配列又は発現レベルの評価に適する。これらのうちの後者は、ポリペプチドに特異的なリガンドの使用、例えば、特異的抗体の使用を必要とする。一実施形態では、抗体は、配列番号1を含むJak3分子を指向する。
配列決定:配列決定は、自動式シーケンサーを使用する、当技術分野でよく知られている技術を使用して実行することができる。配列決定は、完全なJak3遺伝子、又は有害な突然変異若しくは他の変化を保有することが知られるか若しくは疑われるドメインなど、その特殊なドメインについて実施することもできる。
増幅:増幅は、核酸の複製を誘発する役目をする相補的な核酸配列との間の特異的ハイブリッドの形成に基づく。増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、及び核酸配列ベースの増幅(NASBA)によるなど、当技術分野で知られている多様な技術に従い実施することができる。これらの技術は、市販される試薬及びプロトコールを使用して実施することができる。当技術分野で有用な技術は、リアルタイムPCR、対立遺伝子特異的PCR、又はPCRベースの一本鎖コンフォメーショナル多型(SSCP)を包含する。増幅は通常、反応を誘発するための特異的核酸プライマーの使用を必要とする。Jak3遺伝子又はJak3遺伝子座に由来する配列を増幅するのに有用な核酸プライマーは、脱毛障害を有するある種の被験体において変化する遺伝子座の標的領域を挟む、Jak3遺伝子座の一部と特異的にハイブリダイズすることが可能である。一実施形態では、増幅は、配列番号2のヌクレオチド配列を含むフォワードPCRプライマー及びリバースPCRプライマーの使用を含み得る。非限定的な増幅方法は、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応、PCR(「PCR Protocols, A Guide To Methods And Application」、Innis編、Academic Press、N.Y.、1990;及び「PCR Strategies」、1995、Innis編、Academic Press, Inc.、N.Y.);リガーゼ連鎖反応(LCR)(Wu (1989)、Genomics、4:560; Landegren (1988)、Science、241:1077;Barringer (1990)、Gene、89:117);転写増幅(Kwoh (1989)、PNAS 86:1173);及び自己持続配列複製(Guatelli (1990)、PNAS、87:1874); Qベータレプリカーゼ増幅(Smith (1997)、J. Clin. Microbiol.、35:1477〜1491)、自動式Q-ベータレプリカーゼ増幅アッセイ(Burg (1996)、Mol. Cell. Probes、10:257〜271);並びに他のRNAポリメラーゼ介在法(例えば、NASBA、Cangene、Mississauga、Ontario;また、Berger (1987)、Methods Enzymol.、152:307〜316;米国特許第4,683,195号、及び同第4,683,202号;並びにSooknanan (1995)、Biotechnology、13:563〜564も参照されたい)を含む。上述の全ての参考文献は、参照によりそれらの全体において組み込まれる。
本発明は、脱毛障害を有するある種の被験体において変化したJak3コード配列(例えば、遺伝子又はRNA)の一部と相補的であり、これと特異的にハイブリダイズし得る核酸プライマーを提供する。本発明のプライマーは、Jak3遺伝子又はRNA内の変化した配列に特異的であり得る。このようなプライマーを使用するこにより、増幅生成物の検出が、Jak3遺伝子の変化の存在又はこのような遺伝子の非存在を示す。プライマーはまた、Jak3遺伝子座内又はその周囲に位置する一塩基多型(SNP)を同定するため使用することもでき、SNPは、Jak3遺伝子内及びその周囲における単一のヌクレオチド変化又はSNPのクラスターを含み得る。本発明のプライマーの例は、約5〜60ヌクレオチドの長さ、又は約8〜約25ヌクレオチドの長さの一本鎖核酸分子であり得る。配列は、Jak3遺伝子の配列に直接由来し得る。完全な相補性は、高度な特異性を確保するのに有用であるが、ある種のミスマッチは、許容することができる。例えば、上記の核酸プライマー又は核酸プライマーの対は、被験体における脱毛障害の存在又は素因を検出するための方法において使用することができる。
選択的ハイブリダイゼーション:ハイブリダイゼーションの検出法は、核酸配列の変化を検出する役目をする相補的な核酸配列の間の特異的ハイブリッドの形成に基づく。検出法は、野生型又は変化した遺伝子若しくはRNAに特異的な核酸プローブの使用に続いて、ハイブリッドの存在の検出を含む。プローブは、懸濁液中に存在し得るか、又は基質上又は支持体(例えば、核酸アレイ技術又は核酸チップ技術における支持体)上に固定化され得る。プローブは、ハイブリッドの検出を容易にするように標識することができる。例えば、被験体に由来する試料は、野生型Jak3遺伝子又は変化したJak3遺伝子に特異的な核酸プローブと接触させ、その後、ハイブリッドの形成を評価することができる。一実施形態では、該方法は、試料を、野生型Jak3遺伝子及び多様なその変化形態のそれぞれに特異的なプローブのセットと同時に接触させるステップを含む。したがって、試料中のJak3遺伝子の多様な変化形態の存在を直接検出することが可能である。また、多様な被験体に由来する多様な試料を、並列的に処置することもできる。
本発明によれば、プローブは、Jak3遺伝子又はJak3RNA (の標的部分)と相補的であり、これと特異的にハイブリダイズし、脱毛障害に素因を与えるか又はこれと関連するJak3遺伝子の対立遺伝子と関連するポリヌクレオチド多型を検出するのに適するポリヌクレオチド配列であり得る。有用なプローブは、Jak3遺伝子、RNA、又はそれらの標的部分と相補的なプローブである。プローブは、8〜1000ヌクレオチドの間の長さ、例えば、10〜800の間、15〜700の間、又は20〜500の間の一本鎖核酸を含み得る。長いプローブを使用することもできる。本発明の有用なプローブは、8〜500ヌクレオチドの間の長さであり、変化を保有するJak3遺伝子又はRNAの領域と特異的にハイブリダイズし得る一本鎖核酸分子である。例えば、プローブは、Jak3遺伝子により占有される染色体領域を指向し得る。
プローブの配列は、本明細書で提示されるJak3遺伝子及びJak3 RNAの配列に由来し得る。ヌクレオチド置換並びにプローブの化学修飾を実施することができる。このような化学修飾を達成して、ハイブリッドの安定性を増大させ(例えば、挿入基)、又はプローブを標識することもできる。標識のいくつかの例は、限定するものではないが、放射性、蛍光、化学発光、及び酵素標識を含む。
核酸のハイブリダイゼーションへの指針は、例えば、Sambrook編、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」(3版)、1〜3巻、Cold Spring Harbor Laboratory、1989;「Current Protocols In Molecular Biology」、Ausubel編、John Wiley & Sons, Inc.、New York、2001;「Laboratory Techniques In Biochemistry And Molecular Biology: Hybridization With Nucleic Acid Probes, Part I. Theory and Nucleic Acid Preparation」、Tijssen編、Elsevier、N.Y.、1993において見出される。
特異的リガンド結合
本明細書で示される通り、Jak3遺伝子により占有される染色体領域の変化又はJak3遺伝子の発現の変化はまた、Jak3遺伝子によりコードされるポリペプチドの配列又は発現レベルの変化についてスクリーニングすることによって検出することもできる。特異的抗体など、異なる種類のリガンドを使用することができる。一実施形態では、試料を、Jak3遺伝子によりコードされるポリペプチドに特異的な抗体と接触させ、その後、免疫複合体の形成を決定する。ELISA、ラジオイムノアッセイ(RIA)、及び免疫酵素アッセイ(IEMA)など、免疫複合体を検出するための多様な方法を使用することができる。一実施形態では、配列番号1を指向する抗体を使用するELISA;配列番号1を指向する抗体を使用するウェスタンブロット;質量分析、等電点電気泳動、又は配列番号1のエピトープをターゲティングする電気泳動ベースの技術;又はそれらの組合せによりレベルを測定する。
例えば、抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、並びに実質的に同じ抗原特異性を有するそれらの断片又は誘導体であり得る。断片は、Fab、Fab'2、又はCDR領域を含む。誘導体は、一本鎖抗体、ヒト化抗体、又は多官能性抗体を含む。Jak3遺伝子によりコードされるポリペプチドに特異的な抗体は、このようなポリペプチドに選択的に結合する抗体、すなわち、Jak3遺伝子によりコードされるポリペプチド又はエピトープを含有するその断片に対する抗体であり得る。他の抗原に対する非特異的結合も生じ得るが、標的ポリペプチドへの結合は、高度なアフィニティーで生じ、非特異的結合は、信頼できる形で区別することができる。一実施形態では、該方法は、被験体に由来する試料を、Jak3遺伝子によりコードされるポリペプチドの野生型形態又は変化形態に特異的な抗体と接触させるステップと、免疫複合体の存在を決定するステップとを含み得る。任意選択で、試料は、Jak3遺伝子によりコードされるポリペプチドの野生型又は変化形態に特異的な抗体でコーティングされた支持体に接触させることもできる。一実施形態では、試料は、野生型及びその多様な変化形態など、Jak3遺伝子によりコードされるポリペプチドの異なる形態に特異的な多様な抗体と同時に、並列的に、又は経時的に接触させることもできる。
遺伝子治療及びタンパク質置きかえ法
生細胞への核酸の送達は、ウイルス(例えば、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、又はレトロウイルス)ベクターなどのベクターを使用することにより、ex vivo、in situ、若しくはin vivoで、又は物理的DNA移植法(例えば、リポソーム又は化学的処理)を使用することにより、ex vivoで行うこともできる。in vitroにおける、哺乳動物細胞への核酸の移植に適する非限定的な技術は、リポソーム、電気穿孔、マイクロインジェクション、細胞融合、DEAE-デキストラン、及びリン酸カルシウム沈殿法(例えば、Anderson、Nature、392(6679): 25 (1998)を参照されたい)の使用を含む。核酸又は本発明のポリペプチドをコードする遺伝子の導入はまた、染色体外基質(一過性発現)又は人工染色体(安定的発現)によって達成することもできる。細胞はまた、このような細胞に対する所望の効果又は活性を増進するか又はもたらすために、本発明の治療用組成物の存在下で、ex vivoにおいて培養することもできる。次いで、処理された細胞を、in vivoにおいて、治療的目的で導入することができる。
核酸は、ベクターに挿入し、遺伝子治療用ベクターとして使用することができる。パポバウイルスを含む、多数のウイルス、例えば、SV40 (Madzakら(1992)、J Gen Virol.、73(6号):1533〜6)、アデノウイルス(Berkner (1992)、Curr Top Microbiol Immunol.、158:39〜66; Berkner (1988)、BioTechniques、6(7):616〜29; Gorziglia及びKapikian (1992)、J Virol.、66(7):4407〜12; Quantinら(1992)、Proc Natl Acad Sci U S A.、89(7):2581〜4; Rosenfeldら(1992)、Cell、68(1):143〜55; Wilkinsonら(1992)、Nucleic Acids Res.、20(9):2233〜9; Stratford-Perricaudetら(1990)、Hum Gene Ther.、1(3):241〜56)、ワクシニアウイルス(Moss (1992)、Curr Opin Biotechnol.、3(5):518〜22)、アデノ随伴ウイルス(Muzyczka (1992)、Curr Top Microbiol Immunol.、158:97〜129; Ohiら(1990)、Gene、89(2):279〜82)、HSV及びEBVを含むヘルペスウイルス(Margolskee (1992)、Curr Top Microbiol Immunol.、158:67〜95; Johnsonら(1992)、Brain Res Mol Brain Res.、12(1〜3):95〜102; Finkら(1992)、Hum Gene Ther.、3(1):11〜9; Breakefield及びGeller (1987)、Mol Neurobiol.、1(4):339〜71;Freeseら(1990)、Biochem Pharmacol.、40(10):2189〜99)、並びにトリ起源のレトロウイルス(Bandyopadhyay及びTemin (1984)、Mol Cell Biol.、4(4):749〜54; Petropoulosら(1992)、J Virol.、66(6):3391〜
7)、マウス起源のレトロウイルス(Millerら(1992)、Mol Cell Biol.、12(7):3262〜72; Millerら(1985)、J Virol.、55(3):521〜6; Sorgeら(1984)、Mol Cell Biol.、4(9):1730〜7; Mann及びBaltimore (1985)、J Virol.、54(2):401〜7; Millerら(1988)、J Virol.、62(11):4337〜45)、及びヒト起源のレトロウイルス(Shimadaら(1991)、J Clin Invest.、88(3):1043〜7; Helsethら(1990)、J Virol.、64(12):6314〜8; Pageら(1990)、J Virol.、64(11):5270〜6; Buchschacher及びPanganiban (1992)、J Virol.、66(5):2731〜9)が、遺伝子導入用ベクターとして使用されている。
in vivoにおける遺伝子導入技術の非限定的な例は、ウイルス(例えば、レトロウイルス性)ベクターのトランスフェクション(参照によりその全体において組み込まれる、米国特許第5,252,479号を参照されたい)、及びウイルスコートタンパク質-リポソーム媒介トランスフェクション(参照により全体において組み込まれる、Dzauら(1993)、Trends in Biotechnology、11:205〜210)を含む。当技術分野では、例えば、ネイキッドDNAワクチンが一般に知られている(参照によりその全体において組み込まれる、Brower (1998)、Nature Biotechnology、16:1304〜1305を参照されたい)。遺伝子治療用ベクターは、例えば、静脈内注射、局所投与(例えば、米国特許第5,328,470号を参照されたい)、又は定位注射(例えば、Chenら(1994)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、91:3054〜3057を参照されたい)により、被験体に送達することができる。遺伝子治療用ベクターによる医薬調製物は、遺伝子治療用ベクターを、許容可能な希釈剤中に含み得るか、又は遺伝子送達ビヒクルが埋め込まれた徐放マトリックスを含み得る。あるいは、完全な遺伝子送達ベクターを、組換え細胞、例えば、レトロウイルスベクターからインタクトに作製し得る場合、医薬調製物は、遺伝子送達系を産生する1つ以上の細胞を含み得る。
遺伝子治療のプロトコール及び方法の総説については、全てが参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、Andersonら(1992)、Science、256:808〜813;米国特許第5,252,479号、同第5,747,469号、同第6,017,524号、同第6,143,290号、同第6,410,010号、同第6,511,847号、同第8,398,968号、及び同第8,404,653号;並びに米国特許出願第2002/0077313号及び同第2002/00069号を参照されたい。ヒトにおける遺伝子治療処置の例については、Porterら、NEJM、2011、365:725〜733;及びKalosら、Sci. Transl. Med.、2011、3(95):95を参照されたい。遺伝子治療技術のさらなる総説については、それらのすべてが参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、Friedmann (1989)、Science、244:1275〜1281; Verma、Scientific American: 68〜84 (1990); Miller (1992)、Nature、357: 455〜460; Kikuchiら(2008)、J Dermatol Sci.、50(2):87〜98; Isakaら(2007)、Expert Opin Drug Deliv.、4(5):561〜71; Jagerら(2007)、Curr Gene Ther.、7(4):272〜83; Waehlerら(2007)、Nat Rev Genet.、8(8):573〜87; Jensenら(2007)、Ann Med.、39(2):108〜15; Herweijerら(2007)、Gene Ther.、14(2):99〜107; Eliyahuら(2005)、Molecules、10(1):34〜64;及びAltarasら(2005)、Adv Biochem Eng Biotechnol.、99:193〜260を参照されたい。
タンパク質の送達法
タンパク質補充療法は、注入を介して野生型のタンパク質又は生物学的に機能的なタンパク質を外因的に導入することにより、タンパク質の量を増大させ得る。補充用のポリペプチドは、既知の化学的技術に従い合成され得るか、又は既知の分子生物学的技術を介して作製及び精製され得る。タンパク質補充療法は、多様な障害のために開発されている。例えば、野生型のタンパク質は、組換え細胞発現系(例えば、哺乳動物細胞又は昆虫細胞; Desnickらによる米国特許第5,580,757号; Seldenらによる米国特許第6,395,884号及び同第6,458,574号;Calhounらによる米国特許第6,461,609号;Miyamuraらによる米国特許第6,210,666号;Seldenらによる米国特許第6,083,725号;Rasmussenらによる米国特許第6,451,600号;Rasmussenらによる米国特許第5,236,838号;並びにGinnsらによる米国特許第5,879,680号を参照されたい)、ヒト胎盤、又は動物ミルク(Reuserらによる米国特許第6,188,045号を参照されたい)、又は当技術分野で知られている他の供給源から精製することができる。注入後、外因性タンパク質は、非特異的又は受容体媒介機構を介して組織により取り込まれ得る。
Jak3遺伝子によりコードされるポリペプチド又はJak3調節化合物はまた、制御放出系により送達することもできる。例えば、ポリペプチド及び分子は、静脈内注入、埋め込み式浸透圧ポンプ、経皮パッチ、リポソーム、又は他の投与方式を使用して投与することができる。一実施形態では、ポンプを使用することができる(Sefton (1987)、Biomed. Eng.、14:201; Buchwaldら(1980)、Surgery、88:507; Saudekら(1989)、N. Engl. J. Med.、321:574を参照されたい)。別の実施形態では、ポリマー材料も使用することができる(「Medical Applications of Controlled Release」、Langer及びWise (編)、CRC Pres.、Boca Raton、Fla. (1974);「Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance」、Smolen及びBall(編)、Wiley、New York (1984); Ranger及びPeppas (1983)、J. Macromol. Sci.、Rev. Macromol. Chem.、23:61を参照されたい;また、Levyら(1985)、Science、228:190; Duringら(1989)、Ann. Neurol.、25:351; Howardら(1989)、J. Neurosurg.、71:105も参照されたい)。さらに別の実施形態では、制御放出系は、治療標的の近傍に配置することができ、このため、全身用量の一部だけが必要とされる(例えば、Goodson、「Medical Application of Controlled Release」、前出、2巻、115〜138頁(1984)を参照されたい)。他の制御放出系は、Langer (Science (1990)、249:1527〜1533)による総説において論じられている。
阻害剤
サイトカインは、近傍の細胞を活性化させて、互いと危険シグナルを伝達し合い、炎症性応答を拡大させて増幅するように産生される。多年にわたり、どのようにして、これらのサイトカインを阻害性抗体で中和するか、及び応答性細胞におけるそれらのシグナル伝達を低分子のタンパク質チロシンキナーゼ阻害剤で阻害するかの両方について考究された。FDAは、両手法に関して存在する薬物を承認した。全身毒性を制限しながら、可能な限り有効性を改善する局所用低分子製剤(治療指標の改善)が追及され、生物医薬品パイプライン内の他の低分子阻害剤のAAにおける臨床評価が奨励されている。
サイトカイン受容体のシグナル伝達を遮断するためには、RAを有する患者における予備的な安全性及び有効性を示した本明細書で記載される局所及び/又は経口JAK3阻害剤(例えば、トファシチニブ(CP690550)、R348、及びVX-509)を使用することができる。
阻害剤は、対象の遺伝子によりコードされるポリペプチド分子に結合し得るペプチド(抗体又はその断片など)、低分子、核酸(siRNA又はアンチセンスRNAなど)、若しくは他の薬剤、及び/又は対象のタンパク質の生物学的活性若しくはその発現に対して阻害性効果を有する分子を含み得る。
本明細書で使用される「Jak3阻害剤」は、Jak3遺伝子又はJak3タンパク質若しくはポリペプチドと相互作用し、その活性及び/又はその発現を阻害する化合物であり得る。化合物は、Jak3によりコードされるタンパク質の活性又は発現を低下させることもできる。一実施形態では、Jak3阻害剤は、Jak3調節化合物であり得る。
一実施形態では、Jak3阻害剤は、配列番号1を含むタンパク質に結合するペプチド断片であり得る。例えば、断片は、配列番号1の約8つの連続アミノ酸の任意の一部を包含し得る。断片は、配列番号1の約10の連続アミノ酸、約20の連続アミノ酸、約30の連続アミノ酸、約40の連続アミノ酸、約50の連続アミノ酸、約60の連続アミノ酸、又は約75の連続アミノ酸を含み得る。断片は、約8〜約100アミノ酸の間及びこれらを含む全ての可能なアミノ酸の長さ、例えば、約10〜約100アミノ酸の間、約15〜約100アミノ酸の間、約20〜約100アミノ酸の間、約35〜約100アミノ酸の間、約40〜約100アミノ酸の間、約50〜約100アミノ酸の間、約70〜約100アミノ酸の間、約75〜約100アミノ酸の間、又は約80〜約100アミノ酸の間の長さを含む。これらのペプチド断片は、購入することもでき、液相又は固相の合成法を介して合成することもできる(Athertonら(1989)、「Solid Phase Peptide Synthesis: a Practical Approach」、IRL Press、Oxford、England)。
本発明の阻害剤は、配列番号1によりコードされるポリペプチドを指向する抗体(モノクローナル、ポリクローナル、ヒト化、キメラ、又は完全ヒト抗体)又はその結合性断片などのタンパク質であり得る。抗体断片は、全長形態以外の抗体の形態であり得、操作された抗体断片に加えて、全長抗体内に存在する部分又は成分も含む。抗体断片は、単鎖Fv(scFv)、ダイアボディー、Fv、及び(Fab')2、トリアボディー、Fc、Fab、CDR1、CDR2、CDR3、CDRの組合せ、可変領域、テトラボディー、二官能性ハイブリッド抗体、フレームワーク領域、定常領域などを含み得るがこれらに限定されない(Maynardら(2000)、Ann. Rev. Biomed. Eng.、2:339〜76; Hudson (1998)、Curr. Opin. Biotechnol.、9:395〜402を参照されたい)。抗体は、購入することもでき、特注で作り出すこともでき、対象の抗原に対して、当技術分野で確立された方法に従い合成することもできる。(それらの各々が参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、Roland E. Kontermann及びStefan Duebel (編)、「Antibody Engineering」、I及びII巻(2010)、2版、Springer; Antony S. Dimitrov (編)、「Therapeutic Antibodies: Methods and Protocols」(Methods in Molecular Biology)(2009)、Humana Press; Benny Lo (編)、「Antibody Engineering: Methods and Protocols」(「Methods in Molecular Biology」)(2004)、Humana Pressを参照されたい)。
本発明の阻害剤はまた、タンパク質に結合し、その機能を破壊する低分子でもあり得る。低分子は、一般に分子量が小さな合成及び天然物質の多様な群である。それらは、天然の供給源(例えば、植物、真菌、微生物など)から単離することができ、購入され、且つ/又はライブラリー若しくはコレクションとして入手可能であるか、或いは合成される。タンパク質を調節する候補低分子は、コンビナトリアルライブラリーのin silicoスクリーニング又はハイスループット(HTP)スクリーニングにより同定することができる。アスピリン、ペニシリン、及び多くの化学療法剤など、従来の医薬品の大半は、低分子であり、購入することもでき、化学合成することもでき、ランダム又はコンビナトリアルライブラリーから得ることもできる(Wernerら(2006)、Brief Funct. Genomic Proteomic、5(1):32〜6)。いくつかの実施形態では、薬剤は、標的タンパク質又はRNAに結合するか、相互作用するか、又はこれと会合する低分子である。このような低分子は、標的が細胞内標的である場合、細胞の脂質二重層を透過して、標的と相互作用することが可能な有機分子であり得る。低分子は、毒素、キレート剤、金属、及び半金属化合物を含むがこれらに限定されない。低分子は、低分子を特定の細胞に特異的に誘導するように、ターゲティング剤に接合又はコンジュゲートすることができる。
本発明のJak3タンパク質及びJak3調節化合物は、被験体に一度に投与する(例えば、単回の注射又はデポ剤として)ことができる。あるいはJak3タンパク質及びJak3調節化合物は、それを必要とする被験体に、毎日1回又は2回、約2〜約28日間、又は約7〜約10日間にわたり投与することができる。Jak3タンパク質及びJak3調節化合物はまた、被験体に、毎日1回又は2回、1年間当たり1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12日間、又はそれらの組合せの期間にわたり投与することもできる。
さらに、本発明のJak3タンパク質及びJak3調節化合物は、別の治療剤と共投与することもできる。いくつかの実施形態では、Jak3調節化合物(例えば、Jak3阻害剤)は、Jak1/Jak2阻害剤(例えば、Jak1/Jak2低分子阻害剤、Jak1を指向する治療用抗体、Jak2を指向する治療用抗体、Jak1を指向するsiRNA、又はJak2を指向するsiRNA)と共投与することができる。Jak1/Jak2低分子阻害剤の非限定的な例は、それらについての参考文献の各々が参照によりそれらの全体において組み込まれる、AG490 (Caceres-Cortes、(2008)、Anticancer Agents Med Chem.、8(7):717〜22); CYT387 (Pardananiら(2009)、Leukemia、23(8):1441〜5; Monaghanら(2011)、Leukemia、25(12):1891〜9); SB1518 (Williamら(2011)、J Med Chem.、54(13):4638〜58; Hartら(2011)、Leukemia、25(11):1751〜9); LY3009104 (バリシチニブ; INCB28050) (Incyte and Lilly); TG101348 (Wernigら(2008)、Cancer Cell、13(4):311〜20; Pardananiら(2011)、J Clin Oncol.、29(7):789〜96); INCB018424 (Incyte; Shiら(2011)、J Clin Pharmacol.、51(12):1644〜54); CEP-701 (Cephalon; Hexnerら(2008)、Blood、111(12):5663〜71); GLPG0634 (Galapagos; http://www.glpg.com/index.php/randd/pipeline/glpg0634-ra/を参照されたい); CYT387 (YM Biosciences; Pardanani (2009)、Leukemia、23(8):1441〜5); AZD1480 (Selleckchem、Houston、TX; Scutoら(2011)、Leukemia、25(3):538〜50);及びBMS-911543 (Purandareら(2012)、Leukemia、26(2):280〜8)を含む。一実施形態では、JAK1の阻害はまた、JAK3を阻害する方式ももたらす(例えば、Haanら(2011)、Chem Biol.、18(3):314〜23を参照されたい)。
臨床開発中のJAK1/2低分子阻害剤は、a)局所及び経口剤であるINCB018424 (5nMの活性(Incyte)); b) CEP-701 (Cephalon);及びc) TG101348を含む。
Figure 2015515470
投与計画が、複数回の投与を含む場合、被験体に投与されるJak3タンパク質及びJak3調節化合物の有効量は、投与計画全体にわたり投与される遺伝子産物の全量を含み得る。
Jak3タンパク質及びJak3調節化合物(例えば、Jak3阻害剤)は、、真皮細胞、表皮細胞、真皮乳頭細胞、又は毛包細胞など、被験体の細胞にJak3タンパク質及びJak3調節化合物を送達するのに適する任意の手段により、被験体に投与することができる。例えば、Jak3タンパク質及びJak3調節化合物は、細胞にトランスフェクトするのに適する方法により投与することができる。当技術分野では、真核生物の細胞のためのトランスフェクション法がよく知られており、細胞の核又は前核への核酸の直接的な注射;電気穿孔;リポソーム導入又は親油性物質に媒介される導入;受容体媒介核酸送達、生物弾道(bioballistic)又は微粒子加速;リン酸カルシウム沈殿、及びウイルスベクターに媒介されるトランスフェクションを含む。
例えば、本方法では、Jak3タンパク質又はJak3調節化合物(例えば、Jak3 siRNA)は、被験体に、送達用試薬と共にRNAとして、又は遺伝子産物を発現させる配列を含む核酸(例えば、組換えプラスミド又はウイルスベクター)として投与することができる。Jak3又はJak3グロブリン調節化合物を投与するのに適する送達試薬は、Mirus Transit TKO親油性試薬;リポフェクチン;リポフェクタミン;セルフェクチン;又はポリカチオン(例えば、ポリリシン)、又はリポソームを含む。
Jak3又はJak3調節化合物の治療有効用量は、当業者に知られている多数の因子に依存し得る。Jak3又はJak3調節化合物の用量は、例えば処置される被験体又は試料のアイデンティティー、サイズ、又は状態に応じて変化し、さらに該当する場合は、組成物が投与される経路、及びJak3又はJak3調節化合物が本発明の核酸又はポリペプチドに対して及ぼすことを医療従事者が所望する効果に応じても変化し得る。これらの量は、当業者が容易に決定することができる。
本発明の組成物は、有効成分の、ヒト又は動物(例えば、イヌ、ネコ、又はウマ)などの被験体の体内の薬剤の作用部位との接触をもたらす任意の手段により、脱毛障害と関連する症状を軽減するように製剤化及び投与することができる。それらは、個々の治療有効成分として、又は治療有効成分の組合せとして、医薬品と共に使用するために利用可能な任意の従来の手段により投与することができる。それらは、単独で投与され得るが、一般には、選択された投与経路及び標準的な薬学的慣行に基づき選択された医薬担体と共に投与される。
治療有効用量のJak3調節化合物は、当業者に知られている多数の因子に依存し得る。Jak3調節化合物の用量は、例えば、処置される被験体又は試料のアイデンティティー、サイズ、又は状態、に応じて変化し、さらに該当する場合は、組成物が投与される経路、及びJak3調節化合物が本発明の核酸又はポリペプチドに対して及ぼすことを医療従事者が所望する効果に応じても変化し得る。これらの量は、当業者が容易に決定することができる。本明細書で記載される治療適用のうちのいずれかを、例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサギ、サル、ブタ、ヒツジ、ヤギ、又はヒトなどの哺乳動物を含む、このような治療を必要とする任意の被験体に適用することができる。
本発明に従う使用のための医薬組成物は、1つ以上の生理学的に許容される担体又は賦形剤を使用して、従来の様式で製剤化することができる。本発明の治療用組成物は、全身投与及び局所投与又は局在化投与を含む様々な投与経路のために製剤化することができる。技術及び製剤は一般に、それらの全開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Remington's The Science and Practice of Pharmacy」、20版、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、PA (2000)において見出すことができる。全身投与には、筋肉内、静脈内、腹腔内、及び皮下注射を含む注射が有用である。注射のために、本発明の治療用組成物を、溶液中、例えば、ハンクス液又はリンゲル液など、生理学的に適合性のある緩衝剤中で製剤化することができる。加えて、治療用組成物は、固体形態で製剤化し、使用の直前に再溶解又は懸濁させることもできる。凍結乾燥形態もまた含まれる。本発明の医薬組成物は、少なくとも無菌であり、発熱物質を含まない医薬組成物として特徴付けられる。これらの医薬製剤は、ヒトへの使用及び獣医学的使用のための製剤を含む。
本発明によれば、薬学的に許容される担体は、医薬の投与と適合性のある任意且つ全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを含み得る。当技術分野では、医薬としての活性物質のためのこのような媒体及び薬剤の使用がよく知られている。活性化合物と適合性のある任意の従来の媒体又は薬剤を使用することができる。補助活性化合物もまた、組成物に組み込むことができる。
本発明はまた、使用のための指示書と共にパッケージングされた、薬学的に許容される担体と、本発明のスクリーニングアッセイを使用して同定されたJak3調節化合物とを含むキットも提供する。Jak3タンパク質の活性のアンタゴニストであるか、又はJak3タンパク質の発現を低減する調節因子について、指示書は、哺乳動物の体表面(例えば、腕部、脚部、ビキニライン、顔面)における脱毛を促進するための医薬組成物の使用を指定するであろう。
Jak3タンパク質の活性のアゴニストであるか、又はJak3遺伝子によりコードされる1つ以上のタンパク質の発現を増大させるJak3調節化合物について、指示書は、毛の成長を制御するための医薬組成物の使用を指定するであろう。一実施形態では、指示書は、脱毛障害を処置するための医薬組成物の使用を指定するであろう。
Jak3調節化合物を含有する医薬組成物は、本明細書で論じた治療効果のうちのいずれかのために、薬学的に許容される担体と共に投与することができる。このような医薬組成物は、例えば、Jak3遺伝子を含む遺伝子によりコードされるポリペプチド若しくはそれらの変異体を指向する抗体、又はJak3遺伝子によりコードされるポリペプチドのアゴニスト及びアンタゴニストを含み得る。組成物は、単独で投与することもでき、生理食塩液、緩衝生理食塩液、デキストロース、及び水を含むがこれらに限定されない、任意の無菌で生体適合性の医薬担体中で投与し得る安定化化合物など、少なくとも1つの他の薬剤と組み合わせて投与することもできる。組成物は、患者に、単独で、又は他の薬剤、薬物、又はホルモンと組み合わせて投与することができる。
無菌の注射用溶液は、Jak3調節化合物(例えば、ポリペプチド又は抗体)を、適切な溶媒中に、必要に応じて、本明細書で列挙される成分のうちの1つ又は組合せと共に、必要とされる量で組み込んだ後、濾過滅菌することにより調製することができる。一般に、分散液は、活性化合物を、基本分散媒と、本明細書で列挙される成分からの、必要とされる他の成分とを含有する、無菌ビヒクルに組み込むことにより調製する。無菌の注射用溶液を調製するための無菌粉末の場合、有用な調製法の例は、有効成分に、既に滅菌濾過されたその溶液に由来する任意のさらなる所望の成分を加えた粉末をもたらす、真空乾燥及び凍結乾燥である。
いくつかの実施形態では、Jak3調節化合物は、活性化合物を経皮吸収のために徐々に放出する経皮送達系を介して適用することができる。浸透増強剤を使用して、馴化培地中の活性因子の経皮透過を容易にすることができる。経皮パッチは、例えば、米国特許第5,407,713号;米国特許第5,352,456号;米国特許第5,332,213号;米国特許第5,336,168号;米国特許第5,290,561号;米国特許第5,254,346号;米国特許第5,164,189号;米国特許第5,163,899号;米国特許第5,088,977号;米国特許第5,087,240号;米国特許第5,008,110号;及び米国特許第4,921,475号において記載されている。
凝集細胞集団を、好ましい部位に導入するするために、皮下又は筋肉内など、細胞移植の多様な投与経路及び多様な部位を活用することができる。被験体(マウス、ラット、又はヒトなど)に移植したら、次いで、凝集細胞は、導入部位における毛包の形成及びその後の毛の構造の成長を刺激し得る。別の実施形態では、トランスフェクトされた細胞(例えば、Jak3遺伝子によりコードされるタンパク質を発現する細胞)を被験体に注入して、被験体内の毛包の形成を促進する。さらなる実施形態では、トランスフェクトされた細胞は、毛包の終末小体に由来する細胞(真皮乳頭細胞又は真皮鞘細胞など)である。1継代以上にわたり維持された凝集細胞(例えば、懸滴培養において成長させた細胞)又はトランスフェクトされた細胞(例えば、本明細書で記載される通りに作製される細胞)を、被験体(ラット、マウス、イヌ、ネコ、ヒトなど)に導入する(又は移植する)ことができる。
皮下投与は、皮膚直下の(すなわち、真皮下の)投与を意味し得る。一般に、皮下組織は、大型の血管及び神経を格納する脂肪及び結合組織の層である。この層のサイズは、全身において変化し、個人間でも変化する。皮下層と筋肉層との界面は、皮下投与により包含され得る。
組成物中に存在する因子が、投与位置から移動又は拡散し、毛の形成の原因となる毛包細胞に接触する程度に皮下層が十分に薄い場合は、この投与方式が、実行可能であり得る。したがって、皮内投与を活用する場合は、投与される組成物のボーラスは、皮下層の近傍に配置される。
細胞凝集物(DP凝集物又はDS凝集物など)の投与は、単一の経路に制約されず、複数の経路による投与を包含し得る。例えば、例示的な複数の経路による投与は、とりわけ、皮内投与と筋肉内投与との組合せ、又は皮内投与と皮下投与との組合せを含む。複数回の投与は、経時的又は同時的であり得る。当業者には、複数の経路による他の適用方式も明らかであろう。
他の実施形態では、この移植法は、一部の被験体には、1回限りの処置となる。本発明のさらなる実施形態では、複数回の細胞療法による移植が必要とされる。いくつかの実施形態では、移植のために使用される細胞は一般に、被験体特異的に遺伝子操作された細胞である。別の実施形態では、異なる種又は同じ種の別の個体から得られる細胞を使用することができる。したがって、このような細胞の使用は、移植された細胞の拒絶を防止するために、免疫抑制剤の投与を必要とし得る。このような方法はまた、米国特許第7,419,661号及びPCT出願公開第WO2001/32840号においても記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
一実施形態では、本発明の阻害剤又はアゴニストは、投与に適する医薬組成物、例えば、阻害剤及び薬学的に許容される担体に組み込むことができる。
本発明によれば、薬学的に許容される担体は、医薬の投与と適合性のある任意且つ全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを含み得る。当技術分野では、医薬としての活性物質のためのこのような媒体及び薬剤の使用がよく知られている。活性化合物と適合性のある任意の従来の媒体又は薬剤を使用することができる。補助活性化合物もまた、組成物に組み込むことができる。
本発明の医薬組成物は、本明細書で論じた治療効果のうちのいずれかのために、薬学的に許容される担体と共に投与することができる。このような医薬組成物は、例えば、ポリペプチドを指向する抗体を含み得る。組成物は、単独で投与することもでき、生理食塩液、緩衝生理食塩液、デキストロース、及び水を含むがこれらに限定されない、任意の無菌で生体適合性の医薬担体中で投与し得る安定化化合物など、少なくとも1つの他の薬剤と組み合わせて投与することもできる。組成物は、患者に、単独で投与することもでき、他の薬剤、薬物、又はホルモンと組み合わせて投与することもできる。
本発明の医薬組成物は、その意図される投与経路と適合性があるように製剤化される。投与経路の例は、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば、吸入又は摂取)、経皮(局所)、経粘膜、及び直腸内を含む。非経口、皮内、又は皮下適用のために使用される溶液又は懸濁液は、以下の成分:注射用水、生理食塩液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、又は他の合成溶媒などの無菌希釈剤;ベンジルアルコール又はメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート化剤;酢酸、クエン酸、又はリン酸などの緩衝剤;及び塩化ナトリウム又はデキストロースなどの浸透圧を調整するための薬剤を含み得る。pHは、塩酸又は水酸化ナトリウムなどの酸又は塩基により調整することができる。非経口調製物は、アンプル、ディスポーザブルのシリンジ、又はガラス製若しくはプラスチック製の複数回用量のバイアル内に封入することができる。
注射用に適する医薬組成物は、無菌の水溶液(水溶性である場合)又は分散液、及び無菌の注射用溶液又は分散液を即席で調製するための無菌粉末を含む。静脈内投与では、適する担体は、生理学的生理食塩液、静菌水、Cremophor EM(商標)(BASF、Parsippany、N.J.)、又はリン酸緩衝生理食塩液(PBS)を含む。全ての場合に、組成物は、無菌でなければならず、容易な注射可能性が存在する程度に流体であるべきである。組成物は、製造条件及び保管条件下で安定であり、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、グリセロールなどの薬学的に許容されるポリオール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール、及びそれらの適切な混合物を含有する溶媒又は分散媒であり得る。適正な流体性は、例えば、レシチンなどのコーティングを使用することにより、分散液の場合には必要とされる粒子サイズを維持することにより、及び界面活性剤を使用することにより維持することができる。微生物作用の防止は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどの多様な抗菌剤及び抗真菌剤により達成することができる。多くの場合に、組成物中に等張性薬剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール、塩化ナトリウムを含むことは、有用であり得る。注射用組成物の吸収の延長は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを組成物中に含むことによりもたらすことができる。
無菌の注射用溶液は、本発明の阻害剤(例えば、ポリペプチド又は抗体又は低分子)又はアゴニストを、適切な溶媒中に、必要に応じて、本明細書で列挙される成分のうちの1つ又は組合せと共に、必要とされる量で組み込んだ後、濾過滅菌することにより調製することができる。一般に、分散液は、活性化合物を、基本分散媒と、本明細書で列挙される成分からの、必要とされる他の成分とを含有する無菌ビヒクルに組み込むことにより調製する。無菌の注射用溶液を調製するための無菌粉末の場合、有用な調製法の例は、有効成分に、既に滅菌濾過されたその溶液に由来する任意のさらなる所望の成分を加えた粉末をもたらす真空乾燥及び凍結乾燥である。
経口組成物は一般に、不活性の希釈剤又は可食性担体を含む。それらは、ゼラチンカプセル内に封入、又は錠剤に圧縮することができる。経口治療用投与の目的では、活性化合物を、賦形剤と共に組み込み、錠剤、トローチ剤、又はカプセル剤の形態で使用することができる。経口組成物はまた、流体の担体を使用して調製し、その後嚥下させることもできる。
薬学的に適合性のある結合剤及び/又はアジュバント物質も、組成物の一部として含めることができる。錠剤、丸剤、カプセル剤、及びトローチ剤などは、以下の成分:微結晶セルロース、トラガカントガム、若しくはゼラチンなどの結合剤;デンプン若しくはラクトースなどの賦形剤;アルギン酸、Primogel、若しくはトウモロコシデンプンなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム若しくはステロテス(Sterotes)などの滑沢剤;コロイド状の二酸化ケイ素などの滑剤;スクロース若しくはサッカリンなどの甘味剤;又はペパーミント、サリチル酸メチル、若しくはオレンジ芳香剤などの芳香剤;或いは類似する性質の化合物のうちのいずれかを含有し得る。
全身投与はまた、経粘膜又は経皮手段によっても可能である。経粘膜又は経皮投与では、浸透させる障壁に適切な浸透剤を製剤中で使用する。当技術分野では、このような浸透剤が一般に知られており、例えば、経粘膜投与には、洗浄剤、胆汁塩、及びフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、鼻腔内スプレー又は坐剤の使用を介して達成することができる。経皮投与では、活性化合物を、当技術分野で一般に知られている、軟膏(ointments、salves)、ゲル、又はクリームに製剤化する。
投与される用量は、組成物の円形脱毛症の症状の改善を結果としてもたらすのに十分な治療有効量であり得、また有効成分の薬力学的特徴並びにその投与方式及び経路;年齢、性別、健康状態、及びレシピエントの体重;症状の性質及び程度;同時的処置の種類、処置の頻度、及び所望の効果など、既知の因子に応じて変化し得る。
いくつかの実施形態では、投与されるJak3調節化合物(例えば、低分子Jak3阻害剤などの本明細書に記載されるJak3を指向する化合物)の有効量は、約0.0001μg/体重kg、約0.00025μg/体重kg、約0.0005μg/体重kg、約0.00075μg/体重kg、約0.001μg/体重kg、約0.0025μg/体重kg、約0.005μg/体重kg、約0.0075μg/体重kg、約0.01μg/体重kg、約0.025μg/体重kg、約0.05μg/体重kg、約0.075μg/体重kg、約0.1μg/体重kg、約0.25μg/体重kg、約0.5μg/体重kg、約0.75μg/体重kg、約1μg/体重kg、約5μg/体重kg、約10μg/体重kg、約25μg/体重kg、約50μg/体重kg、約75μg/体重kg、約100μg/体重kg、約150μg/体重kg、約200μg/体重kg、約250μg/体重kg、約300μg/体重kg、約350μg/体重kg、約400μg/体重kg、約450μg/体重kg、約500μg/体重kg、約550μg/体重kg、約600μg/体重kg、約650μg/体重kg、約700μg/体重kg、約750μg/体重kg、約800μg/体重kg、約850μg/体重kg、約900μg/体重kg、約950μg/体重kg、約1000μg/体重kg、約2000μg/体重kg、約3000μg/体重kg、約4000μg/体重kg、約5000μg/体重kg、約6000μg/体重kg、約7000μg/体重kg、約8000μg/体重kg、約95000μg/体重kg、又は約10,000μg/体重kgである。
いくつかの実施形態では、投与されるJak3調節化合物(例えば、低分子Jak3阻害剤)の有効量は、約1mg/体重kg、約1.5mg/体重kg、約2mg/体重kg、約2.5mg/体重kg、約3mg/体重kg、約3.5mg/体重kg、約4mg/体重kg、約4.5mg/体重kg、約5mg/体重kg、約5.5mg/体重kg、約6mg/体重kg、約6.5mg/体重kg、約7mg/体重kg、約7.5mg/体重kg、約8mg/体重kg、約9.5mg/体重kg、約10mg/体重kg、約10.5mg/体重kg、約11.0mg/体重kg、約11.5mg/体重kg、約12mg/体重kg、約12.5mg/体重kg、約13mg/体重kg、約13.5mg/体重kg、約14mg/体重kg、約14.5mg/体重kg、約15mg/体重kg、約15.5mg/体重kg、約16mg/体重kg、約16.5mg/体重kg、約17mg/体重kg、約17.5mg/体重kg、約18mg/体重kg、約19.5mg/体重kg、約20mg/体重kg、約21.5mg/体重kg、約22mg/体重kg、約22.5mg/体重kg、約23mg/体重kg、約23.5mg/体重kg、約24mg/体重kg、約24.5mg/体重kg、約25mg/体重kg、約25.5mg/体重kg、約26mg/体重kg、約26.5mg/体重kg、約27mg/体重kg、約27.5mg/体重kg、約28mg/体重kg、約29.5mg/体重kg、又は約30mg/体重kgである。
他の実施形態では、投与されるJak3調節化合物(例えば、低分子Jak3阻害剤などの本明細書に記載されるJak3を指向する化合物)は、局所クリームとして投与され得る。いくつかの実施形態では、投与されるJak3調節化合物(低分子Jak3阻害剤など)の有効量は、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1.0%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、約2.0%、約2.1%、約2.2%、約2.3%、約2.4%、約2.5%、約2.6%、約2.7%、約2.8%、約2.9%、又は約3.0%の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、投与されるJak3調節化合物(低分子Jak3阻害剤など)の有効量は、約3.5%、約4%、約4.5%、約5%、約5.5%、約6%、約6.5%、約7%、約7.5%、約8%、約8.5%、約9%、約9.5%、又は約10%の濃度で存在する。
いくつかの実施形態では、Jak3調節化合物(例えば、本明細書に記載されるJak3を指向する化合物、例えば低分子Jak3阻害剤)は、(などのJAK1/2阻害剤などの)第二のJAK阻害剤と共に共投与され得る。一実施形態では、JAK1/2阻害剤は、局所クリームとして投与され得る。いくつかの実施形態では、投与される低分子JAK1/2阻害剤の有効量は、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1.0%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、約2.0%、約2.1%、約2.2%、約2.3%、約2.4%、約2.5%、約2.6%、約2.7%、約2.8%、約2.9%、又は約3.0%の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、投与されるJAK1/2阻害剤の有効量は、約3.5%、約4%、約4.5%、約5%、約5.5%、約6%、約6.5%、約7%、約7.5%、約8%、約8.5%、約9%、約9.5%、又は約10%の濃度で存在する。
本発明の治療化合物の毒性及び治療効率は、培養細胞又は実験動物において標準的な薬学的手順により、例えばLD50(集団の50%に致死的な用量)及びED50(集団の50%に治療的に有効な用量)の決定によって、決定され得る。毒性及び治療効果の用量比は治療係数であり、LD50/ED50の比として表され得る。高い治療係数を示す治療剤は有用である。ある程度の副作用を示す治療化合物は、使用され得る。
他で定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術及び科学用語は、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者に通常理解されるのと同じ意味を有する。具体的な方法及び材料を以下に記載するが、本明細書で記載するものと類似又は同等の方法及び材料が、本発明の実施又は試験において用いられ得る。
当業者は、通常の実験方法のみを用いて、本明細書に記載する具体的な物質及び手順の多数の等価物を認識し、又は確認し得る。そのような等価物は本発明の範囲内であると考えられ、以下の特許請求の範囲によって保護される。
本明細書に記載する全ての刊行物及び他の参考文献を、各刊行物又は参考文献が具体的且つそれぞれ参照により組み込まれている様に、参照によりその全体を組み込む。本明細書で引用される刊行物及び参考文献が、先行技術であることを認めるものではない。
本発明のより完全な理解を容易にするために、実施例を以下に提供する。以下の実施例は、本発明の作成及び実施の具体的な方式を説明する。しかしながら、代替的な方法も同様の結果を得るのに用いられ得るので、本発明の範囲は、説明目的のためだけであるこれらの実施例に開示された具体的な実施形態に限定されない。
実施例1 円形脱毛症のためのマウス移植モデル
円形脱毛症(AA)は、最も蔓延している自己免疫疾患のうちの1つであり、非瘢痕性脱毛として現れる。該疾患の経過は予測不可能であり、一貫して有効な利用可能な治療は、現在は存在しない。疾患の病原性の研究及び標的に対する治療の開発は欠如しているが、疾患を高頻度で有するマウス移植モデルの作成は、前臨床試験の新たな道を開いた。
幾つかの系統の証拠が、AAの治療におけるJak3阻害剤の潜在的有効性を支持している:(1)最近終了したAAのゲノム規模の共同研究が、IL-2/IL-2RA及びIL-21をはじめとする、幾つかの免疫学的に関連する遺伝子に関連する座位を特定したこと、(2)前臨床マウスモデルにおける初期の発見が、IL-15/IL-15Rシグナリングの破壊が該疾患を寛解させることを示唆したこと、並びに(3)データが、IL-7及びIl-15に生存が依存するT細胞が、マウスモデル及びヒトにおいて該疾患を媒介することを示していること。
したがって、本発明者は、前臨床マウスモデルにおける脱毛症の発症におけるJAK3阻害の有効性を評価した。脱毛症のC3H/HeJ皮膚移植片を、罹患していないC3H/HeJマウスレシピエントに移植し、次に浸透圧ポンプで投与するJak3阻害剤、浸透圧ポンプで投与するベヒクル、又はPBS注射で処置した。PBS処置した4/4マウス及びベヒクルポンプで処置した2/2マウスでは移植後6週間脱毛症を発症したが、一方Jak3阻害剤で処置した0/5マウスが脱毛症を発症した。皮膚のマイクロアレイ解析、T細胞浸潤についての皮膚の免疫組織化学染色、及び血清マーカー評価は、Jak3阻害剤で処置したマウスにおける炎症プロフィールの減少を示した。全体で、本発明者の発見は、Jak3阻害剤がAAを有する患者における有効な処置になり得ることを示唆している。
実施例2 AAにおける免疫エフェクター応答のターゲティング
円形脱毛症(AA)の根底にある具体的な自己免疫メカニズムは未だ不明であり、したがってAAの臨床研究は、他の自己免疫疾患よりも歴史的に遅れている。
円形脱毛症のマウスモデルにおける、有効な臨床に関連する療法の同定
ヒトAA及びAAマウスモデルの両方において、局所的な毛包(HF)IL-15/NKG2DLの上方制御を、CD8+T細胞を動員/活性化する鍵となる炎症シグナル、IFN−ガンマの生産及び毛包(HF)毒性に関与する重要な見込みのあるAA免疫エフェクターとして同定した。これらの観察は、療法的にIL-15/NKG2Dをターゲティングする研究の理論的根拠を提供した。
IL-15経路が、JAK3タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤を用いて遮断され得ることが示された。
低分子PTKiはAAを防止する
5匹のマウスをトファシチニブ(CP-69055;アルゼットポンプ中で10mg/kg/day)で全身処置した。トファシチニブは、ヒトの全血アッセイでIL-15シグナリングを阻害することが知られているJak3阻害剤である。処置したマウスのいずれでも、円形脱毛症又は皮膚リンパ節腫脹を発症しなかったが、未処置マウスでは、AA及び関連の皮膚リンパ節腫脹がみられた(図1)。臨床開発のための改善された治療係数という重要な利点を有する、マウスモデルにおけるAAからの復帰のための局所送達アプローチを研究する。
疾患関連AAバイオマーカーの同定と、C3Hマウスにおける有効な療法によるその復帰
細胞、炎症性、及び分子バイオマーカーを、処置マウスにおいて評価した。トファシチニブによる標的に対する療法は、皮膚及び皮膚所属リンパ節の両方に由来する病原性CD8+NKG2Dhiを消失させ、さらにMHC分子及びAA関連IFNサインをはじめとする皮膚における炎症性バイオマーカーを下方制御した(図2)。HF NKG2DL発現は抑制されたが、完全には消失せず(例えば、免疫染色によるH60発現)(図2及び3)、これはH60の上方制御が近接した事象であることを示唆している。
未処置と対比した処置した皮膚の転写プロファイリング解析は、処置による皮膚IFNサインの抑止を示す。これらのマウス転写プロファイルは、斑点を伴う安定疾患、進行性疾患、及び全身性脱毛症に関連する動的なヒトバイオマーカー候補物質を同定するために、未処置の脱毛症の患者由来のヒト皮膚生検から得られる転写プロフィールと計算的に統合される。
PTKiターゲティングアプローチの解釈
PTKiは、その標的キナーゼに対する選択性において、大幅に異なる。トファシチニブについて、JAK感度は、JAK3>JAK1>>JAK2で高い(全血でのIC50は、それぞれ28-50nM、140-180nM、1000-5000nMである)。処置したマウスでは、トファシチニブ血清レベルは30-40nMであり、JAK1及び3活性の両方に対する潜在的影響が評価される。ルクソリチニブ(JAK1/2阻害剤)について、感度はJAK2>JAK1>>JAK3である(in vitroキナーゼ阻害では、IC50はそれぞれ3.3nM、2.8nM、及び428nMである)。ルクソリチニブの投与量は一日一回であり、げっ歯類における半減期は3〜6時間であるため、マウスにおける薬力学的なJAK阻害は一過性であろう。
例えば、Jak3阻害剤は、約10nM、約15nM、約20nM、約25nM、約30nM、約35nM、約40nM、約45nM、約50nM、又は約55nMでそのJAK3標的の選択的阻害活性を発揮し得る。Jak3阻害剤はまた、約60nM、約65nM、約70nM、約75nM、約80nM、約85nM、約90nM、約95nM、約100nM、約105nM、約110nM、約115nM、約120nM、約125nM、約130nM、又は約135nMでもそのJAK3標的の選択的阻害活性を発揮し得る。
例えば、Jak3阻害剤はまた、約140nM、約145nM、約150nM、約155nM、約160nM、約165nM、約170nM、約175nM、約180nM、約185nM、約190nM、約195nM、約200nM、約205nM、約210nM、約215nM、約220nM、又は約225nMで、そのJAK3標的の阻害活性を発揮し得、一方でJAK1標的の阻害活性も無差別に発揮し得る。
例えば、Jak3阻害剤は、約250nM、約300nM、約350nM、約400nM、約450nM、約500nM、約650nM、約700nM、約750nM、約800nM、約850nM、約900nM、又は約950nMでそのJAK3標的の阻害活性を発揮し得る。
例えば、Jak3阻害剤は、約1000nM、約1250nM、約1500nM、約1750nM、約2000nM、約2250nM、約2500nM、約2750nM、約3000nM、約3250nM、約3500nM、約3750nM、約 4000nM、約4250nM、約4500nM、約4750nM、約5000nM、約5250nM、約5500nM、約5750nM、約6000nM、約6250nM、約6500nM、約6750nM、約 7000nM、約7250nM、約7500nM、約7750nM、又は約8000nMで、そのJAK3標的の阻害活性を発揮し得、一方でJAK2標的の阻害活性も無差別に発揮し得る。
例えば、Jak1/2阻害剤は、約0.5nM、約1.0nM、約1.5nM、約2.0nM、約2.5nM、約3.0nM、約3.5nM、約4.0nM、約4.5nM、約5.0nM、約5.5nM、6.0nM、約6.5nM、約7.0nM、約7.5nM、約8.0nM、約8.5nM、約9.0nM、約9.5nM、or 約10.0nMでそのJAK1及び/又はJAK2標的の選択的阻害活性を発揮し得る。例えば、Jak1/2阻害剤は、約15nM、約20nM、約25nM、約30nM、約35nM、約40nM、約45nM、約50nM、約55nM、約60nM、約65nM、約70nM、約75nM、約80nM、約85nM、約90nM、約95nM、約100nM、約150nM、約200nM、約250nM、約300nM、約350nM、又は約400nMで、そのJAK1及び/又はJAK2標的の選択的阻害活性を発揮し得る。
例えば、Jak1/2阻害剤は、約425nM、約450nM、約475nM、約500nM、約525nM、約550nM、約575nM、約600nM、約625nM、約650nM、約675nM、約700nM、約725nM、約750nM、約775nM、約800nM、約825nM、約850nM、約875nM、約900nM、約925nM、約950nM、約975nM、又は約1000nMで、そのJAK1及び/又はJAK2標的の阻害活性を発揮し得、一方でJAK3標的の阻害活性も無差別に発揮し得る。
皮膚においてJakタンパク質標的を活性化するためには、皮膚を約0.5mm、約1mm、約1.5mm、約2mm、約2.5mm、約3mm、約3.5mm、又は約4mm貫通させるべきである。貫通の深さに応じて、JAK1/2阻害剤又はJAK3阻害剤などのJAK阻害剤の濃度は、約25nM〜約5000nMまで変動し得る。高濃度範囲では、一つのJAK阻害剤がその標的だけでなく他のJAKタンパク質にも阻害効果を誘発し得る。
ヒトとマウスの遺伝子発現プロフィールの統合
図4に示すリボンプロットは、Jak3阻害剤CP690550及びPBS対照で13週間処置したマウスから選択した遺伝子の、標準化した皮膚発現プロフィールのマイクロアレイデータを示す。手短には、Jak3阻害剤による処置の13週間後に、皮膚を回収してマイクロアレイ解析に供し、PBSで処置したマウスのものと比較した。データは、IFN−応答ケモカイン及びCD8細胞傷害エフェクターのマーカーの、処置関連の消失を示す。発現プロフィール及び最終的には処置への応答を比較するために、マウス及びヒト由来の発現アレイを統合する。
実施例3−JAK3iによる全身処置
「NK型」CD8αβ+T細胞は、脱毛症の皮膚及び所属LNにおいて大規模に増殖しており、T細胞媒介移植に必要であり、これはこの細胞傷害性細胞サブセットが病原性エフェクターであることが示唆している。
IL-15は、in vitroでのCD8Tエフェクターの誘導の原因となる鍵となるサイトカインである。さらに、IL-15は腸の上皮細胞によって産生される、腹腔の疾患におけるCD8細胞傷害性の公知の沈殿剤である。
円形脱毛症は、ヒト及びマウス毛包におけるIL-15/IL-15Raの上方制御によって特徴づけられ、これはこのサイトカインが、AAにおけるCD8-媒介自己反応性の終末器官のトリガーであることを示している。
低分子JAK3 PTKiによる全身性のIL-15遮断は、効果的に円形脱毛症を予防し、病原性のNK型CD8集団の増殖を消失させ、皮膚における炎症性サインを除去した。図22は、局所療法による確立した疾患からの復帰を示す。
実施例4−円形脱毛症における細胞傷害性Tリンパ球の細胞アイデンティティーは療法の計画を規定する
円形脱毛症(AA)は、毛包への免疫攻撃をもたらす一般的な自己免疫疾患である1。T細胞が疾患の経過に関わることが示されているが、その活性化の根底にある経路は、決定されていない2。GWAS研究の前、AAの遺伝的背景は、ほとんど不明確であった。驚くべきことに、強い関連のある領域が、それまで自己免疫疾患に関わることが示されていなかった、ナチュラルキラー細胞受容体であるNKG2Dの活性化リガンドをコードしている染色体6q25.1のULBP遺伝子クラスター中で同定された。NKG2Dリガンド(NKG2DL)を示唆するGWASの研究に導かれ3、本発明では「NK型」CD8+T細胞を、疾患の誘導に必要かつ十分な主なエフェクターとして同定した。マウス及びヒトAA皮膚の網羅的転写プロファイリングは、強いIFNγ応答及び細胞傷害性T細胞浸潤の存在の、著しいサイン指標を明らかにした。
AAを移植するためにC3H/HeJマウス皮膚の移植モデルを用い、移植時の処置の場合の疾患の防止、並びに移植したマウスを最初脱毛させることによって確立した疾患からの復帰を再現し得る。全身投与したJAK3タンパク質チロシンキナーゼの薬理学的阻害剤は、IFNサインを消失さし、AAの発症を防止し、局所投与は確立した疾患を逆行させた。注目すべきことに、これらの効果は療法の中止から3か月間まで、持続性があった。これらの発見は、すぐにAAの新たな治療機会に転換された、新たな疾患メカニズムを明らかにするGWAS研究の力を例証する。
AAは、脱毛、及び組織学的に毛包バルブの周囲のT細胞の浸潤、いわゆる「蜂の巣」によって特徴づけられるT細胞媒介自己免疫疾患である1、2。以前の研究は、(B細胞又は血清ではなく)全T細胞の移植が、ヒト異種移植モデル並びにC3H/HeJマウスモデルにおいて疾患をもたらし得ることを示している4、5。しかしながら、ヒト又はマウスAAのいずれにおいても、特定の病原性T細胞サブセットのアイデンティティーは、まだ明確にされていない。
ULBP3/6を、AAにおける最も重要な非HLAリスク座位(p=2x10-20)3として同定した以前のGWAS研究に導かれ、疾患の経過における潜在的な「危険シグナル」としてNKG2DLを確立することに、焦点を合わせた。CD8+NKG2D+ T細胞の高密度な浸潤を伴うULBP3の上方制御は、これまでにヒトAA毛包で示されている3。本発明では、AA免疫病原性におけるこれらの細胞の役割、並びに潜在的な治療介入のターゲットを検討した。
病原性におけるこれらの細胞の機構的重要性を決定するために、6〜12月齢で〜15%の発生率で自然疾患を発症するAAのC3H/HeJマウスモデルを用い6、罹患マウス由来の移植片が、C3H/HeJレシピエントにおいて8〜12週間で〜100%疾患を転移させ得る移植片−移植C3Hモデルを用いた7。病変皮膚生検は、ヒトAAの状況に類似して、CD8+NKG2D+T細胞が、NKG2DL H60及びRae-1を過剰発現する毛包の上皮層に浸潤することを明らかにした(図23A〜B及び図27A〜B)。皮膚におけるCD45+白血球集団のフローサイトメトリー試験は、CD8+NKG2D+ T細胞の著しい増殖を特定した(図23D)。CD4+T細胞を含む他の細胞タイプは、より少ない数で存在した(図27C)。C3H/HeJマウスは、増大した細胞充実度、及び皮膚で見られる、疾患を有さないC3H/HeJマウスには存在しないCD8+NKG2D+細胞集団の劇的な増殖を有する著しい皮膚リンパ節腫脹を示す(図23C〜D)。
皮膚浸潤性のCD8+T細胞の免疫表現型は、皮膚性リンパ節で見られるCD8+NKG2D+集団:CD49b及びNKG2A/C/Eを含む幾つかのNK免疫受容体を有するCD8ab+エフェクター又はメモリーT細胞(CD8hi CD44hi CD62Llow CD103+)と類似していた(図23E及び図27D)。これらの「NK型」CD8+T細胞は、高レベルのIFNgを発現し、ex vivo増殖させた同系真皮鞘標的細胞に対するNKG2D依存性細胞傷害性を示した(図23F)。RNAseqを用いた脱毛症のC3H/HeJリンパ節細胞から単離したCD8+NKG2D+T細胞の遺伝子発現解析は、イムジェンコンソーシアム(ImmGen Consortium)8-10で定義されたエフェクターCTLの転写プロフィール特徴を示し、幾つかのさらなる「NK特異的」転写物を同定した(図23G及び図28及び表2)。
表2
脱毛症のマウスから得られた皮膚性リンパ節から単離されたCD8+NKG2D+メモリーT細胞とCD8+NKG2D-メモリーT細胞において示差的に発現された遺伝子。RNAseqを、二匹の脱毛症マウス由来の全皮膚性リンパ節からフローソートした細胞(BD influx)から単離して調製したcRNAについて行った。
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これらの「NK型」CD8T細胞の疾患病原性における要件を評価するために、養子移植アプローチを用いた。単独で移植された細胞傷害性CD8+NKG2D+細胞、及び全リンパ節細胞の両方が、5匹のレシピエントでAAを生じさせることができたが、NKG2D+細胞が枯渇したリンパ節集団は、疾患を転移させることができなかった(図23H)。「NK型」CD8+NKG2D+T細胞は、真皮の浸潤における主な細胞型であるだけでなく、さらに、それらはT細胞が媒介する円形脱毛症の転移に必要かつ十分であった。
C3H/HeJマウス由来のAA病変皮膚、及びAAを有するヒトの転写外観を特徴づけるために、比較ゲノム解析を用いて、罹患していないC3H/HeJに対する、自然AAを有するC3H/HeJマウス由来の全皮膚のアフィメトリックスプロファイリングを初めに行った(図24A、上段パネル及び図29)。並行して、正常対照に対する5人のAA患者における活性疾患の、病変周囲の生検由来のヒト皮膚を、同様にプロファイルした(表3〜5)。
表3
脱毛症の雌C3H/HeJの皮膚と、同齢の脱毛症を有さないC3H/HeJマウスから得られた皮膚において、示差的に発現された遺伝子(群あたりn=3)。
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表4
ヒト円形脱毛症由来の皮膚と、正常個体由来の皮膚において示差的に発現された遺伝子。局所又は全身処置を受けていない、斑点を伴う円形脱毛症を有する5人の患者由来の、病変周囲のパンチ生検を集め、5人の無関係な罹患していない個体由来の頭皮生検と比較した。
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互いに示差的に発現されると同定された遺伝子の対応リストを比較することによって(図24A、下段パネル)、3つの著しい遺伝子発現サインが、この解析によって明らかにされた。第一に、両方の種の脱毛症の皮膚において上昇制御された遺伝子の多くは、IFN−誘導性ケモカインであるCXCL9、10、及び1111を含む、IFN−応答遺伝子であった(図24A、図29)。第二に、CD8A並びにグランザイムA及びBを含む幾つかの鍵となるCTL−特異的転写物が同定された(図24A)。
次に、CTLエフェクターを用いて、低分子Jak3阻害剤であるトファシチニブ(JAK3>JAK1>>JAK2選択性)18が、IL-15にトリガーされるpSTAT3活性化を遮断し(図24B)、真皮鞘細胞傷害(図24C)及びグランザイムB/IFNγ産生(図24D)を含むCTLエフェクター機能を阻害することが示された。したがって、IL-15の毛包産生は、免疫エフェクターにおけるシグナリングの阻害によって薬理学的に妨げられ得るサイトカイン軸を提供する。
次に、IL-15遮断の効果が、JAK3の低分子阻害剤を用いて下流に介入することによって再現され得るかどうかを決定した。トファシチニブを用いるJAK3iの全身投与処置(図25)は、AAの発症及び全ての移植レシピエントにおけるCD8+NKG2D+T細胞の増殖を防止した。タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤(PTKi)で処置したマウスの皮膚は、炎症の組織学的兆候を全く示さず、全てのマウスにおいて皮膚ALADIN(円形脱毛症疾患活性係数)転写サイン及び遺伝子発現動的係数(GEDI)の出現を防止した(図25)。
AAの臨床環境におけるJAK3iの効果を評価するために、全てのマウスが広範なAAを発症する時点である移植7週間後に療法を開始することによって、全身性のJAK3i処置が確立された疾患を逆行させ得るか決定した。重要なことに、全身療法は、全身において毛の再成長を促し、同様にCD8+NKG2D+T細胞の増殖を消失させ、疾患の組織学的マーカーを逆行させ(図30)、効果は処置の中止後2〜3か月続いた。
最後に、送達のより臨床的に簡便な経路を試すために、PTKiの局所投与が、全身送達と同様の動態により長期型円形脱毛症を逆行させ得るか決定した。確立した疾患において、局所トファシチニブは、処置した病変(背部の皮膚に適用した)において疾患を逆行させるのに非常に有効であり、完全な毛の再成長が、局所療法後の12週間以内に観察された(図26A〜B)。局所療法は、全てのマウスにおいて、処置した皮膚におけるCD8+NKG2D+T細胞の消失(図26C)及び疾患の組織学的マーカーの逆行(図26D)、並びにALADIN転写サイン (図26E)、及びGEDI係数(図26F)の標準化に関連していた。注目すべきことに、腹部の未処置の領域では脱毛症が残っており(図26A、中段パネル)、これは局所療法は局所的に有効であり、療法の効果が全身吸収の結果ではなかったことを示している。さらに、これらの効果は処置の中止後2〜3か月間持続性があった(図26A、右パネル)。
総合すれば、データはCD8+NKG2D+T細胞を、毛包の自己免疫攻撃の原因となる免疫細胞エフェクターとして同定し、AA病原性のモデルの土台を提供する。
重要なことに、これらの一般的な機構的補強は、最初GWAS研究によって明らかにされ、これはAAを、I型糖尿病23、24、セリアック病16、25、及び関節リウマチ26を含む、CD8T細胞エフェクターのNKG2DL媒介動員を含む合併自己免疫疾患の群に置いた。これらの経路は、IL-15の下流エフェクターであるJAKキナーゼの低分子阻害剤によって妨害され得、後者は特にこの皮膚疾患における局所療法アプローチとして特に魅力的である。FDAが認可したJAK阻害剤は、治療効果を示すために用いられ、臨床開発におけるこれらの化合物又は他のJAK PTKiによるAAの臨床評価が主張されている28
GWASの発見から非常に短い時間で、AAを生じさせる細胞傷害性T細胞の特定のサブセットが特定されただけでなく、それらはうまく、本発明者の機構研究に基づいて選択される臨床的に関連のある合理的な療法を用いて、それらの消失もターゲティングした。この発見は、新たな疾患経路を明らかにする点においてGWAS研究の力を例証し、翻訳アプローチと組み合わされ29、AAの介入の新規かつ予期し得ない道を急速に開いた。
方法
マウス
7〜10週齢の雌C57Bl.6及びC3H/HeJマウス(Jackson Laboratories、Bar Harbor、ME)を用い、特定の病原菌フリーな条件下で維持した。
移植C3H/HeJ皮膚を用いた円形脱毛症の転移
正常な毛のC3H/HeJマウスに、(第二の休止期の間の)8週齢で、自然にAAを発症したC3H/HeJマウス由来の皮膚を、以前に記載した通りに移植した7。手短には、AAに自然に罹患したマウスを安楽死させ、直径約2cmの完全な厚みの皮膚移植片を除去し、正常な毛のC3H/HeJマウスに移植した。脱毛は、典型的に移植後約4〜6週間で始まった。
皮膚及び皮膚性リンパ節のフローサイトメトリー解析
マウス皮膚の単一細胞懸濁液を作成するために、冷PBS中で皮膚の覆いから脂肪を除去し、その後I型コラゲナーゼ上(2mg/PBSml)で、32℃で75分間インキュベートした。消化後、皮膚をRPMI/10%ウシ胎児血清中で細分化し、70mMセルスレイナーでろ過し、1100gで5分間遠心した。ペレットをRPMI/10%ウシ胎児血清中で再懸濁し、40mMセルスレイナーでろ過し、5分間400gでスピンした。ペレットをFACsバッファー(PBS/5% BSA)、生細胞をゲートするためのDAPI、及び(補助データに列挙した)染色抗体で再懸濁した。皮膚リンパ節をRPMIにプールし細分化し、40mMセルスレイナーでろ過し、5分間400gで遠心し、染色してBD LSR IIフローサイトメーターで解析した。
レシピエントC3H/HeJマウスへのT細胞集団の移植
T細胞集団のポジティブ選択のために、リンパ節を5匹のC3H/HeJ脱毛症マウスから得、抗CD4、抗CD8、及び抗NKG2Dで染色し、その後ソート(BD Influx)して、CD8+NKG2D+ T細胞及びCD8+NKG2D- T細胞の二つの画分を得た。群あたり3〜5匹の7週齢のC3H/HeJマウスに、二百万のソートした各集団の細胞を皮下注射した。ネガティブ選択した集団のためには、3匹の脱毛症C3H/HeJに由来する全リンパ節細胞をビオチン化抗NKG2D(CX5)と、その後ストレプトアビジン結合ビーズ(Miltenyi)とインキュベートした後にMiltenyi磁性カラムを除去することによりNKG2D+細胞を枯渇させた。五百万の細胞(CD8/NKG2D枯渇、又は全リンパ節細胞のいずれか)を、100μlのPBSに懸濁し、皮下注射により5匹のマウスのそれぞれに移植した。
防止及び処置研究
防止研究のために、マウスを移植の初日から処置した(群あたりn=5〜10)。JAK3i実験:ビヒクル(ポリエチレングリコール(PEG)300)又はJAK3iトファシチニブ(Abmole)を含むビヒクルを15mg/kg/dayで12週間送達するために、各マウスの背部に、Alzet浸透圧ミニポンプ(ポンプ、モデル2004、Durect Corporation)を皮下移植した。
局所治療研究のためには、長期型AA(8週間以上)を有する移植マウスを、ビヒクル(Aquaphor)又はJak3阻害剤(0.5%軟膏)を含むビヒクルで、背部の罹患した皮膚に作用するように12週間一日一回処理した。完全な厚みの皮膚生検を、中間時点で各マウスの背部の表面から切除し、皮膚サンプルをRNA抽出のために液体窒素中で急速凍結するか、又は免疫染色のためにOCT中で急速凍結した。毛の状態を一週間に二回調べ、毛の成長係数を以前記載した通りに計算した30
免疫染色及び免疫蛍光
8mMのアセトン固定凍結マウス皮膚切片を風乾させ、湿室で4℃で、抗マウスAb(以下参照)により一晩染色した。ヒトの毛包を顕微解剖し、OCT化合物に包埋した後に切片化及び染色した(以下参照)。
真皮鞘及びリンホカイン活性化キラー(KAK)細胞の初代培養
真皮鞘(DS)細胞を、顕微解剖マウス感覚毛包から単離し、5ng/mlマウスFGF(Pepro Tech)を含む20% FBS DMEMで培養した。LAK細胞を、50nM JAK3i(トファシチニブ)又は50ng/ml マウスIL-15及び50nM JAK3iを含む6ウェルプレートに4×106で脾臓細胞を播種し、96時間、5%CO2インキュベーターで37℃でインキュベートして作成した。
インビトロ細胞傷害性アッセイ
標的細胞の特異的な殺傷の決定を、CFSEラベルしたDS細胞を標的として用いて、ラット抗マウスNKG2D中和抗体(Biolegend、CX5)の存在下(20μg/ml)又は非存在下で37℃、5%CO2で5時間インキュベートしたエフェクター細胞と異なる比で混合して行った。DS細胞の特異的な溶解を、Annexin V/7-AADを用いてCFSE+ DS細胞の細胞死を測定することによって、フローサイトメトリーにより決定した。
ヒト並びにマウスの皮膚及びT細胞における遺伝子発現解析
RNaseフリーDNaseセット(Qiagen Inc.、Valencia、CA、USA)を用いたオンカラムDNA消化と共に、miRNeasyミニキット(Qiagen Inc.、Valencia、CA、USA)を用いて全RNAを単離した。RNAseq解析のために、CD3+CD8+CD44+NKG2D+及びCD3+CD8+CD44+NKG2D-細胞を脱毛症のC3H/HeJマウスのリンパ節からフローソートした。RNAを上記の通り抽出し、TruSeq RNA Sample Prep Kit v2を用いてRNA-seqのために調製した。サンプルを、HiSeq 2000シーケンサー(Illumina、San Diego、CA)により50サイクルで配列決定した。RNA-SeqファイルをRockefeller University Genomics Core Facilityにより、デマルチプレックした。
マウス皮膚における網羅的転写プロファイリングのために、全抽出RNAを3’ IVT Express Kit(Affymetrix)を用いて処理した。生じたビオチン化cDNAサンプルを、マウスゲノム430 2.0遺伝子チップにハイブリダイズし、その後洗浄し、ストレプトアビジン−フィコエリトリンにより染色し、HP遺伝子アレイスキャナー(Hewlett-Packard Company、Palo Alto、CA)でスキャンした。
ヒトAAサンプルのためには、局所又は全身性治療を受けていない、斑点を伴う円形脱毛症である5人の患者由来の病変周囲のパンチ生検を集め、5人の無関係の罹患していない個人由来の頭皮生検と比較した。
抽出した全RNAを逆転写し、Ovation RNA Amplification V2 kit(NuGEN Technologies.、Inc.、San Carlos、CA)を用いて増幅した。増幅したcDNAをEncore Biotin Module(NuGEN Technologies)によりビオチン化し、その後U133A Plus 2.0遺伝子チップにハイブリダイズした。
フローサイトメトリー及び免疫染色に用いた抗体
フローサイトメトリー解析では、以下の抗マウス抗体を用いた:CD3(17A2、Ebioscience)、CD4(GK1.5、BD)、CD8α(53-6.7、BD)、CD8α(YTS156.7.7、Biolegend)、NKG2D(CX5、Ebioscience)、NKG2A/C/E(クローン20d5、Ebioscience)、CD44(IM7、BD)、CD45(30-F11、BD)、CD49b(Dx5、BD)、CD62L(MEL-14、BD)、CD69(H1.2F3、BD)、CD103(2E7、eBioscience)、IFNγ(XMG1.2、Ebioscience)、グランザイムB(NGZB、eBioscience)、Rae-1(186107、R&D)。
マウス皮膚の免疫組織化学研究のためには、8μMメタノール固定凍結皮膚切片を:抗CD4(clone RM4-5)、抗CD8(clone 53-6.7)、ビオチン抗MHCクラスI(クローン36-7.5)、抗MHCクラスII(クローンM5/114.15.2)を含むラット一次抗体で染色した。ビオチン化ヤギ抗ラットIgG(Life Technologies)を、二次抗体として用いた。免疫蛍研究のためには、抗H60(R&D、clone 205326)、抗Pan Rae-1(R&D、clone 186107)、抗NKG2D(R&D clone 191004)、抗K71(Abcam)一次抗体を免疫蛍光に用いた。Alexa Fluor 488又はAlexa Fluor 594を結合させたヤギ抗ラット、ロバ抗ラット、又はロバ抗ヤギ抗体(Life Technologies)を二次抗体として用いた。
ヒト毛包を顕微解剖し、OCT化合物に包埋した後に切片化及び染色した。8μMメタノールで固定した凍結切片をCD8(SCBT、C8/144B)で染色した後にAlexa Fluor 488又はAlexa Fluor 594を結合させた二次抗体(Life Technologies)で染色した。全ての画像を、SDRC Zeiss Exciter共焦点顕微鏡で撮影した。
遺伝子発現サインの統計解析及び質の制御
RNA-seq解析
サンプルを、HiSeq 2000シーケンサー(Illumina、San Diego、CA)で50サイクルで配列決定した。RNA-Seqファイルを、Rockefeller University Genomics Core Facilityによりデマルチプレックスした。サンプルのfastqファイルの質の制御を、fastqc s1を用いて行った。TopHats2を用いてiGenome由来のUCSC mm9参照ゲノムに対して転写物をマッピングした。UCSC mm9のこのiGenomeバージョンでパッケージされたRefSeq遺伝子アノテーションを用いた。HTSeqパッケージのhtseqカウントユーティリティを、TopHat bamファイルをedgeRs3による示差的発現の下流解析のための入力として用い得るカウントに変換するのに用いた。存在しない遺伝子を除き、下流解析におけるゼロによる分割を避けるために、1の偽カウントを加えた。EdgeRを、3つの生物学的反復によるマッチペアデザインを用いて示差的に発現される遺伝子を同定するために用いた。
マイクロアレイ解析
質制御、前処理
マウスcDNAサンプルをマウスゲノム430 2.0遺伝子チップにハイブリダイズし、次に洗浄し、ストレプトアビジン−フィコエリトリンにより染色し、HP遺伝子アレイスキャナー(Hewlett-Packard Company、Palo Alto、CA)でスキャンした。ヒトについては、増幅したcDNAをU133A 2.0遺伝子チップにハイブリダイズした。
質制御を、http://arrayanalysis.org/のaffyanalysisQCパッケージを用いて行った。AffyanalysisQCは、R/BioConductorパッケージ:affy、affycomp、affypdnn、affyPLM、affyQCReport、ArrayTools、bioDistm biomaRt、simpleaffy、yaqcaffyを用いて、単一のスクリプト内でQCを行う。RMA標準化をS4、各実験群にわけて行った。ComBatを用いるバッチ効果の補正が、防止試験のために必要であった。
マイクロアレイ前処理を、BioConductor in Rを用いて行った。3つの実験の前処理、1)自然AAマウスと正常マウス、2)3回の処置を行った予防マウスとプラセボ及び偽手術マウス、並びに3)2回の処置を行った処置マウスとプラセボを、同じ経路を用いて別々に行った。マウス皮膚サンプルに対して行った前処理に加えて、Harshlightを用いてヒト皮膚サンプルの画像欠損を補正した。
遺伝子サインの同定
目的変数なしの解析
閾値abs(logFC)>1、未調整p値≦0.05となるように、ヒト5×5の363遺伝子及び自然マウス3×3の583遺伝子についてClusterS5を用いて階層クラスタリングを行った。閾値logFC>1及び未調整p値≦0.05となる遺伝子を最初に選択した。遺伝子を中央値に置き、標準化した。Spearman順位相関を、類似性の尺度として用い、平均連結法を、行(遺伝子)及び列(サンプル)クラスタリングを行うために用いた。階層クラスターの視覚化を、java TreeViewS6を用いて行った。遺伝子発現動的係数(GEDI)解析を、自己組織化マップアルゴリズムにより同定された「メタ遺伝子」がサンプルごとにどのように異なるかを視覚化するために用いたS7。メタ遺伝子は、サンプル間で類似の発現パターンを示す遺伝子のクラスターであり、二次元グリッドにおいて単一のピクセルに割り当てられる。隣接するピクセルは、互いの類似の発現パターンを示す。
目的変数ありの解析
異なる遺伝子発現の最初の解析を、limma S8、1.5倍の変化の閾値及び0.05の未調整のp値を用いて自然マウス3×3及びヒト5×5データセットについて行った。
RT-PCR検証
ヒト及びマウスにおいて予測される、示差的に発現される遺伝子を、RT-PCTを用いて確認した。最初のcDNA鎖を、2:1の比のランダムプライマー:オリゴ(dT)プライマー及びSuperScript III RT (Invitrogen)を用いて、製造業者の説明書に従って合成した。qRT-PCRを、ABI 7300機器を用いて行い、ABI Relative Quantification Studyソフトウェア(Applied Biosystems、Foster City、CA、USA)により解析した。プライマーをABIのガイドラインに従って設計し、全ての反応をPower SYBR Green PCRマスターミックス(Applied Biosystems)、20μL反応溶液中に250nMプライマー(Invitrogen)及び20ng cDNAを用いて行った。プライマー配列を表5に示す。
表5 マウスmRNA検証試験のためのRT-PCRプライマー
Figure 2015515470
表6 ヒトmRNA検証試験のためのRT-PCRプライマー
Figure 2015515470
以下のPCRプロトコルを用いた:ステップ1:50℃で2分;ステップ2:95℃で10分;ステップ3:95℃で15秒;ステップ4:60℃で1分;ステップ3及び4を40サイクル反復。全てのサンプルを、3つの独立した試験において4連で試験し、示した通りに内部標準により標準化した。
ALADINスコア
IFN及びCTLサインを、二変数スコア統計を開発するために用いた。IFN及びCTLの各サインのスコアを、ヒトSLEで用いた以下の手順で決定したS9、10。本発明者のIFN及びCTLサインを含むように選択された遺伝子のセットは、CTLサインについてはCD8A、GZMB、及びICOSであり、IFNサインについてはCXCL9、CXCL10、CXCL11、STAT1、及びMX1であった。予防マウスでのスコアは、偽手術マウスに対して計算した;一方、局所治療試験のスコアは、全てのサンプルの0週目に対して計算した。
引用文献
Figure 2015515470

Figure 2015515470

Figure 2015515470
実施例5 毛の成長の誘導に対するJak3阻害剤の効果
JAK-STATシグナリング経路は、幾つかの発生プロセス、並びに最近では幹細胞維持、活性化、及び分化に関係づけられている。C3H/HeJ AAマウスモデルにおいてJAK3を用いる本発明者の局所治療の経過において、全身投与とは異なる二つの顕著な特徴を有して毛が再成長したことが認められた:1)毛の再成長は非常に迅速であった;及び2)被毛は暗い色がついた。理論により拘束されるものではないが、Jak3阻害剤は皮膚から病原性のT細胞を消失させるのに加えて、Jak3阻害剤は、例えば発育期の促進効果を介して、毛包自身に直接の効果も有する。
JAK-STATシグナリング経路のダイナミクスは最初、JAK-STATシグナリングの読み取り(図32、及び正常な毛周期の休止期と発育期での遺伝子発現の比較を含む、ターゲティングしたRT-PCRアレイを用いて調べた(図32〜35)。
このデータは、JAK-STATシグナリングの多くの要素が、正常な毛周期の休止期に上方制御され、発育期に下方制御されたことを明らかにし、これは毛周期に関して、JAK-STATシグナリングが休止期における幹細胞の休止の維持に関わり得ることを示している(図35)。
したがって、JAK-STATシグナリングの阻害が休止期〜発育期の移行の引き金となり得るかを調べるために、Jak3阻害剤を局所塗布し、休止期の正常のマウス皮膚で発育期が誘導され得るか試験した。
実際に、Jak3阻害剤の局所投与は、ビヒクル単独と比較して、休止期のマウス皮膚において顕著な発育期の誘導をもたらした。これは、角質化細胞基質細胞の目立った増殖、及び1〜2週間後の濃い色のついた発育期の毛の誘導を伴っていた(図38〜43を参照されたい)。
この観察を、同じ効果を有することが知られている陽性対照であるSAG(ソニックヘッジホッグアゴニスト)と比較すると、Jak3阻害剤は発育期の誘導効果において同等であった(図38、42、43)。
理論により拘束されるものではないが、これらの発見は、休止期の毛が発育期に再び入るのを誘導する局所JAK阻害剤を用いる休止期におけるJAK-STATシグナリングの遮断が、部分的に発育期の開始の分子イベントを模倣し、毛の成長の有用な治療剤になり得ることを示している。

Claims (19)

  1. それを必要とする哺乳動物被験体における脱毛障害の処置方法であって、
    (a)Jak3阻害剤を被験体に投与するステップ、
    それによって脱毛障害を処置するステップを含む、上記方法。
  2. 被験体において毛の成長を誘導するための方法であって、
    (a)有効量のJak3阻害剤を被験体に投与するステップ、
    それによって被験体において毛の成長を誘導するステップを含む、上記方法。
  3. 被験体が脱毛障害に罹患している、請求項2に記載の方法。
  4. 脱毛障害が、男性型脱毛症、休止期脱毛、円形脱毛症、頭部白癬、完全脱毛症、貧毛症、遺伝性単純型貧毛症、又は全身性脱毛症を含む、請求項1又は3に記載の方法。
  5. 投与された阻害剤が、阻害剤の処置前の被験体の毛の成長と比較して、被験体において毛の成長を誘導したか決定するステップをさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
  6. 被験体が脱毛障害に罹患している、請求項5に記載の方法。
  7. 阻害剤が、Jak3タンパク質に特異的に結合する抗体又はその断片;Jak3タンパク質をコードする遺伝子の発現を減少させるアンチセンスRNA又はアンチセンスDNA;Jak3タンパク質の発現を減少させるアンチセンスRNA又はアンチセンスDNA;Jak3遺伝子を特異的にターゲティングするsiRNA;Jak3タンパク質に特異的に結合する低分子;又はそれらの組み合わせである、請求項1又は2に記載の方法。
  8. Jak3阻害剤が、トファシチニブ(CP690550)である、請求項1又は2に記載の方法。
  9. 低分子が、Janex 1(WHI-P131)、PF-956980、WHI-P154、トファシチニブ(CP690550)、VX-509、Jak3阻害剤 IV、NSC114792、又はR348である、請求項7に記載の方法。
  10. 抗体が、配列番号:1を含むタンパク質に特異的に結合する、請求項7に記載の方法。
  11. siRNAが、配列番号:2を含むヒト核酸配列を指向する、請求項7に記載の方法。
  12. Jak3遺伝子を指向するsiRNAが、表1に列挙される配列のいずれか1つである、請求項7に記載の方法。
  13. 投与が、皮下、筋肉内、腹腔内、若しくは静脈内注射;注入;経口、経鼻、若しくは局所送達;又はそれらの組み合わせを含む、請求項1又は2に記載の方法。
  14. Jak3阻害剤が、週1回、週2回、週3回、週4回、週5回、週6回、週7回、週8回、週9回、週10回、週11回、週12回、週13回、又は週14回投与される、請求項1又は2に記載の方法。
  15. 被験体がJak3阻害剤を、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、又は少なくとも16週間投与される、請求項1又は2に記載の方法。
  16. 被験体にJak1/2阻害剤を投与するステップをさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
  17. Jak1/2阻害剤の投与が、Jak3阻害剤の投与と同時に行われる、請求項16に記載の方法。
  18. Jak1/2阻害剤の投与が、Jak3阻害剤の投与と、任意の順で経時的に行われる、請求項16に記載の方法。
  19. Jak1/2阻害剤が、INCB 018424、GLPG0634、AG490、CYT387、SB1518、LY3009104、TG101348、BMS-911543、又はCEP-701である、請求項16に記載の方法。
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