JP2015508178A - 臨界角光センサ装置 - Google Patents

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Abstract

光センサ装置は、平坦な第1の面、第2の面、および第3の面を有する光学的に透過性の構造体と、構造体の外側に、第1の面に隣接して配置された光源と、プリズムの外側に、第1の面に隣接して配置された光検出器アレイとを含む。プリズムと、構造体の外側に、第2の面に近接して配置されたサンプルと、の間の光境界面で全反射した光源からの光が、第3の面で反射し、サンプルの屈折率に依存して光検出器アレイの一部分に入射するように、構造体、光源、および光検出器アレイが構成される。全反射した各光源からの光が、サンプルの異なる屈折率範囲に対応しかつ光検出器アレイの対応する部分にマッピングされるように、光源が、構造体および光検出器アレイに対して配置される。

Description

本発明の実施形態は、光センサに関し、より具体的には、光学材料とサンプルとの間の境界面における全反射を感知することによって、サンプルの屈折率を測定する光センサに関する。
当技術分野では、媒質の屈折率を求めるために臨界角を測定することの基礎となる物理学上の原理が周知であるため、臨界角を用いてサンプルの屈折率を測定するシステムが周知である。屈折率の高い媒質から届いた光が、その屈折率の高い媒質と、屈折率がより低い別の媒質との間の境界面で、臨界入射角よりも大きい入射角で入射すると、全反射を観察することができる。臨界角は、両媒質の屈折率の関数である。しかし、一方の媒質の屈折率が既知の場合、他方の屈折率は、臨界角θcの測定値から、以下の周知の式を用いて求めることができる。
Figure 2015508178
式中、n1は、屈折率が高い媒質の屈折率であり、n2は、屈折率が低い媒質の屈折率である。慣例的に、入射臨界角は、2つの媒質間の境界面に垂直な線に対して測定する。
米国特許第6,097,479号には、臨界角の測定を行うためのセンサが記載されており、このセンサでは、光源と光検出器アレイとが、屈折率の高い媒質として働く光透過性ハウジング内に封入されている。このハウジングは、一面がサンプルと接触しているプリズムを成し、このサンプルは、屈折率の低い媒質として働く。光源からの光は、サンプルとプリズムとの間の境界面に、ある入射角範囲にわたって入射する。臨界角よりも大きい角度でこの境界面に入射した光の部分は全反射し、光検出器アレイによって検出される。したがって、臨界角に依存して、光検出器アレイの異なる部分が全反射した光によって照明されることになり、臨界角は、プリズムの屈折率と、サンプルの屈折率とに依存する。光検出器アレイの照明パターンを分析すると、サンプルの屈折率を求めることができる。
米国特許第6,097,479号
上記に鑑みて、本発明の実施形態を考案するものである。
本発明の教示は、以下の詳細な説明を添付の図面と併せて考慮することによって容易に理解することができる。
本発明の一実施形態による光センサ装置の概略3次元図である。 本発明の一実施形態による光センサ装置の概略側面図である。 本発明の一実施形態による光センサ装置の光検出器アレイ信号を示す3次元グラフである。 本発明の他の実施形態による光センサ装置を示す概略側面図である。 本発明の別の実施形態による光センサ装置を示す概略側面図である。
以下の詳細な説明には、数多くの具体的な詳細が例示の目的で含まれているが、当業者であれば、以下の詳細に対する数多くの変形および変更が本発明の範囲内に含まれることが理解されよう。したがって、以下で説明する本発明の例示的な実施形態は、特許請求する本発明に対していかなる一般性も失うことなく、かつ制約を課すこともなく記載されているものである。
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を成す添付の図面を参照するが、これらの図面には、本発明を実施することができる具体的な実施形態が例によって示されている。この点に関して、「頂部」、「底部」、「正面」、「背面」、「前部」、「後部」などの方向を示す用語は、時には説明している図の向きに関して使用することがある。本発明の実施形態の構成要素は、いくつかの異なる向きに配置することができるので、方向を示す上記の用語は例示の目的で使用するものであり、決して限定するものではない。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態も使用することができ、また、構造上の、または論理上の変更を行うことができることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で取るべきではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定されるものである。
(用語解説)
本明細書では、以下の用語は、以下の意味を有する。
「熱膨張係数(Coefficient of Thermal Expansion)」とは、温度変化に伴う材料の1つまたは複数の物理的寸法の変動を定量化する材料特性を指す。
「CTEが整合した」とは、同様の熱膨張係数(CTE)を有する材料を指す。本願の目的にあっては、2つの材料の熱膨張係数が互いに約2倍以内であれば、それら2つの材料はCTEが整合していると言うことができる。
「分散(または光分散)」とは、波が材料中を進む際に、波の速度はその周波数に依存するため、波が異なる周波数のスペクトル成分に分離する現象を指す。光学では、この現象は、材料の屈折率は光の真空波長に依存する、と言い表すことができる。
「屈折率」とは、真空(または他の基準媒質)中の光の速度の、材料中の光の速度に対する比率として一般に定義される、材料の光学特性を指す。
「赤外放射」とは、約700ナノメートル(nm)から約100,000nmの間の真空波長を特徴とする電磁放射を指す。
「光」とは、赤外から紫外にわたる周波数範囲の電磁放射を一般に指し、これは約1ナノメートル(10-9メートル)から約100ミクロンの真空波長範囲に概ね対応する。
「サファイア」とは、酸化アルミニウム(Al2O3)の異方性菱面体晶形を一般に指す。
「全反射」とは、所与の媒質内の電磁放射が、屈折率がより低い媒質との境界面で、臨界角よりも大きい角度で入射すると、その境界から完全に反射する現象を指す。慣例的に、入射臨界角は、2つの媒質間の境界面に垂直な線に対して測定する。入射角を境界面に対して接線方向の線に対して測定する場合は、全反射は、臨界角未満の入射角で生じることになる。
「紫外(UV)放射」とは、可視域の真空波長よりも短いが、軟X線の真空波長よりも長い真空波長を特徴とする電磁放射を指す。紫外放射は、以下の波長範囲、すなわち約380nmから約200nmの近紫外、約200nmから約10nmの遠紫外または真空紫外(FUVまたはVUV)、および約1nmから約31nmの極紫外(EUVまたはXUV)に細分することができる。
「真空波長」とは、所与の周波数の電磁放射が、真空中を伝播する場合に有するであろう波長を指し、真空中の光の速度を周波数で割ることによって得られる。
「可視光」とは、赤外放射の真空波長よりも短いが、紫外放射の真空波長よりも長い真空波長を特徴とする電磁放射を指し、この可視域は一般に、約400nmから約700nmであるとみなされる。
[はじめに]
臨界角測定に基づく、従来技術による数多くの屈折率センサでは、光源と光検出器アレイとが、プリズムを形成している材料、例えば透明なエポキシ樹脂内に封入されている。従来技術による屈折率センサの一欠点は、こうしたセンサは通常、屈折率の測定に用いる1つの波長光を供給する光源を1つだけ用いているという点である。これには、いくつかの不利益がある。第1に、単一の光源によって入射角範囲が制限されることになり、したがって測定できる屈折率範囲が制限されることになる。第2に、単一の光源によって、センサの分解能が制限されるおそれがある。
従来技術による屈折率センサの別の欠点は、光源と光検出器アレイとが、一体設計でプリズムと組み合わされている点であり、この設計では、光源と光検出器アレイとの両方が光学用エポキシ樹脂に封入されている。エポキシ樹脂による封入を使用した設計では、約85℃の温度で開始するエポキシ樹脂の劣化の影響を受けるため、測定できるプロセスの範囲が限定されることになる。ある既存のセンサ設計には、多くの流体または化学物質と化学的に適合性のない、屈折率が整合したプラスチックプリズムが使用されている。かかる設計では、測定境界面に化学的に適合性のある材料を介在させる必要がある。さらに、プラスチックプリズムでは、短波長光の使用が排除される。
サンプルとの境界面がしばしばプリズムの一面ではなく、代わりにガラスまたは他の光学的に密な材料で作製された「窓」であることから、別の不利益が生じる。こうした窓は、プリズムの面の1つに接着される。しかし、従来技術による屈折率センサのプリズムに使用される光学用エポキシ樹脂と、窓に使用される典型的な材料(例えばホウケイ酸ガラス)との間には、熱膨脹係数(CTE)に著しい不整合がある。例えば、典型的な光学用エポキシ樹脂は、CTEが摂氏1度当たり約百万分の50(50ppm/℃)である。ホウケイ酸ガラスは、CTEが約7ppm/℃であり、これはエポキシ樹脂の約1/7である。通常の光学グレードのホウケイ酸ガラスは、商品名Schott BK-7として市販されている。
窓と光学用エポキシ樹脂との間でCTEが不整合であるため、サンプルとしている流体が室温よりも大幅に高い温度、または大幅に低い温度である場合に、問題が生じるおそれがある。
本発明の実施形態によれば、光センサ装置は、従来技術による屈折率センサのこうした不利益を克服する特徴を含むことができる。
[光センサ装置]
本発明の一実施形態によれば、新しい設計の光センサ装置は、精密に機械加工された単一体の光学的に透明な材料で作製された光導波路構造体を使用し、この構造体は、測定境界面と、光源および光検出器アレイとの境界面と、を同時に形成する。
精密に機械加工された光学的に透明な材料で作製された導光構造体を使用することによって、プラスチックプリズムで可能な波長範囲よりも広い波長範囲を使用することが可能となる。精密に機械加工された光学的に透明な固体材料によって、反射材料を導光構造体に直接載置することが可能となり、プリズム上にミラーを機械的に配置する必要がなくなる。これによって、設計の複雑さが低減し、光信号が向上する。
波長が共通の2つの光源(例えば黄色LED)によって、従来技術による屈折率センサ設計に比べて、測定できる屈折率範囲が大幅に拡大される。波長が共通の2つの光源からの光は、屈折率範囲の中央で重なり、それによって信号対雑音比が増大する。
図1Aおよび図1Bは、本発明の一実施形態による光センサ装置100の例を示している。光センサ装置100は、反射式幾何配置(reflection geometry)に基づく。装置100は一般に、ホウケイ酸ガラスまたはサファイアなどの光学的に密な材料で作製された導光構造体102を含む。あるいは、導光構造体102は、石英、ダイアモンド、非ドープイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)、炭酸カルシウム、または光学的に透明な他の任意の材料で作製されたものでよい。この導光構造体は、少なくとも3つの面F1、F2、およびF3を有する。導光構造体102は、適切な任意の手段、例えば機械的装着、エポキシ樹脂、融着などによって、プリント回路基板104に取り付けることができる。2つ以上の光源106A、106B、106C、106Dと、光検出器アレイ108とが、プリント回路基板104に取り付けられている。限定するものではないが、例として、各光源は、発光ダイオード(LED)でよい。光源の非限定的な他の例として、固体レーザ、および半導体レーザが含まれる。限定するものではないが、例として、導光構造体102は、図1Aおよび図1Bに示すように、光学的に透過性の媒質または材料で作製されたプリズムの形態でよい。しかし、本発明の実施形態は、所望の導光機能を実現するために、プリズムを利用したものに限られるわけではない。他の幾何形状および構成要素を用いて、センサ装置100の所望の反射式幾何配置を実現してもよい。
光検出器アレイ108は一般に、感光素子の任意のアレイによって信号を生成することができる位置感知検出器であり、これらの信号は、そのアレイの異なる部分における受光量に依存して変動する。信号は、アナログ電気信号でも、デジタル電気信号でもよい。限定するものではないが、例として、光検出器アレイは、フォトダイオードアレイでよい。あるいは、電荷結合素子のアレイ、フォトレジスタのアレイ、および他の種類の感光素子のアレイを光検出器アレイにおいて使用してもよい。一般に、アレイ内の各感光素子は、その素子における放射照度(単位面積当たりの光強度)に対応する信号を供給することができる。したがって、各感光素子は、例えば図2に示すように、対応する「画素(pixel)」についての放射照度信号を供給する。任意選択によるメモリ110、例えば集積回路の形のメモリを光検出器アレイ108に結合して、光検出器アレイによって生成された画素信号を一時的に記憶しておくことができる。限定するものではないが、例として、メモリ110は、フラッシュメモリ、または電気的消去可能プログラマブル読出し専用メモリ(EEPROM)でよい。
図1Bから分かるように、光源からの光は、ある角度範囲にわたって発せられる。光源から発せられた光は、第1の面F1を通過する。第1の面F1を通過した光の少なくとも幾分かは、第2の面F2に近接した、サンプル111との境界面で全反射する。第1の面F1は、反射防止(AR)コーティングでコーティングしてもよい。境界面で全反射した光は、本明細書では「全反射光」と称することがある。図1Aに示す例では、窓112が第2の面F2に取り付けられ、境界面は、この窓の、サンプルと接触している面である。窓112は任意選択であることに留意されたい。図1Bに示す例のように窓を省略する場合、サンプル111との境界面113は、第2の面F2に位置することになり得る。
サンプルとの境界面からの全反射光は、第3の面F3で反射し、第1の面F1に戻ってそこを通過し、光検出器アレイ108に達する。したがって、プリズム102は、光源106A、106B、106C、106Dそれぞれからの光錐の幾分かを光検出器アレイ108上にマッピングする。サンプルの屈折率と、光源間のずれとによって、各光錐のどの部分がサンプルとの境界面で全反射することになるのかが決まる。
いくつかの実施形態では、プリズム102の材料は、全反射が第3の面F3で生じるように選択することができる。あるいは、第3の面F3を金属または誘電性反射コーティングでコーティングして、プリズム102内部から第3の面F3に入射した光を反射しやすくしてもよい。
屈折率を計算しやすいように、装置100は、光検出器アレイ108および/またはメモリ110に結合されたプロセッサ114をさらに含むことができる。プロセッサ114はまた、光源106A、106B、106C、106Dに結合し、どの光源をオンにし、どの光源をオフにするのか選択的に制御するように構成することもできる。プロセッサ114は、例えば、適切な実行可能命令115を用いてプログラミングすることによって、光検出器アレイによって測定された放射照度パターンを分析し、サンプルとの境界面における臨界角、および対応する屈折率を求めるように構成することができる。具体的には、このプロセッサは、放射照度パターンを分析して、サンプル111との境界面で、臨界角で反射した光を示す表示特徴部(telltale feature)の画素位置をそのパターン内で求めることができる。次いで、表示特徴部の画素位置を、装置100の構成要素の既知の幾何形状および材料特性からの第一原理的分析によって、または屈折率が既知の1つまたは複数の材料の測定値を用いた単純な較正からの分析によって、屈折率と相関させることができる。
臨界角は、放射照度パターンから以下のようにして求めることができる。臨界角未満の入射角では、幾分かの光は、サンプル111との境界面でサンプル内に屈折することになり、幾分かの光は反射して光検出器アレイ108に達することになる。臨界角では、屈折光は、境界面に沿って屈折する。臨界角よりも大きい角度では、光は全て、サンプル111との境界面で反射する。臨界角で反射した光に対応する光線は、光検出器アレイにおける放射照度のパターンの低強度と高強度との間の変化点によって識別することができる。この変化点の画素位置を、導光構造体102および窓112の既知の幾何形状および屈折率から、また、光源および光検出器アレイ108の既知の位置から、臨界角に相関させることができる。あるいは、変化点の画素位置を、既知の屈折率のいくつかのサンプルを用いて屈折率に対して較正してもよい。光源106A、106B、106C、106Dは、波長が共通の光を発する2つ以上の光源(本明細書では「波長が共通の光源」と称する)、および/または波長が異なる光を発する2つ以上の光源を含むことができる。限定するものではないが、例として、光センサ装置100は、4つの発光ダイオードを含むことができる。2つのLEDを、波長が共通の光を発するように構成し、他の2つのLEDを、波長が異なる光を発するように構成することができる。
同じ波長の光を発する2つの光源を使用することによって、光検出器アレイ108を埋め尽くす、すなわち全反射光で、単一の光源で可能な限度を越えて光検出器アレイ108を埋めることができるようにスケールを変えることが可能となる。波長が共通の光源は、波長が共通の異なる光源からの全反射した光錐が、光検出器アレイのところである程度重なり合うように構成することができる。波長が共通の光源を2つ使用することによって、より広い屈折率範囲が実現される。波長が共通の光源をさらに追加することによって、検出できる分解可能な屈折率の数が大きくなるため、波長が共通の光源をどのように構成して、光検出器アレイを埋めるかに依存して、屈折率範囲をより広げることができ、またはより優れた分解能を得ることができ、またはそれらを併せて実現することができる。
例えば図1Bに示すように、光源106Bと106Cとは波長が共通の光源であるとする。光源106Bからの、境界面で全反射する光錐を破線によって示す。光源106Cからの、境界面で全反射する光錐を点線によって示す。この例では、2つの光源106B、106Cからの全反射した光錐は、光検出器アレイの、RBおよびRCと表示した対応する2つの領域にマッピングされる。光源106Bと106Cとの位置が異なるため、これら2つの光源からの光は、サンプル111との境界面で、異なる入射角範囲にわたって全反射する。これらの異なる入射角範囲は、光検出器アレイにおいて異なる放射照度パターンに変換される。光源106B、106Cの位置、プリズム102の幾何形状および屈折率が既知である場合、上記で論じたように、光検出器アレイ108における放射照度パターンを分析することによって、サンプル111の屈折率を求めることが可能となる。
図1Bに示す装置100では、光源106Aと106Dとは、互いに異なる真空波長の光を発することができ、かつ波長が共通の光源106B、106Cが発する光の真空波長とも異なる真空波長の光を発することができる。非限定的な特定の一実装形態では、波長が共通の2つのLEDはどちらも、約589nmの真空波長に対応する黄色光を発することができる。波長が共通でないLEDの一方は、紫外光、例えば真空波長が約375nmの光を発することができ、波長が共通でないLEDの他方は、赤外光、例えば真空波長が約940nmの光を発することができる。
波長が異なる2つ以上の光を発する2つ以上の光源を含むことによって、装置100は、サンプルの光分散を推定するのに用いることができる。材料の分散は、その材料の種類の特徴的な特性であるため、分散測定を用いて、ある材料を別の材料と区別することができる。例として、プロセッサ114は、例えば適切にプログラミングすることによって、光源106A、106Dからの光がサンプル111との境界面で全反射したときに、光検出器アレイ108によって得られる放射照度の測定値を分析することによって、サンプル111の光分散を求めるように構成することができる。光源106Aと106Dとは、同時にオンにしても、あるいは順次測定するように一時に一方だけオンにしてもよい。異なる波長で発する多数の光源を用いることによって、装置100では、単一の光源から異なる波長を得るための光学フィルタの必要性を回避することができることに留意されたい。光学フィルタの必要性をなくすことによって、設計上および機械上の複雑さが低減され、かつ電力効率が向上する。光学フィルタをなくすことによってまた、よりコンパクトな設計が可能となる。さらに、多数の光源を用いることによって、信号対雑音比(SNR)を向上させることができる。単一の光源の(波長)範囲は限られ得るので、多数の光源を用いると、波長範囲をより広げることが可能となる。
センサ装置100を用いて行われる光分散測定を使用できるいくつかの様々な方法がある。限定するものではないが、例として、センサ装置100を用いて、既知の溶媒(例えば水(H2O))と既知の溶質(例えば過酸化水素(H2O2))とを有する溶液の屈折率を測定する場合、屈折率n対真空波長λの測定値を用いて、溶質の濃度を推定することができる。
本発明のある実施形態では、光源106A、106B、106C、106Dとプリズム102との間、またはプリズム102と光検出器アレイ108との間、またはそれらの両方に、自由空間間隙gがあってもよい。光検出器アレイと光源とのどちらも、プリズム材料によって包まれていないので、この自由空間間隙によって、センサ装置の設計においてある程度の融通性が許容される。この自由空間間隙によってまた、光源が多数の場合の、光検出器アレイに放射照度パターンを最適に埋める際の融通性が、さらにある程度許容されることになる。さらに、自由空間間隙(例えば空隙)は、エポキシ樹脂ほどは劣化の影響を受けにくい。
導光構造体102は、サファイア、BK7、または非ドープイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)などの非ドープガーネットなど、堅固な光学材料で作製することができる。窓112なしで使用する場合、導光構造体102の屈折率は一般に、装置100による測定が予想される最高屈折率よりも高くしなければならない。あるいは、窓を使用する場合は、窓112の屈折率は、プリズムと窓との間の境界面における全反射を回避するために、導光構造体102の屈折率よりも高くすることが望ましい場合がある。しかし、これは必ずしもそうである必要はない。例えば、自由電子金属を境界面111のところに配置し、センサ装置100を表面プラズモン共鳴センサとしてもよく、その場合、実際には、このセンサは屈折率センサとして働くことができる。さらに、窓112を導光構造体102に取り付けるために使用する接着剤は、構造体102の材料よりも高い屈折率を有するが、窓112の材料よりも低い屈折率を有するものでよい。いくつかの実施形態では、接着剤もやはり、装置100による測定が予想される最大屈折率よりも高い屈折率を有することが望ましい場合がある。
窓112は任意選択であるが、多くの用途において好ましい。導光構造体102は、例えば適切な光学接着剤を用いて、窓112に直接接着することができ、またはその逆も可能である。あるいは、屈折率が整合したゲルまたは油による機械的シールを用いて、窓を導光構造体に取り付けても(またはその逆に取り付けても)よい。この導光構造体は、あるいは窓に融着させてもよい。導光構造体102の材料は、窓112の材料とCTEが整合するように選択することができる。限定するものではないが、例として、プリズムをCTEが7.1ppm/℃のホウケイ酸ガラスで作製し、c面(c軸に垂直な平面)におけるCTEが4.5ppm/℃のサファイアで作製することができる。かかる場合、プリズムのCTEは窓のCTEよりも約1.6倍大きいが、この差は、プリズムと窓とが、CTEが整合していると言えるほど十分に小さいものである。
窓をプリズムに取り付けるために使用する接着剤は、プリズム材料と窓材料との間のCTEの差を吸収するほど十分に順応性があることにさらに留意されたい。限定するものではないが、例として、ホウケイ酸ガラスから成るプリズム、およびサファイア窓には、適切な紫外線硬化ポリマー接着剤が、商品名Norland Optical Adhesive 61(またはNOA61)として市販されており、ニュージャージ州クランベリのNorland Productsから入手可能である。NOA61は、ホウケイ酸ガラスの屈折率と、サファイアの屈折率との間の屈折率を有することにさらに留意されたい。
プリズム材料は、プリント回路基板104の材料ともCTEが整合することが望ましい。例として、プリント回路基板は、FR4などのガラス強化エポキシ樹脂複合材料で作製することができ、そのCTEは約11ppm/℃であり、これは本発明の実施形態の目的では、CTEが整合しているとみなされるほど十分に、ホウケイ酸ガラスのCTEに近いものである。
上述の実施形態に対するいくつかの変形形態が考えられ得る。とりわけ、考えられ得る2つの変形形態を図3Aおよび図3Bに示す。図3Aに示すように、光センサ装置300では、光源306A、306Bと、光検出器アレイ308とがほぼ同一平面上となる構成として、大型の導光構造体302の第1の面F1に近接して配置することができる。第1の面F1は、反射防止(AR)コーティングでコーティングすることができる。光源306A、306Bからの光は、第1の面F1を通過し、第2の面F2に取り付けられた窓312の方へと進む。窓312とサンプル311との間の境界面313で、各光源306A、306Bの対応する入射角範囲にわたって全反射が起こる。全反射した光の一部分が、第3の面F3で反射し、第1の面F1に戻ってそこを通過し、光検出器308に達する。プリズム302が、屈折率が比較的高い、例えば、屈折率が約1.7以上の材料から成る場合、境界面313で全反射した光はまた、第3の面F3でも全反射し得る。あるいは、第3の面F3に金属または誘電体の反射コーティングを形成してもよい。
プリズム302は、屈折率が高い様々ないくつかの材料から作製することができる。限定するものではないが、例として、プリズム302は、サファイアウェハで作製し、そこから概ね三角形の形状に切り出し、その三角形の縁部を研磨して、面F1、F2、およびF3を設けることができる。複屈折のために各光源からの2つの応答が重なり合うことがないように、サファイアの光軸(いわゆるc軸)が、プリズムをそこから形成するウェハの平面に対して垂直となるように、サファイアの向きを合わせることが望ましい場合がある。
プリズム302の寸法が大型であるため、光源306Aと306Bとの間の横方向間隔D1もそれに対応して広くなり、光源306Bと光検出器アレイ308との間の横方向間隔D2もそれに対応して広くなっている。プリズム302の寸法が大型であり、間隔D1が広いため、光源306A、306Bからの光が境界面313で全反射する入射角範囲の重なりが比較的少量となることが可能であるが、各入射角範囲によって光検出器アレイ308を埋めることがなおも可能となっている。各光源の入射角範囲が、光検出器アレイ全体にわたって広がっているため、より優れた屈折率分解能を得ることが可能となり、その理由は、境界面313で全反射する入射角、および対応する屈折率が、より多数の画素にわたって広がることになるからである。図3Aに示す特定の幾何形状によって、光源306A、306Bと、光検出器アレイとを、通常の支持体(図示せず)の平面に対してほぼ同じ高さとしながら、分解能をこのように向上させることが可能となる。例として、通常の支持体は、図1Aおよび図1BのPCB104などのプリント回路基板でよい。用途によっては、光源306Aと306Bとの間の横方向間隔D1、および光源306Bと光検出器アレイとの間の横方向間隔D2を比較的広く保ちながら、より小型の導光構造体を使用することが望ましい場合がある。光検出器アレイ308の寸法を図3Aの寸法と同じままとし、光検出器アレイと光源306A、306Bとを同じ高さとすると、境界面313で全反射する各入射角範囲が、より少数の画素にしか広がらなくなるため、屈折率分解能が低下することになる。しかし、この問題は、光検出器アレイ308の相対高さを、光源306A、306Bの高さに対して、間隙gだけずらすことによって克服することができる。こうすることによって、図3Bに示した装置300'で示すように、光検出器アレイ308がプリズム302の第1の面F1からより遠く離れる。このような場合、分解能を犠牲とすることなく、かつ光源と光検出器アレイとを同じ相対高さとしなくとも、所望の屈折率範囲を測定することができる。
図3Aに示す光センサ装置300、および図3Bに示す光センサ装置300'は、追加の光源、メモリ、プロセッサ、およびソフトウェアなど、上述したもの以外の他の構成要素も含むことができることに留意されたい。これらの構成要素は、見やすいように図面から省略してある。さらに、図3Aおよび図3Bには、2つの光源306A、306Bが示されているが、3つ以上の光源を使用してもよいことが当業者には認識されよう。さらに、光源は、波長が共通の2つ以上の光源、または真空波長が異なる光を発する2つ以上の光源、またはそれらの光源構成の何らかの組合せを含むことができる。
本明細書に記載の種類の光センサは、光吸収など、競合する濃度感知技術に優る数多くの利点を有する。例えば、不透明な流体サンプルでは、光は透過するのではなく反射するので、その屈折率を測定するのに問題は生じない。さらに、このセンサ装置では、窓にいかなる材料も使用することができる。例えば、ある用途、例えば製薬などでは、透明プラスチック製の使い捨てバッグを用いて窓を設けてもよい。
さらに、本明細書に記載の種類のセンサ装置の較正は、吸収分光センサの較正よりも遥かに容易である。検査中のサンプルが比較的単純である場合、化学種組成(speciation)を測定する必要はない。対象とする種の較正は、対象とする種の自動滴定を実施し、その間、センサを用いて、その自動滴定によって求められた種の濃度の関数として屈折率を測定することによって行うことができる。較正サンプルについて、放射照度と画素位置との導関数を取ることによって、画素位置のごく一部分内に対する較正サンプルの屈折率を求めることが可能となる。濃度が既知の一連のサンプルについて、画素位置に対する屈折率の測定を続けて行うことができ、結果として得られた較正をメモリ110に記憶することができる。較正のずれは、脱イオン水などの基準サンプルについて、画素位置に対する放射照度の測定を続けて実施し、較正をリゼロ化(re-zeroing)することによってシフトさせることができる。
したがって、本明細書に記載の種類のセンサ装置は、近赤外波長または紫外-可視波長範囲における吸収分光法に匹敵する。本明細書に記載の実施形態の反射式幾何配置によってまた、透過式幾何配置を使用するセンサに優る実質的な利点が得られる。例えば、回折の影響および吸着(adsorption)の影響を排除することができ、不透明流体の屈折率を測定することができる。
上記は、本発明の好ましい実施形態の完全な詳細であるが、様々な代替形態、改変形態、および均等形態を使用することも可能である。したがって、本発明の範囲は、上記の説明に即して決まるのではなく、添付の特許請求の範囲に即して、それらの均等物の全範囲も含めて決まるべきものである。いかなる特徴も、好ましいか否かに拘わらず、他のいかなる特徴とも、好ましいか否かに拘わらず、組み合わせることができる。以下の特許請求の範囲では、不定冠詞「A」または「An」は、別段の明示的な記載がない限り、その不定冠詞の後に続く1つまたは複数の物品の量を指すものである。添付の特許請求の範囲は、所与の請求項において「〜する手段(means for)」という文言を用いた限定の明示的な記載がない限り、ミーンズプラスファンクションによる限定を含むものとして解釈すべきではない。特定の機能を実施するための「〜する手段」と明示的に記載されていない請求項のいかなる要素も、米国特許法第112条第6段落の「手段」または「ステップ」条項として解釈すべきではない。
100、300、300' 光センサ装置
102、302 導光構造体(プリズム)
104 プリント回路基板
106A、106B、106C、106D、306A、306B 光源
108、308 光検出器アレイ
110 メモリ
111、311 サンプル
112、312 窓
113、313 境界面
114 プロセッサ
115 実行可能命令

Claims (15)

  1. 平坦な第1の面、第2の面、および第3の面を有する光学的に透過性の導光構造体と、
    前記導光構造体の外側に、前記第1の面に隣接して配置された2つ以上の光源と、
    前記導光構造体の外側に、前記第1の面に隣接して配置された光検出器アレイと
    を備え、
    前記導光構造体と、前記導光構造体の外側に、前記第2の面に近接して配置されたサンプルと、の間の光境界面で全反射した、前記2つ以上の光源からの光が、前記第3の面で反射し、前記サンプルの屈折率に依存して前記光検出器アレイの一部分に入射するように、前記導光構造体、前記光源、および前記光検出器アレイが構成され、
    前記境界面で全反射し、前記第3の面で反射した、前記2つ以上の光源それぞれからの光が、前記サンプルの異なる屈折率範囲に対応しかつ前記光検出器アレイの対応する部分にマッピングされるように、前記2つ以上の光源が、前記導光構造体および前記光検出器アレイに対して配置される、光センサ装置。
  2. 前記2つ以上の光源が、自由空間間隙だけ前記導光構造体から分離されている、請求項1に記載の装置。
  3. 前記光検出器アレイが、自由空間間隙だけ前記導光構造体から分離されている、請求項1に記載の装置。
  4. 前記2つ以上の光源が、真空波長が共通の光を発するように構成された、波長が共通の2つ以上の光源を含み、
    前記境界面で全反射し、前記第3の面で反射した、波長が共通の前記2つ以上の光源それぞれからの光が、前記サンプルの異なる屈折率範囲に対応しかつ前記光検出器アレイの対応する部分にマッピングされるように、波長が共通の前記2つ以上の光源が、前記導光構造体および前記光検出器アレイに対して配置される、請求項1に記載の装置。
  5. 前記2つ以上の光源が、対応する真空波長が異なる光を発するように構成された2つ以上の光源を含む、請求項1に記載の装置。
  6. 前記光検出器アレイに結合されたプロセッサをさらに含み、前記プロセッサが、対応する真空波長が異なる光を発するように構成された前記2つ以上の光源からの、前記境界面で全反射した光を用いて、前記光検出器アレイによって得られた測定値から、前記サンプルの光分散を求めるように構成される、請求項5に記載の装置。
  7. 前記境界面で全反射した前記2つ以上の光源からの光が、前記2つ以上の光源から出発してから、前記境界面で全反射するまでの間に、前記第1の面を1度通過し、前記境界面で全反射してから、前記光検出器アレイに到達するまでの間にその同じ面を再度通過するように、前記2つ以上の光源、前記プリズム、および前記光検出器アレイが構成される、請求項1に記載の装置。
  8. 前記プリズムの一面に取り付けられた光学窓をさらに備え、前記光学窓が、前記導光構造体の屈折率よりも大きい屈折率を特徴とする、請求項1に記載の装置。
  9. 前記導光構造体が、前記窓の材料とCTEが整合した材料から成る、請求項7に記載の装置。
  10. 前記導光構造体がホウケイ酸ガラスから成り、前記窓がサファイアから成る、請求項8に記載の装置。
  11. 光境界面で全反射した前記2つ以上の光源からの光が、前記第3の面で全反射するように、前記導光構造体が構成される、請求項1に記載の装置。
  12. 前記2つ以上の光源と、前記光検出器アレイとが、支持構造体に対して実質的に同じ高さにある、請求項10に記載の装置。
  13. 前記2つ以上の光源が、支持構造体に対して実質的に同じ高さにあり、前記光検出器アレイの高さが、前記2つ以上の光源の高さからずれている、請求項10に記載の装置。
  14. 前記導光構造体が、サファイアウェハから成る、請求項10に記載の装置。
  15. 前記サファイアウェハの光軸が、前記サファイアウェハの平面に対して垂直に向いている、請求項14に記載の装置。
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