JP2015227494A - 高強度鋼部品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(i)鋼板片面当りのめっき付着量が30〜55g/m2で、合金層厚みが5μm以下の溶融Al系めっき層を有する鋼板の表面に、ZnOをZn換算で0.3〜1.5g/m2含有する表面皮膜層を形成し、次いで、(ii)上記表面皮膜層を有する鋼板を、加熱速度20℃/秒以上で850〜1050℃に加熱し、その後、(iii)成形加工と同時に急速冷却することを特徴とする高強度鋼部品の製造方法。
【選択図】図1
Description
(ii)上記表面皮膜層を有する鋼板を、加熱速度20℃/秒以上で850〜1050℃に加熱し、その後、
(iii)成形加工と同時に急速冷却する
ことを特徴とする高強度鋼部品の製造方法。
(i)上記鋼部品の表面に、(i-1)上記鋼部品の短辺方向における厚みの差異が70μm以下、(i-2)薄い部位の厚みが10〜20μm、(i-3)鋼板側の拡散層の厚みが5μm以下のAl−Fe系金属間化合物層が形成され、
(ii)上記金属間化合物層の表面に、(ii-1)表面粗度Raが0.5〜1.5μm、(ii-2)厚さが0.1〜1.0μmの、ZnOをZn換算で0.3〜1.5g/m2含有する表面皮膜層が形成されている
ことを特徴とする高強度鋼部品。
(i)鋼板片面当りのめっき付着量が30〜55g/m2で、合金層厚みが5μm以下の溶融Al系めっき層を有する鋼板の表面に、ZnOをZn換算で0.3〜1.5g/m2含有する表面皮膜層を形成し、次いで、
(ii)上記表面皮膜層を有する鋼板を、加熱速度20℃/秒以上で850〜1050℃に加熱し、その後、
(iii)成形加工と同時に急速冷却する
ことを特徴とする。
(i)上記鋼部品の表面に、(i-1)上記鋼部品の短辺方向における厚みの差異が70μm以下、(i-2)薄い部位の厚みが10〜20μm、(i-3)鋼板側の拡散層の厚みが5μm以下のAl−Fe系金属間化合物層が形成され、
(ii)上記金属間化合物層の表面に、(ii-1)表面粗度Raが0.5〜1.5μm、(ii-2)厚さが0.1〜1.0μmの、ZnOをZn換算で0.3〜1.5g/m2含有する表面皮膜層が形成されている
ことを特徴とする。
溶融Al系めっき鋼板は、鋼板の片面又は両面に、Alを主成分とする溶融めっき層が、片面当り30〜55g/m2のめっき付着量で形成され、合金層厚みが5μm以下の鋼板である。本発明製造方法では、溶融Al系めっき鋼板の表面に、ZnOをZn換算で0.3〜1.5g/m2含有する表面皮膜層を形成するが、この表面皮膜層については後述する。
最終製品が高強度鋼部品であるので、溶融Al系めっきを施す鋼板は、めっき後も、熱間プレスに耐える成形性を有し、かつ、成形後、自動車用鋼部品として必要な機械強度を発現する鋼組織を備える鋼板であればよい。この限りで、鋼板は特定の成分組成の鋼板に限定されないが、一例として、次の鋼板を示す。
溶融Al系めっき層は、鋼板の片面又は両面に形成する。溶融Al系めっき層は、例えば、溶融めっき法で形成するが、めっき法は溶融めっき法に限定されない。
溶融Alめっき層の表面に、ZnOをZn換算で0.3〜1.5g/m2含有する表面皮膜層を形成する。溶融Alめっき層の表面に、上記換算量でZnOを含有する表面皮膜層を形成することにより、熱間プレス時の潤滑性や、化成処理時の反応性を改善し、溶融Al系めっきの付着量の適正範囲を、40〜50g/m2(表面被覆層がない場合)から35〜55g/m2(表面被覆層がある場合)に広げることができる。
本発明製造方法においては、ZnOをZn換算で0.3〜1.5g/m2含有する表面皮膜層を形成した溶融Al系めっき鋼板(以下「本発明めっき鋼板」ということがある。)を、(ii)加熱速度20℃/秒以上で850〜1050℃に加熱し、その後、(iii)成形加工と同時に急速冷却して鋼部品を製造する。
本発明めっき鋼板を、加熱速度20℃/秒以上で850〜1050℃に加熱する。加熱手段は特に限定されないが、20℃/秒以上の加熱速度を容易に達成できる点で、通電加熱又は高周波誘導加熱が好ましい。好ましくは30℃/秒以上である。高い生産性を実現するためには、加熱速度は速い方が好ましく、上限は設定しないが、“めっきの寄り”を回避するためには、200℃/秒以下が好ましい。
850〜1050℃に加熱した本発明めっき鋼板を成形加工と同時に急速冷却する。成形加工で鋼部品を製造すると同時に、急速冷却の作用で、鋼部品に所要の機械強度を付与する。例えば、鋼部品に、1500MPa以上の高い機械強度を付与することができる。
本発明製造方法で製造した鋼部品(本発明鋼部品)は、
(i)上記鋼部品の表面に、(i-1)上記鋼部品の短辺方向における厚みの差異が70μm以下、(i-2)薄い部位の厚みが10〜20μm、(i-3)鋼板側の拡散層の厚みが5μm以下のAl−Fe系金属間化合物層が形成され、
(ii)上記金属間化合物層の表面に、(ii-1)表面粗度Raが0.5〜1.5μm、(ii-2)厚さが0.1〜1.0μmの、ZnOをZn換算で0.3〜1.5g/m2含有する表面皮膜層が形成されている。
本発明鋼部品は、形状が比較的細長いバンパービーム、ドアインパクトビーム、センターピラー等に適用される。この場合、細長い形状の鋼板を加熱することになるが、細長い形状の鋼板の両側の短辺を電極で挟み、長辺方向に通電する。そうすると、通電で発生するピンチ力により、通電方向と平行に“めっきの寄り”が生じ、長辺の中央付近に“めっきの寄り”が発生する。
本発明鋼部品は、自動車用の鋼部品であるので、スポット溶接性は重要である。本発明者らは、ZnOをZn換算で0.3〜1.5g/m2含有する表面皮膜層(以下「ZnO含有皮膜層」ということがある。)のスポット溶接性について調査した。その結果、溶接電源として交流と直流を使用した場合において、スポット溶接性が大きく異なることが判明した。
表1に示す成分組成の冷延鋼板(板厚1.2mm)に溶融Alめっきを施した。このときの焼鈍温度(?)は約800℃で、Alめっき浴は、Si:9%の他、鋼板から溶出するFeを約2%含有していた。めっき後の付着量をガスワイピング法で、片面25〜60g/m2に調整して冷却した。
焼入鋼板から採取した試験片の短辺(100mm)方向に板厚を測定し、最大板厚と最小板厚の差を算出した。また、短辺の中央付近と端部付近より試料を切り出し、光学顕微鏡でAl−Fe層を観察した。
試験片から30×50mmの試料を切り出し、スポット溶接における適正電流範囲を調査した。溶接条件は、加圧300kgf、直流電源、通電時間15サイクル(60Hz)、クロム銅、DR(先端6φ:40R)電極とし、下限は4√t、上限はチリ発生として、適正範囲を調査した。
△:適正範囲1kA超1.5kA以下 ×:適正範囲1kA以下
試験片を、日本パーカライジング(株)社製化成処理液(PB−SX35)で化成処理した後、試験片に、日本ペイント(株)社製電着塗料(パワーニクス110)を15μm狙いで塗装し、170℃で焼き付けた。
△:膨れ幅片側5mm超7mm以下 ×:膨れ幅片側7mm超
Claims (6)
- (i)鋼板片面当りのめっき付着量が30〜55g/m2で、合金層厚みが5μm以下の溶融Al系めっき層を有する鋼板の表面に、ZnOをZn換算で0.3〜1.5g/m2含有する表面皮膜層を形成し、次いで、
(ii)上記表面皮膜層を有する鋼板を、加熱速度20℃/秒以上で850〜1050℃に加熱し、その後、
(iii)成形加工と同時に急速冷却する
ことを特徴とする高強度鋼部品の製造方法。 - 前記加熱を、通電加熱又は誘導加熱で行うことを特徴とする請求項1に記載の高強度鋼部品の製造方法。
- 前記成形加工と急速冷却を、金型を用いて行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の高強度鋼部品の製造方法。
- 前記高強度鋼部品が自動車用鋼部品であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高強度鋼部品の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の高強度鋼部品の製造方法で製造した高強度鋼部品であって、
(i)上記鋼部品の表面に、(i-1)上記鋼部品の短辺方向における厚みの差異が70μm以下、(i-2)薄い部位の厚みが10〜20μm、(i-3)鋼板側の拡散層の厚みが5μm以下のAl−Fe系金属間化合物層が形成され、
(ii)上記金属間化合物層の表面に、(ii-1)表面粗度Raが0.5〜1.5μm、(ii-2)厚さが0.1〜1.0μmの、ZnOをZn換算で0.3〜1.5g/m2含有する表面皮膜層が形成されている
ことを特徴とする高強度鋼部品。 - 前記高強度鋼部品が自動車用鋼部品であることを特徴とする請求項5に記載の高強度鋼部品。
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