JP6523847B2 - 撚線製造方法及び撚線機 - Google Patents

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Description

本発明は、複数本の素線から撚線を製造するための撚線製造方法及び撚線機に関する。
従来から、複数本の素線を撚った撚線を製造するため装置(撚線機)が様々提案されている。例えば、特許文献1には、複数本の素線を四度撚りする撚線機が開示されている。この撚線機は、上記複数本の素線を掛けて回転させる弓形状等の第一ガイド機構と、この第一ガイド機構で二度撚りされた撚線を掛けて同一回転速度で逆回転させる、第一ガイド機構の内側に設けられた弓形状等の第二ガイド機構と、上記複数本の素線を第一ガイド機構の外側から供給するサプライと、第二ガイド機構で二度撚りされて形成された四度撚りの撚線を、第二ガイド機構の内側で巻き取る撚線巻取部と、を備える。
特開2010−29904号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、四度撚られた撚線が装置内で巻き取られてしまう。また、特許文献1に記載の技術をはじめとする従来技術では、複数本の素線から撚線を形成し、その撚線の上から別の素線で撚りを重ねて二重撚線を形成する技術は開示されない。さらに従来技術では、製造された撚線がガイド機構の内部で巻き取られるため、製造された撚線に被覆などの処理を施す場合には、一旦撚線機を止めて、ガイド機構の中から撚線を取り出す必要がある。
本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数本の素線から撚線を形成し、その撚線の上から別の素線を重ねて二重撚線を形成するに際し、途中で撚線を巻き取ることなく一連の工程で二重撚線を製造してそれを撚線機の外に取り出せるようにすることにある。
本発明に係る撚線製造方法は、複数本の素線を繰り出して走行方向を変えて第一ガイド機構に掛け、上記第一ガイド機構を回転させて撚ることで、内部撚線を形成し、上記内部撚線を上記第一ガイド機構の外に引き出し、複数本の別の素線を、上記内部撚線の上に重ね、走行方向を変えて第二ガイド機構に掛け、上記第二ガイド機構を回転させて撚ることで、二重撚線を形成し、上記二重撚線を上記第二ガイド機構の外に引き出すようにしたものである。
本発明に係る撚線機は、複数本の素線を繰り出す第一サプライと、繰り出された上記複数本の素線を寄せ集める第一ダイスと、上記第一ダイスで寄せ集められた上記複数本の素線の走行方向を変える第一ローラと、上記第一ローラで走行方向が変えられた上記複数本の素線を掛けて回転駆動させることで、内部撚線を形成する第一ガイド機構と、複数本の別の素線を繰り出す第二サプライと、上記第一ガイド機構の外に引き出した上記内部撚線に上記複数本の別の素線を重ねて寄せ集める第二ダイスと、上記第二ダイスで寄せ集められた上記内部撚線及び上記複数本の別の素線の走行方向を変える第二ローラと、上記第二ローラで走行方向が変えられた上記内部撚線及び上記複数本の別の素線を掛けて回転駆動させることで、二重撚線を形成する第二ガイド機構と、を備え、上記第一サプライは、上記第一ガイド機構の回転により形成される第一回転体の内側に設けられ、上記第一ガイド機構は、上記第二ガイド機構の回転により形成される第二回転体の内側に設けられ、上記第二サプライは、上記第一回転体の外側であって上記第二回転体の内側に設けられているようにしたものである。
本発明によれば、複数本の素線から撚線を形成し、さらにその撚線の上から別の素線を重ねて二重撚線を形成するに際し、製造された二重撚線をガイド機構の外部に引き出すことができる。製造された二重撚線に被覆などの処理を施す場合にも、一連の工程で行うことが可能になる。
本発明の一実施形態に係る撚線機の一構成例を示す図である。 図1の撚線機で製造される二重撚線の一例を示す断面図である。 図1の撚線機を含む電線製造装置の一構成例を示す図である。 図3の電線製造装置で製造される電線の一例を示す断面図である。 図3の電線製造装置で製造される電線の他の例を示す断面図である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明に係る撚線製造方法は、複数本の素線を繰り出して走行方向を変えて第一ガイド機構に掛け、上記第一ガイド機構を回転させて撚ることで、内部撚線を形成し、上記内部撚線を上記第一ガイド機構の外に引き出し、複数本の別の素線を、上記内部撚線の上に重ね、走行方向を変えて第二ガイド機構に掛け、上記第二ガイド機構を回転させて撚ることで、二重撚線を形成し、上記二重撚線を上記第二ガイド機構の外に引き出すようにしたものである。これにより、複数本の素線から撚線を形成し、さらにその撚線の上から別の素線で撚りを重ねて二重撚線を形成するに際し、途中で撚線を巻き取ることなく一連の工程で行うことが可能になる。さらに、製造された二重撚線をガイド機構の外部に引き出すことができるため、製造された二重撚線に被覆などの処理を施す場合にも、一連の工程で行うことが可能になる。
(2)上記(1)の撚線製造方法において、上記第一ガイド機構と上記第二ガイド機構とを、異なる回転数で別々に回転駆動させるようにしたものである。これにより、内部撚線とその外側の撚りで撚りピッチを変えることができる。
(3)上記(1)又は(2)の撚線製造方法において、上記素線及び上記別の素線は導体線であり、上記第二ガイド機構の外に引き出した上記二重撚線を樹脂で被覆することで、電線を製造するようにしたものである。これにより、一連の工程で二重撚りの電線を製造することができる。
(4)本発明に係る撚線機は、複数本の素線を繰り出す第一サプライと、繰り出された上記複数本の素線を寄せ集める第一ダイスと、上記第一ダイスで寄せ集められた上記複数本の素線の走行方向を変える第一ローラと、上記第一ローラで走行方向が変えられた上記複数本の素線を掛けて回転駆動させることで、内部撚線を形成する第一ガイド機構と、複数本の別の素線を繰り出す第二サプライと、上記第一ガイド機構の外に引き出した上記内部撚線に上記複数本の別の素線を重ねて寄せ集める第二ダイスと、上記第二ダイスで寄せ集められた上記内部撚線及び上記複数本の別の素線の走行方向を変える第二ローラと、上記第二ローラで走行方向が変えられた上記内部撚線及び上記複数本の別の素線を掛けて回転駆動させることで、二重撚線を形成する第二ガイド機構と、を備え、上記第一サプライは、上記第一ガイド機構の回転により形成される第一回転体の内側に設けられ、上記第一ガイド機構は、上記第二ガイド機構の回転により形成される第二回転体の内側に設けられ、上記第二サプライは、上記第一回転体の外側であって上記第二回転体の内側に設けられているようにしたものである。これにより、複数本の素線から撚線を形成し、さらにその撚線の上から別の素線で撚りを重ねて二重撚線を形成するに際し、途中で撚線を巻き取ることなく一連の工程で行うことが可能になる。さらに、製造された二重撚線をガイド機構の外部に引き出すことができるため、製造された二重撚線に被覆などの処理を施す場合にも、一連の工程で行うことが可能になる。
(5)上記(4)の撚線機において、上記第一ガイド機構と上記第二ガイド機構とを、異なる回転数で別々に回転駆動させるようにしたものである。これにより、内部撚線とその外側の撚りで撚りピッチを変えることができる。
(6)上記(4)又は(5)の撚線機において、上記第一ガイド機構及び/又は上記第二ガイド機構は、弓形状のガイド部材、椀状のガイド部材、ガイドローラのいずれか一つであるようにしたものである。これにより、撚線機を簡易な構成とすることができる。
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の一実施形態に係る撚線製造方法及び撚線機(撚線製造装置)の具体例を、以下に図1,図2を参照しつつ説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る撚線機の一構成例を示す図で、図2は、図1の撚線機で製造される二重撚線の一例を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る撚線機1は、第一クレードル11、第一ローラ16、弓形状の第一ガイド部材18、第二クレードル31、第二ローラ37、及び弓形状の第二ガイド部材38を備える。
第一クレードル11は、第一サプライ12、配列部材13、円盤状部材14、及び第一ダイス15を備える。第一サプライ12は、複数本(N本とする)の素線10aを繰り出すリール等のサプライである。ここでは第一サプライ12は、N本(この例では不可視部分も併せて7本とする)の素線10aが巻かれた一つのリールを例示しているが、素線10aは一部又は全部が別々のリールに巻かれていてもよい。配列部材13は、第一サプライ12から繰り出されたN本の素線10aを一定間隔に配列する部材であり、溝付きガイドローラなどである。円盤状部材14は、中心の一つの貫通孔を有すると共に円周上に一定間隔で並べた複数個(N−1個)の貫通孔を有する部材である。第一ダイス15は、これらの貫通孔を通過させたN本の素線10aを寄せ集め第一ローラ16に送るダイスである。
第一ローラ16は、第一クレードル11の外側に設けられ、第一ダイス15から送り出されたN本の素線10aを、その走行方向を変えて第一ガイド部材18に渡すガイドローラである。
弓形状の第一ガイド部材18は、第一ローラ16で走行方向が変えられたN本の素線10aを掛けて回転駆動させることで、図2で例示するような撚線10bを形成する第一ガイド機構の一例である。図2では上述した円盤状部材14により中心に一本、その周りに6本の合計7本でなる撚線10bが形成される例を挙げている。ここでN本の素線を撚って形成される撚線10bは、後述するように撚線10bの外側に別の素線10cを配することから「内部撚線」と呼ぶ。また、第一ガイド部材18や後述の第二ガイド部材38にはそれぞれでガイドする線を貫通させるガイドダイスなどを線経路に複数設けておくか、或いは弓なりの外側表面を溝状に形成しておくなどすればよい。
また、上述の回転のための機構(第一回転機構)としては、例えば、第一ガイド部材18の両端に円筒状の軸部19,21を固定し、それぞれ軸部19,21を軸受20,22で受け、軸受20,22を支持部23,24を介して第二クレードル31に固定すればよい。この例の第一回転機構では、第一ガイド部材18が固定された軸部19,21がそれぞれ軸受20,22により第一クレードル11に対して回転可能に支えられている。
そして、上述の第一回転機構に加え、モータ等の駆動部(以下、第一駆動部)25を第二クレードル31に取り付け、ベルト26などを介して軸部19又は21を回転させると、軸部19,21と共に第一ガイド部材18を回転させることができる。なお、第一駆動部25等で使用する電力は、軸部39(又は軸部42)に設けたスリップリング41を通して第二クレードル31内に伝えられる。
第一ローラ16は、図示したように回転可能な状態で軸部19に取り付けておけばよい。第一クレードル11の外側にある第一ガイド部材18の他端には、第一ガイド部材18に掛けられたN本の素線10aを後段に渡すためのガイドローラ17も設けられている。このガイドローラ17も同様に回転可能な状態で軸部21に取り付けておけばよい。
内部撚線10bは、上記第一駆動部による軸部19(及び軸部21)の回転駆動によって撚りを生じさせることで形成される。例えば、N本の素線10aが第一ローラ16からガイドローラ17へ進む間に第一ガイド部材18がP回転した場合、第一ローラ16でP回の撚りが生じ、ガイドローラ17でも更にP回の撚りが生じ、2P回撚られた内部撚線10bが形成される。第一ローラ16、第一ガイド部材18、及びガイドローラ17により、第一ダイス15から送り出されたN本の素線10aは最終的に内部撚線10bとなり且つその走行方向を真逆に変える。
第一サプライ12、配列部材13、円盤状部材14、及び第一ダイス15は、第一クレードル11の上面などに搭載されていればよく、少なくとも第一回転体の内部に設けられていればよい。
第二クレードル31は、第一ガイド部材18が回転可能に取り付けられた第一クレードル11を備えると共に、第二サプライ32a,32b、配列部材33a,33b、円盤状部材34、及び第二ダイス35を備える。
第二サプライ32a,32bは、複数本(M本とする)の別の素線10cを繰り出すリール等のサプライである。第二サプライ32a,32bは、第一回転体の外側であって後述する第二回転体(第二ガイド部材38が通過する部分)の内側に設けられている。なお、第二サプライ32a,32bとしてM本(この例では6×2本)の素線10cが巻かれた二つのリールを例示したが、素線10cの分け方は問わず、全部が別々のリールに巻かれた第二サプライや、一つのリールに巻かれた第二サプライを適用してもよい。別の素線10cは素線10aと同じ材料且つ同じ寸法の素線であってもよい。別の素線10cは、二重撚線のうちの外部撚線に配置され、内部撚線に配置される素線10aとは別の場所に配置される。
配列部材33a,33bは、それぞれ第二サプライ32a,32bから繰り出されたM/2本(合計M本)の素線10cを一定間隔に配列する部材であり、溝付きガイドローラなどである。円盤状部材34は、中心に一つの貫通孔を有すると共に円周上に一定間隔で並べた複数個(M個)の貫通孔を有する部材である。第二ダイス35は中心に孔を有し、当該孔の部分で、軸部21から第一ガイド部材18の外側に送出された内部撚線10bにM本の素線10cを重ねてこれらの線を寄せ集め、第二ローラ37に送るダイスである。
第二ローラ37は、第二クレードル31の外側に設けられ、第二ダイス35から送り出されたM本の素線10c及び内部撚線10bを、その走行方向を変えて第二ガイド部材38に渡すガイドローラである。なお、第二ローラ37は第一ローラ16より外側にあるため、第二ローラ37、第一ローラ16はそれぞれ外側ローラ、内側ローラと呼べる。
弓形状の第二ガイド部材38は、第二ローラ37で走行方向が変えられた内部撚線10b及びM本の別の素線10cを掛けて回転駆動させることで、図2で例示するような二重撚線10を形成する第二ガイド機構の一例である。なお、図1では図示していないが、形成された二重撚線10はガイドローラ36の後段の引取装置等により引き取られる。
また、上述の回転のための機構(第二回転機構)としては、例えば、第二ガイド部材38の両端に円筒状の軸部39,42を固定し、それぞれ軸部39,42を軸受40,43で受け、軸受40,43を外部に固定すればよい。ここで、第二回転体とは、第二ガイド部材38の回転により形成される回転体を指し、この内側に、第二クレードル31上にある第一クレードル11や第一ガイド部材18が設けられることになる。この例の第二回転機構では、第二ガイド部材38に固定された軸部39,42がそれぞれ軸受40,43により第二クレードル31に対して回転可能に支えられている。
そして、上述の第二回転機構に加え、モータ等の駆動部(以下、第二駆動部)44を軸部42及び/又は軸部39にベルト45などを介して取り付けるなどしておけば、第二クレードル31に対して軸部39,42と共に第二ガイド部材38を回転させることができる。なお、第二駆動部44は第二ガイド部材38が回転する部分の外にあるので、第二駆動部44に電力を伝えるためのスリップリングは不要である。
また、第二ローラ37は、図示したようにこの軸部42に回転可能な状態で取り付けておけばよい。第二クレードル31の外側にある第二ガイド部材38の他端には、第二ガイド部材38に掛けられたM本の素線10c及び内部撚線10bを後段に渡すためのガイドローラ36も設けられている。このガイドローラ36も同様に軸部39に回転可能な状態で取り付けておけばよい。
二重撚線10は、上記第二駆動部による軸部42(及び軸部39)の回転駆動によって撚りを生じさせることで形成される。例えば、M本の素線10c及び内部撚線10bが第二ローラ37からガイドローラ36へ進む間に第二ガイド部材38がQ回転した場合、第二ローラ37でQ回の撚りが生じ、ガイドローラ36でも更にQ回の撚りが生じ、素線10cが2Q回撚られた二重撚線10が形成される。第二ローラ37、第二ガイド部材38、及びガイドローラ36により、第二ダイス35から送り出された線は最終的に二重撚線10となり且つその走行方向を真逆に変える。
また、上述のように、第二クレードル31は第二ガイド部材38を支える軸部39,42に固定する。第二サプライ32a,32b、配列部材33a,33b、円盤状部材34、及び第二ダイス35は、第二クレードル31の上面などに搭載されていればよく、少なくとも第二回転体の内部に設けられていればよい。
以上の説明では、第一ガイド部材18と第二ガイド部材38とが同一の回転軸を中心に回転すること、つまり軸部19,21と軸部39,42の中心が同じであることを前提に説明しているが、両者はずれていてもよい。具体的には、ずれがあっても、必要に応じて別途ガイドローラを配するなどすれば、第二ダイス35から送り出される内部撚線10b及び素線10cを軸部42の内筒に入れることは可能である。但し、第二ガイド部材38の回転領域を狭くするためには回転軸が同一とすることが好ましいと言える。
また、第一ガイド機構と第二ガイド機構を別々に回転駆動させた例を挙げたが、特に両者で回転数を異ならせて別々に回転駆動させることが好ましい。回転数を異ならせること(つまりP≠Qとすること)で、撚りのピッチを内側と外側で異なるようにすることができる。特に内側の撚りピッチより外側の撚りピッチを長くしたような撚線が使われることが多いが、撚りピッチの長短は逆であってもよい。
また、第一ガイド部材18と第二ガイド部材38の回転方向は同じであっても反対であってもよい。回転方向が反対の場合、内部撚線10bとその外部の素線10cによる撚りが同じ方向となり、回転方向が同じ場合、撚りが反対方向となる。後者の場合には、例えば第二ダイス35とガイドローラ17との間に圧縮ダイスを設けることで、内部撚線10bの撚りが戻ることを防ぐことができる。
但し、第一駆動部25と第二駆動部44は共通の駆動部であってもよく、その場合にも、第一ガイド部材18と第二ガイド部材38の回転数を異ならせることができる。例えば、シャフトを軸部39の円筒内を通す、或いは第二クレードル31の内側の軸部39の周囲にギヤを設けるなど、ギヤ、シャフト、ベルトなどの駆動伝達部材を工夫して設けることにより、回転駆動を第二クレードル31の外部から内部へ伝えることは可能である。
また、図1では、第一、第二ガイド機構の簡易な構成例として弓形状のガイド部材を採用した例を挙げたが、特許文献1に記載の椀状回転体やガイドローラなどの機構を採用することでも同様に簡易な構成とすることができる。なお、第一、第二ガイド機構としてそれぞれ弓形状などの第一、第二クレードルに跨るような機構を採用しない場合には、上記第一回転体は、第一ガイド機構とそこでガイドされるN本の素線10aとを回転させることで形成される回転体を指し、上記第二回転体は、第二ガイド機構とそこでガイドされる内部撚線10b及びM本の素線10cとを回転させることで形成される回転体を指すことになる。また、第一ガイド機構と第二ガイド機構は同様の形状を採用しなくてもよい。例えば、第一ガイド機構として椀状回転体を採用し、且つ第二ガイド機構として弓形状のガイド部材を採用してもよい。
以上、図1を参照しながら撚線機1やその応用例について説明した。このような撚線機は、第一ガイド機構が回転する度に二回撚られ、第二ガイド機構が回転する度に二回撚られることになるため、二重バンチャ式の撚線機であると言える。
そして、本実施形態に係る撚線製造方法は、撚線機1での製造過程から分かるように、まず、N本の素線10aを繰り出して走行方向を変えて弓形状の第一ガイド部材18に掛け、第一ガイド部材18を回転させて撚ることで、内部撚線10bを形成する。次に、この内部撚線10bを第一ガイド部材18の外に引き出し、M本の別の素線10cを、内部撚線10bの上に重ね、走行方向を変えて弓形状の第二ガイド部材38に掛け、第二ガイド部材38を回転させて撚ることで、二重撚線10を形成し、その二重撚線10を第二ガイド部材38の外に引き出す。
これにより、N本の素線10aから撚線を形成し、さらにその撚線の上から別のM本の素線10cで撚りを重ねて二重撚線10を形成することが、途中で撚線を巻き取ることなく(例えば内部撚線10bを巻き取ることなく)、一連の工程でできる。
そして、このような効果により、製造された二重撚線10を第二ガイド機構の外部に引き出すことができる。この二重撚線10はガイドローラ36の下流(第二ガイド機構の外部)で巻き取ることができる。或いは、この二重撚線10に被覆を施すなどの処理も一連の工程で行うことができる。その一例として、図3〜図4Bを参照しながら、被覆電線を製造する工程について説明する。図3は、図1の撚線機1を含む電線製造装置の一構成例を示す図で、図4A,図4Bは、図3の電線製造装置で製造される電線の例を示す断面図である。
図3で例示する電線製造装置は、上記素線10a,10cとして導体線を採用し、被覆された電線50(又は電線50a)を製造するための装置である。この装置には、撚線機1の後段に樹脂で被覆を行う押出機2が設けられており、さらにその後段に樹脂を冷却する冷却装置3、引き取りキャプスタン等の引取装置4、巻取ドラム等の巻取装置5が設けられている。これにより、撚線機1の第二ガイド機構の外に引き出した二重撚線10を樹脂51(又は樹脂51a)で被覆することで、電線50(又は電線50a)を製造することができ、その製造工程も一連の工程で済む。
また、電線50,50aの製造方法について例示したように、撚線機1で撚る対象となる素線は撚りが戻らない性質をもった導体線であることが好ましいが、導体線に限ったものではなく、また素線10aと素線10cとは別の素材であってもよい。但し、撚線機1で製造される二重撚線10や上述の電線50には撚り返しが付かないため、素線10a,10cとしては軟銅線(メッキがあってもなくてもよい)など撚り返し無しで撚れる線がより適していると言える。また、素線10a,10cの太さ(直径)も特に問わず、例えば直径0.05mm〜0.26mmの素線が挙げられる。また、N=7、M=12の例を挙げたが、これに限ったものではない。例えば内部撚線10bの本数は同じく7本で、外側の撚りは13〜20本としてもよい。さらに、内部撚線10bの配置もその中心に一本入れた例を挙げたがこれに限らない。
以上、本発明に係る二重撚線を製造する撚線製造方法や撚線機について説明したが、本発明は、同様の考え方により、三重以上の撚線を製造する撚線製造方法や撚線機についても適用できる。
また、二重撚線や三重以上の撚線を製造するに際し、別の素線10cの一部又は全部として、内部撚線10bとは別の撚線等を採用することもできる。さらに、上記別の撚線は、内部撚線10bの製造のために設けた第一クレードル11や第一ガイド部材18等と同じ機構を第二クレードル31に搭載するなどして製造することもできる。
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1…撚線機、2…押出機、3…冷却装置、4…引取装置、5…巻取装置、10…二重撚線、10a,10c…素線、10b…内部撚線、11…第一クレードル、12…第一サプライ、13,33a,33b…配列部材、14,34…円盤状部材、15…第一ダイス、16…第一ローラ、17,36…ガイドローラ、18…第一ガイド部材、19,21,39,42…軸部、20,22,40,43…軸受、23,24…支持部、25…第一駆動部、26,45…ベルト、31…第二クレードル、32a,32b…第二サプライ、35…第二ダイス、37…第二ローラ、38…第二ガイド部材、41…スリップリング、44…第二駆動部、50,50a…電線、51,51a…樹脂。

Claims (6)

  1. 複数本の素線を繰り出して走行方向を変えて第一ガイド機構に掛け、該第一ガイド機構を回転させて撚ることで、内部撚線を形成し、
    該内部撚線を前記第一ガイド機構の外に引き出し、
    複数本の別の素線を、前記内部撚線の上に重ね、走行方向を変えて第二ガイド機構に掛け、該第二ガイド機構を回転させて撚ることで、二重撚線を形成し、
    該二重撚線を前記第二ガイド機構の外に引き出す、
    撚線製造方法。
  2. 前記第一ガイド機構と前記第二ガイド機構とを、異なる回転数で別々に回転駆動させる、請求項1に記載の撚線製造方法。
  3. 前記素線及び前記別の素線は導体線であり、
    前記第二ガイド機構の外に引き出した前記二重撚線を樹脂で被覆することで、電線を製造する、請求項1又は2に記載の撚線製造方法。
  4. 複数本の素線を繰り出す第一サプライと、
    繰り出された前記複数本の素線を寄せ集める第一ダイスと、
    該第一ダイスで寄せ集められた前記複数本の素線の走行方向を変える第一ローラと、
    該第一ローラで走行方向が変えられた前記複数本の素線を掛けて回転駆動させることで、内部撚線を形成する第一ガイド機構と、
    複数本の別の素線を繰り出す第二サプライと、
    前記第一ガイド機構の外に引き出した前記内部撚線に前記複数本の別の素線を重ねて寄せ集める第二ダイスと、
    該第二ダイスで寄せ集められた前記内部撚線及び前記複数本の別の素線の走行方向を変える第二ローラと、
    該第二ローラで走行方向が変えられた前記内部撚線及び前記複数本の別の素線を掛けて回転駆動させることで、二重撚線を形成する第二ガイド機構と、
    を備え、
    前記第一サプライは、前記第一ガイド機構の回転により形成される第一回転体の内側に設けられ、
    前記第一ガイド機構は、前記第二ガイド機構の回転により形成される第二回転体の内側に設けられ、
    前記第二サプライは、前記第一回転体の外側であって前記第二回転体の内側に設けられている、撚線機。
  5. 前記第一ガイド機構と前記第二ガイド機構とを、異なる回転数で別々に回転駆動させる、請求項4に記載の撚線機。
  6. 前記第一ガイド機構及び/又は前記第二ガイド機構は、弓形状のガイド部材、椀状のガイド部材、ガイドローラのいずれか一つである、請求項4又は5に記載の撚線機。
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