JP2007009931A - 密封装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】二部材が互いに相対可動することで泥水等の使用条件が異なる場合には、その使用条件に対応して締め代を変化させることができ、耐久寿命を向上させた密封装置を提供する。
【解決手段】同心で軸方向に互に相対可動自在に組み付けられた二部材(2,3)で形成される環状空間に装着されるものであって、密封流体側に延び内方部材2に摺接する第一シール部5と、第一シール部5と一体で成形され反密封流体側に延び内方部材2に摺接する第二シール部とを備えた密封装置1において、内方部材2の外径を一方向に向かって漸次縮径しているテーパ状とし、二部材(2,3)が軸方向に互に相対可動したとき内方部材2に摺接するシール部(5,6)の締め代を変化させることとした。
【選択図】図2

Description

本発明は、密封装置に係り、更に詳しくは、内部のグリースと外部の泥水等のダストとをシールする往復動用の密封装置に関するものである。
従来、例えば同心で相対可動自在に組み付けられた軸とハウジングとで形成される環状空間に装着される密封装置としては、使用条件が厳しく外部からの泥水等のダストの浸入を特に防止する必要があるときには、内部の密封流体の流出防止を主な目的としてシールする密封流体側に延びる第一シール部に、外部からの泥水等のダストの浸入防止を主な目的にシールする反密封流体側に延びる第二シール部を組付けた密封装置(下記特許文献1を参照)、若しくは第一シール部と第二シール部の2個のシール部を一体とした一体型の密封装置(下記特許文献2を参照)が使用されていた。
しかし、農業機械、特に田植え機に使用される密封装置であって、同心で軸方向に相対可動自在に組み付けられた爪軸とハウジングとで形成する環状空間に装着され、ハウジングに組み付けられる芯金と、芯金に接着し密封流体側に延びる第一シール部と、第一シール部と一体で成形され反密封流体側に延びる第二シール部とを備え、第一シール部および第二シール部が爪軸に摺接してシールする密封装置においては、爪軸のストロークの上死点である爪が最も引っ込んでいる状態のときには泥水条件が厳しくないので泥水等のダストをシールすることができる。しかし、爪軸のストロークの下死点である爪が最も出ている状態のときは泥水条件が特に厳しいため、第二シール部で泥水等のダストをシールすることが出来ず、そのためシール部について十分な耐久寿命を確保することが出来ず、密封流体側からグリース漏れが発生するとの欠点があった。
爪軸のストロークの下死点である爪が最も出ている状態、すなわち泥水条件が厳しいときでも泥水等のダストの侵入を防ぐためには爪軸に摺接しているシール部の締め代を増加して対応すると良いが、シール部の締め代を単に増加するとシールリップの過大摩耗やシール部のトルクが増大する等の別の欠点が発生し、十分な対策とはなり得なかった。
特開2003−185028号公報 特開2003−097716号公報
本発明は以上の点に鑑みて、同心で軸方向に互に相対可動自在に組付けられた二部材で形成される環状空間に装着される密封装置において、二部材が互いに相対可動することにより泥水等の使用条件が異なる場合には、その使用条件に対応して締め代を変化させることができ、耐久寿命を向上させた密封装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の請求項1にかかる密封装置は、同心で軸方向に互に相対可動自在に組み付けられた二部材で形成される環状空間に装着されるものであって、前記一の部材に組み付けられる芯金と、該芯金に接着し密封流体側に延び前記他の部材に摺接する第一シール部と、該第一シール部と一体で成形され反密封流体側に延び前記他の部材に摺接する第二シール部とを備えた密封装置において、前記二部材の中の内方に位置する部材の外径または外方に位置する部材の内径を一方向に向かって漸次縮径しているテーパ状とし、前記二部材が軸方向に互に相対可動したとき前記他の部材に摺接する前記シール部の締め代が変化することを特徴とするものである。
本発明は、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明の密封装置は、密封装置が装着されている環状空間を形成している二部材の中のいずれか一の部材の径を一方向に向かって漸次縮径しているテーパ状としているので、二部材が軸方向に互に相対可動したとき、それに対応して環状空間の径方向長さが変化し、シール部の締め代を変化させることができる。したがって、使用条件に対応した最適な締め代になるよう変化させることができるのでシール性を向上することができ、シール部の耐久寿命を向上することができる。
特に、田植え機用の爪軸とハウジングとで形成する環状空間に密封装置を装着する場合には、爪軸の外径を反密封流体側(大気側)に向かって漸次縮小させた向きにすると、使用条件が最も厳しい爪軸のストロークが最も伸びて下死点に達したとき締め代を最大にし泥水等のダストをシールすることができるので、シール性を向上することができる。
また、締め代を使用条件に対応して変化させているのでシールリップの過大摩耗とシール部のトルクが増大するのを防止し、シール部の耐久寿命を向上することができる。
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示して説明する。本実施形態は、密封装置が同心に組み付けられた田植え機の爪軸(他の部材または内方部材)とハウジング(一の部材または外方部材)とで形成される環状空間に装着された場合であって、図1が装着状態を示す概略図であり、図2は図1のX部の拡大断面図である。
図1に示す通り、本実施形態における密封装置1は、田植え機の爪軸2と、この爪軸2と同心で配設されているハウジング3とで形成する環状空間に装着されている。この環状空間を形成するハウジング3は固定されているが爪軸2は軸方向に往復動し、これにより爪軸2とハウジング3とが軸方向に相対可動することになる。図2に示す通り、爪軸2は軸方向にストロークが延びる方向である反密封流体側B(図上下側)に向かって軸の外径Dが漸次縮径しているテーパ状の形状をしているが、ハウジングの内径は軸方向に同一でありハウジング3の内周面3aは軸心に平行な面で形成されている。したがって、爪軸2の外周面2aとハウジング3の内周面3aとで形成する環状空間は、軸方向に反密封流体側Bに向かって径方向長さ(ハウジングの内径から軸の外径を引いた差)Lが漸次拡大する状態になっている。
この環状空間に装着される密封装置1は、芯金4と、第一シール部5と、第二シール部6とを備えている。
図2に示す通り、芯金4は、金属製で成形されていて爪軸2に交差するように延びる径方向部41と、径方向部41の内径端部から密封流体側Aに軸心と平行に延びる軸方向部42とからなる断面略L字形状をしている。
第一シール部5はゴム状弾性体で成形され、芯金4に加硫接着しているシール本体部51と、このシール本体部51から密封流体側Aに延び爪軸2に摺接する第一シールリップ52と、第一シールリップ52より反密封流体側Bに位置し密封流体側Aに延びるサブシールリップ53とが一体で成形されていて、第一シールリップ52のリップエッジの外径側に形成されている凹部54には径方向に押圧力を付与するスプリング55が装着されている。
第二シール部6は、第一シール部5と一体で成形され芯金4の径方向部41より反密封流体側Bに位置しシール本体部51から反密封流体側Bに延びる第二シールリップ61と、第二シールリップ61より密封流体側Aに位置し反密封対象側Bに延びる第三シールリップ62とから構成されている。
上記構成において、シール本体部51と加硫接着している芯金4がハウジング3に嵌合されシール部(5,6)が爪軸2に摺接し、これにより爪軸2とハウジング3とで形成される環状空間に密封装置1が装着されることになる。この状態で爪軸2が軸方向に大気側である反密封流体側Bに向かって移動すると、シールリップ(52,53,61,62)が摺接している爪軸2の外径Dが漸次拡径していくことになり、逆に、環状空間の径方向長さLは縮小していくのでシール部(5,6)の締め代を漸次増加させていくことが可能となる。
したがって、使用条件が最も厳しい反密封流体側に爪軸2のストロークが伸びて下死点に達したときにシール部(5,6)の締め代を最大に増加することができ、泥水等のダストのシール性を向上することが可能となる。また、逆に上死点に達したときはシール部(5,6)の締め代が減少しているのでシール部(5,6)のトルクを下げることが可能となり、従ってシールリップ(52,53,61,62)の過大摩耗を防止することが可能となる。
図3には、爪軸2が反密封流体側Bに最も伸びた状態である下死点と、爪軸2が密封流体側Aに最も引っ込んだ状態である上死点との間を軸方向に往復動したときのシール部(5,6)の締め代力が推移した状態を示すが、この結果からも爪軸2とハウジング3を相対可動させることによりシール部(5,6)の締め代を変化させていることが理解できる。
尚、本実施の形態においては、固定しているハウジング3に密封装置1を装着し往復動する軸2にシール部(5,6)を摺接させた場合を説明したが、逆に軸2に密封装置1を装着しハウジング3にシール部(5,6)を摺接させた場合であってもよく、また、軸2が固定されていてハウジング3が軸方向に往復動する場合であっても良い。
本発明の装着状態を示す概略図 図1のX部の拡大断面図 締め代力と軸の位置との関係を示す説明図
符号の説明
1 密封装置
2 爪軸(他の部材または内方部材)
3 ハウジング(一の部材または外方部材)
4 芯金
41 径方向部
42 軸方向部
5,6 シール部
51 シール本体
52,53,61,62 シールリップ
54 凹部
55 スプリング
A 密封流体側
B 反密封流体側(大気側)
D 軸の外径
L 環状空間の軸方向長さ

Claims (1)

  1. 同心で軸方向に互に相対可動自在に組み付けられた二部材で形成される環状空間に装着されるものであって、前記一の部材に組み付けられる芯金と、該芯金に接着し密封流体側に延び前記他の部材に摺接する第一シール部と、該第一シール部と一体で成形され反密封流体側に延び前記他の部材に摺接する第二シール部とを備えた密封装置において、
    前記二部材の中の内方に位置する部材の外径または外方に位置する部材の内径を一方向に向かって漸次縮径しているテーパ状とし、前記二部材が軸方向に互に相対可動したとき前記他の部材に摺接する前記シール部の締め代が変化することを特徴とする密封装置。
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