JP2015229787A - アルミニウム凝着による鉄系材料の表面改質方法と表面改質材 - Google Patents

アルミニウム凝着による鉄系材料の表面改質方法と表面改質材 Download PDF

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隆雄 八▲高▼
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篤則 岩瀬
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Abstract

【課題】本発明の課題は、鉄系材料からなる基材の表面に耐酸化性の良好なFeAl金属間化合物層を良好な密着性で容易に生成できる表面改質方法とその方法により得られる表面改質材を提供することにある。【解決手段】本発明は、鉄系材料からなる基材の表面にAlまたはAl合金の粒子を凝着させた凝着層を形成した後、前記凝着層の上にAlまたはAl合金の粉末を溶媒中に分散させた溶液を塗布して塗布層を形成し、前記基材と前記塗布層を500〜1050℃に加熱して前記溶媒を揮発させるとともに前記塗布層中のAlまたはAl合金の粉末の元素を前記基材の表面側に拡散させて前記粉末中のAlと前記基材中のFeを反応させてFe2Al5を主体とする一次拡散層を形成した後、前記一次拡散層を形成した際の加熱温度より高い温度に加熱してFeAlを主体とする二次拡散層を生成することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、鉄系材料の表面をアルミニウム凝着により改質する方法と該改質方法により得られた表面改質材に関する。
鋼の表面に鉄(Fe)とアルミニウム(Al)からなる合金層を形成して力学的特性を改善する手法の一例としてアルミナイジング処理が知られている。特に、Fe原子とAl原子が鉄リッチな金属間化合物層を形成する高温アルミナイジング処理の場合には、機械的特性のみならず耐食性や耐酸化性を改善できることが知られている。
アルミナイジング処理では最初に鋼表面にAl層を形成させ、これを内部に拡散させて望みの合金層を得ることができる。このAl層の形成方法としては、溶融Al中へ鋼を浸漬する溶融Alめっき法、Al箔を鋼表面に圧着する方法 、およびAl溶射法が知られている。
アルミナイジング処理の他の例として、耐熱性の金属箔の表裏面にAl粉末とCr粉末を付着させ、1000℃に数時間加熱してAlとCrを金属箔の内部に拡散させ、AlとCrの拡散層を形成することで箔に耐酸化性を付与する方法が知られている(特許文献1参照)。
また、金属間化合物として耐食性に優れるFeAlを利用する手法の一例として、鋼または鋳鉄の表面に、アルミニウム、クロムおよび鉄からなる合金膜をめっきにより成膜し、この合金膜を高温拡散処理してクロムを含有する金属間化合物層を形成する方法が知られている(特開2012−201893号公報)。
特開平05−093258号公報 特開2012−201893号公報
しかし、溶融Alめっき法を用いる従来方法では付着するAl層の膜厚制御が難しいこと、Al箔圧着法では曲面の応用に限界があること、および溶射法では装置が大掛かりになる等の問題を抱えている。
そこで、より簡便な方法を採用することで、曲面に対しても膜厚を制御してAl層を形成させる手法として、Al粉末を鋼表面に付着させ、その後Alを加熱拡散させることにより合金層を形成させる手法を研究し、本願発明に到達した。
本発明は、前記従来の問題点に鑑みなされたものであって、鉄系材料からなる基材の表面に耐酸化性の良好なFeAl金属間化合物層を良好な密着性で容易に生成できる表面改質方法とその方法により得られる表面改質材を提供することにある。
本発明は、前記課題を解決する手段として、以下の構成を有する。
(1)本発明は、鉄系材料からなる基材の表面にAlまたはAl合金を凝着させた凝着層を形成した後、前記凝着層の上にAlまたはAl合金の粉末を溶媒中に分散させた粉末ペーストを塗布して塗布層を形成し、前記基材と前記塗布層を大気中において500〜1050℃に加熱して前記溶媒を揮発させるとともに前記塗布層中のAlまたはAl合金の粉末の元素を前記基材の表面側に拡散させて前記粉末中のAlと前記基材中のFeを反応させてFeAlを主体とする一次拡散層を形成した後、大気中において前記一次拡散層を形成した際の加熱温度より高い温度に加熱してFeAlを主体とする二次拡散層を生成することを特徴とする。
(2)本発明において、前記凝着層を形成する際、前記基材の表面にAlまたはAl合金からなる固体を擦り付けて前記基材の表面に機械的にAlまたはAl合金の凝着層を形成することが好ましい。
(3)本発明において、前記溶媒としてアルコールを用い、前記粉末とアルコールの配合量を調整して粘度調整した溶液を前記基材上に塗布することが好ましい。
(4)本発明において、前記二次拡散層を形成する際の加熱温度を750〜1100℃とすることが好ましい。
(5)本発明において、前記一次拡散を形成する場合の加熱時の昇温速度を0.21℃/s以下とすることが好ましい。
(6)本発明の表面改質材は、鉄系材料からなる基材の表面に、AlまたはAl合金の粉末の溶融凝固物からなるαFeの下部拡散層と、該下部拡散層上に形成されたFeAlからなる上部拡散層を備えたことを特徴とする。
(7)本発明の表面改質材において、前記αFeからなる下部拡散層と前記FeAlからなる上部拡散層がいずれも各層の面方向に連続形成され、前記下部拡散層が前記基材表面に密着され、前記上部拡散層が前記下部拡散層に密着されたことが好ましい。
本発明によれば、鉄系材料の基材表面に耐食性、耐酸化性を有する均一なFeAl金属間化合物層を良好な密着性で生成させることができる。また、大気中で所定の温度に2段階で加熱し元素拡散を行うという簡便な方法により容易にFeAl金属間化合物層を基材表面に生成することができる。
このため、鉄系材料の基材表面に靭性が高く、耐摩耗性に優れ、アルカリに対してほとんど腐食せず、塩に対しても一定の耐食性を有するFeAl金属間化合物層を形成することができる効果を奏する。
鉄系材料からなる基材表面にアルミニウムのロッドを擦り付けて凝着層を形成する状態の一例を示す説明図。 図2は実施形態において表面改質材を製造する方法の一例を示すもので、図2(a)はAlまたはAl合金の粉末に溶媒を添加し混合する工程を示す説明図、図2(b)は基材表面に溶媒を塗布する直前の状態を示す断面図、図2(c)は基材表面に塗布層を形成した状態を示す断面図、図2(d)は加熱後に一次拡散層を形成した状態を示す断面図。 図3は塗布層の形成過程の一例を示すもので、図3(a)は原料の混合工程の一例を示す斜視図、図3(b)は基材表面に塗布層を形成した状態を示す説明図。 熱処理後に得られた表面改質材の断面図。 実施例の各工程において基材表面を観察した結果を示すもので、図5(a)は研磨後の基材表面を示す組織写真、図5(b)は基材表面にアルミニウムを凝着した状態を示す組織写真。 Alを凝着させたことによる一次拡散による変化を示すもので、図6(a)は基材表面研磨後にAl粉末ペーストを塗布してから一次拡散した状態を示す断面組織写真、図6(b)は基材表面研磨後にアルミニウムを凝着させてからAl粉末ペーストを塗布して一次拡散した状態を示す断面組織写真。 Al粉末の付着状態による一次熱処理組織へ及ぼす効果を調べた断面写真であり、図7(a)はAl粉末のみを圧縮して基材表面に塗布した後に一次熱処理を行った状態を示す断面組織写真、図7(b)はAl粉末ペーストを塗布した状態を示す断面組織写真、図7(c)はAlろう付け用フラックスとAl粉末の混合ペーストを塗布した後に一次熱処理を行った状態を示す断面組織写真、図7(d)はホウ酸水溶液とAl粉末の混合ペーストを塗布した後に一次熱処理を行った状態を示す断面組織写真。 一次熱処理で形成されたFeAlの均一分布の程度による二次熱処理でのFeAlの形成状態を示すもので、図8(a)は0.2℃/s以下の昇温速度で750℃(1023K)まで加熱後1時間保持した場合に基材表面に生成されたFeAl層の断面組織写真、図8(b)は図8(a)に示す試料を1000℃(1273K)に加熱して二次拡散した結果生成されたFeAl層の断面組織写真。 一次熱処理で形成されたFeAlの均一分布の程度による二次熱処理でのFeAlの形成状態を示すもので、図9(a)は0.2℃/s以上の昇温速度で850℃(1123K)まで一次拡散した場合に生成したFeAl層の断面組織写真、図9(b)は図9(a)に示す試料を1000℃(1273K)で3.6ksの二次拡散を施した場合に生成したFeAl層の断面組織写真。 アルミニウムを凝着させてからAl粉末ペーストを塗布して その後の一次熱処理の温度の影響を調べたもので、図10(a)は1次熱処理を27℃(300K)で行った試料の組織写真を示す断面図、図10(b)は1次熱処理を650℃(923K)で行った試料の組織写真を示す断面図、図10(c)は1次熱処理を700℃(973K)で行った試料の組織写真を示す断面図、図10(d)は1次熱処理を750℃(1023K)で行った試料の組織写真を示す断面図、図10(e)は1次熱処理を800℃(1073K)で行った試料の組織写真を示す断面図、図10(f)は1次熱処理を850℃(1123K)で行った試料の組織写真を示す断面図、図10(g)は900℃(1173K)で行った試料の組織写真を示す断面図、図10(h)は1次熱処理を1000℃(1273K)で行った試料の組織写真を示す断面図。 図10の一次熱処理を種々の温度で行う場合の温度毎の熱履歴を示すグラフ。 Fe−C系の2元系状態図に一次熱処理を行う温度をプロットした説明図。 一次熱処理によって基材表面に形成されたFeAlの断面組織写真を示すもので、図13(a)は650℃で形成した合金層の断面組織写真、図13(b)は1123Kで形成した合金層の断面組織写真。 図13に示す合金層の微小硬さ(HV)を測定した結果を示すもので、図14(a)は図13(a)に示す合金層の硬さ測定結果、図14(b)は図13(b)に示す合金層の硬さ測定結果。 アルミニウムを凝着させてからAl粉末ペーストを塗布してその後に750℃で一次熱処理を行う場合の3つの昇温速度例を示すグラフ。 図15に示す3つの昇温速度のうち、各速度例の場合に得られた合金層を示すもので、図16(a)は1023Kに急速加熱した場合に得られた断面組織写真、図16(b)は1023Kに3.6ksかけて加熱した場合に得られた断面組織写真、図16(c)は1023Kに7.2ksかけて加熱した場合に得られた断面組織写真。 アルミニウムを凝着させてからAl粉末ペーストを塗布してその後に一次熱処理する場合の昇温速度を一定として保持時間を替える場合の加熱条件の例を示すグラフ。 図17に示す各加熱条件において得られた合金層を示すもので、図18(a)は加熱条件を0sとした場合に得られた合金層の断面組織写真、図18(b)は加熱条件を1.8ksとした場合に得られた合金層の断面組織写真、図18(c)は加熱条件を3.6ksとした場合に得られた合金層の断面組織写真、図18(d)は加熱条件を7.2ksとした場合に得られた合金層の断面組織写真。 アルミニウムを凝着させてからAl粉末ペーストを塗布してその後に850℃において一次熱処理する時の3つの昇温速度例を示すグラフであり、図19(a)は急速加熱した場合の組織写真、図19(b)は4ksかけて加熱した場合の組織写真、図19(c)は7ksかけて加熱した場合の組織写真。 図19に示す組織を得るために行った加熱速度を示すもので、図20(a)は急速加熱時の温度履歴を示すグラフ、図20(b)は4ksかけて加熱した場合の温度履歴を示すグラフ、図20(c)は7ksかけて加熱した場合の温度履歴を示すグラフ。 一次熱処理で得られるFeAl層と二次熱処理で得られるFeAlの断面組織を示すもので、図21(a)は不安定なFeAl層の一例を示す組織写真、図21(b)は安定的なFeAl層の一例を示す組織写真、図21(c)は安定的なFeAl(Cr)層の一例を示す組織写真、図21(d)は不安定なFeAl層から生成されたFeAl層の一例を示す組織写真、図21(e)は安定的なFeAl層から生成されたFeAl層の一例を示す組織写真、図21(f)は安定的なFeAl(Cr)層から生成されたFeAl(Cr)層の一例を示す組織写真。
「第一実施形態」
以下に、本発明の第一実施形態について、図面を適宜参照しながら説明する。
本実施形態の製造方法では、被覆対象物として鉄鋼材料からなる基材1を用い、高温アルミナイジング処理を行う。用いる基材は円盤状、長方形板などの矩形板状、塊状、ブロック状、シート状、管状など、任意の形状を用いることが好ましい。
基材1に対し、異物を除去して表面を清浄化するために、表面を研削あるいは研磨しておくことが好ましい。例えば、#500程度の研磨紙を用いて表面を研磨しておくことができる。
基材1に対し、AlあるいはAl合金からなる固体、例えば丸棒状のロッド2を用意し、このロッド2を回転させながら基材1の表面に押し付ける操作、即ち擦り付ける操作を複数回繰り返す。この処理によりロッド2の表面に存在しているAlが基材1の表面に擦り付けられて微細なAlの凝着層3を基材1の表面に生成することができる。
ロッド2を回転させる場合の速度は、基材1の表面に凝着層3を確実に形成するために、例えば、回転数:12000〜17000rpm、押し付け力:12N〜15Nの条件を採用できる。基材1の全面等、必要な位置に凝着層3を形成するため、ロッド2を擦り付けつつ0.2m/sなどの低速でロッド2を移動させながら基材1の表面に凝着層3を形成することが好ましい。凝着層3の厚さは特に制限はないが、前述の#500の研磨紙で表面を研磨すると、5〜10μm程度の凹凸面となるので、この凹凸面を埋めることができる程度の厚さの凝着層3とすることが好ましい。
なお、凝着層3を形成する手段は、基材3の表面に機械的にAlを被覆した層を形成すればよいので、ロッド2による回転押圧法の他に、AlまたはAl合金のボールを基材1の必要領域に高速で衝突させるショットピーニング法を用いても良い。AlまたはAl合金のボールを用いたショットピーニング法によってもロッド2を用いた回転押圧法と同様の凝着層3を形成できる。また、凝着層3を形成する方法として、シート状のAlを基材1の必要な面に被せて圧着するクラッド法により形成することもできる。また、AlまたはAl合金製の多数の針を備えた多芯タガネ(日東工器商品名)型の擦り付け治具を用いて基材1の表面を擦過し、基材1の表面の必要な領域にAlの凝着層3を形成することもできる。
基材1の表面全体を改質する必要がある場合はロッド2を基材1の表面全体に複数回擦り付けつつ移動させて凝着層3を基材1の表面全面に形成する。また、基材1の表面全体ではなく必要な領域のみ改質する必要がある場合は、必要な領域のみにロッド2を擦り付けて必要な領域のみ改質することもできる。あるいは、基材1の表面全域に凝着層3を形成しておき、後述するAl粉末ペーストを改質が必要な領域のみ塗布しても良い。
ロッド2を構成するアルミニウム材料は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を用いることができ、特に限定されない。具体的には、例えば、純アルミ系の1000系合金、Al−Cu系、Al−Cu−Mg系の2000系合金、Al−Mn系の3000系合金、Al−Si系の4000系合金、Al−Mg系の5000系合金、Al−Mg−Si系の6000系合金、Al−Zn−Mg−Cu系、Al−Zn−Mg系の7000系合金、Al−Fe−Mn系の8000系合金などが用いられる。中でも純Al系合金、Al−Si系合金が望ましいが、これらに限るものではない。
次に、図2に示すようにAlあるいはAl合金の粉末5を必要量用意し、粉末5にアルコール系の溶媒6を添加して容器7に収容し、これらを混練して粉末ペースト8を形成する。
粉末5は上述のロッド2を構成する純アルミニウムまたはアルミニウム合金として列挙した材料と同様の材料を選択できる。粉末の粒径は、例えば10〜300μm程度、望ましくは30〜200μm程度の粒径の粉末を用いることができるが、これらの範囲に限るものではなく、前記範囲より微細径あるいは前記範囲より大きな粒径の粉末を用いても差し支えない。
溶媒6は、一例としてグリセリンとエチルアルコールの混合物を用いることができる。グリセリンとアルコールの混合量を適切な配合比とすることで溶媒6としての粘度を調整することができる。溶媒6の粘度を調整することで粉末5と溶媒6を混合して製造する粉末ペースト8の粘度を調整することができ、後述するように基材1の表面に粉末ペースト8を塗布する場合に粘度が低すぎると塗布物が流れ落ちる問題があり、粘度が高すぎると基材1の表面に均一な厚さに塗り拡げることが難しくなるおそれがある。
溶媒6を構成するアルコールとして、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、グリセリン、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、リノリルアルコール等のいずれのアルコールを用いても良い。これらアルコール類の配合を調整して塗布物として好適な粘度に調整することが好ましい。
前記粉末ペースト8を作製したならば、図2(b)〜図2(c)に示すように基材1の表面に粉末ペースト8を必要な厚さに塗布して塗布層9を形成する。塗布層9の厚さは例えば1mm程度とすることができるが、0.05mm〜5mm程度の厚さに形成することができる。この範囲内であっても0.2〜2mmの厚さが好ましい。塗布する方法は刷毛塗り、へら塗り、ドクターブレード法などの印刷法などの公知の方法で良い。粘度の状態に応じて噴射法などを採用しても良い。本実施形態では熱処理を大気中で行うので、塗布厚が薄い場合は酸化が進行し、逆に5mm以上厚い場合は無駄なFeAl層が残留してしまうおそれがある。
粉末ペースト8を作製する場合、図3に示すように容器7に対しAlまたはAl合金の粉末5の他に、上述した各種アルコールのうち、2種類のアルコール6a、6bを混合するか、アルコールに松ヤニ、フラックス等の油脂を混合して粘度調整しても良い。即ち、アルコールに対し粘度調節を行う添加剤を添加するか、粘度の異なるアルコールを複数秤量し混合することで粘度調整しても良い。粉末ペースト8の粘度が低すぎると塗布しようとする基材1の表面から流れ落ちるか、必要な厚さに塗布できない。粉末ペースト8の粘度が高すぎると、必要な領域に塗り拡げることが難しくなる。適切な粘度とすることで、基材1の必要箇所に上述の厚さの塗布層9を形成できる。粉末ペースト8の粘度として水飴の粘度と同程度に調整することができる。より具体的な粘度として、1×10〜10mPa・S(B型粘度計による)の範囲の粘度を採用することができる。
一例として平均粒径45μmの純Alの粉末5を10g用意し、これにグリセリンとエチルアルコールを合計25ml添加して配合することができる。また、FeAlにCrを添加する場合、平均粒径45μmのAl−12at%Cr粉末を用いることができる。
基材1上に塗布層9を形成したならば、大気中において全体を500〜1050℃(773〜1323K)の温度に加熱する一次熱処理を施して塗布層9を溶融させ、塗布層9中のAlを基材1の表面のFeと拡散反応させる一次熱処理を施してFeAl層を主体とする一次拡散層10を形成する。一次熱処理の温度は、700〜850℃であることが好ましく、750〜800℃であることがより好ましい。
前述の温度に加熱する際、急速に加熱するとFeAl層中にボイドなどの欠陥部分やFeAlの不均一な部分が多く生成するので、徐々に加熱することが好ましい。昇温速度として例えば750℃(1023K)まで温度上昇するための時間として3.6〜7.2ks(1〜2時間)必要な昇温速度を例示することができる。よって、0.21℃/s以下の速度で昇温することが望ましい。FeAl層中にボイドなどの欠陥部分が多く生成すると、後述する二次熱処理を施してFeAl層を形成したとしても、不均一な厚さのFeAl層を生成してしまう。
一次熱処理する際の加熱温度を維持する時間は任意でよいが、10分以上が望ましい。
一次熱処理終了後、全体を一次熱処理時の加熱温度よりも高い温度、例えば、850〜1050℃(1123〜1323K)の温度に加熱する二次熱処理を施し、二次拡散を行ってFeAl層をFeAl層に変質させる。二次熱処理の温度は1000℃前後、例えば、950〜1050℃の範囲がより好ましい。
FeAl層は、一次熱処理によりFeとAlが先に反応して形成される層であり、高温まで安定しているので二次熱処理時のAl原子の供給源として利用することができる。FeAl層は硬いが極めて脆いのでFeAl層のままでは空孔やクラックなどの欠陥が入り易い。このため二次熱処理で更に高温で元素拡散させてFeとAlの反応を進行させ、FeAl金属間化合物層(以下、FeAl層と略記する)を生成させる。
FeAl層は靭性が高く耐摩耗性にも優れている。また、FeAlはアルカリに対してほとんど腐食せず、塩に対しては一定の耐食性を有する。なお、FeAl層にはCrを添加していても良い。Crを約12%含むFeAl(Cr)層は機械的特性のみならず、一般的な酸(塩酸、硝酸、硫酸など)に対する耐食性も優れている。
FeAl層を主体とする一次拡散層10に対し大気中において二次熱処理すると、図4に示すように一次拡散層10は基材1に近い側のαFe層からなる下部拡散層11と基材1から離れた側のFeAl層からなる上部拡散層12に分離する。あるいは熱処理条件によって、上部拡散層12の上にFeAl層が残留した3層構造となる。
このFeAl層からなる上部拡散層12は基材1に対し下部拡散層11を介し良好な密着性で接合しており、上述のように靭性に優れ耐摩耗性、耐食性に優れるので、基材1の表面改質ができたこととなる。
なお、熱処理条件によって最表面にFeAl層が残留した3層構造となった場合、最表面に存在するFeAl層は脆いので比較的容易に剥離する。このため、3層構造の最表面を研磨するなどの方法を採用すると、表面のFeAl層を容易に分離除去できる。FeAl層の分離除去後に表面に残るFeAl層からなる上部拡散層12は、下部拡散層11を介し基材1に対する密着性に優れ耐摩耗性に優れるので、基材1の表面改質ができたこととなる。
即ち、耐食性、耐摩耗性、耐アルカリ性、耐塩性の面で鋼材は不足な面があるが、表面にFeAl層を被覆することで、耐食性、耐摩耗性、耐アルカリ性、耐塩性の面で優れた部材を提供できる。
以上説明した方法によれば、鉄系の材料からなる基材1の必要位置に粉末ペースト8を塗布し、大気中において一次熱処理と二次熱処理を行うことで基材1の表面改質が容易にできる。従って、鋼材からなる構造部材や配管などにおいて、耐食性や耐摩耗性が必要な部位に粉末ペースト8を塗布した後に、大気中で必要な温度にバーナーやヒーターで加熱するなどの簡便な方法で必要な位置にFeAl層を形成して表面改質ができる。
「試験例1」
以下実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例の記載に制限されるものではない。
構造用炭素鋼S45Cを基材として用いた。凝着用のAlロッドには工業用純アルミニウム(純度99.6mass%)直径5mmの丸棒を用いた。またAl粉末は純度99.8mass%で平均粒径40μmのアトマイズ粉を用いた。鋼表面(基材表面)の活性化は、図1の模式図で示すように#500の研磨紙で表面仕上げ後、十分に脱脂した鋼表面を直径3mmφの純Al棒を1200rpm(速度0.2m/s)で回転させ、回転しているAl棒を圧力10MPaで押し付けながら基材表面全域を移動させ、基材の表面が白色を呈する程度までAlを凝着させた。次にAlを凝着させた基材に対して図2、図3に示すプロセスによって高温アルミナイジング処理を行った。
すなわち、基材1の研磨面(上面)に図2(b)のようにAlを凝着させ、図2(c)のように表面にグリセリンでペースト状にしたAl粉末ペーストを塗布した。この試料に対しFeAl層を形成させるための一次拡散及び、FeAlを形成させるための二次拡散を行った。一次拡散は1023K(750℃)、3.6ks、二次拡散は1323K(1050℃)、3.6ksの条件で行った。また、本試験では全てのプロセスを大気中で行った。
S45Cの基材は、mass%でC:0.45、Si:0.19、Mn:0.71、P:0.017、S:0.027、Cr:0.14の組成比を有する鋼材である。
図5(a)、(b)に、研磨後およびAl凝着後の基材表面の光学顕微鏡写真を示す。図5(a)に示すように研磨後の基材表面には横方向に研磨痕が認められるが、図5(b)に示すようにAl凝着後では凝着したAlによって研磨痕がほとんど埋められている様子が認められる。
予備実験の結果Al粉末からの鋼表面への合金層の形成は、最初に750℃前後でFeAlが形成され、ついで1000℃前後でFeAl層からFeリッチな合金層への成長することがわかったので、先ずFeAl層の形成されやすさを調べた。その結果を図6に示す。
図6(a)は鋼表面を研磨後にAl粉末とグリセリンを混合し、エタノールで粘度調整したAl粉末ペーストを鋼材表面(基材表面)に塗布した試料、図6(b)は研磨後に鋼材表面にAlを凝着させてからAl粉末ペーストを塗布したものである。
いずれの場合にもAl粉末ペーストは、厚さ1mmとし、塗布後に750℃で1h加熱後、その断面の組織写真を撮影した。研磨後ではAlとFeの合金層は認められないが、表面にAlを凝着させた場合には合金層が白く認められる。この合金層の組成解析と硬さ測定の結果、FeAlであることを確認できた。
次に、Alを鋼材表面に凝着させた状態で、塗布するAl粉末と溶媒の影響を調べた。その結果を図7に示す。
図7(a)はAl粉末のみを圧縮して塗布した状態、図7(b)はAl粉末とグリセリン+アルコール(図6の(b)と同じ)、図7(c)はAlロウ付け用フラックスとAl粉末を混ぜた水で粘度調整してペースト状にして鋼材表面に塗布したもの、図7(d) は、ほう酸水溶液とAl粉末をペースト状にして塗布したものである。
いずれの場合にも塗布物のペーストは厚さ1mmとし、塗布後に750℃で1h加熱後、その断面の組織写真を撮影した結果が図7である。図7から明らかなように、表面にAlを凝着させ、かつAl粉末とグリセリン+エタノールの溶媒とした場合のみ、FeAl層が形成されていることが分かる。
750℃で一次拡散することによってFeAl層が形成された試料に対し、ニ次拡散によってFeAlを形成させるために、大気中において1000℃で1hの高温加熱を行った。
ここで、FeAlの形成には一次拡散条件によっての形成状態が異なった2つの昇温パターンを利用した。一つは図8(a)に示す試料であり、1hかけてゆっくり750℃に加熱(0.21℃/s以下)して、その後1000℃で1h保持した試料であり、図9(a)は0.21℃/s以上の昇温速度で850℃まで加熱し、その後、1000℃に1h保持した試料である。
図8(a)ではほぼ均一なFeAl層が形成されているが、図9(a)ではFeAlの形成層にはかなりむらが生じている。図9(a)において白い上下に伸びた部分がFeAl層であるのに対し、黒い部分は空孔を示している。
これらのFeAl層を有する鋼材試料を1000℃で3.6ksの二次熱処理により二次拡散した結果が、図8(b)、図9(b)である。FeAl層にむらがある場合には二次熱処理の二次拡散で形成されるFeAl合金層にもむらがあることがわかる。FeAl層にむらが無い場合には二次熱処理の二次拡散で形成されるFeAl合金層にもむらが無いことがわかる。
形成された合金層(図8(b))のEPMAによる解析結果から、1000℃で3.6ksの高温拡散によってFeAlからFeAlやαFeが形成されていることが確認できた。二次拡散においてもFeAlが残存することもあるが、この中のFeAlはその後の機械的な粗い研磨で除去できるため、結果的に最表面にFeAlを有し、その下にαFeを経て基材(素地材)へと連なる表面処理が行われていることがわかった。
以上の試験結果から、以下の結論を得た。
「1」鋼材表面にAl凝着物を形成させた後に、グリセリンで練ったAl粉末ペーストを利用することで、鋼材表面にFeAlを層状に形成できた。
「2」Al粉末を用いたアルミナイジングでは、750℃前後における一次拡散でFeAl層の形成の後に、1000℃前後における二次拡散によってFeAlが形成されるが、均等な厚さのFeAl層を得るためにはFeAl層が均等な厚さである事が必要であることが分かった。
「試験例2」
試験例2として、先の例と同等のS45Cの基材を用い、Al粉末粒径45μm、63μm、90μm、および150μmの計4種類のAl粉末に対しても試験例1と同様の試験を行ったところ、この範囲の粉末粒径では形成される合金層にほとんど差が認められなかったため、以下の試験では、平均粒径45μmの純Al粉末を用いた結果のみを採用した。
以下の試験では、S45Cの表面を#400の研磨紙で研磨後、前報と同様にその表面にAlを凝着させ、凝着面にAl粉末をグリセリンとアルコールで練り厚さ1mm塗布してから、大気中において加熱させる方法を採用した。
この時の鋼材表面に形成されるFeAl層の形成に及ぼす加熱温度および加熱時間の影響を調べた。形成させたFeAl層の検出は樹脂に埋め込み断面を観察する手法によった。またここで形成された合金層については、ビッカース硬さ試験器を用い硬さを図ることで合金層の種類を特定した。
グリセリンとアルコールを溶媒としてAl粉末ペーストを練り、それを塗布した鋼材を650℃(923K)から850℃(1123K)の温度で加熱後、冷却した時の断面組織観察結果を図10に示す。また、この試験時に、加熱温度と時間の関係を図11に示す。図10(a)は粉末を塗布し、乾燥しただけ(300K)の状態で樹脂に埋め込み観察した断面写真である。図11に示す923K、973K、1023K、1073K、1123K、1173K、1273Kを図12に示すFe-C系状態図のC:0.45%の位置において、●印でプロットしておく。
また、図10(b)〜(h)は650℃から1000℃において1h保持した時の断面写真である。図10(a)の基材表面上には、まだら状にAl粉末が白く分散している様子が認められる。
この試料を650℃で3.6ks加熱した図10(b)の組織では、鋼材表面に白い合金層が形成され、その上に空間があり、さらにその上部にAl粉末の集合が認められる。これらのAl粉末の集合は未溶解で残存したもので、鋼との界面に存在したAl粉末は拡散により反応して合金層(FeAlであることを確認)が形成したものと推察される。
さらにAl粉末の集合との間にできた空間は加熱時にグリセリンが蒸発して乾燥する際に収縮して分離したものと思われる。
図10(c)に示す組織では、ほとんどのAl粉末はFeAl合金層の形成に加わり、上方に一部未拡散のAl粉末が認められる。図10(d)に示す組織について750℃ではAl粉末の残存は認められず合金層のみはほぼ均等な厚さで形成されている。ところがさらに高温で二次熱処理した図10(e)〜(h)の試料では、合金層は形成されているものの厚さは温度が高くなる程不均一になっている。
鋼材の大気中での酸化は、温度が800℃以上に高くなると激しくなる。このことから800℃以上の高温では合金層の形成と表面酸化が同時に顕著になるため、一旦合金層が形成された部分にはAl粉末からAl原子が供給されるが、一旦酸化した部分には酸化皮膜に遮られAl原子が供給されない結果、まだら状の合金層の形成になったものと思われる。ここで、FeAlの硬さはHV800前後であることが知られているので、図10の923Kおよび1123Kで形成された合金層の硬さを確認した。図10の923Kおよび1123Kで形成された合金層の組織拡大写真を図13(a)、(b)に示しておく。
硬さ測定の結果が図14である。図14に示すように、いずれの温度においても合金層はHV800を示しており、FeAlであることを確認できた。
以上の様に、Al粉末からの合金層(FeAl)の安定した形成には、外側からの酸化、溶融したAl粉末同士の結合、および、Alと素地材(基材)との拡散が関係しており、昇温プロセスを制御することでFeAlを安定的に形成できることが分かる。
Al粉末をグリセリンとアルコールで練り、Al粉末ペーストとして鋼材表面へ塗布し、その後750℃で3.6ksかけて昇温し、その状態で3.6ks保った場合にAl粉末の残存は認められずFeAl層をほぼ均等な厚さで形成できた。
この時の加熱曲線を図11のように見ると、加熱温度が高いほど立ち上がりが急であり、加熱温度が高いことは加熱速度も高くなっている。また図10(a)〜(c)に示すように700℃まではAl粉末が残存し、FeAl層は薄いものの、形成されたFeAl層の厚さのむらは少ない。従って、加熱速度を750℃に昇温した場合よりも遅くできれば、FeAl層の厚さむらは低減できる可能性がある。
そこで室温から750℃まで昇温する際に要する時間を0s、3.6ks、7.2ksとして昇温後それぞれ3.6ks保持し、形成されたFeAl層を調べた。この時の温度−時間曲線を図15に、各試料の断面組織写真を図16に示す。
図15(a)に示すように750℃に保持した電気炉に挿入した場合には図16(a)に示すようにFeAl層に厚さの不均一が認められる。
一方、これに対して3.6ks以上要して750℃に昇温した場合(昇温速度0.2K/s以下)には、図16(b)、(c)に示すようにFeAl層は比較的均一な厚さであった。
次に、昇温速度を0.2℃/sで保持時間を変えた場合の結果を図17および図18に示す。図17と図18に示すように、上述の速度で昇温し、750℃で0s、1.8ks、3.6ks、および7.2ks保持して形成されたFeAl層の厚さは、保持時間の増加とともに若干増加するが、均一性にはほとんど差が無い。
その結果、0.21K/s以下の速度で昇温を行うことで、比較的厚さの安定したFeAl層が得られることがわかった。また、保持時間はFeAl層の厚さに影響するものの、厚さの均一性には影響しないことが分かった。
以上の結果から、以下の(1)〜(4)に記載する結論を得ることができる。
(1)FeAl層は室温から750℃まで3.6ksかけて昇温した場合に、供給したAl粉末が最も効率よくFeAl合金層形成に拡散され、形成されたFeAl合金層の厚さも均一であった。
(2)FeAl層の厚さの均一性を保つためには昇温速度が重要で、安定した厚さのFeAlを形成させるためには0.21℃/s以下の速度で昇温を行う必要があることがわかった。
(3)FeAl層の形成温度を750℃以上に高くすると、鋼の酸化速度との兼ね合いで、均一厚さにすることが難しくなると推定できる。
(4)加熱の際の保持時間は、FeAl層の厚さに影響するものの、FeAl層の厚さの均一性には影響しないことが分かった。
次に、室温から850℃まで昇温する際に要する時間を0s、3.6ks、7.2ksとして昇温後それぞれ3.6ks保持し、形成されたFeAl層を調べた。この時の温度−時間曲線を図20に、各試料の断面組織写真を図19に示す。
図20(a)、(b)に示すように1123Kに保持した電気炉に挿入した場合には図19(a)、(b)に示すようにFeAl層に厚さの不均一が認められる。
一方、これに対して7.2ks以上要して850℃に昇温した場合には、図19(c)に示すようにFeAl層は比較的均一な厚さであった。
図21(a)、(d)は、図9に示した不安定なFeAl層から生成した不安定なFeAl層を示す。
図21(b)と図21(c)に示す試料は、鋼表面を研磨後、上述の例と同様にAlを凝着させ、図21(b)に示す試料はAl粉末ペーストを塗布し、図21(c)に示す試料はAl−12at%Cr粉末ペーストを塗布し、一度0.21℃/s以下の昇温速度で850℃まで加熱してFeAl系合金層を形成させた後、1050℃で21.6ks高温拡散を行うことで最表面に図21(e)に示すようにFeAlを形成させた試料および図21(f)に示すようにFeAl(Cr)を形成させた試料(f)である。
図21(b)、(e)に示すように、安定的なFeAl層から生成したFeAl層は下層にα−Fe層を有し、上層にFeAl層を有する2層構造となり、優れた特性を示すFeAl層を表層に形成できることがわかる。
また、図21(c)、(f)に示すように、安定的なFeAl(Cr)層から生成したFeAl(Cr)層は下層にα−Fe層を有し、上層にFeAl(Cr)層を有する2層構造となり、優れた特性を示すFeAl層を表層に形成できることがわかる。
1・・・基材、2…ロッド、3…凝着層、5…Al粉末、6…溶媒、7…容器、8…粉末ペースト、9…塗布層、10…一次拡散層、11…下部拡散層、12…上部拡散層。

Claims (7)

  1. 鉄系材料からなる基材の表面にAlまたはAl合金を凝着させた凝着層を形成した後、前記凝着層の上にAlまたはAl合金の粉末を溶媒中に分散させた粉末ペーストを塗布して塗布層を形成し、前記基材と前記塗布層を大気中において500〜1050℃に加熱して前記溶媒を揮発させるとともに前記塗布層中のAlまたはAl合金の粉末の元素を前記基材の表面側に拡散させて前記粉末中のAlと前記基材中のFeを反応させてFeAlを主体とする一次拡散層を形成した後、大気中において前記一次拡散層を形成した際の加熱温度より高い温度に加熱してFeAlを主体とする二次拡散層を生成することを特徴とするアルミニウム凝着による鉄系材料の表面改質方法。
  2. 前記凝着層を形成する際、前記基材の表面にAlまたはAl合金からなる固体を擦り付けて前記基材の表面に機械的にAlまたはAl合金の凝着層を形成することを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム凝着による鉄系材料の表面改質方法。
  3. 前記溶媒としてアルコールを用い、前記粉末とアルコールの配合量を調整して粘度調整した溶液を前記基材上に塗布することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアルミニウム凝着による鉄系材料の表面改質方法。
  4. 前記二次拡散層を形成する際の加熱温度を750〜1100℃とすることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のアルミニウム凝着による鉄系材料の表面改質方法。
  5. 前記一次拡散を形成する場合の加熱時の昇温速度を0.21℃/s以下とすることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のアルミニウム凝着による鉄系材料の表面改質方法。
  6. 鉄系材料からなる基材の表面に、AlまたはAl合金の粉末の溶融凝固物からなるαFeの下部拡散層と、該下部拡散層上に形成されたFeAlからなる上部拡散層を備えたことを特徴とする表面改質材。
  7. 前記αFeからなる下部拡散層と前記FeAlからなる上部拡散層がいずれも各層の面方向に連続形成され、前記下部拡散層が前記基材表面に密着され、前記上部拡散層が前記下部拡散層に密着されたことを特徴とする請求項6に記載の表面改質材。
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