JP2015229649A - hBD−3発現量向上剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】hBD−3発現量向上剤を提供することを課題とする。【解決手段】ムラサキ科ムラサキ属、ミカン科キハダ属、バラ科ビワ属の植物いずれかの植物抽出物からなるhBD−3発現量向上剤。ムラサキ科ムラサキ属の植物としてはシコン、ミカン科キハダ属の植物としてはオウバク、バラ科ビワ属の植物としてはビワが好ましい。本発明のhBD−3抗菌作用増強剤は、前記hBD−3発現量向上剤は、グラム陽性菌に対する抗菌作用を示し、グラム陽性菌としてはアクネ菌が好ましく例示できる。【選択図】図1

Description

本発明はhBD−3発現量向上剤に関する。
抗菌ペプチドは幅広い抗菌スペクトルを有し、生物自らが産生しているものであるため、抗生物質等の化学物質に代わり得るものとして期待されている(例えば、特許文献1及び2参照)。また、薬剤耐性菌が出現し難いと考えられている。抗菌ペプチドは細菌感染汚染を予防するため、食材の、食品加工器具の、食品加工設備の、食材と接触する表面の、医療装置の、病院および手術室における表面の、グラム陰性細菌汚染の処置または予防のための、用いられていることが知られている(例えば、特許文献3参照)。
抗菌ペプチドであるディフェンシンは、細菌、真菌、ならびに多くのエンベロープウイルスおよび非エンベロープウイルスに対して活性を有し、このうちβ-ディフェンシンは幅広い抗菌活性を有するカチオン性のペプチドである。ディフェンシンファミリーには、hBD−1、hBD−2、hBD−3等の種類が存在し、hBD−1、hBD−2はヒトのβ-ディフェンシンの代表的な例である。唾液腺、舌、歯茎や頬などの粘膜細胞内でのhBD−1、hBD−2のmRNAの発現が確認されており、β-ディフェンシンと同じように微生物細菌からの感染防止予防に重要な役割を担っている(例えば、特許文献4参照)。
hBD−2はアクネ菌への抗菌活性を示すことが知られているが、十分にアクネ菌のようなグラム陽性菌に対し抗菌活性を示さない場合が存し、抗菌ペプチドの活性を向上させ、グラム陽性菌、特にアクネ菌(Propionibacterium acnes: P. acnes)に対し、十分な抗菌作用を示す技術が求められていた(例えば、非特許文献1及び2参照)。
特開2004−107275号公報 特開2005−281225号公報 特表2013−502231号公報 特開2013−151442号公報
Journal of Investigative Dermatology (2010)130,p985-994 Journal of Investigative Dermatology (2005)124,p931-938
本発明は、このような状況下なされたものであり、抗菌ペプチドであるhBD−3の発現量を向上させるhBD−3発現量向上剤、及び該向上剤を含むhBD−3抗菌作用増強剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、グラム陽性菌、特にアクネ菌に対し抗菌作用を示す技術を提供すべく研究を進め、意外にも、複数の抗菌ペプチドのうちhBD−3が、グラム陽性菌に対し高い抗菌作用を示すことを見出した。更に、hBD−3の発現量を向上させる物質を見出し、該物質をhBD−3発現量向上剤として含むhBD−3抗菌作用増強剤がグラム陽性菌、特にアクネ菌に対し抗菌作用を示すことを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下に示すとおりである。
<1>ムラサキ科ムラサキ属の植物、ミカン科キハダ属の植物、バラ科ビワ属の植物のいずれかの植物抽出物からなるhBD−3発現量向上剤。
<2>ムラサキ科ムラサキ属の植物がシコンであることを特徴とする、<1>に記載のhBD−3発現量向上剤。
<3>ミカン科キハダ属の植物がオウバクであることを特徴とする、<1>に記載のhBD−3発現量向上剤。
<4>バラ科ビワ属の植物がビワであることを特徴とする、<1>に記載のhBD−3発現量向上剤。
<5><1>〜<4>のhBD−3発現量向上剤を含むhBD−3抗菌作用増強剤。
<6>前記抗菌作用が、グラム陽性菌に対する抗菌作用である<5>に記載のhBD−3抗菌作用増強剤。
<7>前記グラム陽性菌がアクネ菌であることを特徴とする、<6>に記載のhBD−3抗菌作用増強剤。
<8><1>〜<4>のいずれかに記載のhBD−3発現量向上剤を含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
<9>皮膚外用剤であることを特徴とする、<5>〜<7>に記載のhBD−3抗菌作用増強剤。
<10>化粧料であることを特徴とする、<8>又は<9>に記載の皮膚外用剤。
植物抽出物のhBD−3mRNA発現量への影響を示すグラフである。 抗菌ペプチドのP.acnesに対する抗菌作用を示すグラフである。
以下、本発明のhBD−3発現量向上剤について説明する。
本発明のhBD−3発現量向上剤の実施態様における手順の一例を以下に挙げるが、本発明の趣旨を逸脱しない限り以下の内容に限定されるものではなく、適宜変更して実施することができる。
(1)本発明のhBD−3発現量向上剤
本発明のhBD−3発現量向上剤は、hBD−3の発現量を向上させる物質からなる。該物質としては、hBD−3の発現量を向上させるものであれば、特段限定されないが、例えば、植物抽出物として、ムラサキ科ムラサキ属、ミカン科キハダ属、バラ科ビワ属の植物抽出物であることが好ましい。
ムラサキ科ムラサキ属の植物としては、シコン、イヌムラサキ、シロバナホタルカズラ、セイヨウムラサキ、ホタルカズラ、ムラサキが例示でき、中でもhBD−3の発現量向上効果の点からシコンが好ましい。
ミカン科キハダ属の植物としては、オウバク、キハダ、オオバキハダ、ミヤマキハダ、タイワンキハダが例示でき、hBD−3の発現量向上効果の点からオウバクが好ましい。
バラ科ビワ属の植物としては、タイワンビワ、ビワが例示でき、hBD−3の発現量向上効果の点からビワが好ましい。
前記植物の抽出物は、前記植物の根、茎、枝、葉、種、全草をそのまま粉砕、又は乾燥したもの、エタノール、水等の極性溶媒の1種又は2種以上で抽出した抽出液、その抽出液を乾燥し粉末にしたもの、これらの粉砕物、抽出物、乾燥物等をカラムや溶液間の分配により精製し、有効成分を高めたもの等が好ましく例示できる。
具体的には、ムラサキ科ムラサキ属のシコン(Lithospermum erythrorhizon)の抽出物、乾燥物を用いることができ、特に、根をメタノール等の極性溶媒で抽出したもの、根を乾燥したもの、抽出物を乾燥させたものを用いることが好ましい。
ミカン科キハダ属植物のオウバク(Phellodendron amurense Rupr.)の抽出物、乾燥物を用いることができ、特に、樹皮をメタノール等の極性溶媒で抽出したもの、樹皮を乾燥したもの、抽出物を乾燥させたものを用いることが好ましい。
バラ科ビワ属の植物のビワ(Eriobotrya japonica)の抽出物、乾燥物を用いることができ、特に、葉をメタノール等の極性溶媒で抽出したもの、葉を乾燥したもの、抽出物を乾燥させたものを用いることが好ましい。
前記植物抽出物を用いた本発明のhBD−3発現量向上剤の評価方法としては、以下の方法にて行うことができる。すなわち、hBD−3の発現量を向上させる効果を示す可能性のある植物抽出物(被験物質)を水溶液として調製し、正常ヒト表皮角化細胞を24穴プレートに6.0×10cells/well播種し、0.15mM-Ca含有培地(humedia-KG2、倉敷紡績株式会社)にて37℃、5%CO条件下で培養する。培養3〜4日後、被験物質を1.45mM-Ca含有Humedia-KG2に溶解させた培地に培地交換し、2〜3日間培養する。培養終了後、細胞を回収し、RNeasy Mini Kit (QIAGEN社) を用いてトータルRNAを抽出し、得られたトータルRNAからSuperScript VILO cDNA Synthesis Kit (invitrogen社) を用いてcDNAを合成する。合成したcDNAをテンプレートとしてQuantiFast SYBR Green PCR kit (QIAGEN社) を用いてリアルタイムPCRを行い、検量線法によりhBD−3 mRNA発現量を相対定量し、発現量は18S rRNAを内在性コントロールとし、初期遺伝子量を補正する。被験物質の代わりに溶媒を添加した場合(コントロール)と被験物質を添加した場合とでhBD−3mRNA発現量が2倍以上増加した植物抽出物、さらに好ましくは4倍以上増加した植物抽出物であることが好ましい。
以下、本発明のhBD−3抗菌作用増強剤について説明する。
本発明のhBD−3抗菌作用増強剤の実施態様における手順の一例を以下に挙げるが、本発明の趣旨を逸脱しない限り以下の内容に限定されるものではなく、適宜変更して実施することができる。
(2)本発明のhBD−3抗菌作用増強剤
本発明のhBD−3抗菌作用増強剤は、hBD−3発現量向上剤を含み、該増強剤の作用としては グラム陽性菌に対する抗菌作用が好ましく例示でき、このうち、アクネ菌に対する抗菌作用であることがより好ましい。本発明のhBD−3抗菌作用増強剤はhBD−3発現量向上剤を含むことにより、hBD−3量を増加し、hBD−3によるグラム陽性菌に対する抗菌作用を増強するものである。
本発明のhBD−3発現量向上剤又はhBD−3抗菌作用増強剤は、化粧料、医薬部外品、医薬品、食品などに通常の方法により使用することが出来、抗菌作用がグラム陽性菌に対するものであり、例えば、アクネ菌に対する抗菌作用の増強を期待する場合は、化粧料、医薬部外品等の皮膚外用剤として使用することが好ましい。これらに使用する場合、本発明のhBD−3発現量向上剤又はhBD−3抗菌作用増強剤は、全量に対し、0.0001質量%〜10質量%、より好ましくは、0.001質量%〜5質量%、さらに好ましくは、0.01質量%〜3質量%含有することが好ましい。植物抽出物の溶媒除去物を使用する場合は、全量に対し、0.0000001質量%〜10質量%、より好ましくは、0.0001質量%〜5質量%、さらに好ましくは、0.001質量%〜3質量%含有することが好ましい。これは、下限未満では本発明の皮膚外用剤が有する肌状態の改善効果が発揮されず、上限を超えると効果が頭打ちになり、色や臭い等の問題が生じ、皮膚外用剤として使用する場合、自由度を損なう場合が存するためである。
化粧料に適用される場合、通常化粧料に使用される成分を広く配合することが可能であり、また、その剤形や用途についても、何ら限定されない。以下、化粧料に適用される場合、化粧料中に含有させることができる成分について説明する。例えば、炭化水素類、エステル類、トリグリセライド類、脂肪酸、高級アルコール等の油性成分、アニオン界面活性剤類、両性界面活性剤類、カチオン界面活性剤類、非イオン界面活性剤類等の界面活性剤、多価アルコール類、増粘・ゲル化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色剤、防腐剤、粉体等を任意に配合することができる。有効成分としては、美白成分、シワ改善成分、抗炎症成分、動植物由来の抽出物等が挙げられる。なお、上記説明した本発明のhBD−3抗菌作用増強剤と併用してもよい。
美白成分としては、一般的に化粧料に用いられているものであれば特に限定はない。例えば、4−n−ブチルレゾルシノール、アスコルビン酸グルコシド、3−О−エチルアスコルビン酸、トラネキサム酸、アルブチン、1−トリフェニルメチルピペリジン、1−トリフェニルメチルピロリジン、2−(トリフェニルメチルオキシ)エタノール、2−(トリフェニルメチルアミノ)エタノール、2−(トリフェニルメチルオキシ)エチルアミン、トリフェニルメチルアミン、トリフェニルメタノール、トリフェニルメタン及びアミノジフェニルメタン、N−(p−トルイル)システイン酸、N−(p−メトキシベンゾイル)システイン酸等が挙げられる。更にその他の美白成分として、N−ベンゾイル−セリン、N−(p−メチルベンゾイル)セリン、N−(p−エチルベンゾイル)セリン、N−(p−メトキシベンゾイル)セリン、N−(p−フルオロベンゾイル)セリン、N−(p−トリフルオロメチルベンゾイル)セリン、N−(2−ナフトイル)セリン、N−(4−フェニルベンゾイル)セリン、N−(p−メチルベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(p−メチルベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(2−ナフトイル)セリン メチルエステル、N−ベンゾイル−O−メチルセリン、N−(p−メチルベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(p−メチルベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(2−ナフトイル)−O−メチルセリン等があげられる。
これらの美白成分は、既に市販されているものもあれば、合成により入手することもできる。例えば、3−О−エチルアスコルビン酸は、特開平8−134055号公報に記載の公知の方法で合成することが出来る。市販品(日本精化製「VCエチル」)もあるので、これらを入手して使用することが可能である。1−トリフェニルメチルピペリジン、1−トリフェニルメチルピロリジン、2−(トリフェニルメチルオキシ)エタノール、2−(トリフェニルメチルアミノ)エタノール、2−(トリフェニルメチルオキシ)エチルアミン、トリフェニルメチルアミン、トリフェニルメタノール、トリフェニルメタン、アミノジフェニルメタンは特許文献WO2010―074052号パンフレットに、N−(o−トルオイル)システイン酸、N−(m−トルオイル)システイン酸、N−(p−トルオイル)システイン酸、N−(p−メトキシベンゾイル)システイン酸、N−(4−フェニルベンゾイル)システイン酸、N−(p−トルオイル)ホモシステイン酸、はWO2011−087006号パンフレットに、N−ベンゾイル−セリン、N−(p−メチルベンゾイル)セリン、N−(p−エチルベンゾイル)セリン、N−(p−メトキシベンゾイル)セリン、N−(p−フルオロベンゾイル)セリン、N−(p−トリフルオロメチルベンゾイル)セリン、N−(2−ナフトイル)セリン、N−(4−フェニルベンゾイル)セリン、N−(p−メチルベンゾイル)セリン メチルエステル、N−(p−メチルベンゾイル)セリン エチルエステル、N−(2−ナフトイル)セリン メチルエステル、N−ベンゾイル−O−メチルセリン、N−(p−メチルベンゾイル)−O−メチルセリン、N−(p−メチルベンゾイル)−O−アセチルセリン、N−(2−ナフトイル)−O−メチルセリン等はWO2011/074643号パンフレットに、それぞれその合成方法が公開されているので、該開示に従い合成することができる。
化粧料における美白成分の含有量は、通常0.001〜10質量%であり、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。
本発明のhBD−3発現量向上剤又はhBD−3抗菌作用増強剤に加え、更にシワ改善成分を含有することができる。シワ改善成分としては、一般的に化粧料に用いられているものであれば特に限定はない。例えば、ビタミンA又はその誘導体が、レチノ−ル、レチナ−ル、レチノイン酸、トレチノイン、イソトレチノイン、レチノイン酸トコフェロ−ル、パルミチン酸レチノ−ル、酢酸レチノ−ルやウルソ−ル酸ベンジルエステル、ウルソール酸リン酸エステル、ベツリン酸ベンジルエステル、ベンジル酸リン酸エステルが挙げられる。化粧料におけるシワ改善成分の含有量は、通常0.01〜30質量%であり、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
動植物由来の抽出物としては、一般的に医薬品、化粧料、食品等に用いられているものであれば特に限定はない。例えば、アケビエキス、アスナロエキス、アスパラガスエキス、アボガドエキス、アーモンドエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アロニアエキス、アンズエキス、イチョウエキス、インドキノエキス、ウイキョウエキス、ウドエキス、エイジツエキス、エゾウコギエキス、エンメイソウエキス、オウゴンエキス、オウレンエキス、オタネニンジンエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オレンジエキス、カキョクエキス、カッコンエキス、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、カンゾウエキス、キウイエキス、キューカンバーエキス、グアバエキス、クジンエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、黒米エキス、クロレラエキス、クワエキス、ケイケットウエキス、ゲットウヨウエキス、ゲンチアナエキス、ゲンノショウコエキス、紅茶エキス、ゴボウエキス、コメエキス、コメ発酵エキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コケモモエキス、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンシャエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウキョウエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、ステビアエキス、ステビア発酵物、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ソウハクヒエキス、ダイオウエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、タンポポエキス、チョウジエキス、チンピエキス、甜茶エキス、トウガラシエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、ハスエキス、ハス胚芽エキス、パセリエキス、バーチエキス、ハマメリスエキス、ヒキオコシエキス、ヒノキエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、ブドウ種子エキス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モズクエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ユリエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、ルイボス茶エキス、レイシエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンギョウエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス、ワレモコウエキス等のエキスが好ましいものとして挙げられる。なお、本発明の植物抽出物からなるhBD−3発現向上剤であった場合、上記植物リスティングされた植物抽出物と重畳的に含有させてもよい。化粧料中における動植物由来抽出物の含有量は、通常0.0001〜30質量%であり、0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましい。
抗炎症成分としては、クラリノン、グラブリジン、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、パントテニルアルコール等が挙げられ、好ましくは、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸アルキル及びその塩、並びに、グリチルレチン酸及びその塩である。
化粧料中における抗炎症成分の含有量は、通常0.01〜30質量%であり、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
油性成分としては、極性油、揮発性炭化水素油等が挙げられる。
極性油としては、合成エステル油として、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、オレイン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ペンタンエリスリトール、トリ−2−エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパンを挙げることができる。
さらに、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オイル、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバチン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル、オクチル メトキシシンナメート等も挙げられる。
また、天然油として、アボガド油、アマニ油、エノ油、オリーブ油、カヤ油、牛脂、ゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サザンカ油、サフラワー油、スクワラン、大豆油、茶実油、ツバキ油、シナギリ油、タートル油、ナタネ油、トウモロコシ油、胚芽油、パーシック油、ヒマシ油、ホホバ油、日本キリ油、マカデミアナッツ油、ミンク油、綿実油、椰子油、落花生油、卵黄油、カルナウバワックス、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等が挙げられる。
炭化水素油としては、例えば、直鎖状又は分岐状の炭化水素油が挙げられ、揮発性の炭化水素油であっても不揮発性の炭化水素油であってもよい。炭化水素油の具体例としては、合成スクワラン、植物性スクワラン、スクワレン、流動イソパラフィン、軽質イソパラフィン、水添ポリイソブテン、イソドデカン、ステアリン酸、軽質流動イソパラフィン、イソヘキサデカン、流動パラフィン、プリスタン、α−オレフィンオリゴマー、オゾケライト、セレシン、パラフィン、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリエチレン・ポリプロピレンワックス、(エチレン/プロピレン/スチレン)コポリマー、(ブチレン/プロピレン/スチレン)コポリマー、ポリイソブチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。
界面活性剤としては、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル、スルホコハク酸エステルやポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド、ジアルキルアンモニウム塩等のカチオン界面活性剤類、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等) 、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等) 、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、等が挙げられる。
多価アルコールとしては、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブタンジオール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等が挙げられる。
増粘剤としては、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸,キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等が挙げられる。
粉体類としては、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類、表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、等が挙げられる。
また、化粧料として適用される場合の剤型は、通常知られているローション剤形、乳液剤形、エッセンス剤形、クリーム剤形、粉体含有剤形の何れをも取ることが出来る。
本発明の皮膚外用剤は、上記必須成分と任意成分を定法により処理することにより調製することができる。
以下に実施例を挙げて本発明について詳細に説明を加えるが、本発明はかかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
(実施例1: 本発明のhBD−3抗菌作用増強剤を含有する皮膚外用剤の製造(ローション))
以下の手順に従い、hBD−3抗菌作用増強剤を含有する皮膚外用剤を調製した。
即ち、表1の処方成分を50℃にて加熱溶解し、本発明の皮膚外用剤1を得た。
Figure 2015229649
(実施例2: 本発明のhBD−3抗菌作用増強剤を含有する皮膚外用剤の製造(ローション))
以下の手順に従い、hBD−3抗菌作用増強剤を含有する皮膚外用剤を調製した。
即ち、表2の処方成分を50℃にて加熱溶解し、本発明の皮膚外用剤2を得た。
Figure 2015229649
<試験例1>
(hBD−3mRNA発現量の測定)
正常ヒト表皮角化細胞を24穴プレートに6.0×10cells/well播種し、0.15mM-Ca含有培地(humedia-KG2、倉敷紡績株式会社)にて37℃、5%CO条件下で培養した。培養3〜4日後、各植物抽出物(被験物質)を1.45mM-Ca含有Humedia-KG2に溶解させた培地に培地交換し、2〜3日間培養した。培養終了後、細胞を回収し、RNeasy Mini Kit (QIAGEN社) を用いてトータルRNAを抽出し、得られたトータルRNAからSuperScript VILO cDNA Synthesis Kit (invitrogen社) を用いてcDNAを合成した。合成したcDNAをテンプレートとしてQuantiFast SYBR Green PCR kit (QIAGEN社) を用いてリアルタイムPCRを行い、検量線法によりhBD−3mRNA発現量を相対定量した。このとき、18S rRNAを内在性コントロールとし、初期遺伝子量を補正した。結果を図1に示す
図1の結果より、シコン、オウバク、ビワのエキスではコントロールと比べ、格段にhBD−3mRNA発現量が増加した。特にシコンでは他のエキスよりも高い効果が認められた。
<試験例2>
(P.acnes生菌数の測定)
P. acnes (ATCC6919) をGAM液体培地(日水製薬)にて3日間培養した。1×106 CFU/mLになるように20 mMリン酸バッファー(pH6.5、100 nM NaCl含有)に懸濁したP. acnesを96ウェルプレートに播種し、そこにhBD−1、hBD−2、hBD−3、hBD−4をそれぞれ最終濃度10μg/mLになるように添加した。37℃、嫌気性条件下で5時間インキュベートした後、培養液をGAM寒天培地(日水製薬)に播種して37℃、嫌気性条件下で3日間培養し、コロニー数をカウントし、P. acnesの生菌数を評価した。結果を図2に示す。
図2の結果より、抗菌ペプチドであるhBD−1、hBD−2、hBD−4ではアクネ菌であるP. acnesに対する抗菌作用は認められなかったが、hBD−3ではポジティブコントロールである塩化ベンザルコニウムと同程度に、アクネ菌であるP.acnesに対する強い抗菌作用が認められた。
本発明によれば、hBD−3発現量向上剤を提供することができる。

Claims (10)

  1. ムラサキ科ムラサキ属の植物、ミカン科キハダ属の植物、バラ科ビワ属の植物のいずれかの植物抽出物からなるhBD−3発現量向上剤。
  2. ムラサキ科ムラサキ属の植物がシコンであることを特徴とする、請求項1に記載のhBD−3発現量向上剤。
  3. ミカン科キハダ属の植物がオウバクであることを特徴とする、請求項1に記載のhBD−3発現量向上剤。
  4. バラ科ビワ属の植物がビワであることを特徴とする、請求項1に記載のhBD−3発現量向上剤。
  5. 請求項1から4のhBD−3発現量向上剤を含むhBD−3抗菌作用増強剤。
  6. 前記抗菌作用が、グラム陽性菌に対する抗菌作用である請求項5に記載のhBD−3抗菌作用増強剤。
  7. 前記グラム陽性菌がアクネ菌であることを特徴とする、請求項6に記載のhBD−3抗菌作用増強剤。
  8. 請求項1〜4のいずれかに記載のhBD−3発現量向上剤を含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
  9. 皮膚外用剤であることを特徴とする、請求項5〜7に記載のhBD−3抗菌作用増強剤。
  10. 化粧料であることを特徴とする、請求項8又は9に記載の皮膚外用剤。
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