ところで、環境問題への懸念等から鉛を含まない無鉛ガラスが種々の分野で用いられるようになってきているが、上記用途においては、未だ鉛ガラスが主流である。受光面電極をファイヤースルー法で形成するための導電性ペーストに一般的な無鉛ガラスを用いると、焼成温度が鉛ガラスを用いた場合よりも高くなること、十分なオーミックコンタクトが得られないので電気的特性が劣ること、電極の長期信頼性が劣ることが、その理由である。
また、太陽電池には、耐候性等の屋外使用に耐え得る耐久性や信頼性が要求されるため、一般に樹脂に封止してモジュール化されるが、上記電極の長期信頼性は、このようなモジュール化した態様で特に問題となる。上記封止樹脂としては、透明性や柔軟性等に優れたエチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)が広く用いられている(例えば、特許文献2を参照。)。しかしながら、このような太陽電池モジュールは、樹脂に封止しているにも拘わらず、必ずしも十分な耐久性や信頼性を有しておらず、長期間の使用によってFF値が低下する場合があった。水蒸気はEVAを容易に透過する。また、EVAを太陽電池にラミネートする際には、十分な耐熱性を付与するために加熱して架橋させるが、その際に生ずるカルボン酸がEVAを透過した水蒸気と反応して酸性雰囲気を生ずる。そのため、電極とシリコン基板との界面に存在するガラスの化学的耐久性(特に耐酸性や耐水蒸気性)が不足すると、これが劣化させられ延いては電極が劣化させられて、太陽電池の特性が低下するものと考えられる(例えば、特許文献3を参照。)。
このような問題点に対して、無鉛ガラスを用いた場合の焼成温度やファイヤースルー性を改善するための提案が従来から種々為されてきているが、未だ一層の改善が望まれる状況である。また、電極の長期信頼性についての改善提案は少なく、また、内容的にも不十分であった。
例えば、Bi2O3、B2O3、SiO2を主成分とするBi系ガラスから成る無鉛ガラスフリットを用いた導電性組成物において、ZnO等のZn含有添加剤を添加することで電気的性能を高めることが提案されている(前記特許文献1参照。)。上記ガラスフリットは、SiO2を0.1〜8(wt%)、Al2O3を0〜4(wt%)、B2O3を8〜25(wt%)、CaOを0〜1(wt%)、ZnOを0〜42(wt%)、Na2Oを0〜4(wt%)、Li2Oを0〜3.5(wt%)、Bi2O3を28〜85(wt%)、Ag2Oを0〜3(wt%)、CeO2を0〜4.5(wt%)、SnO2を0〜3.5(wt%)、BiF3を0〜15(wt%)から成り、この導電性組成物では、Zn含有添加剤の添加量が全組成物に対して10(wt%)までの範囲で、また、その平均粒径は0.1(μm)未満が好ましいとされている。電極の接着力等の面ではZn含有添加剤量が少ない方が好ましく、少量で効果を得るためには微細なものを用いることが好ましいが、少量且つ微細な添加物は分散性が悪く取扱いが困難である。
また、ZnOが5〜10(wt%)、Bi2O3が70〜84(wt%)、B2O3+SiO2が6(wt%)以上のガラスフリットを用いた太陽電池素子用銀ペーストが提案されている(前記特許文献4参照。)。この銀ペーストは、基板との接着強度と長期信頼性を高めることを目的とするものであるが、主成分が上記組成の範囲内にあるガラスフリットを用いても、必ずしも接着強度が得られず、しかも、十分な電気的特性が得られなかった。また、この結果、電極の長期信頼性も不十分であった。
また、太陽電池電極用途で無鉛ガラスを用いるものとしては、Al,Cu,Au,Ag,Pd,Ptの何れか、またはそれらの合金、或いはそれらの混合物の金属粒子と、無鉛ガラスと、有機媒体とを含む厚膜導電性組成物が提案されている(前記特許文献5参照。)。上記無鉛ガラスとしては、SiO2を0.5〜35(wt%)、B2O3を1〜15(wt%)、Bi2O3を55〜90(wt%)、ZnOを0〜15(wt%)、Al2O3を0〜5(wt%)の範囲内の割合で含む組成を有するものが示されている。この導電性組成物は、裏面電極をAlで構成した場合にはリードのはんだ付けができない一方、Ag或いはAg/Alでバスバーを形成すると裏面電界を損なうので、これらの問題が生じない電極を形成することを目的とするものである。しかしながら、裏面電極の改良を目的とするもので、受光面電極に用いた場合のファイヤースルー性や電気的特性等は何ら考慮されておらず、上記組成では例えば軟化点が高過ぎる問題がある。
また、導電性金属成分を85〜99(wt%)、ガラス成分を1〜15(wt%)含み、そのガラス成分がBi2O3を5〜85(mol%)、SiO2を1〜70(mol%)含む受光面電極が提案されている(前記特許文献6参照。)。この受光面電極は、無鉛ガラスを用いた場合にも低い焼成温度で十分なオーミックコンタクトを得ることを目的としたものであって、上記ガラス成分は、V2O5を0.1〜30(mol%)、Al,B等の三価の酸化物を1〜20(mol%)、Ti,Zr等の四価の酸化物を1〜15(mol%)、P,Nb,Sb等の五価の酸化物を0.1〜20(mol%)、アルカリ金属酸化物を0.1〜25(mol%)、アルカリ土類金属酸化物を0.1〜20(mol%)、ZnOを0.1〜25(mol%)、Ag2Oを0.1〜12(mol%)の範囲内の割合で含むことが好ましいとされている。しかしながら、特許請求の範囲に記載されている上記ガラス組成は著しく広範で、ファイヤースルーによる受光面電極形成に適切な組成を何ら特定したものではない。一方、実施例には具体的なガラス組成が何点か記載されているが、何れのガラスを用いても、電気的特性が不十分であるか、軟化点が高過ぎて受光面電極に用い得ないものであった。
また、ガラスフリットが酸化鉛を実質的に含まず、そのガラスフリットが、B2O3を9.0〜20.0(wt%)、SiO2を22.0〜32.0(wt%)、BaOを35.0〜45.0(wt%)、ZnOを0.1〜30.0(wt%)、Al2O3を0.1〜12.0(wt%)、Na2Oを0.1〜15.0(wt%)含み、600〜670(℃)で焼成する導電ペーストが提案されている(前記特許文献7参照。)。また、上記ガラスフリットは、ZrO2を0.01〜10(wt%)、TiO2を0.01〜6(wt%)含むことが好ましいことが示されている。しかし、上記導電ペーストは、電子部品の外部電極用導電ペーストである。一般に、太陽電池の焼成は700〜800(℃)で行われることから、600〜670(℃)では十分な電気特性が得られず、ファイヤースルーによる受光面電極形成に用い得るものではない。
また、銀粉末と、塩基度が0.3〜1.0でガラス転移点400〜550(℃)のB2O3,ZnO及び20〜50(mol%)のアルカリ土類金属酸化物を含んだ無鉛・無ビスマスのガラス粉末と、有機物からなるビヒクルとを含み、ファイヤースルーに用いることを目的とした導電性組成物が提案されている(前記特許文献8参照。)。上記ガラス粉末は、B2O3を20〜70(mol%)、ZnOを0.1〜60(mol%)とすることが好ましく、また、Fe2O3、TiO2、SiO2、Al2O3、ZrO2、NiOを5(mol%)以下の範囲で含むことが好ましいことが示されている。この導電性組成物は、電気的性能と基板との密着性を確保することを目的とするものであるが、環境への負荷を考慮して重金属であるビスマスを含まない組成とした結果、ファイヤースルー性が悪く、良好なオーミックコンタクトが得られないため、十分な電気特性が得られない。
また、太陽電池の電極等を形成するための導電性ペーストに含まれるガラス組成物を、PbOとSiO2を含まず、Bi2O3を79〜99.9(wt%)、B2O3を0.1〜5.2(wt%)、ZnOを0〜11(wt%)含有し、かつB2O3/Bi2O3モル比を0.007〜0.375としたものが提案されている(前記特許文献9参照。)。また、このガラス中には、BaO、MgO、CaO、SrOの少なくとも一種を0〜10(wt%)、Al2O3を0〜10(wt%)、CeO2、CuO、Fe2O3の少なくとも一種を0〜5(wt%)、Li2O、Na2O、K2Oの少なくとも一種を0〜2(wt%)含み得ることも示されている。このガラスは、加熱時間が短い場合にも良好に流動することを目的としたものであるが、ビスマス含有率が極めて高いため、反射防止膜の侵食が強くなりすぎ、十分な電気特性が得られない。また、SiO2を含まないことから、ガラスの化学的耐久性が不十分になって、Ag電極の耐湿性も得られない問題がある。
また、銀粉末と、Bi2O3,B2O3,ZnO及び10〜50(mol%)のアルカリ土類金属酸化物を含む無鉛ガラス粉末と、有機物からなるビヒクルとを含み、ファイヤースルーに用いることを目的とした導電性組成物が提案されている(前記特許文献10参照。)。上記ガラス粉末は、Bi2O3を10〜65(mol%)、B2O3を20〜50(mol%)、ZnOを0.1〜50(mol%)とすることが好ましく、また、SiO2、Al2O3、ZrO2、NiOを2(mol%)以下の範囲で含むことが好ましいことが示されている。この導電性組成物は、良好なファイヤースルー性を得ることを目的とするものであるが、アルカリ土類金属酸化物が多いため反射防止膜の侵食が強くなりすぎるので、十分な電気特性が得られない。また、SiO2、Al2O3、ZrO2が少ないため、ガラスの化学的耐久性が不十分になって、Ag電極の耐湿性も得られない問題もある。
また、銀粉末を70〜95(wt%)と、塩基度が0.16〜0.44でガラス転移点が300〜450(℃)のPbOを含有しないガラス粉末を銀粉末100(wt%)に対して1〜10(wt%)と、有機物から成るビヒクルとを含み、ファイヤースルーに用いることを目的とした導電性組成物が提案されている(前記特許文献11参照。)。上記ガラス粉末はBi2O3−B2O3の2元系ガラスが好ましく、TiO2、SiO2、Al2O3、ZrO2及びNiOを0〜5(mol%)の範囲で含むことが好ましいことも示されている。この導電性組成物は、電気的性能と基板との密着性を確保することを目的とするものであるが、SiO2、Al2O3、ZrO2が少ないため、ガラスの化学的耐久性が不十分になって、Ag電極の耐湿性も得られない問題もある。
また、銀等の導電性粒子、ガラスフリット、有機バインダおよび溶剤を含む太陽電池の電極形成用導電性ペーストにおいて、ガラスフリットまたはペースト添加物がアルカリ土類金属(Mg、Ca、SrおよびBaの少なくとも一つ)を含み、導電性ペースト中のPb含有量を0.1(wt%)以下としたものが提案されている(前記特許文献12参照。)。ペースト中のアルカリ土類金属の含有量は、導電性粒子100(wt%)に対し0.1〜10(wt%)が好ましく、また、ガラスフリット中に含まれる場合は、ガラスフリット全体の重量に対して5〜55(wt%)であることが示されている。この導電性ペーストは、電池特性とはんだ強度とを得ようとするものであるが、アルカリ土類金属が多いため、反射防止膜の侵食が強くなりすぎ、十分な電気特性を得ることが困難である。
また、Ag粉末と、有機ビヒクルと、B2O3/SiO2モル比が0.3以下で軟化点が570〜760(℃)のBi2O3が0(mol%)或いは20.0(mol%)以下のガラスフリットとを含有する太陽電池の受光面電極用として用いられる導電性ペーストが提案されている(前記特許文献13参照。)。上記ガラスフリットは、Al2O3を15(mol%)以下、TiO2を0〜10(mol%)以下、CuOを0〜15(mol%)以下の割合で含むことが好ましく、上記導電ペーストはガラスフリットとは別にZnO、TiO2、ZrO2を含むことが好ましいことも示されている。この導電性ペーストは、低温焼成しても高い接着強度が得られ、接触抵抗も低い受光面電極を得ることを目的とするものであるが、軟化点が高すぎるため、良好なオーミックコンタクトを得ることが困難で、十分な電気特性が得られない。Al、Ti、Siが多いためと考えられる。
また、Ag粒子と、有機ビヒクルと、13〜17(wt%)のSiO2、0〜6(wt%)のB2O3、65〜75(wt%)のBi2O3、1〜5(wt%)のAl2O3、1〜3(wt%)のTiO2、および0.5〜2(wt%)のCuOを含む無鉛ガラスフリットとを含有するAg電極ペーストが提案されている(前記特許文献14参照。)。このAg電極ペーストは、ライン抵抗の低い受光面電極を形成するためのものであるが、SiO2が多すぎることから反射防止膜の侵食が弱くなりすぎるため、十分な電気特性が得られない。
また、導電性銀粉末と、1つまたは複数のガラスフリットと、Mg含有添加剤とを、有機媒体に分散させた厚膜組成物が提案されている(前記特許文献15、16参照。)。ガラスフリットは、少なくとも1つを鉛フリーとすることができ(特許文献15)、Mg含有添加剤は全組成物の0.1〜10(wt%)が好ましく、厚膜組成物はZn、Gd、Ce、Zr、Ti、Mn、Sn、Ru、Co、Fe、CuおよびCrを含み得ること、ガラスフリットは8〜25(wt%)のBi2O3、B2O3を含むことが好ましく、SiO2、P2O5、GeO2、およびV2O5を含み得ることも示されている。この厚膜組成物は、太陽電池電極の電気的性能を改善することを目的とするものであるが、Bi2O3量が少ないため、反射防止膜の侵食が弱くなりすぎ、十分な電気特性が得られない。
上述したように、様々な無鉛ガラス系の導電性ペースト組成物が提案されているが、何れも、侵食制御が困難である、化学的耐久性が不十分である、接触抵抗が高い等の不都合があり、長期信頼性も不十分であった。特に、上述したようなBi系の無鉛ガラスフリットが用いられる場合は、長期信頼性の確保が一層困難になる傾向がある。電極形成のための焼成時などにガラス中のBi2O3が反射防止膜や基板を酸化して自身は還元され、これにより析出したBiが水蒸気や発生したカルボン酸と反応するためであると考えられている。
本発明は、以上の事情を背景として為されたもので、その目的は、電気的特性に優れ且つ長期信頼性を有する電極を形成し得る太陽電池用無鉛導電性ペースト組成物を提供することにある。
なお、本願出願人は、導電性粉末と、ガラスフリットと、ベヒクルとを含み、そのガラスフリットが酸化物換算で全ガラス組成物に対して、Bi2O3を10〜29(mol%)、ZnOを15〜30(mol%)、SiO2を0〜20(mol%)、B2O3を20〜33(mol%)、Li2O、Na2O、K2Oの合計量を8〜21(mol%)の範囲内の割合で含む少なくとも一種の無鉛ガラスから成る太陽電池電極用無鉛導電性組成物を提案した(前記特許文献17参照。)。ガラスフリットはペースト全体に対して2〜6(wt%)が好ましく、導電性粉末は銀粉末が好ましい。また、ガラスフリットは、Al2O3、P2O5、アルカリ土類金属酸化物、その他化合物を20(mol%)以下の範囲で含むことができる。本願は、この組成物に比較しても一層の長期信頼性を有するペースト組成物を提案するものである。
前記目的を達成するため、本発明の要旨とするところは、導電性粉末と、ガラスフリットと、ベヒクルとを含む太陽電池用無鉛導電性ペースト組成物であって、前記ガラスフリットは酸化物換算で全ガラス組成物に対して、10〜40(mol%)のBi2O3と、13〜35(mol%)のZnOと、5〜36(mol%)のB2O3と、4〜30(mol%)のSiO2および3〜12(mol%)のAl2O3の少なくとも一方と、酸化剤とを含む無鉛ガラスから成り、前記酸化剤はCeO 2 、Ag 2 O、MnO 2 のうちから選ばれる少なくとも一種であることにある。
このようにすれば、太陽電池用無鉛導電性ペースト組成物は、これを構成するガラスフリットが10〜40(mol%)のBi2O3と、13〜35(mol%)のZnOと、5〜36(mol%)のB2O3とを含むBi‐B‐Zn系無鉛ガラスであって、4〜30(mol%)のSiO2および3〜12(mol%)のAl2O3の少なくとも一方と、酸化剤とを含むものから成るため、これを用いて太陽電池の電極を形成すると、無鉛でありながら電気的特性、耐湿性、耐酸性に優れ、長期信頼性の高い電極が得られる。また、pn接合への電極材料の侵入も容易に制御できる。耐湿性や耐酸性に優れ、高い長期信頼性が得られるのは、ガラスフリット中に含まれる酸化剤が還元されることによってBi2O3の還元およびBiの析出が抑制され、延いては水蒸気や発生したカルボン酸が析出したBiと反応して電極が劣化することが抑制されると共に、ガラスの安定性を向上させ、化学的耐久性を高めるSiO2およびAl2O3の少なくとも一方が十分に含まれるためであると考えられる。また、前記酸化剤はCeO 2 、Ag 2 O、MnO 2 のうちから選ばれる少なくとも一種である。これらのCeO 2 、Ag 2 O、MnO 2 は、Bi 2 O 3 よりも酸化力が強く、Bi 2 O 3 よりも還元されやすいため、酸化剤を含む組成とすることによるBiの析出抑制、Biの反応抑制効果が一層高められ、長期信頼性が一層高められる。
また、CeO 2 、Ag 2 O、MnO 2 はBi2O3よりも酸化還元電位が大きいことから、酸化剤として好適である。Biの酸化還元電位は+0.32(V)程度(Bi3++3e−→Bi)であり、Biよりも酸化還元電位が大きい金属としては、Cu(+0.337(V);Cu2++2e−→Cu)、Ag(+0.799(V);Ag++e−→Ag)、Mn(+1.23(V);MnO2+4H++2e−→Mn2++2H2O)、Ce(+1.70(V);Ce4++e−→Ce3+)等が挙げられる。これらのうち、Cuはシリコン中に拡散し易いため、太陽電池特性を悪化させ得る。そのため、Ce、Ag、Mnが特に好ましい。
また、好適には、前記酸化剤は前記ガラスフリット中に0.1〜7.0(mol%)の範囲で含まれる。酸化剤を含む組成とすることによる還元抑制効果を十分に得るためには、その含有量を0.1(mol%)以上とすることが好ましい。また、過剰に含まれるとオーミックコンタクトの確保が困難になり延いてはFF値の初期値が低くなるため、7.0(mol%)以下に留めることが好ましい。また、この観点から、5.0(mol%)以下に留めることが一層好ましく、3.0(mol%)以下に留めることが更に好ましい。
また、好適には、前記ガラスフリットは前記必須成分に加えて酸化物換算で全ガラス組成物に対して、合計で8〜19(mol%)のLi2O、Na2O、K2Oと、0〜8(mol%)のTiO2と、0〜6(mol%)のZrO2と、0〜8(mol%)のP2O5および0〜4(mol%)のSb2O3を合計で0〜8(mol%)とを、それぞれ示した範囲内の割合で含むものである。本願発明の適用対象となるガラスフリットは、このような組成を有する無鉛ガラスが好ましい。
上記ガラスフリット組成において、Bi2O3は、ガラスの軟化点を低下させる成分で、低温焼成を可能にすると共に、ファイヤースルー性を良好にするために必須である。Bi2O3量を10(mol%)以上とすれば、軟化点が十分に低くなって、反射防止膜を侵食し易くなり、良好なオーミックコンタクトが得られ易くなると共に、ガラスの化学的耐久性も高められる。良好なオーミックコンタクトが確保されることで、酸化剤による信頼性向上効果を十分に享受し得る。また、40(mol%)以下にすれば、軟化点が十分に高く保たれて反射防止膜の過剰な侵食を抑制でき、太陽電池の電気的特性を高く保ち得る。可及的に高い電気的特性を得るためには、Bi2O3量が十分に少ない方が好ましく、29(mol%)以下に留めることが一層好ましく24(mol%)以下が特に好ましい。また、軟化点を十分に低くするためには、Bi2O3量が多い方が好ましく、15(mol%)以上が好ましい。
また、B2O3は、ガラス形成酸化物(すなわちガラスの骨格を作る成分)であり、ガラスの軟化点を低くするために必須の成分である。B2O3量を5(mol%)以上とすれば、ガラスの十分な安定性が得られると共に軟化点を十分に低くできるため、反射防止膜の十分な侵食性が得られ、良好なオーミックコンタクトが得られ易い。また、36(mol%)以下にすれば、軟化点が十分に高く保たれるので、侵食が強くなりすぎず、pn接合の破壊が好適に抑制される。B2O3は少なくなるほど軟化点が上昇する一方、多くなるほど侵食性が強くなるので、9(mol%)以上が一層好ましく、29.5(mol%)以下が一層好ましい。また、同様な観点から、12.5(mol%)以上が更に好ましく、29(mol%)以下が更に好ましい。
また、ZnOは、ガラスの軟化点を低下させると共に化学的耐久性を高める必須成分である。ZnO量を13(mol%)以上とすれば、軟化点を十分に低くできると共に、十分な耐久性が得られる。また、35(mol%)以下にすれば、ガラスの結晶化や開放電圧Vocの低下が生じ難く、太陽電池の電気特性が十分に高められる。ZnO量が少なくなるほど軟化点が上昇すると共に耐久性も低下する一方、多くなるほど結晶化しやすくなるので、16(mol%)以上が一層好ましく、29.5(mol%)以下が一層好ましい。また、同様な観点から25(mol%)以上が更に好ましく、28.5(mol%)以下が更に好ましい。
また、SiO2は、ガラス形成酸化物であり、ガラスの安定性を向上させ、化学的耐久性を高めるために30(mol%)以下の範囲で含まれることが好ましい。SiO2量を30(mol%)以下とすれば、軟化点が十分に低く保たれて反射防止膜の十分な侵食性が得られ、良好なオーミックコンタクトが得られ易い。一層高い安定性を得るためには、4(mol%)以上が好ましい。また、軟化点を低い値に留めるためには26(mol%)以下が好ましく、13(mol%)以下が一層好ましい。
アルカリ金属成分Li2O、Na2O、K2Oは、ガラスの軟化点を低下させる成分であり、合計で8〜19(mol%)の範囲で含まれることが好ましい。アルカリ金属成分の合計量を8(mol%)以上とすれば、軟化点を十分に低くできるため、反射防止膜の十分な侵食性が得られ、延いては良好なオーミックコンタクトが得られ易い。また、19(mol%)以下にすれば、アルカリ金属の溶出による化学的耐久性の低下や反射防止膜の過剰な侵食が好適に抑制され、太陽電池の電気特性が十分に高められる。アルカリ金属成分量が少なくなるほど軟化点が上昇する一方、多くなるほど電気特性が低下するので、合計量は14(mol%)以上が一層好ましく、17(mol%)以下が一層好ましい。また、同様な観点から、アルカリ金属量の合計は15(mol%)以上が更に好ましい。
また、Al2O3は、ガラスの安定性を向上させ、化学的耐久性を高めるため、12(mol%)以下の範囲で含まれることが好ましい。一層高い安定性を得るためには、3(mol%)以上が好ましい。Al2O3量を10(mol%)以下とすれば、軟化点が十分に低く保たれて開放電圧Vocが十分に高くなる。Al2O3量は7(mol%)以下が一層好ましい。
また、TiO2は、ガラスの化学的耐久性を高めると共に、FF値を高める成分であり、8(mol%)以下の範囲で含まれることが好ましい。TiO2量を0.5(mol%)以下とすれば、軟化点を十分に低くできて反射防止膜の十分な侵食性が得られ、良好なオーミックコンタクトが得られる。なお、Ti量が多くなるほどガラスの安定性が高められる反面で良好なオーミックコンタクトが形成され難くなり、延いては良好な特性が得られ難くなるため、Ti量は0.5(mol%)以下が好ましい。
また、ZrO2は、ガラスの化学的耐久性を高めると共に、FF値を高める成分であり、6(mol%)以下の範囲で含まれることが好ましい。ZrO2量を5(mol%)以下とすれば、軟化点が十分に低く保たれて反射防止膜の十分な侵食性が得られ、良好なオーミックコンタクトが得られる。軟化点の上昇を可及的に抑制して一層高い特性を得るためには、0.5(mol%)以下に留めることが好ましい。
また、P2O5およびSb2O3は、n層に対するドナー元素であって、必須成分ではないが、受光面電極のオーミックコンタクトを容易に確保するために含まれていることが好ましい。P2O5は8(mol%)を超えると、Sb2O3は4(mol%)を超えると、何れもガラスが溶けにくくなると共にデッドレイヤー(すなわち再結合速度の大きい層)が生じ易くなるので、それぞれ8(mol%)以下、4(mol%)以下、合計で8(mol%)以下に留めることが好ましい。また、上記観点から、P2O5は2(mol%)以下とすることが一層好ましく、Sb2O3は1(mol%)以下とすることが一層好ましい。また、合計量は、4(mol%)以下に留めることが一層好ましく、2(mol%)以下に留めることが更に好ましい。
なお、オーミックコンタクトを容易に確保するためには、ドナー元素を高濃度で固溶させることが望ましい。シャローエミッタを構成する高シート抵抗のセルでは、例えばSi3N4から成る反射防止膜の厚さ寸法を80(nm)程度として、電極による侵食量を80〜90(nm)の範囲内、すなわち、10(nm)の精度で制御することが望まれる。しかしながら、このような制御は極めて困難であり、僅かに侵食過剰となった状態に制御せざるを得ない。そのため、侵食されたn層に対してドナー元素を補うことで、その侵食過剰に起因する出力低下を抑制する。このような条件でオーミックコンタクトを確保するためには、ドナー元素の濃度を1019(個/cm3)以上、好ましくは1020(個/cm3)以上にすることが望ましいが、Li等のガラス成分以外でこのような高濃度を得ることのできる元素は、As、P、Sbの他に見いだされていない。これらのうち、Asは毒性が強いことから開放系で操作されるガラス製造では避けることが望ましい。したがって、オーミックコンタクトを容易に確保するために添加する元素としては、PおよびSbに限られる。
なお、シャローエミッタは、受光面側に位置するn層を薄くすることによって表面再結合速度を低下させ、より多くの電流を取り出せるようにしたものである。シャローエミッタ化すると、特に400(nm)付近の短波長側も発電に寄与するようになるため、太陽電池の効率向上の面では理想的な解と考えられている。シャローエミッタは受光面側のn層厚みが70〜100(nm)と、従来のシリコン太陽電池セルの100〜200(nm)に比較して更に薄くされたもので、受光により発生した電気のうちpn接合に達する前に熱に変わって有効に利用できなかった部分が減じられるので、短絡電流が増大し、延いては発電効率が高められる利点がある。
しかしながら、シャローエミッタでは、セルを高シート抵抗にする必要があるため表面近傍のドナー元素(例えば燐)濃度が低下し或いはpn接合が浅くなる。表面近傍のドナー元素濃度が低下するとAg-Si間のバリア障壁が増加し、受光面電極のオーミックコンタクトの確保が困難になる。また、pn接合が浅くなるとファイヤースルーで反射防止膜を十分に破り且つpn接合に電極が侵入しないような侵入深さ制御が非常に困難になる。本発明のペースト組成物は、シャローエミッタにも好適に適用されるものであるが、上述したようにドナー元素を含むガラス組成或いはペースト組成とすることが一層好ましい。
なお、上記各成分は、ガラス中に如何なる形態で含まれているか必ずしも特定が困難であるが、これらの割合は何れも酸化物換算した値とした。
また、本発明の導電性組成物を構成する前記ガラスは、その特性を損なわない範囲で他の種々のガラス構成成分や添加物を含み得る。例えば、MgO、CaO、SrO、BaO等のアルカリ土類金属酸化物、ガラス形成酸化物GeO2、V2O5等、その他の化合物が含まれていても差し支えない。これらは多量に含まれていると太陽電池の電気的特性を損なうので、例えば合計20(mol%)以下の範囲で含まれ得る。
また、好適には、前記太陽電池用無鉛導電性ペースト組成物において、前記ガラスフリットは平均粒径が3.0(μm)以下である。このようにすれば、一層印刷性が良好で一層高いFF値が得られる導電性組成物が得られる。なお、例えば平均粒径が0.5(μm)以上であれば、ペースト調合時の分散性に一層優れるので生産性が高められる。
また、好適には、前記太陽電池用無鉛導電性ペースト組成物は、前記ガラスフリットをペースト全体に対して2〜6(wt%)の範囲内の割合で含むものである。ガラスフリット量は、多くなるほど反射防止膜の溶解性が高められてファイヤースルー性が向上するが、その反面で多くなるほど抵抗値が高くなって太陽電池出力が低下する。そのため、十分に高いファイヤースルー性を得るためには、2(wt%)以上とすることが好ましく、一方、十分に高い太陽電池出力を得るためには、6(wt%)以下に留めることが好ましい。
また、好適には、前記導電性粉末は銀粉末である。導電性粉末としては銅粉末やニッケル粉末等も用い得るが、銀粉末が高い導電性が得られるので最も好ましい。
また、好適には、前記太陽電池用無鉛導電性ペースト組成物は、導電性粉末を74〜92重量部の範囲内の割合で、ベヒクルを5〜20重量部の範囲内の割合で、更に有機溶剤を適宜含むものである。このようにすれば、印刷性が良好であり、導電性が高く、半田濡れ良好な電極を作製し得る導電性組成物が得られる。銀粉末が過少では高い導電性が得られず、過剰では流動性が低くなって印刷性が悪くなる。また、ガラスフリットが過少では基板との密着力が不足し、過剰では焼成後にガラスが電極表面に浮いて半田濡れ性が悪くなる。
なお、前記銀粉末は特に限定されず、球状や鱗片状等、どのような形状の粉末が用いられる場合にも長期信頼性を高めるという本発明の基本的効果を享受し得る。但し、例えば、球状を成すものを用いた場合には、印刷性に優れると共に、塗布膜における銀粉末の充填率が高くなるため、導電性の高い銀が用いられることと相俟って、鱗片状等の他の形状の銀粉末が用いられる場合に比較して、その塗布膜から生成される電極の導電率が高くなる。そのため、必要な導電性を確保したまま線幅を一層細くすることが可能となる。したがって、この導電性組成物を受光面電極に適用して線幅を細くすれば、太陽エネルギーを吸収できる受光面積を一層大きくできるので、変換効率の一層高い太陽電池を得ることができる。
また、本願発明の導電性組成物は、前述したようにファイヤースルーによる電極形成時の銀の拡散を好適に制御し得るものであるから、受光面電極に好適に用い得る。しかしながら、受光面電極に限られず、裏面電極としても用いることができる。例えば、裏面電極は全面を覆うアルミニウム膜とこれに重なる帯状等の電極とから構成されるが、その帯状電極の構成材料としても好適である。
また、前記ガラスフリットは、前記組成範囲でガラス化可能な種々の原料から合成することができ、例えば、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等が挙げられるが、例えば、Bi源としては酸化ビスマスを、Zn源としては酸化亜鉛を、Si源としては二酸化珪素を、B源としては硼酸を、Al源としては酸化アルミニウムを、Li源としては炭酸リチウムを、Na源としては炭酸ナトリウムを、K源としては炭酸カリウムを用い得る。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明の一実施例の導電性組成物が適用されたシリコン系太陽電池10を備えた太陽電池モジュール12の断面構造を模式的に示す図である。図1において、太陽電池モジュール12は、上記太陽電池10と、これを封止する封止材14と、受光面側において封止材14上に設けられた表面ガラス16と、裏面側から太陽電池10および封止材14を保護するために設けられた保護フィルム(すなわちバックシート)18とを備えている。上記封止材14は、例えば、EVAから成るもので、十分な耐候性を有するように、架橋剤、紫外線吸収剤、接着保護剤等が適宜配合されている。また、上記保護フィルム18は、例えば弗素樹脂やポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、或いはPETやEVA等から成る樹脂フィルムを複数枚貼り合わせたもの等から成るもので、高い耐候性や水蒸気バリア性等を備えている。
また、上記の太陽電池10は、例えばp型多結晶半導体であるシリコン基板20と、その上下面にそれぞれ形成されたn層22およびp+層24と、そのn層22上に形成された反射防止膜26および受光面電極28と、そのp+層24上に形成された裏面電極30とを備えている。上記シリコン基板20の厚さ寸法は例えば100〜200(μm)程度である。
上記のn層22およびp+層24は、シリコン基板20の上下面に不純物濃度の高い層を形成することで設けられたもので、その高濃度層の厚さ寸法はn層22が例えば70〜100(nm)程度、p+層24が例えば500(nm)程度である。n層22は、一般的なシリコン系太陽電池では100〜200(nm)程度であるが、本実施例ではそれよりも薄くなっており、シャローエミッタと称される構造を成している。なお、n層22に含まれる不純物は、n型のドーパント、例えば燐(P)で、p+層24に含まれる不純物は、p型のドーパント、例えばアルミニウム(Al)や硼素(B)である。
また、前記の反射防止膜26は、例えば、窒化珪素 Si3N4等から成る薄膜で、例えば可視光波長の1/4程度の光学的厚さ、例えば80(nm)程度で設けられることによって10(%)以下、例えば2(%)程度の極めて低い反射率に構成されている。
また、前記の受光面電極28は、例えば一様な厚さ寸法の厚膜導体から成るもので、図2に示されるように、受光面32の略全面に、多数本の細線部を有する櫛状を成す平面形状で設けられている。
上記の厚膜導体は、Agおよびガラス等を含む厚膜銀から成るもので、そのガラスは酸化物換算した値で、Bi2O3を10〜40(mol%)の範囲内、ZnOを13〜35(mol%)の範囲内、SiO2を0〜30(mol%)の範囲内、B2O3を5〜36(mol%)の範囲内、Li2O、Na2O、K2Oを合計で8〜19(mol%)の範囲内、Al2O3を0〜12(mol%)の範囲内、TiO2を0〜8(mol%)の範囲内、ZrO2を0〜6(mol%)の範囲内、P2O5を0〜8(mol%)の範囲内、Sb2O3を0〜4(mol%)の範囲内(但し、P2O5、Sb2O3の合計量を0〜8(mol%))、CeO2、Ag2O、MnO2、Cr2O3の何れかを0〜7(mol%)の範囲内の割合でそれぞれ含む無鉛ガラスである。これらCeO2、Ag2O、MnO2、Cr2O3は酸化剤として添加されている。
また、上記の導体層の厚さ寸法は例えば20〜30(μm)の範囲内、例えば25(μm)程度で、細線部の各々の幅寸法は例えば80〜130(μm)の範囲内、例えば100(μm)程度で、十分に高い導電性を備えている。
また、前記の裏面電極30は、p+層16上にアルミニウムを導体成分とする厚膜材料を略全面に塗布して形成された全面電極34と、その全面電極34上に帯状に塗布して形成された厚膜銀から成る帯状電極36とから構成されている。この帯状電極36は、裏面電極30に導線等を半田付け可能にするために設けられたものである。
以上のように構成された太陽電池10は、前述したように受光面電極28が前述した組成の無鉛ガラスを2〜6(wt%)の範囲で含む厚膜銀で構成されていることから、従来の無鉛ガラスが用いられた太陽電池に比較して電気的特性に優れ、例えば鉛ガラスが用いられている場合と同程度の75(%)以上のFF値を有すると共に、優れた長期信頼性を有する利点がある。
上記のような受光面電極28は、例えば、導体粉末と、ガラスフリットと、有機ベヒクルと、有機溶剤とから成る電極用ペーストを用いて良く知られたファイヤースルー法によって形成されたものである。その受光面電極形成を含む太陽電池10の製造方法の一例を比較例の電極用ペーストの製造方法と併せて以下に説明する。
まず、上記ガラスフリットを作製する。ガラス原料は、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等、適宜のものを用い得る。但し、微粉砕原料を使用する方が溶融しやすいので好ましい。用意したガラス原料を目標組成となるように秤量して調合する。これを坩堝に投入して組成に応じた900〜1400(℃)の範囲内の温度で、15分〜1時間程度溶融してガラス化させる。得られたガラスをポットミル等の適宜の粉砕装置を用いて粉砕し、粉末状とする。平均粒径は0.4〜4.0(μm)程度である。
次いで、前記導体粉末として、例えば、平均粒径が0.5〜3(μm)の範囲内、例えば2(μm)程度の市販の球状の銀粉末を用意する。このような平均粒径が十分に小さい銀粉末を用いることにより、塗布膜における銀粉末の充填率を高め延いては導体の導電率を高めることができる。また、前記ベヒクルは、有機溶剤に有機結合剤を溶解させて調製したもので、有機溶剤としては、例えばブチルカルビトールアセテートが、有機結合剤としては、例えばエチルセルロースが用いられる。ベヒクル中のエチルセルロースの割合は例えば15(wt%)程度である。また、ベヒクルとは別に添加する溶剤は、例えばブチルカルビトールアセテートである。すなわち、これに限定されるものではないが、ベヒクルに用いたものと同じ溶剤でよい。この溶剤は、ペーストの粘度調整の目的で添加される。
ペーストを調製するに際しては、例えばガラスフリットを4(wt%)、導体粉末を83(wt%)、有機溶剤を5(wt%)、有機ベヒクルを8(wt%)、それぞれ秤量し、攪拌機等を用いて混合した後、例えば三本ロールミルで分散処理を行う。これにより、前記電極用ペーストが得られる。なお、ペーストには、上記各原料の他に分散剤等、適宜の添加剤を添加し得る。
上記のようにして電極用ペーストを調製する一方、適宜のシリコン基板に例えば、熱拡散法やイオンプランテーション等の良く知られた方法で不純物を拡散し或いは注入して前記n層22およびp+層24を形成することにより、前記シリコン基板20を作製する。次いで、これに例えばスピンコーティング等の適宜の方法で窒化珪素(SiNx)薄膜を形成し、前記反射防止膜26を設ける。本実施例においては、厚さ寸法が180(μm)で156(mm)×156(mm)の矩形のシリコン基板20を用いた。
次いで、上記の反射防止膜26上に前記図2に示すパターンで前記電極用ペーストをスクリーン印刷する。スクリーン印刷は、例えば、ステンレス製325メッシュ(線径23(μm))、乳剤厚20(μm)の製版を用いて行った。これを例えば150(℃)で乾燥し、更に、近赤外炉において650〜900(℃)の範囲内の温度で焼成処理を施す。これにより、その焼成過程で電極用ペースト中のガラス成分が反射防止膜26を溶かし、その電極用ペーストが反射防止膜26を破るので、電極用ペースト中の導体成分すなわち銀とn層22との電気的接続が得られ、前記図1に示されるようにシリコン基板20と受光面電極28とのオーミックコンタクトが得られる。受光面電極28は、このようにして形成される。
なお、前記裏面電極30は、上記工程の後に形成してもよいが、受光面電極28と同時に焼成して形成することもできる。裏面電極30を形成するに際しては、上記シリコン基板20の裏面全面に、例えばアルミニウムペーストをスクリーン印刷法等で塗布し、焼成処理を施すことによってアルミニウム厚膜から成る前記全面電極34を形成する。更に、その全面電極34の表面に前記電極用ペーストをスクリーン印刷法等を用いて帯状に塗布して焼成処理を施すことによって、前記帯状電極36を形成する。これにより、裏面全面を覆う全面電極34と、その表面の一部に帯状に設けられた帯状電極36とから成る裏面電極30が形成され、前記の太陽電池10が得られる。上記工程において、同時焼成で製造する場合には、受光面電極28の焼成前に印刷処理を施すことになる。
以下、上述した電極形成工程を経て製造した太陽電池10において、ガラス組成を種々変更して評価した結果を説明する。以下の各表において、No.欄の番号に重ねて△を付したものは本発明の範囲外の比較例で、他が実施例である。また、右から2列目に示されるFF値は、それぞれ最適と認められる焼成温度で焼成して受光面電極28を形成し、得られた太陽電池10の出力を市販のソーラーシミュレータを用いて測定して求めたFF値の初期値である。また、右端欄に示される「信頼性」は、得られた太陽電池セルにタブ付けをし(すなわち半田リボンを付け)、温度85(℃)、湿度85(%)の高温高湿下において1000時間保持する加速試験を行い、下記式で算出されるFF変化率が1(%)以内であるものを◎(長期信頼性十分)、3(%)以内であるものを○(信頼性合格)、5(%)以内であるものを△(信頼性に不安有り)、5(%)を超えたものを×(長期信頼性不十分)とした。これら2つの評価から、FF値が73以上で信頼性合格(○)以上のものを実施例とした。なお、上記加速試験は、太陽電池10をモジュール化していない状態で行っており、試験時間の1000時間は、モジュール化した状態の30年に相当する。
FF変化率(%)=信頼性評価試験後FF/信頼性評価試験前FF×100
また、以下の説明において、各成分量の好ましい範囲等は、特に高い特性を得るために、或いは、酸化剤の顕著な添加効果を得るために望ましい範囲を意味するものであって、本発明の効果を享受するために必須のものではない。例えば、一部の成分が上限或いは下限を越えたために良好な特性が得られなかったと認められるものについても、他の成分の含有量を調整することで良好な特性が得られる可能性がある。すなわち、前述した実施例・比較例の区分は、評価結果に基づいて為した一応の判断であり、酸化剤を含むものは、各表において「比較例」としたものであっても本発明の範囲内に含まれる。
下記の表1は、Bi2O3量および酸化剤の適切な範囲を検討したもので、No.1〜6は、Bi2O3量を適切と考えられる15.0(mol%)、酸化剤をCeO2としてその添加量を0〜8.0(mol%)の範囲とした。他の成分は、B2O3が26.0(mol%)、SiO2が8.0〜10.5(mol%)、Al2O3が3.0(mol%)、ZnOが24.0〜28.5(mol%)、Li2Oが17.0(mol%)である。酸化剤量の変化に伴う組成調整は専らSiO2およびZnO量で行い、No.6のみBi2O3量を14(mol%)とすることで調整した。
上記の表1において、No.1は、酸化剤を含まない比較例であるが、FF値が77、信頼性が○の結果であった。これに対して、酸化剤を0.1〜7.0(mol%)の範囲で含むNo.2〜5は、FF値が74〜77で、信頼性は◎の結果であり、酸化剤を含まない組成に対して信頼性の向上が確かめられた。酸化剤量が多くなるほどFF値が低下する傾向が認められるが、酸化剤量0.1(mol%)のNo.2は、FF値が77でNo.1と変わらず、信頼性のみ向上した。一方、酸化剤を8.0(mol%)含むNo.6は、FF値が71、信頼性が△であり、過剰な添加は好結果をもたらさない可能性がある。酸化剤量を多くする場合には、組成を更に検討する必要があるものと考えられる。
No.7〜11は、上記組成に対して酸化剤をAg2Oとしたもの、No.12〜16は酸化剤をMnO2としたもの、No.17〜21は酸化剤をCr2O3としたものである。これらにおいても、酸化剤を0.1〜7.0(mol%)の範囲で含む組成では、信頼性が◎の結果となり、酸化剤を添加する効果が同様に認められた。No.11、16、21に示されるように、酸化剤が8.0(mol%)含まれる場合に信頼性が△に悪化することもCeO2の場合と同様であり、酸化剤量を多くする場合には、組成を更に検討する必要がある。なお、酸化剤として何れを用いた場合にも、CeO2の場合と同様に、添加量が多くなるほどFF値の初期値が低下する結果となったが、酸化剤としてAg2Oを用いたものでは、No.8に示されるように3.0(mol%)の添加でもFF値77が維持された。これらの評価結果によれば、酸化剤は信頼性向上効果が認められる範囲で少ない方が好ましく、0.1〜3.0(mol%)程度が適当と考えられる。
No.22〜35は、Bi2O3量を多くした組成で酸化剤量を0〜3.0(mol%)として評価したものである。Bi2O3が40.0〜42.0(mol%)、B2O3が21.0〜22.5(mol%)、SiO2が8.4〜9.5(mol%)、Al2O3が1.0(mol%)、ZnOが12.6〜15.0(mol%)、Li2Oが12.0(mol%)の範囲では、No.31〜35に示されるように、Bi量が42.0(mol%)になると酸化剤の有無に拘わらずFF値が69以下まで低下し、信頼性は全て×となった。この結果によれば、Bi量は40.0(mol%)以下に留めることが好ましく、上限を超えると酸化剤の添加効果も享受困難になるものと考えられる。また、No.22〜30に示されるように、Bi量が40(mol%)の組成では、FF値が73〜74であったが、酸化剤を含まないNo.22において信頼性が△であったのに対し、酸化剤量0.1(mol%)、3.0(mol%)のNo.23〜30の何れも信頼性が○に向上し、明確な添加効果が認められた。
No.36〜45は、Bi2O3量を少なくした組成で酸化剤量を0〜1.0(mol%)として評価したものである。Bi2O3が8.0〜10.0(mol%)、B2O3が29.5(mol%)、SiO2が10.5(mol%)、Al2O3が3.0(mol%)、ZnOが29.0〜30.0(mol%)、Li2Oが17.0(mol%)の範囲では、No.41〜45に示されるように、Bi2O3量が8.0(mol%)では酸化剤の有無に拘わらずFF値が71〜72まで低下し、信頼性は全て△となった。この結果によれば、Bi2O3量は10.0(mol%)以上とすることが好ましく、下限を越えると酸化剤の添加効果も享受困難になるものと考えられる。また、No.36〜40に示されるように、Bi2O3量が10.0(mol%)の組成では、FF値が75であったが、酸化剤を含まないNo.36において信頼性が○であったのに対し、酸化剤を1.0(mol%)含むNo.37〜40の何れもが信頼性が◎に向上し、添加効果が認められた。以上の結果から、Bi2O3量は10.0〜15.0(mol%)の範囲が特に好ましく、15.0(mol%)程度とするのが最善と考えられる。
下記の表2は、B2O3量の適切な範囲を検討すると共に、酸化剤の効果を確かめた評価結果をまとめたものである。No.46〜60は、B2O3量を多くした組成で酸化剤量0〜1.0(mol%)として評価したものである。Bi2O3が23.0〜27.0(mol%)、B2O3が30.0〜38.0(mol%)、SiO2が5.0(mol%)、Al2O3が2.0〜3.0(mol%)、ZnOが13.9〜15.0(mol%)、Li2Oが12.0(mol%)、Na2Oが2.1〜3.0(mol%)(アルカリ金属合計量が14.1〜15.0(mol%))、P2O5が2.0(mol%)の範囲では、B2O3量が33.0(mol%)のNo.46〜50でFF値が75、B2O3量が36.0(mol%)のNo.51〜55でFF値が74、B2O3量が38.0(mol%)のNo.56〜60でFF値が73の結果となった。また、各B2O3量の組成において、酸化剤を含まないNo.46、51、56では信頼性△、酸化剤を含む他の実施例および比較例では信頼性○の結果となった。すなわち、何れにおいても、十分な特性が得られることと、酸化剤の添加効果の存することが確かめられた。
また、上記の評価結果によれば、B2O3量は著しく多くしない方が適当と考えられ、36.0(mol%)以下に留めることが望ましい。B2O3量が38.0(mol%)まで増大すると、良好なオーミックコンタクトが得られなくなるため、FF値および信頼性が何れも不十分になる。したがって、B2O3量を多くする場合には、更に組成を検討することが必要である。
また、上記の表2において、No.61〜70は、B2O3量を少なくした組成で酸化剤量0〜1.0(mol%)として評価したものである。Bi2O3が21.0〜23.0(mol%)、B2O3が3.0〜5.0(mol%)、SiO2が13.0〜19.0(mol%)、Al2O3が5.0(mol%)、ZnOが27.0〜29.0(mol%)、CaOが3.0(mol%)、BaOが4.0〜5.0(mol%)、Li2Oが12.0(mol%)、Na2Oが3.0(mol%)(アルカリ金属合計量が15.0(mol%))、P2O5が2.0(mol%)の範囲では、No.61〜65に示すように、B2O3量が5.0(mol%)でFF値が75、酸化剤を含まないNo.61で信頼性△、酸化剤を含むNo.62〜65で信頼性○の結果となった。すなわち、この組成で十分な特性が得られることが確かめられると共に、酸化剤の添加効果が確認できた。
しかしながら、B2O3量が3.0(mol%)のNo.66〜70では、酸化剤の有無に拘わらずFF値が72で信頼性が×の結果となった。すなわち、この組成では十分な特性が得られず、酸化剤の添加効果の有無は確認できなかった。上記評価結果によれば、B2O3量は著しく少なくしない方が適当と考えられ、5.0(mol%)以上を含むことが望ましい。B2O3量が下限値を下回って3.0(mol%)まで減少すると、ガラスの軟化点が高くなりすぎるため、オーミック接触の確保が困難になり、延いてはFF値および信頼性が低下し、酸化剤の添加効果も享受困難になるものと考えられる。B量を少なくする場合は、更に組成を検討することが必要である。
下記の表3は、ZnO量の適切な範囲を検討すると共に、酸化剤の効果を確かめた評価結果をまとめたものである。No.71〜77は、ZnO量を多くした組成で酸化剤量0〜1.0(mol%)として評価したものである。Bi2O3が17.0(mol%)、B2O3が23.0〜24.0(mol%)、SiO2が5.5〜6.5(mol%)、Al2O3が1.5(mol%)、ZnOが35.0〜36.0(mol%)、Li2Oが12.0(mol%)、Na2Oが2.0〜3.0(mol%)(アルカリ金属合計量が14.0〜15.0(mol%))、P2O5が1.0(mol%)の範囲では、No.71〜75に示すように、ZnO量が35.0(mol%)でFF値が75、酸化剤を含まないNo.71で信頼性△、酸化剤を含むNo.72〜75で信頼性○の結果となった。すなわち、この組成で十分な特性が得られることが確かめられると共に、酸化剤の添加効果が確認できた。
しかしながら、ZnO量が36.0(mol%)のNo.76〜77では、酸化剤の有無に拘わらずFF値が71で信頼性が×の結果となった。すなわち、この組成では十分な特性が得られず、酸化剤の添加効果の有無は確認できなかった。上記評価結果によれば、ZnO量は著しく多くしない方が適当と考えられ、35.0(mol%)以下に留めることが望ましい。ZnO量が上限値を上回って36.0(mol%)まで増大すると、ガラスの軟化点が低くなりすぎるため、侵食制御が困難になってpn接合が破壊され、延いてはFF値および信頼性が低下し、酸化剤の添加効果も享受困難になるものと考えられる。ZnO量を多くする場合は、更に組成を検討することが必要である。
また、上記の表3において、No.78〜84は、ZnO量を少なくした組成で酸化剤量を0〜1.0(mol%)として評価したものである。Bi2O3が28.0〜29.0(mol%)、B2O3が10.0〜36.0(mol%)、SiO2が4.0〜28.0(mol%)、Al2O3が2.0〜3.0(mol%)、ZnOが12.0〜13.0(mol%)、Li2Oが12.0(mol%)、Na2Oが3.0(mol%)(アルカリ金属合計量が15.0(mol%))、P2O5が1.0〜2.0(mol%)、ZrO2が0〜1.0(mol%)の範囲では、No.78〜82に示すように、ZnO量が13.0(mol%)でFF値が76、酸化剤を含まないNo.78で信頼性△、酸化剤を含むNo.79〜82で信頼性○の結果となった。すなわち、この組成で良好な特性が得られることが確かめられると共に、酸化剤の添加効果が確認できた。
しかしながら、ZnO量が12.0(mol%)のNo.83〜84では、酸化剤の有無に拘わらずFF値が65で信頼性が×の結果となった。すなわち、この組成では著しく特性が低下し、酸化剤の添加効果の有無も確認できなかった。上記評価結果によれば、ZnO量は著しく少なくしない方が適当と考えられ、13.0(mol%)以上を含むことが望ましい。ZnO量が下限値を下回って12.0(mol%)まで減少すると、ガラスの軟化点が高くなりすぎるため、侵食不十分となってオーミック接触の確保が困難になり、延いてはFF値および信頼性が低下し、酸化剤の添加効果も享受困難になるものと考えられる。ZnO量を少なくする場合は、更に組成を検討することが必要である。
下記の表4は、SiO2量の好ましい最大量を検討すると共に、酸化剤の効果を確かめた評価結果をまとめたものである。なお、前述した表1〜3の評価において、何れの酸化剤を用いても特性に相違が認められないので、以降の評価では、酸化剤としてCeO2のみを用いた。この表4に示されるNo.85〜92において、Bi2O3が26.0〜29.0(mol%)、B2O3が9.0(mol%)、SiO2が26.0〜31.0(mol%)、Al2O3が2.0〜3.0(mol%)、ZnOが13.0〜16.0(mol%)、Li2Oが12.0(mol%)、Na2Oが2.0〜3.0(mol%)(アルカリ金属合計量が14.0〜15.0(mol%))、P2O5が2.0(mol%)、酸化剤(CeO2)が0〜3.0(mol%)の範囲では、No.85、86に示すように、SiO2が26.0(mol%)でFF値が76、酸化剤を含まないNo.85で信頼性○、酸化剤を含むNo.86で信頼性◎の結果となった。すなわち、この組成では、酸化剤を添加しなくとも十分なFF値および信頼性が得られるが、酸化剤を添加することで更に信頼性の高められる効果が確認できた。
また、上記組成範囲では、No.87〜89に示すように、SiO2が30.0(mol%)でFF値が74、酸化剤を含まないNo.87で信頼性△、酸化剤を含むNo.88、89で信頼性○の結果が得られた。すなわち、この組成で十分な特性を有すること、および酸化剤の添加効果を享受できることが確かめられた。一方、No.90〜92に示すように、SiO2が31.0(mol%)の組成では、酸化剤の有無に拘わらずFF値が72で信頼性が×の結果となった。すなわち、この組成では特性が低く、また、酸化剤の添加効果も確認できなかった。これらの評価結果によれば、SiO2は著しく多くしない方が適当と考えられ、30.0(mol%)以下に留めることが望ましく、26.0(mol%)以下に留めることが一層好ましい。また、前記表1〜3に示した評価結果も併せて考えると、SiO2量は8.0〜26.0(mol%)が特に好ましい範囲と考えられる。また、SiO2量が上限値を上回って31.0(mol%)まで増大すると、ガラスの軟化点が高くなりすぎるため、侵食不十分となってオーミック接触の確保が困難になり、延いてはFF値および信頼性が低下し、酸化剤の添加効果も享受困難になるものと考えられる。SiO2量を多くする場合は、更に組成を検討することが必要である。
下記の表5は、アルカリ金属量の適切な範囲を検討すると共に、酸化剤の効果を確かめた評価結果をまとめたものである。なお、表5において、「K2O」欄の右の「(合計)」欄には、アルカリ金属(Li2O、Na2O、K2O)の合計量を示した。この表5のNo.93〜96およびNo.99〜104において、Bi2O3が14.0〜23.0(mol%)、B2O3が20.0〜25.0(mol%)、SiO2が8.5〜10.5(mol%)、Al2O3が3.0(mol%)、ZnOが23.5〜29.5(mol%)、Li2Oが11.0〜18.0(mol%)、Na2Oが3.0〜5.0(mol%)、K2Oが3.0〜5.0(mol%)(アルカリ金属合計量が16.0〜20.0(mol%))、P2O5が1.0〜2.0(mol%)、酸化剤が0〜3.0(mol%)の範囲では、No.99、100に示すように、アルカリ金属合計量が16.0(mol%)でFF値が76、酸化剤を含まないNo.99で信頼性○、酸化剤を含むNo.100で信頼性◎の結果となった。また、No.93〜96に示すように、アルカリ金属合計量が18.0〜19.0(mol%)でFF値が75、酸化剤を含まないNo.93で信頼性○、No.95で信頼性△、酸化剤を含むNo.94、96で信頼性○の結果となった。また、アルカリ金属合計量が20.0(mol%)のNo.101〜104では、FF値が73で、酸化剤を含まないNo.101、103で信頼性×、酸化剤を含むNo.102、104で信頼性△〜×の結果となった。
上記の評価結果によれば、アルカリ金属量が16.0〜19.0(mol%)の範囲で十分な特性が得られ、しかも、酸化剤添加効果を享受できることが確かめられた。特に、No.100に示すように、アルカリ金属量が16.0(mol%)では、FF値が76と高く、しかも、酸化物を含む組成とすることにより、極めて高い信頼性が得られた。なお、No.93、94は、FF値、信頼性とも同一の評価結果を表に示しているが、信頼性において数値で区別できない程度の若干の改善が認められた。また、アルカリ金属量が20.0(mol%)のNo.101〜104において、酸化物を含まない組成(No.101、103)では信頼性×であるのに対し、酸化物を含む組成(No.102、104)では信頼性△〜×と若干の改善が認められており、このような組成でも酸化物添加効果を享受できることが判る。
また、上記表5のNo.97、98、105、106において、Bi2O3が29.0〜31.0(mol%)、B2O3が20.0(mol%)、SiO2が9.5〜11.5(mol%)、Al2O3が3.0(mol%)、ZnOが25.5〜26.5(mol%)、Li2Oが6.0〜8.0(mol%)(アルカリ金属合計量が6.0〜8.0(mol%))、P2O5が2.0(mol%)、酸化剤が0〜3.0(mol%)の範囲では、No.97、98に示すように、アルカリ金属量が8.0(mol%)でFF値が75、酸化剤を含まないNo.97で信頼性△、酸化剤を含むNo.98で信頼性○の結果となった。また、No.105、106に示すように、アルカリ金属量が6.0(mol%)でFF値が70、酸化剤の有無に拘わらず信頼性×の結果となった。すなわち、アルカリ金属量が8.0(mol%)では十分な特性を有し、酸化物添加効果も認められたが、アルカリ金属量が6.0(mol%)では特性が低く酸化物添加効果は確認できなかった。これらの評価結果によれば、アルカリ金属量は著しく少なく或いは多くしないことが適当と考えられ、8.0〜19.0(mol%)の範囲とすることが好ましく、16.0(mol%)程度とすることが最も好ましい。この範囲外とする場合には、更に組成の調整が必要である。
下記の表6は、Al2O3量の好ましい最大量を検討すると共に、酸化剤の効果を確かめた評価結果をまとめたものである。この表6に示されるNo.107〜114において、Bi2O3が24.0〜26.0(mol%)、B2O3が9.0〜12.5(mol%)、SiO2が7.5〜9.5(mol%)、Al2O3が7.0〜13.0(mol%)、ZnOが25.5〜29.5(mol%)、Li2Oが12.0(mol%)、Na2Oが3.0(mol%)(アルカリ金属合計量が15.0(mol%))、P2O5が2.0(mol%)、ZrO2が0.5(mol%)、酸化剤(CeO2)が0〜1.0(mol%)の範囲では、No.107、108に示すように、Al2O3量が7.0(mol%)でFF値77、酸化剤を含まないNo.107で信頼性○、酸化剤を含むNo.108で信頼性◎の結果となった。また、No.109、110に示すように、Al2O3量が10.0(mol%)でFF値76、酸化剤の有無に拘わらず信頼性◎の結果となった。また、No.111、112に示すように、Al2O3量が12.0(mol%)でFF値74、酸化剤を含まないNo.111で信頼性△、酸化剤を含むNo.112で信頼性○の結果となった。また、No.113、114に示すように、Al2O3量が13.0(mol%)でFF値72、酸化剤の有無に拘わらず信頼性△の結果となった。
上記の評価結果によれば、Al2O3量が7.0〜12.0(mol%)の範囲で十分な特性が得られ、しかも、酸化剤添加効果を享受できることが確かめられた。特に、No.108に示すように、Al2O3量が7.0(mol%)では、FF値が77と極めて高く、しかも、酸化物を含む組成とすることにより、極めて高い信頼性が得られた。Al2O3量が10.0(mol%)の組成では、酸化物を含まない組成でも高い信頼性を有することから、酸化物添加による改善は確認できていない。また、Al2O3量が13.0(mol%)のNo.114は、FF値が72に留まり、酸化物を含む組成としても信頼性が△に留まるが、No.113に対して数値化できない程度の若干の信頼性改善が認められる。Al2O3は信頼性を高める効果を有するものと考えられるが、含有量が過剰になると却って信頼性が低下し、FF値も得られない。したがって、Al2O3量の如何に関わらず酸化物添加による信頼性改善効果は享受できるが、12.0(mol%)以下に留めることが好ましく、10.0(mol%)以下に留めることが一層好ましいと言える。
下記の表7は、TiO2量の好ましい最大量を検討すると共に、酸化剤の効果を確かめた評価結果をまとめたものである。この表7に示されるNo.115〜122において、Bi2O3が26.0〜29.0(mol%)、B2O3が16.5(mol%)、SiO2が8.5〜9.5(mol%)、Al2O3が3.0(mol%)、ZnOが17.0〜25.0(mol%)、Li2Oが11.0(mol%)、K2Oが3.0〜4.0(mol%)(アルカリ金属合計量が14.0〜15.0(mol%))、P2O5が2.0(mol%)、TiO2が3.0〜9.0(mol%)、酸化剤(CeO2)が0〜1.0(mol%)の範囲では、No.115〜120に示すように、TiO2量が3.0〜8.0(mol%)でFF値74〜77、酸化剤を含まないNo.115、117、119で信頼性△、酸化剤を含むNo.116、118、120で信頼性○の結果となった。また、No.121、122に示すように、TiO2量が9.0(mol%)でFF値72、酸化剤の有無に拘わらず信頼性×の結果となった。
上記の評価結果によれば、TiO2量が3.0〜8.0(mol%)の範囲で十分な特性が得られ、しかも、酸化剤添加効果を享受できることが確かめられた。特に、No.116に示すように、TiO2量が3.0(mol%)では、FF値が77と極めて高く、しかも、酸化物を含む組成とすることにより、十分な信頼性が得られた。TiO2にはFF値を高める効果が認められるから、含まれることが好ましいと考えられる。しかしながら、TiO2量が9.0(mol%)の組成では、FF値が72と低く、酸化物を含む組成としても信頼性が不十分であったので、含有量が多くなる場合には更に組成の調整が必要であり、TiO2を含む組成とする場合は、8.0(mol%)以下に留めることが好ましい。
下記の表8は、ZrO2量の好ましい最大量を検討すると共に、酸化剤の効果を確かめた評価結果をまとめたものである。この表8に示されるNo.123〜130において、Bi2O3が26.0〜30.0(mol%)、B2O3が16.5(mol%)、SiO2が9.5(mol%)、Al2O3が3.0(mol%)、ZnOが16.0〜25.0(mol%)、Li2Oが11.0〜12.0(mol%)、Na2Oが0〜3.0(mol%)、K2Oが0〜4.0(mol%)(アルカリ金属合計量が15.0(mol%))、P2O5が2.0(mol%)、ZrO2が3.0〜7.0(mol%)、酸化剤(CeO2)が0〜1.0(mol%)の範囲では、No.123〜128に示すように、ZrO2量が3.0〜6.0(mol%)でFF値74〜76、酸化剤を含まないNo.123、125、127で信頼性○、酸化剤を含むNo.124、126、128で信頼性◎の結果となった。また、No.129、130に示すように、ZrO2量が7.0(mol%)でFF値70、酸化剤の有無に拘わらず信頼性×の結果となった。
上記の評価結果によれば、ZrO2量が3.0〜6.0(mol%)の範囲で十分な特性が得られ、しかも、酸化剤添加効果を享受できることが確かめられた。特に、No.124に示すように、ZrO2量が3.0(mol%)では、FF値が76と極めて高く、しかも、酸化物を含む組成とすることにより、高い信頼性が得られた。ZrO2にもFF値を高める効果が認められるから、含まれることが好ましいと考えられる。しかしながら、ZrO2量が7.0(mol%)の組成では、FF値が70と低く、酸化物を含む組成としても信頼性が不十分であったので、含有量が多くなる場合には更に組成の調整が必要であり、ZrO2を含む組成とする場合は、6.0(mol%)以下に留めることが好ましい。
下記の表9は、P2O5量の好ましい最大量を検討すると共に、酸化剤の効果を確かめた評価結果をまとめたものである。この表9に示されるNo.131〜136において、Bi2O3が21.0(mol%)、B2O3が20.0(mol%)、SiO2が10.0(mol%)、Al2O3が3.5〜5.5(mol%)、ZnOが19.5〜20.5(mol%)、Li2Oが12.0〜13.0(mol%)、K2Oが2.0〜4.0(mol%)(アルカリ金属合計量が14.0〜17.0(mol%))、P2O5が6.0〜9.0(mol%)、酸化剤(CeO2)が0〜3.0(mol%)の範囲では、No.131〜134に示すように、P2O5量が6.0〜8.0(mol%)でFF値74〜76、酸化剤を含まないNo.131、133で信頼性△、酸化剤を含むNo.132、134で信頼性○の結果となった。また、No.135、136に示すように、P2O5量が9.0(mol%)でFF値69、酸化剤の有無に拘わらず信頼性×の結果となった。
上記の評価結果によれば、P2O5量が6.0〜8.0(mol%)の範囲で十分な特性が得られ、しかも、酸化剤添加効果を享受できることが確かめられた。特に、No.132に示すように、P2O5量が6.0(mol%)では、FF値が76と極めて高く、しかも、酸化物を含む組成とすることにより、高い信頼性が得られた。P2O5はn層に対するドナーであって、オーミック接触を改善する作用があるので、含まれていることが好ましいと考えられる。しかしながら、P2O5量が9.0(mol%)の組成では、FF値が69と著しく低く、酸化物を含む組成としても信頼性が不十分であったので、含有量が多くなる場合には更に組成の調整が必要であり、P2O5を含む組成とする場合は、8.0(mol%)以下に留めることが好ましい。
下記の表10は、Sb2O5量の好ましい最大量を検討すると共に、酸化剤の効果を確かめた評価結果をまとめたものである。この表10に示されるNo.137〜144において、Bi2O3が15.0〜20.0(mol%)、B2O3が20.0〜24.0(mol%)、SiO2が9.5〜13.0(mol%)、Al2O3が3.0(mol%)、ZnOが21.0〜26.0(mol%)、Li2Oが10.0〜17.0(mol%)、Na2Oが0〜7.0(mol%)(アルカリ金属合計量が17.0(mol%))、P2O5が0〜1.0(mol%)、Sb2O5が1.0〜6.0(mol%)(P2O5とSb2O5の合計が2.0〜6.0(mol%))、酸化剤(CeO2)が0〜1.0(mol%)の範囲では、No.137〜142に示すように、Sb2O5量が1.0〜4.0(mol%)(P2O5との合計量が2.0〜5.0(mol%))でFF値75〜77、酸化剤を含まないNo.137で信頼性△、酸化剤を含まないNo.139、141で信頼性○、酸化剤を含むNo.138で信頼性○、No.140、142で信頼性◎の結果となった。また、No.143、144に示すように、Sb2O5量が6.0(mol%)(P2O5との合計量でも6.0(mol%))でFF値73、酸化剤の有無に拘わらず信頼性△の結果となった。
上記の評価結果によれば、Sb2O5量が1.0〜4.0(mol%)(P2O5との合計量が2.0〜5.0(mol%))の範囲で十分な特性が得られ、しかも、酸化剤添加効果を享受できることが確かめられた。特に、No.140、142に示すように、Sb2O5量が1.0〜4.0(mol%)(P2O5との合計量が2.0〜4.0(mol%))では、FF値が75以上で、酸化物を含む組成とすることにより信頼性が◎と極めて高い結果が得られた。合計量が2.0(mol%)のNo.140ではFF値が77と極めて高いので、最も好ましい。Sb2O5もP2O5と同様n層に対するドナーであって、オーミック接触を改善する作用があるので、含まれていることが好ましいと考えられる。しかしながら、Sb2O5量が6.0(mol%)(P2O5との合計量が6.0(mol%))の組成では、FF値が73とやや低下し、酸化物を含む組成としても信頼性が不十分であったので、含有量が多くなる場合には更に組成の調整が必要であり、P2O5およびSb2O5を含む組成とする場合は、それらの合計量を5.0(mol%)以下に留めることが好ましく、4.0(mol%)以下に留めることが更に好ましく、2.0(mol%)以下に留めることが最も好ましいと考えられる。
下記の表11は、Al2O3、SiO2、ZrO2、TiO2の何れかを欠く組成で酸化物の添加効果を確認した評価結果をまとめたものである。No.145、146は、Al2O3を欠く組成で、Bi2O3が20.0(mol%)、B2O3が29.0(mol%)、SiO2が4.0(mol%)、ZnOが27.0〜28.0(mol%)、Li2Oが17.0(mol%)(アルカリ金属量が17.0(mol%))、P2O5が1.0(mol%)、TiO2が0.5(mol%)、ZrO2が0.5(mol%)、酸化剤(CeO2)が0〜1.0(mol%)の範囲では、FF値77、酸化剤を含まないNo.145で信頼性○、酸化剤を含むNo.146で信頼性◎の結果となった。すなわち、Al2O3は含まれることが好ましい成分ではあるが、これを欠く組成としても、極めて高いFF値が得られ且つ高い信頼性を得ることができ、酸化剤の添加効果も享受できることが確かめられた。
前記表6に示されるように、Al2O3は12.0(mol%)以下の範囲で含まれることが好ましく、また、他の各表に示される実施例から明らかなように、1.0〜6.0(mol%)の範囲内で含む組成としても高い特性および信頼性が得られるものであるが、上記のように含まない組成であっても差し支えない。すなわち、Al2O3は、任意の成分であって、12.0(mol%)以下の範囲で含まれることが好ましいものである。
また、No.147、148は、SiO2を欠く組成で、Bi2O3が28.0(mol%)、B2O3が29.0(mol%)、Al2O3が1.0(mol%)、ZnOが14.0〜15.0(mol%)、BaOが8.0(mol%)、Li2Oが16.0(mol%)(アルカリ金属量が16.0(mol%))、P2O5が2.0(mol%)、TiO2が0.5(mol%)、ZrO2が0.5(mol%)、酸化剤(CeO2)が0〜1.0(mol%)の範囲では、FF値76、酸化剤を含まないNo.147で信頼性△、酸化剤を含むNo.148で信頼性○の結果となった。すなわち、SiO2は含まれることが好ましい成分ではあるが、これを欠く組成としても、高いFF値が得られ且つ十分な信頼性を得ることができ、酸化剤の添加効果も享受できることが確かめられた。
前記表4に示されるように、SiO2は30.0(mol%)以下の範囲で含まれることが好ましく、また、他の各表に示される実施例から明らかなように、5.0〜28.0(mol%)程度の範囲内で含む組成としても高い特性および信頼性が得られるものであるが、上記のように含まない組成であっても差し支えない。すなわち、SiO2は、任意の成分であって、30.0(mol%)以下の範囲で含まれることが好ましいものである。
また、No.149、150は、ZrO2を欠く組成で、Bi2O3が24.0(mol%)、B2O3が16.5(mol%)、SiO2が9.5(mol%)、Al2O3が3.0(mol%)、ZnOが28.5〜29.5(mol%)、Li2Oが11.0(mol%)、K2Oが4.0(mol%)(アルカリ金属量が15.0(mol%))、P2O5が2.0(mol%)、TiO2が0.5(mol%)、酸化剤(CeO2)が0〜1.0(mol%)の範囲では、FF値77、酸化剤を含まないNo.149で信頼性○、酸化剤を含むNo.150で信頼性◎の結果となった。すなわち、ZrO2は含まれることが好ましい成分ではあるが、これを欠く組成としても、極めて高いFF値が得られ且つ高い信頼性を得ることができ、酸化剤の添加効果も享受できることが確かめられた。
前記表8に示されるように、ZrO2は6.0(mol%)以下の範囲で含まれることが好ましく、また、他の各表に示される実施例から明らかなように、1.0(mol%)以下の範囲で含む組成としても高い特性および信頼性が得られるものであるが、上記のように含まない組成であっても差し支えない。すなわち、ZrO2は、任意の成分であって、6.0(mol%)以下の範囲で含まれることが好ましいものである。
また、No.151、152は、TiO2を欠く組成で、Bi2O3が15.0(mol%)、B2O3が26.0(mol%)、SiO2が10.5(mol%)、Al2O3が3.0(mol%)、ZnOが26.0〜27.0(mol%)、Li2Oが17.0(mol%)(アルカリ金属量が17.0(mol%))、P2O5が1.0(mol%)、ZrO2が0.5(mol%)、酸化剤(CeO2)が0〜1.0(mol%)の範囲では、FF値76〜77、酸化剤を含まないNo.151で信頼性○、酸化剤を含むNo.152で信頼性◎の結果となった。すなわち、TiO2は含まれることが好ましい成分ではあるが、これを欠く組成としても、極めて高いFF値が得られ且つ高い信頼性を得ることができ、酸化剤の添加効果も享受できることが確かめられた。
前記表7に示されるように、TiO2は8.0(mol%)以下の範囲で含まれることが好ましいものであるが、他の各表に示される実施例や上記結果から明らかなように含まない組成であっても差し支えない。すなわち、TiO2は、任意の成分であって、8.0(mol%)以下の範囲で含まれることが好ましいものである。
上述したように、本実施例の太陽電池用導電性ペーストは、これを構成するガラスフリットが、Bi-B-Zn系無鉛ガラスであって酸化剤としてCeO2、Ag2O、MnO2等を含むものから成るため、これを用いて太陽電池10の受光面電極28を形成すると、無鉛でありながら電気的特性、耐湿性、耐酸性に優れ、長期信頼性の高い電極が得られる。また、pn接合への電極材料の侵入も容易に制御できる。耐湿性や耐酸性に優れ、高い長期信頼性が得られるのは、ガラスフリット中に含まれる酸化剤が還元されることによってBi2O3の還元およびBiの析出が抑制され、延いては水蒸気や発生したカルボン酸が析出したBiと反応して電極が劣化することが抑制されるためであると考えられる。
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
例えば、前記実施例においては、反射防止膜26が窒化珪素膜から成るものであったが、その構成材料は特に限定されず、一般に太陽電池に用いられる二酸化チタンTiO2等の他の種々の材料から成るものを同様に用い得る。
また、実施例においては、本発明がシリコン系太陽電池10に適用された場合について説明したが、本発明は、ファイヤースルー法で受光面電極を形成することのできる太陽電池であれば適用対象の基板材料は特に限定されない。
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。