JP2015511124A - 核酸の増幅のための方法 - Google Patents

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Abstract

反応体積(2)中のナノ粒子(8)が励起を介してその周囲に熱を転移させる、核酸(1)の増幅のための方法。

Description

本発明は、核酸の増幅のための方法に関する。
核酸の増幅のための方法は、当分野において知られている。特許明細書US4683202は、核酸または核酸混合物中に含まれる特異的な核酸配列を増幅するためのプロセスを開示し、このプロセスでは、各核酸は、等しい長さまたは等しくない長さの2つの別々の相補鎖からなる。このプロセスは、(a)増幅されている異なる各配列について、各核酸鎖に対して相補的な各プライマーの延長産物が合成されるような条件下で、増幅されている異なる各特異的配列について、2つのオリゴヌクレオチドプライマーによって鎖を処理する工程であって、前記プライマーは、一方のプライマーから合成された延長産物がその相補体から分離された場合に他方のプライマーの延長産物の合成のためのテンプレートとして機能し得るように、各特異的配列の異なる鎖に対して十分に相補的であるように選択される工程;(b)プライマー延長産物が合成されて一本鎖分子を産生するテンプレートから、プライマー延長産物を分離する工程;および(c)工程(b)から生成された一本鎖分子を、テンプレートとして工程(b)で産生された一本鎖の各々を使用してプライマー延長産物が合成される条件下で、工程(a)のプライマーで処理する工程、を含む。これらの工程は、連続的にまたは同時に実施され得る。さらに、工程(b)および(c)は、所望の程度の配列増幅が達成されるまで、反復され得る。このプロセスにおいて、工程(a)および工程(c)がポリメラーゼを使用して実施される場合、このプロセスは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)と一般に呼ばれる。
国際特許出願WO2007/143034A1は、PCRの実行に適していると思われる方法を開示している。これらの方法は、PCRにおいて加熱を提供するための光学的な供給源の使用を含み得る。これらの方法は、PCR反応のリアルタイムモニタリングを可能にするために、表面プラズモン共鳴または蛍光共鳴エネルギー転移の使用もまた含み得る。これらの方法は、金などの表面または別の表面プラズモン共鳴活性を持つ表面に、テンプレート、プライマーまたはポリメラーゼを固定化する工程を含み得る。
特許出願US2002/0061588A1は、核酸を、外部シグナルに対して局所的かつ直接的に応答性にさせる方法を開示している。このシグナルは、核酸の、1つまたはいくつかの特異的な局在化した部分に対して、排他的に作用する。この発明によれば、このシグナルは、特異的核酸の特性を変化させることにより、その機能を改変し得る。従って、この発明は、サンプルの他の部分に影響を与えることなく、生物学的サンプル中の核酸の構造および機能を制御する方法を提供する。1つの実施形態では、モジュレーターが、核酸または核酸の一部に熱を転移させて、例えば、分子間結合または分子内結合の不安定化を生じさせ、ならびに核酸の構造および安定性の変更を生じさせる。好ましいモジュレーターには、金属ナノ粒子、半導体ナノ粒子、磁性ナノ粒子、酸化物ナノ粒子および発色団が含まれる。これらの方法を、PCRと共に使用することもまた示唆されている。特に、モジュレーターを用いてPCR反応を制御することが提唱されている。
特許出願US2003/0143604A1は、増幅反応、特にPCRをモニタリングするための、ナノ粒子検出プローブの使用に関する。特に、この特許出願は、標的ポリヌクレオチドを定量的かつ定性的に検出するために、ウシ血清アルブミンなどの保護剤で処理したナノ粒子オリゴヌクレオチドコンジュゲートの使用を扱っている。この特許出願は、金ナノ粒子プライマーを使用した核酸の増幅および検出を開示している。第1の工程では、核酸標的は、プライマーで官能化した金ナノ粒子の存在下で変性される。第2の工程では、金ナノ粒子および金ナノ粒子に付着したオリゴヌクレオチドが、核酸標的とハイブリダイズし、相補的DNA配列のコピーが、ナノ粒子に付着されている核酸プライマーから開始して産生される。これらの工程1および工程2は反復され、増幅された相補的ナノ粒子プローブの結合によって作り出される光シグナルが検出される。
本発明の根本的な課題は、核酸の増幅のための改善された方法を提供することである。
この課題は、請求項1の特徴を有する方法によって解決される。この方法は、反応体積中のナノ粒子が、励起を介してその周囲に熱を転移させ、核酸を増幅する機能を果たす。
反応体積は、本発明による方法が実施される体積である。この体積は、反応容器によって囲まれ得る。反応体積はサンプルを含む。サンプルは、液体、好ましくは水を含む。この方法によって増幅され得る核酸は、サンプル中に含まれ得る。
本発明によるナノ粒子は、好ましくは、そのサイズに起因して、特別な光学特性、特に、バルク材料において観察されることがないまたはそれほど明確でない、特徴的な吸収スペクトルまたは散乱スペクトルを示す粒子である。好ましくは、ナノ粒子は、2nmから500nmの間、より好ましくは3nmから300nmの間、最も好ましくは5nmから200nmの間の直径を有する。好ましいナノ粒子は、7nmから150nmの間の直径を有する。ナノ粒子は球状であり得るが、非球形形状、例えば、細長いナノ粒子(ナノロッド)もまた可能である。本発明の好ましい実施形態では、ナノ粒子は、少なくとも1種の半導体または1種の金属、好ましくは貴金属、例えば、金もしくは銀を含む。1つの実施形態では、ナノ粒子は、全体的に金属からなり、別の実施形態では、この金属は、ナノ粒子の一部のみ、例えばそのシェルを形成する。好ましいナノ粒子は、シェル−コア ナノ粒子であり得る。好ましいナノ粒子は、その表面上に細孔を有し得、これらの細孔は、細孔の特性によって規定されるサイズおよび電荷を有する原子または分子によって占有され得、特に好ましくは、かかる原子または分子は、ナノ粒子が溶液中に位置付けられた場合にだけ、ナノ粒子に吸着される。本発明によれば、ナノ粒子は、その表面に吸着された原子および分子もまた含む。その材料吸収またはプラズモン共鳴に起因して、好ましいナノ粒子は、光エネルギーを吸収するのに適切である。
ナノ粒子の励起を介して、熱がナノ粒子からその周囲に転移される場合、これは、本発明によれば、エネルギーがナノ粒子に転移され、このナノ粒子がエネルギーの転移を介してその周囲を加熱することを意味する。ここでは、優先的に、励起を介して、直近の周囲が、ナノ粒子のより広い周囲よりも強く加熱される。典型的には、ナノ粒子は、励起を介して最初に加熱され、次いでその周囲に熱を転移させる。ナノ粒子の励起を介して、ナノ粒子自体が最初に加熱されることなしに、熱がその周囲に転移されることもまた考えられる。好ましくは、ナノ粒子の周囲は、球状体積であり、この体積は、この体積の中心に位置付けられたナノ粒子の直径の100倍に等しい直径を有し、より好ましくは、この体積は、その中心のナノ粒子の直径の、10倍、最も好ましくは4倍、好ましくは2倍未満の直径を有する。
好ましくは、ナノ粒子の励起を介して、ナノ粒子の周囲は、局所的に加熱される。特に速い温度変化は、加熱された体積が体積全体の一部に過ぎない場合に可能である。一方で、高い温度差異は、少量のエネルギーインプットだけで生じ得る。他方、加熱された体積の迅速な冷却は、ナノ粒子の照射後にその周囲が冷却されるように、照射された体積において十分に大きな低温のリザーバーが存在する場合に可能である。これは、ナノ粒子を十分に強く(所望の温度増加を獲得するため)、十分に短い時間(熱が局在化したままになるように)照射することによって達成され得る。
従って、本発明による局所的な加熱は、照射された個々の体積における(例えば、レーザーの焦点における)励起の間隔tが、臨界励起間隔t1以下になるように選択される場合に存在する。ここで、t1は、倍率s1で乗算される平均ナノ粒子距離において、熱が1つのナノ粒子から次のナノ粒子に拡散するのに必要な時間である。|x|が平均ナノ粒子距離であり、ナノ粒子間の媒体の熱拡散率がDである場合、t1は、t1=(s1*|x|)/Dによって与えられ、この熱拡散率Dは典型的には、水溶液中でD=10−7/sの値を有する。
倍率s1は、励起間隔の間に粒子の温暖前線(warm front)がどの程度広がるかについての測定である。数個のナノ粒子の直径の距離にある励起されたナノ粒子によって引き起こされる温度増加は、粒子表面における最大温度増加のほんのわずかの一部に過ぎない。本発明の1つの実施形態では、数個のナノ粒子の温暖前線の重なりは、上の方程式に従う臨界励起間隔t1の定義について、1より大きい倍率s1が使用されるという意味では、許容される。本発明の別の実施形態では、温暖前線の重なりは、上の方程式に従う臨界励起間隔t1の定義について、1以下の倍率s1が使用されるという意味では、励起間隔(顕著に局所的な加熱に対応する)の間に、許容されない。本発明による局所的加熱の定義について、好ましくはs1=100、好ましくはs1=30、好ましくはs1=10、好ましくはs1=7、好ましくはs1=3、最も好ましくはs1=1、好ましくは、s1=0.7、好ましくはs1=0.3である。
照射された体積の表面に比較的多数のナノ粒子が位置付けられ、従ってより少ない加熱されたナノ粒子がその周囲に存在するように、照射された体積が、(例えば、適度に焦点の合ったレーザービームの焦点における)高いアスペクト比を示し、照射された体積からの顕著な熱流出が起こり、その結果、隣接ナノ粒子の加熱寄与がより長い期間の時間にわたりさらに無視できるままである場合に(とりわけ)、s1>1の値は有利であり得る。
これは、例えば、|x|=1.2μmの平均ナノ粒子距離を生じる1nMのナノ粒子濃度で、励起間隔がt1=14μs(倍率はs1=1として選択される、D=10−7/s)より短いままである場合に、本発明による局所的加熱が起こることを意味している。tがt>t1であるように選択される場合、ナノ粒子から放出された熱は、照射の間に、拡散によって、平均粒子距離よりも大きい距離をカバーし得、これは事実上、多くのナノ粒子の温暖前線の重なりを導き、その結果、ナノ粒子間の体積全体における温度増加が存在すると仮定することができる。照射された体積における温度増加が空間的により均質であるほど、より長い加熱が起こるが、これは、ナノ粒子の周りの温度分布に対する影響が、最も近いナノ粒子によって発揮されるだけではなく、さらに遠い隣接粒子によっても発揮されるからである。
反応体積が、t1より長い時間にわたって、ナノ粒子によって吸収される放射によって照射される場合、加熱は、全体的であると称される。
本発明による全体的加熱は、例えば、ペルチェ素子または抵抗ヒーターを用いて外側から反応体積を加熱することによって実施され得る。全体的加熱は、例えば、ナノ粒子によるよりも強くまたはナノ粒子によるのと等しい強さで水によって吸収される放射によって反応体積を照射することによっても、生じ得る。ここで、温度増加という用語は、励起直後の観察の時点における1つの位置における温度と、励起直前の同じ位置における温度との差異を意味する。
全体的加熱および局所的加熱は同時に起こり得る。
核酸の増幅のための公知の方法は、サンプルの少なくとも一部が加熱されることを必要とする、1つまたはいくつかの工程を含む。
本発明は、核酸の増幅のための方法において、反応体積全体が加熱される必要がないことを達成可能にすることができる。対照的に、ナノ粒子の励起を介して、反応体積の特定の一部のみを加熱することが可能である。有利なことに、かかる方法では、核酸の増幅のために加熱する必要がある反応体積の一部のみを加熱することが可能になる。従って、サンプルの熱感受性部分は保存され得る。より少ないエネルギーを転移させる必要がある場合に、局所的加熱は反応体積全体の全体的加熱よりも速くなり得る。従って、有利なことに、本発明は、より速い、より少ないエネルギーを必要とする、核酸の増幅のための方法を提供することを可能にする。
[本発明による好ましい実施形態]
核酸は、特にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅され得る。PCRは、反応体積中で実施される。この反応体積は、増幅される1つの核酸を含み、この1つの核酸は、オリジナルと称される。オリジナルは一本鎖である。反応体積中で、オリジナルは、相補体と称されるその相補鎖と一緒になって二本鎖を形成し得る。オリジナルおよび相補体が二本鎖として存在する場合、この二本鎖は、第1の工程で変性されなければならない、即ち、二本鎖は2つの一本鎖に分裂されなければならない。融解は変性の別の用語である。変性は、変性温度と称される温度において生じる。反応体積は、プライマーと称される少なくとも2つのオリゴヌクレオチドをさらに含む。一方のプライマーはフォワードプライマーと称され、他方はリバースプライマーと称される。フォワードプライマーは、オリジナルの3’末端に対して相補的である。リバースプライマーは、相補体の3’末端に対して相補的である。第2の工程では、フォワードプライマーがオリジナルとハイブリダイズし、リバースプライマーが相補体とハイブリダイズする。オリジナルまたは相補体の相補的部分とのプライマーのハイブリダイゼーションは、それぞれ、アニーリングと称される。第2の工程は、アニーリング温度と称される温度において生じる。反応体積は、DNAポリメラーゼをさらに含む。第3の工程では、DNAポリメラーゼが、フォワードプライマーから開始して相補体のコピーを合成する。DNAポリメラーゼは、リバースプライマーから開始して、オリジナルのコピーを合成する。合成を通して、相補体のコピーはオリジナルとハイブリダイズされ、オリジナルのコピーは相補体とハイブリダイズされる。第3の工程は、伸長と称され、伸長温度と称する温度において実施される。その後、第1、第2および第3の工程は、所望の程度の増幅が達成されるまで周期的に反復され、ここで、オリジナルのコピーはオリジナルであり、相補体のコピーは相補体である。オリジナルが、オリジナルより長いDNA一本鎖上に位置付けられる場合、PCRは、オリジナルのコピーを産生するだけでなく、このDNA一本鎖のコピーもまた産生し、このコピーは、3’方向により長く、オリジナルを含む。従って、この場合、PCRは、相補体のコピーを産生するだけでなく、このDNA一本鎖に対して相補的なDNA一本鎖のコピーもまた産生し、このコピーは、3’方向により長く、相補体を含む。
PCRの別々の工程は、異なる温度で実施され得るため、1つまたはいくつかの加熱工程、および適用可能な場合、PCRの工程中または工程間に冷却工程を実施する必要があり得、加熱工程および冷却工程では、反応体積またはその一部が、それぞれ加熱または冷却される。好ましくは、加熱工程または加熱工程の少なくとも1つにおける加熱は、ナノ粒子の励起を介して少なくとも部分的に達成され、この加熱は好ましくは局所的加熱である。
PCRでは、変性温度は、好ましくは、DNAポリメラーゼを著しく損傷させることなしにDNAの一本鎖が融解するように選択される。変性温度についての典型的な値は、例えば95℃である。最適なアニーリング温度は通常、プライマーの配列および長さに依存する。典型的には、プライマーは、アニーリング温度が50℃から65℃の間になるように設計される。最適な伸長温度は典型的に、使用されるDNAポリメラーゼに依存する。例えばTaqポリメラーゼを使用する場合、典型的には、72℃の伸長温度が選択される。
ハイブリダイゼーションは、本発明の意味では、その各々が核酸および/またはオリゴヌクレオチドからなり得る2つの一本鎖からの二本鎖の形成を意味する。適切な反応条件下で、ハイブリダイゼーションは典型的に、互いに結合する2つの一本鎖によって達成され得る最低のエネルギー状態を導く。これは、言い換えれば、適切な反応条件下で、2つの一本鎖の配列に関して、最大の可能な相補性が生じるような方法で、2つの一本鎖が互いに結合することを意味する。
核酸Aが核酸Bに対して部分的に相補的である場合、これは、核酸Aの一部が、核酸Bの一部に対して相補的であることを意味する。
ナノ粒子の励起は、好ましくは、交流磁界によって、より好ましくは交流電磁場によって、最も好ましくは光学的に、生じる。好ましくは、励起は、遠赤外線光と遠紫外線光との間の範囲内(100nm〜30μmの波長の範囲内)、より好ましくは近赤外線光から近紫外線光までの範囲内(200nm〜3μmの波長の範囲内)、最も好ましくは可視光の範囲内(400nm〜800nmの範囲内)で生じる。外側からの反応容器の従来の全体的加熱と比較すると、エネルギーがナノ粒子上に直接転移されるので、これは、反応容器の断熱壁を乗り越える必要がないという利点を提供し得る。この方法では、サンプルの所望の一部のより速い加熱が達成され得る。
本発明の好ましい実施形態では、これらのナノ粒子は、レーザーによって励起される。より好ましくは、レーザー光は、ナノ粒子の表面プラズモン共鳴を励起する周波数を有する。レーザーは、連続的に光を供給し得、またはパルス光として供給し得る。レーザーは、例えば、ガスレーザー、ダイオードレーザーまたはダイオード励起固体レーザーであり得る。照射された体積においてレーザーがナノ粒子を励起する時間間隔は、好ましくは、数ピコ秒から数秒までの領域内、より好ましくは数ナノ秒から数秒の間の領域内、最も好ましくは10nsから500μsの間の領域内である。好ましくは、励起間隔は、ナノ粒子の周囲において生じる熱が、平均ナノ粒子距離にわたって拡散するのに必要な平均時間よりも短く、その結果、平均して、隣接粒子の温暖前線の顕著な重なりは存在しない。より好ましくは、この励起間隔は、各照射されたナノ粒子の周りの温度増加が、平均して、20ナノ粒子直径の距離、より好ましくは2ナノ粒子直径の距離、最も好ましくは1ナノ粒子直径の距離において、その最大の半分未満まで低下するように選択される。1つの実施形態では、1体積当たり短い照射期間のレーザーが好ましく、その結果、脱ハイブリダイズしたDNA一本鎖は、変性の間に、100nm未満、より好ましくは20nm未満、ナノ粒子から離れて拡散できるだけである。それにより、脱ハイブリダイズしたDNA一本鎖が同じナノ粒子上のオリゴヌクレオチドに結合する確率が高くなる。これは、本発明による方法の加速を導き得る。好ましい実施形態では、プライマーがコンジュゲートされたナノ粒子の濃度は、10nMより低く、ここで、励起間隔は、好ましくは1nsから10μsの間、より好ましくは10nsから1μsの間、最も好ましくは15nsから300nsの間である。励起間隔は、1nsよりも顕著に短くならないように選択されることが好ましく、そうでない場合、DNA二本鎖の加熱期間は、DNA二本鎖に含まれる一本鎖が拡散によって十分に分離するのには十分でなく、その結果これらは互いに即座には再ハイブリダイズしない。
デューティサイクルは、励起間隔対PCRサイクルの持続時間の比である。デューティサイクルは、好ましくは、局所的加熱によるDNA二本鎖の十分な変性を導くように、励起のために十分に大きくなるように選択される。同時に、このデューティサイクルは、サンプル全体の平均温度増加が、ハイブリダイゼーション、伸長および変性に対する攪乱を回避するのに十分に小さく維持されるように選択される。好ましくは、照射された体積についてのデューティサイクルは、50%未満、より好ましくは20%未満、最も好ましくは1%未満である。照射された体積におけるデューティサイクルは、好ましくは、10−12より大きく、より好ましくは10−10より大きく、より好ましくは10−9より大きく、最も好ましくは10−8より大きい。ナノ粒子が励起される表面の出力密度は、好ましくは、20W/mmから1000kW/mmの間、より好ましくは100W/mmから100kW/mmの間、最も好ましくは250W/mmから10kW/mmの間である。
別の好ましい実施形態では、レーザー光のエネルギーは、その材料吸収に起因してナノ粒子に転移される。ナノ粒子の励起に使用される光はまた、例えば、熱ラジエーター、例えば、フラッシュバルブに起源し得る。本発明の別の好ましい実施形態では、これらのナノ粒子は、ナノ粒子において渦電流を誘導する交流電磁場または電磁波を介して励起される。適切に設計されたナノ粒子は、超音波によっても励起され得る。
オリゴヌクレオチドという用語は、本発明と関連して、好ましくは、(デオキシ)オリゴリボヌクレオチドだけでなく、その骨格(例えば、メチルホスホン酸、ホスホチオエート(phosphothioate)またはペプチド核酸[PNA])上、特に骨格の糖上に、改変を有する1つまたは複数のヌクレオチドアナログ(例えば、2’−O−アルキル誘導体、3’−および/または5’−アミノリボース、ロックド核酸[LNA]、ヘキシトール核酸、モルホリノ、グリコール核酸(GNA)、トレオース核酸(TNA)またはトリシクロ−DNA。これに関しては、D.RennebergおよびC.J.Leumannによる刊行物、表題「Watson−Crick base−pairing properties of Tricyclo−DNA」、J.Am.Chem.Soc.、2002、124巻、5993〜6002頁を参照のこと。その関連の内容は、参照することにより本開示の一部をなすものとする)を含み、あるいは塩基アナログ、例えば、7−デアザプリン、またはニトロインドールなどのユニバーサル塩基、またはN4−エチルシトシンなどの改変天然塩基を含むオリゴヌクレオチドもまた含む。本発明の1つの実施形態では、これらのオリゴヌクレオチドは、PNAなどの非ヌクレオシドアナログとのコンジュゲートまたはキメラである。1つの実施形態では、これらのオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の位置において、ヘキサエチレングリコールまたはC−スペーサーなどのスペーサーなどの、非ヌクレオシド単位を含み、ここで、nは3から6の間である。オリゴヌクレオチドが改変を含む限りにおいて、これらは、天然のDNA/RNA分析物とのハイブリダイゼーションもまた改変と共に可能であるような方法で選択される。好ましい改変は、特にそれらのアミノ酸の異なる程度の相補性を有するハイブリッドを識別するために(ミスマッチ識別)、融解挙動、好ましくは融解温度に影響を与える。好ましい改変には、LNA、8−アザ−7−デアザ−プリン、5−プロピニルウラシル、5−プロピニルシトシンおよび/またはオリゴヌクレオチド中の脱塩基中断(abasic interruptions)が含まれる。本発明によるさらなる改変は、例えば、ビオチン、チオールならびに蛍光ドナー分子および蛍光アクセプター分子による改変である。
本発明の好ましい実施形態では、これらのナノ粒子は、オリゴヌクレオチドとコンジュゲートされる。この方法では、これらのナノ粒子は、ナノ粒子オリゴヌクレオチドコンジュゲートを形成する。この様式では、本発明による方法の一部を形成するオリゴヌクレオチドが、全体として反応体積を加熱する必要なしに、ナノ粒子の励起を介して特異的に加熱され得ることが達成され得る。特に好ましい実施形態では、これらのナノ粒子は、プライマーとコンジュゲートされる。より好ましくは、これらのナノ粒子は、PCRのフォワードプライマーおよびリバースプライマーとコンジュゲートされる。本発明の好ましい実施形態では、1つの種類のナノ粒子オリゴヌクレオチドコンジュゲートには、フォワードプライマーが付着されているが、リバースプライマーは付着されていない。別の種類には、リバースプライマーが付着されているが、フォワードプライマーは付着されていない。
本発明の別の好ましい実施形態では、1つの種類のナノ粒子オリゴヌクレオチドコンジュゲートが、フォワードプライマーおよびリバースプライマーとコンジュゲートされる。この実施形態では、オリジナルに対して相補的な新たなDNA一本鎖は、ナノ粒子上のフォワードプライマーから開始して、PCRにおいて合成される。新たなDNA一本鎖はフォワードプライマーを含むので、新たなDNA一本鎖は、ナノ粒子とコンジュゲートされる。合成直後に、新たなDNA一本鎖は、オリジナルと共に二本鎖を形成する。引き続く変性工程において、新たなDNA一本鎖は、オリジナルから分離される。アニーリング温度において、新たなDNA一本鎖は、ナノ粒子の表面上に位置付けられたリバースプライマーとハイブリダイズし、その結果ループが形成される。同じナノ粒子上のリバースプライマーとのハイブリダイゼーションのために、短い距離だけを横断する必要がある。好ましいナノ粒子濃度において異なるナノ粒子上のリバースプライマーとのハイブリダイゼーションを達成するために、横断すべき距離は、概してより大きい。従って、この実施形態では、アニーリングがより迅速に生じることおよびPCRがより迅速に完了し得ることが、有利に達成可能である。
本発明の好ましい実施形態では、これらのナノ粒子は、プライマーとナノ粒子との間の1つより多いチオールとの共有結合が存在するような方法で、プライマーと連結される。一般に、PCR緩衝液は、金ナノ粒子とプライマーとの間のチオール結合を不安定化し、特に熱負荷下で、例えば変性中に、ナノ粒子から脱離するプライマーを導き得るジチオスレイトールを含む。プライマーとナノ粒子との間の1つより多いチオールとの共有結合は、プライマーの脱離を減少させ得、従って、PCR効率を改善し得る。
好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドが以前に連結されていたナノ粒子から脱離したかかるオリゴヌクレオチドに結合し得るカウンター配列が使用される。カウンター配列はオリゴヌクレオチドである。この方法では、ナノ粒子とコンジュゲートされたオリゴヌクレオチドが、ナノ粒子から脱離して遊離することが生じ得る。遊離オリゴヌクレオチドが本発明によるプライマーである場合、遊離プライマーは、オリジナルまたは相補体に結合し得る。遊離プライマーがナノ粒子に結合していない場合、遊離プライマーは、ナノ粒子の励起によっても、それぞれオリジナルまたは相補体から脱ハイブリダイズされ得ない。それにより、この方法の効率および感度は減少する。カウンター配列は、遊離オリゴヌクレオチドに対して少なくとも部分的に相補的であり、遊離オリゴヌクレオチドの機能を制限するのに十分な親和性でこれらに結合する。この方法では、この方法の効率および感度は増加され得る。この方法の特に好ましい実施形態では、遊離プライマーを遮断するのに十分な量のカウンター配列が、オリジナルの添加の以前でさえも、サンプルに添加される。同時に、この量は、十分に大きい数の非遮断プライマーをナノ粒子が提示するのに十分に小さい。ナノ粒子上のプライマーの数が、遊離プライマーの数を超える場合に、これが可能である。
好ましい実施形態では、充填用分子がナノ粒子に付着される。この充填用分子は、サンプル中のナノ粒子の望ましくない凝集を防止する。従って、充填用分子は有利なことに、ナノ粒子を安定化する機能を果たす。ナノ粒子の電荷は、充填用分子を使用してモジュレートされ得る。この方法では、ナノ粒子の周囲中に存在する塩濃度は、DNAポリメラーゼが可能な限り迅速に合成できるように、かつ有利なことに、この方法が迅速に実施され得るように適合され得る。この充填用分子は、プライマーではなく、かつ好ましくはプライマーよりも短いオリゴヌクレオチドからなり得る。この充填用分子はまた、例えば、例えばポリエチレングリコールなどのポリマーからなり得る。好ましい実施形態では、この充填用分子は、ナノ粒子上のプライマーの数を減少させ、その代りに、この方法の効率を顕著な量で減少させることなしにより多くの充填用配列を使用することを可能にする。
この方法のさらに好ましい実施形態では、ナノ粒子上のオリゴヌクレオチドは、部分配列としてスペーサー配列を示す。スペーサー配列は、ナノ粒子により近いオリゴヌクレオチドの一部中に位置付けられる。この方法では、スペーサー配列は、スペーサーとしてオリゴヌクレオチドの残りの部分を提供する。好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドは、プライマーの機能を有しかつプライマー配列と称される1つの部分配列、ならびにスペーサー配列である部分配列を含む。プライマー配列はスペーサー配列に起因して離れて間隔を置かれるので、増幅される核酸およびDNAポリメラーゼは、有利なことに、プライマー配列へのより良いアクセスを獲得し得る。好ましい実施形態では、オリジナルのコピーおよび相補体のコピーは、スペーサー配列を介してナノ粒子の表面に付着したままである。特に好ましい実施形態では、スペーサー配列は、合成されたコピーがナノ粒子から切り離され得るように、制限エンドヌクレアーゼのための制限部位を含む。これは、好ましくは、方法の終結後に起こるが、この方法が実施されている最中でも起こり得る。こうして、この方法は、サンプル中に遊離して存在する核酸のコピーを産生することを可能にする。この方法の好ましい実施形態では、スペーサー配列は、プライマー配列が充填用分子によって覆い隠されないように、充填用分子と少なくとも同等の長さである。
好ましい実施形態では、ナノ粒子の励起を介してナノ粒子からその周囲に転移される熱は、ナノ粒子の表面上のオリゴヌクレオチドが、このオリゴヌクレオチドにハイブリダイズした核酸から脱ハイブリダイズするために十分である。この実施形態では、これらのナノ粒子は、オリゴヌクレオチドとコンジュゲートされ、このオリゴヌクレオチドの少なくとも一部は、少なくとも部分的に相補的な核酸にハイブリダイズされる。ナノ粒子の励起を介して、好ましくはナノ粒子の周りの水の温度が、オリゴヌクレオチドに結合した核酸からオリゴヌクレオチドを脱ハイブリダイズさせるのに十分であるように、熱エネルギーが周辺の水に転移される。特に好ましい実施形態では、本発明による方法はPCRであり、ナノ粒子はプライマーとコンジュゲートされる。PCRを実施する場合、好ましくは二本鎖のPCR産物が形成され、その各々において、二本鎖PCR産物の少なくとも1つの一本鎖が、ナノ粒子とコンジュゲートされる。この実施形態では、ナノ粒子の励起を介してナノ粒子の周りに変性温度を発生させ、反応体積全体を加熱することなく二本鎖PCR産物の変性を実施することが、有利に達成可能である。この方法では、変性は、PCRがより迅速に生じ得るように、加速され得る。別の好ましい実施形態では、アニーリング温度および伸長温度もまた、ナノ粒子の励起を介して発生される。この方法では、好ましくは、アニーリング温度および伸長温度までのプローブ全体の加熱と比較した場合、小さい量のエネルギーだけが転移される必要がある。より好ましくは、PCRの変性、アニーリングおよび伸長は、全体的加熱なしに生じるが、もっぱらナノ粒子の励起による局所的加熱を介して生じる。このように、この方法は、全体的加熱のためのデバイスなしに実施され得、その結果、この方法を実施するために必要とされる装置がより少なくなる。
別の好ましい実施形態では、この方法は全体的加熱工程を含む。ここでは、この方法の少なくとも1つの工程における温度は、全体的加熱によって少なくとも部分的に達成される。本発明のより好ましい実施形態では、この方法はPCRであり、アニーリング温度は、反応体積の全体的加熱によって獲得される。最も好ましくは、この反応体積は、アニーリングが起きる所定の温度範囲内へと、方法全体を通じて全体的に加熱される。ここでは、伸長温度および変性温度は、ナノ粒子の励起を介して達成される。それにより、有利なことに、全体的加熱を発生させるデバイスは、所定の温度を維持する必要があるだけなので、単純な設計で実行され得る。
別の好ましい実施形態では、アニーリング温度および伸長温度は、全体的加熱によって達成され、変性は、もっぱらナノ粒子の励起によって達成される。この方法では、有利なことに、全体的加熱を創出するデバイスは、2つの異なる温度を有する温度サイクルを発生させる必要があるだけであり、従って、単純な設計で実行され得ることが達成され得る。典型的には、伸長およびアニーリングは、狭い温度範囲内で生じる。これと対照的に、変性を達成するためには、特定の温度を上回る必要があるだけである。従って、変性を生じさせるためのナノ粒子の励起における不均一性は、アニーリング温度および伸長温度の調節におけるよりも、問題が小さい。従って、ナノ粒子の励起がもっぱら変性を発生させる機能を果たす好ましい実施形態は、より単純な様式で技術的に実行され得る。これは、全体的加熱が小さい温度増加だけを発生させる必要があるように、アニーリング温度および伸長温度が互いに非常に近接している好ましい場合、例えば、アニーリング温度が60℃であり伸長温度が72℃である場合に、特に当てはまる。
特に好ましい実施形態では、アニーリング温度は伸長温度と同じである。この場合、この方法はPCRである。アニーリング温度が伸長温度と等しい場合、2つの異なる温度のみを有する温度サイクルが、PCRを実施するために必要であり、これは、この方法が単純な設定で実施できることを意味する。
好ましくは、プライマーの融解温度および使用されるDNAポリメラーゼは、その融解温度において、使用されるDNAポリメラーゼが十分な速度でDNAをなおも合成できるように選択される。特に好ましい実施形態では、アニーリング温度と等しい伸長温度は、全体的加熱によって達成され、変性はナノ粒子の励起を介して獲得される。この方法では、全体的加熱を発生させるデバイスは、1つの温度を維持する必要があるだけなので、単純な様式で実行され得る。
好ましい実施形態では、ナノ粒子の一部だけが、この方法の実行の間に、任意の1つの点において励起される。この目的を達成するために、例えば、ナノ粒子の励起のための手段は、反応体積の一部におけるナノ粒子のみを励起するような方法で設計され得る。特に好ましい実施形態では、ナノ粒子は、レーザーを使用して光学的に励起され、反応体積中に光を導くオプティクスは、光が反応体積の一部中にのみ方向付けられるように設計される。励起されるナノ粒子の一部は、好ましくは、この方法の実行の間に変化する。言い換えれば、第1の時点で励起される第1のセットのナノ粒子は、第2の時点で励起される第2のセットのナノ粒子と同一ではない。この場合、第1のセットおよび第2のセットが同一でない限り、任意の数のナノ粒子が第1のセット中に存在し得、任意の数のナノ粒子が第2のセット中に存在し得る。例えば、これらのセットがこれらのセットの共通部分を形成するように、これら2つのセットのうち一方はもう一方と重なり得る。例えば、一方のセットが他方のセットよりも少ないナノ粒子を含むように、一方のセットは、他方のセットのサブセットであり得る。2つのセットはまた、ナノ粒子が第1のセットおよび第2のセット中に存在しないように、共通部分を形成しない方法でモデリングされ得る。例えば、1つの時点でナノ粒子が励起され、別の時点ではナノ粒子が励起されないように、2つのセットのうち1つは空のセットでもあり得る。好ましい実施形態では、第1のセットおよび第2のセットは、同じ数のナノ粒子を本質的に含む。特に好ましくは、異なる時点において、レーザーは、異なる画分のナノ粒子を励起する。それにより、この方法の実行において、ナノ粒子の画分を励起するのにちょうど十分なだけの、より低い出力を有するレーザーが使用され得る。特に好ましい実施形態では、2つ以上のレーザーが、異なる部分のナノ粒子を励起するために使用される。このように、有利なことに、反応体積の異なる部分にレーザーを方向付ける光学要素を必要とすることなしに、ナノ粒子の異なる画分を励起することが可能である。
本発明の別の好ましい実施形態では、異なる時点においてサンプルの異なる部分体積中のナノ粒子が励起されるように、励起場に対して方向付けられたサンプルの移動が生じている。より好ましくは、励起場はレーザーの光である。最も好ましい実施形態では、レーザーの光は、異なる時点において反応体積の異なる部分体積中のナノ粒子を励起するために、光学要素によって方向付けられる。光学要素は移動可能であり得、例えば、光学要素は、移動可能なミラー、空間的モジュレーターまたは音響光学モジュレーターを含み得る。レーザー自体もまた移動可能であり得る。サンプルの移動は、サンプルを含む反応容器を移動させることによって実行され得る。特に好ましい実施形態では、レーザービームおよび反応容器が移動される。さらなる好ましい実施形態では、サンプルは、レーザーの光が、異なる時点においてサンプルの異なる部分体積を捕捉するように、反応体積中で移動される。これは、例えば、磁気スターラーを使用することなどにより、反応体積中のサンプルを撹拌することによって達成され得る。反応体積は、例えば、チャネルまたはチューブなどの細長い形状を取り得る。サンプルは、例えば、1つのチャネルを通って移動され得、サンプルは、1つまたは複数の場所においてレーザービームを通過する。好ましくは、サンプルは、チャネルを通って流れ、n個の位置を通過し、各位置において、1つのレーザービームがチャネル中のサンプルに方向付けられる。n個のレーザービームを横切るサンプルの線状の流れに起因して、nサイクルのPCRが実施される。このやり方では、この方法は、小量の移動可能な部分を用いて実施され得る。チャネルを使用することによって、例えばラボオンチップの意味において、小型化が可能である。好ましくは、レーザービームは変性を引き起こし、一方で伸長温度およびアニーリング温度は、全体的加熱により発生される。全体的加熱を通じて1つの温度だけを維持する必要があるように、伸長温度はアニーリング温度と等しいことが特に好ましい。この方法では、本発明による方法は、最小の努力で実施され得る。
好ましい実施形態では、熱不安定性DNAポリメラーゼがこの方法において使用される。ナノ粒子の励起が変性に使用される場合について、高温への反応体積全体の曝露は、回避され得る。むしろ、ナノ粒子の直近の周囲を変性温度までもっぱら加熱することが可能である。この方法では、直近の周囲中に位置していないDNAポリメラーゼは、高温に曝露されない。それにより、熱安定性ではなく熱不安定性であるDNAポリメラーゼを使用することが可能である。熱不安定性DNAポリメラーゼを含めることによって、ポリメラーゼのより大きい選択肢が、本発明による方法について利用可能である。DNAポリメラーゼのより大きい選択肢に起因して、反応条件は、使用されるDNAポリメラーゼの十分な動作を同時に維持しつつ、より大きい程度まで変動され得る。増幅される核酸がナノ粒子上の負に荷電したオリゴヌクレオチドに結合することができるようにするために、熱安定性DNAポリメラーゼの動作に対して有害な影響を有し得る濃度で、サンプル中で、この方法の効率を減少させる物質、特に塩を使用することが必要であり得る。DNAポリメラーゼのより大きい選択肢、特に高い耐塩性を有するものは、この方法の効率の増加を導き得る。DNAポリメラーゼのより大きい選択肢の一部は、例えば、KlenowフラグメントおよびPhi29などの小さいDNAポリメラーゼである。ナノ粒子の極めて近くで、大きい熱安定性DNAポリメラーゼが、付着し場合により既に伸長されたプライマーに起因して、立体障害を受け得る。結果として、DNAポリメラーゼがコピーされる核酸に到着しないか、またはDNAポリメラーゼが、完全なコピーのオリジナルまたは相補体を合成する前に妨害され、このことがこの方法の効率の減少を引き起こす可能性がある。従って、DNAポリメラーゼのより大きい選択肢は、この方法の効率の増加を可能にする。DNAポリメラーゼにおけるより大きい選択肢に起因して、有利なことに、より低い産生コストを有する酵素もまた利用可能である。ナノ粒子の直近の周囲中に位置付けられていないDNAポリメラーゼは、より小さい程度の熱誘導された非活性化を受ける。それにより、有利なことに、より少量のDNAポリメラーゼが、この方法において使用され得る。
本発明の好ましい実施形態では、可溶性プライマーおよびナノ粒子上のプライマーが、反応体積中に存在する。可溶性プライマーは、ナノ粒子にコンジュゲートされておらず、サンプル中に溶解されている。好ましくは、可溶性プライマーは、ナノ粒子プライマーコンジュゲートよりも小さく、従って、ナノ粒子プライマーコンジュゲートよりも高い濃度で存在し得る。これに起因して、可溶性プライマーは、例えばゲノムDNAなどの長い二本鎖核酸への、より良くより速いアクセスを有し得る。特に好ましい実施形態では、この方法の第1の工程では、長い二本鎖核酸は、反応体積全体の全体的加熱によって変性され、その後、可溶性プライマーがこの核酸にハイブリダイズする。最初に、PCRは、全体的加熱を用いて1つまたはいくつかのサイクルを介して実行され、その間に、DNAポリメラーゼが、長い二本鎖核酸の所望の短いコピーを合成する。引き続き、PCRが、ナノ粒子の励起を介した局所的加熱もまた使用して、継続される。
本発明の好ましい実施形態では、ナノ粒子プライマーコンジュゲートの粒子拡散は、光場を使用することによって増幅され得る。ナノ粒子が励起される光渦場(Silvia Albaladejoら、Nano Letters、2009、9巻、10号、3527〜3531頁に従う。その関連の内容は、参照することにより本開示の一部をなすものとする)を介して、またはナノ粒子に対して発揮される光学力(Arthur Ashkinら、Proc.Natl.Acad.Sci.、1997、94巻、10号、4853〜4860頁に従う。その関連の内容は、参照することにより本開示の一部をなすものとする)に起因して、ナノ粒子拡散は増加され得る。それにより、有利なことに、増幅される核酸の、ナノ粒子上のプライマーとのより速いハイブリダイゼーションが、所与のナノ粒子濃度において生じ得る。これは、本発明による方法の加速を達成するために利用され得る。
本発明の1つの実施形態では、増幅反応の産物の濃度は、試験プローブを用いて検出され得る。試験プローブは、その表面上に試験配列を有するオリゴヌクレオチドを含むナノ粒子である。この方法の好ましい実施形態では、試験プローブのオリゴヌクレオチドは、部分配列としてスペーサー配列を有する。スペーサー配列は、オリゴヌクレオチド上の、ナノ粒子により近い側に位置付けられる。従って、スペーサー配列は、スペーサーとしてオリゴヌクレオチドの残りの部分を提供する。好ましい実施形態では、試験プローブのオリゴヌクレオチドは、試験配列と称される部分配列と、スペーサー配列である部分配列との両方を含む。好ましい実施形態では、試験プローブは、それに付着した充填用分子を有する。試験配列は、増幅反応の産物とハイブリダイズし得る。ここでは、試験配列は、増幅反応の産物に対して好ましくは少なくとも部分的に相補的である。好ましい実施形態では、第1のナノ粒子は、フォワードプライマーとコンジュゲートされる。オリジナルおよびDNAポリメラーゼの存在下で、フォワードプライマーは、フォワードプライマーを介して第1のナノ粒子に結合した相補体が創出されるように、延長される。ここでは、相補体は、フォワードプライマーと、フォワードプライマーの延長によって創出される延長配列とからなる。特に好ましくは、PCRは、指数関数的増幅で、好ましくは多数のコピーのオリジナルおよび多数のコピーのナノ粒子にコンジュゲートされた相補体が産生されるように、可溶性および/またはナノ粒子にコンジュゲートされたリバースプライマーを使用して実施される。最も好ましくは、第1のナノ粒子は、その表面上に、フォワードプライマーおよびリバースプライマーの両方を含む。任意選択的な中間工程では、オリジナルおよび場合によりそのコピーは、局所的加熱または全体的加熱を介して、相補体から変性される。次いで、第1のナノ粒子が以前に試験プローブと一緒にされていない場合、第1のナノ粒子は試験プローブと一緒にされる。試験プローブの試験配列は、延長配列に対して相補的であり、その結果、試験プローブは、試験配列を介して、第1のナノ粒子上の延長されたフォワードプライマーに結合できる。適切な反応条件では、第1のナノ粒子と試験プローブとの連結は、ナノ粒子に結合した相補体が存在する程度まで、生じる。これは、延長配列が形成されない場合、試験プローブとナノ粒子との間の連結が作成されないことを意味する。より好ましくは、試験プローブを使用する本発明による増幅および検出の反応条件は、第1のナノ粒子と試験プローブとの連結の程度が、どの濃度のオリジナルが増幅前のサンプル中に存在したかについての結論を引き出すのを可能にするように選択される。第1のナノ粒子と試験プローブとの連結を介して、測定可能な変化、例えば、吸収スペクトルにおけるプラズモン共鳴のレッドシフトまたは広幅化が生じ得る。特に好ましい実施形態では、試験プローブとナノ粒子との連結を介して生じる測定可能な変化は、増幅前のサンプル中のオリジナルの濃度と比例する。この方法では、有利なことに、単純なツールが、濃度を検証するために使用され得る。
別の好ましい実施形態では、この方法は、第1のナノ粒子とコンジュゲートされたフォワードプライマーと、遊離および/またはナノ粒子結合リバースプライマーとを含む。ナノ粒子がその表面上にフォワードプライマーおよびリバースプライマーを含むことが特に好ましい。第1の工程では、DNAポリメラーゼは、オリジナルの存在下で、フォワードプライマーを、ナノ粒子結合相補体へと延長させる。第2の工程では、ナノ粒子結合相補体に結合するリバースプライマーから開始して、オリジナルのコピーが合成される。その後、第1のナノ粒子がまだ試験プローブと一緒にされていない場合、第1のナノ粒子は、試験プローブと一緒にされる。この実施形態では、試験配列は、フォワードプライマーに対して相補的である。フォワードプライマーが延長されなかった場合、試験プローブは、第1のナノ粒子に良好に結合し得る。フォワードプライマーが延長された場合、フォワードプライマーへの試験配列の結合は、立体障害に起因して阻害される。オリジナルの新たに合成されたコピーが、延長されたフォワードプライマーとハイブリダイズする場合、延長されたフォワードプライマーに対する試験配列の結合は防止される。この方法では、第1のナノ粒子と試験プローブとの間の連結の程度は、増幅反応の産物、即ち相補体およびオリジナルのコピーが合成される程度まで、減少する。反応条件を適切に選択する場合、オリジナルの濃度が検出され得、その結果、測定可能な変化が小さいほど、増幅前にサンプル中に存在したオリジナルが多くなる。この測定可能な変化は、例えば、吸収スペクトルにおけるプラズモン共鳴のレッドシフトまたは広幅化であり得る。この方法では、有利なことに、特異的核酸の濃度の決定を可能にする単純な試験が設計され得る。
本発明は、核酸の増幅のための改善された方法を提供することを可能にする。
充填用分子、スペーサー配列およびプライマー配列とコンジュゲートされた本発明によるナノ粒子を概略図で示す図である。 充填用分子 スペーサー配列およびプライマー配列とコンジュゲートされた本発明によるナノ粒子を別の概略図で示す図である。 レーザー、2次元ミラースキャナおよびサンプルを有する、本発明による方法を実施するための設定を概略図で示す図である。 レーザー、ミラーおよびレーザービームに対して相対的に移動されるサンプルを有する、本発明による方法を実施するためのさらなる設定を概略図で示す図である。 レーザー、1次元ミラースキャナおよび1次元において移動されるサンプルを有する、本発明による方法を実施するための別の設定を概略図で示す図である。 DNAの陽性検出のための本発明によるナノ粒子および本発明による試験プローブを概略図で示す図である。 レーザー、2次元ミラースキャナおよびウォーターバス中のサンプルチューブを有する、本発明による方法を実施するための別の設定を概略図で示す図である。 DNAの陽性検出のための試験プローブを用いた、全体的加熱および局所的加熱による増幅反応の結果を2つの略図で示す図である。 DNAの陰性検出のための本発明によるナノ粒子および本発明による試験プローブを概略図で示す図である。 DNAの陰性検出のための試験プローブを用いた、全体的加熱および局所的加熱による増幅反応の結果を2つの略図で示す図である。 非熱安定性Klenowフラグメントを用いた増幅反応の結果を略図で示す図である。 固定されたレーザービームおよび移動するレーザービームを用いた増幅反応の結果を略図で示す図である。 光源、屈折要素および移動可能なサンプルチューブを有する、本発明による方法を実施するための設定を概略図で示す図である。 充填用分子、オリゴヌクレオチドおよびDNAポリメラーゼを有する、本発明によるナノ粒子の一区画を概略図で示す図である。 DNAの陰性検出のための試験プローブを用いた増幅反応の結果を4つの概略図で示す図である。 サンプルチューブ中のナノ粒子の励起のための第1のレーザー、ならびにサンプルの透過を測定するための第2のレーザーおよび光ダイオードを概略図で示す図である。
図1は、PCRとして実行される、核酸1の増幅のための本発明による方法の1つの実施形態を示す。反応体積2は第1のナノ粒子3を含む。第1のナノ粒子3は、図1aに示されるように、その表面上にオリゴヌクレオチド4を示す。1つの種類のオリゴヌクレオチド4は、それぞれ、部分配列として配列Aを有するプライマー配列5を含み、さらなる任意選択的な部分配列としてスペーサー配列6Sを含む。プライマー配列5は、プライマー7の配列として規定される。スペーサー配列6Sは、増幅される核酸1がより良い効率でプライマー配列5に結合するように、およびDNAポリメラーゼ10がプライマー配列5へのより良いアクセスを見出すように、ナノ粒子8の表面から十分遠く離してプライマー配列5を維持する機能を果たす。プライマー配列5Aを有するオリゴヌクレオチド4は、その3’末端が第1のナノ粒子3の反対側を向くように、例えば、チオール結合を介して第1のナノ粒子の表面に付着される。任意選択的に、別の種類のオリゴヌクレオチド4が、第1のナノ粒子3の表面上に存在し得、これらは充填用分子9Fである。充填用分子9を使用して、ナノ粒子8の電荷は、ナノ粒子8の望ましくない凝集が回避されるように、モジュレートされ得る。さらに、充填用分子9は、増幅される核酸1およびDNAポリメラーゼ10が、プライマー配列5へのより良いアクセスを見出すことができるように、ナノ粒子8の表面上の互いに対するプライマー配列5の距離を増加させ得る。これは、この方法の効率を増加させ得る。スペーサー配列6は、好ましくは充填用分子9と少なくとも同等の長さであり、その結果、有利なことに、プライマー配列5は、充填用分子9から突出する。
サンプル11は、反応体積2中に存在し、このサンプル11は、プライマー配列5、スペーサー配列6および充填用分子9を有する図1aからの第1のナノ粒子3、ならびにこれに加えてdNTPおよびDNAポリメラーゼ10を含む。検出される核酸1は、サンプル11中に存在し得る。この実施形態では、検出される核酸1は、オリジナル12とも呼ばれるDNA一本鎖であり、部分配列A’および部分配列B’を含む。オリジナル12は、例えば、5’末端もしくは3’末端上のオーバーハングとして、または2つの部分配列A’とB’との間に、さらなる部分配列を含み得る。図1bでは、オリジナル12は、第1のナノ粒子3の表面上のプライマー配列5Aに、その部分配列A’を用いて結合する。図1cでは、DNAポリメラーゼ10が、オリジナル12およびオリジナル12にハイブリダイズしたプライマー配列5Aに結合することが示されている。引き続き、DNAポリメラーゼ10は、図1dに示される伸長工程において、プライマー配列5Aの3’末端から開始して、オリジナル12に対して相補的な核酸1を合成し、この核酸は、相補体13と呼ばれ、第1のナノ粒子3の表面上のスペーサー配列6に連結される。図1eでは、第1のナノ粒子3に次いで、光が照射され、この光は、そのプラズモン特性または材料特性を理由として、第1のナノ粒子3によって吸収され、熱へと変換される。この熱は、第1のナノ粒子3の周囲に転移され、オリジナル12およびオリジナル12にハイブリダイズした新たに合成された相補体13の領域内で、オリジナル12が相補体13から変性されるのに十分である。図1fに示されるように、オリジナル12はここで再度遊離され、その結果、オリジナル12は別のプライマー配列5に結合でき、さらなるナノ粒子結合相補体13が、この方法のさらなるサイクルにおいて合成され得る。この方法では、相補体13の濃度の直線的増加が、サイクルの数の増加と共に創出される。図1gおよび図1hに記載される方法の工程は、本文献において以下でさらに明確にされる。
図2は、ナノ粒子8がサンプル11中に位置付けられた、本発明による方法の1つの実施形態を示す。ナノ粒子8は、その表面上に充填用分子9Fを示す。さらに、ナノ粒子8は、オリゴヌクレオチド4とコンジュゲートされている。第1の種類のオリゴヌクレオチド4は、スペーサー配列6Sおよびプライマー配列5Aからなる。第2の種類のオリゴヌクレオチド4は、スペーサー配列6Sおよびプライマー配列5B’からなる。この実施形態では、増幅されるオリジナル12は、部分配列A、C、Bを有する一本鎖DNA分子である(示さず)。ナノ粒子8の表面上のプライマー配列B’から出発して、DNAポリメラーゼ10は、オリジナル12に対して相補的な鎖を合成し、その結果、図2aに示すように、配列S、B’、C’およびA’を有するDNA一本鎖が、ナノ粒子8上に位置付けられる。同時に、DNAポリメラーゼが、ナノ粒子8の表面上のスペーサー配列6Sと連結されたプライマー配列5Aから開始して、オリジナル12のコピーを合成したことを、図2aにおいて見ることができる。図2a中の矢印によって示されるように、ナノ粒子8に付着したオリジナル12のコピーは、同じナノ粒子8の表面上のプライマー配列5B’に、その部分配列Bによってハイブリダイズする。図2a中の第2の矢印は、ナノ粒子8の表面上で合成された相補体13が、同じナノ粒子8の表面上のプライマー配列5Aに、その部分配列A’によってハイブリダイズすることを示す。これら2つのハイブリダイゼーションの結果は、図2bに示される。ここでは、オリジナル12および相補体13は、ナノ粒子8の表面上にループを形成する。図2cは、オリジナル12に対して相補的な鎖がプライマー7B’から開始して合成され、この鎖はスペーサー配列6Sを介してナノ粒子8の表面に連結されることを示す。別のDNAポリメラーゼ10が、プライマー配列5Aから開始してオリジナル12のコピーを合成し、このコピーもまたスペーサー配列6を介してナノ粒子8の表面に連結される。2つの合成の結果を図2dに示す。この実施形態では、フォワードプライマー14およびリバースプライマー15は、同じナノ粒子8上に位置付けられる。この方法では、新たに合成されたDNA鎖は、同じナノ粒子8上のプライマー7に戻りハイブリダイズし得る。新たに合成されたDNA鎖は、相補的プライマー7に遭遇するために遠くまで移動する必要がないので、これは、本発明による方法の加速を導き得る。むしろ、新たに合成されたDNA鎖は、同じナノ粒子8の表面上の相補的プライマー7に特に迅速に結合でき、これは、ナノ粒子8上のプライマー7の高い局所濃度によって特に促進される。図2dにおける、例えばレーザー16によるナノ粒子8の励起後、スペーサー配列6を介してナノ粒子8の表面に各々付着したオリジナル12のコピーおよび相補体のコピーは、脱ハイブリダイズする。その後、ナノ粒子8に付着したオリジナル12のコピーは、別の同一のナノ粒子8の表面に付着した相補体13とハイブリダイズし得る。ハイブリダイゼーションを介してナノ粒子8が連結され、その結果測定可能な変化が生じる。この測定可能な変化は、例えば、サンプル11の色変化であり得る。図2a〜2eに示される本発明による方法の実施形態は、オリジナル12を検出する機能を果たす単純な試験を提供することを可能にする。
図3は、本発明による方法を実施するのに適した設定を示す。この設定は、この場合レーザー16として実行される光源17と、レーザー16からの光をサンプル11に方向付けることができる2次元ミラースキャナ18とを含む。2次元ミラースキャナ18は、レーザーを2次元で屈折させ得る。この設定では、サンプル11における変性は、サンプル11の一部上にレーザービームの焦点を合わせることによって生じる。この方法の間、レーザービームは、サンプル11の異なる部分に当たるように、屈折される。図3に示す実施例では、レーザービームが、サンプル11が位置付けられた反応体積2を行毎に通過して移動するように、レーザービームはミラースキャナ18によって屈折される。図3では、サンプル11中のレーザービームによって追跡される路は、破線で示される。この方法の間の任意の1つの時点において、サンプル11の一部のみが励起されるという事実に起因して、より小さい出力アウトプットを有するレーザー16が使用され得る。1マイクロ秒を下回る励起は、光熱加熱されたナノ粒子8の助けにより、DNAを変性させるのに十分であるので、およそ10〜100μmのレーザー16の典型的な焦点直径は、レーザーが通り抜ける各点におけるDNAの変性を導きつつ、およそ10〜100m/sの速度でレーザービームがサンプル11をスキャンするのを可能にする。これは、大きいサンプル体積の非常に迅速なスキャンを可能にする。1cmの面積の完全なスキャンは、例えば、78μmの焦点直径、78μmの行間距離および1センチメートルの行長さにおいて128行で、10m/sのスキャニングレーザービームの速度で128msしかかからない。有利なことに、これは、全体的加熱を使用する変性工程が一般に必要とする時間よりも顕著に短い。例えば図3に示されるミラースキャナ18およびいわゆるFシータレンズなどの光学要素は、スキャンされるサンプル11全体にわたる焦点品質およびサイズの良好な均質性を達成できる。継続的に発光するレーザー16の代替法として、パルスレーザー16または熱ラジエーターが使用され得る。
図4は、レーザー16およびミラー19が固定され、レーザー16のレーザービームがミラー19を使用してサンプル11に対して方向付けられる、本発明による方法を実施するための設定を示す。ここでは、サンプル11は、サンプル11を移動させることによってサンプル11全体またはサンプル11の大部分にレーザー16の焦点が到達し得るように、2次元で移動可能であるように配置される。
図5は、レーザー16が固定され、ミラースキャナ18が1次元においてレーザー16のレーザービームを屈折させ得る、本発明による方法を実施するための設定を示す。ミラースキャナ18およびサンプル11を移動させることによってサンプル11全体またはサンプル11の大部分にレーザービームが到達し得るように、サンプル11は、1次元で移動可能であるように配置される。本発明によるPCRによって核酸1を検出するための1つの可能性を図6に示す。ここでは、その表面上に充填用分子9Fおよび第1のオリゴヌクレオチド20を示す第1のナノ粒子3が、サンプル中に位置付けられている。第1のオリゴヌクレオチド20は、図6aに示すように、スペーサー配列6Sおよびプライマー配列5Aからなる。部分配列A’および部分配列B’を有するオリジナル12がサンプル11中に存在する場合、オリジナル12は、第1のナノ粒子3の1つの上の相補的プライマー配列5Aにハイブリダイズする。図6cに示すように、相補体13がスペーサー配列6Sを介して第1のナノ粒子3の表面に連結されるように、DNAポリメラーゼ10は、プライマー配列5Aから開始して、部分配列Aおよび部分配列Bを有する相補体13を合成する。次の工程では、図6dに示される試験プローブ21が、サンプルに添加される。試験プローブ21は、その表面上に充填用分子9および第2のオリゴヌクレオチド23を示す第2のナノ粒子22である。第2のオリゴヌクレオチド23は、スペーサー配列6Sおよび試験配列5B’を含む。試験配列5B’は、図6fに示すように、第1のナノ粒子3の表面上の相補体13の相補的部分配列Bとハイブリダイズし得る。それにより、第1のナノ粒子3および第2のナノ粒子22が連結され、その結果測定可能な変化が生じ得る。オリジナル12がサンプル11中に存在しない場合、図6bに見られるように、第1のナノ粒子3の表面上に相補体13が創出されない。第1のナノ粒子3上に相補体13が存在しない場合、第1のナノ粒子3および第2のナノ粒子22は互いに連結できず、測定可能な変化は生じない。この実施形態では、配列B’は配列Bに対して相補的である。配列B’は、配列Aの一部に対しても相補的であり得る。第1のナノ粒子3上のスペーサー配列6Sは、第2のナノ粒子22上のスペーサー配列6Sと同一である。しかしさらなる実施形態では、異なるスペーサー配列6が、第1のナノ粒子3および第2のナノ粒子22上で使用され得る。また、いくつかの異なるスペーサー配列6が、同じ種類のナノ粒子8上で使用され得る。緩衝液およびハイブリダイゼーション条件、例えば、温度、塩濃度、ナノ粒子濃度、さらなる緩衝液添加剤の濃度、pHは、好ましくは、第1のナノ粒子3を第2のナノ粒子23に連結させるハイブリダイゼーションが、第1のナノ粒子3上のプライマー配列5Aの延長の完了後にのみ生じ得るように、選択される。第1のナノ粒子3と第2のナノ粒子22との連結は、例えば、吸収スペクトルにおけるプラズモン共鳴のレッドシフトおよび広幅化として検出され得る。この連結は、ナノ粒子8の光熱励起およびその結果として起こる第1のナノ粒子3と第2のナノ粒子22とを連結させる核酸1の変性後の、1つまたはいくつかの波長における透過の変化を測定することなどによっても、検出され得る。試験プローブ21は、相補体13の合成が可能になるこの方法の工程の後に第1のナノ粒子3を含むサンプル11の少なくとも一部が添加される特別なハイブリダイゼーション緩衝液中に、供給され得る。試験プローブ21は、第1のナノ粒子3と一緒に、この方法の開始前に既にサンプル中に存在し得る。この場合、試験プローブ21は、プライマー7として作用しないように不動態化され得る。試験プローブ21の不動態化は、プライマー配列5のオリジナル12とのハイブリダイゼーションがPCRの間のアニーリング温度においては生じないが、温度の引き続く低下後にのみ生じるような方法で、試験プローブ21上のプライマー配列5を選択することであり得る。試験プローブ21の不動態化は、DNAポリメラーゼ10が第2のオリゴヌクレオチド23を延長させることができないように、第2のナノ粒子22の3’末端に、オリジナル12の部分配列を含む第2のオリゴヌクレオチド23を付着させることによって、創出され得る。この場合、第2のオリゴヌクレオチド23は、その5’末端で遊離であり得るか、または第2のナノ粒子22に連結され得る。試験プローブ21は、伸長を防止する塩基改変、例えば、第2のオリゴヌクレオチド23の遊離プライム末端におけるジデオキシシトシン(ddC)によっても、不動態化され得る。
図6に示される方法の実施形態では、金製で60nmの直径を有する第1のナノ粒子3が、オリゴヌクレオチド4で官能化される(J.Hurstら、Anal.Chem.、78(24)、8313〜8318、2006に従う。その関連の内容は、参照することにより本開示の一部をなすものとする)。ここでは、1部のオリゴヌクレオチド4 ID1、および充填用分子9として4部のオリゴヌクレオチド4 ID2が使用される。官能化および6回の洗浄工程後、第1のナノ粒子3は、PBS緩衝液(20mMのPBS、10mMのNaCl、0.01%のTween20、0.01%アジド、1mMのEDTA、pH7.5)中に200μlの濃度で存在する。増幅反応は、200μlサンプルチューブ24中で10μlの総体積(5μlのDreamTaq PCR Mastermix 2×(fermentas)、0.1μlの5MのNaCl、0.1μlのMgCl 250mM、0.1μlのMgSO 250mM、1μlの官能化された第1の粒子200pM、100nMオリゴヌクレオチド4 ID4(例えば反応前のオリジナル12の貯蔵の間などに、オリゴヌクレオチド4 ID4は表面を飽和させる働きをする)を含む水中に溶解された1μlオリゴヌクレオチド4 ID3(増幅されるオリジナル12として。ここで、10μlの総体積中で決定されるオリジナル12の濃度は、例えば、0pM、10pM、20pMまたは50pMである)、2.7μl水)中で実施される。図7に示すように、サンプルチューブ24は、ウォーターバス26中でガラスキュベット25において65℃の温度にされ、この温度は、アニーリング温度および伸長温度である。ウォーターバス26は、正確な温度を維持することに加えて、サンプルチューブ24の非平面表面中へのレーザー16のより良いカップリングもまた提供する。ウォーターバス26中の水は、PCR反応混合物で満たされたサンプルチューブ24の外側とその内側との間の屈折率における差異の低減を可能にする。従って、レーザービームの屈折ならびに焦点品質および鋭さに対する生じる負の影響が抑制される。それにより、有利なことに、レーザー16のカップリングが改善される。ナノ粒子を励起する機能を果たすレーザー16は、ミラースキャナ18(Cambridge technologies、Pro Series 1)の背後のFシータレンズ(Jenoptik、焦点距離100mm)と共に、1.5Wのアウトプット出力の、ウォーターバス26中のサンプルチューブ24中に焦点を合わせた(焦点直径およそ20μm)周波数倍増ダイオード励起:Nd:YAgレーザー(Coherent Verdi V10)である。ミラースキャナ18は、図3に既に示したように、サンプルチューブ24を通じて行毎に焦点を移動させること、および従って、光熱増幅においてPCR反応体積全体を含めることが可能である。1つのサンプルチューブ24当たり、400行が、サンプルチューブ24におけるおよそ2m/sの行速度で、およそ12μmの距離における焦点を用いてスキャンされる。これは、第1のサンプルチューブ24における1サイクルに対応する。引き続き、全ての他のサンプルチューブ24が、次々にスキャンされ、その結果各サンプルチューブ24は1つのサイクルを経た。第1のサンプルチューブ24のスキャン後の40sの待機時間後、次のサイクルが開始され、これは、各サンプルチューブ24が25サイクルを完了するまで、反復される。オリジナル12の出発濃度として、第1のサンプルチューブ24において0pM、第2のサンプルチューブ24において20pM、第3のサンプルチューブ24において50pMが選択される。陰性コントロールとして、これもまた50pMの濃度でオリジナル12を含むがレーザービームが当たらない第4のサンプルチューブ24が、ウォーターバス26中に挿入される。第1、第2および第3のサンプルチューブ24が25サイクルを完了した後に、4つ全てのサンプルチューブ24がウォーターバス26から取り出される。レーザーサイクルおよびオリジナル12の濃度の影響を試験するために、選択された緩衝液およびハイブリダイゼーション条件の下で、ナノ粒子結合プライマーの延長を介して産生された試験配列のみにハイブリダイズすることが可能な試験プローブ21が使用される。ここでは、プライマー7の延長は、図6cに示すように、オリジナル12に対して相補的である。試験プローブ21を産生するために、金製で16nmの直径を有する第2のナノ粒子22が、オリゴヌクレオチド4で官能化される(J.Hurst、上記に従う)。ここで、1部のオリゴヌクレオチド4 ID5、および充填用分子9として4部のオリゴヌクレオチド4 ID2が使用される。官能化および6回の洗浄工程後、第2のナノ粒子22は、200pMの濃度でPBS緩衝液(20mMのPBS、10mMのNaCl、0.01%のTween20、0.01%アジド、1mMのEDTA、pH7.5)中に存在する。第1のナノ粒子3上のオリゴヌクレオチド4と第2のナノ粒子22上のオリゴヌクレオチド4とのハイブリダイゼーションのために、改変リン酸塩緩衝液が使用される(13mMのPBS、200mMのNaCl、0.02%のTween20、1mMのEDTA、20mMクエン酸ナトリウム、1μg/mlのPVP10、pH7.5)。10μlハイブリダイゼーション溶液は、2.25μlの改変リン酸塩緩衝液、3μlホルムアミド、2μl NaCl 5M、0.25μlの200pM試験プローブ溶液、および第1のナノ粒子3を含む光熱増幅からの2.5μlの対応するPCR溶液を含む。配列ID3を有するオリジナル12の十分な量がサンプルチューブ中に存在した場合、図6fに示すように、第1のナノ粒子3の表面上の配列ID1を有するオリゴヌクレオチド4は、延長され、試験プローブの表面上の配列ID5を有するオリゴヌクレオチド4とハイブリダイズできる。ハイブリダイゼーションは、ナノ粒子8の光熱励起を使用して検証される(EP2162549に従う。その関連の内容は、参照することにより本開示の一部をなすものとする)。この目的を達成するために、図16に示すように、サンプルチューブ24には、第1のレーザー27からのパルス(50μsのパルス持続時間、532nmの波長、およそ700mWのピーク出力、焦点直径およそ30μm)が当てられる。それにより、ナノ粒子8は、光熱加熱され、その周囲に熱を転移させる。図6fに示されるように、オリゴヌクレオチド4のハイブリダイゼーションに起因して第1のナノ粒子3および第2のナノ粒子22が連結される場合、これらは、レーザーパルスによって分離される。これは、図16に示すように、第2のレーザー28(波長630nm、出力5mW連続的)を使用して検出され得る。第2のレーザーの焦点(30μM直径)は、脱ハイブリダイゼーションのみに使用されることが好ましい第1のレーザー27の焦点と重ねられ、第2のレーザーの焦点が、第1のレーザー27のレーザーパルスの前および後の吸収を検出する。吸収における変化が光熱によって誘導され測定される光路は、およそ2mmに達する。この層を通って透過される第2のレーザー28の光の強度は、光ダイオード35を用いて測定される。光熱によって誘導された透過の変化は、パルスの前および後に光ダイオードにおける電流の差異から決定され、この透過の変化は、ナノ粒子8間の延長された第1のオリゴヌクレオチド20および第2のオリゴヌクレオチド23の脱ハイブリダイゼーションと、ナノ粒子のその後の互いに離れる拡散とによって発生する。
図8aは、第1のレーザー27のレーザーパルスおよび第1のナノ粒子3と第2のナノ粒子22との間でのオリゴヌクレオチド4の生じた脱ハイブリダイゼーションによって発生される、相対的透過変化を示す。相対的透過変化は、サンプルチューブ24中の金−DNA−金結合の存在の測定である。図8a中の略図の下に、完了したサイクルの数が、第1行に示される。第1行の下に位置付けられた第2行に、増幅を実施する前のサンプルチューブ24中のオリジナル12の濃度が、pMで示される。図8aの右側のセクションB中の略図に、第1、第2および第3のサンプルチューブ24が左から右へと示され、その各々は、25回の光熱サイクルを完了している。これに加えて、光熱処理を全く受けていない第4のサンプルチューブ24が示される。金−DNA−金結合の指標として測定された透過変化は、25サイクルが完了した時点で、増幅前のオリジナル12の濃度の増加と共に増加することを、明らかに見ることができる。オリジナル12を含まない第1のサンプルチューブ24および光熱処理なしの第4のサンプルチューブ24については、小さい透過変化のみが観察される。このことは、本明細書で、第1のナノ粒子3上のプライマー配列5の延長が起こらなかったこと、および従って、試験プローブに対する結合が不可能であることを示している。オリジナルの存在下で光熱サイクルを完了した後にのみ、第1のナノ粒子3上のプライマー配列5の延長が、DNAポリメラーゼ10によって創出され得、これが、第1のナノ粒子3と第2のナノ粒子22との連結、および最終的にはナノ粒子8の光熱的に誘導された分離の結果としての透過変化を導く。
比較として、図8aは、左側のセクションAに、ナノ粒子8の光熱励起を介して局所的にDNAを加熱しなかったが、従来のサーマルサイクラー(Labnet Multi Gene II)において反応体積2全体を全体的に加熱した、対応する実験の結果を示す。左から右へと、第1から第4までのサンプルチューブ24が示され、それらの内容物は、前の段落において記載した実験における内容物と同一である。第1、第2および第3のサンプルチューブ24を、古典的PCRプロトコール(93℃で1s、53℃で20s、35サイクル)に供した。光熱加熱の場合と同様、より多くのオリジナル12が増幅前に各サンプルチューブ24中に存在するほど、レーザーパルスおよび第1のナノ粒子3と第2のナノ粒子22との間のDNAの生じた脱ハイブリダイゼーションによって創出される測定される透過変化はより大きくなることが観察され得、この透過変化は、溶液中の金−DNA−金結合の存在の測定である。第4のサンプルチューブ24は、50pMのオリジナル12を含むものの、周期的に加熱されておらず、透過変化をほとんど示さない。この場合、第1のナノ粒子3上のプライマー配列5は、十分な程度まで延長されなかった。
図8bは、反応体積2全体の全体的加熱を伴う類似の実験を示すが、サンプルチューブ24中のオリジナル12の濃度は、増幅前に10pMで一定であり(略図の下の第2行)、一方でサイクルの数は増加していく(略図の下の第1行)。ここで、サイクルの数の増加と共に、測定される透過変化がより大きくなることを明らかに見て取ることができ、これは、第1のナノ粒子3上のより多くのプライマー7が延長されるほど、より多くのサイクルが完了されることの明確なサインであり、従って、測定されるシグナルの起源が実際に、DNAポリメラーゼ10による第1のナノ粒子3上のオリゴヌクレオチド4の完了した伸長であることの明確なサインである。
この方法の1つの実施形態では、相補体の3’末端に結合する遊離リバースプライマー15が、第1のナノ粒子3の表面4上のプライマー配列5の伸長後に使用され、その延長の間に、ナノ粒子結合相補体13が産生される。図1gは、スペーサー配列6を介して第1のナノ粒子3の表面に連結された、既に合成された部分配列AおよびBを有する相補体13が、サンプル11中に以前から遊離して存在していたプライマー7B’にハイブリダイズすることを示す。ここでは、プライマー7は、配列B’を有し、相補体13の部分配列Bと連結されている。配列B’を有するプライマー7から開始して、DNAポリメラーゼは、オリジナル12のコピーを合成する。図1gでは、オリジナル12が第1のナノ粒子3の表面上の別のプライマー配列5Aに結合しており、DNAポリメラーゼ10が、プライマー配列5Aから開始して別の相補体を合成することもまた示されている。第1のナノ粒子と連結された、オリジナル12、オリジナル12のコピーおよび2つの相補体13が、図1hに示される。第1のナノ粒子3の励起を介した引き続く変性は、オリジナル12を生じ、そのコピーは遊離する。ここでは、オリジナル12およびそのコピーは、この方法の引き続く工程において増幅のためのテンプレートとして機能し得る。オリジナル12およびオリジナル12のコピーと、第1のナノ粒子3上のプライマー配列5Aとのハイブリダイゼーション、ならびに遊離プライマーB’と、第1のナノ粒子3上の既に伸長されたプライマー配列5とのハイブリダイゼーションのために必要とされ得る待機時間後、この方法の次のサイクルが、第1のナノ粒子3の別の励起によって実施され得る。好ましくは、このサイクルは、もたらされる増幅またはそれぞれ、サンプル11中のオリジナル12の存在の検証を可能にするために、十分な量の延長されたプライマー配列5が第1のナノ粒子3上に存在するまで、および/または十分な量のオリジナル12のコピーがサンプル11中に存在するまで反復される。遊離プライマー7B’を使用することによって、図1gおよび図1hに示すように、オリジナル12の指数関数的増幅が可能である。図1a〜1fでは、ナノ粒子結合相補体13の直線的増幅だけが、この遊離プライマー7なしに達成可能である。DNAの変性は、1つの実施形態では、1ミリ秒未満で起こり得る。40サイクルにおいてさえ、DNAの変性および引き続く伸長温度までの冷却は、この実験において全体で数ミリ秒しか必要としない。これは、本発明による方法の持続時間が、従来のサーモサイクラーの加熱速度および冷却速度などの技術的制限によって決定されないことを意味している。また、熱はナノ粒子8の周囲において通常発生され、平衡温度分布は数ナノ秒以内にもたらされるので、反応体積2における熱化時間は回避され得る。それにより、PCRは顕著に加速され得る。
達成された増幅を検証するための1つの可能性を図9に示す。図9aおよび図9cは、図1a〜1hに既に示したような、溶解したリバースプライマー7B’を使用した指数関数的増幅を概説する。その後、試験プローブ21がサンプル11に添加される。この実施形態では、試験プローブ21は、図9dに示されるように、その表面上で任意選択的な充填用分子9および試験配列A’によって官能化された第2のナノ粒子22からなる。任意選択的に、図1または図9aからの第1のナノ粒子3上のスペーサー配列6Sと必ずしも同一でなくてよいスペーサー配列6Sが、試験配列A’と第2のナノ粒子22の表面との間に配置され得る。試験配列A’は、第1のナノ粒子3上のプライマー配列5Aの少なくとも一部に対して相補的である。試験配列A’は、プライマー配列5Aについて、図1a〜1hの方法において産生された部分配列A’を含むオリジナル12のコピーと競合する。これは、多数のコピーのオリジナル12が存在する場合、第1のナノ粒子3の表面上のプライマー配列5Aが、オリジナル12のコピーの部分配列A’によって既に占められていることを意味する。この場合、プライマー配列5Aは、第2のナノ粒子22上の試験プローブA’に対し、ハイブリダイズできないか、または限定された程度までしかハイブリダイズできない。従って、第1のナノ粒子3は、第2のナノ粒子22に対し、連結されないか、または限定された程度までしか連結されない。図9cに示すように、第1のナノ粒子3上の伸長されたプライマー配列5Aは、オリジナル12およびそのコピーとハイブリダイズし、従って、立体障害をもたらし得る堅固な二本鎖DNAを形成する。また、これに起因して、第1のナノ粒子3と第2のナノ粒子22との連結は、多数のオリジナル12のコピーが存在する場合に、防止され得る。少数のオリジナル12およびオリジナル12のコピーの非存在下または存在下で、第1のナノ粒子3は、図9bに示すように、占有されていないプライマー配列5Aを伴って主に存在する。試験プローブ21が添加されると、第2のヌクレオチド23A’は、第1のナノ粒子3上の占有されていないプライマー配列5Aにハイブリダイズする。これに起因して、第1のナノ粒子は、図9eに示されるように、第2のナノ粒子22に連結される。この実施形態では、第1のナノ粒子3と第2のナノ粒子22との連結の程度が弱いほど、より多くのオリジナル12のコピーが増幅反応によって産生されており、これは、増幅反応の開始時のオリジナル12の濃度に依存する。緩衝液およびハイブリダイゼーション条件(例えば、温度、塩濃度、ナノ粒子濃度、さらなる緩衝液添加剤の濃度、pH)は、プライマー配列5Aの特異的延長の完了およびオリジナル12のコピーの合成の完了後に、プライマー配列5Aと第2のオリゴヌクレオチド23A’とのハイブリダイゼーションの抑制が可能な限り効率的であるように、選択される。同時に、これらの条件は、増幅が起こらなかった場合に、プライマー配列5Aと第2のオリゴヌクレオチド23A’との効率的なハイブリダイゼーションが創出されるように、選択される。ハイブリダイゼーションから生じる第1のナノ粒子3と第2のナノ粒子22との連結は、例えば、吸収スペクトルにおけるプラズモン共鳴のレッドシフトおよび広幅化によって、あるいは、ナノ粒子8の光熱励起およびナノ粒子連結DNAの生じた変性後の1つまたはいくつかの波長における透過変化を測定することによって、検証され得る。あるいは、この方法で産生されたオリジナル12のコピーの検証または定量は、例えば、PCR、リアルタイムPCR、定量リアルタイムPCR、ゲル電気泳動によって、または色素標識プローブを使用することによって、実施され得る。
図9に示される方法の実施形態では、金製で60nmの直径を有する第1のナノ粒子3が、図6における実施形態で既に示したように、オリゴヌクレオチド4で官能化されるが、図9におけるオリゴヌクレオチド4 ID1対オリゴヌクレオチド4 ID2の比は、1:9である。官能化および6回の洗浄工程後、第1のナノ粒子3は、PBS緩衝液(20mMのPBS、10mMのNaCl、0.01%のTween20、0.01%アジド、1mM EDTA、pH7.5)中に200pMの濃度で存在する。増幅反応は、200μlサンプルチューブ24中で10μlの総体積(5μlのDreamTaq PCR Mastermix 2×(fermentas)、0.1μlのNaCl 5M、0.1μlのMgCl 250mM、0.1μlのMgSO 250mM、1μlの官能化された第1のナノ粒子3 200pM、1μlリバースプライマーID6 500nM、100nMオリゴヌクレオチド4 ID4(ここで、オリゴヌクレオチド4 ID4は、例えば反応前のオリジナル12の貯蔵の間に、表面の飽和を提供する)を含む水中に溶解された1μlオリゴヌクレオチド4 ID3(増幅されるオリジナル12として。ここで、10μlの総体積中で決定されるオリジナル12の濃度は、例えば、0pMまたは10pMである)、1.7μl水)中で実施される。図7に示すように、サンプルチューブ24は、ウォーターバス26中でガラスキュベット25において54℃の温度に維持される。
ここでは、54℃は、アニーリング温度および伸長温度を構成する。ウォーターバス26は、温度制御に加えて、サンプルチューブ24の非平面表面中へとレーザー16をより良くカップリングさせる機能も果たす。ウォーターバス26中の水は、PCR反応混合物で満たされたサンプルチューブ24の外側と内側との間の屈折率における差異の低減を可能にし、従って、レーザービームの屈折ならびに焦点品質および鋭さに対する生じた負の影響の抑制を可能にする。それにより、有利なことに、レーザー16のカップリングが改善される。ナノ粒子8を励起する機能を果たすレーザー16は、ミラースキャナ18の背後のFシータレンズ(Jenoptik、焦点距離100mm)と共に、3Wのアウトプット出力でウォーターバス26中のサンプルチューブ24中に焦点を合わせた周波数倍増ダイオード励起Nd:YAgレーザー(Coherent Verdi V10)である。ミラースキャナ18は、図3に示したように、サンプルチューブ24を通じて行毎に焦点を移動させること、および従って、光熱増幅において反応体積2全体を含めることが可能である。1つのサンプルチューブ24当たり、およそ12μmの距離を有する400行が、サンプルチューブ24におけるおよそ2m/sの行速度で焦点を用いてスキャンされる。これは、第1のサンプルチューブ24における1サイクルに対応する。引き続き、全ての他のサンプルチューブ24が、次々にスキャンされ、その結果各サンプルチューブ24は1つのサイクルを経た。第1のサンプルチューブ24のスキャン後の40sの待機時間後、次のサイクルが開始され、これは、所定の数のサイクルに従って反復される。図10aにおいて左から右へと示される7つのサンプルチューブ24が試験される。第1および第2のサンプルチューブ24は、オリジナル12を全く含まない。第3から第7までのサンプルチューブ24中には、10pMのオリジナル12が、初期濃度として存在する。コントロールとして、第1および第3のサンプルチューブ24は、光熱処理されない。第4のサンプルチューブ24は5サイクルで光熱処理し、第5のサンプルチューブ24は15サイクルで光熱処理し、第6のサンプルチューブ24は25サイクルで光熱処理した。第2および第7のサンプルチューブ24を、35サイクルの最大数で光熱処理した。全てのサンプルチューブ24は、同じ量の時間にわたりウォーターバス26の内側にあり、光熱励起のみが異なっている。第2および第7のサンプルチューブ24が全35サイクルを完了した後、7つ全てのサンプルチューブ24がウォーターバス26から取り出される。この方法の1つの利点は、多大な努力なしに、異なるサンプル11が異なる数のサイクルで処理され得、これが、例えば平行定量PCRにおいて適用され得ることである。
試験プローブ21は、レーザーサイクルおよびオリジナル12の濃度の影響を決定する機能を果たし、この試験プローブ21は、選択されたプライマーおよびハイブリダイゼーション条件下で、好ましくは、プライマー配列5で官能化された第1のナノ粒子3にハイブリダイズし、これらのナノ粒子は、増幅反応において産生されたオリジナル12の相補的コピーによって遮断されない。これは、図9に示されるような試験プローブ21に対応する。試験プローブ21を産生するために、金製で60nmの直径を有する第2のナノ粒子22を、オリゴヌクレオチド4で官能化した(J.Hurst、上記に従う)。ここでは、4部のオリゴヌクレオチド4 ID2および1部のオリゴヌクレオチド4 ID7が使用される。官能化および6回の洗浄工程後、第2のナノ粒子22は、PBS緩衝液(20mMのPBS、10mMのNaCl、0.01%のTween20、0.01%アジド、1mMのEDTA、pH7、5)中に200pMの濃度で存在した。ハイブリダイゼーションのために、改変リン酸塩緩衝液を使用した(13mMのPBS、200mMのNaCl、0.02% Tween20、1mM EDTA、20mMクエン酸ナトリウム、1μg/mlのPVP10、pH7.5)。10μlハイブリダイゼーション溶液は、5.75μlの改変リン酸塩緩衝液、1.5μlホルムアミド、0.25μlの200pM試験プローブ溶液、および第1のナノ粒子3を含む光熱増幅反応の2.5μlの対応するPCR溶液を含む。第1のナノ粒子3と第2のナノ粒子22との間の連結の検出は、図8aに記載したように、ナノ粒子8の光熱励起によって生じる。図10aは、レーザーパルスおよび第1のナノ粒子と第2のナノ粒子22との間のDNAの生じた脱ハイブリダイゼーションによって引き起こされる透過の変化を示し、この透過変化は、サンプル11中の金−DNA−金結合の存在の測定である。図10aの左側のセクションAには、第1および第2のサンプルチューブ24が示され、これらは各々オリジナルを含まず、第1の単純なチューブ24は光熱サイクルを1回も完了しておらず、第2の単純なチューブ24は35の光熱サイクルを完了した。両方のサンプルチューブ24は、金−DNA−金結合の高い測定の指標として、高い測定された透過変化を示す。オリジナル12が存在しない場合、異なる数の完了したサイクルは従って、この場合、測定された透過変化に対しても金−DNA−金結合の測定に対しても影響を有さない。これは、増幅に利用可能なオリジナル12が存在せず、従って、オリジナル12のコピーによるプライマー配列5の遮断が起こり得ないからである。
図10aは、右側のセクションBに、10pMのオリジナル12の初期濃度で、増幅反応において漸増する数の光熱サイクルを用いる、第3から第7までのサンプルチューブ24を示す。ここで、金−DNA−金結合の指標として測定された透過変化は、完了した光熱サイクルの数の増加と共に、本質的に減少することが明らかである。これは、より多くのオリジナル12のコピーが産生されるほど、より多くのサイクルが完了されることを示す。ここでは、10pMのオリジナル12の初期濃度において、オリジナル12の2倍の量の第1のナノ粒子3がサンプル11中に存在することが注目に値する。各第1のナノ粒子3は典型的に、1000個から10000個の間のプライマー配列5を保有する。オリジナル12の初期濃度では、従って、2000個のプライマー配列5のうちおよそ1個が遮断され、このことは、第1のナノ粒子3と第2のナノ粒子22との間の金−DNA−金結合の顕著な抑制を導かない。図10aに示すように、漸増する数の光熱サイクルによる金−DNA−金結合の有効な抑制は、低い初期濃度のオリジナル12のかなりの増幅を介してのみ可能である。
図10bは、代替的検出法における増幅反応後のオリジナル12のコピーの濃度を示す。ここでは、図10aの7つのサンプルチューブ24からのサンプル11は、最初に水で50倍希釈され、引き続き、リアルタイムPCRが実施されて、オリジナルのコピーの定量的検出を可能にする。この目的を達成するために、リアルタイムPCR溶液が使用され、その10μlは、5μlの2×Phusion Blood PCR緩衝液(dNTPおよびMgClを含む。Biozym)、0.2μlのPhusion Bloodポリメラーゼ、1μlのSybrGreen I(10×;Roche)、1μlプライマーID5 5μM、および1μlプライマーID8 5μM、0.8μlのHOならびに1μlの50倍希釈したサンプル11を含む。リアルタイムPCRのために、最初に、98℃における変性が1分間実施され、引き続き、各々98℃で1秒間、66℃で5秒間および72℃で1秒間からなる40サイクルが完了される。SybrGreen Iの蛍光が、66℃における各アニーリング期の最後に測定される。リアルタイムPCRのために、Agilent TechnologiesのStratagene Mx3005Pを使用した。図10b中のy軸上に、オリジナルのコピーが初めて所定の濃度に達した、リアルタイムPCRの閾値サイクル(Ct値)が示される。リアルタイムPCRの開始時のオリジナル12のコピーの濃度が高いほど、閾値サイクルは小さくなる。図10b中の結果は、図10aからの結果を確認する。オリジナル12の所与の初期濃度において完了する光熱サイクルが多いほど、増幅反応後のオリジナル12のコピーの数は大きくなる。
好ましくは、光熱変性では、非熱安定性DNAポリメラーゼ10を使用することも可能であるように、サンプル11の小さい部分体積だけが加熱される。1つの実施形態では、熱安定性でないKlenowフラグメント29が、DNAポリメラーゼとして使用される。Klenowフラグメント29は、増幅反応における耐塩性がより高いという利点を有する。それにより、好ましくはより良い反応条件が、第1のナノ粒子3および第2のナノ粒子22を用いた検出反応において選択され得、検出反応のより良い特異性および感度を導き得る。これに加えて、Klenowフラグメント29は、76kDAにおいて、典型的に使用される95kDAのTaq DNAポリメラーゼよりも小さいという利点を提供する。従って、オリゴヌクレオチド4で官能化されたナノ粒子8にごく接近して、Klenowフラグメント29は、Taq DNAポリメラーゼ10よりも少ない立体障害を受ける。さらに、Klenowフラグメント29は、その最適な伸長温度が37℃であるという利点を有する。37℃における伸長は、より小さい熱負荷がナノ粒子8に対して発揮される、従って、ナノ粒子8の安定性に関するより低い要件が必要であるという利点を有する。同時に、潜在的にナノ粒子を不安定化する塩の使用においてより高い柔軟性が存在する。Klenowフラグメント29が増幅に使用されるこの実施形態では、金製で60nmの直径を有する第1のナノ粒子3が、図1で使用した方法と同様に、最初に官能化される。ここで、より短いプライマー配列5 ID9が使用され、より低いアニーリング温度およびより高い塩濃度と同様、オリジナル12とのハイブリダイゼーションにおけるより高い特異性が達成され得る。オリゴヌクレオチド4 ID9対オリゴヌクレオチド4 ID2の比は、1:9になる。官能化および6回の洗浄工程後、第1のナノ粒子3は、PBS緩衝液(20mMのPBS、10mMのNaCl、0.01%のTween20、0.01%アジド、1mMのEDTA、pH7.5)中に200pMの濃度で存在する。増幅反応は、100μlサンプルチューブ中で10μlのPCR混合物(Klenowフラグメントエキソ−について1μlの10×反応緩衝液(dNTPもポリメラーゼも含まない。fermentas)、0.2μlのKlenowフラグメントエキソ−(fermentas)、1μlのdNTP、各2.5mM(fermentas)、0.2μlのNaCL 5M、0.2μlのMgCl2 250mM、0.2μlのMgSO4 250mM、1μlの200pMの濃度の第1のナノ粒子3、1μlリバースプライマーID6 500nM、オリジナル12として1μlオリゴヌクレオチドID3(ここで、オリジナル12は、例えば0pM、10pMまたは20pMの濃度でPCR混合物中に存在する)、4.2μl水)で実施される。ここで使用される塩の量は、図10からの実施例におけるよりも顕著に高い。図10からのDNAポリメラーゼ10を用いる場合、十分な増幅はこれらの塩濃度では不可能である。図7に示すように、サンプルチューブ24は、ウォーターバス26中でガラスキュベット25において37℃に温度制御される。37℃の温度は、ここでは、アニーリング温度および伸長温度である。レーザー16は、第1のナノ粒子3を励起するように機能し、ミラースキャナ18(Cambridge Technologies、Pro Series 1)の背後のFシータレンズ(Jenoptik、焦点距離100mm)と共に、1.5Wのアウトプット出力で、ウォーターバス26中のサンプルチューブ24中に焦点を合わせた周波数倍増ダイオード励起Nd:YAgレーザー(coherent Verdi V10)である。ミラースキャナ18は、図3に既に示したように、サンプルチューブ24を通じて行毎に焦点を移動させること、および従って、光熱増幅において反応体積2全体を含めることが可能である。1つのサンプルチューブ24当たり、1000行が、サンプルチューブ24におけるおよそ5m/sの行速度で、およそ5μmの距離における焦点を用いてスキャンされる。これは、第1のサンプルチューブ24における1サイクルに対応する。引き続き、全ての他のサンプルチューブ24が、次々にスキャンされ、その結果各サンプルチューブ24は1つのサイクルを経た。第1のサンプルチューブ24のスキャン後の40sの待機時間後、次のサイクルが開始され、これは、各サンプルチューブ24が合計で35サイクルを完了するまで、反復される。図11中で左から右に、最初の3つのサンプルチューブ24は、Klenowフラグメント29およびdNTPを含む上記PCR混合物を受けた。4から6までのサンプルチューブ24は、Klenowフラグメント29を含むがdNTPを含まず、7から9までのサンプルチューブ24は、dNTPを含むがKlenowフラグメント29を含まない。図11の略図の下の行に示すように、1、4および7のサンプルチューブ24はオリジナル12を含まず、2、5および8は10pMのオリジナル12を含み、3、6および9は20pMのオリジナル12を含む。全てのサンプルチューブ24が35サイクルを完了した後、これらはウォーターバス26から取り出される。図9のうち1つに対応する試験プローブ21が、増幅反応の分析において使用される。試験プローブ21とのハイブリダイゼーションのために、改変リン酸塩緩衝液が使用される(13mMのPBS、200mMのNaCl、0.02%のTween20、1mMのEDTA、20mMクエン酸ナトリウム、1μg/mlのPVP10、pH7.5)。10μlハイブリダイゼーション溶液は、3.35μlの改変リン酸塩緩衝液、3.3μlホルムアミド、0.6μlのNaCl 5M、0.25μlの200pM試験プローブ溶液、および増幅後の対応する2.5μlのPCR溶液)を含む。第1のナノ粒子3と試験プローブ21との連結の検証は、ナノ粒子8の光熱励起によって実施される。図11は、レーザーパルスおよびナノ粒子8間のDNAの生じた脱ハイブリダイゼーションによって発生され、溶液中の金−DNA−金結合の存在の測定である、透過変化を示す。反応前のオリジナル12の濃度は略図の下に示される。図11の左側のセクションAでは、PCRに必要な成分Klenowフラグメント29およびdNTPを含む、1〜3のサンプルチューブ24についての結果が示される。ここでは、漸増量のオリジナル12のコピーを用いると、金−DNA−金結合の測定のための指標として測定される透過変化が減少することが明らかである。非熱安定性Klenowフラグメント29は、この実施形態では高温を許容しないものの、オリジナル12の増幅を実施できる。本発明の光熱増幅反応では、サンプル11は局所的にのみ加熱されるので、Klenowフラグメント29は、僅かな熱負荷のみを受け、破壊されることなしに多くのサイクルにわたってオリジナル12を増幅できる。図11の中央のセクションBでは、dNTPを含まない4〜6のサンプルチューブ24の結果が示される。ここで、顕著な透過変化は、使用されるオリジナル12のいずれの濃度でも検出不能である。これは、増幅が起こらなかったことを意味する。図11の右側のセクションCには、Klenowフラグメント29を含まない7〜9のサンプルチューブ24の結果が示される。ここでも再び、増幅は起こらなかった。この実施例は、非熱安定性Klenowフラグメント29もまた、増幅反応を実施する際に使用され得ることを示している。
図12に示す実施形態では、反応体積2を通るレーザービームの移動に依存する光熱増幅が示される。ここでは、0、1、5、20および50pMの濃度のオリジナルが、図12中の略図の下の行に示されるように、100μlサンプルチューブ24において選択される。図7に示すように、サンプルチューブ24は、ウォーターバス26中でガラスキュベット25において60℃に温度制御され、ここで、60℃は、アニーリング温度および伸長温度である。光熱加熱は、ミラースキャナ18(Cambridge Technologies、Pro Series 1)の背後のFシータレンズ(Jenoptik、焦点距離100mm)と共に、3Wのアウトプット出力で、ウォーターバス26中のサンプルチューブ24中に焦点を合わせた周波数倍増ダイオード励起Nd:YAgレーザー(coherent Verdi V10)からなるレーザー16によって創出される。図12は、左側のセクションAに、1秒間にわたり各々光熱励起された漸増濃度のオリジナル12を含む5つのサンプルチューブ24を示し、ここで、レーザー焦点は、移動なしに反応体積2の中央にあった。第1のサンプルチューブ24が1秒間にわたりこの様式で照射された後、40sにわたり照射されない。これは、第1のサンプルチューブ24における1サイクルに対応する。40sの待機時間の間、残りのサンプルチューブ24は第1のサイクルを完了する。これらのサイクルは、合計で35回反復される。プライマー配列5を含むナノ粒子8と試験プローブ21との間のハイブリダイゼーションの検出は、図10に既に示したように、ナノ粒子8の光熱励起によって実施される。図12の左側のセクションAに示されるように、レーザー焦点の移動なしの場合、透過変化に対するオリジナル12の濃度の影響は観察できない。これは、オリジナル12の顕著な増幅が起きなかったことを示している。その理由は、反応体積2全体の小さい画分のみに焦点があっており、この部分体積中のナノ粒子8のみが反応に関与しているからである。図12の右側のセクションBでは、左から右に漸増濃度のオリジナル12を含む5つのサンプルチューブ24が示され、これらのサンプルチューブ24は各々1秒間励起され、さらに、レーザー焦点を、反応体積2を通して移動させた。この方法では、図3に既に示したように、反応体積2全体は行毎にスキャンされ、従って、光熱反応に関与する。各サンプルチューブ24において、およそ5μmの距離において、1000行が、サンプルチューブ24におけるおよそ5m/sの行速度で、焦点を用いてスキャンされる。これは、第1のサンプルチューブ24における1サイクルに対応する。引き続き、5つ全ての各サンプルチューブ24がスキャンされるまで、次のサンプルチューブ24が次々にスキャンされる。第1のサンプルチューブ24のスキャンから測定して40sの待機時間後、次のサイクルが開始され、これは35回反復される。図12の右側のセクションBから、漸増濃度のオリジナル12を用いると、測定される透過変化が減少することが明らかである。これは、金−DNA−金結合の減少する測定を示す。焦点の移動のみを通じて、かつ未変化のレーザー出力および照射の持続時間において、焦点の移動が増幅反応においてサンプル11中のナノ粒子8の大部分を含む場合に、増幅が生じる。
図13では、本発明による方法を実施するための機器が示され、ここで、光源17は、任意選択的な第1の対物レンズ30を介してミラーなどの屈折要素32に対して光ビームを方向付け、任意選択的な第2の対物レンズ31を介してサンプルチューブ24上に光ビームを方向付ける。ここでは、サンプルチューブ24は、ユニット33を旋回させることによって、異なるサンプルチューブ24に異なる時点において光が当たり得るように、さらなるサンプルチューブ24と一緒に回転可能ユニット33上に取り付けられる。従って、有利なことに、低出力の光源17を用いた場合であっても、サンプルチューブ24中に存在するナノ粒子8の多数を励起することが達成可能である。
図14は、その表面上に充填用分子9およびオリゴヌクレオチド4を含む、本発明によるナノ粒子8の一区画を示す。従来のDNAポリメラーゼ10は、オリゴヌクレオチド4に沿って相補鎖(破線)を合成する。この間、大きい従来のDNAポリメラーゼ10は、図14aにおいて充填用分子を介した立体障害を受ける。図14bでは、DNAポリメラーゼ10は、隣接するオリゴヌクレオチド4による立体障害を受ける。図14aおよび14b中の立体障害は各々、新たに合成された鎖の未成熟鎖破壊をもたらし得る。図14c中のKlenowフラグメント29は、従来のDNAポリメラーゼ10よりも小さいので、充填用分子9とオリゴヌクレオチド4との間を通って到達でき、従って、新たな鎖の合成を最後まで完了させることができる。Klenowフラグメント29が充填用分子を通って到達できない場合であっても、Klenowフラグメント29はなお、その活性中心で、立体的に障害する充填用分子9に近づくことができ、従って、新たに合成された鎖の潜在的な鎖破壊は、後にのみ起こる。従って、より小さいポリメラーゼは、粒子表面に近接したプライマー配列のより効率的な使用を可能にする。さらに、ナノ粒子表面にごく接近して局所的に発生された熱は、変性工程のために特に効率的に使用され得る。これに加えて、配列A’を有するカウンター配列34が示される。カウンター配列34は、ナノ粒子8上の配列Aを有するオリゴヌクレオチド4に対して相補的であり、オリゴヌクレオチド4が遊離プライマー7として機能できないように、ナノ粒子8から意図せず脱離する配列Aを有するオリゴヌクレオチド4を中和する機能を果たす。
図15中の実施形態では、ナノ粒子オリゴヌクレオチド−コンジュゲートを使用する光熱増幅が示され、ここで、第1のナノ粒子3とプライマー配列5との間の共有結合は、2つのチオールを用いて実施される。この目的を達成するために、金製で60nmの直径を有する第1のナノ粒子3が、オリゴヌクレオチド4で官能化される(J.Hurst、上記に従う)。ここでは、オリゴヌクレオチドID1と比較して、その5’末端にチオールの代わりにジチオールを保有するオリゴヌクレオチド4 ID10(IDT Technologies,Inc.)が使用される。官能化および6回の洗浄工程後、第1のナノ粒子3は、PBS緩衝液(20mMのPBS、10mMのNaCl、0.01%のTween20、0.01%アジド、1mMのEDTA、pH7.5)中に200pMの濃度で存在する。増幅反応は、200μlサンプルチューブ24中で10μlの総体積(それぞれ0または200pMの濃度で溶解された5μlのDreamTaq PCR Mastermix 2×(fermentas)、0.1μlのNaCl 5M、0.1μlのMgCl 250mM、0.1μlのMgSO 250mM、1μlの官能化された第1のナノ粒子200pM、1μlリバースプライマーID6 500nM、100nMオリゴヌクレオチド4 ID4(ここで、例えば反応前のオリジナル12の貯蔵の間などに、オリゴヌクレオチド4 ID4は表面を飽和させる働きをする)を含む水中に1μlオリゴヌクレオチド4 ID3(増幅されるオリジナル12として)、1.7μl水)中で実施される。図7に示すように、サンプルチューブ24は、ウォーターバス26中でガラスキュベット25において60℃に温度制御され、この温度は、アニーリング温度および伸長温度である。最初の2つのサンプルチューブ24は、陰性コントロールとしてウォーターバス中に挿入され、レーザービームが当てられない。オリジナル12の初期濃度は、第1のサンプルチューブ24において0pMおよび第2のサンプルチューブ24において20pMになるように選択される。第3および第4のサンプルチューブは光熱処理される。光熱加熱は、ミラースキャナ18(Cambridge Technologies、Pro Series 1)の背後のFシータレンズ(Jenoptik、焦点距離100mm)と共に、3Wのアウトプット出力で、ウォーターバス26中のサンプルチューブ24中に焦点を合わせた周波数倍増ダイオード励起Nd:YAgレーザー(Coherent Verdi V10)からなるレーザー16によって実施される。各サンプルチューブ24について、500行が、サンプルチューブにおけるおよそ5m/sの行速度で、およそ10μmの距離における焦点を用いてスキャンされる。これは、第3のサンプルチューブ24における1サイクルに対応する。引き続き、第4のサンプルチューブ24がスキャンされ、その結果第3および第4のサンプルチューブは1サイクルを完了した。第3のサンプルチューブ24のスキャン後の40sの待機時間後、次のサイクルが開始され、これは、第3および第4のサンプルチューブ24が各々35サイクルを完了するまで、反復される。オリジナル12の初期濃度として、第3のサンプルチューブ24について0pMを選択し、第4のサンプルチューブ24について20pMを選択する。第3および第4のサンプルチューブが35サイクルを完了した後、4つ全てのサンプルチューブ24がウォーターバス26から取り出される。試験プローブ21は、レーザーサイクルおよびオリジナル12の濃度の影響を試験するように機能し、この試験プローブ21は、好ましくは、選択されたプライマーおよびハイブリダイゼーション条件下で、プライマー配列5で官能化された第1のナノ粒子3にハイブリダイズでき、この第1のナノ粒子3は、増幅反応で産生されたオリジナル12の相補的コピーによって遮断されない。これは、図9に示すような試験プローブ21に対応する。試験プローブ21の産生およびハイブリダイゼーション条件は、図10に既に記載した。図15中の略図は、試験プローブ21を含むハイブリダイゼーション溶液の吸収スペクトルおよび第1のナノ粒子3を含む光熱増幅反応からの対応するPCR溶液の吸収スペクトルを示す。これらの吸収スペクトルは、Varian Cary 50分光計において3mmの光路を有する石英キュベットにおいて記録した。これらの略図では、実線は、試験プローブ21と共に第1のナノ粒子3を含む、PCR溶液および光熱増幅反応の混合の直後の吸収スペクトルを示す。破線は、ハイブリダイゼーションの6分後に記録され、点線は12分間のハイブリダイゼーション後に記録される。図15aでは、試験プローブ21と、増幅反応前にオリジナル12を含まず光熱処理を受けていない第1のサンプルチューブ由来のPCR産物のナノ粒子8との間のハイブリダイゼーションの間のスペクトルが示される。試験プローブ21とプライマー配列5との間のハイブリダイゼーションが第1のナノ粒子3上で起こるので、ナノ粒子3のプラズモン共鳴の明確なレッドシフトおよび広幅化が、ハイブリダイゼーション時間の増加と共に見られる。相当するハイブリダイゼーションは図15bにおいても見ることができ、この図は、試験プローブ21と、増幅反応前に20pMのオリジナル12を含み光熱処理を受けなかった第2のサンプルチューブ由来のPCR産物のナノ粒子8とのハイブリダイゼーションを示す。相当するハイブリダイゼーションは図15cにおいても見ることができ、この図は、試験プローブ21と、増幅反応前にオリジナル12を含まないが光熱処理を受けた第3のサンプルチューブ由来のPCR産物のナノ粒子8とのハイブリダイゼーションを示す。図15c中のハイブリダイゼーションは、プライマー配列5が光熱処理後に第1のナノ粒子3に結合したままであることを示している。試験プローブ21と、増幅反応前に20pMのオリジナル12を含み光熱処理を受けた第4のサンプルチューブ由来のPCR産物のナノ粒子8とのハイブリダイゼーションを示す図15d中でのみ、ハイブリダイゼーション時間が増加しても、吸収スペクトルの変化はほとんど何も見られない。後者の場合のみ、オリジナル12の十分な数のコピーが増幅反応の間に産生され、これらのコピーは、第1のナノ粒子3上のプライマー配列5を今度は遮断し、従って、試験プローブ21とのハイブリダイゼーションを防止する。この実施例は、プライマー配列5が第1のナノ粒子3の表面上のジチオールに共有結合している場合に光熱増幅反応もまた機能すること、およびオリジナル12のコピーの濃度の検出のための吸収スペクトルが増幅反応後に使用され得ることを示している。
本明細書、特許請求の範囲および図面に開示される特徴は、その種々の実施形態における本発明の実現のために、個々におよび任意の組み合わせで適切なものであり得る。
1 核酸
2 反応体積
3 第1のナノ粒子
4 オリゴヌクレオチド
5 プライマー配列
6 スペーサー配列
7 プライマー
8 ナノ粒子
9 充填用分子
10 DNAポリメラーゼ
11 サンプル
12 オリジナル
13 相補体
14 フォワードプライマー
15 リバースプライマー
16 レーザー
17 光源
18 ミラースキャナ
19 ミラー
20 第1のオリゴヌクレオチド
21 試験プローブ
22 第2のナノ粒子
23 第2のオリゴヌクレオチド
24 サンプルチューブ
25 ガラスキュベット
26 ウォーターバス
27 第1のレーザー
28 第2のレーザー
29 Klenowフラグメント
30 第1の対物レンズ
31 第2の対物レンズ
32 屈折要素
33 回転可能ユニット
34 カウンター配列
35 光ダイオード

Claims (15)

  1. 反応体積(2)中のナノ粒子(8)が励起を介してその周囲に熱を転移させる、核酸(1)の増幅のための方法であって、前記ナノ粒子(8)の励起を介して、前記ナノ粒子(8)の前記周囲が局所的に加熱され、前記励起の間隔が、臨界励起時間t1=(s1*|x|)/D(式中、s1=100であり、Dが、前記ナノ粒子(8)間の媒体の熱拡散率である)以下になるように選択される方法。
  2. 前記核酸(1)がポリメラーゼ連鎖反応によって増幅される請求項1に記載の方法。
  3. 前記ナノ粒子(8)がレーザー(16)によって励起される請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記ナノ粒子(8)がオリゴヌクレオチド(4)とコンジュゲートされる請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. ナノ粒子(8)とオリゴヌクレオチド(4)との1つの種類のコンジュゲートが、フォワードプライマー(14)およびリバースプライマー(15)とコンジュゲートされる請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記方法において、前記オリゴヌクレオチド(4)が以前に付着していた前記ナノ粒子(8)から脱離した、前記オリゴヌクレオチド(4)に結合することができるカウンター配列(34)が使用される請求項4または5に記載の方法。
  7. 充填用分子(9)が前記ナノ粒子(8)に付着される請求項4〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記ナノ粒子(8)上の前記オリゴヌクレオチド(4)が、部分配列としてスペーサー配列(6)を含む請求項4〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記ナノ粒子(8)の励起により前記ナノ粒子(8)の前記周囲に転移される熱が、前記オリゴヌクレオチド(4)にハイブリダイズした核酸(1)から、前記ナノ粒子(8)の表面上の前記オリゴヌクレオチド(4)を脱ハイブリダイズするために十分である請求項4〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記方法が、全体的加熱工程を含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. アニーリング温度が伸長温度と等しい請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記方法の間の任意の1つの時点において、前記ナノ粒子(8)の一部のみが励起によって加熱される請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. サンプル(11)の異なる部分体積中のナノ粒子(8)が異なる時点において励起されるように、励起場に対して方向付けられた前記サンプル(11)の移動が起こる請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記方法において、熱不安定性DNAポリメラーゼ(11)が使用される請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記増幅反応の産物の濃度が、試験プローブ(21)を使用して決定される請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
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