JP2015227309A - 中和促進イオン徐放性歯科用フィルム - Google Patents

中和促進イオン徐放性歯科用フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】酸緩衝能の発現、歯質の耐酸性の向上する中和促進イオン徐放性歯科用フィルムの提供。【解決手段】イオン徐放性ガラス(a)及びフィルム形成材(b)を含み、厚さが15μm〜500μmの中和促進イオン徐放性歯科用フィルム。イオン徐放性ガラス(a)がフッ化物イオンを徐放し、更に2〜4価のイオンのうち一種類以上のイオンを徐放する。イオン徐放性ガラス(a)がフッ化物イオンを徐放し、更にストロンチウムイオン、アルミニウムイオン及びホウ酸イオンの内から一種類以上のイオンを徐放する。【選択図】なし

Description

本発明はイオンを持続的に徐放するイオン徐放性ガラスを含有する中和促進イオン徐放性歯科用フィルムに関する。中和促進イオン徐放性歯科用フィルムを歯質、舌、口蓋等の口腔内組織、あるいはデンチャー等の補綴装置に塗布若しくは貼付することにより口腔内環境を健全化することができる。
口腔内において、歯質(ハイドロキシアパタイト)からカルシウムイオンとリン酸イオンが溶出する「脱灰」と歯質にカルシウムイオンとリン酸イオンが取り込まれる「石灰化」が平衡状態にある場合、歯質は健康な状態に保たれる。しかしながら、飲食またはプラーク(食物残渣、剥離粘膜等)の付着等により口腔内が酸性に傾くと脱灰と石灰化の平衡関係が崩れ、脱灰が有利になり、歯質からカルシウムイオンとリン酸イオンが過剰に溶出し、齲蝕へと進行する。この平衡反応において唾液は非常に重要な役割を果たしている。唾液はカルシウムイオン及びリン酸イオンを有するため、石灰化が優位になるように口腔内で作用する。さらに、唾液は、その成分である重炭酸塩・リン酸塩・タンパク質が酸の中和能力を有するため、口腔内が酸性に傾いた際、中性へと緩衝する能力がある。つまり、唾液にはカルシウムイオン及びリン酸イオンの供給並びに酸緩衝能の両効果によって歯質を脱灰から保護している。しかしながら、そのイオン供給能力及び酸緩衝能力には限界があるため、歯質強化あるいは酸緩衝能を有した材料が求められていた。
一般的に歯質への積極的なフッ化物の適用が齲蝕の予防に有効であることが広く知られている。フッ化物イオンは歯質に取り込まれることにより、フルオロアパタイトを形成するため、歯質の耐酸性の向上に寄与し齲蝕の予防につながる。そのためフッ化物塩配合の歯磨剤あるいはフッ素塗布剤といった材料が齲蝕予防を目的として広く使用されている。
一方、唾液には口臭の抑制能力を有することも知られている。不快な口臭の根本的な原因はプラークが細菌により分解されて発生するメチルメルカプタンや硫化水素等による。唾液はリゾチーム、ラクトペルオキシダーゼ、ラクトフェリン、分泌型免疫グロブリンAといった抗菌物質を含み、細菌の増殖を抑制できる。口腔乾燥症(ドライマウス)・生理的要因(睡眠時等の一時的な唾液分泌の減少)・薬物の副作用等により口腔内の乾燥状態が持続すると、唾液による細菌の増殖抑制効果が得られないため、口腔内の細菌が増殖して口臭が顕在化する。唾液は脱灰及び石灰化等の歯質の保全のみならず、細菌の増殖の抑制能をも有し、口腔内環境を健全な状態で維持するためには必要不可欠なものである。
特許文献1には、口臭予防が期待される口腔ケア組成物が記載されている。口臭に対してマスキング効果があり、清涼感、爽快感に優れた口腔用香料組成物が開示されている。ミントノートを有するフレーバー、フィルムラスノートを有するフレーバーおよびフルーツノートを有するフレーバーの群から選ばれる1 種以上の香料を有効成分として含有する口腔用香料組成物は、優れた嗜好性を有し口臭のマスキングに優れ、使用者に快適な使用感を与えることのできる優れた効果を有する。しかしながら、フレーバーにより口臭を感知されにくくしているに過ぎず、口臭の原因を根本的に解決しているのではない。
特許文献2には、口臭を根本的に解決できる発明として、オクト−2−イン酸メチルエステル、ノン−2−イン酸メチルエステル等から選ばれる2種または3種以上の口臭低減活性成分及びフレーバー成分を配合し口臭を予防する口腔ケア用品が開示されている。口臭低減活性成分を配合し、細菌によるメチルメルカプタンや硫化水素の生成を阻害することによって、強烈な風味を有しないフレーバー組成物のみで不快な口臭を予防することができる。しかしながら、口臭の抑制の可能性は示唆されるものの、歯質の耐酸性向上に関する記載はされていない。
特許文献3には、メチルグリオキサール(以下、MGOとする)とシクロデキストリンを配合する口腔ケア用品が開示されている。MGOの殺菌効果は、例えば、P. gingivalisおよびF. nucleatumといった歯周病原因菌に対する抗菌作用を効果的に発揮させることが可能である。さらに、αシクロデキストリンを併用する事で、MGOの抗菌効果が向上し、歯周炎治療において殺菌・除菌効果を期待することができる。また多糖分解酵素ないし、タンパク分解酵素を同時に配合することによって抗菌組成物が細菌に直接作用し、プラークや舌苔を除去して、口臭の抑制が期待できる。しかしながら、口臭の抑制の可能性は示唆されるものの、歯質の耐酸性向上に関する記載はされていない。
特許文献4には、唾液分泌を促すことによって、細菌の増殖を抑制する口腔衛生用可食性フィルムが開示されている。唾液分泌を促進する基材として有機酸、特にクエン酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、コハク酸、及び乳酸を配合している口腔衛生用可食性フィルムが例示されている。唾液分泌量が不足している高齢者やドライマウスに罹患している患者に前記有機酸を配合した可食フィルムを貼付すると唾液分泌が促進され、細菌の増殖抑制の効果が期待される。しかしながら、唾液分泌が正常である場合には大きな効果は期待できない。
特許文献5には、歯質の再石灰化並びに耐酸性の向上に寄与する口腔ケア用品が開示されている。カルシウム含有成分、フッ素含有成分、リン酸塩を含有してなる固体口腔用組成物であり、カルシウム含有成分から徐放されるカルシウムイオン、フッ素含有成分から徐放されるフッ化物イオン、リン酸塩から徐放されるリン酸イオンにより歯質の再石灰化並びに耐酸性促進が期待できる。
特開2004−018431 特表2009−506082 特開2013−184971 特開2007−326808 特開2002−167318
従来技術である唾液分泌の促進あるいはカルシウムイオン及びリン酸イオンを口腔内に徐放する技術は歯質の再石灰化を促進する上では有用であるものの、再石灰化した歯質は元のハイドロキシアパタイトに再形成されるだけであり、耐酸性の向上は望まれない。フッ化物イオンを徐放する口腔ケア組成物はその組成物から徐放されるフッ化物イオンが歯質中に取り込まれ、フルオロアパタイトを形成することにより耐酸性が向上する点においては優れている。しかしながら、口腔ケア組成物中にカルシウムイオンの供給源及びフッ化物イオンの供給源が存在することから、口腔ケア組成物内に水が取り込まれた結果、カルシウムイオン及びフッ化物イオンが溶解した直後に難溶性のフッ化カルシウム塩を形成してしまうため、耐酸性向上の効果を十分に得られないことが課題であった。
本発明者らは上記課題を克服するために鋭意検討を行った結果、歯科用フィルムにイオン徐放性ガラスを含むことにより、本発明の歯科用フィルムを口腔内組織あるいは補綴装置に貼付けした場合、酸緩衝能の発現、歯質の耐酸性の向上を見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明者らは以下の発明を提供する。
具体的には、イオン徐放性ガラス (a)及び非重合性フィルム形成材(b)を含み、厚さが15μm〜500μmの中和促進イオン徐放性歯科用フィルムである。
イオン徐放性ガラス (a)がフッ化物イオンを徐放し、更に2〜4価のイオンのうち一種類以上のイオンを徐放するイオン徐放性ガラスであることが好ましい。
イオン徐放性ガラスがフッ化物イオンを徐放し、更にストロンチウムイオン、アルミニウムイオン及びホウ酸イオンの内から一種類以上のイオンを徐放するイオン徐放性ガラスであることが好ましい。更に、少なくともフッ化物イオン、ストロンチウムイオン及びホウ酸イオンを徐放することが好ましい。
本発明に用いられるイオン徐放性ガラスから徐放される2〜4価のイオンによる歯質の耐酸性の向上、口腔内での酸中和作用及びフッ化物イオンの徐放による歯質の耐酸性の向上が期待される。
イオン徐放性ガラスから徐放されるフッ化物イオンが歯質に取り込まれ、フルオロアパタイトを形成することにより耐酸性が向上する。ストロンチウムイオンも同様に歯質中に取り込まれストロンチウムアパタイトを形成する。このストロンチウムアパタイトの耐酸性はハイドロキシアパタイトの耐酸性に比べ高いことから、ストロンチウムの徐放により歯質の耐酸性の向上が期待される。また、ストロンチウムイオンは周囲の口腔内環境が酸性へと傾いた場合、中性へと移行させる酸中和能を有する。つまり、ストロンチウムイオン及びフッ化物イオンの相乗効果により歯質の耐酸性の向上及び口腔内環境を中性へと移行させることが同時に達成されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。さらに、塩化合物からのイオンの溶出とは異なり、ガラス骨格からのイオン徐放であるためカウンターイオンが近在せず、塩形成によるイオン徐放の阻害が起きないため安定したイオン徐放できる。
本発明の別の作用としてはイオン徐放性ガラスから徐放されるホウ酸イオンの静菌作用によって口腔内環境を良好な状態に維持することが挙げられる。イオン徐放性ガラスから徐放されるホウ酸イオンの殺菌効果により口臭の原因であるメチルメルカプタンや硫化水素を生成する細菌の増殖を抑制することが期待される。つまり、口腔内での細菌の増殖が抑制されるため、口臭の予防が期待される。
本発明の中和促進イオン徐放性歯科用フィルムはイオン徐放性ガラスを含み、そのガラスからガラス組成に基因したイオンが持続的に徐放することを特徴とする。
本発明に用いるイオン徐放性ガラスはガラス骨格を形成する1種類以上のガラス骨格形成元素とガラス骨格を修飾する1種類以上のガラス修飾元素を含んだガラスであれば何等制限なく用いることができる。また、本発明においてはガラス組成によってガラス骨格形成元素又はガラス修飾元素になりうる元素、いわゆるガラス両性元素はガラス骨格形成元素の範疇として含めるものである。イオン徐放性ガラスに含まれるガラス骨格形成元素を具体的に例示するとシリカ、アルミニウム、ボロン、リン等が挙げられるが、単独だけでなく複数を組み合わせて用いることができる。また、ガラス修飾元素を具体的に例示するとフッ素、臭素、ヨウ素等のハロゲン類元素、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属類元素、カルシウム、ストロンチウム等のアルカリ土類金属類元素等が挙げられるが、単独だけでなく複数を組み合わせて用いることができる。これらの中でもガラス骨格形成元素としてシリカ、アルミニウム、ボロンを含み、且つガラス修飾元素としてフッ素、ナトリウム、ストロンチウムを含むことが好ましく、具体的にはストロンチウム、ナトリウムを含んだシリカガラス、フルオロアルミノシリケートガラス、フルオロボロシリケートガラス、フルオロアルミノボロシリケートガラス等が挙げられる。さらに、フッ化物イオン、ストロンチウムイオン、アルミニウムイオン、ホウ酸イオンを徐放する観点から、より好ましくはナトリウム、ストロンチウムを含んだフルオロアルミノボロシリケートガラスであり、そのガラス組成範囲はSiO2 15〜35質量%、Al2O3 15〜30質量%、B2O3 5〜20質量%、SrO 20〜45質量%、F 5〜15質量%、Na2O 0〜10質量%となる。このガラス組成は元素分析、ラマンスペクトルおよび蛍光X線分析等の機器分析を用いることにより確認することができるが、いずれかの分析方法による実測値がこれらの組成範囲に合致していれ何等問題はない。
これらのガラスの製造方法においては特に制限はなく、溶融法あるいはゾルーゲル法等の製造方法で製造することができる。その中でも溶融炉を用いた溶融法で製造する方法が原料の選択も含めたガラス組成の設計のし易さから好ましい。
本発明に用いるイオン徐放性ガラスは非晶質構造であるが、一部結晶質構造を含んでいても何等問題はなく、さらにそれらの非晶質構造を有するガラスと結晶構造を有するガラスの混合物であっても何等問題はない。ガラス構造が非晶質であるか否かの判断はX線回折分析や透過型電子顕微鏡等の分析機器を用いて行うことができる。その中でも本発明に用いるイオン徐放性ガラスは外部環境におけるイオン濃度との平衡関係により各種イオンが徐放することから、均質な構造である非晶質構造であることが好ましい。
本発明に用いるイオン徐放性ガラスからの各種イオンの徐放はガラスの粒子径によって影響を受けるため湿式又は/及び乾式の粉砕、分級、篩い分け等の方法により粒子径を制御する必要がある。そのため本発明に用いるイオン徐放性ガラスの粒子径(50%)は0.01〜100μmの範囲であれば特に制限はないものの、好ましくは0.01〜50μmの範囲、さらに好ましくは0.1〜5μmの範囲である。また、ガラスの形状は球状、板状、破砕状、鱗片状等の任意の形状でよく、特に何等制限はないが、好ましくは球状あるいは破砕状である。イオン徐放性ガラスがガラスを粉砕したイオン徐放性フィラーであることが好ましい。
さらにイオン徐放性ガラスからのイオン徐放性を高めるために、ガラス表面を表面処理することにより機能化してイオン徐放性を向上させることが好ましい態様である。表面処理に用いる表面処理材を具体的に例示すると界面活性剤、脂肪酸、有機酸、無機酸、モノマー、ポリマー、各種カップリング材、シラン化合物、金属アルコキシド化合物及びその部分縮合物等が挙げられる。好ましくは酸性ポリマー及びシラン化合物を表面処理材として用いることである。
この酸性ポリマー及びシラン化合物を表面処理材として用いてイオン徐放性ガラスを表面処理する製造方法、具体的にはシラン化合物によりイオン徐放性ガラス表面を被覆した後に、酸性ポリマーにより表面処理する方法を以下に例示する。

粉砕等によって所望の平均粒径に微粉砕されたイオン徐放性ガラスを含有する水性分散体中に、一般式(I)
Figure 2015227309
(式中、ZはRO-、Xはハロゲン、YはOH-、Rは炭素数が8以下の有機基、n、m、Lは0から4の整数で、n+m+L=4である)で表されるシラン化合物を混合し、これを系中で加水分解または部分加水分解してシラノール化合物を経て、次いでこれを縮合させて、イオン徐放性ガラス表面を被覆する。
上記のポリシロキサン処理方法は、シラン化合物の加水分解及び縮合とガラス表面へのポリシロキサン処理を同一系内で同時に行っているが、シラン化合物の加水分解及び縮合を別の系で行って低縮合シラン化合物(オリゴマー)を生成させ、それをイオン徐放性ガラスを含有する水性分散体に混合する表面処理方法でも効率よくイオン徐放性ガラス表面にポリシロキサン被膜を形成することが可能である。より好ましくは市販の低縮合シラン化合物(オリゴマー)を用い、低縮合生成過程を経ず混合するポリシロキサン処理方法である。この方法が好ましい理由としては、シラン化合物単量体を用いる場合はポリシロキサン処理工程で多量の水が存在することから、縮合が3次元的に起こり、自己縮合が優位に進行し、均一なポリシロキサン被膜をガラス表面に形成することができないと考えられる。
一方低縮合シラン化合物(オリゴマー)を用いる場合は、ある長さのポリシロキサン主鎖を有するユニット単位でガラス表面にポリシロキサン被膜を均一に形成することが可能と考えられる。またこの低縮合シラン化合物(オリゴマー)の形状は特に制限はないが3次元体のものよりも直鎖状の方が良く、またその重合度においても長いものほど縮合反応性が劣り、イオン徐放性ガラス表面上のポリシロキサン被膜の形成が悪くなることから、好ましい重合度は2〜20の範囲であり、より好ましくは2〜6である。その時の分子量は500〜600の範囲である。
上記水性分散体中でのポリシロキサン処理は比較的低速の撹拌状態下で行われ、温度は20℃から100℃の範囲、より好ましくは20℃から50℃の範囲であり、撹拌時間は通常数分から数十時間、より好ましくは30分〜4時間の範囲で行われる。撹拌は特別な方法を必要とするものではなく、一般業界で通常に使用されている設備を採用して行うことができる。例えば万能混合撹拌機やプラネタリーミキサー等のスラリー状のものを撹拌できる撹拌機を用いて撹拌すればよい。撹拌温度は水性媒体が揮発しない温度、つまり水性媒体の沸点以下の温度であれば何等問題はない。撹拌時間はシラン化合物または低縮合シラン化合物の種類または添加量、ガラスの種類、粒子径及びその水性分散体中に占める割合、水性媒体の種類及び水性分散体中に占める割合により、縮合して形成するゲル化速度が影響を受けることから、調節しなければならなく、またゲルが形成されるまで行わなければならない。撹拌速度は速すぎるとゲル構造が崩れ、均一な被膜が形成されないため、低速で行う必要がある。
また上記の水性媒体とは水及びアルコールから構成される。アルコールを加えることにより乾燥工程においてイオン徐放性ガラスの凝集性を軽減させ、より解砕性を向上させる多大な効果がある。好ましいアルコールとしては炭素数2〜10のアルコール類であるが、炭素数が10以上のアルコールの添加は沸点が高く溶媒を乾燥除去するために長時間を要する。具体的なアルコールとしては、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、iso−アミルアルコール、n−ヘキシルアルコールn−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−ドデシルアルコールが挙げられ、より好ましくは炭素数2〜4のアルコール、例えばエチルアルコール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコールが好適に使用される。上記アルコールの添加量は水に対して5〜100重量部、好ましくは5〜20重量部である。添加量が100重量部以上になると乾燥工程が複雑になる等の問題が生じる。またガラスの含有量は水性媒体に対して25〜100重量部の範囲であり、好ましくは30〜75重量部の範囲である。含有量が100重量部を超える場合は縮合によるゲル化速度が速く、均一なポリシロキサン被膜層を形成しにくく、また25重量部より少ない場合、撹拌状態下でガラスが沈降したり水性媒体中で相分離が発生したりする。また、シラン化合物の添加量はガラスの粒子径に依存するが、ガラスに対してSiO2 換算で0.1〜10重量部の範囲であり、好ましくは0.1〜4重量部である。添加量が0.1重量部以下の場合は、ポリシロキサン被膜層形成の効果がなく、一次粒子まで解砕できず凝集したものになり、10重量部以上では乾燥後の固化物が硬すぎて解砕することができない。
「ゲル」状態にある系を、乾燥し水性媒体を除去して固化させる。乾燥は、熟成と焼成の2段階からなり、前者はゲル構造の生長と水性媒体の除去を、後者はゲル構造の強化を目的としている。前者はゲル構造にひずみを与えず、かつ水性媒体を除去することから静置で行う必要があり、箱型の熱風乾燥器等の設備が好ましい。熟成温度は20℃から100℃の範囲で、より好ましくは40〜80℃の範囲である。温度がこの範囲以下の場合は、水性媒体除去が不十分であり、範囲以上の場合は急激に揮発し、ゲル構造に欠陥が生じたり、ガラス表面から剥離したりする恐れがある。熟成時間は乾燥器等の能力にもよるため、水性媒体が充分除去できる時間ならば何等問題はない。
一方焼成工程は昇温と係留に分かれ、前者は目標温度まで徐々に長時間かけて昇温する方がよく、急激な温度はゲル分散体の熱伝導が悪いため、ゲル構造内にクラックが生じる可能性がある。後者は一定温度での焼成である。焼成温度は100〜350℃の範囲であり、よりこのましくは100〜200℃である。
以上のように乾燥によりゲルから水性媒体を除去し、収縮した固化物が得られる。固化物はイオン徐放性ガラスの凝集状態ではあるが、単なるイオン徐放性ガラスの凝集物ではなく、個々の微粒子の境界面には縮合により形成されたポリシロキサンが介在している。したがって次の工程としてこの固化物をポリシロキサン処理前のイオン徐放性ガラス相当に解砕すると、その表面がポリシロキサンで被覆されたイオン徐放性ガラスが得られる。ここで「ポリシロキサン処理前のイオン徐放性ガラス相当に解砕する」とは、ポリシロキサンで被覆されたイオン徐放性ガラスの一次粒子に解砕することであり、元のイオン徐放性ガラスと異なる点は個々の微粒子がポリシロキサンで被覆されていることである。ただし、問題ない程度なら2次凝集物を含んでもよい。固化物の解砕は、せん断力または衝撃力を加えることにより容易に可能であり、解砕方法としては、例えばヘンシェルミキサー、クロスロータリミキサー、スーパーミキサー等を用いて行うことができる。
一般式(I)で表されるシラン化合物の例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラアリロキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラキス(2-エチルヘキシロキシ)シラン、トリメトキシクロロシラン、トリエトキシクロロシラン、トリイソプロポキシクロロシラン、トリメトキシヒドロキシシラン、ジエトキシジクロロシラン、テトラフェノキシシラン、テトラクロロシラン、水酸化ケイ素(酸化ケイ素水和物)等が例示でき、より好ましくはテトラメトキシシランおよびテトラエトキシシランである。また一般式(I)で表されるシラン化合物で示される凝集体であることがより好ましい。
また一般式(I)で表されるシラン化合物の低縮合体であることがより好ましい。例えばテトラメトキシシランおよびテトラエトキシシランを部分加水分解して縮合させた低縮合シラン化合物である。これらの化合物は単独または組み合わせて使用することができる。
またポリシロキサン処理時に一般式(I)で表されるシラン化合物の一部としてオルガノシラン化合物も添加することができる。具体的にオルガノシロキサン化合物を例示すると、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メトキシトリプロピルシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメトキシシラン、γメルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン等が例示でき、特に好ましくはメチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシランである。これらの化合物は単独または組み合わせて使用することができる。しかしこれらはポリシロキサン層内において有機基が存在するため、ポリシロキサン層形成時のひずみを受ける可能性があり、機械的強度に問題が生じることがある。このため少量の添加にとどめておく必要がある。またポリシロキサン処理時に一般式(I)で表されるシラン化合物の一部として、他の金属のアルコキシド化合物、ハロゲン化物、水和酸化物、硝酸塩、炭酸塩も添加することができる。
前記工程で得られたポリシロキサンで被覆されたイオン徐放性ガラスは酸性ポリマーと反応させる酸性ポリマー処理を施すことによって本発明の最も好ましい表面処理イオン徐放性ガラスを得ることができる。酸性ポリマー処理は乾式流動型の撹拌機であれば業界で一般に使用されている設備を用いることができ、ヘンシルミキサー、スーパーミキサー、ハイスピードミキサー等が挙げられる。ポリシロキサン被膜が形成されたイオン徐放性ガラスへの酸性ポリマーの反応は、酸性ポリマー溶液を含浸や噴霧等により接触させることにより行うことができる。例えばポリシロキサン被覆イオン徐放性ガラスを乾式流動させ、その流動させた状態で上部から酸性ポリマー溶液を分散させ、十分撹拌するだけでよい。このとき酸性ポリマー溶液の分散法は特に制限はないが、均一に分散できる滴下またはスプレー方式がより好ましい。また反応は室温付近で行うことが好ましく、温度が高くなると酸反応性元素と酸性ポリマーの反応が速くなり、酸性ポリマー相の形成が不均一になる。
熱処理後、熱処理物の解砕は剪断力または衝撃力を加えることにより容易に可能であり、解砕方法としては上記反応に用いた設備などで行うことができる。
反応に用いる酸性ポリマー溶液の調製に用いる溶媒は、酸性ポリマーが溶解する溶媒であれば何等問題はなく、水、エタノール、エタノール、アセトン等が挙げられる。これらの中で特に好ましいのは水であり、これは酸性ポリマーの酸性基が解離し、イオン徐放性ガラスの表面と均一に反応することができる。
酸性ポリマー溶液中に溶解したポリマーの重量分子量は2000〜50000の範囲であり、5000〜40000の範囲にある。2000未満の重量平均分子量を有する酸性ポリマーで処理した表面処理イオン徐放性ガラスはイオン徐放性が低くなる傾向にある。50000を超える重量平均分子量を有する酸性ポリマーは酸性ポリマー溶液の粘性が上がり、酸性ポリマー処理を行うことが困難となる。また酸性ポリマー溶液中に占める酸性ポリマー濃度は3〜25重量%の範囲が好ましく、より好ましくは8〜20重量%の範囲である。酸性ポリマー濃度3重量%未満になると上記で述べた酸性ポリマー相が脆弱になる。また酸性ポリマー濃度が25重量%を超えるとポリシロキサン層(多孔質)を拡散しにくくなる反面、イオン徐放性ガラスに接触すると酸−塩基反応が速く、反応中に硬化が始まり凝集が起こる等の問題が生じる。またポリシロキサンで被覆されたイオン徐放性ガラスに対する酸性ポリマー溶液の添加量は6〜40重量%の範囲が好ましく、より好ましくは10〜30重量%である。この添加量で換算するとポリシロキサン被覆イオン徐放性ガラスに対する酸性ポリマー量は1〜7重量%、また水量は10〜25重量%の範囲が最適値である。
上記の方法によりポリシロキサンで被覆されたイオン徐放性ガラスの表面に酸性ポリマー反応相を形成するために用いることのできる酸性ポリマーは、酸性基として、リン酸残基、ピロリン酸残基、チオリン酸残基、カルボン酸残基、スルホン酸基等の酸性基を有する重合性単量体の共重合体または単独重合体である。このような重合性単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、2-クロロアクリル酸、3-クロロアクリル酸、アコニット酸、メサコン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマール酸、グルタコン酸、シトラコン酸、4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシカルボニルフタル酸、4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシカルボニルフタル酸無水物、5-(メタ)アクリロイルアミノペンチルカルボン酸、11-(メタ)アクリロイルオキシ-1,1-ウンデカンジカルボン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、10-(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、20-(メタ)アクリロイルオキシエイコシルジハイドロジェンホスフェート、1,3-ジ(メタ)アクリロイルオキシプロピル-2-ジハイドロジェンホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルリン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル2'-ブロモエチルリン酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルホスホネート、ピロリン酸ジ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンジチオホスホスフェート、10-(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンチオホスフェート等が列挙できる。これらの重合体の中でも酸反応性元素との酸-塩基反応が比較的遅い、α-β不飽和カルボン酸の単独重合体または共重合体が好ましい。より好ましくはアクリル酸重合体、アクリル酸-マレイン酸共重合体、アクリル酸-イタコン酸共重合体である。
本発明に用いるイオン徐放性ガラスはガラス組成に基因したイオン種を持続的に徐放することが特徴であり、金属フッ化物等の水への溶解によって一時的に多量を放出するものとは異なるものである。
以下の手法によってイオン徐放性ガラス又は他のフィラーがイオン徐放性を有しているか否かを判断することができる。
蒸留水100gに対してイオン徐放性ガラス又は他のフィラーを0.1g加え、1時間撹拌させた時の蒸留水中に徐放したイオン濃度(F1)又はイオン種に起因した元素濃度(F1)と、2時間撹拌した時の蒸留水中に徐放したイオン濃度(F1)又はイオン種に起因した元素濃度(F2)が下式(1)の関係を満足する場合をイオン徐放とみなすことができる。
F2 > F1 ・・・・式(1)

ここで用いるF1又はF2はフッ素電極やイオンクロマトグラフィー等によって分析したイオン濃度を用いてもよいが、誘導結合プラズマ発光分光分析装置等を用いて分析したイオン濃度と相関関係があるイオン種に起因した元素濃度をイオン濃度の代わりに用いても何等問題はない。また、イオン徐放性ガラスから徐放するイオンが複数ある場合は、すべてのイオン濃度又は元素濃度が式(1)を満足する必要はなく、少なくとも一つのイオン濃度又は元素濃度が式(1)を満足した場合をイオン徐放とみなすことができる。
本発明に用いるイオン徐放性ガラスはイオン徐放の効果に基因する酸中和能を有していることが好ましい。酸中和能はpHを4.0に調整した乳酸水溶液10gに対してイオン徐放性ガラスを0.1g加え、5分間撹拌させた時のpH変化を測定することにより確認することできる。その時のpHが5.5以上、より好ましくは6.0以上、最も好ましくは6.5以上を示したとき酸中和能が発現するとみなすことができる。
イオン徐放性ガラスの含有量は、中和促進イオン徐放性歯科用フィルムの総量に対して1〜35重量%であることが好ましく、さらに好ましくは5〜30重量%の範囲である。イオン徐放性ガラスの含有量が5重量%未満の場合はイオン徐放量が不足し歯質強化、二次齲蝕抑制等の効果が期待できない。一方、35重量%を越える場合は中和促進イオン徐放性歯科用フィルムが脆くなってしまい、取り扱いが困難になる。
本発明の中和促進イオン徐放性歯科用フィルムに用いられるフィルム形成材(b)は、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、酢酸フタル酸セルロース(別名:セルロースアセテートフタレート、CAP)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、カルボキシメチルセルロースカリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、デンプン、キサンタンガム、カラヤガム、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、カンテン、アミロース、プルラン、キトサン、デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、プランタゴ種皮、ガラクトマンナン、オイドラギット、カゼイン、アルギン酸アルキルエステル、ゼラチン、ヒドロキシエチルメチルセルロース、メタクリル酸エチル・メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体、メタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体、プルラン、アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。好ましくは口腔内の組織あるいは補綴装置上に保持させる観点からカルボニル基、ヒドロキシル基、アミド基、アミノ基またはカルボキシル基等の極性基を有することが好ましく、デンプン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドンが好適である。これらのフィルム成分は、それぞれ単独だけでなく、複数を組み合わせて用いることもできる。例えば、口腔内における溶出速度が異なる2種類以上のフィルム成分を配合することによってイオンの徐放量を制御することも可能である。
フィルム形成材(b) の配合量は60〜90%にすることが好ましい。フィルム形成材(b) の配合量が60%より低い場合、フィルムを形成することが困難であり、90%を上回る場合、イオン徐放性が著しく低下する。
本発明の中和促進イオン徐放性歯科用フィルムはフッ化物イオン供給材を配合することができる。フッ化物イオン供給材の具体例としてはフッ化物塩及び植物由来のフッ素化合物が挙げられる。フッ化物塩を例示するとフッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、フッ化ベリリウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、フッ化アルミニウム、フッ化マンガン(II)、フッ化鉄(II)、フッ化鉄(III)、フッ化銀(I)、フッ化ジアンミン銀、フッ化水素ナトリウム、フッ化水素カリウム、フルオロリン酸ナトリウム、ヘキサフルオロチタン酸カリウム、ヘキサフルオロ珪酸ナトリウム、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム、ペンタフルオロ二スズ酸(II)ナトリウム、ヘキサフルオロジルコニウム酸カリウムが例示される。上記例示のフッ化物塩の中でも、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、フッ化カルシウムが好ましく、フッ化ナトリウムが最も好ましい。一方、植物由来のフッ素化合物は茶葉から抽出される茶抽出フッ素が挙げられる。フッ化物イオン供給材は、それぞれ単独だけでなく、複数を組み合わせて用いることもできる。フッ化物イオン供給材の配合量は0.1〜10%配合することが好ましい。フッ化物イオン供給材の配合量が0.1%より低い場合、フッ化物イオンの徐放量の増加が少なく、10%を上回る場合は口腔内にフッ化物イオン供給材が溶出することによってフィルムが脆弱になる。
本発明の中和促進イオン徐放性歯科用フィルムには唾液分泌促進材を配合することもできる。唾液分泌促進材とは口腔内において唾液の分泌を促進する成分である。唾液の分泌量が増えると、口腔内に溜まった食物残差、軽度のプラークが洗い流されるので齲蝕予防に有効となる。唾液分泌促進材としては、有機酸を用いることができ、具体的にはクエン酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、コハク酸、及び乳酸が挙げられる。唾液分泌促進剤は、それぞれ単独だけでなく、複数を組み合わせて用いることもできる。有機酸の配合量は0.05〜1%配合することが好ましい。有機酸の配合量が0.05%より低い場合は唾液分泌の促進が不十分となり、1%を上回る場合は酸味が非常に強くなるため、喫食に適さない。
本発明の中和促進イオン徐放性歯科用フィルムには唾液緩衝能向上剤を配合することもできる。唾液緩衝能向上剤とは、口腔内のpHが低下した場合に口腔内を速やかに中性へと移行させる作用を有する物質である。唾液緩衝能向上剤の具体例としては炭酸水素ナトリウム、燐酸水素ニナトリウム、燐酸水素カルシウム、燐酸三カルシウム、炭酸ナトリウム、アルギニン等の塩基性アミノ酸等が挙げられる。唾液緩衝能向上剤は、それぞれ単独だけでなく、複数を組み合わせて用いることもできる。さらに本発明の中和促進イオン徐放性歯科用フィルムは含有する特定のイオン徐放性ガラスの効果によりストロンチウムイオンが口腔内に徐放するため、唾液緩衝能を相乗的に高めることが期待できる。
唾液緩衝能向上剤の配合量は5〜20%配合することが好ましい。唾液緩衝能向上剤の配合量が5%より低い場合は酸緩衝能が発現せず、20%を上回る場合は中和促進イオン徐放性歯科用フィルムが脆くなってしまい、取り扱いが困難になる。
本発明の中和促進イオン徐放性歯科用フィルムは抗菌材を配合することもできる。抗菌材の具体例としては、クロルヘキシジン、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化デカリニウム等のカチオン性抗菌剤やイソプロピルメチルフェノール、ハロゲン化ジフェニルエーテル等の非イオン性抗菌剤が挙げられる。抗菌材は、それぞれ単独だけでなく、複数を組み合わせて用いることもできる。
本発明の中和促進イオン徐放性歯科用フィルムは含有する特定のイオン徐放性ガラスにホウ酸を含有する場合はホウ酸イオンが口腔内に徐放されるため、抗菌性または静菌性を相乗的に高めることが期待できる。
本発明の中和促進イオン徐放性歯科用フィルムは甘味料を配合することもできる。甘味料としては特に非齲蝕性甘味料である人工甘味料が好ましい。人工甘味料は口腔内において細菌により代謝されることがなく、酸の産生がほとんどないため、口腔内のpH低下を引き起こす原因にならない。人工甘味料の具体例を例示するとキシリトール、マルチトール、アスパルテーム、ソルビトール、サッカリンナトリウム、スクラロース、還元パラチノース、パラチノース、マンニトール、エリスリトール、シクロデキストリン等が挙げられる。甘味料はそれぞれ単独だけでなく、複数を組み合わせて用いることもできる。
本発明の中和促進イオン徐放性歯科用フィルムから形成された中和促進イオン徐放性歯科用フィルムの厚みは操作性の観点から、15μm〜500μmが好ましく、20〜200μmがより好ましく、25〜60μmが最も好ましい。15μm未満の場合、中和促進イオン徐放性歯科用フィルムが脆弱になるため取り扱いが困難になり、500μm以上の場合は柔軟性が低くなるため複雑な部位への貼付が困難になる。
中和促進イオン徐放性歯科用フィルムの形状は口腔内組織あるいは補綴装置に貼付けができれば円形、楕円形、長方形、正方形、多角形等の形状に限定されないが、中和促進イオン徐放性歯科用フィルムの面積は0.5cm2〜25cm2が好ましい。中和促進イオン徐放性歯科用フィルムの面積が0.5cm2未満の場合はイオン徐放量が不十分であり、25cm2以上の場合は取り扱いが困難となる。
本発明の中和促進イオン徐放性歯科用フィルムは平滑な面であれば口腔内及び補綴装置のいかなる部位に対しても貼付することができる。例えば、歯質、舌、口蓋等の口腔内組織、あるいはデンチャー等の補綴装置に貼付することが可能である。
本発明の中和促進イオン徐放性歯科用フィルムはイオンの徐放性を制御するために複層構造にすることも可能である。例えば、内層にイオン徐放性ガラスを含むフィルム層、両外層にフィルム成分のみから成る3層構造のフィルムにすることによりイオン徐放性を制御することが可能である。あるいは、イオン徐放性ガラスと易水溶性フィルム成分から成る層と難水溶性フィルム成分から成る層の2層構造の中和促進イオン徐放性歯科用フィルムにおいては、易水溶性フィルム層からのみ効果的にイオン徐放性することが可能である。複層構造のフィルムを製造方法は、例えば複数枚のフィルムを各々製造後、各フィルムを圧着、溶着等することにより複層構造のフィルムを得ることができる。
本発明のフィルム製造方法は特に限定をしないものの以下の方法を例示する。フィルム形成材等を水又はエタノール、アセトン等の沸点が100℃以下の揮発性有機溶媒に溶解あるいは膨潤させる。溶解あるいは膨潤した液にイオン徐放性ガラスを分散させた後に、100℃以上で加熱乾燥を行い、揮発性有機溶媒を除去し、フィルムを得る方法が好適である。
以下に本発明の実施例及び比較例について具体的に説明する実施例及び比較例にて調製した中和促進イオン徐放性歯科用フィルムの性能を評価する試験方法は次の通りである。
[イオン徐放性ガラス及び各種フィラーから徐放されるイオンに基因した元素量の測定]
蒸留水100gに対してイオン徐放性ガラスまたは各種フィラーを0.1g加えて1時間撹拌後、分析用シリンジフィルター(クロマトディスク25A,ポアサイズ0.2μm:ジーエルサイエンス社)でろ過した溶液中に徐放した各イオンに基因する元素濃度をF1とした。また、同様に蒸留水100gに対してイオン徐放性ガラスまたは各種フィラーを0.1g加えて2時間撹拌後、同じ操作を行いろ過した溶液中に徐放した各イオンに基因した元素濃度をF2とした。フッ素はフッ素イオン複合電極(Model 9609:オリオンリサーチ社)及びイオンメータ(Model 720A:オリオンリサーチ社)を用いてフッ化物イオンを測定し、その値を用いてフッ素元素濃度に換算した。測定時にイオン強度調整剤としてTISABIII(オリオンリサーチ社製)を0.5ml添加した。検量線の作成は0.1、1、10、50ppmの標準液を用いて行った。他の元素(Na,B,Al,Sr)に関しては誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICPS-8000:島津社製)を用いて、測定により算出した。検量線の作成は0.1、1、10、50ppmの標準液を用いて行った。なお、測定元素が検量線範囲外となった場合、適宜希釈して測定を実施した。
[イオン徐放性ガラス及び各種フィラーの酸中和能の評価]
本発明に用いるイオン徐放性ガラスの酸中和能を以下の方法で評価した。pHを4.0に調整した乳酸水溶液10gに対してイオン徐放性ガラス及び各種フィラーを0.1g加え、5分間撹拌した後のpHをpHメーター(D-51:堀場製作所)を用いて測定することにより評価した。
[中和促進イオン徐放性歯科用フィルムから徐放されるイオンに基因した元素量の測定]
ガラス板(18mm×18mm)上に18mm×18mmに切り出した中和促進イオン徐放性歯科用フィルムを貼付け、このガラス板試験体を5mLの蒸留水中に浸漬し、1時間ごとにガラス板試験体を取り出し、新たな蒸留水5mLに再び浸漬させた。この操作を合計3回、つまり0〜1時間、1〜2時間、2〜3時間における中和促進イオン徐放性歯科用フィルムから蒸留水中に放出したイオンを含む3種類の溶液を得た。それらの溶液を用いて前述の測定方法と同様に溶液中の各イオンに基因した元素量を測定した。なお、測定元素が検量線範囲外となった場合、適宜希釈して測定を実施した。
[中和促進イオン徐放性歯科用フィルムのフィルム厚さ]
中和促進イオン徐放性歯科用フィルムの厚みを5か所、マイクロメータ(MDC25SB :ミツトミ)を用いて測定し、その平均値を平均フィルム厚さとして表2及び3に記載した。
[中和促進イオン徐放性歯科用フィルムの酸中和能の評価]
ガラス板(18mm×18mm)に15mm×15mmの中和促進イオン徐放性歯科用フィルムを貼付し、5mLの乳酸水溶液(pH4.0に調整)中に浸漬した。その後、6時間及び24時間経過後の乳酸水溶液のpHをpHメーター(D-51:堀場製作所)を用いて測定した。
[口臭の抑制効果の評価]
実施例及び比較例の口臭の抑制効果を評価するために5名を対象に以下の試験を実施した。各被験者の舌上に18mm×18mmに切り出した中和促進イオン徐放性歯科用フィルムを貼付け、30分経過した後の口臭を貼付ける前の口臭と比較することにより評価を行った。口臭の比較には呼気中の硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイド等に由来する口腔内の硫黄化合物濃度(VSC値)の測定(XP-Breath-Tron:新コスモス電機)を行い、貼付け前の呼気中のVSC(1)値と貼付け後30分経過した後の呼気中のVSC(2)値を比較した。評価の結果、口臭低減率(%)=(1−VSC(2)/VSC(1))×100を算出し、5名の平均値を表2及び3に記載した。
本発明の実施例及び比較例に使用した成分名およびその略号を以下に示す。
フィルム形成材
デンプン:馬鈴薯デンプン
PVP:ポリビニルピロリドン(分子量630000、東京化成工業)
フッ化物イオン供給材
NaF:フッ化ナトリウム粉末(ナカライテスク社)
甘味料
キシリトール
唾液分泌促進材
クエン酸
[イオン徐放性ガラス1の製造]
二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、フッ化ナトリウム、炭酸ストロンチウムの各種原料(ガラス組成:SiO2 23.8質量%、Al2O3 16.2質量%、B2O3 10.5質量%、SrO 35.6質量%、Na2O 2.3質量%、F11.6質量%)をボールミルを用いて均一に混合し原料混合品を調製した後、その原料混合品を溶融炉中で1400℃にて溶融した。その融液を溶融炉から取り出し冷鋼板上、ロールまたは水中で冷却してガラスを生成した。4連式振動ミルのアルミナポット(内容積3.6リットル)中に直径6mmφのアルミナ玉石4kgを投入後、上記で得たガラスを500g投入して40時間粉砕を行い、イオン徐放性ガラス1を得た。このイオン徐放性ガラス1の50%平均粒子径をレーザー回折式粒度測定機(マイクロトラックSPA:日機装社製)により測定した結果、1.2μmであった。このイオン徐放性ガラス1から放出されるイオンに基因した元素量(フッ化物イオンのみイオン量)を測定し、(1)式への適合性を確認した。その結果を表1に示した。
[イオン徐放性ガラス2の製造]
以下に示すポリシロキサン処理及び酸性ポリマー処理を行い表面処理したイオン徐放性ガラス2を得た。
前述のイオン徐放性ガラス1を500g、シラン化合物(予めテトラメトキシシラン5g、水1000g及びエタノール100gを2時間室温で撹拌し得られたシラン化合物の低縮合物)を万能混合攪拌機に投入し、90分間撹拌混合した。その後、140℃にて熱処理を30時間施し、熱処理物を得た。この熱処理物をヘンシェルミキサーを用いて解砕し、ポリシロキサン被覆イオン徐放性ガラスを得た。このポリシロキサンで被覆されたイオン徐放性ガラス500gを撹拌しつつ、酸性ポリマー水溶液(ポリアクリル酸水溶液:ポリマー濃度13重量%、重量平均分子量20000;ナカライ社製)をヘンシェルミキサーを用いて噴霧した。その後、熱処理(100℃3時間)を施し、表面処理したイオン徐放性ガラス2を製造した。このイオン徐放性ガラス2の50%平均粒子径をレーザー回折式粒度測定機(マイクロトラックSPA:日機装社製)により測定した結果、1.3μmであった。この表面処理したイオン徐放性ガラス2から放出されるイオンに基因した元素量(フッ化物イオンのみイオン量)を測定し、(1)式への適合性を確認した。その結果を表1に示した。
[イオン徐放性ガラス3の製造]
二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、フッ化ナトリウム、炭酸ストロンチウムの各種原料を混合後、1400℃にてその混合物を溶融してガラス(ガラス組成:SiO2 19.8質量%、Al2O3 19.8質量%、B2O3 11.7質量%、SrO 35.0質量%、Na2O 2.3質量%、F11.4質量%)を得た。次に生成したガラスを振動ミルを用いて10時間粉砕し、ガラス3を得た。前述のガラス3を500g、シラン化合物(予めテトラメトキシシラン10g、水1500g、エタノール100g、メタノール70g及びイソプロパノール50gを2時間室温で撹拌し得られたシラン化合物の低縮合物)を万能混合攪拌機に投入し、90分間撹拌混合した。その後、140℃にて熱処理を30時間施し、熱処理物を得た。この熱処理物をヘンシェルミキサーを用いて解砕し、ポリシロキサンで被覆したイオン徐放性ガラスを得た。このポリシロキサンで被覆したガラス500gを撹拌しつつ、酸性ポリマー水溶液(ポリアクリル酸水溶液:ポリマー濃度13重量%、重量平均分子量20000;ナカライ社製)をヘンシェルミキサーを用いて噴霧した。その後、熱処理(100℃3時間)を施し、表面処理したイオン徐放性ガラス3を製造した。
この表面処理したイオン徐放性ガラス3の50%平均粒子径をレーザー回折式粒度測定機(マイクロトラックSPA:日機装社製)により測定した結果、3.1μmであった。この表面処理したイオン徐放性ガラス3から放出されるイオンに基因した元素量(フッ化物イオンのみイオン量)を測定し、(1)式への適合性を確認した。その結果を表1に示した。
[非イオン徐放性フィラー]
非イオン徐放性フィラーとして以下のフィラーを使用した。
FLX:フューズレックスX(シリカフィラー、粒径=2.1μm:龍森社)
SOC5:シリカフィラーであるアドマファイン SO−C5(シリカフィラー、平均粒径=1.6μm:アドマテックス社)
上記のフィラーから放出されるイオンに基因した元素量(フッ化物イオンのみイオン量)を測定し、(1)式への適合性を確認した。その結果を表1に示した。
Figure 2015227309
pHを4.0に調整した乳酸水溶液10gに対してイオン徐放性ガラス及び各種フィラーを0.1g加え、5分間撹拌した結果、イオン徐放性ガラスはpHが6.5以上となり、酸中和能を有しているのに対して、非イオン徐放性フィラーはpHが4.1とほとんど変化しておらず、酸中和能を有していないことを確認した。また、イオン徐放性ガラスから徐放される元素量(フッ化物イオンのみイオン量)は式(1)に適合し、一方、非イオン徐放性フィラーから徐放される元素量(フッ化物イオンのみイオン量)は式(1)に適合しないことを確認した。
上記イオン徐放性ガラス及び非イオン徐放性フィラーを配合した中和促進イオン徐放性歯科用フィルムの作製方法は以下のとおりである。蒸留水4000gに表2及び3に示す中和促進イオン徐放性歯科用フィルムを構成する成分を合計100gになるよう加え1時間、80℃で加熱撹拌した。その後、90℃で20時間、減圧乾燥させ、中和促進イオン徐放性歯科用フィルムを得た。これらの組成及び評価結果を表2に示す。
Figure 2015227309
イオン徐放性ガラスを配合した中和促進イオン徐放性歯科用フィルムである実施例1〜6はF、Na、B、Al、Srのイオンが長期間に渡って安定的に徐放されていることが確認された。これらのイオンが口腔内で徐放されることにより歯質の耐酸性の向上、酸緩衝の向上、口臭の予防が期待される。また、酸中和能の評価から中和促進イオン徐放性歯科用フィルムはpH4.0の乳酸水溶液を6時間経過後にはpH6前後、24時間経過後には中性付近にまで中和していることから酸中和能が高いことが示唆された。口臭抑制の評価に関しては36〜62%のVSC値の減少が確認され、口臭抑制に効果的であることが示された。
Figure 2015227309
イオン徐放性ガラスを配合しない中和促進イオン徐放性歯科用フィルムである比較例1及び2は全くイオンを徐放せず、歯質の耐酸性の向上等の効果がないことが示唆される。イオンの供給源としてフッ化ナトリウムのみを配合する中和促進イオン徐放性歯科用フィルムである比較例3及び4は0〜1時間の初期においてはフッ化物イオンの徐放が確認されたものの、その後のフッ化物イオンの徐放はなく、歯質の耐酸性の向上はほとんど期待できない。また、酸中和能の評価から全く酸中和能を有していないことが認められた。口臭抑制の評価に関してはVSC値にほぼ変化はなく、口臭の低減効果を有していないことが示唆された。
 

Claims (4)

  1. イオン徐放性ガラス (a)及び
    フィルム形成材(b)を含み、
    厚さが15μm〜500μmの中和促進イオン徐放性歯科用フィルム。
  2. イオン徐放性ガラス (a)がフッ化物イオンを徐放し、更に2〜4価のイオンのうち一種類以上のイオンを徐放することを特徴とする請求項1に記載の中和促進イオン徐放性歯科用フィルム。
  3. イオン徐放性ガラス (a)がフッ化物イオンを徐放し、更にストロンチウムイオン、アルミニウムイオン及びホウ酸イオンの内から一種類以上のイオンを徐放することを特徴とする請求項1に記載の中和促進イオン徐放性歯科用フィルム。
  4. イオン徐放性ガラス (a)がフッ化物イオン、ストロンチウムイオン及びホウ酸イオンを徐放する請求項1または2に記載の中和促進イオン徐放性歯科用フィルム。
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