JP2015232029A - ロキソプロフェンナトリウム含有軟カプセル用内容物、及び、それを含有する軟カプセル製剤 - Google Patents

ロキソプロフェンナトリウム含有軟カプセル用内容物、及び、それを含有する軟カプセル製剤 Download PDF

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Abstract

【課題】軟カプセル用内容物中にロキソプロフェンナトリウム又はその水和物を高濃度で溶解できる軟カプセル用内容物を提供することや、1回投与量当たりの基剤量を少なくすることにより軟カプセル製剤のサイズを小型化して服用し易くした軟カプセル製剤を提供すること。【解決手段】基剤と、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物と、該ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物の濃度が22〜40質量%となるようにロキソプロフェンナトリウム又はその水和物を基剤に溶解するための溶解補助剤とを含有する軟カプセル用内容物であって、前記溶解補助剤は、炭素数が8〜10の脂肪酸のモノグリセリンエステル若しくはポリグリセリン脂肪酸エステルからなる界面活性剤を含有する、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物の濃度が22〜40質量%の軟カプセル用内容物を調製する。【選択図】なし

Description

本発明は、基剤と、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物と、該ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物の濃度が22〜40質量%となるようにロキソプロフェンナトリウム又はその水和物を基剤に溶解するための溶解補助剤とを含有する軟カプセル用内容物や、かかる軟カプセル用内容物を含有する軟カプセル製剤に関する。
ロキソプロフェンナトリウム「化学名:2−{4−[(2−オキソシクロペンチル)メチル〕フェニル}プロピオン酸ナトリウム」の水和物は、非ステロイド系の消炎剤、鎮痛剤及び解熱剤として知られている。
ロキソプロフェンナトリウムの水和物は他の薬物や打錠機等の成型器具に極めて付着し易いという問題があるため、ロキソプロフェンナトリウム水和物を製剤化する場合に固形製剤化することは困難であった。
そこで、ロキソプロフェンナトリウム水和物が水に溶けやすい性質を利用して、ロキソプロフェンナトリウム水和物の水溶液を含有する軟カプセル製剤が検討されている。しかしながら、軟カプセル製剤の皮膜材料としてゼラチンを用いた場合、ゼラチンは吸湿性を有することから、内容物としたロキソプロフェンナトリウム水和物の水溶液によってゼラチン皮膜が溶けてしまう等、カプセル製剤化が困難であるという問題があった。
ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物を非水系の物質に含有させたものを軟カプセル用内容物とした従来技術が存在する。例えば、特許文献1は、油脂、多価アルコール、又は界面活性剤に、ロキソプロフェンナトリウム又はその塩を溶解又は分散させ、かかる溶解又は分散体をカプセル中に充填したロキソプロフェンナトリウム又はその塩を含有するカプセル製剤を開示している。また、特許文献2は、ロキソプロフェンナトリウムをポリエチレングリコールに溶解させた内容物を充填した軟カプセル製剤を開示している。
また、特許文献3は、ロキソプロフェンナトリウム又はその塩をグリセリンに溶解させた内容物を充填したカプセル製剤を開示している。
さらに、特許文献4は、特定の疎水性物質とポリエチレングリコール等の親水性物質を利用することで、油にロキソプロフェン等の難溶性成分を溶解させたシームレスカプセル充填用組成物を開示している。
このほか、特許文献5は、ロキソプロフェン等の難溶性の酸性薬物を塩基性のカチオンアクセプタンス、ポリエチレングリコール、及び界面活性剤に溶解させた製剤を充填した軟カプセル製剤を開示している。
特開2001−31565号公報 特開2011−140486号公報 特開2011−68636号公報 特開2012−46505号公報 特表2006−514119号公報
前記各従来技術は、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物を非水系物質に含有させる際に、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物の溶解性を向上させるようにしているが、その溶解性向上効果は十分ではなく、特にロキソプロフェンナトリウム又はその水和物を22質量%以上含有させる場合にはロキソプロフェンナトリウム又はその水和物は十分溶解せずに白濁するという問題があった。また、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物の必要量を確保しようとするとロキソプロフェンナトリウム又はその水和物含有製剤の量が増して軟カプセル製剤が大きくなり、服用に支障を来たす虞があった。さらに、温度変化によって、軟カプセル製剤内でロキソプロフェンナトリウム又はその水和物の結晶が析出して軟カプセル製剤の透明性を損なうという問題もあった。
そこで、本発明の課題は、軟カプセル用内容物中にロキソプロフェンナトリウム又はその水和物が高濃度で溶解できる軟カプセル用内容物を提供すること、及び、1回投与量当たりの基剤量を少なくすることにより軟カプセル製剤のサイズを小型化して服用し易くした軟カプセル製剤や、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物を基剤に溶解した状態で製剤化することにより、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物服用時のバイオアベイラビリティを向上させるとともに、基剤に対するロキソプロフェンナトリウム又はその水和物の溶解安定性を向上することによって、内容物の透明性が高い軟カプセル製剤を提供することにある。
ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物を溶解させる基剤としてマグロゴール400やマグロゴール600等のポリエチレングリコールが用いられているが、マクロゴール600にロキソプロフェンナトリウム又はその水和物を溶解させた場合の常温での最大溶解度は約18質量%、マクロゴール400にロキソプロフェンナトリウム又はその水和物を溶解させた場合の常温での最大溶解度は約22質量%と低かった。そこで、本発明者らは、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物の基剤への溶解度が向上する溶解補助剤を検討した。
検討の結果、マクロゴール400又はマクロゴール600に、グリセリンモノ脂肪酸エステル若しくはポリグリセリン脂肪酸エステルからなる界面活性剤を溶解補助剤として用いることで、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物の基剤への溶解度が向上することを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、[1]基剤と、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物と、該ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物の濃度が22〜40質量%となるようにロキソプロフェンナトリウム又はその水和物を基剤に溶解するための溶解補助剤とを含有する軟カプセル用内容物であって、前記溶解補助剤は、炭素数が8〜10の脂肪酸のモノグリセリンエステル若しくはポリグリセリン脂肪酸エステルからなる界面活性剤を含有することを特徴とするロキソプロフェンナトリウム又はその水和物の濃度が22〜40質量%の軟カプセル用内容物や、[2]溶解補助剤を含有する基剤とロキソプロフェンナトリウム又はその水和物とを配合してなることを特徴とする上記[1]記載の軟カプセル用内容物や、[3]基剤が、ポリエチレングリコールであることを特徴とする上記[1]又は[2]記載の軟カプセル用内容物や、[4]ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物が透明に溶解していることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれか記載の軟カプセル用内容物に関する。
また、本発明は、[5]ポリグリセリン脂肪酸エステルが、ポリグリセリンの重合数が6〜10の、炭素数が8〜18の脂肪酸のモノ脂肪酸エステルであることを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれか記載の軟カプセル用内容物や、[6]界面活性剤の含有量が、10質量%以上であることを特徴とする上記[1]〜[5]のいずれか記載の軟カプセル用内容物や、[7]乳酸、安息香酸、酢酸、プロピオン酸、及び酪酸の少なくとも一つから選択される有機モノカルボン酸をさらに含有することを特徴とする上記[1]〜[6]のいずれか記載の軟カプセル用内容物や、[8]有機モノカルボン酸の含有量が、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物に対するモル当量として0.1〜1.5モル当量であることを特徴とする上記[7]記載の軟カプセル用内容物に関する。
さらに、本発明は、[9]溶解補助剤を含有する基剤が、界面活性剤であることを特徴とする上記[2]記載の軟カプセル用内容物や、[10]界面活性剤が、グリセリンモノカプリレート又はグリセリンモノカプレートであることを特徴とする上記[9]記載の軟カプセル用内容物や、[11]上記[1]〜[10]のいずれか記載の軟カプセル用内容物を含有する軟カプセル製剤に関する。
本発明の軟カプセル用内容物は、基剤にロキソプロフェンナトリウム又はその水和物を高濃度に溶解することが可能となる。かかる軟カプセル用内容物を用いれば、1回投与量当たりの基剤量が少なく小型サイズで服用し易い軟カプセル製剤を作製することが可能となる。また、本発明の軟カプセル用内容物を含有するカプセル製剤は、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物が溶解していることから、服用後にロキソプロフェンナトリウム又はその水和物が体内で吸収し易くバイオアベイラビリティを向上させるとともに、カプセル製剤の内容物の透明性を維持することが可能となる。
実施例6で製造した軟カプセル製剤を定規上において撮影した写真である。
本発明の軟カプセル用内容物は、基剤と、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物と、該ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物の濃度が22〜40質量%となるようにロキソプロフェンナトリウム又はその水和物を基剤に溶解するための溶解補助剤とを含有する軟カプセル用内容物であって、前記溶解補助剤は、炭素数が8〜10の脂肪酸のモノグリセリンエステル若しくはポリグリセリン脂肪酸エステルからなる界面活性剤を含有することを特徴とするロキソプロフェンナトリウム又はその水和物の濃度が22〜40質量%の軟カプセル用内容物であれば特に制限されず、かかる軟カプセル用内容物を用いれば、1回投与量当たりの基剤量が少なく小型サイズで服用し易い軟カプセル製剤を作製することが可能となる。
本発明において、基剤としては、ポリエチレングリコール(以下、「PEG」ともいう)、プロピレングリコールを例示することができ、PEGを好適に例示することができる。PEGの平均分子量は200〜800、好ましくは400〜600であり、平均分子量が400のPEGであるマクロゴール400や平均分子量が600のPEGであるマクロゴール600等の一般に市販されているものを使用することができる。
基剤には、さらにコロイド状二酸化ケイ素を含有することもできる。コロイド状二酸化ケイ素は一般に市販されているものを使用することができ、アエロジル(登録商標)(日本アエロジル社製)を例示することができる。基剤にコロイド状二酸化ケイ素を含有することで、ゼラチン皮膜のような親水性が高い皮膜を用いて本発明の軟カプセル用内容物を含有する軟カプセル製剤を製造した場合に、皮膜の浸食や軟カプセル用内容物の漏れの発生をより抑制することが可能となる。コロイド状二酸化ケイ素の含有量は、軟カプセル用内容物に対して0.1〜30質量%、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは3〜8質量%を例示することができる。
本発明において、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物としては、ロキソプロフェンナトリウム又はロキソプロフェンナトリウム二水和物を例示することができ、ロキソプロフェンナトリウム二水和物を好適に例示することができる。
ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物の濃度としては、軟カプセル用内容物に対して22〜40質量%、好ましくは23〜35質量%、より好ましくは23〜30質量%を例示することができる。
本発明において、「ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物を基剤に溶解する」とは、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物が基剤と混合して均一な状態となり、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物の結晶の析出が目視で確認できないか、確認できても僅かである状態にすることを意味する。また、「ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物が透明に溶解している」とは、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物が基剤と混合して均一な状態となり、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物の結晶の析出が目視で確認できない状態となっていることを意味する。ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物を基剤に溶解することで、本発明の軟カプセル用内容物を含有する軟カプセル製剤を服用した際に、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物が体内で容易に溶けて、体内でのロキソプロフェンナトリウム又はその水和物の吸収効率を高めることが可能となる。
ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物を基剤に溶解する方法としては、まず基剤に溶解補助剤を添加し、40〜50℃に加温撹拌して溶解補助剤を含有する基剤を調製し、かかる溶解補助剤を含有する基剤にロキソプロフェンナトリウム又はその水和物を添加し、40〜50℃に加温撹拌する方法を例示することができる。
本発明において、溶解補助剤としては、炭素数が8〜10の脂肪酸のモノグリセリンエステル若しくはポリグリセリン脂肪酸エステルからなる界面活性剤を含有し、軟カプセル用内容物に対してロキソプロフェンナトリウム又はその水和物の濃度が22〜40質量%となるようにロキソプロフェンナトリウム又はその水和物を基剤に溶解できるものであれば特に制限されず、炭素数が8〜10の脂肪酸のモノグリセリンエステル若しくはポリグリセリン脂肪酸エステルからなる界面活性剤のいずれか1種を使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
有機モノカルボン酸としては、乳酸(DL体、D体、L体)、安息香酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、好ましくは乳酸を例示することができ、かかる有機モノカルボン酸は1種を使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。有機モノカルボン酸は、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物の一部を遊離酸にする過程で、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物とロキソプロフェンとを共存させることにより、基剤に対するロキソプロフェンナトリウム又はその水和物の溶解性を向上させることができる。
有機モノカルボン酸の含有量は、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物の濃度が22〜40質量%となるようにロキソプロフェンナトリウム又はその水和物を基剤に溶解でき、且つ有機モノカルボン酸の結晶の析出がない範囲で適宜決定でき、例えば、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物に対するモル当量として0.1〜1.5モル当量が好ましく、さらに好ましくは、0.2〜1.5モル当量である。有機モノカルボン酸量が0.1モル当量未満であると、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物の基剤に対する溶解性の向上効果が十分でなく、1.5モル当量を超えると有機モノカルボン酸が基剤に対して溶解せずに結晶が析出する場合がある。
有機モノカルボン酸が乳酸であって、22〜35質量%のロキソプロフェンナトリウム又はその水和物を溶解させる場合には、前記乳酸の含有量は、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物に対するモル当量として0.1〜1.5モル当量、好ましくは0.3〜1.5モル当量を例示することができ、35質量%超〜40質量%のロキソプロフェンナトリウム又はその水和物を溶解させる場合には、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物に対するモル当量として0.7〜1.3モル当量、好ましくは0.9〜1.1モル当量、より好ましくは1モル当量を例示することができる。
有機モノカルボン酸が安息香酸の場合には、前記安息香酸の含有量は、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物に対するモル当量として0.2〜0.4モル当量、好ましくは0.25〜0.35モル当量、より好ましくは0.3モル当量を例示することができる。
有機モノカルボン酸が酢酸の場合には、前記酢酸の含有量は、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物に対するモル当量として0.2〜0.6モル当量、より好ましくは0.3〜0.5モル当量を例示することができる。
有機モノカルボン酸がプロピオン酸の場合には、前記プロピオン酸の含有量は、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物に対するモル当量として0.2〜0.4モル当量、好ましくは0.25〜0.35モル当量、より好ましくは0.3モル当量を例示することができる。
有機モノカルボン酸が酪酸であって、22〜25質量%のロキソプロフェンナトリウム又はその水和物を溶解させる場合には、前記酪酸の含有量は、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物に対するモル当量として0.2〜0.4モル当量、好ましくは0.25〜0.35モル当量、より好ましくは0.3モル当量を例示することができる。
本発明において、溶解補助剤を含有する基剤としては、基剤に溶解補助剤を含んでいれば特に制限されないが、基剤に溶解補助剤が溶解していることが、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物の基剤に対する溶解性の向上の点で好ましい。
本発明において、界面活性剤としては、グリセリンモノ脂肪酸エステル若しくはポリグリセリン脂肪酸エステルを例示することができる。
グリセリンモノ脂肪酸エステルとしては、炭素数が8〜10の脂肪酸のモノグリセリンエステルが好ましく、以下の式(I)に示すグリセリンモノカプリレート、グリセリンモノカプレートを例示することができる。なお、グリセリンモノ脂肪酸エステルに、グリセリンジ脂肪酸エステル、グリセリントリ脂肪酸エステルが副成分として含まれることを妨げるものではない。また、式(I)において、脂肪酸が結合するグリセリンの水酸基の位置は、市販品では中央の水酸基である場合もあり得る。
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ポリグリセリンの重合数が6〜10の、炭素数が8〜18の脂肪酸、中でもカプリル酸(C8)、ラウリン酸(C12)、又はオレイン酸(C18:1)の、HLB(Hydrophile-Lipophile Balance)値が11〜17のモノ脂肪酸エステルが好ましく、特に、以下の式(II)に示すヘキサグリセリンモノラウレート(HLB13.5)や、以下の式(III)に示すデカグリセリンモノカプリレート(HLB15〜16)、デカグリセリンモノラウレート(HLB17)が好ましい。また、式(II)、(III)に示す脂肪酸が結合するポリグリセリンの水酸基の位置も、市販品ではポリグリセリン鎖の内部の水酸基である場合もあり得る。さらに、ポリグリセリン鎖に、複数の脂肪酸が結合している場合もあり得る。
なお、HLB値は、各市販界面活性剤製品に表示された参考値であって、一例として記載されたものであり、その値により本発明に適用される界面活性剤の種類や含有量に制約を与えるものではない。
界面活性剤の含有量は特に制限されないが、基剤に対するロキソプロフェンナトリウム二水和物の溶解性の観点から、軟カプセル用内容物に対して5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上である。界面活性剤の含有量の上限は、軟カプセル用内容物に含有されるロキソプロフェンナトリウム又はその水和物の量に応じて調整することができる。また、界面活性剤と上述の有機モノカルボン酸が同時に含有されてもよい。なお、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物の濃度が35質量%以下の場合には、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物以外の全量が界面活性剤、好ましくはグリセリンモノカプリレート又はグリセリンモノカプレート、より好ましくはグリセリンモノカプリレートであっても、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物は界面活性剤に溶解することが可能であり、この場合、本発明において、かかる界面活性剤を“溶解補助剤を含有する基剤”と便宜的にいう。
グリセリンモノカプリレートを30質量%以上含有させた場合には、凝固点が18〜23℃であるマグロゴール600を基剤として用い、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物の濃度が30質量%以上においても、冷蔵保存、例えば5℃保存という過酷な条件においてより安定した溶解状態を保つことができる。
本発明の軟カプセル用内容物を含有する軟カプセル製剤としては、本発明の軟カプセル用内容物を含有していれば特に制限されず、かかる軟カプセル製剤は、従来用いられている軟カプセル製剤の製造方法、例えば、打抜法によりロータリーダイ式軟カプセル充填機を用いた方法、又は、滴下法によりシームレスカプセル充填機を用いた方法により製造するができる。
本発明の軟カプセル用内容物を含有する軟カプセル製剤の皮膜の材料としては特に限定されず、ゼラチン、カラギーナン、寒天、アルギン酸ナトリウム、プルラン、グルコマンナン、アラビアゴム、ファーセレラン、ユーケマ藻類、ジェランガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デンプン類等の水溶性高分子を例示ことができ、ゼラチン又はカラギーナンを好適に例示することができる。カラギーナンを用いた軟カプセル製剤の皮膜としては、たとえば特許第5149465号に記載の軟カプセル製剤の皮膜を例示することができる。
軟カプセルの皮膜には、必要に応じて、カプセルの皮膜に用いられる各種添加剤、例えば、可塑剤、防腐剤、水分活性低下剤、pH調整剤等を配合することができる。
次に本発明の実施例について説明する。なお、以下の実施例において、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物として第十六改正日本薬局方記載のロキソプロフェンナトリウム二水和物(分子量304.31)を用いた。また、クエン酸としてはクエン酸一水和物を利用し、他の有機酸は無水物を用いた。
[酸含有系でのロキソプロフェンナトリウム二水和物の溶解性の検討]
ロキソプロフェンナトリウム二水和物の溶解補助剤として好適な酸について検討した。
マクロゴール600(MG600)に塩酸、リン酸の無機酸や、コハク酸、DL−リンゴ酸、L−酒石酸、クエン酸一水和物、DL−乳酸、安息香酸、酪酸、プロピオン酸、酢酸のいずれかの有機酸を添加し、50℃で約1時間加温して溶解させた。次いで、ロキソプロフェンナトリウム二水和物を加え、同温度で約1時間加温攪拌してロキソプロフェンナトリウム二水和物を溶解させて、ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液を調製し、溶解性試験を行った。ロキソプロフェンナトリウム二水和物の濃度は22.6〜28.0質量%とし、各無機酸や有機酸の含有量はロキソプロフェンナトリウム二水和物に対するモルで0.2〜0.4モル当量とした。
ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液の調製において、MG600を基剤として使用し、ロキソプロフェンナトリウム二水和物の濃度を28質量%とし、DL−乳酸量の含有量をロキソプロフェンナトリウム二水和物に対するモル当量で0.3モル当量とした場合の例を以下に示す。DL−乳酸0.107g(0.00118モル)を試験管に秤量し、その中にMG600 2.98gを加えてDL−乳酸をMG600に50℃で溶解させた。その後、ロキソプロフェンナトリウム二水和物1.20g(0.00394モル)を添加し、スパテルで撹拌させながら、ロキソプロフェンナトリウム二水和物を50℃で溶解させ、約50分後無色透明なロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液を得た。
また、MG600の代わりにマクロゴール400(MG400)を用いて同様な試験を行った。
ロキソプロフェンナトリウム二水和物を添加し、ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液が調製後常温で8日後でも無色透明で、粘度が低い場合を、ロキソプロフェンナトリウム二水和物の溶解安定性が良好と判定し、反対に、ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液調製後常温で8日後、溶液が白濁、結晶の析出、ノリ状である場合をロキソプロフェンナトリウム二水和物の溶解安定性が不良と判定した。
上記試験の結果、DL−乳酸、安息香酸、酪酸、プロピオン酸及び酢酸の有機モノカルボン酸を用いた場合、ロキソプロフェンナトリウム二水和物の溶解安定性が良好と判定された。これら以外の塩酸、リン酸や有機酸については、ロキソプロフェンナトリウム二水和物の溶解安定性が不良と判定された。
[有機モノカルボン酸含有系でのロキソプロフェンナトリウム二水和物の溶解性の検討]
上述の実施例1により、有機モノカルボン酸であるDL−乳酸、安息香酸、酪酸、プロピオン酸及び酢酸を用いることで、ロキソプロフェンナトリウム二水和物の溶解安定性が向上することが明らかとなったため、さらに、マクロゴール600(MG600)にDL−乳酸、安息香酸、酪酸、プロピオン酸、酢酸のいずれかを添加したロキソプロフェンナトリウム二水和物の溶解性試験を行った。ロキソプロフェンナトリウム二水和物の濃度や、ロキソプロフェンナトリウム二水和物に対する有機モノカルボン酸の含有量(モル当量)を表1に示す量とした以外は、実施例1と同様の方法でロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液を調製し、ロキソプロフェンナトリウム二水和物の溶解性を調べた。表1は、ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液に対する各ロキソプロフェンナトリウム二水和物(LoxNa)の濃度(質量%)と、各有機モノカルボン酸の含有量(ロキソプロフェンナトリウム二水和物に対するモル当量)における、ロキソプロフェンナトリウム二水和物の溶解性試験の結果を示している。
さらに、マクロゴール400(MG400)にDL−乳酸を添加したロキソプロフェンナトリウム二水和物の溶解性試験を行った。結果を表2に示す。
表1、表2において、◎はロキソプロフェンナトリウム二水和物の結晶の析出が目視で確認できず、マクロゴールにロキソプロフェンナトリウム二水和物が透明に溶解したことを示し、○はマクロゴールにロキソプロフェンナトリウム二水和物が溶解したが、ロキソプロフェンナトリウム二水和物の結晶の析出が僅かに確認されたことを示し、×はロキソプロフェンナトリウム二水和物の結晶の析出が多く確認され、ロキソプロフェンナトリウム二水和物が溶解しなかった、又は、溶解後直ぐに結晶の析出が多く生じたことを示し、−は未検討を示す。
表1に示すように、有機モノカルボン酸がDL−乳酸の場合には、ロキソプロフェンナトリウム二水和物の濃度が23〜28質量%において、DL−乳酸がロキソプロフェンナトリウム二水和物に対するモル当量で0.1モル当量では、ロキソプロフェンナトリウム二水和物がMG600に透明に溶解せず、ロキソプロフェンナトリウム二水和物が透明に溶解するにはDL−乳酸が0.2モル当量必要であった。また、ロキソプロフェンナトリウム二水和物の濃度が高くなるにつれて、DL−乳酸量が多く必要であった。ロキソプロフェンナトリウム二水和物の濃度が28質量%の場合、DL−乳酸がロキソプロフェンナトリウム二水和物に対するモル当量で0.2モル当量ではロキソプロフェンナトリウム二水和物が溶解するものの、結晶の析出が僅かに確認された。
一方、ロキソプロフェンナトリウム二水和物の濃度が23〜28質量%の場合、DL−乳酸がロキソプロフェンナトリウム二水和物に対するモル当量で0.3〜1.5モル当量でロキソプロフェン二水和物が透明に溶解した。ロキソプロフェンナトリウム二水和物の濃度が35質量%において、DL−乳酸量がロキソプロフェンナトリウム二水和物に対するモル当量で0.5〜0.7モル当量及び1モル当量で、ロキソプロフェンナトリウム二水和物が透明に溶解した。ロキソプロフェンナトリウム二水和物の濃度が40質量%の場合、DL−乳酸量がロキソプロフェンナトリウム二水和物に対するモル当量で1モル当量で、ロキソプロフェンナトリウム二水和物が透明に溶解した。
また、表2に示すように、ロキソプロフェンナトリウム二水和物の濃度が22.4〜28質量%において、DL−乳酸がロキソプロフェンナトリウム二水和物に対するモル当量で0.3〜1モル当量で、ロキソプロフェンナトリウム二水和物はMG400に透明に溶解した。
なお、有機モノカルボン酸がDL−乳酸であって、表1、2の◎で示したロキソプロフェンナトリウム二水和物が透明に溶解した場合のロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液を常温で1ヶ月保存したとき、ロキソプロフェンナトリウム二水和物濃度が35質量%以下の場合には、結晶の析出は観察されなかった。
有機モノカルボン酸が安息香酸の場合、ロキソプロフェンナトリウム二水和物の濃度が28質量%において、安息香酸がロキソプロフェンナトリウム二水和物に対するモル当量で0.3〜0.4モル当量で、ロキソプロフェンナトリウム二水和物は透明に溶解した。0.4モル当量を超えると、安息香酸ナトリウムの結晶の析出が観察されることがあった。ロキソプロフェンナトリウム二水和物の濃度が23〜25質量%において、安息香酸がロキソプロフェンナトリウム二水和物に対するモル当量で0.2モル当量では、ロキソプロフェンナトリウム二水和物の僅かな結晶が観察された程度であり、0.1モル当量では、ロキソプロフェンナトリウム二水和物は溶解し難かった。
なお、有機モノカルボン酸が安息香酸であって、表1の◎で示したロキソプロフェンナトリウム二水和物が透明に溶解した場合のロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液を常温で1ヶ月保存したとき、ロキソプロフェンナトリウム二水和物濃度が25質量%以下の場合には、結晶の析出は観察されなかった。
有機モノカルボン酸が酢酸の場合、ロキソプロフェンナトリウム二水和物の濃度が23〜28質量%において、酢酸がロキソプロフェンナトリウム二水和物に対するモル当量で0.3〜0.5モル当量で、ロキソプロフェンナトリウム二水和物がMG600に透明に溶解した。
なお、有機モノカルボン酸が酢酸であって、表1の◎で示したロキソプロフェンナトリウム二水和物が透明に溶解した場合のロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液を常温で8日保存したとき、ロキソプロフェンナトリウム二水和物濃度が23質量%の場合には、結晶の析出は観察されなかった。
有機モノカルボン酸がプロピオン酸の場合、ロキソプロフェンナトリウム二水和物の濃度が25〜28質量%において、プロピオン酸のロキソプロフェンナトリウム二水和物に対するモル当量が0.3モル当量で、ロキソプロフェンナトリウム二水和物がMG600に透明に溶解した。
有機モノカルボン酸が酪酸の場合、ロキソプロフェンナトリウム二水和物の濃度が25質量%において、酪酸のロキソプロフェンナトリウム二水和物に対するモル当量が0.3モル当量で、ロキソプロフェンナトリウム二水和物がMG600に透明に溶解した。一方、ロキソプロフェンナトリウム二水和物の濃度が28質量%において、酪酸のロキソプロフェンナトリウム二水和物に対するモル当量が0.3モル当量のとき、ロキソプロフェンナトリウム二水和物はMG600に溶解しなかった。
有機モノカルボン酸を添加しない場合、ロキソプロフェンナトリウム二水和物の常温でのMG400への溶解濃度は約22質量%、MG600への溶解濃度は約18質量%であることから、有機モノカルボン酸を溶解補助剤として用いることで、ロキソプロフェンナトリウム二水和物の基剤への溶解度が飛躍的に向上することが明らかとなった。
[界面活性剤含有系でのロキソプロフェンナトリウム二水和物の溶解性の検討]
MG600に表3に示す所定量の種々の界面活性剤(乳化剤)を添加し、約48℃でMG600に界面活性剤を溶解させて無色透明な均一な溶液を調製した。その後、ロキソプロフェンナトリウム二水和物を加えてさらに同温度にてロキソプロフェンナトリウム二水和物を加温溶解させてロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液(調合液)を調製した。ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液の調製時及び調製後の安定性の結果を表3に示す。また、ロキソプロフェンナトリウム二水和物濃度が28質量%において、界面活性剤の含有量を変化させた場合のロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液の調製時及び調製後の安定性の結果を表4に示す。
表3中、LoxNa%は、ロキソプロフェンナトリウム二水和物の濃度(質量%)を示す。また、表3、4中、調製時及び調製後のロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液の溶解状態の評価について、○はロキソプロフェンナトリウム二水和物が透明に溶解し、ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液に結晶の析出物がないことを示し、○*はロキソプロフェンナトリウム二水和物が溶解するものの、ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液に結晶が極僅か析出するものを示し、△はロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液に結晶が分散して溶液が不透明になることを示し、×はロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液が懸濁液状で溶液が不透明となり析出物があることを示している。調製後のロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液の安定性(経過状況)は、常温保存で評価した。
用いた界面活性剤の種類は次のとおりである。
M-100;ポエムM-100(グリセリンモノカプリレート(C8)、HLB 7.0 理研ビタミン社製)
ML-310; SYグリスターML-310(テトラグリセリンモノラウレート、HLB 10.3 阪本薬品工業社製)
ML-500; SYグリスターML-500(ヘキサグリセリンモノラウレート、HLB 13.5 阪本薬品工業社製)
MO-5S; SYグリスターMO-5S(ヘキサグリセリンモノオレエート、HLB 11.6 阪本薬品工業社製)
MO-7S; SYグリスターMO-7S(デカグリセリンモノオレエート、HLB 12.9 阪本薬品工業社製)
ソルゲン90; (ソルビタンモノラウレート HLB 8.6 第一工業製薬社製)
CE-19D;リヨートーポリグリエステルCE-19D(デカグリセリンモノ力プリレート、HLB 15 三菱化学フーズ社製)
No.700P-2;サンソフトNO.700P-2(グリセリンモノカプリレート(C8)、HLB 7.2太陽化学社製)
No.760;サンソフトNO.760(グリセリンモノカプレート(C10)、HLB 6.5 太陽化学社製)
L-7D;リョートーポリグリエステルL-7D(デカグリセリンモノラウレート、HLB 17 三菱化学フーズ社製)
MCA-750;SYグリスターMCA-750(デカグリセリンモノカプリレート、HLB 16 阪本薬品工業社製)
TO-10M;ニッコールTO-10M(ポリソルベート80、HLB 15 日光ケミカルズ社製)
No.750;サンソフトNo.750(グリセリンモノラウレート(C12)、HLB 5.3 太陽化学社製)
ホモテックスPT(グリセリンモノカプリレート(C8)、HLB 5.0 花王社製)
(ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液の調製例)
(1)LotA30-6の例
ML-500 0.530gを試験管に秤量し、その中にMG600 3.43gを加えて48℃で界面活性剤をMG600に溶解させた。その後、ロキソプロフェンナトリウム二水和物 1.32gを加えてさらに同温度にてスパテルで攪拌しながらロキソプロフェンナトリウム二水和物を加温溶解させ、約50分後に無色透明の均一なロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液を得た。
(2)LotB02-4の例
M-100 30.0gをビーカーに秤量し、その中にMG600 42.0gを加えて48℃で界面活性剤をMG600に溶解させた。その後、ロキソプロフェンナトリウム二水和物 28.0gを加えてさらに同温度にてスパテルで攪拌しながらロキソプロフェンナトリウム二水和物を加温溶解させ、約50分後に無色透明の均一なロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液を得た。
(結果)
ロキソプロフェンナトリウム二水和物の濃度が25質量%で、HLBが11以上のポリグリセリン脂肪酸エステル(ML-500, CE-19D, L-7D, MO-5S, MO7S,ML-500)を15質量%含有させた場合(LotA26-9〜-11、LotA30 -3,-4,-6)、ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液は、調製後1日後でLotA26-9〜-11、LotA30-3,-4については透明であり、10質量%であるLotA30-6についてはほぼ透明であって、結晶が析出したとしても僅かであった。一方、HLBが10.3と低いテトラグリセリンモノラウレート(ML-310)を15質量%含有させた場合(LotA30-2)、調製後のロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液は直ちに不透明となった。また、LotA30-5において、脂肪酸エステルとは異なるソルビタン脂肪酸エステルのソルゲン90を15質量%含有させた場合は、ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液は不透明乳濁状態で溶液の流動性も低く取り扱いにくかった。
ロキソプロフェンナトリウム二水和物濃度が25質量%で、グリセリンモノカプリレート(C8:M-100)を15質量%含有させた場合(LotA30-1)、調製後2日後もロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液はほぼ透明であった。
ロキソプロフェンナトリウム二水和物濃度が28質量%で、界面活性剤(ML-500, L-7D)を10質量%含有させた場合(LotA31-2,-3)は、ML-500については、ロキソプロフェンナトリウム二水和物は均一に溶解し、ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液は2日後も結晶の析出はなかった。L-7Dについてもロキソプロフェンナトリウム二水和物は均一に溶解し、ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液は2日後に極僅か結晶が析出したのみであった。一方、ロキソプロフェンナトリウム二水和物濃度が28質量%で、ポリソルベート類であるTO-10Mを10質量%含有させた場合(LotA31-5)については、ロキソプロフェンナトリウム二水和物は懸濁状態となって溶解しなかった。
M-100と、他のポリグリセリンモノ脂肪酸エステル(ML-500, MO-5S, MCA-750, L-7D)とを組み合わせた場合(LotA31-6〜A31-9並びにLotB02-1)の、ロキソプロフェンナトリウム二水和物のMG600への溶解性について検討した。何れの場合も、調製後全体に透明なロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液が得られた。常温安定性の点で、M-100とML-500の組み合せが良好であった。
M-100の含有量を40質量%まで増加させた場合(LotA31-1,LotB01-1〜-3)、M-100の含有量が20質量%では、極僅かな結晶の析出物が見られたが、30質量%、40質量%では、透明なロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液となって、1ヶ月後においても結晶の析出はなかった。さらに、M-100の含有量が30質量%、40質量%の場合におけるロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液を5℃で1ヶ月保管したが、結晶の析出はなく透明であった。
M-100の含有量を50〜72質量%(72質量%の場合、マクロゴールは含まれない)にした場合(LotB03-1〜-3)、何れも、ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液の調製後に極僅かに結晶の析出が溶液中に生じるが、3日後には結晶の析出は溶液中に見られず、ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液は透明となった。常温17日経過後でもロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液は透明な状態を保持した。
ML-500, L-7Dの含有量を12質量%とした場合(LotB02-2, B02-3)、ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液は、常温保存の場合、1ヶ月後でも透明であった。また、M-100の含有量を30質量%とした場合(LotB02-4)、ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液は、50℃、25日後においても透明性が維持されていた。
ロキソプロフェンナトリウム二水和物の濃度を35質量%とし、M-100の含有量を30質量%から65質量%(65質量%の場合はマクロゴールを含まず)とした場合(LotB07-1〜B07-5)、いずれもロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液の調製後、しばらく経ったら極僅かに結晶性の析出物が析出した。M-100の含有量が30質量%の場合、結晶の析出が早く、結晶の析出量も多かったが、M-100の含有量が40〜65質量%の場合には、前述の30質量%の場合と比較して結晶の析出が遅く、ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液は1日後もほぼ透明であった。
ロキソプロフェンナトリウム二水和物の濃度を40質量%とし、M-100の含有量が60質量%(マクロゴールを含まず)の場合(LotB07-6)、ロキソプロフェンナトリウム二水和物は、加温溶解はするが結晶の析出が早く、1日後には結晶の析出量が多かった。
ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液を5℃に保管した場合(Lot B07-1〜B07-5)、少なくとも1日は結晶の析出がほとんどなく、M-100を多く添加することにより、ロキソプロフェンナトリウム二水和物−MG600−界面活性剤含有系の低温安定性を高めた。
ロキソプロフェンナトリウム二水和物の濃度を40%質量とし、M-100の含有量を30質量%から60質量%まで増加させた場合(LotB07-6〜B07-9)、透明にはロキソプロフェンナトリウム二水和物が溶解しない場合があったが、M-100の含有量が多いほどロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液はより透明となった。ロキソプロフェンナトリウム二水和物の含有量が50質量%でM-100の含有量が50質量%(マクロゴール含まず)の場合(LotB07-10)では、ロキソプロフェンナトリウム二水和物は加温溶解できず、溶液は白懸濁状態のままであった。これらの結果よりM-100のみでのロキソプロフェンナトリウム二水和物の溶解可能量は35質量%とされる。
ロキソプロフェンナトリウム二水和物の濃度を30質量%とし、M-100の含有量を50質量%から70質量%まで(70質量%の場合はマクロゴールを含まず)増加させた場合(LotB08-1〜B08-3)、いずれも、ロキソプロフェンナトリウム二水和物は溶液に無色透明に溶解し、2ヶ月後でもロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液は無色透明で結晶の析出はなかった。
ロキソプロフェンナトリウム二水和物の濃度を30質量%とし、M-100の含有量を57質量%とし、精製水を3質量%とした場合(LotB08-4)、ロキソプロフェンナトリウム二水和物は無色透明に溶解し、その2ヶ月後もロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液は透明に溶解した状態で結晶の析出はなかった。LotB08-1〜B08-4のロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液を、50℃、又は5℃に2ヶ月間保管しても、ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液は無色透明のままで、結晶の析出はなかった。
ロキソプロフェンナトリウム二水和物の濃度を28質量%とし、グリセリンモノカプリレート含有量を30質量%とし、各社より市販されているグリセリンモノカプリレート製品(M-100, ホモテックスPT, No.700P-2)を用いた場合(LotB22-1,-3,-4)、いずれのグリセリンモノカプリレート用いた場合もロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液は透明で、1ヶ月の期間、常温、5℃、及び50℃において、溶解状態の変化はなく安定であった。
グリセリンモノカプレート(C10:No.760)を用いた場合(LotB22-7)、グリセリンモノカプリレートと同様に、ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液は透明で、1ヶ月の期間、常温、5℃、及び50℃において、溶解状態の変化はなく安定であった。
ロキソプロフェンナトリウム二水和物の濃度が28質量%で、M-100の含有量を15〜30質量%にした場合(LotB22-1,Lot-B23-1,-2)において、常温及び50℃保存の場合、ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液の安定性はいずれも高かったが、5℃保存の場合、M-100の含有量が15質量%では1日後には溶液全体が白色固化し、M-100が20質量%では、1日後は溶解しているが数日後に白色固化した。但しこれらの白色固化した溶液は常温に戻すと速やかにもとの透明な溶液状態となった。一方、5℃保存の場合でM-100の含有量が30質量%では1ヶ月後でも透明状態を保っていた。
グリセリンモノカプリレート(C8:M-100)とグリセリンモノカプレート(C10:No.760)を1:1で混合し、M-100とNo.760の混合総量が30質量%の場合(LotB23-6)、1ヶ月後の常温、5℃、及び50℃保存の場合においてロキソプロフェンナトリウム二水和物は透明に溶解していることが確認できた。M-100とNo.760の混合総量が20質量%の場合(LotB23-7)、5℃保存後1日で全体が白色固化し、M−100、及び、No.760それぞれ単独で20質量%添加した場合よりやや低温安定性が低かった。
ロキソプロフェンナトリウム二水和物の濃度が28質量%で、グリセリンモノカプリレート(C8)又はグリセリンモノカプレート(C10)の界面活性剤の総含有量が30質量%以上である場合、ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液の低温での溶解安定性が保持され、界面活性剤量が少なくなるにつれて不安定となりやや白色固化する場合もあった。但し、界面活性剤総量が20質量%であれば、調製後の溶液を常温に戻すと速やかに元の透明な溶液となった。
グリセリンモノラウレート(No.750)を使用した場合(LotC17-1,-2)、界面活性剤のMG600への溶解が不十分で結晶が分散し、透明にならないことがあった。また、溶解時の加熱温度も、65℃まで上げる必要があった。ロキソプロフェンナトリウム二水和物添加後、均一な乳液状となるが透明ではなく、1日後には若干の結晶の析出が生じた。炭素数8及び10の脂肪酸のグリセリドを用いた場合と比較して、グリセリンモノラウレート(C12)を用いた場合、ロキソプロフェンナトリウム二水和物の溶解性は低かった。
以上の結果から、ロキソプロフェンナトリウム二水和物のポリエチレングリコールへの溶解性を向上させる界面活性剤は、グリセリンモノ脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルの少なくとも一つからなるものが好ましいことが明らかとなった。このうち、グリセリンモノ脂肪酸エステルとして好適なものは、炭素数が8〜10のモノ脂肪酸エステルであり、特に、グリセリンモノカプリレート、グリセリンモノカプレートが好ましいことが明らかとなった。
ポリグリセリン脂肪酸エステルとして好ましいものは、HLB値が11以上、ポリグリセリンの重合数が6(ヘキサグリセリン)以上10(デカグリセリン)以下のモノ脂肪酸エステルで、脂肪酸としては炭素数が8〜18であり、好適な脂肪酸は、カプリル酸(C8)、ラウリン酸(C12)、オレイン酸(C18:1)であった。特に、ヘキサグリセリンモノラウレート(HLB13.5)、デカグリセリンモノカプリレート(HLB15〜16)、デカグリセリンモノラウレート(HLB17)が好ましいものであった。
界面活性剤の含有量は、ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液の質量に対して5質量%以上、好ましくは、10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上であった。また、ロキソプロフェンナトリウム二水和物以外の全量が界面活性剤でポリエチレングリコールが含有されていない場合でも、ロキソプロフェンナトリウム二水和物濃度が35質量%以下の場合には、ロキソプロフェンナトリウム二水和物は界面活性剤に溶解することができた。
[界面活性剤−有機モノカルボン酸−MG600含有系でのロキソプロフェンナトリウム二水和物の溶解性の検討]
ロキソプロフェンナトリウム二水和物の溶解補助剤として、有機モノカルボン酸と界面活性剤を利用して、ロキソプロフェンナトリウム二水和物の溶解性試験を行った。MG600に、表5に示す所定量のDL−乳酸と界面活性剤(乳化剤)を添加し、48〜50℃で加熱溶解させると透明な溶液となった。その後、かかる溶液にロキソプロフェンナトリウム二水和物を加えて、さらに、同温度にて加温して、ロキソプロフェンナトリウム二水和物を溶解させてロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液を調製した。この界面活性剤−有機モノカルボン酸含有系でのロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液の常温下での調製時及び調製後の安定性の試験結果を表5に示す。また、同系の5℃及び50℃における保存安定性の試験結果を表6に示す。表5中、LoxNa%はロキソプロフェンナトリウム二水和物の濃度(質量%)を示し、有機酸含有量のカッコ内(mol-R)は、ロキソプロフェンナトリウム二水和物に対するモル当量を示す。また、表5、6中の安定性の評価において、○はロキソプロフェンナトリウム二水和物が透明に溶解し、ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液に結晶の析出物がないことを示す。
(ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液の調製例)
LotB24-1の例
M-100 9.00gをビーカーに秤量し、その中にMG600 11.85g及びDL−乳酸0.750g(0.00831モル)を加えて48℃で混合溶解させた。その後、ロキソプロフェンナトリウム二水和物8.40g(0.0276モル)を加えてさらに同温度にてスパテルで攪拌しながらロキソプロフェンナトリウム二水和物を加温溶解させ、約1時間後に無色透明の均一なロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液を得た。
(結果)
ロキソプロフェンナトリウム二水和物の濃度が28質量%(LotB24-1,-2,-4,-5,-6, LotB30-4)、グリセリンモノカプリレート(M-100)の含有量を15〜30質量%とし、DL−乳酸を添加した場合の5℃における溶解安定性は、M-100が30質量%の場合、溶解安定性は良好であり、M-100が20質量%においても、DL−乳酸含有量がロキソプロフェンナトリウム二水和物に対するモル当量として0.3モル当量の場合は透明な溶解状態を維持し、DL−乳酸添加の効果が示された。M-100が15質量%の場合(LotB24-5)、DL−乳酸を加えても白色固化となった。
ロキソプロフェンナトリウム二水和物の濃度を32質量%とし、M-100を20〜30質量%、DL−乳酸含有量がロキソプロフェンナトリウム二水和物に対するモル当量として0.2又は0.3モル当量とした場合(LotB24-7〜8)の5℃での溶解状態は、M-100が30質量%の場合だけでなく、M-100が20質量%の場合でも安定な溶解状態を保っていた。特に、DL−乳酸含有量がロキソプロフェンナトリウム二水和物に対するモル当量として0.2モル当量と少ない条件でもロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液が安定な溶解状態であることは予想外の結果となった。
ロキソプロフェンナトリウム二水和物35質量%においてM-100 30質量%、DL−乳酸含有量がロキソプロフェンナトリウム二水和物に対するモル当量として0.3モル当量とした場合(LotB24-9)の5℃での溶解状態は、1ヶ月後でもロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液は透明な状態で安定であった。これまでロキソプロフェンナトリウム二水和物濃度35質量%、M-100 30質量%のロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液では、常温で1日後に僅かに不透明となり、5℃で2日後に結晶の析出が生じており、DL−乳酸添加による溶解性の安定化効果が示された。
ロキソプロフェンナトリウム二水和物濃度32質量%において、M-100量を20質量%、DL−乳酸含有量がロキソプロフェンナトリウム二水和物に対するモル当量として0.2モル当量とした場合(LotB30-5)、常温、5℃、50℃何れの保存温度条件でも、2ヶ月間ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液は安定に溶解していた。
[界面活性剤−MG400含有系でのロキソプロフェンナトリウム二水和物の溶解性の検討]
MG600の代わりにMG400を用い、実施例3と同様の方法でロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液の安定性の試験を行った。試験結果を、表7に示す。表7中、LoxNa%は、ロキソプロフェンナトリウム二水和物の濃度(質量%)を示す。また、安定性の評価において、○はロキソプロフェンナトリウム二水和物が透明に溶解し、ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液に結晶の析出物がないことを示し、○*はロキソプロフェンナトリウム二水和物が溶解するものの、ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液に結晶が極僅か析出するものを示す。
(ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液の調製例)
LotC17-5の例
M-100 9.00gをビーカーに秤量し、その中にMG400 12.6gを加えて48℃で界面活性剤をMG400に溶解させた。その後、ロキソプロフェンナトリウム二水和物 8.40gを加えてさらに同温度にてスパテルで攪拌しながらロキソプロフェンナトリウム二水和物を加温溶解させ、約40分後に無色透明の均一なロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液を得た。
(結果)
ロキソプロフェンナトリウム二水和物濃度が35質量%、40質量%のいずれの場合(LotC17-6,-7)も、MG600を用いた場合よりも溶解性が高かった。また、MG400自体の凝固点(4〜8℃)がMG600の凝固点(18〜23℃)よりも低いため、ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液の低温溶解性も高かった。
[軟カプセル用内容物を含有する軟カプセル製剤の製造例及び安定性]
ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液を軟カプセル用内容物としてロータリーダイ式充填機にて充填し、軟カプセル製剤を製造した。
(ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液の調製例)
(1)LotD01の例
マクロゴール600(MG600) 2.48kgにDL−乳酸0.076kgを加えて常温下に撹拌溶解させた。次いでロキソプロフェンナトリウム二水和物0.86kgを加えて50℃にて2時間加温撹拌し無色透明なロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液を得た。
(2)LotD02の例
MG600 2.46kgに安息香酸0.103kgを加えて50℃で撹拌溶解させた。次いでロキソプロフェンナトリウム二水和物0.86kgを加えて50℃にて2時間加温撹拌し無色透明なロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液を得た。
(3)LotD03の例
MG600 1.54kgにM-100 1.03kgを加えて40℃にて加温攪拌溶解させた。次いでロキソプロフェンナトリウム二水和物0.86kgを加えて50℃にて2時間加温攪拌し無色透明なロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液を得た。
(4)LotD04の例
MG600 1.15kgにM-100 0.77kgを加えて40℃にて加温撹拌溶解させた。次いでロキソプロフェンナトリウム二水和物0.645kgを加えて50℃にて2時間加温撹拌し無色透明な溶液を得た。その後アエロジル(登録商標)(日本アエロジル社製)0.117kgを添加し、ホモミキサー(プライミクス社製)にて約1000rpmで撹拌混合させ、透明なロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液を得た。
(5)LotD05の例
MG600 0.384kgにM-100 0.256kgを加えて40℃にて加温撹拌溶解させた。次いでロキソプロフェンナトリウム二水和物0.215kgを加えて50℃にて2時間加温撹拌し無色透明な溶液を得た。その後アエロジル(登録商標)(日本アエロジル社製)0.06kgを添加し、ホモミキサー(プライミクス社製)にて約1000rpmで撹拌混合させ、透明なロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液を得た。
(ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液を含有する軟カプセル製剤の製造例)
ゼラチン100質量部、グリセリン30質量部、赤色素0.02質量部を構成成分とする軟カプセル皮膜を用いて、上述のLotD01〜D05の組成からなるロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液を軟カプセル用内容物としてそれぞれロータリーダイ式充填機にて充填し、赤色透明なフットボール型の軟カプセルとし、かかる軟カプセルを乾燥して軟カプセル製剤を製造した。各ロットの軟カプセル製剤1個あたりのロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液の充填量はLotD01〜D03が285mg、LotD04,D05が298mgであり、軟カプセル製剤の大きさは、長さ15mm、幅7mmであった。LotD04のロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液を充填して製造した軟カプセル製剤を定規上に置いて上面から撮影した写真を図1に示す。図1に示すように、製造した軟カプセル製剤の内容物は透明性を有し、定規の1mm単位の線が透過して観察された。
(ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液を含有する軟カプセル製剤の安定性)
上述のように製造したそれぞれの軟カプセル製剤を40℃で1ヶ月保存し、加速安定性試験を行った。結果を表8に示す。表8中、◎はゼラチン皮膜の浸食、内容物の漏れ、結晶の析出がないことを示し、○は内容物の漏れ、結晶の析出はないものの、ごく僅かにゼラチン皮膜の浸食が生じたことを示す。
アエロジルを4.4質量%および6.6質量%となるように添加した場合(LotD04,D05)の軟カプセル製剤においては、加速安定性試験後にロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液によるゼラチン皮膜の浸食、ロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液の漏れ、ロキソプロフェンナトリウム二水和物の結晶の析出はなく、透明性も維持していた。また、DL−乳酸、安息香酸、M-100を添加した場合(LotD01〜03)の軟カプセル製剤においても、加速安定性試験後にロキソプロフェンナトリウム二水和物溶液の漏れ、結晶の析出はなく、透明性も維持しており、ゼラチン皮膜の浸食がごく僅かに確認されたのみであった。
以上、本発明の好適な実施形態・実施例について詳細に説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、本発明の技術的範囲に属するものである。

Claims (11)

  1. 基剤と、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物と、該ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物の濃度が22〜40質量%となるようにロキソプロフェンナトリウム又はその水和物を基剤に溶解するための溶解補助剤とを含有する軟カプセル用内容物であって、
    前記溶解補助剤は、炭素数が8〜10の脂肪酸のモノグリセリンエステル若しくはポリグリセリン脂肪酸エステルからなる界面活性剤を含有することを特徴とするロキソプロフェンナトリウム又はその水和物の濃度が22〜40質量%の軟カプセル用内容物。
  2. 溶解補助剤を含有する基剤とロキソプロフェンナトリウム又はその水和物とを配合してなることを特徴とする請求項1記載の軟カプセル用内容物。
  3. 基剤が、ポリエチレングリコールであることを特徴とする請求項1又は2記載の軟カプセル用内容物。
  4. ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物が透明に溶解していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の軟カプセル用内容物。
  5. ポリグリセリン脂肪酸エステルが、ポリグリセリンの重合数が6〜10の、炭素数が8〜18の脂肪酸のモノ脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の軟カプセル用内容物。
  6. 界面活性剤の含有量が、10質量%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の軟カプセル用内容物。
  7. 乳酸、安息香酸、酢酸、プロピオン酸、及び酪酸の少なくとも一つから選択される有機モノカルボン酸をさらに含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の軟カプセル用内容物。
  8. 有機モノカルボン酸の含有量が、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物に対するモル当量として0.1〜1.5モル当量であることを特徴とする請求項7記載の軟カプセル用内容物。
  9. 溶解補助剤を含有する基剤が、界面活性剤であることを特徴とする請求項2記載の軟カプセル用内容物。
  10. 界面活性剤が、グリセリンモノカプリレート又はグリセリンモノカプレートであることを特徴とする請求項9記載の軟カプセル用内容物。
  11. 請求項1〜10のいずれか記載の軟カプセル用内容物を含有する軟カプセル製剤。
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