以下、本発明の詳細を説明する。
(バックコンタクト方式の太陽電池モジュール用の導電ペースト)
本発明に係るバックコンタクト方式の太陽電池モジュール用の導電ペーストは、導電部の外表面に複数の突起を有する導電性粒子と、分子量が10000以上である熱硬化性化合物と、マイクロカプセル型熱硬化剤と、溶剤とを含む。本発明に係る導電ペーストは、導電部の外表面に突起を有さない導電性粒子を含む導電ペーストとは異なる。
本発明に係る導電ペーストでは、上記の構成が採用されているので、反りが生じやすいバックコンタクト方式の太陽電池モジュールであっても反りを生じ難くすることができ、耐候性を高めることができる。さらに、本発明に係る導電ペーストでは、分子量が特定範囲の熱硬化性化合物を用いているが、上記熱硬化性化合物の熱硬化が開始し始めて粘度が上昇すると、接続途中で、電極と導電性粒子の間に粘度が上昇した化合物が入り込むことがある。そこで導電部の外表面に複数の突起を有する導電性粒子を用い、さらに溶剤を含有させることで、上記導電性粒子が適切な位置に配置され、粘度が上昇した上記化合物を排除することができる。従って、上記の構成が採用されていることで、電極間の導通信頼性を高めることができる。この結果、初期のエネルギー変換効率及び信頼性試験後のエネルギー変換効率を高めることができる。本発明では、上記導電ペーストが上記の組成を有し、上記溶剤を揮発させて上記導電ペーストを用いることで、導電性粒子の電極が無い領域への移動が妨げられ、電極間に導電性粒子を効率的に配置することができる。また、導電性粒子における突起は電極に対する接触性を高める。また更に、上記導電性粒子が導電部の外表面に複数の突起を有することで、導電部の表面及び電極の表面に酸化膜が形成されていたとしても、突起により酸化膜が突き破られる。このため、電極間の導通信頼性が高くなる。この結果、バックコンタクト方式の太陽電池モジュールにおいて、エネルギー変換効率がかなり高くなる。
このように、本発明に係る導電ペーストでは、上記の構成が採用されていることにより、特にバックコンタクト方式の太陽電池モジュール用途において、極めて有効な複数の効果を相乗的に奏することができる。
バックコンタクト方式の太陽電池モジュールにおいて、エネルギー変換効率を高めることは、最も重要視されている性能である。本発明者によって、バックコンタクト方式の太陽電池モジュールにおいて、エネルギー変換効率をかなり高めることができる新たな上記の構成が初めて見出された。
以下、導電性粒子、導電ペーストの他の詳細を説明する。
(導電性粒子)
上記導電性粒子は、導電部の外表面に複数の突起を有する。上記導電性粒子は、基材粒子と、上記基材粒子の表面上に配置された導電部とを有し、かつ上記導電部の外表面に複数の突起を有することが好ましい。上記導電性粒子が、上記基材粒子と、上記基材粒子の表面上に配置された導電部とを有することで、電極間の間隔を高精度に制御できる。また、電極間の間隔の変動に対応して、導電性粒子が変形しやすいので、電極間の導通信頼性を高めることができる。但し、上記導電性粒子は、基材粒子を必ずしも有していなくてもよく、全体が導電部であってもよい。
以下、バックコンタクト方式の太陽電池モジュールに用いられる導電性粒子について、図面を参照しつつ、より具体的に説明する。
図6は、後に説明する図1に示す太陽電池モジュールに用いられる導電ペーストに含まれる導電性粒子を示す断面図である。以下の具体的な形態において、異なる部分構成は互いに置き換え可能である。
図6に示す導電性粒子21は、基材粒子22と、基材粒子22の表面上に配置された導電部23とを有する。導電部23は導電層である。導電部23は、基材粒子22の表面を覆っている。導電性粒子21は、基材粒子22の表面が導電部23により被覆された被覆粒子である。
導電性粒子21は、導電部23の外表面に、複数の突起21aを有する。導電部23は外表面に、複数の突起23aを有する。
導電性粒子21は、基材粒子22の表面上に複数の芯物質24を有する。導電部23は、基材粒子22と芯物質24とを被覆している。芯物質24を導電部23が被覆していることにより、導電性粒子21は導電部23の外表面に複数の突起23aを有する。芯物質24により導電部23の外表面が隆起されており、複数の突起21a,23aが形成されている。
図7は、導電性粒子の第1の変形例を示す断面図である。
図7に示す導電性粒子21Aは、基材粒子22と、基材粒子22の表面上に配置された導電部23Aとを有する。導電部23Aは導電層である。導電性粒子21と導電性粒子21Aとでは、芯物質24の有無のみが相違している。導電性粒子21Aは、芯物質を有さない。
導電性粒子21Aは、導電部23Aの外表面に、複数の突起21Aaを有する。導電部23Aは外表面に、複数の突起23Aaを有する。
導電部23Aは、第1の部分と、該第1の部分よりも厚みが厚い第2の部分とを有する。従って、導電部23Aは外表面(導電層の外表面)に突起23Aaを有する。複数の突起21Aa,23Aaを除く部分が、導電部23Aの上記第1の部分である。複数の突起21Aa,23Aaは、導電部23Aの厚みが厚い上記第2の部分である。
導電性粒子21Aのように、突起21Aa,23Aaを形成するために、必ずしも芯物質を用いなくてもよい。
図8は、導電性粒子の第2の変形例を示す断面図である。
図8に示す導電性粒子21Bは、基材粒子22と、基材粒子22の表面上に配置された導電部23Bとを有する。導電部23Bは導電層である。導電部23Bは、基材粒子22の表面上に配置された第1の導電部23Bxと、第1の導電部23Bxの外表面上に配置された第2の導電部23Byとを有する。
導電性粒子21Bは導電部23Bの外表面に、複数の突起21Baを有する。導電部23Bは外表面に、複数の突起23Baを有する。
導電性粒子21Bは、第1の導電部23Bxの外表面上に複数の芯物質24を有する。第2の導電部23Byは、第1の導電部23Bxと芯物質24とを被覆している。基材粒子22と芯物質24とは間隔を隔てて配置されている。基材粒子22と芯物質24との間には、第1の導電部23Bxが存在する。芯物質24を第2の導電部23Byが被覆していることにより、導電性粒子21Bは導電部23Bの外表面に、複数の突起23Baを有する。芯物質24により導電部23B及び第2の導電部23Byの外表面が隆起されており、複数の突起21Ba,23Baが形成されている。
導電性粒子21Bのように、導電部23Bは、多層構造を有していてもよい。さらに、突起21Ba,23Baを形成するために、芯物質24を内層の第1の導電部23Bx上に配置して、外層の第2の導電部23Byにより芯物質24及び第1の導電部23Bxを被覆してもよい。
なお、導電性粒子21,21A,21Bはいずれも、導電部23,23A,23Bの外表面に複数の突起21a,21Aa,21Baを有する。
上記のような導電性粒子21,21A,21B等を用いて、本発明では、バックコンタクト方式の太陽電池モジュールが作製される。但し、導電性粒子が、基材粒子と、上記基材粒子の表面上に配置された導電部とを有し、かつ上記導電部の外表面に複数の突起を有していれば、導電性粒子21,21A,21B以外の導電性粒子を用いてもよい。
上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。上記基材粒子は、金属粒子を除く基材粒子であることが好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることがより好ましい。
上記基材粒子は、樹脂により形成された樹脂粒子であることが好ましい。電極間を接続する際には、導電性粒子を電極間に配置した後、一般的に導電性粒子を圧縮させる。基材粒子が樹脂粒子であると、圧縮により導電性粒子が変形しやすく、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなる。このため、電極間の導通信頼性が高くなる。
上記樹脂粒子を形成するための樹脂として、種々の有機物が好適に用いられる。上記樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリアルキレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、及び、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させて得られる重合体等が用いられる。エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させることにより、導電材料に適した任意の圧縮時の物性を有する樹脂粒子を設計及び合成することができる。
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する単量体を重合させて得る場合には、上記エチレン性不飽和基を有する単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合には、基材粒子の材料である無機物としては、シリカ及びカーボンブラック等が挙げられる。上記無機物は金属ではないことが好ましい。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシリル基を2つ以上有するケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子である場合には、該金属粒子の材料である金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。但し、基材粒子は金属粒子ではないことが好ましい。
上記基材粒子の平均粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、更に好ましくは10μm以上、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下、特に好ましくは20μm以下である。基材粒子の平均粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導電性粒子と電極との接触面積が充分に大きくなり、かつ導電層を形成する際に凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。また、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電部が基材粒子の表面から剥離し難くなる。太陽電池セルやフレキシブルプリント基板の回路表面の凹凸の影響を吸収する観点から、上記基材粒子の平均粒子径は10μm以上、かつ50μm以下であることが好ましい。
上記基材粒子の「平均粒子径」は、数平均粒子径を示す。樹脂粒子の平均粒子径は、任意の樹脂粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
上記導電部の厚みは、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは20nm以上、特に好ましくは50nm以上、好ましくは1000nm以下、より好ましくは800nm以下、更に好ましくは500nm以下、特に好ましくは400nm以下、最も好ましくは300nm以下である。複数の導電部がある場合には、上記導電部の厚みは、複数の導電部全体の厚みを示す。上記導電部の厚みが上記下限以上であると、導電性粒子の導電性がより一層良好になる。上記導電部の厚みが上記上限以下であると、基材粒子と導電部との熱膨張率の差が小さくなり、基材粒子から導電部が剥離し難くなる。
上記基材粒子の表面上に上記導電部を形成する方法としては、無電解めっきにより上記導電部を形成する方法、並びに電気めっきにより上記導電部を形成する方法等が挙げられる。
上記導電部は、金属を含むことが好ましい。上記導電部の材料である金属は、特に限定されない。該金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、亜鉛、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、タングステン、モリブデン及びカドミウム、並びにこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属として、錫ドープ酸化インジウム(ITO)を用いてもよい。上記記金属は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記導電性粒子は導電部の外表面に、複数の突起を有する。上記芯物質が上記導電部中に埋め込まれていることによって、上記導電部の外表面に突起を容易に形成可能である。導電性粒子により接続される電極の表面には、酸化膜が形成されていることが多い。突起を有する導電性粒子を用いた場合には、電極間に導電性粒子を配置して圧着させることにより、突起により上記酸化膜が効果的に排除される。このため、電極と導電性粒子とがより一層確実に接触し、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。さらに、突起によって、導電性粒子と電極との間のバインダー樹脂が効果的に排除される。このため、電極間の導通信頼性が高くなる。
上記導電性粒子における上記導電部の外表面に突起を形成する方法としては、基材粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電部を形成する方法、並びに基材粒子の表面に無電解めっきにより導電部を形成した後、芯物質を付着させ、更に無電解めっきにより導電部を形成する方法等が挙げられる。上記突起を形成する他の方法としては、基材粒子の表面上に、第1の導電部を形成した後、該第1の導電部上に芯物質を配置し、次に第2の導電部を形成する方法、基材粒子の表面上に導電部を形成する途中段階で、芯物質を添加する方法、並びに芯物質を添加せずに、無電解めっき形成中にめっき浴内に反応により芯物質を生成し、芯物質と共に無電解めっきにより導電層を形成する方法等が挙げられる。上記基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法としては、従来公知の方法を採用可能である。上記芯物質が上記導電部中に埋め込まれていることによって、上記導電部が外表面に複数の突起を有するようにすることが容易である。但し、導電性粒子及び導電部の表面に突起を形成するために、芯物質を必ずしも用いなくてもよい。上記芯物質は、導電部の内部又は内側に配置されていることが好ましい。
上記芯物質の材料としては、導電性物質及び非導電性物質が挙げられる。上記導電性物質としては、例えば、金属、金属の酸化物、黒鉛等の導電性非金属及び導電性ポリマー等が挙げられる。上記導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン等が挙げられる。上記非導電性物質としては、シリカ、アルミナ及びジルコニア等が挙げられる。なかでも、導電性を高めることができ、更に接続抵抗を効果的に低くすることができるので、金属が好ましい。上記芯物質は金属粒子であることが好ましい。
上記金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、鉛、錫、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム等の金属、並びに錫−鉛合金、錫−銅合金、錫−銀合金、錫−鉛−銀合金及び炭化タングステン等の2種類以上の金属で構成される合金等が挙げられる。なかでも、ニッケル、銅、銀又は金が好ましい。上記芯物質の材料である金属は、上記導電部の材料である金属と同じであってもよく、異なっていてもよい。上記芯物質の材料は、ニッケルを含むことが好ましい。また、上記金属の酸化物としては、アルミナ、シリカ及びジルコニア等が挙げられる。
上記芯物質の形状は特に限定されない。芯物質の形状は塊状であることが好ましい。芯物質としては、例えば、粒子状の塊、複数の微小粒子が凝集した凝集塊、及び不定形の塊等が挙げられる。
上記芯物質の平均径(平均粒子径)は、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.05μm以上、好ましくは0.9μm以下、より好ましくは0.6μm以下、より一層好ましくは0.5μm以下、更に好ましくは0.4μm以下、特に好ましくは0.2μm以下である。上記芯物質の平均径が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続抵抗が効果的に低くなる。
上記芯物質の「平均径(平均粒子径)」は、数平均径(数平均粒子径)を示す。芯物質の平均径は、任意の芯物質50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
上記導電性粒子1個当たりの上記の突起の数は、好ましくは3個以上、より好ましくは5個以上である。上記突起の数の上限は特に限定されない。上記突起の数の上限は特に限定されない。上記突起の数は、好ましくは1000個以下、より好ましくは800個以下である。上記突起の数の上限は導電性粒子の粒子径等を考慮して適宜選択できる。
導通信頼性をより一層高める観点からは、複数の上記突起の平均高さは、好ましくは10nm以上、より好ましくは50nm以上、更に好ましくは200nm以上、好ましくは500nm以下、より好ましくは300nm以下である。上記突起の平均高さが上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続抵抗が効果的に低くなる。導電性粒子と、分子量が上記下限以上である熱硬化性化合物と、マイクロカプセル型熱硬化剤と、溶剤とを含む導電ペーストの場合に、上記突起の平均高さが200nm以上であれば、導通信頼性がかなり高くなり、太陽電池モジュールにおけるエネルギー変換効率がかなり高くなる。
導通信頼性をより一層高める観点からは、複数の上記突起の平均高さの上記導電部の厚みに対する比は好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.0以下である。
上記突起の高さは、導電性粒子の中心と突起の先端とを結ぶ線(図6に示す破線L1)上における、突起が無いと想定した場合の導電部の仮想線(図6に示す破線L2)上(突起が無いと想定した場合の球状の導電性粒子の外表面上)から突起の先端までの距離を示す。すなわち、図6においては、破線L1と破線L2との交点から突起の先端までの距離を示す。
(導電ペーストの他の詳細及び接続材料)
上記導電ペーストは、加熱により硬化可能な熱硬化性化合物として、分子量が10000以上である熱硬化性化合物を含む。反りを効果的に抑える観点からは、上記熱硬化性化合物の分子量は好ましくは30000以上である。上記熱硬化性化合物は上記導電ペースト中に分散していることが好ましい。上記熱硬化性化合物の分子量の上限は特に限定されない。上記熱硬化性化合物の分子量は100000以下であってもよく、50000以下であってもよい。
なお、本明細書において、「分子量」とは、上記熱硬化性化合物が重合体ではない場合、及び上記熱硬化性化合物の構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味する。また、上記熱硬化性化合物が重合体である場合は、重量平均分子量を意味する。また、上記重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されるポリスチレン換算での重量平均分子量を示す。
接続材料は、加熱により硬化可能な硬化性化合物を含むことが好ましい。なお、接続材料及びその使用方法については、後に、バックコンタクト方式の太陽電池モジュール及びその製造方法の欄で具体的に説明する。
上記熱硬化性化合物としては、フェノキシ化合物(フェノキシ樹脂)、オキセタン化合物、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル化合物、フェノール化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリウレタン化合物、シリコーン化合物及びポリイミド化合物等が挙げられる。上記熱硬化性化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
太陽電池モジュールの反りをより一層抑え、かつ耐候性をより一層高める観点からは、上記導電ペーストに含まれる上記熱硬化性化合物は、フェノキシ樹脂であることが好ましい。
導電ペースト及び接続材料の硬化を容易に制御したり、導通信頼性をより一層高めたりする観点からは、上記導電ペーストは、エポキシ基を有する熱硬化性化合物を含むことが好ましい。導電ペースト及び接続材料の硬化性を高める観点からは、上記熱硬化性化合物100重量%中、上記エポキシ基を有する化合物の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、100重量%以下である。上記熱硬化性化合物の全量が上記エポキシ基を有する化合物であってもよい。上記熱硬化性化合物は、芳香族環を有することが好ましい。
上記導電ペーストは、分子量が10000以上である熱硬化性化合物に加えて、分子量が10000未満である熱硬化性化合物を含んでいてもよい。
上記導電ペースト及び上記接続材料は、光の照射により硬化可能な光硬化性化合物を含んでいてもよい。
上記光硬化性化合物としては特に限定されず、(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物及び環状エーテル基を有する光硬化性化合物等が挙げられる。
上記光硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物であることが好ましい。(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物の使用により、導通信頼性がより一層高くなる。導通信頼性を効果的に高める観点からは、上記光硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基を1個又は2個有することが好ましい。
上記(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物として、(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート、又はイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート等が好適に用いられる。
また、上記光硬化性化合物は、架橋性化合物であってもよく、非架橋性化合物であってもよい。
上記架橋性化合物の具体例としては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、ジビニルベンゼン、ポリエステル(メタ)アクリレート、及びウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記非架橋性化合物の具体例としては、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート及びテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記熱硬化性化合物及び上記光硬化性化合物はそれぞれ、光の照射及び加熱により硬化可能な光及び熱硬化性化合物であってもよい。
上記光及び熱硬化性化合物としては、エポキシ基と(メタ)アクリロイル基とを有する光及び熱硬化性化合物が挙げられる。エポキシ基と(メタ)アクリロイル基とを有する光及び熱硬化性化合物としては、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。エポキシ基と(メタ)アクリロイル基とを有する光及び熱硬化性化合物の具体例としては、ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、カルボン酸無水物変性エポキシ(メタ)アクリレート、及びフェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基とメタクリロイル基とを示す。上記「(メタ)アクリル」は、アクリルとメタクリルとを示す。上記「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートとを示す。
光硬化性化合物と熱硬化性化合物との配合比は、光硬化性化合物と熱硬化性化合物との種類に応じて適宜調整される。上記導電ペースト及び上記接続材料は、光硬化性化合物と熱硬化性化合物とを重量比で、1:99〜90:10で含むことが好ましく、5:95〜70:30で含むことがより好ましく、10:90〜50:50で含むことが更に好ましい。上記導電ペースト及び上記接続材料は、光硬化性化合物と熱硬化性化合物とを重量比で、1:99〜50:50で含むことが特に好ましい。
上記導電ペーストに含まれる熱硬化剤は、マイクロカプセル型熱硬化剤である。上記接続材料は、熱硬化剤を含むことが好ましい。
上記マイクロカプセル型熱硬化剤の具体例としては、ジシアンジアミド、ヒドラジド化合物、イミダゾール化合物、トリアジン環を有する化合物、メチル(メタ)アクリレート樹脂又はスチレン樹脂等により形成されたシェルにより、トリフェニルホスフィン(熱硬化剤)が被覆されている潜在性熱硬化剤(例えば、日本化薬社製「EPCAT−P」及び「EPCAT−PS」)、ポリウレア系重合体又はラジカル重合体により形成されたシェルにより、アミンなどの熱硬化剤が被覆されている潜在性熱硬化剤、変性イミダゾールなどの熱硬化剤をエポキシ樹脂中に分散させて閉じ込め、粉砕することにより得られた潜在性熱硬化剤、熱可塑性高分子内に熱硬化剤を分散させ、含有させた潜在性熱硬化剤、並びにテトラキスフェノール類化合物などにより被覆されたイミダゾール潜在性熱硬化剤(例えば、日本曹達社製「TEP−2E4MZ」及び「HIPA−2E4MZ」)、イミダゾール系硬化剤をイソシアネート化合物でカプセル処理した潜在性硬化剤(例えば、旭化成イーマテリアルズ社製「ノバキュアHX3941HP」、「ノバキュアHXA3922HP」、「ノバキュアHXA3932HP」、及び「ノバキュアHXA3042HP」)等が挙げられる。上記マイクロカプセル型熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤、酸無水物及びカチオン硬化剤等が挙げられる。上記熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
接続材料を低温でより一層速やかに硬化させることができるので、上記熱硬化剤は、イミダゾール硬化剤、ポリチオール硬化剤又はアミン硬化剤であることが好ましい。また、接続材料の保存安定性を高めることができるので、マイクロカプセル型熱硬化剤が好ましい。
上記イミダゾール硬化剤としては、特に限定されず、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン及び2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
上記ポリチオール硬化剤としては、特に限定されず、トリメチロールプロパントリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトールヘキサ−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
上記アミン硬化剤としては、特に限定されず、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
上記カチオン硬化開始剤(熱カチオン硬化開始剤、光カチオン硬化開始剤)としては、ヨードニウム系カチオン硬化剤、オキソニウム系カチオン硬化剤及びスルホニウム系カチオン硬化剤等が挙げられる。上記ヨードニウム系カチオン硬化剤としては、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。上記オキソニウム系カチオン硬化剤としては、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボラート等が挙げられる。上記スルホニウム系カチオン硬化剤としては、トリ−p−トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。
上記熱硬化剤の含有量は特に限定されない。上記導電ペースト中の上記熱硬化性化合物100重量部及び上記接続材料中の上記熱硬化性化合物100重量部に対して、上記マイクロカプセル型熱硬化剤及び上記熱硬化剤の各含有量は、好ましくは5重量部以上、より好ましくは10重量部以上、好ましくは40重量部以下、より好ましくは30重量部以下、更に好ましくは20重量部以下である。上記マイクロカプセル型熱硬化剤及び上記熱硬化剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電ペースト及び接続材料を充分に熱硬化させることができる。
上記光硬化開始剤は特に限定されない。上記光硬化開始剤として、従来公知の光硬化開始剤を用いることができる。上記光硬化開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光硬化開始剤としては、特に限定されず、アセトフェノン光硬化開始剤、ベンゾフェノン光硬化開始剤、チオキサントン、ケタール光硬化開始剤、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド、アシルホスフォナート及び上述したカチオン硬化開始剤等が挙げられる。
上記アセトフェノン光硬化開始剤の具体例としては、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、及び2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン等が挙げられる。上記ケタール光硬化開始剤の具体例としては、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
上記光硬化開始剤としては、特に限定されず、アセトフェノン光硬化開始剤、ベンゾフェノン光硬化開始剤、チオキサントン、ケタール光硬化開始剤、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド、アシルホスフォナート及びカチオン開始剤等が挙げられる。
上記アセトフェノン光硬化開始剤の具体例としては、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、及び2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン等が挙げられる。上記ケタール光硬化開始剤の具体例としては、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
電極間の導通信頼性をより一層高くし、エネルギー変換効率をより一層高める観点からは、光カチオン硬化開始剤が好ましい。
上記光硬化開始剤の含有量は特に限定されない。上記光硬化性化合物100重量部に対して、上記光硬化開始剤の含有量は、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.2重量部以上、好ましくは2重量部以下、より好ましくは1重量部以下である。上記光硬化開始剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電ペースト及び接続材料を適度に光硬化させることができる。導電ペースト及び接続材料に光を照射し、Bステージ化することにより、導電ペースト及び接続材料の流動を抑制できる。
上記導電ペーストは溶剤を含む。上記接続材料は、溶剤を含んでいてもよい。上記溶剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記溶剤としては、アセトン、メタノール、エタノール、ブタノール、2−プロパノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、N−メチル−ピロリドン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン及び混合物であるナフサ、及びPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)等が挙げられる。
上記導電ペーストにおいて、上記溶剤が、沸点が異なる2種以上の溶剤を含むことが好ましい。上記導電ペーストにおいて、上記溶剤が、沸点が好ましくは50℃以上、より好ましくは80℃以上、好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以下で異なる2種以上の溶剤を含むことが好ましい。上記導電ペーストは、第1の溶剤と、第1の溶剤と沸点が異なる第2の溶剤とを含むことが好ましい。上記第1の溶剤と上記第2の溶剤との沸点の差の絶対値は、好ましくは10℃以上、より好ましくは30℃以上、好ましくは100℃以下、より好ましくは50℃以下である。
上記沸点が異なる2種類以上の溶剤を使用することで、乾燥時の溶剤残存量を少なくすることができる。これにより、太陽電池モジュール製造時のボイド発生を抑制することができる。
上記導電ペーストは、メチルエチルケトン、PTMGA、トルエン及びシクロヘキサンからなる群から選択される少なくとも2種の溶剤を含むことが好ましく、メチルエチルケトンとPTMGAとを含むことがより好ましい。
上記導電ペースト100重量%中、導電性粒子を除く成分の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上、好ましくは99.99重量%以下、より好ましくは99.9重量%以下である。上記導電性粒子を除く成分の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間に導電性粒子が効率的に配置され、接続信頼性がより一層高くなる。
上記導電ペースト100重量%中、上記導電性粒子の含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下、更に好ましくは40重量%以下、特に好ましくは20重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
(バックコンタクト方式の太陽電池モジュール及びその製造方法)
本発明に係るバックコンタクト方式の太陽電池モジュールは、配線電極を表面に有するフレキシブルプリント基板又は配線電極を表面に有する樹脂フィルムと、第2の電極を表面に有する太陽電池セルと、上記フレキシブルプリント基板又は上記樹脂フィルムと、上記太陽電池セルとを接続している接続部とを備える。上記接続部が、上述したバックコンタクト方式の太陽電池モジュール用の導電ペーストを硬化させることにより形成されている。上記配線電極と上記第2の電極とが、上記導電性粒子により電気的に接続されている。
本発明に係るバックコンタクト方式の太陽電池モジュールの製造方法では、上述した導電ペーストと、配線電極を表面に有するフレキシブルプリント基板又は配線電極を表面に有する樹脂フィルムと、第2の電極を表面に有する太陽電池セルとを用いる。本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法は、上記フレキシブルプリント基板又は上記樹脂フィルムの上記配線電極上又は上記太陽電池セルの上記第2の電極上に、上記導電ペーストを配置する塗布工程と、上記導電ペーストに含まれる上記溶剤を揮発させて、導電材料を形成する揮発工程と、上記フレキシブルプリント基板又は上記樹脂フィルムの上記配線電極と上記太陽電池セルの上記第2の電極とが上記導電性粒子により電気的に接続されるように、上記フレキシブルプリント基板又は上記樹脂フィルムと上記太陽電池セルとを貼り合わせる貼合工程と、上記導電材料を加熱して接続部を形成し、上記接続部により上記フレキシブルプリント基板又は上記樹脂フィルムと上記太陽電池セルとを接続する加熱工程とを備える。
本発明に係る太陽電池モジュール及びその製造方法では、上記の導電ペーストが用いられているため、反りが生じやすいバックコンタクト方式の太陽電池モジュールであっても反りを生じ難くすることができ、耐候性を高めることができ、かつ、電極間の導通信頼性を高くしてエネルギー変換効率を高めることができる。さらに、導電ペーストを硬化させることにより形成された接続部において、ボイドを生じ難くすることができる。
本発明に係るバックコンタクト方式の太陽電池モジュールの製造方法は、上記フレキシブルプリント基板又は上記樹脂フィルムの上記配線電極上又は上記太陽電池セルの上記第2の電極上に、導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電ペーストを配置する塗布工程と、上記フレキシブルプリント基板又は上記樹脂フィルムの上記配線電極と上記太陽電池セルの上記第2の電極とが上記導電性粒子により電気的に接続されるように、上記フレキシブルプリント基板又は上記樹脂フィルムと上記太陽電池セルとを貼り合わせる貼合工程とを備える。さらに、本発明に係るバックコンタクト方式の太陽電池モジュールの製造方法は、上記塗布工程後に、上記配線電極上又は上記第2の電極上に配置された上記導電ペーストに光を照射して、上記導電ペーストの硬化を進行させる第1の硬化工程と、光が照射された導電ペーストを加熱して、上記光が照射された上記導電ペーストを硬化させる第2の硬化工程とをさらに備える。
本発明では、上記塗布工程(塗布工程)において、上記フレキシブルプリント基板又は上記樹脂フィルムの配線電極上に、上記導電ペーストを配置してもよく、上記太陽電池セルの第2の電極上に、上記導電ペーストを配置してもよい。上記塗布工程(塗布工程)において、上記フレキシブルプリント基板又は上記樹脂フィルムの上記配線電極が設けられていない部分にも、上記導電ペーストを配置してもよく、上記太陽電池セルの上記第2の電極が設けられてない部分にも、上記導電ペーストを配置してもよい。上記塗布工程(塗布工程)において、上記フレキシブルプリント基板又は上記樹脂フィルムの全面に、上記導電ペーストを配置してもよく、上記太陽電池セルの全面に、上記導電ペーストを配置してもよい。
上記フレキシブルプリント基板又は上記樹脂フィルムの上記配線電極上に選択的に又は上記太陽電池セルの上記第2の電極上に選択的に、導電ペーストを配置することが好ましい。この場合には、電極間に導電ペーストに含まれる導電性粒子がより一層効率的に配置される結果、電極間の導通信頼性を効果的に高めることができる。また、上記配線電極上又は上記第2の電極上に選択的に導電性粒子を配置すれば、上記フレキシブルプリント基板又は上記樹脂フィルムの上記配線電極が設けられていない部分又は上記太陽電池セルの上記第2の電極が設けられていない部分に配置される導電性粒子の量を少なくすることができる。結果として、太陽電池モジュール全体に使用される導電性粒子の量を少なくすることができるので、太陽電池モジュールの製造コストを低くすることができる。
さらに、太陽電池セルの電極の表面には、凹凸が存在することがある。また、フレキシブルプリント基板又は樹脂フィルムの配線電極の表面にも、凹凸が存在することがある。このため、電極間の間隔が均一ではないことがある。さらに、フレキシブルプリント基板又は樹脂フィルムは比較的柔軟であるために、接続後にフレキシブルプリント基板又は樹脂フィルムの変形に伴って、電極間の間隔が均一にならないことがある。これに対して、上記導電性粒子が、基材粒子と、上記基材粒子の表面上に配置された導電部とを有することで、導電性粒子が変形しやすいので、電極間の間隔の大小を緩和し、導通信頼性を高めることができる。
さらに、上記導電性粒子が導電部の外表面に複数の突起を有することで、電極間の間隔が狭い領域では突起が押し潰されたり又は電極を突き破ったりすることで導通が果たされ、電極間の間隔が広い領域では突起の先端近傍で導通が果たされる。このため、上記導電性粒子が導電部の外表面に複数の突起を有することで、導通信頼性を高めることができる。
さらに、導電性粒子が導電性の表面に突起を有していれば、該突起は電極に埋め込まれる。このため、太陽電池モジュールに衝撃が加えられても、接続不良が生じ難くなる。このため、導通信頼性を効果的に高めることができ、太陽電池モジュールにおける光電変換効率を高めることができる。
バックコンタクト方式の太陽電池モジュールの電極間を電気的に接続するために、導電性の表面に突起を有する導電性粒子を用いることによって、上記の効果が得られることは、本発明者により初めて見出された。特に上記導電性粒子における複数の上記突起の平均高さが、200nm以上であることで、上記の効果がより一層効果的に発揮される。また、バックコンタクト方式の太陽電池モジュールの電極間を電気的に接続するために、導電性粒子が導電部の外表面に突起を有することの重要性や技術的意義については、本発明者により初めて見出された。
次に、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの製造方法について、より具体的に説明する。
図1に、本発明の第1の実施形態に係るバックコンタクト方式の太陽電池モジュール用の導電ペーストを用いたバックコンタクト方式の太陽電池モジュールを断面図で示す。
図1に示す太陽電池モジュール1は、フレキシブルプリント基板2と、太陽電池セル3と、フレキシブルプリント基板2と太陽電池セル3とを接続している接続部4とを備える。接続部4は、導電性粒子21を含む導電ペーストにより形成されている第1の接続部と、導電性粒子を含まない接続材料により形成されている第2の接続部とを有する。導電性粒子21にかえて、導電性粒子21A,21B等を用いてもよい。
また、太陽電池モジュール1では、フレキシブルプリント基板2の接続部4側とは反対側の表面に、封止材5が配置されている。封止材5はバックシートであってもよいし、封止材5のフレキシブルプリント基板2側とは反対の表面に透光性基板等が配置されていてもよい。太陽電池セル3の接続部4側とは反対の表面に封止材6が配置されている。封止材6の太陽電池セル3側とは反対の表面に透光性基板等が配置されていてもよい。
フレキシブルプリント基板2は表面(上面)に、複数の配線電極2a(第1の電極)を有する。太陽電池セル3は表面(下面、裏面)に、複数の第2の電極3aを有する。配線電極2aと第2の電極3aとが、1つ又は複数の導電性粒子21により電気的に接続されている。従って、フレキシブルプリント基板2と太陽電池セル3とが導電性粒子21により電気的に接続されている。上記第1の接続部は、配線電極2aと第2の電極3aとの間に配置されている。上記第2の接続部は、フレキシブルプリント基板2の配線電極2aが設けられていない部分と、太陽電池セル3の第2の電極3aが設けられていない部分との間に配置されている。上記第2の接続部は、配線電極2aと第2の電極3aとの間にも配置されていてもよい。
配線電極2aを表面に有するフレキシブルプリント基板2にかえて、配線電極を表面に有する樹脂フィルムを用いてもよい。
図1に示す太陽電池モジュールは、例えば、以下の図2(a),(b)、図3及び図4(a),(b)に示す工程を経て得ることができる。
配線電極2aを表面に有するフレキシブルプリント基板2を用意する。また、導電性粒子21と熱硬化性化合物と熱硬化剤と溶剤とを含み、かつペースト状である導電ペースト4Aを用意する。導電ペースト4Aは、接続材料でもある。次に、図2(a)に示すように、フレキシブルプリント基板2の配線電極2a上に選択的に、導電ペースト4Aを配置する(塗布工程/第1の配置工程)。なお、太陽電池セル3の第2の電極3a上に、導電ペースト4Aを配置してもよい。
本実施形態では、上記塗布工程において、フレキシブルプリント基板上に全体に均一に導電ペーストを塗布していない。このように、上記塗布工程において、フレキシブルプリント基板上に全体に均一に導電ペーストを塗布しないことが好ましい。可能な限り、配線電極上又は第2の電極上をねらって導電ペーストを配置することが好ましく、配線電極上のみ又は第2の電極上のみに導電ペーストを配置することが好ましい。但し、フレキシブルプリント基板の配線電極が設けられていない部分又は太陽電池セルの第2の電極が設けられていない部分にも、導電ペーストが配置されていてもよい。フレキシブルプリント基板の配線電極が設けられていない部分又は太陽電池セルの第2の電極が設けられていない部分に配置される導電ペーストは少ないほどよい。
従って、上記塗布工程において、上記フレキシブルプリント基板又は上記樹脂フィルム上に配置されるか、又は太陽電池セル上に配置される導電ペーストの全体100重量%中、上記配線電極上又は上記第2の電極上に配置される導電ペーストの量を、好ましくは90重量%以上、より好ましくは99重量%以上、更に好ましくは100重量%(全量)にする。但し、上記フレキシブルプリント基板又は樹脂フィルムの配線電極上と、上記フレキシブルプリント基板又は樹脂フィルムの配線電極が設けられていない部分とに、均一に導電ペーストを配置してもよい。上記太陽電池セルの第2の電極上と、上記太陽電池セルの第2の電極が設けられていない部分とに、均一に導電ペーストを配置してもよい。
配置精度をより一層高める観点からは、上記導電ペーストの配置は、印刷又はディスペンサーによる塗布により行われることが好ましい。従って、上記導電ペーストは、ペースト状である。上記導電ペーストは、導電フィルムではない。導電フィルムを用いれば、所定の大きさの導電フィルムを用意する必要が生じる。
また、塗布工程後に、導電ペーストに含まれる上記溶剤を揮発させて、導電材料4AAを形成する(図2(b)、揮発工程)。導電材料4AAでは、揮発成分の除去によって、粘度が上昇している。
また、第2の電極3aを表面に有する太陽電池セル3を用意する。太陽電池セル3の第2の電極3a上に、導電ペースト4Aを配置した場合には、配線電極2aを表面に有するフレキシブルプリント基板2を用意する。
また、導電性粒子を含まない接続材料4Bを用意する。接続材料4Bは、導電性粒子を含まない。接続材料4Bは、特に限定されないが、硬化性化合物と熱硬化剤とを含む。光硬化開始剤を含んでいてもよい。図3に示すように、上記塗布工程において導電ペースト4Aが配置されなかった太陽電池セル3の第2の電極3aが設けられている側の表面に、導電性粒子を含まない接続材料4Bを配置する(第2の配置工程)。上記塗布工程において導電ペースト4Aが配置されなかったフレキシブルプリント基板2又は樹脂フィルムの配線電極2aが設けられている側の表面に、導電性粒子を含まない接続材料4Bを配置してもよい。導電ペースト4Aが後に示す図4で貼り合わされた時にフレキシブルプリント基板及び太陽電池セルの間を隙間なく埋めることができるだけ十分に多ければ、接続材料4Bは、無くてもよい。
上記マイクロカプセル型熱硬化剤の作用による熱硬化開始温度をT℃とする。上記揮発工程において、導電ペーストの過度の効果を抑えるための加熱温度は、好ましくはT℃以下、より好ましくはT−30℃以下である。
なお、本明細書において、上記熱硬化開始温度とは、示差走査熱量測定(DSC)において、導電ペーストを加熱した際の発熱ピークが立ち上がる温度を意味する。
次に、上記塗布工程で得られ、かつ上記揮発工程が行われ、溶剤が揮発された導電材料4AAが配置されたフレキシブルプリント基板2と、上記第2の配置工程で得られた接続材料4Bが配置された太陽電池セル3とを貼り合わせる工程を行う。
すなわち、図4(a)に示すように、フレキシブルプリント基板2の配線電極2aと太陽電池セル3の第2の電極3aとが導電性粒子21により電気的に接続されるように、フレキシブルプリント基板2と太陽電池セル3とを貼り合わせる(貼合工程)。配線電極2aと第2の電極3aとの間には、導電性粒子21を含む導電材料4AAが配置されている。フレキシブルプリント基板2の配線電極が設けられていない部分と、太陽電池セル3の電極が設けられていない部分との間には、導電性粒子を含まない接続材料4Bが配置されている。
上記貼合工程において加圧することが好ましい。加圧によって、突起が導電部の表面又は電極の表面の酸化膜を効果的に突き破る。この結果、導通信頼性をより一層高めることができる。上記加圧の圧力は好ましくは1.0×103Pa以上、好ましくは1.0×106Pa以下である。上記加圧の圧力は、9.8×104Pa以上であってもよい。上記加圧の圧力が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
また、貼合工程後に、導電材料4AAと接続材料4Bとを加熱して、かつ、導電材料4AAと接続材料4Bとを硬化させて、硬化した導電材料4ABと硬化した接続材料4BBとを形成する(加熱工程/硬化工程)。
上記のようにして、導電材料4AB及び接続材料4BBにより接続部4が形成される(図4(b))。また、必要に応じて、封止材5や封止材6を配置することで、図1に示す太陽電池モジュール1が得られる。
また、上記貼合工程において、導電材料4AA及び接続材料4Bを加熱することが好ましい。加熱によって、導電材料4AA及び接続材料4Bを硬化させて、硬化した接続部4を形成することができる。上記加熱工程は、上記貼合工程時(貼り合わせ時)又は上記貼合工程後に行われる。上記硬化工程では、貼り合わせを行いながら加熱を行ってもよく、貼り合わせを行った後に、加熱を行ってもよい。
上記加熱の温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは100℃以上、好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以下である。上記加熱の温度が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化を十分に進行させ、接続信頼性を効果的に高めることができる。
上記のように、本発明では、上記塗布工程後に、上記配線電極上又は上記第2の電極上に配置された上記導電ペーストにおける溶剤を揮発させる揮発工程が行われ、更に貼合工程及び加熱工程が行われる。
また、本実施形態では、導電ペースト4Aと接続材料4Bとを用いたが、導電ペースト4Aのみを用いてもよい。また、接続材料4Bは、硬化性化合物と熱硬化剤とを含むが、接続材料4Bは、硬化性化合物と熱硬化剤と光硬化開始剤とを含む接続材料であってもよく、硬化性化合物と光硬化開始剤とを含む接続材料であってもよい。
図1に示す太陽電池モジュール1は、例えば、以下の図5(a)〜(e)に示す工程を経て得ることもできる。
配線電極2aを表面に有するフレキシブルプリント基板2を用意する。また、導電性粒子21と熱硬化性化合物とマイクロカプセル型熱硬化剤と溶剤とを含む導電ペースト4Aを用意する。図5(a)に示すように、フレキシブルプリント基板2の配線電極2a上に選択的に、導電ペースト4Aを配置する(第1の塗布工程/第1の配置工程)。また、導電性粒子を含まず、かつ溶剤を含む接続材料4Bを用意する。フレキシブルプリント基板2の配線電極2aが設けられていない部分に、接続材料4Bを塗布する(第2の塗布工程/第2の配置工程)。太陽電池セル3の第2の電極3aが設けられていない部分に、接続材料4Bを配置してもよい。
また、第1,第2の塗布工程後に、導電ペースト4Aに含まれる上記溶剤を揮発させて、導電材料4AAを形成し、かつ、接続材料4Bに含まれる上記溶剤を揮発させて接続材料4BAを形成する(図5(b)、揮発工程)。
第1の塗布工程と第2の塗布工程とは、第1の塗布工程が先に行われてもよく、第2の塗布工程が先に行われてもよい。第1の塗布工程と第2の塗布工程とは同時に行われてもよい。
また、図5(c)に示すように、第2の電極3aを表面に有する太陽電池セル3を用意する。太陽電池セル3の第2の電極3aが設けられていない部分に、接続材料4Bを配置した場合には、配線電極2aを表面に有するフレキシブルプリント基板2を用意する。
次に、上記揮発工程で得られ、導電材料4AA及び接続材料4BAが形成されたフレキシブルプリント基板2と、太陽電池セル3とを貼り合わせる工程を行う。図5(d)に示すように、フレキシブルプリント基板2の配線電極2aと太陽電池セル3の第2の電極3aとが導電性粒子21により電気的に接続されるように、フレキシブルプリント基板2と太陽電池セル3とを貼り合わせる(貼合工程)。
また、貼合工程後に、導電材料4AAと接続材料4BAとを加熱して、かつ、導電材料4AAと接続材料4BAとを硬化させて、硬化した導電材料4ABと硬化した接続材料4BBとを形成する(図5(e)、加熱工程/硬化工程)。
上記のようにして、導電材料4AB及び接続材料4BBにより接続部4が形成される。また、必要に応じて、封止材5や封止材6を配置することで、図1に示す太陽電池モジュール1が得られる。
上記フレキシブルプリント基板又は上記樹脂フィルムに設けられている電極(配線電極)及び上記太陽電池セルに設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、銀電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。なかでも、銅電極(銅配線電極)又はアルミニウム電極(アルミニウム配線電極)が好ましく、アルミニウム電極(アルミニウム配線電極)が特に好ましい。上記フレキシブルプリント基板又は上記樹脂フィルムに設けられている配線電極が、アルミニウム配線電極であることが特に好ましい。アルミニウム電極(アルミニウム配線電極)を用いる場合に、本発明の効果がより一層発揮され、特に導電性粒子の突起による効果がより一層発揮される。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)導電性粒子の作製
ジビニルベンゼン重合体粒子(平均粒子径20μm)を用意した。上記重合体粒子をエッチングし、水洗した。次に、パラジウム触媒を8重量%含むパラジウム触媒化液100mL中に重合体粒子を添加し、攪拌した。その後、ろ過し、洗浄した。pH6の0.5重量%ジメチルアミンボラン液に重合体粒子を添加し、パラジウムが付着された重合体粒子を得た。
パラジウムが付着された重合体粒子をイオン交換水300mL中で3分間攪拌し、分散させ、分散液を得た。次に、ニッケル粒子スラリー(芯物質であるニッケル粒子の平均粒子径200nm)1gを3分間かけて上記分散液に添加し、芯物質が付着された重合体粒子を得た。
芯物質が付着された重合体粒子を用いて、無電解めっき法により、重合体粒子の表面に、ニッケル層を形成した。ニッケル層の外表面に複数の突起を有する導電性粒子を作製した。なお、ニッケル層の厚さは0.1μmであった。複数の突起の平均高さは200nmであった。
(2)導電ペーストの作製
熱硬化性化合物であるフェノキシ化合物(巴工業社製「PKHC」)30重量部をPGMEA35重量部とメチルエチルケトン35重量部との混合溶媒に入れ、24時間常温で撹拌して、フェノキシ化合物の30重量%分散液を得た。次に、上記分散液30重量部と熱硬化性化合物であるエポキシ化合物(DIC社製「EPICLON HP−4032D」)30重量部と、潜在型熱硬化剤であるイミダゾールのマイクロカプセル型熱硬化剤(旭化成イーマテリアルズ社製「ノバキュアHXA3922」)30重量部と、シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM−403」)1重量部とを配合し、さらに導電性粒子を得られる導電ペースト100重量%中での含有量が1重量%となるように添加した後、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、導電ペーストを得た。
(3)太陽電池モジュールの作製
アルミニウム配線電極を表面に有するフレキシブルプリント基板を用意した。また、銅電極を表面に有する太陽電池セル(6インチセル)を用意した。
フレキシブルプリント基板の配線電極上に選択的に、ディスペンサーを用いて、導電ペーストを塗布して、厚み50μmの導電材料を部分的に形成した。フレキシブルプリント基板上の導電ペーストの全てが配線電極上に配置されていた。すなわち、フレキシブルプリント基板上に配置される導電ペーストの全体100重量%中、配線電極上に配置される導電ペーストの量は100重量%であった。その後、60℃で30分間加熱して、導電ペーストに含まれる溶剤を揮発させて、導電材料層を形成した。溶剤の揮発後に、配線電極上に配置される導電材料層の量は100重量%であった。
また、太陽電池セルの電極が設けられている側の表面に全体にわたって、印刷により上記の導電ペーストの内、導電粒子を配合していない接続材料を塗布し、厚み30μmの接続材料層を形成した。
次に、フレキシブルプリント基板のアルミニウム配線電極と太陽電池セルの銅電極とが導電性粒子により電気的に接続されるように、フレキシブルプリント基板と太陽電池セルとを貼り合わせた。このとき、150℃の雰囲気下で真空ラミネートを行った。ラミネート時の加熱により、導電材料及び接続材料層を硬化させて接続部を形成した。フレキシブルプリント基板のアルミニウム配線電極と太陽電池セルの銅電極とが導電性粒子により電気的に接続されている太陽電池モジュールを得た。
(実施例2)
フレキシブルプリント基板上に配置される導電ペーストの全体100重量%中、配線電極上に配置される導電ペーストの量を99重量%に変更したこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池モジュールを得た。
(実施例3)
フレキシブルプリント基板上に配置される導電ペーストの全体100重量%中、配線電極上に配置される導電ペーストの量を90重量%に変更したこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池モジュールを得た。
(実施例4)
フレキシブルプリント基板上に配置される導電ペーストの全体100重量%中、配線電極上に配置される導電ペーストの量を85重量%に変更したこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池モジュールを得た。
(実施例5)
芯物質の平均粒子径をかえて、導電性粒子の複数の突起の平均高さを20nmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。得られた導電性粒子を用いて実施例1と同様にして、太陽電池モジュールを得た。
(実施例6)
芯物質の平均粒子径をかえて、導電性粒子の複数の突起の平均高さを300nmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。得られた導電性粒子を用いて実施例1と同様にして、太陽電池モジュールを得た。
(実施例7)
太陽電池セルの電極を銅電極からアルミニウム電極に変更したこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池モジュールを得た。
(実施例8)
フレキシブルプリント基板の配線電極上に選択的に、ディスペンサーを用いて、厚みが100μmとなるように導電ペーストを塗布して、導電材料層を部分的に形成したこと、並びに接続材料を塗布していない太陽電池セルを用いたこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池モジュールを得た。
(実施例9)
フレキシブルプリント基板の全面に導電ペーストを塗布したこと、並びに接続材料を塗布していない太陽電池セルを用いたこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池モジュールを得た。
(比較例1)
(1)導電ペーストの作製
熱硬化性化合物であるエポキシ化合物(ADEKA社製「EP−3300P」)20重量部と、熱硬化性化合物であるエポキシ化合物(DIC社製「EPICLON HP−4032D」)15重量部と、熱硬化剤であるイミダゾールのアミンアダクト体(味の素ファインテクノ社製「PN−F」)10重量部と、硬化促進剤である2−エチル−4−メチルイミダゾール1重量部と、フィラーであるアルミナ(平均粒子径0.5μm)20重量部とを配合し、さらに実施例1で得られた導電性粒子を得られる導電ペースト100重量%中での含有量が1重量%となるように添加した後、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、導電ペーストを得た。
(2)太陽電池モジュールの作製
フレキシブルプリント基板の全面に導電ペーストを塗布したこと、接続材料を塗布していない太陽電池セルを用いたこと以外は実施例9と同様にして、太陽電池モジュールを作製した。
(比較例2)
実施例1で得られた重合体粒子を用意した。この重合体粒子を用いて、無電解めっき法により、重合体粒子の表面に、ニッケル層を形成し、導電性粒子を作製した。比較例2では、導電性粒子の導電部の表面に突起を形成しなかった。得られた導電性粒子を用いて実施例1と同様にして、太陽電池モジュールを得た。
(比較例3)
導電ペーストをはんだペーストに変更したこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池モジュールを得た。
(比較例4)
導電ペーストをAgペーストに変更したこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池モジュールを得た。
(比較例5)
マイクロカプセル型熱硬化剤を、熱硬化剤であるイミダゾールのアミンアダクト体(味の素ファインテクノ社製「PN−F」)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池モジュールを得た。
(評価)
(1)太陽電池セルの反り
得られた太陽電池モジュールにおいて、太陽電池セルの反り量を測定した。水平な面上に太陽電池モジュールを配置して、太陽電池セルの長辺での測定における最大高さ位置と最小高さ位置との差を反り量とした。太陽電池セルの反りを下記の基準で判定した。なお、太陽電池セルの反り量が大きい場合に、太陽電池セルが接続部から剥離しやすく、導通信頼性が低くなる傾向があることを確認した。
[太陽電池セルの反りの判定基準]
○○:太陽電池セルの反り量が10μm未満
○:太陽電池セルの反り量が10μm以上、15μm未満
△:太陽電池セルの反り量が15μm以上、20μm未満
×:太陽電池セルの反り量が20μm以上
(2)ボイドの発生の有無
得られた太陽電池モジュール(6インチセルの1セル分)をX線ボイド検査装置で観察し、ボイドの評価を行った。ボイドの発生の有無を下記の基準で判定した。
[ボイドの発生の有無の判定基準]
○○:接続部にボイドが全く存在しない
○:接続部に最大径が50μm未満であるボイドが100個未満存在している
△:接続部に最大径が50μm未満であるボイドが100個以上存在しているが、接続部に最大径が50μm以上のボイドはない
×:接続部に最大径が50μm以上のボイドがある
(3)初期のエネルギー変換効率
得られた太陽電池モジュールにおけるエネルギー変換効率を測定した。また、初期のエネルギー変換効率を下記の基準で判定した。
[初期のエネルギー変換効率の評価基準]
○○○:エネルギー変換効率が20%を超える
○○:エネルギー変換効率が18%を超え20%以下
○:エネルギー変換効率が16%を超え18%以下
△:エネルギー変換効率が14%を超え16%以下
×:エネルギー変換効率が14%以下
(4)信頼性試験後のエネルギー変換効率(耐候性)
得られた太陽電池モジュールについて、サイクル試験機にて、−40℃〜90℃、保持時間30分、温度変化率87℃/時間のサイクル試験を200サイクル行った後、エネルギー変換効率を測定した。信頼性試験後のエネルギー変換効率を下記の基準で判定した。
[信頼性試験後のエネルギー変換効率の評価基準]
○○○:エネルギー変換効率が20%を超える
○○:エネルギー変換効率が18%を超え20%以下
○:エネルギー変換効率が16%を超え18%以下
△:エネルギー変換効率が14%を超え16%以下
×:エネルギー変換効率が14%以下
結果を下記の表1に示す。
なお、エネルギー変換効率が高いほど、電極間の接続抵抗が低かった。また、エネルギー変換効率が高いほど、導電性粒子が電極上に多く位置していた。特に、実施例9では、比較例1と比べて、導電性粒子の電極上からの流出が防がれており、導電性粒子が電極上に多く位置していた。