JP2015223067A - 回転電機及び回転電機の電機子の巻線方法 - Google Patents

回転電機及び回転電機の電機子の巻線方法 Download PDF

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Abstract

【課題】コアの軸心方向の小型化が可能な回転電機を提供する。【解決手段】実施形態に係る回転電機は、S極とN極が交互に配置される界磁石(環状磁石)と、界磁石の軸心と同心の円環部22bから径方向に突出するとともに円環部22bの周方向に配列される複数のティース22cを有するコア22と、隣接する2個のティース22cを跨ぐコイル24(巻回部)が円環部22bの周方向に1ティース飛ばしで複数配列される第1相コイル32と、第1相コイル32の巻回開始位置に対して円環部22bの軸心を挟んで反対側のティース22cを巻回開始位置として、隣接する2個のティース22cを跨ぐコイル24(巻回部)が円環部22bの周方向に1ティース飛ばしで複数配列される第2相コイル34と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明の実施形態は、回転電機及び回転電機の電機子の巻線方法に関する。
従来、回転電機を構成する電機子は、界磁と相互作用させトルクを得るための磁界を発生させるために、磁性材料から成るコアのまわりに巻線(マグネットワイヤ)が巻回されている。ところで、回転電機の回転子が電機子となる場合、円環状のコアの周方向に複数形成されたティースに巻回される巻線は、重量バランスを考慮して回転ムラが生じにくいようにすることが望ましく、様々な巻回態様が提案されている。
特開2009−55733号公報
上述したように、電機子に巻線を巻回する場合、重量バランスを考慮した巻回が重要であるが、それとともに回転電機全体の小型化も要求される。巻線をコアのティースに巻回する場合、巻線があるティースから他のティースに渡る場合に、コアの端部で当該コアの軸心方向に膨れあがる。しかし、この渡り部分はトルク発生に直接関与しないため、回転電機の小型化のためには、この渡り部分を縮小化することが小型化の1つの手段といえる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、コアの軸心方向の小型化が可能な回転電機及び回転電機の電機子の巻線方法を提供することを目的の1つとする。
実施形態に係る回転電機は、S極とN極が交互に配置される環状磁石と、前記環状磁石の軸心と同心の円環部から径方向に突出するとともに前記円環部の周方向に配列される複数のティースを有するコアと、隣接する2個の前記ティースを跨ぐ巻回部が前記円環部の周方向に1ティース飛ばしで複数配列される第1相コイルと、前記第1相コイルの巻回開始位置に対して前記円環部の軸心を挟んで反対側の前記ティースを巻回開始位置として、隣接する2個の前記ティースを跨ぐ巻回部が前記円環部の周方向に1ティース飛ばしで複数配列される第2相コイルと、を備える。この態様によれば、同相の巻回部は、1ティース飛ばしで配置されるため、同一周で隣接する同相の巻回部が重なり合うことを回避できる。その結果、回転電機の軸心方向のサイズ増加が抑制できる。また、第1相コイルの巻回部と第2相コイルの巻回部とは、軸心を挟んで反対側の位置にそれぞれ配置されるので、回転電機全体としての重量バランスの崩れ、つまり回転バランスの崩れを抑制できる。
また、実施形態に係る回転電機の前記ティースの数は、2×(N極の数+S極の数)とすることができる。この態様によれば、ティースの数が、2×(N極の数+S極の数)の回転電機の軸心方向のサイズ増加が抑制できる。また、ティースの数が、2×(N極の数+S極の数)の回転電機の重量バランスの崩れ、つまり回転バランスの崩れを抑制できる。
また、実施形態に係る回転電機の電機子の巻線方法は、S極とN極が交互に配置される環状磁石の軸心と同心の円環部から径方向に突出するとともに前記円環部の周方向に配列される複数のティースを有するコアに対して、隣接する2個の前記ティースを跨ぐ巻回部を形成するとともに、当該巻回部を前記円環部の周方向に1ティース飛ばしで複数配列する第1相コイルを形成するステップと、前記コアに対して、前記第1相コイルの巻回開始位置に対して前記円環部の軸心を挟んで反対側の前記ティースを巻回開始位置として、隣接する2個の前記ティースを跨ぐ巻回部を形成するとともに、当該巻回部を前記第1相コイルの巻回部の形成方向と同方向で前記円環部の周方向に1ティース飛ばしで複数配列する第2相コイルを形成するステップと、を含み、前記第1相コイルを形成するステップと、前記第2相コイルを形成するステップを並行して実行する。この態様によれば、同相の巻回部は、1ティース飛ばしで配置されるので、同一周で隣接する同相の巻回部が重なり合うことを回避できる。その結果、回転電機の軸心方向のサイズ増加が抑制できる。また、同一周で隣接する同相の巻回部が重なり合うことを回避できるので、各巻回部の巻線密度が向上できる。また、第1相コイルの巻回部配置のための巻回処理と第2相コイルの巻回部配置のための巻回処理は、軸心を挟んで反対側の位置でそれぞれ並行して実行される。その結果、巻回部はコアの軸心に対して点対称で配置され、回転電機全体としての重量バランスの崩れの抑制、つまり回転バランスの崩れの抑制ができる。また、巻線が反対側の位置で並行して行われるので第1相コイルと第2相コイルの巻線時の干渉が回避され巻線効率の向上ができる。
図1は、実施形態に係る回転電機の概略断面図である。 図2は、実施形態に係る回転電機の電機子の巻回部の配列を説明するイメージ図である。 図3は、実施形態に係る回転電機の電機子の巻線結線図である。 図4は、従来の電機子の巻回部の配列を説明する比較例のイメージ図である。
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用及び結果(効果)は、あくまで一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)を得ることが可能である。
図1は、本実施形態に係る回転電機10の概略断面図である。本実施形態の回転電機10は、一例としてインナーロータ型のブラシ付きDCモータである。DCモータは、固定子に例えば永久磁石を使い、回転子(電機子)にコイルを備えて構成され、電機子に流れる電流の向きを切り替えることで磁力の反発、吸引の力で回転力を生成させる。具体的には、回転電機10は、電機子12(本実施形態の場合は回転子)、固定子14、ブラシ16、整流子18、シャフト20を主要部品として構成されている。
電機子12は、薄板状のケイ素鋼板22aが複数枚積層されて形成されたコア22と、当該コア22の外周にその周方向に等間隔で形成されているスロット(鉄心溝)により画成されたティースにコイル(巻回部ともいう)24が配置(巻回)されている。電機子12は、界磁と相互作用させトルクを得るための磁界を発生させる。また、固定子14は、回転電機10のハウジングを兼ねるヨーク14aと、そのヨーク14aの内周面に固定された界磁石14bとで構成されている。ヨーク14aは、界磁石14bとともに磁気回路(磁界)を構成するもので、例えば鉄で形成される。界磁石14bは、トルクを発生するために磁束を作るもので、例えば永久磁石を用いることができる。ブラシ16は、整流子18に摺動接触して電流を流す。また、整流子18は、ブラシ16から供給される電流をコイル24(巻線)に流す。シャフト20はコア22と一体に構成され、複数のベアリング26によって、ハウジングとして機能するヨーク14aやブラケット28等に回転自在に支持される。
このように構成される回転電機10は、回転性能を維持したままで小型化が要望されている。そして、回転電機10の小型化を行う場合に着目される部分の1つとして電機子12の小型化が挙げられる。前述したように、電機子12のティースにはコイル24が配置(巻回)されるが、コイル24を構成する巻線(マグネットワイヤ)はコア22の端面でティース間を渡りながら巻回される。そのため、回転性能を向上するために配置するコイル24の数を増やしていくと、コイル24同士が重なってしまう部分が多くなり、回転電機10の軸心方向(シャフト20の軸心方向、コア22の端面)で巻線が膨れあがってしまうことが多い。この軸心方向に膨れあがった部分は、トルクの発生に直接関与しない部分なので、膨れあがりはできるだけ小さくすることが、回転電機10の小型化のために望ましい。
本実施形態の回転電機10は、この点を考慮して構成している。具体的には、界磁石14b(環状磁石、永久磁石)と、コア22と、第1相コイルと、第2相コイルとを主構成として備える。界磁石14bは、S極とN極が交互に配置される環状形状である。また、コア22は、界磁石14bの軸心と同心の円環部から径方向に突出するとともに円環部の周方向に配列される複数のティースを有する。第1相コイルは、隣接する2個のティースを跨ぐコイル24が円環部の周方向に1ティース飛ばしで複数配列される。また第2相コイルは、第1相コイルの巻回開始位置に対して円環部の軸心を挟んで反対側のティースを巻回開始位置として、隣接する2個のティースを跨ぐコイル24が円環部の周方向に1ティース飛ばしで複数配列される。なお、ティースの数は、2×(N極の数+S極の数)で規定することができる。本実施形態の場合、一例として、2相8極16スロット(16ティース)タイプの回転電機10を説明する。
図2は、本実施形態に係る回転電機10の電機子12のコイル24の配列を説明するイメージ図である。また、図3は、本実施形態に係る回転電機10の電機子12の巻線結線図である。
図2に示すように、本実施形態の電機子12は、シャフト20と、当該シャフト20の軸心と同心となる薄板略円盤状のケイ素鋼板22aが複数枚積層されて形成されたコア22とで構成されている。図2は、積層端部のケイ素鋼板22aが見えている。ケイ素鋼板22aは、円環部22bの外周部から外径方向に突出するとともに当該円環部22bの周方向に配列される複数のティース22cを有する。複数のケイ素鋼板22aは、例えば溶接等により積層状態が維持され、中心に形成された開口部22dにシャフト20が圧入や溶接等により固定されて一体部品とされている。なお、図2の場合、便宜的に各ティース22cを区別するために番号(1〜16)を付している。そして、必要に応じて、No1ティース22c〜No16ティース22cと称して説明に利用する。図2の場合、インナーロータ型の電機子12(回転子)に用いるコア22を一例として示しているが、インナーロータ型で電機子が固定子となるタイプの場合は、ティースが円環部の内周部から内径方向に突出するとともに当該円環部の周方向に複数配列されることになる。
コア22は、等角度間隔に放射状に延びる16本のティース22cが形成されている。言い換えれば、隣接する2本のティース22cによりスロット22eが画成されている。したがって、スロット22eの数も16個となる。そして、このティース22cにコイル24が配置(巻回)されることにより、スロット22eに巻線が詰め込まれることになる。コイル24は、隣接する2個のティース22cを跨ぐように配置(巻回)されるとともに、そのコイル24が円環部22bの周方向に1ティース飛ばしで複数配列される。さらに、本実施形態の場合、第1相コイルを形成するステップ(第1相コイル形成ステップ)と、この第1相コイルの巻回開始位置に対してコア22の軸心(円環部22bの軸心)を挟んで反対側のティース22cを巻回開始位置として巻回される第2相コイルを形成するステップ(第2相コイル形成ステップ)が、並行して実行される。つまり、2台のフライヤ(巻線機)を並行して稼働させて巻回を行うダブルフライヤ方式で巻線処理が行われる。
なお、S極とN極が交互に配列される界磁石14bは、例えば、図2におけるNo1ティース22cとNo2ティース22cに対応する位置に軸心方向に伸びるS極の界磁石14bが配置される。またNo3ティース22cとNo4ティース22cに対応する位置に軸心方向に伸びるN極の界磁石14bが配置される。以下S極の界磁石14bとN極の界磁石14bが交互にコア22の周方向に当該コア22を取り囲むように配列されている。なお、界磁石14bは各磁極が分離され環状に配置される構成でも、環状の基材にS極とN極が交互に着磁されて構成されるものでもよい。
図2の場合、便宜上コイル24に番号(1L〜8L及び1R〜8R)を付し、適宜1Lコイル24〜8Lコイル24及び1Rコイル24〜8Rコイル24と呼び、コイル24の配置位置(巻回位置)とその巻線順番を表す。図2の場合、例えば、1Lコイル24〜8Lコイル24は、1号機フライヤ(Lフライヤ)で巻回され、1Rコイル24〜8Rコイル24は、2号機フライヤ(Rフライヤ)で巻回されることを表している。なお、1Lコイル24〜8Lコイル24及び1Rコイル24〜8Rコイル24は、同方向に順次配列される。図2の場合は反時計回り方向に配列される。
次に、図2及び図3を用いて電機子12に対するコイル24の巻線方法を詳細に示す。なお、図3は、円周方向に配置されるティース22cを展開した状態を示す図であり、No1ティース22cとNo16ティース22cとが隣接するが、展開した場合の結線状態の理解を容易にするために、No1ティース22c〜No4ティース22cを重複して記載している。また、図3において、No1ティース22c〜No16ティース22c(No4ティース22c)の列の下方には、整流子18に形成された巻線フック用のセグメント30の配列が表されている。このセグメント30は、ティース22cに対応して設けられ、巻線がセグメント30を経由する(引っ掛けられる)ことで巻線のティース22c間の渡りを容易にするとともに、巻線の渡り状態を整えることができる。なお、複数配列(連結)されるコイル24の端部(後述する第1相コイル32、第2相コイル34の巻始め、巻き終わり)は、セグメント30で電気的に接続され、整流子18から電流の供給を受けることができる。なお、セグメント30にもそれぞれ番号(1〜16)を付して、区別する必要がある場合は、No1セグメント30〜No16セグメント30と呼び、適宜説明に利用する。
前述したように、本実施形態の電機子12は、ダブルフライヤ方式で、第1相コイル32と第2相コイル34を並行して形成する。図2の場合、第1相コイル32は1Lコイル24〜8Lコイル24で構成され、第2相コイル34は1Rコイル24〜8Rコイル24で構成される。また、図3の場合、第1相コイル32は実線で示され、第2相コイル34は破線で示されている。
例えば、No1セグメント30を巻回開始位置SL(Lフライヤの巻始め位置)として、No1ティース22cとNo2ティース22cにLフライヤにより巻線(マグネットワイヤ)を所定回数巻回して1Lコイル24を形成し、巻線をNo2セグメント30に引き出す。続いて引き出した巻線をNo2セグメント30からNo14セグメント30に渡らせNo14ティース22cとNo15ティース22cに巻線を所定回数巻回して2Lコイル24を形成し、巻線をNo15セグメント30に引き出す。この場合、No1ティース22cとNo2ティース22cに形成(巻回)された1Lコイル24と、No14ティース22cとNo15ティース22cに形成(巻回)された2Lコイル24との間には、No16ティース22cが存在する。つまり、隣接する2個のティース22cを跨ぐコイル24(巻回部)を形成するとともに、円環部22bの周方向に1ティース飛ばしでコイル24(巻回部)を形成していることになる。
続いて、引き出した巻線をNo15セグメント30からNo11セグメント30に渡らせNo11ティース22cとNo12ティース22cに巻線を所定回数巻回して3Lコイル24を形成し、巻線をNo12セグメント30に引き出す。以下同様に、引き出した巻線をNo12セグメント30からNo8セグメント30に渡らせNo8ティース22cとNo9ティース22cに巻線を所定回数巻回して4Lコイル24を形成し、巻線をNo9セグメント30に引き出す。また、引き出した巻線をNo9セグメント30からNo5セグメント30に渡らせNo5ティース22cとNo6ティース22cに巻線を所定回数巻回して5Lコイル24を形成し、巻線をNo6セグメント30に引き出す。また、引き出した巻線をNo6セグメント30からNo2セグメント30に渡らせNo2ティース22cとNo3ティース22cに巻線を所定回数巻回して6Lコイル24を形成し、巻線をNo3セグメント30に引き出す。続いて、引き出した巻線をNo3セグメント30からNo15セグメント30に渡らせNo15ティース22cとNo16ティース22cに巻線を所定回数巻回して7Lコイル24を形成し、巻線をNo16セグメント30に引き出す。最後に、引き出した巻線をNo16セグメント30からNo12セグメント30に渡らせNo12ティース22cとNo13ティース22cに巻線を所定回数巻回して8Lコイル24を形成する。そして、巻線をNo13セグメント30に引き出し、No9セグメント30に渡らせて巻回終了位置ELとする(Lフライヤの巻き終わり位置)。以上で、第1相コイル32を形成するステップが終了する。
本実施形態においては、第1相コイル32を形成するステップと並行に第2相コイル34を形成するステップが実行される。
具体的には、第1相コイル32の巻回開始位置SLに対し、シャフト20の軸心(円環部22bの軸心)を挟んで反対側に位置するNo9ティース22cのNo9セグメント30(図2、図3参照)を巻回開始位置SR(Rフライヤの巻始め位置)とする。そして、No9ティース22cとNo10ティース22cにRフライヤにより巻線を所定回数巻回して1Rコイル24を形成し、巻線をNo10セグメント30に引き出す。続いて引き出した巻線をNo10セグメント30からNo6セグメント30に渡らせNo6ティース22cとNo7ティース22cに巻線を所定回数巻回して2Rコイル24を形成し、巻線をNo7セグメント30に引き出す。この場合、第1相コイル32と同様に、No9ティース22cとNo10ティース22cに形成(巻回)された1Rコイル24と、No6ティース22cとNo7ティース22cに形成(巻回)された2Rコイル24との間には、No8ティース22cが存在する。つまり、隣接する2個のティース22cを跨ぐコイル24(巻回部)を形成するとともに、円環部22bの周方向に1ティース飛ばしでコイル24(巻回部)を形成していることになる。
続いて、引き出した巻線をNo7セグメント30からNo3セグメント30に渡らせNo3ティース22cとNo4ティース22cに巻線を所定回数巻回して3Rコイル24を形成し、巻線をNo4セグメント30に引き出す。以下同様に、引き出した巻線をNo4セグメント30からNo16セグメント30に渡らせNo16ティース22cとNo1ティース22cに巻線を所定回数巻回して4Rコイル24を形成し、巻線をNo1セグメント30に引き出す。また、引き出した巻線をNo1セグメント30からNo13セグメント30に渡らせNo13ティース22cとNo14ティース22cに巻線を所定回数巻回して5Rコイル24を形成し、巻線をNo14セグメント30に引き出す。また、引き出した巻線をNo14セグメント30からNo10セグメント30に渡らせNo10ティース22cとNo11ティース22cに巻線を所定回数巻回して6Rコイル24を形成し、巻線をNo11セグメント30に引き出す。続いて、引き出した巻線をNo11セグメント30からNo7セグメント30に渡らせNo7ティース22cとNo8ティース22cに巻線を所定回数巻回して7Rコイル24を形成し、巻線をNo8セグメント30に引き出す。最後に、引き出した巻線をNo8セグメント30からNo4セグメント30に渡らせNo4ティース22cとNo5ティース22cに巻線を所定回数巻回して8Rコイル24を形成する。そして、巻線をNo5セグメント30に引き出し、No1セグメント30に渡らせて巻回終了位置ERとする(Rフライヤの巻き終わり位置)。以上で、第2相コイル34を形成するステップが終了する。なお、第1相コイル32及び第2相コイル34のコイル端(巻回開始位置SL,SR及び巻回終了位置EL,ER)は、セグメント30にて電気的に接続される。したがって、第1相コイル32及び第2相コイル34を備える電機子12は、整流子18を介して電流の供給を受け、界磁と相互作用させトルクを得るための磁界を発生する。
このように、第1相コイル32の各コイル24を1スロット飛ばしで順次配置(巻回)することにより、第1相コイル32を構成するコイル24同士の重なり合いが回避され、重なりにより巻線が軸心方向に膨れあがることを抑制できる。同様に第2相コイル34の各コイル24を1スロット飛ばしで順次配置(巻回)することにより、第2相コイル34を構成するコイル24同士の重なり合いが回避され、重なりにより巻線が軸心方向に膨れあがることを抑制できる。なお、図2において、第1相コイル32の4Lコイル24及び5Lコイル24は、先に巻回が完了している第2相コイル34の1Rコイル24及び2Rコイル24と一部干渉する可能性がある。同様に、第2相コイル34の4Rコイル24及び5Rコイル24は、先に巻回が完了している第1相コイル32の1Lコイル24及び2Lコイル24と一部干渉する可能性がある。しかし、先に巻回されるコイル24は、隣接するコイル24と接触することなく、ティース22cの端面にほぼ平坦な状態で配置(巻回)される。そして、後から配置(巻回)されるコイル24は、先に配置されているコイル24に対して隣接して空いているティース22cを巻回の一方に利用し、他方は先にコイル24が巻回されているティース22cを使用する。その結果、先に巻回されているコイル24との重なり部分は僅かな領域で抑えられる、または容易にずらして重ならないようにすることができる。また、先に配置されているコイル24の姿勢はティース22cの端面にほぼ平坦な状態となっているので、後から配置(巻回)されるコイル24の一部が重なったとしても平坦姿勢の上に重なるので、重なり高さは軽減される。このように、本実施形態によれば、電機子12全体としてコイル24同士が重なる領域を低減可能であり、軸心方向の巻線の膨れあがりを軽減または抑制できる。
また、円環部22bの軸心を挟んで対向する位置から巻回が開始される第1相コイル32と第2相コイル34とは、構成する各コイル24の配置態様が軸心を挟んで点対称となるので、電機子12が回転子として機能する場合の良好な重量バランスが確保しやすく、安定した回転電機10の回転性能の確保ができる。
図4は、従来の電機子のコイル(巻回部)の配列を説明する比較例のイメージ図である。図4の比較例の回転電機の電機子112の場合もダブルフライヤ方式により第1相コイル132及び第2相コイル134が形成される。電機子112の場合も図2と同様に、便宜上コイル124に番号(1R〜8R及び1L〜8L)を付し、適宜1Rコイル124〜8Rコイル124及び1Lコイル124〜8Lコイル124と呼び、配置位置(巻回位置)とその巻線順番を表す。1Rコイル124〜8Rコイル124は、1号機フライヤ(Rフライヤ)で形成(巻回)され、1Lコイル124〜8Lコイル124は、2号機フライヤ(Lフライヤ)で形成(巻回)されることを表している。なお、1Rコイル124〜8Rコイル124及び1Lコイル124〜8Lコイル124は、同方向に順次配列される。図4の場合は時計回り方向に配列される。図4においても、便宜的に各ティース122cを区別するために番号(1〜16)を付して、No1ティース122c〜No16ティース122cと呼び、適宜説明に利用する。
電機子112は、例えばRフライヤにより、No1ティース122cとNo2ティース122cに1Rコイル124を形成する。続いてNo2ティース122cとNo3ティース122cに2Rコイル124を形成し、No3ティース122cとNo4ティース122cに3Rコイル124を形成する。以下順次コイル124を形成して第1相コイル132を形成する。それと並行して、1Rコイル124を形成したNo1ティース122cに対してシャフト120(電機子112)の軸心を挟んで反対側に位置するNo9ティース122cを巻始めとして当該No9ティース122cとNo10ティース122cに1Lコイル124をLフライヤにより形成する。続いてNo10ティース122cとNo11ティース122cに2Lコイル124を形成し、No11ティース122cとNo12ティース122cに3Lコイル124を形成する。以下順次コイル124を形成して第2相コイル134を形成する。
図4に示す電機子112の場合、各コイル124は、隣接する2個のティース122cを跨いでコイル124が形成されるものの、隣接するコイル124は本実施形態とは異なり、1ティース飛ばしで配列されない。つまり、隣接するコイル124は、常時重なり合うことになる。コイル124同士が重なり合うことにより、当該コイル124の姿勢はティース122cの端面に対し軸心方向に傾斜した態様となる。その傾斜姿勢のコイル124に重なる形で次のコイル124が形成されることになる。この傾斜姿勢の重なりは電機子112のほぼ全周において生じ、コイル124を構成する巻線の軸心方向の膨らみの増大を招いている。
それに対し、本実施形態の電機子12においては、上述したようなコイル24の重なりまたは傾斜姿勢の重なりは存在しないので、従来の電機子112に比べて巻線の軸心方向の膨らみは軽減され、回転電機10の小型化、特に軸心方向の小型化に寄与することができる。
なお、上述した実施形態では、2相8極16スロット(16ティース)タイプの回転電機10を一例として説明したが、ティース数が2×(N極の数+S極の数)で規定される回転電機であれば、同様の効果を得ることができる。
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。また実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…回転電機、12…電機子、20…シャフト、22…コア、24…コイル、14b…界磁石、22b…円環部、22c…ティース、22e…スロット、32…第1相コイル、34…第2相コイル。

Claims (3)

  1. S極とN極が交互に配置される環状磁石と、
    前記環状磁石の軸心と同心の円環部から径方向に突出するとともに前記円環部の周方向に配列される複数のティースを有するコアと、
    隣接する2個の前記ティースを跨ぐ巻回部が前記円環部の周方向に1ティース飛ばしで複数配列される第1相コイルと、
    前記第1相コイルの巻回開始位置に対して前記円環部の軸心を挟んで反対側の前記ティースを巻回開始位置として、隣接する2個の前記ティースを跨ぐ巻回部が前記円環部の周方向に1ティース飛ばしで複数配列される第2相コイルと、
    を備える回転電機。
  2. 前記ティースの数は、2×(N極の数+S極の数)である請求項1記載の回転電機。
  3. S極とN極が交互に配置される環状磁石の軸心と同心の円環部から径方向に突出するとともに前記円環部の周方向に配列される複数のティースを有するコアに対して、隣接する2個の前記ティースを跨ぐ巻回部を形成するとともに、当該巻回部を前記円環部の周方向に1ティース飛ばしで複数配列する第1相コイルを形成するステップと、
    前記コアに対して、前記第1相コイルの巻回開始位置に対して前記円環部の軸心を挟んで反対側の前記ティースを巻回開始位置として、隣接する2個の前記ティースを跨ぐ巻回部を形成するとともに、当該巻回部を前記第1相コイルの巻回部の形成方向と同方向で前記円環部の周方向に1ティース飛ばしで複数配列する第2相コイルを形成するステップと、
    を含み、
    前記第1相コイルを形成するステップと、前記第2相コイルを形成するステップを並行して実行する回転電機の電機子の巻線方法。
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