JP2015230995A - 太陽電池受光面電極用ペースト、その製造方法、および太陽電池セル - Google Patents

太陽電池受光面電極用ペースト、その製造方法、および太陽電池セル Download PDF

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Abstract

【課題】 基板との接着強度が高く且つ接触抵抗が低い電極を形成でき、LDE基板に用いた場合にも高出力の太陽電池が得られる太陽電池受光面電極用ペースト、その製造方法、および高出力の太陽電池セルを提供する。
【解決手段】 受光面電極の形成に用いられる導電性ペーストは、種々の組成の無鉛テルルガラスを用いて、これに種々の鉛含有添加物および高融点金属含有添加物を混合し、好ましくは仮焼やメカノケミカル法等の適宜の方法で担持させることから、ファイヤースルーで受光面電極を形成すると、適度に凹凸を有する浸食面が得られるので、電気的特性および接着強度を共に満足できる。また、受光面電極28中には高融点金属および鉛が含まれることから再結合が抑制されるため、LDE基板であっても高出力が得られる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ファイヤースルー法で形成する太陽電池電極用に好適に用い得る太陽電池受光面電極用ペースト、その製造方法、および太陽電池セルに関する。
例えば、一般的なシリコン系太陽電池は、p型多結晶半導体であるシリコン基板の上面にn+層を介して反射防止膜および受光面電極が備えられると共に、下面にp+層を介して裏面電極(以下、これらを区別しないときは単に「電極」という。)が備えられた構造を有しており、受光により半導体のpn接合に生じた電力を電極を通して取り出すようになっている。上記反射防止膜は、十分な可視光透過率を保ちつつ表面反射率を低減して受光効率を高めるためのもので、窒化珪素、二酸化チタン、二酸化珪素等の薄膜から成る。
上記の反射防止膜は電気抵抗値が高いことから、半導体のpn接合に生じた電力を効率よく取り出すためには、受光面電極を形成する部分は反射防止膜を除去する必要がある。そこで、太陽電池の受光面電極は、例えば、ファイヤースルーと称される方法で形成される。この電極形成方法では、例えば、前記反射防止膜をn+層上の全面に設けた後、例えばスクリーン印刷法を用いてその反射防止膜上に導電性ペーストすなわちペースト状の電極材料を適宜の形状で塗布し、焼成処理を施す。これにより、電極材料が加熱溶融させられると同時にこれに接触している反射防止膜が溶融させられ、受光面電極と半導体とが接触させられる。上記導電性ペーストは、例えば、銀粉末と、ガラスフリット(ガラス原料を溶融し急冷した後に必要に応じて粉砕したフレーク状または粉末状のガラスのかけら)と、有機質ベヒクルと、有機溶媒とを主成分とするもので、焼成過程において、この導電性ペースト中のガラス成分が反射防止膜を破るので、導電性ペースト中の導体成分とn+層とによってオーミックコンタクトが形成される。そのため、電極形成に先立って反射防止膜を部分的に除去する場合に比較して工程が簡単になり、除去部分と電極形成位置との位置ずれも生じない利点がある。
上記のような太陽電池の受光面電極形成では、基板と電極との接着強度を確保しつつ、接触抵抗を低くして良好なオーミックコンタクトを確保し延いては電池出力を向上させることが求められている。従来から、これら接着強度および接触抵抗を改善するための提案は種々為されている。
また、接触抵抗の改善を図る提案としては、例えば、Ag粉末を導体成分として含むペースト中にMo、W、Niの何れかを添加するものがある(例えば、特許文献1を参照。)。このペーストによれば、焼成の際に生成した酸化珪素膜がMo、W、Niによって還元されるため、低温で焼成可能で、しかも、接触抵抗が低くなるので、FF値が大きくなるものとされているが、ファイヤースルーに適用することは考慮されておらず、ファイヤースルーによって受光面電極を形成すると十分な接着強度が得られない問題がある。
また、例えば、Ag粉末と、V,Mo,Wのうちの少なくとも1種と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとから成る太陽電池用導電性組成物が提案されている(例えば、特許文献2を参照。)。この導電性組成物は、低温焼成でファイヤースルーを可能とすることを目的とするものである。この導電性組成物によれば、高融点金属がAgと固相反応して複合酸化物を形成し、Agはその複合酸化物を介して拡散して低温から粒子成長する。また、高温で融解した複合酸化物の融液がAgの焼結を促進すると共に、基板表面の反射防止膜や絶縁被膜を融解して絶縁被膜中のAgの拡散を容易にするので接触抵抗が低下するものとされている。
また、銀粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルと、有機溶媒とを含有し、添加物としてTi,Bi,Zr,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Ni,Si,Al,Ge,Sn,Pb,Znの酸化物のうち少なくとも一種を含有する導電性ペーストを用いて電極を形成することが提案されている(例えば、特許文献3を参照。)。この導電性ペーストは、コンタクト抵抗が小さく接着強度の高い電極を形成することを目的とするもので、ガラスフリットとは別に鉛、ホウ素、珪素等の酸化物を添加物として電極層中に含有することによって、コンタクト抵抗をより一層低下させ得るものとされている。しかしながら、これら特許文献2,3に記載された導電性ペーストでは、ガラスフリットとして鉛ガラスが用いられる場合には浸食が強いことから凹凸面が大きくなって接触抵抗が高くなり、無鉛ガラスが用いられる場合には浸食が弱いことから接触抵抗が高く且つ接着強度が低くなり、何れも良好な結果を得ることが困難であった。
また、環境問題を考慮しつつ、接着強度および接触抵抗を改善することを目的として、無鉛テルル系ガラスを主成分とする太陽電池用導電性ペーストが提案されている(例えば特許文献4を参照。)。この導電性ペーストは、導電性粉末100重量部に対してテルル系ガラスを0.1〜10重量部含むもので、そのテルル系ガラスは、酸化テルルを25〜90(mol%)、酸化タングステン、酸化モリブデンの何れか1種以上を5〜60(mol%)、酸化亜鉛を0〜50(mol%)、酸化ビスマスを0〜25(mol%)、酸化アルミニウムを0〜25(mol%)含む組成が好ましいことが示されている。このような導電性ペーストによれば、環境上好ましい無鉛ガラスを用いて、接着強度に優れ且つファイヤースルーも良好に行うことができ、電池特性の優れた太陽電池が得られるものとされている。
また、同様に無鉛テルル系ガラスを用いた例として、酸化物換算で酸化テルルを30〜80(mol%)、酸化タングステンを10〜50(mol%)、酸化ビスマスを5〜25(mol%)、これらを合計で80(mol%)以上含むテルル系ガラスを用いた太陽電池素子用の導電性ペーストが提案されている(例えば特許文献5を参照。)。この導電性ペーストによれば、ファイヤースルー性が促進されるので、優れた電気的接触が得られるものとされている。
また、更に他の例として、銀、燐、酸素を含み実質的に鉛を含まない電極用ガラス組成物と、金属粒子と、樹脂バインダーと、溶剤とを含む電極ペーストが提案されている(例えば、特許文献6を参照。)。この電極ペーストは、太陽電池の受光面電極等を形成するために用いられるもので、無鉛ガラスを用いると電気抵抗が増加することに対処したものである。ガラスはテルルを含むことが好ましいとされている。電極用ガラスの好ましい組成として、酸化物換算で、Ag2Oが5〜60重量%、P2O5が5〜50重量%、V2O5が0〜50重量%、TeO2が0〜30重量%、及び、その他の酸化物が0〜40重量%であり、さらに、Ag2OとV2O5との合計が30〜86重量%、及びP2O5とTeO2の合計が14〜50重量%が例示されている。上記その他の酸化物は、BaO、WO3、MoO3、Fe2O3、MnO2及びZnO等である。
しかしながら、これら無鉛テルルガラスを含む導電性ペーストでは、基板の浸食が弱すぎることから、未だ接触抵抗を十分に下げることが困難であった。
特開昭59−033869号公報 特開平10−326522号公報 特開2008−042095号公報 特開2011−096747号公報 特許第5011428号公報 再表2012/020694号公報 特開2013−533188号公報 特開2013−254726号公報
ところで、ファイヤースルーで受光面電極を形成するに際して、受光面電極の良好なオーミックコンタクトを得るためには、シリコン基板界面の均一な浸食が求められるが、ガラスフリットとして鉛ガラスを用いた場合には浸食面の凹凸が激しくなり、無鉛テルルガラスを用いた場合には浸食が弱すぎることから、何れにしても、十分に低い接触抵抗が得られない。ガラス中の鉛は基板を構成するSiとの酸化還元反応に必要なもので、これが無いと基板を浸食し難くなるが、過度の浸食は却って接触抵抗を高めるのである。
これに対して、鉛−テルルガラスや、鉛−テルル−リチウムガラス等の低融点ガラスを含む電極ペーストを用いることが提案されている(例えば、特許文献7を参照。)。このような鉛およびテルルを共に含むガラスによれば、浸食面が滑らかになることに加えて、電極−シリコン界面のガラス層中へのAg溶解量が増大するため、接触抵抗が低下してオーミックコンタクトの確保が一層容易になる。しかしながら、浸食面が均一に形成されて滑らかになると、電気的特性が優れる反面で接着強度が低くなる傾向がある。接着強度を改善するために電極ペーストに酸化亜鉛その他の化合物を添加することが種々のガラスについて提案されているが、これらの添加物を含むペーストは、電池出力の低下を伴う問題がある。
なお、鉛ガラス系のガラスフリットを含むペーストを用いたファイヤースルーによる受光面電極形成において、接触抵抗を改善する提案は、上記の他にも従来から種々為されている。例えば、金属粒子と、鉛含有組成物 5〜95重量%とテルル元素 5〜95重量%とを含む無機反応系と、有機溶剤とを含む導電性ペースト組成物が提案されている(例えば、特許文献8を参照。)。このペースト組成物は、電池効率を高めつつ接触抵抗を小さくすることを目的とする。上記無機反応系は、従来のガラスフリットの役割に代わるもので、ガラス、セラミック、高温でマトリックスを生成し得る材料などである。ガラスフリットがPbおよびTeの他にどのような成分を含むものかは示されていないが、ペーストには無機添加剤として、Mg,Ni,Te,W,Zn,Mg,Cd,Ce,Zr,Ti,Mn,Sn,Ru,Co,Fe,Cu,Crを含み得るものとされている。
また、太陽電池出力を向上させるための技術としては、例えば、低ドーパント濃度エミッタ(Lightly Doped Emitter;LDE)と称されるものがある。LDE技術は、受光面側のドナー濃度を従来に比較して低くしてn層を薄くしたもので、LDE基板を用いてシャローエミッタ構造とすることにより、表面再結合速度が低下するので、より多くの電流を取り出すことが可能になって出力が向上する。しかしながら、LDE技術では、表面のドナー濃度が低くされた結果として、Ag-Si間のバリア障壁が増加し、受光面電極のオーミックコンタクトの確保が困難になる問題がある。また、pn接合が浅くなるため、ファイヤースルーで反射防止膜を十分に破り且つpn接合に電極が侵入しないような侵入深さ制御が困難になる問題もある。
前記特許文献1〜8に記載されたペーストは、前述したように何れも受光面電極を形成した場合に、未だ接着強度が不十分であるか、接触抵抗が高く、一層の改善が求められるものである。しかも、何れもLDE基板を用いたシャローエミッタ構造については何ら考慮されておらず、これらをLDE基板に適用すると、接着強度と電気特性を両立させることが一層困難になり、高出力の太陽電池は得られない。これは、以下の理由によるものと考えられる。受光面電極形成時に基板を適度に浸食してオーミックコンタクトを得ようとすると、電極下ではAgとSiの直接接合が多くなり、延いては再結合速度が高くなる。元々再結合速度が高い従来基板では、電極下で再結合速度が高くなっても、開放電圧Vocに対する影響は小さい。これに対して、LDE基板を用いた太陽電池では再結合速度が低いことから、電極下で再結合速度が高くなると開放電圧Vocへの影響が大きく、変換効率の低下延いては出力低下が生じ易いのである。
本発明は、以上の事情を背景として為されたもので、その目的は、基板との接着強度が高く且つ接触抵抗が低い電極を形成でき、しかも、LDE基板に用いた場合にも高出力の太陽電池が得られる太陽電池受光面電極用ペースト、その製造方法、および高出力の太陽電池セルを提供することにある。
斯かる目的を達成するため、第1発明の要旨とするところは、導電性粉末と、無鉛テルルガラスから成るガラスフリットと、ベヒクルとを含み、シリコン基板の一面上に塗布して焼成処理を施すことにより太陽電池の受光面電極をファイヤースルーによって形成するために用いられる太陽電池受光面電極用ペーストであって、(a)タングステン、モリブデン、およびクロムのうちの少なくとも1種の高融点金属と、(b)鉛含有添加物とを、含むことにある。
また、前記目的を達成するための第2発明の太陽電池受光面電極用ペーストの製造方法の要旨とするところは、(a)タングステン、モリブデン、およびクロムのうちの少なくとも1種の高融点金属を含む無鉛テルルガラスから成るガラスフリットに鉛含有添加物の一部または全部を担持させる鉛含有添加物担持工程と、(b)導電性粉末と、前記ガラスフリットと、前記鉛含有添加物と、ベヒクルとを混合する混合工程とを、含むことにある。
また、前記目的を達成するための第3発明の太陽電池受光面電極用ペーストの製造方法の要旨とするところは、(a)無鉛テルルガラスから成るガラスフリットにタングステン、モリブデン、およびクロムのうちの少なくとも1種の高融点金属含有添加物の一部または全部を担持させる高融点金属含有添加物担持工程と、(b)導電性粉末と、前記ガラスフリットと、前記高融点金属含有添加物と、鉛含有添加物と、ベヒクルとを混合する混合工程とを、含むことにある。
また、前記目的を達成するための第4発明の要旨とするところは、p型シリコン基板の一面に形成されたn+層上に反射防止膜を備え且つファイヤースルーによって受光面電極が設けられた太陽電池セルであって、前記受光面電極は、前記第1発明の太陽電池受光面電極用ペーストから生成されたことにある。
前記第1発明によれば、太陽電池受光面電極用ペーストは、ガラスフリットとして無鉛テルルガラスが含まれると共に、ペースト中にタングステン、モリブデン、クロムのうちの少なくとも1つの高融点金属と、鉛含有添加物とが含まれ、その鉛含有添加物はガラスとは別に添加されていることから、これを用いてシリコン基板に対して受光面電極をファイヤースルーによって形成すると、適度に凹凸を有する浸食面が得られるので、接触抵抗が低く且つ接着強度の高い電極が得られる。ペースト中に含まれる鉛含有添加物(例えばPb3O4)は、ガラス中にネットワークフォーマーとして含まれる場合と同様に、基板を構成するシリコン(Si)との間で酸化還元反応を生じさせる。酸化還元反応によって形成されたSiO2は、ガラスに取り込まれて浸食されるので、ファイヤースルーの際に好ましい侵食性が得られる。このとき、ガラスとは別に鉛含有添加物として添加されるPbは、ガラス中に含まれる場合よりも不均一な浸食作用をもたらす。そのため、TeとPbが共に作用する部分では浸食面が滑らかになる一方、Pbの浸食作用が強い部分では浸食面の凹凸が激しくなることから、全体としては適度に凹凸を有する浸食面が生じ、上述したように電気特性と接着強度とが共に得られる。しかも、上記電極用ペーストを用いて受光面電極が形成された太陽電池は、再結合が抑制されるためLDE基板であっても高出力が得られる。高融点金属が含まれていると、受光面電極形成の際に浸食面に高融点金属酸化物層が形成され、AgとSiとの直接接合が減じられる。この結果、発生した電子がAgとSiとの直接接合の部分を通る割合が減じられるため、接触抵抗を低く保ちながら、再結合が抑制されるものと考えられる。なお、本願において、「鉛含有添加物」は、単体の鉛または鉛化合物を意味する。
なお、TeとPbが共に作用する部分を不均一に形成させる観点では、本発明の構成とは反対に鉛ガラスとTe化合物とを用いることも考えられる。しかしながら、鉛ガラスを含む導電性ペーストにテルルを添加すると、鉛ガラスはテルルガラスに比較して融点が高いことから、テルルを鉛ガラス中に取り込むためには焼成温度を高くする必要があるので、浸食性の制御が困難になる。特に、後述するような鉛含有添加物を予めテルルガラスに担持する態様と同様に、鉛ガラスにテルル含有添加物を担持しようとすると、低温の仮焼ではTe化合物を担持できないため、融点の高いPb-Te酸化物が生成して軟化点が上昇する問題がある。なお、本願において「担持」とは、方法を問わずガラスフリット粒子の表面に他の粒子を固着させることを意味する。
上述したような本発明の太陽電池受光面電極用ペーストは、焼成によって電極を形成する用途に好適であり、安定したオーミック抵抗性を有するので、シート抵抗の低い基板はもちろん、80〜120(Ω/□)程度の高シート抵抗基板、例えばLDE基板に対しても十分に低い接触抵抗が得られる。そのため、pn接合に電極材料が侵入しないようにファイヤースルー等の条件を制御することにより、リーク電流が低く(すなわち並列抵抗Rshが高く)なり、曲線因子FFが低下せず、電流値が大きく、且つ光電変換率の高い太陽電池を得ることができる。
また、前記第2発明によれば、太陽電池受光面電極用ペーストを製造するに際して、鉛含有添加物担持工程では、タングステン、モリブデン、およびクロムのうちの少なくとも1種の高融点金属を含む無鉛テルルガラスから成るガラスフリットに鉛含有添加物の一部または全部が担持させられ、混合工程では、導電性粉末と、ガラスフリットと、鉛含有添加物(ガラスフリットに担持されているものを含む)と、ベヒクルとを混合することにより、太陽電池受光面電極用ペーストが得られる。そのため、導電性ペースト組成物を調製するに際して、予めガラスフリットに鉛含有添加物の一部または全部が担持されることによってそれらが結合させられた状態でベヒクル中に混合されるため、太陽電池受光面電極用ペーストを用いてファイヤースルーによって電極を形成する際には、ガラスとは別に添加されたPbにより不均一な浸食作用が得られるので、全体としては適度に凹凸を有する浸食面が生じ、電気特性と接着強度とが共に得られる。しかも、部分的にPbとTeが共に作用する効果が一層顕著に得られ、その部分における滑らかさが高められる結果として、電気的特性が一層高められる。したがって、電気的特性に一層優れ且つ接着強度が十分に高い電極を得ることができる。更に、高融点金属は無鉛テルルガラス中に含まれることから、焼成過程で取り込まれる鉛化合物と共に無鉛テルルガラス中に存在することとなるため、浸食後の基板界面において再結合を抑制する効果が一層顕著に得られ、LDE基板においても一層高出力が得られる。
また、前記第3発明によれば、太陽電池受光面電極用ペーストを製造するに際して、高融点金属含有添加物担持工程では、無鉛テルルガラスから成るガラスフリットに、タングステン、モリブデン、およびクロムのうちの少なくとも1種の高融点金属含有添加物の一部または全部が担持させられ、混合工程では、導電性粉末と、ガラスフリットと、高融点金属含有添加物(ガラスフリットに担持されているものを含む)と、鉛含有添加物と、ベヒクルとを混合することにより、太陽電池受光面電極用ペーストが得られる。そのため、太陽電池受光面電極用ペーストを用いてファイヤースルーによって電極を形成する際には、ガラスとは別に添加されたPbにより不均一な浸食作用が得られるので、全体としては適度に凹凸を有する浸食面が生じ、電気特性と接着強度とが共に得られる。しかも、太陽電池受光面電極用ペーストを調製するに際して、予めガラスフリットに高融点金属含有添加物の一部または全部が担持されることによってそれらが結合させられた状態でベヒクル中に混合されることから、ガラスフリットに担持された高融点金属は、焼成過程で鉛化合物と共に無鉛テルルガラス中に容易に取り込まれる。したがって、焼結後に高融点金属が鉛と共に無鉛テルルガラス中に存在することとなるため、浸食後の基板界面において再結合を抑制する効果が一層顕著に得られ、LDE基板においても一層高出力が得られる。
また、前記第4発明によれば、太陽電池セルは、受光面電極が、前記第1発明の太陽電池受光面電極用ペーストから生成されることから、その受光面電極は導体成分と、無鉛テルルガラスと、鉛と、タングステン、モリブデン、およびクロムのうちの少なくとも1種の高融点金属とから成るため、テルルガラスと鉛の協働作用によって適度に凹凸を有する浸食面を有して電気特性と接着強度とを共に有し、しかも、高融点金属が含まれていることに基づき、再結合速度が低く、高出力の太陽電池セルが得られる。
ここで、前記第1発明において、好適には、前記高融点金属は、それらのうちの少なくとも1種を含む高融点金属含有添加物として前記テルルガラスとは別に添加されたものである。このようにすれば、高融点金属がテルルガラス中に含まれる場合に比較して、基板と電極との接着強度が高められる。高融点金属がはんだ中のSnとAgの合金の進行を抑制するので、電極の接着強度が高められるものと考えられる。なお、高融点金属含有添加物は、高融点金属の単体または化合物であり、化合物としては、酸化物の他、オキソ酸、オキソ酸のアンモニウム塩或いは酢酸塩等が挙げられる。
また、好適には、前記高融点金属含有添加物は、一部または全部が前記ガラスフリットに担持されているものである。高融点金属含有添加物は、導電性粉末等と共にガラスに混合されてもよいが、予めガラスフリットに担持すれば、浸食後の基板界面において再結合を抑制する効果が一層顕著に得られる。このような効果が得られる理由は定かではないが、ガラスフリットに担持された高融点金属は、ファイヤースルーの際に、鉛化合物と共に無鉛テルルガラス中に一層容易に取り込まれ、浸食面に適度な酸化物膜を生成するためと考えられる。前述したペースト調製時にテルルガラスとは別に高融点金属含有添加物を添加する態様では、基板の浸食時に高融点金属が欠乏している部分が生じてAgとSiとの直接接合が相対的に増加するので、再結合速度が高くなるものと思われる。高融点金属含有添加物の担持は、例えば、前記ガラスフリットと混合して酸化雰囲気中において500(℃)以下の温度で施す仮焼処理や、メカノケミカル法などで行うことができる。仮焼による場合は、高融点金属含有添加物は、一部が酸化物として残存するような条件が好ましい。
なお、「メカノケミカル法」は、非加熱の粉砕・混合操作であり、例えばロータを備えた容器内に処理対象の粉体を投入し、ロータを高速回転させることによって粉体粒子個々に衝撃力、圧縮力、剪断力を均一に作用させ、機械的エネルギで結晶構造を破壊し或いは結合状態を切断して活性化させることにより、固相反応を促進させる方法である。メカノケミカル法によれば、処理対象物に熱が加えられないため、無用な化学反応が抑制される利点もある。「メカノケミカル法」に用いられる処理装置は、例えば、軸心が略水平方向に伸びる円筒状の混合容器と、上述したように粒子個々に衝撃力等が均一に作用する特殊形状のロータとを備えたもので、そのロータは例えば周速50(m/s)以上の高速回転が可能なものが好ましい。
また、好適には、前記鉛含有添加物は、一部または全部が前記ガラスフリットに担持されているものである。また、前記第3発明は、好適には、前記鉛含有添加物の一部または全部を前記ガラスフリットに担持させる鉛含有添加物担持工程を含むものである。鉛含有添加物は、導電性粉末等と共にガラスに混合されてもよいが、予めガラスフリットに担持すれば、部分的にPbとTeが共に作用する効果が一層顕著に得られ、電気的特性が一層高められる。なお、鉛含有添加物の全部をガラスフリットに担持してもよいが、一部を担持させて鉛含有添加物を酸化物として残存させ、電極ペースト中に鉛含有添加物が存在する状態とすれば、ファイヤースルーの際に、鉛含有添加物が含まれることによる侵食性のばらつきが一層顕著に現れるため、電気的特性および接着強度の兼ね合いが一層好ましい電極を形成することができる。
また、好適には、前記鉛含有添加物は、前記ガラスフリットと混合して酸化雰囲気中において500(℃)以下の温度で仮焼処理を施すことによりそのガラスフリットに担持されたものである。また、前記第2発明および第3発明において、前記鉛含有添加物担持工程は、前記ガラスフリットと前記鉛含有添加物の粉末とを混合して酸化雰囲気中において500(℃)以下の温度で仮焼処理を施すものである。このようにすれば、ガラスフリットに鉛含有添加物の一部が担持された状態が容易に得られる。なお、上記仮焼温度では、鉛含有添加物の一部はガラスフリットに担持され、残部はガラスフリットに担持されず、そのまま残存することとなるが、仮焼温度が500(℃)を越えるとガラスと鉛含有添加物との化学反応が生じ、Pb−Te酸化物が生成されるため、軟化点が上昇しやすくなる。そのため、仮焼温度は500(℃)以下に留めることが好ましい。
また、前記鉛含有添加物は、前記ガラスフリットと混合してメカノケミカル法によってそのガラスフリットの粒子表面に粒子を担持させてもよい。
また、好適には、前記鉛含有添加物は、酸化物換算したPbO/ガラスフリット重量比で0.5〜1.0の範囲内の割合で含まれる。PbO/ガラスが0.5未満或いは1.0を越えても、改善効果は認められるが、PbOが少なくなると添加しない電極ペースト組成に対して侵食性の変化が小さくなり、また、PbOが多くなると上記範囲内にある場合に比較して侵食性が著しく強くなり、何れも改善効果が小さくなるので、上記範囲が一層好ましい。上記範囲内とすれば、FF値で77以上の十分に高い出力が得られる。
また、好適には、前記高融点金属は、それぞれ酸化物換算した値で、ガラスフリットのWO3、MoO、Cr2O3以外の成分の合計質量Gに対して、(WO3/G)+2(MoO3/G)+4Cr2O3/Gが0.04〜0.40の範囲内の割合で少なくとも1種が含まれるものである。高融点金属が上記下限値以上の割合で含まれていれば、添加効果が一層顕著に得られる。また、上記上限値以下であれば、ガラスに取り込まれた際の軟化点が十分に低い値に留められる。高融点金属の各々は、それぞれ酸化物換算した値で、ガラスフリットのWO3、MoO、Cr2O3以外の成分の合計質量Gに対して、A=WO3/Gが0.04〜0.35の範囲内、B=MoO3/Gが0.02〜0.20の範囲内、C=Cr2O3/Gが0.01〜0.09の範囲内であることが好ましいが、複数種類が含まれる場合には、上記計算値(A+2B+4C)が0.04〜0.40の範囲内の割合で含まれていれば、それぞれは個々の下限値を下回っていても差し支えない。
なお、本発明においては、無鉛テルルガラスの組成は特に限定されず、種々の組成のガラスが用いられる場合において、電極ペースト中にガラスとは別に鉛含有添加物を添加すると共に、電極ペースト中に高融点金属を含むことによる改善効果を享受できる。しかしながら、以下に特に好ましいガラス組成の一例を挙げる。
例えば、前記無鉛テルルガラスは、酸化物換算で54〜80(mol%)のTeO2と、0.4〜18(mol%)のLi2Oとを含むものが好ましい。これらの範囲内であれば、電気的特性に一層優れ、例えばFF値が75(%)以上の太陽電池を容易に得ることができる。
また、無鉛テルルガラスは、酸化物換算で25(mol%)以下のBi2O3と、5(mol%)以下のCuOと、20(mol%)以下のSiO2とを含むものが好ましい。これらの範囲内であれば、電気的特性に一層優れ、例えばFF値が75(%)以上の太陽電池を容易に得ることができる。
また、無鉛テルルガラスは、酸化物換算で6(mol%)以下のZnO、6(mol%)以下のMgO、5(mol%)以下のFe2O3、5(mol%)以下のNiO、18(mol%)以下のWO3、16(mol%)以下のMoO3、8(mol%)以下のCr2O3を含むことが一層好ましい。これらの範囲内であれば、電気的特性に一層優れ、例えばFF値が75(%)以上の太陽電池を容易に得ることができる。
また、無鉛テルルガラスは、上述したもの以外の成分を適宜含み得る。例えば、酸化物換算で18(mol%)以下のB2O3、5(mol%)以下のAl2O3、12(mol%)以下のTiO2、19(mol%)以下のP2O5、26(mol%)以下のV2O5、15(mol%)以下のBaO等が挙げられる。
また、前記鉛含有添加物は特に限定されず、種々のものを用い得るが、例えば、鉛、酸化鉛(例えばPbOやPb3O4)、鉛を含む合金、レジネート、硝酸鉛、炭酸鉛、ステアリン酸鉛、その他の鉛を含む化合物が挙げられる。
また、前記鉛含有添加物は、適宜の粒子形状および粒径のものを用い得るが、例えば、形状は非球形、粒径は1〜5(μm)の範囲が好ましい。このような粒子を用いれば、ガラスフリットとの良好な分散性が得られ、担持が容易になる。
また、好適には、前記導電性粉末は、Ag粉末である。本発明が適用される電極用ペーストに含まれる導電性粉末は特に限定されず、Au,Ag,Cu,Al等が挙げられる。この中でも、AgはTeが存在することによる溶解量増大効果が顕著に得られるため、本発明の適用対象として特に好ましい。
また、好適には、前記ガラスフリットは平均粒径(D50)が0.3〜10(μm)の範囲内である。ガラスフリットの平均粒径が小さすぎると、電極の焼成時に融解が早くなるため十分な電気的特性を得ることが困難になる。平均粒径が0.3(μm)以上であれば、このような問題が生じ難く、しかも、凝集が生じ難いのでペースト調製時に一層良好な分散性が得られる。また、ガラスフリットの平均粒径が導電性粉末の平均粒径よりも著しく大きい場合にも粉末全体の分散性が低下するが、10(μm)以下であれば一層良好な分散性が得られる。しかも、ガラスの一層の溶融性が得られる。
なお、上記ガラスフリットの平均粒径は空気透過法による値である。空気透過法は、粉体層に対する流体(例えば空気)の透過性から粉体の比表面積を測定する方法をいう。この測定方法の基礎となるのは、粉体層を構成する全粒子の濡れ表面積とそこを通過する流体の流速および圧力降下の関係を示すコゼニー・カーマン(Kozeny-Carmann)の式であり、装置によって定められた条件で充填された粉体層に対する流速と圧力降下を測定して試料の比表面積を求める。この方法は充填された粉体粒子の間隙を細孔と見立てて、空気の流れに抵抗となる粒子群の濡れ表面積を求めるもので、通常はガス吸着法で求めた比表面積よりも小さな値を示す。求められた上記比表面積および粒子密度から粉体粒子を仮定した平均粒径を算出できる。
また、好適には、前記導電性粉末は平均粒径(D50)が0.3〜3.0(μm)の範囲内の銀粉末である。導電性粉末としては銅粉末やニッケル粉末等も用い得るが、銀粉末が高い導電性を得るために最も好ましい。また、銀粉末の平均粒径が3.0(μm)以下であれば一層良好な分散性が得られるので一層高い導電性が得られる。また、0.3(μm)以上であれば凝集が抑制されて一層良好な分散性が得られる。なお、0.3(μm)未満の銀粉末は著しく高価であるため、製造コストの面からも0.3(μm)以上が好ましい。また、導電性粉末、ガラスフリット共に平均粒径が3.0(μm)以下であれば、細線パターンで電極を印刷形成する場合にも目詰まりが生じ難い利点がある。
なお、前記銀粉末は特に限定されず、球状や鱗片状等、どのような形状の粉末が用いられる場合にも導電性を保ったまま細線化が可能である。但し、球状粉を用いた場合が印刷性に優れると共に、塗布膜における銀粉末の充填率が高くなるため、導電性の高い銀が用いられることと相俟って、鱗片状等の他の形状の銀粉末が用いられる場合に比較して、その塗布膜から生成される電極の導電率が高くなる。そのため、必要な導電性を確保したまま線幅を一層細くすることが可能となることから、特に好ましい。
また、好適には、前記太陽電池受光面電極用ペーストは、25(℃)−20(rpm)における粘度が150〜250(Pa・s)の範囲内、粘度比(すなわち、[10(rpm)における粘度]/[100(rpm)における粘度])が3〜8である。このような粘度特性を有するペーストを用いることにより、スキージングの際に好適に低粘度化してスクリーンメッシュを透過し、その透過後には高粘度に戻って印刷幅の広がりが抑制されるので、スクリーンを容易に透過して目詰まりを生じないなど印刷性を保ったまま細線パターンが容易に得られる。電極ペーストの粘度は、180〜240(Pa・s)の範囲が一層好ましく、粘度比は4.5〜7.5の範囲が一層好ましい。また、設計線幅が100(μm)以下の細線化には粘度比5〜7が望ましい。
なお、線幅を細くしても断面積が保たれるように膜厚を厚くすることは、例えば、印刷製版の乳剤厚みを厚くすること、テンションを高くすること、線径を細くして開口径を広げること等でも可能である。しかしながら、乳剤厚みを厚くすると版離れが悪くなるので印刷パターン形状の安定性が得られなくなる。また、テンションを高くし或いは線径を細くすると、スクリーンメッシュが伸び易くなるので寸法・形状精度を保つことが困難になると共に印刷製版の耐久性が低下する問題がある。しかも、太幅で設けられることから膜厚を厚くすることが無用なバスバーも厚くなるため、材料の無駄が多くなる問題もある。
また、好適には、前記太陽電池受光面電極用ペーストは、前記導電性粉末を64〜90重量部、前記ベヒクルを3〜20重量部の範囲内の割合で含むものである。このようにすれば、印刷性が良好で線幅の細く導電性の高い電極を容易に形成できる電極ペーストが得られる。
また、好適には、前記太陽電池受光面電極用ペーストは、前記ガラスフリットを前記導電性粉末100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲で含むものである。0.1重量部以上含まれていれば十分な浸食性(ファイヤスルー性)が得られるので、良好なオーミックコンタクトが得られる。また、10重量部以下に留められていれば絶縁層が形成され難いので十分な導電性が得られる。導電性粉末100重量部に対するガラス量は、0.5〜8重量部が一層好ましく、0.5〜7重量部が更に好ましい。
また、本願発明の電極用ペーストは、裏面電極形成に用いることもでき、例えば、銀を導電成分とする電極用ペーストに適用した場合には、前述したような侵食性のバラツキによって接着強度の向上効果が得られる。また、アルミニウムを導電成分とする電極用ペーストに適用した場合には、軟化点が低く、且つ鉛含有添加物がガラスの周りに担持されているため、低い焼成温度から適度にAl粉と反応し、BSF層の均一性が高められるため、電気特性が向上する。しかしながら、本願発明の電極用ペーストは、前述したようにファイヤースルーによる電極形成時の銀の析出を好適に制御し得るものであるから、受光面電極に特に好適に用い得る。
本発明の一実施例の電極用ペーストが受光面電極の形成に適用された太陽電池の断面構造を示す模式図である。 図1の太陽電池の受光面電極パターンの一例を示す図である。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明の一実施例の導電性組成物が適用されたシリコン系太陽電池10を備えた太陽電池モジュール12の断面構造を模式的に示す図である。図1において、太陽電池モジュール12は、上記太陽電池10と、これを封止する封止材14と、受光面側において封止材14上に設けられた表面ガラス16と、裏面側から太陽電池10および封止材14を保護するために設けられた保護フィルム(すなわちバックシート)18とを備えている。上記封止材14は、例えば、EVAから成るもので、十分な耐候性を有するように、架橋剤、紫外線吸収剤、接着保護剤等が適宜配合されている。また、上記保護フィルム18は、例えば弗素樹脂やポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、或いはPETやEVA等から成る樹脂フィルムを複数枚貼り合わせたもの等から成るもので、高い耐候性や水蒸気バリア性等を備えている。
また、上記の太陽電池10は、例えばp型多結晶半導体であるシリコン基板20と、その上下面にそれぞれ形成されたn層22およびp+層24と、そのn層22上に形成された反射防止膜26および受光面電極28と、そのp+層24上に形成された裏面電極30とを備えている。上記シリコン基板20の厚さ寸法は例えば100〜200(μm)程度である。
上記のn層22およびp+層24は、シリコン基板20の上下面に不純物濃度の高い層を形成することで設けられたもので、その高濃度層の厚さ寸法はn層22が例えば70〜100(nm)程度、p+層24が例えば500(nm)程度である。n層22は、一般的なシリコン系太陽電池では100〜200(nm)程度であるが、本実施例ではそれよりも薄くされたLDE基板が用いられており、シャローエミッタと称される構造を成している。なお、n層22に含まれる不純物は、n型のドーパント、例えば燐(P)で、p+層24に含まれる不純物は、p型のドーパント、例えばアルミニウム(Al)や硼素(B)である。
また、前記の反射防止膜26は、例えば、窒化珪素 Si3N4等から成る薄膜で、例えば可視光波長の1/4程度の光学的厚さ、例えば80(nm)程度で設けられることによって10(%)以下、例えば2(%)程度の極めて低い反射率に構成されている。
また、前記の受光面電極28は、例えば一様な厚さ寸法の厚膜導体から成るもので、図2に示されるように、受光面32の略全面に、多数本の細線部を有する櫛状を成す平面形状で設けられている。
上記の厚膜導体は、Ag、ガラス、鉛含有添加物(鉛または鉛化合物)、および高融点金属含有添加物(W、Mo、Crの単体またはその化合物)を含む厚膜銀から成るもので、Ag 100重量部に対してガラスを0.1〜10重量部の範囲内、例えば1.6重量部程度、鉛含有添加物を0.1〜10重量部の範囲内、例えば1.1重量部程度、高融点金属含有添加物を、Wの場合においてはWO3換算で0.005〜4重量部の範囲内、例えば0.2重量部程度、Moの場合においてはMoO換算で0.002〜2重量部の範囲内、例えば0.1重量部程度、Crの場合においてはCr2O3換算で0.001〜1重量部の範囲内、例えば0.05重量部程度の割合で含むものである。また、鉛含有添加物および高融点金属含有添加物のガラスに対する割合は、それぞれ酸化物換算で、PbO/ガラス=0.5〜1.0の範囲内、例えば、1.1/1.6=0.7程度、WO3/ガラス=0.04〜0.35の範囲内、例えば0.18/1.6=0.11程度、MoO3/ガラス=0.02〜0.2の範囲内、例えば0.1/1.6=0.06程度、Cr2O3/ガラス=0.01〜0.09の範囲内、例えば0.07/1.6=0.04程度である。
上記鉛含有添加物は、ガラスとは別に含まれるものであり、例えば、電極形成時に添加された単体または化合物に応じて、Pb、Pb3O4、Pb(NO3)2、PbO、PbCO3等が含まれている。
また、前記高融点金属含有添加物も、ガラスとは別に含まれるものであり、例えば、電極形成時に添加された単体または化合物に応じて、WO3、MoO3、Cr2O3、(NH4)10W12O4、H2WO4等が含まれている。
また、前記ガラスは、例えば、Teがネットワークフォーマーとして働き、Pbを含まない無鉛テルルガラス、例えば、TeO2-Li2O-Bi2O3系無鉛ガラスである。その組成は特に限定されず、一般に太陽電池の電極用とされる適宜のものが用いられる。この無鉛ガラスは、上記主要成分の他にCuOおよびSiO2を含むことが好ましく、ZnO、MgO、Fe2O3、NiOを含むことができる。また、前記高融点金属(WO3、MoO3、Cr2O3)は、ガラス中に含まれてもよい。更に、B2O3、Al2O3、TiO2、P2O5、V2O5、BaO等を含み得る。
また、上記の導体層の厚さ寸法は例えば10〜25(μm)の範囲内、例えば15(μm)程度で、細線部の各々の幅寸法は例えば35〜80(μm)の範囲内、例えば45(μm)程度で、十分に高い導電性を備えている。
また、前記の裏面電極30は、p+層24上にアルミニウムを導体成分とする厚膜材料を略全面に塗布して形成された全面電極34と、その全面電極34上に帯状に塗布して形成された厚膜銀から成る帯状電極36とから構成されている。この帯状電極36は、裏面電極30に半田リボン38や導線等を半田付け可能にするために設けられたものである。前記受光面電極28にも裏面側と同様に半田リボン38が溶着されている。
上記のような受光面電極28は、例えば、導体粉末と、ガラスフリットと、鉛含有添加物と、高融点金属含有添加物と、ベヒクルと、溶剤とから成る電極用ペーストを用いて良く知られたファイヤースルー法によって形成されたものである。鉛含有添加物および高融点金属含有添加物は、そのまま粉末で混合されてもよいが、一部または全部がガラスフリットに担持された状態で混合されてもよい。受光面電極形成を含む太陽電池10の製造方法の一例を以下に説明する。
まず、上記ガラスフリットを作製する。Li源として炭酸リチウム Li2CO3を、Si源として二酸化珪素 SiO2を、Cu源としてCuOを、Zn源としてZnOを、Bi源としてBi2O3を、Te源としてTeO2を、それぞれ用意し、所望するガラス組成になるように秤量して調合する。これを坩堝に投入して組成に応じた900〜1200(℃)の範囲内の温度で、30分〜1時間程度溶融し、急冷することでガラス化させる。このガラスを遊星ミルやボールミル等の適宜の粉砕装置を用いて粉砕する。粉砕時間は1〜8時間程度、粉砕後の平均粒径(D50)は例えば0.3〜10(μm)程度である。なお、上記ガラス粉末の平均粒径は空気透過法を用いて算出したものである。
また、鉛含有添加物として例えばPb3O4粉末を用意する。Pb3O4粉末は、例えば、平均粒径が2(μm)程度の市販の粉末を用いる。
また、高融点金属含有添加物として例えばWO3粉末、MoO3粉末、Cr2O3粉末、(NH4)10W12O4粉末、H2WO4粉末、(NH4)2MoO4粉末、Cr3(OH)2(OCOCH3)7粉末等を用意する。これらは、例えば、平均粒径が0.5(μm)程度の市販の粉末を用いる。以下の説明においては、高融点金属含有添加物としてWO3を用いた場合を例にとる。
次いで、このようにしてそれぞれ用意したガラス粉末、Pb3O4粉末、およびWO3粉末を混合して、例えばセッター等に載せて、酸化雰囲気中にて300〜500(℃)程度の温度で仮焼処理を施す。仮焼処理温度は、ガラス粉末とPb3O4粉末やWO3粉末とが焼結する温度より十分に低温に設定されており、これにより、未反応のPb3O4およびWO3を残したまま、その一部または全部がガラス粉末に担持された粉末が得られる。
なお、上記担持処理は、仮焼処理に代えて、メカノケミカル法を用いることもできる。メカノケミカル法に用いる処理装置は、例えば、ホソカワミクロン(株)製ノビルタ NOB-130などであるが、特に限定されず、適宜のものを用い得る。NOB-130を用いる場合の複合化処理の運転条件は、例えば、羽根回転数を2500(rpm)、処理時間を10〜20分間の範囲内、例えば10分間、動力負荷を4.5〜5.0(kW)の範囲内、例えば4.7(kW)である。羽根と容器内面との間には3(mm)程度の隙間が設けられており、容器内に材料を投入して運転すると、ガラス粉末、鉛含有添加物粉末、および高融点金属含有添加物粉末が混合され、更には機械的作用力が加えられることで鉛含有添加物粉末および高融点金属含有添加物粉末がガラス粉末表面に一粒子層の厚みで強固に固着され、複合粒子が得られる。このようにして製造した複合粒子をガラスフリットに代えて用い得る。
また、導体粉末として、例えば、平均粒径(D50)が0.3〜3.0(μm)の範囲内、例えば平均粒径が1.6(μm)程度の市販の球状の銀粉末を用意する。このような平均粒径が十分に小さい銀粉末を用いることにより、塗布膜における銀粉末の充填率を高め延いては導体の導電率を高めることができる。また、前記ベヒクルは、有機溶剤に有機結合剤を溶解させて調製したもので、有機溶剤としては、例えばブチルカルビトールアセテートが、有機結合剤としては、例えばエチルセルロースが用いられる。ベヒクル中のエチルセルロースの割合は例えば15(wt%)程度である。また、ベヒクルとは別に添加する溶剤は、例えばブチルカルビトールアセテートである。すなわち、これに限定されるものではないが、ベヒクルに用いたものと同じ溶剤でよい。この溶剤は、ペーストの粘度調整の目的で添加される。
以上のペースト原料をそれぞれ用意して、例えば導体粉末を77〜90(wt%)の範囲内、例えば89(wt%)、ガラスフリットを0.1〜10(wt%)の範囲内、例えば1.4(wt%)、鉛含有添加物を0.1〜10(wt%)の範囲内、例えば1.0(wt%)、高融点金属含有添加物、例えばWO3を0.004〜3.5(wt%)の範囲内、例えば0.15(wt%)、ベヒクルを3〜14(wt%)の範囲内、例えば5.0(wt%)、溶剤を2〜5(wt%)の範囲内、例えば3.6(wt%)の割合で秤量し、攪拌機等を用いて混合した後、例えば三本ロールミルで分散処理を行う。これにより、前記電極用ペーストが得られる。この実施例では、PbO/ガラス=0.7、WO3/ガラス=0.11である。
上記のようにして電極用ペーストを調製する一方、適宜のシリコン基板に例えば、熱拡散法やイオンプランテーション等の良く知られた方法で不純物を拡散し或いは注入して前記n層22およびp+層24を形成することにより、前記シリコン基板20を作製する。次いで、これに例えばPE−CVD(プラズマCVD)等の適宜の方法で窒化珪素薄膜を形成し、前記反射防止膜26を設ける。
次いで、上記の反射防止膜26上に前記図2に示すパターンで前記電極用ペーストをスクリーン印刷する。これを例えば150(℃)で乾燥し、更に、近赤外炉において700〜900(℃)の範囲内の温度で焼成処理を施す。これにより、その焼成過程で電極用ペースト中のガラス成分が反射防止膜26を溶かし、その電極用ペーストが反射防止膜26を破るので、電極用ペースト中の導体成分すなわち銀とn層22との電気的接続が得られ、前記図1に示されるようにシリコン基板20と受光面電極28とのオーミックコンタクトが得られる。受光面電極28は、このようにして形成される。
なお、前記裏面電極30は、上記工程の後に形成してもよいが、受光面電極28と同時に焼成して形成することもできる。裏面電極30を形成するに際しては、上記シリコン基板20の裏面全面に、例えばアルミニウムペーストをスクリーン印刷法等で塗布し、焼成処理を施すことによってアルミニウム厚膜から成る前記全面電極34を形成する。更に、その全面電極34の表面に前記電極用ペーストをスクリーン印刷法等を用いて帯状に塗布して焼成処理を施すことによって、前記帯状電極36を形成する。これにより、裏面全面を覆う全面電極34と、その表面の一部に帯状に設けられた帯状電極36とから成る裏面電極30が形成され、前記の太陽電池10が得られる。上記工程において、同時焼成で製造する場合には、受光面電極28の焼成前に印刷処理を施すことになる。
本実施例の太陽電池10は、上述したように受光面電極28がファイヤースルー法で設けられているが、その受光面電極28が、無鉛テルルガラスと鉛含有添加物および高融点金属含有添加物(例えばWO3)とを含む厚膜銀ペーストを用いてファイヤースルーによって形成されていることから、Teの存在によってガラス中へのAg溶解量が増大すると共に、PbおよびWがガラスとは別に添加されることによって、適度に凹凸を有する浸食面が得られるので、好適にオーミックコンタクトが得られ、電気的特性に優れ、しかも、接着強度の高い太陽電池10が得られる。
以下、ガラス組成、鉛含有添加物量、高融点金属含有添加物の種類と量、複合化方法等を種々変更して評価した結果を説明する。下記の表1、表2は、TeO2-Li2O-Bi2O3-CuO-SiO2系ガラスについて、各成分の割合を種々変更すると共に、追加のガラス成分としてPbO、WO3、MoO3、Cr2O3、ZnO、MgO、Fe2O3、NiOのうちの1〜2種を含むものを用いた。表1、表2に示す評価では、特に示したものの他は、PbO/テルルガラス比を0.7、ガラスと鉛含有添加物および高融点金属含有添加物との仮焼温度を360(℃)として担持処理を施し、ペーストを調製した。明示しない他の条件は全て共通し、前記製造方法において説明した通りである。各試料は、何れも前述した製造工程に従ってペーストを調製して受光面電極28を形成し太陽電池10を製造して、その出力を測定してFF値を求めた。また、受光面電極28に半田リボンを接着して接着強度を評価した。太陽電池の出力は市販のソーラーシミュレータを用いて測定して得られたFF値に基づいて評価し、接着強度は市販の引張試験機を用いて評価した。「非LDE」はn層22の厚い従来の基板を用いたもの、「LDE」は実施例の基板20と同様なLDE基板を用いたもので、それぞれFF値とその値に基づいて判定した評価結果とを、FF値76以上を「○」(すなわち実施例)、75以下を「×」(すなわち比較例)として示した。FF値は良好なオーミックコンタクトが得られているか否かの判定であり、一般に、太陽電池はFF値が70以上であれば使用可能とされているが、高いほど好ましいのはもちろんであり、本実施例においては、FF値が76以上を合格とした。非LDE基板の評価は、本実施例のペーストであれば、LDE基板に適用しても非LDE基板の場合と同様に良好な特性が得られることを確認する目的で行ったものである。また、「接着強度」欄には測定した強度とそれに基づいて判定した結果とを、3(N)以上を「○」(すなわち良好)、2(N)以上且つ2.8(N)未満を「△」(やや劣るが合格)、2(N)未満を「×」(すなわち強度不足)として示した。
Figure 2015230995
Figure 2015230995
上記表1において、No.1〜29は、SiO2が14.0(mol%)、Li2Oが11.4(mol%)、TeO2が68.9(mol%)、Bi2O3が4.4(mol%)、CuOが1.3(mol%)のガラス組成において、添加物とガラスの重量比を検討したものである。No.1〜6は、WO3/ガラス量が0〜0.45の範囲で特性を評価したもので、WO3/ガラス量が0.04〜0.35の範囲のNo.2〜5でLDEでも非LDEと同様にFF値が78〜79と極めて高く、接着強度も3.1〜3.3(N)と高い結果が得られた。これに対して、WO3を添加しないNo.1は、非LDEではFF値が77と高いものの、LDEではFF値が75に留まった。なお、接着強度は2.3(N)と許容範囲であった。また、WO3/ガラス量が0.45のNo.6は、非LDE、LDE共にFF値が75以下に留まり、接着強度も1.5(N)と低い値であった。
また、No.7〜11は、WO3/ガラス量を0.11の一定値として、PbO/ガラス量が0.40〜1.10の範囲で特性を評価したもので、PbO/ガラス量が0.50〜1.00の範囲のNo.8〜10で非LDE、LDE共にFF値が77〜79と極めて高く、接着強度も3.2〜3.4(N)と高い結果が得られた。これに対して、PbO/ガラス量が0.40のNo.7および1.10のNo.11では、非LDE、LDE共にFF値が75以下に留まった。
また、No.12〜16は、MoO3/ガラス量が0.02〜0.35の範囲で特性を評価したもので、MoO3/ガラス量が0.02〜0.20([2×MoO3/ガラス量]が0.04〜0.40)(以下、同様な換算値を「2倍値」と称する)の範囲のNo.12〜15で非LDE、LDE共にFF値が78〜79と極めて高く、接着強度も3.0〜3.2(N)と高い結果が得られた。これに対して、MoO3/ガラス量が0.35(2倍値が0.70)のNo.16では、非LDE、LDE共にFF値が75に留まり、接着強度も1.4(N)と不十分であった。
また、No.17〜21は、Cr2O3/ガラス量が0.01〜0.17の範囲で特性を評価したもので、Cr2O3/ガラス量が0.01〜0.09([4×Cr2O3/ガラス量]が0.04〜0.36)(以下、同様な換算値を「4倍値」と称する)の範囲のNo.17〜20で非LDE、LDE共にFF値が78〜79と極めて高く、接着強度2.8〜3.2(N)と高い結果が得られた。これに対して、Cr2O3/ガラス量が0.17(4倍値が0.68)のNo.21では、非LDE、LDEともFF値が75以下に留まり、接着強度も1.3(N)と不十分であった。
また、No.22〜29は、高融点金属含有添加物粉末を2〜3種同時に添加したものである。各データの高融点金属の対ガラス重量比は、No.22が、WO3、Cr2O3をそれぞれ0.03、0.005(WO3/ガラス量+[4×Cr2O3/ガラス量]=0.05)、No.23が、WO3、Cr2O3をそれぞれ0.11、0.03(WO3/ガラス量+[4×Cr2O3/ガラス量]=0.23)、No.24が、WO3、Cr2O3をそれぞれ0.15、0.05(WO3/ガラス量+[4×Cr2O3/ガラス量]=0.35)、No.25が、WO3、Cr2O3をそれぞれ0.22、0.08(WO3/ガラス量+[4×Cr2O3/ガラス量]=0.54)、No.26が、WO3、MoO3、Cr2O3をそれぞれ0.02、0.01、0.005(WO3/ガラス量+[2×MoO3/ガラス量]+[4×Cr2O3/ガラス量]=0.06)、No.27が、WO3、MoO3、Cr2O3をそれぞれ0.11、0.02、0.01(WO3/ガラス量+[2×MoO3/ガラス量]+[4×Cr2O3/ガラス量]=0.19)、No.28が、WO3、MoO3、Cr2O3をそれぞれ0.11、0.06、0.03(WO3/ガラス量+[2×MoO3/ガラス量]+[4×Cr2O3/ガラス量]=0.35)、No.29が、WO3、MoO3、Cr2O3をそれぞれ0.12、0.08、0.04(WO3/ガラス量+[2×MoO3/ガラス量]+[4×Cr2O3/ガラス量]=0.44)である。
上記評価結果に示す通り、WO3/ガラス量+[2×MoO3/ガラス量]+[4×Cr2O3/ガラス量]の値が、0.05〜0.35の範囲内にあるNo.22〜24、26〜28では、非LDE、LDE共にFF値が78〜79と極めて高く、接着強度も3.1〜3.3(N)と十分に高い結果が得られた。上記計算値が0.54のNo.25、0.44のNo.29は、非LDE、LDE共にFF値が72〜74と低く、接着強度も1.3〜1.4(N)と低い結果であった。この評価結果によれば、複数種類が同時に含まれる場合には、WO3、MoO3、Cr2O3の個々の対ガラス重量比が、WO3では0.02程度、MoO3では0.01程度、Cr2O3では0.005程度と低い場合でも、上記計算値が0.05以上であれば、出力特性および接着強度に共に優れる太陽電池10を得ることができる。なお、No.22〜29に示すデータでは、良好な結果が得られた計算値の範囲が0.05〜0.35であるが、高融点金属を1種のみ含む前記No.2、No.12、No.17等では上記計算値が0.04で良好な結果が得られ、No.15、No.20では、上記計算値が0.36〜0.40で良好な結果が得られており、不十分な結果に留まったのが、No.6、No.16等の計算値が0.45以上のものであることに照らせば、計算値が0.04〜0.40の範囲で良好な結果が得られるものと考えるのが妥当である。
上記No.1〜29の評価結果によれば、PbO/ガラス量は0.50〜1.00の範囲、WO3/ガラス量は0.04〜0.35の範囲、MoO3/ガラス量は0.02〜0.20の範囲、Cr2O3/ガラス量は0.01〜0,09の範囲、WO3/ガラス量+[2×MoO3/ガラス量]+[4×Cr2O3/ガラス量]が0.04〜0.40の範囲で出力特性および接着強度に共に優れた太陽電池10を得ることのできる電極用ペーストが得られ、また、少なくとも合計で対ガラス重量比が0.14までの範囲であれば、複数の高融点金属含有添加物粉末を同時に添加する場合にも、同様な効果を奏することが確かめられた。
また、No.30〜44は、高融点金属含有添加物粉末を添加することに代えて、高融点金属を含むガラスを用いたものである。なお、高融点金属がガラス中に含まれる場合においては、「対ガラス重量比」は、[ガラス中の高融点金属酸化物の質量]/[ガラスの高融点金属酸化物以外の成分の合計質量]で求めた値を示した。また、ガラス組成は、前記No.1〜29で用いたガラスをベースとして、同様な性状のガラスが得られるように、追加する成分量に応じてSiO2、Li2O、TeO2、Bi2O3、CuOの各成分量を調整した。No.30〜33は、WO3を含むガラスを用いた評価結果である。ガラス中にWO3を2.3〜17.8(mol%)(対ガラス重量比で0.04〜0.35)の範囲で含むNo.30〜32では、非LDE、LDE共にFF値が78〜79と極めて高く、接着強度が2.4〜2.5(N)と十分に高い結果が得られた。これに対して、WO3を21.6(mol%)(対ガラス重量比で0.45)含むNo.33では、非LDE、LDE共にFF値が75以下に留まり、接着強度も1.3(N)と低い結果であった。
また、No.34〜37は、MoO3を含むガラスを用いた評価結果である。ガラス中にMoO3を2.3〜15.6(mol%)(対ガラス重量比で0.02〜0.20;2倍値で0.04〜0.40)の範囲で含むNo.34〜36では、非LDE、LDE共にFF値が78〜79と極めて高く、接着強度が2.3〜2.5(N)と十分に高い結果が得られた。これに対して、MoO3を22.9(mol%)(対ガラス重量比で0.35;2倍値で0.70)含むNo.37では、非LDE、LDE共にFF値が75以下に留まり、接着強度も1.3(N)と低い結果であった。
また、No.38〜41は、Cr2O3を含むガラスを用いた評価結果である。ガラス中にCr2O3を0.8〜7.3(mol%)(対ガラス重量比で0.01〜0.09;4倍値で0.04〜0.36)の範囲で含むNo.38〜40では、非LDE、LDE共にFF値が77〜78と極めて高く、接着強度が2.3〜2.4(N)と十分に高い結果が得られた。これに対して、Cr2O3を13.0(mol%)(対ガラス重量比で0.17;4倍値で0.68)含むNo.41では、非LDE、LDE共にFF値が75に留まり、接着強度も1.4(N)と低い結果であった。
また、No.42〜44は、PbOと、高融点金属の何れかを含むガラスを用いた評価結果である。PbO量を29.6〜30.6(mol%)の範囲で評価したが、何れも、非LDE、LDE共にFF値は78〜79と極めて高い結果が得られたものの、接着強度が1.7〜1.8(N)と低い結果であった。
上記No.30〜44の結果によれば、高融点金属はWO3が17.8(mol%)以下、MoO3が15.6(mol%)以下、Cr2O3が7.3(mol%)以下(それぞれ対ガラス重量比で0.35以下、0.20以下、0.09以下)の範囲で含まれるガラスを用いて、ペースト中に鉛含有添加物を添加すれば、高融点金属含有添加物を添加しなくとも、出力および接着強度が共に優れた太陽電池を得ることができるが、ペースト中に鉛含有添加物を添加することに代えて鉛を含むガラスを用いた場合には、極めて高い出力は得られる一方で、接着強度を得ることができないことが確かめられた。すなわち、無鉛テルルガラスを用い且つ鉛含有添加物をペースト中に添加することは必須である。また、No.1〜29の結果と対比すれば、高融点金属はガラス中に含まれるよりもペースト中に添加する方が接着強度を高めるために好ましいと言える。
また、表2のNo.45〜69は、PbO/ガラス量が0.70、WO3/ガラス量が0.11となるように鉛含有添加物および高融点金属含有添加物(WO3)をペースト中に添加する調合仕様において、ガラス組成を検討したものである。No.45〜50は、SiO2量およびTeO2量を検討したもので、SiO2が0〜22.5(mol%)、Li2Oが10.3〜15.6(mol%)、TeO2が57.4〜82.0(mol%)、Bi2O3が4.0〜6.0(mol%)、CuOが1.2〜1.8(mol%)の範囲では、SiO2が0〜19.6(mol%)且つTeO2が60.6〜80.1(mol%)の範囲で非LDE、LDE共にFF値が77〜78、接着強度が3.1〜3.3(N)の良好な結果が得られた。これに対して、SiO2が22.5(mol%)のNo.48、TeO2が82.0(mol%)、57.4(mol%)のNo.45、50では、接着強度は3.1〜3.3(N)と十分であったが、非LDE、LDE共にFF値が75以下に留まり、不十分な結果であった。
また、No.51〜54は、Li2O量を検討した評価結果である。SiO2が12.4〜15.9(mol%)、Li2Oが0〜22.0(mol%)、TeO2が60.6〜77.7(mol%)、Bi2O3が3.9〜4.9(mol%)、CuOが1.2〜1.5(mol%)の範囲では、Li2O量が0.4〜18.0(mol%)のNo.52、53で非LDE、LDE共にFF値が76〜78、接着強度が3.3〜3.4(N)の良好な結果が得られた。これに対して、Li2O量が0のNo.51では非LDE、LDE共にFF値が75に留まり、22.0(mol%)のNo.54では非LDE、LDE共にFF値が75以下に留まり、何れも不十分な結果であった。
また、No.55〜58は、Bi2O3量を検討した評価結果である。SiO2が10.7〜14.7(mol%)、Li2Oが8.7〜11.9(mol%)、TeO2が52.3〜72.0(mol%)、Bi2O3が0〜27.4(mol%)、CuOが1.0〜1.4(mol%)の範囲では、Bi2O3量が0〜25.1(mol%)のNo.55〜57で非LDE、LDE共にFF値が76〜78、接着強度が3.2〜3.4(N)の良好な結果が得られた。これに対して、Bi2O3量が27.4(mol%)のNo.58では非LDE、LDE共にFF値が75以下に留まり不十分な結果であった。
また、No.59〜61は、CuO量を検討した評価結果である。SiO2が13.2〜14.2(mol%)、Li2Oが10.7〜11.5(mol%)、TeO2が64.5〜69.8(mol%)、Bi2O3が4.1〜4.4(mol%)、CuOが0〜7.5(mol%)の範囲では、CuO量が0〜4.8(mol%)のNo.59、60で非LDE、LDE共にFF値が77〜78、接着強度が3.2〜3.4(N)の良好な結果が得られた。これに対して、CuO量が7.5(mol%)のNo.61では非LDE、LDE共にFF値が75以下に留まり不十分な結果であった。
また、No.62〜69は、ZnO、MgO、Fe2O3、NiOの何れかを含むガラスでそれらの許容範囲(上限)を検討した評価結果である。SiO2が12.9〜13.4(mol%)、Li2Oが10.5〜10.8(mol%)、TeO2が63.2〜65.6(mol%)、Bi2O3が4.0〜4.2(mol%)、CuOが1.2〜1.3(mol%)の範囲では、ZnO量が5.9(mol%)のNo.62、MgO量が5.9(mol%)のNo.64、Fe2O3量が4.8(mol%)のNo.66、NiO量が4.8(mol%)のNo.68で、非LDE、LDE共にFF値が77〜78、接着強度が3.2〜3.4(N)の良好な結果が得られた。これに対して、ZnO量が8.3(mol%)のNo.63、MgO量が8.3(mol%)のNo.65、Fe2O3量が7.4(mol%)のNo.67、NiO量が7.4(mol%)のNo.69では、非LDE、LDE共にFF値が75以下に留まり不十分な結果であった。
上記No.45〜69の評価結果によれば、SiO2が0〜19.6(mol%)、Li2Oが0.4〜18.0(mol%)、TeO2が54.0〜80.1(mol%)、Bi2O3が0〜25.1(mol%)、CuOが0〜4.8(mol%)、ZnOが5.9(mol%)以下、MgO量が5.9(mol%)以下、Fe2O3量が4.8(mol%)以下、NiO量が4.8(mol%)以下の組成のガラスを用いることにより、FF値が76以上で接着強度が3.1(N)以上と優れた太陽電池が得られることが明らかである。
以上の評価結果によれば、無鉛テルルガラスに鉛含有添加物および高融点金属含有添加物を添加し、或いは高融点金属を含む無鉛テルルガラスに鉛含有添加物を添加した導電性ペーストは、特に組成が限定されることなく、種々の組成のガラスに対して、鉛含有添加物および高融点金属含有添加物の添加によってFF値の改善効果が得られることが確かめられた。
下記の表3は、ガラスフリットに鉛含有添加物および高融点金属含有添加物を担持する複合化プロセスと添加物の種類を種々変更してペーストを調製し、受光面電極を形成して、特性を評価した結果をまとめたものである。この評価においては、ガラスは全て前記表1の実施例No.2等と同一のものを用い、鉛含有添加物、高融点金属含有添加物の対ガラス重量比は全て一定とした。また、FF値および接着強度の判断基準は、前記表1、表2に示した評価と同一である。
Figure 2015230995
上記表3のNo.P01〜P06は、高融点金属含有添加物としてWO3を用いたものである。ペーストを調製するに際して、鉛含有添加物および高融点金属含有添加物を混合しただけで複合化プロセスを経ていないNo.P01でも、非LDE、LDE共にFF値が77以上の良好な結果が得られた。なお、この表3に示す評価の範囲では、全て接着強度は2.9(N)以上の良好な結果であった。また、仮焼を350〜500(℃)の範囲で施したNo.P02〜P04およびメカノケミカル法で複合化したNo.P06では、非LDE、LDE共にFF値が77〜79の極めて高い結果が得られたが、仮焼温度を550(℃)としたNo.P05では、非LDEではFF値が76であったものの、LDEではFF値が75に留まり不十分な結果となった。仮焼温度が高すぎるため、「複合後の析出物」の欄に示すように化合物が生成したためであると考えられる。
また、表3のNo.P07〜P11は、高融点金属含有添加物としてMoO3を用いたものである。ペーストを調製するに際して、鉛含有添加物および高融点金属含有添加物を混合しただけで複合化プロセスを経ていないNo.P07でも、非LDE、LDE共にFF値が77以上の良好な結果が得られた。また、仮焼を400〜500(℃)の範囲で施したNo.P08、P09、およびメカノケミカル法で複合化したNo.P11では、非LDE、LDE共にFF値が78〜79の極めて高い結果が得られたが、仮焼温度を550(℃)としたNo.P10では、非LDEではFF値が76であったものの、LDEではFF値が74に留まり不十分な結果となった。これも仮焼温度が高すぎるため、「複合後の析出物」の欄に示すように化合物が生成したためであると考えられる。
また、表3のNo.P12〜P16は、高融点金属含有添加物としてCr2O3を用いたものである。ペーストを調製するに際して、鉛含有添加物および高融点金属含有添加物を混合しただけで複合化プロセスを経ていないNo.P12でも、非LDE、LDE共にFF値が77以上の良好な結果が得られた。また、仮焼を400〜500(℃)の範囲で施したNo.P13、P14、およびメカノケミカル法で複合化したNo.P16では、非LDE、LDE共にFF値が77〜79の極めて高い結果が得られたが、仮焼温度を550(℃)としたNo.P15では、非LDEではFF値が76であったものの、LDEではFF値が74に留まり不十分な結果となった。これも仮焼温度が高すぎるため、「複合後の析出物」の欄に示すように化合物が生成したためであると考えられる。
また、表3のNo.P17〜P24は、高融点金属含有添加物として上記とは異なる他の化合物、すなわち、(NH4)10W12O4、H2WO4、(NH4)2MoO4、Cr3(OH)2(OCOCH3)7を用いたものである。このような化合物で添加しても、混合のみ、仮焼、メカノケミカルの何れの方法を用いても、非LDE、LDE共にFF値が77〜79の良好な結果が得られる。
また、No.P25〜27は、鉛含有添加物の種類を、Pb(NO3)2、PbCO3、Pbに変更したものである。仮焼のみを評価したが、これらの場合も、非LDE、LDE共にFF値で78〜79の極めて良好な結果が得られている。
また、No.P28〜30は、ガラスフリットに高融点金属酸化物を混合して仮焼を施して担持した後、ペースト調製の際にPb3O4を添加したものである。これらの場合も、非LDE、LDE共にFF値で77〜78の極めて良好な結果が得られている。
以上の評価結果によれば、複合化のプロセスは、特に限定されないが、仮焼する場合には、ガラスと鉛および高融点金属との反応が生じないように、500(℃)以下に留めることが好ましいことが判る。
下記の表4は、種々のガラスに対して、添加物の有無および種類と、これを用いたペーストで受光面電極を形成した場合における従来構造の太陽電池(非LDE)における出力、前述した実施例と同様なLDE基板を用いた太陽電池での出力、接着強度を評価した結果をまとめたものである。この評価は、表4に示したガラスフリットおよび添加物の組合せの各々について、ガラス組成やペースト組成等を種々変更して、各組合せにおいて、最適と考えられる条件で特性を評価したもので、表4には、最適条件の評価結果のみを示す。上記従来構造の太陽電池は、受光面側の表面燐濃度が高くn層が厚い基板を用いる他は前述した太陽電池10と同様に製造した。また、LDE基板は、シート抵抗が110〜120(Ω/□)のものを使用した。このシート抵抗値は、市販の四探針法シート抵抗測定器で測定した値である。また、表4において、「ガラスフリット」欄の「担持」は、前述したように仮焼処理を施してガラスフリットにPbOやWO等を担持したもの、「添加物」欄は、ペースト調製の際にガラスとは別に添加したものである。出力および接着強度の測定方法および判断基準は表1に示したものと同様であるが、出力評価結果は、FF値78以上を「○」、76〜77を「△」、75以下を「×」とした。
Figure 2015230995
上記の表4に示されるように、Pb-Teガラスを用い、高融点金属を含まない構成では、LDE出力が得られず(「×」評価)、ZnOの添加は接着強度の改善に留まる。また、Pb-Teガラスに高融点金属含有添加物を添加し、或いは高融点金属を含むPb-Teガラスを用いた構成では、LDE出力は得られるが、接着強度が不十分(「×」評価)になる。また、TeガラスにPbOを担持し或いは鉛含有添加物を添加した構成でも、高融点金属を含まない場合には、LDE出力が得られない。これに対して、TeガラスにPbOを担持し或いは鉛含有添加物を添加すると共に、WO、CrO、MoOの何れかを担持し或いは高融点金属含有添加物を添加した構成や、高融点金属を含むTeガラスにPbOを担持した構成では、LDE出力および接着強度が共に向上することが判った。特に、高融点金属を含むTeガラスにPbOを担持した場合と、TeガラスにPbOおよび高融点金属を担持した場合には、LDE出力が極めて高く(「○」評価)、更に、TeガラスにPbOおよび高融点金属を担持した場合は、接着強度も極めて高い(「○」評価)の結果が得られた。
上記の結果によれば、LDE出力向上のためには、Teガラスに高融点金属を担持したもの、または、高融点金属を含むTeガラスを用いると共に、Pbを担持することが好ましく、接着強度向上のためには、高融点金属を担持したもの、または、高融点金属含有添加物を添加したものが好ましい。したがって、評価した範囲では、TeガラスにPbOおよび高融点金属を担持したものが最善と思われる。なお、上記表4で出力評価が○のものと同じ組合せでも、前記表1、表3においてFF値が76〜77に留まるものがあるが、前述したように、表4に示した結果は、各組合せにおける最適条件によるものである。表1,表3でFF値が低いものは、ガラス組成の最適化ができていない等の理由による。
上述したように、本実施例によれば、受光面電極28の形成に用いられる電極用ペーストは、前述したような種々の組成の無鉛テルルガラスを用いて、これに種々の鉛含有添加物および高融点金属含有添加物を混合し、或いは、高融点金属を含む無鉛テルルガラスに鉛含有添加物を混合し、好ましくは仮焼やメカノケミカル法等の適宜の方法で担持させることから、ファイヤースルーで受光面電極28を形成すると、適度に凹凸を有する浸食面が得られるので、電気的特性および接着強度を共に満足できる太陽電池10が得られる。しかも、上記のようにペーストが構成される結果として、受光面電極28中には高融点金属および鉛が含まれることから再結合が抑制されるため、LDE基板であっても高出力が得られる利点がある。
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
10:太陽電池、12:太陽電池モジュール、14:封止材、16:表面ガラス、18:保護フィルム、20:シリコン基板、22:n層、24:p+層、26:反射防止膜、28:受光面電極、30:裏面電極、32:受光面、34:全面電極、36:帯状電極、38:半田リボン

Claims (16)

  1. 導電性粉末と、無鉛テルルガラスから成るガラスフリットと、ベヒクルとを含み、シリコン基板の一面上に塗布して焼成処理を施すことにより太陽電池の受光面電極をファイヤースルーによって形成するために用いられる太陽電池受光面電極用ペーストであって、
    タングステン、モリブデン、およびクロムのうちの少なくとも1種の高融点金属と、
    鉛含有添加物と
    を、含むことを特徴とする太陽電池受光面電極用ペースト。
  2. 前記高融点金属は、それらのうちの少なくとも1種を含む高融点金属含有添加物として前記無鉛テルルガラスとは別に添加されたものである請求項1の太陽電池受光面電極用ペースト。
  3. 前記高融点金属含有添加物は、一部または全部が前記ガラスフリットに担持されているものである請求項2の太陽電池受光面電極用ペースト。
  4. 前記鉛含有添加物は、一部または全部が前記ガラスフリットに担持されているものである請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の太陽電池受光面電極用ペースト。
  5. 前記鉛含有添加物は、前記ガラスフリットと混合して酸化雰囲気中において500(℃)以下の温度で仮焼処理を施すことによりそのガラスフリットに担持されたものである請求項4の太陽電池受光面電極用ペースト。
  6. 前記鉛含有添加物は、一部が酸化物として残存するものである請求項5の太陽電池受光面電極用ペースト。
  7. 前記鉛含有添加物は、酸化物換算したPbO/ガラスフリット重量比で0.5〜1.0の範囲内の割合で含まれるものである請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の太陽電池受光面電極用ペースト。
  8. 前記高融点金属は、それぞれ酸化物換算した値で、ガラスフリットのWO3、MoO、Cr2O3以外の成分の合計質量Gに対して、(WO3/G)+2(MoO3/G)+4Cr2O3/Gが0.04〜0.40の範囲内の割合で少なくとも1種が含まれるものである請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の太陽電池受光面電極用ペースト。
  9. 前記無鉛テルルガラスは、酸化物換算で54〜80(mol%)のTeO2と、0.4〜18(mol%)のLi2Oとを含むものである請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の太陽電池受光面電極用ペースト。
  10. 前記無鉛テルルガラスは、酸化物換算で25(mol%)以下のBi2O3と、5(mol%)以下のCuOと、20(mol%)以下のSiO2とを含むものである請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の太陽電池受光面電極用ペースト。
  11. タングステン、モリブデン、およびクロムのうちの少なくとも1種の高融点金属を含む無鉛テルルガラスから成るガラスフリットに鉛含有添加物の一部または全部を担持させる鉛含有添加物担持工程と、
    導電性粉末と、前記ガラスフリットと、前記鉛含有添加物と、ベヒクルとを混合する混合工程と
    を、含むことを特徴とする太陽電池受光面電極用ペーストの製造方法。
  12. 前記鉛含有添加物担持工程は、前記ガラスフリットと前記鉛含有添加物の粉末とを混合して酸化雰囲気中において500(℃)以下の温度で仮焼処理を施すものである請求項11の太陽電池受光面電極用ペーストの製造方法。
  13. 無鉛テルルガラスから成るガラスフリットにタングステン、モリブデン、およびクロムのうちの少なくとも1種の高融点金属含有添加物の一部または全部を担持させる高融点金属含有添加物担持工程と、
    導電性粉末と、前記ガラスフリットと、前記高融点金属含有添加物と、鉛含有添加物と、ベヒクルとを混合する混合工程と
    を、含むことを特徴とする太陽電池受光面電極用ペーストの製造方法。
  14. 前記鉛含有添加物の一部または全部を前記ガラスフリットに担持させる鉛含有添加物担持工程を含むものである請求項13の太陽電池受光面電極用ペーストの製造方法。
  15. 前記鉛含有添加物担持工程は、前記ガラスフリットと前記鉛含有添加物の粉末とを混合して酸化雰囲気中において500(℃)以下の温度で仮焼処理を施すものである請求項14の太陽電池受光面電極用ペーストの製造方法。
  16. p型シリコン基板の一面に形成されたn+層上に反射防止膜を備え且つファイヤースルーによって受光面電極が設けられた太陽電池セルであって、
    前記受光面電極は、前記請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の太陽電池受光面電極用ペーストから生成されたことを特徴とする太陽電池セル。
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