以下、本発明に係る第1実施形態について、図1〜図8を参照して説明する。第1実施形態を含む各実施形態では、屋根の断熱構造への適用例について説明する。勿論、第1実施形態を含む各実施形態は、床下、天井、壁等の断熱構造にも適用可能である。
図1〜図3は、第1実施形態の断熱材支持具11を示すものである。この断熱材支持具11は、弾性変形可能なポリプロピレン等の合成樹脂からなる一体成形品である。
断熱材支持具11は、支持部12と中間延出部13と係止フランジ部14とを有している。支持部12は一定厚さの平板状をなしており、その板厚方向から見て長方形形状をなしている。
中間延出部13も一定厚さの平板状をなしており、板厚方向から見て長方形形状をなしている。中間延出部13は、支持部12の一端縁部から支持部12と交差して延出している。支持部12と中間延出部13との境界部16は直線状をなしている。中間延出部13は、支持部12となす角の角度が90°よりも若干大きい鈍角となっている。中間延出部13と支持部12とのなす角の角度は、90°〜100°の範囲に設定されており、例えば96°に設定されている。中間延出部13の長さが短い二カ所の端縁部のうちの一方の端縁部が、支持部12と中間延出部13との境界部16となっている。
係止フランジ部14も一定厚さの平板状をなしており、板厚方向から見て長方形形状をなしている。係止フランジ部14は、中間延出部13の長さが短い二カ所の端縁部のうちの他方の端縁部から中間延出部13と交差して中間延出部13に対する支持部12の延出方向とは反対方向に延出している。係止フランジ部14と中間延出部13との境界部17は直線状をなしている。係止フランジ部14は、中間延出部13となす角の角度が90°よりも若干小さい鋭角となっている。中間延出部13と係止フランジ部14とのなす角の角度は、70°〜90°の範囲に設定されており、例えば74°に設定されている。係止フランジ部14の長さが長い二カ所の端縁部のうちの一方の端縁部が、中間延出部13と係止フランジ部14との境界部17となっている。
断熱材支持具11には、図3に示すように、支持部12の中間位置に、支持部12から板厚方向の中間延出部13と同側に突出する複数具体的には二カ所の同形状の突起部21,21が形成されている。これら突起部21,21は、支持部12および中間延出部13の境界部16から等距離の位置に、この境界部16の延在方向に間隔をあけて配置されている。これら突起部21,21は、支持部12から離れるほど細くなるように尖った形状をなしている。
図2に示すように、中間延出部13の板厚方向の係止フランジ部14側には、中間延出部13から係止フランジ部14と同側に突出する複数具体的には二カ所の同形状のリブ23,23が形成されている。これらリブ23,23は、中間延出部13および係止フランジ部14の境界部17の延在方向に間隔をあけて配置されている。これらリブ23,23は、係止フランジ部14の板厚方向の中間延出部13側にも繋がっており、よって、中間延出部13と係止フランジ部14とに跨がって形成されている。
これらリブ23,23は、中間延出部13における支持部12と係止フランジ部14とを結ぶ方向の係止フランジ部14側の一部範囲のみに形成されており、中間延出部13における支持部12側の範囲には形成されていない。この中間延出部13の支持部12と係止フランジ部14とを結ぶ方向においてリブ23,23とラップする部分をリブ有り板部24とし、リブ23,23とラップしない部分をリブ無し板部25とする。
また、これらリブ23,23は、係止フランジ部14の中間延出部13からの延出方向における中間延出部13側の一部範囲のみに形成されており、中間延出部13に対し反対側の範囲には形成されていない。これらリブ23,23は、中間延出部13および係止フランジ部14の境界部17から連続して形成されている。
これらリブ23,23は、一定厚さの平板状をなしており、中間延出部13および係止フランジ部14の境界部17の延在方向に板厚方向を合わせている。これらリブ23,23は、板厚方向から見て直角三角形形状をなしており、中間延出部13とは反対に向く縁部26,26が直線状をなして係止フランジ部14に対し垂直に延在している。これらリブ23,23は、中間延出部13の板厚方向における中間延出部13からの突出量が係止フランジ部14側ほど大きくなっている。
図4,図5は、図1〜図3に示す断熱材支持具11によって支持される断熱材30を示すものである。ここでは、屋根の断熱構造に断熱材支持具11を適用するため、断熱材30も、屋根の断熱用の断熱材となっている。断熱材30は、断熱材本体31と断熱材本体31に貼付されるシート部材32とからなっている。
断熱材本体31は、発泡材料を押し出し発泡した複数の棒状の発泡体41,41,…が、一定の配向方向(一方向:図4の紙面直交方向,図5のX方向)に配向しこの配向方向の位置を重ねつつ、この配向方向に直交する配向直交方向に隣り合うもの同士が溶着されて一体化されており、全体として長方形の板状をなしている。発泡体41,41,…の配向方向は、押し出し方向と同じであり、長さ方向つまり延在方向と同じである。断熱材本体31は、発泡体41,41,…の配向方向が図5に示す長さ方向Xとなり、発泡体41,41,…の一の配向直交方向に厚さ方向Zを有し、この厚さ方向Zと直交する他の配向直交方向に図4に示す幅方向Yを有する板状に形成されている。
断熱材30は、図5に示すように長さ方向Xの両側つまり発泡体41,41,…の配向方向の両側の端部に側面42,42を有しており、図4に示すように幅方向Yの両側の端部に側面43,43を有している。また、厚さ方向Zの一側に上面44を有し、厚さ方向Zの他側に下面45を有している。断熱材本体31は、上面44を鉛直方向上側つまり室外側に向け、下面45を鉛直方向下側つまり室内側に向けて設置される。
ここで、発泡体41,41,…を成形するために使用される発泡材料としては、ポリオレフィン樹脂と、セルロースと、でんぷんとを含む材料を用いるのが好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などが挙げられる。
セルロースとしては、新聞紙や雑誌等の古紙を原料として用いることができる。古紙は粉砕機により所望の大きさに粉砕されて用いられる。
でんぷんとしては、とうもろこし澱粉(コーンスターチ)、小麦澱粉、米澱粉などを用いることができる。
また、上記した発泡材料の100質量%中の各成分の割合は、ポリオレフィン樹脂が30〜50質量%であることが好ましく、セルロースが10〜40質量%であることが好ましく、でんぷんが20〜40質量%であることが好ましい。
また、発泡材料には、必要に応じて酸化防止剤、防かび剤、顔料など、断熱材に用いられる各種添加剤を含有させてもよい。
第1実施形態の断熱材30は、セルロース(古紙)やでんぷんを含むので、環境に十分配慮している。
切削加工により、発泡体41,41,…の配向方向に直交する方向の両側部分を、上面44の平坦面51との境界線および下面45の平坦面51との境界線がそれぞれ発泡体41,41,…の配向方向に沿い、且つ上面44側が下面45側よりも配向直交方向の外側に位置するように鏡面対称に斜めに切断して、配向直交方向の両側の端部に位置する両側の図4に示す側面43,43を形成する。下面45の平坦面51と側面43とのなす角の角度は、断熱材支持具11の中間延出部13と支持部12となす角の角度と同等になっており、よって、90°よりも若干大きい鈍角となっている。下面45の平坦面51と側面43とのなす角の角度は、90°〜100°の範囲に設定されており、例えば96°に設定されている。
上記の断熱材本体31の上面44の全面を覆うように上面44の平坦面51にシート部材32が貼り付けられている。このシート部材32はアルミニウム製の遮熱シートとなっている。このシート部材32の上面33が断熱材30の上面33となっている。
断熱材30は、発泡体41,41,…の配向方向である図5に示す長さ方向Xと比べて、発泡体41,41,…の配向直交方向である図4に示す幅方向Yおよび厚さ方向Zは圧縮変形し易くなっている。
次に、断熱材支持具11およびその施工方法について説明する。
断熱材支持具11および断熱材30を施工する際には、まず、図6に示すように、断熱材30の長さ方向Xの中間位置に予め第1実施形態の断熱材支持具11を予め設定された数だけ取り付ける支持具装着工程が実行される。
支持具装着工程では、一の断熱材支持具11の支持部12の上面に図示略の両面テープを貼付する。そして、この一の断熱材支持具11について、突起部21,21を断熱材30の断熱材本体31に下面45側から食い込ませつつ、この下面45に支持部12上の両面テープを接着させて、支持部12をこの下面45に取り付ける。その際に、この一の断熱材支持具11の中間延出部13を断熱材本体31の一方の側面43に当接させる。このようにして、この一の断熱材支持具11を断熱材本体31の長さ方向Xの所定の位置に取り付ける。突起部21,21を食い込ませることで断熱材支持具11は断熱材30に対し長さ方向Xおよび幅方向Yのずれが規制され、両面テープによって厚さ方向Zに接合される。
このように断熱材本体31の長さ方向Xの位置が合う断熱材支持具11,11の列を、長さ方向Xに所定の間隔をあけて所定の複数列形成する。この場合、断熱材支持具11,11,…の取り付けの順番は、どのような順番としても良い。
以上のようにして、断熱材30と断熱材支持具11,11,…との組立体60を得る。以上の支持具装着工程では、断熱材支持具11の支持部12および中間延出部13に断熱材30を配置することになる。以上の支持具装着工程は、建築現場で行っても良く、断熱材30を製造する工場で行っても良い。
ここで、上記のように断熱材本体31の下面45に支持部12を接着させた状態の断熱材支持具11は、図7に示すように、その中間延出部13が断熱材30の上面33よりも上方に延出しており、係止フランジ部14が断熱材30の上面33よりも上方に位置している。また、リブ23,23は、係止フランジ部14とは反対側の微小な一部のみが断熱材30と厚さ方向Zにラップする状態となり、ほとんどの部分は断熱材30と厚さ方向Zにラップしていない。
次に、断熱材支持具11,11が取り付けられた状態の組立体60を、ベース部材110,110間に配置する挿入工程を行う。その際に、作業者は、図7に示すように、組立体60の断熱材30を、ベース部材110,110の鉛直方向に沿い互いに平行をなして対向する内面111,111に側面43,43を対向させる姿勢とし、幅の狭い下面45を先方として、ベース部材110,110の内面111,111間に、上から下への方向を挿入方向として挿入する。なお、第1実施形態は、屋根への適用例であることからベース部材110,110は屋根の垂木となっており、よって、長さ方向の一側に向かうにしたがって徐々に高さ位置が高くなるように水平に対し傾斜して配置されている。
ここで、断熱材30は、側面43,43間の最小距離(下面45側の距離)が内面111,111間の距離と同等とされ、側面43,43間の最大距離(上面44側の距離)が内面111,111間の距離よりも大きくなるように幅が設定されている。このため、ベース部材110,110の内面111,111間への挿入時に、断熱材30は、側面43,43の断熱材支持具11,11,…が設けられていない部分が、内面111,111に接触し、内面111,111を摺動する。その際に、断熱材30は、内面111,111で押圧されて、内面111,111に倣って幅方向Yに変形し、側面43,43が鉛直方向に沿い互いに平行をなす状態となる。つまり、断熱材30は、ベース部材110,110の内面111,111間に、嵌合されることになる。
また、組立体60のベース部材110,110の内面111,111間への挿入時に、組立体60の断熱材支持具11,11,…は、側面43,43よりも幅方向Yの外側に中間延出部13,13,…が配置されているため、初期には中間延出部13,13,…のリブ無し板部25,25,…が内面111,111に接触し、内面111,111を摺動する。その際に、中間延出部13,13,…のリブ無し板部25,25,…は、内面111,111で押圧されて、挿入の進行に伴って徐々に幅方向Yに変形し、内面111,111に倣って鉛直方向に沿い互いに平行をなす状態となる。
さらに挿入が進行すると、リブ23,23,…の縁部26,26,…が内面111,111に接触し、内面111,111を摺動する。その際に、リブ23,23,…は、内面111,111で押圧されて、挿入の進行に伴って徐々に幅方向Yの内側に変位し、リブ有り板部24,24,…を幅方向Yの内側に変位させながら、最終的に縁部26,26,…が内面111,111に倣って鉛直方向に沿い互いに平行をなす状態となる。そして、図8に示すように、ベース部材110,110の内面111,111に直交し互いに同一平面に配置される上面112,112に係止フランジ部14,14,…が当接して組立体60は、停止する。
以上の挿入工程は、断熱材支持具11,11,…のそれぞれが、中間延出部13を断熱材30とベース部材110との間に配置しつつ係止フランジ部14をベース部材110に係止する工程となっている。このような挿入工程が行われることで、断熱材支持具11,11,…は、それぞれが、断熱材30をベース部材110に支持した状態となり、この状態で、ベース部材110に係止される係止フランジ部14と、係止フランジ部14から延出してベース部材110と断熱材30との間に配置される中間延出部13と、中間延出部13の係止フランジ部14とは反対側から延出して断熱材30を支持する支持部12とを有し、中間延出部13の係止フランジ部14側のリブ有り板部24のベース部材110側にリブ23,23が設けられた状態となる。
以上の挿入工程後の断熱材支持具11,11,…は、それぞれが、中間延出部13の主としてリブ無し板部25を断熱材30とベース部材110との間に配置し、リブ有り板部24をリブ無し板部25よりも幅方向Yの内側に位置させた状態になる。その結果、幅方向Yの両側の断熱材支持具11,11のリブ有り板部24,24間の間隔が断熱材30の幅方向Yの長さよりも狭くなり、リブ有り板部24,24が支持部12,12とで断熱材30を厚さ方向Zに挟む状態となり、断熱材30の断熱材支持具11,11からの外れを規制する。
次の組立体60の挿入工程では、ベース部材110,110に既に支持された既設の組立体60の断熱材30の長さ方向Xの端部に、次の組立体60の断熱材30の長さ方向Xの端部を突き当てるようにして、この次の組立体60を上記と同様にしてベース部材110,110の内面111,111間に挿入する。
以上の挿入工程を繰り返し行って、全体としてベース部材110,110と同等の長さとなるように複数の組立体60,60,…が並べられる。なお、予め複数の組立体60,60,…を断熱材支持具11,11,…で長さ方向Xに連結して所定長さの連結体としてから、一度にベース部材110,110の内面111,111間に挿入しても良い。
そして、屋根のすべてのベース部材110,110間に、組立体60,60,…を配置して(言い換えれば、断熱材30,30,…を断熱材支持具11,11,…によって取り付けて)から、ベース部材110,110を覆うようにして図8に示す屋根部材120がベース部材110,110の上面112,112上に設置され、この屋根部材120がベース部材110,110に固定される。これにより、断熱材支持具11,11,…の係止フランジ部14,14,…が屋根部材120とベース部材110,110とに挟持される。この状態で、断熱材30と屋根部材120との間には隙間が形成されることになる。この隙間は通気層130として使用されることになる。
以上に述べた第1実施形態によれば、断熱材支持具11の支持部12に断熱材30を配置する工程と、中間延出部13を断熱材30とベース部材110との間に配置しつつ係止フランジ部14をベース部材110に係止する工程とを行うことにより、断熱材支持具11が支持部12で断熱材30を支持し、中間延出部13を断熱材30とベース部材110との間に配置して係止フランジ部14をベース部材110に係止することになる。このとき、断熱材支持具11は、中間延出部13のベース部材110側かつ係止フランジ部14側に設けられたリブ23,23がベース部材110で押されて、中間延出部13の係止フランジ部14側のリブ有り板部24を断熱材30側に倒す。
このように、断熱材支持具11は、ベース部材110に係止フランジ部14で係止されることから、ベース部材110の幅に合わせて製造する必要がなくなり、コストを抑えることができる。また、倒れた中間延出部13の係止フランジ部14側のリブ有り板部24が支持部12とで断熱材30を厚さ方向Xの両側から挟む状態となり、断熱材支持具11からの断熱材30の外れを規制する。よって、断熱材30に取り付けのための溝を形成しなくても良くなることから、コストを抑えることができる。
加えて、リブ23,23がベース部材110で押されて中間延出部13の係止フランジ部14側のリブ有り板部24を断熱材30側に倒すと中間延出部13に戻り方向の反発力が発生する。よって、施工時に断熱材30がベース部材110,110間に強く押し込まれ、係止フランジ部14に、これをベース部材110の上面112から外そうとする力(リブ有り板部24をさらに支持部12に近づけようとする力)が加わることが例えあったとしても、中間延出部13の反発力がこの力に対抗することになって、係止フランジ部14がベース部材110の上面112から外れてしまうことを抑制できる。したがって、施工の作業性を向上させることができる。
また、リブ23,23は、係止フランジ部14側ほど中間延出部13からの突出量が大きくなっているため、リブ23,23がベース部材110で押される際に、中間延出部13の係止フランジ部14側のリブ有り板部24を断熱材30側に徐々に倒すことになり、一度に大きな力を必要としない。したがって、施工の作業性をより向上させることができる。
また、リブ23,23は、係止フランジ部14と中間延出部13とに跨がって形成されているため、中間延出部13の係止フランジ部14側のリブ有り板部24を断熱材30側に倒す機能と、係止フランジ部14の中間延出部13に対する倒れを抑制する機能とを併せ持つことになる。リブ23,23が係止フランジ部14の中間延出部13に対する倒れを抑制することにより、施工時に組立体60がベース部材110,110間に強く押し込まれることが例えあったとしても、係止フランジ部14がベース部材110の上面112から外れてしまうことをさらに抑制できる。
また、係止フランジ部14と中間延出部13とが鋭角をなしているため、リブ23,23が、中間延出部13の係止フランジ部14側のリブ有り板部24を断熱材30側に倒した状態で、係止フランジ部14をベース部材110の上面112に良好に接触させることができる。よって、断熱材支持具11のベース部材110への係止が良好になる。
また、リブ23,23は、中間延出部13とは反対側の縁部26,26が係止フランジ部14に対し垂直に延在しているため、中間延出部13の係止フランジ部14側のリブ有り板部24を断熱材30側に倒した状態で、係止フランジ部14をベース部材110の上面112に、より良好に接触させることができる。よって、断熱材支持具11のベース部材110への係止がより良好になる。
断熱材支持具11を合成樹脂製とすることで、低コストで製造することができる。また、金属製とした場合に冷橋となって結露を生じる可能性があるが、断熱材支持具11を合成樹脂製とすることで、このような結露の発生を抑制することができる。
次に、本発明の第2実施形態について、主に図9,図10を参照して第1実施形態との相違部分を中心に説明する。第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
図9に示すように、第2実施形態の断熱材支持具11Aは、第1実施形態の中間延出部13とは一部異なる中間延出部13Aを有しており、詳しくは、第1実施形態のリブ無し板部25とは一部異なるリブ無し板部25Aを有している。リブ無し板部25Aには、支持部12と係止フランジ部14とを結ぶ方向における中間部分に変形容易な易変形部140が形成されている。よって、中間延出部13Aには、リブ23,23よりも支持部12側に変形容易な易変形部140が形成されている。
中間延出部13Aの板厚方向の支持部12側には溝状のノッチ141が形成されており、このノッチ141の底部がリブ無し板部25Aの他の部分よりも薄肉に形成されて易変形部140となっている。この易変形部140は、境界部16,17と平行をなしてリブ無し板部25Aの全長にわたって形成されている。これにより、リブ無し板部25Aは、易変形部140を折れ線として折れ曲がり可能となっている。
このような断熱材支持具11Aが、支持具装着工程によって、第1実施形態と同様に断熱材30に取り付けられることになるが、図10に示すように断熱材30に取り付けられた状態で、易変形部140を折れ線として折り畳み可能となる。断熱材支持具11Aを、易変形部140を折れ線として折り畳むと、リブ23,23の縁部26,26がリブ無し板部25Aの易変形部140よりも支持部12側に当接し、係止フランジ部14が支持部12に上下に重なる状態となる。また、この状態で、断熱材支持具11Aは断熱材30の上面33から上方に突出することはない。よって、断熱材支持具11A,11A,…および断熱材30の組立体60Aは、断熱材支持具11A,11A,…を折り畳んだ状態では、厚さ方向Zおよび幅方向Yの両方向においてコンパクトになる。
その後、組立体60Aは、断熱材支持具11A,11A,…の易変形部140,140,…が戻されリブ無し板部25Aの全体が平面状にされた状態で、第1実施形態と同様にしてベース部材110,110に取り付けられる。
以上に述べた第2実施形態の断熱材支持具11Aによれば、中間延出部13Aのリブ23,23よりも支持部12側に易変形部140が形成されているため、断熱材支持具11Aを易変形部140で折り畳んでコンパクトにできる。よって、組立体60Aの運搬時や断熱材支持具11Aの運搬時等に、断熱材支持具11Aが邪魔になりにくい。
次に、本発明の第3実施形態について、主に図11,図12を参照して第1実施形態との相違部分を中心に説明する。第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
図11に示すように、第3実施形態の断熱材支持具11Bは、第1実施形態の二つの断熱材支持具11,11を共通の支持部12Bで連結させた形状をなしている。つまり、断熱材支持具11Bには、一対の第1実施形態と同様の係止フランジ部14,14が設けられるとともに、一対の第1実施形態と同様の中間延出部13,13が設けられ、さらに、二対の第1実施形態と同様のリブ23,23,…が設けられている。そして、断熱材支持具11Bは、中間延出部13,13の係止フランジ部14,14とは反対側同士が支持部12Bで連結されている。この支持部12Bは、図12に示すように、断熱材30の下面45の幅方向Yの長さに合わせて形成されている。この支持部12Bにも、第1実施形態と同様の突起部21,21,…が形成されている。
第3実施形態では、支持具装着工程において、断熱材支持具11Bを、断熱材本体31に下面45側から突起部21,21,…を食い込ませつつ、この下面45に支持部12B上の両面テープを接着させて、断熱材30に取り付ける。その際に、断熱材本体31の一方の側面43に一方の中間延出部13を当接させ、他方の側面43に他方の中間延出部13を当接させる。このようにして、断熱材支持具11Bを所定の数だけ断熱材30の長さ方向Xの所定の位置に取り付けて組立体60Bを得る。
その後、組立体60Bが、第1実施形態と同様にしてベース部材110,110に取り付けられる。
以上に述べた第3実施形態の断熱材支持具11Bによれば、一対の係止フランジ部14,14が設けられるとともに一対の中間延出部13,13が設けられ、これら中間延出部13,13同士が支持部12Bで連結されているため、断熱材30を支持する支持剛性を高めることができる。
なお、第3実施形態の断熱材支持具11Bの中間延出部13,13に第2実施形態の易変形部140,140を設けても良い。
次に、本発明の第4実施形態について、主に図13を参照して第3実施形態との相違部分を中心に説明する。第3実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
図13に示すように、第4実施形態の断熱材支持具11Cは、第3実施形態の断熱材支持具11Bの支持部12Bを連結可能に分割したものである。つまり、断熱材支持具11Cは、二つの分割体11Ca,11Cbからなっており、一方の分割体11Caには、第1実施形態と同様の係止フランジ部14、中間延出部13およびリブ23,23が設けられ、第1実施形態とは一部異なる支持部12Caが設けられている。支持部12Caは、中間延出部13からの延出長さが第1実施形態よりも長い。また、支持部12Caには、これと垂直をなして、中間延出部13の延出方向と同方向に突出する複数の突起部21,21,…が形成されている。具体的には、支持部12Caの中間延出部13からの延出方向の位置を合わせて二カ所の突起部21,21が形成され、このような突起部21,21の列が、境界部16の延在方向の位置を揃えて、支持部12Caの中間延出部13からの延出方向に等間隔で複数列形成されている。
また、他方の分割体11Cbは、第1実施形態と同様の係止フランジ部14、中間延出部13およびリブ23,23が設けられ、第1実施形態とは一部異なる支持部12Cbが設けられている。支持部12Cbは、中間延出部13からの延出長さが第1実施形態よりも長い。また、支持部12Cbには、これをその板厚方向に貫通する複数の貫通孔151,151,…が形成されている。具体的には、支持部12Cbの中間延出部13からの延出方向の位置を合わせて二カ所の貫通孔151,151が形成され、このような貫通孔151,151の列が、境界部16の延在方向の位置を揃えて、支持部12Cbの中間延出部13からの延出方向に等間隔で複数列形成されている。
二つの分割体11Ca,11Cbは、支持部12Ca,12Cbが、貫通孔151,151,…の適宜のものに突起部21,21,…の適宜のものを嵌合させて連結される。つまり、支持部12Ca,12Cbは、貫通孔151,151,…に対して嵌合する突起部21,21,…を変更することで、複数の異なる位置で連結可能となっており、その結果、支持部12Ca,12Cbを繋げた長さ、すなわち中間延出部13,13の間隔を調整可能となっている。二つの分割体11Ca,11Cbは、中間延出部13,13の間隔が断熱材30の下面45の幅方向Yの長さに合う間隔となる位置で、支持部12Ca,12Cbが貫通孔151,151,…の適宜のものに突起部21,21,…の適宜のものを嵌合させて連結される。その際に、支持部12Ca,12Cbの重なり合う部分が両面テープで接着させられる。
第4実施形態では、支持具装着工程において、断熱材支持具11Cを、断熱材30の断熱材本体31に下面45側から突起部21,21,…を食い込ませつつ、この下面45に、支持部12Ca,12Cb上の両面テープを接着させて断熱材30に取り付ける。その際に、断熱材本体31の一方の側面43に一方の分割体11Caの中間延出部13を当接させ、他方の側面43に他方の分割体11Cbの中間延出部13を当接させる。このようにして、断熱材支持具11Cを所定の数だけ断熱材30の長さ方向Xの所定の位置に取り付けて組立体を得る。
その後、組立体が、第1実施形態と同様にしてベース部材110,110に取り付けられる。
以上に述べた第4実施形態の断熱材支持具11Cによれば、複数の異なる位置で連結可能に分割された支持部12Ca,12Cbを有しているため、幅の異なる断熱材30を支持することができる。
なお、第4実施形態の断熱材支持具11Cの中間延出部13,13に第2実施形態の易変形部140,140を設けても良い。
次に、本発明の第5実施形態について、主に図14,図15を参照して第1実施形態との相違部分を中心に説明する。第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
図14に示すように、第5実施形態の断熱材支持具11Dは、第1実施形態の支持部12に対して突起部21,21が形成されていない点が異なる支持部12Dが設けられている。また、第5実施形態の断熱材支持具11Dは、第1実施形態に対して、中間延出部13の板厚方向のリブ23,23とは反対側に挟持部160が設けられ、支持部12Dの中間延出部13の延出方向とは反対側に補強部161が設けられ、補強部161と支持部12Dとの間に補強リブ162,162が設けられている。
挟持部160は、平板状をなしており、中間延出部13から境界部16,17と平行をなして延出している。挟持部160には、支持部12D側に突出する複数の突起部163,163が形成されている。
補強部161は、平板状をなしており、支持部12Dからこれと垂直をなして中間延出部13とは反対方向に延出している。補強部161は、境界部16上に形成され、境界部17と平行をなしている。補強リブ162,162は、境界部16の延在方向に間隔をあけて形成されており、支持部12Dおよび補強部161のそれぞれと垂直をなしてこれらを繋ぐように形成されている。
第5実施形態では、支持具装着工程において、断熱材支持具11Dを、断熱材30の断熱材本体31の下面45に、支持部12D上に予め貼着された両面テープを接着させて取り付ける。その際に、断熱材本体31の側面43に中間延出部13を当接させる。このようにして、断熱材支持具11Dを第1の実施形態と同様、所定の数だけ断熱材30に取り付けて組立体60Dを得る。この組立体60Dは、中間延出部13の断熱材30側に挟持部160が設けられている。
その後、組立体60Dが、第1実施形態と同様にしてベース部材110,110に取り付けられる。すると、図15に示すように、断熱材支持具11Dのリブ有り板部24が断熱材30に幅方向Yにおいて内側に傾くことになり、リブ有り板部24に設けられた挟持部160が厚さ方向Zにおいて断熱材30に近づいて支持部12とで断熱材30を挟持することになる。その際に、突起部163,163が断熱材30に上面33側から食い込む。
以上に述べた第5実施形態によれば、中間延出部13の断熱材30側には、支持部12Dとで断熱材30を挟持する挟持部160が設けられているため、支持部12Dと挟持部160とで断熱材30を挟持することになり、断熱材30の断熱材支持具11Dからの外れをより規制することができる。したがって、施工の作業性をより向上させることができる。
なお、第5実施形態を第3実施形態と同様に変更して、第5実施形態の二つの断熱材支持具11D,11Dを共通の支持部で連結させても良く、この場合、第4実施形態のように支持部を複数の異なる位置で連結可能に分割しても良い。
第1〜第5実施形態の断熱材30としては、断熱材支持具11,11A,11B,11C,11Dをベース部材110とで挟持した場合に、これらの形状に合わせて変形可能なものが良く、上記したセルロース(古紙)を含む発泡体により形成されるもの以外に、例えば、グラスウールやロックウール等の繊維系材料で形成したものを用いることが可能である。