JP2015232337A - ダストシールによる密封構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】ダストシール1による密封構造において、ダストリップ12のヘタリによるシール性の低下を防止する。
【解決手段】機器の軸孔21に装着されたダストシール1が、軸孔21に軸方向相対移動可能に挿通された軸3の外周面と密接されるダストリップ12を有し、軸3に、駆動時においてダストリップ12の内周に位置する大径部31と、停止時の軸3の待機状態においてダストリップ12の内周に位置する小径部32が形成されている。
【選択図】図1
【解決手段】機器の軸孔21に装着されたダストシール1が、軸孔21に軸方向相対移動可能に挿通された軸3の外周面と密接されるダストリップ12を有し、軸3に、駆動時においてダストリップ12の内周に位置する大径部31と、停止時の軸3の待機状態においてダストリップ12の内周に位置する小径部32が形成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば建設機械や産業機械の油圧シリンダ装置のシリンダとロッドの間など、互いに軸方向往復動する2部材間の環状隙間へ外部からの異物が浸入するのを防止するダストシールを用いた密封構造に関する。
建設機械などに使用される油圧シリンダ装置においては、シリンダと、このシリンダ内の油圧を受けるピストンによって軸方向へ往復動するロッドとの間の環状隙間を密封するために、軸方向複数段の密封装置が用いられ、この複数段の密封装置のうち最も外側には、外部からの異物が浸入するのを防止するダストシールが用いられる。
図5は、従来の技術によるダストシールを示すものであって、このダストシール300は、油圧シリンダ装置におけるシリンダ100とその軸孔101に往復動可能に挿通されたロッド200との間の環状隙間に介在し、金属製の補強環301と、この補強環201にゴムやウレタン等の弾性材料によって一体的に成形されロッド200の外周面に摺動可能に密接されたダストリップ302及びオイルリップ303を備え、補強環301を含む外周部が、シリンダ100の軸孔101の端部に形成された環状溝102に嵌着されると共に止め環103によって抜け止めされている。
この種のダストシール300では、ダストリップ302及びオイルリップ303に適当な締め代を設定することによって所要のシール性を与えており、すなわち未装着状態では図中に破線で示す形状だったダストリップ302及びオイルリップ303が、適当に拡径変形された状態でロッド200の外周面に密接し、これによってロッド200の外周面に対する所要の緊迫力が付与されている。しかしながら、ゴム等の弾性材料は、経時劣化や熱劣化などによって「ヘタリ」と呼ばれる永久歪を生じることが知られており、このようなヘタリによって、ロッド200の外周面に対するダストリップ302の締め代が低下すると、外部空間Sからの泥水やダストの浸入を許容してしまう懸念がある。
そして、密封装置における最も外側に配置されるダストシール300は、ダストリップ302が直接機内のオイルに触れておらず、通常は外気に触れている環境にあるため、ヘタリの要因となる熱は、ロッド200の外周面との摺動面で発生する自らの摺動発熱のほか、機器の内部からの伝熱によって昇温したロッド200の外周面からも受けている。また、昇温したロッド200は機器の停止後もすぐには冷めないため、ダストシール300は機器の停止後もしばらくの間は熱を受け続けることになり、これによってもヘタリが進行する。
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その目的は、ダストシールにおいて、材料のヘタリによるシール性の低下を防止することにある。
上述した目的を達成するための手段として、本発明に係るダストシールによる密封構造は、機器の軸孔に装着されたダストシールが、前記軸孔に軸方向相対移動可能に挿通された軸の外周面と密接されるダストリップを有し、前記軸に、駆動時において前記ダストリップの内周に位置する大径部と、停止時の前記軸の待機状態において前記ダストリップの内周に位置する小径部が形成されたものである(請求項1)。
上記構成において、ダストシールは、ダストリップが適当な締め代をもって軸の外周面と密接されることによって、外部からの異物が浸入するのを防止するものである。そして機器の駆動時には、軸に形成された大径部がダストリップの内周に位置するため、ダストリップは、大きく拡径変形されることによって軸の外周面に対する大きな締め代が付与され、したがって良好なシール性を奏する。また、機器の停止時には、前記軸は、この軸に形成された小径部がダストリップの内周に位置した状態で待機するため、ダストリップの拡径変形量が小さくなり、したがってダストリップのヘタリが抑制される。
また、本発明は上記目的を達成するため更に以下の手段を採用してもよい。
すなわち上記構成のダストシールによる密封構造(請求項1)において、軸に、この軸が待機位置にある時にダストリップと接触してこのダストリップを前記軸の小径部へ押し付ける矯正環を設けたものである(請求項2)。
すなわち上記構成のダストシールによる密封構造(請求項1)において、軸に、この軸が待機位置にある時にダストリップと接触してこのダストリップを前記軸の小径部へ押し付ける矯正環を設けたものである(請求項2)。
上記構成において、機器の停止時には、軸は、この軸に形成された小径部がダストリップの内周に位置した状態で待機すると共に、矯正環によってダストリップが前記小径部へ押し付けられるので、ダストリップのヘタリが一層良好に抑制される。
本発明に係るダストシールによる密封構造によれば、機器の停止時には、ダストリップが軸の小径部と密接されることでヘタリの進行が抑制され、機器の駆動時にはダストリップが軸の大径部と密接されることで締め代が回復するので、外部の異物に対する優れたシール性を長期にわたって維持することができる。
以下、本発明に係るダストシールによる密封構造の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。まず図1及び図2は、第一の実施の形態を示すものである。
図1及び図2において、参照符号2は建設機械などに使用される油圧シリンダ装置のシリンダ、参照符号3はこのシリンダ2内の油圧を受ける不図示のピストンによって軸方向へ往復動するロッドである。なお、ロッド3は請求項1に記載された軸に相当するものである。
ダストシール1は、シリンダ2とロッド3との間の環状隙間を密封する軸方向複数段の密封装置のうち最も外側に配置されるもので、シリンダ2の軸孔21の端部に形成された環状溝22に装着されており、詳しくはこのダストシール1は、前記環状溝22の内周面に嵌着され止め環(スナップリング)23で抜け止めされる金属製の補強環11と、この補強環11にゴム弾性体(ゴム、ウレタン等)で一体成形されたダストリップ12、オイルリップ13及び外周シール部14からなる。ダストリップ12は、外部空間S側へ向けて延びており、オイルリップ13は、ダストリップ12と反対側(シリンダ2の内方)へ向けて延びており、双方とも先端近傍の内周縁が、ロッド3の外周面と密接されている。
ロッド3には、相対的に軸方向内側(シリンダ2内の不図示のピストン側)の大径部31と、相対的に軸方向外側の小径部32が形成されている。すなわち小径部32の外径φBは、大径部31の外径φAよりもΔφだけ小径に形成されている。また、前記大径部31と小径部32の間は、外径が緩やかに変化する円錐面部33となっている。
そして油圧シリンダ装置の駆動時においては、図1に示すように、ロッド3はその大径部31がダストリップ12及びオイルリップ13の内周に位置するように、言い換えれば大径部31の外周面がダストリップ12及びオイルリップ13と摺動可能に密接されるように、その軸方向作動範囲が設定されており、油圧シリンダ装置の停止時においては、図2に示すように、ロッド3はその小径部32がダストリップ12及びオイルリップ13の内周に位置するように、言い換えれば小径部32がダストリップ12及びオイルリップ13と密接されるように、そのストロークエンドでの待機位置が設定されている。
ダストリップ12及びオイルリップ13の内径は、未装着状態ではロッド3の小径部32の外径φBよりもわずかに小さく、したがって図2に示す油圧シリンダ装置の停止時において、ダストリップ12及びオイルリップ13は、先端近傍の内周縁がロッド3の小径部32の外周面にわずかな締め代をもって全周密接可能となっている。
以上の構成を備える第一の実施の形態において、油圧シリンダ装置の駆動時は、ダストシール1のダストリップ12は、図1に示すように、その先端近傍の内周縁がロッド3の大径部31の外周面に摺動可能に密接されることによって、外部空間Sからの泥水やダストの浸入を阻止し、オイルリップ13は、その先端近傍の内周縁がロッド3の外周面に適当な締め代をもって摺動可能に密接されることによって、ダストシール1の軸方向内側にある不図示の密封装置からの漏油がさらに外部空間S側へ漏出するのを阻止するものである。そして、ダストリップ12及びオイルリップ13はロッド3の大径部31の外周面と密接されることによって、Δφ以上の締め代を付与されているので、良好なシール性を奏する。
また、油圧シリンダ装置の停止時は、ロッド3がストロークエンドで待機状態となることによって、ダストシール1のダストリップ12及びオイルリップ13は、図2に示すように、その内周縁がロッド3の小径部32の外周面と密接される。このため、ダストリップ12及びオイルリップ13は、図中に二点鎖線で示す形状から実線で示す形状、すなわち未装着時の無負荷状態に近い形状へ縮径され、その締め代がΔφだけ減少する。したがって、たとえば油圧シリンダ装置の駆動時に昇温したロッド3が、停止後もすぐには冷めないことによってしばらくの間ダストリップ12及びオイルリップ13が熱を受け続けたとしても、ヘタリの進行が有効に抑制される。
そして再び油圧シリンダ装置が駆動した時には、図1に示すように、ロッド3は、その大径部31がダストリップ12及びオイルリップ13の内周に位置するように軸方向往復作動範囲へ移行するため、ダストリップ12及びオイルリップ13が拡径されることで締め代が回復する。したがって、外部の異物に対するダストリップ12の優れたシール性及び軸孔21側からの漏油に対するオイルリップ13の優れたシール性を長期にわたって維持することができる。
なお、ロッド3における大径部31と小径部32の間は円錐面部33となっているので、特に、図2に示す状態から図1に示す状態へ移行する過程では、オイルリップ13及びダストリップ12がロッド3の小径部32から円錐面部33を介して大径部31へ円滑に乗り上がり、オイルリップ13及びダストリップ12の損傷が防止される。
次に図3及び図4は、本発明に係るダストシールによる密封構造の第二の実施の形態を示すものである。この第二の実施の形態は、上述した第一の実施の形態の構成に加えて、ロッド3に、このロッド3が油圧シリンダ装置の停止によって待機位置にある時にダストリップ12と接触してこのダストリップ12をロッド3の小径部32の外周面へ押し付ける矯正環4を設けたものである。
詳しくは、ロッド3の小径部32における大径部31と反対側の端部に鍔部34が設けられ、前記小径部32に、シリンダ2の外部に配置された矯正環4が軸方向移動可能な状態で遊嵌外挿され、この矯正環4と鍔部34の間が軸方向伸縮可能なばね5を介して弾性的に連結されている。
矯正環4におけるシリンダ2側(ばね5と反対側)を向いた先端部には、内周面41aがシリンダ2側へ向けて徐々に大径になる円錐面をなす環状突起41が形成されている。そしてこの矯正環4は、油圧シリンダ装置が停止してロッド3がストロークエンド位置で待機状態となることによって、ダストシール1が図4に示すようにロッド3の小径部32の外周へ相対移動したときに、環状突起41の内周面41aがばね5の付勢力によってダストリップ12の外周面と弾性的に接触される位置にある。
すなわち上記構成を備える第二の実施の形態によれば、油圧シリンダ装置の駆動時は、図3に示すように、ダストシール1のダストリップ12及びオイルリップ13がロッド3の大径部31の外周面と密接されることによって、第一の実施の形態と同様、所要の締め代を付与され、良好なシール性を奏する。
また、油圧シリンダ装置の停止時は、ロッド3がストロークエンドにおける待機位置へ変位することによって、図4に示すように、ダストシール1がロッド3の小径部32の外周位置へ相対移動すると、これに伴い、ダストリップ12及びオイルリップ13は、その内周縁がロッド3の小径部32の外周面と密接される。
しかも、ダストリップ12の外周面が矯正環4における環状突起41の円錐面をなす内周面41aと接触して、この矯正環4を鍔部34側へ向けて変位させるため、ばね5が圧縮され、それによる軸方向付勢力が、環状突起41の内周面41aとダストリップ12の外周面との接触部において縮径方向への締め付け力として変換される。したがって、ダストリップ12は、油圧シリンダ装置の駆動時にロッド3の大径部31の外周面と密接されることによってわずかに拡径方向のヘタリが生じたとしても、矯正環4の締め付け作用によって縮径方向へ矯正され、ダストリップ12のヘタリの進行を、一層良好に抑制することができる。
なお、矯正環4はロッド3側に固定し、ダストリップ12の外周面と接触される矯正環4の先端部又は矯正環4全体をゴム弾性体などで形成しても良い。この場合も、油圧シリンダ装置の停止によってロッド3がストロークエンドにおける待機位置へ変位した時に、ダストリップ12をロッド3の小径部32の外周面へ弾性的に押し付けるようにすることができる
1 ダストシール
11 補強環
12 ダストリップ
13 オイルリップ
2 シリンダ
21 軸孔
22 環状溝
3 ロッド(軸)
31 大径部
32 小径部
33 円錐面部
34 鍔部
4 矯正環
41 環状突起
5 ばね
11 補強環
12 ダストリップ
13 オイルリップ
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21 軸孔
22 環状溝
3 ロッド(軸)
31 大径部
32 小径部
33 円錐面部
34 鍔部
4 矯正環
41 環状突起
5 ばね
Claims (2)
- 機器の軸孔に装着されたダストシールが、前記軸孔に軸方向相対移動可能に挿通された軸の外周面と密接されるダストリップを有し、前記軸に、駆動時において前記ダストリップの内周に位置する大径部と、停止時の前記軸の待機状態において前記ダストリップの内周に位置する小径部が形成されたことを特徴とするダストシールによる密封構造。
- 軸に、この軸が待機位置にある時にダストリップと接触してこのダストリップを前記軸の小径部へ押し付ける矯正環を設けたことを特徴とする請求項1に記載のダストシールによる密封構造。
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JP2014118385A JP2015232337A (ja) | 2014-06-09 | 2014-06-09 | ダストシールによる密封構造 |
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JP2014118385A JP2015232337A (ja) | 2014-06-09 | 2014-06-09 | ダストシールによる密封構造 |
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Cited By (2)
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WO2017195558A1 (ja) | 2016-05-10 | 2017-11-16 | Nok株式会社 | ダストシール |
JP2018204761A (ja) * | 2017-06-08 | 2018-12-27 | Nok株式会社 | ダストシール |
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2014
- 2014-06-09 JP JP2014118385A patent/JP2015232337A/ja active Pending
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WO2017195558A1 (ja) | 2016-05-10 | 2017-11-16 | Nok株式会社 | ダストシール |
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