以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
[画像形成装置10の概略構成]
まず、図1及び図2を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る画像形成装置10の概略構成について説明する。ここで、図1は前記画像形成装置10の構成を示す断面模式図である。また、図2は画像形成ユニット31の構成を示す断面模式図である。
図1に示すように、前記画像形成装置10は、ADF1、画像読取部2、画像形成部3、給紙部4、制御部5、及び操作表示部6を備える。前記画像形成装置10は、画像データに基づいて画像を形成するプリンター機能と共に、スキャン機能、ファクシミリー機能、又はコピー機能などの複数の機能を有する複合機である。また、本発明は、プリンター装置、ファクシミリー装置、及びコピー機などの画像形成装置に適用可能である。
前記ADF1は、不図示の原稿セット部、複数の搬送ローラー、原稿押さえ、及び排紙部を備え、前記画像読取部2によって読み取られる原稿を搬送する自動原稿搬送装置である。前記画像読取部2は、原稿から画像データを読み取る画像読取部であり、不図示の原稿台、読取ユニット、複数のミラー、光学レンズ、及びCCD(Charge Coupled Device)を備える。前記制御部5は、不図示のCPU、ROM、RAM、及びEEPROMなどの制御機器を備え、前記画像形成装置10の動作を制御する。前記操作表示部6は、前記制御部5からの制御指示に応じて各種の情報を表示する液晶ディスプレーなどの表示部、及びユーザーの操作に応じて前記制御部5に各種の情報を入力する操作キー又はタッチパネルなどの操作部を有する。
前記画像形成部3は、前記画像読取部2で読み取られた画像データに基づいてカラー又はモノクロの画像を形成する画像形成処理(印刷処理)を実行することが可能な電子写真方式の画像形成部である。また、前記画像形成部3は、外部のパーソナルコンピューター等の情報処理装置から入力された画像データに基づいて前記印刷処理を実行することも可能である。
具体的に、前記画像形成部3は、図1に示すように、複数の画像形成ユニット31〜34、光走査装置(LSU)35、中間転写ベルト36、二次転写ローラー37、定着装置38、排紙トレイ39、及びベルト清掃部7を備える。前記画像形成ユニット31はC(シアン)、前記画像形成ユニット32はM(マゼンダ)、前記画像形成ユニット33はY(イエロー)、前記画像形成ユニット34はK(ブラック)に対応する電子写真方式の画像形成ユニットである。
前記画像形成ユニット31は、図2に示すように、感光体ドラム311、帯電装置312、現像装置313、一次転写ローラー314、及びドラム清掃部315を備える。また、前記画像形成ユニット32〜34各々も、前記画像形成ユニット31と同様の構成を備える。そして、前記画像形成部3では、前記給紙部4から供給されるシートに以下の手順でカラー画像が形成され、画像形成後のシートが前記排紙トレイ39に排出される。なお、前記シートは、紙、コート紙、ハガキ、封筒、及びOHPシートなどのシート材料である。
まず、前記画像形成ユニット31では、前記帯電装置312によって前記感光体ドラム311が所定の電位に一様に帯電される。次に、前記光走査装置35により前記感光体ドラム311の表面に画像データに基づく光が照射される。これにより、前記感光体ドラム311の表面に画像データに対応する静電潜像が形成される。
そして、前記感光体ドラム311上の静電潜像は前記現像装置313によってシアンのトナー像として現像(可視像化)される。具体的に、前記現像装置313内部では、トナーとキャリアを含む現像剤が攪拌スクリュー313Aによる攪拌で摩擦帯電されて磁気ローラー313Bに送られ、前記磁気ローラー313Bから現像剤中のトナーが前記現像ローラー313Cに送られる。ここで、前記画像形成装置10では、キャリアとの摩擦により正(プラス)極性に帯電するトナーが用いられている。前記現像ローラー313Cは、前記現像装置313の開口部において前記感光体ドラム311に対向して配置されており、不図示の電源装置から予め設定された現像バイアス電圧が印加されることで、前記磁気ローラー313Bから送られるトナーを前記感光体ドラム311に供給する。これにより、前記感光体ドラム311上の静電潜像がトナー像として現像される。なお、前記現像装置313には、前記画像形成部3に着脱可能なトナーコンテナ313D(図1参照)からシアンのトナー(現像剤)が補給される。
続いて、前記感光体ドラム311に形成されたシアンのトナー像は前記一次転写ローラー314によって前記中間転写ベルト36に転写される。ここに、本実施形態では、前記中間転写ベルト36が第1被転写体の一例であり、前記感光体ドラム311が像担持体の一例である。なお、前記中間転写ベルト36については後に詳述する。一方、前記感光体ドラム311の表面に残存したトナーは前記ドラム清掃部315で除去される。例えば、前記ドラム清掃部315では、前記感光体ドラム311の表面に残存したトナーがブレード状のクリーニング部材315Aにより除去される。そして、前記クリーニング部材315Aにより除去されたトナーは、搬送スクリュー315Bにより不図示のトナー収容容器まで搬送されて回収される。
なお、前記画像形成ユニット32〜34においても、前記画像形成ユニット31と同様の処理手順で、前記画像形成ユニット32〜34が備える感光体ドラム各々に各色のトナー像が形成されて、前記中間転写ベルト36にシアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの順に重ねて転写される。そして、前記中間転写ベルト36に転写されたトナー像は、前記二次転写ローラー37によって、前記給紙部4から供給されるシートに転写される。その後、トナー像が転写された前記シートは、前記定着装置38によりトナー像が溶融定着されることで画像が形成され、前記排紙トレイ39に排出される。ここに、本実施形態では、前記シートが第2被転写体の一例である。
ところで、前記画像形成装置10のような画像形成装置では、トナーの一部が前記シートに転写されずに前記中間転写ベルト36に残存して、新たな画像形成の妨げとなることがある。そのため、この種の画像形成装置では、前記中間転写ベルト36に残存するトナーを除去するクリーニング部材が設けられる。例えば、前記中間転写ベルト36に残存したトナーをブレード状のクリーニング部材で除去する構成が関連技術として知られている。
しかしながら、上記関連技術のようにブレード状のクリーニング部材が用いられる場合には、前記中間転写ベルト36及びクリーニング部材が摺擦により摩耗するため、クリーニング性が徐々に低下する。特に、弾性層を有する前記中間転写ベルト36が用いられる場合には、クリーニング部材が弾性層に食い込まないように、クリーニング部材の前記中間転写ベルト36への当接圧力を抑える必要がある。そのため、前記中間転写ベルト36及びクリーニング部材が摩耗した場合に、トナーがクリーニング部材をすり抜けやすく、クリーニング性が低下しやすい。これに対し、前記画像形成装置10では、以下に説明するように、前記中間転写ベルト36が弾性層を有すると共に、前記中間転写ベルト36を清掃するブレード状のクリーニング部材のクリーニング性の向上が図られている。
[第1実施形態]
以下、図3〜図4を参照しつつ、前記中間転写ベルト36及び前記ベルト清掃部7について説明する。ここで、図3は前記ベルト清掃部7の構成を示す断面模式図である。また、図4は前記中間転写ベルト36の構成を示す断面図である。
前記中間転写ベルト36は、前記画像形成ユニット31〜34から転写されるトナー像を前記シートに転写する。具体的に、前記中間転写ベルト36は、図3に示すように、駆動ローラー361及び従動ローラー362により所定のテンションで張架された無端状のベルト部材である。そして、前記中間転写ベルト36の外周面は、不図示の駆動モーターにより前記駆動ローラー361が回転駆動されることで移動方向363に沿って移動する。ここで、前述のように、前記中間転写ベルト36の外周面には、前記移動方向363の上流側から順に配置された前記画像形成ユニット31〜34により、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックのトナー像が順次転写される。そして、前記駆動ローラー361及び前記二次転写ローラー37により形成されたニップ部364において、前記中間転写ベルト36の外周面に転写されたトナー像が前記シートに転写される。即ち、前記ニップ部364が転写位置の一例である。なお、前記駆動ローラー361及び前記従動ローラー362の配置位置が逆であってもよい。
また、前記中間転写ベルト36は、図4に示すように、基層36A、弾性層36B、及び表層36Cを有する。
前記基層36Aは、前記中間転写ベルト36の内周面を形成する層であって、前記駆動ローラー361、前記従動ローラー362、並びに前記画像形成ユニット31〜34の一次転写ローラー各々と接触する。例えば、前記基層36Aは、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等の樹脂を用いて100μm程度の厚さで形成される。
前記弾性層36Bは、前記基層36A及び前記表層36Cの中間に位置する層である。例えば、前記弾性層36Bは、クロロブレンゴム等の合成ゴムを用いて200μm程度の厚さで形成される。前記中間転写ベルト36に前記弾性層36Bを設けることで、前記画像形成ユニット31〜34の感光体ドラム各々のトナー像が前記中間転写ベルト36に転写される際に、応力集中によりトナー像に中抜けが生じることが抑制される。また、前記画像形成装置10において画像の形成に粉砕トナーが用いられる場合に転写性を向上させることが可能である。
前記表層36Cは、前記中間転写ベルト36の外周面を形成する層であって、前記画像形成ユニット31〜34の感光体ドラム各々のトナー像が転写される。例えば、前記表層36Cは、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、又はPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等のフッ素系樹脂を用いて2〜3μm程度の厚さで形成される。
一方、前記ベルト清掃部7は、図3に示すように、第1クリーニング部材71、搬送スクリュー72、及び第2クリーニング部材73を備える。
前記第1クリーニング部材71は、前記中間転写ベルト36の前記表層36Cに付着したトナーを除去するブレード状の部材である。例えば、前記第1クリーニング部材71は、ウレタンゴムにより形成される。具体的に、前記第1クリーニング部材71は、図3に示すように、前記移動方向363における前記ニップ部364の下流側で前記表層36Cに先端部を接触した状態で配置される。これにより、前記表層36Cに付着したトナーが前記第1クリーニング部材71の先端により掻き落とされて除去される。
ここで、前記第1クリーニング部材71の前記表層36Cに対する当接圧力を強くすることで、前記第1クリーニング部材71によるクリーニング性を向上させることが可能である。一方、第1クリーニング部材71の前記表層36Cに対する当接圧力が強すぎる場合には、前記第1クリーニング部材71の先端部が前記中間転写ベルト36の前記弾性層36Bに食い込んでスティックスリップが発生し、転写性が低下することが考えられる。そのため、前記画像形成装置10では、前記中間転写ベルト36が前記弾性層36Bを有していない構成と比較して、前記第1クリーニング部材71の前記表層36Cに対する当接圧力が弱く設定されている。
前記搬送スクリュー72は、前記ドラム清掃部315の前記搬送スクリュー315Bと同様に、前記第1クリーニング部材71により前記中間転写ベルト36から除去されたトナーを不図示のトナー収容容器まで搬送する。
前記第2クリーニング部材73は、前記中間転写ベルト36に付着したトナーを除電するブラシ状の部材である。具体的に、前記第2クリーニング部材73は、前記中間転写ベルト36に転写されるトナーの帯電極性と逆極性の帯電性を有する繊維部材により形成されている。ここで、本明細書において「帯電性」とは、トナーと摩擦することによってトナーを正(プラス)極性又は負(マイナス)極性に帯電させる性質を意味する。このような帯電性は、例えば周知の帯電列におけるトナーの構成素材との位置関係により決定される。前記画像形成装置10では、前述のようにキャリアとの摩擦により正極性に帯電するトナーを用いて画像の形成が行われるため、前記第2クリーニング部材73は負極性の帯電性を有する繊維部材により形成されている。
例えば、前記第2クリーニング部材73は、前記画像形成装置10で用いられるトナーに対して負極性の帯電性を有する、カーボン等の含有により導電性が付与されたポリ塩化ビニルにより形成されている。なお、前記画像形成装置10において、キャリアとの摩擦により負極性に帯電するトナーを用いて画像の形成が行われ、前記第2クリーニング部材73がトナーに対して正極性の帯電性を有する繊維部材により形成されることが他の実施形態として考えられる。
そして、前記第2クリーニング部材73は、図3に示すように、前記移動方向363における前記ニップ部364と前記表層36Cへの前記第1クリーニング部材71の接触位置との間で、前記中間転写ベルト36に付着したトナーと接触可能に配置される。そのため、前記中間転写ベルト36上の正極性に帯電したトナーは、前記第1クリーニング部材71による清掃の前に前記第2クリーニング部材73と接触して負極性に帯電されることで除電される。これにより、前記中間転写ベルト36に付着したトナーの、前記中間転写ベルト36との間の静電的な付着力が緩和又は除去されるため、前記第1クリーニング部材71によるクリーニング性が向上する。
なお、前記第2クリーニング部材73の前記移動方向363における幅及びブラシの密度は、トナーの帯電量等に応じて適宜設定されるものであってよい。ここで、前記第2クリーニング部材73によるブラシの密度が低すぎる場合には、トナーとブラシの接触機会が減少するため必要な除電性能を得ることができないものと考えられる。一方、前記第2クリーニング部材73によるブラシの密度が高すぎる場合には、トナーがブラシを通過できずに溜まってしまい、溢れたトナーが周囲に飛散することが考えられる。そのため、前記クリーニング部材73のブラシの密度は、トナーの粒径等を考慮して適宜設定されることが望ましい。
更に、前記画像形成装置10では、前記中間転写ベルト36の前記表層36Cがトナーの帯電極性と逆極性の帯電性を有する素材により形成されている。即ち、前記表層36Cの形成に用いられているPTFE、PVDF、又はPFA等のフッ素系樹脂は、前記画像形成装置10で用いられるトナーに対して負極性の帯電性を有する。そのため、前記中間転写ベルト36に付着したトナーは、前記第2クリーニング部材73に接触して前記表層36C上を摺動する際にも除電される。これにより、前記第2クリーニング部材73の除電性能の向上が図られている。
[実施例1]
前記画像形成装置10において、前記第2クリーニング部材73及び前記中間転写ベルト36の前記表層36Cの素材を各々変化させて、前記第1クリーニング部材71による前記中間転写ベルト36のクリーニングの成否を調査する実験を行った。実験結果を図5に示す。なお、前記実験においては、キャリアとの摩擦により正極性に帯電するトナーを用いた。また、前記実験は、予め60万枚の前記印刷処理を実行した前記画像形成装置10を用いて、青色のベタの画像を印刷した場合における前記中間転写ベルト36上のクリーニング後の残存トナーの有無を確認する方法により行った。ここで、図5において「◎」はクリーニング後の前記中間転写ベルト36上においてトナーの存在が確認されなかったことを示すものであって、「○」は前記中間転写ベルト36上で確認されたトナーの量が予め定められた許容範囲内であったことを示すものである。また、「×」は前記中間転写ベルト36上で確認されたトナーの量が予め定められた許容範囲を超えていたことを示すものである。
図5に示す実験結果から明らかなように、前記第2クリーニング部材73を形成する素材を正極性の帯電性を有する素材とした場合には、前記第1クリーニング部材71のクリーニング性の低下が認められた。これは、前記画像形成装置10の長期的な使用(60万枚の印刷)により、前記第1クリーニング部材71が摺擦により摩耗してクリーニング性が低下したためと考えられる。一方、前記第2クリーニング部材73を形成する素材を負極性の帯電性を有する素材とした場合には、前記第1クリーニング部材71のクリーニング性の低下が抑制されていることが認められた。これは、前記第2クリーニング部材73によりトナーが除電されることでクリーニング性が向上したためと考えられる。そして、前記第2クリーニング部材73と共に、前記中間転写ベルト36の前記表層36Cを形成する素材を負極性の帯電性を有する素材とした場合には、前記第1クリーニング部材71のクリーニング性が維持されていることが認められた。これは、前記中間転写ベルト36の前記表層36Cを負極性の帯電性を有する素材で形成することで、前記第2クリーニング部材73による除電性能が向上したためと考えられる。
このように、前記画像形成装置10では、前記中間転写ベルト36に付着したトナーは、トナーの帯電極性と逆極性の帯電性を有する第2クリーニング部材73によって除電された後、前記第1クリーニング部材71により除去される。そのため、前記弾性層36Bに食い込まないように前記第1クリーニング部材71の前記中間転写ベルト36に対する当接圧力を弱く設定した場合であっても、高いクリーニング性を確保することが可能である。
[第2実施形態]
以下、図6を参照しつつ、本発明の第2実施形態について説明する。前記第2実施形態に係る前記画像形成装置10では、前記ベルト清掃部7の構成が前記第1実施形態と異なる。
具体的に、前記第2実施形態に係る前記ベルト清掃部7は、図6に示すように、前記第1クリーニング部材71、前記搬送スクリュー72、及び前記第2クリーニング部材74を備える。なお、前記第1クリーニング部材71及び前記搬送スクリュー72については、前記第1実施形態と異なるところがないため、その説明を省略する。
前記第2クリーニング部材74は、前記中間転写ベルト36に摺擦しつつ回転可能なブラシ状の部材である。前記第2クリーニング部材74は、前記第1実施形態の前記第2クリーニング部材73と同様に、前記中間転写ベルト36に転写されるトナーの帯電極性と逆極性の帯電性を有する繊維部材により形成されている。前記第2クリーニング部材74を回転させることで、ブラシにトナーが溜まるおそれがなくなると共に、長期間の使用等でブラシの芯が弱った場合であっても除電性能を維持することが可能である。なお、前記第2クリーニング部材74の回転は、前記駆動ローラー361等から駆動力の伝達を受けて回転するものであってもよいし、前記中間転写ベルト36に摺擦することで回転するものであってもよい。
[実施例2]
前記第2実施形態に係る前記画像形成装置10において、前記第1実施形態と同様に、前記第2クリーニング部材74及び前記中間転写ベルト36の前記表層36Cの素材を各々変化させて、前記第1クリーニング部材71による前記中間転写ベルト36のクリーニングの成否を調査する実験を行った。実験結果を図7に示す。
図7に示す実験結果から明らかなように、前記第2クリーニング部材74を形成する素材を正極性の帯電性を有する素材とした場合には、前記第1実施形態と同様に、前記第1クリーニング部材71のクリーニング性の低下が認められた。一方、前記第2クリーニング部材74を形成する素材を負極性の帯電性を有する素材とした場合には、前記第1実施形態と同様に、前記第1クリーニング部材71のクリーニング性の低下が抑制されていることが認められた。そして、前記第2クリーニング部材74と共に、前記中間転写ベルト36の前記表層36Cを形成する素材を負極性の帯電性を有する素材とした場合には、前記第1実施形態と同様に、前記第1クリーニング部材71のクリーニング性が維持されていることが認められた。
このように、前記第2クリーニング部材74を回転させた場合であっても、前記第1実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
[第3実施形態]
以下、図8を参照しつつ、本発明の第3実施形態について説明する。前記第3実施形態に係る前記画像形成装置10では、前記第2実施形態と異なり、前記第2クリーニング部材74の回転が前記制御部5によって制御される。
具体的に、前記制御部5は、図8に示すように、現像制御部51、バイアス補正部52、ジャム検出部53、第1駆動制御部54、及び第2駆動制御部55を含む。なお、前記制御部5は、前記CPUを用いて前記ROMに記憶されている制御プログラムを実行することにより、前記現像制御部51、前記バイアス補正部52、前記ジャム検出部53、前記第1駆動制御部54、及び前記第2駆動制御部55として機能する。また、前記制御部5が電子回路である場合、前記現像制御部51、前記バイアス補正部52、前記ジャム検出部53、前記第1駆動制御部54、及び前記第2駆動制御部55は、前記制御部5が備える各モジュールとして構成される。
前記現像制御部51は、前記画像形成ユニット31〜34の現像ローラー各々に前記現像バイアス電圧を印加して、感光体ドラム各々の静電潜像を現像する。具体的に、前記現像制御部51は、前記画像形成部3で前記印刷処理が実行される際に、前記現像ローラー各々に接続された不図示の電源装置を制御して、前記現像ローラー各々に交流と直流とが重畳された電圧を印加する。
前記バイアス補正部52は、前記画像形成ユニット31〜34の感光体ドラム各々で現像されるトナー像の濃度に応じて、前記現像制御部51により印加される前記現像バイアス電圧を補正する濃度補正処理を実行する。例えば、前記バイアス補正部52は、前記画像形成装置10のウォーミングアップ時、予め定められた印刷枚数の印刷終了時毎などの予め定められた時機において、前記濃度補正処理を実行する。
具体的に、前記バイアス補正部52は、予め前記EEPROM等の記憶部に記憶された基準バイアス電圧に基づいて、前記画像形成ユニット31〜34の現像装置各々に濃度検出用のトナー像を現像させる。そして、前記中間ベルト36に転写された前記濃度検出用のトナー像の濃度を、前記中間ベルト36の経路上に配置された濃度センサー30Aによって検出させ、検出結果に基づいて前記現像バイアス電圧のうちの直流成分の電圧を補正する。なお、前記バイアス補正部52による前記現像バイアス電圧の補正方法は上記のものに限られず、従来周知の方法が用いられてよい。
前記ジャム検出部53は、前記画像形成部3における前記シートの搬送経路上でのジャム(紙詰まり)の発生を検出する。具体的に、前記シートの搬送経路上には、前記シートの通過を検出する複数の用紙センサー30Bが設けられている。そして、前記ジャム検出部53は、例えば前記シートの搬送が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの間に前記シートの通過を示す信号が前記用紙センサー30Bから出力されない場合に、前記ジャムの発生を検出する。なお、前記用紙センサー30Bは、例えば反射型又は透過型の光センサーである。
前記第1駆動制御部54は、前記第2クリーニング部材74を予め定められた第1速度で回転させる。具体的に、前記第1駆動制御部54は、前記第2クリーニング部材74を回転させるモーターなどの不図示の駆動装置を制御することで、前記第2クリーニング部材74を前記第1速度で回転させる。なお、前記第1速度は、前記画像形成部3において前記印刷処理が実行される場合に前記第2クリーニング部材74に要求される除電性能を考慮して適宜設定されるものであってもよい。
ところで、例えば前記印刷処理中において前記ジャムが発生した場合には、前記中間転写ベルト36に転写されたトナー像は、前記シートに転写されることなく前記第1クリーニング部材71により除去されることになる。また、前記濃度補正処理が実行される場合にも、前記中間転写ベルト36に転写されたトナー像は、前記シートに転写されることなく前記第1クリーニング部材71により除去される。これらの場合には、前記シートにトナー像が転写される場合と比較して多量のトナーが前記第2クリーニング部材74を通過するため、トナーの除電が不十分となることが考えられる。そこで、前記第3実施形態に係る前記画像形成装置10では、個別の状況に応じて前記第2クリーニング部材74の除電性能を向上させるために、前記制御部5に前記第2駆動制御部55が設けられている。
具体的に、前記第2駆動制御部55は、予め定められた制御条件を満たす場合に、前記第2クリーニング部材74を前記第1速度より早い第2速度で回転させる。例えば、前記第2駆動制御部55は、前記バイアス補正部52により前記濃度補正処理が実行される場合に、前記第2クリーニング部材74を前記第2速度で回転させる。また、前記第2駆動制御部55は、前記ジャム検出部53で前記ジャムの発生が検出された場合に、前記第2クリーニング部材74を前記第2速度で回転させる。これにより、個別の状況に応じて前記第2クリーニング部材74の除電性能を向上させることが可能である。
このように、前記第3実施形態に係る前記画像形成装置10では、前記制御部5の前記第1駆動制御部54及び前記第2駆動制御部55により前記第2クリーニング部材74の回転が制御される。そのため、前記第1クリーニング部71で除去されるトナーの量が増加した場合であっても、前記第1クリーニング部71のクリーニング性を維持することが可能である。