JP2015500384A - 明確に定義された官能性乳酸オリゴマーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、移動剤である少なくとも一つの化合物とラクチドとを接触させて、正確に定義された官能性乳酸オリゴマーを製造する方法に関するものである。本発明はさらに、本発明方法で製造されるオリゴマーに関するものである。

Description

本発明は、明確に定義された(defined)官能性乳酸オリゴマーの製造方法、特に、移動剤である少なくとも一つの化合物とラクチドとを接触させて得られる官能性乳酸オリゴマーの製造方法に関するものである。本発明はさらに、本発明方法で製造されたオリゴマーにも関するものである。
乳酸オリゴマーは高分子量ポリ(乳酸)生成物の合成の中間体として一般に使用されるが、乳酸オリゴマーそれ自体にも大きな関心が寄せられている。すなわち、乳酸オリゴマーは医学用途、例えば移植医療機器やスキャフォルグの製造での医学応用分野で特に注目されている。さらに、乳酸オリゴマーはその固有な特性と生物学的特徴によって下記のような付加価値のある分野で使用することができる:
(1)医薬の製剤分野で現在使用されているワックス、オイルおよびオリゴマーの代替物
(2)新規または既存ポリマーの(共)重合でのマクロマー(ビルディングブロック)
(3)新規製品、例えば結合剤、可塑剤、接着剤、滑剤、インク、核生成剤、相溶化剤等の分野の新規製品。
これらの分野の材料のキーとなるパラメータは物理特性および化学特性は分子レベルで材料をテーラーメイドすることで達成できる。一般に乳酸オリゴマーは少数の限定された数の乳酸単位から成り、重縮合法で得られ、乳酸のヒドロキシ酸基とカルボン酸基が一緒に反応し、縮合反応中に生成した水を除去して乳酸の長いポリマー鎖が形成される。
しかし、上記方法の主たる欠点は多くの競合反応が生じる結果、構造的に不明な成分が多量に生じることである。重縮合中に分子間および分子内の両方でエステル交換反応が生じ、モノマー(乳酸)中で不純物、例えばカルボン酸(例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等)またはアルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール等)が連鎖停止剤として働き、大きさの異なる直鎖、分岐鎖または環状構造のポリマーが生じる。
乳酸の重縮合はカルボン酸およびアルコール末端基(ジ−エンド−官能性ポリマー)を生じる逐次反応である。これらの末端基をさらに改質しないと、PLAオリゴマーのビルディングブロックとしての使用は制限される。例えば、コポリマー(特にポリエチレングリコールと共重合またはポリウレタンを生成するジイソシアネートとの共重合)の製造で関心が高まっているテレキリック(telechelic)PLA−ジオールは重縮合では直接製造することができない。
本発明の目的は、従来技術の上記問題を克服して、明確に定義された官能性乳酸オリゴマーをラクチドから製造する新規な技術を提供することにある。
本発明は、触媒の存在下で、ラクチドを少なくとも一種の化合物と接触させる段階を含む乳酸オリゴマーの製造方法であって、上記化合物がポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(L)乳酸、ポリ(D)乳酸、ポリ(D,L)乳酸、ポリシロキサン、ポリブチレンスクシネート、ポリトリメチレンカーボネート、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリカーボネート、ポリアルキレンカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリウレタンおよびポリアクリレートから成る群の中から選択され且つn個のOH基および/またはNH2基(ここで、nは1以上の整数)を含むポリマーであり、下記の式を満たし:
Figure 2015500384
且つ反応を少なくとも70℃の温度で行うことを特徴とする方法に関するものである。
上記の本発明方法は溶剤を用いてまたは用いずに行うことができる。
本発明方法で使用する触媒は一般式:M(Y1,Y2,...Ypqを有することができる(ここで、Mは元素周期律表の第3族〜第12族の元素および元素Al、Ga、In、Tl、Ge、Sn、Pb、Sb、Ca、MgおよびBiからなる群の中から選択される金属であり、Y1,Y2,...Ypはそれぞれ1〜20個の炭素原子を有するアルキル、6〜30個の炭素原子を有するアリール、1〜20個の炭素原子を有するアルコキシ、6〜30個の炭素原子を有するアリールオキシおよびその他の酸化物、カルボキシレートおよびハロゲン化物および周期律表の第15族および/または第16族の元素から成る群の中から選択される置換基であり、pおよびqは1〜6の整数である)。
触媒は一般式(III)を有することができる:
Figure 2015500384
(ここで、
2およびR3は互いに独立してC1-10アルキルであり、
4、R5およびR6は互いに独立してC1-10アルキルであるか、または
4およびR5が互いに共有結合し且つそれぞれメチレンであり且つR6がC1-10アルキルであり、
2はC1-10アルキル、−OR7または−N(SiR8 32から選択され、R7はC1-10アルキルで且つR8はC1-6アルキルである)
X1はNH2にすることができる。X1はOHにすることができる。nは少なくとも2にすることができる。
R1はエチル、プロピル、プロパ−2−イルまたはオクチルから選択できる。R1 はプロピルで且つnが1であるか、R1がプロパ−2−イルで且つnが3であるか、またはR1がエチルで且つnが2であることができる。
R1 はプロパ−2−エンカルボニルオキシエチル、プロパ−2−エンカルボニルオキシプロピル、プロパ−2−エンカルボニルオキシメチル、エチレンカルボニルオキシメチル、エチレンカルボニルオキシエチルまたはエチレンカルボニルオキシプロピルから選択できる。
R1 はC6-C8アリールC1-C4アルキル、C6-C8アリールC1-C2アルキルまたはベンジルから選択できる。
サイズ排除クロマトグラフィーで測定した乳酸オリゴマーの数平均分子量から上記化合物の数平均分子量を引いたものをnで割ったものは10 100 g/mol以下にすることができる:
Figure 2015500384
(ここで、Mn(乳酸オリゴマー)はサイズ排除クロマトグラフィーで測定され、nは上記化合物中に存在するOH基およびNH2基の数である)
上記化合物の少なくとも一つは上記ポリマーの少なくとも2つの混合物にすることができる。
本発明の他の対象は本発明方法に従って製造されるオリゴマーにある。
PP/PLAブレンド物(50/50)のDSC曲線を示す図。 PP/PLA/PP-PLAブレンド物(40/40/10)のDSC曲線を示す図。 PP/PLAブレンド物(50/50)のSEM画像を示す図。 PP/PLA/PP-PLAブレンド物(40/40/10)のSEM画像を示す図。
特にことわらない限り、本明細書で用いる全ての用語は技術用語および科学用語を含めて本発明が属する業界で一般に使用されている意味を有する。本発明の開示をより良く理解するために、以下、用語の定義をさらに説明する。
本発明の方法または本発明の生成物を説明する前に、本発明方法または生成物は特定の実施例の方法または生成物に限定されるものではなく、並行できるということは理解できよう。本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ限定され、本明細書で用いる用語に限定されるものではないことも理解できよう。
本明細書を通じて「一実施例」または「実施例」とはその実施例に関連して説明された特定の特徴、構造または特性が本発明の少なくとも一つの実施例に含まれることを意味する。すなわち、本明細書の各箇所で「一実施例では」または「実施例では」という表現は全てが必ずしも同じ実施例を意味するものではない場合もある。さらに、一つ以上の実施例で特定の特徴、構造または特性を当業者に明らかな任意の適切な方法で組み合わせることができる。さらに、本明細書に記載のいくつかの実施例ではいくつかの特徴を有するが他の実施例に含まれる他の特徴は有していないが、それと異なる実施例の特徴の組合せも本発明の範囲に含まれ、異なる実施例を形成するということは当業者には理解できよう。例えば、特許請求の範囲で請求された具体例を任意に組合せで使用することができる。
本明細書で単数形の「一つ(a)」「一つ(an)」および「この(the)」は特に明らかな指示が無い限り、いずれも単数および複数の対象を意味する。
本明細書で用いる用語「構成される」、「構成する」および「から成る」は「有している」、「有する」、「含んでいる」、「含む」と同じ意味であり、包括的または非制限的な意味であり、追加の非列挙部材、要素、方法、段階を除外するものではない。ある種の要素または段階を含む実施例を参照する場合、それは基本的に列挙された要素または段階から成る実施例も意味する。数値範囲の両端はそれぞれの範囲に含まれる全ての数および分数並びに両端値を含む。
本明細書で挙げた全ての文献は全て本明細書の一部を成す。
本発明は、分子量の制御、鎖末端の制御および構造の制御の点で明確に定義された乳酸オリゴマーを得る方法を開示する。構造の制御とは直線性または分岐性およびコポリマーの場合の単位の分布を意味する。
本発明は特に、触媒の存在下で少なくとも一種の化合物とラクチドとを接触させる段階を含む乳酸オリゴマーの製造方法であって、上記化合物はポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(L)乳酸、ポリ(D)乳酸、ポリ(D,L)乳酸、ポリシロキサン、ポリブチレンスクシネート、ポリトリメチレンカーボネート、ポリカプロラクトン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリカーボネート、ポリアルキレンカーボネート、ポリアミン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリウレタンおよびポリアクリレートから成る群の中から選択され且つn個のOH基および/またはNH2基(ここで、nは1以上の整数)を含むポリマーであり、下記式:
Figure 2015500384
を満たし、且つ、反応を少なくとも70℃の温度で行うことを特徴とする方法を提供する。
上記の「少なくとも一つの化合物」とは上記リストに定義の化合物の中から選択される一種以上の化合物を意味する。本発明の一つの観点から、上記化合物はポリマーである。上記の「少なくとも一つの化合物」は上記リストに定義のポリマーの中から選択される少なくとも2つのポリマーの混合物にすることができる。従って、一種以上の化合物(ポリマー)を用いる場合、上記化合物は互いに異なる化合物(互いに異なるポリマー)であり、上記リストに定義の化合物(ポリマー)の中から選択されることを意味する。
本発明の一実施例では、本発明方法で使用する化合物がポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(L)乳酸、ポリ(D)乳酸、ポリ(D,L)乳酸、ポリシロキサン、ポリブチレンスクシネート、ポリトリメチレンカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアルキレンカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリウレタンおよびポリアクリレートから成る群の中から選択され、n個のOH基および/またはNH2基(ここで、nは1以上の整数)を含むポリマーにすることができる。
本発明の一実施例では、本発明方法で使用する化合物がポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(L)乳酸、ポリ(D)乳酸、ポリ(D,L)乳酸、ポリシロキサン、ポリブチレンスクシネート、ポリトリメチレンカーボネート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアルキレンカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリウレタンおよびポリアクリレートから成る群の中から選択され、n個のOH基および/またはNH2基(ここで、nは1以上の整数)を含むポリマーにすることができる。
本発明の一実施例では、本発明方法で使用する化合物がn個のOH基および/またはNH2基(ここで、nは1以上の整数)を含むポリプロピレンポリマーにすることができる。このポリマーはn個のOH基(ここで、nは1以上の整数)を含むポリプロピレンにすることができる。この反応は溶剤中で行うことができる。反応は90〜120℃の温度で行うことができる。
本発明の一実施例では、本発明方法で使用する化合物がポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(L)乳酸、ポリ(D)乳酸、ポリ(D,L)乳酸、ポリシロキサン、ポリブチレンスクシネート、ポリトリメチレンカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアルキレンカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリウレタンおよびポリアクリレートから成る群の中から選択され、n個のOH基および/またはNH2基(ここで、nは1以上の整数)を含むポリマーにすることができ、反応を少なくとも90℃、好ましくは90〜120℃の温度で、一般式M(Y1,Y2, ・・・Yp)qの触媒を用いて溶剤の存在下に行う。
本発明の一実施例では、本発明方法で使用する化合物がポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(L)乳酸、ポリ(D)乳酸、ポリ(D,L)乳酸、ポリシロキサン、ポリブチレンスクシネート、ポリトリメチレンカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアルキレンカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリウレタンおよびポリアクリレートから成る群の中から選択され、n個のOH基および/またはNH2基(ここで、nは1以上の整数)を含むポリマーにすることができ、反応を少なくとも110℃、好ましくは140〜190℃の温度で、一般式M(Y1,Y2, ・・・Yp)qの触媒を用いて、溶剤の非存在下に行う。
本発明の一実施例では、本発明方法で使用する化合物がポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(L)乳酸、ポリ(D)乳酸、ポリ(D,L)乳酸、ポリシロキサン、ポリブチレンスクシネート、ポリトリメチレンカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアルキレンカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリウレタンおよびポリアクリレートから成る群の中から選択され、n個の数のOH基および/またはNH2基(ここで、nは1以上の整数)を含むポリマーにすることができ、反応を少なくとも70℃、好ましくは90〜120℃の温度で、一般式(III)の触媒を用いて、溶剤の存在下に行う。
本発明の一実施例では、本発明方法で使用する化合物がポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(L)乳酸、ポリ(D)乳酸、ポリ(D,L)乳酸、ポリシロキサン、ポリブチレンスクシネート、ポリトリメチレンカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアルキレンカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリウレタンおよびポリアクリレートから成る群の中から選択され、n個のOH基および/またはNH2基(ここで、nは1以上の整数)を含むポリマーにすることができ、反応を少なくとも110℃、好ましくは140〜190℃の温度で、一般式(III)の触媒を用いて、溶剤の非存在下に行う。
本発明の一実施例では、本発明方法で使用する化合物がポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(L)乳酸、ポリ(D)乳酸、ポリ(D,L)乳酸、ポリシロキサン、ポリブチレンスクシネート、ポリトリメチレンカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアルキレンカーボネート、ポリアミン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリアクリレートおよびポリアミノ酸から成る群の中から選択され、n個のOH基(ここで、nは1以上の整数)を含むポリマーにすることができ、反応を少なくとも140℃の温度で、有機金属触媒または一般式M(Y1,Y2, ・・・Yp)qの触媒を用いて、溶剤の存在下または非存在下に行う。
本発明の一実施例では、本発明方法で使用する化合物がポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(L)乳酸、ポリ(D)乳酸、ポリ(D,L)乳酸、ポリシロキサン、ポリブチレンスクシネート、ポリトリメチレンカーボネート、ポリカプロラクトン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリカーボネート、ポリアルキレンカーボネート、ポリアミン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリアクリレートおよびポリアミノ酸から成る群の中から選択され、n個のNH2基(ここで、nは1以上の整数)を含むポリマーにすることができ、反応を少なくとも140℃の温度で、有機金属触媒または一般式M(Y1,Y2, ・・・Yp)qの触媒を用いて、溶剤の存在下または非存在下に行う。
本発明の一実施例では、本発明方法で使用する化合物がポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(L)乳酸、ポリ(D)乳酸、ポリ(D,L)乳酸、ポリシロキサン、ポリブチレンスクシネート、ポリトリメチレンカーボネート、ポリカプロラクトン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリカーボネート、ポリアルキレンカーボネート、ポリアミン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリアクリレートおよびポリアミノ酸から成る群の中から選択され、n個のOH基および/またはNH2基(ここで、nは2以上の整数)を含むポリマーにすることができ、反応を少なくとも140℃の温度で、有機金属触媒または一般式M(Y1,Y2, ・・・Yp)qの触媒を用いて、溶剤の存在下または非存在下に行う。
本発明の一実施例では、本発明方法で使用する化合物がポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(L)乳酸、ポリ(D)乳酸、ポリ(D,L)乳酸、ポリシロキサン、ポリブチレンスクシネート、ポリトリメチレンカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアルキレンカーボネート、ポリアミン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリアクリレートおよびポリアミノ酸から成る群の中から選択され、n個のOH基(ここで、nは1以上の整数)を含むポリマーにすることができ、反応を少なくとも110℃の温度で、有機金属触媒または一般式(III)の触媒を用いて、溶剤の存在下または非存在下に行う。
本発明の一実施例では、本発明方法で使用する化合物がポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(L)乳酸、ポリ(D)乳酸、ポリ(D,L)乳酸、ポリシロキサン、ポリブチレンスクシネート、ポリトリメチレンカーボネート、ポリカプロラクトン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリカーボネート、ポリアルキレンカーボネート、ポリアミン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリアクリレートおよびポリアミノ酸から成る群の中から選択され、n個のNH2基(ここで、nは1以上の整数)を含むポリマーにすることができ、反応を少なくとも110℃の温度で、有機金属触媒または一般式(III)の触媒を用いて、溶剤の存在下または非存在下に行う。
本発明の一実施例では、本発明方法で使用する化合物がポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(L)乳酸、ポリ(D)乳酸、ポリ(D,L)乳酸、ポリシロキサン、ポリブチレンスクシネート、ポリトリメチレンカーボネート、ポリカプロラクトン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリカーボネート、ポリアルキレンカーボネート、ポリアミン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリアクリレートおよびポリアミノ酸から成る群の中から選択され、n個のOH基および/またはNH2基(ここで、nは2以上の整数)を含むポリマーにすることができ、反応を少なくとも110℃の温度で、有機金属触媒または一般式(III)の触媒を用いて、溶剤の存在下または非存在下に行う。
本発明は特に、ラクチドを、触媒の存在下で、移動剤である少なくとも一つの化合物と接触させる段階を含み、ラクチドの「上記化合物・n」に対するモル比は70以下である、乳酸オリゴマーの製造方法を提供する。ここで、「上記化合物・n」は上記化合物のモルの数に上記化合物中のOH基および/またはNH2基の総数(n)を乗じたものを意味する。この反応は110〜190℃の温度で溶剤の非存在下に行い、上記化合物はポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(L)乳酸、ポリ(D)乳酸、ポリ(D,L)乳酸、ポリブチレンスクシネート、ポリトリメチレンカーボネート、ポリアルキレンカーボネート、ポリシロキサン、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリアミン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリアクリレートおよびポリアミノ酸から成る群の中から選択され且つn個のOH基および/またはNH2基(ここで、nは1以上の整数)を含むポリマーである。このポリマーはラクチドモノマーと上記ポリマーのコポリマーとよぶことができる。
本発明はさらに、ラクチドを、触媒の存在下で、移動剤である少なくとも一つの化合物と接触させる段階を含み、ラクチドの(上記化合物・n)に対するモル比が70以下である乳酸オリゴマーの製造方法を提供する。ここで、(上記化合物・n)とは上記化合物のモルにこの化合物中のO基および/またはNH2基の総数(n)を乗じたものを意味し、この反応は少なくとも70℃、好ましくは少なくとも90℃、さらに好ましくは少なくとも105℃の温度で行い、上記化合物は下記の式(I)を有する:
Figure 2015500384
(ここで、X1 はOHまたはNH2であり、nは1, 2, 4, 5, 6, 7, 8, 9または10から選択される整数または1〜10であり、R1はC1-C20アルキル; C3-8シクロアルキル; C2-C20アルケニル; C2-C20アルキニル; C2C10アルケニルカルボニルオキシC1C10アルキル; ヘテロシクリルC1-C6アルキル; ヒドロキシカルボニルC1-C100アルキル; C6-C10アリールC1-C6アルキルオキシカルボニルアミノC1-C10アルキル; アミノC1-C10アルキル; ハロC1-C10アルキルカルボニルオキシC1-C10アルキル; ヒドロキシC1-C10アルキル; ヘテロシクリル; C6-C10アリールC1-C6アルキルから選択される基であり、各基は必要に応じてC1-C6アルキル、ヒドロキシル、オキソから選択される一種以上の置換基で置換されていてもよく、また、必要に応じてヘテロ環中の少なくとも一つの炭素原子は一種以上のオキソ基で置換されていてもよく、また、必要に応じてヘテロ環中の少なくとも一つの窒素原子はオキシルフリーラジカルで置換されていしもよい。
「アルキル」または他の置換基の一部としてのアルキルは1〜100個の炭素原子、例えば1〜20個の炭素原子、例えば1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜3個の炭素原子を有する炭素−炭素単結合で結合された直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素基を意味する。本明細書で炭素原子の後に添字を用いた場合、その添字は指定された基が含むことのできる炭素原子の数を表す。
従って、例えばC1-100アルキルは1〜100個の炭素原子、例えば1〜75個の炭素原子、例えば1〜50個の炭素原子、例えば1〜25個の炭素原子、例えば1〜20個の炭素原子、例えば1〜10個の炭素原子、より好ましくは3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。
従って、例えばC1-25アルキルは1〜25個の炭素原子、好ましくは3〜15個の炭素原子、より好ましくは3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 25個の炭素原子のアルキル基を意味する。従って、例えばC1-20アルキルは1〜20個の炭素原子、好ましくは3〜15個の炭素原子、より好ましくは3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20個の炭素原子のアルキル基を意味する。従って、例えばC1-15アルキルは1〜15個の炭素原子、好ましくは3〜15個の炭素原子、より好ましくは3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15個の炭素原子のアルキル基を意味する。従って、例えばC1-10アルキルは1〜10個の炭素原子、好ましくは3〜10個の炭素原子、より好ましくは3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10個の炭素原子のアルキル基を意味する。従って、例えばC1-8アルキルは1〜8個の炭素原子、好ましくは3〜8個の炭素原子、より好ましくは 3, 4, 5, 6, 7, 8個の炭素原子のアルキル基を意味する。従って、例えばC1-6アルキルは1〜6個の炭素原子、好ましくは2〜6個の炭素原子、より好ましくは2, 3, 4, 5, 6個の炭素原子のアルキル基を意味する。従って、例えばC1-4アルキルは1〜4個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子、より好ましくは 2, 3個または4個の炭素原子のアルキル基を意味する。
アルキル基は直鎖または分岐鎖にすることができ、上記で示したように置換されていてもよい。アルキルとは全ての直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味する。アルキルの例としてはメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、2-メチル-エチル、ブチルおよびその異性体(例えばn-ブチル、i-ブチルおよびtブチル)、ペンチルおよびその異性体、ヘキシルおよびその異性体、ヘプチルおよびその異性体、オクチルおよびその異性体、ノニルおよびその異性体、デシルおよびその異性体等が挙げられる。
「C3-8シクロアルキル」または他の置換基の一部としてのC3-8シクロアルキルは約3〜約8個の炭素原子を含む飽和または部分飽和の環式アルキルを意味する。単環C3-8シクロアルキルの例としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロフェニルまたはシクロヘキシルが挙げられる。
「置換された」という用語は「置換された」を用いて表現された原子上での一つ以上の水素が指定された基から選択される基で置き換えられ(但し、上記原子の正常結合価を超えない)、しかも、置換によって化学的に安定した物質(すなわち、反応混合物から有用な純度になるまでの単離に耐えるのに十分に堅牢な物質)となることを表す。
「アルケニル」または他の置換基の一部としてのアルケニルは直鎖または分岐鎖にすることができ、2〜20個の炭素原子、例えば2〜18個の炭素原子、例えば2〜16個の炭素原子、例えば2〜15個の炭素原子、例えば2〜14個の炭素原子、例えば2〜12個の炭素原子、例えば2〜10個の炭素原子、例えば2 〜8個の炭素原子、例えば2〜6個の炭素原子、例えば2〜4個の炭素原子を含む一つ以上の炭素−炭素二重結合を有する不飽和ヒドロカルビル基を意味する。炭素原子の後に添字を用いた場合、その添字は指定された基が含むことのできる炭素原子の数を表す。
従って、例えば、C2-20アルケニルは2〜20個の炭素原子、好ましくは2〜14個の炭素原子のアルケニル基を意味する。従って、例えばC2-18アルケニルは2〜18個の炭素原子、好ましくは2〜12個の炭素原子のアルケニル基を意味する。従って、例えばC2-16アルケニルは2〜16個の炭素原子、好ましくは2〜10個の炭素原子のアルケニル基を意味する。従って、例えばC2-15アルケニルは2〜15個の炭素原子、好ましくは2〜10個の炭素原子のアルケニル基を意味する。従って、例えばC2-14アルケニルは2〜14個の炭素原子、好ましくは2〜10個の炭素原子のアルケニル基を意味する。従って、例えばC2-12アルケニルは2〜12個の炭素原子、好ましくは2〜8個の炭素原子のアルケニル基を意味する。従って、例えばC2-10アルケニルは2〜10個の炭素原子、好ましくは2〜6個の炭素原子のアルケニル基を意味する。従って、例えばC2-8アルケニルは2〜8個の炭素原子、好ましくは2〜6個の炭素原子のアルケニル基を意味する。従って、例えばC2-6アルケニルは2〜6個の炭素原子、好ましくは2〜5個の炭素原子のアルケニル基を意味する。従って、例えばC2-4アルケニルは2〜4個の炭素原子、好ましくは2または3個の炭素原子のアルケニル基を意味する。アルケニル基の例としてはエテニル、2-プロペニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-ペンテニルおよびその鎖異性体、2-ヘキセニルおよびその鎖異性体、2,4-ペンタジエニル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「C2-20アルキニル」または他の置換基の一部としてのC2-20アルキニルは直鎖または分岐鎖にすることができ、一つ以上の炭素−炭素三重結合を有する不飽和ヒドロカルビル基を意味する。炭素原子の後に添字を用いた場合、その添字は指定された基が含むことのできる炭素原子の数を表す。従って、好ましいアルキニル基は2〜20個の炭素原子、例えば2〜14個の炭素原子、例えば2〜8個を含む。アルキニル基の例としてはエチニル、2-プロピニル、2-ブチニル、3-ブチニル、2-ペンチニルおよびその鎖異性体、2-ヘキシニルおよびその鎖異性体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「アリール」または他の置換基の一部としてのアリールは単環(すなわちフェニル)または互いに縮合したまたは共有結合した多環芳香族(例えばナフタレン)を有する一般に6〜30個の原子を含むポリ不飽和芳香族ヒドロカルビル基(ここで少なくとも一つの環は芳香族)を意味する。炭素原子の後に添字を用いた場合、その添字は指定された基が含むことのできる炭素原子の数を表す。従って、例えばC6-30アリールは6〜30個の炭素原子、好ましくは6〜20個の炭素原子のアリール基を意味する。従って、例えばC6-12アリールは6〜12個の炭素原子、好ましくは6〜10個の炭素原子のアリール基を意味する。従って、例えばC6-10アリールは6〜10個の炭素原子、好ましくは6〜8個の炭素原子のアリール基を意味する。従って、例えばC6-8アリールは6〜8個の炭素原子のアリール基を意味する。従って、例えばC6-7アリールは6〜7個の炭素原子のアリール基を意味する。アリールの例としてはフェニル、ビフェニリル、ビフェニレニルまたは1-または2-ナフタネリルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「C6-10アリールC1-6アルキル」または他の置換基の一部としてのC6-10アリールC1-6アルキルはその水素原子が上記定義のC6-10アリールで置換された上記定義のC1-6アルキルを意味する。アラルキルの例としてはベンジル、フェネチル、ジベンジルメチル、メチルフェニルメチル、3-(2-ナフチル)ブチル等が挙げられる。
「ヒドロキシC1-10アルキルまたは他の置換基の一部としてのヒドロキシC1-10アルキルは一般式-Re-OH(ここで、ReはC1-10アルキルである)の基を意味する。
「アルコキシ」または「アルキルオキシ」という用語は一般式:-ORd(ここで、Rdはアルキルである)を有する基を意味する。例えば、「C1-20アルコキシ」または「C1-20アルキルオキシ」という用語は一般式:-ORd(ここで、RdはC1-20アルキルである)を有する基を意味する。例えば、「C1-6アルコキシ」または「C1-6アルキルオキシ」という用語は一般式:-ORd(ここで、RdはC1-6アルキルである)を有する基を意味する。適切なアルコキシの例としてはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシおよびヘキシルオキシが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「ヘテロ環」または「ヘテロシクロ」または他の置換基の一部としての「ヘテロ環」または「ヘテロシクロ」は少なくとも一つの炭素原子含有環中に少なくとも一つのヘテロ原子を有する非芳香族の完全飽和または部分不飽和環式基(例えば、3〜13員環、7〜17員二環、または10〜20員三環系または全部で3〜10環原子を含む環)を意味する。ヘテロ原子を含む複素環式基の各環は窒素原子、酸素原子および/または硫黄原子から選択される1, 2, 3または4個のヘテロ原子を有することができ、窒素および硫黄ヘテロ原子は必要に応じて酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は必要に応じて四級化されていてもよい。複素環式基は結合価が許す場合に環または環系の任意のヘテロ原子または炭素原子に結合されていてもよい。多重環複素環の各環は縮合、架橋および/または一つ以上のスピロ原子を介して結合されていてもよい。必要に応じて置換された複素環とは置換アリールに関して上記定義のものの中から選択される必要に応じて一つ以上の置換基(例えば、1〜4個の置換基、または例えば1, 2, 3または4個)を有する複素環を意味する。
複素環式基の例としては下記のものが挙げられる:ピペリジニル、アゼチジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソオキサゾリニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、ピペリジル、スクシンイミジル、3H-インドリル、イソインドリニル、クロメニル、イソクロマニル、キサンテニル、2H-ピロリル、1-ピロリニル、2-ピロリニル、3-ピロリニル、ピロリジニル、4H-キノリジニル、4aH-カルバゾリル、2-オキソピペラジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、2-ピラゾリニル、3-ピラゾリニル、ピラニル、ジヒドロ-2H-ピラニル、4H-ピラニル、3,4-ジヒドロ-2H-ピラニル、フタラジニル、オキセタニル、チエタニル、3-ジオキソラニル、1,4-ジオキサニル、2,5-ジオキシイミダゾリジニル、2,2,4-ピペリドニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロロジニル、2-オキソアゼピニル、インドリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、チオモルホリニル、チオモルホリニルスルホキシド、チオモルホリニルスルホン、1,3-ジオキソラニル、1,4-オキサチアニル、1,4-ジチアニル、1,3,5-トリオキサニル、6H-1,2,5-チアジアジニル、2H-1,5,2-ジチアジニル、2H-オキソシニル、1H-ピロリジニル、テトラヒドロ-1,1-ジオキソチエニル、N- ホルミルピペラジニルおよびモルホリニル。
「オキソ」とは基=Oを意味する。
「ハロ」とはハロゲン基、例えばフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)またはヨウ素(I)を意味する。
「アルキルカルボニルオキシ」または他の置換基の一部としてのアルキルカルボニルオキシは_O-C(=O)Re (ここでReはアルキルに関して上記定義のもの)を意味する。
「アルケニルカルボニルオキシ」または他の置換基の一部としてのアルケニルカルボニルオキシ」は_O-C(=O)Rf(ここで、Rf はアルケニルに関して上記定義のもの)を意味する。
「アルコキシカルボニル」または他の置換基の一部としてのアルコキシカルボニルはアルキルに結合した_C(=O)ORe(ここで、Reはアルキルに関して上記定義のもの)を形成するカルボキシ基を意味する。
「ヒドロキシルカルボニル」または他の置換基の一部としてのヒドロキシルカルボニルはカルボニル基に結合したHO-(C=O)-を形成するヒドロキシル基を意味する。
「アリールオキシ」または他の置換基の一部としてのアリールオキシは一般式:-ORa (ここで、Raは上記アリールを意味する)を有する基を意味する。例えば、C6-30アリールオキシとは一般式:-ORa (ここで、Raは上記定義のC6-30アリールである)を有する基を意味する。例えばC6-12アリールオキシとは一般式:-ORa (Raは上記定義のC6-12アリールである)を有する基を意味する。適切なC6-12アリールの例としてはフェノキシ、2-ナフトキシおよび1-ナフトキシが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の一実施例では、上記化合物は式(I)を有し且つR1が下記の中から選択される基である:C1-C15アルキル、C3-8シクロアルキル、C2-C15アルケニル、C2-C15アルキニル、C2-C8アルケニルカルボニルオキシC1-C8アルキル、ヘテロシクリルC1-C4アルキル、ヒドロキシルカルボニルC1-C50アルキル、C6-C8アリールC1-C4アルキルオキシカルボニルアミノC1-C8アルキル、アミノC1-C8アルキル、ハロC1-C8アルキルカルボニルオキシC1-C8アルキル、ヒドロキシC1-C8アルキル、ヘテロシクリル、C6-C8アリールC1-C4アルキル、各基は必要に応じてC1-C6アルキル、ヒドロキシル、オキソから選択される一つ以上の置換基によって置換されていてもよく、または、ヘテロ環中の少なくとも一つの炭素原子が必要に応じて一つ以上のオキソ基によって置換されていてもよく、または、ヘテロ環中の少なくとも一つの窒素原子が必要に応じてオキシルフリーラジカルで置換されていてもよい。
上記化合物はさらに、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(L)乳酸、ポリ(D)乳酸、ポリ(D,L)乳酸、ポリブチレンスクシネート、ポリカプロラクトン、ポリトリメチレンカーボネート、ポリアルキレンカーボネート、ポリシロキサン、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリアミン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリアクリレートおよびポリアミノ酸から成る群の中から選択され且つn個のOH基および/またはNH2基(ここで、nは1以上の整数)を含むポリマーにすることができる。
本発明の一実施例では、上記化合物は式(I)を有し且つR1が下記の中から選択される基である:C1-C10アルキル、C3-8シクロアルキル、C2-C10アルケニル、C2-C10アルキニル、C2-C4アルケニルカルボニルオキシC1-C6アルキル、ヘテロシクリルC1-C4アルキル、ヒドロキシルカルボニルC1-C25アルキル、C6-C7アリールC1-C3アルキルオキシカルボニルアミノC1-C6アルキル、アミノC1-C6アルキル、ハロC1-C6アルキルカルボニルオキシC1-C6アルキル、ヒドロキシC1-C6アルキル、ヘテロシクリル、C6-C8アリールC1-C2アルキル、各基は必要に応じてC1-C4アルキル、ヒドロキシル、オキソから選択される一つ以上の置換基によって置換されていてもよく、または、ヘテロ環中の少なくとも一つの炭素原子が必要に応じて一つ以上のオキソ基によって置換されていてもよく、または、ヘテロ環中の少なくとも一つの窒素原子が必要に応じてオキシルフリーラジカルで置換されていてもよい。
上記化合物はさらに、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(L)乳酸、ポリ(D)乳酸、ポリ(D,L)乳酸、ポリブチレンスクシネート、ポリカプロラクトン、ポリトリメチレンカーボネート、ポリアルキレンカーボネート、ポリシロキサン、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリアミン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリアクリレートおよびポリアミノ酸から成る群の中から選択され且つn個のOH基および/またはNH2基(ここで、nは1以上の整数)を含むポリマーにすることもできる。
本発明方法は式(I)の化合物である移動剤の存在下でラクチドの開環オリゴマー化を使用する。このオリゴマー化は触媒、好ましくは金属触媒の存在下で行う。オリゴマー化は溶融重合(塊重合)の技術を用いるか、溶剤中で行うことができる。オリゴマー化はワンポット反応器で行うことができる。
オリゴマー化は70〜190℃で行うことができる。反応は105ーC, 106ーC, 107ーC, 108ーC, 109ーCまたは110ーC以上の温度で行うのが好ましい。温度は反応自体の温度であるのが好ましい。本発明の一実施例では、触媒が一般式IIIを有し、オリゴマー化を少なくとも110℃の温度で行う。本発明の一実施例では、触媒が一般式M(Y1,Y2, ・・・Yp)qを有し、オリゴマー化を少なくとも140℃の温度で行う。本発明の一実施例では、溶剤の非存在下で、110〜190℃の温度で、塊重合でオリゴマー化を行う。本発明の一実施例では、溶剤の存在下で、90〜120℃の温度で、オリゴマー化を行う。本発明の一実施例では、触媒が一般式M(Y1,Y2, ・・・Yp)qを有し、溶剤の非存在下で、140〜190℃の温度で、塊重合でオリゴマー化を行う。本発明の一実施例では、触媒が一般式M(Y1,Y2, ・・・Yp)qを有し、溶剤の存在下で、90〜120℃の温度で、オリゴマー化を行う。本発明の一実施例では、触媒が一般式(III)を有し、溶剤の非存在下で、110〜190℃の温度で、塊重合でオリゴマー化を行う。本発明の一実施例では、触媒が一般式(III)を有し、溶剤の存在下で、90〜120℃の温度で、オリゴマー化を行う。
本発明の一実施例では、R1は下記の中から選択される基である:C1-C20アルキル、C3-8シクロアルキル、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C2-C10アルケニルカルボニルオキシC1-C10アルキル、ヘテロシクリルC1-C6アルキル、ヒドロキシルカルボニルC1-C100アルキル、C6-C10アリールC1-C6アルキルオキシカルボニルアミノC1-C10アルキル、アミノC1-C10アルキル、ハロC1-C10アルキルカルボニルオキシC1-C10アルキル、ヒドロキシC1-C10アルキル、ヘテロシクリル、C6-C10アリールC1-C6アルキル、各基は必要に応じてC1-C6アルキル、ヒドロキシル、オキソから選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよく、または、ヘテロ環中の少なくとも一つの炭素原子が必要に応じて一つ以上のオキソ基で置換されていてもよく、または、ヘテロ環中の少なくとも一つの窒素原子が必要に応じてオキシルフリーラジカルで置換されていてもよい。反応は溶剤の非存在下で行う。反応温度は塊重合条件で140〜190℃にすることができる。触媒は一般式:M(Y1,Y2, ・・・Yp)qを有するのが好ましい。反応温度は塊重合条件で110〜190℃にすることができる。触媒は一般式(III)を有するのが好ましい。
本発明の一実施例では、上記化合物はポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(L)乳酸、ポリ(D)乳酸、ポリ(D,L)乳酸、ポリブチレンスクシネート、ポリカプロラクトン、ポリトリメチレンカーボネート、ポリアルキレンカーボネート、ポリシロキサン、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリアミン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリアクリレートおよびポリアミノ酸から成る群の中から選択され且つn個のOH基および/またはNH2基(ここで、nは1以上の整数)を含むポリマーであり、反応は溶剤の存在下または非存在で行うことができる。溶剤を用いるときは反応温度を90〜120℃にすることができ、好ましくは、触媒は一般式:M(Y1,Y2, ・・・Yp)qを有する。溶剤を用いるときの反応温度を90〜120℃にし、触媒が一般式(III)を有するのが好ましい。
溶剤を用いないときは反応温度を少なくとも140℃、好ましくは140〜190℃にし、触媒は好ましくは一般式:M(Y1,Y2, ・・・Yp)qを有する。溶剤を用いるときは反応温度を少なくとも90℃、90〜120℃にすることができ、触媒は好ましくは一般式(III)を有する。
上記化合物・nに対するラクチドのモル比は70以下、例えば7〜60、例えば7〜40(すなわちラクチドは過剰)にすることができる。上記化合物.nとは上記化合物のモルの数に上記化合物中のOH基および/またはNH2基の総数(n)を乗じたものを意味する。文字nは上記化合物中に存在するOH基および/またはNH2基の総数(n)を意味する。より具体的にいえば、上記化合物がOH基を含むがNH2基を含まない場合にはnはOH基の数であり、化合物がNH2基を含むがOH基を含まない場合にはnはNH2基の数であり、化合物がOH基とNH2基の両方を含む場合にはnはOH基とNH2基を合わせた数である。OH基およびNH2基は共有結合による化合物の一部である。
適切な溶剤としては、トルエン、キシレン、THF、分岐鎖を有していてもよいC4-C20アルカン(ヘプタン、ヘキサン、イソブタン)、エチルアクリレートDMFまたはこれらの混合物が挙げられる。
本発明は結果として製造コストを下げることができる単純化したプロセス(例えば1ポット−1ン段階)のプロセスを提供する。溶剤の使用は任意である。オリゴマー化は標準圧力下で実施できる。バッチプロセスと連続プロセス(プラグフロー)の両方を考えることができる。短い反応時間で高い変換率が得られるという利点がある。上記化合物は追加の官能基を乳酸オリゴマーに導入するのにも使用できる。生成物は明確に定義できる。最終分子量に関して狭い多分散性が観察でき。副生成物が少量であることが観察できる。これは融通が利く汎用プロセスであり、同じ生産設備で広範囲の生成物を生産できる。超高分子量PLA用と同じ生産設備を使用してオリゴマーを容易に作ることができる。
上記モル比の定義から反応によって生成される乳酸鎖は70以下のラクチドになり、従って、オリゴマーの分子量の上限はこの比によって決定される。一般に、本発明方法で作られる乳酸オリゴマーの(数平均分子量 (Mn) −上記化合物の分子量)/nは10 100 g/mol以下である。
Figure 2015500384
(ここで、Mn(乳酸オリゴマー)はサイズ排除クロマトグラフィーで測定し、nは上記化合物中に存在するOH基およびNH2基の数である)
上記の値は一般に900〜8900 g/molである。この計算での上記化合物は乳酸オリゴマーに組み込まれた物質である。
数平均分子量を決める一つのファクターは上記化合物に対するラクチドの比である。オリゴマー化を停止する急冷剤を使用して数平均分子量を制御することができる。
数平均分子量は任意の方法、例えばサイズ除外クロマトグラフィ(SEC)を用いて測定できる。一般に溶出曲線をポリスチレン標準品に対して補正する。
SECの一つの方法ではVISCOTEK GPCマックス機器を用い、溶剤として25℃のテトラヒドロフラン(THF)を用い、150 μlのサンプル容量で1ml/分の流量でPLgel 5μm MIXED-C 200 x 75 mm カラム (Aligent)で、屈折率検出器を用い、Waters Empowerソフトウェアを用いて分析する。溶出曲線はポリスチレン標準品に対して補正する。
反応での使用に適したラクチドはラセミ化合物または異性体、例えばL,L-ラクチド、D,D-ラクチドおよびD,L-ラクチドにすることができる。L,L-ラクチドを用いるのが好ましい。ラクチドは任意の公知方法で製造できる。L,L-ラクチドを製造するのに適した方法は例えば下記文献に記載されている。この特許は参考として本明細書の一部を成す。
国際公開第WO 2004/041889号公報
本発明では、R1はC1-C20アルキルにすることができる。例えばR1はC1-C18アルキル、例えばR1はC1-C14アルキル、例えばR1はC1-C12アルキル、例えばR1はC1-C10アルキル、例えばR1はC1-C3 アルキルまたはC5-C20アルキルである。R1 はエチル、プロピル、プロパ-2-イルまたはオクチルから選択できる。R1がオクチルの場合、nは1であるのが好ましい。R1がプロピルの場合、nは1または3であるのが好ましい。本発明ではR1はヒドロキシルC1-C3またはヒドロキシルC5-C10アルキルにすることができ、nは2である。R1がエチルの場合、nは2であるのが好ましい。X1はヒドロキシルであるのが好ましい。
本発明では、R1はC3-8シクロアルキルにすることができる、例えばR1はC3-8シクロアルキルにすることができる、例えばR1はC3-6シクロアルキルにすることができる、例えばR1はC3-5シクロアルキルにすることができる。R1はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルから選択できる。
本発明では、R1はC2-C20アルケニルにすることができる、例えば、R1はC2-C18アルケニルにすることができる、例えば、R1はC2-C16アルケニルにすることができる、例えば、R1はC2-C14 アルケニルにすることができる、例えば、R1はC2-C12 アルケニルにすることができる、例えば、R1はC2-C10アルケニルにすることができる、例えば、R1はC2-C8 アルケニルにすることができる、例えば、R1はC2-C6 アルケニルにすることができる、例えば、R1はC2-C4 アルケニルにすることができる。R1はエテニル、プロペニル、ブテン-1-イル、ブテン-2-イルまたはより長鎖の他のアルケニルから選択できる。
本発明では、R1はC2-C10アルケニルカルボニルオキシC1-C10アルキルにすることができる。例えば、R1はC2-C6アルケニルカルボニルオキシC1-C6アルキルにすることができる。例えば、R1はC2-C4アルケニルカルボニルオキシC1-C4アルキルにすることができる。R1 は、プロパ−2−エンカルボニルオキシエチル、プロパ−2−エンカルボニルオキシプロピル、プロパ−2−エンカルボニルオキシメチル、エチレンカルボニルオキシメチル、エチレンカルボニルオキシエチル、エチレンカルボニルオキシプロピルから選択できる。nは1であるのが好ましい。X1はヒドロキシルであるのが好ましい。特定の実施例では、こうして生成されたオリゴマーを改質ポリスチレンの製造に使用できる。これはR1がC2-C10アルケニルカルボニルオキシC1-C10アルキル、例えばプロパ−2−エンカルボニルオキシエチルであるときに特に利用可能である。
本発明では、R1はヘテロ環にすることができる、例えばR1は必要に応じてC1-C6アルキル、ヒドロキシルまたはオキソから選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよいヘテロ環にすることができる。ヘテロ環は独立してOまたはNから選択される1, 2 または3個のヘテロ原子を含む3, 4, 5, 6, 7, 9または10員の単環系にすることができる。本発明ではR1はエポキシメチルまたはジオキソロン-2-オキソ-メチルにすることができる。nは1であるのが好ましい。X1はヒドロキシルであるのが好ましい。
本発明では、R1はヒドロキシルカルボニルC1-C100アルキルにすることができる、例えばR1はヒドロキシルカルボニルC1-C50アルキルにすることができる、R1はヒドロキシルカルボニルC1-C25アルキルにすることができる、R1はヒドロキシルカルボニルC1-C15アルキルにすることができる、R1はヒドロキシルカルボニルC1-C10アルキルにすることができる、R1はヒドロキシルカルボニルC1-C6アルキルにすることができる、またはR1はヒドロキシルカルボニルC1-C4アルキルにすることができる。nは1であるのが好ましい。X1はヒドロキシルであるのが好ましい。
本発明では、R1はC6-C10アリールC1-C6アルキルオキシカルボニルアミノC1-C10アルキルにすることができる、例えばR1はC6-C8アリールC1-C4アルキルオキシカルボニルアミノC1-C6 アルキルにすることができる、例えばR1はC6-C7アリールC1-C4アルキルオキシカルボニルアミノC1-C4 アルキルにすることができる、例えばR1はフェニルメトキシカルボニルアミノプロピルにすることができる。nは1であるのが好ましい。X1はヒドロキシルであるのが好ましい。
本発明の一実施例では、R1がC6-C10アリールC1-C6アルキルオキシカルボニルアミノC1-C10アルキルの場合、生成されたオリゴマーをさらに処理してC6-C10アリールC1-C6アルキルオキシカルボニル基を除去し、オリゴマー乳酸に結合した上記化合物のアミノC1-C10 アルキル部分を残すことができる。この処理では適切な塩基、例えばピペリジンを、必要に応じて適切な溶剤の存在下、例えばジクロロメタン中で用いるのが好ましい。
本発明では、R1はハロC1-C10アルキルカルボニルオキシC1-C10アルキルにすることができる、例えば、R1はハロC1-C8アルキルカルボニルオキシC1-C10アルキルにすることができる、例えば、R1はハロC1-C6アルキルカルボニルオキシC1-C10アルキルにすることができる、例えば、R1はハロC1-C6アルキルカルボニルオキシC1-C10アルキルにすることができる、例えば、R1はハロC1-C4アルキルカルボニルオキシC1-C10アルキルにすることができる、例えば、R1はハロC1-C8アルキルカルボニルオキシC1-C8アルキルにすることができる、例えば、R1はハロC1-C8アルキルカルボニルオキシC1-C6アルキルにすることができる、例えば、R1はハロC1-C8アルキルカルボニルオキシC1-C4アルキルにすることができる、例えば、R1はブロミドイソエチルカルボニルオキシエチルにすることができる。nは1であるのが好ましい。X1はヒドロキシルであるのが好ましい。
本発明では、R1はヘテロ環にすることができる、例えばR1は1, 2または3個のヘテロ原子を有するヘテロ単環の4〜6員環系にすることができる。ヘテロ原子はOまたはNにすることができる。本発明では、R1はヘテロ原子がNである6-員環にすることができる。ヘテロ環はC1-C6アルキル、オキシルフリーラジカル、オキソからそれぞれ独立して選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよい。R1は2,2,6,6テトラメチルピペリジニル-1-オキシル、好ましくは下記の式(II)を有するものにすることができる。ここで、星印(*)はX1の結合点を示す。X1はヒドロキシルであるのが好ましい。nは1であるのが好ましく、この化合物は2,2,6,6テトラメチルピペリジニル-1-オキシル-4-オールである。
Figure 2015500384
本発明の特定の実施例では、R1がヘテロ環の場合、生成されたオリゴマーを改質ポリスチレンの製造で使用できる。これはR1が、オキシルフリーラジカルで置換されたヘテロ環の場合、特にR1が2,2,6,6 テトラメチルピペリジン-1-オキシルの場合に特に利用できる。
本発明では、R1はC6-C10アリールC1-C6アルキルにすることができる、例えば、R1 はC6-C8アリールC1-C4アルキルにすることができる、例えば、R1はC6-C8アリールC1-C2アルキルにすることができる、例えば、R1はベンジルにすることができる。X1はアミン(例えばNH2)であるのが好ましい。nは1であるのが好ましい。
本発明では、上記化合物はポリマーにすることができる、例えば、上記化合物はポリオレフィンにすることができ、上記化合物はポリエステルにすることができ、上記化合物はポリカーボネートにすることができ、上記化合物はポリプロピレンにすることができ、上記化合物はポリエチレンにすることができ、上記化合物はポリ(L)乳酸にすることができ、上記化合物はポリ(D)乳酸にすることができ、上記化合物はポリ(D,L)乳酸にすることができ、上記化合物はポリブチレンスクシネートにすることができ、上記化合物はポリカプロラクトンにすることができ、上記化合物はポリトリメチレンカーボネートにすることができ、上記化合物はポリアルキレンカーボネートにすることができ、上記化合物はポリシロキサンにすることができ、上記化合物はポリエーテルにすることができ、上記化合物はポリスチレンにすることができ、上記化合物はポリイソプレンにすることができ、上記化合物はポリアミンにすることができ、上記化合物はポリアミドにすることができ、上記化合物はポリビニルアルコールにすることができ、上記化合物はポリウレタンにすることができ、上記化合物はポリアクリレートにすることができ、または、上記化合物はポリアミノ酸にすることができる。いずれの場合でもポリマーはn個のOH基および/またはNH2基を含む(ここで、nは1以上の整数)。
ポリマーがn個のOH基および/またはNH2基を含むとき(ここで、nは1以上の整数)、それは天然ポリマー中に少なくとも一つのOH基および/または少なくとも一つのNH2基が存在すること、または、天然ポリマーがヒドロキシル(OH)基またはアミン(例えばNH2)基またはその両方を用いて例えば一端または両端でのエンドキャッピングによって改質されていることを意味する。nは整数であり、ポリマーが少なくとも一つのOH基と少なくとも一つのNH2基を含むときはnは2以上の整数であることは理解できよう。本発明の一実施例では、天然のポリビニルアルコールポリマーまたは天然のポリアクリレートポリマーはOH基を含み、これらのポリマーは必要に応じてOHまたはNH2を用いてエンドキャップできる。特定実施例では、上記化合物はヒドロキシルを用いてエンドキャップしたポリプロピレンにすることができる。ヒドロキシルまたはアミンでキャップされたポリマーはビニル基を用いてエンドキャップされたポリマーから形成できる。例えば上記化合物はビニル基でエンドキャップされたポリプロピレンから形成できる。
上記化合物を1種以上用いる場合は、上記化合物は互いに異なることを意味する。一種以上の化合物には異なるポリマーの混合物(すなわち、ポリマーブレンド物)が含まれる。一種以上の化合物は式(I)を有する異なる化合物の混合物を含む。一種以上の化合物は式(I)を有する異なる化合物の混合物または異なるポリマーの混合物(すなわち、ポリマーブレンド物)を含む。本発明の一つの観点では、一種以上の化合物とは式(I)を有する一つ以上の化合物と一つ以上のポリマー(すなわち、ポリマーブレンド物)との混合物を意味する。本発明方法では2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9または10個またはそれ以上の異なる化合物を使用できる。
本発明方法で、一種以上の化合物が存在し且つ各化合物のnの数が異なる場合、例えば、本発明方法を異なるポリマーのブレンド物を用いて行う場合、(上記化合物・n)に対するラクチドのモル比が各化合物毎に70以下になるように反応条件を設定する。これによって、各化合物の各OH基またはNH2基が存在でき、ラクチドは70以下だけ各基のモル過剰である。下記の式(Eq. 1)はラクチドのmLAモルに対する化合物1のモルmCmp1に関するラクチド:(上記化合物・n)のモル比を設定したものである。ここで、上記化合物1の分子はOH基および/またはNH2基を含む数nCmp1である。
Figure 2015500384
異なる化合物のブレンド物(例えばポリマーブレンド物)が存在する場合には下記の式(Eq.2)が設定される。これはラクチドのモルmLAに対する異なる化合物のブレンド物(比較例1〜比較例5)に関するラクチド:(上記化合物・n)のモル比である。この異なる化合物はOH基および/またはNH2基をnCmp1含む化合物1の分子をmCmp1モルと、OH基および/またはNH2基をnCmp2含む化合物2の分子をmCmp2モルと、・・・・OH基および/またはNH2基をnCmp5含む化合物5の分子をmCmp5モルとを含む。
Figure 2015500384
nの値は少なくとも一つ、例えば1〜10, 1〜20, 1〜30または1〜500の範囲の値である。nは1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8または10であるのが好ましい。nが一つの化合物に関して1より大きい時、本発明方法のオリゴマー化を介して新規構造を形成できる。n=2の場合、非乳酸のコアと、オリゴマー乳酸の羽根(ブレード)とを有するプロペラ形(2枚羽根)コポリマーが形成される。n=3の場合、非乳酸のコアと、オリゴマー乳酸の羽根とを有する星形(3枚羽根)コポリマーが形成される。従って、オリゴマーは明確に定義された長さを有し、化合物から出た末端基で分岐する。これは、上記化合物がポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(L)乳酸、ポリ(D)乳酸、ポリ(D,L)乳酸、ポリシロキサン、ポリブチレンスクシネート、ポリトリメチレンカーボネート、ポリカプロラクトン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリカーボネート、ポリアルキレンカーボネート、ポリアミン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリアクリレートおよびポリアミノ酸から成る群の中から選択され且つn個のOH基および/またはNH2基(ここで、nは1以上の整数)を含むポリマーであるときに特に適している。
本発明方法から得られる各乳酸オリゴマー鎖の末端基(ヒドロキシルまたはアミン)はさらなる反応に利用できる。換言すれば、本発明の方法によってテレキーレック(telechelic)オリゴマーが形成される(特にn>1 (例えばn=2)の場合)。このテレキーレックオリゴマーは非乳酸のコアを有するマルチブロックコポリマーの製造でマクロ開始剤の役目をさせることができる。これは上記化合物がポリマーであるときに特に適している。このポリマーはヒドロキシルを含むのが好ましい、すなわちX1はヒドロキシルであるのが好ましい。従って、本発明の他の具体例は本発明方法で調製したオリゴマーのマルチブロックコポリマー製造での使用にある。
ラクチドのROPの特定の微細構造を与える他の化合物、例えば分岐剤などを考えることができる。
乳酸オリゴマーの製造で用いる触媒系は任意の適切な触媒系にすることができる。本発明に適した触媒系は有機金属触媒である。有機金属触媒の例を以下に示す。本発明に適した触媒は一般式:M(Y1,Y2,...Ypqを有する触媒にすることができる。ここで、Mは元素周期律表の第3族〜第12族の元素および元素Al、Ga、In、Tl、Ge、Sn、Pb、Sb、Ca、MgおよびBiからなる群の中から選択される金属であり、Y1,Y2,...YpはそれぞれC1-20アルキル、C6-30アリール、C1-20アルコキシ、C6-30アリールオキシおよびその他の酸化物、カルボキシレートおよびハロゲン化物族および周期律表の第15族および/または第16族の元素から成る群の中から選択される置換基であり、pおよびqは1〜6の整数である。適切な触媒の例としては特にSn, Ti, Zr, ZnおよびBi、好ましくはアルコキシドまたはカルボキシレート、より好ましくはSn(Oct)2, Ti(OiPr)4, Ti(2-エチルヘキサノエート)4, Ti(2-エチルヘキシルオキシド)4, Zr(OiPr)4, Bi(ネオデカノエート)3またはZn(ラクテート)2の触媒が挙げられる。
他に適した触媒は一般式(III)の触媒にすることができる。
Figure 2015500384
(ここで、
2およびR3は互いに独立してC1-10アルキルであり、
4、R5およびR6は互いに独立してC1-10アルキルであるか、R4およびR5が互いに共有結合し且つそれぞれがメチレンで且つR6がC1-10アルキルであり、
2はC1-10アルキル、−OR7、または、−N(SiR8 32から選択され、R7がC1-10アルキルで且つR8がC1-6アルキルである)
2およびR3は互いに独立してC1-10アルキルである;好ましくはR2およびR3は互いに独立してC1-6アルキルである;好ましくはR2およびR3は互いに独立してC1-4アルキルである;例えば、R2およびR3は互いに独立して、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、2-メチル-エチル、n-ブチル、i-ブチルおよびtブチルから成る群の中から選択できる;好ましくはR2およびR3は互いに独立して、メチル、エチル、i-プロピルおよびtブチルから成る群の中から選択できる;例えばR2およびR3は互いに独立して、i-プロピルまたはtブチルから選択できる;好ましくはR2およびR3はtブチルである。
4、R5およびR6は互いに独立してC1-10アルキルである、好ましくはR4、R5およびR6は互いに独立してC1-6アルキルである、好ましくはR4、R5およびR6は互いに独立してC1-4アルキルである。例えば、R4、R5およびR6は互いに独立して、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、2-メチル-エチル、n-ブチル、i-ブチルおよびtブチルから成る群の中から選択できる;例えば、R4、R5およびR6は互いに独立して、メチル、エチル、i-プロピルおよびtブチルから成る群の中から選択できる;例えば、R4、R5およびR6は互いに独立して、メチルまたはエチルから選択できる;好ましくはR4、R5およびR6は互いに独立してメチルである。または、R4およびR5が互いに共有結合し且つそれぞれメチレンで且つR6がC1-10アルキルであり;好ましくはR6がC1-6アルキルであり;好ましくはR6がC1-4アルキルであり;例えばR6はメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、2-メチル-エチル、n-ブチル、i-ブチルおよびtブチルから成る群の中から選択できる;例えばR6はメチル、エチル、i-プロピルおよびtブチルから成る群の中から選択できる;例えば、R6はメチルまたはエチルから選択できる;例えばR6はメチルにすることができる。
2はC1-10アルキル、−OR7または−N(SiR8 32から選択され、R7はC1-10アルキルで、R8はC1-6アルキルである;好ましくはX2はC1-6アルキル、−OR7または−N(SiR8 32から選択され、R7はC1-6アルキルで、R8はC1-6アルキルである;好ましくはX2はC1-4アルキル、−OR7または−N(SiR8 32から選択され、R7はC1-4アルキルで、R8はC1-4アルキルである;例えばX2はメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、2-メチル-エチル、n-ブチル、i-ブチルおよびtブチルから成る群の中から選択でき、または−OR7または−N(SiR8 32から選択でき、R7はメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、2-メチル-エチル、n-ブチル、i-ブチルおよびtブチルから成る群の中から選択でき且つR8はメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、2-メチル-エチル、n-ブチル、i-ブチルおよびtブチルから成る群の中から選択できる;好ましくは、X2はメチル、エチル、i-プロピルおよびn-ブチルから成る群の中から、または−OR7から選択でき、R7はメチル、エチル、i-プロピルおよびt-ブチルから成る群の中から選択できる;好ましくは、X2は−OR7から選択でき、R7はメチル、エチル、i-プロピルおよびt-ブチルから成る群の中から選択できる;X2は−OR7にすることができ、R7はエチルである。
本発明の一実施例では、R2およびR3は互いに独立してC1-6アルキルである。好ましくはR2およびR3は互いに独立してメチル、エチル、i-プロピルおよびt-ブチルから成る群の中から選択できる;例えば、R2およびR3は互いに独立してi-プロピルまたはt-ブチルから選択できる;好ましくはR2およびR3はt-ブチルである。
本発明の一実施例では、R4、R5およびR6は互いに独立してC1-6アルキルである。例えばR4、R5およびR6は互いに独立してメチル、エチル、i-プロピルおよびtブチルから成る群の中から選択できる;好ましくは、R4、R5およびR6は互いに独立してメチルまたはエチルから選択できる;より好ましくはR4、R5およびR6は互いに独立してメチルにすることができる。
例えば、本発明方法は式(III) の触媒を用いて行うことができる。ここで、R2およびR3は互いに独立してC1-6アルキルである;R4、R5およびR6は互いに独立してC1-6アルキルであり、X2はC1-6アルキル、−OR7または−N(SiR8 32から選択され、R7はC1-6アルキルで、R8はC1-6アルキルである。
本発明方法は例えば式(III) の触媒を用いて行うことができ、その場合、R2およびR3は互いに独立してC1-6アルキルであり、R4およびR5は互いに共有結合し且つそれぞれメチレンであり、R6はC1-6アルキルであり、X2はC1-6アルキル、−OR7または−N(SiR8 32から選択され、R7はC1-6アルキルで、R8はC1-6アルキルである。
乳酸オリゴマーを生成するラクチドのオリゴマー化は例えば式(III) の触媒を用いて行うことができ、その場合、R2およびR3は互いに独立してC1-4アルキルであり、R4、R5およびR6は互いに独立してC1-4アルキルであり、X2はC1-4アルキル、−OR7または−N(SiR8 32から選択され、R7はC1-4アルキルで、R8はC1-4アルキルである。
例えば、乳酸オリゴマーを生成するラクチドのオリゴマー化は式(III) の触媒を用いて行うことができ、その場合、R2およびR3は互いに独立してC1-4アルキルであり、R4およびR5は互いに共有結合し且つそれぞれメチレンで、R6はC1-14アルキルであり、X2はC1-4アルキル、−OR7または−N(SiR8 32から選択され、R7はC1-4アルキルで、R8はC1-4アルキルである。
好ましい実施例では、R2およびR3は互いに独立してC1-4アルキル、好ましくはt-ブチルまたはイソプロピルであり、R4、R5およびR6は互いに独立してC1-2アルキルであり、X2は−OR7であり、R7はC1アルキルである。
好ましい実施例では、R2およびR3は互いに独立してC1-4アルキル、好ましくはt-ブチルまたはイソプロピルであり、R4およびR5は互いに共有結合し且つそれぞれメチレンであり、R6はC1-2アルキルで、X2は−OR7で、R7はC1アルキルである。
本発明の一実施例では、触媒は下記式 (IIIa), (IIIb), (IIIc)または(IIId)である:
Figure 2015500384
(ここで、R2, R3, R4, R5, R6およびX2は上記と同じ意味を有する)
本発明の一実施例では、式(III)の触媒は(2,4-ジ-tert-ブチル-6-(((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)メチル)フェノキシ)(エトキシ)亜鉛であり、下記の式(IV)で表され、「DDTBP-Zn (OEt)」ともよばれる。
Figure 2015500384
この(2,4-ジ-tert-ブチル-6-(((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)メチル)フェノキシ)(エトキシ)亜鉛は下記文献に記載の方法で調製できる。この文献の内容は参考として本明細書の一部を成す。
Williams et al. (J. Am. Chem. Soc., 2003, 125, 11350-59)
ラクチドの重合は触媒の存在下で行う。触媒は触媒に対してラクチドが過剰になる任意の量で使用できる。触媒に対するラクチドのモル比は例えば200 000, 100 000, 80 000, 60 000, 40 000, 20 000, 10 000, 5 000, 3000以下、200〜3 000、200〜2800、または200 〜2 500にすることができる。
本発明方法は一般に密閉された反応容器内で不活性ガス(例えば窒素、ヘリウム)雰囲気下に行う。本発明方法は溶融状態下で、追加の溶剤の非存在下に行うのが好ましい。本発明方法は高粘度用撹拌器を備えた反応器内でラクチドを触媒と接触させるか、アルゴンまたは窒素の存在下の不活性雰囲気中に一軸、二軸または多軸スクリュー押出機(または水平反応器)で押出しで行うのが好ましい。本発明方法は周囲雰囲気下で行うこともできる。温度は例えば容器または反応器を油浴に浸漬させて調整する。反応は停止することができる。
オリゴマー化反応は耕地の任意の停止方法を用いて必要に応じて停止できる。一般には酸塩化物を用いて急冷する。この酸塩化物は式Cl-CO-R9(ここで、R9はアルキニル、アミノアルキル、アルキル、R1から成る群の中から選択される)を有するのが好ましい。R9 はペント1-イルニルまたはアミノエチルであるのが最も好ましい。変形例では、反応容器を開けて大気中の酸素で触媒を不活性化し、オリゴマー化反応を急冷する。
本発明の他の対象は、本発明方法で調製されたオリゴマーにある。このオリゴマーでは、[(数平均分子量 (Mn)から上記化合物の分子量を引いたもの)/n]が10 100 g/mol以下、一般に900 〜8900 g/molにすることができる。この上記化合物は乳酸オリゴマーに組み込まれる化合物であることは理解できよう。上記化合物の混合物(例えばポリマーブレンド物)の場合にはオリゴマーのブレンド物が生じる。得られる生成物はこのポリマーブレンド物の各化合物毎に[(Mnから上記化合物の分子量を引いたもの)]/nは10 100 g/mol以下、一般に900 〜8900 g/molである。
1.移動剤としてのアルコール
式(I)を有する化合物である移動剤としての種々のアルコールの存在下でSn(Oct)2触媒(Cat)を用いてL-ラクチドを開環重合してL-乳酸オリゴマーを合成した。3種類のアルコールすなわち1-オクタノール、イソプロパノールおよびHEMA (2-ヒドロキシエチルメタクリレート)を別々の実験で用いた。各移動剤で得られたオリゴマー生成物は下記スキーム1で示される。
Figure 2015500384
スキーム1:
3種類のアルコール移動剤を用いたラクチドの乳酸オリゴマーへの変換
L-ラクチドの開環重合を塊重合で行った。反応は150〜185℃の温度で行った。生成物はSECで分析した。SECはVISCOTEK GPCマックス機器を用い、溶剤として25℃のテトラヒドロフラン(THF)を用い、150 μlのサンプル容量で1ml/分の流量でPLgel 5μm MIXED-C 200 x 75 mm カラム (Aligent)、屈折率検出器を用いて行い、Waters Empowerソフトウェアを用いて解析した。溶出曲線はポリスチレン標準品に対して補正した。
実験結果を[表1]に示す。
Figure 2015500384
ポリラクチドの末端基構造は1Hおよび13C NMRで分析した。これによって、得られたポリマーの分子量をより正確に計算することができた。さらに、GPCはPLLA分子量を求める良い分析法である。CDCl3中の1Hおよび13C NMR分析によるPLA オリゴマーの特徴付けによって、主要ポリマー鎖の典型的共鳴の他に、ヒドロキシメチルとアルコキシエステル鎖末端の両方が存在することが明らかにわかった。
2.移動剤としてのアミン
アミン移動剤であるベンジルアミンの存在下でSn(Oct)2触媒を用いてL-ラクチドを開環重合してL-乳酸、オリゴマーを合成した。反応スキームは下記のスキーム2で表される。
Figure 2015500384
スキーム2:
アミン移動剤を用いたラクチドのオリゴマー乳酸への変換
L-ラクチドの開環重合を塊重合で30分間行った。反応は150〜185℃の温度で行った。生成物はSECで分析した。SECはVISCOTEK GPCマックス機器を用い、溶剤として25℃のテトラヒドロフラン(THF)を用い、150 μlのサンプル容量で、1ml/分の流量でPLgel 5μm MIXED-C 200 x 75 mm カラム (Aligent)と屈折率検出器を用いて行い、Waters Empowerソフトウェアを用いて解析した。溶出曲線はポリスチレン標準品に対して補正した。実験結果を[表2]に示す。
Figure 2015500384
3.ジオールおよびトリオール移動剤
ジオールまたはトリオール移動剤の存在下でSn(Oct)2触媒を用いてL-ラクチドを開環重合してオリゴマーL-乳酸を合成した。これによって直鎖テレキーレックなジヒドロキシHO-PLLA-OHまたは3つのアームを有する星形のトリヒドロキシR-(PLLA-OH)3ポリマーが得られた。移動剤はジオール(1,3-プロパンジオール)またはトリオール(グリセロール)を用いた。反応スキームはを下記のスキーム3で示される。
Figure 2015500384
スキーム3:
ジオールまたはトリオール移動剤を用いたラクチドのオリゴマー乳酸への変換
L-ラクチドの開環重合を塊重合で30分間行った。反応は150〜185℃の温度で行った。生成物はSECで分析した。SECはVISCOTEK GPCマックス機器を用い、溶剤として25℃のテトラヒドロフラン(THF)を用い、150 μlのサンプル容量で、1ml/分の流量でPLgel 5μm MIXED-C 200 x 75 mm カラム (Aligent)と屈折率検出器を用いて行い、Waters Empowerソフトウェアを用いて解析した。溶出曲線はポリスチレン標準品に対して補正した。実験結果は[表3]に示す。
表3.Sn(Oct)2触媒系およびジオール(PPD)またはトリオール(GLY)移動剤を用いた150〜185℃でのL-LAの塊重合
Figure 2015500384
PLAオリゴマーの1Hおよび13C NMR分析から主ポリマー鎖の典型的な共鳴の他にヒドロキシル末端基の特性信号によって同定される特有のポリマー鎖末端が存在することが示された。ジオールおよびトリオールに由来するHO-PLA-OH およびHO-PLA-(OH)2の場合、中心有機質部分も明確に同定された。これらのポリマーはそのヒドロキシル末端基によってマルチブロックコポリマー製造でマクロ開始剤の役目をさせることができる。
4.移動剤としての官能性ポリマー
ヒドロキシルエンドキャップされたマクロポリマーの存在下でSn(Oct)2触媒を用いてL-ラクチドを開環重合してオリゴマーL-乳酸を合成した。ヒドロキシエンドキャップされたポリプロピレン(PP)をマクロ開始剤および移動剤として用いて種々のジブロックおよびトリブロックコポリマーを高効率で製造した。反応スキームは下記スキーム4で示される。
Figure 2015500384
スキーム4:
移動剤としてヒドロキシエンドキャップされたポリプロピレンを用いたラクチドのオリゴマー乳酸への変換
L-ラクチドの開環重合をトルエン中で行った。反応は110℃の温度で行った。生成物はSECで分析した。SECはVISCOTEK GPCマックス機器を用い、溶剤として25℃のテトラヒドロフラン(THF)を用い、150 μlのサンプル容量で、1ml/分の流量でPLgel 5μm MIXED-C 200 x 75 mm カラム (Aligent)を用い、屈折率検出器を用い、Waters Empowerソフトウェアを用いて解析した。溶出曲線はポリスチレン標準品に対して補正した。実験結果は[表4]に示す。
実施例([表4])で用いたヒドロキシエンドキャップされたポリプロピレン開始剤(PP-OH)はプロピレンから得た。最初にプロピレンを、特許文献2(米国特許第US 6,376,418B1号明細書)に記載のメタロセン触媒を用いて重合し、続いてポリマーを非特許文献2(Gray et al.; Macromolecules 1998, 31, 3417-3423)に記載の条件下でヒドロホウ素化/酸化反応させ、最後にビニル基末端ポリマー鎖を-OH基末端ポリマー鎖に変換する。
米国特許第US 6,376,418B1号明細書 Gray et al.; Macromolecules 1998, 31, 3417-3423
Figure 2015500384
アルコール、マルチオールまたはアミン基が取り込まれたことを1Hおよび13C NMRおよびGPCで確認した。上記化合物をSn(Oct)2先駆体を用いてアルコール、アミンまたはマルチオールに変えることができ、本発明方法の多用途性が明らかになり、末端官能基化したHO-PLLAORポリマーの製造が可能になる。
PP−PLAの特性
PP とPLAのブレンド物はポリマーが非相溶性(ポリマーが互いに混和できない)であるため不均質性 (heterogeneities) を示すということは知られている。〔表4〕からの実施例23をメタロセンベースのポリプロピレン樹脂(MR 2001, 溶融指数 = 25 g/分)およびROPで調製した PLA ホモポリマー(溶融指数= 15〜30 g/分)とブレンド比= 40/40/10 (wt%) PP/PLA/PP-PLAでブレンドした。比較例として純粋なPP/PLAブレンド物(50/50)も調製した。これらのブレンド物はHaake マイクロコンパウンダで200℃、100回転/分でブレンドした。
得られた材料の熱的特性[20ーC/分速度の加熱/冷却速度で得られたDSC曲線)を[図1](PP/PLA 50/50)と[図2](PP/PLA/PP-PLA 40/40/10)に示す。これらの図はPP-PLA を含むブレンド物はPP/PLAブレンド物に比べて各種の溶融プロフィルで相溶性が改良されることを示している。
材料をRuO4で染色し、走査電子顕微鏡法で解析した。[図3]および[図4]はそれぞれPP/PLA 50/50およびPP/PLA/PP-PLA 40/40/10ブレンド物を示す。
これらの結果はPP/PLA混合物にPP-PLAを添加することによって2つの材料の相溶性が改良することを示している。

Claims (14)

  1. 触媒の存在下で、ラクチドを少なくとも一種の化合物と接触させる段階を含む乳酸オリゴマーの製造方法であって、上記化合物がポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(L)乳酸、ポリ(D)乳酸、ポリ(D,L)乳酸、ポリシロキサン、ポリブチレンスクシネート、ポリトリメチレンカーボネート、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリカーボネート、ポリアルキレンカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリウレタンおよびポリアクリレートから成る群の中から選択され且つn個のOH基および/またはNH2基(ここで、nは1以上の整数)を含むポリマーであり、下記の式を満たし:
    Figure 2015500384
    且つ反応を少なくとも70℃の温度で行うことを特徴とする方法。
  2. 上記方法を溶剤を用いずに行う請求項1に記載の方法。
  3. 上記方法を110℃〜190℃の温度で行う請求項2に記載の方法。
  4. 下記式を満たす請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法:
    Figure 2015500384
    (ここで、Mn(乳酸オリゴマー)はサイズ排除クロマトグラフィーで測定し、nが上記化合物中に存在するOH基およびNH2基の数)
  5. 触媒が有機金属触媒である請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 上記触媒が一般式:M(Y1,Y2,...Ypqを有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法(ここで、Mは元素周期律表の第3族〜第12族の元素および元素Al、Ga、In、Tl、Ge、Sn、Pb、Sb、Ca、MgおよびBiからなる群の中から選択される金属であり、Y1,Y2,...YpはそれぞれC1-20アルキル、C6-30アリール、C1-20アルコキシ、C6-30アリールオキシおよびその他の酸化物、カルボキシレートおよびハロゲン化物および元素周期律表の第15族および/または第16族の元素から成る群の中から選択される置換基であり、pおよびqは1〜6の整数である)
  7. 触媒が一般式(III)を有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法:
    Figure 2015500384
    (ここで、
    2およびR3は互いに独立してC1-10アルキル、
    4、R5およびR6は互いに独立してC1-10アルキルであるか、R4およびR5が互いに共有結合し且つそれぞれがメチレンで且つR6がC1-10アルキルであり、
    2はC1-10アルキル、−OR7または−N(SiR8 32から選択され、R7はC1-10アルキルで、R8はC1-6アルキルである)
  8. nが少なくとも2である請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 上記化合物がポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(L)乳酸、ポリ(D)乳酸、ポリ(D,L)乳酸、ポリシロキサン、ポリブチレンスクシネート、ポリトリメチレンカーボネート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアルキレンカーボネート、ポリビニルアルコールおよびポリウレタンから成る群の中から選択され且つn個のOH基および/またはNH2基(ここで、nは1以上の整数)を含むポリマーである請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 上記化合物がポリプロピレン、ポリエチレン、ポリシロキサン、ポリブチレンスクシネート、ポリトリメチレンカーボネート、ポリカーボネート、ポリアルキレンカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリウレタンおよびポリアミノ酸から成る群の中から選択され且つn個のOH基(ここで、nは1以上の整数)を含むポリマーであるか、上記化合物がポリプロピレン、ポリエチレン、ポリシロキサン、ポリブチレンスクシネート、ポリトリメチレンカーボネート、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアルキレンカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリウレタンおよびポリアミノ酸から成る群の中から選択され且つn個のNH2基(ここで、nは1以上の整数)を含むポリマーであるか、上記化合物がポリプロピレン、ポリエチレン、ポリシロキサン、ポリブチレンスクシネート、ポリトリメチレンカーボネート、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアルキレンカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリウレタンおよびポリアミノ酸から成る群の中から選択され且つn個のNH2基とOH基(ここで、nは2以上の整数)を含むポリマーである請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  11. 反応を請求項6に記載の触媒を用いて少なくとも140℃の温度で行う請求項1〜6、8〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 反応を請求項7に記載の触媒を用いて少なくとも110℃の温度で行う請求項1〜5および7〜10のいずれか一項に記載の方法。
  13. 上記化合物の少なくとも一つが上記ポリマーの少なくとも2つの混合物である請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法で製造されたオリゴマー。
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