JP2015225750A - 電線の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】全体のコンパクト化を図りつつ取扱性が良好な束電線を容易に製造する。【解決手段】電線の製造方法は、断面円形状の複数の被覆電線を撚り合わせて束電線を形成する工程と、束電線を押圧整形する工程とを備え、束電線を押圧整形する工程では、被覆電線毎に設けられた押圧ローラによって、各被覆電線を束電線の外周側から中心に向けて押圧すると共に、複数の被覆電線を押圧する押圧ローラを、被覆電線の撚りに追従させて束電線の中心軸を中心として回転移動させる。【選択図】図1
Description
この発明は、芯線が被覆に覆われた被覆電線を複数束ねた束電線などの電線の製造方法及び製造装置に関する。
複数の被覆電線を束ねて束電線やケーブルを製造するものとして、例えば扇形導体に架橋ポリエチレン及びプラスチックシースを被覆した3本の扇形架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブルを全体の断面形状が円形状に仕上がるように撚り合わせた後に、撚り合わせた状態のまま加熱して形状を記憶させるアニール処理を行って製造する方法が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
しかしながら、上記特許文献1に開示された従来技術の製造方法においては、扇形導体の電力ケーブルである扇形電線を3本まとめて互いに接着して束ねることにより円形状に整形し、ケーブル全体のコンパクト化を図っている。しかし、このような扇形電線を撚り合わせる場合、撚り合わせに先立つ個々の扇形電線をドラムに巻き付けて保管する際にその形状が崩れたり、扇形電線を撚り合わせるとき円弧部分が全体の外周となるように個々の扇形電線の向きを調整しながら撚り合わせなければならないなど、扇形電線の取り扱いが煩雑であるという問題がある。
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消し、全体のコンパクト化を図りつつ取扱性が良好な束電線を容易に製造することができる電線の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
本発明に係る電線の製造方法は、断面円形状の複数の被覆電線を撚り合わせて束電線を形成する工程と、前記束電線を押圧整形する工程とを備え、前記束電線を押圧整形する工程では、前記被覆電線毎に設けられた押圧ローラによって、前記各被覆電線を前記束電線の外周側から中心に向けて押圧すると共に、前記複数の被覆電線を押圧する押圧ローラを、前記被覆電線の撚りに追従させて前記束電線の中心軸を中心として回転移動させることを特徴とする。
本発明に係る電線の製造方法によれば、断面円形状の被覆電線を複数本撚り合わせて形成した束電線を、被覆電線毎の押圧ローラによって、各被覆電線を束電線の外周側から中心に向けて押圧すると共に各押圧ローラを被覆電線の撚りに追従させて束電線の中心軸を中心として回転移動させて押圧整形し、コンパクト化された束電線を製造するので、束電線を形成する前に扇形電線を取り扱う必要がない。このため取扱性が良好で束電線を容易に製造することができる。また、各押圧ローラを束電線を構成する被覆電線の撚りに追従させて回転移動させるので、各押圧ローラ間に被覆電線が噛み込まれて被覆が破壊されることを確実に防止することができる。
本発明の一実施形態においては、前記束電線を押圧整形する工程では、前記各押圧ローラを、前記被覆電線の延びる方向に沿って前記被覆電線上を転動させる。
本発明に係る電線の製造装置は、断面円形状の複数の被覆電線を撚り合わせて束ねた束電線を送給する送給手段と、前記送給された束電線を押圧整形する押圧整形手段とを備えた電線の製造装置であって、前記押圧整形手段は、前記束電線を囲むように前記各被覆電線に対応して設けられ、前記各被覆電線に対して前記束電線の外周側から中心に向けて押圧する複数の押圧ローラと、前記複数の押圧ローラを、前記被覆電線の撚りに追従させて前記束電線の中心軸を中心として回転移動可能に支持する支持手段とを有することを特徴とする。
本発明に係る電線の製造装置によれば、断面円形状の被覆電線を複数本撚り合わせて束ねた束電線を、これを囲むように各被覆電線に対応して設けられこれらに対して束電線の外周側から中心に向けて押圧する複数の押圧ローラを、被覆電線の撚りに追従させて束電線の中心軸を中心として回動可能に支持する支持手段を有する押圧整形手段によって押圧整形して束電線を製造するので、上記電線の製造方法の作用効果と同様に被覆電線の被覆の破壊を防止しつつ取扱性が良好で束電線を容易に製造することが可能となる。
本発明の一実施形態においては、前記各押圧ローラは、前記被覆電線の延びる方向に沿って前記被覆電線上を転動する。
本発明によれば、全体のコンパクト化を図りつつ取扱性が良好な束電線を容易に製造することができる。
以下、添付の図面を参照して、この発明の実施の形態に係る電線の製造方法及びその製造装置を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電線の製造装置の全体構成を示す図である。図2は、本発明の一実施形態に係る電線の製造方法による製造工程を示すフローチャートである。図3は、電線の製造装置により押圧整形される電線の側面図、図4は図3のA−A’断面図である。
また、図5は、電線の製造装置に備えられる電線の押圧整形装置の概略構成図、図6は押圧整形装置の押圧ローラの回転軸を示す図である。更に、図7は、図5のB−B’断面図、図8は押圧整形装置により押圧整形された電線の断面図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る電線の製造装置100は、送給手段を構成するリールドラム20及び撚り合わせ束ね機30と、加熱手段を構成するヒータ40と、押圧整形手段を構成する押圧整形装置50とを備えて構成され、押圧整形装置50の後段には例えばエンドドラム60が備えられている。本実施形態における電線の製造ラインの流れは、リールドラム20側からエンドドラム70側に向かって進むものとする。
次に、このように構成された製造装置100を用いた電線の製造方法について説明する。
図2に示すように、まず、断面円形状となる丸形被覆電線1を予め別途作製しておき、リールドラム20などに巻き付けておいて準備する(ステップS100)。ここで、丸形被覆電線1は、銅やアルミニウムなどの導電材からなる複数の素線が撚り合わされて形成された芯線2(図4参照)が絶縁樹脂などの絶縁材からなる被覆3(図4参照)に覆われた構造を備えている。
図2に示すように、まず、断面円形状となる丸形被覆電線1を予め別途作製しておき、リールドラム20などに巻き付けておいて準備する(ステップS100)。ここで、丸形被覆電線1は、銅やアルミニウムなどの導電材からなる複数の素線が撚り合わされて形成された芯線2(図4参照)が絶縁樹脂などの絶縁材からなる被覆3(図4参照)に覆われた構造を備えている。
次に、作製された丸形被覆電線1が巻き取られたリールドラム20から所望数の丸形被覆電線1を撚り合わせ束ね機30に送り出して供給(送給)し、この撚り合わせ束ね機30にて各丸形被覆電線1を撚り合わせて束ねた束電線10の原型を形成する(ステップS102)。本例では、例えば3本の丸形被覆電線1が撚り合わせ束ね機30にて撚り合わせて束ねられる。
そして、撚り合わせ束ね機30の後段に送り出される束電線10は、図3のA−A’線該当箇所及び図4に示すように、断面円形状の丸形被覆電線1が複数本(例えば3本)撚り合わされてトリプレックス型に束ねられ、各丸形被覆電線1の軸心Pが螺旋状配置されるように撚り合わされて束ねられている。なお、個々の丸形被覆電線1は、複数の素線からなる芯線2の外周に、芯線2との間に隙間をあけた状態で被覆3が覆われており、断面円形状の丸形被覆電線1は、外周からの押圧により電線形状(断面形状)が可変するように構成されている。
その後、束電線10は、ヒータ40に送給されて所定温度で加熱処理され(ステップS104)、押圧整形装置50に送給されて所定圧で束電線10の外周側から撚り合わせ中心方向に向けて押圧されて所定形状に整形処理される(ステップS106)。このステップS106の押圧整形処理を行う押圧整形装置50は、例えば次のように構成される。
図5及び図7に示すように、押圧整形装置50は、固定配置される矩形状の装置基台51と、この装置基台51の中心に設けられた孔部51aに装着された円環状のベアリング部69と、このベアリング部69を介して装置基台51に図5中矢印Aで示すように回転移動するように設けられた回転基台52と、この回転基台52に対してそれぞれ回転移動可能に配置された複数の押圧ローラ53,54,55とを備えて構成されている。従って、回転基台52は、各押圧ローラ53〜55を支持する支持手段として機能する。
なお、押圧整形装置50の押圧ローラ53〜55の数は、3つに限定されるものではなく、送給される束電線10を構成する丸形被覆電線1の数に合わせて備えられればよい。
回転基台52は、固定基台51の主面51bに沿って回転可能に取り付けられた円板状の外形を有する。回転基台52には、その中心部にヒータ40を経て送給された束電線10が挿通される孔状の電線挿通部52aが設けられている。
ベアリング部69は、固定基台51の主面51b上に複数のボルト63により止められた板状の押さえパネル64により固定基台51に対して押さえ付けられて取付固定されている。回転基台52は、ベアリング部69の内周側可動部69aに嵌め込まれた上で、スナップリング68により内周側可動部69aに固定されている。これにより、回転基台52はベアリング部69の内周側可動部69aと共に回転可能に固定基台51に取り付けられる。
また、各押圧ローラ53〜55は、回転基台52の電線挿通部52aの周囲に、例えば電線挿通部52aを囲むように周方向に等間隔で配置されている。すなわち、各押圧ローラ53〜55は、電線挿通部52aに挿通される束電線10を囲むように各丸形被覆電線1に対応して設けられており、各丸形被覆電線1に対して束電線10の外周側から中心に向けて押圧するように構成されている。
回転基台52は、制御装置により制御される回動調整手段(図示せず)によって、その回転速度が制御され得る。回転速度は、例えば束電線10の撚り合わせピッチと、束電線10の送給速度とに基づき算出される。各押圧ローラ53〜55は、回転基台52に設けられた距離調整手段(図示せず)により、電線挿通部52aの中心からの距離(図5中矢印A’で示す放射方向の距離)が調整可能となっている。これにより、それぞれ外径の異なる束電線10を押圧整形装置50に送給したとしても、適切に各押圧ローラ53〜55を接触させて押圧し、整形することができる。
各押圧ローラ53〜55は、図3及び図5に示すように、ローラ外周面53a,54a,55aが中凹み状となった鼓型柱状部材からなり、それぞれ丸形被覆電線1の延びる方向に沿って丸形被覆電線1上を転動するようになっている。より具体的には、各押圧ローラ53〜55は、それぞれの丸形被覆電線1との接触部において、図3及び図6に示すように、接触部における丸形被覆電線1の面法線方向B及び丸形被覆電線1の延びる方向Cと直交する方向Dに延びる回転軸53b,54b,55bを有している。
そして、各押圧ローラ53〜55は、回転軸53b〜55bを中心としてローラ外周面53a〜55aが接触する丸形被覆電線1上を転動する。従って、各押圧ローラ53〜55の回転軸53b〜55bは、回転基台52の主面に対してそれぞれが傾いた状態で回転基台52に設けられている。
なお、各押圧ローラ53〜55は、丸形被覆電線1上を転動する際に、電線挿通部52aに対して、電線挿通部52aを束電線10の挿通方向に見て各ローラ外周面53a〜55aが円を描きながら回転基台52と共に回転移動するように配置されている。また、各押圧ローラ53〜55の回転軸53b〜55bの傾きは、回転基台52に設けられた傾き調整手段(図示せず)により調整され得る。この傾きは、例えば束電線10の撚り合わせピッチに基づき調整される。
このように構成された押圧整形装置50によって押圧整形されて後段に送り出される束電線10は、例えば図3の各押圧ローラ53〜55表示箇所よりも紙面右側及び図8に示すようなものとなる。すなわち、束電線10は、各丸形被覆電線1が扇形に変形した扇形被覆電線1Aが組み合わされた断面形状を有するように押圧整形される。
具体的には、束電線10は、各扇形被覆電線1Aの個別断面形状が扇形状となると共に束電線10の全体断面形状が円形状となるように押圧整形により変形される。なお、扇形被覆電線1Aなどを表す扇形又は扇形状とは、1つの円弧部とその両端を通る2つの半径部とで囲まれた形状のことをいう。2つの半径部が成す角度は必ずしも180°未満とは限らず、例えば半円形であってもよい。また、図8に示すような扇形被覆電線1Aの断面は厳密な扇形ではなく、ほぼ扇形であればよい。
こうして押圧整形装置50によって押圧整形された束電線10は、押圧整形前の丸形被覆電線1を組み合わせた束電線10に比べて全体の外径を小さくすることができる。なお、押圧整形前の束電線10における各芯線2の導電材を銅ではなくアルミニウムにより構成して軽量化を図ると、芯線2の導電率が低くなってしまうので銅と同等の導電率を有するようにしようとすると、芯線2のサイズを大きくする必要が生じてしまう。その点、押圧整形装置50により押圧整形した後の束電線10は、芯線2をアルミニウムにより構成したとしても全体の外径を小さくして大型化を抑制することができる。
こうしてステップS106にて押圧整形された束電線10は、最後に、例えば図示しない空冷部にて所定時間冷却した後にエンドドラム60に巻き取って、本フローチャートによる一連の製造工程が終了する。これにより、全体のコンパクト化を図りつつ取扱性が良好な束電線10を容易に製造することが可能となる。
なお、上述した実施形態では、押圧整形装置が1台であったが、図9に示すように、複数の押圧整形装置50,50a,50bを多段に設けるようにしてもよい。この場合、少なくとも1段目の押圧整形装置50が押圧ローラを束電線10の中心軸に対し回転させるものであればよく、2段目以降の押圧整形装置50a,50bは、押圧ローラが束電線10の中心軸に対して固定でもよい。2段目以降は、束電線10の外形が円形となっており、押圧ローラ間での噛み込みは生じないからである。
1 丸形被覆電線
1A 扇形被覆電線
2 芯線
3 被覆
10 束電線
20 リールドラム
30 撚り合わせ束ね機
40 ヒータ
50 押圧整形装置
60 エンドドラム
100 製造装置
1A 扇形被覆電線
2 芯線
3 被覆
10 束電線
20 リールドラム
30 撚り合わせ束ね機
40 ヒータ
50 押圧整形装置
60 エンドドラム
100 製造装置
Claims (4)
- 断面円形状の複数の被覆電線を撚り合わせて束電線を形成する工程と、
前記束電線を押圧整形する工程とを備え、
前記束電線を押圧整形する工程では、
前記被覆電線毎に設けられた押圧ローラによって、前記各被覆電線を前記束電線の外周側から中心に向けて押圧すると共に、前記複数の被覆電線を押圧する押圧ローラを、前記被覆電線の撚りに追従させて前記束電線の中心軸を中心として回転移動させる
ことを特徴とする電線の製造方法。 - 前記束電線を押圧整形する工程では、前記各押圧ローラを、前記被覆電線の延びる方向に沿って前記被覆電線上を転動させる
ことを特徴とする請求項1記載の電線の製造方法。 - 断面円形状の複数の被覆電線を撚り合わせて束ねた束電線を送給する送給手段と、
前記送給された束電線を押圧整形する押圧整形手段と
を備えた電線の製造装置であって、
前記押圧整形手段は、
前記束電線を囲むように前記各被覆電線に対応して設けられ、前記各被覆電線に対して前記束電線の外周側から中心に向けて押圧する複数の押圧ローラと、
前記複数の押圧ローラを、前記被覆電線の撚りに追従させて前記束電線の中心軸を中心として回転移動可能に支持する支持手段と
を有する
ことを特徴とする電線の製造装置。 - 前記各押圧ローラは、前記被覆電線の延びる方向に沿って前記被覆電線上を転動する
ことを特徴とする請求項3記載の電線の製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014108958A JP2015225750A (ja) | 2014-05-27 | 2014-05-27 | 電線の製造方法及び製造装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2014108958A Pending JP2015225750A (ja) | 2014-05-27 | 2014-05-27 | 電線の製造方法及び製造装置 |
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JP (1) | JP2015225750A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN107945996A (zh) * | 2017-11-26 | 2018-04-20 | 安徽宏源特种电缆股份有限公司 | 一种无缝绕包电线整形装置及包括所述装置的加工设备 |
WO2018147056A1 (ja) * | 2017-02-10 | 2018-08-16 | 住友電装株式会社 | 導電路 |
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2014
- 2014-05-27 JP JP2014108958A patent/JP2015225750A/ja active Pending
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