JP2015232213A - ラチス金物、トラス及び小梁構造 - Google Patents

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【課題】この発明は、主筋の信頼性を低下させることなく、上下の主筋を一体化し、スペーサーを用いることなく上下の主筋を所定の高さに保持して小梁に配設することを可能とし、作業効率の向上を図ることを課題とするものである。【解決手段】上下方向に屈曲された屈曲鉄筋3の上端部及び下端部に主筋保持部材4,5を取り付けてラチス金物Aを構成する。このラチス金物Aを複数長手方向に配設し、複数のラチス金物Aの上端部の主筋保持部材5と下端部の主筋保持部材4にそれぞれ1本の主筋6,7を保持させてトラスBを構成する。このトラスBを小梁の両側に長手方向に沿って配設して小梁の配筋を行う。なお、この発明のラチス金物及びトラスは、小梁構成用に限ることなく、種々の用途に使用することができる。【選択図】図1

Description

この発明は、RC構造建造物における小梁の構造に関するものであり、詳しくは小梁構造および小梁の構築に適したラチス部材及びトラスに関するものである。
RC構造建造物においては、小梁の両側上下に主筋を配設する必要がある。そして、下部の主筋は基板から所定の高さに位置させる必要があるために、スペーサーを用いて主筋を所定の高さに保持した状態でコンクリートを打設して施工している。そのために、主筋の配筋作業が繁雑であり、作業の効率が悪い。
このような問題を解決するものとして、ラチス筋の上下に鉄筋を溶着した立体トラスを用いて上下の主筋を配筋するようにした技術が提案されている。
特開平8−189125号公報
しかしながら、特開平8−189125号公報記載の発明は、ラチス筋に主筋を溶着するものであるところ、主筋は溶着することによって鉄筋の組成が変化し、信頼性が低下する。このような立体トラスはスラブの配筋に用いることはできるが、強度が重視される小梁に用いることは適当でない。
この発明は、主筋をラチス筋に溶着することなく取り付けることにより、主筋の信頼性を低下させることなく上下の主筋を一体化し、スペーサーを用いることなく下部主筋を所定の高さに保持して小梁に主筋を配設することを可能とし、作業効率の向上を図ることを課題とするものである。
請求項1ないし請求項3は、上記課題を解決するために最適なラチス金物に関するものである。すなわち、上下方向に屈曲された屈曲鉄筋の上端部及び下端部に主筋保持部材を取り付けてラチス金物を構成する。前記屈曲鉄筋は、略V字状に屈曲されると共に鉄筋の両開放端部はそれぞれ外側へ水平に屈曲されたものとし、両水平部にそれぞれ二つの主筋保持部材を取り付け、V字状屈曲部には1つの主筋保持部材を取り付けた構成が好ましい。
なお、ラチス金物は略V字状の屈曲を複数連続して形成したものとすることもでき、上下の主筋保持部材はそれぞれ1つとしても、また3つ以上としてもよい。
先記主筋保持部材は、金属線材を略U字状に屈曲して構成し、その開放端部を屈曲鉄筋に固着した構成が好ましいが、上下の主筋を、溶接することなくラチス金物に固定でき、コンクリートの打設作業において主筋がトラス金物から離脱しないものであれば材質や形状に格別の限定はない。
請求項4の発明は、課題解決に適したトラスの構成に関するものであり、請求項1ないし3のいずれかに記載のラチス金物を複数長手方向に配設し、複数のラチス金物の上端部の主筋保持部材と下端部の主筋保持部材にそれぞれ1本の主筋を保持させてトラスを構成するものである。
請求項5の発明は、課題を解決するための小梁構造であって、小梁の両側に長手方向に沿って請求項4記載のトラスを配設することを特徴とする、小梁構造である。
この発明においては、現場においてラチス金物の主筋保持部材に主筋を取付けてトラスを組み立て、このトラスをクレーンで釣り上げて大梁間に架設する。なお、この発明のラチス金物及びトラスは、小梁構成用に限ることなく、種々の用途に使用することができる。
この発明のラチス金物を用いると、主筋を溶接することなくラチス金物に取り付けてトラスを構成することができる。したがって、溶接による主筋の組成の変化による信頼性の低下を未然に防止することができる。
この発明のラチス金物を用いると、ラチス金物を工場で生産し、これと主筋とを現場に持ち込んで、現場において手作業で主筋をラチス金物に取り付けてトラスを構成することができるので、トラスの製造設備が簡素化され、かつ保管、運搬も簡便になる。
この発明のトラスを用いて小梁を構成することにより、上部主筋の両端を大梁に係止させてトラスを吊り下げて上下の主筋を所定位置に配置することができる。したがって、スペーサーを用いることなく主筋を所定の高さに保持することができる。その結果、下方型枠の設置を待たずに小梁の主筋を配設することができ、工期が短縮する。
この発明のトラスの実施例の一部正面図 同じく一部拡大側面図 この発明の小梁の正面図 この発明の小梁の側面図 この発明のラチス金物の他の実施例を示す正面図 この発明のラチス金物の他の実施例を示す正面図 この発明のラチス金物の他の実施例を示す正面図
以下この発明の実施例を説明し、併せてラチス金物のバリエーションを示す。
鉄筋を略V字状に屈曲し、V字状部1の開放側を略水平に屈曲して水平部2を形成して屈曲鉄筋3を構成する。この屈曲鉄筋3のV字状部の下端に下部の主筋保持部材4を固着し、前記両水平部2にそれぞれ二つずつ、上部の主筋保持部材5,5aを固着して、ラチス金物Aを構成する。ラチス金物Aの左右長は800ミリ程度、高さは450〜600ミリ程度とする。
前記上下の主筋保持部材は、断面円形の金属線材を略U字状に屈曲して形成し、その開放端部で屈曲鉄筋3を挟み込んだ状態として、スポット溶接により固着してある。主筋保持具4,5、5aの内寸は主筋が挿通可能な大きさとしてある。
ラチス金物Aの上部の主筋保持部材5,5aに順次上部の主筋6を挿通して、1本の主筋6に複数のラチス金物Aを取り付ける。
ここにおいて、屈曲鉄筋の上部水平部にはそれぞれ2つの主筋保持部材5,5aが取り付けてあるので、主筋の方向性が安定し、左右・上下のふれが生じにくい。また、主筋保持部材を断面円形の金属線材で構成してあるので、断面円形の周面がガイドとなり、主筋をスムーズに挿通させることができる。
次いで、下部の主筋保持部材4に、下部の主筋7を順次挿通してトラスBを構成する。
トラスBの組み立てにおいて、ラチス金物Aの間隔は適宜調節することができる。例えば、ラチス金物Aの間隔を広げてスリーブ8や補強材のためのスペースを確保することができる。
上記のように構成したトラスBを用いて小梁を構成する場合、トラスBをクレーンでつり上げ、上部の主筋6の両端を大梁9に係止する。このトラスBは小梁の長手方向に沿って、二組対向して設置し、スターラップ10を所定間隔で配設する。なお、要求される強度によっては、トラスBを3本設置する場合もある。
このように配筋した後、下方型枠を設置し(下方型枠設置後に配筋してもよい)、下部主筋を保持するスペーサーを配設し、コンクリートを打設する。
上記において、上部の主筋6と下部の主筋7とはラチス金物Aによって一体化されているので、上部の主筋6の高さ位置が決まることにより下部の主筋7の高さ位置も自動的に決まり、上下の主筋は所定の位置に配設される。したがって、スペーサーを用いることなく小梁の主筋を配設することができる。
また、トラスBは剪断力への耐性を向上させるので、スターラップの量を減らすことも可能となる。
なお、トラスBの使用において、上下逆にすることも可能である。
図5ないし図7はこの発明のラチス金物Aの他の実施例を示すものであり、図5は、水平部を設けずに、主筋保持部材は左右それぞれ1つとしたもの、図6はV字状屈曲部を二連としたもの、図7は略U字状に屈曲したものである。
この発明によれば、溶接により主筋を痛めることなく上下の主筋を一体化することができ、スペーサーを用いることなく小梁における上下の主筋を所定の高さに配設することができるものであって、工事の簡易化、工期の短縮に寄与するものである。
A ラチス金物
B トラス
1 V字状部
2 水平部
3 屈曲鉄筋
4 下部の主筋保持部材
5、5a 上部の主筋保持部材
6 上部の主筋
7 下部の主筋
8 スリーブ
9 大梁
10 スターラップ

Claims (5)

  1. 上下方向に屈曲された屈曲鉄筋の上端部及び下端部に主筋保持部材が取り付けられた、ラチス金物。
  2. 屈曲鉄筋は、略V字状に屈曲されると共に鉄筋の両開放端部はそれぞれ外側へ水平に屈曲されたものとし、両水平部にそれぞれ二つの主筋保持部材が取り付けられ、V字状屈曲部には1つの主筋保持部材が取り付けられた、請求項1記載のラチス金物。
  3. 主筋保持部材は、断面円形の金属線材を略U字状に屈曲して構成し、その開放端部を屈曲鉄筋に固着した、請求項1又は2に記載のラチス金物。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載のラチス金物が複数長手方向に配設され、複数のラチス金物の上端部の主筋保持部材と下端部の主筋保持部材にそれぞれ1本の主筋が保持されて構成された、トラス。
  5. 小梁の両側に長手方向に沿って請求項4記載のトラスが配設されたことを特徴とする、小梁構造。

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