JP7419996B2 - 絶縁電線及び多心ケーブル - Google Patents

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Description

本発明は、絶縁電線及び多心ケーブルに関する。
モータ等に対して固定接続される従来の電源線としては、例えば特許文献1に記載された絶縁電線が用いられる。特許文献1では、導体の周囲に設けられる絶縁体として、化学架橋あるいは電子線を照射して架橋する照射架橋によって架橋されたテトラフルオロエチレン-プロピレン系共重合体を用いることで、耐熱性を向上させた絶縁電線が記載されている。
特開平3-134912号公報
産業用ロボット等の工作機械では、産業用ロボットの可動部を駆動させるためにサーボモータ等のモータが用いられる。例えば、工場等で広く用いられている6軸の産業用ロボットでは、可動部(例えば、産業用ロボットの関節部等)の駆動にサーボモータが用いられる。サーボモータには、電源線が接続されており、この電源線による電源供給によって可動部を駆動させる。サーボモータに接続される電源線は、可動部の動きに合わせて動けることが望まれる。そのため、サーボモータに接続される電源線の配線形状は、可動部が駆動している間、可動部の動きに合わせて変化することになる。例えば、電線線は、可動部の動きに合わせて繰り返し屈曲されるように配線形状が変化する。
しかし、特許文献1の絶縁電線は、その配線形状が変化するような部分に使用することが想定されていない。例えば、特許文献1の絶縁電線では、押出成形により絶縁体が形成されるが、成形時の圧力によって絶縁体が導体の素線間に入り込み、絶縁体と導体との密着性が非常に高くなっている。そのため、この絶縁電線を配線形状が変化する部分に配線して繰り返し屈曲すると、素線の逃げ場がなく一部の素線に応力が集中してしまう。一部の素線に応力が集中すると、少ない屈曲回数で素線に断線が発生してしまう場合がある。
素線間に絶縁体が入り込むことを防止するために、導体の周囲に樹脂テープ等からなるセパレータを設け、その周囲に絶縁体を形成することも考えられる。しかし、この場合では、セパレータによって絶縁電線が硬くなり、屈曲しにくくなってしまう場合がある。また、部品点数が増えてしまうため、製造コストが高くなってしまう。
そこで、本発明では、配線形状が変化する部分に配線される電源線として好適な絶縁電線及び多心ケーブルを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決することを目的として、複数の金属素線が集合撚りされてなる導体と、前記導体の周囲を被覆している絶縁体と、を備え、前記導体の充填率が60%以上80%以下であり、前記絶縁体は、筒状からなり、その内周面の少なくとも一部で前記導体に直接接触するように設けられており、前記絶縁体は、照射架橋樹脂からなる、絶縁電線を提供する。
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、複数の絶縁電線と、前記複数の絶縁電線の周囲を被覆しているジャケットと、備え、前記複数の絶縁電線は、複数の金属素線が集合撚りされてなる導体と、前記導体の周囲を被覆している絶縁体と、を備え、前記導体の充填率が60%以上80%以下であり、前記絶縁体は、筒状からなり、その内周面の少なくとも一部で前記導体に直接接触するように設けられており、前記絶縁体は、照射架橋樹脂からなる、多心ケーブルを提供する。
本発明によれば、配線形状が変化する部分に配線される電源線として好適な絶縁電線及び多心ケーブルを提供できる。
本発明の一実施の形態に係る絶縁電線の長手方向に垂直な断面を示す断面図である。 図1の絶縁電線を用いた多心ケーブルの長手方向に垂直な断面を示す断面図である。 屈曲試験を説明する図である。
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
図1は、本実施の形態に係る絶縁電線の長手方向に垂直な断面を示す断面図である。絶縁電線1は、例えば産業用ロボットの可動部を駆動させるサーボモータの電源供給用の電源線として用いられるものであり、産業用ロボットの可動部や当該可動部の周辺部に、その配線形状が可動部の駆動に応じて変化するように配線されるものである。
図1に示すように、絶縁電線1は、導体2と、導体2の周囲を被覆している絶縁体3と、を備えている。
(導体2)
導体2は、複数の金属素線2aを撚り合わせて構成されている。本実施の形態では、導体2は、複数の金属素線2aを集合撚りした集合撚線からなる。なお、複数の金属素線2aを撚り合わせる方式として同心撚りと呼称される方式も知られているが、同心撚りのみによって導体2を構成した場合、複数の金属素線2aが隙間無く撚り合わされてしまうため、屈曲時に金属素線2aが動く隙間がなくなり耐屈曲性が低下してしまう。そのため、導体2を同心撚りのみで撚り合わせることは好ましくない。本実施の形態のように、導体2を集合撚線で構成することにより、同心撚りとした場合に比べて、屈曲時に、金属素線2a同士の間に当該金属素線2a同士と隣接する他の金属素線2aが入り込むように動くことができる。そのため、絶縁電線1が屈曲する際に金属素線2aに加わる応力を緩和して耐屈曲性を向上できる。
なお、これに限らず、導体2は、複数の金属素線2aを集合撚りした子撚線を複数本撚り合わせた複合撚線からなってもよい。導体2を複合撚線とすることで、上述した場合と同様、各子撚線において、金属素線2a同士の間に当該金属素線2a同士と隣接する他の金属素線2aが入り込むように動くことができる。そのため、屈曲時に集合撚りしてなる各子撚線にかかった応力を、当該子撚線を構成する金属素線2aで緩和することが可能になり、耐屈曲性をより向上できる。
本実施の形態に係る絶縁電線1では、導体2の充填率は、60%以上80%以下とされる。導体2の充填率を80%以下とすることで、絶縁電線1の屈曲時において、導体2を構成する金属素線2aが絶縁体3内で動きやすくなる。すなわち、集合撚りされてなる導体2は、その充填率が60%以上80%以下であることにより、屈曲時に、金属素線2a同士の間に当該金属素線2a同士と隣接する他の金属素線2aが入り込みやすくすることができる。そのため、絶縁電線1が屈曲する際に金属素線2aに加わる応力を緩和して耐屈曲性を向上できる。また、導体2の充填率を60%以上とすることで、絶縁電線1に繰り返し屈曲や振動が加えられた際に、絶縁電線1の端末において導体2が絶縁体3からその長手方向に徐々に引き出されてしまうといった不具合を抑制でき、露出された導体2に作業者が接触することによる感電や、露出された導体2に周囲の部材が接触することによるショート等を抑制することが可能になる。
ここで、導体2の充填率とは、絶縁電線1の長手方向に垂直となる任意の断面において、絶縁体3の内周面で囲まれる内部空間の断面積に対する導体2の断面積((金属素線2aの断面積)×(金属素線2aの本数))の比率であり、{(金属素線2aの断面積)×(金属素線2aの本数)}×100/(絶縁体3の内周面で囲まれる内部空間の断面積)で求められるものである。後述するが、本実施の形態では、絶縁体3の長手方向に垂直な断面形状が楕円形状の筒状(チューブ状)に形成されるため、絶縁体3の内周面で囲まれる内部空間の断面積は、絶縁体3の内周面の短径を2×a、長径を2×bとすると、πabで表される。短径は、例えば長径の0.8倍以上1.0倍未満である。導体2の断面積は、例えば2mm以上325mm以下である。
なお、絶縁電線1の長手方向において、導体2の充填率は、上述の60%以上80%以下の範囲内でばらつきがあってもよい。
導体2に用いる金属素線2aとしては、低コスト化の観点から、すずメッキ軟銅線等の純銅線を用いることが望ましい。ただし、これに限らず、金属素線2aとして、銅合金線を用い、耐屈曲性のさらなる向上を図ることも可能である。また、金属素線2aとして、アルミニウムまたはアルミニウム合金線を用い、絶縁電線1の軽量化を図ってもよい。本実施の形態では、金属素線2aとして、すずメッキ軟銅線を用いた。
導体2に用いる金属素線2aの外径は、低コスト化及び耐屈曲性の向上の観点から、0.16mm以上0.45mm以下とすることが望ましい。金属素線2aの外径を0.16mm以上とすることで、使用する金属素線2aの本数を減らして低コスト化が図れると共に、導体抵抗の増加を抑制できる。また、金属素線2aの外径を0.45mm以下とすることで、耐屈曲性の低下を抑制できる。なお、これに限らず、金属素線2aの外径を0.16mm未満(例えば、0.12mmや0.08mm)として、耐屈曲性のさらなる向上を図ってもよい。導体2に用いる金属素線2aの本数は、導体2の導体断面積や使用する金属素線2aの外径にもよるが、例えば19本以上1000本以下である。
(絶縁体3)
本実施の形態に係る絶縁電線1では、絶縁体3は、その内周面の少なくとも一部が導体2に直接接触するように設けられている。つまり、本実施の形態では、導体2と絶縁体3との間にセパレータ等の他の部材は配置されておらず、導体2の最外に配置される金属素線2aが絶縁体3の内周面の少なくとも一部に直接接触するように絶縁電線1が構成されている。
絶縁体3は、チューブ押出または挿入押出により筒状(チューブ状)に形成されており、導体2を締付け過ぎないように(すなわち、導体2の充填率が60%以上80%以下となるように)構成されている。これにより、絶縁体3が導体2の金属素線2aに食い込んでしまうことが抑制され、導体2と絶縁体3との密着性が高くなりすぎることを抑制できる。さらに、絶縁体3は、屈曲時の応力によって導体2側へ押し込まれやすくなる。このとき、絶縁電線1は、導体2と絶縁体3との間に空隙を有するため、導体2側へ押し込まれた絶縁体3が導体2と面接触するように変形することができる。その結果、屈曲時に絶縁体3内で金属素線2aが動いて屈曲時の応力を分散する(すなわち、特定の金属素線2aに屈曲時の応力を集中させにくくする)ことが可能となり、金属素線2aの断線を抑制して耐屈曲性を向上させることが可能になる。なお、絶縁体3を充実押出した場合、絶縁体3の内周面に直接接触する部分に配置される複数の金属素線2a同士の間に絶縁体3が入り込んでしまうので、導体2の充填率を80%以下とすることは困難である。すなわち、導体2の充填率を80%以下とするために、絶縁体3の内周面と当該内周面に直接接触する部分に配置される複数の金属素線2aとの間には、空隙を有することがよい。絶縁体3は、当該空隙を有するようにチューブ押出または挿入押出によって形成される。
また、絶縁体3は、電子線を照射することにより架橋を行う照射架橋により架橋された樹脂(すなわち、照射架橋樹脂)からなる。絶縁体3を構成する照射架橋樹脂は、電子線が7Mrad以上の量で照射されたものであることがよい。シラン架橋等の他の架橋方法では、高温かつ圧力のかかった状態で絶縁体3を保持する必要があり、架橋の際の熱や圧力により絶縁体3が導体2の金属素線2aに食い込んでしまうためである。照射架橋を用いることで、絶縁体3に高い熱や圧力をかけることなく絶縁体3を架橋することができる。
なお、絶縁体3は、導体2の周囲に、チューブ押出または挿入押出によって後述する樹脂を導体2の表面に直接接触するように押出しする押出工程を行い、当該押出工程のあとに、導体2の周囲に押出された樹脂を照射架橋する照射架橋工程を行うことによって形成される。絶縁体3に関し、絶縁電線1の長手方向に垂直な断面形状を楕円形状とするためには、押出工程と照射架橋工程とを別々の製造ラインで行うことが有効である。また、照射架橋工程では、導体2の周囲に押出された樹脂に照射される電子線の量を7Mrad以上にすることがよい。
絶縁体3としては、耐熱性に優れた照射架橋テトラフルオロエチレン-プロピレン系共重合体(照射架橋により架橋されたテトラフルオロエチレン-プロピレン系共重合体)、または、照射架橋ポリオレフィン(照射架橋により架橋されたポリオレフィン)からなる照射架橋樹脂を用いる。本実施の形態では、照射架橋テトラフルオロエチレン-プロピレン系共重合体からなる絶縁体3を用いた。絶縁体3の厚さは、例えば電圧600Vの交流信号を伝送する場合、0.5mm以上とするとよい。
絶縁電線1では、導体2の充填率が60%以上80%以下であり、導体2が比較的余裕をもって絶縁体3内に収容された構造となっている。絶縁体3が形成されるときの導体2や絶縁体3の自重によって絶縁体3が扁平な形状となり、絶縁電線1の長手方向に垂直な断面形状が、楕円形状となる。そのため、屈曲時において、絶縁電線1が屈曲部の周辺の部材に面で接触する(断面円形状の場合と比較して接触面積が大きくなる)ことになり、屈曲時の応力を分散して断線を抑制することが可能になる。より詳細には、絶縁電線1を平面上に配置し外力を加えない状態において、絶縁電線1の外周面における短径は、例えば長径の0.8倍以上1倍未満である。また、絶縁電線1をモータ用の電源線として用いる場合、絶縁電線1の外周面における長径は、例えば2mm以上45mm以下である。
(多心ケーブル)
図2は、本実施の形態に係る絶縁電線1を用いた多心ケーブルの長手方向に垂直な断面を示す断面図である。図2に示すように、多心ケーブル10は、複数(ここでは4本)の絶縁電線1を撚り合わせ、その周囲にジャケット11を設けて構成される。
多心ケーブル10の耐屈曲性を向上させるために、絶縁電線1の撚り合わせ方向は、絶縁電線1における導体2の撚り合わせ方向と同じ方向とすることが望ましい。なお、絶縁電線1の撚り合わせ方向とは、多心ケーブル10の先端部から見たときに、基端部側から先端部側にかけて絶縁電線1が回転している方向である。また、導体2の撚り合わせ方向とは、絶縁電線1の先端部から見たときに、基端部側から先端部側にかけて金属素線2aが回転している方向である。
ここでは、4本の絶縁電線1を用いて多心ケーブル10を構成する場合を示しているが、多心ケーブル10に用いる絶縁電線1の本数はこれに限定されない。また、多心ケーブル10の断面視における中心の位置(ケーブル中心)には、屈曲時に応力が集中するため、絶縁電線1を配置しないことが望ましく、ケーブル中心は空隙とするか、あるいは線状の介在物を配置することが望ましい。
ジャケット11は、屈曲時にジャケット11内で絶縁電線1が動くことができるように、チューブ押出または挿入押出により筒状(チューブ状)に形成されることが望ましい。耐熱性を向上させるため、ジャケット11としては、絶縁電線1の絶縁体3と同様に、照射架橋テトラフルオロエチレン-プロピレン系共重合体、または、照射架橋ポリオレフィンからなるものを用いるとよい。
なお、多心ケーブル10の具体的な構造は図示のものに限定されず、例えば、絶縁電線1の周囲に樹脂テープ等からなるテープ部材を巻き付け、その周囲にジャケット11を設けるようにしてもよい。また、絶縁電線1を線状あるいは繊維状の介在と共に撚り合わせ、その周囲にジャケット11を設けるようにしてもよい。
(屈曲試験)
図1の絶縁電線1(実施例1)を試作し、屈曲試験を行った。導体2としては、外径0.45mmの錫めっき軟銅線からなる金属素線2aを88本集合撚りしたものを用い、絶縁体3としては、照射架橋テトラフルオロエチレン-プロピレン系共重合体からなる照射架橋樹脂を用い、を挿入押出により断面を筒状に形成した。導体2の外径は約4.90mmであり、導体の断面積は14mmである。絶縁体3の厚さは0.70mmとした。また、絶縁体3を構成する照射架橋樹脂が照射架橋される際に照射される電子線の量は、7Mrad以上8Mrad以下とした。試作した実施例1の絶縁電線1について、導体2の充填率を測定したところ、導体2の充填率は74%であった。
また、上述した実施例1の絶縁電線1において、導体2として、外径0.45mmの錫めっき軟銅線からなる金属素線2aを27本集合撚りした集合撚線をさらに7本同心撚りした複合撚線を用いた絶縁電線1(実施例2)も試作し、屈曲試験を行った。実施例2の絶縁電線1では、導体2の外径が約7.50mmであり、絶縁体3の厚さが0.80mmであり、導体の断面積が30mmである。また、絶縁体3を構成する照射架橋樹脂が照射架橋される際に照射される電子線の量は、7Mrad以上8Mrad以下とした。試作した実施例2の絶縁電線1について、導体2の充填率を測定したところ、導体2の充填率は68%であった。
屈曲試験では、図3に示すように、絶縁電線1の上端部を固定し、絶縁電線1の下端部に2kgの錘を吊り下げて荷重Wを付与し、絶縁電線1の左右に湾曲させた形の曲げジグ(マンドレル)5を取り付けた状態で、曲げジグ5に沿って左右方向に±90°の曲げを加えるように絶縁電線1を屈曲させた。屈曲の曲げ半径Rは、絶縁電線1の外径(絶縁電線1の断面形状を円形状としたときの外径)Dの12倍(12D)とした。屈曲速度は20回/分とし、屈曲回数は左右方向への一往復を1回としてカウントした。また、絶縁電線1の屈曲を繰り返し、適宜回ごとに絶縁電線1の両端部間で導体2の導通検査を行い、初期の導体抵抗に対する導体抵抗の上昇率が20%を超えた時点で断線が生じたと判断した。
屈曲試験の結果、本実施の形態に係る絶縁電線1(実施例1、2)では、100万回の屈曲回数でも導体抵抗の上昇率が20%に到達せず、150万回以上の屈曲回数で導体抵抗の上昇率が20%を超えた(屈曲寿命に到達した)との結果が得られた。比較のため、絶縁体3を充実押出しにより形成し、照射架橋する際に照射される電子線の量を7Mrad未満にした以外は実施例1の絶縁電線1と同じ構造の絶縁電線(導体の充填率98%)についても同様の屈曲試験を行ったところ、屈曲寿命は1500回程度であった。つまり、本実施の形態によれば、従来構造と比較して10倍以上の屈曲寿命を実現することができ、耐屈曲性を大きく向上できることが確認できた。
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態に係る絶縁電線1では、導体2の充填率が60%以上80%以下であり、絶縁体3は、導体2に直接接触するように設けられており、絶縁体3は、照射架橋により架橋された樹脂からなる。
導体2の充填率が60%以上80%以下となるようにチューブ押出等により絶縁体3を筒状に形成することで、屈曲時に絶縁体3内で金属素線2aが動くことができるようになり、屈曲時の応力を分散して耐屈曲性が向上する。また、絶縁体3を照射架橋により架橋することで、耐熱性を向上させつつも、架橋時の熱や圧力によって絶縁体3と導体2との密着性が高くなりすぎることを抑制でき、耐屈曲性をより向上できる。さらに、絶縁体3をセパレータ等を介さずに直接導体2の周囲に設ける構造とすることで、絶縁電線1の構造の複雑化を抑制し、部品点数の削減及びコストの低減が可能になる。すなわち、本実施の形態によれば、配線形状が変化する部分に配線される電源線として好適な絶縁電線1を実現できる。
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
[1]複数の金属素線(2a)が集合撚りされてなる導体(2)と、前記導体(2)の周囲を被覆している絶縁体(3)と、を備え、前記導体(2)の充填率が60%以上80%以下であり、前記絶縁体(3)は、筒状からなり、その内周面の少なくとも一部で前記導体(2)に直接接触するように設けられており、前記絶縁体(3)は、照射架橋樹脂からなる、絶縁電線(1)。
[2]前記絶縁体(3)は、長手方向に垂直な断面形状が、楕円形状である、[1]に記載の絶縁電線(1)。
[3]前記絶縁体(3)は、照射架橋テトラフルオロエチレン-プロピレン系共重合体、または、照射架橋ポリオレフィンからなる、[1]または[2]に記載の絶縁電線(1)。
[4]前記導体(2)は、前記複数の金属素線(2a)を集合撚りした集合撚線、または、前記複数の金属素線(2a)を集合撚りした子撚線を複数本撚り合わせた複合撚線からなる、[1]乃至[3]の何れか1項に記載の絶縁電線(1)。
[5]前記金属素線(2a)の外径が、0.16mm以上0.45mm以下である、[1]乃至[4]の何れか1項に記載の絶縁電線(1)。
[6]複数の絶縁電線(1)と、前記複数の絶縁電線(1)の周囲を被覆しているジャケット(11)と、備え、前記複数の絶縁電線(1)は、複数の金属素線(2a)が集合撚りされてなる導体(2)と、前記導体(2)の周囲を被覆している絶縁体(3)と、を備え、前記導体(2)の充填率が60%以上80%以下であり、前記絶縁体(3)は、筒状からなり、その内周面の少なくとも一部で前記導体(2)に直接接触するように設けられており、前記絶縁体(3)は、照射架橋樹脂からなる、多心ケーブル(10)。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
1…絶縁電線
2…導体
2a…金属素線
3…絶縁体
10…多心ケーブル

Claims (5)

  1. 複数の金属素線が集合撚りされてなる導体の周囲にチューブ押出または挿入押出によって樹脂を押出しする押出工程と、前記導体の周囲に押出された前記樹脂を電子線によって照射架橋する照射架橋工程と、を行い、照射架橋樹脂からなる絶縁体を、前記複数の金属素線同士の間に入り込まないように前記導体の周囲に形成し、
    前記導体の充填率が60%以上80%以下であり、
    前記絶縁体は、その長手方向に垂直な断面形状が楕円形状の筒状からなり、その内周面の少なくとも一部前記導体に直接接触しており、前記内周面と前記複数の金属素線との間に空隙を有する、
    絶縁電線の製造方法
  2. 前記絶縁体は、照射架橋テトラフルオロエチレン-プロピレン系共重合体、または、照射架橋ポリオレフィンからなる、
    請求項に記載の絶縁電線の製造方法
  3. 前記導体は、前記複数の金属素線を集合撚りした集合撚線、または、前記複数の金属素線を集合撚りした子撚線を複数本撚り合わせた複合撚線からなる、
    請求項1または2に記載の絶縁電線の製造方法
  4. 前記金属素線の外径が、0.16mm以上0.45mm以下である、
    請求項1乃至の何れか1項に記載の絶縁電線の製造方法
  5. 請求項1乃至4の何れか1項に記載の絶縁電線の製造方法によって製造された複数の前記絶縁電線を撚り合わせ、その周囲ジャケットを形成する、
    多心ケーブルの製造方法
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