JP2015226668A - 歩行車の制動機構 - Google Patents

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善弘 長竹
Yoshihiro Nagatake
善弘 長竹
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Abstract

【課題】ブレーキ杆、あるいはブレーキレバーのどちらを回動操作しても、車輪に対して制動力を略同等に付与することができ、利用者の歩行能力に応じた走行速度に制動するか、停止することができる歩行車の制動機構を提供する。
【解決手段】ブレーキ杆72、あるいはブレーキレバー73を回動操作して、左右の車輪制動部9におけるワイヤ9eを、コイルスプリング9cに抗してチューブ9dの上端側開口部から略同一長さ引き出すとともに、左右のワイヤジョイント10における揺動部材12を上方に向けて回動する。揺動部材12に締結したワイヤ9eを介して、左右の制動部材9aの押し付けによる制動力を後側車輪4aに付与する。
【選択図】図6

Description

この発明は、歩行困難な身障者や老人の歩行訓練、機能回復、買い物、散歩等に用いられシルバーカーや老人車、或いは、ベビーカーやショッピングカー、荷物運搬用台車、車椅子等に用いられる歩行車の制動機構に関する。
従来、上述の身障者や老人が歩行する際、歩行能力の程度に応じて電動車椅子、車椅子、歩行器、杖などの介護機器を使用している。歩行器や杖は歩行する際に運動機能を働かせることができるが、電動車椅子や車椅子は歩行する必要がないため、運動機能をほとんど働かせることがない。
そこで、歩行するための運動機能を働かせることができるうえ、利用者の歩行を補助する歩行車が提案されている(特許文献1参照)。この歩行車(歩行補助車)は、例えば、車本体の持手部付近に設けたブレーキ操作レバー、あるいは、掴みバー付近に設けた半制動操作レバーを回動操作して、ブレーキ板への制動力を、ワイヤ、坂道制動板、ブレーキリング、及びブレーキ板スプリングを介して、左右の後側脚部に取り付けた後側車輪に付与する。
しかし、ブレーキ操作レバー、及び半制動操作レバーは、それぞれワイヤ、及びブレーキ板スプリングを介してブレーキ板に連結しているが、各レバーに連結されたワイヤの長さが異なるため、車輪に対して付与される制動力に差が生じる。例えば、車輪に付与される制動力が大きいと、歩行車が急停止されることになり、転倒するおそれがある。また、車輪に付与される制動力が小さいと、歩行車を所望する走行速度に制動するか、停止することができない。
さらに、ブレーキ操作レバーを回動操作する際、ブレーキ操作レバー側におけるブレーキ板スプリングの付勢力に加えて、半制動操作レバー側におけるブレーキ板スプリングの付勢力が非作動方向に付与されるため、一方のレバーを回動操作する場合、2つのブレーキ板スプリングに抗して回動操作しなければならず、各レバーの回動操作時に付与される弾性抵抗が大きいため、所望する制動力を車輪に対して付与することが困難である。
特開2007−176212号公報
この発明は、ブレーキ杆、あるいはブレーキレバーのどちらを回動操作しても、車輪に対して制動力を略同等に付与することができ、利用者の歩行能力に応じた走行速度に制動するか、停止することができる歩行車の制動機構を提供することを目的とする。
この発明は、車本体におけるハンドル部に取り付けたブレーキレバーの回動操作により、該ブレーキレバーに連結したワイヤを、該ワイヤを挿入したチューブの上端側開口部から引き出される方向へ牽引し、該ワイヤを介して車本体における脚部の下端側に取り付けた制動部材を、付勢手段に抗して脚部の下端に枢着した車輪に押し付けて制動する歩行車の制動機構であって、前記車本体における幅方向の両端上部に、前記ハンドル部における前記車本体の前方側に向けて張り出した形状を有するハンドル杆を支持するハンドル支持部を設け、前記ハンドル支持部における前記ハンドル杆よりも下方の前方側に、該ハンドル杆と同一方向に向けて張り出した形状を有するブレーキ杆の基端部を上下回動可能に取り付け、前記ハンドル支持部における後方側に、前記ブレーキレバーの基端部を上下回動可能に取り付け、前記チューブの上端側開口部を、前記ブレーキ杆における基端部に形成したチューブ係合部に係合し、該チューブ係合部に係合した前記チューブの上端側開口部から引き出した前記ワイヤの上端を、前記ブレーキレバーにおける基端部に形成したワイヤ連結部に連結し、前記チューブの下端側開口部を、前記脚部における前記車輪よりも上方の下端側外面に取り付けたチューブ固定部に固定し、該チューブの下端側開口部から引き出した前記ワイヤの下端を前記制動部材の非押し付け側に連結した歩行車の制動機構であることを特徴とする。
この発明によれば、ブレーキ杆、あるいはブレーキレバーのどちらを回動操作しても、車輪に対して制動力を略同等に付与することができ、歩行車の走行速度を、利用者の歩行能力に応じた速度に制動するか、停止することができる。
詳述すると、例えば、ブレーキ杆を所望する引き上げ角度に回動操作して、ブレーキ杆におけるチューブ係合部に係合したチューブの上端側開口部を、ブレーキレバーにおけるワイヤ連結部に連結したワイヤの上端に対して離間する方向へ移動させると、チューブの上端側開口部が、ブレーキ杆の回動操作により前方側に向けて押し戻されるため、ワイヤがチューブの上端側開口部から所望する長さ引き出される。
一方、ブレーキレバーを所望する引き上げ角度に回動操作して、ブレーキレバーにおけるワイヤ連結部に連結したワイヤの上端を、ブレーキ杆におけるチューブ係合部に係合したチューブの上端側開口部に対して離間する方向へ移動させると、ワイヤがチューブの上端側開口部から所望する長さ引き出される。
ブレーキ杆、あるいはブレーキレバーの回動操作により、ワイヤをチューブの上端側開口部から所望する長さ引き出すとともに、該ワイヤ、及び付勢手段を介して、脚部の下端側に取り付けた制動部材の押し付け側(具体的には制動片)を、付勢手段に抗して、脚部下端に枢着した車輪に押し付けて制動する。
この結果、制動部材の押し付けによる制動力が、脚部の下端部に枢着した車輪に対して確実に付与されるため、車輪の回転を制動するか、停止することができる。
上述の回動操作を解除すると、付勢手段の付勢力により、ブレーキ杆、あるいはブレーキレバーが操作前の状態に復帰するとともに、ワイヤの引き出した部分がチューブに収容される。
これにより、制動部材が制動前の状態に回動復帰し、該制動部材が車輪から離間されるため、該車輪に対する制動が解除される。
この結果、歩行車を、利用者の手で所望する方向に向けてスムースに走行移動することができる。
しかも、例えば、車本体の一側部において、1本のワイヤと、1つの付勢手段とを共有するため、ブレーキ杆、あるいはブレーキレバーのどちらを回動操作しても、車輪に対して制動力を略同等に付与することができる。
この発明の態様として、前記車本体の幅方向と平行して架設した連結軸の両端部に、該連結軸の軸方向と直交する方向に向けて突出され、前記ワイヤにおける長手方向の中間部が揺動側端部に固定された揺動部材を設けることができる。
この考案によれば、車本体における左右脚部に枢着した車輪を略均等に制動することができる。
詳述すると、ブレーキ杆、あるいはブレーキレバーの回動操作により、左右の揺動部材に固定したワイヤをチューブの上端側開口部から所望する長さ引き出すと、左右のワイヤを介して、連結軸にて連結した左右の揺動部材が同一方向に向けて回動する。
すなわち、左右の揺動部材を連結軸にて一体に連結しているため、例えば、一方のワイヤを牽引して、該ワイヤに固定した一方の揺動部材の揺動側端部を上方へ回動すると、他方の揺動部材の揺動側端部も同一方向に向けて一体に回動するため、左右の揺動部材の揺動側端部に固定したワイヤを同一方向に向けて略同一長さ牽引することができる。
上述の牽引動作により、左右の揺動部材に固定したワイヤを介して、左右脚部に取り付けた制動部材を、付勢手段力に抗して、左右脚部に枢着した車輪に対して略同時に押し付けることができる。
左右の制動部材による制動力が、左右車輪に対して略同時に付与されるため、左右の制動部材のうち一方が片側の車輪に先に押し付けられるか、強く押し付けられることを防止できるとともに、左右車輪に対する制動が片効き状態となることを防止できる。
この結果、制動時において、例えば、車本体の向きが左右に変位するか、横揺れすることを防止でき、歩行車の制動又は減速が安定して行える。
上述の回動操作を解除すると、付勢手段の付勢力により、左右の揺動部材に固定したワイヤの引き出し部分がチューブに収容されるとともに、連結軸にて連結した左右の揺動部材が揺動前の状態に回動復帰する。
これにより、左右の制動部材が制動前の状態に回動復帰し、左右車輪から離間されるため、左右車輪に対する制動が略同時に解除される。
この結果、歩行車を、利用者の手で所望する方向に向けて走行移動することができるとともに、
また、この発明の態様として、前記ハンドル杆における前方側に向けて張り出した張り出し部に、前記ブレーキ杆における前方側に向けて張り出した張り出し部を保持するブレーキ保持部材を備え、前記ブレーキ保持部材を、前記ハンドル杆における幅方向中央部に対して前記車本体の前後方向と平行する方向に揺動可能に取り付けられる部材本体と、前記部材本体の長手方向と平行する方向に移動可能に取り付けられ、前記ブレーキ杆が引っ掛けられるフック部材と、前記部材本体の長手方向と平行して軸架され、該部材本体の長手方向と平行する方向に前記フック部材をねじ送り移動するねじ部材とで構成することができる。
この発明によれば、歩行車の走行速度を、利用者の歩行能力に応じた速度に制動調節することができる。
詳述すると、ブレーキ杆を所望する引き上げ角度に回動操作した際、ブレーキ保持部材のねじ部材を軸回りに正逆方向に回動操作して、フック部材を、ねじ部材に沿ってブレーキ杆の引っ掛けが許容される位置へねじ送り移動させる。
ブレーキ杆を、所望する引き上げ角度に回動したままフック部材に引っ掛ければ、該ブレーキ杆を所望する引き上げ角度に回動操作した状態に保持することができ、ブレーキ杆が、フック部材に引っ掛けた位置よりも下方へ回動することを防止できる。
これにより、ブレーキ杆を、制動部材の押し付けによる制動力が、車輪に対して付与される所望の引き上げ角度に回動規制することができるため、歩行車の走行中において、車輪に付与される制動力が変動することを防止できる。
この結果、車輪に付与される制動力を一定に保つことができるため、歩行車を利用者の歩行能力に応じた速度で安定して走行移動させることができるとともに、歩行車を利用する利用者の足や腰等に与える負担を小さくして、歩行時の疲労を軽減することができる。
車輪に付与される制動力を可変調節する場合、ねじ部材を軸回りに正逆方向に回動操作して、フック部材を、ねじ部材に沿って所望する位置へねじ送り移動すれば、フック部材のねじ送り位置に対応して、該フック部材に引っ掛けられるブレーキ杆の引き上げ角度を変更することができる。
すなわち、フック部材のねじ送り移動が許容される範囲において、ブレーキ杆を所望する引き上げ角度に変更できるため、制動部材の押し付けによる、車輪に付与される制動力を略無段階に可変調節することが可能であり、歩行車の走行速度を、利用者の歩行能力に応じてより最適な状態に可変調節することができる。
なお、ブレーキ杆を、フック部材に引っ掛けた位置から上方へ回動操作すれば、制動部材が車輪に対して強く押し付けられるため、より確実に制動することができる。
また、この発明の態様として、前記部材本体に、該部材本体における幅方向と平行する方向に前記ハンドル杆の挿通を許容するとともに、該部材本体の長手方向と平行する方向に前記ハンドル杆を移動可能に保持する保持孔を設けることができる。
この発明によれば、ブレーキ杆を、所望する引き上げ角度に回動操作した状態に確実に保持することができる。
詳述すると、ブレーキ保持部材は、ブレーキ杆の引き上げ角度に応じて前後方向に向けて揺動するが、該ブレーキ杆は部材本体の保持孔に沿って長手方向へ移動するだけであり、保持孔から抜け落ちることを防止されるため、フック部材に対して確実に引っ掛けられる。
したがって、所望する引き上げ角度に回動操作したブレーキ杆から手を離しても、ブレーキ杆はフック部材に対して確実に引っ掛けられるため、ブレーキ杆が、フック部材に引っ掛けられる位置よりも下方へ回動することを防止できる。
これにより、ブレーキ杆を、制動部材の押し付けによる制動力が、車輪に対して付与される所望の引き上げ角度に確実に保持することができる。
この結果、制動部材の押し付けによる制動力を、車輪に対して確実に付与することができ、歩行車を利用者の歩行能力に応じた速度で走行移動することができる。
また、この発明の態様として、前記ねじ部材の一端側に、該ねじ部材を軸回りに正逆回転するための回動操作部を設け、前記部材本体における前記回動操作部と対応する外面部分に、該回動操作部における径方向内側の内周縁部に係止される回転固定部材を装着するとともに、該回転固定部材を、前記回動操作部における径方向内側の内周縁部に係止される係止位置と、該内周縁部に対する係止が解除される非係止位置とに、前記部材本体の長手方向と平行する方向に移動可能に設けることができる。
この発明によれば、歩行車の走行中において、車輪に付与される制動力が変動することをより確実に防止することができる。
詳述すると、ブレーキ保持部材のねじ部材を軸回りに正逆方向に回動操作して、フック部材を、ねじ部材に沿ってブレーキ杆の引っ掛けが許容される位置へねじ送り移動させ、所望する引き上げ角度に回動操作したブレーキ杆をフック部材に引っ掛けた際、回転固定部材を非係止位置から係止位置へ移動させて、該回転固定部材の係止部を回動操作部の被係止部に係合する。
これにより、ねじ部材が回転不可に固定されるため、フック部材を、ブレーキ杆の引っ掛けが許容される位置にねじ送り移動した状態に保つことができる。
この結果、制動部材の押し付けによる、車輪に付与される制動力を一定に保つことができ、歩行車を、利用者の歩行能力に応じた速度で走行移動させることができる。
車輪に付与される制動力を可変調節する場合、回転固定部材を係止位置から非係止位置へ移動させ、該回転固定部材の係止部を回動操作部の被係止部から離脱させて係合を解除すれば、ねじ部材の固定も解除される。
このため、ねじ部材を軸回りに正逆方向に回動操作して、フック部材を、ねじ部材に沿ってブレーキ杆の引っ掛けが許容される位置へねじ送り移動させることができる。
これにより、フック部材のねじ送り移動が許容される範囲において、ブレーキ杆を所望する引き上げ角度に回動操作することが可能であり、車輪に付与される制動力を略無段階に可変調節することができる。
この発明によれば、ブレーキ杆、あるいはブレーキレバーのどちらを回動操作しても、車輪に対して制動力を略同等に付与することができ、歩行車の走行速度を、利用者の歩行能力に応じた速度に制動するか、停止することができる。
本実施形態の歩行車を走行形態に変形した状態を示す右側面図。 図1に示す歩行車を折畳み形態に変形した状態を示す右側面図。 図1に示す収容袋を取り除いた歩行車を前方側から見た正面図。 図1に示す歩行車を上方側から見た平面図。 収容袋を取り付けた車本体の中央部分を後側斜め上方から見た斜視図。 車本体の幅方向内側から見たハンドル部と、幅方向外側から見た制動機構、及びワイヤジョイントの右側面図。 図6に示すワイヤジョイントの拡大断面図。 図7に示すワイヤジョイントを後側斜め下方から見た底面図。 幅方向中央で分断したブレーキ保持具の断面図。 ねじ部材の固定を解除したブレーキ保持具の正面図。 ねじ部材の回転を固定したブレーキ保持具の正面図。 肘掛け台をハンドル杆に取り付ける他の例を示す右側面図。
この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
図1は本実施形態の歩行車1を走行形態に変形した状態を示す右側面図、図2は図1に示す歩行車1を折畳み形態に変形した状態を示す右側面図、図3は図1に示す収容袋Bを取り除いた歩行車1を前方側Xaから見た正面図、図4は図1に示す歩行車1を上方側から見た平面図である。
図5は収容袋Bを取り付けた車本体2の中央部分を後側斜め上方から見た斜視図、図6は車本体2における幅方向Yの内側から見たハンドル部7と、幅方向Yの外側から見た車輪制動部9、及びワイヤジョイント10の右側面図である。
なお、車本体2の前後方向Xとは、手押し操作する車本体2の走行方向と一致する方向であり、車本体2の幅方向Yとは、前後方向Xに対して平面方向において直交する方向である。
また、車本体2における前側脚部3の側を前方側Xaとし、逆に、前側脚部3に対する後側脚部4の側を後方側Xbとしている。
本実施形態の歩行車1は、手押し操作される車本体2を、走行形態(図1参照)と折畳み形態(図2参照)とに変形自在に設けている。
車本体2は、該車本体2における前方側Xaに取り付けた前側斜め下方に延びる左右の前側脚部3と、後方側Xbに取り付けた後側斜め下方に延びる左右の後側脚部4と、車本体2における幅方向Yの両端上部に取り付けた連結部材5と、車本体2における幅方向Yの内側に取り付けた座部6と、連結部材5の上端側に取り付けたハンドル部7とを備えている。
前側脚部3の下端部には、車輪首振り部8を介して前側車輪3aを枢着している。後側脚部4の下端部には、後述する車輪制動部9を介して前側車輪3aよりも小径の後側車輪4aを枢着している。
車輪首振り部8は、前側車輪3aが枢着された下側支持部材8aの上端部を、前側脚部3の下端部に固定した上側支持部材8bの前方側突出部に水平回転可能に連結している(図1参照)。
車輪首振り部8により左右の下側支持部材8aが独立して水平回転するため、歩行車1を利用者の手で所望する方向に向けて走行移動することができる。
左右の前側脚部3における長手方向の中間部は、該前側脚部3における幅方向Yの内側に架設した前側支持杆3bにて連結している。
左右の後側脚部4における長手方向の中間部は、該後側脚部4における幅方向Yの内側に架設した後側支持杆4bにて連結している。
これにより、前側脚部3、及び後側脚部4における幅方向Yの内側を、座部6の横幅よりも幅広で、利用者の身体(肩幅)よりも幅方向Yに幅広となる間隔に隔てている。
後側支持杆4bは、幅方向Yの中央部を前方側Xaに向けて張り出した形状に形成するとともに、該中央部を、利用者の歩行を許容する高さ(足の前後動を妨げない高さ)で、座面が略水平となる角度に回動した座部6の下面側後端部に当接される高さに形成している(図1、図3参照)。
これにより、利用者の身体を、ハンドル部7における幅方向Yの内側に後方側Xbから入り込ませることが可能である。さらに、利用者の足の歩行動作が許容される空間を、後側支持杆4bにおける幅方向Yの中央部下方に確保している。
前側脚部3における前側支持杆3bよりも上方の幅方向Yの内側には、前側連結杆3dの前端を枢着している。後側脚部4における後側支持杆4bよりも下方の幅方向Yの内側には、後側連結杆4dの後端を枢着している。
前側連結杆3dの後端と後側連結杆4dの前端は、該連結杆3d,4dの端部を跨ぐように取り付けた連結金具4eにて前後回動可能に枢着している。
前側連結杆3dの中間部と、後側連結杆4dの前端部との間には、前後方向Xの内側に向けて付勢するコイルスプリング4fを取り付けている(図1参照)。
連結金具4eを下方へ押し下げながら、コイルスプリング4fに抗して、連結杆3d,4dを前後方向Xと平行する略真っ直ぐな状態に開角すると、連結金具4eが連結杆3d,4dの枢着部分に上方から当接されるため、連結杆3d,4dが略真っ直ぐな状態に回動規制される。
一方、連結金具4eを上方へ引き上げると、連結杆3d,4dがコイルスプリング4fの復元力により前後方向Xの内側に向けて屈曲される。
連結部材5における前方側Xaの幅方向Y中央部には、前側脚部3の上端を固定している。後方側Xbの幅方向Y中央部には、後側脚部4の上端を前後方向Xに前後回動可能に枢着している。
連結部材5における前後方向Xの中央部には、後述するハンドル部7のハンドル支持部74に固定した支柱75を上下動可能に挿入している。連結部材5における幅方向Yの外側には、支柱75に形成した孔部75aに係合される調節ネジ5aを取り付けている(図1参照)。
調節ネジ5aを螺合方向と逆方向へ回動操作し、支柱75の孔部75aから抜き取った後、ハンドル部7を所望する高さに上下動する。調節ネジ5aを支柱75に孔部75aに螺合することにより、ハンドル部7を、利用者の身長に応じて所望する高さに段階的に可変調節することができる。
座部6は、利用者の着座を許容する大きさ、及び形状に形成され、左右の前側脚部3における幅方向Yの内側に前後回動可能に取り付けている。
座部6の下方には、平面視略矩形状に形成した座支持枠6aを、左右の前側脚部3における幅方向Yの内側に架設している。
座支持枠6aにおける幅方向Yの外側の前端側は、連結板6bを介して、左右の前側脚部3における幅方向Yの内側に前後回動可能に枢着している。
座支持枠6aの前端側中央部は、座部6の下面側前端部に固定した枠保持部材6cにて前後回動可能に保持している(図1、図3参照)。
座支持枠6aにおける幅方向Yの内側には、平面視略U字状に形成した差動棒6dの両端部を前後回動可能に枢着している。
差動棒6dの後端側は、座部6の下面側後端部に固定した棒保持部材6eにて前後回動可能に保持している。
座支持枠6aにおける幅方向Y外側の中間部と、後側連結杆4dにおける幅方向Y外側の前端側には、支持棒6fの上下端部を前後回動可能に枢着している(図1、図5参照)。
なお、座支持枠6aには、上面側が開口された柔軟性を有する収容袋Bを着脱可能に取り付けている。該収容袋Bの上面側開口部は、座部6により開閉が許容される大きさ、及び形状に形成している(図1に示す二点鎖線参照、図5に示す実線参照)。
歩行車1を走行形態に変形した際に、座部6全体を、枠保持部材6cに保持された座支持枠6aの前端側を支点として後方側Xbへ回動し、該座部6の下面側後端部を後側支持杆4bに載置する(図1、図3に示す実線参照)。
これにより、座部6全体を、座面が略水平となる姿勢に支持されるため、歩行時において利用者が休憩を取る際の椅子として利用することができる。
座部6の後端側を上方へ引き上げながら前方側Xaへ回動して斜め下向きに傾いた姿勢とする(図1に示す二点鎖線参照)。
これにより、利用者の身体を、後述するハンドル杆71における幅方向Yの内側に入り込ませることが可能となり、該ハンドル杆71の前端側中央部に寄せることができる。
この状態で、利用者の両肘部を、ハンドル杆71に載せて歩行すれば、利用者の身体を歩行車1にて支えることができるため、歩行が安定する。
ハンドル部7は、車本体2の前方側Xaに向けて張り出した形状を有する平面視略U字状のハンドル杆71、及びブレーキ杆72と、後方側Xbに向けて突き突き出した形状を有する側面視略楕円形状のブレーキレバー73と、ハンドル杆71、ブレーキ杆72、及びブレーキレバー73を支持するハンドル支持部74と、ハンドル杆71における幅方向Y中央部に取り付けたブレーキ保持具76とで構成している(図1、図3、図4参照)。
ハンドル杆71における後方側Xbに向けて延びる延出側両端部には、利用者の手で把持しやすい大きさ、及び形状に形成した柔軟性を有するウレタン樹脂製のグリップ部71aをそれぞれ取り付けている。
ハンドル支持部74は、ハンドル杆71におけるグリップ部71aよりも前方側Xa寄りの延出部分に固定している。
ハンドル杆71、及びブレーキ杆72における幅方向Yの中央部には、車本体2の前方側Xaに向けて張り出した形状を有する張り出し部711,721をそれぞれ形成している(図4参照)。
ハンドル杆71の張り出し部711には、ブレーキ杆72の張り出し部721を保持するブレーキ保持具76を前後揺動可能に取り付けている。
ハンドル支持部74における前方側Xa下部に形成したブレーキ受け部741の内部には、ブレーキ杆72における後方側Xbの基端部に固定したブレーキ支持体722を上下回動可能に保持している。
詳述すると、ブレーキ支持体722における前方側Xa上部には、ブレーキ杆72における後方側Xbの基端部を固定している。
ブレーキ支持体722におけるブレーキ杆72よりも下方の前方側Xa下端部に形成したチューブ係合部723には、図示しないチューブ受け具を介して、後述する車輪制動部9におけるチューブ9dの上端側開口部を上下動可能に係合している。
ブレーキ杆72を回動操作する場合、ブレーキ支持体722におけるブレーキ支持部741の内部に枢着した枢着部を支点として上下方向へ回動操作する(図6参照)。
ハンドル支持部74における後方側Xb下部に形成したレバー受け部742の内部には、ブレーキレバー73における前方側Xaの基端部に形成したレバー支持体732を上下回動可能に保持している。
詳述すると、ブレーキレバー73を回動操作する場合、レバー支持体732におけるレバー受け部742の内部に係止した上端側角部、あるいは、下端側角部を支点として上下方向へ回動操作する(図6参照)。
ハンドル支持部74における前後方向Xの下端側中央部には、断面中空丸形状を有する支柱75の上端を挿入固定している。支柱75における幅方向Yの両側外面には、丸形状の孔部75aを、該支柱75の外面に沿って長手方向に所定間隔を隔てて複数配列している(図1参照)。
なお、ハンドル杆71におけるハンドル支持部74、グリップ部75、及びブレーキ保持部材75以外の外周面は、柔軟性を有するウレタン樹脂で覆っている。
車輪制動部9は、後側車輪4aに対して制動力を付与する平面視略U字状に形成した制動部材9aを、後側脚部4における後側車輪4aよりも上方の下端側外面に前後回動可能に枢着している。
制動部材9aの前端側(押し付け側)には、後側車輪4aの周面に対して径方向に押し付けられる平面視略L字状の押付け部付きの制動片9bを形成している。
制動部材9aの後端側(非押し付け側)には、後述するチューブ9dの下端側開口部から引き出した金属製のワイヤ9eの下端を連結している。
チューブ9dの下端側開口部は、後側脚部4における制動部材9aよりも上方の下端側外面に取り付けたチューブ固定部材9fに固定している。
ワイヤ9eは、可撓性を有するチューブ9dの内部に対して長手方向に摺動可能に挿入している。
チューブ9dの上端側開口部は、ブレーキ杆72におけるブレーキ支持体722の前方側Xa下端部に形成したチューブ係合部723に係合している。
チューブ9dの上端側開口部から引き出したワイヤ9eの上端は、図示しないワイヤ止め具を介して、ブレーキレバー73におけるレバー支持体732の前方側Xa中央部に形成したワイヤ連結部733に連結している。
ワイヤ9eを挿入したチューブ9dは、利用者の走行動作や走行補助車1の折畳み動作を妨げないように、車本体2における幅方向Yの外側に配索している。
ワイヤ9eにおける長手方向の中間部は、後側脚部4に取り付けた左右の車輪制動部9と対応して、前側脚部3における幅方向Yの外側に取り付けたワイヤジョイント10にそれぞれ挿通している(図1、図6参照)。
制動部材9aの後端部と、後側脚部4の下端部との間には、後側車輪4aに対する押し付けが解除される方向に制動部材9aを回動付勢するコイルスプリング9cを張架している。
コイルスプリング9cに蓄積された復元力により、制動部材9aの制動片9b側を後側車輪4aの周面に対して離間される方向へ回動付勢している。
ワイヤジョイント10は、図7、図8に示すように、車本体2の幅方向Yと平行して左右の前側脚部3間に架設した連結軸11と、ジョイントケース10a内に収容した揺動部材12と、揺動部材12の揺動側端部に螺合したイモねじ13とで構成している。
図7は図6に示すワイヤジョイント10の拡大断面図、図8は図7に示すワイヤジョイント10を後側斜め下方から見た底面図である。
ジョイントケース10aは、前側脚部3間に架設した前側支持杆3bと略同一高さで、前側脚部3における幅方向Yの外側にそれぞれ取り付けている。
連結軸11における幅方向Yの両端部周面には、揺動部材12の基端部を該連結軸11の軸方向に対して直交して固定している。
揺動部材12は、連結軸11における両端部周面の同一線上にそれぞれ配置するとともに、該連結軸11の軸芯を中心として径外方向に向けて同一長さ突出している。
揺動部材12の揺動側端部には、ワイヤ9eが挿通される挿通孔12aを前後方向Xに貫通して形成するとともに、イモねじ13が螺合されるねじ孔12bを該挿通孔12aと直交して幅方向Yに貫通して形成している。
ワイヤ9eにおける挿通孔12aに挿通した長手方向の中間部は、ねじ孔12bに螺合したイモねじ13により、該揺動部材12の揺動側端部に締結固定している。
ブレーキ保持具76は、図6、図9に示すように、ハンドル杆71の張り出し部711に取り付けられる保持具本体77と、ブレーキ杆72の張り出し部721が引っ掛けられるフック部材78と、保持具本体77の長手方向と平行する方向にフック部材78をねじ送り移動するねじ部材79と、ねじ部材79の回転を固定、及び固定を解除する回転固定部材80とで構成している。
図9は幅方向Y中央で分断したブレーキ保持具76の断面図、図10はねじ部材79の固定を解除したブレーキ保持具76の正面図、図11はねじ部材79の回転を固定したブレーキ保持具76の正面図である。
なお、ハンドル杆71は、チューブ9dの復元力、あるいは、図示しないスプリングの付勢力により、フック部材78に対して引っ掛けられる方向へ回動付勢している。
保持具本体77は、分割可能に固定した前側保持部771と後側保持部772で構成している。
保持部771,772における上側の対向面間には、ハンドル杆71の張り出し部711を保持する側面視略半形状の凹状保持部773を形成している。
凹状保持部773よりも下側の対向縁部には、ブレーキ杆72の張り出し部721を保持する側面視略楕円形状の保持孔774を形成している。
保持孔774は、保持具本体77の幅方向Yと平行する方向に張り出し部721の挿通を許容するとともに、保持具本体77の長手方向と平行して該長手方向の中間部から下端部に至る長さに形成している。
ハンドル杆71の張り出し部711を、保持部771,772の凹状保持部773により径方向に保持することにより、保持具本体77を張り出し部711に対して前後揺動可能に取り付けている。
ブレーキ杆72の張り出し部721は、保持孔774に対して幅方向Yに挿通するとともに、保持具本体77における長手方向に移動可能に保持している。
保持部771における前方側Xaの幅方向Y中央部には、後述するフック部材78の螺合部781を収容するねじ収容部775を、保持具本体77の長手方向と平行して該長手方向の上端部から下端部に至る長さ形成している。
保持部771,772における凹状保持部773よりも下側の対向面間には、フック部材78のフック部782を収容する断面略矩形状のフック収容部776を、保持具本体77の長手方向と平行して該長手方向の中間部から下端部に至る長さ形成している。
ねじ収容部775とフック収容部776を隔てる壁部の幅方向Y中央部には、フック部782の摺動を許容する溝部777を、保持具本体77の長手方向と平行して形成している。
溝部777は、螺合部781よりも幅狭で、フック部782よりも幅広に形成するとともに、保持具本体77における長手方向の中間部から下端部に至る長さ形成している。
フック部材78は、前方側Xaに形成した螺合部781と、後方側Xbに形成した側面視略U字状のフック部782とで構成している。
螺合部781、及びフック部782は、上述のねじ収容部775、及びフック収容部776にそれぞれ挿入するとともに、保持具本体77の長手方向と平行する方向に摺動可能に保持している。
フック部782におけるブレーキ杆72の張り出し部721を引っ掛ける部分は、該張り出し部721の略半周面と対応する曲面形状に形成している。
ねじ部材79は、保持具本体77の長手方向と平行してねじ収容部775に挿通したねじ軸791と、該ねじ軸791の一端に固定した回動操作部792とで構成している。
ねじ軸791の一端は、ねじ収容部775の上端部よりも外方に突出して、回動操作部792の中心部に固定している。
ねじ軸791の他端は、ねじ収容部775に挿入したフック部材78の螺合部781に螺合している。
回転固定部材80は、ねじ収容部775における回動操作部792と対応する上端側外面に装着される操作部81と、回動操作部792における径方向内側の内周縁部に対して差し込みが許容される差込み部82とで構成している。
操作部81におけるねじ収容部775の上端側外面と対向する後方側Xbの幅方向Y中央部には、後方側Xbに向けて突出する断面略Y形状の案内部811を形成している。
案内部811における後述する溝部778に差し込まれる幅狭部分の両側面には、後述する凹部779a,779bに係合する凸部812を突出している。
ねじ収容部775における上端側外面には、案内部811の差し込みを許容する溝部778を、該ねじ収容部775の長手方向と平行して形成している。
溝部778の対向縁部には、凸部812の係合を許容する凹部779a,779bを、該ねじ収容部775の長手方向に所定間隔を隔てて形成している。
凹部779a,779bは、後述する係止部821と被係止部793が互いに係合される係止位置と、該係合が解除される非係止位置に対応して2箇所配置している。
差込み部82における回動操作部792の径方向内側と対向する上端側には、後述する回動操作部792の被係止部793と係合する正面視略凹形状の係止部821を、回動操作部792における径方向内側の内周縁部に向けて突出している。
係止部821は、回動操作部792における径方向内側の内周縁部に形成した被係止部793と対向する方向に向けて突出している。
被係止部793は、係止部821の係合を許容する形状に形成するとともに、回動操作部792の径方向中心部を中心として周方向に所定間隔を隔てて複数形成している。
回転固定部材80は、操作部81の案内部811を、ねじ収容部775の溝部778に差し込むことにより、差込み部82の係止部821が回動操作部792の被係止部793に係止される係止位置(図11に示す上側)と、該被係止部793に対する係止部821の係止が解除される非係止位置(図10に示す下側)とにスライド可能に設けている。
詳述すると、回転固定部材80を係止位置へスライド移動させる際に、案内部811の凸部812を、溝部778における非係止位置側の凹部779aから離脱させて、係止位置側の凹部779bに係合することにより、回転固定部材80を、係止部821と被係止部793を互いに係合した係止位置に規制することができる(図11参照)。
すなわち、係止部821と被係止部793の係合により、回動操作部792の回転が固定されるため、ねじ軸791の回転が不可となり、フック部782を所望する位置にねじ送り移動した状態に固定することができる。
フック部材78に引っ掛けられたブレーキ杆72を、所望する引き上げ角度に回動操作した状態に保つことができる。
回転固定部材80を非係止位置へスライド移動させる際に、案内部811の凸部812を、溝部778における係止位置側の凹部779bから離脱させて、非係止位置側の凹部779aに係合することにより、回転固定部材80を、係止部821と被係止部793の係合が解除された非係止位置に規制することができる(図10参照)。
これにより、回転操作部792の回転が可能となり、ねじ軸791を軸周りに正逆回転して、フック部材78のフック部782を所望する位置へねじ送り移動させることができる。
しかも、フック部782のねじ送り位置に応じて、ブレーキ杆72を所望する引き上げ角度に変更することができるため、車輪制動部9における制動部材9aの押し付けによる、後側車輪4aに付与される制動力を略無段階に可変調節することができる。
上述のブレーキ杆72、あるいはブレーキレバー73を回動操作して、走行中の歩行車1を制動するか、停止する際の操作方法について説明する。
先ず、走行中において、ハンドル部7におけるブレーキレバー73を回動操作せず、ブレーキ杆72を、図6中の二点鎖線で示す所望する引き上げ角度に回動操作すると、チューブ9dの上端側開口部を係合したブレーキ支持体722が、ブレーキ支持部741の内部に枢着した枢着部を支点として前方側Xa上方に向けて回動する。
ところが、ワイヤ9eの上端を連結したレバー支持体732は、レバー受け部742の内部に対して図6中の実線で示す状態に係合しているため、前方側Xaへの回動が阻止される。
したがって、ワイヤ9eを牽引するコイルスプリング9cに抗して、ブレーキ杆72を上方へ回動すれば、ブレーキ支持体722におけるチューブ9dの上端側開口部を係合したチューブ係合部723を、レバー支持体732におけるワイヤ9eの上端を連結したワイヤ連結部733に対して前方側Xaに向けて離間する方向へ移動させることができる。
これにより、チューブ9dの上端側開口部が、ブレーキ支持体722の回動により前方側Xaに向けて押し戻されるため、ブレーキ杆72の引き上げ角度に応じて、ワイヤ9eをチューブ9dの上端側開口部から所望する長さ引き出すことができる(図1、図6参照)。
一方、ブレーキ杆72を回動操作せず、左右のブレーキレバー73のうち一方を、図6中の二点鎖線で示す引き上げ角度に回動操作すると、レバー支持体732が、レバー受け部742の内部に係合した上端部を支点として後方側Xb上方に向けて回動する。
ところが、ブレーキ支持体722は、ブレーキ支持部741の内部に対して図6中の実線で示す状態に係合しているため、後方側Xbへの回動が阻止される。
したがって、ブレーキレバー73を上方又は下方へ回動すれば、レバー支持体732におけるワイヤ9eの上端を連結したワイヤ連結部733を、ブレーキ支持体722におけるチューブ9dの上端側開口部を係合したチューブ係合部723に対して後方側Xbに向けて離間する方向へ移動させることができる。
これにより、ブレーキレバー73の引き上げ角度に応じて、ワイヤ9eをチューブ9dの上端側開口部から所望する長さ引き出すことができる。
上述のようにブレーキ杆72、あるいはブレーキレバー73を回動操作した際、その回動操作に応じて、ワイヤ9eがチューブ9dの上端側開口部から所望する長さ引き出されるため、ワイヤ9e、及び連結軸11を介して、一方、及び他方のワイヤジョイント10におけるワイヤ9eを固定した揺動部材12の揺動側端部が上方に向けて回動される(図7に示す二点鎖線参照)。
揺動部材12の揺動側端部が上方へ回動すると、ワイヤ9eを介して、左右の後側脚部4に取り付けた車輪制動部9におけるワイヤ9eの下端に連結した制動部材9aの後端側が上方に向けて回動するが、逆に、制動部材9aの前端側は下方に向けて回動するため、前端側の制動片9bが後側車輪4aの周面に対して径方向に押し付けられる。
これにより、揺動部材12の押し付けによる制動力(具体的には接触抵抗)によって、左右の後側車輪4aの回転を制動するか、停止することができる。
左右の車輪制動部9のうちいずれか一方の制動部材9aが片側の後側車輪4aに先に押し付けられるか、強く押し付けられることを防止できる。
しかも、左右の制動部材9aを、左右の後側車輪4aに対して略同時に押し付けて、後側車輪4aを略均等に制動するため、後側車輪4aに対する制動が片効き状態となることを防止できる。
この結果、制動時において、車本体2の向きが左右に変位するか、横揺れすることを防止でき、歩行車1の制動がより安定して行える。
ブレーキ杆72、あるいはブレーキレバー73の回動操作した方から手を離した際、コイルスプリング9cの復元力により、ワイヤ9eがチューブ9dに収容される方向に向けて牽引され、ブレーキ杆72、及びブレーキレバー73が操作前の状態に復帰する。
ワイヤ9e、及び連結軸11を介して、一方、及び他方のワイヤジョイント10における揺動部材12の揺動側端部が下方に向けて回動される(図7に示す実線参照)。
揺動部材12の揺動側端部が下方へ回動すると、コイルスプリング9cの復元力により、車輪制動部9におけるワイヤ9eの下端に連結した制動部材9aの後端側が下方に向けて回動するが、逆に、制動部材9aの前端側が上方に向けて回動するため、制動片9bが後側車輪4aの周面から離間され、左右の後側車輪4aに対する制動が略同時に解除される。
これにより、歩行車1を、利用者の手で所望する方向に向けて走行移動することができる。
以上のように、ブレーキ杆72、あるいはブレーキレバー73のどちらを回動操作しても、左右の後側車輪4aに対して制動力を略同等に付与することができ、歩行車1の走行速度を、利用者の歩行能力に応じた速度に制動又は減速するか、停止することができる。
しかも、車本体2における幅方向Yの一側部に取り付けた1本のワイヤ9eと、1つのコイルスプリング9cとを共有するため、ブレーキ杆72、あるいはブレーキレバー73のどちらを回動操作しても、左右の後側車輪4aに対して制動力を略同等に付与することができる。
次に、歩行車1の走行速度を、利用者の歩行能力に応じた速度に制動する調節方法について説明する。
ブレーキ杆72を所望する引き上げ角度に回動操作して、制動部材9aの押し付けによる制動力を後側車輪4aに付与した際、ブレーキ保持具76におけるねじ部材79を軸回りに正逆回転(図9中の矢印で示す方向)して、フック部材78を、ねじ軸791に沿ってブレーキ杆72の引っ掛けが許容される位置までねじ送り移動させる(図9参照)。
ブレーキ杆72を、所望する引き上げ角度に引き上げたままフック部材78に引っ掛ければ、該ブレーキ杆72を所望する引き上げ角度に回動操作した状態に保持することができる(図1、図6参照)。
ブレーキ杆72をフック部材78に引っ掛けた際、回転固定部材80を非係止位置から係止位置へスライド移動させ、差込み部82の係止部821を回動操作部792の被係止部793に係合して、ねじ部材79を回転不可に固定するため、フック部782を、ブレーキ杆72の引っ掛けが許容される位置に停止させておくことができる(図11参照)。
ブレーキ保持具76は、ブレーキ杆72の引き上げ角度に応じて前後方向Xに向けて揺動するが、該ブレーキ杆72の張り出し部721は保持具本体77の保持孔774に沿って長手方向へ移動するだけであり、保持孔774から抜け落ちることを防止されるため、フック部材78に対して確実に引っ掛けられる。
したがって、所望する引き上げ角度に回動操作したブレーキ杆72から手を離しても、ブレーキ杆72の張り出し部721はフック部材78のフック部782に対して確実に引っ掛けられるため、ブレーキ杆72が、フック部材78に引っ掛けられる位置よりも下方へ回動することを防止できるとともに、ブレーキ杆72を所望する引き上げ角度に回動規制することができる。
これにより、制動部材9aを、後側車輪4aの周面に対して一定の押し付け力にて押し付けられた状態に保つことができる。
この結果、歩行車1の走行中において、左右の後側車輪7に付与される制動力が変動することを防止でき、後側車輪7に付与される制動力を一定に保つことができるため、歩行車1を利用者の歩行能力に応じた速度で安定して走行移動させることができる。
後側車輪4aに付与される制動力を可変調節する場合、回転固定部材80を係止位置から非係止位置へスライド移動させ、差込み部82の係止部821を回動操作部792の被係止部793から離脱させて係合を解除すれば、ねじ部材79の固定が解除される(図9、図10参照)。
ねじ部材79を軸回りに正逆回転して、フック部材78をブレーキ杆72の引っ掛けが許容される位置へねじ送り移動するので、ねじ部材79のねじ送り移動が許容される範囲において、ブレーキ杆72を所望する引き上げ角度に変更可能である。
このため、制動部材9aの押し付けによる、後側車輪4aに付与される制動力を略無段階に可変調節することが可能であり、歩行車1の走行速度を、利用者の歩行能力に応じてより最適な状態に可変調節することができるため、利用者の足や腰等に与える負担を小さくして、歩行時の疲労を軽減することができる。
詳述すると、ブレーキ杆72を、図9中の二点鎖線で示す上限位置へ移動したフック部材78に引っ掛ければ、該ブレーキ杆72が図6中の二点鎖線で示す引き上げ角度に回動規制されるため、チューブ9dの上端側開口部から引き出されるワイヤ9eの引き出し長さが最長となる。
コイルスプリング9cに抗して、制動部材9aの制動片9b側が後側車輪4aの周面に対して強く押し付けられるため、歩行車1をより確実に制動するか、停止することができる。
ブレーキ杆72を、図9中の実線で示す下限位置へ移動したフック部材78に引っ掛ければ、該ブレーキ杆72が図6中の実線で示す引き上げ角度に回動規制されるため、ワイヤ9eはチューブ9dから引き出される前の状態に復帰する。
コイルスプリング9cの復元力によって、制動部材9aの制動片9b側が後側車輪4aの周面から離間され、後側車輪7に対する制動を解除した状態に保たれるため、歩行車1を利用者の手で所望する方向に向けて走行移動することができる。
以下、上述の歩行車1におけるその他の例について説明する。この説明において、前記構成と同一または同等の部位については同一の符号を記してその詳しい説明を省略する。
上述の実施形態では、利用者の両肘部を車本体2のハンドル杆71に載せて歩行する歩行車1について説明したが、図12に示すように、肘掛け用の肘掛け台14を、ハンドル杆71におけるハンドル支持部74に取り付けてもよい。
図12は肘掛け台14をハンドル杆71におけるハンドル支持部74に取り付ける他の例を示す右側面図である。
詳述すると、肘掛け台14は、利用者の肘部を当てる凹状の肘当て部14aと、肘当て部14aにおける下面側の一側端部に枢着した支持部14bとで構成している。
一方、ハンドル支持部74における幅方向Yの外側の中央部分には、支持部14bの嵌め込みを許容する平面視略T形状に受け部74bを形成している。
すなわち、肘当て部14aの支持部14bを、ハンドル支持部74の受け部74bに上方から嵌め込むとともに、支持部14bのロック孔14cと受け部74bのロックピン74cとを互いに係合して、肘掛け台14をハンドル支持部74に取り付ける。
これにより、利用者の左右肘部を、ハンドル支持部74に取り付けた左右の肘掛け台14の肘当て部14aに当てて身体を支えるため、利用者の足や腰等に与える負担を軽減することができる。
なお、ハンドル支持部74のレバー受け部742には、抜止め部材733と、復帰ばね734とを収容している。
抜止め部材733の一端は、ブレーキレバー73におけるレバー支持体732の後方側Xbの中央部に枢着している。
抜止め部材733の他端側下部に装着した復帰ばね734は、該復帰ばね734に蓄積された復元力により、レバー支持体732をレバー受け部742内に向けて引き戻される方向へ付勢するとともに、ブレーキレバー73を操作前の状態に復帰するように常時付勢している(図12に示す実線参照)。
この考案の構成と、前記実施形態との対応において、
この考案の付勢手段は、実施形態のコイルスプリング9cに対応し、
以下同様に、
制動部材の押し付け側は、制動部材9aの制動片9bに対応し、
制動部材の非押し付け側は、制動部材9aの後端側に対応し、
ブレーキ保持部材は、ブレーキ保持具76に対応し、
部材本体は、保持具本体77に対応するも、
この考案は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
上述の肘掛け台14を、例えば、車本体2の幅方向Yの外側、あるいは内側に向けて上下回動可能、水平回動可能に設けてもよい。
X…前後方向
Xa…前方側
Xb…後方側
Y…幅方向
B…収容袋
1…歩行車
2…車本体
4…後側脚部
4a…後側車輪
6…座部
7…ハンドル部
71…ハンドル杆
711…張り出し部
72…ブレーキ杆
721…張り出し部
722…ブレーキ支持体
723…チューブ係合部
73…ブレーキレバー
732…レバー支持体
733…ワイヤ連結部
74…ハンドル支持部
741…ブレーキ受け部
742…レバー受け部
76…ブレーキ保持具
77…保持具本体
774…保持孔
78…フック部材
79…ねじ部材
792…回動操作部
793…被係止部
80…回転固定部材
81…操作部
821…係止部
9…車輪制動部
9a…制動部材
9b…制動片
9c…コイルスプリング
9d…チューブ
9e…ワイヤ
10…ワイヤジョイント
11…連結軸
12…揺動部材
14…肘当て台

Claims (5)

  1. 車本体におけるハンドル部に取り付けたブレーキレバーの回動操作により、該ブレーキレバーに連結したワイヤを、該ワイヤを挿入したチューブの上端側開口部から引き出される方向へ牽引し、該ワイヤを介して車本体における脚部の下端側に取り付けた制動部材を、付勢手段に抗して脚部の下端に枢着した車輪に押し付けて制動する歩行車の制動機構であって、
    前記車本体における幅方向の両端上部に、
    前記ハンドル部における前記車本体の前方側に向けて張り出した形状を有するハンドル杆を支持するハンドル支持部を設け、
    前記ハンドル支持部における前記ハンドル杆よりも下方の前方側に、該ハンドル杆と同一方向に向けて張り出した形状を有するブレーキ杆の基端部を上下回動可能に取り付け、
    前記ハンドル支持部における後方側に、前記ブレーキレバーの基端部を上下回動可能に取り付け、
    前記チューブの上端側開口部を、前記ブレーキ杆における基端部に形成したチューブ係合部に係合し、
    該チューブ係合部に係合した前記チューブの上端側開口部から引き出した前記ワイヤの上端を、前記ブレーキレバーにおける基端部に形成したワイヤ連結部に連結し、
    前記チューブの下端側開口部を、前記脚部における前記車輪よりも上方の下端側外面に取り付けたチューブ固定部に固定し、
    該チューブの下端側開口部から引き出した前記ワイヤの下端を前記制動部材の非押し付け側に連結した
    歩行車の制動機構。
  2. 前記車本体の幅方向と平行して架設した連結軸の両端部に、
    該連結軸の軸方向と直交する方向に向けて突出され、前記ワイヤにおける長手方向の中間部が揺動側端部に固定された揺動部材を設けた
    請求項1に記載の歩行車の制動機構。
  3. 前記ハンドル杆における前方側に向けて張り出した張り出し部に、
    前記ブレーキ杆における前方側に向けて張り出した張り出し部を保持するブレーキ保持部材を備え、
    前記ブレーキ保持部材を、
    前記ハンドル杆における幅方向中央部に対して前記車本体の前後方向と平行する方向に揺動可能に取り付けられる部材本体と、
    前記部材本体の長手方向と平行する方向に移動可能に取り付けられ、前記ブレーキ杆が引っ掛けられるフック部材と、
    前記部材本体の長手方向と平行して軸架され、該部材本体の長手方向と平行する方向に前記フック部材をねじ送り移動するねじ部材とで構成した
    請求項1又は2に記載の歩行車の制動機構。
  4. 前記部材本体に、
    該部材本体における幅方向と平行する方向に前記ハンドル杆の挿通を許容するとともに、該部材本体の長手方向と平行する方向に前記ハンドル杆を移動可能に保持する保持孔を設けた
    請求項1〜3のいずれか一つに記載の歩行車の制動機構。
  5. 前記ねじ部材の一端側に、
    該ねじ部材を軸回りに正逆回転するための回動操作部を設け、
    前記部材本体における前記回動操作部と対応する外面部分に、
    該回動操作部における径方向内側の内周縁部に係止される回転固定部材を装着するとともに、
    該回転固定部材を、
    前記回動操作部における径方向内側の内周縁部に係止される係止位置と、該内周縁部に対する係止が解除される非係止位置とに、前記部材本体の長手方向と平行する方向に移動可能に設けた
    請求項1〜4のいずれか一つに記載の歩行車の制動機構。
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JP2018165082A (ja) * 2017-03-28 2018-10-25 アロン化成株式会社 歩行車のブレーキ機構

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