JP2012017772A - 動力伝達軸装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】軸1とスリーブ6とは、相対回転不能でかつ軸方向に相対移動可能である。スリーブ6を覆っている筒状の第1カバー10と、第1カバー10を覆っている筒状の第2カバー20と、第1カバー10とスリーブ6との間を密封しているシール31とを備えている。第1カバー10の外周面11の溝13に、リング41が取り付けられており、リング41は、第2カバー20に対して摺動可能である。リング41と溝13との間でラビリンスシールが構成されている。
【選択図】 図1
Description
しかし、この構成では、軸81とスリーブ82とが軸方向に相対移動すると、第1シール84と第2シールとの間に形成される密閉された空間の容積が変化することとなり、当該空間が負圧になることがある。この場合、負圧に基づくポンプ作用によって、スプライン部86の潤滑剤が、スリーブ82と第1カバー83との間の環状空間に引き寄せられたり、シール84を越えて外側へ吸い出されたりするおそれがあり、これにより、スプライン部86の潤滑剤不足が発生するおそれがある。
つまり、本発明によれば、第1カバーと第2カバーとの間において、空気の通過は許容するが、泥水等の異物の通過を規制することができる。
そして、この場合において、前記C形のリングは、前記溝に、軸方向に複数個設けられており、接離部の周方向の位置がそれぞれ異なって設けられているのが好ましい。
この場合、C形のリングでは、周方向の一部が接離しているため、この接離部を通じて泥水等の異物の通過が可能となるが、リングは軸方向に複数設けられており、しかも、それぞれの接離部の周方向の位置が異なっていることから、複数のリングによって、前記異物の通過を遮断することができる。
つまり、リングの取り付け性が向上すると同時に、異物の侵入を阻止する性能を確保することができる。
図1は、本発明の動力伝達軸装置の実施の一形態を示す縦断面図であり、上側半分を示している。本発明の動力伝達軸装置は、例えば、車両のプロペラシャフトの連結部に適用することができる。
図1の動力伝達軸装置は、雄スプライン2を外周の一部に有している軸1と、この雄スプライン2に嵌合している雌スプライン7を内周の一部に有しているスリーブ6とを備えている。前記スプライン2,7によって、スリーブ6と軸1とは、相対回転不能であり、相互間でトルクの伝達が可能となり、さらに、スリーブ6と軸1とは、軸方向に相対移動可能であり、スリーブ6と軸1とを含む装置の全長が伸縮することができる。図1は、最も短縮した状態を示している。
前記スリーブ6は、雌スプライン7が形成されている筒部8と、基部9とを有している。基部9から筒部8が軸方向(本実施形態では軸方向右側)に延びており、基部9と筒部8とは一体である。
前記第2カバー20は、その一端部(図1では左側の基部20b)において、スリーブ6の筒部8に取り付けられている。第2カバー20とスリーブ6の筒部8との間には、当該第2カバー20の取り付け部(基部20b)側が閉塞された、環状の空間が形成されている。
前記シール31は、第1カバー10に固定されている本体部32と、この本体部32からスリーブ6の筒部8の外周面8aへと延びているシールリップ部33とを有している。シールリップ33は、例えばゴム製である。
図1と図2とにおいて、軸1とスリーブ6とが軸方向に相対移動すると、これに伴って、スリーブ6と、軸1に一体である第1カバー10とが軸方向に相対移動するが、この際、前記シールリップ33は、スリーブ6の筒部8の外周面8aに対して摺動する。
そして、装置全体が伸縮した際に、そのストロークの全長にわたって、シール31は、第2カバー20により、径方向外側から覆われた状態にある。
このため、軸1とスリーブ6とが軸方向に相対移動すると、第1カバー10と第2カバー20との間においても、軸方向に相対移動するが、第1カバー10に形成されている溝13に嵌っているリング41は、当該溝13の側面14,15の一方に押され、第2カバー20の内周面21に対して摺動する。
これらリング41と溝13とによって、第1カバー10の外周面11と第2カバー20の内周面21との間に、ラビリンスシール(ラビリンス構造)が構成される。このラビリンスシールによって、第2カバー20の先端20a(図1参照)の開口部側からシール31への異物の侵入を防ぐことができる。
したがって、このリンク41と溝13とによるラビリンスシールを第2のシールとすると、軸1とスリーブ6とが軸方向に相対移動した場合に、当該第2のシールと、前記シール31(第1シール)との間において、(従来では発生する可能性があった)内部の負圧が生じない。
なお、異物の侵入を防ぐために、前記隙間g1,g2,g3それぞれは、第1カバー10の外周面11と第2カバー20の内周面21との間に形成される隙間よりも小さくなるように設定するのが好ましい。
なお、この形態においても、両リング41,41と溝13との間には、隙間が形成されるように、溝13の幅寸法w及びリング41の厚さtが、(w>2×t)の関係となるように設定される。
そこで、本発明の動力伝達軸装置の他の実施形態として、図5に示している構造がある。つまり、溝13が、第2カバー20の内周面21に形成されており、この溝13に取り付けられているリング41は、第1カバー10の外周面11に対して摺動可能となっている。つまり、図2の実施形態と比べて、溝13の形成面と、リング41の摺動面とが反対となっている。
なお、軸1とスリーブ6とは軸方向に相対移動することから、図2の実施形態では、溝13は、第1カバー10の先部10a側(図1の左側)に形成されているが、図5の実施形態では、溝13は、第2カバー20の先部20a側に形成されている必要がある。
このため、軸1とスリーブ6とが軸方向に相対移動すると、第1カバー10と第2カバー20との間においても、軸方向に相対移動するが、第2カバー20に形成されている溝13に嵌っているリング41は、当該溝13の側面14,15の一方に押され、第1カバー10の外周面11に対して摺動可能となる。
また、溝13に取り付けられたリング41は、第1カバー10の外周面11に対して摺動可能であることから、第1カバー10と第2カバー20との軸方向の相対移動、すなわち、軸1とスリーブ6との軸方向の相対移動を妨げることがない。
つまり、本実施形態においても、リング41及び溝13によるラビリンスシールによれば、第1カバー10と第2カバー20との間において、空気の通過は許容するが、泥水等の異物の通過を規制することができる。
Claims (3)
- 雄スプラインを外周の一部に有している軸と、
前記雄スプラインに嵌合している雌スプラインを内周の一部に有し前記軸に対して相対回転不能でかつ軸方向に相対移動可能であるスリーブと、
前記軸に取り付けられ前記スリーブを径方向外側から覆っている筒状の第1カバーと、
前記スリーブに取り付けられ前記第1カバーを径方向外側から覆っている筒状の第2カバーと、
前記第1カバーと前記スリーブとの間の環状空間を密封しているシールと、
前記第1カバーの外周面と前記第2カバーの内周面との内の一方側に形成されている周方向に連続した溝に導入され、かつ、当該第1カバーの外周面と当該第2カバーの内周面との内の他方側の面に対して摺動可能であるリングと、
を備え、
前記リングと前記溝との間でラビリンスシールが構成されていることを特徴とする動力伝達軸装置。 - 前記リングは、周方向の一部が接離しているC形のリングである請求項1に記載の動力伝達軸装置。
- 前記C形のリングは、前記溝に、軸方向に複数個設けられており、接離部の周方向の位置がそれぞれ異なって設けられている請求項2に記載の動力伝達軸装置。
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